(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154882
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】勘定科目判別装置、勘定科目判別方法、および、勘定科目判別プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/00 20120101AFI20221005BHJP
【FI】
G06Q40/00 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021058140
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】雨森 則人
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB63
(57)【要約】
【課題】プロジェクトの区分に基づいて、発生原価に対して、未成科目・完成科目・間接科目を自動判別することができる勘定科目判別装置、勘定科目判別方法、および、勘定科目判別プログラムを提供することを課題とする。
【解決手段】プロジェクト識別子、商品もしくは役務の通常科目、ならびに、原価を設定した原価入力データを取得し、プロジェクト原価科目区分マスタ、プロジェクト基本データ、および、原価入力データに基づいて、プロジェクトが間接プロジェクトであると識別した場合、プロジェクト識別子、間接科目、および、原価を設定した間接原価明細データを取得し、間接原価明細データに基づいて、間接仕訳データを作成する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部と制御部とを備えた勘定科目判別装置であって、
前記記憶部は、
通常科目に未成科目、完成科目、および、間接科目を紐付けて設定したプロジェクト原価科目区分マスタを記憶するプロジェクト原価科目区分記憶手段と、
プロジェクトが直接プロジェクトか間接プロジェクトかを示す直間区分、および、プロジェクト識別子を紐付けて設定したプロジェクト基本データを記憶するプロジェクト記憶手段と、
を備え、
前記制御部は、
前記プロジェクト識別子、商品もしくは役務の前記通常科目、ならびに、原価を設定した原価入力データを取得する原価入力取得手段と、
前記プロジェクト原価科目区分マスタ、前記プロジェクト基本データ、および、前記原価入力データに基づいて、前記プロジェクトが前記間接プロジェクトであると識別した場合、前記プロジェクト識別子、前記間接科目、および、前記原価を設定した間接原価明細データを取得する原価明細取得手段と、
前記間接原価明細データに基づいて、間接仕訳データを作成する仕訳作成手段と、
を備えたことを特徴とする勘定科目判別装置。
【請求項2】
前記原価明細取得手段は、
更に、前記プロジェクト原価科目区分マスタ、前記プロジェクト基本データ、および、前記原価入力データに基づいて、前記プロジェクトが前記直接プロジェクトであると識別した場合、前記プロジェクト識別子、前記未成科目、および、前記原価を設定した直接原価明細データを取得し、
前記仕訳作成手段は、
更に、前記直接原価明細データに基づいて、仕掛仕訳データを作成することを特徴とする請求項1に記載の勘定科目判別装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記商品もしくは前記役務の売上金額、ならびに、請求先を設定したプロジェクト売上データを取得する売上取得手段、
を更に備え、
前記仕訳作成手段は、
更に、前記プロジェクト原価科目区分マスタ、前記直接原価明細データ、および、前記プロジェクト売上データに基づいて、完成振替仕訳データを作成することを特徴とする請求項2に記載の勘定科目判別装置。
【請求項4】
前記プロジェクト記憶手段は、
更に、前記プロジェクト識別子、前記請求先、および、売上完了区分を紐付けて設定したプロジェクト受注データを記憶し、
前記原価明細取得手段は、
更に、前記売上取得手段により前記プロジェクト売上データが取得された場合、前記プロジェクト受注データに設定された前記売上完了区分を完了と設定することを特徴とする請求項3に記載の勘定科目判別装置。
【請求項5】
前記間接仕訳データは、
借方の勘定科目が前記間接科目、且つ、貸方の勘定科目が流動負債科目であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の勘定科目判別装置。
【請求項6】
前記仕掛仕訳データは、
借方の勘定科目が前記未成科目、且つ、貸方の勘定科目が流動負債科目であることを特徴とする請求項2から4のいずれか一つに記載の勘定科目判別装置。
【請求項7】
記憶部と制御部とを備えた勘定科目判別装置に実行させるための勘定科目判別方法であって、
前記記憶部は、
通常科目に未成科目、完成科目、および、間接科目を紐付けて設定したプロジェクト原価科目区分マスタを記憶するプロジェクト原価科目区分記憶手段と、
プロジェクトが直接プロジェクトか間接プロジェクトかを示す直間区分、および、プロジェクト識別子を紐付けて設定したプロジェクト基本データを記憶するプロジェクト記憶手段と、
を備え、
前記制御部で実行させる、
前記プロジェクト識別子、商品もしくは役務の前記通常科目、ならびに、原価を設定した原価入力データを取得する原価入力取得ステップと、
