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特開2022-154917カーシェアリングシステム、カーシェアリング方法、プログラムおよびコンピューター読み取り可能な記録媒体
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  • 特開-カーシェアリングシステム、カーシェアリング方法、プログラムおよびコンピューター読み取り可能な記録媒体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154917
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】カーシェアリングシステム、カーシェアリング方法、プログラムおよびコンピューター読み取り可能な記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20221005BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021058187
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】508077654
【氏名又は名称】株式会社サージュ
(74)【代理人】
【識別番号】100087000
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 淳一
(72)【発明者】
【氏名】村上 譲視
(72)【発明者】
【氏名】北郷 忠行
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】カーシェアリングシステムにおいてシェアカーとして電気自動車を用いる際に、電気自動車に搭載されている蓄電池のSOC、充放電状態、蓄電池と充電器との間におけるEVプラグの挿抜状態などで示される蓄電池と充電器との電気的な接続状態などを含む電気自動車や当該電気自動車に搭載された蓄電池に関する種々の情報を管理する。
【解決手段】シェアカーとして電気自動車を利用するカーシェアリングシステムにおいて、電気自動車に搭載された蓄電池へ充電する充電器と、充電器を監視する監視手段とを有し、監視手段は、充電器に電気自動車が接続されると、電気自動車および蓄電池の情報を充電器から取得する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シェアカーとして電気自動車を利用するカーシェアリングシステムにおいて、
電気自動車に搭載された蓄電池へ充電する充電器と、
前記充電器を監視する監視手段と
を有し、
前記監視手段は、前記充電器に前記電気自動車が接続されると、前記電気自動車および前記蓄電池の情報を前記充電器を介して取得する
ことを特徴とするカーシェアリングシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のカーシェアリングシステムにおいて、さらに、
利用者が予約可能な車両を管理する予約可能車両管理処理手段と
を有し、
前記監視手段が取得する前記情報は、前記電気自動車の車両情報と前記蓄電池のSOCとであり、
前記予約可能車両管理処理手段は、前記監視手段が取得した前記車両情報の前記電気自動車についての前記SOCが予め設定した値より低いとき、前記車両情報の前記電気自動車を予め設定された時間だけ予約できないように制限する
ことを特徴とするカーシェアリングシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のカーシェアリングシステムにおいて、さらに、
利用者が予約した車両の利用開始前に、前記車両の利用の予約を無料または有料で取り消すためのキャンセル処理手段と
を有し、
前記監視手段が取得する前記情報は、前記電気自動車の車両情報と前記蓄電池のSOCとであり、
前記キャンセル処理手段は、前記監視手段が取得した前記車両情報の前記電気自動車についての前記SOCが予め設定した値より低いとき、前記車両情報の前記電気自動車の利用の予約を無料で取り消す
ことを特徴とするカーシェアリングシステム。
【請求項4】
シェアカーとして電気自動車を利用するカーシェアリングシステムにおいて、
電気自動車に搭載された蓄電池へ充電する充電器と、
前記充電器を監視する監視手段と、
利用者が予約可能な車両を管理する予約可能車両管理処理手段と、
前記利用者が予約した前記車両の利用開始前に、前記車両の利用の予約を無料または有料でキャンセルするキャンセル処理手段と
を有し、
前記監視手段は、前記充電器に前記電気自動車が接続されると、前記充電器を介して、前記電気自動車の車両情報と前記蓄電池のSOCとを取得し、
前記予約可能車両管理処理手段は、前記監視手段が取得した前記車両情報の前記電気自動車についての前記SOCが予め設定した第一の値より低いとき、前記車両情報の前記電気自動車を予め設定された時間だけ予約できないように制限し、
前記キャンセル処理手段は、前記監視手段が取得した前記車両情報の前記電気自動車についての前記SOCが予め設定した第二の値より低いとき、前記車両情報の前記電気自動車の利用の予約を無料で取り消す
ことを特徴とするカーシェアリングシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のカーシェアリングシステムにおいて、さらに、
利用者が利用した車両を返却処理するための返却処理手段と
を有し、
前記監視手段は、前記電気自動車と前記充電器との接続状態を示す接続状態情報を取得し、
前記返却処理手段は、前記監視手段が取得した接続状態情報が前記電気自動車と前記充電器とが接続されていることを示す接続状態情報であるとき返却処理を完了させる
ことを特徴とするカーシェアリングシステム。
【請求項6】
請求項4に記載のカーシェアリングシステムにおいて、さらに、
利用者が利用した車両を返却処理するための返却処理手段と
を有し、
前記監視手段は、前記蓄電池が充電状態、放電状態または待機状態であるかを示す充放電情報を取得し、
前記返却処理手段は、前記監視手段が取得した充放電情報が充電状態を示すものであるとき返却処理を完了させる
ことを特徴とするカーシェアリングシステム。
【請求項7】
シェアカーとして電気自動車を利用するカーシェアリング方法において、
電気自動車に搭載された蓄電池へ充電する充電器と、
前記充電器を監視する監視手段と
を有するカーシェアリング方法であって、
前記充電器に前記電気自動車が接続されると、前記監視手段により前記電気自動車および前記蓄電池の情報を前記充電器を介して取得する
ことを特徴とするカーシェアリング方法。
【請求項8】
請求項7に記載のカーシェアリング方法において、
前記監視手段が取得する前記情報は、前記電気自動車の車両情報と前記蓄電池のSOCとであり、
前記監視手段が取得した前記車両情報の前記電気自動車についての前記SOCが予め設定した値より低いとき、前記車両情報の前記電気自動車を予め設定された時間だけ予約できないように制限する
ことを特徴とするカーシェアリング方法。
【請求項9】
請求項7に記載のカーシェアリング方法において、
前記監視手段が取得する前記情報は、前記電気自動車の車両情報と前記蓄電池のSOCとであり、
前記監視手段が取得した前記車両情報の前記電気自動車についての前記SOCが予め設定した値より低いとき、前記車両情報の前記電気自動車の利用の予約を無料で取り消す
ことを特徴とするカーシェアリング方法。
【請求項10】
シェアカーとして電気自動車を利用するカーシェアリング方法において、
電気自動車に搭載された蓄電池へ充電する充電器と、
前記充電器を監視する監視手段と
を有するカーシェアリング方法であって、
前記充電器に前記電気自動車が接続されると、前記監視手段により、前記充電器を介して、前記電気自動車の車両情報と前記蓄電池のSOCとを取得し、
前記監視手段が取得した前記車両情報の前記電気自動車についての前記SOCが予め設定した第一の値より低いとき、前記車両情報の前記電気自動車を予め設定された時間だけ予約できないように制限し、
前記監視手段が取得した前記車両情報の前記電気自動車についての前記SOCが予め設定した第二の値より低いとき、前記車両情報の前記電気自動車の利用の予約を無料で取り消す
ことを特徴とするカーシェアリング方法。
【請求項11】
請求項10に記載のカーシェアリング方法において、さらに、
前記監視手段により、前記電気自動車と前記充電器との接続状態を示す接続状態情報を取得し、
前記監視手段が取得した接続状態情報が前記電気自動車と前記充電器とが接続されていることを示す接続状態情報であるとき返却処理を完了させる
ことを特徴とするカーシェアリング方法。
