(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154984
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】生体物質検出センサ及び生体物質検出方法
(51)【国際特許分類】
H01L 29/786 20060101AFI20221005BHJP
G01N 27/00 20060101ALI20221005BHJP
G01N 27/414 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
H01L29/78 625
H01L29/78 618B
H01L29/78 617T
G01N27/00 J
G01N27/414 301V
G01N27/414 301K
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021058278
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】304024430
【氏名又は名称】国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 文広
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】土井 利浩
(72)【発明者】
【氏名】高村 禅
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 大亮
【テーマコード(参考)】
2G060
5F110
【Fターム(参考)】
2G060AA05
2G060AA15
2G060AD06
2G060DA11
2G060DA12
2G060DA31
2G060FA02
2G060FA07
2G060FA10
2G060GA02
2G060JA07
2G060KA09
5F110AA30
5F110BB09
5F110CC05
5F110CC10
5F110DD01
5F110DD02
5F110DD04
5F110DD05
5F110DD13
5F110EE02
5F110EE03
5F110EE04
5F110EE06
5F110EE07
5F110EE30
5F110EE44
5F110FF01
5F110FF05
5F110GG01
5F110GG02
5F110GG24
5F110GG42
5F110HK02
5F110HK03
5F110HK04
5F110HK06
5F110HK33
5F110NN62
(57)【要約】
【課題】検出目的の生体物質に対する選択性に優れ、かつ高感度で検出限界が低い生体物質検出センサ及び生体物質検出方法を提供する。
【解決手段】第1電極と、第2電極と、第3電極と、前記第1電極と前記第2電極とを接続する無機半導体膜と、前記無機半導体膜に積層されている有機固体電解質膜と、を有し、前記無機半導体膜及び前記有機固体電解質膜のうちいずれか一方又はその双方の少なくとも一部が外部に露出している露出部を有し、前記第3電極は、少なくとも一部が前記露出部に接続している、生体物質検出センサ。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、第2電極と、第3電極と、前記第1電極と前記第2電極とを接続する無機半導体膜と、前記無機半導体膜に積層されている有機固体電解質膜と、を有し、
前記無機半導体膜及び前記有機固体電解質膜のうちいずれか一方又はその双方の少なくとも一部が外部に露出している露出部を有し、
前記第3電極は、少なくとも一部が前記露出部に接続している、生体物質検出センサ。
【請求項2】
前記第1電極、前記第2電極、及び前記第3電極が前記有機固体電解質膜の上に配置されている、請求項1に記載の生体物質検出センサ。
【請求項3】
前記有機固体電解質膜がプロトン導電性である、請求項1または2に記載の生体物質検出センサ。
【請求項4】
前記有機固体電解質膜が、側鎖にプロトン伝導性基を有するポリマーもしくは有機金属錯体である、請求項1~3のいずれか1項に記載の生体物質検出センサ。
【請求項5】
前記有機固体電解質膜は、イオン伝導率が1×10-8S/cm以上であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の生体物質検出センサ。
【請求項6】
前記無機半導体膜が、酸化インジウム、酸化亜鉛、In-Ga-Zn酸化物、In-Sn-Zn酸化物、Zn-Sn酸化物、アモルファスシリコン、低温ポリシリコンおよびグラフィンからなる群より選ばれる少なくとも一種の無機物を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の生体物質検出センサ。
【請求項7】
前記無機半導体膜及び前記有機固体電解質膜のうちいずれか一方又はその双方の前記露出部は、生体物質を直接的又は間接的に捕捉する捕捉場を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の生体物質検出センサ。
