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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154821
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】鞍乗り型車両
(51)【国際特許分類】
   B62J 40/00 20200101AFI20221005BHJP
   B62J 35/00 20060101ALI20221005BHJP
   B62J 45/00 20200101ALI20221005BHJP
   B62K 11/04 20060101ALI20221005BHJP
   B62K 11/06 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
B62J40/00
B62J35/00 C
B62J45/00
B62K11/04 D
B62K11/06
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021058047
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣▲瀬▼ 翔
(72)【発明者】
【氏名】倉澤 侑史
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 良行
(72)【発明者】
【氏名】河野 翔
(72)【発明者】
【氏名】作間 洋平
【テーマコード(参考)】
3D011
【Fターム(参考)】
3D011AF04
3D011AK04
3D011AK12
3D011AK23
3D011AK33
3D011AL32
3D011AL37
3D011AL41
(57)【要約】
【課題】鞍乗り型車両において、エアクリーナーの容量を大きく確保できるようにする。
【解決手段】鞍乗り型車両は、車体と、車体に支持されるエアクリーナー(38)と、車体に支持される部品(25)とを備え、前記部品(25)は、エアクリーナー(38)の前方に配置され、部品(25)は、締結具(83)によって車体に取り付けられるステー(76)を介して支持され、エアクリーナー(38)は、車体に対し車両前後方向に差し込まれる第1取付部(81)と、ステー(76)に取り付けられる第2取付部(82)とを備え、第1取付部(81)は、車両前後方向において、部品(25)が配置された側とは反対側に設けられ、第2取付部(82)は、締結具(83)によって、車体に対しステー(76)と共締めされる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体(10,41)と、前記車体(10,41)に支持されるエアクリーナー(38)と、前記車体(10)に支持される部品(25)とを備える鞍乗り型車両において、
前記部品(25)は、前記エアクリーナー(38)の前方または後方に配置され、
前記部品(25)は、締結具(83)によって前記車体(10)に取り付けられるステー(76)を介して支持され、
前記エアクリーナー(38)は、前記車体(41)に対し車両前後方向に差し込まれる第1取付部(81)と、前記ステー(76)に取り付けられる第2取付部(82)とを備え、
前記第1取付部(81)は、車両前後方向において、前記部品(25)が配置された側とは反対側に設けられ、
前記第2取付部(82)は、前記締結具(83)によって、前記車体(10)に対し前記ステー(76)と共締めされることを特徴とする鞍乗り型車両。
【請求項2】
前記第1取付部(81)は、前記エアクリーナー(38)の前端部(38a)及び後端部(38b)の一方に設けられ、前記第2取付部(82)は、前記前端部(38a)及び前記後端部(38b)の他方に設けられることを特徴とする請求項1記載の鞍乗り型車両。
【請求項3】
前記車体は、中空の車体フレーム(10)を備え、
前記車体フレーム(10)は、前記車体フレーム(10)の板状部によって囲まれる内部空間(85)を備え、
前記部品(25)は、電装部品であり、前記内部空間(85)に配置されることを特徴とする請求項1または2記載の鞍乗り型車両。
【請求項4】
前記エアクリーナー(38)は、前記内部空間(85)に配置され、前記部品(25)は、前記エアクリーナー(38)の前方に配置され、
前記車体フレーム(10)の上部には、前記エアクリーナー(38)を前記内部空間(85)に出し入れ可能な上面開口(57)が設けられ、
前記第2取付部(82)と前記ステー(76)とが接続される接続面(99)では、前記ステー(76)に対し前記第2取付部(82)が上方から当接し、前記接続面(99)は、車両側面視で、前上がりに傾斜する傾斜面であることを特徴とする請求項3記載の鞍乗り型車両。
【請求項5】
前記エアクリーナー(38)は、前記内部空間(85)に配置され、前記部品(25)は、前記エアクリーナー(38)の前方に配置され、
前記車体フレーム(10)は、前記部品(25)の前方に開口(88c)を備え、
前記部品(25)の配管(25c)は、前記開口(88c)を通って前記車体フレーム(10)の外側に延びることを特徴とする請求項3記載の鞍乗り型車両。
【請求項6】
前記車体は、中空の車体フレーム(10)を備え、
車体フレーム(10)は、前記車体フレーム(10)の板状部によって囲まれる内部空間(85)を備え、
前記部品(25)及び前記ステー(76)は、前記内部空間(85)に配置され、前記部品(25)は、前記エアクリーナー(38)の前方に配置され、
前記車体フレーム(10)は、前記車体フレーム(10)の下面を構成する下壁(55)が前記内部空間(85)に向けて上方に膨出した段部(88)を、前記ステー(76)の前方に備え、
前記ステー(76)は、前記段部(88)に当接していることを特徴とする請求項1または2記載の鞍乗り型車両。
【請求項7】
前記ステー(76)と前記車体フレーム(10)とを締結するステー締結具(98)は、前記段部(88)に配置されることを特徴とする請求項6記載の鞍乗り型車両。
【請求項8】
前記車体(10)は、前記締結具(83)によって前記第2取付部(82)及び前記ステー(76)が共締めされるブラケット(87)を備え、
前記ブラケット(87)は、前記ステー(76)を下方から受ける受け部(87a)と、前記受け部(87a)から延出する延出部(87e)とを備え、
前記ステー(76)は、前記延出部(87e)に係合する係合部(91)を備えることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
【請求項9】
前記エアクリーナー(38)の後方に、前記車体としての燃料タンク(41)が配置され、
