(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155037
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
A63B 69/00 20060101AFI20221005BHJP
A63B 71/06 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
A63B69/00 505Z
A63B71/06 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021058359
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】田名網 克周
(72)【発明者】
【氏名】小河路 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】林 美由希
(57)【要約】
【課題】ティーバッティングを行うバッターが自身の打撃姿勢をどのように変更すべきかを把握できる技術を提供する。
【解決手段】情報処理装置(10)のプロセッサ(11)は、モーションセンサ(30)およびフォースプレート(40)の一方または両方の出力信号に基づき、ティーバッティングを行うバッターの姿勢を継続的に測定する測定ステップ(M11)と、ティー(60)に内蔵された力覚センサ(20)の出力信号に基づき、バッターがティー(60)に設置された球を打撃したタイミングを特定するタイミング特定ステップ(M12)と、特定したタイミングにおけるバッターの姿勢を当該バッターの打撃姿勢として特定する姿勢特定ステップ(M13)と、模範となる打撃姿勢を表す情報、および、特定したバッターの打撃姿勢を表す情報に基づき、バッターの打撃姿勢の変更を指示するメッセージを出力する出力ステップ(M14)と、を実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または複数のプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
モーションセンサおよびフォースプレートの一方または両方の出力信号に基づき、ティーバッティングを行うバッターの姿勢を継続的に測定する測定ステップと、
ティーに内蔵された力覚センサの出力信号に基づき、前記バッターが前記ティーに設置された球を打撃したタイミングを特定するタイミング特定ステップと、
前記タイミング特定ステップにおいて特定したタイミングにおける前記バッターの姿勢を、当該バッターの打撃姿勢として特定する姿勢特定ステップと、
前記バッターの身体的特徴に対応する模範となる打撃姿勢を表す情報、および、前記姿勢特定ステップにおいて特定した前記バッターの打撃姿勢を表す情報に基づき、前記バッターの打撃姿勢の変更を指示するメッセージを出力する出力ステップと、を実行する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記出力ステップにおいて、前記模範となる打撃姿勢と、前記姿勢特定ステップにおいて特定した前記バッターの打撃姿勢との差を表すメッセージを出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
模範となる打撃姿勢を模範姿勢とし、評価対象である打撃姿勢を評価対象姿勢とするとき、
前記プロセッサは、前記出力ステップにおいて、前記模範姿勢と前記評価対象姿勢との組み合わせ、または、前記模範姿勢と前記評価対象姿勢との差、と前記メッセージとを関連付けたテーブルを参照して、前記模範姿勢および前記評価対象姿勢に基づいて、出力するメッセージを特定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
模範となる打撃姿勢を模範姿勢とし、評価対象である打撃姿勢を評価対象姿勢とするとき、
前記プロセッサは、前記出力ステップにおいて、前記模範姿勢と前記評価対象姿勢との組み合わせ、または、前記模範姿勢と前記評価対象姿勢との差を入力とし、前記メッセージを出力とする、機械学習により構築された学習済モデルを用いて、出力するメッセージを特定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記姿勢を表す情報は、前記バッターの肩関節の角度、肘関節の角度、股関節の角度、膝関節の角度、および重心位置の一部または全部を含む、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
1または複数のプロセッサが、
モーションセンサおよびフォースプレートの一方または両方の出力信号に基づき、ティーバッティングを行うバッターの姿勢を継続的に測定する測定ステップと、
ティーに内蔵された力覚センサの出力信号に基づき、前記バッターが前記ティーに設置された球を打撃したタイミングを特定するタイミング特定ステップと、
前記タイミング特定ステップにおいて特定したタイミングにおける前記バッターの姿勢を、当該バッターの打撃姿勢として特定する姿勢特定ステップと、
前記バッターの身体的特徴に対応する模範となる打撃姿勢を表す情報、および、前記姿勢特定ステップにおいて特定した前記バッターの打撃姿勢を表す情報に基づき、前記バッターの打撃姿勢の変更を指示するメッセージを出力する出力ステップと、を含む、
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項7】
コンピュータに、
モーションセンサおよびフォースプレートの一方または両方の出力信号に基づき、ティーバッティングを行うバッターの姿勢を継続的に測定する測定ステップと、
ティーに内蔵された力覚センサの出力信号に基づき、前記バッターが前記ティーに設置された球を打撃したタイミングを特定するタイミング特定ステップと、
前記タイミング特定ステップにおいて特定したタイミングにおける前記バッターの姿勢を、当該バッターの打撃姿勢として特定する姿勢特定ステップと、
