(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154839
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 11/46 20180101AFI20221005BHJP
F24F 11/63 20180101ALI20221005BHJP
F24F 110/12 20180101ALN20221005BHJP
F24F 120/10 20180101ALN20221005BHJP
F24F 130/10 20180101ALN20221005BHJP
【FI】
F24F11/46
F24F11/63
F24F110:12
F24F120:10
F24F130:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021058075
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】岡山 智
(72)【発明者】
【氏名】碓井 政光
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260BA41
3L260CA03
3L260CA32
3L260CB63
3L260DA04
3L260EA26
3L260FA02
3L260FA03
3L260GA02
3L260HA06
(57)【要約】
【課題】 省エネ性を向上しながら、快適性の低下を抑制できる空気調和機を提供する。
【解決手段】 リモコンから送信されるリモコン信号から、空調対象空間に人が不在となる時間である不在予定時間を取得すると、空気調和機のモードとして省エネモードを選択する。そして、省エネモードが選択されたときには、取得した不在予定時間の長さに応じて省エネモードで行われる空気調和機の制御の内容を設定する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度調整した空気を空調対象空間に供給する空気調和機であって、
少なくとも省エネモードを含む複数のモードのうちから1つのモードを選択し、選択したモードに応じて空気調和機を制御する空調制御部と、
前記空調対象空間に人が不在となる不在予定時間を取得する時間取得部と、を備え、
前記空調制御部は、省エネモードが選択されたときには、取得した不在予定時間の長さに応じて該省エネモードで行われる空気調和機の制御の内容を設定する
空気調和機。
【請求項2】
前記空調制御部は、省エネモードが選択されたときには、ユーザによって設定された設定温度を不在予定時間の長さに応じた所定温度だけ省エネルギ側に修正して、前記空調対象空間の温度が修正後の設定温度になるように空気調和機を制御する
請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記空調制御部は、前記所定温度を、前記空調対象空間を有する建物の断熱性能の指標値、外気温、及び天気の少なくとも何れかに応じて補正する
請求項2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記空調制御部は、選択したモードが省エネモードであるときには、前記時間取得部が取得した不在予定時間が、複数の不在予定時間の候補のうちの、最も長い不在予定時間である場合には、空気調和機の運転を停止させる
請求項1から3の何れか1項に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リモコンの省エネボタンが操作されると、設定温度を省エネルギ側の温度(冷房時には高め、暖房時には低めの温度。言い換えると、室外の温度に近い側)に修正して、空調対象空間の温度が修正後の設定温度になるように運転する空気調和機が提案されている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に記載の空気調和機によれば、例えば、空調対象空間から出るときに、ユーザに省エネボタンを操作させることで、不在時の消費電力を低減でき、省エネ性が向上される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の空気調和機では、例えば、ユーザが空調対象空間に戻ったときには、空調対象空間の温度が設定温度よりも省エネルギ側に修正された温度となっているため、空調対象空間の快適性が損なわれるという問題があった。
