(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154930
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】電動車両
(51)【国際特許分類】
B60K 1/04 20190101AFI20221005BHJP
B62D 25/20 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
B62D25/20 G
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021058204
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】椋本 康敬
(72)【発明者】
【氏名】杉▲崎▼ 徹哉
(72)【発明者】
【氏名】早川 大貴
(72)【発明者】
【氏名】山中 大地
(72)【発明者】
【氏名】安藤 亮二
(72)【発明者】
【氏名】中山 紳哉
【テーマコード(参考)】
3D203
3D235
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203AA31
3D203AA33
3D203BB06
3D203BB08
3D203BB12
3D203BB22
3D203DA20
3D203DB05
3D235AA02
3D235BB17
3D235CC15
3D235DD22
3D235EE63
3D235FF12
3D235FF43
3D235HH02
3D235HH03
(57)【要約】
【課題】電力線の取り回しによる車室空間への影響を小さく抑えることができる電動車両を提供する。
【解決手段】電動車両は、フロアパネル14と、フロアトンネル15と、蓄電装置18と、DCケーブル20と、を備えている。フロアトンネル15は、フロアパネル14の車幅方向中央部において車両前後方向に沿って形成されている。蓄電装置18は、フロアトンネル15の車両後方においてフロアパネル14の上方に配置されている。DCケーブル20は、フロアトンネル15の下方に配置され、蓄電装置18に接続されている。さらに、フロアトンネル15は、蓄電装置18の車両前方に位置するトンネル後壁部31にDCケーブル20が挿通する第1開口部32を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の底面を構成するフロアパネルと、
前記フロアパネルの車幅方向中央部において車両前後方向に沿って形成されるトンネル部と、
前記トンネル部の車両後方において前記フロアパネルの上方に配置される蓄電装置と、
前記トンネル部の下方に配置され、前記蓄電装置に接続される電力線と、
を備え、
前記トンネル部は、前記蓄電装置の車両前方に位置する前記トンネル部の後端部に、前記電力線が挿通される開口部を有する、
ことを特徴とする電動車両。
【請求項2】
前記フロアパネルに設けられ、かつ前記トンネル部と前記蓄電装置との間で車幅方向に延在する第1クロスメンバと、
前記蓄電装置の車両後方で前記フロアパネルに設けられ、車幅方向に延在する第2クロスメンバと、
を備え、
前記第1クロスメンバの両端部に対して前記第1クロスメンバの中央部が低く形成され、
前記第1クロスメンバの両端部には、車幅方向の投影面上に前記電力線が重なるように配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の電動車両。
【請求項3】
前記蓄電装置を覆うように前記第1クロスメンバおよび前記第2クロスメンバに固定され、かつ前記電力線が挿通可能に形成された他の開口部を有するカバー部を備える、
ことを特徴とする請求項2に記載の電動車両。
【請求項4】
前記電力線の上方において前記トンネル部と前記カバー部とを接続する補強部材を備える、
ことを特徴とする請求項3に記載の電動車両。
【請求項5】
前記トンネル部の下方で、かつ前記電力線の下方に配置される排気管と、
前記排気管および前記電力線の間に配置される遮熱板と、
を備え、
前記遮熱板は前記開口部の下方まで延在されている、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
