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特開2022-155006賞品払出システム、賞品払出装置、及び、賞品払出装置における賞品払出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155006
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】賞品払出システム、賞品払出装置、及び、賞品払出装置における賞品払出方法
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20221005BHJP
【FI】
A63F7/02 354
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021058311
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 俊秀
(72)【発明者】
【氏名】村山 慶恵
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088CA35
(57)【要約】
【課題】賞品の払い出しに関して使い勝手の向上を図れる賞品払出システム、賞品払出装置、及び、賞品払出装置における賞品払出方法を提供する。
【解決手段】賞品払出システム100を構成する賞品払出装置1は、賞品が払い出される払出エリアと、賞品を収納する収納部12と、払出対象の賞品についての払出情報を生成するPOS制御部61Aと、収納部内の賞品を払出エリアに払い出す払出制御部61Bとを含む。払出制御部61Bは、払出情報を受け付けて、収納部12内における払出対象の在庫を払出情報に基づいて確認する。その確認結果が所定条件を満たす場合に、払出制御部61Bは、払出対象を払出エリアに払い出す。払出制御部61Bの確認結果が前記所定条件を満たさない場合に、POS制御部61Aは、払出対象の払い出し開始に先立って収納部12への賞品の補充が必要であることを通知する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
賞品が払い出される払出エリアと、賞品を収納する収納部と、前記収納部内の賞品を前記払出エリアに払い出す払出部とを含む賞品払出装置と、
払出対象の賞品についての払出情報を生成する生成部と、
前記払出情報を受け付けて、前記収納部内における前記払出対象の在庫を前記払出情報に基づいて確認する確認部とを含み、
前記確認部の確認結果が所定条件を満たす場合に、前記払出部は、前記払出対象を前記払出エリアに払い出し、
前記確認結果が前記所定条件を満たさない場合に、前記払出対象の払い出し開始に先立って前記収納部への賞品の補充が必要であることを通知する通知部を含む、賞品払出システム。
【請求項2】
前記通知部による通知の開始後に賞品が前記収納部に補充された場合に、前記払出部は、前記払出対象を前記払出エリアに払い出す、請求項1に記載の賞品払出システム。
【請求項3】
複数の前記賞品払出装置と、
第1の前記賞品払出装置についての前記確認結果が前記所定条件を満たさない場合に、前記払出対象の払い出しを第2の前記賞品払出装置に要求する要求部とを含む、請求項1に記載の賞品払出システム。
【請求項4】
前記払出情報は、前記払出対象の賞品を特定する特定情報と、前記払出対象の賞品の個数についての個数情報とを含み、
前記確認部は、前記特定情報を受け付けると、前記収納部内における前記払出対象の在庫の確認を開始する、請求項1~3のいずれか一項に記載の賞品払出システム。
【請求項5】
前記所定条件は、前記収納部内において前記払出対象の賞品が足りることである、請求項1~4のいずれか一項に記載の賞品払出システム。
【請求項6】
賞品が払い出される払出エリアと、
賞品を収納する収納部と、
払出対象の賞品についての払出情報を生成する生成部と、
前記払出情報を受け付けて、前記収納部内における前記払出対象の在庫を前記払出情報に基づいて確認する確認部と、
前記確認部の確認結果が所定条件を満たす場合に、前記収納部内の前記払出対象を前記払出エリアに払い出す払出部と、
前記確認結果が前記所定条件を満たさない場合に、前記払出対象の払い出し開始に先立って前記収納部への賞品の補充が必要であることを通知する通知部とを含む、賞品払出装置。
【請求項7】
賞品が払い出される払出エリアと、賞品を収納する収納部と、前記収納部内の賞品を前記払出エリアに払い出す払出部とを含む賞品払出装置における賞品払出方法であって、
払出対象の賞品についての払出情報を生成する生成ステップと、
前記払出情報を受け付けて、前記収納部内における前記払出対象の在庫を前記払出情報に基づいて確認する確認ステップと、
前記確認ステップでの確認結果が所定条件を満たす場合に、前記払出部によって前記払出対象を前記払出エリアに払い出す払出ステップと、
前記確認結果が前記所定条件を満たさない場合に、前記払出対象の払い出し開始に先立って前記収納部への賞品の補充が必要であることを通知する通知ステップとを含む、賞品払出装置における賞品払出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、賞品払出システム、賞品払出装置、及び、賞品払出装置における賞品払出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に開示された賞品払出システムは、パチンコ玉等の遊技媒体と交換される賞品を払い出す賞品払出装置の一例としての賞品払出機と、賞品の払出指示を賞品払出機に送る賞品管理機とを含む。払出指示は、払出対象の賞品、つまり、これから払い出すべき賞品の種類及び種類毎の個数についての情報を含む。賞品払出機は、賞品を収納する収納部と、収納部を収容する本体とを含む。収納部は、賞品を繰り出す繰出部と、払出部とを含み、払出部には、繰出部によって繰り出された賞品が載せられる。本体の天板における収納部の真上には、払出口が設けられている。収納部では、繰出部によって繰り出された賞品が払出部に載せられた後に、払出部が上昇し、払出部上の賞品が払出口に払い出される。賞品払出機では、遊技店の店員が払出口から賞品を取り出して遊技客に手渡しする手渡し運用と、遊技客が払出口から賞品をセルフにて取り出すセルフ運用とが利用可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-25822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載はないが、従来の賞品払出装置は、払出対象の賞品(以下、単に「払出対象」ということがある。)が収納部において不足していても、払出指示に応じて賞品の払い出しを開始する。そのため、必要分の賞品を全て払い出す前に収納部内における払出対象の賞品が無くなると、賞品払出装置がエラーダウン等することにより、賞品の払い出しが中断される。この場合には、その後の復旧処理が面倒である。特に、セルフ運用の場合には、遊技客が、賞品の払い出しを中断した賞品払出装置をそのままにして立ち去ってしまうと、未払い分の賞品の対処等のために復旧処理がさらに面倒になる。
【0005】
この発明は、かかる背景のもとにおいてなされたものであり、賞品の払い出しに関して使い勝手の向上を図れる賞品払出システム、賞品払出装置、及び、賞品払出装置における賞品払出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、賞品が払い出される払出エリアと、賞品を収納する収納部と、前記収納部内の賞品を前記払出エリアに払い出す払出部とを含む賞品払出装置と、払出対象の賞品についての払出情報を生成する生成部と、前記払出情報を受け付けて、前記収納部内における前記払出対象の在庫を前記払出情報に基づいて確認する確認部とを含む賞品払出システムであって、前記確認部の確認結果が所定条件を満たす場合に、前記払出部は、前記払出対象を前記払出エリアに払い出し、前記確認結果が前記所定条件を満たさない場合に、前記払出対象の払い出し開始に先立って前記収納部への賞品の補充が必要であることを通知する通知部を含む、賞品払出システムである。
【0007】
また、本発明は、前記通知部による通知の開始後に賞品が前記収納部に補充された場合に、前記払出部が、前記払出対象を前記払出エリアに払い出すことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記賞品払出システムが、複数の前記賞品払出装置と、第1の前記賞品払出装置についての前記確認結果が前記所定条件を満たさない場合に、前記払出対象の払い出しを第2の前記賞品払出装置に要求する要求部とを含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記払出情報が、前記払出対象の賞品を特定する特定情報と、前記払出対象の賞品の個数についての個数情報とを含み、前記確認部が、前記特定情報を受け付けると、前記収納部内における前記払出対象の在庫の確認を開始することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記所定条件が、前記収納部内において前記払出対象の賞品が足りることであることを特徴とする。
【0011】
本発明は、賞品が払い出される払出エリアと、賞品を収納する収納部と、払出対象の賞品についての払出情報を生成する生成部と、前記払出情報を受け付けて、前記収納部内における前記払出対象の在庫を前記払出情報に基づいて確認する確認部と、前記確認部の確認結果が所定条件を満たす場合に、前記収納部内の前記払出対象を前記払出エリアに払い出す払出部と、前記確認結果が前記所定条件を満たさない場合に、前記払出対象の払い出し開始に先立って前記収納部への賞品の補充が必要であることを通知する通知部とを含む、賞品払出装置である。
【0012】
