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特開2022-154889費用精算支援装置、費用精算支援方法および費用精算支援用プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154889
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】費用精算支援装置、費用精算支援方法および費用精算支援用プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/10 20120101AFI20221005BHJP
【FI】
G06Q10/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021058149
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】504091234
【氏名又は名称】株式会社無限
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平井 東太
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA11
(57)【要約】
【課題】少ない作業負荷で費用精算を正しく処理し、かつ利用者に優れた利便性を提供する。
【解決手段】交通機関の利用履歴を記録する記録装置から読み出された実積記録を申請者端末から受け取る(ステップ100)。実積記録に含まれる夫々の記録について費用の区分を予測して申請者端末に戻す。前記記録が、申請者の私用によるものと判断する条件を満たす場合に(ステップ120)、当該記録を費用精算の対象から除外する(ステップ124)。データベース(68、70)から前記申請者の通勤経路に関する情報を読み出して、当該情報に基づいて前記記録が通勤費に該当すると予測される場合に(ステップ130)、当該記録に通勤費の区分を与える。データベース(72)から前記申請者の訪問先となる顧客に関する情報を読み出して、当該情報に基づいて前記記録が業務交通費に該当すると予測される場合に(ステップ142)、当該記録に業務交通費の区分を与える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通機関の利用履歴を記録する記録装置から読み出された実積記録を利用して費用精算に関する処理を支援する費用精算支援装置であって、
プロセッサユニットと、
前記プロセッサユニットが実行するプログラムを格納したメモリ装置と、を備え、
前記プロセッサユニットは、
前記記録装置から読み出された前記実積記録を申請者端末から受け取る処理と、
前記実積記録に含まれる夫々の記録について費用の区分を予測する費用判定処理と、
前記予測の結果を前記申請者端末に電子的に提供する処理と、を実行し、
前記費用判定処理は、
前記記録が、申請者の私用によるものと判断する条件を満たす場合に、当該記録を費用精算の対象から除外する処理と、
データベースから前記申請者の通勤経路に関する情報を読み出して、当該情報に基づいて前記記録が通勤費に該当すると予測される場合に、当該記録に通勤費の区分を与える処理と、
データベースから前記申請者の訪問先となる顧客に関する情報を読み出して、当該情報に基づいて前記記録が業務交通費に該当すると予測される場合に、当該記録に業務交通費の区分を与える処理と、
を含む費用精算支援装置。
【請求項2】
前記費用判定処理は、
前記申請者の出勤日に関する情報を取得する処理と、
前記記録が、前記出勤日のものであるか否かを判断する処理と、
前記出勤日のものではないと判断された記録を、前記通勤費の対象および前記業務交通費の対象から外す処理と、
を含む請求項1に記載の費用精算支援装置。
【請求項3】
前記プロセッサユニットは、
前記実積記録に、前記予測の結果と、前記申請者が必要と認めた区分の変更と、を反映させて生成された費用の申請を前記申請者端末から受け取る処理と、
前記申請者によって区分が変更された記録を学習する処理と、を更に実行し、
前記費用判定処理は、当該学習の結果に基づいて前記記録の費用の区分を予測する処理を更に含む請求項1または2に記載の費用精算支援装置。
【請求項4】
前記プロセッサユニットは、
前記実積記録に、前記予測の結果と、前記申請者が必要と認めた区分の変更とが反映された情報を含む費用の申請を前記申請者端末から受け取る処理と、
前記申請を、当該申請の承認者に電子的に提供する処理と、
前記承認者による前記申請の差戻しおよび承認を電子的に受け付ける処理と、
前記差戻しを受けた記録および前記承認を受けた記録を学習する処理と、を更に実行し、
前記費用判定処理は、
当該学習の結果に基づいて、前記記録の経路が承認されない経路であるか否かを判断する処理と、
当該経路が承認されない経路である場合に、当該記録を前記通勤費の対象および前記業務交通費の対象から外す処理と、
を含む請求項1乃至3の何れか1項に記載の費用精算支援装置。
【請求項5】
前記プロセッサユニットは、
前記実積記録に、前記予測の結果と、前記申請者が必要と認めた区分の変更とが反映された情報を含む費用の申請を前記申請者端末から受け取る処理と、
前記申請を、当該申請の承認者に電子的に提供する処理と、
前記承認者による前記申請の差戻しおよび承認を電子的に受け付ける処理と、
前記差戻しを受けた記録および前記承認を受けた記録に基づいて、承認される顧客と承認されない顧客を学習する処理と、を更に実行し、
前記費用判定処理は、
当該学習の結果に基づいて、前記記録に関する顧客が承認されない顧客であるか否かを判断する処理と、
当該顧客が承認されない顧客である場合に、当該記録を前記業務交通費の対象から外す処理と、
を含む請求項1乃至4の何れか1項に記載の費用精算支援装置。
【請求項6】
前記プロセッサユニットは、前記申請について前記承認を受けた場合に、
当該申請に含まれる記録のうち、前記通勤費の区分が付されたものに対応する金額を、前記申請者に支払うように、前記通勤費を管理する社内システムに求める処理と、
当該申請に含まれる記録のうち、前記業務交通費の区分が付されたものに対応する金額を、前記申請者に支払うように、前記業務交通費を管理する社内システムに求める処理と、
を実行する請求項4または5に記載の費用精算支援装置。
【請求項7】
前記プロセッサユニットは、
スケジューラから読み出された予定記録を前記申請者端末から受け取る処理と、
前記予定記録に含まれる夫々の記録について費用の区分を予測する予定費用判定処理と、
前記予測の結果を前記申請者端末に電子的に提供する処理と、
前記予定記録に、前記予測の結果と、前記申請者が必要と認めた区分の変更とが反映された仮払い申請を前記申請者端末から受け取る処理と、
前記仮払い申請を、当該仮払い申請の承認者に電子的に提供する処理と、