電動車両のなかには、例えば、フロアパネルの車幅方向中央においてフロアトンネル(センタトンネル)が車体前後方向に延在され、フロアトンネルの中間部が前後側のトンネル部位の高さより低く形成され、中間部に蓄電装置が設けられたものが知られている。この電動車両は、前側トンネルの上面部に開口部が形成されている。そして、前側トンネル内の電力線が、開口部を経て前側トンネルの上面部に導かれる。導かれた電力線は、前側トンネルの上面部から蓄電装置まで導かれて蓄電装置に接続される。また、蓄電装置および電力線の上方に補強部材が取り付けられ、補強部材により蓄電装置および電力線が上方から覆われている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の電動車両は、前側トンネルの上面部に開口部を形成し、上面部の開口部から導いた電力線を蓄電装置に接続するように構成されている。このため、電力線を取り回す空間(スペース)が前側トンネルの上面部より上方に必要になる。この結果、車室空間に影響をおよぼすことが考えられる。
【0005】
本発明は、電力線の取り回しによる車室空間への影響を小さく抑えることができる電動車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
(1)本発明に係る電動車両(例えば、実施形態の車両10)は、車体の底面を構成するフロアパネル(例えば、実施形態のフロアパネル14)と、前記フロアパネルの車幅方向中央部において車両前後方向に沿って形成されるトンネル部(例えば、実施形態のフロアトンネル15)と、前記トンネル部の車両後方において前記フロアパネルの上方に配置される蓄電装置(例えば、実施形態の蓄電装置18)と、前記トンネル部の下方に配置され、前記蓄電装置に接続される電力線(例えば、実施形態のDCケーブル20)と、を備え、前記トンネル部は、前記蓄電装置の車両前方に位置する前記トンネル部の後端部(例えば、実施形態のトンネル後壁部31)に、前記電力線が挿通する開口部(例えば、実施形態の第1開口部32)を有している。
【0007】
このように構成することで、トンネル部の内部に配置(配索)された電力線を、後端部の開口部を経て蓄電装置に接続できる。これにより、電力線を取り回す空間をトンネル部の上方に確保する必要がなくなり、電力線の取り回しによる車室空間への影響を小さく抑えることができる。
【0008】
(2)前記フロアパネルに設けられ、かつ前記トンネル部と前記蓄電装置との間で車幅方向に延在する第1クロスメンバ(例えば、実施形態の第1クロスメンバ16)と、前記蓄電装置の車両後方において前記フロアパネルに設けられ、車幅方向に延在する第2クロスメンバ(例えば、実施形態の第2クロスメンバ17)と、を備え、前記第1クロスメンバの両端部(例えば、実施形態の左メンバ部16b、右メンバ部16c)に対して前記第1クロスメンバの中央部(例えば、実施形態の中央メンバ部16a)が低く形成され、前記第1クロスメンバの両端部には車幅方向の投影面上に前記電力線が重なるように配置されていてもよい。
【0009】
このように、トンネル部と蓄電装置との間に第1クロスメンバを配置し、第1クロスメンバの中央部を両端部に対して低く形成した。このため、第1クロスメンバの中央部の上側にトンネル部の後端部を対応させて配置できる。
また、車幅方向の投影面上において、第1クロスメンバの両端部に電力線を上下方向において重なるように配置した。このため、後端部の開口部から取り回された電力線を第1クロスメンバの中央部を経て蓄電装置に接続できる。このように、第1クロスメンバの中央部を低く形成することにより、電力線を第1クロスメンバの上方に迂回させて蓄電装置に接続する必要がない。
これにより、電力線を取り回す空間(配索する空間)をトンネル部の上方に確保する必要がなくなり、電力線の取り回しによる車室空間への影響を小さく抑えることができる。
【0010】
(3)前記蓄電装置を覆うように前記第1クロスメンバおよび前記第2クロスメンバに固定され、かつ前記電力線が挿通可能に形成された他の開口部(例えば、実施形態の第2開口部67)を有するカバー部(例えば、実施形態のカバー部21)を備えていてもよい。
【0011】
このように構成することで、中央部が低く形成された第1クロスメンバをカバー部で補強できる。これにより、車両の側方から入力する荷重に対して第1クロスメンバの耐力を高めることができる。したがって、車両の側方から入力する荷重に対して、第1クロスメンバの変形を抑制することにより電力線を好適に保護できる。
【0012】
(4)前記電力線の上方において前記トンネル部と前記カバー部とを接続する補強部材(例えば、実施形態の補強部材22)を備えていてもよい。
【0013】
このように構成することで、例えば、トンネル部とカバー部との間(境界)において、フロアパネルの車両前後方向の曲げを補強部材で抑制できる。これにより、例えば、電力線の長手方向の屈曲を抑え、電力線を好適に保護できる。
