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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155010
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】車両用外界検知センサの取付部構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20221005BHJP
【FI】
B60R11/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021058316
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】桑波田 修平
(72)【発明者】
【氏名】栗田 誠
(72)【発明者】
【氏名】石塚 栄治
【テーマコード(参考)】
3D020
【Fターム(参考)】
3D020BA20
3D020BB01
3D020BC04
3D020BD02
3D020BD05
(57)【要約】
【課題】各部の誤差を吸収してセンサカバーをセンサブラケットとコンソールブラケットとに組み付けることができ、かつ、センサカバーの車幅方向の撓みを無くした状態でセンサカバーの後縁部をオーバーヘッドコンソールの前縁部と整合させることができる車両用外界検知センサの取付部構造を提供する。
【解決手段】センサカバーの前部は、センサカバーの車両前後方向、及び、車幅方向の変位と、車幅方向に沿う軸周りの回動を許容した状態で車両上下方向の変位を規制する前側係止部を介してセンサブラケットに係止される。センサカバーの後部は、センサカバーの車幅方向の変位を許容した状態で車両上下方向と車両前後方向の変位を規制する後側係止部を介してコンソールブラケット11に係止される。センサカバーの後部は、後側ばね部によって車幅方向に付勢されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロントガラスを通して車外の情報を検知する外界検知センサと、
前記フロントガラスの車内側面に取り付けられ、前記外界検知センサを保持するセンサブラケットと、
車室内の天井部の前部に取り付けられるコンソールブラケットと、
車室内の前記天井部にて前記コンソールブラケットに支持されるオーバーヘッドコンソールと、
前記外界検知センサと前記センサブラケットを車室内側から覆い、前部側が前記センサブラケットに係止されるとともに、後縁部が前記オーバーヘッドコンソールの前縁部と整合するように前記コンソールブラケットに係止されるセンサカバーと、を備え、
前記センサカバーの前部は、当該センサカバーの車両前後方向、及び、車幅方向の変位と、車幅方向に沿う軸周りの回動を許容した状態で車両上下方向の変位を規制する前側係止部を介して前記センサブラケットに係止され、
前記センサカバーの後部は、当該センサカバーの車幅方向の変位を許容した状態で車両上下方向と車両前後方向の変位を規制する後側係止部を介して前記コンソールブラケットに係止されるとともに、後側ばね部によって車幅方向に付勢されていることを特徴とする車両用外界検知センサの取付部構造。
【請求項2】
前記センサカバーの前部は、前側ばね部によって車幅方向に付勢されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用外界検知センサの取付部構造。
【請求項3】
前記フロントガラスの車内側面には、ルームミラーを支持するミラーベースが取り付けられ、
前記センサカバーは、前記ミラーベースの基部を覆うとともに、前記ミラーベースのミラー支持部が挿通される貫通孔を備えていることを特徴とする請求項1に記載の車両用外界検知センサの取付部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用外界検知センサの取付部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、カメラや赤外線レーダー、超音波センサー、LIDER等の外界検知センサを搭載した車両が増加している。