前記バッターの身体的特徴に対応する模範となる打撃姿勢を表す情報、および、前記姿勢特定ステップにおいて特定した前記バッターの打撃姿勢を表す情報に基づき、前記バッターの打撃姿勢の変更を指示するメッセージを出力する出力ステップと、を実行させる、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バッティングティーにバット速度レーダ装置および打球速度レーダ装置を設け、バット速度とボール速度とを検出するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような従来技術では、バットやボールの運動情報やプレイヤの運動エネルギーを測定することはできるものの、ティーバッティングを行うバッターは自身の打撃姿勢をどのように変更すべきかを把握することはできなかった。
【0005】
本発明の一態様は、ティーバッティングを行うバッターが自身の打撃姿勢をどのように変更すべきかを把握できる技術を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る情報処理装置は、1または複数のプロセッサを備える。プロセッサは、次の(1)~(4)のステップを実行する。
(1)モーションセンサおよびフォースプレートの一方または両方の出力信号に基づき、ティーバッティングを行うバッターの姿勢を継続的に測定する測定ステップ。
(2)ティーに内蔵された力覚センサの出力信号に基づき、バッターがティーに設置された球を打撃したタイミングを特定するタイミング特定ステップ。
(3)タイミング特定ステップにおいて特定したタイミングにおけるバッターの姿勢を、当該バッターの打撃姿勢として特定する姿勢特定ステップ。
(4)バッターの身体的特徴に対応する模範となる打撃姿勢を表す情報、および、姿勢特定ステップにおいて特定した前記バッターの打撃姿勢を表す情報に基づき、バッターの打撃姿勢の変更を指示するメッセージを出力する出力ステップ。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、ティーバッティングを行うバッターが自身の打撃姿勢をどのように変更すべきかを把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態1に係るバッティングシステムの構成を概略的に示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態1に係るバッティングシステムの外観を概略的に示す図である。
【
図3】本発明の実施形態1に係る情報処理方法の流れを示すフローチャートである。
【
図4】本発明の実施形態1に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】本発明の実施形態1に係る模範テーブルの内容を例示する図である。
【
図6】本発明の実施形態1に係る打球システムが行う動作の一例を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の実施形態1に係る表示装置が表示する画面の一例を示す図である。
【
図8】本発明の実施形態1に係る表示装置が表示する画面の一例を示す図である。
【
図9】本発明の実施形態2に係る表示装置が表示する画面の一例を示す図である。
【
図10】本発明の実施形態2に係る表示装置が表示する画面の一例を示す図である。
【
図11】本発明の実施形態3に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図12】本発明の実施形態3に係るメッセージテーブルの内容を例示する図である。
【
図13】本発明の実施形態4に係るメッセージテーブルの内容を例示する図である。
【
図14】本発明の実施形態5に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図15】補発明の実施形態5に係る学習済モデルの一例を模式的に示す図である。
【
図16】本発明の実施形態6に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態1〕
〔システム概要〕
以下、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るバッティングシステム1の構成を概略的に示すブロック図であり、
図2は、バッティングシステム1の外観を概略的に示す図である。バッティングシステム1は、ティーバッティングを行うバッターの打撃姿勢の変更を指示するメッセージを出力するシステムである。バッティングシステム1は、情報処理装置10、力覚センサ20、モーションセンサ30、フォースプレート40、およびティー60を備える。
【0010】
情報処理装置10は、ティーバッティングを行うバッターの打撃姿勢の変更を指示するメッセージを出力するための各種演算を行う装置であり、例えばパーソナルコンピュータである。
【0011】
力覚センサ20は、球が設置されるティー60に内蔵されたセンサである。力覚センサ20は、力およびトルクの方向および大きさを検出する。力覚センサ20は、一例として、x軸、y軸およびz軸により定義される3次元空間における、x軸方向、y軸方向、z軸方向の力成分Fx、Fy、Fz、および、x軸方向、y軸方向、z軸方向のトルク成分Mx、My、Mzを検出する6軸力覚センサである。なお、力覚センサ20は、6軸力覚センサに限られず、例えば4軸力覚センサ等の他の力覚センサであってもよい。
【0012】
モーションセンサ30は、モーションキャプチャ技術によりバッターの姿勢を測定するためのセンサである。一例として、モーションセンサ30は、バッターに装着された複数のマーカーを検出するモーションキャプチャ用カメラである。
図2の例では、バッティングシステム1が4台のモーションセンサ30を含む例を示しているが、モーションセンサ30の数は4台より多くても少なくてもよい。
【0013】
フォースプレート40は、バッターがバッティング動作を行う床面に配置され、床反力およびバッターの重心位置を検出する。
【0014】
情報処理装置10は、プロセッサ11を備える。プロセッサ11は、情報処理方法M1を実行する。
図3は、プロセッサ11が実行する情報処理方法M1の流れを示すフローチャートである。情報処理方法M1は、測定ステップM11、タイミング特定ステップM12、姿勢特定ステップM13、および出力ステップM14を含む。
【0015】