前記第1取付部(81)が差し込まれる支持部(67)は、前記燃料タンク(41)に設けられることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗り型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鞍乗り型車両において、ABSユニット及びエアクリーナー等の部品が車体フレームの内側に配置される構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-76556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来のような鞍乗り型車両では、エアクリーナーの容量を大きく確保することが望まれるが、エアクリーナーの取付構造及びエアクリーナーの周辺の部品の配置によっては、エアクリーナーの容量を大きく確保することが難しい。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、鞍乗り型車両において、エアクリーナーの容量を大きく確保できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
鞍乗り型車両は、車体と、前記車体に支持されるエアクリーナーと、前記車体に支持される部品とを備える鞍乗り型車両において、前記部品は、前記エアクリーナーの前方または後方に配置され、前記部品は、締結具によって前記車体に取り付けられるステーを介して支持され、前記エアクリーナーは、前記車体に対し車両前後方向に差し込まれる第1取付部と、前記ステーに取り付けられる第2取付部とを備え、前記第1取付部は、車両前後方向において、前記部品が配置された側とは反対側に設けられ、前記第2取付部は、前記締結具によって、前記車体に対し前記ステーと共締めされることを特徴とする。
【0006】
また、上述の構成において、前記第1取付部は、前記エアクリーナーの前端部及び後端部の一方に設けられ、前記第2取付部は、前記前端部及び前記後端部の他方に設けられても良い。
また、上述の構成において、前記車体は、中空の車体フレームを備え、前記車体フレームは、前記車体フレームの板状部によって囲まれる内部空間を備え、前記部品は、電装部品であり、前記内部空間に配置されても良い。
【0007】
さらに、上述の構成において、前記エアクリーナーは、前記内部空間に配置され、前記部品は、前記エアクリーナーの前方に配置され、前記車体フレームの上部には、前記エアクリーナーを前記内部空間に出し入れ可能な上面開口が設けられ、前記第2取付部と前記ステーとが接続される接続面では、前記ステーに対し前記第2取付部が上方から当接し、前記接続面は、車両側面視で、前上がりに傾斜する傾斜面であっても良い。
また、上述の構成において、前記エアクリーナーは、前記内部空間に配置され、前記部品は、前記エアクリーナーの前方に配置され、前記車体フレームは、前記部品の前方に開口を備え、前記部品の配管は、前記開口を通って前記車体フレームの外側に延びても良い。
【0008】
また、上述の構成において、前記車体は、中空の車体フレームを備え、前記車体フレームは、前記車体フレームの板状部によって囲まれる内部空間を備え、前記部品及び前記ステーは、前記内部空間に配置され、前記部品は、前記エアクリーナーの前方に配置され、前記車体フレームは、前記車体フレームの下面を構成する下壁が前記内部空間に向けて上方に膨出した段部を、前記ステーの前方に備え、前記ステーは、前記段部に当接していても良い。
また、上述の構成において、前記ステーと前記車体フレームとを締結するステー締結具は、前記段部に配置されても良い。
【0009】
また、上述の構成において、前記車体は、前記締結具によって前記第2取付部及び前記ステーが共締めされるブラケットを備え、前記ブラケットは、前記ステーを下方から受ける受け部と、前記受け部から延出する延出部とを備え、前記ステーは、前記延出部に係合する係合部を備えても良い。
さらに、上述の構成において、前記エアクリーナーの後方に、前記車体としての燃料タンクが配置され、前記第1取付部が差し込まれる支持部は、前記燃料タンクに設けられても良い。
【発明の効果】
【0010】
鞍乗り型車両は、車体と、車体に支持されるエアクリーナーと、車体に支持される部品とを備え、部品は、エアクリーナーの前方または後方に配置され、部品は、締結具によって車体に取り付けられるステーを介して支持され、エアクリーナーは、車体に対し車両前後方向に差し込まれる第1取付部と、ステーに取り付けられる第2取付部とを備え、第1取付部は、車両前後方向において、部品が配置された側とは反対側に設けられ、第2取付部は、締結具によって、車体に対しステーと共締めされる。
この構成によれば、エアクリーナーを車体に対し着脱する場合には、第1取付部を車体に対し車両前後方向に抜き差しする動きが必要となる。第2取付部及びステーは同じ締結具によって車体に共締めされるため、第2取付部の周辺の締結用部品の数を削減できる。これにより、第2取付部の周辺のスペースを広く確保でき、エアクリーナーを前後に動かすスペースを確保できるため、エアクリーナーのサイズの制約が緩和される。このため、エアクリーナーの容量を大きく確保できる。
【0011】
また、上述の構成において、第1取付部は、エアクリーナーの前端部及び後端部の一方に設けられ、第2取付部は、前端部及び後端部の他方に設けられても良い。
この構成によれば、エアクリーナーを、エアクリーナーの前端部及び後端部を介して支持するため、エアクリーナーを強固に支持できる。
また、上述の構成において、車体は、中空の車体フレームを備え、車体フレームは、車体フレームの板状部によって囲まれる内部空間を備え、部品は、電装部品であり、内部空間に配置されても良い。
この構成によれば、電装部品を車体フレームの内部空間に配置するため、車体フレームを利用して電装部品を水や塵埃から保護できる。
【0012】
さらに、上述の構成において、エアクリーナーは、内部空間に配置され、部品は、エアクリーナーの前方に配置され、車体フレームの上部には、エアクリーナーを内部空間に出し入れ可能な上面開口が設けられ、第2取付部とステーとが接続される接続面では、ステーに対し第2取付部が上方から当接し、接続面は、車両側面視で、前上がりに傾斜する傾斜面であっても良い。
この構成によれば、ステーに対し第2取付部が上方から当接する接続面が前上がりに傾斜する傾斜面であるため、第2取付部をステーに突き当てることで、第2取付部を前後方向及び上下方向に容易に位置決めできる。
また、上述の構成において、エアクリーナーは、内部空間に配置され、部品は、エアクリーナーの前方に配置され、車体フレームは、部品の前方に開口を備え、部品の配管は、開口を通って車体フレームの外側に延びても良い。
この構成によれば、部品の配管が部品の前方の開口を通るため、配管は、部品の後方に位置するエアクリーナーの配置の邪魔にならない。このため、エアクリーナーの容量を大きく確保できる。
【0013】