車両における外界検知センサの搭載部位は様々であるが、外界検知センサがフロントガラスの車内側の上部に搭載されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の車両では、フロントガラスの車内側の上部にセンサブラケットが接着によって固定され、そのセンサブラケットに外界検知センサ(カメラ)が取り付けられている。センサブラケットの車内側は樹脂製のセンサカバーによって覆われている。車室内の天井部の前部には、室内照明スイッチ等を装備したオーバーヘッドコンソールがコンソールブラケットを介して支持されている。センサカバーは、前部側が前側係止部によってセンサブラケットに係止されるとともに、後部側が後側係止部によってコンソールブラケットの前縁部に係止されている。
【0004】
前側係止部は、センサカバーの前部の車両前後方向と車幅方向の変位と、車幅方向に沿う軸周りの回動変位を許容し、かつ、センサカバーの前部の車両上下方向の変位を規制した状態でセンサカバーの前部をセンサブラケットに係止する。また、後側係止部は、センサカバーの後部のすべての方向の変位を規制した状態でセンサカバーの後部をコンソールブラケットに係止する。特許文献1に記載の外界検知センサの取付部構造は、前側係止部と後側係止部の機能により、フロントガラスとコンソールブラケットの組付け誤差や各部品の製造誤差等を吸収しつつセンサカバーを取り付けることができ、かつ、センサカバーの後縁部をオーバーヘッドコンソールの前縁部と整合させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第8770644号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の外界検知センサの取付部構造は、センサカバーの後部が後側係止部によってすべての方向の変位を規制した状態でコンソールブラケットに係止される。このため、例えば、センサカバーが車両前後方向に長尺である場合等には、センサカバーの後部をコンソールブラケットに取り付けたときにセンサカバーに車幅方向の撓みが生じることが懸念される。
【0007】
そこで本発明は、各部の誤差を吸収してセンサカバーをセンサブラケットとコンソールブラケットとに組み付けることができ、かつ、センサカバーの車幅方向の撓みを無くした状態でセンサカバーの後縁部をオーバーヘッドコンソールの前縁部と整合させることができる車両用外界検知センサの取付部構造を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る車両用外界検知センサの取付部構造は、上記課題を解決するために、以下の構成を採用した。
即ち、本発明に係る車両用外界検知センサの取付部構造は、車両のフロントガラス(例えば、実施形態のフロントガラス2)を通して車外の情報を検知する外界検知センサ(例えば、実施形態のカメラ7)と、前記フロントガラスの車内側面に取り付けられ、前記外界検知センサを保持するセンサブラケット(例えば、実施形態のカメラブラケット6)と、車室内の天井部の前部に取り付けられるコンソールブラケット(例えば、実施形態のコンソールブラケット11)と、車室内の前記天井部にて前記コンソールブラケットに支持されるオーバーヘッドコンソール(例えば、実施形態のオーバーヘッドコンソール3)と、前記外界検知センサと前記センサブラケットを車室内側から覆い、前部側が前記センサブラケットに係止されるとともに、後縁部が前記オーバーヘッドコンソールの前縁部と整合するように前記コンソールブラケットに係止されるセンサカバー(例えば、実施形態のカメラカバー12)と、を備え、前記センサカバーの前部は、当該センサカバーの車両前後方向、及び、車幅方向の変位と、車幅方向に沿う軸周りの回動を許容した状態で車両上下方向の変位を規制する前側係止部(例えば、実施形態の前側係止部19)を介して前記センサブラケットに係止され、前記センサカバーの後部は、当該センサカバーの車幅方向の変位を許容した状態で車両上下方向と車両前後方向の変位を規制する後側係止部(例えば、実施形態の後側係止部22)を介して前記コンソールブラケットに係止されるとともに、後側ばね部(例えば、実施形態の板状片40)によって車幅方向に付勢されていることを特徴とする。
【0009】