【請求項12】
請求項10に記載のカーシェアリング方法において、さらに、
前記監視手段により、前記蓄電池が充電状態、放電状態または待機状態であるかを示す充放電情報を取得し、
前記監視手段が取得した充放電情報が充電状態を示すものであるとき返却処理を完了させる
ことを特徴とするカーシェアリング方法。
【請求項13】
請求項1、2、3、4、5または6のいずれか1項に記載のカーシェアリングシステムとしてコンピューターを機能させるためのプログラム。
【請求項14】
請求項7、8、9、10、11または12のいずれか1項に記載のカーシェアリング方法をコンピューターに実行させるためのプログラム。
【請求項15】
請求項13または14のいずれか1項に記載のプログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーシェアリングシステム、カーシェアリング方法、プログラムおよびコンピューター読み取り可能な記録媒体に関する。
【0002】
さらに詳細には、本発明は、カーシェアリングシステムにおいてシェアする対象である車両(以下、「カーシェアリングシステムにおいてシェアする対象である車両」を「シェアカー」と適宜に称する。)として、外部の充電設備(充電器)から充電可能な蓄電池(バッテリー)を搭載して、当該蓄電池に蓄電された電気を用いて駆動する電動モーターを動力源とした電気自動車(EV:Electric Vehicle)を用いたカーシェアリングシステムに用いて好適なカーシェアリングシステム、カーシェアリング方法、プログラムおよびコンピューター読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、車両の新しい利用形態として、一台の車両としての自動車を複数の会員が共同で利用する、所謂、カーシェアリングが注目されている。
【0004】
ここで、カーシェアリングとは、利用者は自ら車両としての自動車を所有せず、カーシェアリング管理者(以下、単に「管理者」と適宜に称する。)の会員となり、必要に応じてその管理者から提供された車両としての自動車を借りるというものである。
【0005】
また、カーシェアリングは、ある地域に限定したコミュニティーの中で会員同士で車両としての自動車を共有し、インターネットなどの情報通信ネットワークを通じて当該自動車の利用状態の確認や利用の予約などを行うようにする例が多く、このため、貸し出し手続に時間を必要とせず、貸し出し場所や返却場所は、居住しているマンションの駐車場であったり、あるいは、通勤駅の近くであったりと、会員が利用するにあたって便利な場所に設定されていることが多い。
【0006】
こうしたカーシェアリングにより、利用者は、自動車を所有する場合に比べて、自動車の取得費用や維持経費ならびに駐車料金といった各種の費用を削減することができるようになる。
【0007】
さらに、カーシェアリングが広く普及されることにより、自動車の総台数の低減が見込まれ、都市部における交通渋滞の緩和やエネルギー消費量の低減により、二酸化炭素による地球温暖化を抑止する効果も期待されている。
【0008】
ところで、上記したようなカーシェアリングを可能とするシステム(本明細書ならびに特許請求の範囲においては、「カーシェアリングを可能とするシステム」を、「カーシェアリングシステム」と適宜に称する。)においては、管理者が事業目的で車載器を搭載した車両としての自動車を準備し、管理者は当該自動車を会員登録済みの複数の利用者に提供するものである。
【0009】
ここで、車載器とは、カーシェリングシステムにより車両としての自動車を管理するための装置である。
【0010】
そして、利用者は車載器を搭載した自動車を共用し、当該自動車の利用に伴って生じた料金を管理者に対して支払うものである。
【0011】
即ち、こうしたカーシェアリングシステムにおいては、管理者がカーシェアリングシステムの管理を行うとともに、当該カーシェアリングシステムによる管理を行うための車載器を搭載した自動車の維持や管理を行う。
【0012】
また、管理者は、自動車を共用する利用者を募集し、募集に応じた複数の利用者と管理者との間で自動車の利用に関する契約を交わし、車載器が搭載された自動車を当該複数の利用者に提供する。
【0013】
そして、利用者はそれぞれ、管理者から提供された自動車(つまり、車載器が搭載された自動車である。)の利用の予約を行ってから実際の利用を開始するようにして、利用者間で当該自動車を共用することとなる。
【0014】
なお、こうした自動車の利用の予約ならびに予約を行うための予約サイトの管理などについても、管理者が行うこととなる。
【0015】
そして、カーシェアリングシステムにおいて、自動車の利用者は、利用した自動車の返却にともない、当該自動車の利用により生じた料金を管理者に支払うものである。
【0016】
従来、上記したようなカーシェアリングシステムにおいては、例えば、図1に示すようなカーシェアリングシステムを構築し、当該カーシェアリングシステムによって、利用者が車両の利用の予約を行うための予約処理、利用者による予約が可能な車両を管理するための予約可能車両管理処理、利用者が予約した車両の利用開始前に当該車両の利用の予約を取り消すためのキャンセル処理、利用者が利用した車両を返却するための返却処理ならびに車両の運行を管理するための運行管理処理などを含む各種の処理が適宜に実行されている。
【0017】
即ち、図1には、従来の技術によるカーシェアリングシステムを模式的に示す説明図があらわされており、この従来の技術によるカーシェアリングシステム100は、カーシェアリングシステム100の管理者のパーソナルコンピューター102や管理者の会員となった利用者のパーソナルコンピューター104や当該利用者の携帯電話、スマートフォンあるいはタブレットなどを含む情報端末106などのような各種の通信機器と携帯電話網やインターネットなどの情報通信ネットワークを介して接続されるサーバー108と、シェアカーであるである自動車110に設けられて携帯電話網やインターネットなどの情報通信ネットワークを介してサーバー108と接続される車載器112と、自動車110のリアウインドウ近傍などの予め設定された位置に取り付けられるとともに車載器112に接続されるカードリーダー114と、自動車110のダッシュボード内などの予め設定された位置に設けられるとともに車載器112に接続されるキーボックス116とを有して構成されている。
【0018】
以上の構成において、カーシェアリングシステム100を利用して自動車110の予約や利用を行うには、まず、利用者が管理者に対して会員登録を行う。
【0019】
このとき、管理者は、各利用者に対して利用者固有の登録コードを作成するとともに、カーシェアリングシステム100を利用するための利用カードとして、当該登録コードを認証用コードとして記憶したICカードを発行し、各利用者に提供するものである。
【0020】
なお、上記したような登録コードを認証用コードとして記憶したICカードを各利用者に提供する手法に代えて、利用者の運転免許証に記録されている運転免許証情報を登録コードや認証用コードとして利用することにより、当該運転免許証を上記ICカードと同様な上記利用カードとして用いる手法も提案されている。
【0021】
また、上記した各手法の他に、利用者が初めてカーシェアリングシステム100を利用する際に、利用者が既に所有しているICカードに基づいて登録コードや認証用コードを生成して、当該利用者が既に所有しているICカードを上記利用カードとして用いる手法も提案されている。
【0022】
そして、利用者が自動車110の予約を行う場合には、利用者がパーソナルコンピューター104あるいは情報端末106などを利用してサーバー108に設けられた予約サイトにアクセスし、自動車110の予約状況を確認し、利用者の要望にあった自動車110の予約を行う。
【0023】
その後、予約した利用開始時間になると、情報通信ネットワークを利用して予約情報がサーバー108から車載器112に送られて、カードリーダー114が起動される。
【0024】
一方、利用者は、予約した利用開始時間に自動車110が駐車された駐車場まで行き、カードリーダー114に上記した利用カードを読み取らせて認証を受けることにより、自動車110のドアのロックが解除されるとともに、キーボックス116からキーが取り出せる状態となり自動車110の利用が可能となる。
【0025】
そして、利用者は、予約した利用終了時間まで自動車110を利用するものであるが、予約した利用終了時間までに自動車110を所定の駐車場に駐車させて、キーをキーボックス116に収納するとともに全てのドアを閉め、カードリーダー114に上記した利用カードを読み取らせて認証を受けることにより、自動車110の返却処理が完了し、自動車110の利用が終了することとなる。