前記承認者による前記仮払い申請の承認を電子的に受け付ける処理と、を実行し、
前記予定費用判定処理は、
前記記録が通勤費に該当すると予測される場合に、当該記録に通勤費の区分を与える処理と、
前記記録が業務交通費に該当すると予測される場合に、当該記録に業務交通費の区分を与える処理と、
を含む請求項1乃至6の何れか1項に記載の費用精算支援装置。
【請求項8】
前記プロセッサユニットは、前記仮払い申請について前記承認を受けた場合に、
当該仮払い申請に含まれる記録のうち、前記通勤費の区分が付されたものに対応する金額を、前記申請者に仮払いするように、前記通勤費を管理する社内システムに求める処理と、
当該仮払い申請に含まれる記録のうち、前記業務交通費の区分が付されたものに対応する金額を、前記申請者に支払うように、前記業務交通費を管理する社内システムに求める処理と、
を実行する請求項7に記載の費用精算支援装置。
【請求項9】
交通機関の利用履歴を記録する記録装置から読み出された実積記録を利用して費用精算に関する処理を支援する費用精算支援方法であって、
前記記録装置から読み出された前記実積記録を申請者端末から受け取るステップと、
前記実積記録に含まれる夫々の記録について費用の区分を予測する費用判定ステップと、
前記予測の結果を前記申請者端末に電子的に提供するステップと、
前記実積記録に、前記予測の結果と、申請者が必要と認めた区分の変更とが反映された情報を含む費用の申請を前記申請者端末から受け取るステップと、
前記申請を、当該申請の承認者に電子的に提供するステップと、
前記承認者による前記申請の差戻しおよび承認を電子的に受け付けるステップと、を含み、
前記費用判定ステップは、
前記記録が、前記申請者の私用によるものと判断する条件を満たす場合に、当該記録を費用精算の対象から除外するステップと、
データベースから前記申請者の通勤経路に関する情報を読み出して、当該情報に基づいて前記記録が通勤費に該当すると予測される場合に、当該記録に通勤費の区分を与えるステップと、
データベースから前記申請者の訪問先となる顧客に関する情報を読み出して、当該情報に基づいて前記記録が業務交通費に該当すると予測される場合に、当該記録に業務交通費の区分を与えるステップと、を含み、
当該方法は、
前記承認を受けた申請に含まれる記録のうち、前記通勤費の区分が付されたものに対応する金額を、前記申請者に支払うように、前記通勤費を管理する社内システムに求めるステップと、
前記承認を受けた申請に含まれる記録のうち、前記業務交通費の区分が付されたものに対応する金額を、前記申請者に支払うように、前記業務交通費を管理する社内システムに求めるステップと、を更に含む費用精算支援方法。
【請求項10】
交通機関の利用履歴を記録する記録装置から実積記録を読み出す記録読み出し機能を備えた申請者端末にインストールされて用いられる費用精算支援用プログラムであって、
前記申請者端末が備えるプロセッサユニットに、
前記記録読み出し機能を用いて、前記記録装置から前記実積記録を読み出させる処理と、
前記実積記録を、費用精算支援装置に送信する処理と、
前記費用精算支援装置が、前記実積記録に含まれる夫々の記録について予測した費用の区分の情報を受け取る処理と、
前記実積記録に前記費用の区分を反映させた情報画面を前記申請者端末が備えるディスプレイに表示させる処理と、
前記情報画面に含まれる記録の夫々について申請者による区分の変更を受け付ける処理と、
前記実積記録に、前記予測の結果と、前記申請者が必要と認めた区分の変更とが反映された情報を含む費用の申請を前記費用精算支援装置に送信する処理と、を実行させるプログラムを含み、
前記予測の結果には、費用精算の対象から除外される区分と、通勤費の区分と、業務交通費の区分とが含まれる費用精算支援用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、費用精算支援装置、費用精算支援方法および費用精算支援用プログラムに係り、特に、通勤費および業務交通費の精算支援に適した費用精算支援装置、費用精算支援方法および費用精算支援用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記の非特許文献1には、業務交通費の精算処理を支援するシステムが開示されている。近年では、コロナ禍への対応としてテレワークによる勤務形態が浸透しつつある。テレワークの普及に伴い、従業員の通勤費を定期代として支給する方式から、出勤日数に応じた実費で精算する方式に切り替える流れが生じている。
【0003】
非特許文献1は、下記の運用に従うシステムを開示している。
1.従業員に法人用のクレジットカードまたはプリペイドカードを支給する。
2.従業員は、それらを、私用で用いることのない業務用のモバイルSuica(登録商標)等(以下「業務決済システム」とする)に連携させ、その業務決済システムで通勤費を支払う。
3.上記の業務決済システムで支払われた経費は、経費精算アプリに自動的に取り込まれる。
4.従業員は、取り込まれた経費データを管理者に送信する。
5.管理者は、データをチェックし、チェック後のデータを経理システムに送信する。
【0004】
上記のシステムによれば、通勤費の精算に伴う従業員および管理者の負担軽減を図りつつ、企業は、通勤費の実費を正確に負担することができる。このため、非特許文献1に記載のシステムによれば、通勤費を実費で支払う方式を採用する企業において、経費精算に伴う作業負担を大きく軽減することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】NTT Com、交通費も経費も自動精算する「SmartGo Staple」、Impress Watch、清宮信志、2020年9月30日、https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1280043.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、非特許文献1に記載のシステムは、上記の通り、従業員に法人用のクレジットカードまたはプリペイドカードを支給することを前提としている。また、このシステムは、従業員に、私用で用いることのない業務決済システムで通勤費を支払うことを求めている。
【0007】
全ての従業員に法人用のクレジットカード等を支給することは必ずしも容易ではない。また、私用に用いるモバイルSuica(登録商標)と、業務決済システムとを使い分ける運用は、従業員にとって必ずしも使い易いものではない。
【0008】
この開示は、上述のような課題を解決するためになされたもので、少ない作業負荷で費用精算を正しく処理することができ、かつ利用者にとって優れた利便性を提供することのできる費用精算支援装置を提供することを第1の目的とする。