測定ステップM11は、モーションセンサ30およびフォースプレート40の一方または両方の出力信号に基づき、ティーバッティングを行うバッターの姿勢を継続的に測定するステップである。一例として、プロセッサ11は、モーションセンサ30の出力信号に基づき、モーションキャプチャ技術によりバッターの姿勢を継続的に測定する。また、一例として、プロセッサ11は、フォースプレート40の出力信号に基づき、バッターの重心位置を継続的に測定する。
【0016】
バッターの姿勢を示す情報は、一例として、バッターの肩関節の角度、肘関節の角度、股関節の角度、膝関節の角度、および重心位置の一部または全部を含む。換言すると、プロセッサ11は、モーションセンサ30の出力信号およびフォースプレート40の出力信号の一方または両方に基づき、バッターの肩関節の角度、肘関節の角度、股関節の角度、膝関節の角度、および重心位置の一部または全部を算出する。
【0017】
タイミング特定ステップM12は、ティー60に内蔵された力覚センサ20の出力信号に基づき、バッターがティー60に設置された球を打撃したタイミングを特定するステップである。一例として、プロセッサ11は、力覚センサ20の出力信号に基づき、ティー60に加わる力および/またはトルクの変化量が所定の閾値を超えた場合に、バッターが球を打撃したと特定する。プロセッサ11がタイミング特定ステップM12で特定するタイミングを、以下では「打球タイミング」ともいう。なお、打球タイミングを特定する方法は、上述した例に限られない。一例として、プロセッサ11は、力覚センサ20の出力信号に基づき、ティー60に加わる垂直方向の力、すなわち球の重力が閾値以下となった場合に、バッターが球を打撃したと特定してもよい。
【0018】
姿勢特定ステップM13は、タイミング特定ステップM12において特定したタイミングにおける前記バッターの姿勢を、当該バッターの打撃姿勢として特定するステップである。
【0019】
出力ステップM14は、バッターの身体的特徴に対応する模範となる打撃姿勢を表す情報、および、姿勢特定ステップM13において特定したバッターの打撃姿勢を表す情報に基づき、バッターの打撃姿勢の変更を指示するメッセージを出力するステップである。
【0020】
以下の説明では、模範となる打撃姿勢を「模範姿勢」ともいう。また、評価対象である、バッターの打撃姿勢を「評価対象姿勢」ともいう。また、以下の説明では、模範姿勢を表す情報を単に模範姿勢ともいう。また、評価対象姿勢を表す情報を単に評価対象姿勢ともいう。
【0021】
模範姿勢を表す情報は、一例として、モーションセンサ30が検出する、バッターに装着された複数のマーカーの位置を示す情報、バッターの肩関節の角度、肘関節の角度、股関節の角度、膝関節の角度、重心位置の角度、の一部または全部の情報を含む。
【0022】
バッターの身体的特徴を示す情報は、一例として、バッターの身長、体重、BMI(Body Mass Index)、年齢、性別、利き手、打席(右打者・左打者)、の一部または全部を示す情報を含む。
【0023】
模範姿勢を表す情報は、一例として、バッターの身体的特徴に対応付けられて二次メモリ13等の所定のメモリに記憶されている。この場合、複数の模範姿勢を表す情報がそれぞれ、バッターの身体的特徴を表す情報に対応付けられて記憶されている。模範姿勢を表す情報と身体的特徴を表す情報とは、1対1で対応付けられていてもよく、また、一例として、ひとつの模範姿勢を表す情報に複数の身体的特徴を表す情報が対応付けられていてもよい。
【0024】
打撃姿勢の変更を指示するメッセージは、一例として、模範姿勢と評価対象姿勢との差を表すメッセージである。また、メッセージは、模範姿勢と評価対象姿勢との差分に基づく、評価対象姿勢の改善内容を表すメッセージであってもよい。メッセージは、一例として、静止画像または動画像等の画像として出力されてもよく、また音声として出力されてもよい。
【0025】
上記の構成によれば、情報処理装置10は、ティーに内蔵された力覚センサ20の出力信号に基づき、バッターが球を打撃したタイミングを特定し、特定したタイミングにおける打撃姿勢の変更を指示するメッセージを出力する。これにより、ティーバッティングを行うバッターは、自身の打撃姿勢をどのように変更すべきかを把握できる。
【0026】
〔システム構成〕
続いて、
図1を参照してバッティングシステム1の構成について説明する。
図1に示すように、バッティングシステム1は、情報処理装置10、力覚センサ20、モーションセンサ30、フォースプレート40、およびティー60に加えて、表示装置50を備える。
【0027】
〔情報処理装置10の構成〕
図4は、情報処理装置10の構成を示すブロック図である。情報処理装置10は、プロセッサ11と、一次メモリ12と、二次メモリ13と、入出力IF14と、通信IF15と、バス16とを備えている。プロセッサ11、一次メモリ12、二次メモリ13、入出力IF14、および通信IF15は、バス16を介して相互に接続されている。
【0028】
二次メモリ13には、プログラムP1および模範テーブルTBL1が格納されている。プロセッサ11は、二次メモリ13に格納されているプログラムP1を一次メモリ12上に展開し、一次メモリ12上に展開されたプログラムP1に含まれる命令に従って、情報処理方法M1に含まれる各ステップを実行する。プロセッサ11として利用可能なデバイスとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)を挙げることができる。また、一次メモリ12として利用可能なデバイスとしては、例えば、半導体RAM(Random Access Memory)を挙げることができる。また、二次メモリ13として利用可能なデバイスとしては、例えば、フラッシュメモリを挙げることができる。
【0029】
入出力IF14には、入力デバイスおよび/または出力デバイスが接続される。入出力IF14としては、例えば、USB(Universal Serial Bus)が挙げられる。情報処理方法M1において力覚センサ20、モーションセンサ30、フォースプレート40から取得する情報は、入出力IF14を介して情報処理装置10に入力される。また、情報処理方法M1においてバッターに提供する情報は、この入出力IF14を介して情報処理装置10から出力される。
【0030】
通信IF15は、他のコンピュータと通信を行うためのインタフェースである。通信IF15には、ネットワークを介さずに他のコンピュータと通信を行うためのインタフェース、例えば、Bluetooth(登録商標)インタフェースが含まれ得る。また、通信IF15には、LAN(Local Area Network)を介して他のコンピュータと通信を行うためのインタフェース、例えば、Wi-Fi(登録商標)インタフェースが含まれ得る。
【0031】
なお、本実施形態においては、単一のプロセッサ(プロセッサ11)を用いて情報処理方法M1を実行する構成を採用しているが、本発明は、これに限定されない。すなわち、複数のプロセッサを用いて情報処理方法M1を実行する構成を採用してもよい。この場合、連携して情報処理方法M1を実行する複数のプロセッサは、単一のコンピュータに設けられ、バスを介して相互に通信可能に構成されていてもよいし、複数のコンピュータに分散して設けられ、ネットワークを介して相互に通信可能に構成されていてもよい。一例として、クラウドサーバを構成するコンピュータに内蔵されたプロセッサと、そのクラウドサーバの利用者が所有するコンピュータに内蔵されたプロセッサとが、連携して情報処理方法M1を実行する態様などが考えられる。
【0032】
模範テーブルTBL1は、バッターの身体的特徴と模範姿勢とを対応付けるテーブルである。
図5は、模範テーブルTBL1の内容を例示する図である。模範テーブルTBL1は、身体的特徴と模範姿勢とを関連付けたテーブルである。
図5の例では、模範テーブルTBL1には、「身体的特徴」および「模範姿勢」の項目が互いに関連付けられている。これらの項目のうち、「身体的特徴」の項目には、バッターの身体的特徴を識別する識別情報が格納される。「模範姿勢」の項目には、模範姿勢を示す情報である模範姿勢を識別する識別情報が格納される。模範テーブルTBL1は、評価対象であるバッターの打撃姿勢を評価するために模範とする模範姿勢を特定する処理をプロセッサ11が実行する際に参照される。
【0033】
二次メモリ13には複数の模範姿勢を表す情報が記憶されており、複数の模範姿勢のそれぞれには識別情報が付されている。すなわち、模範テーブルTBL1に記憶された識別情報により、バッターの身体的特徴と模範姿勢とが対応付けられている。
【0034】
表示装置50は、情報処理装置10が供給するデータに従い画面を表示する。表示装置50は、一例として、情報処理装置10の入出力IF14に接続される液晶ディスプレイである。
【0035】
〔情報処理装置の動作〕
図6は、情報処理装置10のプロセッサ11が行う情報出力動作の流れを示すフローチャートである。ステップS11において、プロセッサ11は、評価対象であるバッターの身体的特徴を表す身体情報を取得する。一例として、プロセッサ11は、身体情報は、タッチパネル等の入力デバイスをバッターが操作することにより入力された身体情報を取得してもよい。また、一例として、プロセッサ11は、身体情報が記憶された記憶媒体から身体情報を読み取ることにより身体情報を取得してもよい。身体情報は、一例として、バッターの身長、体重、BMI、年齢、および性別の一部または全部を示す情報を含む。
【0036】
ステップS12において、プロセッサ11は、モーションセンサ30およびフォースプレート40の一方または両方の出力信号に基づき、ティーバッティングを行うバッターの姿勢を継続的に測定する。ステップS12においてプロセッサ11が測定するバッターの姿勢は、一例として、バッターの肩関節の角度、肘関節の角度、股関節の角度、膝関節の角度、重心位置、の一部または全部を含む。
【0037】
ステップS13において、プロセッサ11は、力覚センサ20の出力信号に基づき、ティー60に設置された球をバッターが打撃したかを判定する。一例として、プロセッサ11は、力覚センサ20の出力信号に基づき特定される、ティー60に加わる力および/またはトルクの変化量が所定の閾値を超えた場合、バッターが打球したと特定する。バッターが打球したと判定した場合(ステップS13;YES)、プロセッサ11はステップS14の処理に進む。一方、バッターが未だ打球していないと判定した場合(ステップS14;NO)、プロセッサ11はステップS12の処理に戻り、バッターの姿勢の測定処理を継続する。
【0038】
バッターが打球するまでプロセッサ11がステップS12の処理を繰り返し実行することにより、バッターの姿勢が継続的に測定され、測定された姿勢を示す時系列の情報が二次メモリ13に蓄積される。
【0039】
ステップS14において、プロセッサ11は、ステップS13において特定したタイミングにおいて測定したバッターの姿勢を、バッターの打撃姿勢として特定する。
【0040】
ステップS15において、プロセッサ11は、バッターの身体的特徴に対応する模範姿勢を特定する。一例として、プロセッサ11は、模範テーブルTBL1を参照し、評価対象であるバッターの身体的特徴に対応する模範姿勢を特定する。このとき、プロセッサ11は、取得したバッターの身体的特徴が模範テーブルTBL1に登録されていない場合、模範テーブルTBL1に登録されている複数の身体的特徴の中から、取得した身体的特徴との差分が最も少ないものを選択し、選択した身体的特徴に対応する模範姿勢を特定してもよい。
【0041】
なお、ステップS15における模範姿勢の特定方法は、模範テーブルTBL1を参照して特定する方法に限られず、他の手法が用いられてもよい。プロセッサ11は、バッターの身体的特徴を用いた他のルールベースの処理により模範姿勢を特定してもよい。また、一例として、プロセッサ11は、バッターの身体的特徴を入力とし、模範姿勢のパターンを表すラベルを出力とする、機械学習により構築された学習済モデルにバッターの身体的特徴を入力することにより、模範姿勢を特定してもよい。
【0042】
図6のステップS16において、プロセッサ11は、模範姿勢を示す情報、および、バッターの評価対象姿勢を示す情報に基づき、バッターの打撃姿勢の変更を指示するメッセージを出力する。一例として、プロセッサ11は、模範姿勢と評価対象姿勢との差を表すメッセージを出力する。この例で、プロセッサ11は、メッセージを表す画像を表示装置50に表示することにより、メッセージを出力する。
【0043】
図7および
図8は、表示装置50が表示する画面の一例を示す図である。
図7は、評価対象であるバッターの評価対象姿勢を表す画面である。図における複数のドットd11、d12、…は、モーションセンサ30の出力信号によりプロセッサ11が測定したバッターの姿勢の外観を概略的に示すものである。
図7の画面における「肩関節」、「肘関節」、「股関節」、「肘関節」はそれぞれ、モーションセンサ30の出力信号に基づきプロセッサ11が測定した肩関節の角度、肘関節の角度、股関節の角度、膝関節の角度を表す。画面における「インパクト時重心位置」は、フォースプレート40の出力信号に基づきプロセッサ11が測定したバッターの重心位置を表す。
【0044】
図8は、模範姿勢と評価対象姿勢との差を表す画面である。図における複数のドットd21、d22、…は、模範姿勢の外観を概略的に表すものである。また、
図8の例では、肩関節、肘関節、股関節、膝関節、重心位置、のそれぞれについての模範姿勢と評価対象姿勢との差が表示される。模範姿勢と評価対象姿勢との差は、バッターが打撃姿勢をどのように変更すべきかを示す情報である。
【0045】
ステップS16においてプロセッサ11が模範姿勢と評価対象姿勢との差分を提示する方法は、上述した方法に限られず、他の手法が用いられてもよい。一例として、プロセッサ11は、模範姿勢と評価対象姿勢との組み合わせに応じて、出力するメッセージの内容を変更してもよい。一例として、プロセッサ11は、模範姿勢と評価対象姿勢との差分を表す情報をそのまま出力するのではなく、実際よりも小さい差分を出力したり、または、実際よりも大きい差分を出力したり、といったように、模範姿勢および評価対象姿勢の一方または両方を修正して出力してもよい。一例として、プロセッサ11は、模範姿勢と評価対象姿勢との差分が所定の閾値よりも大きい場合、実際の差分よりも小さい差分を表すメッセージを出力してもよい。
【0046】
また、一例として、プロセッサ11は、バッターの身体的特徴に応じて出力するメッセージを異ならせてもよい。一例として、プロセッサ11は、バッターの年齢等の身体的特徴が所定の条件を満たす場合、出力する差分が実際の差分よりも小さくなるよう、模範姿勢を修正してもよい。また、一例として、プロセッサ11は、バッターの身体的特徴が所定の第2の条件を満たす場合、出力する差分が実際の差分よりも大きくなるよう、模範姿勢を修正してもよい。
【0047】
また、一例として、プロセッサ11は、姿勢を表す情報に含まれる複数の項目(肩関節の角度、肘関節の角度、重心位置、等)のうち、所定の項目については、出力する差分が実際の差分よりも小さくなるよう、模範姿勢を修正してもよい。また、一例として、プロセッサ11は、姿勢を表す情報に含まれる複数の項目のうち、所定の項目については、出力する差分が実際の差分よりも大きくなるよう、模範姿勢を修正してもよい。このように、プロセッサ11は、姿勢を表す情報に含まれる複数の項目のそれぞれについて、項目の種別に応じて各項目の情報を修正してもよい。
【0048】
以上説明したように本実施形態によれば、情報処理装置10は、模範となる打撃姿勢とバッターの打撃姿勢との差を表すメッセージを出力する。これにより、ティーバッティングを行うバッターが自身の打撃姿勢をどのように変更すべきかを把握できる。
【0049】
また、本実施形態によれば、情報処理装置10は、バッターの肩関節の角度、肘関節の角度、股関節の角度、膝関節の角度、および重心位置の一部または全部の変更を指示するメッセージを出力し、バッターが自身の打撃姿勢をどのように変更すべきかをユーザに提示する。これにより、バッティングシステム1を利用するバッターは、肩関節の角度、肘関節の角度、股関節の角度、膝関節の角度、および重心位置の一部または全部をどのように変更すべきかを把握できる。
【0050】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0051】
本実施形態において、情報処理装置10のプロセッサ11は、力覚センサ20の出力信号に基づき、インパクト強さおよびインパクト角度を測定する。すなわち、本実施形態において、バッターの打撃姿勢は、バッターの肩関節の角度、肘関節の角度、股関節の角度、膝関節の角度、および重心位置、に加えて、インパクト強さ、およびインパクト角度を含む。
【0052】
インパクト強さは、打球タイミングにおいて球に加わる力の大きさである。一例として、プロセッサ11は、力覚センサ20の出力信号に基づき、ティー60に加わった力の大きさをインパクト強さとして測定する。
【0053】
インパクト角度は、打球タイミングにおいて球に加わる力の角度である。一例として、プロセッサ11は、力覚センサ20の出力信号に基づき、ティー60に加わった力の角度をインパクト角度として測定する。
【0054】
バッターの打撃姿勢を示す情報に含まれる項目は、上述したものに限られず、打撃姿勢を示す情報が他の項目を含んでいてもよい。一例として、打撃姿勢を示す情報が、打球タイミングにおける球の初速、またはバットの角度を含んでいてもよい。
【0055】
本実施形態において、プロセッサ11は、バッターの姿勢を測定する処理(
図6のステップS12)において、バッターの肩関節、肘関節、股関節、膝関節、および重心位置に加えて、インパクト強さおよびインパクト角度を測定する。また、プロセッサ11は、メッセージを出力する処理(
図6のステップS16)において、バッターの肩関節、肘関節、股関節、膝関節、および重心位置に加えて、インパクト強さおよびインパクト角度をどのように変更すべきかを示すメッセージを出力する。
【0056】
図9および
図10は、表示装置50が表示する画面の一例を示す図である。
図9の例では、バッターの肩関節の角度、肘関節の角度等に加えて、「インパクト強さ」および「インパクト角度」が表示される。「インパクト強さ」および「インパクト角度」はそれぞれ、力覚センサ20の出力信号に基づきプロセッサ11が測定したインパクト強さおよびインパクト角度を示す。
【0057】
図10は、模範姿勢と評価対象姿勢との差を表す画面である。
図10の例では、バッターの肩関節の角度、肘関節の角度等に加えて、インパクト強さおよびインパクト角度をどのように変更すべきかを示す情報が表示される。
【0058】
以上説明したように本実施形態によれば、情報処理装置10は、バッターの肩関節の角度および肘関節の角度等に加えて、インパクト強さおよびインパクト角度についてバッターがどのように変更すべきかを示す情報をユーザに提示する。バッティングシステム1を利用するバッターは、表示装置50に表示された画面を視認することで、自身の打撃姿勢をどのように変更すべきかを把握できる。
【0059】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0060】
図11は、本実施形態に係る情報処理装置10Cの構成を示すブロック図である。情報処理装置10Cは、二次メモリ13CにメッセージテーブルTBL21を備える。
【0061】
図12は、二次メモリ13に記憶されたメッセージテーブルTBL21の内容を例示する図である。メッセージテーブルTBL21は、模範姿勢と評価対象姿勢との組み合わせとメッセージとを関連付けたテーブルである。
図12の例では、メッセージテーブルTBL21には、「模範姿勢」、「評価対象姿勢」および「メッセージ」の項目が互いに関連付けられている。これらの項目のうち、「模範姿勢」の項目には、模範姿勢を識別する識別情報が格納される。「評価対象姿勢」の項目には、評価対象姿勢を識別する識別情報が格納される。
【0062】
「メッセージ」の項目には、バッターの打撃姿勢の変更内容を示すメッセージが格納される。情報処理装置10Cは、模範姿勢と評価対象姿勢とで関節角度の差が大きい項目に対してメッセージを表示してもよい。メッセージは、一例として、「インパクト時に***を***してください」といったメッセージであってもよい。例えば、模倣姿勢に対して脇が開きすぎている場合は、情報処理装置10Cは「インパクト時に脇を閉じてください」と表示してもよい。
【0063】
本実施形態に係る情報処理装置10Cのプロセッサ11が行う情報出力動作の流れは、上述の実施形態1で説明した
図6のフローチャートと同様である。ただし、本実施形態に係る情報処理装置10Cのプロセッサ11は、実施形態1に係るメッセージの出力処理(
図6のステップS16の処理)で出力されるメッセージと異なるメッセージを出力する。
【0064】
本実施形態では、プロセッサ11は、メッセージテーブルTBL21を参照して、模範姿勢および評価対象姿勢に基づいて、出力するメッセージを特定する。具体的には、プロセッサ11は、まず、
図6のステップS14で特定した打撃姿勢と、ステップS15で特定した模範姿勢との組み合わせをキーとしてメッセージテーブルを検索し、検索されたキーに対応するメッセージを、出力するメッセージとして特定する。プロセッサ11は、ステップS14で特定した打撃姿勢がメッセージテーブルTBL21に登録されていない場合、メッセージテーブルTBL21に評価対象姿勢として登録されている複数の打撃姿勢の中から、特定した打撃姿勢との差分が最も小さいものを選択する。プロセッサ11は、選択した打撃姿勢とステップS15で特定した模範姿勢との組み合わせをキーとしてテーブルを検索する。
【0065】
プロセッサ11は、メッセージテーブルTBL2を参照して特定したメッセージを、表示装置50等に出力する。バッターは、表示装置50等に出力されたメッセージにより、自身の打撃姿勢をどのように変更すべきかを把握できる。
【0066】
以上説明したように本実施形態によれば、情報処理装置10Cは、模範姿勢と評価対象姿勢との組み合わせと、メッセージとを関連付けたテーブルを参照して、模範姿勢と評価対象姿勢とに基づき特定されるメッセージを出力する。これにより、ティーバッティングを行うバッターが自身の打撃姿勢をどのように変更すべきかを把握できる。
【0067】
〔実施形態4〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0068】
本実施形態に係る情報処理装置10Dは、メッセージテーブルの内容が上述の実施形態3に係る情報処理装置10Cと異なる。
図13は、本実施形態にかかるメッセージテーブルTBL22の内容を例示する図である。メッセージテーブルTBL22は、模範姿勢と評価対象姿勢との差と、メッセージとを関連付けたテーブルである。
図13の例では、メッセージテーブルTBL22には、「差分情報」の項目および「メッセージ」の項目が互いに関連付けられている。これらの項目のうち、「差分情報」の項目には、模範姿勢と評価対象姿勢との差分を表す情報が格納される。「メッセージ」の項目には、バッターの打撃姿勢の変更内容を示すメッセージが格納される。
【0069】
本実施形態に係る情報処理装置10Dのプロセッサ11が行う情報出力動作の流れは、上述の実施形態1で説明した
図6のフローチャートと同様である。ただし、本実施形態に係る情報処理装置10Dのプロセッサ11は、
図6のステップS16において、実施形態1と異なる処理を実行してメッセージを出力する。
【0070】
本実施形態では、プロセッサ11は、メッセージテーブルTBL22を参照して、模範姿勢および評価対象姿勢に基づいて、出力するメッセージを特定する。具体的には、プロセッサ11は、まず、
図6のステップS14で特定した打撃姿勢と、ステップS15で特定した模範姿勢との差分を算出する。一例として、プロセッサ11は、バッターの肩関節の角度、肘関節の角度、股関節の角度、膝関節の角度、重心位置、といった複数の項目のそれぞれについて、評価対象姿勢と模範姿勢との差分を算出し、算出した項目毎の差分値のセットを差分情報とする。
【0071】
次いで、プロセッサ11は、生成した差分情報をキーとしてメッセージテーブルTBL22を検索する。生成した差分情報がメッセージテーブルTBL22に登録されていない場合、メッセージテーブルTBL22に登録されている複数の打撃姿勢の中から、生成した差分情報との差が最も小さいものを選択する。プロセッサ11は、選択した差分情報に対応付けられているメッセージを、表示装置50等に出力する。
【0072】
バッターは、表示装置50等に出力されたメッセージにより、自身の打撃姿勢をどのように変更すべきかを把握できる。
【0073】
以上説明したように本実施形態によれば、情報処理装置10Dは、模範姿勢と評価対象姿勢との差と、メッセージとを関連付けたテーブルを参照して、模範姿勢と評価対象姿勢とに基づき特定されるメッセージを出力する。これにより、ティーバッティングを行うバッターが自身の打撃姿勢をどのように変更すべきかを把握できる。
【0074】
〔実施形態5〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0075】
本実施形態に係る情報処理装置10Eは、メッセージを選択する処理(