上記の構成により、センサカバーは、前部側が前側係止部を介してセンサブラケットに係止されるとともに、後部側が後側係止部を介してコンソールブラケットに係止される。センサカバーの前部側は、前側係止部によって車両上下方向の変位を規制されるのみで、車両前後方向の変位や車幅方向の変位、車幅方向に沿う軸周りの回動が可能とされている。このため、センサカバーの前部を前側係止部を介してセンサブラケットに係止し、その状態でセンサカバーの後部を後側係止部によってコンソールブラケットに係止させるときには、センサカバーの前部側の車両前後方向の位置や車幅方向の位置を微調整することができるとともに、車両前後方向の傾斜状態を微調整することができる。このため、フロントガラスやコンソールブラケットの組付け誤差や部品の製造誤差があっても、その誤差を吸収してセンサカバーをセンサブラケットとコンソールブラケットとに組み付けることができる。また、センサカバーの後部は、後側係止部によって車幅方向の変位を許容した状態で車両上下方向と車両前後方向の変位を規制される。このとき、センサカバーの後部は、後側ばね部によって車幅方向に付勢されているため、後側ばね部の弾発力に抗して車幅方向の位置を微調整することができる。また、センサカバーの後部の車幅方向のガタ付きは後側ばね部の弾発力によって抑制することができる。
【0010】
前記センサカバーの前部は、前側ばね部(例えば、実施形態の板状片30)によって車幅方向に付勢されるようにしても良い。
【0011】
この場合、センサカバーの前部が前側ばね部によって車幅方向に付勢されているため、センサカバーの前部を前側ばね部の弾発力に抗して車幅方向の位置を微調整することができる。また、センサカバーの前部の車幅方向のガタ付きを前側ばね部の弾発力によって抑制することができる。
【0012】
前記フロントガラスの車内側面には、ルームミラー(例えば、実施形態のルームミラー9)を支持するミラーベース(例えば、実施形態のミラーベース10)が取り付けられ、前記センサカバーは、前記ミラーベースの基部(例えば、実施形態の基部10a)を覆うとともに、前記ミラーベースのミラー支持部(例えば、実施形態のミラー支持部10b)が挿通される貫通孔(例えば、実施形態の貫通孔25)を備えるようにしても良い。
【0013】
この場合、ミラーベースの基部がセンサカバーで覆われるため、ルームミラーの基部側の見栄えを良好にすることができる。また、センサカバーの後部が後側係止部と後側ばね部によって車幅方向に位置調整可能とされているため、ミラーベースのミラー支持部とセンサカバーの貫通孔との位置関係を車幅方向に適正に調整することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る車両用外界検知センサの取付部構造は、センサカバーをセンサブラケットとコンソールブラケットに取り付ける際に、後側係止部を基準として前側係止部によってセンサカバーの前部側の車両前後方向及び車幅方向の位置と、上下の傾斜角度を微調整することができる。このため、部品の組付け誤差や製造誤差を吸収してセンサカバーをセンサブラケットとコンソールブラケットに容易に取り付けることができる。また、本発明に係る車両用外界検知センサの取付部構造は、センサカバーの後部が後側ばね部によって車幅方向に付勢されていることから、後側ばね部の弾発力に抗して車幅方向の位置を微調整することにより、センサカバーの車幅方向の撓みを無くした状態でセンサカバーの後縁部をオーバーヘッドコンソールの前縁部と整合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態のカメラ取付部(センサ取付部)を示す斜視図。
図2図1のII-II線に沿う断面図。
図3】実施形態のカメラ取付部を車両から取り外して上方側から見た斜視図。
図4】実施形態のカメラカバー(センサカバー)を上方側から見た斜視図。
図5】実施形態のコンソールブラケットを上方側から見た斜視図。
図6】実施形態のオーバーヘッドコンソールを上方側から見た斜視図。
図7】実施形態のカメラ取付部を上方から見た図。
図8】実施形態のカメラブラケット(センサブラケット)を下方から見た斜視図。
図9】実施形態のカメラ取付部の一部の部品を取り外した下面図。
図10図7のX-X線に沿う断面図。
図11図7のXI-XI線に沿う断面図。
図12図7のXII-XII線に沿う断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、図面には、車両の前方を指す矢印FRと、車両の上方を指す矢印UPと、車両の左側方を指す矢印LHが記されている。
【0017】
図1は、車室内のカメラ取付部(センサ取付部)を示す斜視図である。
図1中の符号1は、車室内の天井部であり、符号2は、車室内の前席の前方に配置されたフロントガラスである。フロントガラス2は、車両のルーフ部5(図2参照)の前端部から前方に向かって斜め下方に傾斜している。車室内の天井部1の前部中央には、室内照明スイッチ等を搭載したオーバーヘッドコンソール3が取り付けられている。また、天井部1の車室内に臨む面(オーバーヘッドコンソール3を除く部分)には、ルーフライニング4が設けられている。なお、天井部1は、ルーフライニング4と、ルーフライニング4を支持する図示しない支持部材と、を有する。
【0018】
図2は、図1のII-II線に沿う断面図であり、図3は、カメラ取付部(センサ取付部)をルーフライニング4とともに車両から取り外して、上方から見た斜視図である。
これらの図に示すように、フロントガラス2の車室内側面の上部中央には、カメラブラケット6(センサブラケット)が接着によって取り付けられている。カメラブラケット6には、図2に示すように、車両用外界検知センサの一形態であるカメラ7が取り付けられている(保持されている)。図2中の符号7aは、カメラ本体部であり、符号7bは、カメラ7のレンズ部である。レンズ部7bは、フロントガラス2を通して車両前方側に指向している。なお、カメラブラケット6には、図2に示すようにレンズ部7bの前側下方を覆うレンズフード8が取り付けられているが、図3では、レンズフード8の一部が取り外されている。
【0019】
また、図2に示すように、フロントガラス2の車室内側面の上部中央には、ルームミラー9を支持するミラーベース10が接着によって取り付けられている。ミラーベース10は、フロントガラス2に接着固定される基部10aと、基部10aの下方側の延出端から車両後方側に向かって延びるミラー支持部10bと、を備えている。ミラーベース10の基部10aは、カメラブラケット6のカメラ7の取付部よりも前方側において、フロントガラス2に取り付けられている。カメラブラケット6の前縁部には、ミラーベース10の基部10aが上下に貫通する開口13が設けられている。
【0020】
天井部1の前端部中央には、矩形枠状のコンソールブラケット11が取り付けられている。コンソールブラケット11の枠部内には、オーバーヘッドコンソール3の本体部が配置されている。オーバーヘッドコンソール3は、コンソールブラケット11とともに天井部1の図示しない支持部材に取り付けられている。
【0021】
カメラブラケット6と、カメラブラケット6に取り付けられたカメラ7の車室内側は、樹脂製のカメラカバー12(センサカバー)によって覆われている。カメラカバー12は、後に詳述するように、カメラブラケット6とコンソールブラケット11とに取り付けられている(係止されている)。
【0022】
図4は、カメラカバー12を上方側から見た斜視図である。
カメラカバー12は、カメラ7とカメラブラケット6の主要部を覆うカバー本体部12aと、ミラーベース10の基部の周囲を覆うベースカバー部12bと、を有する。カバー本体部12aは、上面視が略台形状の下壁14と、下壁14の左右の側端部から上方に向かって延びる一対の側壁15を有する。下壁14は、カメラカバー12がカメラブラケット6とコンソールブラケット11を介して車体に取り付けられた状態において、下面がほぼ水平状態とされる。下壁14は、前端部から後端部に向かって車幅方向の幅が漸増する略台形状に形成されている。下壁14の前辺には、車両後方側に向かって凹状に窪む切欠き部16が設けられている。この切欠き部16には、フロントガラス2から下方に延びるミラーベース10の基部10aが挿通される。
【0023】
