(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154919
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】燃料電池スタックの組合せ方法
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04694 20160101AFI20221005BHJP
H01M 8/249 20160101ALI20221005BHJP
H01M 8/04537 20160101ALI20221005BHJP
H01M 8/04664 20160101ALI20221005BHJP
【FI】
H01M8/04694
H01M8/249
H01M8/04537
H01M8/04664
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021058189
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】山野 尚紀
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126AA22
5H127AB13
5H127AB14
5H127AC05
5H127DB50
5H127DB66
5H127DC49
5H127DC50
(57)【要約】
【課題】燃料電池スタックのより最適な組合せを決定できる燃料電池スタックの組合せ方法を提供する。
【解決手段】燃料電池システム1は、各々が、直列に接続された複数の燃料電池スタック12を有し、互いに並列に接続された複数の燃料電池モジュール11を備える。検査装置2は、複数の燃料電池スタック12の各々について、出力値を取得する出力取得部21と、複数の燃料電池スタック12の各々について、将来の劣化度を推定する劣化推定部22と、複数の燃料電池スタック12の各々について、劣化推定部22が推定する将来の劣化度に基づき、所定期間が経過した後の出力値である将来出力値を推定する将来出力推定部23と、を備える。燃料電池スタック12の組合せ方法は、複数の燃料電池スタック12の各々の出力値の互いの差と、複数の燃料電池スタック12の各々の将来出力値の互いの差と、に基づいて、複数の燃料電池スタック12の組合せを決定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査装置を用いて、燃料電池システムを構成する複数の燃料電池スタックの組合せを決定する燃料電池スタックの組合せ方法であって、
前記燃料電池システムは、
各々が、直列に接続された前記複数の燃料電池スタックを有し、互いに並列に接続された複数の燃料電池モジュールを備え、
前記検査装置は、
前記複数の燃料電池スタックの各々について、出力値を取得する出力取得部と、
前記複数の燃料電池スタックの各々について、将来の劣化度を推定する劣化推定部と、
前記複数の燃料電池スタックの各々について、前記劣化推定部により推定される将来の劣化度に基づいて、所定期間が経過した後の出力値である将来出力値を推定する将来出力推定部と、を備え、
前記複数の燃料電池スタックの各々の出力値の互いの差と、前記複数の燃料電池スタックの各々の将来出力値の互いの差と、に基づいて、前記複数の燃料電池スタックの組合せを決定する、燃料電池スタックの組合せ方法。
【請求項2】
前記複数の燃料電池モジュールの各々について、該燃料電池モジュールが有する前記複数の燃料電池スタックの各々の出力値を積算することで、該燃料電池モジュールの出力値を取得し、
前記複数の燃料電池モジュールの各々について、該燃料電池モジュールが有する前記複数の燃料電池スタックの各々の将来出力値を積算することで、該燃料電池モジュールの将来出力値を推定し、
前記複数の燃料電池モジュールの各々の出力値の互いの差と、前記複数の燃料電池モジュールの各々の将来出力値の互いの差と、に基づいて、前記複数の燃料電池スタックの組合せを決定する、請求項1に記載の燃料電池スタックの組合せ方法。
【請求項3】
前記複数の燃料電池スタックの出力値の最大値と最小値との差と、前記複数の燃料電池スタックの将来出力値の最大値と最小値との差と、に基づいて、前記複数の燃料電池スタックの出力値の合計値が最小となる前記複数の燃料電池スタックの組合せを決定する、請求項1に記載の燃料電池スタックの組合せ方法。
【請求項4】
前記複数の燃料電池モジュールの出力値の最大値と最小値との差と、前記複数の燃料電池モジュールの将来出力値の最大値と最小値との差と、の合計値が最小となる前記複数の燃料電池スタックの組合せを決定する、請求項2に記載の燃料電池スタックの組合せ方法。
【請求項5】
前記複数の燃料電池モジュールの各々について、該燃料電池モジュールが有する前記複数の燃料電池スタックの各々の出力値を積算することで、該燃料電池モジュールの出力値を取得し、
前記複数の燃料電池モジュールの各々について、該燃料電池モジュールが有する前記複数の燃料電池スタックの各々の将来出力値を積算することで、該燃料電池モジュールの将来出力値を推定し、