【0026】
その後、車載器112において利用時間、走行距離ならびに自動車110の状態などが確認され、確認された利用時間などに応じた時間料金に、走行距離などに応じた距離料金などを加算して、自動車110の利用により生じる料金を算出し、算出した料金を利用者のパーソナルコンピューター104や情報端末106などに通知する。
【0027】
また、管理者は、こうした利用者による利用状況をパーソナルコンピューター102などで確認することができる。
【0028】
さらに、管理者は、このパーソナルコンピューター102などにおいて、カーシェアリングシステム100上の各種のトラブルについても確認することができる。
【0029】
ここで、こうした従来の技術によるカーシェアリングシステム100において、例えば、シェアカーである自動車110として電気自動車を用いる場合には、充電器から電気自動車に搭載されている蓄電池への充電には長時間を要するとともに、電気自動車に搭載されている蓄電池への充電可能な充電設備が十分に普及していないことが、シェアカーとして電気自動車を用いる際の障碍となっていた。
【0030】
例えば、利用者が電気自動車をシェアカーとして利用開始する際に、利用者の目的地まで到達可能な電力量が当該電気自動車の蓄電池に充電されてないと、利用者は長時間かけて電気自動車に搭載されている蓄電池への充電を行った後に、当該目的地に向けて出発しなければならないという問題点を生ずるものであった。
【0031】
このため、シェアカーとして電気自動車を用いるカーシェアリングシステムにおいては、電気自動車に搭載されている蓄電池のSOC(state of charge:電池残量)、充放電状態、蓄電池と充電器との間におけるEVプラグの挿抜状態などで示される蓄電池と充電器との電気的な接続状態などを含む電気自動車や当該電気自動車に搭載された蓄電池に関する種々の情報を管理する手法の提案が要望されていた。
【0032】
なお、本願出願人が特許出願のときに知っている先行技術は、文献公知発明に係る発明ではないため、本願明細書に記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
本発明は、従来の技術の有する上記したような要望に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、カーシェアリングにおいてシェアカーとして電気自動車を用いる際に、電気自動車に搭載されている蓄電池のSOC、充放電状態、蓄電池と充電器との間におけるEVプラグの挿抜状態などで示される蓄電池と充電器との電気的な接続状態などを含む電気自動車や当該電気自動車に搭載された蓄電池に関する種々の情報を管理することができるようにしたカーシェアリングシステム、カーシェアリング方法、プログラムおよびコンピューター読み取り可能な記録媒体を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0034】
上記目的を達成するために、本発明によるカーシェアリングシステムならびにカーシェアリング方法は、電気自動車に搭載された蓄電池へ充電するための充電器を監視する監視手段を設け、監視手段が充電器を監視することによって、電気自動車に搭載されている蓄電池のSOC、充放電状態、蓄電池と充電器との間におけるEVプラグの挿抜状態などで示される蓄電池と充電器との電気的な接続状態などを含む電気自動車や当該電気自動車に搭載された蓄電池に関する種々の情報を、充電器を介して監視手段が取得するようにしたものである。
【0035】
従って、本発明によるカーシェアリングシステムならびにカーシェアリング方法によれば、監視手段が充電器を監視することにより取得した種々の情報によって、これら種々の情報の管理を適切に行うことができるようになる。
【0036】
ここで、電気自動車に搭載されている蓄電池のSOC、充放電状態、蓄電池と充電器との間におけるEVプラグの挿抜状態などで示される蓄電池と充電器との電気的な接続状態などを含む電気自動車や当該電気自動車に搭載された蓄電池に関する種々の情報については、当該電気自動車から取得することは勿論可能ではあるが、自動車メーカーや車種によって蓄電池からの状態の取得の仕様が異なり、そもそもその仕様が一般には開示されていないことが多いため、そうした情報を当該電気自動車から取得することは極めて困難なものであった。
【0037】
しかしながら、本発明によるカーシェアリングシステムならびにカーシェアリング方法によれば、監視手段が充電器を監視することにより、電気自動車に搭載されている蓄電池のSOC、充放電状態、蓄電池と充電器との間におけるEVプラグの挿抜状態などで示される蓄電池と充電器との電気的な接続状態などを含む電気自動車や当該電気自動車に搭載された蓄電池に関する種々の情報を取得するという同一の取得方法によって、自動車メーカーや車種に関わることなく、電気自動車に搭載されている蓄電池のSOC、充放電状態、蓄電池と充電器との間におけるEVプラグの挿抜状態などで示される蓄電池と充電器との電気的な接続状態などを含む電気自動車や当該電気自動車に搭載された蓄電池に関する種々の情報を取得することができるようになる。
【0038】
このため、シェアカーとして電気自動車を用いてカーシェアリングシステムの運用を図る際に、自動車メーカーや車種を限定することなしにシェアカーを適宜に選択して容易に運用をすることができるようになる。
【0039】
即ち、本発明によるカーシェアリングシステムは、シェアカーとして電気自動車を利用するカーシェアリングシステムにおいて、電気自動車に搭載された蓄電池へ充電する充電器と、上記充電器を監視する監視手段とを有し、上記監視手段は、上記充電器に上記電気自動車が接続されると、上記電気自動車および上記蓄電池の情報を上記充電器を介して取得するようにしたものである。
【0040】
また、本発明によるカーシェアリングシステムは、上記した本発明によるカーシェアリングシステムにおいて、さらに、利用者が予約可能な車両を管理する予約可能車両管理処理手段とを有し、上記監視手段が取得する上記情報は、上記電気自動車の車両情報と上記蓄電池のSOCとであり、上記予約可能車両管理処理手段は、上記監視手段が取得した上記車両情報の上記電気自動車についての上記SOCが予め設定した値より低いとき、上記車両情報の上記電気自動車を予め設定された時間だけ予約できないように制限するようにしたものである。
【0041】
また、本発明によるカーシェアリングシステムは、上記した本発明によるカーシェアリングシステムにおいて、さらに、利用者が予約した車両の利用開始前に、上記車両の利用の予約を無料または有料で取り消すためのキャンセル処理手段とを有し、上記監視手段が取得する上記情報は、上記電気自動車の車両情報と上記蓄電池のSOCとであり、上記キャンセル処理手段は、上記監視手段が取得した上記車両情報の上記電気自動車についての上記SOCが予め設定した値より低いとき、上記車両情報の上記電気自動車の利用の予約を無料で取り消すようにしたものである。
【0042】
また、本発明によるカーシェアリングシステムは、シェアカーとして電気自動車を利用するカーシェアリングシステムにおいて、電気自動車に搭載された蓄電池へ充電する充電器と、上記充電器を監視する監視手段と、利用者が予約可能な車両を管理する予約可能車両管理処理手段と、上記利用者が予約した上記車両の利用開始前に、上記車両の利用の予約を無料または有料でキャンセルするキャンセル処理手段とを有し、上記監視手段は、上記充電器に上記電気自動車が接続されると、上記充電器を介して、上記電気自動車の車両情報と上記蓄電池のSOCとを取得し、上記予約可能車両管理処理手段は、上記監視手段が取得した上記車両情報の上記電気自動車についての上記SOCが予め設定した第一の値より低いとき、上記車両情報の上記電気自動車を予め設定された時間だけ予約できないように制限し、上記キャンセル処理手段は、上記監視手段が取得した上記車両情報の上記電気自動車についての上記SOCが予め設定した第二の値より低いとき、上記車両情報の上記電気自動車の利用の予約を無料で取り消すようにしたものである。
【0043】
また、本発明によるカーシェアリングシステムは、上記した本発明によるカーシェアリングシステムにおいて、さらに、利用者が利用した車両を返却処理するための返却処理手段とを有し、上記監視手段は、上記電気自動車と上記充電器との接続状態を示す接続状態情報を取得し、上記返却処理手段は、上記監視手段が取得した接続状態情報が上記電気自動車と上記充電器とが接続されていることを示す接続状態情報であるとき返却処理を完了させるようにしたものである。
【0044】
また、本発明によるカーシェアリングシステムは、上記した本発明によるカーシェアリングシステムにおいて、さらに、利用者が利用した車両を返却処理するための返却処理手段とを有し、上記監視手段は、上記蓄電池が充電状態、放電状態または待機状態であるかを示す充放電情報を取得し、上記返却処理手段は、上記監視手段が取得した充放電情報が充電状態を示すものであるとき返却処理を完了させるようにしたものである。
【0045】
また、本発明によるカーシェアリング方法は、シェアカーとして電気自動車を利用するカーシェアリング方法において、電気自動車に搭載された蓄電池へ充電する充電器と、上記充電器を監視する監視手段とを有するカーシェアリング方法であって、上記充電器に上記電気自動車が接続されると、上記監視手段により上記電気自動車および上記蓄電池の情報を上記充電器を介して取得するようにしたものである。
【0046】
また、本発明によるカーシェアリング方法は、上記した本発明によるカーシェアリング方法において、上記監視手段が取得する上記情報は、上記電気自動車の車両情報と上記蓄電池のSOCとであり、上記監視手段が取得した上記車両情報の上記電気自動車についての上記SOCが予め設定した値より低いとき、上記車両情報の上記電気自動車を予め設定された時間だけ予約できないように制限するようにしたものである。
【0047】
また、本発明によるカーシェアリング方法は、上記した本発明によるカーシェアリング方法において、上記監視手段が取得する上記情報は、上記電気自動車の車両情報と上記蓄電池のSOCとであり、上記監視手段が取得した上記車両情報の上記電気自動車についての上記SOCが予め設定した値より低いとき、上記車両情報の上記電気自動車の利用の予約を無料で取り消すようにしたものである。
【0048】
また、本発明によるカーシェアリング方法は、シェアカーとして電気自動車を利用するカーシェアリング方法において、電気自動車に搭載された蓄電池へ充電する充電器と、上記充電器を監視する監視手段とを有するカーシェアリング方法であって、上記充電器に上記電気自動車が接続されると、上記監視手段により、上記充電器を介して、上記電気自動車の車両情報と上記蓄電池のSOCとを取得し、上記監視手段が取得した上記車両情報の上記電気自動車についての上記SOCが予め設定した第一の値より低いとき、上記車両情報の上記電気自動車を予め設定された時間だけ予約できないように制限し、上記監視手段が取得した上記車両情報の上記電気自動車についての上記SOCが予め設定した第二の値より低いとき、上記車両情報の上記電気自動車の利用の予約を無料で取り消すようにしたものである。
【0049】
また、本発明によるカーシェアリング方法は、上記した本発明によるカーシェアリング方法において、さらに、上記監視手段により、上記電気自動車と上記充電器との接続状態を示す接続状態情報を取得し、上記監視手段が取得した接続状態情報が上記電気自動車と上記充電器とが接続されていることを示す接続状態情報であるとき返却処理を完了させるようにしたものである。
【0050】
また、本発明によるカーシェアリング方法は、上記した本発明によるカーシェアリング方法において、さらに、上記監視手段により、上記蓄電池が充電状態、放電状態または待機状態であるかを示す充放電情報を取得し、上記監視手段が取得した充放電情報が充電状態を示すものであるとき返却処理を完了させるようにしたものである。
【0051】
また、本発明によるプログラムは、上記したカーシェアリングシステムとしてコンピューターを機能させるためのプログラムである。
【0052】
また、本発明によるプログラムは、上記したカーシェアリング方法をコンピューターに実行させるためのプログラムである。
【0053】
また、本発明によるコンピューター読み取り可能な記録媒体は、上記したプログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0054】
本発明は、以上説明したように構成されているので、カーシェアリングにおいてシェアカーとして電気自動車を用いる際に、当該電気自動車に搭載された蓄電池のSOC、充放電状態、蓄電池と充電器との間におけるEVプラグの挿抜状態などで示される蓄電池と充電器との電気的な接続状態などを含む電気自動車や当該電気自動車に搭載された蓄電池に関する種々の情報を管理することができるようになるという優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1図1は、従来の技術によるカーシェアリングシステムを模式的に示す説明図である。
図2図2は、本発明の実施の形態の一例によるカーシェアリングシステムを模式的に示す説明図である。
図3図3は、図2に示すカーシェアリングシステムにおける充電器監視装置の機能的構成を示すブロック構成説明図である。
図4図4は、図2に示すカーシェアリングシステムにおける充電器監視装置の本発明の実施に関連する充電器監視処理ルーチンを示すフローチャートである。
図5図5は、図2に示すカーシェアリングシステムにおける本発明の実施に関連する予約可能車両管理処理ルーチンを示すフローチャートである。
図6図6は、図2に示すカーシェアリングシステムにおける本発明の実施に関連するキャンセル処理ルーチンを示すフローチャートである。
図7図7は、図2に示すカーシェアリングシステムにおける本発明の実施に関連する返却処理ルーチンを示すフローチャートである。
図8図8は、図2に示すカーシェアリングシステムにおける本発明の実施に関連する返却処理ルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明によるカーシェアリングシステム、カーシェアリング方法、プログラムおよびコンピューター読み取り可能な記録媒体の実施の形態の一例を詳細に説明するものとする。
【0057】
なお、以下の説明においては、図1を参照しながら説明した従来の技術によるカーシェアリングシステムと同一または相当する構成については、上記において用いた符号と同一の符号を用いて示すことにより、それらの詳細な構成ならびに作用の説明は適宜に省略することとする。
【0058】
(I)カーシェアリングシステムの全体の構成および作用の説明
【0059】
図2には、本発明の実施の形態の一例によるカーシェアリングシステムを模式的に示す説明図があらわされている。
【0060】
この図2に示す本発明によるカーシェアリングシステム10は、シェアカーとして電気自動車12を用いている。
【0061】
電気自動車12には、蓄電池14が搭載されており、当該蓄電池14は、電気自動車12に搭載されたECU(Electronic Control Unit:エレクトロニックコントロールユニット)16により監視および制御されている。
【0062】
なお、説明を簡潔化して技術内容を明確にするために、図1を参照しながら説明した従来のカーシェアリングシステム100の説明においてはその説明を省略したが、自動車110においてもECUは搭載されている。
【0063】
そして、カーシェアリングシステム10は、上記した従来のカーシェアリングシステム100の構成に加えて、電気自動車12に搭載された蓄電池14へ充電するための充電設備たる充電器18と、充電器18に対して無線または有線で電気的に接続されて当該充電器を18を監視する監視手段である充電器監視装置20とを有して構成されている。
【0064】
ここで、充電器18は、例えば、利用状態にない電気自動車12を待機させている場所(ステーション)や駐車場などに配備されている充電設備である。
【0065】
なお、充電器18には、ステーションや駐車場などに配備されている充電設備の他に、当然のことながら、道の駅やショッピングモールなどのような各所に配備されている充電設備も含まれる。
【0066】
電気自動車12と充電器18とはEVプラグ22などを介して電気的に接続可能とされており、電気自動車12の車両情報(「車両情報」については、後に詳述する。)や蓄電池14の情報などの当該電気自動車12や当該蓄電池14に関わる各種の情報については、電気自動車12のECU16から当該電気自動車12へ接続されている充電器16へ出力される。
【0067】
また、充電器監視装置20は、携帯電話網やインターネットなどの情報通信ネットワークを介してサーバー108と接続されている。
【0068】
なお、以下における本明細書ならびに特許請求の範囲においては、「電気的な接続」について、適宜に単に「接続」として記載する。
【0069】
(II)充電器監視装置の構成および作用の説明
【0070】
図3には、カーシェアリングシステム10における充電器監視装置20の機能的構成を示すブロック構成説明図があらわされている。
【0071】