カメラカバー12の下壁14の前辺のうちの、切欠き部16の両側の縁部には、夫々車両前方側に向かって延びる略矩形状の係止爪17が延設されている。この各係止爪17は、後述するカメラブラケット6側の挟持ブロック18とともに本実施形態における前側係止部19を構成している。下壁14の後縁部には、上方に向かって突出する一対の突起部20が設けられている。一対の突起部20は、下壁14の後縁部の車幅方向に離間した二位置(車幅方向の中央部に対して対称な二位置)に突設されている。各突起部20は、後述するコンソールブラケット11側の係止孔21とともに本実施形態における後側係止部22を構成している。
カメラカバー12は、前部側が前側係止部19によってカメラブラケット6に係止され、後部側が後側係止部22によってコンソールブラケット11に係止される。
【0024】
ベースカバー部12bは、図2図4に示すように、上方側に開口する略椀状に形成されている。ベースカバー部12bの上端の後略半部は、カバー本体部12aの下壁14の下面に接合されている。ベースカバー部12bの上端の開口とカバー本体部12aの切欠き部16とは、ミラーベース10の基部10aが挿通される挿通孔を形成している。また、ベースカバー部12bの底部寄りの後壁部には、ミラーベース10のミラー支持部10bが挿通される貫通孔25が形成されている。
【0025】
図5は、コンソールブラケット11を上方から見た斜視図である。
コンソールブラケット11は、全体が矩形枠状に形成され、四辺の適宜箇所が天井部1の支持部材にビス止め等によって固定されている。車幅方向に沿って延びるコンソールブラケット11の前辺11aには、当該前辺11aの上端部から車両後方側に向かって延びる一対の後方連結壁23が延設されている。一対の後方連結壁23は、前辺11aの車幅方向に離間した二位置(車幅方向の中央部に対して対称な二位置)に設けられている。各後方連結壁23には、上下方向に貫通する係止孔23aが形成されている。
【0026】
また、コンソールブラケット11の前辺11aには、当該前辺11aの上端部から車両前方側に向かって延びる一対の前方連結壁24が延設されている。一対の前方連結壁24は、前辺11aの車幅方向に離間した二位置(車幅方向の中央部に対して対称な二位置)に設けられている。各前方連結壁24は、平面視が略矩形状に形成され、その前辺と左右の側辺には上方に起立する補強壁24aが突設されている。また、各前方連結壁24には、前述したカメラカバー12の突起部20が挿入される略長方形状の係止孔21が形成されている。
【0027】
図6は、オーバーヘッドコンソール3を上方から見た斜視図である。
オーバーヘッドコンソール3は、車室内に臨む操作部の上方側に、マップライトを収容するライト収容部3aと、電装部品を収容する電装部品収容部3b、サングラス等を収容するグラスホルダー部3cが設けられている。ライト収容部3aは車幅方向に沿って延びている。ライト収容部3aの上面には、車幅方向に離間して一対の係止突起26が突設されている。ライト収容部3a、電装部品収容部3b、及び、グラスホルダー部3cは、コンソールブラケット11の枠部の内側に収容される。このとき、ライト収容部3aの上面に突設された一対の係止突起26は、コンソールブラケット11の一対の後方連結壁23に形成された各係止孔23aに嵌合される。これにより、オーバーヘッドコンソール3がコンソールブラケット11に対して位置決めされる。オーバーヘッドコンソール3は、この状態においてコンソールブラケット11にビス止め等によって固定される。
【0028】
図7は、カメラ取付部を車両から取り外して上方から見た図であり、図8は、カメラブラケット6の前部を下方から見た図である。また、図9は、カメラブラケット6のベースカバー部12bを取り外してカメラ取付部を下方から見た図であり、図10図12は、図7のカメラ取付部の各部の断面図である。図10は、図7のX-X線に沿う断面図であり、図11は、図7のXI-XI線に沿う断面図であり、図12は、図7のXII-XII線に沿う断面図である。
カメラブラケット6は、カメラ7を保持する幅の広いブラケット本体部6aと、ブラケット本体部6aから前方に延びる幅の狭い前方膨出部6bと、を有する。前方膨出部6bには、ミラーベース10の基部10aが貫通する前述の開口13が形成されている。
【0029】
前方膨出部6bの下面のうちの、開口13の前端部付近の左右の側縁部には、側面視が略コ状の挟持ブロック18が一体に設けられている。各挟持ブロック18には、車幅方向に沿って延び、車両後方側に向かって開口する保持溝27が形成されている。また、図10に示すように、保持溝27の車両後方側の端部には、車両後方側に向かって上下幅が漸増するように上下にテーパ面27aが設けられている。左右の挟持ブロック18の保持溝27には、カメラカバー12のカバー本体部12aに設けられた左右の対応する係止爪17が摺動可能に挿入される(図10図11参照)。各係止爪17の先端部には、滑り抵抗の小さい摺動部材28が被着されている。カメラカバー12の前部は、カメラカバー12の左右の係止爪17がカメラブラケット6側の対応する保持溝27に挿入されることにより、車両前後方向と車幅方向の変位を許容した状態で車両上下方向の変位を規制される。また、保持溝27の車両後方側の端部には、車両後方側に向かって上下幅が漸増するようにテーパ面27aが設けられているため、このとき、カメラカバー12の前端部は、車幅方向に沿う軸周りの若干の回動を許容される。
【0030】
また、前方膨出部6bの下面のうちの、左右の各挟持ブロック18の車幅方向内側領域には、下方に向かって突出する支持壁29が突設されている。支持壁29には、車両前方側に向かって車幅方向外側に傾斜して延びる板状片30が突設されている。板状片30は、カメラカバー12の係止爪17がカメラブラケット6側の保持溝27に係合されたときに、その先端部が係止爪17の基部付近に車幅方向内側から弾性作用をもって当接する。本実施形態では、板状片30がカメラカバー12の前部を車幅方向に付勢する前側ばね部を構成している。
【0031】
ここで、カメラカバー12の後縁部に突設された一対の突起部20は、図10図12に示すように、カメラカバー12の下壁14に突設されたベース突起20aと、ベース突起20aに取り付けられたクリップ部20bと、を有する。クリップ部20bは、コンソールブラケット11の対応する係止孔21の縁に嵌合することで車両前後方向と車両上下方向の変位を規制する凹係合部31を備えている。カメラカバー12の後部は、突起部20の凹係合部31が対応する係止孔21に嵌合されることにより、車両前後方向と車両上下方向の変位を規制される。また、ベース突起20aのうちの係止孔21に挿入される部分の幅(車幅方向の幅)は、係止孔21の幅(車幅方向の幅)よりも充分に狭く設定されている。このため、カメラカバー12の後部は、車幅方向の変位を許容されている。
【0032】
また、図12に示すように、左右の各ベース突起20aの車幅方向内側部分の上端には、車幅方向内側に延びた後に斜め下方に屈曲して延びる板状片40が一体に設けられている。板状片40の下端は対応する係止孔21に挿入されている。板状片40は、係止孔21の車幅方向内側の縁部に弾性作用をもって当接する。本実施形態では、板状片40がカメラカバー12の後部を車幅方向に付勢する後側ばね部を構成している。
図12中の左側の突起部20に設けられる板状片40はベース突起20aの右側に配置され、右側の突起部20に設けられる板状片40はベース突起20aの左側に配置されている。したがって、二つの板状片40は、突起部20を挟んで車幅方向の相反する側に配置されている。なお、本実施形態では、各板状片40が対応するベース突起20aの車幅方向内側に一体に設けられているが、各板状片40は、対応するベース突起20aの車幅方向外側に一体に設けるようにしても良い。
【0033】
実際にカメラ取付部を車体に取り付ける場合には、最初に、カメラ7を保持したカメラブラケット6とミラーベース10をフロントガラス2の車室内側面に接着によって固定し、コンソールブラケット11とオーバーヘッドコンソール3を車室内の天井部1に取り付ける。この後、カメラ7とカメラブラケット6を車室内側から覆うように、カメラカバー12をカメラブラケット6とコンソールブラケット11とに取り付ける。このとき、最初に、カメラカバー12の前部を前側係止部19によってカメラブラケット6に係止させ、その後にカメラカバー12の後部を後側係止部22によってコンソールブラケット11に係止させる。
【0034】
前側係止部19は、カメラカバー12の前部の車両上下方向の変位を規制するだけで、カメラカバー12の前部の車両前後方向と車幅方向の変位と、前後の傾動変位を許容する。このため、後側係止部22によってカメラカバー12の後部をコンソールブラケット11に係止させる際には、カメラカバー12の前部側の位置や傾斜角度を微調整しつつ、組付け作業を行うことができる。