前記複数の燃料電池モジュールの出力値の最大値と最小値との差が、前記複数の燃料電池モジュールの将来出力値の最大値と最小値との差より小さくなる前記複数の燃料電池スタックの組合せを決定する、請求項3に記載の燃料電池スタックの組合せ方法。
【請求項6】
前記複数の燃料電池スタックの各々について、該燃料電池スタックの出力値と、該燃料電池スタックの将来出力値と、の差に基づいて、ランクに分け、
前記複数の燃料電池スタックの各々のランクに基づいて、前記燃料電池スタックの組合せを決定する、請求項1に記載の燃料電池スタックの組合せ方法。
【請求項7】
前記複数の燃料電池モジュールの各々は、直列に接続された前記複数の燃料電池スタックの出力値のうち、少なくとも一つが他と異なる、請求項1~6のいずれかに記載の燃料電池スタックの組合せ方法。
【請求項8】
前記所定期間は、前記燃料電池スタックの使用期間又は用途に基づいて決定される、請求項1~7のいずれかに記載の燃料電池スタックの組合せ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池スタックの組合せ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バッテリ交換の際に、使用済みバッテリを構成する複数の電池モジュールの現在の劣化状態を測定し、その測定結果に基づいてユーザからのバッテリの交換要求を満足する電池モジュールを組み合わせる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この技術によれば、現在の劣化状態を測定することで、電池モジュールの最適の組合せが可能になるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、電池モジュールのこれからの使用による将来的な劣化が考慮されていない。そのため、より最適な電池モジュールの組み合わせを実現するためには改善の余地がある。
【0005】
また、複数の燃料電池モジュールを並列に接続したシステムにおいて、FCVCU(燃料電池電圧制御ユニット)等の電圧制御手段を備えていない場合には、各燃料電池モジュールの電圧が一定となる。そのため、複数の燃料電池モジュールの電流・電圧特性にばらつきがあると、電圧が一定という並列回路の特性により、低特性の燃料電池モジュールの出力が出せないおそれがある。従って、このような場合には特に、燃料電池モジュールを構成する燃料電池スタックの最適な組み合わせが求められる。
【0006】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、燃料電池モジュールを構成する燃料電池スタックのより最適な組合せを決定できる燃料電池スタックの組合せ方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明に係る燃料電池スタックの組合せ方法は、検査装置(例えば、後述する検査装置2)を用いて、燃料電池システム(例えば、後述する燃料電池システム1)を構成する複数の燃料電池スタック(例えば、後述する燃料電池スタック12)の組合せを決定する燃料電池スタックの組合せ方法であって、前記燃料電池システムは、各々が、直列に接続された前記燃料電池スタックを有し、互いに並列に接続された複数の燃料電池モジュール(例えば、後述する燃料電池モジュール11)を備え、前記検査装置は、前記複数の燃料電池スタックの各々について、出力値を取得する出力取得部(例えば、後述する出力取得部21)と、前記複数の燃料電池スタックの各々について、将来の劣化度を推定する劣化推定部(例えば、後述する劣化推定部22)と、前記複数の燃料電池スタックの各々について、前記劣化推定部により推定される将来の劣化度に基づいて、所定期間が経過した後の出力値である将来出力値を推定する将来出力推定部(例えば、後述する将来出力推定部23)と、を備え、前記複数の燃料電池スタックの各々の出力値の互いの差と、前記複数の燃料電池スタックの各々の将来出力値の互いの差と、に基づいて、前記複数の燃料電池スタックの組合せを決定する。
【0008】
(1)の発明に係る燃料電池スタックの組合せ方法では、複数の燃料電池スタックの各々の出力値の互いの差と、将来の劣化度に基づいて推定された複数の燃料電池スタックの各々の将来出力値の互いの差と、に基づいて、複数の燃料電池スタックの組合せを決定する。そのため、(1)の発明によれば、複数の燃料電池スタックの各々の出力値の互いの差だけに基づいて複数の燃料電池スタックの組合せを決定する場合と比較して、燃料電池スタックの将来の劣化度を考慮した、より最適な組合せを決定することができる。
【0009】
(2) (1)の発明に係る燃料電池スタックの組合せ方法において、前記複数の燃料電池モジュールの各々について、該燃料電池モジュールが有する前記複数の燃料電池スタックの各々の出力値を積算することで、該燃料電池モジュールの出力値を取得し、前記複数の燃料電池モジュールの各々について、該燃料電池モジュールが有する前記複数の燃料電池スタックの各々の将来出力値を積算することで、該燃料電池モジュールの将来出力値を推定し、前記複数の燃料電池モジュールの各々の出力値の互いの差と、前記複数の燃料電池モジュールの各々の将来出力値の互いの差と、に基づいて、前記複数の燃料電池スタックの組合せを決定してもよい。
【0010】
(2)の発明に係る燃料電池スタックの組合せ方法によれば、直列に接続された複数の燃料電池スタックを有する燃料電池モジュールを単位として出力値及び将来出力値を取得し、それらに基づいて複数の燃料電池スタックの組合せを決定するため、燃料電池モジュール同士が最適な組み合わせとなるような燃料電池スタックの組合せを決定することができる。
【0011】
(3) (1)の発明に係る燃料電池スタックの組合せ方法において、前記複数の燃料電池スタックの出力値の最大値と最小値との差と、前記複数の燃料電池スタックの将来出力値の最大値と最小値との差と、に基づいて、前記複数の燃料電池スタックの出力値の合計値が最小となる前記複数の燃料電池スタックの組合せを決定してもよい。
【0012】
(3)の発明に係る燃料電池スタックの組合せ方法によれば、複数の燃料電池スタックの出力値の最大値と最小値との差と、複数の燃料電池スタックの将来出力値の最大値と最小値との差と、に基づいて、出力値の合計値が最小となる複数の燃料電池スタックの組合せを決定するため、より広い電力の取り出し幅を確保しつつ、各燃料電池スタックを有効活用すると共に、運転時の電力負荷割合のばらつきを小さくできるため長寿命に貢献する事のできる燃料電池スタックの最適な組み合わせを決定することができる。
【0013】
(4)本発明に係る燃料電池スタックの組合せ方法は、前記複数の燃料電池モジュールの出力値の最大値と最小値との差と、前記複数の燃料電池モジュールの将来出力値の最大値と最小値との差と、の合計値が最小となる前記複数の燃料電池スタックの組合せを決定してもよい。
【0014】
(4)の発明に係る燃料電池スタックの組合せ方法によれば、複数の燃料電池モジュールの出力値の最大値と最小値との差と、複数の燃料電池モジュールの将来出力値の最大値と最小値との差と、の合計値が最小となる複数の燃料電池スタックの組合せを決定するため、より広い電力の取り出し幅を確保しつつ、各燃料電池スタックを有効活用すると共に、運転時の電力負荷割合のばらつきを小さくできるため長寿命に貢献する事のできる燃料電池スタックの最適な組み合わせを決定することができる。
【0015】
(5) (3)の発明に係る燃料電池スタックの組合せ方法において、前記複数の燃料電池モジュールの各々について、該燃料電池モジュールが有する前記複数の燃料電池スタックの各々の出力値を積算することで、該燃料電池モジュールの出力値を取得し、前記複数の燃料電池モジュールの各々について、該燃料電池モジュールが有する前記複数の燃料電池スタックの各々の将来出力値を積算することで、該燃料電池モジュールの将来出力値を推定し、前記複数の燃料電池モジュールの出力値の最大値と最小値との差が、前記複数の燃料電池モジュールの将来出力値の最大値と最小値との差より小さくなる前記複数の燃料電池スタックの組合せを決定してもよい。
【0016】
(5)の発明に係る燃料電池スタックの組合せ方法によれば、複数の燃料電池モジュールの出力値の最大値と最小値との差が、複数の燃料電池モジュールの将来出力値の最大値と最小値との差より小さくなる複数の燃料電池スタックの組合せを決定するため、より広い電力の取り出し幅を確保しつつ、各燃料電池スタックを有効活用すると共に、運転時の電力負荷割合のばらつきを小さくできるため長寿命に貢献する事のできる燃料電池スタックの最適な組み合わせを決定することができる。
【0017】
(6) (1)の発明に係る燃料電池スタックの組合せ方法において、前記複数の燃料電池スタックの各々について、該燃料電池スタックの出力値と、該燃料電池スタックの将来出力値と、の差に基づいて、ランクに分け、前記複数の燃料電池スタックの各々のランクに基づいて、前記燃料電池スタックの組合せを決定してもよい。
【0018】
(6)の発明に係る燃料電池スタックの組合せ方法によれば、出力値と将来出力値との差に基づいてランク分けされた複数の燃料電池スタックの各々のランクに基づいて、燃料電池スタックの組合せを決定するため、燃料電池スタックのより最適な組合せを決定することができる。例えば、差が小さいランクを組み合わせた燃料電池モジュールをライフサイクルの長い用途に使用し、差が大きいランクを組み合わせた燃料電池モジュールをライフサイクルの短い用途に使用することができ、最適な使い分けが可能となる。
【0019】
(7) (1)~(6)いずれかの発明に係る燃料電池スタックの組合せ方法において、前記複数の燃料電池モジュールは、それぞれ、直列に接続された前記複数の燃料電池スタックの出力値のうち、少なくとも一つが他と異なっていてよい。
【0020】
(7)の発明に係る燃料電池スタックの組合せ方法によれば、直列に接続された複数の燃料電池スタックの出力値のうち、少なくとも一つが他と異なっていてもよいため、複数の燃料電池スタックの一部として、中古品や仕様が異なる他社製品を採用することができる。そのため、燃料電池スタックの選択の幅が広がり、燃料電池スタックのより最適な組合せを決定することができる。
【0021】
(8) (1)~(7)いずれかの発明に係る燃料電池スタックの組合せ方法において、前記所定期間は、前記燃料電池スタックの使用期間又は用途に基づいて決定されてよい。
【0022】
(8)の発明に係る燃料電池スタックの組合せ方法によれば、所定期間が燃料電池スタックの使用期間又は用途に基づいて決定されるため、燃料電池スタックのより最適な組合せを決定することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、燃料電池モジュールを構成する燃料電池スタックのより最適な組合せを決定できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施形態に係る燃料電池スタックの組合せ方法を実現する燃料電池システム及び検査装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る燃料電池スタックの組合せ方法の流れを説明するフローチャートである。
【
図3A】燃料電池スタックの電流・電圧特性を示す図である。
【
図3B】経年劣化による燃料電池スタックの出力低下を示す図である。
【
図4A】燃料電池スタックの組合せの良否を説明する模式図であり、燃料電池スタックの組合せが否の場合を示す。
【
図4B】燃料電池スタックの組合せの良否を説明する模式図であり、燃料電池スタックの組合せが良の場合を示す。
【
図5A】燃料電池スタックの組合せの良否を説明する模式図であり、燃料電池スタックの組合せが否の場合を示す。
【
図5B】燃料電池スタックの組合せの良否を説明する模式図であり、燃料電池スタックの組合せが良の場合を示す。
【
図6A】各種燃料電池スタックにおける経年劣化による出力低下を示す図である。
【
図6B】各種燃料電池スタックを組み合わせた燃料電池システムを示す概略図である。
【
図7】燃料電池システムの変形例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
まず、
図1を用いて、本発明の実施形態に係る燃料電池スタック12の組合せ方法を実現する燃料電池システム1及び検査装置2の構成について説明する。
図1は、燃料電池スタック12の組合せ方法を実現する燃料電池システム1及び検査装置2の構成を示すブロック図である。
【0027】
図1に示す燃料電池システム1は、複数の燃料電池モジュール11が並列に接続され、かつFCVCU(燃料電池自動車コントロールユニット)等の電圧制御手段を備えていないシステムであり、各燃料電池モジュール11の電圧が互いに一定となる。この燃料電池システム1は、複数の燃料電池モジュール11の電流・電圧特性にばらつきが無いことが求められる。この求めに対応すべく、燃料電池システム1の出荷時に、検査装置2を用いて、燃料電池システム1を構成する複数の燃料電池スタック12のより最適な組合せを決定する。その後、作業者又は作業ロボット(図示省略)が、検査装置2が決定した組合せとなるように、燃料電池スタック12の組替えを行う。
【0028】
具体的に、燃料電池システム1は、複数の燃料電池モジュール11を備える。複数の燃料電池モジュール11は、各々が、直列に接続された複数の燃料電池スタック12を有する。また、複数の燃料電池モジュール11は、互いに並列に接続される。なお、
図1を含む各図において、燃料電池モジュール11は、左から順番に1番目、2番目、・・・であり、燃料電池スタック12は、上から順番に1番目、2番目、・・・である。
【0029】
また、
図1においては、直列に接続された複数の燃料電池スタック12の数が4つである場合を例にしているが、4つに限定されず、2つ、3つ又は5つ以上であってもよい。また、
図1においては、並列に接続された複数の燃料電池モジュール11の数が2つである場合を例にしているが、2つに限定されず、3つ以上であってもよい。
【0030】
複数の燃料電池スタック12は、検査装置2によって、互いに識別可能に管理される。具体的に、複数の燃料電池スタック12は、検査装置2によって、何番目の燃料電池モジュール11を構成するものであるかが管理されると共に、当該燃料電池モジュール11の中の何番目の燃料電池スタック12であるかが管理される。例えば、2番目の燃料電池モジュール11の中の1番目の燃料電池スタック12は、検査装置2によって、番号(2,1)で管理される。
【0031】
検査装置2は、燃料電池システム1の出荷時に用いられ、燃料電池システム1を構成する複数の燃料電池スタック12の組合せを決定する。具体的に、検査装置2は、出力取得部21と、劣化推定部22と、将来出力推定部23と、組合せ決定部24と、結果出力部25と、を備える。
【0032】
検査装置2は、例えばCPU、RAM、ROM、及びI/O等を有するマイクロプロセッサにより構成される。CPUは、ROM又は各記憶部から読み出した各プログラムを実行し、その実行の際にはRAM、ROM、及び各記憶部から情報を読み出し、RAM及び各記憶部に対して情報の書き込みを行い、図示しない通信部と信号の授受を実行する。このようにして、ハードウェアとソフトウェア(プログラム)が協働することにより、本実施形態における処理は実現される。
【0033】
出力取得部21は、複数の燃料電池スタック12の各々について、出力値を取得する。また、出力取得部21は、複数の燃料電池モジュール11の各々について、当該燃料電池モジュール11が有する複数の燃料電池スタック12の各々の出力値を積算することで、当該燃料電池モジュール11の出力値を取得する。
【0034】
劣化推定部22は、複数の燃料電池スタック12の各々について、将来の劣化度を推定する。具体的に、劣化推定部22は、複数の燃料電池スタック12の各々について、極短期間使用して極僅かに劣化させることで、その極短期間の使用による劣化度から、長期間使用した場合の将来の劣化度を推定する。劣化度は、出力値に応じたデータとしてデータベースに蓄積されているものを取得してもよいし、外部のビッグデータから取得してもよい。
【0035】
将来出力推定部23は、複数の燃料電池スタック12の各々について、劣化推定部22が推定する将来の劣化度に基づき、所定期間が経過した後の出力値である将来出力値を推定する。また、将来出力推定部23は、複数の燃料電池モジュール11の各々について、当該燃料電池モジュール11が有する複数の燃料電池スタック12の各々の将来出力値を積算することで、当該燃料電池モジュール11の将来出力値を推定する。所定期間は、燃料電池スタック12の使用期間又は用途に基づいて決定される。将来出力値は、劣化度に応じたデータとしてデータベースに蓄積されているもの取得してもよいし、外部のビッグデータから取得してもよい。
【0036】
組合せ決定部24は、複数の燃料電池スタック12の各々の出力値の互いの差と、複数の燃料電池スタック12の各々の将来出力値の互いの差と、に基づいて、複数の燃料電池スタック12の組合せを決定する。
【0037】
具体的に、組合せ決定部24は、複数の燃料電池モジュール11の各々の出力値の互いの差と、複数の燃料電池モジュール11の各々の将来出力値の互いの差と、に基づいて、複数の燃料電池スタック12の組合せを決定する。より具体的に、組合せ決定部24は、複数の燃料電池モジュール11の出力値の最大値と最小値との差と、複数の燃料電池モジュール11の将来出力値の最大値と最小値との差と、の合計値が最小となる複数の燃料電池スタック12の組合せを決定する。
【0038】
あるいは、組合せ決定部24は、複数の燃料電池スタック12の出力値の最大値と最小値との差と、複数の燃料電池スタック12の将来出力値の最大値と最小値との差と、に基づいて、複数の燃料電池スタック12の出力値の合計値が最小となる複数の燃料電池スタック12の組合せを決定する。より具体的に、組合せ決定部24は、複数の燃料電池モジュール11の出力値の最大値と最小値との差が、複数の燃料電池モジュール11の将来出力値の最大値と最小値との差より小さくなる複数の燃料電池スタック12の組合せを決定する。
【0039】
あるいは、組合せ決定部24は、複数の燃料電池スタック12の各々について、当該燃料電池スタック12の出力値と、当該燃料電池スタック12の将来出力値と、の差に基づき、ランクに分け、複数の燃料電池スタックの各々のランクに基づいて、燃料電池スタック12の組合せを決定する。
【0040】
結果出力部25は、作業者に対し情報を出力するモニタ、又は作業ロボット(図示省略)に対し信号を出力する通信手段である。この結果出力部25は、作業者又は作業ロボット(図示省略)に対し、組合せ決定部24が決定した燃料電池スタック12の組合せを出力する。例えば、組合せ決定部24が決定した燃料電池スタック12の組合せが、番号(2,1)の燃料電池スタック12と、番号(1,2)の燃料電池スタック12と、を互いに組み替えることで実現できる場合には、結果出力部25は、番号(2,1)の燃料電池スタック12と、番号(1,2)の燃料電池スタック12と、を互いに組み替えることを指示する内容を出力する。その後、作業者又は作業ロボット(図示省略)は、結果出力部25が出力した組合せとなるように、燃料電池スタック12の組替えを行う。
【0041】
次に、
図2を用いて、本発明の実施形態に係る燃料電池スタック12の組合せ方法の流れについて説明する。
図2は、燃料電池スタック12の組合せ方法の流れを説明するフローチャートである。
【0042】
図2に示す燃料電池スタック12(
図1参照)の組合せ方法は、検査装置2(
図1参照)を用いて、燃料電池システム1(
図1参照)を構成する複数の燃料電池スタック12(
図1参照)の組合せを決定する方法である。具体的に、燃料電池スタック12(
図1参照)の組合せ方法は、出力取得ステップS11と、劣化推定ステップS12と、将来出力推定ステップS13と、組合せ決定ステップS14と、結果出力ステップS15と、組替えステップS16と、を備える。
【0043】
出力取得ステップS11は、出力取得部21(
図1参照)が、複数の燃料電池スタック12(
図1参照)の各々について出力値を取得すると共に、複数の燃料電池モジュール11(
図1参照)の各々について出力値を取得するステップである。出力取得ステップS11の後に、劣化推定ステップS12に進む。
【0044】
劣化推定ステップS12は、劣化推定部22(
図1参照)が、複数の燃料電池スタック12(
図1参照)の各々について将来の劣化度を推定するステップである。劣化推定ステップS12の後に、将来出力推定ステップS13に進む。
【0045】
将来出力推定ステップS13は、将来出力推定部23(
図1参照)が、複数の燃料電池スタック12(
図1参照)の各々について将来出力値を推定すると共に、複数の燃料電池モジュール11(
図1参照)の各々について将来出力値を推定するステップである。将来出力推定ステップS13の後に、組合せ決定ステップS14に進む。
【0046】
組合せ決定ステップS14は、組合せ決定部24(
図1参照)が、複数の燃料電池スタック12(
図1参照)の組合せを決定するステップである。組合せ決定ステップS14の後に、結果出力ステップS15に進む。
【0047】
結果出力ステップS15は、結果出力部25(
図1参照)が、作業者又は作業ロボット(図示省略)に対し、組合せ決定ステップS14で決定した燃料電池スタック12(
図1参照)の組合せを出力するステップである。結果出力ステップS15の後に、組替えステップS16に進む。
【0048】
組替えステップS16は、作業者又は作業ロボット(図示省略)が、結果出力ステップS15で出力された組合せとなるように、燃料電池スタック12(
図1参照)の組替えを行うステップである。組替えステップS16の後に、処理が終了する。
【0049】
次に、
図3A及び
図3Bを用いて、燃料電池スタック12(
図1参照)の電流・電圧特性、及び経年劣化による燃料電池スタック12(
図1参照)の出力低下について説明する。
図3Aは、燃料電池スタック12(
図1参照)の電流・電圧特性を示す図である。
図3Bは、経年劣化による燃料電池スタック12(
図1参照)の出力低下を示す図である。
【0050】
図3Aに示すように、燃料電池スタック12(
図1参照)は、燃料電池スタックごとに所定の電流・電圧特定を有する。そのため、複数の燃料電池スタックの電流・電圧特性にばらつきがあると、電圧が一定という並列回路の特性により、低特性の燃料電池モジュールを構成する燃料電池スタックの出力が出せないおそれがある。
【0051】
図3Bに示すように、燃料電池スタック12(
図1参照)は、経年劣化に伴って将来出力値が低下する。この将来出力値は、将来出力推定部23によって推定される。本実施形態では、この将来出力推定部23によって推定将来出力値も考慮して、燃料電池スタックの最適な組み合わせを決定する。
【0052】
次に、
図4A、
図4B、
図5A及び
図5Bを用いて、燃料電池スタック12の組合せの良否について説明する。
図4Aは、燃料電池スタック12の組合せの良否を説明する模式図であり、燃料電池スタック12の組合せが否の場合を示す。
図4Bは、燃料電池スタック12の組合せの良否を説明する模式図であり、燃料電池スタック12の組合せが良の場合を示す。
図5Aは、燃料電池スタック12の組合せの良否を説明する模式図であり、燃料電池スタック12の組合せが否の場合を示す。
図5Bは、燃料電池スタック12の組合せの良否を説明する模式図であり、燃料電池スタック12の組合せが良の場合を示す。
【0053】
図4Aに示すように、番号(1,1)の燃料電池スタック12が性能良好で、番号(1,2)の燃料電池スタック12が性能良好で、番号(2,1)の燃料電池スタック12が性能普通で、かつ番号(2,2)の燃料電池スタック12が性能普通の場合、1番目の燃料電池モジュール11の出力が高く、また、2番目の燃料電池モジュール11の出力が普通である。すなわち、この場合、互いに並列に接続された複数の燃料電池モジュール11の電流・電圧特性にばらつきがある。
【0054】
一方、
図4Bに示すように、番号(1,1)の燃料電池スタック12が性能良好で、番号(1,2)の燃料電池スタック12が性能普通で、番号(2,1)の燃料電池スタック12が性能良好で、かつ番号(2,2)の燃料電池スタック12が性能普通の場合、1番目の燃料電池モジュール11の出力が良好で、また、2番目の燃料電池モジュール11の出力が良好である。すなわち、この場合、互いに並列に接続された複数の燃料電池モジュール11の電流・電圧特性にばらつきがない。
【0055】
あるいは、番号(1,1)の燃料電池スタック12が性能良好で、番号(1,2)の燃料電池スタック12が性能普通で、番号(2,1)の燃料電池スタック12が性能普通で、かつ番号(2,2)の燃料電池スタック12が性能良好の場合、1番目の燃料電池モジュール11の出力が良好で、また、2番目の燃料電池モジュール11の出力が良好である。すなわち、この場合、互いに並列に接続された複数の燃料電池モジュール11の電流・電圧特性にばらつきがない。
【0056】
また、
図5Aに示すように、番号(1,1)の燃料電池スタック12の出力値及び将来出力値が相対的に高く、番号(1,2)の燃料電池スタック12の出力値及び将来出力値が相対的に高く、番号(2,1)の燃料電池スタック12の出力値及び将来出力値が相対的に低く、かつ番号(2,2)の燃料電池スタック12の出力値及び将来出力値が相対的に低い場合、1番目の燃料電池モジュール11の出力が高く、また、2番目の燃料電池モジュール11の出力が普通である。すなわち、この場合、互いに並列に接続された複数の燃料電池モジュール11の電流・電圧特性にばらつきがある。
【0057】
一方、
図5Bに示すように、番号(1,1)の燃料電池スタック12の出力値及び将来出力値が相対的に高く、番号(1,2)の燃料電池スタック12の出力値及び将来出力値が相対的に低く、番号(2,1)の燃料電池スタック12の出力値及び将来出力値が相対的に高く、かつ番号(2,2)の燃料電池スタック12の出力値及び将来出力値が相対的に低い場合、1番目の燃料電池モジュール11の出力が良好で、また、2番目の燃料電池モジュール11の出力が良好である。すなわち、この場合、互いに並列に接続された複数の燃料電池モジュール11の電流・電圧特性にばらつきがない。
【0058】
あるいは、番号(1,1)の燃料電池スタック12の出力値及び将来出力値が相対的に高く、番号(1,2)の燃料電池スタック12の出力値及び将来出力値が相対的に低く、番号(2,1)の燃料電池スタック12の出力値及び将来出力値が相対的に低く、かつ番号(2,2)の燃料電池スタック12の出力値及び将来出力値が相対的に高い場合、1番目の燃料電池モジュール11の出力が良好で、また、2番目の燃料電池モジュール11の出力が良好である。すなわち、この場合、互いに並列に接続された複数の燃料電池モジュール11の電流・電圧特性にばらつきがない。
【0059】
以上の通り、
図4Aや
図5Aに示される場合のように複数の燃料電池スタックの電流・電圧特性にばらつきがあると、電圧が一定という並列回路の特性により、低特性の燃料電池モジュールを構成する燃料電池スタックの出力が出せないおそれがある。これに対して本実施形態では、
図4Aや
図5Aに示されるような並列間ではらつきが有るような燃料電池モジュールを構成する燃料電池スタックの組み合わせを回避する一方で、
図4Bや
図5Bに示されるような並列間でばらつきが無い燃料電池モジュールを構成する燃料電池スタックの組み合わせ決定することが可能となっている。
【0060】
次に、
図6A及び
図6Bを用いて、各種燃料電池スタック12における経年劣化による出力低下、及び各種燃料電池スタック12を組み合わせた燃料電池システム1の構成について説明する。
図6Aは、各種燃料電池スタック12における経年劣化による出力低下を示す図である。
図6Bは、各種燃料電池スタック12を組み合わせた燃料電池システム1を示す概略図である。
【0061】
図6Aには、各種燃料電池スタック12a~12d(
図6B参照)における経年劣化による出力の低下を示す4本の線が示されている。上から1番目の線は、例えば、高出力の自社製品である新品の燃料電池スタック12a(
図6B参照)の出力値及び将来出力値を示す。上から2番目の線は、例えば、自社製品である中古品の燃料電池スタック12b(
図6B参照)の出力値及び将来出力値を示す。上から3番目の線は、例えば、低出力の自社製品である新品の燃料電池スタック12c(
図6B参照)の出力値及び将来出力値を示す。上から4番目の線は、例えば、他社製品である燃料電池スタック12d(
図6B参照)の出力値及び将来出力値を示す。
【0062】
図6Bには、直列に接続された複数の燃料電池スタックの出力値のうち、少なくとも一つが他と異なる場合を例示している。番号(1,1)の燃料電池スタック12aは、高出力の自社製品であり、新品である。番号(1,2)の燃料電池スタック12bは、低出力の自社製品であり、新品である。番号(1,3)の燃料電池スタック12bは、低出力の自社製品であり、新品である。番号(1,4)の燃料電池スタック12dは、他社製品である。番号(2,1)の燃料電池スタック12bは、低出力の自社製品であり、新品である。番号(2,2)の燃料電池スタック12bは、低出力の自社製品であり、新品である。番号(2,3)の燃料電池スタック12cは、自社製品であり、中古品である。番号(2,4)の燃料電池スタック12aは、高出力の自社製品であり、新品である。
【0063】
このように、燃料電池スタック12の組合せ方法によれば、複数の燃料電池スタック12の各々の出力値の互いの差と、複数の燃料電池スタック12の各々の将来出力値の互いの差と、に基づいて、複数の燃料電池スタック12の組合せを決定するので、複数の燃料電池スタックの各々の出力値の互いの差だけに基づいて、複数の燃料電池スタックの組合せを決定する場合と比較して、燃料電池スタック12のより最適な組合せを決定することができる。
【0064】
また、燃料電池スタック12の組合せ方法によれば、直列に接続された複数の燃料電池スタック12を有する燃料電池モジュール11を単位として出力値及び将来出力値を取得し、それに基づいて、複数の燃料電池スタック12の組合せを決定する場合には、燃料電池スタック12のより最適な組合せを決定することができる。
【0065】