【請求項8】
前記捕捉場は、前記生体物質を捕捉するためのプローブ分子が固定されている、請求項7に記載の生体物質検出センサ。
【請求項9】
さらに、前記露出部の周囲に、生体物質を含む液体を保持可能な保持部を備える、請求項1~8のいずれか1項に記載の生体物質検出センサ。
【請求項10】
さらに、前記有機固体電解質膜の少なくとも一部に接触している導電性材料膜を備え、前記導電性材料膜は前記第1電極、前記第2電極及び前記第3電極に対して電気的に独立している、請求項1~9のいずれか1項に記載の生体物質検出センサ。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の生体物質検出センサを用いた生体物質検出方法であって、
前記露出部に生体物質を含む液体を供給する工程と、
前記第3電極と前記第1電極との間に電圧を印加すると共に、前記第1電極-前記第2電極間の電流を測定し、前記第3電極-前記第1電極間の電圧と、前記第1電極-前記第2電極間の電流とに基づいて前記生体物質を検出する工程と、を含む、生体物質検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体物質検出センサ及び生体物質検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
mRNA/DNAなどの生体物質を検出する方法として、PCR法(polymerase chain reaction)や次世代シーケンシング(next generation sequencing)が知られている。PCR法は、DNA配列上の特定の領域(目的領域)を、耐熱性DNAポリメラーゼを用いて増幅させる方法であり、DNA1分子から検出可能であるため、DNAの特定配列を高感度で検出することが可能となっている。また、次世代シーケンシングは、DNAを断片化してライブラリーを調製し、ライブラリーのDNA断片を並列にシーケンスする方法であり、DNAの全ての配列を1分子から網羅的に解読することが可能となっている。これらの生体物質の検出方法は、検出時間が掛かる。
【0003】
DNAなどの生体物質を短時間で検出する方法として、薄膜トランジスタ(TFT:thin film transistor)構造のセンサを用いることが検討されている。例えば、ホモオリゴマーDNA鎖を3-アミノプロピルエトシキシランを用いて固定し、一定のドレイン電流下におけるゲート電位の変位によって、上記オリゴマー鎖とのハイブリダイゼーションを直接的に検出する方法が報告されている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】J.Phys.Chem.B,1997,101,2980-2985
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
生体物質検出センサにおいて、試料は検出目的の生体物質以外の生体物質が共存した混合物(液体)である。このため、生体物質検出センサでは、検出目的の生体物質に対する選択性に優れ、かつ高感度で検出限界が低いことが望ましい。しかしながら、非特許文献1に記載の薄膜トランジスタ構造のセンサは、検出限界が1μg/mL程度であり、さらなる感度の向上が望まれる。
【0006】
本発明の目的は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、検出目的の生体物質に対する選択性に優れ、かつ高感度で検出限界が低い生体物質検出センサ及び生体物質検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、第1電極と、第2電極と、第3電極と、この第1電極と第2電極とを接続する無機半導体膜と、この無機半導体膜に積層されている有機固体電解質膜とを有し、上記の無機半導体膜及び有機固体電解質膜のうちいずれか一方又はその双方の少なくとも一部は外部に露出し、その露出した部分に第3電極が接続している構成のセンサは、従来の薄膜トランジスタ構造のセンサと比較して、検出目的の物質に対する選択性に優れ、かつ高感度で検出限界が低いことを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
【0009】
[1]第1電極と、第2電極と、第3電極と、前記第1電極と前記第2電極とを接続する無機半導体膜と、前記無機半導体膜に積層されている有機固体電解質膜と、を有し、
前記無機半導体膜及び前記有機固体電解質膜のうちいずれか一方又はその双方の少なくとも一部が外部に露出している露出部を有し、
前記第3電極は、少なくとも一部が前記露出部に接続している、生体物質検出センサ。
【0010】
[2]前記第1電極、前記第2電極、及び前記第3電極が前記有機固体電解質膜の上に配置されている、上記[1]に記載の生体物質検出センサ。
【0011】
[3]前記有機固体電解質膜がプロトン導電性である、上記[1]または[2]に記載の生体物質検出センサ。
【0012】
[4]前記有機固体電解質膜が、側鎖にプロトン伝導性基を有するポリマーもしくは有機金属錯体である、上記[1]~[3]のいずれかに記載の生体物質検出センサ。
【0013】
[5]前記有機固体電解質膜は、イオン伝導率が1×10-8S/cm以上であることを特徴とする、上記[1]~[4]のいずれかに記載の生体物質検出センサ。
【0014】
[6]前記無機半導体膜が、酸化インジウム、酸化亜鉛、In-Ga-Zn酸化物、In-Sn-Zn酸化物、Zn-Sn酸化物、アモルファスシリコン、低温ポリシリコンおよびグラフィンからなる群より選ばれる少なくとも一種の無機物を含む、上記[1]~[5]のいずれかに記載の生体物質検出センサ。
【0015】
[7]前記無機半導体膜及び前記有機固体電解質膜のうちいずれか一方又はその双方の前記露出部は、生体物質を直接的又は間接的に捕捉する捕捉場を有する、上記[1]~[6]のいずれかに記載の生体物質検出センサ。
【0016】
[8]前記捕捉場は、前記生体物質を捕捉するためのプローブ分子が固定されている、請求項7に記載の生体物質検出センサ。
【0017】
[9]さらに、前記露出部の周囲に、生体物質を含む液体を保持可能な保持部を備える、上記[1]~[8]のいずれかに記載の生体物質検出センサ。
【0018】
[10]さらに、前記有機固体電解質膜の少なくとも一部に接触している導電性材料膜を備え、前記導電性材料膜は前記第1電極、前記第2電極及び前記第3電極に対して電気的に独立している、上記[1]~[9]のいずれかに記載の生体物質検出センサ。
【0019】
[11]上記[1]~[10]のいずれかに記載の生体物質検出センサを用いた生体物質検出方法であって、
前記露出部に生体物質を含む液体を供給する工程と、
前記第3電極と前記第1電極との間に電圧を印加すると共に、前記第1電極-前記第2電極間の電流を測定し、前記第3電極-前記第1電極間の電圧と、前記第1電極-前記第2電極間の電流とに基づいて前記生体物質を検出する工程と、を含む、生体物質検出方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、検出目的の物質に対する選択性に優れ、かつ高感度で検出限界が低い生体物質検出センサ及び生体物質検出方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る生体物質検出センサの構成の一例を示す平面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す生体物質検出センサを用いた生体物質検出方法を説明する模式図であって、(a)は、生体物質検出センサを
図1のII-II’線に沿って見た拡大断面図であり、(b)は、(a)の拡大図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す生体物質検出センサを用いた生体物質検出方法を説明する模式図であって、生体物質検出センサを
図1のIV-IV’線に沿って見た拡大図である。
【
図5】
図5は、本発明の第1実施形態に係る生体物質検出センサの第1変形例の構成の一例を示す平面図である。
【
図7】
図7は、本発明の第1実施形態に係る生体物質検出センサの第2変形例の構成の一例を示す平面図である。
【
図9】
図9は、本発明の第1実施形態に係る生体物質検出センサの第3変形例の構成の一例を示す断面図である。
【
図10】
図10は、本発明の第1実施形態に係る生体物質検出センサの第4変形例の構成の一例を示す断面図である。
【
図12】
図12は、本発明の第2実施形態に係る生体物質検出センサの構成の一例を示す平面図である。
【
図14】
図14は第2実施形態に係る生体物質検出センサを用いた生体物質検出方法を説明する模式図であって、(a)は、生体物質検出センサを
図12のXIII-XIII’線に沿って見た拡大図であり、(b)は、(a)の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態である生体物質検出センサ及び生体物質検出方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、本実施形態の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。
【0023】
[生体物質検出センサの構成]
図1は、本発明の第1実施形態に係る生体物質検出センサの構成の一例を示す平面図であり、
図2は、
図1のII-II’線断面図である。
図1及び
図2に示すように、生体物質検出センサ10aは、基板11と、導電性材料膜12と、有機固体電解質膜13と、第1電極15と、第2電極16と、第3電極17と、無機半導体膜14とを有する。導電性材料膜12は、基板11の一方の面(
図2では、上面)に積層されている。有機固体電解質膜13は、導電性材料膜12の基板11とは反対側の面に積層されている。第1電極15、第2電極16及び第3電極17は、有機固体電解質膜13の上に配置されている。無機半導体膜14は、第1電極15と第2電極16との間に配置されていて、第1電極15と第2電極16とを接続する。また、第1電極15と第2電極16の間にある無機半導体膜14は、有機固体電解質膜13の上に積層されている。第3電極17は、第1電極15及び第2電極16と電気的に接続しない位置に配置されている。第1電極15と第2電極16と無機半導体膜14は、センサ片19を構成する。
図1の生体物質検出センサ10aでは、センサ片19は3つ配置されている。3つのセンサ片19は、それぞれ第3電極17との距離が同じとなるように配置されている。第1電極15は第1リード線15aを介して第1端子15bに接続している。第2電極16は第2リード線16aを介して第2端子16bに接続している。第3電極17は第3リード線17aを介して第3端子17bに接続している。第1端子15b、第2端子16b、第3端子17bは、同一の端部に配置されている。
【0024】
有機固体電解質膜13、第1電極15、第2電極16、第1リード線15a、第2リード線16a、第3リード線17aは、表面が絶縁被膜18で被覆されている。無機半導体膜14、無機半導体膜14の周囲の有機固体電解質膜13の一部、第3電極17は、絶縁被膜で被覆されておらず、外部に露出して、露出部20を形成している。露出部20を形成している無機半導体膜14、無機半導体膜14の周囲の有機固体電解質膜13は、検出対象の生体物質を直接的又は間接的に捕捉する捕捉場21を有することが好ましい。捕捉場21は、検出対象の生体物質を捕捉するためのプローブ分子1が固定されていることが好ましい。露出部20は、壁部22で囲まれている。壁部22は、露出部20の上部に生体物質を含む液体を保持可能な保持部を形成する。
【0025】
基板11は、例えば、絶縁性基板及び半導体基板を用いることができる。絶縁性基板の例としては、高耐熱ガラス、アルミナ(Al2O3)基板、STO(SrTiO)基板、SiO2/Si基板(Si基板上にSiO2膜を形成したもの)、Si基板の表面にSiO2層及びTi層を介してSTO(SrTiO)層を形成した多層基板を挙げることができる。半導体基板の例としては、Si基板、SiC基板、Ge基板を挙げることができる。基板11の厚みは、特に限定されないが、例えば10μm以上1mm以下である。
【0026】
導電性材料膜12は、導電性材料を含む導電性材料膜である。導電性材料膜12は、導電性材料のみから形成されていてもよい。導電性材料としては、例えば、金属材料及び金属酸化物を用いることができる。金属材料の例としては、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、タングステン(W)、チタン(Ti)、及びこれらの金属の合金を挙げることができる。金属酸化物の例としては、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化ルテニウム(RuO2)を挙げることができる。導電性材料膜12は、単層体であってもよいし、複数の導電性材料膜を積層させた複層体であってもよい。導電性材料膜12の厚みは、特に限定されないが、例えば50nm以上200nm以下である。
【0027】
導電性材料膜12は、有機固体電解質膜13の少なくとも一部に接触していることが好ましい。また、導電性材料膜12は、有機固体電解質膜13以外とは電気的に絶縁されていてもよい。導電性材料膜12は第1電極15、第2電極16及び第3電極17に対して電気的に独立していてもよい。導電性材料膜12は、例えば、有機固体電解質膜13の内部に配置されていてもよい。
【0028】
有機固体電解質膜13は、有機固体電解質を含む。有機固体電解質膜13は、有機固体電解質のみから形成されていることが好ましい。有機固体電解質は、例えば、プロトン導電性であることが好ましい。有機固体電解質膜13は、イオン伝導率が1×10-8S/cm以上であることが好ましい。有機固体電解質としては、例えば、側鎖にプロトン伝導性基を有するポリマーもしくは有機金属錯体を用いてもよい。
【0029】
側鎖にプロトン伝導性基を有するポリマーの主鎖は、例えば、炭化水素構造またはパーフルオロカーボン構造であってもよい。プロトン伝導性基は、例えば、スルホン酸基であってもよい。側鎖にプロトン伝導性基を有するポリマーとしては、パーフルオロカーボンスルホン酸であるナフィオン(登録商標)を用いることができる。
【0030】
有機金属錯体は、例えば、配位高分子であってもよい。配位高分子は、下記の式(1)で表されるオキサラト架橋配位高分子であってもよい。
M2(ox)3・・・・(1)
上記の(1)において、Mは、2価又は3価の金属イオンを表す。Mが3価の金属イオンである場合、オキサラト架橋配位高分子は中性である。Mが2価の金属イオンを含む場合は、オキサラト架橋配位高分子はアニオン性となり、オキサラト架橋配位高分子にカウンターイオンが取り込まれていてもよい。
上記の(1)において、oxは、シュウ酸イオン(C2O4
2-)を表す。
【0031】
有機固体電解質膜13の厚みは、特に限定されないが、例えば50nm以上300nm以下である。有機固体電解質膜13の厚みが300nmを超えると、無機半導体膜14の界面特性に影響を及ぼすおそれがある。一方、その厚みが50nm未満であると、リーク電流が発生するおそれがある。
【0032】
無機半導体膜14は、無機半導体を含む。無機半導体膜14は、無機半導体のみから形成されていることが好ましい。無機半導体は、例えば、酸化インジウム(In2O3)、酸化亜鉛(ZnO)、In-Ga-Zn酸化物(IGZO)、In-Sn-Zn酸化物(ITZO)、Zn-Sn酸化物(Zn-Sn-O)、アモルファスシリコン(α-Si)、低温ポリシリコン(LTPS)およびグラフィンからなる群より選ばれる少なくとも一種の無機物を含むことが好ましい。これらの無機半導体は、一種を単独で用いてもよいし、二種を組み合わせて用いてもよい。無機半導体膜14が上記の無機半導体で形成されることで、有機固体電解質膜13の上記の有機固体電解質との組み合わせによって、生体物質検出センサ10aの感度が大幅に向上して検出限界が大幅に低くなり、また、水分等の存在下での検出の安定性を高くすることが可能となる。
【0033】
無機半導体膜14を構成する無機半導体は、アモルファス相あるいはナノ結晶相であることが好ましい。無機半導体膜14を構成する無機半導体をアモルファス相あるいはナノ結晶相とすることによって、無機半導体膜14はアモルファス相である有機固体電解質膜13との良好な界面状態が得られる。その結果、良好な電気特性を備えた生体物質検出センサ10aが形成され得る。
【0034】
無機半導体膜14は、例えば上記無機半導体で形成された単層で構成されることができる。無機半導体膜14の厚みは、特に限定されないが、確度高く有機固体電解質膜13等を覆う観点、及び無機半導体膜14の導電性の変調を容易にする観点から、例えば5nm以上80nm以下であるのが好ましい。
【0035】
無機半導体膜14の幅は、より大きい方がノイズの観点で有利であるが、例えば100μm以上であり、一例としては1000μmである。無機半導体膜14の長さ(第1電極15と第2電極16の間の距離)は、例えば50μm以上200μm以下である。
【0036】
また、本実施形態では、無機半導体膜14は、第1電極15及び第2電極16のいずれよりも薄い膜厚を有しているが、これに限らず、第1電極15及び第2電極16を同じ膜厚を有してもよいし、あるいはそれらよりも厚い膜厚を有してもよい。
【0037】
第1電極15、第2電極16及び第3電極17の電極材料としては、金属材料及び金属酸化物を用いることができる。金属材料の例としては、白金(Pt)などの高融点金属、及びその合金を挙げることができる。金属酸化物の例としては、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化ルテニウム(RuO2)を挙げることができる。第1電極15、第2電極16及び第3電極17はそれぞれ、単層体であってもよいし、複数の電極層を積層させた複層体であってもよい。第1電極15、第2電極16及び第3電極17の厚みは、特に限定されないが、例えば、50nm以上200nm以下である。
【0038】
絶縁被膜18の材料は、有機物であってもよいし、無機物であってもよい。有機物の例としては、ポリイミド、エポキシ樹脂などを挙げることができる。無機物の例としては、アルミナ、シリカなどを挙げることができる。絶縁被膜18の厚みは、特に限定されないが、例えば、50nm以上5000nm以下である。
【0039】
壁部22の材料は、有機物であってもよいし、無機物であってもよい。有機物の例としては、ポリイミド、エポキシ樹脂などを挙げることができる。無機物の例としては、アルミナ、シリカなどを挙げることができる。絶縁被膜18の高さは、特に限定されないが、例えば、0.10mm以上5mm以下である。
【0040】
[生体物質検出センサの製造方法]
生体物質検出センサ10aは、例えば、次のようにして製造することができる。
(1)導電性材料膜12の形成
先ず基板11(例えば、SiO2/Si基板)上に、導電性材料膜12を形成する。導電性材料膜12の形成方法としては、スパッタリング法を用いることができる。
【0041】
(2)有機固体電解質膜13の形成
次に、導電性材料膜12の上に有機固体電解質膜13を形成する。有機固体電解質膜13は、例えば、導電性材料膜12の上に有機固体電解質膜用前駆体液を塗布し、得られた塗布膜を加熱することによって形成することができる。有機固体電解質膜用前駆体液としては、有機固体電解質膜13を構成する有機固体電解質の材料が溶解もしくは分散されている液体を用いることができる有機固体電解質膜用前駆体液の塗布方法としては、例えば、スピンコーティング法、インクジェット印刷法、ナノインプリント法などを用いることができる。塗布膜の加熱温度は、有機固体電解質膜用前駆体液の溶媒が揮発して、有機固体電解質膜13が生成する温度であれば特に制限はない。このため、有機固体電解質膜用前駆体液の溶媒として低沸点の溶媒を用いることによって、比較的低温度の加熱によって有機固体電解質膜13を形成することができるので、材料の選択の幅が広くなる。
【0042】
(3)電極パターンの形成
次に、有機固体電解質膜13の上に、電極パターン(第1電極15、第1リード線15a、第1端子15b、第2電極16、第2リード線16a、第2端子16b、第3電極17、第3リード線17a、第3端子17b)を形成する。電極パターンは、例えば、有機固体電解質膜13の上に、フォトリソグラフィー法によってパターニングされたレジスト膜を形成し、次いで、レジスト膜を含む有機固体電解質膜13の上に電極膜を形成した後、レジスト膜を除去する方法によって形成することができる。電極膜の形成方法としては、例えば、スパッタリング法を用いることができる。
【0043】
(4)無機半導体膜14の形成
次に、第1電極15と第2電極16の間に無機半導体膜14を形成する。無機半導体膜14は、例えば、有機固体電解質膜13の上に、フォトリソグラフィー法によってパターニングされたレジスト膜を形成し、次いで、レジスト膜を含む有機固体電解質膜13の上に無機半導体膜を形成した後、レジスト膜を除去する方法によって形成することができる。無機半導体膜は、例えば、無機半導体膜用前駆体液を塗布し、得られた塗布膜を加熱することによって形成することができる。無機半導体膜用前駆体液としては、無機半導体膜14を構成する無機半導体の材料が溶解もしくは分散されている液体を用いることができる。無機半導体がIn2O3、ZnO、IGZO、ITZO、Zn-Sn-Oなどの酸化物である場合、無機半導体の材料として、加熱によってこれらの酸化物を生成する化合物を用いてもよい。無機半導体膜用前駆体液の塗布方法としては、スピンコーティング法、インクジェット印刷法、ナノインプリント法などを用いることができる。塗布膜の加熱温度は、無機半導体膜用前駆体液の溶媒が揮発して、無機半導体膜14が生成する温度であれば特に制限はない。
【0044】
(5)絶縁被膜18の形成
次に、有機固体電解質膜13と第1電極15、第1リード線15a、第2電極16、第2リード線16a、第3リード線17aの上に絶縁被膜18を形成する。絶縁被膜18は、例えば、有機固体電解質膜13の上に、フォトリソグラフィー法によってパターニングされたレジスト膜を形成し、次いで、レジスト膜を含む有機固体電解質膜13の上に絶縁被膜を形成した後、レジスト膜を除去する方法によって形成することができる。絶縁被膜は、例えば、絶縁被膜用前駆体液を塗布し、得られた塗布膜を加熱することによって形成することができる。絶縁被膜用前駆体液としては、絶縁被膜18を構成する材料が溶解もしくは分散されている液体を用いることができる。絶縁被膜18を構成する材料として、加熱によって絶縁被膜18を生成する化合物を用いてもよい。絶縁被膜用前駆体液の塗布方法としては、スピンコーティング法、インクジェット印刷法、ナノインプリント法などを用いることができる。塗布膜の加熱温度は、絶縁被膜用前駆体液の溶媒が揮発して、絶縁被膜18が生成する温度であれば特に制限はない。
【0045】
(6)壁部22の形成
次に、壁部22を、露出部20を囲うように形成する。壁部22は、あらかじめ筒状に形成された壁部材を、絶縁被膜18に接合することによって形成することができる。
【0046】
[生体物質検出方法]
生体物質検出センサ10を用いた生体物質検出方法について説明する。
図3は、
図1に示す生体物質検出センサを用いた生体物質検出方法を説明する模式図であって、(a)は、生体物質検出センサを
図1のII-II’線に沿って見た拡大断面図であり、(b)は、(a)の拡大図である。また、
図4は、
図1に示す生体物質検出センサを用いた生体物質検出方法を説明する模式図であって、生体物質検出センサを
図1のIV-IV’線に沿って見た拡大図である。
【0047】
図3及び
図4に示すように、壁部22の内側に、検出対象の生体物質2を含む液体Lqを注液する。これにより、生体物質検出センサ10の露出部20(無機半導体膜14、無機半導体膜14の周囲の有機固体電解質膜13の一部、第3電極17)と生体物質2を含む液体Lqとが接触する。生体物質2は、例えば、DNAやmRNAなどの核酸である。生体物質2を含む液体Lqは、例えば、緩衝液と、核酸を含む血清との混合液である。
【0048】
生体物質2は、無機半導体膜14及び有機固体電解質膜13の一部に固定されているプローブ分子1と特異的に捕捉される。これによって、検出目的の生体物質を高い選択性で検出することができる。
【0049】
その後、プローブ分子1に捕捉されなかった生体物質(検出対象でない生体物質)、あるいは非特異的に捕捉されている生体物質等を洗浄液で洗浄するのが好ましい。洗浄後、生体物質検出センサ10aの露出部に、緩衝液などの測定液を供給する。これにより、無機半導体膜14と第3電極17とが測定液を介して電気的に接続可能となる。
【0050】
次いで、第1電極15と第2電極16との間に電圧VDSを印加し、次いで、第1電極15と第3電極17との間に電圧VTGを印加する。無機半導体膜14及び有機固体電解質膜13のプローブ分子1に検出目的の生体物質2が捕捉された状態で、無機半導体膜14に電圧VDSが印加されることによって、第1電極15と第2電極16との間を流れる電流IDSが変化する。この電流IDSの変化に応じてVTG-IDS特性の変化が検出される。これにより、プローブ分子1に捕捉された生体物質2の量を定量することができる。