本発明は、賞品が払い出される払出エリアと、賞品を収納する収納部と、前記収納部内の賞品を前記払出エリアに払い出す払出部とを含む賞品払出装置における賞品払出方法であって、払出対象の賞品についての払出情報を生成する生成ステップと、前記払出情報を受け付けて、前記収納部内における前記払出対象の在庫を前記払出情報に基づいて確認する確認ステップと、前記確認ステップでの確認結果が所定条件を満たす場合に、前記払出部によって前記払出対象を前記払出エリアに払い出す払出ステップと、前記確認結果が前記所定条件を満たさない場合に、前記払出対象の払い出し開始に先立って前記収納部への賞品の補充が必要であることを通知する通知ステップとを含む、賞品払出装置における賞品払出方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、払出対象の賞品についての払出情報が生成されると、確認部が、この払出情報を受け付けて、賞品払出装置の収納部内における払出対象の在庫を払出情報に基づいて確認する。確認部の確認結果が所定条件を満たす場合に、賞品払出装置では、払出部が払出対象を払出エリアに払い出す。しかし、確認部の確認結果が所定条件を満たさない場合に、払出対象の払い出し開始に先立って収納部への賞品の補充が必要であることが通知される。このように、確認部の確認結果が所定条件を満たす場合、換言すれば収納部への賞品の補充が不要な場合にだけ、賞品払出装置において賞品の払い出しが開始されるので、賞品払出装置は、払出対象を全て払い出すことができる。この構成であれば、確認部の確認結果が所定条件を満たさないにもかかわらず賞品払出装置において賞品の払い出しが開始されたものの、途中で賞品が無くなることによって払い出しが中断するような不具合を予防できる。そのため、このような不具合に対処する負担を軽減できるので、賞品払出装置での賞品の払い出しに関して使い勝手の向上を図れる。
【0014】
また、本発明によれば、賞品の補充が必要であることの通知の開始後に賞品が収納部に補充された場合に、賞品払出装置の払出部が払出対象を払出エリアに払い出す。そのため、使用者は、通知の開始後も、この賞品払出装置の前で待機していれば、賞品の補充後に、この賞品払出装置から払出対象を全て払い出してもらうことができる。
【0015】
また、本発明によれば、複数の賞品払出装置を含む賞品払出システムでは、第1の賞品払出装置についての確認結果が所定条件を満たさない場合に、払出対象の払い出しが第2の賞品払出装置に要求されるので、第2の賞品払出装置に払出対象を払い出させることができる。そのため、当初は第1の賞品払出装置からの払出対象の払い出しを待っていた使用者は、第1の賞品払出装置での賞品の補充を待つことなく、第2の賞品払出装置から払出対象を速やかに払い出してもらうことができる。
【0016】
また、本発明によれば、払出情報は、払出対象の賞品を特定する特定情報と、払出対象の賞品の個数についての個数情報とを含み、確認部は、払出情報の一部である特定情報を受け付けると、収納部内における払出対象の在庫の確認を速やか開始する。これにより、確認部の確認結果が所定条件を満たすか否かが速やかに判明するので、確認結果が所定条件を満たさない場合には、速やかに通知できる。
【0017】
また、本発明によれば、前記所定条件は、前記収納部内において前記払出対象の賞品が足りることである。そのため、収納部内において払出対象の賞品が足りる場合にだけ、賞品払出装置において賞品の払い出しが開始されるので、賞品払出装置は、払出対象を全て払い出すことができる。この構成であれば、収納部内において払出対象の賞品が不足しているにもかかわらず賞品払出装置において賞品の払い出しが開始されたものの、途中で賞品が無くなることによって払い出しが中断するような不具合を予防できる。そのため、このような不具合に対処する負担を軽減できるので、賞品払出装置での賞品の払い出しに関して使い勝手の向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る賞品払出装置の模式的な斜視図である。
図2】賞品払出装置に用いられる通い箱の斜視図である。
図3】賞品払出装置を構成する払出ユニットの内部の模式的な右側面図である。
図4】賞品払出装置を含む賞品払出システムの電気的構成を示すブロック図である。
図5】扉を開いた状態における賞品払出装置の模式的な斜視図である。
図6】収納部を引き出した状態における賞品払出装置の模式的な斜視図である。
図7】収納部を引き出した状態における払出ユニットの内部の模式的な右側面図である。
図8】計数識別処理の際における払出ユニットの内部の模式的な右側面図である。
図9図8のA-A矢視断面図である。
図10】賞品払出装置に記憶されたテーブルを示す図である。
図11】繰出払出処理の際における払出ユニットの内部の模式的な右側面図である。
図12】繰出払出処理の際における払出ユニットの内部の模式的な右側面図である。
図13】繰出払出処理に関する取引処理を示すフローチャートである。
図14】変形例に係る取引処理を示すフローチャートである。
図15】変形例に係る賞品払出装置の模式的な斜視図である。
図16】変形例に係る賞品払出システムの概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る賞品払出装置1の模式的な斜視図である。賞品払出装置1は、例えばパチンコ店等の遊技店内における賞品交換コーナーに設置される。賞品払出装置1は、特殊賞品と呼ばれる賞品Pを払い出す装置である。なお、遊技店では、特殊賞品だけでなく、菓子等の一般賞品も取り扱われる。賞品払出装置1は、複数存在してもよく、これらの賞品払出装置1は、通信可能に接続されて賞品払出システム100を構成する。個々の賞品払出装置1を賞品払出システム100とみなしてもよい。賞品払出装置1は、その上部をなすPOSユニット2と、POSユニット2の下側に配置された払出ユニット3とを含む。
【0020】
POSユニット2は、いわゆるPOS端末であり、その前面、つまり正面領域には、例えば液晶のタッチパネルによって構成された表示操作部4が設けられている。表示操作部4は、表示部と操作部とに分かれていてもよい。POSユニット2の前面には、遊技店から遊技客に発行されたカードが出し入れされるカード出入口2Aと、レシートが発行されるレシート発行口2Bとが形成されている。カードには、遊技客が遊技によって獲得したパチンコ玉等の遊技媒体の数が関連付けられる。遊技店に会員登録した遊技客(いわゆる会員客)のカードは、会員カードと呼ばれ、他の遊技客(いわゆる一般客)のカードは、一般カードと呼ばれることがある。カードには、遊技を開始又は継続するために遊技媒体と交換されるプリペイド価値も関連付けられてもよい。
【0021】
賞品Pの一例は、例えば数ミリ程度(1.5mmや3mm等があり、本実施形態では3mm)の厚さを有するカードである。この実施形態では、大賞品、中賞品及び小賞品といった、金銭価値に応じた3種類の賞品Pが登場するが、大賞品よりも金銭価値の高い特大賞品が存在してもよい。賞品Pの表面の色は、賞品Pの種類毎に異なっている。一例として、大賞品の表面は赤色であり、中賞品の表面は青色であり、小賞品の表面は緑色である。賞品Pは、通い箱5に収容された状態にて市場に流通する。
【0022】
この実施形態では、賞品払出装置1は、遊技店における無人の賞品交換コーナーに配置されて、賞品Pの交換のための手続きが遊技客自身によって行われるセルフタイプである。この場合、遊技客は、例えばカードをPOSユニット2のカード出入口2Aに挿入してから表示操作部4を操作することによって、賞品Pの払出要求を賞品払出装置1に送信する。これにより、払出ユニット3は、払出要求に応じた種類及び個数(この実施形態では「枚数」)の賞品Pを払い出し、POSユニット2は、賞品Pの在庫データを更新する。遊技客は、カード出入口2Aから返却されたカードと、払出ユニット3から払い出された賞品Pとを受け取る。なお、以下の説明では、賞品払出装置1がセルフタイプであることを前提としているが、賞品払出装置1の周辺に遊技店の店員がいて、この店員が、賞品払出装置1から賞品Pを一旦受け取った後に遊技客に手渡ししてもよい。
【0023】
払出ユニット3は、賞品Pを払い出す賞品払出機であるとともに、賞品Pを保管する機能を有する賞品保管機でもある。なお、この実施形態では、POSユニット2と払出ユニット3とが一体化されているが、払出ユニット3が単独の賞品払出装置1として存在して、POSユニット2が単独のPOS端末として払出ユニット3から分離して構成されてもよい。払出ユニット3は、その外殻をなすボックス状に形成された筐体11と、筐体11内に設けられた単数又は複数の収納部12と、筐体11によって支持された扉13とを含む。
【0024】
なお、図1の紙面の左右方向は、払出ユニット3の左右方向Xと一致し、図1の紙面に略直交する方向は、払出ユニット3の前後方向Yと一致し、図1の紙面の上下方向は、払出ユニット3の上下方向Zと一致している。左右方向X及び前後方向Yは、横方向に含まれる。左右方向Xは、左側X1と右側X2とを含み、前後方向Yは、図1の紙面の手前側に一致した前側Y1と、図1の紙面の奥側に一致した後側Y2とを含み、上下方向Zは、上側Z1と下側Z2とを含む。なお、図2以降において左右方向Xや上下方向Zの図示がない図では、その図の左右方向が左右方向Xと同じであり、その図の上下方向が上下方向Zと同じである(図15等参照)。
【0025】
筐体11は、縦長のボックス状に形成されている。筐体11は、天壁14と、底壁15と、左右一対の側壁16と、後壁17とを有する。天壁14及び底壁15のそれぞれは、矩形の板状である。一対の側壁16のそれぞれは、上下方向Zに長い長方形の板状であり、左側X1の側壁16は、天壁14及び底壁15の左端間に架設されていて、右側X2の側壁16は、天壁14及び底壁15の右端間に架設されている。後壁17は、上下方向Zに長い長方形の板状であり、天壁14及び底壁15の後端間に架設されていて、一対の側壁16の後端間にも架設されている。筐体11の前面には、天壁14、底壁15及び一対の側壁16のそれぞれの前端によって縁取られた開口11Aが形成されている(図5も参照)。開口11Aは、筐体11の内部空間11Bに連通している。