また、燃料電池スタック12の組合せ方法によれば、複数の燃料電池スタック12の出力値の最大値と最小値との差と、複数の燃料電池スタック12の将来出力値の最大値と最小値との差と、に基づいて、複数の燃料電池スタック12の組合せを決定する場合には、より広い電力の取り出し幅を確保しつつ、各燃料電池スタックを有効活用すると共に、運転時の電力負荷割合のばらつきを小さくできるため長寿命に貢献する事のできる燃料電池スタック12の最適な組み合わせを決定することができる。
【0066】
また、燃料電池スタック12の組合せ方法によれば、複数の燃料電池モジュール11の出力値の最大値と最小値との差と、複数の燃料電池モジュール11の将来出力値の最大値と最小値との差と、の合計値が最小となる複数の燃料電池スタック12の組合せを決定する場合には、より広い電力の取り出し幅を確保しつつ、各燃料電池スタックを有効活用すると共に、運転時の電力負荷割合のばらつきを小さくできるため長寿命に貢献する事のできる燃料電池スタック12の最適な組み合わせを決定することができる。
【0067】
また、燃料電池スタック12の組合せ方法によれば、複数の燃料電池モジュール11の出力値の最大値と最小値との差が、複数の燃料電池モジュール11の将来出力値の最大値と最小値との差より小さくなる複数の燃料電池スタック12の組合せを決定する場合には、より広い電力の取り出し幅を確保しつつ、各燃料電池スタックを有効活用すると共に、運転時の電力負荷割合のばらつきを小さくできるため長寿命に貢献する事のできる燃料電池スタック12の最適な組み合わせを決定することができる。
【0068】
また、燃料電池スタック12の組合せ方法によれば、複数の燃料電池スタック12の各々のランクに基づいて、燃料電池スタック12の組合せを決定する場合には、燃料電池スタック12のより最適な組合せを決定することができる。例えば、差が小さいランクを組み合わせた燃料電池モジュールをライフサイクルの長い用途に使用し、差が大きいランクを組み合わせた燃料電池モジュールをライフサイクルの短い用途に使用することができ、最適な使い分けが可能となる。
【0069】
また、燃料電池スタック12の組合せ方法によれば、直列に接続された複数の燃料電池スタックの出力値のうち、少なくとも一つが他と異なっていてもよいため、複数の燃料電池スタックの一部として、中古品や仕様が異なる他社製品を採用することができる。そのため、燃料電池スタックの選択の幅が広がり、燃料電池スタックのより最適な組合せを決定することができる。
【0070】
また、燃料電池スタック12の組合せ方法によれば、所定期間が燃料電池スタック12の使用期間又は用途に基づいて決定されるので、燃料電池スタック12のより最適な組合せを決定することができる。
【0071】
次に、
図7を用いて、燃料電池システム1の変形例の構成について説明する。
図7は、燃料電池システム1の変形例を示す概略図である。
【0072】
図7に示す燃料電池システム1は、互いに並列に接続された複数の燃料電池モジュール11のうち、1番目の燃料電池モジュール11が、当該燃料電池モジュールにおける出力値と将来出力値との差が大きくなるものである。この燃料電池システム1は、出力調整手段として、1番目の燃料電池モジュール11に直列に接続される可変抵抗13を備える。変形例に係る燃料電池システム1は、可変抵抗13を備えることで、出力の低下を防止可能である。
【0073】
なお、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
【0074】
例えば、本実施形態では、燃料電池システム1の検査結果に応じて、燃料電池システム1に組み入れられている燃料電池スタック12を組み替える場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、燃料電池システム1と共に交換用の燃料電池スタック12を検査することで、燃料電池システム1が既に備える燃料電池スタック12を取り外して、交換用の燃料電池スタック12を組み入れるようにしてもよい。
【0075】
あるいは、本実施形態では、燃料電池システム1の検査結果に応じて、燃料電池システム1に組み入れられている燃料電池スタック12を組み替える場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、燃料電池システム1から取り外された燃料電池スタック12や、交換用の燃料電池スタック12を検査して、これらを組み入れるようにしてもよい。
【0076】
あるいは、本実施形態では、検査装置2を構成する組合せ決定部24が燃料電池スタック12の組合せを決定する場合を例に説明したが、検査装置2による検査結果の出力に基づいて、作業者が燃料電池スタック12の組合せを決定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 燃料電池システム
11 燃料電池モジュール
12,12a~12d 燃料電池スタック
13 可変抵抗
2 検査装置
21 出力取得部
22 劣化推定部
23 将来出力推定部
24 組合せ決定部
25 結果出力部
S11 出力取得ステップ
S12 劣化推定ステップ
S13 将来出力推定ステップ
S14 組合せ決定ステップ
S15 結果出力ステップ
S16 組替えステップ