この充電器監視装置20は、コンピューターシステムにより構築されており、サーバー108からの情報を入力するサーバー情報入力部20aと、サーバー108へ情報を出力するサーバー情報出力部20bと、充電器18から情報を入力する充電器情報入力部20cと、充電器18へ情報を出力する充電器情報出力部20dと、充電器18と電気自動車12との電気的な接続状態を検出する接続状態検出部20eと、充電器18と電気自動車12との電気的な接続状態を示す接続状態情報を取得する接続状態情報取得部20fと、充電器18を介して充電器18に接続された電気自動車12の車両情報を取得する車両情報取得部20gと、充電器18を介して電気自動車12に搭載された蓄電池14の充放電状態を取得する充放電情報取得部20hと、充電器18を介して電気自動車12に搭載された蓄電池14のSOCを取得するSOC取得部20iとを有して構成されている。
【0072】
ここで、サーバー情報入力部20aは、サーバー108から出力される情報の問い合わせや充電器18における充電や放電などを含む各種の制御の指示を、サーバー108から入力する。
【0073】
次に、サーバー情報出力部20bは、サーバー108から出力された情報の問い合わせや充電器18における充電や放電などを含む各種の制御の指示に対する応答を行うとともに、定期的あるいは情報の変化があったときに各種の情報を、サーバー108へ出力する。
【0074】
次に、充電器情報入力部20cは、充電器18から出力される充電器18自身の情報や充電器18に接続された電気自動車12ならびに当該電気自動車12に搭載された蓄電池14の状態などを含む各種の情報を、充電器18から入力する。
【0075】
次に、充電器情報出力部20dは、充電器18への情報の問い合わせや充電器18における充電や放電などを含む各種の制御の指示を、充電器18へ出力する。
【0076】
次に、接続状態検出部20eは、充電器監視装置20が起動されると停止されるまでの間、常に充電器18と電気自動車12との電気的な接続状態、即ち、電気的に接続されているか否かを検出する。
【0077】
こうした電気的な接続状態は、例えば、充電器18と電気自動車12との間におけるEVプラグ22の挿抜状態などに基づき検出することができる。
【0078】
具体的には、充電器18のEVプラグ22が電気自動車12に挿入されている場合には、充電器18と電気自動車12とが電気的に接続されていると検出する。
【0079】
一方、充電器18のEVプラグ22が電気自動車12に挿入されていない、即ち、EVプラグ22が電気自動車12から抜かれている場合には、充電器18と電気自動車12とが電気的に接続されていないと検出する。
【0080】
次に、接続状態情報取得部20fは、充電器18と電気自動車12との電気的な接続状態を示す接続状態情報を取得する。
【0081】
即ち、接続状態情報取得部20fは、充電器18がEVプラグなどを介して電気自動車12に電気的に接続された状態であるか否か示す情報を取得するものである。その取得結果である接続状態情報は、サーバー情報出力部20bからサーバー108へ出力される。
【0082】
具体的には、接続状態情報取得部20fは、充電器18と電気自動車12とが電気的に接続された状態になると、充電器18と電気自動車12とが電気的に接続された状態となったことを示す接続状態情報として接続状態オン情報を取得し、充電器18と電気自動車12とが電気的に接続された状態になったことを示す接続状態オン情報は、サーバー情報出力部20bからサーバー108へ出力される。
【0083】
そして、サーバー108は、サーバー108に記憶している充電器18と電気自動車12との接続状態を、充電器18と電気自動車12とが電気的に接続された状態であることに更新する。
【0084】
また、接続状態取得部20fは、充電器18と電気自動車12とが電気的に接続されていない状態になると、充電器18と電気自動車12とが電気的に接続されていない状態となったことを示す接続状態情報として接続状態オフ情報を取得し、充電器18と電気自動車12とが電気的に接続されていない状態になったとを示す接続状態オフ情報は、サーバー情報出力部20bからサーバー108へ出力される。
【0085】
そして、サーバー108は、サーバー108に記憶している充電器18と電気自動車12との接続状態を、充電器18と電気自動車12とが電気的に接続されていない状態であることに更新する。
【0086】
次に、車両情報取得部20gは、充電器18に現在接続されている電気自動車12の車両情報を取得する。ここで、車両情報とは、自動車12の個体識別可能なデータであり、例えば、車体番号や自動車登録番号標または車両番号標に記載された番号などである。
【0087】
車両情報取得部20gにより取得された車両情報は、サーバー情報出力部20bからサーバー108へ出力される。
【0088】
そして、サーバー108は、車両情報取得部20gにより取得された車両情報に基づいて、充電器18に現在接続されている電気自動車12を特定することができる。
【0089】
次に、充放電情報取得部20hは、充電器18に現在接続されている電気自動車12に搭載された蓄電池14が充電を実施している充電状態にあるか、放電を実施している放電状態にあるか、あるいは、充電も放電も実施していない待機状態にあるかをそれぞれ示す充放電情報を取得する。
【0090】
充放電状態取得部20hにより取得された充放電情報は、サーバー情報出力部20bからサーバー108へ出力される。
【0091】
そして、サーバー108は、充放電状態取得部20gにより取得された充放電情報に基づいて、充電器18に現在接続されている電気自動車12に搭載された蓄電池14が充電状態にあるか、放電状態にあるか、あるいは、待機状態にあるかをそれぞれ特定することができる。
【0092】
次に、SOC取得部20iは、充電器18に現在接続されている電気自動車12に搭載された蓄電池14のSOCを取得する。
【0093】
SOC取得部20iにより取得されたSOCは、サーバー情報出力部20bからサーバー108へ出力される。
【0094】
そして、サーバー108は、SOC取得部20hにより取得されたSOCに基づいて、充電器18に現在接続されている電気自動車12に搭載された蓄電池14のSOCを特定することができる。
【0095】
(III)カーシェアリングシステムにおける本発明の実施に関連する処理の概要の説明
【0096】
以上の構成において、カーシェアリングシステム10においては、上記において説明した従来のカーシェアリングシステム100と同様に、適宜に従来より公知の技術を利用して、利用者が電気自動車12の利用の予約を行うための予約処理、利用者による予約が可能な電気自動車12を管理するための予約可能車両管理処理、利用者が予約した電気自動車12の利用開始前に当該電気自動車12の利用の予約を取り消すためのキャンセル処理、利用者が利用した電気自動車12を返却するための返却処理ならびに電気自動車12の運行を管理するための運行管理処理などを含む各種の処理を適宜に実行する。
【0097】
なお、こうした各種の処理は、サーバー108、パーソナルコンピューター102、104、情報端末106ならびに充電器監視装置20の共同処理により実行される。
【0098】
ここで、カーシェアリングシステム10においては、充電器18に充電器監視装置20が接続されており、かつ、充電器監視装置20がサーバー108に接続されているので、上記した従来より公知の技術を利用した従来の処理に加えて、充電器18と電気自動車12との接続状態情報と、充電器18に現在接続されている電気自動車12の車両情報と、電気自動車12に搭載された蓄電池14の充放電情報と、電気自動車12に搭載された蓄電池14のSOCとがサーバー108に出力される。
【0099】
即ち、充電器監視装置20を充電器18に接続することによって、充電器18を介して電気自動車12の状態ならびに当該電気自動車12に搭載された蓄電池14の状態をモニターすることができ、モニターした各種の情報をサーバー108に記憶されている各種の情報に反映することができる。
【0100】
このため、管理者や利用者は、当該反映された情報をパーソナルコンピューター102、104や情報端末106などのような各種の通信機器を用いて、画像や音声により確認することができる。
【0101】
そして、サーバー108に出力された各種の情報は、利用者による予約が可能な電気自動車12を管理するための予約可能車両管理処理、利用者が予約した電気自動車12の利用開始前に当該電気自動車12の利用の予約を取り消すためのキャンセル処理あるいは利用者が利用した電気自動車12を返却するための返却処理などの各種の処理に反映され、従来より公知の技術を利用した従来の処理に加えてその反映された情報に応じた処理が行われ、管理者や利用者に対して提供される。
【0102】
