(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155125
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】エンジンの流体冷却装置
(51)【国際特許分類】
F01P 11/08 20060101AFI20221005BHJP
F02M 26/28 20160101ALI20221005BHJP
F01M 5/00 20060101ALI20221005BHJP
F01M 11/03 20060101ALI20221005BHJP
F02M 26/41 20160101ALI20221005BHJP
F02F 1/00 20060101ALI20221005BHJP
F02F 7/00 20060101ALI20221005BHJP
F02F 1/24 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
F01P11/08 B
F02M26/28
F01M5/00 H
F01M11/03 C
F02M26/41 301
F02F1/00 S
F02F7/00 N
F02F1/24 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021058470
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099966
【弁理士】
【氏名又は名称】西 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100134751
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 隆一
(72)【発明者】
【氏名】岡田 大文
【テーマコード(参考)】
3G015
3G024
3G062
3G313
【Fターム(参考)】
3G015CA02
3G015CA04
3G015DA02
3G024AA07
3G024AA38
3G024CA05
3G024FA14
3G062ED13
3G313DA05
3G313DA06
3G313DA15
(57)【要約】
【課題】ブロックに形成された冷却水ジャケットを利用してオイル等の流体を冷却するにおいて、コンパクト化や組み付け作業性向上を図る。
【解決手段】シリンダブロック1に、一側面から外向きに開口した張り出しジャケット部17を形成して、張り出しジャケット部17にオイルクーラ16が配置されている。オイルクーラ16の入口22と出口23はシリンダブロック1に向けて開口している。他方、シリンダブロック1には、オイルクーラ16の入口に連通した第1オイル通路15bと、オイルクーラ16の出口に連通した第2オイル通路15cとが形成されている。オイルクーラ16には外付けの配管は不要であるため、全体としてコンパクト化できる共に、配管作業は不要で組み付け性に優れている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に冷却水ジャケットが形成されているシリンダブロックの一側面に、前記冷却水ジャケットの冷却水によってオイルを冷却するオイルクーラが配置されている構成であって、
前記シリンダブロックには、前記冷却水ジャケットと連通した張り出しジャケット部が外向きに開口するように形成されている一方、
前記オイルクーラは、前記冷却水ジャケットの張り出しジャケット部に入り込んだ熱交換部と、前記熱交換部の外周の外側において前記シリンダブロックに向けて開口したオイル入口及びオイル出口とが形成されており、
前記シリンダブロックに、前記オイルクーラのオイル入り口に連通した第1オイル通路と、前記オイルクーラのオイル出口に連通した第2オイル通路とが形成されている、
エンジンの流体冷却装置。
【請求項2】
内部に冷却水ジャケットが形成されているシリンダヘッドの一端面に、前記冷却水ジャケットの冷却水によってEGRガスを冷却するEGRクーラが配置されている構成であって、
前記シリンダヘッドには、前記冷却水ジャケットと連通した張り出しジャケット部が外向きに開口するように形成されている一方、
前記EGRクーラは、前記冷却水ジャケットの張り出しジャケット部に入り込んだ熱交換部と、前記熱交換部の外周の外側において前記シリンダヘッドに向けて開口したEGR入口及びEGR出口とが形成されており、
前記シリンダヘッドに、前記EGRクーラのEGR入口に連通した第1EGR通路と、前記EGRクーラのEGR出口に連通した第2EGR通路とが形成されている、
エンジンの流体冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、オイルクーラ又はEGRクーラを備えたエンジンの流体冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等のエンジンにおいて、オイルを冷却水によって冷却する(或いは昇温させる)オイルクーラ(或いはオイルウォーマ)や、EGRガスを冷却するEGRクーラを設けることが行われている。
【0003】
そして、オイルクーラの例として、特許文献1には、シリンダブロックに冷却水ジャケットが形成されていることに着目して、シリンダブロックの一側面に、熱交換部を冷却水ジャケットに露出させた状態で配置することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、オイルクーラの熱交換部をシリンダブロックの冷却水ジャケットに露出させたものであり、冷却水が流れる配管は不要であるため、オイルの冷却構造(或いは加温構造)を簡単化できる利点がある。
【0006】
しかし、特許文献1では、オイルクーラには、オイルを熱交換部に導くためのインレットパイプと、熱交換器で加温又は昇温したオイルを送り出すためのアウトレットパイプとが接続されているため、コンパクト化の点はまだ不十分であるし、エンジンの組み立てにおいてパイプの接続に手間を要するという問題がある。
【0007】
本願発明はこのような現状を背景に成されたものであり、冷却手段としてブロックに形成された冷却水ジャケットを利用することは特許文献1と軌を一にしつつ、構造を簡素化するなどの改良を加えたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は、オイルの冷却装置とEGRガスの冷却装置とを含んでいる。このうちオイルの冷却装置は、請求項1のとおり、
「内部に冷却水ジャケットが形成されているシリンダブロックの一側面に、前記冷却水ジャケットの冷却水によってオイルを冷却するオイルクーラが配置されている」
という基本構成である。
【0009】
そして、上記基本構成において、
「前記シリンダブロックには、前記冷却水ジャケットと連通した張り出しジャケット部が外向きに開口するように形成されている一方、
前記オイルクーラは、前記冷却水ジャケットの張り出しジャケット部に入り込んだ熱交換部と、前記熱交換部の外周の外側において前記シリンダブロックに向けて開口したオイル入口及びオイル出口とが形成されており、
前記シリンダブロックに、前記オイルクーラのオイル入り口に連通した第1オイル通路と、前記オイルクーラのオイル出口に連通した第2オイル通路とが形成されている」
という特徴を備えている。
【0010】
EGRガスの冷却装置は、請求項2のとおり、
「内部に冷却水ジャケットが形成されているシリンダヘッドの一端面に、前記冷却水ジャケットの冷却水によってEGRガスを冷却するEGRクーラが配置されている」
という基本構成になっている。
【0011】
そして、上記基本構成において、
「前記シリンダヘッドには、前記冷却水ジャケットと連通した張り出しジャケット部が外向きに開口するように形成されている一方、
前記EGRクーラは、前記冷却水ジャケットの張り出しジャケット部に入り込んだ熱交換部と、前記熱交換部の外周の外側において前記シリンダヘッドに向けて開口したEGR入口及びEGR出口とが形成されており、
前記シリンダヘッドに、前記EGRクーラのEGR入口に連通した第1EGR通路と、前記EGRクーラのEGR出口に連通した第2EGR通路とが形成されている」
という特徴を備えている。
【0012】
両請求項において、オイルクーラの熱交換部とEGRクーラの熱交換部とは、それぞれシリンダブロックに形成したオイル通路及びシリンダヘッドに形成したEGR通路の外側に配置して、冷却水ジャケットの張り出しジャケット部もオイル通路及びEGR通路よりも外側に配置するのが合理的である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明では、第1オイル通路と第2オイル通路とはそれぞれシリンダブロックの肉厚部内に形成されているため、オイルクーラに接続する配管は不要であり、その結果、コンパクト化及びコスト抑制を促進できる。また、オイルクーラをシリンダブロックに固定すると、熱交換部とオイル通路とが接続されるため、エンジンの組み立ての手間も軽減できる。また、オイル流路の曲がりを少なくして、圧損を低減することも可能になる。
【0014】
請求項2も同様で、配管の廃止によるコンパクト化等の効果を奏する。また、冷間運転時にウォータポンプを停止してエンジン及び冷却水の早期昇温を図ることが行われているが、この場合でも、EGRクーラは機能しているため、EGRガスの冷却機能を発揮できる利点がある(特許文献1のような配管外付け方式であると、ウォータポンプを駆動して冷却水を長さないとEGRガスを冷却できない。)。
【0015】
上記したように、オイルクーラの熱交換部とEGRクーラの熱交換部とを、それぞれシリンダブロックに形成したオイル通路及びシリンダヘッドに形成したEGR通路の外側に配置して、冷却水ジャケットの張り出しジャケット部もオイル通路及びEGR通路よりも外側に配置できるが、このように構成すると、オイルクーラ及びEGRクーラは、熱交換部とその入口及び出口を無理のない形態に構成できるため、構造を簡単化できる。
【0016】
請求項1において、第1オイル通路よりも上流側にオイルフィルターを設けると、オイルクーラには浄化されたオイルが流入するため、オイルクーラにリリーフ弁等の異物対策を設ける必要がなく、それだけ構造を簡単化できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1実施形態に係るシリンダブロックの斜視図である。
【
図3】(A)は
図2のIIIA-IIIA 視断面図、(B)は別例のオイルクーラを示す断面図である。
【
図4】第2実施形態に係るシリンダヘッドの部分的な平面図である。
【
図6】(A)は
図5のVIA-VIA 視平断面図、(B)は別例の平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は自動車用エンジンに適用している。以下では方向を特定するため前後・左右・上下の文言を使用するが、前後方向はクランク軸線方向、左右方向はクランク軸線及びシリンダボア軸線と直交した方向、上下方向は鉛直方向である。前と後ろについては、タイミングチェーンが配置される側を前として、ミッションケースが配置される側を後ろとしている。
【0019】
(1).第1実施形態
まず、
図1~3に示す第1実施形態を説明する。第1実施形態は、シリンダブロック1の冷却水ジャケットを利用したオイルの冷却に適用している。
図1から理解できるように、シリンダブロック1には3つのシリンダボア2が一列に配置されている。従って、本実施形態のエンジンは3気筒である。
【0020】
シリンダブロック1の上面には、シリンダボア2の群を囲うループ状の冷却水ジャケット3が形成されており、冷却水ジャケット3の外側に、ヘッドボルトが螺合するねじ穴4の群が開口している。また、シリンダブロック1の前端部には、クランク軸5を上から支持するフロント軸受け部5aが形成されている。フロント軸受け部5aには、フロントクランクキャップ(図示せず)が下方から重ね固定される。
【0021】
図3では、中間軸受け6と中間クランクキャップ7とを表示している。符号8は軸受けメタルである。
図3に示すように、シリンダブロック1の下面にはオイルパン9が固定されている。
【0022】
図2に模式的に示すように、シリンダブロック1の前面にはフロントカバー(チェーンカバー)10が固定されており、フロントカバー10とシリンダブロック1(及びシリンダヘッド)との間に、タイミングチェーンが周回する空間が形成されている。
【0023】
そして、
図3に模式的に示すように、フロントカバー10(
図3では省略)をハウジングの一部としたオイルポンプ11を設けており、オイルパン9からストレーナ12を介して吸い上げられたオイルは、オイルフィルター13を経由して吐出通路14に至り、吐出通路14からメインギャラリー15の縦長部15aに至る。
【0024】
吐出通路14はフロントカバー10に形成されており、メインギャラリー15はシリンダブロック1の肉厚部に形成されている。従って、吐出通路14は後ろ向きに開口して、メインギャラリー15における縦長部15aの下端は前向きに開口しており、フロントカバー10をシリンダブロック1に固定すると、吐出通路14と縦長部15aとが連通する。オイルフィルター13はフロントカバー10の下面に装着しているが、他の部位に配置することも可能である。
【0025】
例えば
図2に示すように、メインギャラリー15は、縦長部15aの上端に連続した上横長部15bと、その下方に配置された下横長部15cとを有しており、上横長部15bと下横長部15cとがオイルクーラ16を介して接続されている。従って、本実施形態では、上横長部15bが第1オイル通路に該当し、下横長部15cは第2オイル通路に該当する。メインギャラリー15は、シリンダブロック1の排気側の側面部に形成されている。
【0026】
そして、シリンダブロック1の排気側の側面部のうち前寄り部位に、
図3に示すように、冷却水ジャケット3に連通した張り出しジャケット部17を外向きに開口するように形成し、この張り出しジャケット部17の箇所にオイルクーラ16を配置している。
【0027】
オイルクーラ16は、蓋部を有するケーシング18と、ケーシング18の内面に配置した上下の端筒19,20と、上下の端筒19,20に連通した熱交換部21とで構成されており、
図2及び
図3(A)の例では、熱交換部21はジグザグに曲がった1本のパイプで構成されて、
図3(B)の例では、上下の端筒19,20に連通した多数本の縦長パイプ21で構成されている。
【0028】
いずれにおいても、上端筒19の前端寄り部位には、オイル入口22がシリンダボア2の方向に向けて開口して、下端筒20の前端寄り部位には、オイル出口23がシリンダボア2の方向に向けて開口している。そして、オイル入口22は、上横長部15bの終端の前向き開口24aに連通し、オイルクーラ16のオイル出口23は、上横長部15bの終端の前向き開口24bに連通している。
【0029】
シリンダブロック1には、オイルクーラ16が配置される凹所25を外向きに開口するように形成しており、オイルクーラ16は、図示しないシール材を介して凹所25に嵌め込まれており、四隅等がビス26(
図2)でシリンダブロック1に固定されている。
【0030】
図3に示すように、張り出しジャケット部17は、冷却水ジャケット3の底面よりも下方に延びている。また、メインギャラリー15の下横長部15cからは、中間軸受け部6に向かう枝通路27が分岐している。更に、図示していないが、下横長部15cは上向きに姿勢を変えてシリンダヘッドに至っており、動弁装置の軸受け部やVVTなどに送油されている。
【0031】
そして、本実施形態では、メインギャラリー15の上下横長部15b,15cはシリンダブロック1に内蔵されているため、特許文献1のような配管は不要であって、構造は著しくコンパクトになる。また、オイルクーラ16をシリンダブロック1に固定すると、メインギャラリー15における横長部15b,15cのオイル出入口22,23とオイルクーラ16の出入口22,23が連通するため、組み立て作業の手間も大幅に低減できる。
【0032】
図3に明示するように、オイルクーラ16の熱交換部21は、メインギャラリー15の上下横長部15b,15cよりも外側に配置されている。従って、熱交換部21を上下の端筒19,20に無理なく接続できる。また、張り出しジャケット部17は横長部15b,15cを超えて外側に開口しているため、熱交換部21の冷却を確実化できる。
【0033】
(2).第2実施形態
次に、EGRクーラに適用した
図4以下の実施形態を説明する。
図4はシリンダヘッド30の後部の平面図である。
図4において、符号31はイグニッションホールを示し、符号32はバルブ挿入穴を示し、符号33は軸受け部を示し、符号34は吸気マニホールドの取付け面を示し、符号35は吸気ポートを示し、符号36はインジェクタ挿入穴を示している。符号37は周壁を示し、符号38はEGRバルブを示している。
【0034】
図5に示すように、シリンダヘッド30の後端面にEGRクーラ39を装着している。
図6(A)に示すように、EGRクーラ39は、上下長手の左右の端筒40,41と、左右の端筒40,41に接続された熱交換部(左右長手の細管群)42を備えており、EGRクーラ39は、シリンダヘッド30の後面に形成された凹所43に完全に入り込んでいる。端筒40,41は、
図5に示すビス44でシリンダヘッド30に固定されており、また、凹所43は蓋板45で塞がれている。
【0035】
左右の端筒40,41は
図3(B)のタイプと同様に角形の中空に形成されて、排気側面側の端筒40には、その上下中途部に内向き(前向き)のEGR入口46が形成され、吸気側面側の端筒41には、その上下中途部に内向き(前向き)のEGR出口47が形成されており、EGR入口46は、シリンダヘッド30に形成した第1EGR通路48の終端48aと連通し、EGR出口47は、シリンダヘッド30に形成した第2EGR通路49の始端49bと連通している。
【0036】
第1EGR通路48の始端48bは、シリンダヘッド30の排気側面30aに開口しており、排気系(例えば触媒ケースの下流端部)とパイプで接続されている。但し、第1EGR通路48をシリンダヘッド30の排気側面30aから開口させずに、シリンダヘッド30に内蔵した前後長手の通路から排気ガスを取り込むことも可能である。第1EGR通路48の終端48aは後ろ向きに開口しており、これにEGRクーラ39のEGR入口46が連通している。
【0037】
第2EGR通路49は、
図5に示すように、後面視では、上向きに傾斜してから後部は下がるように屈曲しており、終端49aはシリンダヘッド30の吸気側面34に開口している。すなわち、第2EGR通路49は、後面視で山形の形態を成している。従って、凝縮水がEGRバルブ38の箇所に溜まることはなく、EGRバルブ38の腐食を防止できる。また、第2EGR通路49は、