本発明は、上記のような課題に着目したもので、省エネ性を向上しながら、快適性の低下を抑制できる空気調和機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、(a)温度調整した空気を空調対象空間に供給する空気調和機であって、(b)少なくとも省エネモードを含む複数のモードのうちから1つのモードを選択し、選択したモードに応じて空気調和機を制御する空調制御部と、(c)空調対象空間に人が不在となる不在予定時間を取得する時間取得部と、を備え、(d)空調制御部は、省エネモードが選択されたときには、取得した不在予定時間の長さに応じて省エネモードで行われる空気調和機の制御の内容を設定する空気調和機であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一態様によれば、例えば、不在予定時間が長い場合には、短い場合よりも、空調対象空間の温度を設定温度よりも省エネルギ側に変更でき、省エネ性を向上できる。また、例えば、不在予定時間が短い場合には、長い場合よりも、空調対象空間の温度を設定温度に近い温度に維持でき、空調対象空間の快適性を向上できる。それゆえ、省エネ性を向上しながら、快適性の低下を抑制できる空気調和機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に係る空気調和機の装置構成を示す概略構成図である。
【
図2】室外機、室内機及びリモコンの内部構成を示すブロック図である。
【
図3】モード選択処理を示すフローチャートである。
【
図4】変形例に係るモード選択処理を示すフローチャートである。
【
図5】変形例に係るモード選択処理を示すフローチャートである。
【
図6】変形例に係るモード選択処理を示すフローチャートである。
【
図7】変形例に係るモード選択処理を示すフローチャートである。
【
図8】変形例に係るモード選択処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図面は模式的なものであって、現実のものとは異なる場合がある。また、以下の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであり、構成を下記のものに特定するものでない。すなわち、本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0009】
<空気調和機の構成>
図1に示すように、空気調和機1は、戸外に設置された室外機2と、空調対象空間3の壁面に取り付けられた室内機4と、を備える。室内機4と室外機2とは、冷媒回路を形成し、この冷媒回路を循環する冷媒と空調対象空間3の空気との間で熱エネルギーの交換を行うことで、温度調整した空気(冷気、暖気)を空調対象空間3に供給する。また、空気調和機1は、リモコン5による無線通信を介して、ユーザによって遠隔操作される。
【0010】
室外機2は、圧縮機6と、外気温センサ7と、を備える。
圧縮機6は、冷媒回路を循環する冷媒を圧縮する。
外気温センサ7は、戸外の気温(以下、「外気温To」とも呼ぶ)を計測する。外気温センサ7の検出結果は、室内機制御部12に入力される。
室内機4は、
図2に示すように、室内ファン8と、人検知センサ9と、リモコン信号受信部10と、通信部11と、室内機制御部12と、を備える。
室内ファン8は、冷媒回路で温度調整された空気を空調対象空間3に送風する。
人検知センサ9は、空調対象空間3に人が存在するかを検出する。例えば、赤外線センサを採用できる。人検知センサ9の検出結果は、室内機制御部12に入力される。
リモコン信号受信部10は、リモコン5から送信されたリモコン信号(例えば、近赤外線)を受信する。受信したリモコン信号は、室内機制御部12に入力される。
通信部11は、無線や有線により室内機制御部12を外部ネットワークに接続する。
【0011】
室内機制御部12は、記憶装置13と、プロセッサ14とを備える。
記憶装置13は、ROM(Read Disc Drive)、RAM(Random Access Memory)等で構成される二次記憶装置である。記憶装置13は、プロセッサ14で実行されるプログラムを記憶している。また、記憶装置13は、プログラムの実行に必要なデータを記憶する。
プロセッサ14は、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等で構成されるプロセッサである。プロセッサ14は、記憶装置13に記憶されているプログラム等をRAM(不図示)にロードして実行し、空調制御部15、時間取得部16、検出結果取得部17等の機能を実現する。そして、空調制御部15、時間取得部16、検出結果取得部17により、モード選択処理と、空調制御処理とを実行する。
