(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154884
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】運転支援システム、運転支援方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
B60W 40/02 20060101AFI20221005BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
B60W40/02
G08G1/16 C
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021058144
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】相村 誠
(72)【発明者】
【氏名】増谷 友
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA33
3D241BA49
3D241CD07
3D241CD12
3D241CE04
3D241CE05
3D241DA13Z
3D241DA39Z
3D241DA52Z
3D241DB02Z
3D241DB05Z
3D241DB12Z
3D241DC35Z
5H181AA01
5H181CC04
5H181CC14
5H181CC30
5H181FF27
5H181LL01
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】車両が、上方の構造物に対して通過可能に構成された交通経路であるアンダーパスを走行する際の物体の誤認識に基づく運転支援の作動を低減すること。
【解決手段】車両に搭載されたレーダ装置と撮像装置の少なくとも一つによる検出結果に基づいて、前記車両の外部に存在する物体を認識する認識部と、前記認識部による認識結果に基づいて前記車両の運転支援を行う運転支援部と、を備え、前記運転支援部は、前記物体の輪郭線の一部と道路区画線の一致度を判定し、前記一致度が閾値以上である場合に、前記運転支援の作動を抑制する、運転支援システム。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたレーダ装置と撮像装置の少なくとも一つによる検出結果に基づいて、前記車両の外部に存在する物体を認識する認識部と、
前記認識部による認識結果に基づいて前記車両の運転支援を行う運転支援部と、を備え、
前記運転支援部は、前記物体の輪郭線の一部と道路区画線の一致度を判定し、前記一致度が閾値以上である場合に、前記運転支援の作動を抑制する、
運転支援システム。
【請求項2】
前記運転支援部は、前記物体の輪郭線の一部の延長線上に消失点が存在すると判定した場合、前記運転支援の作動を抑制する、
請求項1に記載の運転支援システム。
【請求項3】
前記運転支援部は、前記車両が、上方の構造物に対して通過可能に構成された交通経路であるアンダーパスを走行しているか否かを判定し、前記車両が、上方の構造物に対して通過可能に構成された交通経路であるアンダーパスを走行していると判定された場合に、前記物体と前記道路区画線の一致度を判定する、
請求項1又は2に記載の運転支援システム。
【請求項4】
車両に搭載されたコンピュータが、
車両に搭載されたレーダ装置と撮像装置の少なくとも一つによる検出結果に基づいて、前記車両の外部に存在する物体を認識し、
認識結果に基づいて前記車両の運転支援を行い、
前記物体と道路区画線の一致度を判定し、前記一致度が閾値以上である場合に、前記運転支援の作動を抑制する、
車両支援方法。
【請求項5】
車両に搭載されたコンピュータに、
車両に搭載されたレーダ装置と撮像装置の少なくとも一つによる検出結果に基づいて、前記車両の外部に存在する物体を認識させ、
認識結果に基づいて前記車両の運転支援を行わせ、
前記物体と道路区画線の一致度を判定し、前記一致度が閾値以上である場合に、前記運転支援の作動を抑制させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援システム、運転支援方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載された外界認識装置による誤認識を減少させるための技術が知られている。例えば、特許文献1には、ミリ波レーダで検出した物体が静止物体であり、かつ車速センサで検出した車速が閾値未満である場合にのみ、先行車認識ECUが当該物体を先行車候補として設定することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術は、車両が追従走行する対象を選択する際に、物体の誤認識を減少させるためのものである。しかしながら、従来の技術では、例えば、車両が、上方の構造物に対して通過可能に構成された交通経路であるアンダーパスを走行する際の物体の誤認識を低減することができない場合があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、車両が、上方の構造物に対して通過可能に構成された交通経路であるアンダーパスを走行する際の物体の誤認識に基づく運転支援の作動を低減することができる、運転支援システム、運転支援方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る運転支援システム、運転支援方法、およびプログラムは、以下の構成を採用した。
(1):この発明の一態様に係る運転支援システムは、車両に搭載されたレーダ装置と撮像装置の少なくとも一つによる検出結果に基づいて、前記車両の外部に存在する物体を認識する認識部と、前記認識部による認識結果に基づいて前記車両の運転支援を行う運転支援部と、を備え、前記運転支援部は、前記物体の輪郭線の一部と道路区画線の一致度を判定し、前記一致度が閾値以上である場合に、前記運転支援の作動を抑制するものである。
【0007】
(2):上記(1)の態様において、前記運転支援部は、前記物体の輪郭線の一部の延長線上に消失点が存在すると判定した場合、前記運転支援の作動を抑制するものである。
【0008】
(3):上記(1)又は(2)の態様において、前記運転支援部は、前記車両が、上方の構造物に対して通過可能に構成された交通経路であるアンダーパスを走行しているか否かを判定し、前記車両が、上方の構造物に対して通過可能に構成された交通経路であるアンダーパスを走行していると判定された場合に、前記物体と前記道路区画線の一致度を判定するものである。
【0009】
(4):この発明の別の態様に係る運転支援システムは、車両に搭載されたコンピュータが、車両に搭載されたレーダ装置と撮像装置の少なくとも一つによる検出結果に基づいて、前記車両の外部に存在する物体を認識し、認識結果に基づいて前記車両の運転支援を行い、前記物体と道路区画線の一致度を判定し、前記一致度が閾値以上である場合に、前記運転支援の作動を抑制するものである。
【0010】
(5):この発明の別の態様に係るプログラムは、車両に搭載されたコンピュータに、車両に搭載されたレーダ装置と撮像装置の少なくとも一つによる検出結果に基づいて、前記車両の外部に存在する物体を認識させ、認識結果に基づいて前記車両の運転支援を行わせ、前記物体と道路区画線の一致度を判定し、前記一致度が閾値以上である場合に、前記運転支援の作動を抑制させるものである。
【発明の効果】
【0011】
(1)~(5)によれば、車両が、上方の構造物に対して通過可能に構成された交通経路であるアンダーパスを走行する際の物体の誤認識に基づく運転支援の作動を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】自車両Mに搭載される運転支援システム100の構成の一例を示す図である。
【
図2】運転支援装置40の動作が実行される場面の一例を示す図である。
【
図3】運転支援装置40が、認識した物体Oの輪郭線の一部と道路区画線の一致度を判定する場面の一例を示す図である。
【
図4】運転支援装置40が、認識した物体Oの輪郭線の一部の延長線上に消失点が存在するか否かを判定する一例を示す図である。
【
図5】運転支援装置40によって実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照し、本発明の運転支援システム、運転支援方法、およびプログラムの実施形態について説明する。
【0014】
[構成]
図1は、自車両Mに搭載される運転支援システム100の構成の一例を示す図である。自車両Mは、例えば、カメラ10と、レーダ装置12と、物体認識装置14と、車両センサ16と、運転操作子20と、ステアリングホイール22と、走行駆動力出力装置30と、ブレーキ装置32と、ステアリング装置34と、運転支援装置40と、を備える。物体認識装置14は「認識部」の一例であり、運転支援装置40は「運転支援部」の一例である。運転支援システム100は、物体認識装置14と、運転支援装置40とを少なくとも備えるものである。
【0015】
カメラ10は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。カメラ10は、運転支援システム100が搭載される車両(以下、自車両M)の任意の箇所に取り付けられる。前方を撮像する場合、カメラ10は、フロントウインドシールド上部やルームミラー裏面等に取り付けられる。カメラ10は、例えば、周期的に繰り返し自車両Mの周辺を撮像する。カメラ10は、ステレオカメラであってもよい。カメラ10は、撮像した画像を物体認識装置14に送信する。カメラ10は、「撮像装置」の一例である。
【0016】
レーダ装置12は、自車両Mの周辺にミリ波などの電波を放射すると共に、物体によって反射された電波(反射波)を検出して少なくとも物体の位置(距離および方位)を検出する。レーダ装置12は、自車両Mの任意の箇所に取り付けられる。レーダ装置12は、FM-CW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式によって物体の位置および速度を検出してもよい。レーダ装置12は、検出結果を物体認識装置14に送信する。
【0017】
物体認識装置14は、カメラ10およびレーダ装置12のうち一部または全部による検出結果に対してセンサフュージョン処理を行って、物体の位置、種類、速度などを認識する。物体認識装置14は、カメラ10から受信した画像に画像処理を施すことによって、当該画像に映される歩行者、他車両、道路構造物(道路区画線や壁など)などを認識する。また、物体認識装置14は、レーダ装置12から受信した検出結果に基づいて、自車両Mの周辺に存在する歩行者、他車両、道路構造物(道路区画線や壁など)などを認識する。物体認識装置14は、認識結果を運転支援装置40に送信する。なお、物体認識装置14は、カメラ10のみで構成されてもよく、カメラ10から受信した画像に画像処理を施すことによって、物体の位置、種類、速度などを認識してもよい。
【0018】
車両センサ16は、自車両Mの速度を検出する車速センサ、加速度を検出する加速度センサ、鉛直軸回りの角速度を検出するヨーレートセンサ、自車両Mの向きを検出する方位センサ等を含む。
【0019】
運転操作子20は、例えば、ステアリングホイール22の他、アクセルペダル、ブレーキペダル、シフトレバー、その他の操作子を含む。運転操作子20には、操作量あるいは操作の有無を検出するセンサが取り付けられており、その検出結果は、運転支援装置40、もしくは、走行駆動力出力装置30、ブレーキ装置32、およびステアリング装置34のうち一部または全部に出力される。操作子は、必ずしも環状である必要は無く、異形ステアやジョイスティック、ボタンなどの形態であってもよい。
【0020】
走行駆動力出力装置30は、自車両Mが走行するための走行駆動力(トルク)を駆動輪に出力する。走行駆動力出力装置30は、例えば、内燃機関、電動機、および変速機などの組み合わせと、これらを制御するECU(Electronic Control Unit)とを備える。ECUは、運転支援装置40から入力される情報、或いは運転操作子20から入力される情報に従って、上記の構成を制御する。
【0021】
ブレーキ装置32は、例えば、ブレーキキャリパーと、ブレーキキャリパーに油圧を伝達するシリンダと、シリンダに油圧を発生させる電動モータと、ブレーキECUとを備える。ブレーキECUは、運転支援装置40から入力される情報、或いは運転操作子20から入力される情報に従って電動モータを制御し、制動操作に応じたブレーキトルクが各車輪に出力されるようにする。ブレーキ装置32は、運転操作子20に含まれるブレーキペダルの操作によって発生させた油圧を、マスターシリンダを介してシリンダに伝達する機構をバックアップとして備えてよい。なお、ブレーキ装置32は、上記説明した構成に限らず、運転支援装置40から入力される情報に従ってアクチュエータを制御して、マスターシリンダの油圧をシリンダに伝達する電子制御式油圧ブレーキ装置であってもよい。
【0022】
ステアリング装置34は、例えば、ステアリングECUと、電動モータとを備える。電動モータは、例えば、ラックアンドピニオン機構に力を作用させて転舵輪の向きを変更する。ステアリングECUは、運転支援装置40から入力される情報、或いは運転操作子20から入力される情報に従って、電動モータを駆動し、転舵輪の向きを変更させる。
【0023】
運転支援装置40は、物体認識装置14による認識結果に基づいて自車両Mの運転支援を行う。本実施形態において、「運転支援」とは、自車両Mが進行方向上に存在する物体との衝突を回避するため、または衝突速度を下げるために、自動的にブレーキ装置32を動作させる衝突被害軽減ブレーキ(AEB:Autonomous Emergency Braking)を指すものとする。より具体的には、運転支援部110は、物体認識装置14による認識結果に基づいて、自車両Mの進行方向上に歩行者や他車両などの物体が存在するか否かを判定し、自車両Mの進行方向上に物体が存在すると判定された場合には、物体認識装置14と車両センサ16とから取得された情報(例えば、物体までの相対距離と相対速度)に基づいて、自車両Mが当該物体に衝突するまでの時間である衝突余裕時間(TTC:Time To Collision)を計算し、当該衝突余裕時間が閾値未満である場合には、運転支援を作動させる。
【0024】
運転支援装置40は、さらに、自車両Mが、上方の構造物に対して通過可能に構成された交通経路であるアンダーパスを走行しているか否かを判定する。具体的には、例えば、運転支援装置40は、物体認識装置14が自車両Mの進行方向の左右に壁を検出した場合、物体認識装置14が自車両Mの進行方向に上り坂を検出した場合、自車両Mに格納される地図情報がアンダーパスの存在を示している場合などに、自車両Mがアンダーパスを走行していると判定する。
【0025】
[運転支援装置40の動作]
次に、
図2から
図4を参照して、本実施形態に係る運転支援装置40の動作について説明する。
図2は、運転支援装置40の動作が実行される場面の一例を示す図である。
図2は、自車両Mが車線L1を走行し、自車両Mの乗員がフロントウインドシールドFを通じて外界を認識している様子を表している。
図2において、車線L1と車線L2は交差しており、車線L1が上方の構造物に対して通過可能に構成された交通経路、すなわち、アンダーパスであり、車線L2が上側の交通経路である。RM1は、車線L1の左側の道路区画線を示し、RM2は、車線L1の右側の道路区画線を示す(以下、左側の道路区画線RM1と右側の道路区画線RM2とを区別しない場合、「道路区画線RM」と総称する場合がある)。Oは、車線L2が車線L1の上側に存在することによって形成される影を示す。車線L1は交通経路である必要はなく交通経路以外の構造物でも良い。
【0026】
比較例として、一般的に、AEB機能を有する車両がアンダーパスを走行する場合、物体認識装置が、
図2の影を他車両や歩行者などの物体Oとして認識し、AEBが作動される場合がある。その結果、実際には、車両の進行方向に他車両や歩行者が存在しないにも関わらず、当該車両はブレーキをかけられ、乗員が違和感を持つことがある。
【0027】
そこで、本実施形態に係る運転支援装置40は、自車両Mがアンダーパスを走行していると判定した場合、認識した物体Oの輪郭線の一部と道路区画線RMの一致度を判定し、当該一致度が閾値以上である場合に、運転支援の作動を抑制する。これは、一般的に、物体Oとして誤認識される影の輪郭線は、道路区画線RMと重なる傾向があるためである。なお、この場合の「抑制する」とは、運転支援を作動させないことや、通常よりも程度を低くして運転支援を作動させる(例えば、ブレーキを弱くかける)ことを意味する。
【0028】
図3は、運転支援装置40が、認識した物体Oの輪郭線の一部と道路区画線RMの一致度を判定する一例を示す図である。
図3において、P1、P2、P3、およびP4は認識した物体Oの端点を示し、BL1は点P1と点P2とを結ぶ線分を示し、BL2は点P3と点P4とを結ぶ線分を示す。線分BL1と線分BL2は、認識した物体Oの輪郭線のうち、道路区画線RMと略平行な部分であり、「輪郭線の一部」の一例である。d1は線分BL1と道路区画線RM1との間の距離を示し、d2は線分BL2と道路区画線RM2との間の距離を示す。
【0029】
運転支援装置40は、距離d1及び/又は距離d2が所定値以内であるとき、認識した物体Oの輪郭線の一部と道路区画線RMの一致度が閾値以上であると判定し、運転支援を抑制する。一般的に、車両や歩行者の幅は車線の幅よりも小さく一致度は閾値未満になるため、一致度が閾値以上である場合に運転支援を抑制することにより、物体の誤認識に起因するAEBの作動を防ぐことができる。
【0030】
運転支援装置40は、さらに、認識した物体Oの輪郭線の一部の延長線上に消失点が存在するか否かを判定し、認識した物体Oの輪郭線の一部の延長線上に消失点が存在すると判定された場合、運転支援を抑制する。これは、一般的に、道路区画線RMの延長線は消失点を形成するものであり、そのため、道路区画線RMとの一致度が高い影も、その輪郭線の一部の延長線は消失点を形成する傾向があるためである。
【0031】