また、この開示は、少ない作業負荷で費用精算を正しく処理することができ、かつ利用者にとって優れた利便性を提供することのできる費用精算支援方法を提供することを第2の目的とする。
また、この開示は、少ない作業負荷で費用精算を正しく処理することができ、かつ利用者にとって優れた利便性を提供することのできる費用精算支援用プログラムを提供することを第3の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様は、上記の目的を達成するため、交通機関の利用履歴を記録する記録装置から読み出された実積記録を利用して費用精算に関する処理を支援する費用精算支援装置であって、
プロセッサユニットと、
前記プロセッサユニットが実行するプログラムを格納したメモリ装置と、を備え、
前記プロセッサユニットは、
前記記録装置から読み出された前記実積記録を申請者端末から受け取る処理と、
前記実積記録に含まれる夫々の記録について費用の区分を予測する費用判定処理と、
前記予測の結果を前記申請者端末に電子的に提供する処理と、を実行し、
前記費用判定処理は、
前記記録が、申請者の私用によるものと判断する条件を満たす場合に、当該記録を費用精算の対象から除外する処理と、
データベースから前記申請者の通勤経路に関する情報を読み出して、当該情報に基づいて前記記録が通勤費に該当すると予測される場合に、当該記録に通勤費の区分を与える処理と、
データベースから前記申請者の訪問先となる顧客に関する情報を読み出して、当該情報に基づいて前記記録が業務交通費に該当すると予測される場合に、当該記録に業務交通費の区分を与える処理と、
を含むことが望ましい。
【0010】
また、第2の態様は、交通機関の利用履歴を記録する記録装置から読み出された実積記録を利用して費用精算に関する処理を支援する費用精算支援方法であって、
前記記録装置から読み出された前記実積記録を申請者端末から受け取るステップと、
前記実積記録に含まれる夫々の記録について費用の区分を予測する費用判定ステップと、
前記予測の結果を前記申請者端末に電子的に提供するステップと、
前記実積記録に、前記予測の結果と、申請者が必要と認めた区分の変更とが反映された情報を含む費用の申請を前記申請者端末から受け取るステップと、
前記申請を、当該申請の承認者に電子的に提供するステップと、
前記承認者による前記申請の差戻しおよび承認を電子的に受け付けるステップと、を含み、
前記費用判定ステップは、
前記記録が、前記申請者の私用によるものと判断する条件を満たす場合に、当該記録を費用精算の対象から除外するステップと、
データベースから前記申請者の通勤経路に関する情報を読み出して、当該情報に基づいて前記記録が通勤費に該当すると予測される場合に、当該記録に通勤費の区分を与えるステップと、
データベースから前記申請者の訪問先となる顧客に関する情報を読み出して、当該情報に基づいて前記記録が業務交通費に該当すると予測される場合に、当該記録に業務交通費の区分を与えるステップと、を含み、
当該方法は、
前記承認を受けた申請に含まれる記録のうち、前記通勤費の区分が付されたものに対応する金額を、前記申請者に支払うように、前記通勤費を管理する社内システムに求めるステップと、
前記承認を受けた申請に含まれる記録のうち、前記業務交通費の区分が付されたものに対応する金額を、前記申請者に支払うように、前記業務交通費を管理する社内システムに求めるステップと、を更にことが望ましい。
【0011】
また、第3の態様は、交通機関の利用履歴を記録する記録装置から実積記録を読み出す記録読み出し機能を備えた申請者端末にインストールされて用いられる費用精算支援用プログラムであって、
前記申請者端末が備えるプロセッサユニットに、
前記記録読み出し機能を用いて、前記記録装置から前記実積記録を読み出させる処理と、
前記実積記録を、費用精算支援装置に送信する処理と、
前記費用精算支援装置が、前記実積記録に含まれる夫々の記録について予測した費用の区分の情報を受け取る処理と、
前記実積記録に前記費用の区分を反映させた情報画面を前記申請者端末が備えるディスプレイに表示させる処理と、
前記情報画面に含まれる記録の夫々について申請者による区分の変更を受け付ける処理と、
前記実積記録に、前記予測の結果と、前記申請者が必要と認めた区分の変更とが反映された情報を含む費用の申請を前記費用精算支援装置に送信する処理と、を実行させるプログラムを含み、
前記予測の結果には、費用精算の対象から除外される区分と、通勤費の区分と、業務交通費の区分とが含まれることが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
第1の態様によれば、記録装置から読み出した実積記録の夫々につき費用の区分を予測することができる。費用精算の申請者が、その結果を利用することができるため、本態様によれば、少ない作業負荷で費用精算を正しく処理することができ、かつ利用者にとって優れた利便性を提供することができる。
【0013】
第2の態様によれば、記録装置から読み出した実積記録の夫々につき費用の区分を予測し、申請と承認を経て、通勤費と業務交通費の精算を簡単に行うことができる。このため、本態様によれば、少ない作業負荷で費用精算を正しく処理することができ、かつ利用者にとって優れた利便性を提供することができる。
【0014】
第3の態様によれば、申請者端末に、記録装置から読み出した実積記録を費用精算支援装置に向けて送信させることができる。また、申請者端末に、費用区分の予測結果を受信させることができる。そして、申請者は、受け取った結果に必要な修正を施すことで、通勤費と業務交通費の費用精算を簡単に申請することができる。このため、本態様によれば、少ない作業負荷で費用精算を正しく処理することができ、かつ利用者にとって優れた利便性を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示の実施の形態1の費用精算支援システムの概要を説明するための図である。
図2図1に示す申請者端末に費用区分の予測結果が表示されるまでの動作例を説明するための図である。
図3図1に示す費用精算支援装置が提供する承認一覧画面の例を説明するための図である。
図4図1に示す費用精算支援システムのスケジューラ利用機能を説明するための図である。
図5図1に示す費用精算支援システムの構成を機能的に説明するためのブロック図である。
図6図5に示す費用判定部が実行する処理の流れを説明するためのフローチャートである。
図7図5に示す費用精算支援システムが、費用判定部による予測の結果を受けて実行する処理の流れを説明するためのフローチャート(その1)である。
図8図5に示す費用精算支援システムが、費用判定部による予測の結果を受けて実行する処理の流れを説明するためのフローチャート(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施の形態1.
[実施の形態1の概要]
図1は、本開示の実施の形態1の費用精算支援システム10の概要を説明するための図である。図1に示すように本実施形態の費用精算支援システム10は申請者端末20を備えている。申請者端末20は、典型的には、費用精算の申請者が所持するスマートフォンで構成される。また、申請者は、企業の従業員であるものとする。
【0017】
費用精算支援システム10は、また、費用精算支援装置30を備えている。費用精算支援装置30は、クラウド上に準備されており、ネットワークを介して申請者端末20とデータを授受することができる。費用精算支援装置30は、演算処理を行うプロセッサユニット、データを格納するメモリ装置、並びに各種のインターフェースを備えている。費用精算支援装置30の主たる機能は、プロセッサユニットが、メモリ装置に格納されているプログラムに沿って処理を進めることにより実現される。
【0018】
費用精算支援装置30には、費用精算を処理する企業の担当者が、夫々の端末(図示せず)からアクセスすることができる。図1は、申請の承認者となる上長、人事総務の担当者、並びに経理の担当者が費用精算支援装置30を利用する例を示している。費用精算支援装置30は、図1に示すように、企業の給与システム40や経理システム50と連携させて、それらとの間でデータを授受することもできる。
【0019】
図2は、費用精算の申請に伴って申請者端末20に費用区分の予測結果が表示されるまでの動作例を説明するための図である。申請者端末20は、カードリーダーの機能を備えており、Suica(登録商標)、Pasmo(登録商標)等の交通系ICカードから利用履歴を読み取ることができる。
【0020】
図2の左側は、申請者端末20にインストールされている費用精算アプリが起動されて、「ICカードを背面にかざしてスキャンしてください」とのメッセージがディスプレイに表示された状態を示している。交通系ICカードを背面にかざして、ディスプレイ上の「読み取り」表示がタップされると、その交通系ICカードに記録されている利用記録が申請者端末20に読み込まれる。
【0021】
利用記録には、例えば以下のような情報が含まれている。
1.利用日付
2.物販利用と交通利用の別
3.金額
4.交通利用の場合の入場場所および出場場所
【0022】
申請者端末20に読み込まれた利用記録は、費用精算支援装置30に送信される。費用精算支援装置30は、送信されてきた利用記録を後述する各種のデータと照らし合わせて、利用記録の夫々が「通勤費」に当たるのか、「業務交通費」にあたるのか、それらに該当しない「その他」に当たるのかを予測する。費用精算支援装置30は、全ての利用記録について予測を終えると、その結果を申請者端末20に返信する。
【0023】
図2の右側は、申請者端末20のディスプレイに、費用精算支援装置30から返信されてきた予測の結果が表示されている様子を示している。ここには、具体的には、以下のような情報が表示されている。
1.利用日付
2.入場場所および出場場所
3.金額
4.区分予測の結果
区分予測の結果は、ここでは、「利用日付」と「金額」を区分別に色分けすることなどにより表示されている。
【0024】
申請者は、図2の右側に示す予測の結果に対して、必要な修正を施すことができる。例えば、業務上の移動に対応する記録が「その他」に分類されていた場合は、その利用記録を「業務交通費」に修正することができる。申請者は、必要な修正を施した後、「本申請」をタップすることで、修正後の記録で費用精算を申請することができる。
【0025】
図3は、上記の申請を受けて費用精算支援装置30が提供する承認一覧画面の例を説明するための図である。企業における経費は、経費の区分毎に異なる部署で管理されることがある。本実施形態では、日々の通勤のための「通勤費」が人事総務部署で管理され、客先訪問、出張等に伴う業務移動のための「業務交通費」が経理部署で管理されている場合に対応して、両者を区別する設定が費用精算支援装置30に施されている。
【0026】
図3下段左側は、通勤費に関する承認一覧32を示す。また、図3下段右側は、業務交通費に関する承認一覧34を示す。費用精算支援装置30は、申請者端末20からの申請を受けると、通勤費に関する記録を抽出して通勤費の承認一覧32を作成すると共に、業務交通費に関する記録を抽出して業務交通費の承認一覧34を作成する。
【0027】
費用申請の承認権限を持つ上長は、クラウド上で承認一覧32、34にアクセスし、それらについて「差戻し」または「承認」を行う。例えば、承認一覧32、34の中に承認できない記録が含まれている場合は、「差戻し」をタップすることで今回の申請を差戻すことができる。「差戻し」の処理が行われると、申請者にその結果が通知される。この際、承認者は、否認する記録に付されているチェックボックスにチェックを入れて「差戻し」を行うことができる。これにより、費用精算支援装置30は、何れの記録が承認を受けられないものであるかを認識することができ、その認識の結果を後の学習に反映させることができる。
【0028】
全ての記録が承認できるものである場合は、承認者は、「承認」をタップすることで今回の申請を承認することができる。「承認」の処理が行われると、通勤費に関する申請は人事総務の担当者に、また、業務交通費に関する申請は経理の担当者に、夫々送信される。
【0029】
図4は、本実施形態の費用精算支援システム10のスケジューラ利用機能を説明するための図である。申請者端末20にインストールされている費用精算アプリには、スケジューラとの連携機能が備わっている。図4左側は、クラウド上で提供される既存のスケジューラ60のカレンダー画面を示す。
【0030】
スケジューラ60の利用者は、例えば、下記のような情報をスケジューラ60に登録することができる。
1.出社、テレワーク、訪問、休暇に関する予定
2.訪問先情報(所在地、移動経路等)
【0031】
申請者は、費用精算アプリのスケジューラ利用機能を利用して、スケジューラ60に登録されている情報を申請者端末20に読み込むことができる。この場合、申請者端末20は、スケジューラ60から読み込んだ情報に基づいて、出社に係る交通費と、訪問に係る業務交通費の予定記録を作成することができる。申請者は、例えば月末にこの記録を提出することで、当月分の費用精算を簡単に申請することができる。或いは、申請者は、例えば向こう一月分のスケジュールに基づく予定記録を月初に提出することで、一月分の経費の仮払いを求めることができる。このような運用によれば、通勤費や業務交通費の建て替えによる従業員の負担を実質的に解消することができる。
【0032】
[実施の形態1の構成]
図5は、本実施形態の費用精算支援システム10の構成を機能的に説明するためのブロック図である。図5において、破線で囲まれた部分は、図1に示す費用精算支援装置30の機能に相当している。それらの機能は、上記の通り、費用精算支援装置30の内部で、プロセッサユニットがメモリ装置に格納されたプログラムに沿って処理を進めることにより実現される。
【0033】
費用精算支援装置30は、費用判定部100を備えている。費用判定部100は、申請者端末20から送られてくる利用記録に含まれる個々の記録が、「通勤費」「業務交通費」「その他」の何れに当たるかを予測する機能を有している。
【0034】
費用判定部100は、スケジューラ60の情報を取り込むことができる。この情報は、図4を参照して説明した通り、予定記録として取り込まれる。但し、スケジューラ60の情報を取り込む形式はこれに限定されるものではない。例えば、費用判定部100は、申請者端末20からの申請に含まれる記録との照合のために、申請者端末20を介することなく、スケジューラ60の情報を直接取り込んでもよい。
【0035】
費用判定部100は、交通履歴情報データベース(DB)62に格納されている利用記録、および交通系ICカード64に格納されている利用記録の情報を取り込むことができる。交通履歴情報DB62は、交通系ICカード64の発行元である交通機関等が管理しているデータベースである。例えば、モバイルSuica(登録商標)、Pasmo(登録商標)等のデータを管理しているデータベースがこれに当たる。
【0036】
交通機関に運賃を支払う手法としては、決済時に交通系ICカード64そのものを読み取り機にかざす手法の他に、モバイルSuica(登録商標)等のアプリを携帯端末にインストールし、その携帯端末を読み取り機にかざす手法が普及している。後者の場合は、利用記録が交通履歴情報DB62に保管される。
【0037】
本実施形態では、費用の申請者、つまり企業の従業員に、交通系ICカード64そのものを用いる決済手法に加えて、携帯端末をかざす決済手法の使用を認めている。そして、申請者端末20にインストールされている費用精算アプリには、交通系ICカード64から取り込んだ利用記録を費用精算支援装置30に提供する機能に加えて、交通履歴情報DB62から読み出した利用記録を費用精算支援装置30に提供する機能が実装されている。
【0038】
費用判定部100は、また、交通費情報DB66から交通費の情報を取り込むことができる。交通費情報DB66には、任意の入場箇所から任意の出場箇所までの移動に係る運賃の情報が格納されている。
【0039】
費用判定部100は、更に、社員情報DB68、企業情報DB70および顧客情報DB72等の各種DBから、必要な情報を取り込むことができる。社員情報DB68には、従業員の夫々について、住所、最寄り駅、通勤経路、所属部署、取引先を含む外部の関係先等の情報が格納されている。企業情報DB70には、当該企業の所在地、最寄り駅、営業日等の情報が格納されている。また、顧客情報DB72には、取り引きのある顧客の所在地、最寄り駅等の情報が格納されている。
【0040】
費用判定部100は、交通系ICカード64等から取り込んだ利用記録の夫々が、つまり、申請者端末20から送信されてきた利用記録の夫々が、何れの費用区分に属するかを予測する。そして、その予測の結果を、図2を参照して説明した通り、申請者端末20に返送する。
【0041】
申請者端末20は、費用申請部22を備えている。費用精算支援装置30の費用判定部100から戻された予測の結果は費用申請部22において処理される。費用申請部22は、申請者端末20にインストールされている費用精算アプリにより実現されている。申請者は、費用申請部22の機能により、費用判定部100から受け取った予測の結果を確認し、必要があれば、その結果を修正することができる。申請者は、その確認の後に、通勤費および業務交通費の本申請を費用精算支援装置30に送信する。
【0042】
費用精算支援装置30は、費用承認部102を備えている。費用承認部102は、図3を参照して説明した承認一覧32、34を生成すると共に、上長による「差戻し」または「承認」の処理を受けて、それらに対応する処理を実行する。具体的には、「差戻し」の処理がなされた場合は申請を申請者に差戻す。また、「承認」の処理がなされた場合は、通勤費の申請を通勤費処理部42に送信し、業務交通費の申請を業務交通費処理部52に送信する。
【0043】
通勤費処理部42は、通勤費を管理する人事総務部署の給与システム40に組み込まれている。また、業務交通費処理部52は、業務交通費を管理する経理システム50に組み込まれている。以後、それらの機能により、通勤費および業務交通費の実積に対する支払い、或いはそれらの予測に対する仮払いが行われる。
【0044】
費用精算支援装置30は実積格納部104を備えている。費用申請部22による申請の実積、並びに費用承認部102による承認の実積は、実積格納部104に格納される。費用精算支援装置30は、また、履歴学習部106、データ更新部108および学習情報DB110を備えている。費用精算支援装置30は、履歴学習部106の機能により、例えば、申請者が区分を変更した記録の情報、承認が得られた記録の情報、或いは承認が得られなかった記録の情報等を学習する。そして、データ更新部108の機能により、それらの学習の結果が学習情報DB110に反映される。学習情報DB110に格納された情報は、費用判定部100にフィードバックされる。
【0045】
[実施の形態1の動作]
以下、図6乃至図8を参照して、本実施形態の費用精算支援システム10において実行される具体的な処理について説明する。
【0046】
図6は、費用精算支援装置30が、費用判定部100の機能を実現するために実行する処理の流れを説明するためのフローチャートである。図6に示す処理は、申請者端末20が、交通系ICカード64等から読み込んだ利用記録を、区分の予測を求めて費用精算支援装置30に送信してくることにより開始される。
【0047】
申請者端末20からは、上記の通り、交通履歴情報DB62または交通系ICカード64から読み出された利用記録が送信されてくることがある。また、申請者が仮払いを求める場合は、スケジューラ60から読み出された予定記録が送信されてくる。以下、両者を区別する必要がある場合は、後者と区別するために前者を「実積記録」と称する。
【0048】
費用判定部100の処理が開始されると、先ず、実積記録の夫々、或いは予定記録の夫々につき、移動と物販の何れに関するものであるかが判別される(ステップ120)。予定記録には物販に関する記録は含まれていない。このため、受信した記録が予定記録である場合は、全ての記録が「移動」に関するものと判別される。他方、実積記録には、移動と物販の別を示す情報が各項に付されている。このため、受信した記録が実積記録である場合は、その情報に基づいて移動と物販が区別される。本実施形態では、物販を経費の対象としていない。このため、物販と判断された記録は、以下の処理対象から除外される(ステップ124)。
【0049】
上記の処理が終わると、次に、判断の対象となる各記録が、休日の利用に係るものであるか否かが判別される(ステップ126)。実積記録或いは予定記録の日付が休日であるか否かは、例えば、以下のような情報に基づいて判断される。
1.企業情報に格納されている営業日カレンダー
2.スケジューラ60から読み出された勤怠情報
【0050】
具体的には、スケジューラ60に「休暇」と登録されている日は「休日」と判断される。「テレワーク」と登録されている日も、通勤費の支給対象日から外れるため、便宜上「休日」と判断される。企業情報DB70で非営業日とされている日も原則として「休日」と判断される。但し、非営業日であってもスケジューラ60に休日出勤が登録されている日は「出勤日」と判断される。
【0051】
上記の処理により利用日が「休日」であると判別された記録は、通勤費にも業務交通費にも当たらないため、「その他」に分類される(ステップ128)。
【0052】
次に、処理の対象として残った記録の夫々について、通勤経路と整合するか否かが判別される(ステップ130)。具体的には、下記の条件を満たす記録は、通勤経路と整合すると判断される。
1.社員情報DB68に登録されている通勤経路と、入場箇所および出場箇所が整合する記録
2.社員情報DB68に登録されている社員住所の最寄り駅および企業情報DB70に登録されている企業所在地の最寄り駅が、入場箇所および出場箇所と整合する記録
3.社員情報DB68に、学習により追加された通勤経路と、入場箇所および出場箇所が整合する記録
【0053】
上記の判別の結果、通勤経路と整合すると判別された記録は「通勤費」に分類される(ステップ132)。
【0054】
上記ステップ130で通勤経路と整合しないと判別された記録には、業務交通費の区分が仮に割り当てられる。そして、それらの記録については、次に、区分変更ルートに該当するかが判別される(ステップ134)。区分変更ルートとは、申請者による区分変更が認められたルートである。この判別は、後に説明する学習の結果に基づいて行われる。
【0055】
申請者の区分変更が認められている場合は、その変更後の区分が適切なものである可能性が高いと判断できる。従って、区分変更ルートと判断された記録には、その変更後の区分が割り当てられる(ステップ136)。
【0056】
上記ステップ134および136の処理が終わると、次に、個々の記録について、差戻し否認ルートに該当するか否かが判別される(ステップ138)。差戻し否認ルートとは、上長により過去に差戻された経路である。この判別は、学習の結果に基づいて行われる。
【0057】
上長により過去に差戻された経路は、通勤費としても業務交通費としても認められない可能性が高いと判断できる。従って、上記ステップ138で差戻し否認ルートと判断された記録は、ステップ128で「その他」に分類される。
【0058】
ステップ138で差戻し否認ルートではないと判別された記録については、次に、現時点で割り当てられている区分が判別される(ステップ140)。その結果、「その他」の記録にはステップ128でその区分が与えられ、また、「通勤費」の記録はステップ132でその区分が与えられる。
【0059】
また、ステップ140で「業務交通費」と判別された記録については、更に、その記録に結び付けられている訪問先が、顧客として顧客情報DBに登録されているか否かが判別される(ステップ142)。この判別は、学習の結果に基づいて行われる。
【0060】
上記の判別の結果、顧客登録が認められなかった記録については、業務上の訪問ではない可能性が高いと判断できる。従って、この場合は、ステップ128でその記録に「その他」の区分が与えられる。
【0061】
一方、上記ステップ142で顧客登録が認められた記録については、業務上の訪問である可能性が高いと判断できる。従って、そのような記録には「業務交通費」の区分が与えられる(ステップ144)。
【0062】
図7は、本実施形態の費用精算支援システム10において、上述した費用判定部100による予測の結果を受けて実行される処理の流れを説明するための第一のフローチャートである。費用判定部100は、利用記録の夫々についての区分予測を終えると、その結果を申請者端末20に戻す(図2参照)。
【0063】
申請者は、受け取った予測結果を申請者端末20のディスプレイ上に表示して(図2の右側参照)、予測結果に必要な修正を加える。そして、修正後の内容で費用精算を求める本申請を送信する。これらの処理は、申請者端末20の費用申請部22の機能により行われる。