【0012】
モード選択処理では、プロセッサ14が、複数のモードのうちから1つのモードを選択する。複数のモードとしては、少なくとも、通常モードと、通常モードよりも省エネ性が高い(消費電力が少ない)省エネモードとが含まれている。また、省エネモードには、不在予定時間taが15分である場合の省エネモード(以下、「15分モード」とも呼ぶ)、不在予定時間taが30分である場合の省エネモード(以下、「30分モード」とも呼ぶ)、不在予定時間taが設定されていない場合又は1時間である場合の省エネモード(以下、「不在モード」とも呼ぶ)が含まれている。また、モード選択処理では、選択したモードが省エネモードであるときには、ユーザによって設定された設定温度Tpを修正し、修正後の設定温度Tcを取得する。モード選択処理の詳細については後述する。
空調制御処理では、空調制御部15が、モード選択処理で選択したモードに応じて空気調和機1を制御する。例えば、選択したモードが通常モードであると判定した場合には、空調対象空間3の温度Tsが設定温度Tpとなるように空気調和機1を制御する。また例えば、省エネモードであると判定した場合には、空調対象空間3の温度Tsが、モード選択処理で取得された修正後の設定温度Tcになるように空気調和機1を制御する。
【0013】
リモコン5は、温度設定ボタン18と、一時不在ボタン19と、確定ボタン20と、リモコン信号送信部21と、表示部22と、リモコン制御部23と、を備える。
温度設定ボタン18は、設定温度Tpを設定するためのユーザの操作を受け付けるボタンである。温度設定ボタン18の操作結果は、リモコン制御部23に入力される。
一時不在ボタン19は、空調対象空間3に人が不在となる時間(以下、「不在予定時間ta」とも呼ぶ)を設定するためのユーザの操作を受け付けるボタンである。一時不在ボタン19の操作結果は、リモコン制御部23に入力される。
確定ボタン20は、一時不在ボタン19で設定した不在予定時間taを確定するためのボタンである。確定ボタン20の操作結果は、リモコン制御部23に入力される。
リモコン信号送信部21は、室内機4にリモコン信号を送信する送信機である。
表示部22は、設定温度Tpや不在予定時間taを表示する表示装置である。
【0014】
リモコン制御部23は、温度設定ボタン18からの信号に基づき、リモコン信号送信部21を介して、設定温度Tpを示すリモコン信号を室内機4に送信するとともに、設定温度Tpを表示部22に表示させる。また、一時不在ボタン19から入力される信号に基づき、複数の不在予定時間taの候補(例えば、設定なし、15分、30分、1時間)のうちから不在予定時間taを選択し、選択した不在予定時間taを表示部22に表示させる。例えば、一時不在ボタン19から信号が送信されるたびに、不在予定時間taを「設定なし」→「15分」→「30分」→「1時間」→「設定なし」→「15分」→…の順に順次変更するとともに、変更した不在予定時間taを表示部22に順次表示させる。また、確定ボタン20から信号が操作されると、リモコン信号送信部21を介して、表示部22に表示されている不在予定時間taを示すリモコン信号を室内機4に送信する。
【0015】
<モード選択処理>
次に、プロセッサ14が実行するモード選択処理について説明する。モード選択処理はプロセッサ14が実行するが、具体的には、空調制御部15、時間取得部16、検出結果取得部17が機能してモード選択処理を実行する。なお、空気調和機1のモードは、モード選択処理の開始時に、通常モードに初期化される。
図3に示すように、まず、ステップS101では、空調制御部15が、一時不在ボタン19が操作されたかを判定する。例えば、リモコン5から不在予定時間taを示すリモコン信号を受信した場合に、一時不在ボタン19が操作されたと判定する。そして、一時不在ボタン19が操作されたと判定した場合には(ステップS101:Yes)、ステップS102に移行する。一方、一時不在ボタン19が操作されていないと判定した場合には(ステップS101:No)、このステップS101の判定を再度実行する。それゆえ、ユーザがリモコン5の一時不在ボタン19を操作し、リモコン5から不在予定時間taを示すリモコン信号が送信されるまで、空気調和機1のモードが通常モードに維持される。このとき、空調制御処理において、空調対象空間3の温度Tsが設定温度Tpとなるように、空気調和機1の制御が行われる。
【0016】