また、上述の構成において、車体は、中空の車体フレームを備え、車体フレームは、車体フレームの板状部によって囲まれる内部空間を備え、部品及びステーは、内部空間に配置され、部品は、エアクリーナーの前方に配置され、車体フレームは、車体フレームの下面を構成する下壁が内部空間に向けて上方に膨出した段部を、ステーの前方に備え、ステーは、段部に当接していても良い。
この構成によれば、車体フレームの内部空間に部品及びステーを配置する構造であっても、車体フレームの下壁の段部にステーを当接させることで、ステーを容易に位置決めできる。このため、ステーを容易に取り付けできる。
また、上述の構成において、ステーと車体フレームとを締結するステー締結具は、段部に配置されても良い。
この構成によれば、ステー締結具を段部に隠すことができ、鞍乗り型車両の外観性が良い。
【0014】
また、上述の構成において、車体は、締結具によって第2取付部及びステーが共締めされるブラケットを備え、ブラケットは、ステーを下方から受ける受け部と、受け部から延出する延出部とを備え、ステーは、延出部に係合する係合部を備えても良い。
この構成によれば、エアクリーナーを取り外す際に、第2取付部及びステーを共締めする締結具の締結が解除された場合であっても、係合部によってステーをブラケットに位置決めしておくことができる。このため、ステーの位置ずれを防止でき、エアクリーナーの着脱が容易である。
さらに、上述の構成において、エアクリーナーの後方に、車体としての燃料タンクが配置され、第1取付部が差し込まれる支持部は、燃料タンクに設けられても良い。
この構成によれば、燃料タンクを利用して、簡単な構造でエアクリーナーを支持できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態に係る自動二輪車の左側面図である。
図2】車体フレームの左側面図である。
図3】車体フレームを上方から見た平面図である。
図4】車体フレームを左下方側から見た斜視図である。
図5】自動二輪車を車幅方向の中央付近で切断した断面図である。
図6】エアクリーナーの左側面図である。
図7】燃料タンクの後部における車幅方向の中央部の断面を上方側から見た斜視図である。
図8】エアクリーナーの第1取付部の取付状態を示す断面図である。
図9】エアクリーナーの第2取付部の取付状態を示す断面図である。
図10図2のX-X断面図である。
図11】ステーの前端部の取付構造を示す断面図である。
図12】ステーの斜視図である。
図13図5のXIII-XIII断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。なお、説明中、前後左右および上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号FRは車体前方を示し、符号UPは車体上方を示し、符号LHは車体左方を示す。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態に係る自動二輪車1の左側面図である。
自動二輪車1は、車体フレーム10と、車体フレーム10に支持されるエンジン11と、前輪2を操舵自在に支持するフロントフォーク12と、後輪3を支持するスイングアーム13と、乗員用のシート14とを備える車両である。
自動二輪車1は、乗員がシート14に跨るようにして着座する鞍乗り型車両である。シート14は、車体フレーム10の後部の上方に設けられる。
【0018】
図2は、車体フレーム10の左側面図である。
図1及び図2を参照し、車体フレーム10は、車体フレーム10の前端に設けられるヘッドパイプ15と、ヘッドパイプ15から自動二輪車1の後部まで後方に延出するメインフレーム16と、メインフレーム16の後部から下方に延出するピボットフレーム17とを備える。
【0019】
メインフレーム16は、ヘッドパイプ15から後方に延出する中空のメインチューブ18と、メインチューブ18の後端から後方に延びるシートフレーム部19とを備える。
シートフレーム部19は、メインチューブ18よりも上下の長さが大きく、メインチューブ18に対し下方に膨出する。
ピボットフレーム17は、シートフレーム部19の下端から下方に延出する。シート14は、シートフレーム部19に支持される。シート14は、シートフレーム部19の上面を上方から覆う。
【0020】
フロントフォーク12は、ヘッドパイプ15に挿通されるステアリングシャフト(不図示)を介し、左右に操舵自在に支持される。前輪2は、フロントフォーク12の下端部に設けられる車軸2aに支持される。
フロントフォーク12の上端部には、操舵用のハンドル21が取り付けられる。
【0021】
スイングアーム13は、ピボットフレーム17に支持されるピボット軸22に支持される。ピボット軸22は、車幅方向(左右方向)に水平に延びる軸である。スイングアーム13の前端部には、ピボット軸22が挿通される。スイングアーム13は、ピボット軸22を中心に上下に揺動する。
後輪3は、スイングアーム13の後端部に設けられる車軸3aに支持される。
スイングアーム13の後部とシートフレーム部19の後部との間には、左右一対のリアクション23が掛け渡される。
【0022】
エンジン11は、メインフレーム16の下方において、前輪2の後方且つピボットフレーム17の前方に配置される。
エンジン11は、車幅方向に延びるクランク軸30を収納するクランクケース31と、クランクケース31の前面から前方に延出するシリンダー部32とを備える内燃機関である。
エンジン11は、シリンダー部32の軸線32aが車両側面視で略水平に車両前後方向に延びる水平エンジンである。
クランク軸30に接続されるピストン(不図示)は、軸線32aに沿ってシリンダー部32内を前後に往復運動する。
【0023】
クランクケース31の後部には、クランク軸30の回転を減速して出力する変速機(不図示)が収納される。この変速機の出力軸と後輪3とは、駆動チェーン33によって接続される。
エンジン11の排気管35は、シリンダー部32の下面に設けられる排気ポートから後方に延びる。排気管35の後端には、マフラー36が接続される。
【0024】
エンジン11に吸気を供給する吸気装置37は、エアクリーナー38と、シリンダー部32に接続されるスロットル装置39と、エアクリーナー38とスロットル装置39とを接続するコネクティングチューブ40とを備える。
燃料タンク41は、エアクリーナー38の下方に配置される。
自動二輪車1の各部に電力を供給するバッテリー42は、エアクリーナー38に支持される。
【0025】
乗員が足を載せるステップ43は、ステップホルダー44を介してピボットフレーム17に支持される。
部品や物品を収納可能な収納ボックス45は、シートフレーム部19の外側面に取り付けられる。
ヘッドライト46は、ヘッドパイプ15の前方に配置される。フロントフェンダー47は、フロントフォーク12に取り付けられる。
後輪3を上方から覆うリアフェンダー48は、シートフレーム部19に取り付けられる。
【0026】