前記プロジェクト原価科目区分マスタ、前記プロジェクト基本データ、および、前記原価入力データに基づいて、前記プロジェクトが前記間接プロジェクトであると識別した場合、前記プロジェクト識別子、前記間接科目、および、前記原価を設定した間接原価明細データを取得する原価明細取得ステップと、
前記間接原価明細データに基づいて、間接仕訳データを作成する仕訳作成ステップと、
を含むことを特徴とする勘定科目判別方法。
【請求項8】
記憶部と制御部とを備えた勘定科目判別装置に実行させるための勘定科目判別プログラムであって、
前記記憶部は、
通常科目に未成科目、完成科目、および、間接科目を紐付けて設定したプロジェクト原価科目区分マスタを記憶するプロジェクト原価科目区分記憶手段と、
プロジェクトが直接プロジェクトか間接プロジェクトかを示す直間区分、および、プロジェクト識別子を紐付けて設定したプロジェクト基本データを記憶するプロジェクト記憶手段と、
を備え、
前記制御部において、
前記プロジェクト識別子、商品もしくは役務の前記通常科目、ならびに、原価を設定した原価入力データを取得する原価入力取得ステップと、
前記プロジェクト原価科目区分マスタ、前記プロジェクト基本データ、および、前記原価入力データに基づいて、前記プロジェクトが前記間接プロジェクトであると識別した場合、前記プロジェクト識別子、前記間接科目、および、前記原価を設定した間接原価明細データを取得する原価明細取得ステップと、
前記間接原価明細データに基づいて、間接仕訳データを作成する仕訳作成ステップと、
を実行させるための勘定科目判別プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、勘定科目判別装置、勘定科目判別方法、および、勘定科目判別プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、過去の仕訳データに基づいて、入力された情報に対して適用する勘定科目を判定する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の発明においては、プロジェクトの区分に基づいて、発生原価に対して、未成科目・完成科目・間接科目を自動判別することができないという課題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、プロジェクトの区分に基づいて、発生原価に対して、未成科目・完成科目・間接科目を自動判別することができる勘定科目判別装置、勘定科目判別方法、および、勘定科目判別プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る勘定科目判別装置は、記憶部と制御部とを備えた勘定科目判別装置であって、前記記憶部は、通常科目に未成科目、完成科目、および、間接科目を紐付けて設定したプロジェクト原価科目区分マスタを記憶するプロジェクト原価科目区分記憶手段と、プロジェクトが直接プロジェクトか間接プロジェクトかを示す直間区分、および、プロジェクト識別子を紐付けて設定したプロジェクト基本データを記憶するプロジェクト記憶手段と、を備え、前記制御部は、前記プロジェクト識別子、商品もしくは役務の前記通常科目、ならびに、原価を設定した原価入力データを取得する原価入力取得手段と、前記プロジェクト原価科目区分マスタ、前記プロジェクト基本データ、および、前記原価入力データに基づいて、前記プロジェクトが前記間接プロジェクトであると識別した場合、前記プロジェクト識別子、前記間接科目、および、前記原価を設定した間接原価明細データを取得する原価明細取得手段と、前記間接原価明細データに基づいて、間接仕訳データを作成する仕訳作成手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る勘定科目判別装置において、前記原価明細取得手段は、更に、前記プロジェクト原価科目区分マスタ、前記プロジェクト基本データ、および、前記原価入力データに基づいて、前記プロジェクトが前記直接プロジェクトであると識別した場合、前記プロジェクト識別子、前記未成科目、および、前記原価を設定した直接原価明細データを取得し、前記仕訳作成手段は、更に、前記直接原価明細データに基づいて、仕掛仕訳データを作成することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る勘定科目判別装置において、前記制御部は、前記商品もしくは前記役務の売上金額、ならびに、請求先を設定したプロジェクト売上データを取得する売上取得手段、を更に備え、前記仕訳作成手段は、更に、前記プロジェクト原価科目区分マスタ、前記直接原価明細データ、および、前記プロジェクト売上データに基づいて、完成振替仕訳データを作成することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る勘定科目判別装置において、前記プロジェクト記憶手段は、更に、前記プロジェクト識別子、前記請求先、および、売上完了区分を紐付けて設定したプロジェクト受注データを記憶し、前記原価明細取得手段は、更に、前記売上取得手段により前記プロジェクト売上データが取得された場合、前記プロジェクト受注データに設定された前記売上完了区分を完了と設定することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る勘定科目判別装置において、前記間接仕訳データは、借方の勘定科目が前記間接科目、且つ、貸方の勘定科目が流動負債科目であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る勘定科目判別装置において、前記仕掛仕訳データは、借方の勘定科目が前記未成科目、且つ、貸方の勘定科目が流動負債科目であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る勘定科目判別方法は、記憶部と制御部とを備えた勘定科目判別装置に実行させるための勘定科目判別方法であって、前記記憶部は、通常科目に未成科目、完成科目、および、間接科目を紐付けて設定したプロジェクト原価科目区分マスタを記憶するプロジェクト原価科目区分記憶手段と、プロジェクトが直接プロジェクトか間接プロジェクトかを示す直間区分、および、プロジェクト識別子を紐付けて設定したプロジェクト基本データを記憶するプロジェクト記憶手段と、を備え、前記制御部で実行させる、前記プロジェクト識別子、商品もしくは役務の前記通常科目、ならびに、原価を設定した原価入力データを取得する原価入力取得ステップと、前記プロジェクト原価科目区分マスタ、前記プロジェクト基本データ、および、前記原価入力データに基づいて、前記プロジェクトが前記間接プロジェクトであると識別した場合、前記プロジェクト識別子、前記間接科目、および、前記原価を設定した間接原価明細データを取得する原価明細取得ステップと、前記間接原価明細データに基づいて、間接仕訳データを作成する仕訳作成ステップと、を含むことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る勘定科目判別プログラムは、記憶部と制御部とを備えた勘定科目判別装置に実行させるための勘定科目判別プログラムであって、前記記憶部は、通常科目に未成科目、完成科目、および、間接科目を紐付けて設定したプロジェクト原価科目区分マスタを記憶するプロジェクト原価科目区分記憶手段と、プロジェクトが直接プロジェクトか間接プロジェクトかを示す直間区分、および、プロジェクト識別子を紐付けて設定したプロジェクト基本データを記憶するプロジェクト記憶手段と、を備え、前記制御部において、前記プロジェクト識別子、商品もしくは役務の前記通常科目、ならびに、原価を設定した原価入力データを取得する原価入力取得ステップと、前記プロジェクト原価科目区分マスタ、前記プロジェクト基本データ、および、前記原価入力データに基づいて、前記プロジェクトが前記間接プロジェクトであると識別した場合、前記プロジェクト識別子、前記間接科目、および、前記原価を設定した間接原価明細データを取得する原価明細取得ステップと、前記間接原価明細データに基づいて、間接仕訳データを作成する仕訳作成ステップと、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、プロジェクトの区分に基づいて、発生原価に対して、未成科目・完成科目・間接科目を自動判別することができるという効果を奏する。また、本発明によれば、建設業における未成科目・完成科目・間接科目を自動判別することができるという効果を奏する。また、本発明によれば、科目を通常の科目と間接科目を分けて判断しないといけなかったところを通常科目だけで判断可能とすることができるという効果を奏する。また、本発明によれば、例えば、オペレータが「事務用品」を選択することで、プロジェクトの区分で事務用品(未)、事務用品(完)、事務用品(間)を自動で判別することができるという効果を奏する。これにより、本発明によれば、オペレータのミスの防止および処理の簡易化を実現することができるという効果を奏する。また、本発明によれば、進行工事の種類、進行状態による判断を自動で行う事で、現場の入力ミスを防ぎ、本社での月次でのチェックなどを軽減することができるという効果を奏する。また、建設業では工事別の原価計上に対し、工事案件のステータスを判断して科目を分ける必要性があるが、現場の工事状況を都度把握している担当者のみならず、別の担当者が登録する際に、入力ミスが起こりえるため、本発明によれば、意識せず振り分けられることができるという効果を奏する。また、本発明によれば、業務担当者の入力ミス防止による、チェック・確認作業負荷の軽減を図ることができるという効果を奏する。また、本発明によれば、建設業およびIT業に特化して、プロジェクトの状態によって計上する原価科目の特定と、状態変更に伴う振替先の原価科目の特定とをできるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、従来のプロジェクト原価科目区分マスタの一例を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施形態におけるプロジェクト原価科目区分マスタの一例を示す図である
【
図3】