ステップS102では、時間取得部16が、不在予定時間taを示すリモコン信号から不在予定時間taを取得する。続いて、取得した不在予定時間taが「設定なし」「15分」「30分」「1時間」の何れであるかを判定する。そして、「15分」であると判定した場合には(ステップS102:15分)、ステップS103に移行する。一方、「30分」であると判定した場合には(ステップS102:30分)、ステップS105に移行する。また一方、「設定なし」又は「1時間」であると判定した場合には(ステップS102:設定なし又は1時間)、ステップS107に移行する。
【0017】
ステップS103では、空調制御部15が、空気調和機1のモードを通常モードから省エネモードの1つである15分モードに切り替える。
続いてステップS104に移行して、空調制御部15が、設定温度Tpを予め定められた第1所定値(例えば、1℃)だけ省エネルギ側に修正した後、ステップS119に移行する。例えば、季節が夏であり、空気調和機1が冷房運転を行っている場合には、設定温度Tpを1℃上げる(Tc=Tp+1)。また例えば、季節が冬であり、空気調和機1が暖房運転を行っている場合には、設定温度Tpを1℃下げる(Tc=Tp-1)。これにより、空調制御処理において、空調対象空間3の温度Tsが修正後の設定温度Tcとなるように、空気調和機1の制御が行われる。それゆえ、例えば、設定温度Tpの修正を行わない場合に比べ、消費電力を低減させて省エネ性を向上できる。また例えば、設定温度Tpの修正量が3℃である場合に比べ、快適性の低下を抑制できる。
【0018】
一方、ステップS105では、空調制御部15が、空気調和機1のモードを通常モードから省エネモードの1つである30分モードに切り替える。
続いてステップS106に移行して、空調制御部15が、設定温度Tpを第1所定値(1℃)よりも大きい第2所定値(例えば、3℃)だけ省エネルギ側に修正した後、ステップS119に移行する。例えば、季節が夏であり、空気調和機1が冷房運転を行っている場合には、設定温度Tpを3℃上げる(Tc=Tp+3)。また例えば、季節が冬であり、空気調和機1が暖房運転を行っている場合には、設定温度Tpを3℃下げる(Tc=Tp-3)。これにより、空調制御処理において、空調対象空間3の温度Tsが修正後の設定温度Tcとなるように、空気調和機1の制御が行われる。それゆえ、例えば、設定温度Tpの修正量が1℃である場合に比べ、消費電力を低減させて省エネ性を向上できる。また例えば、空気調和機1の運転を停止させる場合に比べ、快適性の低下を抑制できる。
【0019】
一方、ステップS107では、空調制御部15が、空気調和機1のモードを通常モードから省エネモードの1つである不在モードに切り替える。
続いてステップS108に移行して、空調制御部15が、圧縮機6及び室内ファン8の動作を停止させた後、ステップS119に移行する。これにより、空気調和機1の運転が停止される。即ち、取得した不在予定時間taが、複数の不在予定時間taの候補(15分、30分、1時間)のうちの、最も長い不在予定時間ta(1時間)である場合には、不在モードを採用して、空気調和機1の運転を停止させる。それゆえ、例えば、設定温度Tpの修正量が3℃である場合に比べ、消費電力を低減させて省エネ性を向上できる。また、運転を停止することで、ユーザに省エネを行っている実感を与えることができる。
【0020】
これらステップS102~S108のフローにより、空調制御部15は、不在予定時間taを取得すると、空気調和機1のモードとして省エネモードを選択する。また、取得した不在予定時間taの長さ(15分、30分、1時間)に応じて省エネモードで行われる空気調和機1の制御の内容を設定する。それゆえ、例えば、不在予定時間taが長い場合(30分)には、不在予定時間taが短い場合(15分)よりも、設定温度がTpからTc(省エネルギ側の温度)に変更され、その結果、室温が少エネルギ側の温度Tcに近づくよう制御が行なわれ、エアコンの省エネ運転が実行される。また、例えば、不在予定時間taが短い場合(15分)には、不在予定時間taが長い場合(30分)よりも、設定温度がTpに近い温度に変更され、その結果、室温がTpに近い温度に近づくよう制御が行なわれ、空調対象空間3の快適性を向上できる。そのため、消費電力を低減させて省エネ性を向上しながら、快適性の低下を抑制できる。また例えば、省エネモードで行われる空気調和機1の制御の内容の設定を行わず、一律同じ設定を用いる方法に比べ、ユーザに省エネを行っている実感を与えることができる。
【0021】
ここで、ステップS102~S108のフローでは、不在予定時間taの長さが15分である場合には、設定温度Tpを1℃(第1所定値)だけ省エネルギ側に修正し、空調対象空間3の温度Tsが修正後の設定温度Tcになるように空気調和機1を制御している。また、不在予定時間taの長さが30分である場合には、設定温度Tpを3℃(第2所定値)だけ省エネルギ側に修正し、空調対象空間3の温度Tsが修正後の設定温度Tcになるように空気調和機1を制御している。換言すれば、設定温度Tpを不在予定時間taの長さに応じた所定温度(1℃、3℃)だけ省エネルギ側に修正して、空調対象空間3の温度Tsが修正後の設定温度Tpになるように空気調和機1を制御している、と言える。所定温度は、不在予定時間ta経過後に室内の温度を設定温度Tpにするまでの消費エネルギー(Er)と、所定温度で不在予定時間taの間運転することによって低減できるエネルギー(Es)を比較し、予め設定されればよい。ここでEs、Esは、試験等により予め定めても良いし、後述する断熱性能の指標値等に応じて推定されるようにしても良い。
【0022】
ステップS119では、検出結果取得部17が、空気調和機1のモードが通常モードから省エネモード(15分モード、30分モード、不在モード)に切り替えられてから10分経過したかを判定する。そして、10分経過したと判定した場合には(S119:Yes)、ステップS109に移行する。一方、10分経過していないと判定した場合には(S119:No)、ステップS110に移行する。
ステップS109では、検出結果取得部17が、人検知センサ9から検出結果を取得する。続いて、空調制御部15が、取得した検出結果が、空調対象空間3内に人が存在することを示すものであるかを判定する。そして、人が存在することを示すものであると判定された場合には(ステップS109:Yes)、ステップS111に移行する。一方、人が存在することを示すものではないと判定された場合には(ステップS109:No)、ステップS110に移行する。
ステップS110では、空調制御部15が、リモコン5でなんらかのボタン操作が行われたかを判定する。例えば、リモコン5から信号が送信された場合には、ボタン操作が行われたと判定する。そして、リモコン5でなんらかのボタン操作が行われたと判定した場合には(ステップS110:Yes)、ステップS111に移行する。一方、リモコン5でボタン操作がなにも行われなかったと判定した場合には(ステップS110:No)ステップS112に移行する。
【0023】
ステップS111では、空調制御部15が、空気調和機1のモードを省エネモード(15分モード、30分モード、1時間モード)から通常モードに切り替えた後、ステップS101に移行する。これにより、空調制御処理において、空調対象空間3の温度Tsが修正前の設定温度Tpとなるように、空気調和機1の制御が行われる。それゆえ、例えば、ユーザが空調対象空間3に戻ったときに、省エネモードが終了し、通常モードに自動的に戻るため、ユーザがリモコン5を操作して通常モードに戻す手間がかからずに済む。
【0024】
一方、ステップS112では、空調制御部15が、空気調和機1のモードが通常モードから省エネモード(15分モード、30分モード、不在モード)に切り替えられてからの経過時間が選択された省エネモードが15分モードの場合は15分、又は、15分モードの以外の場合は30分であるかを判定する。そして、15分又は30分であると判定した場合には(S112:Yes)、ステップS113に移行する。一方、15分及び30分のいずれでもないと判定した場合には(S112:No)、ステップS109に戻る。
【0025】
ステップS113では、空調制御部15が、現在のモード(省エネモード)が15分モードであり、且つ通常モードから省エネモードに切り替えられてからの経過時間が15分であるという条件(以下、「第1切替条件」とも呼ぶ)を満たすかを判定する。そして、第1切替条件を満たすと判定した場合には(ステップS113:Yes)ステップS114に移行する。一方、第1切替条件を満たさないと判定した場合には(ステップS113:No)ステップS115に移行する。
ステップS114では、空調制御部15が、空気調和機1のモード(省エネモード)を15分モードから30分モードに切り替える。
続いてステップS115に移行して、空調制御部15が、設定温度Tpを第2所定値(3℃)だけ省エネルギ側に修正した後、ステップS109に移行する。これにより、空調制御処理において、空調対象空間3の温度Tsが修正後の設定温度Tcとなるように、空気調和機1の制御が行われる。それゆえ、例えば、15分モードが選択されたままで、設定温度Tpが省エネルギ側に1℃だけ修正される場合に比べ、省エネ性を向上できる。
【0026】
ステップS116では、空調制御部15が、現在のモード(省エネモード)が30分モードであり、且つ通常モードから省エネモードに切り替えられてからの経過時間が30分であるという条件(以下、「第2切替条件」とも呼ぶ)を満たすかを判定する。そして、第1切替条件を満たすと判定した場合には(ステップS116:Yes)、ステップS117に移行する。一方、第2切替条件を満たさないと判定した場合には(ステップS116:No)、ステップS109に戻る。
ステップS117では、空調制御部15が、空気調和機1のモード(省エネモード)を15分モードから不在モードに切り替える。
続いてステップS108に移行して、空調制御部15が、圧縮機6及び室内ファン8の動作を停止させた後、ステップS109に移行する。これにより、空気調和機1の運転が停止される。それゆえ、例えば、30分モードが選択されたままで、設定温度Tpが省エネルギ側に3℃だけ修正される場合に比べ、消費電力を低減させて省エネ性を向上することができる。
【0027】
これらステップS113~S118により、空気調和機1のモードが省エネモード(15分モード、30分モード)であるときには、その省エネモード(15分モード、30分モード)に対応する不在予定時間ta(15分、30分)が経過したかを判定する。そして、経過したと判定した場合には、空気調和機1のモードを、その不在予定時間ta(15分、30分)よりも一段長い不在予定時間ta(30分、1時間)に対応付けられているモードに切り替える。これにより、例えば、不在予定時間ta(15分、30分)経過後に、それまでの省エネモード(15分モード、30分モード)を維持する方法や、省エネモードを終了して通常モードに戻す方法に比べて、消費電力を低減させて省エネ性をより向上できる。
【0028】
(変形例)
【0029】
(1)なお、本実施形態では、
図3のステップS106、108に示すように、設定温度Tpの修正量を固定値(1℃、3℃)とする例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、設定温度Tpの修正量(所定温度(第1所定値、第2所定値))を、空調対象空間3を有する建物の断熱性能の指標値、外気温To、及び天気の少なくとも何れかに応じて設定する構成としてもよい。例えば、断熱性能の指標値に応じて設定する場合、空調制御部15は、まず、空気調和機1の運転時における、空調対象空間3の温度Tsと外気温Toとに基づき、空調対象空間3を有する建物の断熱性能の指標値を算出する(
図4のステップS201)。断熱性能の指標値としては、例えば、熱損失係数(Q値)、熱貫流率(K値)を採用できる。続いて、指標値が予め定められた所定値以下であるか(つまり、断熱性能が高いか)を判定し(
図4のステップS202)、所定値以下であると判定した場合には、修正量(所定温度)を2℃とする(
図4のステップS202「Yes」、S203)。一方、所定値よりも大きいと判定した場合には、修正量(所定温度)を3℃とする(
図4のステップS204)。即ち、空調対象空間3を有する建物の断熱性能の指標値が所定値以下である場合には、所定値より大きい場合よりも、修正量を小さくする。
【0030】
また、例えば、設定温度Tpの修正量(所定温度)を、外気温度に応じて設定する場合、空調制御部15は、まず、外気温センサ7から外気温Toを取得する(
図5のステップS301)。ここで、例えば、季節が夏であり、空気調和機1が冷房運転を行っていたする。この場合、外気温Toが予め定められた所定値以上であるか(つまり、空調対象空間3の温度Tsが上昇しやすい状況であるか)を判定する(
図5のステップS302)。そして、所定値以上であると判定した場合には、修正量(所定温度)を4℃とする(
図5のステップS302「Yes」、S303)。一方、所定値未満であると判定した場合には、修正量(所定温度)を3℃とする(
図5のステップS304)。即ち、外気温Toが所定値以上である場合には、所定値未満である場合よりも修正量(所定温度)を大きくする。
【0031】
また、例えば、設定温度Tpの修正量(所定温度)を、天気に応じて設定する場合、空調制御部15は、まず、通信部11を介して、外部ネットワークから空気調和機1の設置位置の天気の情報を取得する(
図6のステップS401)。ここで、例えば、季節が夏であり、空気調和機1が冷房運転を行っていたする。この場合には、天気が晴れであるか(つまり、空調対象空間3の温度Tsが上昇しやすい状況であるか)を判定し(
図6のステップS402)、晴れであると判定した場合には、修正量(所定温度)を4℃とする(
図6のステップS402「Yes」、S503)。一方、晴れではない(例えば、雨)と判定した場合には、修正量(所定温度)を3℃とする(