図3は、車体フレーム10を上方から見た平面図である。図4は、車体フレーム10を左下方側から見た斜視図である。
図2図4を参照し、メインフレーム16は、複数の板材(分割体)を溶接で接合して中空のケース状に形成されている。
詳細には、メインフレーム16は、メインフレーム16の左側の側面部を構成する左側部材51と、メインフレーム16の右側の側面部を構成する右側部材52とを備える。
左側部材51及び右側部材52は、上下方向及び前後方向に延びる板材であり、全体的に見ると、板厚方向を車幅方向に指向させて配置される。左側部材51及び右側部材52は、上下方向よりも前後方向に長い板材であり、メインチューブ18及びシートフレーム部19を構成する。
左側部材51と右側部材52とは、略左右対称に設けられる。
【0027】
また、メインフレーム16は、メインフレーム16の下面部を構成する下側部材53と、メインフレーム16の後面部を構成する後側部材54とを備える。下側部材53は、板厚方向を上下方向に指向させて配置される板材である。
詳細には、下側部材53は、メインフレーム16のメインチューブ18の下面部を構成する第1の下側部材55と、メインフレーム16のシートフレーム部19の下面部を構成する第2の下側部材56とを備える。
【0028】
メインフレーム16のメインチューブ18は、左側部材51の上端部及び右側部材52の上端部を互いに接合させるとともに、左側部材51の下端部と右側部材52の下端部とを第1の下側部材55によって車幅方向に接続することで、前後に延びるチューブ状に形成される。
メインチューブ18の前端の開口は、ヘッドパイプ15の後面によって閉じられる。
【0029】
メインフレーム16のシートフレーム部19は、左側部材51の後部の下縁部と右側部材52の後部の下縁部とを第2の下側部材56によって車幅方向に接続するとともに、左側部材51の後端部と右側部材52の後端部とを後側部材54によって車幅方向に接続することで、中空のケース状に形成される。
車両側面視で、左側部材51の後部の下縁部、右側部材52の後部の下縁部、及び第2の下側部材56は、後上がりに傾斜している。
【0030】
シートフレーム部19の上面の大部分には、上方に開口する上面開口57が設けられる。上面開口57は、平面視では、車幅方向よりも車両前後方向に長く延びる。上面開口57は、左側部材51の上部及び右側部材52の上部を切り欠くようにして設けられる。
シートフレーム部19の内側には、左側部材51、右側部材52、第2の下側部材56、及び後側部材54によって囲まれる後側内部空間58が形成される。後側内部空間58は、上面開口57から上方に露出する。
左側部材51及び右側部材52は、後側内部空間58を車幅方向に区画する側壁である。第2の下側部材56は、後側内部空間58を下方から覆う下壁である。
【0031】
後側部材54は、シートフレーム部19の後面を構成する後壁部54aと、シートフレーム部19の後端部の上面を構成する上壁部54bとを一体に備える板材である。
後壁部54aは、左側部材51の後縁部と右側部材52の後縁部とを車幅方向に接続する。上壁部54bは、左側部材51の後端部の上縁と右側部材52の後端部の上縁とを車幅方向に接続する。上面開口57は、上壁部54bの前方に位置する。
【0032】
シートフレーム部19の前端部には、メインチューブ18の後端部に対し下方に延出するエンジンハンガー部60が設けられる。エンジンハンガー部60は、左側部材51の前端部の下部及び右側部材52の前端部の下部にそれぞれ設けられる。
クランクケース31(図1)の上部は、エンジンハンガー部60に締結される。
【0033】
第1の下側部材55は、メインチューブ18の下面部を構成する下壁部61と、下壁部61の後端から下方に延出する前壁部62とを一体に備える。
前壁部62は、車両前方側に面する壁部であり、左右のエンジンハンガー部60の前縁を車幅方向に互いに接続する。
前壁部62には、前壁部62を車両前後方向に貫通する外気取り込み口63が設けられる。外気取り込み口63は、前壁部62を、前壁部62の下縁から上方に切り欠くようにして設けられる開口である。外気取り込み口63は、車両前方に向けて開口する。
【0034】
シートフレーム部19の下面において、車両前後方向で前壁部62と第2の下側部材56との間の部分は、下方に開放する開放部64である。開放部64は、後側内部空間58を下方に露出させる。
【0035】
ピボットフレーム17は、第2の下側部材56の前方に位置する。ピボットフレーム17は、左右一対の側壁部17aと、側壁部17aの後縁を車幅方向に接続する壁部17bとを備える。
ピボットフレーム17は、左側の側壁部17aの上縁17dが、シートフレーム部19における左側部材51の下縁に接合され、右側の側壁部17aの上縁が、シートフレーム部19における右側部材52の下縁に接合される。
壁部17bは、車両側面視で、後上がりに傾斜している。シートフレーム部19の下面を構成する第2の下側部材56は、壁部17bの上端に連続して後上がりに上方に延びる。
平面視では、壁部17bは、開放部64の後部を下方から覆う。
【0036】
図5は、自動二輪車1を車幅方向の中央付近で切断した断面図である。
図1図5を参照し、エアクリーナー38、燃料タンク41、及びバッテリー42は、シートフレーム部19内の後側内部空間58に収納され、上面開口57の下方に位置する。
シート14は、シート14の前端部のヒンジ部14aを中心に上下に回動(開閉)可能に設けられる。
自動二輪車1は、上面開口57の略全体を覆う上面カバー59を、シート14の下方に備える。上面カバー59は、上面開口57に着脱自在である。
シート14が開かれて、上面カバー59が取り外されると、エアクリーナー38、燃料タンク41、及びバッテリー42は、上面開口57から上方に露出する。
【0037】
図1図5を参照し、燃料タンク41は、車両前後方向に長い中空の容器である。燃料タンク41は、後側内部空間58において、ピボットフレーム17の上方に配置され、シートフレーム部19に支持される。
燃料タンク41は、車両側面視において、エンジン11のクランクケース31の後上方で、後上がりの姿勢で配置される。このため、車両側面視で、燃料タンク41の前端部41aは、燃料タンク41の後端部41bよりも下方に位置する。また、燃料タンク41の燃料は、燃料が減少すると、エンジン11に近いとともに位置が低い前端部41a側に集まる。このため、自動二輪車1のマスの集中化を図ることができるとともに、自動二輪車の重心を低くできる。
【0038】
燃料タンク41は、後側内部空間58内において、燃料タンク41の下面が第2の下側部材56に沿うように、後上がりに傾斜して配置される。このように、燃料タンク41をシートフレーム部19の下面である第2の下側部材56に沿って配置することで、燃料タンク41を後側内部空間58にコンパクトに配置できる。第2の下側部材56は、後輪3を上方から覆う。第2の下側部材56は、後輪3の前部の上面に沿って後上がりに傾斜している。