【0026】
収納部12は、賞品Pを通い箱5ごと収納するものである。この実施形態では、3つの収納部12が、筐体11の内部空間11Bにおいて上下方向Zに並んでいる。各収納部12は、筐体11における各側壁16によって前後方向Yへスライド可能に支持されている。図1に示すように筐体11内に完全に収容された状態における各収納部12は、前後方向Yにおける収容位置にある。各収納部12は、筐体11の開口11Aを通って、収容位置よりも前側Y1の引出位置(図6参照)へ引き出し可能である。筐体11には、各収納部12を収容位置においてロックしたり、そのロックを解除したりする電動の引出ロック機構18(図4参照)が設けられている。引出ロック機構18として、電磁ロック等を用いることができる。
【0027】
収納部12について詳しく説明するのに先立って、通い箱5について説明する。図2は、通い箱5の斜視図である。通い箱5は、所定方向に長手のボックス状に形成されていて、例えば樹脂製である。通い箱5は、対向配置された一対の側壁21と、一対の側壁21間に架設された複数の区画壁22と、底壁23とを一体的に含む。
【0028】
一対の側壁21は、通い箱5の長手方向Lにおいて長手の略長方形の板状に形成されていて、それぞれの板厚方向に沿って対向するように平行に配置されている。一対の側壁21の対向方向は、通い箱5において長手方向Lに直交する短手方向Sである。また、通い箱5の深さ方向Dは、長手方向L及び短手方向Sの両方に直交している。
【0029】
区画壁22は、この実施形態では6つ設けられ、各区画壁22は、長手方向Lに一致した板厚方向を有する略矩形の板状に形成されている。2つの区画壁22が、一対の側壁21において長手方向Lにおける一端縁間と他端縁間とに1つずつ架設され、残り4つの区画壁22が、長手方向Lに等間隔で並んだ状態で一対の側壁21の途中部間に架設されている。そのため、通い箱5には、大きさの等しい略直方体状の5つの収容空間24が、長手方向Lに等間隔で並んで形成されている。
【0030】
底壁23は、深さ方向Dに一致した板厚方向を有し、長手方向Lにおいて長手の略長方形の板状に形成されている。底壁23は、深さ方向Dにおける一方側(図2では下側)から各側壁21及び各区画壁22に対して接続されていて、各収容空間24を当該一方側から塞いでいる。各収容空間24において深さ方向Dにおける他方側(図2では上側)の端部は、略矩形状の出入口25として、当該他方側へ開放されている。
【0031】
通い箱5は、出入口25とは別に設けられた開口部26を含む。開口部26は、長手方向Lにおいて各収容空間24と同じ位置に一対ずつ、この実施形態では5対設けられている。つまり、開口部26は、短手方向Sにおける通い箱5の両側において、5つずつ長手方向Lに等間隔で並んで設けられている。各対における2つの開口部26は、長手方向Lにおいて同じ位置にあって、短手方向Sにおける通い箱5の中心を基準として対称になるように構成されている。各開口部26は、収容空間24を外部に露出させるスリット状であり、短手方向Sにおける底壁23の端部を切り欠きつつ、短手方向Sにおいて当該端部と同じ側にある側壁21を深さ方向Dに沿って切り欠いて、出入口25の手前まで直線状に延びている。
【0032】
賞品Pを収容して流通しているときの通い箱5の姿勢は、図2に示すように各出入口25が上を向いた基本姿勢である。賞品Pは、出入口25を介して各収容空間24に収容される。各収容空間24の大きさが等しいので、賞品Pは、所定枚数ずつ、この実施形態では20枚ずつ各収容空間24に収容される。そのため、通い箱5全体では、最大で100枚の賞品Pを収容できる。複数の賞品Pは、それぞれの板厚方向が短手方向Sと一致して底壁23から起立した姿勢で、各収容空間24に積層状態にて収容され、その状態の各賞品Pでは、出入口25側の部分が出入口25からはみ出ている。また、前述した所定枚数の賞品Pが収容された収容空間24(図2における右端の収容空間24を参照)では、短手方向Sの両端に位置する賞品Pの一部が、短手方向Sにおける同じ側の開口部26から露出されている。1つの通い箱5に収容される複数枚の賞品Pの種類は、この実施形態では大賞品、中賞品及び小賞品のいずれか一種類であるが、収容空間24毎に賞品Pの種類が異なってもよい。
【0033】
次に、収納部12について詳しく説明する。図3は、払出ユニット3の内部の模式的な右側面図である。以下では、上下方向Zに並ぶ3つの収納部12のうち、最下位の収納部12を「下収納部12A」といい、真ん中の収納部12を「中収納部12B」といい、最上位の収納部12を「上収納部12C」という。
【0034】
下収納部12Aを参照して、各収納部12は、その外殻をなすボックス状に形成された筐体31を含む。筐体31の上面には、略矩形状の装填口31Aと、装填口31Aを開閉する略矩形板状の扉31Bとが設けられている。扉31Bは、その前端部に設けられたヒンジ31Cを介して筐体31に連結されていて、ヒンジ31Cまわりに回動することによって開閉される。筐体31の前面のほぼ全域には、開口31Dが形成されている。筐体31の前面において開口31Dよりも上側Z1の領域には、取っ手31Eが設けられている(図5参照)開口31Dは、筐体31の内部空間31Fを前側Y1へ露出させる。
【0035】
各収納部12の筐体31の内部空間31Fには、左右一対の搬送体32と、複数(ここでは4つ)の収納体33とが設けられている。各搬送体32は、無端状のチェーン又はベルトによって構成されており、左右方向Xから見て例えば略矩形の環状をなしている。搬送体32は、モータ(図示せず)等の駆動部の駆動力を受けることによって、左右方向Xから見て時計回り及び反時計回りのそれぞれの方向へ向けて周回移動する。この駆動部と搬送体32とは、移動機構34を構成する。
【0036】
各収納体33は、左右方向Xに長手のトレイ状である。各収納体33の内部空間は、左右方向Xに長手となった通い箱5をちょうど収容できる大きさを有する。上向き姿勢の収納体33(例えば、図3の下収納部12Aにおける上側Z1の収納体33を参照)には、その上面を全域に亘って開放した出入口33Aと、前後の両側壁のそれぞれを切り欠いたスリット状の開口部(図示せず)とが形成されている。この開口部は、収納体33の前壁及び後壁において、通い箱5の開口部26(図2参照)に合致する位置に同数形成され、左右方向Xに並んで配置されている。
【0037】
各収納体33には、通い箱5が1つずつ装填される。これにより、通い箱5内の賞品Pは、収納体33内に収納されるとともに、収納部12内にも収納される。通い箱5が装填された収納体33では、前述した開口部と通い箱5の開口部26とが1つずつ整合している。また、この実施形態では、同じ種類の賞品Pが1つの通い箱5内に収納されるので、1つの収納体33には、同じ種類の賞品Pが装填され、1つの収納部12には、同じ種類の賞品Pが収納される。一例として、下収納部12Aには大賞品だけが収納され、中収納部12Bには中賞品だけが収納され、上収納部12Cには小賞品だけが収納される。もちろん、各収納部12において、収納体33毎に賞品Pの種類が異なってもよい。
【0038】
これらの収納体33は、左右一対の搬送体32の周回方向Rに沿って環状に並んで配置された状態で、これらの搬送体32の間に架設されている。そのため、移動機構34が作動することによって左右の搬送体32が周回移動すると、これらの収納体33は、搬送体32とともに周回移動する。搬送体32及び収納体33の周回移動を「ロータリー動作」ということがある。また、各収納体33は、搬送体32との連結部分において、左右方向Xに延びる回動軸線(図示せず)まわりに回動自在である。
【0039】
各収納部12には、搬送体32の周回領域における後下側の隅付近に位置する収納体33を一時的に後向き姿勢まで傾倒させる第1姿勢変更機構35と、搬送体32の周回領域における前下側の隅付近に位置する収納体33を一時的に前向き姿勢まで傾倒させる第2姿勢変更機構36とが設けられている。第1姿勢変更機構35及び第2姿勢変更機構36のそれぞれは、ガイドレール等によって構成される。各収納体33は、途中で後向き姿勢になったり前向き姿勢になったりするものの、原則として、上向き姿勢を維持するように回動しながら、ゴンドラのように周回移動する。
【0040】
各収納部12の筐体31の内部空間31Fの後端部には、検出ユニット37が配置されている。検出ユニット37は、検出部38と、検出部38を支持するホルダ39とを含む。検出部38は、いわゆるカラーセンサであり、ホルダ39の前面に設けられている。検出ユニット37は、筐体31の後壁31Gによって支持されており、ステッピングモータ等の駆動部(図示せず)の駆動力を受けて昇降する。その際、検出部38は、最寄りの収納体33に収納された通い箱5内の賞品Pの種類及び枚数を検出する。詳しくは、後述する。
【0041】
各収納部12の筐体31の内部空間31Fにおいて搬送体32及び収納体33よりも下側Z2の領域には、繰出機構41が設けられている。繰出機構41は、収納体33から賞品Pを繰り出す繰出部42を含む。収納部12が複数(この実施形態では3つ)存在するので、繰出部42も、賞品払出装置1の全体では複数存在する。これらの収納部12が上下方向Zに並んでいるので、複数の繰出部42も上下方向Zに並んでいる。このような構成であれば、水平方向、特に前後方向Yにおける賞品払出装置1の小型化を図ることができる。各収納部12において、繰出機構41に設けられる繰出部42は、この実施形態では1つだけだが、複数の繰出部42が左右方向Xに並んで設けられてもよい。
【0042】