図3は、本実施形態における勘定科目判別装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、本実施形態における勘定科目判別装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、本実施形態におけるプロジェクト基本データの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本実施形態におけるプロジェクト受注データの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本実施形態における勘定科目判別処理の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、本実施形態における勘定科目判別処理の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、本実施形態における勘定科目判別処理の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、本実施形態における勘定科目判別処理の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、本実施形態における勘定科目判別処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
【0017】
[1.概要]
まず、
図1および
図2を参照して、本発明の概要を説明する。
図1は、従来のプロジェクト原価科目区分マスタの一例を示す図である。
図2は、本実施形態におけるプロジェクト原価科目区分マスタの一例を示す図である。
【0018】
従来、プロジェクト原価科目区分マスタにおいては、
図1に示すように、間接科目を、直接科目(未成・完成)と別で登録し、科目を分けて登録する必要があった。
【0019】
したがって、従来、事務用品を購入する際、事務用品(未)、事務用品(完)、事務用品(間)のどの科目を使用するかを、オペレータが判別して入力することは難しかった。
【0020】
そこで、本実施形態においては、オペレータが「事務用品」を選択することで、プロジェクトの区分で事務用品(未)、事務用品(完)、事務用品(間)を自動で判別する仕組みを提案している。これにより、オペレータのミスの防止及び処理の簡易化を実現している。
【0021】
例えば、本実施形態におけるプロジェクト原価科目区分マスタにおいては、
図2に示すように、科目選択時、プロジェクトの区分によって未成・完成・間接科目の自動判別を可能としている。
【0022】
[2.構成]
本実施形態に係る勘定科目判別装置100の構成の一例について、
図3を参照して説明する。
図3は、本実施形態における勘定科目判別装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0023】
図3に示すように、勘定科目判別装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、勘定科目判別装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0024】
勘定科目判別装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。勘定科目判別装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0025】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、勘定科目判別装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、勘定科目判別装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。
【0026】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(タッチパネルを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114またはプリンタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0027】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、およびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。記憶部106は、プロジェクト原価科目区分マスタ106aとプロジェクトデータベース106bとを備えている。
【0028】
プロジェクト原価科目区分マスタ106aは、通常科目に未成科目、完成科目、および、間接科目を紐付けて設定したマスタである。
【0029】
プロジェクトデータベース106bは、プロジェクトデータを記憶する。ここで、プロジェクトデータベース106bは、プロジェクトが直接プロジェクトか間接プロジェクトかを示す直間区分、および、プロジェクト識別子を紐付けて設定したプロジェクト基本データを記憶していてもよい。また、プロジェクトデータベース106bは、プロジェクト識別子、請求先、および、売上完了区分を紐付けて設定したプロジェクト受注データを記憶していてもよい。また、プロジェクトデータベース106bは、原価入力データ、原価明細データ(例えば、間接原価明細データ、および/または、直接原価明細データ等)、仕訳データ(例えば、間接仕訳データ、仕掛仕訳データ、および/または、完成振替仕訳データ等)、および/または、プロジェクト売上データ等を記憶していてもよい。