【0064】
費用申請部22から送信された上記の申請は、費用精算支援装置30の費用承認部102で処理される。この申請を受けた費用承認部102は、先ず、承認権限を持つ上長に申請が生じたことを通知する。次いで、この通知を受けた上長からのアクセスを受けると、図3に示すような承認一覧32、34を提示する。そして、上長による「差戻し」または「承認」の結果を受け付ける。
【0065】
「承認」を受けた申請のうち「通勤費」に関するものは、給与システム40の通勤費処理部42によって処理される。これにより通勤費の精算または仮払いが完了する。また、「承認」を受けた申請のうち「業務交通費」に関するものは、経理システム50の業務交通費処理部52によって処理される。これにより業務交通費の精算または仮払いが完了する。
【0066】
図7に示すように、費用承認部102において「差戻し」の処理がなされた場合は、その処理の対象である申請が費用申請部22に差戻される(ステップ150)。この場合、申請者は、差戻しに添付されているコメント等に従って申請を修正する。費用申請部22は、その修正を受け付けて、修正後の本申請を再び費用承認部102に向けて送信する。
【0067】
費用精算支援装置30は、上記ステップ150で差戻しを受け付けると、上記の通り費用申請部22に申請を差し戻すと共に、差戻しの結果を学習する(ステップ152)。具体的には、ここでは、差戻しの傾向を保持するべく、差戻された申請に基づいて下記の記録を生成或いは更新する。
1.社員
2.経路
3.差戻し回数
4.利用年月日
5.利用曜日
6.差戻しコメント
7.同一経路での承認の有無
8.同一経路での承認回数
【0068】
上記ステップ152で生成或いは更新された記録は、学習情報DB110に格納される(ステップ154)。
【0069】
上記ステップ154の処理が終わると、学習情報DB110に格納されている差戻しの結果に基づいて、当該社員について何度も差し戻されている経路、具体的には、差戻しの回数が既定の判定回数を超えている経路が抽出される(ステップ156)。
【0070】
次に、上記ステップ156で抽出された経路について、自動差戻しの処理が行われる(ステップ158)。この処理が実行されると、以後、当該社員からの同じ経路を含む申請は、上長による判断を待つことなく、費用承認部102の機能により自動的に申請者に差し戻される。
【0071】
費用精算支援装置30は、費用承認部102において申請が承認されると、その結果を学習する(ステップ160)。ここでは、特に、承認者の判断で承認された申請の情報を保持するべく、下記の記録が生成または更新される。
1.社員情報DB68に登録されていないが通勤経路として承認された記録の情報
2.顧客情報DB72に登録されていないが業務交通費として承認された場所への移動記録の情報
3.遠回りと判断される情報
4.承認理由(申請者コメント、承認者コメント)
5.その他承認の傾向を示す情報(社員、経路、通勤費/業務交通費の別、承認回数、利用年月日、利用曜日)
【0072】
上記ステップ160で生成或いは更新された記録は、学習情報DB110に格納される(ステップ162)。
【0073】
以上の処理により学習情報DB110に格納された学習の結果は、社員情報DB68および顧客情報DB72に反映される。例えば、差戻しに関する学習結果に基づいて、承認してはいけない通勤経路や顧客の削除或いは更新等が行われる。また、承認に関する結果から、承認してよい通勤経路や顧客の追加或いは更新等が行われる。
【0074】
そして、社員情報DB68および顧客情報DB72に対する変更の結果は費用判定部100の処理にフィードバックされる。例えば、差戻しおよび承認に関する変更の結果は、図6に示すステップ138の処理に反映される。また、顧客情報に関する変更の結果は、図6に示すステップ142の処理に反映される。
【0075】
図8は、本実施形態の費用精算支援システム10において、費用判定部100による予測の結果を受けて実行される処理の流れを説明するための第二のフローチャートである。図8に示すように、費用申請部22で費用申請の処理が実行されると、費用精算支援装置30では、申請者変更情報が学習される(ステップ170)。ここでは、具体的には、費用判定部100が予測した区分を申請者が変更した記録について、下記の事項が学習される。
1.変更前、変更後の区分
2.経路
3.利用年月日
4.変更に関するコメント(理由、目的)
【0076】
図8に示すように、費用承認部102で承認または差戻しの処理が実行されると、費用精算支援装置30では、承認者変更情報が学習される(ステップ172)。ここでは、具体的には、承認者が区分を変更させたことにより承認が得られた記録について、下記の事項が学習される。
1.変更前、変更後の区分
2.経路
3.利用年月日
4.変更に関するコメント(理由、目的)
【0077】
上記ステップ170および172における区分変更の結果は、学習情報DB110に格納される(ステップ174)。
【0078】
上記ステップ174の処理が終わると、学習情報DB110の情報に基づいて、今回の区分変更に係る経路について、同一ルートで承認された履歴の有無が判別される(ステップ176)。その結果、同一ルートでの承認履歴が存在していない場合は、今回の変更に係る区分が、その経路の区分として正しい可能性が高いと判断できる。この場合、その経路に対する予測結果が変更後の区分とされる(ステップ178)。本ステップの結果は、費用判定部100の処理にフィードバックされる。具体的には、図6に示すステップ134の処理にフィードバックされる。
【0079】
一方、上記ステップ176において、同一ルートでの承認履歴が存在すると判別された場合は、判断対象の経路が変更前の区分でも承認される余地のあるものであると判断できる。この場合、その経路の区分について変更の傾向が判別される(ステップ180)。
【0080】
上記の判別の結果、その経路の区分が、今回の変更と同様の特定の日(曜日、日付)に限って変更されているとの傾向が認められる場合は、今回の予測結果は、「変更後」の区分にするべきと判断できる。この場合は、以後、ステップ178の処理が実行される。
【0081】
また、上記の判別の結果、その経路について、変更後の申請回数が変更前の申請回数より多いとの傾向が認められる場合も、今回の予測結果は、「変更後」の区分にするべきと判断できる。この場合も、以後、ステップ178の処理が実行される。
【0082】
他方、上記の判別の結果、その経路の区分が、今回の変更と同様の特定の日(曜日、日付)に限って変更されていないとの傾向が認められる場合は、今回の予測結果は、「変更前」の区分にするべきと判断できる。この場合は、以後、変更前の区分を予測結果とする処理が実行される(ステップ190)。本ステップの結果も、ステップ178の場合と同様に、費用判定部100の処理にフィードバックされる。具体的には、図6に示すステップ134の処理にフィードバックされる。
【0083】
また、上記の判別の結果、その経路について、変更後の申請回数が変更前の申請回数以下であるとの傾向が認められる場合も、今回の予測結果は、「変更前」の区分にするべきと判断できる。この場合も、以後、ステップ190の処理が実行される。
【0084】
以上説明した通り本実施形態の費用精算支援システムによれば、申請者は、交通履歴情報DB62または交通系ICカード64から実積記録を取り込んで費用精算の申請を作成することができる。同様に、スケジューラ60から予定記録を取り込んで費用精算の申請または仮払いの申請を作成することができる。
【0085】
また、本実施形態の費用精算支援システムによれば、申請者端末20から送られてくる実積記録または予定記録夫々の費用区分を、費用精算支援装置30に予測させ、その結果を申請者端末20に戻すことができる。そして、申請者は、その結果に必要な修正を施すだけで、極めて簡単な作業により費用精算の本申請を提出することができる。
【0086】
加えて、本実施形態の費用精算支援システムでは、交通系ICカード64等から読み込んだ実積記録、或いはスケジューラ60から読み込んだ予定記録に基づいて申請が生成される。実積記録や予定記録は、正しい情報としての信頼度が高い。このため、このシステムによれば、申請者が自ら手入力で申請を作成する場合に比して不正が起こり難く、承認者の負担を軽減することもできる。
【0087】
更に、本実施形態の費用精算支援システムでは、私用の利用記録が費用精算の対象から自動的に排除されるため、申請者は、交通系ICカード64等の決済ツールを私用と業務用とで区別する必要がない。このため、このシステムによれば、少ない作業負荷で費用精算を正しく処理することができ、かつ利用者にとって優れた利便性を提供することができる。
【0088】
[実施の形態1の変形例]
ところで、上述した実施の形態1では、交通履歴情報DB62または交通系ICカード64から読み出した記録の区分を予測する際に、スケジューラ60の登録情報を活用していないが、本開示はこれに限定されるものではない。例えば、ステップ142では、個々の記録について、顧客登録の有無を判断することに加えて、或いはその判断に代えて、スケジューラ60に訪問の予定が登録されているか否かを判断することとしてもよい。そして、スケジューラ60に訪問の予定が登録されている場合に「業務交通費」の区分を与えることとしてもよい。
【0089】
また、上述した実施の形態1では、ステップ142において、判断の対象となる記録に結び付けられた訪問先が顧客登録されているか否かを判断することとしている。しかしながら、顧客情報に基づいて業務交通費の適否を判断する手法はこれに限定されるものではない。例えば、一人の申請者について複数の顧客が顧客情報DB72に登録されている場合に、それら複数の顧客と性質が類似する企業等については、登録顧客と同列に扱うこととしてもよい。具体的には、判断の対象である記録が、そのような類似企業に該当する場合には、その企業が未登録であっても、当該記録に「業務交通費」の区分を与えることとしてもよい。この場合、性質の類似性は、例えば、訪問先企業等の業態や、訪問先の部署などで判断してもよい。
【0090】
また、上述した実施の形態1では、「物販」に該当する利用記録を全て「その他」に区分することとしている。しかしながら、本開示はこれに限定されるものではない。「物販」に該当する記録についても、商品(例えば業務利用が登録されているもの)、購入のタイミング(例えば訪問の直前)、購入店(例えば自社との契約店舗)、購入店の場所(例えば自社または訪問先の近く)等の特徴から経費として認めて差し支えのないものについては、「経費」の区分を与えて費用精算の対象としてもよい。
【0091】
また、上述した実施の形態1の説明では、仮払い後の実費の精算について、特に言及していないが、本開示の費用精算支援システムに、実費精算の機能を搭載してもよい。具体的には、仮払いの後に実費精算の申請がなされた場合に、既に支払った仮払いの金額と、現実に発生した実費との差分を精算金として支払うこととしてもよい。
【0092】
ところで、上述した実施の形態1では、「物販」であることが請求項1または請求項9に記載の「私用によるものと判断する条件」に相当している。但し、私用にようるものと判断する条件は、これに限定されるものではない。例えば、出勤部でない日の交通費、申請者が自ら私用登録している経路等、様々な条件を私用の条件として設定することができる。
【符号の説明】
【0093】
10 費用精算支援システム
20 申請者端末
22 費用申請部
30 費用精算支援装置
40 給与システム
42 通勤費処理部
50 経理システム
52 業務交通費処理部
60 スケジューラ
62 交通履歴情報DB
64 交通系ICカード
66 交通費情報DB
68 社員情報DB
70 企業情報DB
72 顧客情報DB
100 費用判定部
110 学習情報DB
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8