図6のステップS16の処理)の内容が、上述の実施形態1に係る情報処理装置10と異なっている。本実施形態に係る情報処理装置10Eが行う情報処理方法を、情報処理方法M4という。
【0076】
図14は、本実施形態に係る情報処理装置10Eの構成を示すブロック図である。情報処理装置10Eは、二次メモリ13Eに学習済モデルLM1を備える。プロセッサ11は、二次メモリ13Dに格納されている学習済モデルLM1を一次メモリ12上に展開する。一次メモリ12上に展開された学習済モデルLM1は、メッセージの出力処理をプロセッサ11が実行する際に利用される。なお、学習済モデルLM1が二次メモリ13に格納されているとは、学習済モデルLM1を規定するパラメータが二次メモリ13に格納されていることを指す。
【0077】
また、本実施形態においては、情報処理方法M4を実行するプロセッサ(プロセッサ11)と同じコンピュータに内蔵されたメモリ(二次メモリ13)に学習済モデルLM1を格納する構成を採用しているが、本発明は、これに限定されない。すなわち、情報処理方法M4を実行するプロセッサと異なるコンピュータに内蔵されたメモリに学習済モデルLM1を格納する構成を採用してもよい。この場合、学習済モデルLM1を格納するメモリが内蔵されたコンピュータは、情報処理方法M4を実行するプロセッサが内蔵されたコンピュータとネットワークを介して相互に通信可能に構成される。一例として、クラウドサーバを構成するコンピュータに内蔵されたメモリに学習済モデルLM1を格納し、そのクラウドサーバの利用者が所有するコンピュータに内蔵されたプロセッサが情報処理方法M4を実行する態様などが考えられる。
【0078】
また、本実施形態においては、単一のメモリ(二次メモリ13)に学習済モデルLM1を格納する構成を採用しているが、本発明は、これに限定されない。すなわち、複数のメモリに学習済モデルLM1を分散して格納する構成を採用してもよい。この場合、学習済モデルLM1を格納する複数のメモリは、単一のコンピュータ(情報処理方法M4を実行するプロセッサが内蔵されたコンピュータであってもよいし、そうでなくてもよい)に設けられていてもよいし、複数のコンピュータ(情報処理方法M4を実行するプロセッサが内蔵されたコンピュータを含んでいてもよいし、そうでなくてもよい)に分散して設けられていてもよい。一例として、クラウドサーバを構成する複数のコンピュータの各々に内蔵されたメモリに学習済モデルLM1を分散して格納する構成などが考えられる。
【0079】
学習済モデルLM1は、模範姿勢と評価対象姿勢との組み合わせを入力とし、メッセージを出力とする、機械学習により構築された学習済モデルである。学習済モデルLM1としては、例えば、畳み込みニューラルネットワークや再帰型ニューラルネットワークなどのニューラルネットワークモデル、線形回帰などの回帰モデル、または、回帰木などの木モデルなどのアルゴリズムを用いることができる。
【0080】
図15は、本実施形態に係る学習済モデルLM1の一例を模式的に示した図である。図示の通り、学習済モデルLM1には入力データが入力される。学習済モデルLM1は、例えば、畳み込み層と、プーリング層と、結合層とから成る。畳み込み層において、入力データはフィルタリングによる情報の畳み込みがなされる。畳み込みを経たデータは、プーリング層においてプーリング処理が施される。これにより、データ中の特徴の位置変化に対するモデルの認識能力が向上する。プーリング処理を経たデータは、結合層で処理されることによって、学習済モデルLM1の出力データ、すなわち、メッセージを判別するラベルに変換されて出力される。
【0081】
すなわち、学習済モデルLM1に入力された入力データを、
図15に示す各層をこれらの順に通過させることにより、メッセージの推定結果が出力される。なお、推定結果の出力形式は特に限定されない。例えば、メッセージはテキストデータで示されてもよい。
【0082】
本実施形態に係る情報処理装置10Eのプロセッサ11が行う情報出力動作の流れは、上述の実施形態1で説明した
図6のフローチャートと同様である。ただし、本実施形態に係る情報処理装置10Eのプロセッサ11は、
図6のステップS16において、実施形態1と異なる処理を実行する。
【0083】
本実施形態において、プロセッサ11は、学習済モデルLM1を用いて、出力するメッセージを特定する。換言すると、プロセッサ11は、模範姿勢と評価対象姿勢との組み合わせを学習済モデルLM1に入力し、学習済モデルLM1から出力されるラベルに対応するメッセージを、表示装置50等に出力する。
【0084】
〔教師データの生成・学習済モデルの構築〕
次いで、学習済モデルLM1の構築動作、および構築処理で用いる教師データの生成動作について説明する。本実施形態では、情報処理装置10Eが、学習済モデルLM1の構築処理、および教師データの生成処理を実行する。なお、学習済モデルLM1の構築処理、および教師データの生成処理は、情報処理装置10E以外の他の装置が実行してもよい。
【0085】
学習済モデルLM1の構築で用いる教師データは、評価対象姿勢と模範姿勢とのセットと、メッセージの種類を示すラベルとを含む。
【0086】
まず、プロセッサ11は、評価対象姿勢を取得するとともに、評価対象姿勢に対応する模範姿勢を取得する。一例として、プロセッサ11は、入出力IF14または通信IF15を介して入力デバイスまたは他の装置等から評価対象姿勢と模範姿勢とを取得する。次いで、取得した評価対象姿勢と模範姿勢とにラベルを対応付けて教師データを生成する。ラベルは、メッセージの種類を示すデータである。ラベルは例えば、入出力IF14を介して情報処理装置10Eに入力される。
【0087】
プロセッサ11は、教師データを用いた教師あり学習によって、学習済モデルLM1を構築する。学習済モデルLM1としては、例えば、畳み込みニューラルネットワークや再帰型ニューラルネットワークなどのニューラルネットワークモデル、線形回帰などの回帰モデル、または、回帰木などの木モデルなどのアルゴリズムを用いることができる。
【0088】
本実施形態によれば、情報処理装置10Eは、模範姿勢と評価対象姿勢との組み合わせを入力とし、メッセージを出力とする、機械学習により構築された学習済モデルLM1を用いて、出力するメッセージを特定する。これにより、ティーバッティングを行うバッターが自身の打撃姿勢をどのように変更すべきかを把握できる。