図6に示すように、平断面視では、上向き傾斜部と下向き傾斜部とが前後にずれており、両者は、バルブ穴50を介して連通している。
【0038】
第2EGR通路49の始端49bは後ろ向きに開口しており、これにEGRクーラ39のEGR出口47が連通している。なお、
図6において符号51で示すのはプラグであり、第2EGR通路49が2本の穴で構成されていることから、上向き部になる穴をドリル加工で空けてから出口をプラグ51で塞いでいる。
【0039】
図6(A)に示すように、シリンダヘッド30には、第2EGR通路49の屈曲部近傍に連通して後ろ向きに開口したバルブ穴50を形成し、これに既述のEGRバルブ38を装着している。EGRバルブ38は、ニードル式の弁体を有する弁部38aと、弁体を進退動させるソレノイドバルブ38bとを備えている。なお、第2EGR通路49の終端49aは、例えば吸気マニホールドに設けた分配通路にパイプで接続されており、分配通路を介して各吸気ポートに均等に分配される。
【0040】
EGRクーラ39が配置されている凹所43は、シリンダヘッド30に形成された冷却水ジャケット52と連通している。従って、凹所43は、シリンダヘッド30の冷却水ジャケット52を後ろ向きに突出させた張り出しジャケット部になっている。
【0041】
この場合、
図6に示すように、凹所43は、EGRクーラ39の左右両側に広がった延長部43aを有しており、端筒40,41を含むEGRクーラ39の全体が冷却水で包まれている。従って、本実施形態では、端筒40,41もEGR通路48,49も冷却水で包まれている。これにより、EGRガスの冷却性能が格段に高くなっている。また、吸気側の延長部43aはEGRバルブ38に近接しているため、EGRバルブ38の冷却効果にも優れている。
【0042】
図の例では、EGR通路48,49は前後から冷却水に晒されているが、凹所43の延長部43aを上下においても冷却水ジャケット52と連通させることにより、第2EGR通路48,49を全周に亙って冷却水で囲うことも可能であり、この場合は、EGRガスの冷却性能は更にアップする。
【0043】
本実施形態においても、第1実施形態との同様にコンパクト化等の効果が発揮されるが、本実施形態の特有の効果として、EGRガスを利用して冷却水を早期昇温できる利点が挙げられる。なお、シリンダヘッド30の冷却水ジャケット52から排出された冷却水はラジエータ等に送られるが、冷却水を各部位に送る配水部を凹所43の後ろに配置して、EGRガスで加温された冷却水を各部位に送る構成を採用すると、シリンダヘッド30の後面のスペースを有効利用できる(この場合は、蓋板45は不要になる。)。
【0044】
図6(B)の例では、第2EGR通路48,49や凹所43が形成されたEGRユニット53をシリンダヘッド30とは別部材に製造して、これをシリンダヘッド30に固定している。この場合もEGRクーラ39は凹所43に後ろから嵌め込んでいるが、凹所43を前向きに開口した状態に形成して、EGRクーラ39を前から凹所43に嵌め入れて固定し、EGRユニット53の後面に、ラジエータ等に配水するポートの群を形成することも可能である。
【0045】
図7に示す第3実施形態では、凹所43は第2実施形態のような延長部43aは備えていないが、凹所43を覆うカバーケース54をシリンダヘッド30の後面30cから後ろに突出した状態に形成している。
【0046】
以上、本願発明の実施形態を説明したが、本願発明は他にも様々に具体化できる。例えば、オイルクーラに関して、第1オイル通路と第2オイル通路とを縦長姿勢に形成して、熱交換部でオイルが水平方向に流れるように設定することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本願発明は、オイルクーラ又はEGRクーラを備えたエンジンに具体化できる。従って、産業上利用できる。
【符号の説明】
【0048】
1 シリンダブロック
3 シリンダブロックの冷却水ジャケット
9 オイルパン
11 オイルポンプ
13 オイルフィルター
15 メインギャラリー
15a メインギャラリーの縦長部
15b メインギャラリーの上横長部(第1オイル通路)
15c メインギャラリーの下横長部(第2オイル通路)
16 オイルクーラ
17 シリンダブロックの張り出しジャケット部
19,20 端筒
21 オイルクーラの熱交換部(パイプ)
22 オイルクーラの入口
23 オイルクーラの出口
30 シリンダヘッド
38 EGRバルブ
39 EGRクーラ
40,41 端筒
42 熱交換部(細管群)
43 張り出しジャケット部を構成する凹所
46 EGR入口
47 EGR出口
48 第1EGR通路
49 第2EGR通路
52 シリンダヘッドの冷却水ジャケット