繰出部42は、左右方向Xから見て略三角形の環状をなす無端状の繰出ベルト43と、繰出ベルト43の内側において略三角形の各頂点部分に1つずつ配置されたローラ44と、例えばウレタンで構成された外周面を有する繰出ローラ45と、繰出ローラ45に対向する対向ローラ46とを含む。これらのローラは、左右方向Xに延びる中心軸線を有するローラである。繰出ベルト43の外周面には、爪状の押出片43Aが突出して設けられている。押出片43Aは、この実施形態では1つだけ設けられているが、複数の押出片43Aが等間隔に並んで設けられてもよい。繰出ベルト43は、少なくもいずれかのローラ44がモータ等の駆動部により駆動回転されることによって、周回移動する。繰出ローラ45は、当該駆動部により駆動回転される。
【0043】
繰出機構41の全体は、モータ等の駆動部(図示せず)の駆動力を受けることによって、繰出位置と退避位置との間で、繰出ローラ45の直上に位置する回動軸(図示せず)まわりに回動可能である。繰出機構41が繰出位置にあるときには繰出部42も繰出位置にあり、繰出機構41が退避位置にあるときには繰出部42も退避位置にある。つまり、繰出部42は、繰出機構41の回動に応じて繰出位置と退避位置との間で移動可能である。
【0044】
繰出位置にある繰出部42では、図3に示すように、繰出ベルト43が繰出ローラ45及び対向ローラ46よりも後側Y2に位置し、2つのローラ44が前後方向Yに並んで、残り1つのローラ44が当該2つのローラ44よりも下側Z2に位置して、繰出ベルト43において当該2つのローラ44間の平坦部43Bが前後方向Yに沿って水平になっている。また、対向ローラ46が繰出ローラ45に上側Z1から対向していて、平坦部43Bが、繰出ローラ45と対向ローラ46との間と同じ高さ位置にある。繰出位置にある繰出部42は、モータ等の駆動部(図示せず)の駆動力を受けることによって左右方向Xにスライド可能である。
【0045】
待機状態における繰出機構41は、繰出位置にある。繰出機構41は、右側面視において繰出位置から時計回りに約30度以上回動すると、通い箱5が装填された各収納体33の周回軌跡を回避した退避位置(図8参照)に配置される。繰出機構41が退避位置にあるとき、繰出部42も退避位置にある。退避位置は、繰出位置から前側Y1や下側Z2へ退避した位置である。退避位置の繰出部42では、繰出ベルト43が繰出ローラ45及び対向ローラ46よりも下側Z2に位置し、繰出ベルト43の平坦部43Bが上下方向Z(具体的には斜め下側)に沿っていて、対向ローラ46が繰出ローラ45に後側Y2から対向している。
【0046】
扉13は、筐体11の開口11Aを塞ぎ得る大きさを有する縦長のボックス状であり、図3に示すように開口11Aを閉じた閉位置(図1も参照)において前後方向Yに扁平である。扉13の左端は、ヒンジ50(図5参照)を介して筐体11に連結されていて、ヒンジ50まわりに回動可能である。閉位置にある扉13が、平面視にて時計回りに回動すると、開位置に配置されて開口11Aの全域を前側Y1へ露出させる(図5参照)。以下では、特に断りがない場合には、扉13が閉位置にあることを前提として説明する。筐体11には、扉13を閉位置においてロックしたり、そのロックを解除したりする電動の扉ロック機構51(図4参照)が設けられている。扉ロック機構51として、電磁ロック等を用いることができる。
【0047】
扉13の上面13Aは、筐体11の上面、つまり天壁14の上面とほぼ同じ高さ位置にある。上面13Aには、払出エリアの一例として左右方向Xに長手の払出口13Bが1つだけ設けられている(図5も参照)。払出口13Bは、扉13の内部空間13Cに連通している。扉13は、払出口13Bを開閉する1枚のシャッタ52をさらに含む。
【0048】
シャッタ52は、左右方向Xに長手の板状に形成されている。シャッタ52は、払出口13Bを閉じた閉位置(図1も参照)と、天壁14の真下の空間まで後退して払出口13Bを開いた開位置(図12参照)との間で前後方向Yにスライド可能である。天壁14の真下の空間は、筐体11の内部空間11Bの上端部である。シャッタ52は、筐体11又は扉13に設けられたモータ等の駆動部(図示せず)の駆動力によって開閉される。
【0049】
扉13の後面のほぼ全域は、開放されている。そのため、扉13の内部空間13Cは、収容位置にある各収納部12の筐体31の前面の開口31Dを介して筐体31の内部空間31Fに連通している。内部空間13Cには、各収納部12内の賞品Pを払出口13Bに払い出す払出機構53が設けられている。つまり、筐体11の開口11Aを開閉する扉13には、払出機構53が一体化されている。これにより、賞品払出装置1の一層の小型化を図ることができる。
【0050】
払出機構53は、移動部54を含む。移動部54は、上下方向Zに一致した板厚方向を有して左右方向Xに長い長方形の板状のエレベータである。移動部54は、左右方向Xに並ぶ複数の受取部55に区画される。移動部54は、この実施形態では一体物であり、隣り合う受取部55の境界は点線で示してある(図5参照)。受取部55は、通い箱5の収容空間24と同数(ここでは5つ)設けられている。移動部54は、モータ等の駆動部(図示せず)の駆動力を受けることによって、扉13の内部空間13Cの下端付近に設定された待機位置と、内部空間13Cの上端に設定された払出位置との間にて昇降する。
【0051】
図4は、賞品払出装置1の電気的構成を示すブロック図である。賞品払出装置1は、制御部61を含む。制御部61は、CPUやROMやRAM等によって構成され、タイマ等を内蔵している。なお、後述する他の制御部についても同様である。本実施形態における制御部61は、POSユニット2に内蔵されたPOS制御部61Aと、払出ユニット3に内蔵された払出制御部61Bとに分かれているが、1つの制御部61がPOS制御部61A及び払出制御部61Bの両方を兼ねてもよい。POS制御部61Aと、払出制御部61Bとは、互いに通信可能に接続されている。
【0052】
POSユニット2は、カードを処理するカード処理部62と、レシート発行部63と、読取部64とをさらに含む。POS制御部61Aには、表示操作部4、カード処理部62、レシート発行部63及び読取部64のそれぞれが電気的に接続されている。カード処理部62は、カード出入口2A(図1参照)に挿入されたカードを取り込んで、このカードから必要な情報を読み取ったり、読取後のカードをカード出入口2Aから排出したりする。レシート発行部63は、プリンタによって構成され、レシートを印刷してレシート発行口2Bに発行する。
【0053】
読取部64に関し、パチンコ台等の遊技台にて遊技によって獲得された遊技媒体の数等の情報が記載されたレシート(レシート発行部63によって発行されるレシートとは別のレシート)が、遊技媒体を計数する計数装置(図示せず)から遊技客に発行される。読取部64は、POSユニット2の前面に設けられている(図1参照)。例えば遊技客がレシートを読取部64にかざすと、読取部64は、このレシートから遊技媒体の数等を読み取る。なお、カードやレシートの代りに、遊技客が所有するスマートフォン等の通信端末を使用することができ、遊技客が通信端末を読取部64にかざすと、読取部64は、通信端末から遊技媒体の数等を読み取ってもよい。
【0054】
払出制御部61Bには、各収納部12における移動機構34、検出部38及び繰出機構41のそれぞれに関連した電気部品(前述した駆動部やセンサ等)が電気的に接続されている。払出制御部61Bには、引出ロック機構18、扉ロック機構51及びシャッタ52のそれぞれに関連した電気部品も電気的に接続されている。払出制御部61Bは、これらの電気部品の動作を制御することによって、賞品Pを補充する補充処理と、払出ユニット3の各収納部12内の賞品Pを計数及び識別する計数識別処理と、各収納部12内の賞品Pを繰り出して機外(つまり筐体11の外)に払い出す繰出払出処理とを実行する。これらの処理に関連して、POS制御部61Aは、表示操作部4に必要な情報を表示したり、店員や遊技客による表示操作部4の操作に応じた指示を受け付けたり、遊技客のカードをカード処理部62によって処理したり、レシートをレシート発行部63によって発行したりする。
【0055】
払出ユニット3は、記憶部65をさらに備えている。記憶部65は、不揮発性メモリやハードディスクドライブといった記憶デバイスによって構成されている。記憶部65は、払出制御部61Bに電気的に接続されている。記憶部65は、各収納部12の各収納体33に装填された通い箱5内の賞品Pの種類及び収納枚数(在庫数ともいう)等を収容空間24毎に記憶している。また、記憶部65は、過去の異常履歴や賞品Pの払出履歴等の様々な情報も記憶している。
【0056】
以下では、補充処理、計数識別処理及び繰出払出処理について、この順番に説明する。補充処理の場合には、店員は、表示操作部4を操作することによって、補充処理の対象となる収納部12を1つ選択する。すると、制御部61における払出制御部61Bは、POS制御部61Aからの指示により、選択された収納部12についての引出ロック機構18によるロックを解除することによって、この収納部12の引出位置までの引き出しを許可するとともに、扉ロック機構51による扉13のロックも解除する。
【0057】
次に、店員が、図5に示すように扉13を開位置まで開き、ロックが解除された収納部12の取っ手31Eを掴んで前側Y1に引くと、この収納部12は、図6に示す引出位置まで引き出される(図6の下収納部12Aを参照)。このように、一度に引き出させる収納部12は、1つだけである。
【0058】
引出位置まで引き出された収納部12では、筐体31の上面の扉31Bが、払出ユニット3の筐体11よりも前側Y1、つまり筐体11の外に配置されている。この状態において、店員が、この収納部12の扉31Bを開いて装填口31Aを上側Z1に開放する。扉31Bが開くのに先立って払出制御部61Bが搬送体32を周回移動させ、これにより、図7に示すように、空の状態にある1つの収納体33が、装填口31Aの真下に配置される。空の収納体33とは、通い箱5が装填されていない収納体33、又は、エンプティ若しくはニアエンプティの状態の通い箱5が装填された収納体33を指す。装填口31Aの真下に配置された収納体33は、出入口33Aが上側Z1を向いた装填位置にある。なお、搬送体32が周回移動している収納部12では、繰出機構41が、周回移動中の搬送体32や収納体33に接触しないように、退避位置に配置される(下収納部12Aを参照)。