【0014】
(5)前記トンネル部の下方で、かつ前記電力線の下方に配置される排気管(例えば、実施形態の排気管23)と、前記排気管および前記電力線の間に配置される遮熱板(例えば、実施形態の遮熱板24)と、を備え、前記遮熱板は前記開口部の下方まで延在されていてもよい。
【0015】
このように、電力線の下方に排気管を配置し、排気管と電力線との間に遮熱板(ヒートバッフル)を配置した。さらに、遮熱板を開口部の下方まで延在させた。このため、電力線を遮熱板で下方から保護できる。これにより、例えば、地面の水がはねて電力線にかかることを抑制して、電力線を好適に保護できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、トンネル部の後端部を蓄電装置の車両前方に配置し、トンネル部の後端部に電力線が挿通する開口部を形成した。これにより、電力線の取り回しによる車室空間への影響を小さく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る一実施形態の電動車両を前右側方からみた斜視図である。
【
図2】一実施形態の電動車両から蓄電装置およびカバー部を分解した状態を前左側方からみた斜視図である。
【
図3】一実施形態の電動車両をフロアトンネルで車両前後方向に破断した状態を前左側方からみた斜視図である。
【
図4】一実施形態の電動車両に備える蓄電装置にDCケーブルを接続した状態を示す斜視図である。
【
図5】一実施形態の電動車両に備える蓄電装置およびカバー部を分解した斜視図である。
【
図6】
図1のVI-VI線に沿って破断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて電動車両を説明する。なお、図面において、矢印FRは車両の前方、矢印UPは車両の上方、矢印LHは車両の左側方を示す。
【0019】
<電動車両>
図1から
図3に示すように、電動車両10は、一例として、電気モータ(図示せず)を駆動源として走行するハイブリッド車などの電動自動車である。
電動車両10は、例えば、左右のサイドシル12,13と、フロアパネル14と、フロアトンネル(トンネル部、センタトンネル)15と、第1クロスメンバ16と、第2クロスメンバ17と、蓄電装置18と、DCケーブル(電力線)20と、カバー部21と、補強部材22と、排気管23と、遮熱板(ヒートバッフル)24と、を備えている。
以下、なお、以下、電動車両10を「車両10」と略記することもある。
【0020】
<サイドシル>
左サイドシル12は、例えば、車室(客室)25の左外側に設けられ、車両前後方向に延びている。左サイドシル12は、例えば、矩形閉断面に形成された剛性の高い中空の部材である。
右サイドシル13は、例えば、車室25の右外側に設けられ、車両前後方向に延びている。右サイドシル13は、例えば、左サイドシル12と同様に、矩形閉断面に形成された剛性の高い中空の部材である。
左サイドシル12および右サイドシル13の間にフロアパネル14が支持されている。フロアパネル14は、車体の底面を構成することにより、車室25の床面を形成する。
【0021】
<フロアトンネル>
フロアパネル14の車幅方向中央部においてフロアトンネル15が車両前後方向に沿って形成されている。フロアトンネル15は、フロアパネル14から上方へ向けて断面台形状に隆起されている。フロアトンネル15は、例えば、車室25の前面を仕切るロアダッシュボード(図示せず)から第1クロスメンバ16まで車両後方に向けて延びている。
【0022】
図3、
図4に示すように、フロアトンネル15は、第1クロスメンバ16および蓄電装置18の車両前方に位置するトンネル後壁部(後端部)31を有する。トンネル後壁部31は、フロアトンネル15の後端頂部15aから第1クロスメンバ16の中央メンバ部16a(後述する)まで車両後方に向けて下り勾配に形成されている。トンネル後壁部31は、概ね中央部に形成された第1開口部(開口部)32を有する。第1開口部32は、例えば、DCケーブル20が挿通可能に円形に形成されている。なお、第1開口部32の形状は任意に選択可能である。
第1開口部32にはグロメット33が取り付けられ、グロメット33にDCケーブル20が挿通されている。すなわち、第1開口部32にはグロメット33を介してDCケーブル20が挿通されている。
【0023】
<第1クロスメンバ>
図2、