カメラカバー12は、前部側と後部側がいずれも車幅方向に変位可能とされているが、前部側は板状片30によって車幅方向に付勢され、後部側は板状片40によって同様に車幅方向に付勢されている。このため、組付け時にカメラカバー12に車幅方向の撓みが生じるような状況では、板状片30,40の弾発力に抗してカメラカバー12の前部や後部の車幅方向の位置を微調整することにより、カメラカバー12の撓みを取り除くことができる。
【0035】
以上のように、本実施形態のカメラ取付部の構造は、カメラカバー12をカメラブラケット6とコンソールブラケット11に取り付ける際に、後側係止部22を基準として前側係止部19によってカメラカバー12の前部側の車両前後方向及び車幅方向の位置と、上下の傾斜角度を微調整することができる。このため、部品の組付け誤差や製造誤差を吸収してカメラカバー12をカメラブラケット6とコンソールブラケット11に容易に取り付けることができる。
【0036】
さらに、本実施形態のカメラ取付部の構造は、カメラカバー12の後部が後側ばね部である板状片40によって車幅方向に付勢されている。このため、板状片40の弾発力に抗して車幅方向の位置を微調整することにより、カメラカバー12の車幅方向の撓みを無くした状態でカメラカバー12の後縁部をオーバーヘッドコンソール3の前縁部と整合させることができる。また、本実施形態では、カメラカバー12の後部が板状片40によって車幅方向に付勢されているため、カメラカバー12の後部の車幅方向のガタ付きを板状片40の弾発力によって抑制することができる。
【0037】
さらに、本実施形態のカメラ取付部の構造は、カメラカバー12の前部が、前側ばね部である板状片30によって車幅方向に付勢されている。このため、前側ばね部である板状片30の弾発力に抗して、カメラカバー12の前部についても車幅方向の位置を微調整することができる。また、カメラカバー12の前部の車幅方向のガタ付きを板状片30の弾発力によって抑制することができる。
【0038】
また、本実施形態の場合、前側ばね部である板状片30が左右一対設けられ、一対の板状片30の弾発力が車幅方向の相反方向に作用するように設定されている。このため、カメラカバー12の組付け時に、カメラカバー12の前部を車幅方向左右のいずれの側に変位させる場合でも、板状片30による反力(支持力)を安定して得ることができる。したがって、本構成を採用した場合には、カメラカバー12の前部の車幅方向のガタつきをより抑制することができる。
【0039】
また、本実施形態のカメラ取付部の構造では、フロントガラス2の車内側面にミラーベース10が取り付けられ、カメラカバー12がミラーベース10の基部10aを覆っている。そして、ミラーベース10の基部10aを覆う部分には、ミラー支持部10bが挿通される貫通孔25が設けられている。本構成により、カメラカバー12によってミラーベース10の基部10aを覆い、ルームミラー9の基部側の見栄えを良好にすることができる。また、本実施形態では、カメラカバー12が車幅方向に位置調整可能とされているため、ミラー支持部10bとカメラカバー12の貫通孔25との位置関係を車幅方向に適正に調整することができる。
【0040】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば、上記の実施形態では、車両用外界検知センサの一例としてカメラ7を採用しているが、車両用外界検知センサはカメラ7に限定されるものではなく、赤外線レーダーや超音波センサー、LIDER等であっても良い。
【符号の説明】
【0041】
2…フロントガラス
3…オーバーヘッドコンソール
6…カメラブラケット(センサブラケット)
7…カメラ(外界検知センサ)
9…ルームミラー
10…ミラーベース
10a…基部
10b…ミラー支持部
11…コンソールブラケット
12…カメラカバー(センサカバー)
19…前側係止部
22…後側係止部
25…貫通孔
30…板状片30(前側ばね部)
図1
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