【0039】
燃料タンク41の上面部41cは、車両側面視で、後上がりに傾斜している。
上面部41cの後部には、給油口41dが設けられる。給油口41dは、上面部41cから上方に突出する筒状部である。給油口41dの上端の開口は、キャップ41eで塞がれる。
上面部41cの前部には、燃料ポンプ65が取り付けられる。燃料ポンプ65は、燃料タンク41内の燃料を、燃料ホース66を介してシリンダー部32に供給する。
【0040】
図6は、エアクリーナー38の左側面図である。図6では、エアクリーナー38の一部は断面が図示される。
図5及び図6を参照し、エアクリーナー38は、車両側面視で前後に長い箱状である。
エアクリーナー38は、燃料タンク41に隣接して、燃料タンク41の前上方に配置される。
【0041】
エアクリーナー38は、車両側面視で、後上がりの姿勢で配置される。このため、車両側面視で、エアクリーナー38の前端部38aは、エアクリーナー38の後端部38bよりも下方に位置する。
詳細には、エアクリーナー38は、車両側面視で、エアクリーナー38の下面部38cが燃料タンク41の上面部41cに沿うように、後上がりの姿勢で配置される。
【0042】
エアクリーナー38は、ケース本体部70と、ケース本体部70の後部の上面に取り付けられる蓋部71とを備える。
ケース本体部70は、車両側面視で後上がりに配置される箱状である。ケース本体部70の上面の後部には、上方に開口するケース開口部70aが設けられる。
蓋部71は、蓋部71の下面の略全体が開口する箱状である。蓋部71は、ケース本体部70の上面の後部に取り付けられて、ケース開口部70aを覆う。
【0043】
エアクリーナー38の内側には、外気(吸気)を浄化する板状のフィルター72が設けられる。フィルター72は、蓋部71の下縁部とケース開口部70aの周縁部との間に挟持され、ケース開口部70aを塞ぐ。
【0044】
エアクリーナー38の後端部には、外気を吸い込む吸気ダクト73が接続される。吸気ダクト73は、蓋部71の後面部から後方に延出する。吸気ダクト73の後端の吸気口73aは、後方に開口する。
【0045】
エアクリーナー38の内部は、フィルター72の上流側のダーティーサイド38dと、フィルター72の下流側のクリーンサイド38eとに区画される。
ダーティーサイド38dは、フィルター72の上方で蓋部71内の空間である。吸気ダクト73は、ダーティーサイド38dに連通する。
クリーンサイド38eは、フィルター72の下方でケース本体部70内の空間である。
【0046】
ケース本体部70の前面から前方に延びるコネクティングチューブ40は、後側内部空間58から車体フレーム10の外気取り込み口63を通って前方に延び、スロットル装置39に接続される。
外気は、吸気口73aから吸気ダクト73に吸い込まれ、ダーティーサイド38dに流入する。ダーティーサイド38dの吸気(外気)は、フィルター72を通過して浄化された後、クリーンサイド38eに流れ、コネクティングチューブ40を通ってスロットル装置39に流れる。
【0047】
エアクリーナー38の前部の上面部には、バッテリー42を収納するバッテリー収納部74が設けられる。バッテリー収納部74は、エアクリーナー38の後部の上面部に対しエアクリーナー38の前部の上面部が下方に窪んだ凹部である。
詳細には、エアクリーナー38の後部の上面部は、蓋部71の上面部であり、エアクリーナー38の前部の上面部は、ケース本体部70の上面部である。
【0048】
箱型のバッテリー42は、バッテリー収納部74の底面74aに載置され、バッテリー収納部74に支持される。底面74aは、後上がりに傾斜している。バッテリー42は、車両側面視で、燃料タンク41及びエアクリーナー38に対し、前上方に配置される。
バッテリー収納部74は、バッテリー42の前面に当接する前壁部74bと、バッテリー42を左右の側方からそれぞれ覆う左右一対の側壁部74cとを備える。
バッテリー42がバッテリー収納部74に収納された状態では、バッテリー42の上端と蓋部71の上面部とは略同一の高さ位置にある。
【0049】
図5を参照し、中空のメインチューブ18の内側の空間は、前側内部空間75である。前側内部空間75は、メインチューブ18の部分において左側部材51、右側部材52、及び第1の下側部材55によって囲まれる空間であり、車両前後方向に長く延びる。前側内部空間75は、後側内部空間58の前方に位置する。前側内部空間75と後側内部空間58とは連通している。
前側内部空間75及び後側内部空間58は、左側部材51、右側部材52、及び下側部材53によって囲まれる内部空間85である。左側部材51、右側部材52、及び下側部材53は、車体フレーム10を構成する板状部である。
【0050】
前側内部空間75内には、ABS(Anti-lock Brake System)モジュレーター25(車体に支持される部品)が配置される。ABSモジュレーター25は、前輪2及び後輪3のブレーキ装置(不図示)の液圧を制御することで、前輪2及び後輪3のロックを防止する制動力調整装置である。ABSモジュレーター25は、モーターによって駆動されて液圧を調整するポンプ、このポンプに接続される液圧回路部、この液圧回路部を切り替えるバルブ、及び上記モーターを制御する電子制御部等を備える電装部品である。
【0051】
ABSモジュレーター25は、前側内部空間75内に配置されるステー76を介して、車体としての車体フレーム10に支持される。
ステー76は、前側内部空間75内において、メインチューブ18の第1の下側部材55の上面に固定される。
ABSモジュレーター25及びステー76は、エアクリーナー38及びバッテリー42に対し前方に配置される。
【0052】
エアクリーナー38は、車体に対し車両前後方向に差し込まれる第1取付部81と、ステー76を介して車体に取り付けられる第2取付部82とを備える。エアクリーナー38は、第1取付部81及び第2取付部82を介して車体に支持される。
【0053】
図7は、燃料タンク41の後部における車幅方向の中央部の断面を上方側から見た斜視図である。図8は、エアクリーナー38の第1取付部81の取付状態を示す断面図である。
図5図7及び図8を参照し、燃料タンク41の後部には、上面部41cから上方に突出する支持部67が設けられる。
支持部67は、上面部41cから後上方に延出する支持片67aと、支持片67aに取り付けられる係合部材67bとを備える。
【0054】
支持片67aは、車両側面視でやや後傾して設けられる板状部材である。係合部材67bは、支持片67aに設けられた孔に係合する筒状部材である。
係合部材67bは、エアクリーナー38の第1取付部81が差し込まれる係合孔67cを備える。係合孔67cは、車両前後方向に延びる孔であり、前方に開口する。係合孔67cは、車両側面視では、後下がりに傾斜している。係合部材67bは、エラストマー等の弾性材料によって構成される。
支持部67は、上面部41c上において、車両前後方向において同一の位置で、左右に並んで一対(複数)設けられる。
支持部67は、給油口41dの前方且つ燃料ポンプ65の後方に配置される。
【0055】
第1取付部81は、エアクリーナー38の後端部38bに設けられる。
第1取付部81は、ケース本体部70の後面部から後方に突出する軸状の突起であり、車両前後方向に延びる。第1取付部81は、左右に並んで一対設けられる。
第1取付部81は、蓋部71及び吸気ダクト73の下方に位置する。第1取付部81は、車両側面視では、後下がりに傾斜している。
【0056】
エアクリーナー38は、第1取付部81が燃料タンク41の支持部67の係合孔67cに前方から差し込まれ、第1取付部81が係合孔67cに嵌合することで、支持部67に支持される。すなわち、エアクリーナー38は、第1取付部81を介し燃料タンク41に支持される。燃料タンク41は、自動二輪車1の車体である。
車両側面視で、係合孔67cの傾斜角度と第1取付部81の傾斜角度とは、略同一である。このため、係合孔67cに対し第1取付部81を着脱し易い。また、係合孔67cと第1取付部81との接触面積が大きくなるため、第1取付部81を安定して支持できる。
第1取付部81が係合孔67cに差し込まれると、係合部材67bの前面はケース本体部70の後面部を受ける。この後面部の傾斜角度と係合部材67bの前面の傾斜角度とは車両側面視で略同一であるため、支持部67によってエアクリーナー38を安定して支持できる。
【0057】
図9は、エアクリーナー38の第2取付部82の取付状態を示す断面図である。
第2取付部82は、エアクリーナー38の前端部38aに設けられる。
エアクリーナー38は、バッテリー収納部74の前壁部74bの一部が前方に膨出した膨出部38fを左右に一対(複数)備える。
第2取付部82は、各膨出部38fの前面の下部によって構成される板状部である。第2取付部82は、車両側面視で、前上がりに傾斜する傾斜面である。第2取付部82は、傾斜面であるため、膨出部38fの下面部であるとも言える。
各第2取付部82は、第2取付部82を貫通する取付孔82aを備える。
【0058】
膨出部38fの内側は空洞であり、前壁部74bの後面と第2取付部82との間には、空間82bが形成される。
第2取付部82は、取付孔82aに後方から挿通される締結具83によって、車体に締結される。締結具83は、例えばボルトである。締結具83は、取付孔82aに対応して左右一対で設けられる。
締結具83が第2取付部82に直交するため、締結具83の軸線は、車両側面視で後上がりである。締結具83の頭部は、空間82b内に位置する。
【0059】
第2取付部82は、車両前後方向において、ABSモジュレーター25が配置された側であるエアクリーナー38の前方側に設けられる。
第1取付部81は、エアクリーナー38の前方側の反対側であって、エアクリーナー38の後方側に設けられる。
【0060】
図10は、図2のX-X断面図であり、メインチューブ18の断面を示す。
図9及び図10を参照し、第1の下側部材55は、メインチューブ18の下面を構成する下壁である。第1の下側部材55は、車両側面視で、前上がりに傾斜している。第1の下側部材55は、前側内部空間75を下方から区画する。
第1の下側部材55は、左右方向の両端部55aよりも車幅方向の中央部55bが上方に位置するように上方に凸に湾曲している。このため、左側部材51及び右側部材52に接続される両端部55aよりも中央部55bは上方に位置し、車両側面視では、中央部55bはメインチューブ18の側面部によって隠される。
【0061】
メインチューブ18は、第2取付部82及びステー76が締結されるブラケット87を備える。
ブラケット87は、前側内部空間75内において、第1の下側部材55の上面の後部に設けられる。
ブラケット87は、第1の下側部材55の上方で車幅方向に延びる板状の受け部87aと、受け部87aの左右の両端部から下方に延びて第1の下側部材55の上面に接続される一対の脚部87bとを備える。脚部87bは、第1の下側部材55に溶接されている。
【0062】
受け部87aは、車両側面視では、前上がりに傾斜する板状部である。受け部87aは、中央部55bの真上に位置する。
受け部87aは、受け部87aを貫通する孔87cを左右一対備える。受け部87aの下面には、各孔87cに下方から重なるナット87dがそれぞれ溶接されている。
また、ブラケット87は、受け部87aの左右の中央部から受け部87aに沿って後下方に延出する板状の延出部87eを備える。
【0063】
図11は、ステー76の前端部の取付構造を示す断面図である。
図10及び図11を参照し、第1の下側部材55の前部には、第1の下側部材55の一部が前側内部空間75内に向けて上方に膨出した段部88が設けられる。段部88は、中央部55bに位置する。
段部88は、図10の平面視では、前後に長い長方形状の段部である。
段部88の後面部88aは、車両側面視では、前上がりに傾斜した傾斜面である。
後面部88aは、第1の下側部材55において後面部88aの後端に連続して後方に延びる部分よりも傾斜が大きな傾斜面である。
【0064】
後面部88aには、後面部88aを貫通する孔88bが設けられる。
段部88の上面部には、段部88を貫通する開口88cが設けられる。開口88cは、後面部88aの前方に位置する。開口88cは、前側内部空間75をメインチューブ18の下方の外部に連通させる。
【0065】
図12は、ステー76の斜視図である。図13は、図5のXIII-XIII断面図である。図13では、エアクリーナー38及びバッテリー42は不図示である。
図9及び図11図13を参照し、ステー76は、第1の下側部材55の上面に沿って車両前後方向に延びる板状部材である。
ステー76は、略水平に前後に延びる水平部89と、水平部89の後端から後下方に延出する後側取付部90と、後側取付部90の後端から下方に延出する係合部91とを備える。
また、ステー76は、水平部89の前端から前上がりに延びる傾斜部92と、傾斜部92の前端から前上がりに延びる前側取付部93とを備える。
さらに、ステー76は、傾斜部92の一方の側縁から上方に延出する第1支持部94と、傾斜部92の他方の側縁から上方に延出する第2支持部95とを備える。
【0066】
水平部89は、第1の下側部材55の上面から上方に離間している。水平部89の後部には、上方に延出する支柱89aが設けられる。
後側取付部90は、車両側面視では、前上がりに傾斜する傾斜面である。後側取付部90は、後側取付部90を貫通する孔90aを左右一対備える。
後側取付部90は、ブラケット87の受け部87aと平行な傾斜面であり、受け部87aに上方から重なる。
【0067】
係合部91は、後側取付部90の後端から下方に延出する左右一対の爪部91aを備える。係合部91は、ブラケット87の延出部87eに係合する。詳細には、ステー76は、左右の爪部91aの間に延出部87eが係合することで左右方向の移動を規制される。