図6のステップS404)。即ち、天気が晴れである場合には、晴れではない場合よりも、修正量(所定温度)を大きくする。
【0032】
(2)また、本実施形態では、
図3のステップS106、S108に示すように、省エネモード(15分モード、30分モード)において、設定温度Tpを所定温度(1℃、3℃)だけ省エネルギ側に修正する例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、圧縮機6の回転数及び室内ファン8の回転数が最低回転数となるように空気調和機1を制御する構成としてもよい。例えば、空調制御部15は、まず、複数の不在予定時間taの候補(設定なし、15分、30分、1時間)のうちの、予め定められた特定の不在予定時間ta(例えば、30分)が選択されたかを判定する(
図7のステップS102)。特定の不在予定時間ta(30分)が選択されたと判定した場合には(
図7のステップS102「30分」)、圧縮機6の回転数及び室内ファン8の回転数が最低回転数となるように空気調和機1を制御する(
図7のステップS501)。この場合、15分モードにおいて、設定温度Tpの修正に用いる修正量(第1所定値)を3℃としてもよい(
図7のステップS502)。
【0033】
また、例えば、外気温Toを不在予定時間taを予め定められた所定温度だけ省エネルギ側に変化させた温度となるように設定温度Tpを修正して、空調対象空間3の温度Tsが修正後の設定温度Tpになるように空気調和機1を制御する構成としてもよい。例えば、空調制御部15は、まず、複数の不在予定時間taの候補(設定なし、15分、30分、1時間)のうちの、予め定められた特定の不在予定時間ta(例えば、30分)が選択されたかを判定する(
図8のステップS102)。特定の不在予定時間ta(30分)が選択されたと判定した場合には(
図8のステップS102「30分」)、外気温センサ7から外気温Toを取得する(
図8のステップS601)。続いて、取得した外気温Toを予め定められた所定温度(例えば3℃)だけ省エネルギ側に変化させた温度となるように設定温度Tpを修正する(
図8のステップS602)。例えば、季節が夏であり、空気調和機1が冷房運転を行っている場合には、外気温Toから3℃だけ低い温度を修正後の設定温度Tcとする(Tc=To-3)。また例えば、季節が冬であり、空気調和機1が暖房運転を行っている場合には、外気温Toから3℃だけ高い温度を修正後の設定温度Tcとする(Tc=To+3)。このようにして得た修正後の設定温度Tcにより、空調制御処理において、空調対象空間3の温度Tsが修正後の設定温度Tcとなるように空気調和機1の制御が行われる。
【0034】
(3)また、本実施形態では、リモコン5が、一時不在ボタン19が操作されるたびに、不在予定時間taを段階的に変更する例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、リモコン5が、互いに異なる不在予定時間ta(15分、30分、1時間)それぞれに対応付けられている複数のボタン(例えば、15分ボタン、30分ボタン、1時間ボタン)を有する構成としてもよい。この場合、15分ボタン、30分ボタン又は1時間ボタンが操作されたときに、不在予定時間taを示すリモコン信号を送信してもよい。
【0035】
(4)また、本実施形態では、ユーザによる操作を受け付け、不在予定時間taを示す信号等を空気調和機1に送信する通信装置として、リモコン5を用いる例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、スマートフォンを用いる構成としてもよい。
(5)また、本実施形態では、人検知センサ9として、空気調和機1に配置された赤外線センサを用いる例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、リモコン5に設けた加速度センサを用いる構成としてもよい。また、例えば、リモコン5に代えて、スマートフォンを用いる場合には、スマートフォンが有する加速度センサを用いてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1…空気調和機、2…室外機、3…空調対象空間、4…室内機、5…リモコン、6…圧縮機、7…外気温センサ、8…室内ファン、9…人検知センサ、10…リモコン信号受信部、11…通信部、12…室内機制御部、13…記憶装置、14…プロセッサ、15…空調制御部、16…時間取得部、17…検出結果取得部、18…温度設定ボタン、19…一時不在ボタン、20…確定ボタン、21…リモコン信号送信部、22…表示部、23…リモコン制御部