図3に示すように、フロアトンネル15と蓄電装置18との間で、フロアパネル14に、第1クロスメンバ16が設けられている。第1クロスメンバ16は、フロアトンネル15と蓄電装置18との間に位置し、車幅方向に延在されることにより左サイドシル12および右サイドシル13にかけ渡されている。さらに、第1クロスメンバ16は、フロアパネル14に対して上方に突出され、フロアパネル14とともに矩形閉断面に形成された剛性の高い中空の部材である。
第1クロスメンバ16は、中央メンバ部(中央部)16aと、左メンバ部(両端部の一方)16bと、右メンバ部(両端部の他方)16cと、を有する。
【0024】
中央メンバ部16aは、第1クロスメンバ16のうち、車幅方向の中央に位置し、かつ、左メンバ部16bおよび右メンバ部16cに対して高さが低く形成されている。左メンバ部16bは、左サイドシル12と中央メンバ部16aとの間に設けられ、外端部が左サイドシル12に接続され、内端部が中央メンバ部16aに接続されている。
左メンバ部16bは、外端部が左サイドシル12に対して概ね同じ高さに形成され、内端部が中央メンバ部16aに対して概ね同じ高さに形成されている。すなわち、左メンバ部16bは、上面部16dが外端部から内端部に向うに従って徐々に下降するように傾斜状に形成されている。
【0025】
右メンバ部16cは、左メンバ部16bに対して概ね左右対称に形成されている。このため、右メンバ部16cについての詳しい説明を省略する。右メンバ部16cは、外端部が右サイドシル13に対して概ね同じ高さに形成され、内端部が中央メンバ部16aに対して概ね同じ高さに形成されている。すなわち、右メンバ部16cは、上面部16eが外端部から内端部に向うに従って徐々に下降するように傾斜状に形成されている。
【0026】
<第2クロスメンバ>
第1クロスメンバ16の車両後方に蓄電装置18が設けられ、蓄電装置18の車両後方に第2クロスメンバ17が設けられている。第2クロスメンバ17は、蓄電装置18の車両後方に位置している。第2クロスメンバ17は、車幅方向に延在されることにより左サイドシル12および右サイドシル13にかけ渡されている。さらに、第2クロスメンバ17は、フロアパネル14とともに矩形閉断面に形成された剛性の高い中空の部材である。
【0027】
<蓄電装置>
図5、
図6に示すように、フロアトンネル15の車両後方で、かつ、第1クロスメンバ16と第2クロスメンバ17との間には、フロアパネル14の上方に、蓄電装置18が配置されている。蓄電装置18は、ベースプレート41と、バッテリモジュール42と、を備えている。
【0028】
ベースプレート41は、第1クロスメンバ16および第2クロスメンバ17の間において、車幅方向に延びている。ベースプレート41は、プレート本体47と、前フランジ48と、後フランジ49と、を有する。プレート本体47は、プレート底部47aとプレート壁部47bとにより概ね断面L字状に形成されている。
【0029】
前フランジ48は、プレート底部47aの前辺から車両前方に張り出されている。前フランジ48は、第1クロスメンバ16の上面部16fに載置された状態で複数のボルト61a、ナット61bにより固定されている。第1クロスメンバ16の上面部16fは、例えば、中央メンバ部16aの上面部、左メンバ部16bの上面部16d、および右メンバ部16cの上面部16eで形成されている。
【0030】
後フランジ49は、プレート壁部47bの上辺から車両後方に張り出されている。後フランジ49は、第2クロスメンバ17の上面部17aに載置された状態で複数のボルト62a、ナット62bにより固定されている。このため、第1クロスメンバ16および第2クロスメンバ17がベースプレート41により補強されている。
【0031】
ベースプレート41のプレート底部47aには、バッテリモジュール42が支持ブラケット51などで固定されている。バッテリモジュール42は、例えば、複数の電池セル(図示せず)が車幅方向に積層されて形成されている。
【0032】
図4に示すように、バッテリモジュール42とフロアトンネル15のトンネル後壁部31との間には、第1クロスメンバ16のうち中央メンバ部16aの上方で、かつ、フロアトンネル15の後端頂部15a側より下方の間に、空間55が形成されている。すなわち、この空間55は、第1クロスメンバ16の中央メンバ部16aが左メンバ部16bおよび右メンバ部16cに対して低く形成されることにより、フロアトンネル15の後端頂部15a側より下方に形成されている。このため、空間55が車室25側に突出する量を小さく抑えることができる。以下、空間55を「デッドスペース55」ということもある。
【0033】
<DCケーブル>
図3、
図4に示すように、蓄電装置18に、DCケーブル20が接続されている。DCケーブル20は、例えば、不図示のPCU(パワーコントロールユニット)に接続されている。さらに、DCケーブル20は、フロアトンネル15の下方(内部を含む)に配置(配索)され、トンネル後壁部31まで延ばされている。トンネル後壁部31まで延ばされたDCケーブル20は、グロメット33を介して第1開口部32に挿通されている。第1開口部32に挿通されたDCケーブル20は、第1クロスメンバ16のうち中央メンバ部16aの上方のデッドスペース55および第2開口部67(後述する)を経て高電圧ジャンクションボード(図示せず)に接続されている。高電圧ジャンクションボードは、例えば、バッテリモジュール42の電気を駆動用の電気モータ(図示せず)に供給する機器である。
【0034】
すなわち、DCケーブル20は、車幅方向の投影面上において、第1クロスメンバ16の左メンバ部16bおよび右メンバ部16c(
図2参照)に上下方向で重なるように配置されている。換言すれば、DCケーブル20は、車両側面視で第1クロスメンバ16の中央メンバ部16aと重なるように配置されている。
【0035】
<カバー部>
図4から
図6に示すように、蓄電装置18のバッテリモジュール42がカバー部21で上方から覆われている。カバー部21は、カバー頂部63と、カバー前壁部64と、カバー前フランジ65と、カバー後フランジ66と、第2開口部(他の開口部)67と、を有する。
【0036】
カバー頂部63は、バッテリモジュール42を上方から覆うように配置されている。カバー前壁部64は、カバー頂部63の前辺から車両前方に向けて概ね下り勾配に延び、バッテリモジュール42の前面部を車両前方側から覆うように配置されている。
【0037】
カバー前フランジ65は、カバー前壁部64の前下辺から下方に向けて張り出されている。カバー前フランジ65は、第1クロスメンバ16の前壁部16gにボルト71a、ナット71bにより固定されている。カバー後フランジ66は、カバー頂部63の後辺から車両後方に張り出されている。カバー後フランジ66は、ベースプレート41の後フランジ49に載置された状態で、後フランジ49とともに第2クロスメンバ17の上面部17aにボルト62a、ナット62bにより固定されている。
【0038】
このため、カバー部21は、第1クロスメンバ16および第2クロスメンバ17に固定された状態において、ベースプレート41の開口部を覆うように取り付けられている。この状態において、蓄電装置18のバッテリモジュール42がカバー部21で上方から覆われている。
【0039】
図2、
図3に示すように、第1クロスメンバ16および第2クロスメンバ17にカバー部21が固定されている。このため、中央メンバ部16aが低く形成された第1クロスメンバ16は、カバー部21で補強されている。これにより、車両10の側方から入力する荷重Fに対して第1クロスメンバ16の耐力を高めることができる。
さらに、第1クロスメンバ16および第2クロスメンバ17には、ベースプレート41が固定されている。このため、中央メンバ部16aが低く形成された第1クロスメンバ16は、カバー部21およびベースプレート41により一層良好に補強されている。これにより、車両10の側方から入力する荷重Fに対して第1クロスメンバ16の耐力を一層高めることができる。
したがって、車両10の側方から入力する荷重Fに対して、第1クロスメンバ16の変形を抑制することによりDCケーブル20を好適に保護できる。
【0040】
図4、
図5に示すように、カバー前壁部64の車幅方向中央には、第2開口部67が形成されている。第2開口部67は、例えば、下端部が開口され、DCケーブル20が挿通可能に門型(逆U字型)に形成されている。第2開口部67は、フロアトンネル15のトンネル後壁部31に形成された第1開口部32の車両後方に配置されている。第2開口部67には、前述したように、デッドスペース55から導かれたDCケーブル20が挿通されている。第2開口部67を挿通したDCケーブル20は、蓄電装置18に接続されている。
【0041】
<補強部材>
第2開口部67は補強部材22により上方から覆われている。補強部材22は、例えば、補強本体72と、補強後フランジ73と、補強前フランジ74と、を有する。
補強本体72は、例えば、後端部が第2開口部67を覆うように門型(逆U字型)に形成され、前端部がフロアトンネル15の後端頂部15aを上方から覆うように形成されている。補強本体72の後端部に補強後フランジ73が形成されている。