【0059】
店員は、賞品Pを収容した基本姿勢の状態の通い箱5を、図7の太線矢印で示すように下降させて装填口31Aを通過させ、装填位置にある収納体33の出入口33Aに上側Z1から挿入する。これにより、通い箱5が、装填位置の収納体33に装填され、通い箱5内の賞品Pは、収納部12内に装填される。なお、通い箱5及び収納体33の一方に設けられた位置決めリブ(図示せず)が、他方に設けられた位置決め溝(図示せず)に嵌まり込むことによって、通い箱5と、この通い箱5が装填された収納体33とが互いに位置決めされる。装填位置の収納体33に通い箱5が装填されてから扉31Bが閉じられると、他の空の収納体33が装填位置に配置されるように、払出制御部61Bが搬送体32を周回移動させてもよい。
【0060】
店員が、収納体33に通い箱5を装填した後に扉31Bを閉じて、引出位置の収納部12の取っ手31Eを掴んで収容位置まで戻すと、払出制御部61Bは、この収納部12を、引出ロック機構18によって収容位置にてロックする。これにより、この収納部12についての補充処理が終了する。
【0061】
店員は、各収納部12の前面に設けられた取っ手31Eを操作することによって、収納部12を引出位置まで引き出したり、収容位置まで押し込んだりすることができる。なお、収納部12の移動は、店員の手動によって行われてもよいし、筐体11内に設けられたDCモータやステッピングモータ等の駆動装置により自動的に行われてもよい。
【0062】
計数識別処理の場合、図8における下収納部12A参照して、払出制御部61Bは、搬送体32を周回移動させる。すると、収納部12において、計数識別処理の対象となる収納体33が、検出ユニット37に接近すると、第1姿勢変更機構35により、出入口33Aが後側Y2を向いた後向き姿勢に傾倒する。なお、後向き姿勢の収納体33では、セットされた通い箱5の出入口25からの賞品Pの脱落を防止するために、出入口33Aが真横でなく、僅かに斜め上側を向いている。
【0063】
図8の下収納部12Aでは、後側下端にある収納体33が後向き姿勢にあって、この収納体33の出入口33Aが後側Y2を向いている。また、この収納体33に装填された通い箱5も、出入口25が後側Y2を向いた後向き姿勢にあって、通い箱5内の賞品Pは、上下方向Zに積層された状態で、出入口25から後側Y2へはみ出しており、当該賞品Pの後端面が検出ユニット37側(厳密には斜め上側)を向いている。
【0064】
このように収納体33が上向き姿勢から横向き姿勢に変わって検出ユニット37に接近すると、払出制御部61Bは、搬送体32の周回移動を停止する。このとき、収納部12では、検出ユニット37における検出部38が、後向き姿勢の収納体33に装填された通い箱5の各収容空間24に対して1つずつ左右方向Xにおいて同じ位置にある(図9参照)。この状態において、払出制御部61Bは、検出ユニット37を、例えば下端の待機位置から上昇させる。その際、各検出部38が、当該通い箱5において左右方向Xで同じ位置にある収容空間24に後側Y2から対向しながら上昇する。検出部38は、左右方向Xで同じ位置にある収容空間24に収容されて上下方向Zに積層された状態にある賞品Pを下側Z2から順に1つずつ非接触にて計数及び識別する。
【0065】
カラーセンサである場合の検出部38は、賞品Pに対して光を照射して、その反射光を受けてRGB値に変換して分析し、この分析結果に基づいて、賞品Pを計数したり、賞品Pの真偽や種類を識別したりする。なお、識別情報を記憶したICチップが賞品Pに内蔵されていて、検出部38は、非接触でICチップから識別情報を読み取ることによって、賞品Pの真偽や種類を識別してもよい。そして、待機位置から上昇する検出部38が、後向き姿勢の収納体33に装填された通い箱5の各収容空間24における全ての賞品Pについての計数及び識別が完了して、待機位置まで下降すると、計数識別処理が終了する。
【0066】
計数識別処理は、全ての収納部12において一度に実行されてもよいし、店員による表示操作部4での操作によって選択された所定の収納部12において個別に実行されてもよい。また、計数識別処理は、各収納部12において、全ての収納体33に装填された通い箱5について実行されてもよいし、店員によって指定された収納体33に装填された通い箱5のみについて実行されてもよい。いずれにせよ、払出制御部61Bは、計数識別処理の度に、払出ユニット3内の各収納体33における賞品Pの在庫数を更新する。
【0067】
各収納部12内の各収納体33における賞品Pの在庫データ(賞品Pの種類及び在庫数)は、収納体33毎に割り当てられた識別情報に関連付けてテーブルT(図10参照)にまとめられ、記憶部65に記憶されている。図10のテーブルTには、各収納部12内の各収納体33における賞品Pの在庫数が、収納体33毎の識別情報A~Dのいずれかに関連付けて記憶されている。また、図10において括弧書きによって示すように、各収納体33にセットされた通い箱5において左右方向Xに並ぶ5つの収容空間24のそれぞれにおける賞品Pの在庫数が、各収納体33における賞品Pの在庫数の内訳としてテーブルTに記憶されている。また、各収納部12内における賞品Pの種類毎の在庫数が、小計としてテーブルTに記憶されている。3つの収納部12における賞品Pの種類毎の在庫数、つまり払出ユニット3全体での賞品Pの種類毎の在庫数が、合計としてテーブルTに記憶されている。
【0068】
図11を参照して、繰出払出処理について説明する。繰出払出処理は、通い箱5から移動部54の受取部55上に賞品Pを1枚ずつ繰り出す繰出処理と、繰出処理によって繰り出された移動部54上の賞品Pを払出口13Bから機外へ払い出す払出処理とを含む。
【0069】
遊技客は、カードをカード出入口2Aに挿入したり、前述した計数装置から発行されたレシートをPOSユニット2の読取部64にかざしたりする。すると、POS制御部61Aは、カードに関連付けられた遊技媒体の数等をカード処理部62によって読み取ったり、レシートに記載された遊技媒体の数等を読取部64によって読み取ったりする。その後、遊技客は、表示操作部4を操作することによって、カードに関連付けられた遊技媒体の数、又は、レシートに記載された遊技媒体の数の範囲内において交換可能な賞品Pの種類及び種類毎の個数を選択することができる。POS制御部61Aは、交換対象の賞品Pの種類及び種類毎の個数についての遊技客の選択結果に基づいて、払出対象の賞品Pについての払出情報を生成する。この場合のPOS制御部61Aは、払出情報を生成する生成部の一例として機能する。払出情報は、払出対象の賞品Pを特定する特定情報と、払出対象の賞品Pの個数についての個数情報とを含む。特定情報は、厳密には、賞品Pの種類を特定する。
【0070】
POS制御部61Aが、払出情報を含む払出要求を払出制御部61Bに送信すると、払出制御部61Bは、まず、繰出処理を行う。具体的には、下収納部12Aを参照して、払出制御部61Bは、搬送体32を周回移動させる。これにより、繰出処理の対象となる収納体33が、払出機構53の移動部54に接近すると、第2姿勢変更機構36により、出入口33Aが前側Y1を向いた前向き姿勢に傾倒する。なお、前向き姿勢の収納体33では、セットされた通い箱5の出入口25からの賞品Pの脱落を防止するために、出入口33Aが真横でなく、僅かに斜め上側を向いている。
【0071】
図11の下収納部12Aでは、前側下端にある収納体33が前向き姿勢にあって、この収納体33の出入口33Aが前側Y1を向いている。また、この収納体33に装填された通い箱5も、出入口25が前側Y1を向いた前向き姿勢にあって、通い箱5内の賞品Pは、上下方向Zに積層された状態で、出入口25から前側Y1へはみ出しており、当該賞品Pの前端面が扉13側(厳密には斜め上側)を向いている。
【0072】
図11に示すように、前向き姿勢の収納体33に装填された通い箱5内における最下位の賞品Pが、繰出位置にある繰出機構41における繰出部42の繰出ベルト43の平坦部43Bとほぼ同じ高さ位置になると、払出制御部61Bは、搬送体32の周回移動を停止する。このとき、繰出位置にある繰出部42が、この通い箱5の真下に配置される。
【0073】
次いで、払出制御部61Bは、待機位置から移動部54を上昇させて移動部54の上面を繰出ベルト43の平坦部43Bとほぼ同じ高さ位置に配置した後に、繰出部42における繰出ベルト43を周回移動させて繰出ローラ45を回転させる。このとき、繰出機構41では、右側面視において繰出ベルト43が反時計回りに周回移動して繰出ローラ45が反時計回りに回転する。周回移動する繰出ベルト43に設けられた押出片43Aが、繰出ベルト43の平坦部43Bにおいて前側Y1へ水平移動する。その際、押出片43Aが、前向き姿勢の収納体33に装填された通い箱5の開口部26(図2参照)に進入して、当該通い箱5の収容空間24内の最下位の賞品Pを引っ掛けて前側Y1へ押し出す。このように、繰出位置にある繰出部42は、前向き姿勢にある1つの収納体33から賞品Pを繰り出す。
【0074】
前側Y1へ繰り出された賞品Pは、駆動回転される繰出ローラ45に接触することによって繰出ローラ45と対向ローラ46との間を通って移動部54側へ押し出され、移動部54において左右方向Xで同じ位置にある1つの受取部55上に載る。そして、繰出ベルト43の周回移動と繰出ローラ45の回転が繰り返されることによって、前向き姿勢の収納体33に装填された通い箱5において各繰出部42の真上に位置する収容空間24内の賞品Pが、下側Z2の賞品Pから順に1つずつ繰り出されて、受取部55上に集積される。
【0075】