傾斜部92は、段部88の後方に位置する。傾斜部92は、第1の下側部材55の上面における段部88の後方の部分に上方から当接する。
【0068】
第1支持部94の上面には、上方に延出する支柱94aが設けられる。支柱94aには、筒状の支持部材96aが嵌合する。支持部材96aは、支柱94aに締結される。支持部材96aは、エラストマー等によって構成される弾性部材である。
水平部89の支柱89aには、支持部材96aと同一部品である支持部材96b(図9)が取り付けられる。
第2支持部95の上面には、支持部材97が取り付けられる。支持部材97は、エラストマー等によって構成される弾性部材である。
支持部材97及び支持部材96a,96bには、後述のように電装部品(ABSモジュレーター25)が取り付けられる。
【0069】
前側取付部93は、傾斜部92よりも大きな傾斜で前上がりに延びる。前側取付部93は、段部88の後面部88aと平行な傾斜面であり、後面部88aに上方から当接する。
前側取付部93は、前側取付部93を貫通する孔93a(図11)を備える。前側取付部93の上面には、孔93aに上方から重なるナット93bが溶接されている。
ステー76の前側取付部93は、後面部88aの孔88b及び孔93aに下方から挿通されてナット93bに締結されるステー締結具98によって、後面部88aに固定される。ステー締結具98は、例えばボルトである。
【0070】
ABSモジュレーター25は、略矩形の箱状の本体部25aと、本体部25aの下部に取り付けられる台座部25bと、本体部25aの上部から前下方に延出する複数の配管25cとを備える。
ABSモジュレーター25は、板状の台座部25bが支持部材96aの外周部及び支持部材96bの外周部に係合することで、ステー76に弾性支持される。
また、ABSモジュレーター25は、台座部25bに下方から係合する支持部材97を介し、ステー76に弾性支持される。
【0071】
配管25cは、本体部25aから開口88cに向けて前下方に延び、開口88cを通ってメインチューブ18の下方の外側に延出する。メインチューブ18の外に出た配管25cは、前輪2のブレーキ装置(不図示)に接続される。
台座部25bは、配管25cを支持する配管支持部25d(図11)を、車両側面視で開口88cの真上に備える。
【0072】
図9図10図12、及び図13を参照し、ブラケット87の受け部87aには、ステー76の後側取付部90が上方から重ねて配置される。さらに、エアクリーナー38の第2取付部82は、後側取付部90に上方から重ねて配置される。
締結具83は、第2取付部82の取付孔82a、後側取付部90の孔90a、及びブラケット87の孔87cに後上方から挿通され、ブラケット87のナット87dに締結される。
すなわち、第2取付部82は、締結具83によって、ブラケット87に対しステー76と共締めされる。
このため、第2取付部82の周辺部の締結用部品(締結具)の数を削減でき、第2取付部82の周囲にスペースを大きく確保できる。
例えば、ステー76を車体に締結する締結具と、第2取付部82を車体に締結する締結具とを個別に設ける場合、締結具の数が多くなり、第2取付部82の周囲に広いスペースを確保することが難しくなる。
【0073】
エアクリーナー38を車体から取り外す場合、図5を参照し、まず、シート14が開かれ、上面カバー59が取り外される。これにより、エアクリーナー38及びバッテリー42は、シートフレーム部19の上面開口57から上方に露出する。
次に、バッテリー42がバッテリー収納部74から取り外される。これにより、作業者等は、上面開口57から締結具83にアクセス可能になる。
続いて、締結具83の締結が解除される。これにより、エアクリーナー38が車両前後方向に移動可能となる。この状態で、エアクリーナー38が前方に移動させられると、第1取付部81と支持部67との係合が解除され、エアクリーナー38を車体から取り外すことが可能となる。なお、エアクリーナー38を取り外す際には、コネクティングチューブ40とスロットル装置39との接続も解除される。
【0074】
自動二輪車1では、締結具83によって第2取付部82及びステー76が車体であるブラケット87に共締めされている。これにより、第2取付部82の周囲のスペースを大きく確保できるため、エアクリーナー38を車両前後方向に前後に動かすスペースを確保できる。このため、エアクリーナー38のサイズの制約が緩和され、エアクリーナー38の容量を大きく確保できる。
【0075】
図13を参照し、ステー76は、係合部91がブラケット87の延出部87eに車幅方向外側から係合している。これにより、締結具83の締結が解除された状態であっても、ステー76は、係合部91によって、ブラケット87に対し左右に位置決めされる。このため、エアクリーナー38を車体に取り付ける際に、ステー76がブラケット87に対し位置ずれすることが抑制され、エアクリーナー38を車体に取り付け易い。
【0076】
エアクリーナー38を車体に取り付ける際には、第1取付部81が支持部67に差し込まれるともに、エアクリーナー38は、第1取付部81を支点として下方に回動されて下ろされる。下方に下ろされたエアクリーナー38は、第2取付部82が、ステー76の後側取付部90に上方から当接する。
第2取付部82と後側取付部90とを当接させて互いに接続する接続面99は、車両側面視で前上がりに傾斜する傾斜面である。このため、第2取付部82は、接続面99に沿って後下方に移動し、第2取付部82の位置は自然に決まる。このため、第2取付部82を容易に位置決めでき、エアクリーナー38の取り付けが容易である。
【0077】
ステー76の前側取付部93をメインチューブ18の第1の下側部材55に取り付ける際には、前側取付部93は、段部88の後面部88aに後方から突き当てられ、後面部88aによって前後に位置決めされる。このため、前側取付部93が前側内部空間75の奥まった位置に固定される場合であっても、前側取付部93を容易に固定できる。
【0078】
以上説明したように、本発明を適用した実施の形態によれば、自動二輪車1は、車体としての車体フレーム10及び燃料タンク41と、車体に支持されるエアクリーナー38と、車体フレーム10に支持される部品であるABSモジュレーター25とを備え、ABSモジュレーター25は、エアクリーナー38の前方に配置され、ABSモジュレーター25は、締結具83によって車体フレーム10に取り付けられるステー76を介して支持され、エアクリーナー38は、燃料タンク41に対し車両前後方向に差し込まれる第1取付部81と、ステー76に取り付けられる第2取付部82とを備え、第1取付部81は、車両前後方向において、ABSモジュレーター25が配置された側とは反対側に設けられ、第2取付部82は、締結具83によって、車体フレーム10に対しステー76と共締めされる。