補強後フランジ73は、例えば、第2開口部67に沿ってカバー前壁部64に固定されている。補強本体72の前端部に補強前フランジ74が形成されている。補強前フランジ74は、例えば、フロアトンネル15の後端頂部15aにボルト76a、ナット76bにより固定されている。
【0042】
補強部材22は、カバー前壁部64およびフロアトンネル15の後端頂部15aに固定されることにより、デッドスペース55の上方を覆うように配置されている。デッドスペース55にはDCケーブル20が配置されている。すなわち、補強部材22は、カバー前壁部64およびフロアトンネル15の後端頂部15aに固定されることにより、DCケーブル20を上方から覆うように配置されている。
また、カバー前壁部64およびフロアトンネル15の後端頂部15aに補強部材22が固定されることにより、カバー前壁部64と後端頂部15aとの間(境界)において、フロアパネル14の車両前後方向の曲げを補強部材22で抑制できる。これにより、例えば、DCケーブル20の長手方向の屈曲を抑え、DCケーブル20を好適に保護できる。
【0043】
<排気管、遮熱板>
図3、
図4に示すように、フロアトンネル15の下方には排気管23が配置されている。排気管23は、フロアトンネル15の下方で、かつ、DCケーブル20の下方に配置されている。排気管23およびDCケーブル20の間に遮熱板24が配置されている。
ここで、DCケーブル20は、トンネル後壁部31の第1開口部32まで排気管23の上方に沿って配置されている。さらに、遮熱板24は、第1開口部32の下方まで延在されている。このため、DCケーブル20を遮熱板24で下方から保護できる。
すなわち、例えば、地面の水がはねた場合でも、はねた水を遮熱板24で矢印Aの如く受けることができる。これにより、地面からはねた水がDCケーブル20にかかることを抑制して、DCケーブル20を好適に保護できる。
【0044】
以上説明したように、実施形態の電動車両10では、
図3、
図4に示すように、フロアトンネル15のトンネル後壁部31を蓄電装置18の車両前方に配置し、トンネル後壁部31にDCケーブル20が挿通する第1開口部32を形成した。このため、フロアトンネル15の下方(内部を含む)に配置されたDCケーブル20を、第1開口部32およびデッドスペース55などを経て蓄電装置18に接続できる。
これにより、DCケーブル20を取り回すために必要な取り回し空間(すなわち、配策空間、取り回しスペース)を、フロアトンネル15の上方に確保する必要がない。したがって、DCケーブル20の取り回しによる車室25の空間への影響を小さく抑えることができる。
【0045】
図2、
図4に示すように、フロアトンネル15と蓄電装置18との間に第1クロスメンバ16を配置し、第1クロスメンバ16の中央メンバ部16aを左メンバ部16bおよび右メンバ部16cに対して低く形成した。このため、中央メンバ部16aの上側(すなわち、デッドスペース55)にトンネル後壁部31を対応させて配置できる。
さらに、車幅方向の投影面上において、第1クロスメンバ16の左メンバ部16bおよび右メンバ部16cにDCケーブル20を上下方向において重なるように配置した。すなわち、DCケーブル20を第1クロスメンバ16の中央メンバ部16aの上方に配置されている。このため、トンネル後壁部31の第1開口部32から取り回されたDCケーブル20を中央メンバ部16aの上方のデッドスペース55を経て蓄電装置18に接続できる。
【0046】
このように、中央メンバ部16aを左メンバ部16bおよび右メンバ部16cに対して低く形成することにより、DCケーブル20を第1クロスメンバ16の上方に迂回させるように取り回して蓄電装置18に接続する必要がない。
これにより、前述したように、DCケーブル20の取り回し空間をトンネル部の上方に確保する必要がなくなり、DCケーブル20の取り回しによる車室25の空間への影響を小さく抑えることができる。
【0047】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0048】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0049】
10…車両(電動車両)
14…フロアパネル
15…フロアトンネル(トンネル部、センタトンネル)
16…第1クロスメンバ
16a…中央メンバ部(中央部)
16b,16c…左右のメンバ部(両端部)
17…第2クロスメンバ
18…蓄電装置
20…DCケーブル(電力線)
21…カバー部
22…補強部材
23…排気管
24…遮熱板
31…トンネル後壁部(後端部)
32…第1開口部(開口部)
67…第2開口部(他の開口部)