なお、繰り出された賞品Pが受取部55において上側Z1に集積されるように、賞品Pの繰り出しの度に、払出制御部61Bは、移動部54を待機位置から徐々に下降させる。また、払出制御部61Bは、搬送体32を僅かに周回移動させることによって、前向き姿勢の収納体33を一時上昇させ、その間に繰出部42を左右方向Xに移動させる。その後、払出制御部61Bは、搬送体32を逆向きに周回移動させることによって収納体33を元の位置まで下降させれば、先ほど賞品Pを繰り出した元の収容空間24とは別の収容空間24の賞品Pを繰出部42によって繰り出すことができる。この場合、当該別の収容空間24から繰り出された賞品Pは、移動部54において先ほどの受取部55とは別の受取部55に集積される。
【0076】
今まで横向き姿勢にあった収納体33(図11の下収納部12Aを参照)にセットされた通い箱5における全ての収容空間24が空になると、払出制御部61Bは、別の収納部12、例えば中収納部12Bの繰出機構41の繰出部42まで移動部54を上昇させてもよい。中収納部12Bでは、繰出機構41が繰出位置にあり、1つの収納体33が繰出部42上において前向き姿勢にあって、この収納体33にセットされた通い箱5からの賞品Pの繰り出しが可能である。そのため、払出制御部61Bは、この収納体33にセットされた通い箱5から移動部54上に賞品Pを繰り出す。
【0077】
払出制御部61Bは、このように下収納部12Aから移動部54を移動させて中収納部12Bから賞品Pを繰り出す際において、下収納部12Aでの繰出準備として、下収納部12Aの繰出機構41を一旦退避位置まで回動させてから搬送体32を周回移動させ、別の通い箱5が装填された収納体33を前向き姿勢にする。その後、払出制御部61Bは、下収納部12Aの繰出機構41を繰出位置に戻すとともに、中収納部12Bからの賞品Pが繰り出された移動部54を下降させる。そして、払出制御部61Bは、下収納部12Aにおいて前向き姿勢にある収納体33にセットされた通い箱5から移動部54上に賞品Pを繰り出す。このように1つの収納部12(今回の説明では下収納部12A)において搬送体32の周回移動を挟んで複数の収納体33から賞品Pを繰り出すことを、「ロータリー跨ぎ」という。
【0078】
必要数の賞品Pが移動部54上に繰り出されると、繰出処理が完了する。すると、払出制御部61Bは、払出処理を開始する。具体的には、払出制御部61Bは、シャッタ52を、図12に示す開位置までスライドさせる。これにより、扉13の上面13Aの払出口13Bが上側Z1へ開放される。そして、払出制御部61Bは、移動部54を、図12に示す払出位置まで上昇させる。移動部54は、払出位置まで上昇することによって払出口13Bまで移動する。つまり、移動部54は、複数の収納部12の繰出部42のそれぞれから順に賞品Pを受け取ってから、払出口13Bまで上昇する。これにより、移動部54の各移動部54上に繰り出された賞品Pが、払出口13Bに払い出されて、払出口13Bから機外に露出される。このように、移動部54及び払出制御部61Bは、収納部12内の賞品Pを払出口13Bに払い出す払出部の一例として機能する。シャッタ52や繰出機構41等も払出部の一部とみなしてもよい。
【0079】
そして、遊技客が払出口13Bにおける移動部54上の賞品Pを直接受け取ると、払出制御部61Bは、移動部54を待機位置まで下降させ、今まで開位置にあったシャッタ52を閉位置までスライドさせる。これにより、払出処理が終了し、一連の繰出払出処理が完了する。なお、以下では、繰出払出処理に関する一連の処理を「取引処理」という。繰出払出処理は、取引処理の一部である。
【0080】
図13は、取引処理を示すフローチャートである。以下には、取引処理、つまり、賞品払出装置1における賞品払出方法について詳しく説明する。図13には、取引処理に関してPOSユニット2及び払出ユニット3のそれぞれが並行して実行する処理がまとめて示されている。また、図13における破線の矢印は、POSユニット2と払出ユニット3との間における情報の送受信を示している。これらのことは、図14のフローチャートにも当てはまる。
【0081】
待機状態の賞品払出装置1では、POS制御部61Aが、遊技客のカード又はレシート等からの遊技媒体の数等の読み取りを待機している(ステップS1)。前述したように遊技客がカードをカード出入口2Aに挿入したりレシート等を読取部64にかざしたりすることによってPOS制御部61Aが遊技媒体の数等を読み取ると(ステップS1にてYES)、POS制御部61Aは、遊技客による賞品の選択を待機する(ステップS2)。遊技客が表示操作部4を操作することによって賞品を選択すると(ステップS2にてYES)、POS制御部61Aは、前述したように払出対象の賞品Pについての払出情報を生成して(賞品払出方法における生成ステップ)、この払出情報を含む払出要求を払出制御部61Bに送信する(ステップS3)。
【0082】
払出制御部61Bは、POS制御部61Aからの払出要求を受信することによって、払出要求に含まれる払出情報を受け付ける。すると(ステップS4にてYES)、払出制御部61Bは、テーブルT(図10参照)における種類毎の賞品Pの在庫数(全ての収納部12における在庫数の合計)と払出情報とを参照して、賞品Pが足りるか否かを確認する(ステップS5)。つまり、払出制御部61Bは、確認部の一例として機能することにより、払出情報を受け付けて、全ての収納部12内における払出対象の在庫を払出情報に基づいて確認する(賞品払出方法における確認ステップ)。
【0083】
具体的には、払出制御部61Bは、払出情報の個数情報に含まれる払出対象の個数つまり必要数と、テーブルTにおける賞品Pの在庫数とを賞品Pの種類毎に比較する。そして、払出対象に係る全ての種類のそれぞれについて賞品Pの在庫数が必要数以上であれば、払出制御部61Bは、賞品Pが足りると判断する。一方、1種類でも賞品Pの在庫数が必要数を下回る場合には、払出制御部61Bは、賞品Pが不足していると判断する。例えば、大賞品20枚、中賞品15枚及び小賞品12枚が必要数である払出要求の場合、図10のテーブルTの在庫状況では、小賞品が2枚不足しているので、このまま繰出払出処理が開始されても、途中で小賞品が無くなってしまうことにより、払出対象の賞品Pを全て払い出すことができない。賞品Pが不足している場合には(ステップS5にてNO)、払出制御部61Bは、その旨をPOS制御部61Aに通知する(ステップS6)。
【0084】
前述したように、払出要求に含まれる払出情報は、払出対象の賞品Pの種類についての特定情報と、払出対象の賞品Pの個数についての個数情報とを含む。POS制御部61Aは、ステップS3において、払出要求として特定情報及び個数情報の両方を一緒に送信してもよいし、特定情報を先に送信してから個数情報を送信することによって払出要求を2段階に分けて送信してもよい。
【0085】
払出要求を2段階に分けて送信する場合には、遊技客が表示操作部4を操作して賞品Pの種類を選択すると、POS制御部61Aは、特定情報を速やかに払出制御部61Bに送信する(ステップS3)。払出制御部61Bは、払出情報の一部である特定情報を受け付けると(ステップS4にてYES)、全ての収納部12内における払出対象の在庫の確認を速やかに開始する(ステップS5)。特定情報における種類の賞品Pの在庫数が零であれば、払出制御部61Bは、この種類の賞品Pが不足していると判断して、その旨を速やかに通知する(ステップS6)。このように、賞品Pが足りるか否かが速やかに判明するので、賞品Pが不足する場合には速やかに通知できる。そのため、遊技客は、賞品Pの種類の選択後に表示操作部4を操作して賞品Pの個数を選択する前のタイミングに、この種類の賞品Pの不足を把握することができる。
【0086】
各収納部12において繰出機構41の対向ローラ46の付近には、各収容空間24における賞品Pの有無を検出するエンプティセンサ66(図3の下収納部12A及び図4にのみ図示)が設けられてもよい。払出制御部61Bは、エンプティセンサ66の検出結果に基づいて、各収容空間24における賞品Pの有無を把握できるものの、賞品Pが存在する収容空間24における賞品Pの実際の在庫数をエンプティセンサ66の検出結果から把握することはできない。
【0087】
払出要求における同じ種類について賞品Pの個数が、通い箱5における1つの収容空間24での賞品Pの最大収容可能数(賞品Pの厚みに応じて異なり、本実施形態では20枚)を上回る場合、つまり、2つ以上の収容空間24から賞品Pを払い出す必要がある場合が想定される。この場合において、この種類の賞品Pが存在する収容空間24が賞品払出装置1の全体において1つしか存在しないと、払出制御部61Bは、この種類の賞品Pが不足していると判断して(ステップS5にてNO)、その旨を速やかに通知してもよい(ステップS6)。このような構成であれば、検出ユニット37が省略されても、払出制御部61Bは、ステップS5において、賞品Pの過不足を簡易的に確認することができる。
【0088】
POS制御部61Aは、賞品Pが不足している旨の通知を受けたことに応じて(ステップS7にてYES)、不足している賞品Pの補充を催促する(ステップS8)。具体的には、POS制御部61Aは、賞品Pが不足しているので賞品Pの払い出しを開始できない旨と、賞品Pの払い出しを開始するには賞品Pの補充が必要である旨とを表示操作部4に表示する。その際、POS制御部61Aは、賞品払出装置1をエラーダウンさせてもよく、ブザー等によって賞品Pの補充を店員に催促してもよい。別の例として、POS制御部61Aは、店員が携帯するインカム(無線機)への通知によって、賞品Pの補充を店員に催促してもよい。もちろん、表示操作部4の表示内容を見た遊技客が、店員を呼びに行って賞品Pの補充を依頼してもよい。
【0089】
このように、ステップS5での払出制御部61Bの確認結果が所定条件(収納部12内において払出対象の賞品Pが足りること)を満たさない場合に、POS制御部61Aは、払出対象の払い出し開始に先立って収納部12への賞品Pの補充が必要であることを、遊技客や店員等の使用者に通知する(ステップS8:賞品払出方法における通知ステップ)。この場合のPOS制御部61Aは、通知部の一例として機能する。ここでの通知を以下では「補充要請通知」ということがある。
【0090】
収納部12への賞品Pの補充が必要であることをPOS制御部61Aが通知した後に、払出制御部61Bが補充処理を実行することによって賞品Pが足りる状態になると(ステップS9にてYES)、払出制御部61Bは、賞品Pの補充が完了した旨をPOS制御部61Aに通知する(ステップS10)。POS制御部61Aは、このような補充完了通知を受けたことに応じて(ステップS11にてYES)、賞品Pの補充の催促を中止して賞品払出装置1のエラーダウンを解除して、賞品Pが払い出し中である旨等を表示操作部4に表示する(ステップS12)。なお、賞品Pが不足していることの通知がなかった場合には(ステップS7にてNO)、POS制御部61Aは、ステップS12の表示を実行する。
【0091】
そして、収納部12への賞品Pの補充が完了した旨をPOS制御部61Aに通知した払出制御部61Bは、当初の払出要求に応じた繰出払出処理を実行する(ステップS13)。そのため、遊技客は、補充要請通知の開始後も、この賞品払出装置1の前で待機していれば、賞品Pの補充後の繰出払出処理によって、この賞品払出装置1から払出対象を全て払い出してもらうことができる。
【0092】
一方、賞品Pが足りている場合には(ステップS5にてYES)、払出制御部61Bは、速やかに繰出払出処理を実行する(ステップS13)。つまり、ステップS5(確認ステップ)での払出制御部61Bの確認結果が前記所定条件を満たす場合に、払出制御部61Bは、ステップS13の繰出払出処理によって、払出対象を払出口13Dに払い出す(賞品払出方法における払出ステップ)。そして、繰出払出処理における払出処理が無事完了すると、払出制御部61Bは、完了報告をPOS制御部61Aに通知する。POS制御部61Aが完了報告を受信すると(ステップS14)、所定時間の経過に応じてPOS制御部61Aが表示操作部4の表示をステップS12の表示から待機画面(図示せず)に戻して正常待機すること(ステップS15)によって今回の取引が終了し、賞品払出装置1が待機状態に戻る。
【0093】
このように、ステップS5での払出制御部61Bの確認結果が所定条件を満たす場合、換言すれば収納部12への賞品Pの補充が不要な場合にだけ、賞品払出装置1において賞品Pの繰出払出処理が開始されるので、賞品払出装置1は、払出対象を全て払い出すことができる。逆に、繰出払出処理の途中に賞品Pが足りなくなることが想定される場合には(ステップS5にてNO)、賞品Pの補充が優先されて、賞品Pの補充後に賞品払出装置1において繰出払出処理が実行される。つまり、賞品払出装置1は、賞品Pの在庫が中途半端な状態において繰出払出処理を実行せずに、払出要求の賞品Pを全て払い出せる状態にある場合にだけ、繰出払出処理を実行する。
【0094】
この構成であれば、払出制御部61Bの確認結果が所定条件を満たさない(つまり、払出対象の賞品Pが不足している)にもかかわらず賞品払出装置1において賞品Pの払い出しが開始されたものの、途中で賞品Pが無くなることによって払い出しが中断するような不具合を予防できる。特に、セルフ運用の場合において、遊技客が未払い分の賞品Pを残したまま賞品払出装置1から立ち去ってしまうような不具合を防止できる。そのため、このような不具合に対処するための店員の負担を軽減できるので、賞品払出装置1での賞品Pの払い出しに関して使い勝手の向上を図れる。また、賞品Pの補充が催促されることにより、賞品払出装置1において賞品Pが不足した状態が放置されにくいので、賞品払出装置1が運用可能な状態を長時間維持することができる。なお、前述した所定条件として、収納部12内の払出対象の賞品Pが足りること以外の条件を用いてもよい。例えば、単に賞品Pが足りるだけでなく、遊技店の運用等に応じた様々な条件が付加されてもよい。
【0095】
前述したように複数の賞品払出装置1が通信可能に接続された構成において、払出要求の賞品Pが足らないことが判明した賞品払出装置1(「第1の賞品払出装置1A」という。)の制御部61が、例えばステップS6のタイミング等において、他の賞品払出装置1(「第2の賞品払出装置1B」という。)に払出要求を転送してもよい。つまり、第1の賞品払出装置1Aについての前記確認結果が前記所定条件を満たさない場合に、第1の賞品払出装置1Aの制御部61、厳密にはPOS制御部61Aは、要求部の一例として機能することによって、払出対象の払い出しを第2の賞品払出装置1Bに要求する。
【0096】
具体的に、POS制御部61Aは、第1の賞品払出装置1Aの賞品Pが不足している旨と、第2の賞品払出装置1Bが代理として賞品Pを払い出す旨とを表示操作部4等によって遊技客に報知する。その際、POS制御部61Aは、第2の賞品払出装置1Bについての案内情報も報知してもよい。この場合、当初は第1の賞品払出装置1Aからの払出対象の払い出しを待っていた遊技客は、第1の賞品払出装置1Aでの賞品Pの補充を待つことなく、第2の賞品払出装置1Bから払出対象を速やかに払い出してもらうことができる。
【0097】
払出要求が転送された第2の賞品払出装置1Bでは、ステップS1以降の処理が実行され、払出対象の賞品Pが1枚目から払い出される。なお、全ての賞品払出装置1における賞品Pの在庫データが、上位装置である管理装置101(図16参照)において一括管理されてもよく、その場合、賞品Pが足りている第2の賞品払出装置1Bが管理装置101によって特定されて、第1の賞品払出装置1Aは、この第2の賞品払出装置1Bに払出要求を転送してもよい。これにより、払出要求が転送された第2の賞品払出装置1Bでも賞品Pが不足していることによって遊技客を長時間待たせるような不具合を防止できる。
【0098】
ただし、賞品Pが足らない場合であっても、変形例として、賞品払出装置1に存在する分の賞品Pを払い出してもよい。図14は、変形例に係る取引処理を示すフローチャートである。変形例に関し、払出ユニット3内の賞品Pの在庫に関するテーブルTは、POSユニット2に設けられた記憶部67(図4参照)に記憶されてもよい。前述したように遊技客がカードをカード出入口2Aに挿入したりレシート等を読取部64にかざしたりすることによってPOS制御部61Aが遊技媒体の数等を読み取ると(ステップS21にてYES)、POS制御部61Aは、遊技客による賞品の選択を待機する(ステップS22)。
【0099】
遊技客が表示操作部4を操作することによって賞品を選択すると(ステップS22にてYES)、POS制御部61Aは、前述したように払出情報を生成した後に、テーブルTにおける賞品Pの在庫数を参照して、賞品Pが足りるか否かを確認する(ステップS23)。具体的には、POS制御部61Aは、払出情報に含まれる払出対象の賞品Pの必要数と、テーブルTにおける賞品Pの在庫数とを賞品Pの種類毎に比較する。そして、払出対象に係る全ての種類のそれぞれについて賞品Pの在庫数が必要数以上であれば、POS制御部61Aは、賞品Pが足りると判断する。一方、1種類でも賞品Pの在庫数が必要数を下回る場合には、POS制御部61Aは、賞品Pが不足していると判断する。
【0100】
賞品Pが不足する場合には(ステップS23にてNO)、POS制御部61Aは、ニアエンプティというフラグを記憶部67にセットして(ステップS24)、確認メッセージを表示操作部4に表示する(ステップS25)。確認メッセージの一例は、賞品Pが足らない旨と、現時点において存在する賞品Pと交換できる遊技媒体の数(または、交換できる賞品Pの数)についての情報とを含む。ここでの遊技媒体の数は、賞品Pの在庫に応じて変動する値であり、POS制御部61Aによる演算によって求められる。確認メッセージは、賞品Pの払い出しを続行するか否かを尋ねる旨を含んでもよい。
【0101】
確認メッセージを見た遊技客が表示操作部4を操作することによって、賞品Pの払い出しの続行を選択すると(ステップS26にてYES)、POS制御部61Aは、払出情報を更新して、更新後の払出情報に基づいた払出要求を払出制御部61Bに送信する(ステップS27)。更新後の払出情報は、賞品払出装置1における現在の在庫状況から払出可能な賞品Pの種類についての特定情報と、払出可能な賞品Pの個数についての個数情報とを含む。
【0102】
払出制御部61Bは、払出要求を受信すると(ステップS28にてYES)、この払出要求に応じた繰出払出処理を実行する(ステップS29)。これにより、遊技客が当初要望した数よりも少ないものの、賞品払出装置1に存在する分の賞品Pが払い出される。このように遊技媒体と賞品Pとを可能な限り交換できるので、遊技客にとっては満足感が得られる。また、払い出された賞品Pの在庫数がちょうど零になるので、遊技店の店員にとっては、その後の賞品Pの補充がしやすい。補充処理が実行されると、POS制御部61Aは、記憶部67にセットされたニアエンプティのフラグを解除つまり消去する。なお、このようなフラグの設定の有効又は無効は、任意に選択できる。
【0103】
一方、賞品Pが足りる場合において取引が続行されると(ステップS23及びS26にてYES)、POS制御部61Aは、当初の払出情報に基づいた払出要求を払出制御部61Bに送信するので(ステップS27)、遊技客が当初要望した数の賞品Pが払い出される(ステップS29)。繰出払出処理における払出処理が無事完了すると、払出制御部61Bは、完了報告をPOS制御部61Aに通知する。POS制御部61Aが完了報告を受信すると(ステップS30)、今回の取引が終了し、賞品払出装置1が待機状態に戻る。なお、遊技客が表示操作部4を操作することによって、賞品Pの払い出しのキャンセルを選択すると(ステップS26にてNO)、POS制御部61Aは、キャンセル処理としてカードをカード出入口2Aから遊技客に返却して(ステップS31)、賞品払出装置1を待機状態に戻す。
【0104】