図4は、運転支援装置40が、認識した物体Oの輪郭線の一部の延長線上に消失点が存在するか否かを判定する一例を示す図である。運転支援装置40は、認識した物体Oの輪郭線の一部である線分BL1と線分BL2とを、自車両Mの進行方向の奥側に延長し、これらの二つの線分BL1及びBL2の延長戦が消失点VPを形成する場合に、運転支援を抑制する。一般的に、認識した車両や歩行者の境界線を延長しても消失点は形成されないため、消失点が形成される場合に運転支援を抑制することにより、物体の誤認識に起因するAEBの作動を防ぐことができる。
【0032】
[運転支援装置40の動作の流れ]
次に、
図5を参照して、運転支援装置40によって実行される処理の流れを説明する。
図5は、運転支援装置40によって実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、自車両Mが走行中、所定の制御サイクルで実行されるものである。
【0033】
まず、運転支援装置40は、自車両Mがアンダーパスを走行しているか否かを判定する(ステップS100)。自車両Mがアンダーパスを走行していると判定されなかった場合、運転支援装置40は本フローチャートの処理を終了する。一方、自車両Mがアンダーパスを走行していると判定された場合、運転支援装置40は、物体認識装置14から取得した認識結果に基づいて、物体認識装置14が自車両Mの進行方向上に物体を認識したか否かを判定する(ステップS101)。物体認識装置14が自車両Mの進行方向上に物体を認識していないと判定された場合、運転支援装置40は本フローチャートの処理を終了する。一方、物体認識装置14が自車両Mの進行方向上に物体を認識したと判定された場合、運転支援装置40は、認識した物体の境界線の一部と道路区画線との一致度は閾値以上であるか否かを判定する(ステップS102)。
【0034】
認識した物体の境界線の一部と道路区画線との一致度が閾値以上であると判定された場合、運転支援装置40は、運転支援の作動を抑制する(ステップS103)。一方、認識した物体の境界線の一部と道路区画線との一致度が閾値未満であると判定された場合、運転支援装置40は、次に、認識した物体の境界線の一部の延長線上に消失点が存在するか否かを判定する(ステップS104)。認識した物体の境界線の一部の延長線上に消失点が存在しないと判定された場合、運転支援装置40は本フローチャートの処理を終了する。一方、認識した物体の境界線の一部の延長線上に消失点が存在すると判定された場合、運転支援装置40は、運転支援の作動を抑制する。これにより、本フローチャートの処理が終了する。
【0035】
なお、上記のフローチャートにおいては、ステップS102の判定が実行された後に、ステップS104の判定が実行されているが、この順序は逆であってもよい。また、上記のフローチャートにおいては、ステップS102の判定とステップS104の判定とのいずれかが肯定的である場合に、運転支援の作動を抑制すると判定されているが、代替的に、両方の判定が肯定的である場合に、運転支援の作動を抑制すると判定されてもよい。
【0036】
以上の通り説明した本実施形態によれば、自車両Mがアンダーパスを走行していると判定された場合、認識した外部の物体の境界線の一部と道路区画線との一致度や、当該境界線の延長線上に消失点が存在するか否かに基づいて、運転支援の作動を抑制する。これにより、車両が上方の構造物に対して通過可能に構成された交通経路であるアンダーパスを走行する際の物体の誤認識に基づく運転支援の作動を低減することができる。
【0037】
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
プログラムを記憶した記憶装置と、
ハードウェアプロセッサと、を備え、
前記ハードウェアプロセッサが前記記憶装置に記憶されたプログラムを実行することにより、
車両に搭載されたレーダ装置と撮像装置の少なくとも一つによる検出結果に基づいて、前記車両の外部に存在する物体を認識し、
認識結果に基づいて前記車両の運転支援を行い、
前記物体の輪郭線の一部と道路区画線の一致度を判定し、前記一致度が閾値以上である場合に、前記運転支援の作動を抑制する、
ように構成されている、運転支援システム。
【0038】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0039】
10 カメラ
12 レーダ装置
14 物体認識装置
16 車両センサ
20 運転操作子
22 ステアリングホイール
30 走行駆動力出力装置
32 ブレーキ装置
34 ステアリング装置
40 運転支援装置