このため、例えば、カーシェアリングシステムの利用者が、電気自動車12の利用の予約を行う際に、蓄電池14に利用者の目的地まで到達可能な電力量が充電されていない電気自動車12に対する予約を行うことを回避することができるようになる。
【0103】
また、カーシェアリングシステムの利用者が、予約した電気自動車12の利用を開始する前に、蓄電池14に充電されている電力量が不十分なことを知見した場合には、当該電気自動車12の利用の予約を取り消してキャンセルすることができるようになる。
【0104】
さらに、カーシェアリングシステムの利用者が、利用した電気自動車12の利用を終了して、当該利用者が利用した当該電気自動車12を返却するための返却処理を行う際に、電気自動車12と充電器18との接続状態や電気自動車に搭載された蓄電池14の状態に応じて、返却処理を完了させるか否かを判断して管理することができるようになる。
【0105】
以下において、本発明によるカーシェアリングシステム10について、本発明の実施に関連する各種の処理について詳細に説明することとする。
【0106】
(IV)カーシェアリングシステムにおける充電器監視装置の処理の説明
【0107】
まず、カーシェアリングシステム10における充電器監視装置20の処理について説明する。
【0108】
ここで、図4には、カーシェアリングシステム10における充電器監視装置20の本発明の実施に関連する充電器監視処理ルーチンを示すフローチャートがあらわされている。
【0109】
なお、この充電器監視処理ルーチンは、充電器監視装置20が情報を定期的にサーバー108へ出力する際の充電器監視処理ルーチンを示すものであり、所定の時間間隔(例えば、1秒間隔である。)で定期的に繰り返し実行される。
【0110】
まず、この充電器監視処理ルーチンが起動すると、接続状態検出部20eによって、充電器18と電気自動車12とが接続状態であるか否かが検出される(ステップS402)。
【0111】
このステップS402の検出処理において、充電器18と電気自動車12とが接続状態であることが検出された場合(Yes)には、ステップS404の処理へ進み、接続状態情報取得部20fにより取得された接続状態オン情報を、サーバー情報出力部20bからサーバー108へ出力する。
【0112】
ステップS404の処理を終了すると、ステップS406の処理へ進み、車両情報取得部20gにより取得された車両情報を、サーバー情報出力部20bからサーバー108へ出力する。
【0113】
ステップS406の処理を終了すると、ステップS408の処理へ進み、充放電情報取得部20hにより取得された充放電情報、即ち、蓄電池14が充電状態にあるか、放電状態にあるか、あるいは、待機状態にあるかをそれぞれ示す充放電情報を、サーバー情報出力部20bからサーバー108へ出力する。
【0114】
ステップS408の処理を終了すると、ステップS410の処理へ進み、SOC取得部20iにより取得されたSOCを、サーバー情報出力部20bからサーバー108へ出力し、この充電器監視処理ルーチンを終了する。
【0115】
一方、ステップS402の検出処理において、充電器18と電気自動車12とが接続状態でないことが検出された場合(No)には、ステップS412の処理へ進み、接続状態情報取得部20fにより取得された接続状態オフ情報を、サーバー情報出力部20bからサーバー108へ出力し、この充電器監視処理ルーチンを終了する。
【0116】
なお、サーバー108は、上記した充電器監視処理ルーチンから出力された各種の情報を、サーバー108に記憶されている各種の情報に反映する処理を行う。
【0117】
従って、上記した充電器監視処理ルーチンによれば、当該充電器監視処理ルーチンが所定の時間間隔で定期的に繰り返し実行されるので、充電器18と電気自動車12とが接続される度毎などにおいて、電気自動車12ならびに当該電気自動車12の蓄電池14に関する各種の情報をサーバ108へ出力して、サーバー108は当該各種の情報を最新の情報に更新することができる。
【0118】
(V)カーシェアリングシステムにおける予約可能な電気自動車の管理処理の説明
【0119】
次に、カーシェアリングシステム10において、利用者が予約可能な電気自動車12をサーバー108上において管理する際の処理について説明する。
【0120】
このカーシェアリングシステム10によれば、上記の充電器監視処理ルーチンにおいて説明したように、それぞれの電気自動車12について、利用者が予約する際や実際に利用開始する際における最新のSOCを取得することができる。
【0121】
このため、管理者側の処理としては、SOCが予め設定された値より低い電気自動車12については、予め予約を行うことができないように制限することが可能となる。
【0122】
ここで、図5は、カーシェアリングシステム10における本発明の実施に関連する予約可能車両管理処理ルーチンを示すフローチャートがあらわされている。
【0123】
なお、この予約可能車両管理処理ルーチンは、例えば、サーバー108がSOCを更新する毎に実行される。
【0124】
まず、この予約可能車両管理処理ルーチンが起動すると、更新されたSOCの電気自動車12を車両情報から特定する(ステップS502)。
【0125】
ステップS502の処理を終了すると、ステップS504の処理へ進み、ステップS502の処理で特定された電気自動車12に関して、更新されたSOCが予め設定された最低値未満であるか否かを判断する。
【0126】
ステップS504の判断処理において、更新されたSOCが予め設定された最低値未満であると判断された場合(Yes)には、ステップS506の処理へ進み、現時点から予め設定された経過時間までの時間間隔を予約制限時間帯として、当該予約制限時間帯においてステップS502で特定された電気自動車12の予約取得をできないように制限し、この予約可能車両管理処理ルーチンを終了する。
【0127】
従って、予約制限時間帯においては、ステップS502で特定された電気自動車12のSOCが予め設定された最低値未満の場合には予約取得はできないが、その一方で、予約制限時間帯を過ぎた場合には、当該ステップS502で特定された電気自動車12の予約取得は可能となる。
【0128】
ここで、予約制限時間帯とは、例えば、電気自動車12のSOCが回復して最低値以上となることが見込まれるような時間間隔(例えば、数時間である。)とすることができ、管理者が管理している個々の電気自動車12毎や電気自動車12の車種毎に個別に設定してもよいし、あるいは、管理者が管理している個々の電気自動車12に対して一律に設定してもよいなど、管理者が適宜に設定すればよい。
【0129】
一方、ステップS504の判断処理において、更新されたSOCが予め設定された最低値未満であるとは判断されなかった場合(No)には、そのままこの予約可能車両管理処理ルーチンを終了する。
【0130】
従って、ステップS502で特定された電気自動車12のSOCが予め設定された最低値以上の場合には、予約取得が制限されることはなく予約可能となる。
【0131】
このため、上記した予約可能車両管理処理ルーチンによれば、利用者がパーソナルコンピューター104や情報端末106などのような各種の通信機器を用いて電気自動車12の利用の予約を行う際に、予約制限時間帯においては予め設定された値以下のSOCの電気自動車12の予約を行うことができないように制限することができる。
【0132】
(VI)カーシェアリングシステムにおける電気自動車の利用の予約のキャンセル処理の説明
【0133】
次に、カーシェアリングシステム10において、利用者が予約した電気自動車12の利用開始前に当該電気自動車12の利用の予約を取り消すための処理であるキャンセル処理について説明する。
【0134】
このカーシェアリングシステム10によれば、管理者は、利用者に対して、利用者が予約した電気自動車12の利用開始前に、SOCが低いことを理由に当該利用の予約を取り消すキャンセルをした場合には、通常ではキャンセル料が発生するような状況でも、キャンセル料を発生せずに予約を取り消してキャンセルできるように処理することが可能となる。
【0135】
上記のような処理を行うことにより、管理者は利用者の利便性を向上することができるようになる。
【0136】
ここで、図6には、カーシェアリングシステム10における本発明の実施に関連するキャンセル処理ルーチンを示すフローチャートがあらわされている。
【0137】
なお、このキャンセル処理ルーチンは、利用者がパーソナルコンピューター104や情報端末106などのような各種の通信機器を用いて、利用者が予約した電気自動車12の利用の予約を取り消すための処理であるキャンセル処理の操作を行うと実行される。
【0138】