遊技店の運用として、賞品Pが足りない場合には(ステップS23にてNO)、POS制御部61Aは、フラグをセットした後に(ステップS24)、賞品Pの不足により取引ができない旨の確認メッセージを表示してもよい(ステップS25)。この場合、POS制御部61Aは、その後、賞品Pの払い出しの続行を遊技客に選択させることなく、キャンセル処理(ステップS31)を実行して賞品払出装置1を待機状態に戻す。このような運用だと、遊技客にとっては、諦めがつくので納得感が得られる。また、遊技店の店員にとっては、払い出し途中に賞品Pが無くなってしまうことによる復旧作業から解放される。この場合、賞品払出装置1(前述した第1の賞品払出装置1A)のPOS制御部61Aは、他の賞品払出装置1(前述した第2の賞品払出装置1B)に払出要求を転送して、第2の賞品払出装置1Bが代理として賞品Pを払い出してもよい。その場合の第1の賞品払出装置1AのPOS制御部61Aは、第1の賞品払出装置1Aの賞品Pが不足しているので第2の賞品払出装置1Bが代理として賞品Pを払い出す旨と、第2の賞品払出装置1Bについての案内情報とを、ステップS25での確認メッセージ等によって遊技客に報知する。
【0105】
補充処理のために店員が扉13を開位置まで回動すると、払出ユニット3では、上下方向Zに並ぶ3つ全ての収納部12が、筐体11の開口11Aから露出される(図5参照)。このとき、全ての収納部12についての引出ロック機構18によるロックが解除されてもよい。ただし、この構成であれば、店員は、賞品Pの補充先とは別の収納部12を間違って引き出してしまう場合が想定される。間違いに気付いた店員は、当該別の収納部12をそのまま収容位置に戻して、補充先の収納部12を引き出して賞品Pを補充した後に、当該補充先の収納部12を収容位置に戻す。この場合、払出制御部61Bは、補充先の収納部12にだけ計数識別処理をするのでなく、間違えて引き出された収納部12についても計数識別処理をする。
【0106】
このように扉13を開くと全ての収納部12にアクセス可能な構成において、収納部12が間違えて引き出されても、その収納部12における賞品Pの在庫数が再計数によって適切に管理される。そのため、収納部12を間違えて引き出した店員が不正を疑われる不具合を防止できる。また、引き出された収納部12だけが計数識別処理が実行されるので、他を含む全ての収納部12について計数識別処理が毎回実行される場合と比べて、賞品払出装置1が待機状態に復帰するまでの時間短縮と、経年劣化の抑制とを図ることができる。さらに、収納部12が間違えて引き出されないようにするための構成、例えば権限者による遠隔での許可操作のための構成を搭載しなくても済むので、コストアップを抑制できるし、店員は、目的の収納部12に円滑にアクセスすることができる。
【0107】
図15に示す変形例に係る賞品払出システム100は、賞品払出装置1と、遊技客のカードに関連付けられたプリペイド価値を現金精算するための精算機71とをさらに含む。精算機71の前面には、遊技客によってカードが出し入れされるカード出入口71Aと、紙幣の精算金が出金される紙幣出金口71Bと、硬貨の精算金が出金される硬貨出金口71Cとが設けられている。精算機71には、現金を収納した収納部72が内蔵されていて、店員は、精算機71の前面に設けられた扉73を開いて収納部72にアクセスすることができる。賞品払出装置1と精算機71とは、図15に示すように一体化されてもよいし、離れて配置されてもよい。
【0108】
賞品払出装置1の扉13の開閉と、精算機71の扉73の開閉とが連動していてもよく、その場合、扉13及び扉73の一方を開くときに他方も一緒に開くことができるので、店員は、賞品払出装置1の全ての収納部12だけでなく、精算機71の収納部72にもアクセスできる。この構成において、収納部72に現金を補充するつもりである店員が間違って収納部12を引き出してしまった場合にも、払出制御部61Bは、間違えて引き出された収納部12について計数識別処理をしてもよい。なお、賞品払出装置1と精算機71とが離れて配置される場合には、店員が収納部12にアクセスしているときに別の者が精算機71内に不正アクセスできないように、例えば遊技店の営業時間外でなければ扉13及び扉7が一緒に開けないように構成されるとよい。
【0109】
図16に示す変形例に係る賞品払出システム100は、POSユニット2と払出ユニット3とが一体化された賞品払出装置1の他に、前述した管理装置101と、POSユニット2に相当するPOS端末102と、払出ユニット3に相当する賞品払出装置103と、一般賞品を払い出す自動販売機104とを含む。POS端末102は、例えばタブレット端末によって構成され、カウンター105上に設置されている。賞品払出装置103は、POS端末102の近く、例えばカウンター105に並んで配置されている。自動販売機104は、カウンター105の近くに配置されている。自動販売機104の前面には、前述した表示操作部4と同様の表示操作部106と、前述した読取部64と同様の読取部107とが設けられている。また、自動販売機104の前面には、カード出入口104Aと、一般賞品の取出口104Bとが設けられている。
【0110】
賞品払出システム100では、賞品払出装置1と管理装置101とPOS端末102と賞品払出装置103と自動販売機104とが、無線又は有線の通信ネットワークNを介して通信可能に接続されている。カウンター105には店員が待機していて、遊技客からの注文に応じて、必要に応じてPOS端末102を操作する。これにより、前述した払出要求がPOS端末102から賞品払出装置103に送信されるので、賞品払出装置103が繰出払出処理を実行する。遊技客が賞品払出装置103から払い出された賞品Pを直接受け取ってもよいし、店員が賞品払出装置103から払い出された賞品Pを一旦受け取った後に遊技客に手渡ししてもよい。
【0111】
遊技客は、特殊賞品である賞品Pと交換しきれない端数分の遊技媒体を一般賞品と交換することができ、そのための手続きを賞品払出装置1のPOSユニット2やPOS端末102によって実行することができる。具体的には、遊技客は、POSユニット2の表示操作部4を操作することによって、一般賞品の種類及び個数を指定することができる。または、遊技客が一般賞品の種類及び個数をカウンター105にて店員に伝えると、店員がPOS端末102の表示操作部108を操作することによって、遊技客の代りに、一般賞品の種類及び個数を指定してもよい。すると、POSユニット2やPOS端末102からは、特定された一般賞品の種類及び個数についての情報が記載されたレシートが、遊技客に発行される。
【0112】
遊技客は、このレシートを持って自動販売機104まで行き、必要に応じて表示操作部106を操作したうえで、レシートを読取部107に読み取らせる。または、一般賞品の種類及び個数についての情報は、前述した通信端末やカードに記録されてもよく、その場合には、遊技客は、通信端末を読取部107にかざしたり、カードをカード出入口104Aに挿入したりする。このような操作に応じて、遊技客が指定する一般賞品が自動販売機104内から取出口104Bに投出されるので、遊技客は、所望の一般賞品を取出口104Bから受け取ることができる。
【0113】
自動販売機104における種類毎の一般賞品の在庫データは、例えば管理装置101において管理されている。自動販売機104において一般賞品の在庫が無くなると、管理装置101は、在庫が無くなった種類の一般賞品については交換ができない旨を賞品払出装置1及びPOS端末102に対して通知する。これにより、遊技客は、この一般賞品と遊技媒体と交換する手続きを賞品払出装置1のPOSユニット2やPOS端末102にて実施できなくなる。
【0114】
また、遊技客が賞品交換を望むことにより混雑する時間帯(夕方や、遊技店の閉店直前等)において、遊技客がセルフタイプの賞品払出装置1にて一般賞品を選択するのに手間取ると、混雑が長引くおそれがある。そこで、混雑解消のため、このような時間帯になると、例えば、管理装置101が、一般賞品については交換ができない旨を賞品払出装置1に対して通知することにより、当該時間帯に限って賞品払出装置1のPOSユニット2にて一般賞品の選択ができなくなってもよい。なお、管理装置101による通知は、事前の時間設定によって実行されてもよいし、例えば遊技店内を撮影するカメラ(図示せず)の撮影内容に基づいて管理装置101が混雑状況を自動判別して、その判別結果に基づいて管理装置101による通知が実行されてもよい。
【0115】
例えば、店員が待機しているカウンター105では、その周辺の賞品払出装置1では一般賞品の選択が制限されるものの、POS端末102では、引き続き一般賞品の選択が可能である。一方、周辺に店員が存在しない無人エリアに複数の賞品払出装置1が設置された場合には、ほとんどの賞品払出装置1では一般賞品の選択が制限されるものの、残りの一部の賞品払出装置1では一般賞品の選択が引き続き可能であってもよい。
【0116】
この発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項に記載の範囲内において種々の変更が可能である。また、以上に説明した様々な特徴は、適宜組み合わせることができる。
【0117】
例えば、前述した払出対象の在庫を確認する確認部の一例は、払出制御部61Bであったが、管理装置101が確認部として機能してもよい。また、収納部12への賞品Pの補充が必要であることを通知する通知部の一例は、POS制御部61Aであったが、払出制御部61Bや管理装置101が通知部として機能してもよい。同様に、払出対象の払い出しを第2の賞品払出装置1Bに要求する要求部の一例は、POS制御部61A、払出制御部61B及び管理装置101の少なくともいずれかであってもよい。
【符号の説明】
【0118】
1 賞品払出装置
1A 第1の賞品払出装置
1B 第2の賞品払出装置
12 収納部
13B 払出口
54 移動部
61 制御部
61A POS制御部
61B 払出制御部
100 賞品払出システム
101 管理装置
P 賞品
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