この構成によれば、エアクリーナー38を車体に対し着脱する場合には、第1取付部81を燃料タンク41に対し車両前後方向に抜き差しする動きが必要となる。第2取付部82及びステー76は同じ締結具83によって車体フレーム10に共締めされるため、第2取付部82の周辺の締結用部品の数を削減できる。これにより、第2取付部82の周辺のスペースを広く確保でき、エアクリーナー38を前後に動かすスペースを確保できるため、エアクリーナー38のサイズの制約が緩和される。このため、エアクリーナー38の容量を大きく確保できる。
【0079】
また、第1取付部81は、エアクリーナー38の前端部38a及び後端部38bの一方である後端部38bに設けられ、第2取付部82は、前端部38a及び後端部38bの他方である前端部38aに設けられる。
この構成によれば、エアクリーナー38を、エアクリーナー38の前端部38a及び後端部38bを介して支持するため、エアクリーナー38を強固に支持できる。
また、車体は、中空の車体フレーム10を備え、車体フレーム10は、車体フレームの板状部によって囲まれる内部空間85を備え、ABSモジュレーター25は、電装部品であり、内部空間85に配置される。
この構成によれば、ABSモジュレーター25を車体フレーム10の内部空間85に配置するため、車体フレーム10を利用して電装部品であるABSモジュレーター25を水や塵埃から保護できる。
【0080】
さらに、エアクリーナー38は、内部空間85に配置され、ABSモジュレーター25は、エアクリーナー38の前方に配置され、車体フレーム10の上部には、エアクリーナー38を内部空間85に出し入れ可能な上面開口57が設けられ、第2取付部82とステー76とが接続される接続面99では、ステー76に対し第2取付部82が上方から当接し、接続面99は、車両側面視で、前上がりに傾斜する傾斜面である。
この構成によれば、ステー76に対し第2取付部82が上方から当接する接続面99が前上がりに傾斜する傾斜面であるため、第2取付部82をステー76に突き当てることで、第2取付部82を前後方向及び上下方向に容易に位置決めできる。
また、エアクリーナー38は、内部空間85に配置され、ABSモジュレーター25は、エアクリーナー38の前方に配置され、車体フレーム10は、ABSモジュレーター25の前方に開口88cを備え、ABSモジュレーター25の配管25cは、開口88cを通って車体フレーム10の外側に延びる。
この構成によれば、ABSモジュレーター25の配管25cがABSモジュレーター25の前方の開口88cを通るため、配管25cは、ABSモジュレーター25の後方に位置するエアクリーナー38の配置の邪魔にならない。このため、エアクリーナー38の容量を大きく確保できる。
【0081】
また、車体は、中空の車体フレーム10を備え、車体フレーム10は、車体フレーム10の板状部によって囲まれる内部空間85を備え、ABSモジュレーター25及びステー76は、内部空間85に配置され、ABSモジュレーター25は、エアクリーナー38の前方に配置され、車体フレーム10は、車体フレーム10の下面を構成する第1の下側部材55が内部空間85に向けて上方に膨出した段部88を、ステー76の前方に備え、ステー76は、段部88に当接している。
この構成によれば、車体フレーム10の内部空間85に第1の下側部材55及びステー76を配置する構造であっても、車体フレーム10の下壁である第1の下側部材55の段部88にステー76を当接させることで、ステー76を容易に位置決めできる。このため、ステー76を容易に取り付けできる。
また、ステー76と車体フレーム10とを締結するステー締結具98は、段部88に配置される。
この構成によれば、ステー締結具98を段部88内に隠すことができ、自動二輪車1の外観性が良い。
【0082】
また、車体フレーム10は、締結具83によって第2取付部82及びステー76が共締めされるブラケット87を備え、ブラケット87は、ステー76を下方から受ける受け部87aと、受け部87aから延出する延出部87eとを備え、ステー76は、延出部87eに係合する係合部91を備える。
この構成によれば、エアクリーナー38を取り外す際に、第2取付部82及びステー76を共締めする締結具83の締結が解除された場合であっても、係合部91によってステー76をブラケット87に位置決めしておくことができる。このため、ステー76の位置ずれを防止でき、エアクリーナー38の着脱が容易である。
さらに、エアクリーナー38の後方に、車体としての燃料タンク41が配置され、第1取付部81が差し込まれる支持部67は、燃料タンク41に設けられる。
この構成によれば、燃料タンク41を利用して、簡単な構造でエアクリーナー38を支持できる。
【0083】
なお、上記実施の形態は本発明を適用した一態様を示すものであって、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
上記実施の形態では、部品としてのABSモジュレーター25は、エアクリーナー38の前方に配置され、第1取付部81は、車両前後方向において、ABSモジュレーター25が配置された側とは反対側である後方側に設けられるものとして説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、部品としてのABSモジュレーター25が、エアクリーナー38の後方に配置され、第1取付部81は、車両前後方向において、ABSモジュレーター25が配置された側とは反対側である前方側に設けられても良い。この構成では、第2取付部82及びステー76は、エアクリーナー38の後方側に設けられ、締結具83によって車体に共締めされる。
また、上記実施の形態では、ステー76を介して車体に支持される部品として、電装部品を例に挙げて説明したが、これに限らず、電装部品以外の部品がステー76を介して車体に支持されても良い。また、電装部品として、ABSモジュレーター25を例に挙げて説明したが、これに限らず、電装部品は、例えば、制御ユニット、センサー類、バッテリー、及びヒューズ等であっても良い。
また、上記実施の形態では、自動二輪車1を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明は、前輪または後輪を2つ備える3輪の鞍乗り型車両及び4輪以上を備える鞍乗り型車両に適用可能である。
【符号の説明】
【0084】
1 自動二輪車(鞍乗り型車両)
10 車体フレーム(車体)
25 ABSモジュレーター(車体に支持される部品、電装部品)
25c 配管
38 エアクリーナー
38a 前端部
38b 後端部
41 燃料タンク(車体)
55 第1の下側部材(下壁)
57 上面開口
67 支持部
76 ステー
81 第1取付部
82 第2取付部
83 締結具
85 内部空間
87 ブラケット
87a 受け部
87e 延出部
88 段部
88c 開口
91 係合部
98 ステー締結具
99 接続面
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