まず、このキャンセル処理ルーチンが起動すると、予約を取り消すキャンセル対象の電気自動車12を車両情報から特定し、当該電気自動車12に対するキャンセル処理の操作のタイミングが、当該電気自動車12について無料で予約を取り消すことのできるキャンセル可能な時間帯である無料時間帯にあるか否かを判断する(ステップS602)。
【0139】
なお、この無料時間帯については、管理者が任意の時間帯を適宜に設定するようにしてよい。
【0140】
ステップS602の判断処理において、キャンセル処理の操作のタイミングが無料で予約を取り消すことのできるキャンセル可能な時間帯である無料時間帯にあるとは判断されなかった場合(No)には、ステップS604の処理へ進み、予約を取り消すキャンセル対象の電気自動車12のSOCが、予め無料で予約を取り消すことのできるキャンセル可能な上限の値として設定された上限値以下か否かを判断する。
【0141】
ステップS604の判断処理において、キャンセル対象の電気自動車12のSOCが上限値以下であると判断された場合(Yes)には、ステップS606の処理へ進み、利用者にキャンセル料を請求しないで無料で予約を取り消す無料キャンセル処理を行い、このキャンセル処理ルーチンを終了する。
【0142】
なお、無料キャンセル処理については、従来より公知の技術を適用することができるものである。
【0143】
一方、ステップS604の判断処理において、キャンセル対象の電気自動車12のSOCが上限値以下ではないと判断された場合(No)には、ステップS608の処理へ進み、利用者にキャンセル料を請求して有料で予約を取り消す有料キャンセル処理を行い、このキャンセル処理ルーチンを終了する。
【0144】
なお、有料キャンセル処理については、従来より公知の技術を適用することができるものである。
【0145】
一方、ステップS602の判断処理において、キャンセル処理の操作のタイミングが無料でキャンセル可能な時間帯である無料時間帯にあると判断された場合(Yes)には、ステップS606の処理へ進み、利用者にキャンセル料を請求しないで無料で予約を取り消す無料キャンセル処理を行い、このキャンセル処理ルーチンを終了する。
【0146】
なお、無料キャンセル処理については、上記したように、従来より公知の技術を適用することができるものである。
【0147】
従って、上記したキャンセル処理ルーチンによれば、利用者が、利用の予約をした電気自動車12のSOCが上記した上限値以下であることを理由に利用の予約を取り消すためのキャンセル処理をした場合には、通常ではキャンセル料が発生するような時間帯でのキャンセルであっても、キャンセル料を発生せずに無料で予約を取り消してキャンセルすることができるようになる。
【0148】
(VII)カーシェアリングシステムにおける電気自動車の返却処理の説明
【0149】
次に、カーシェアリングシステム10において、利用者が利用した電気自動車12を返却するための返却処理について説明する。
【0150】
このカーシェアリングシステム10によれば、上記において説明したように、接続状態情報(接続状態オン情報、接続状態オフ情報)や充放電情報(充電状態、放電状態、待機状態)を取得することができる。
【0151】
このため、利用者が利用した電気自動車12を返却するための返却処理を行う際に、接続状態情報により利用者が利用した電気自動車12と充電器18との接続状態が確認できた場合(即ち、接続状態情報が接続状態オン情報である場合である。)に、返却処理を完了できるようにすることができる。
【0152】
あるいは、利用者が利用した電気自動車12を返却するための返却処理を行う際に、充放電情報により利用者が利用した電気自動車12の蓄電池14が充電状態であることを確認できた場合に、返却処理を完了できるようにすることができる。
【0153】
ここで、上記した接続状態が確認できた場合に返却処理を完了できるようにするか、あるいは、上記した充電状態であることを確認できた場合に返却処理を完了できるようにするかは、例えば、接続状態であることと充電状態であることとの両方が確認できた場合にのみ返却処理を完了できるようにしてもよいし、あるいは、いずれか一方の確認ができた場合には返却処理を完了できるようにしてもよい。
【0154】
また、電気自動車12の個々の車両毎や車種毎に、上記したように、両方が確認できた場合にのみ返却処理を完了できるようにしてもよいし、あるいは、いずれか一方の確認ができた場合には返却処理を完了できるようにしてもよい。
【0155】
上記したように、利用者が利用した電気自動車12と充電器18との接続状態が確認できた場合や、あるいは、利用者が利用した電気自動車12の蓄電池14が充電状態であることを確認できた場合に、返却処理を完了できるようにすることによって、利用者に対して電気自動車12の利用終了後における蓄電池14へ充電操作などの充電作業を行うように促すことができる。
【0156】
これにより、次の利用者が電気自動車12を利用する際には、蓄電池14へ十分な電力量が蓄電されている状態を維持することができるようになる。
【0157】
また、利用者が利用した電気自動車12と充電器18との接続状態が確認されなかった場合や、あるいは、利用者が利用した電気自動車12の蓄電池14が充電状態であることが確認されなかった場合には、返却処理が完了されないので、利用者に対して予め設定されている充電器18を備えた返却場所への電気自動車12の返却を促すことができ、決められた場所以外への電気自動車12の返却を抑止することができるようになる。
【0158】
ここで、図7ならびに図8には、カーシェアリングシステム10における本発明の実施に関連する返却処理ルーチンを示すフローチャートがそれぞれあらわされている。
【0159】
まず、図7に示す返却処理ルーチンは、その一例として、利用者が利用した電気自動車12を返却する返却処理を行う際に、利用者が利用した電気自動車12と充電器18との接続状態が確認できた場合に、返却処理を完了できるようにする例を示す。
【0160】
この返却処理ルーチンは、利用者がパーソナルコンピューター104や情報端末106などのような各種の通信機器を用いて、利用した電気自動車12を返却するための返却処理の操作を行うと実行される。
【0161】
まず、この返却処理ルーチンが起動すると、返却対象の電気自動車12を車両情報から特定し、接続状態検出部20eによって充電器18と当該電気自動車12との接続状態を検出し、接続状態情報取得部20fにより取得されてサーバー108に入力された接続状態情報が接続状態オン情報であるか接続状態オフ情報であるかを判断する(ステップS702)。
【0162】
ステップS702の判断処理において、接続状態情報が接続状態オフ情報であると判断された場合、即ち、電気自動車12と充電器18との接続状態が確認できなかった場合には、ステップS704の処理へ進み、返却処理を完了せずに、利用者に対して、パーソナルコンピューター104や情報端末106の画面の表示やそれらからの音声、あるいはキーボックス116に設けられたスピーカー(図示せず。)からの音声によって、電気自動車12と充電器18との接続状態が確認できないことを報知し、利用者に対して電気自動車12と充電器18とを接続する操作たる接続操作(具体的には、例えば、EVプラグ22により電気自動車12と充電器18とを接続する操作である。)を行うことを促すなど、電気自動車12に搭載された蓄電池14への充電を実施するための充電操作などの充電作業を行わせるよう報知して、ステップS702の処理へ戻る。
【0163】
一方、ステップS702の判断処理において、接続状態情報が接続状態オン情報であると判断された場合、即ち、電気自動車12と充電器18との接続状態が確認できた場合には、ステップS706の処理へ進み、従来より公知の返却処理を行って返却処理を完了させ、この返却処理ルーチンを終了する。
【0164】
次に、図8に示す返却処理ルーチンは、一例として、利用者が利用した電気自動車12を返却する返却処理を行う際に、利用者が利用した電気自動車12の蓄電池14が充電状態であることを確認できた場合に、返却処理を完了できるようにする例を示す。
【0165】
この返却処理ルーチンは、利用者がパーソナルコンピューター104や情報端末106などのような各種の通信機器を用いて、利用した電気自動車12を返却するための返却処理の操作を行うと実行される。
【0166】
まず、この返却処理ルーチンが起動すると、返却対象の電気自動車12を車両情報から特定し、充放電情報取得部20hにより取得された当該電気自動車12にかかる充放電情報が充電状態にあることを示すものであるか否かを判断する(ステップS802)。
【0167】
ステップS802の判断処理において、充放電情報が充電状態にあることを示すものではないと判断された場合(No)には、ステップS804の処理へ進み、返却処理を完了せずに、利用者に対して、パーソナルコンピューター104や情報端末106の画面の表示やそれらからの音声、あるいはキーボックス116に設けられたスピーカー(図示せず。)からの音声によって、電気自動車12の蓄電池14が充電状態でないことを報知し、利用者に対して電気自動車12と充電器18とを接続する操作たる接続操作(具体的には、例えば、EVプラグ22により電気自動車12と充電器18とを接続する操作である。)を行うことを促すなど、電気自動車12に搭載された蓄電池14への充電を実施するための充電操作などの充電作業を行わせるよう報知して、ステップS802の処理へ戻る。
【0168】
一方、ステップS802の判断処理において、充放電情報が充電状態にあることを示すものであると判断された場合(Yes)には、ステップS806の処理へ進み、従来より公知の返却処理を行って返却処理を完了させ、この返却処理ルーチンを終了する。
【0169】
従って、上記した返却処理ルーチンによれば、利用者が利用した電気自動車を返却するための返却処理をするときに、利用者に対して蓄電池への充電操作などの充電作業を行うことを促すことが可能になり、次の利用者が電気自動車12を利用する際に蓄電池14へ十分な電力量が充電されている状態を維持することができるようになるとともに、利用者に対して予め設定されている充電器18を備えた返却場所への電気自動車12の返却を促すことができ、決められた場所以外への電気自動車12の返却を防止することができる。
【0170】
(VIII)カーシェアリングシステムにおける作用効果
【0171】
以上において説明したように、本発明によるカーシェアリングシステム10によれば、充電器監視装置20が充電器18を監視することにより取得した電気自動車12ならびに当該電気自動車12に搭載されている蓄電池14に関する種々の情報によって、サーバー108においてこれら種々の情報の管理を適切に行うことができるようになる。
【0172】
従って、管理者においては、パーソナルコンピューター102などの通信端末を利用して、電気自動車12に対する監視や操作を行うことができるようになり、運行管理の利便性を向上することができる。
【0173】
例えば、管理者においては、電気自動車12と充電器18との接続状態が確認できるので、本来は接続状態であるべき状況において未接続状態になった場合には、そうした不具合に即座に対応することができる。
【0174】
また、管理者においては、電気自動車12のSOCが監視できるので、SOCが低い場合には、利用者や管理者側の作業者などに充電操作などの充電作業を行うことを依頼することができ、また、当該電気自動車12の予約停止や利用停止を判断して実施することができる。
【0175】
あるいは、管理者がコールセンターなどを設置している場合には、SOCが低い電気自動車12を予約している利用者に対して、当該電気自動車12のSOCが低い旨を連絡して利用の可否の判断させるなどのように、利用者のサポートに資することができる。
【0176】
また、電気自動車12の蓄電池14が充電状態にない場合には、必要であればサーバー108経由で充電器18に対して充電依頼して充電開始することにより、SOC管理を実施することができる。
【0177】
また、利用者においては、パーソナルコンピューター104や情報端末106などの通信端末を利用して、電気自動車12の予約や利用開始の判断を適切に行うことができるようになる。
【0178】
即ち、電気自動車12の予約前にSOCを確認することにより、SOCの低い電気自動車12の予約を避けることがき、また、予約した電気自動車12の利用開始前にSOCを確認することにより、予約した電気自動車12のSOCの高低に応じて利用開始するか利用をキャンセルするかを判断することが可能となる。
【0179】
さらに、カーシェアリングシステムの利用者が、利用した電気自動車12の利用を終了して当該電気自動車12を返却する際に、電気自動車12と充電器18との接続状態や電気自動車に搭載された蓄電池14の状態に応じて、返却処理を完了させるか否かを判断して管理することが可能になる。
【0180】
つまり、本発明によるカーシェアリングシステム10においては、SOCの管理や蓄電池14の充電状態の管理などを正確に行うことができるので、電気自動車12の予約や返却時における信頼性の向上を図ることができるようになり、管理者と利用者との間における電気自動車12の予約や返却時におけるトラブルの発生を低減することができるようになる。
【0181】
即ち、カーシェアリングにおいては、電気自動車12の状態、特に、SOCの管理は、ガソリンの給油と異なり、充電には時間を要するので重要である。本発明によるカーシェアリングシステム10によれば、電気自動車12のSOCを正確かつ容易に確認できることにより、SOCが低い、即ち、電池残量が少ないときは、管理者側における予約や利用の停止の判断や、利用者自身での利用判断に役立てることができる。
具体的には、利用者が電気自動車12の利用開始をしてみたら電池残量がなく、例えば、10Kmしか走れない状態となっており、それを回復させたるために充電で何十分も待たなければならないといった不都合の発生を回避できる。
また利用終了の返却時においても、充電器18のEVプラグ22が電気自動車12に接続されているか、あるいは、蓄電池14が充電状態であるかなどを返却処理の完了、即ち、利用終了の契機とすることにより、次の利用者の利用時に充電がされていないといったトラブルを低減する効果が期待できる。
【0182】
さらに、予め電気自動車12を待機させているステーションでの利用開始待ちの状態において電気自動車12の状態を監視管理できていれば、利用開始後については利用者自身が電気自動車12の状態を目視で確認できるため、利用開始後のSOCの管理はカーシェアシステム上はあまり必要がない。
【0183】
従って、本発明によるカーシェアリングシステム10のように、充電器18からの情報取得のみで、カーシェアリングの運用には十二分に活用するとができる。
【0184】
(IX)その他の実施の形態および変形例の説明
【0185】
なお、上記した実施の形態は例示に過ぎないものであり、本発明は他の種々の形態で実施することができる。即ち、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【0186】
例えば、上記した実施の形態は、以下の(IX-1)乃至(IX-4)に示すように変形するようにしてもよい。
【0187】
(IX-1)上記した実施の形態においては、説明を簡潔化して本発明の理解容易にするために詳細な説明は省略したが、本発明によるカーシェアリングシステム10においては、電気自動車12とともに内燃機関自動車を併用してもよいことは勿論である。
【0188】
(IX-2)上記した実施の形態においては、充電器18に対して無線または有線により充電器監視装置20を接続するようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、充電器18内に充電器監視装置20を一体的に組み付けるようにしてもよい。
【0189】
(IX-3)上記した実施の形態においては、情報端末106として携帯電話、スマートフォンあるいはタブレットを例示したが、情報端末106はこれらに限られるものではないことは勿論であり、サーバー108との間で情報伝達が可能であれば、種々の形態のものを用いてよい。
【0190】
(IX-4)上記した実施の形態ならびに上記した(IX-1)乃至(IX-3)に示す変形例は、適宜に組み合わせるようにしてもよいことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0191】
本発明は、シェアカーとして電気自動車を用いたカーシェアリングに利用することができる。
【符号の説明】
【0192】
10 カーシェアリングシステム
12 電気自動車
14 蓄電池
16 ECU(Electronic Control Unit:エレクトロニックコントロールユニット)
18 充電器
20 充電器監視装置(監視手段)
20a サーバー情報入力部
20b サーバー情報出力部
20c 充電器情報入力部
20d 充電器情報出力部
20e 接続状態検出部
20f 接続状態情報取得部
20g 車両情報取得部
20h 充放電情報取得部
20i SOC取得部
22 EVプラグ
100 カーシェアリングシステム
102 パーソナルコンピューター
104 パーソナルコンピューター
106 情報端末
108 サーバー(予約車両管理処理手段、キャンセル処理手段、返却処理手段)
110 自動車
112 車載器
114 カードリーダー
116 キーボックス
図1
図2
図3
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図8