【0089】
〔実施形態6〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0090】
図15は、本実施形態に係る情報処理装置10Fの構成を示すブロック図である。情報処理装置10Fは、二次メモリ13Fに学習済モデルLM2を備える。プロセッサ11は、二次メモリ13Fに格納されている学習済モデルLM2を一次メモリ12上に展開する。一次メモリ12上に展開された学習済モデルLM2は、メッセージの出力処理をプロセッサ11が実行する際に利用される。
【0091】
学習済モデルLM2は、模範姿勢と評価対象姿勢との差を入力とし、メッセージを出力とする、機械学習により構築された学習済モデルである。学習済モデルLM1としては、例えば、畳み込みニューラルネットワークや再帰型ニューラルネットワークなどのニューラルネットワークモデル、線形回帰などの回帰モデル、または、回帰木などの木モデルなどのアルゴリズムを用いることができる。
【0092】
本実施形態に係る情報処理装置10Fのプロセッサ11が行う情報出力動作の流れは、上述の実施形態1で説明した
図6のフローチャートと同様である。ただし、本実施形態に係る情報処理装置10Fのプロセッサ11は、
図6のステップS16において、実施形態1と異なる処理を実行する。
【0093】
本実施形態において、プロセッサ11は、学習済モデルLM2を用いて、出力するメッセージを特定する。具体的には、まず、プロセッサ11は、
図6のステップS14で特定した打撃姿勢と、ステップS15で特定した模範姿勢との差分を算出する。一例として、プロセッサ11は、バッターの肩関節の角度、肘関節の角度、股関節の角度、膝関節の角度、重心位置、といった複数の項目のそれぞれについて、評価対象姿勢と模範姿勢との差分を算出し、算出した項目毎の差分値のセットを差分情報とする。
【0094】
次いで、プロセッサ11は、生成した差分情報を学習済モデルLM2に入力し、学習済モデルLM2から出力されるラベルに対応するメッセージを、表示装置等に出力する。
【0095】
本実施形態によれば、情報処理装置10Eは、模範姿勢と評価対象姿勢との差を入力とし、メッセージを出力とする、機械学習により構築された学習済モデルLM1を用いて、出力するメッセージを特定する。これにより、ティーバッティングを行うバッターが自身の打撃姿勢をどのように変更すべきかを把握できる。
【0096】
〔実施形態7〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0097】
上述の実施形態1では、情報処理装置10は、模範テーブルTBL1を参照して評価対象姿勢の比較対象とする模範姿勢を特定した(
図6のステップS15)。それに対し、本実施形態に係る情報処理装置10Gは、学習済モデルLM3を用いて模範姿勢を特定する。
【0098】
学習済モデルLM3は、バッターの身体的特徴および評価対象姿勢の一方または両方を入力とし、模範姿勢を識別するラベルを出力とする、機械学習により構築された学習済モデルである。学習済モデルLM1としては、例えば、畳み込みニューラルネットワークや再帰型ニューラルネットワークなどのニューラルネットワークモデル、線形回帰などの回帰モデル、または、回帰木などの木モデルなどのアルゴリズムを用いることができる。
【0099】
本実施形態に係る情報処理装置10Gのプロセッサ11が行う情報出力動作の流れは、上述の実施形態1で説明した
図6のフローチャートと同様である。ただし、本実施形態に係る情報処理装置10Gのプロセッサ11は、
図6のステップS15の模範姿勢の特定処理において、実施形態1と異なる処理を実行する。
【0100】
本実施形態において、プロセッサ11は、学習済モデルLM3を用いて、模範姿勢を特定する。換言すると、プロセッサ11は、バッターの身体的特徴、および評価対象姿勢の一方または両方を学習済モデルLM3に入力し、学習済モデルLM3から出力されるラベルに対応する模範姿勢を、比較対象とする模範姿勢として特定する。
【0101】
学習済モデルLM3の入力データは、バッターの身体的特徴を表す情報および評価対象姿勢を表す情報に限られず、他の情報を含んでいてもよい。一例として、学習済モデルLM3の入力データは、バッターの打球タイミングの前後の所定の期間において測定されたバッターの姿勢を表す時系列のデータを含んでいてもよい。
【0102】
学習済モデルLM3の構築で用いる教師データは、評価対象姿勢と模範姿勢とのセットと、メッセージの種類を示すラベルとを含む。学習フェーズにおいては、まず、プロセッサ11は、バッターの身体的特徴を表す情報を取得するとともに、バッターの評価対象姿勢を表す情報を取得する。一例として、プロセッサ11は、入出力IF14または通信IF15を介して入力デバイスまたは他の装置等からそれらの情報を取得する。次いで、取得した情報のセットにラベルを対応付けて教師データを生成する。ラベルは、模範姿勢を識別する識別情報である。ラベルは例えば、入出力IF14を介して情報処理装置10Gに入力される。
【0103】
プロセッサ11は、教師データを用いた教師あり学習によって、学習済モデルLM3を構築する。学習済モデルLM3としては、例えば、畳み込みニューラルネットワークや再帰型ニューラルネットワークなどのニューラルネットワークモデル、線形回帰などの回帰モデル、または、回帰木などの木モデルなどのアルゴリズムを用いることができる。
【0104】
〔付記事項1〕
上記各実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは上記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0105】
〔付記事項2〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0106】
1 バッティングシステム
10、10C、10D、10E、10F、10G 情報処理装置
11 プロセッサ
12 一次メモリ
13、13C、13D、13E、13F 二次メモリ
20 力覚センサ
30 モーションセンサ
40 フォースプレート
50 表示装置
M1、M4 情報処理方法
M11 測定ステップ
M12 タイミング特定ステップ
M13 姿勢特定ステップ
M14 出力ステップ