【0030】
制御部102は、勘定科目判別装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、機能概念的に、原価入力取得部102aと原価明細取得部102bと売上取得部102cと仕訳作成部102dとを備えている。
【0031】
原価入力取得部102aは、プロジェクト識別子、商品もしくは役務の通常科目、ならびに、原価を設定した原価入力データを取得する。ここで、原価入力取得部102aは、原価入力データをプロジェクトデータベース106bに登録してもよい。
【0032】
原価明細取得部102bは、原価を設定した原価明細データを取得する。ここで、原価明細取得部102bは、プロジェクト原価科目区分マスタ106a、プロジェクト基本データ、および、原価入力データに基づいて、プロジェクトが間接プロジェクトであると識別した場合、プロジェクト識別子、間接科目、および、原価を設定した間接原価明細データを取得してもよい。また、原価明細取得部102bは、プロジェクト原価科目区分マスタ106a、プロジェクト基本データ、および、原価入力データに基づいて、プロジェクトが直接プロジェクトであると識別した場合、プロジェクト識別子、未成科目、および、原価を設定した直接原価明細データを取得してもよい。また、原価明細取得部102bは、プロジェクト売上データが取得された場合、プロジェクト受注データに設定された売上完了区分を完了と設定してもよい。また、原価明細取得部102bは、原価明細データをプロジェクトデータベース106bに登録してもよい。
【0033】
売上取得部102cは、商品もしくは役務の売上金額を設定したプロジェクト売上データを取得する。ここで、売上取得部102cは、商品もしくは役務の売上金額、ならびに、請求先を設定したプロジェクト売上データを取得してもよい。また、売上取得部102cは、プロジェクト売上データをプロジェクトデータベース106bに登録してもよい。
【0034】
仕訳作成部102dは、仕訳データを取得する。ここで、仕訳作成部102dは、間接原価明細データに基づいて、間接仕訳データを作成してもよい。また、仕訳作成部102dは、直接原価明細データに基づいて、仕掛仕訳データを作成してもよい。また、仕訳作成部102dは、プロジェクト原価科目区分マスタ106a、直接原価明細データ、および、プロジェクト売上データに基づいて、完成振替仕訳データを作成してもよい。また、間接仕訳データは、借方の勘定科目が間接科目、且つ、貸方の勘定科目が流動負債科目(例えば、買掛金等)であってもよい。また、仕掛仕訳データは、借方の勘定科目が未成科目、且つ、貸方の勘定科目が流動負債科目であってもよい。
【0035】
[3.具体例]
本実施形態の具体例について、
図4から
図11を参照して説明する。
【0036】
[勘定科目判別処理]
ここで、
図4を参照して、本実施形態における勘定科目判別処理の一例について説明する。
図4は、本実施形態における勘定科目判別装置100の処理の一例を示すフローチャートである。
【0037】
図4に示すように、原価入力取得部102aは、ユーザにより入力装置112を介して原価入力画面にプロジェクト識別子、商品もしくは役務の通常科目、ならびに、原価が設定された場合、プロジェクト識別子、商品もしくは役務の通常科目、ならびに、原価を設定した原価入力データを取得する(ステップSA-1)。
【0038】
そして、原価明細取得部102bは、プロジェクト原価科目区分マスタ106a、プロジェクト基本データ、および、原価入力データに基づいて、プロジェクトが間接プロジェクトであるか否かを判定する(ステップSA-2)。
【0039】
そして、原価明細取得部102bは、プロジェクトが間接プロジェクトであると判定した場合(ステップSA-2:Yes)、処理をステップSA-3に移行させる。
【0040】
そして、原価明細取得部102bは、プロジェクト識別子、間接科目、および、原価を設定した間接原価明細データを取得する(ステップSA-3)。
【0041】
そして、仕訳作成部102dは、間接原価明細データに基づいて、間接仕訳データを作成し(ステップSA-4)、処理を終了する。
【0042】
一方、原価明細取得部102bは、プロジェクトが間接プロジェクトではない(直接プロジェクトである)と判定した場合(ステップSA-2:No)、処理をステップSA-5に移行させる。
【0043】
そして、原価明細取得部102bは、プロジェクト識別子、未成科目、および、原価を設定した直接原価明細データを取得する(ステップSA-5)。
【0044】
そして、仕訳作成部102dは、直接原価明細データに基づいて、仕掛仕訳データを作成する(ステップSA-6)。
【0045】
そして、売上取得部102cは、ユーザにより入力装置112を介して商品もしくは役務の売上金額、ならびに、請求先を設定したプロジェクト売上データが入力された場合、プロジェクト売上データを取得し、原価明細取得部102bは、プロジェクトデータベース106bに記憶されたプロジェクト受注データに設定された売上完了区分を完了と設定する(ステップSA-7)。
【0046】
そして、仕訳作成部102dは、プロジェクト原価科目区分マスタ106a、直接原価明細データ、および、プロジェクト売上データに基づいて、完成振替仕訳データを作成し(ステップSA-8)、処理を終了する。