【0051】
本実施形態の生体物質検出センサ10aでは、
図4に示すように、無機半導体膜14の表面に固定されたプローブ分子1に捕捉された生体物質2の電荷が作る電界(矢印D1)とともに、有機固体電解質膜13の内部をイオンが動くことで、有機固体電解質膜13の表面に捕捉されたプローブ分子1に捕捉された生体物質2の電荷が作る電界(矢印D2)が無機半導体膜14に伝わり、電気特性の変化に寄与できる(アンテナ効果)。これにより、より多くの生体物質2の電荷が作る電界が無機半導体膜14に集積することで、感度と安定性が向上する。
【0052】
また、本実施形態の生体物質検出センサ10aでは有機固体電解質膜13に接触する形で、電子伝導性を持つ導電性材料膜12を有することにより、より早く、より遠く、より多くの捕捉された生体物質2の電荷が作る電界を無機半導体膜14に伝える効果がある。なお、本実施形態の生体物質検出センサ10aでは、導電性材料膜12に電圧を印加していないが、導電性材料膜12に電圧VBGを印加してもよい。
【0053】
以上のような構成とされた本実施形態の生体物質検出センサ10aによれば、有機固体電解質膜13は有機固体電解質を含み、無機半導体膜14は無機半導体を含むので、増幅を必要とせず、感度が大幅に向上して検出限界が大幅に低くなり、また、水分等の存在下での検出の安定性が高く、更には低コストで迅速且つ簡便に生体物質の検出を行うことが可能となる。特に、高感度で検出限界が高いことから、従来よりも短時間で、生体物質を1分子単位で検出することが可能となり、感染症、新規癌マーカー、個の遺伝子、エクソソーム、白血球中のmRNA、cell-freeRNA/DNA等の解析を行う際、短時間で高精度な検出を実現することができる。また、医療分野において、患者の診察中に当該患者に関する生体物質を検出することが可能となり、その検出結果に基づいて迅速且つ適切な診断、治療を施すことが可能となる。さらに、上記の製造方法によれば、工業性や量産性に優れた生体物質検出センサ10を提供することができる。
【0054】
また、本実施形態の生体物質検出センサ10aにおいて、有機固体電解質膜13に含まれる有機固体電解質がプロトン導電性である場合は、生体物質検出センサ10aの感度がより向上する。特に、有機固体電解質が、側鎖にプロトン伝導性基を有するポリマーもしくは有機金属錯体である場合は、有機固体電解質膜13のプロトン伝導性が高くなるので、生体物質検出センサ10aの感度が向上する。さらに、有機固体電解質膜13のイオン伝導率が1×10-8S/cm以上である場合は、生体物質検出センサ10aの感度が向上する。
【0055】
また、本実施形態の生体物質検出センサ10aにおいて、無機半導体膜14に含まれる無機半導体が、酸化インジウム、酸化亜鉛、In-Ga-Zn酸化物、In-Sn-Zn酸化物、Zn-Sn酸化物、アモルファスシリコン、低温ポリシリコンおよびグラフィンからなる群より選ばれる少なくとも一種の無機物を含む場合は、生体物質検出センサ10aの感度がより高くなる。
【0056】
また、本実施形態の生体物質検出方法によれば、生体物質検出センサ10aの露出部20と標的DNAなどの生体物質を含む液体Lqとを接触させ、第3電極17と第1電極15との間に電圧VTGを印加すると共に、第1電極15と第2電極16との間の電流IDSを測定し、第3電極17と第1電極15との間の電圧VTGと、第1電極15と第2電極16との間の電流IDSとに基づいて前記生体物質を検出するので、従来と同様の簡単な操作、従来と同等のコストで、短時間、高感度で生体物質の検出を行うことが可能となる。
【0057】
また、本実施形態の生体物質検出センサ10aを複数配置したマルチ構造あるいはアレイ構造を有する生体物質検出装置を提供することができる。さらに、本実施形態の生体物質検出センサ10aと、公知のカーボンセンサなどの他の電気化学センサの双方を備える生体物質検出装置を提供することができる。これにより、短時間で高精度な検出を実現することができ、また、mRNA/DNAなどの生体物質とバイオマーカーなどの他の生体物質の双方を同時期あるいは同時に検出することができ、1回の検出作業で得られた複数の生体物質の検出結果を用いて、様々な観点からの分析が可能となる。
【0058】
以上、本発明の第1実施形態について詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0059】
例えば、本実施形態の生体物質検出センサ10aにおいては、第1電極15及び第2電極16は、有機固体電解質膜13の上に形成されているが、第1電極15及び第2電極16の配置はこれに限定されるものではない。また、本実施形態の生体物質検出センサ10aにおいては、導電性材料膜12は、基板11と有機固体電解質膜13との間に配置されているが、導電性材料膜12の配置はこれに限定されるものではない。以下、第1実施形態の生体物質検出センサ10の変形例を、
図5~
図11に示す。
【0060】
図5は、生体物質検出センサの第1変形例の構成の一例を示す平面図であり、
図6は、
図5のVI-VI’線断面図である。
図5及び
図6に示す生体物質検出センサ10bは、基板11の上に有機固体電解質膜13が配置されている。有機固体電解質膜13の上に、無機半導体膜14が配置され、第1電極15及び第2電極16は、無機半導体膜14の上に形成されている。第1電極15及び第2電極16は、その端部が有機固体電解質膜13の端部よりも内側となるサイズとされている。
【0061】
図7は生体物質検出センサの第2変形例の構成の一例を示す平面図であり、
図8は、
図7のVIII-VIII’線断面である。
図7及び
図8に示す生体物質検出センサ10cにおいては、基板11の上に、第1電極15及び第2電極16が配置されている。第1電極15及び第2電極16は、有機固体電解質膜13で覆われている。無機半導体膜14は、有機固体電解質膜13の上に形成されている。無機半導体膜14は、有機固体電解質膜13に設けられた貫通孔を介して第1電極15及び第2電極16と接続している。また、第1リード線15aは、貫通孔15cを介して第1端子15bと接続し、第2リード線16aは、貫通孔16cを介して第2端子16bと接続し、第3リード線17aは、貫通孔17cを介して第3端子17bと接続している。
【0062】
図9は、第4変形例の構成の一例を示す断面図である。
図9に示す生体物質検出センサ10dにおいては、基板11の上に有機固体電解質膜13が配置されている。第1電極15及び第2電極16は、有機固体電解質膜13の上に配置されている。
図11に示す生体物質検出センサ10dは、導電性材料膜12を備えないこと以外は、
図1及び
図2に示す生体物質検出センサ10aと同じである。
【0063】
図10は生体物質検出センサの第6変形例の構成の一例を示す平面図であり、
図11は、
図10のXI-XI’線断面である。
図10及び
図11に示す生体物質検出センサ10eにおいては、基板11の上に第1電極15及び第2電極16が配置され、無機半導体膜14は、第1電極15及び第2電極16の上に形成されている。無機半導体膜14、第1電極15及び第2電極16は、有機固体電解質膜13で覆われている。有機固体電解質膜13には、第1電極15及び第2電極16を外部電源と接続するための貫通孔が設けられている。
【0064】
第1実施形態の生体物質検出センサ10aにおいては、第3電極17は有機固体電解質膜13の上に形成されているが、第3電極17の位置はこれに限定されるものではない。第3電極17は、第1電極15、第2電極16及び有機固体電解質膜13と電気的に接続していれば、有機固体電解質膜13の上以外の位置に配置されていてもよい。
【0065】
図12は、本発明の第2実施形態に係る生体物質検出センサの構成の一例を示す平面図である。
図13は、
図12のXIII-XIII’線断面図である。
【0066】
図12及び
図13に示す生体物質検出センサ30は、基板11と、導電性材料膜12と、有機固体電解質膜13と、第1電極15と、第2電極16と、無機半導体膜14とを有する。生体物質検出センサ30は、第3電極17を有しない点と、センサ片19が1つとされている点以外は、第1実施形態の生体物質検出センサ10aと同じ構成とされている。
【0067】
図14は、生体物質検出センサ30を用いた生体物質検出方法を説明する模式図であって、(a)は、生体物質検出センサを
図12のXIII-XIII’線に沿って見た拡大断面図であり、(b)は、(a)の拡大図である。
生体物質検出センサ30を用いた生体物質検出時において、第3電極17は検出対象の生体物質2を含む液体Lqに挿入される。これにより、第3電極17と露出部20の無機半導体膜14とが接続する。第1電極15と第2電極16とは第1電圧供給部31に接続され、第1電極15と第3電極17とは第2電圧供給部32に接続されている。プローブ分子1に捕捉された生体物質2の検出方法は、第1実施形態の生体物質検出センサを用いた場合と同様に実施することができる。すなわち、第1電圧供給部31を用いて、第1電極15と第2電極16との間に電圧V
DSを印加し、第2電圧供給部32を用いて、第1電極15と第3電極17との間に電圧V
TGを印加する。これにより、第1電極15と第2電極16との間を流れる電流I
DSが変化する。そして、V
TG-I
DS特性の変化を検出することにより、プローブ分子1に捕捉された生体物質2の量を定量することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 プローブ分子
2 生体物質
10a、10b、10c、10d、10e、30 生体物質検出センサ
11 基板
12 導電性材料膜
13 有機固体電解質膜
14 無機半導体膜
15 第1電極
16 第2電極
17 第3電極
18 絶縁被膜
19 センサ片
20 露出部
21 捕捉場
22 壁部
31 第1電圧供給部
32 第2電圧供給部