【0047】
ここで、
図5から
図11を参照して、本実施形態における勘定科目判別処理の一例について説明する。
図5は、本実施形態におけるプロジェクト基本データの一例を示す図である。
図6は、本実施形態におけるプロジェクト受注データの一例を示す図である。
図7から
図11は、本実施形態における勘定科目判別処理の一例を示す図である。ここで、本実施形態においては、「商品」を一例として挙げて説明するが、「役務(サービス)」でも同様に実施可能である。すなわち、本明細書および本図面には、「商品」に対応する実施形態だけでなく、「役務(サービス)」に対応する実施形態も記載されている。
【0048】
本実施形態においては、
図5に示すように、プロジェクト基本データがプロジェクトデータベース106bに登録され、
図6に示すように、プロジェクト受注データがプロジェクトデータベース106bに登録されている際に、
図7に示すように、原価入力画面にてユーザによる発注入力、仕入入力、または、経費入力等の各種入力より、直接プロジェクトの原価のデータが登録された場合、未成科目および原価を設定した直接原価明細データが取得され、間接プロジェクトの原価のデータが登録された場合、間接科目および原価を設定した間接原価明細データが取得される。
【0049】
そして、
図8に示すように、本実施形態においては、直接原価明細データに基づいて、仕掛仕訳データが作成され、間接原価明細データに基づいて、間接仕訳データが作成される。
【0050】
そして、
図9に示すように、本実施形態においては、ユーザにより直接プロジェクトに対してのみ対応するプロジェクト売上データが入力された場合、プロジェクトに紐づくプロジェクト受注データの売上完了区分が売上完了状態に更新される。
【0051】
そして、
図10に示すように、本実施形態においては、売上完了状態のプロジェクト受注データに紐付けられた直接原価明細データが、完成振替対象に更新される。
【0052】
そして、
図11に示すように、本実施形態においては、プロジェクト原価科目区分マスタ106a、直接原価明細データ、および、プロジェクト売上データに基づいて、完成振替仕訳データが作成される。
【0053】
[4.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び9に貢献することが可能となる。
【0054】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13及び15に貢献することが可能となる。
【0055】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0056】
[5.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0057】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0058】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0059】
また、勘定科目判別装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0060】
例えば、勘定科目判別装置100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて勘定科目判別装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0061】
また、このコンピュータプログラムは、勘定科目判別装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0062】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0063】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、本実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0064】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0065】
また、勘定科目判別装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、勘定科目判別装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0066】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、個別原価計算が必要なサービス提供型の建設業界、メディア業界およびIT業界等において有用である。
【符号の説明】
【0068】
100 勘定科目判別装置
102 制御部
102a 原価入力取得部
102b 原価明細取得部
102c 売上取得部
102d 仕訳作成部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a プロジェクト原価科目区分マスタ
106b プロジェクトデータベース
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク