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特開2022-155170情報処理システム、及び情報処理システムの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155170
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】情報処理システム、及び情報処理システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20221005BHJP
   G08G 1/13 20060101ALI20221005BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20221005BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20221005BHJP
   G16Y 40/10 20200101ALI20221005BHJP
【FI】
G08G1/00 J
G08G1/13
H04N7/18 N
G16Y10/40
G16Y40/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021058536
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯星 明
(72)【発明者】
【氏名】大石 康夫
(72)【発明者】
【氏名】柿沼 篤樹
(72)【発明者】
【氏名】徳永 武雄
(72)【発明者】
【氏名】鬼丸 寛之
【テーマコード(参考)】
5C054
5H181
【Fターム(参考)】
5C054CA05
5C054CA10
5C054CE00
5C054FA02
5C054FC00
5C054FE00
5C054HA05
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC04
5H181EE12
5H181FF05
(57)【要約】
【課題】街中等に存在する路面又は施設の温度データを容易に取得でき、且つ、取得した路面又は施設の温度データを適切に活用できるようにすること。
【解決手段】情報処理システム1000は、車両に設けられ、路面又は施設を撮影するサーモグラフィーカメラと、路面の温度データである路面温度データ又は施設の温度データである施設温度データをサーモグラフィーカメラから取得する撮影データ取得部102と、サーモグラフィーカメラが撮影したときの車両の位置情報を取得する現在位置取得部104と、撮影データ取得部102が取得した路面温度データ又は施設温度データと、現在位置取得部104が取得した車両の位置情報とを紐付けて出力する車載通信制御部106と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられ、路面又は施設を撮影するサーモグラフィーカメラと、
前記路面の温度データである路面温度データ、又は前記施設の温度データである施設温度データを前記サーモグラフィーカメラから取得する第1取得部と、
前記サーモグラフィーカメラが撮影したときの前記車両の位置情報を取得する第2取得部と、
前記第1取得部が取得した前記路面温度データ又は前記施設温度データと、前記第2取得部が取得した前記車両の位置情報とを紐付けて出力する第1出力部と、を備える、
情報処理システム。
【請求項2】
前記サーモグラフィーカメラは、前記車両の車室内に設けられ前記車両の後方を撮影するリアカメラである、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記サーモグラフィーカメラは、前記車両に設けられ前記車両の後方を撮影する車外のリアカメラである、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記第1出力部が出力した前記路面温度データに基づいて、前記路面が凍結する可能性があるか否かを予測する凍結予測部を備える、
請求項1から3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記第1出力部が出力した前記路面温度データに基づいて、前記路面に対応する道路において熱中症が起こる可能性があるか否かを予測する熱中症予測部を備える、
請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記第1出力部が出力した前記車両の位置情報に基づいて、前記第1出力部が出力した前記路面温度データを地域ごとに記憶する記憶部と、
前記記憶部が記憶した前記路面温度データを前記地域ごとに出力する第2出力部と、を備える、
請求項1から5のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記施設は、住宅であり、
前記第1出力部が出力した前記施設温度データが示す前記住宅の窓の温度に基づいて、前記住宅が空き家か否かを判定する判定部を備える、
請求項1から6のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記判定部は、
地図データ及び前記第1出力部が出力した前記車両の位置情報に基づいて、
前記サーモグラフィーカメラが撮影したときの前記車両の位置と、前記サーモグラフィーカメラの撮影対象である前記住宅の位置との離間距離が所定距離未満である場合に、前記住宅が空き家か否かを判定する、
請求項7に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記第1取得部が取得した前記路面温度データに対し前記サーモグラフィーカメラの撮影対象が前記路面であることに対応した補正を行い、前記第1取得部が取得した前記施設温度データに対し前記サーモグラフィーカメラの撮影対象が前記施設であることに対応した補正を行う補正部を備え、
前記第1出力部は、前記補正部が補正した前記路面温度データ又は前記施設温度データを出力する、
請求項1から8のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記第1取得部が取得した前記路面温度データを補正する補正部と、
前記第1出力部が出力した前記路面温度データにおいて、同時期に異なる前記車両の前記サーモグラフィーカメラにより得られた前記路面温度データであり且つ同じ前記路面の前記路面温度データである重複路面温度データが存在する場合、前記重複路面温度データに写る前記路面の温度を推定する推定部と、を備え、
前記補正部は、
前記重複路面温度データが示す温度が、前記推定部が推定した前記路面の温度から所定温度以上離れる温度を示す場合、前記第1取得部が取得する前記路面温度データを補正し、
前記第1出力部は、前記補正部が補正した前記路面温度データを出力する、
請求項1から9のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記第1取得部が取得した前記施設温度データを補正する補正部と、
前記第1出力部が出力した前記施設温度データにおいて、同時期に異なる前記車両の前記サーモグラフィーカメラにより得られた前記施設温度データであり且つ同じ前記施設の前記施設温度データである重複施設温度データが存在する場合、前記重複施設温度データに写る前記施設の温度を推定する推定部と、を備え、
前記補正部は、
前記重複施設温度データが示す温度が、前記推定部が推定した前記施設の温度から所定温度以上離れる温度を示す場合、前記第1取得部が取得する前記施設温度データを補正し、
前記第1出力部は、前記補正部が補正した前記施設温度データを出力する、
請求項1から10のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項12】
車両に設けられサーモグラフィーカメラが路面又は施設を撮影する撮影ステップと、
前記路面の温度データである路面温度データ又は前記施設の温度データである施設温度データを、前記サーモグラフィーカメラから取得する第1取得ステップと、
前記サーモグラフィーカメラが撮影したときの前記車両の位置情報を取得する第2取得ステップと、
前記第1取得ステップで取得した前記路面温度データ又は前記施設温度データと、前記第2取得ステップで取得した前記車両の位置情報とを紐付けて出力する出力ステップと、を含む、
情報処理システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、及び情報処理システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラ等のセンサにより得られたデータを活用する技術が知られている。
例えば、特許文献1は、街頭に設置されたクライアントがセンサによって収集した街頭情報を用いて、街頭の混雑状況等を分析するシステムを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-60164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、街中等に存在する路面又は施設の温度データを種々の用途で活用したいという要望があるが、路面又は施設の温度データを活用するためには、路面又は施設の温度データを取得する必要がある。しかしながら、特許文献1記載のクライアントように温度を検出するセンサが定置のセンサであると、多数箇所で温度データを取得するためには多数箇所の各々にセンサを設ける必要があり、街中等に存在する路面又は施設の温度データを容易に取得できない。
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、街中等に存在する路面又は施設の温度データを容易に取得でき、且つ、取得した路面又は施設の温度データを適切に活用できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための一態様の情報処理システムは、車両に設けられ、路面又は施設を撮影するサーモグラフィーカメラと、前記路面の温度データである路面温度データ、又は前記施設の温度データである施設温度データを前記サーモグラフィーカメラから取得する第1取得部と、前記サーモグラフィーカメラが撮影したときの前記車両の位置情報を取得する第2取得部と、前記第1取得部が取得した前記路面温度データ又は前記施設温度データと、前記第2取得部が取得した前記車両の位置情報とを紐付けて出力する第1出力部と、を備える。
【0006】
上記情報処理システムにおいて、前記サーモグラフィーカメラは、前記車両の車室内に設けられ前記車両の後方を撮影するリアカメラである、構成としてもよい。
【0007】
上記情報処理システムにおいて、前記サーモグラフィーカメラは、前記車両に設けられ前記車両の後方を撮影する車外のリアカメラである、構成としてもよい。
【0008】
上記情報処理システムにおいて、前記第1出力部が出力した前記路面温度データに基づいて、前記路面が凍結する可能性があるか否かを予測する凍結予測部を備える、構成としてもよい。
【0009】
上記情報処理システムにおいて、前記第1出力部が出力した前記路面温度データに基づいて、前記路面に対応する道路において熱中症が起こる可能性があるか否かを予測する熱中症予測部を備える、構成としてもよい。
【0010】
上記情報処理システムにおいて、前記第1出力部が出力した前記車両の位置情報に基づいて、前記第1出力部が出力した前記路面温度データを地域ごとに記憶する記憶部と、前記記憶部が記憶した前記路面温度データを前記地域ごとに出力する第2出力部と、を備える、構成としてもよい。
【0011】
上記情報処理システムにおいて、前記施設は、住宅であり、前記第1出力部が出力した前記施設温度データが示す前記住宅の窓の温度に基づいて、前記住宅が空き家か否かを判定する判定部を備える、構成としてもよい。
【0012】
上記情報処理システムにおいて、前記判定部は、地図データ及び前記第1出力部が出力した前記車両の位置情報に基づいて、前記サーモグラフィーカメラが撮影したときの前記車両の位置と、前記サーモグラフィーカメラの撮影対象である前記住宅の位置との離間距離が所定距離未満である場合に、前記住宅が空き家か否かを判定する、構成としてもよい。
【0013】
上記情報処理システムにおいて、前記第1取得部が取得した前記路面温度データに対し前記サーモグラフィーカメラの撮影対象が前記路面であることに対応した補正を行い、前記第1取得部が取得した前記施設温度データに対し前記サーモグラフィーカメラの撮影対象が前記施設であることに対応した補正を行う補正部を備え、前記第1出力部は、前記補正部が補正した前記路面温度データ又は前記施設温度データを出力する、構成としてもよい。
【0014】
上記情報処理システムにおいて、前記第1取得部が取得した前記路面温度データを補正する補正部と、前記第1出力部が出力した前記路面温度データにおいて、同時期に異なる前記車両の前記サーモグラフィーカメラにより得られた前記路面温度データであり且つ同じ前記路面の前記路面温度データである重複路面温度データが存在する場合、前記重複路面温度データに写る前記路面の温度を推定する推定部と、を備え、前記補正部は、前記重複路面温度データが示す温度が、前記推定部が推定した前記路面の温度から所定温度以上離れる温度を示す場合、前記第1取得部が取得する前記路面温度データを補正し、前記第1出力部は、前記補正部が補正した前記路面温度データを出力する、構成としてもよい。
【0015】
上記情報処理システムにおいて、前記第1取得部が取得した前記施設温度データを補正する補正部と、前記第1出力部が出力した前記施設温度データにおいて、同時期に異なる前記車両の前記サーモグラフィーカメラにより得られた前記施設温度データであり且つ同じ前記施設の前記施設温度データである重複施設温度データが存在する場合、前記重複施設温度データに写る前記施設の温度を推定する推定部と、を備え、前記補正部は、前記重複施設温度データが示す温度が、前記推定部が推定した前記施設の温度から所定温度以上離れる温度を示す場合、前記第1取得部が取得する前記施設温度データを補正し、前記第1出力部は、前記補正部が補正した前記施設温度データを出力する、構成としてもよい。
【0016】
上記目的を達成するための別の一態様の情報処理システムの制御方法は、車両に設けられサーモグラフィーカメラが路面又は施設を撮影する撮影ステップと、前記路面の温度データである路面温度データ又は前記施設の温度データである施設温度データを、前記サーモグラフィーカメラから取得する第1取得ステップと、前記サーモグラフィーカメラが撮影したときの前記車両の位置情報を取得する第2取得ステップと、前記第1取得ステップで取得した前記路面温度データ又は前記施設温度データと、前記第2取得ステップで取得した前記車両の位置情報とを紐付けて出力する出力ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、街中等に存在する路面又は施設の温度データを容易に取得でき、且つ、取得した路面又は施設の温度データを適切に活用できるようになるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、情報処理システムの概要を示す説明図である。
図2図2は、情報処理システムの構成を示す図である。
図3図3は、情報処理システムの動作を示すフローチャートである。
図4図4は、情報処理システムの動作を示すフローチャートである。
図5図5は、情報処理システムの動作を示すフローチャートである。
図6図6は、情報処理システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[1.情報処理システムの概要]
図1を参照して、本実施形態の情報処理システム1000の概要を説明する。
本実施形態の情報処理システム1000では、車両1の車室内に設けられたサーモグラフィーカメラが、街中等に存在する道路Rの路面RA又は施設Fを撮影する。そして、情報処理システム1000では、サーモグラフィーカメラの撮影データを基づいて、地域アプリ211の利用者Uに各種情報を提供する。本実施形態では、施設Fとして住宅を例示する。
【0020】
なお、サーモグラフィーカメラの撮影データは、撮影対象の熱分布を表す画像データであり、撮影対象の温度データである。以下、サーモグラフィーカメラの撮影により得られた路面RAの温度データを、「路面温度データ」という。また、以下、サーモグラフィーカメラの撮影により得られた施設Fの温度データを、「施設温度データ」という。
【0021】
地域アプリ211は、対象地域に係わる情報を利用者Uに提供するアプリケーションプログラムである。対象地域に係わる情報としては、対象地域に存在する道路Rの路面温度データや、対象地域に存在する道路Rのうち路面RAが凍結する可能性のある道路Rの情報、対象地域に存在する道路Rのうち熱中症が起こる可能性のある道路Rの情報、対象地域に存在する空き家の情報等が挙げられる。なお、地域アプリ211が利用者Uに提供する情報は、これらに限定されず、対象地域で開催されるイベント等の他の情報が含まれてもよい。
【0022】
図1の例では、地域アプリ211の利用者Uとして、利用者U1、U2を示している。利用者U1は、地域Aの居住者であり、地域アプリ211がインストールされた利用者端末21を使用する。利用者端末21にインストールされた地域アプリ211は、地域Aに係わる情報を利用者U1に提供する。利用者U2は、地域Bの居住者であり、地域アプリ211がインストールされた利用者端末22を使用する。地域A、Bは、互いに異なる地域である。利用者端末22にインストールされた地域アプリ211は、地域Bに係わる情報を利用者U2に提供する。
【0023】
図1の例では、地域Aにおいて、車両1A、1Bがリアカメラ3によって撮影を行っている場合を示している。車両1Aの車室内には、車両1Aの後方を撮影するリアカメラ3Aが設けられている。リアカメラ3Aは、赤外線温度センサを搭載しており、サーモグラフィーカメラとして機能する。車両1Bの車室内には、車両1Bの後方を撮影するリアカメラ3Bが設けられている。リアカメラ3Bは、リアカメラ3Aと同様に、サーモグラフィーカメラとして機能する。
【0024】
図1の例では、サーモグラフィーカメラとして機能しているリアカメラ3Aが、地域Aに存在する道路R1の路面RA1を撮影している場合を示している。リアカメラ3Aの撮影データ、換言すると、路面RA1の路面温度データは、車両1Aの通信ユニット7Aによって、通信ネットワーク4を介して情報処理サーバ5に送信される。通信ネットワーク4は、データ通信ネットワークであればよく、公衆回線網を含む広域通信ネットワーク、LAN(Local Area Network)等が例として挙げられる。送信される路面RA1の路面温度データには、リアカメラ3Aが撮影したときの車両1Aの位置情報が紐付く。なお、路面RA1の路面温度データは、車両1Aの運転者D1が使用する運転者端末6Aを介して、情報処理サーバ5に送信されてもよい。
【0025】
また、図1の例では、サーモグラフィーカメラとして機能しているリアカメラ3Bが、地域Aに存在する施設F1の側面を撮影している。リアカメラ3Bの撮影範囲には、施設F1の窓Wが含まれる。リアカメラ3Bの撮影データ、換言すると、施設F1の施設温度データは、車両1Bの通信ユニット7Bによって、通信ネットワーク4を介して情報処理サーバ5に送信される。送信される施設F1の施設温度データには、リアカメラ3Bが撮影したときの車両1Bの位置情報が紐付く。なお、施設F1の施設温度データは、車両1Bの運転者D2が使用する運転者端末6Bを介して、情報処理サーバ5に送信されてもよい。
【0026】
図1の例では、地域Bにおいて、車両1C、1Dがリアカメラ3によって撮影を行っている場合を示している。車両1Cの車室内には、車両1Cの後方を撮影するリアカメラ3Cが設けられている。リアカメラ3Cは、リアカメラ3Aと同様に、サーモグラフィーカメラとして機能する。車両1Dの車室内には、車両1Dの後方を撮影するリアカメラ3Dが設けられている。リアカメラ3Dは、リアカメラ3Aと同様に、サーモグラフィーカメラとして機能する。
【0027】
図1の例では、サーモグラフィーカメラとして機能しているリアカメラ3Cが、地域Bに存在する施設F2の側面を撮影している。リアカメラ3Cの撮影範囲には、施設F2の窓Wが含まれる。リアカメラ3Cの撮影データ、換言すると、施設F2の施設温度データは、車両1Cの通信ユニット7Cによって、通信ネットワーク4を介して情報処理サーバ5に送信される。送信される施設F2の施設温度データには、リアカメラ3Cが撮影したときの車両1Cの位置情報が紐付く。なお、施設F2の施設温度データは、車両1Cの運転者D3が使用する運転者端末6Cを介して、情報処理サーバ5に送信されてもよい。
【0028】
また、図1の例では、サーモグラフィーカメラとして機能しているリアカメラ3Dが、地域Bに存在する道路R2の路面RA2を撮影している。リアカメラ3Dの撮影データ、換言すると、路面RA2の路面温度データは、車両1Dの通信ユニット7Dによって通信ネットワーク4を介して情報処理サーバ5に送信される。送信される路面RA2の路面温度データには、リアカメラ3Dが撮影したときの車両1Dの位置情報が紐付く。なお、路面RA2の路面温度データは、車両1Dの運転者D4が使用する運転者端末6Dを介して情報処理サーバ5に送信されてもよい。
【0029】
[2.情報処理システムの構成]
次に、図2を参照して、情報処理システム1000の構成について説明する。
本実施形態の情報処理システム1000は、利用者端末2、車両1、及び情報処理サーバ5を備える。
【0030】
まず、利用者端末2の構成について説明する。
利用者端末2は、モバイルデバイス、或いはハンドヘルドコンピュータと呼ばれる携帯型のコンピュータであり、例えばスマートフォンである。
【0031】
図2で示すように、利用者端末2は、端末プロセッサ200、端末メモリ210、通信ユニット220、及びタッチパネル230を備える。
【0032】
端末プロセッサ200は、CPU(Central Processing Unit)やMPC(Micro-processing unit)等のプロセッサである。端末メモリ210が記憶する地域アプリ211を読み出して実行することにより、アプリ実行部201として機能する。
【0033】
端末メモリ210は、プログラムやデータを記憶するメモリである。端末メモリ210は、端末プロセッサ200が実行するプログラムや、端末プロセッサ200に処理されるデータを記憶する。端末メモリ210は、端末プロセッサ200が実行する地域アプリ211、その他の各種データを記憶する。端末メモリ210は、不揮発性の記憶領域を有する。また、端末メモリ210は、揮発性の記憶領域を備え、端末プロセッサ200のワークエリアを構成してもよい。
【0034】
通信ユニット220は、アンテナ、RF回路、エンコーダ、デコーダ等を有する無線通信装置を備える。通信ユニット220は、通信ネットワーク4を介して情報処理サーバ5とデータ通信を行う。
【0035】
タッチパネル230は、文字や画像を表示する液晶表示パネルと、液晶表示パネルへの接触を検出するタッチセンサーとが重畳された構成を有する。
【0036】
アプリ実行部201は、通信ユニット220を介して、情報処理サーバ5と通信する。アプリ実行部201は、情報処理サーバ5から地域に係わる情報を受信し、受信した地域に係わる情報をタッチパネル230によって表示する。これにより、地域に係わる情報が利用者Uに提供される。
【0037】
次に、車両1の構成について説明する。
車両1は、車載装置10、通信ユニット7、タッチパネル120、リアカメラ3、GNSS(Global Navigation Satellite System)130、及び方位センサ140を備える。
【0038】
車載装置10は、車両1に搭載された装置である。車載装置10は、車両1に設けられるタッチパネル120を備える装置であり、例えば、ディスプレイオーディオ(DA)と呼ばれる装置、或いはカーナビゲーション装置である。
【0039】
図2で示すように、車載装置10は、CPUやMPC等のプロセッサである車載プロセッサ100、及びプログラムやデータを記憶するメモリである車載メモリ110を備える。
【0040】
車載プロセッサ100は、車載メモリ110が記憶する制御用プログラム111を読み出して実行することにより、撮影制御部101、撮影データ取得部102、補正部103、現在位置取得部104、及び車載通信制御部106として機能する。
撮影データ取得部102は、第1取得部の一例に対応する。現在位置取得部104は、第2取得部の一例に対応する。車載通信制御部106は、第1出力部の一例に対応する。
【0041】
車載メモリ110は、車載プロセッサ100が実行するプログラムや、車載プロセッサ100に処理されるデータを記憶する。車載メモリ110は、車載プロセッサ100が実行する制御用プログラム111、その他の各種データを記憶する。車載メモリ110は、不揮発性の記憶領域を有する。また、車載メモリ110は、揮発性の記憶領域を備え、車載プロセッサ100のワークエリアを構成してもよい。
【0042】
車載プロセッサ100には、通信ユニット7、タッチパネル120、リアカメラ3、GNSS130、及び方位センサ140が接続する。なお、車載プロセッサ100に接続するデバイスは、これらデバイスに限定されず、例えばフロントカメラ等の他のデバイスが接続してもよい。
【0043】
通信ユニット7は、アンテナ、RF回路、エンコーダ、デコーダ等を有する無線通信装置を備える。通信ユニット7は、情報処理サーバ5とデータ通信を実行する。
【0044】
タッチパネル120は、文字や画像を表示する液晶表示パネルと、液晶表示パネルへの接触を検出するタッチセンサーとが重畳された構成を有し、例えば、車両1のダッシュボードに設置される。
【0045】
リアカメラ3は、車両1の車室内に設けられ、リアガラスを介して路面RA又は施設Fを撮影する。
【0046】
GNSS130は、車両1の現在位置を測位する。車両1が不図示のカーナビゲーションシステムを搭載している場合、GNSS130として、カーナビゲーション装置が備えるGPS(Global Positioning System)ユニット等を利用してもよい。
【0047】
方位センサ140は、車両1の向きを検出する。方位センサ140は、車両1の向きを示す方位情報を車載プロセッサに出力する。
【0048】
上述したように、車載プロセッサ100は、撮影制御部101、撮影データ取得部102、補正部103、現在位置取得部104、方位取得部105、及び車載通信制御部106として機能する。
【0049】
撮影制御部101は、リアカメラ3の撮影のオンオフを制御する。また、撮影制御部101は、リアカメラ3をサーモグラフィーカメラとして機能させる。撮影制御部101は、撮影対象の温度データを取得するためにリアカメラ3をサーモグラフィーカメラとして機能させる。また、撮影制御部101は、車両1が後退する際に、車両1の後方に存在する物体(人や、他車両等)を検出するデバイスとして、リアカメラ3をサーモグラフィーカメラとして機能させる。これにより、夜間や悪天候時において車両1が後退する際に、車両1の運転者を支援できる。
【0050】
撮影データ取得部102は、リアカメラ3から撮影データを取得する。リアカメラ3がサーモグラフィーカメラとして機能する場合、撮影データ取得部102は、リアカメラ3から温度データを取得する。本実施形態において、サーモグラフィーカメラとして機能するリアカメラ3は、路面RA又は施設Fを撮影する。よって、撮影データ取得部102は、サーモグラフィーカメラとして機能するリアカメラ3から、路面温度データ又は施設温度データを取得する。撮影データ取得部102は、リアカメラ3から取得した路面温度データ又は施設温度データを、補正部103に出力する。
【0051】
補正部103は、撮影データ取得部102が路面温度データを出力した場合、サーモグラフィーカメラの撮影対象が路面RAであることに対応する補正を行う。例えば、補正部103は、路面温度データを、α℃下げた温度データにする補正を行う。
補正部103は、撮影データ取得部102が施設温度データを出力した場合、サーモグラフィーカメラの撮影対象が施設Fであることに対応する補正を行う。例えば、補正部103は、施設温度データを、β℃下げた温度データにする補正を行う。
補正部103が補正する温度は、予め適切に定められていて、車載メモリ110に情報として記録されている。
補正部103は、補正後の温度データを車載通信制御部106に出力する。
【0052】
なお、補正部103は、撮影データ取得部102が取得した温度データが路面温度データであるか施設温度データであるかを、温度データに写る像から判断してもよいし、撮影データ制御部102が撮影対象に対応した識別情報を付している場合、この識別情報から判断してもよい。
【0053】
現在位置取得部104は、GNSS130から車両1の現在位置を示す位置情報を取得することで、車両1の現在位置を取得する。現在位置取得部104は、リアカメラ3が撮影したときの車両1の現在位置を示す位置情報を取得する。現在位置取得部104は、取得した位置情報を車載通信制御部106に出力する。
【0054】
方位取得部105は、方位センサ140から車両1の向きを示す方位情報を取得ることで、車両1の方位を取得する。方位取得部105は、リアカメラ3が撮影したときの車両1の方位を示す方位情報を取得する。方位取得部105は、取得した方位情報を車載通信制御部106に出力する。
【0055】
車載通信制御部106は、通信ユニット7を介して情報処理サーバ5と通信する。車載通信制御部106は、補正部103が出力した路面温度データ又は施設温度データと、現在位置取得部104が出力した車両1の位置情報と、方位取得部105が出力した車両1の方位情報とを紐付けて、情報処理サーバ5に送信する。
【0056】
次に、情報処理サーバ5の構成について説明する。
情報処理サーバ5は、情報処理を行うサーバ装置である。なお、情報処理サーバ5を、1つのブロックによって表現するが、これは必ずしも情報処理サーバ5が単一のサーバ装置により構成されることを意味するものではない。例えば情報処理サーバ5は、処理内容が異なる複数のサーバ装置を含んで構成されてもよい。
【0057】
情報処理サーバ5は、CPUやMPC等のプロセッサであるサーバプロセッサ500、プログラムやデータを記憶するメモリであるサーバメモリ510、及び通信ユニット520を備える。
サーバメモリ510は、記憶部の一例に対応する。
【0058】
サーバプロセッサ500は、サーバメモリ510が記憶する制御用プログラム511を読み出して実行することにより、受信部501、凍結予測部502、熱中症予測部503、判定部504、データベース処理部505、及び送信部506として機能する。
送信部506は、第2出力部の一例に対応する。
【0059】
サーバメモリ510は、サーバプロセッサ500が実行するプログラムや、サーバプロセッサ500に処理されるデータを記憶する。サーバメモリ510は、サーバプロセッサ500が実行する制御用プログラム511、利用者DB(database)512、路面温度DB513、施設温度DB514、凍結予測DB515、熱中症予測DB516、空き家DB517、地図データ518、その他の各種データを記憶する。サーバメモリ510は、不揮発性の記憶領域を有する。また、サーバメモリ510は、揮発性の記憶領域を備え、サーバプロセッサ500のワークエリアを構成してもよい。
【0060】
利用者DB512は、地域アプリ211の利用者Uごとに、利用者Uの情報が記録されている。利用者Uの情報は、利用者Uが居住する地域の情報や、利用者Uの名前の情報、利用者Uの年齢の情報、利用者端末2と通信するための通信情報等を含む。
【0061】
路面温度DB513は、路面RAの温度の情報が記録されている。路面RAの温度の情報は、リアカメラ3により得られた路面温度データや、この路面温度データをリアカメラ3により得られたときの車両1の位置情報、この路面温度データが得られた地域の情報等を含む。
【0062】
施設温度DB514は、施設Fの温度の情報が記録されている。施設Fの温度の情報は、リアカメラ3により得られた施設温度データや、この施設温度データに写る施設Fの位置情報、この施設温度データに写る施設Fが存在する地域の情報等を含む。施設Fの位置情報は、例えば施設Fの住所の情報である。
【0063】
凍結予測DB515は、路面RAが凍結する可能性がある道路Rに係わる情報が記録されている。凍結予測DB515に記録されている道路Rの情報は、路面RAが凍結する可能性がある道路Rの識別情報(例えば、道路Rの名称等)、及び、路面RAが凍結する可能性がある道路Rが存在する地域の情報を含む。凍結予測DB515は、適切に更新される。
【0064】
熱中症予測DB516は、熱中症が起こる可能性がある道路Rの情報が記録されている。熱中症予測DB516に記録されている道路Rの情報は、熱中症が起こる可能性がある道路Rの識別情報(例えば、道路Rの名称等)、及び、熱中症が起こる可能性がある道路Rが存在する地域の情報を含む。
【0065】
空き家DB517は、空き家と判定された施設Fの情報が記録されている。空き家DB517に記録される施設Fの情報は、空き家と判定された施設Fの位置情報や、空き家と判定された施設Fが存在する地域の情報を含む。
【0066】
地図データ518は、道路地図情報や、各種施設等の施設情報、マップマッチング用のデータ等を格納するデータである。道路地図情報は、地図上の道路を線で表現した道路ネットワークからなり、交差点や分岐点等をノードとして複数の部分に分割し、各ノード間の部分をリンクとして規定したリンクに関する情報を含む。施設情報は、施設の位置(緯度、経度)や、施設の名称等を示す。
【0067】
通信ユニット520は、アンテナ、RF回路、エンコーダ、デコーダ等を有する無線通信装置を備える。通信ユニット520は、通信ネットワーク4を介して車両1の通信ユニット7及び利用者端末2とデータ通信を行う。
【0068】
上述した通り、サーバプロセッサ500は、受信部501、凍結予測部502、熱中症予測部503、判定部504、データベース処理部505、及び送信部506として機能する。
【0069】
受信部501は、通信ユニット520を介して、車両1の通信ユニット7と通信する、受信部501は、車両1の位置情報が紐付いた路面温度データ又は施設温度データを、車両1の通信ユニット7から受信する。受信部501は、受信した路面温度データ又は施設温度データを、データベース処理部505に出力する。
【0070】
凍結予測部502は、受信部501が路面温度データを受信した場合、受信した路面温度データに基づいて、路面RAが凍結する可能性があるか否かを予測する。
例えば、凍結予測部502は、路面温度データが示す熱分布の画像において、所定温度(例えば0℃)以下の温度を示す領域が予め定められた閾値以上ある場合、路面RAが凍結する可能性があると予測し、所定温度(例えば0℃)以下の温度を示す領域が当該閾値未満である場合、路面RAが凍結する可能性がないと予測する。
次いで、凍結予測部502は、路面RAが凍結する可能性があると予測した場合、地図データ518、及び、処理対象の路面温度データに紐付く車両1の位置情報に基づいて、路面RAが凍結する可能性があると予測した道路R、及びこの道路Rが存在する地域を特定する。そして、凍結予測部502は、特定した道路R及び地域の情報を含む予測結果をデータベース処理部505に出力する。
【0071】
熱中症予測部503は、受信部501が路面温度データを受信した場合、受信した路面温度データに基づいて、路面RAの道路Rで熱中症が起こる可能性があるか否かを予測する。
例えば、熱中症予測部503は、路面温度データが示す熱分布において、所定温度(例えば31℃)以上の温度を示す領域が予め定められた閾値以上ある場合、熱中症が起こる可能性があると予測し、所定温度(例えば31℃)以上の温度を示す領域が当該閾値未満である場合、熱中症が起こる可能性がないと予測する。
次いで、熱中症予測部503は、熱中症が起こる可能性があると予測した場合、地図データ518、及び、処理対象の路面温度データに紐付く車両1の位置情報に基づいて、熱中症が起こる可能性があると予測した道路R、及びこの道路Rが存在する地域を特定する。そして、熱中症予測部503は、特定した道路R及び地域の情報を含む予測結果をデータベース処理部505に出力する。
【0072】
判定部504は、受信部501が施設温度データを受信した場合、受信部501が受信した施設温度データ、この施設温度データに紐付く車両1の位置情報、この施設温度データに紐付く車両1の方位情報、施設温度DB514、及び地図データ518に基づいて、受信した施設温度データに写る施設Fが空き家か否かを判定する。
例えば、判定部504は、受信部501が受信した施設温度データ、この施設温度データに紐付く車両1の位置情報、この施設温度データに紐付く車両1の方位情報、及び地図データ518に基づいて、この施設温度データに写る施設Fの位置情報を取得する。そして、判定部504は、取得した施設Fの位置情報と同じ或いは近い(例えば離間距離が1メートル未満)位置情報が紐付く施設温度データを、施設温度DB514から取得する。そして、判定部504は、受信した施設温度データを含む複数の施設温度データを比較して、施設Fの窓Wの温度変化が所定範囲内(例えば、5℃以内)である場合、受信した施設温度データに写る施設Fが空き家であると判定する。そして、判定部504は、空き家であると判定した施設Fの位置及びこの施設Fが存在する地域を、地図データ518から特定し、特定した位置及び地域の情報をデータベース処理部505に出力する。
【0073】
データベース処理部505は、各種データベースに対して記録及び消去を行う。
データベース処理部505は、受信部501が出力した温度データが路面温度データである場合、地図データ518と、受信部501が出力した路面温度データに紐付く車両1の位置情報とに基づいて、この路面温度データが示す路面RAが存在する地域を特定する。そして、データベース処理部505は、特定した地域の情報、受信部501が出力した路面温度データ、及びこの路面温度データに紐付く車両1の位置情報を対応付けて、路面温度DB513に記録する。
【0074】
データベース処理部505は、受信部501が出力した温度データが施設温度データである場合、地図データ518と、受信部501が出力した施設温度データに紐付く車両1の位置情報とに基づいて、この施設温度データが示す施設Fの位置情報、及び、この施設Fが存在する地域を特定する。そして、データベース処理部505は、特定した地域の情報、受信部501が出力した施設温度データ、及びこの施設温度データが示す施設Fの位置情報を対応付けて、施設温度DB514に記録する。
【0075】
データベース処理部505は、凍結予測部502から出力された予測結果を凍結予測DB515に記録する。
【0076】
データベース処理部505は、熱中症予測部503から出力された予測結果を熱中症予測DB516に記録する。
【0077】
データベース処理部505は、判定部504が出力した住所及地域の情報を、空き家DB517に記録する。
【0078】
送信部506は、通信ユニット520を介して、地域アプリ211がインストールされた利用者端末2に地域に係わる情報を送信する。
【0079】
送信部506は、路面温度データを要求する路面温度要求情報を利用者端末2から受信する。路面温度要求情報には、送信元の利用者端末2にインストールされた地域アプリ211の対象地域を示す情報が含まれる。送信部506は、路面温度要求情報が示す対象地域の路面温度データを路面温度DB513から取得し、路面温度要求情報の応答として、取得した路面温度データを利用者端末2に送信する。
【0080】
送信部506は、路面RAが凍結する可能性のある道路Rの情報を要求する凍結道路要求情報を利用者端末2から受信する。凍結道路要求情報には、送信元の利用者端末2にインストールされた地域アプリ211の対象地域を示す情報が含まれる。送信部506は、凍結道路要求情報が示す対象地域の道路Rの情報を凍結予測DB515から取得し、凍結道路要求情報の応答として、取得した道路Rの情報を利用者端末2に送信する。
【0081】
送信部506は、熱中症が発生する可能性のある道路Rの情報を要求する熱中症道路要求情報を利用者端末2から受信する。熱中症道路要求情報には、送信元の利用者端末2にインストールされた地域アプリ211の対象地域を示す情報が含まれる。送信部506は、熱中症道路要求情報が示す対象地域の道路Rの情報を熱中症予測DB516から取得し、熱中症道路要求情報の応答として、取得した道路Rの情報を利用者端末2に送信する。
【0082】
送信部506は、空き家の情報(本実施形態では、空き家の位置情報)を要求する空き家要求情報を利用者端末2から受信する。空き家要求情報には、送信元の利用者端末2にインストールされた地域アプリ211の対象地域を示す情報が含まれる。送信部506は、空き家要求情報が示す対象地域に存在する空き家の情報を空き家DB517から取得し、空き家要求情報の応答として、取得した空き家の情報を利用者端末2に送信する。
【0083】
[3.情報処理システム1000の動作]
次に、情報処理システム1000の動作について説明する。
まず、サーモグラフィーカメラとして機能するリアカメラ3が、路面RAを撮影する場合の情報処理システム1000の動作について説明する。
【0084】
図3は、情報処理システム1000の動作を示すフローチャートである。
図3において、フローチャートFAは車両1の動作を示し、フローチャートFBは情報処理サーバ5の動作を示す。図3に示すフローチャートでは、リアカメラ3がサーモグラフィーカメラとして機能している。
【0085】
フローチャートFAで示すように、車両1のリアカメラ3は、撮影制御部101の制御に従って、道路Rの路面RAを撮影する(ステップSA1)。ステップSA1は、撮影ステップの一例に対応する。
【0086】
次いで、車載装置10の撮影データ取得部102は、リアカメラ3から路面温度データを取得する(ステップSA2)。ステップSA2は、第1取得ステップの一例に対応する。
【0087】
次いで、現在位置取得部104は、リアカメラ3が撮影したときの車両1の位置情報をGNSS130から取得する(ステップSA3)。ステップSA3は、第2取得ステップの一例に対応する。
【0088】
次いで、方位取得部105は、リアカメラ3が撮影したときの車両1の方位情報を方位センサ140から取得する(ステップSA4)。
【0089】
次いで、撮影データ取得部102は、ステップSA2で取得した路面温度データを補正部103に出力する(ステップSA5)。
【0090】
次いで、補正部103は、路面温度データを補正する(ステップSA6)。
【0091】
次いで、車載通信制御部106は、ステップSA6で補正された路面温度データに、ステップSA3で取得された車両1の位置情報とステップSA4で取得された車両1の方位情報とを紐付けて、情報処理サーバ5に送信する(ステップSA7)。ステップSA7は、出力ステップの一例に対応する。
【0092】
フローチャートFBで示すように、情報処理サーバ5の受信部501は、路面温度データと車両1の位置情報と車両1の方位情報とを車両1から受信する(ステップSB1)。
【0093】
次いで、データベース処理部505は、ステップSB1で受信された路面温度データと車両1の位置情報とを、路面温度DB513に記録する(ステップSB2)。
【0094】
次いで、凍結予測部502は、ステップSB1で受信された路面温度データに基づいて、この路面RAが凍結する可能性があるか否かを予測する(ステップSB3)。
【0095】
次いで、データベース処理部505は、凍結予測部502が、路面RAが凍結する可能性があると予測したか否かを判定する(ステップSB4)。
【0096】
データベース処理部505は、路面RAが凍結する可能性がないと凍結予測部502が予測したと判定した場合(ステップSB4:NO)、サーバプロセッサ500は、処理をステップSB6に進める。
【0097】
一方、データベース処理部505は、路面RAが凍結する可能性があると凍結予測部502が予測したと判定した場合(ステップSB4:YES)、データベース処理部505は、凍結予測部502が出力した予測結果を、凍結予測DB515に記録する(ステップSB5)。
【0098】
次いで、熱中症予測部503は、ステップSB1で受信された路面温度データに基づいて、この路面RAに対応する道路Rにおいて熱中症が起こる可能性があるか否かを予測する(ステップSB6)。
【0099】
次いで、データベース処理部505は、熱中症が起こる可能性があると熱中症予測部503が予測したか否かを判定する(ステップSB7)。
【0100】
データベース処理部505が、熱中症が起こる可能性がない熱中症予測部503が予測したと判定した場合(ステップSB7:NO)、サーバプロセッサ500は、処理を終了する。
【0101】
一方、データベース処理部505は、熱中症が発生する可能性があると熱中症予測部503が予測したと判定した場合(ステップSB7:YES)、熱中症予測部503が出力した予測結果を、熱中症予測DB516に記録する(ステップSB8)。
【0102】
図3の動作について図1を参照して具体的に説明する。
車両1Aは、路面RA1の路面温度データと車両1Aの位置情報と車両1Aの方位情報とを情報処理サーバ5に送信する。そして、情報処理サーバ5は、路面RA1の路面温度データと、車両1Aの位置情報と、地域Aの情報とを対応付けて、路面温度DB513に記録する。そして、路面RA1が凍結する可能性があると予測された場合、凍結予測DB515には、道路R1の情報と地域Aの情報が記録される。また、道路R1において熱中症が起こる可能性があると予測された場合、熱中症予測DB516には、道路R1の情報と地域Aの情報が記録される。
車両1Dは、路面RA2の路面温度データと車両1Dの位置情報と車両1Dの方位情報とを情報処理サーバ5に送信する。そして、情報処理サーバ5は、路面RA2の路面温度データと、車両1Dの位置情報と、地域Bの情報とを対応付けて、路面温度DB513に記録する。そして、路面RA2が凍結する可能性があると予測された場合、凍結予測DB515には、道路R2の情報と地域Bの情報が記録される。また、道路R2において熱中症が起こる可能性があると予測された場合、熱中症予測DB516には、道路R2の情報と地域Bの情報が記録される。
【0103】
次に、サーモグラフィーカメラとして機能するリアカメラ3が、施設Fを撮影する場合の情報処理システム1000の動作について説明する。
【0104】
図4は、情報処理システム1000の動作を示すフローチャートである。
図4において、フローチャートFCは車両1の動作を示し、フローチャートFDは情報処理サーバ5の動作を示す。図4に示すフローチャートでは、リアカメラ3がサーモグラフィーカメラとして機能している。
【0105】
フローチャートFCで示すように、車両1のリアカメラ3は、撮影制御部101の制御に従って、施設Fを撮影する(ステップSC1)。ステップSC1は、撮影ステップの一例に対応する。
【0106】
次いで、車載装置10の撮影データ取得部102は、リアカメラ3から施設温度データを取得する(ステップSC2)。ステップSC2は、第1取得ステップの一例に対応する。
【0107】
次いで、現在位置取得部104は、リアカメラ3が撮影したときの車両1の位置情報をGNSS130から取得する(ステップSC3)。ステップSC3は、第2取得ステップの一例に対応する。
【0108】
次いで、方位取得部105は、リアカメラ3が撮影したときの車両1の方位情報を方位センサ140から取得する(ステップSC4)。
【0109】
次いで、撮影データ取得部102は、取得した施設温度データを補正部103に出力する(ステップSC5)。
【0110】
次いで、補正部103は、施設温度データを補正する(ステップSC6)。
【0111】
次いで、車載通信制御部106は、ステップSC6で補正された施設温度データに、ステップSC3で取得された車両1の位置情報とステップSC4で取得された車両1の方位情報とを紐付けて、情報処理サーバ5に送信する(ステップSC7)。ステップSC7は、出力ステップの一例に対応する。
【0112】
フローチャートFDで示すように、情報処理サーバ5の受信部501は、施設温度データと車両1の位置情報と車両1の方位情報とを車両1から受信する(ステップSD1)。
【0113】
次いで、データベース処理部505は、ステップSB1で受信された施設温度データと車両1の位置情報とを、施設温度DB514に記録する(ステップSD2)。
【0114】
次いで、判定部504は、地図データ518及び車両1の方位情報を参照して、ステップSD1で受信された温度データに紐付く車両1の位置情報が示す車両1の位置と、ステップSD1で受信された温度データに写る施設Fの位置との離間距離が、所定距離未満であるか否かを判定する(ステップSD3)。
【0115】
判定部504が、車両1の位置と施設Fの位置との離間距離が所定距離以上であると判定した場合(ステップSD3:NO)、サーバプロセッサ500は、処理を終了する。
【0116】
一方、判定部504は、車両1の位置と施設Fの位置との離間距離が所定距離未満であると判定した場合(ステップSD3:YES)、ステップSD1で受信した施設温度データに写る施設Fが空き家であるか否かを判定する(ステップSD4)。
【0117】
判定部504が、ステップSD1で受信した施設温度データに写る施設Fが空き家でないと判定した場合(ステップSDB4:NO)、サーバプロセッサ500は、処理を終了する。
【0118】
一方、判定部504が、ステップSD1で受信した施設温度データに写る施設Fが空き家であると判定した場合(ステップSD4:YES)、データベース処理部505は、空き家であると判定した住宅の情報を空き家DB517に記録する(ステップSD5)。
【0119】
図4の動作について図1を参照して具体的に説明する。
車両1Bは、施設F1の施設温度データと車両1Bの位置情報と車両1Bの方位情報とを情報処理サーバ5に送信する。そして、情報処理サーバ5は、施設F1の施設温度データと、施設F1の位置情報と、地域Aの情報とを対応付けて、施設温度DB514に記録する。そして、施設F1が空き家であると判定部504が判定した場合、空き家DB517には、施設F1の住所の情報と地域Aの情報が記録される。
車両1Cは、施設F2の施設温度データと車両1Cの位置情報とを情報処理サーバ5に送信する。そして、情報処理サーバ5は、施設F2の施設温度データと、車両1Cの位置情報と、地域Bの情報とを対応付けて、施設温度DB514に記録する。そして、施設F2が空き家であると判定部504が判定した場合、空き家DB517には、施設F2の位置情報と地域Bの情報が記録される。
【0120】
次に、情報処理サーバ5が利用者Uに地域に係わる情報を提供する場合の動作について説明する。
【0121】
図5は、情報処理システム1000の動作を示すフローチャートである。
図5において、フローチャートFEは情報処理サーバ5の動作を示し、フローチャートFFは利用者端末2の動作を示す。
【0122】
フローチャートFFで示すように、利用者端末2のアプリ実行部201は、要求情報を情報処理サーバ5に送信する(ステップSF1)。
【0123】
ステップSF1において、アプリ実行部201は、路面温度要求情報、凍結道路要求情報、熱中症道路要求情報、及び空き家要求情報のいずれかの要求情報を情報処理サーバ5に送信する。
【0124】
フローチャートFEで示すように、情報処理サーバ5の受信部501は、利用者端末2から要求情報を受信する(ステップSE1)。
【0125】
次いで、情報処理サーバ5の送信部506は、ステップSE1で受信した要求情報の応答として利用者端末2に送信する情報をデータベースから取得する(ステップSE2)。
【0126】
ステップSE2において、ステップSE1で受信した要求情報が路面温度要求情報である場合、送信部506は、路面温度要求情報が示す対象地域の路面温度データを路面温度DB513から取得する。
また、ステップSE2において、ステップSE1で受信した要求情報が凍結道路要求情報である場合、送信部506は、凍結道路要求情報が示す対象地域の道路Rの情報を凍結予測DB515から取得する。
また、ステップSE2において、ステップSE1で受信した要求情報が熱中症道路要求情報である場合、送信部506は、熱中症道路要求情報が示す対象地域の道路Rの情報を熱中症予測DB516から取得する。
また、ステップSE2において、ステップSE1で受信した要求情報が空き家要求情報である場合、送信部506は、空き家要求情報が示す対象地域に存在する空き家の情報を熱中症予測DB516から取得する。
【0127】
次いで、送信部506は、ステップSE2で取得した情報を要求情報の応答として利用者端末2に送信する(ステップSE3)。
【0128】
フローチャートFFで示すように、利用者端末2のアプリ実行部201は、要求情報の応答を受信し(ステップSF2)、応答として送信された情報をタッチパネル230に表示させる(ステップSF3)。
【0129】
ステップSF3において、ステップSF1で路面温度要求情報を送信した場合、アプリ実行部201は、対象地域の路面温度データを表示する。
また、ステップSF3において、ステップSF1で凍結道路要求情報を送信した場合、アプリ実行部201は、対象地域の道路Rのうち路面RAが凍結する可能性のある道路Rの情報を表示する。
また、ステップSF3において、ステップSF1で熱中症道路要求情報を送信した場合、アプリ実行部201は、対象地域の道路Rのうち熱中症が起こる可能性のある道路Rの情報を表示する。
また、ステップSF3において、ステップSF1で空き家要求情報を送信した場合、アプリ実行部201は、対象地域に存在する空き家の情報を表示する。
【0130】
[4.他の実施形態]
他の実施形態では、補正部103が情報処理サーバ5から送信された補正データに基づいて、路面温度データ及び施設温度データを補正する。図6を参照して、この他の実施形態について説明する。
【0131】
図6は、他の実施形態における情報処理システム1000の構成を示す図である。図6の説明において、上述した実施形態の各部の構成要素と同じ構成要素については、同一の符号を付して詳細な説明を適宜に省略する。図6図2とを比較して明らかな通り、サーバプロセッサ500は、図2に示す各機能部に加えて、推定部507、及び補正制御部508として機能する。
【0132】
推定部507は、路面温度DB513を参照して、同時期に(例えば、時間幅が10分以内)異なる車両1のリアカメラ3により得られた路面温度データであり、且つ、同じ路面Rの路面温度データが存在するか否かを判定する。この路面温度データを、「重複路面温度データ」という。推定部507は、路面撮影データが送信された車両1を所定の方法で識別し、また、路面撮影データが得られた撮影タイミングを所定の方法で認識して、重複路面温度データが存在するか否かの判定を行う。推定部507は、重複路面温度データが存在すると判定した場合、判定された重複路面温度データが示す路面R周辺の外気温の情報を外部サーバから取得する。そして、推定部507は、取得した外気温の情報、及び重複路面温度データが示す温度に基づいて、重複路面温度データが示す路面Rの温度を推定する。
【0133】
また、推定部507は、施設温度DB514を参照して、同時期に(例えば、時間幅が10分以内)異なる車両1のリアカメラ3により得られた施設温度データであり、且つ、同じ施設Fの施設温度データが存在するか否かを判定する。この施設温度データを、「重複施設温度データ」という。推定部507は、施設撮影データが送信された車両1を所定の方法で識別し、また、施設撮影データが得られた撮影タイミングを所定の方法で認識して、重複施設温度データが存在するか否かの判定を行う。推定部507は、重複施設温度データが存在すると判定した場合、判定された重複施設温度データが示す施設F周辺の外気温の情報を外部サーバから取得する。そして、推定部507は、取得した外気温の情報、及び重複施設温度データに基づいて、重複施設温度データが示す施設Fの温度を推定する。
【0134】
補正制御部508は、重複路面温度データのうち、推定部507が推定した路面Rの温度から所定温度以上離れる温度を示す路面温度データがあるか否かを判定する。推定された路面Rの温度と比較される重複路面温度データが示す温度は、重複路面温度データが示す温度の平均温度でもよいし、最も低い温度でもよいし、最も高い温度でもよい。補正制御部508は、推定部507が推定した路面Rの温度から所定温度以上離れる温度を示す路面温度データがあると判定した場合、路面温度データを補正するための補正データである路面温度補正データを生成する。この路面温度補正データは、キャリブレーション用のデータであり、推定部507が推定した路面Rの温度から所定温度以上離れる温度を示す路面温度データと、推定部507が推定した路面Rの温度とに基づいて、生成される。補正制御部508は、通信ユニット520を介して、推定部507が推定した路面Rの温度から所定温度以上離れる温度を示す路面温度データを送信した車両1に、生成した路面温度補正データを送信する。
【0135】
また、補正制御部508は、重複施設温度データのうち、推定部507が推定した施設Fの温度から所定温度以上離れる温度を示す施設温度データがあるか否かを判定する。推定された施設Fの温度と比較される温度は、重複施設温度データが示す温度の平均温度でもよいし最も低い温度でもよいし最も高い温度でもよい。補正制御部508は、推定部507が推定した施設Fの温度から所定温度以上離れる温度を示す施設温度データがあると判定した場合、施設温度データを補正する施設温度補正データを生成する。この施設温度補正データは、キャリブレーション用のデータであり、推定部507が推定した路面Rの温度から所定温度以上離れる温度を示す施設温度データと、推定部507が推定した施設Fの温度とに基づいて、生成される。補正制御部508は、通信ユニット520を介して、推定部507が推定した施設Fの温度から所定温度以上離れる温度を示す施設温度データを送信した車両1に対して、生成した施設温度補正データを送信する。
【0136】
補正部103は、情報処理サーバ5から路面温度補正データを受信した場合、受信した路面温度補正データに基づいて、撮影データ取得部102が取得した路面温度データを補正する。例えば、受信した路面温度補正データがγ℃上げる補正内容を示す場合、補正部103は、撮影データ取得部102が取得した路面温度データを、γ℃上げた温度データに補正する。
【0137】
補正部103は、情報処理サーバ5から施設温度補正データを受信した場合、受信した施設温度補正データに基づいて、撮影データ取得部102が取得した施設温度データを補正する。例えば、受信した施設温度補正データがδ℃上げる補正内容を示す場合、補正部103は、撮影データ取得部102が取得した施設温度データを、δ℃上げた温度データに補正する。
【0138】
以上説明した他の実施形態によれば、車両1から送信される路面温度データ及び施設温度データを自動で補正できる。
【0139】
さて、他の実施形態の説明に戻り、上述した実施形態では、リアカメラ3として車両1の車室内に設けられるカメラを例示したが、リアカメラ3は、車両1の車外に設けられる車載カメラとしてもよい。
【0140】
上述した実施形態では、施設Fとして住宅を例示したが、施設Fは住宅に限定されず、住宅以外の建造物又は建築物でもよい。
【0141】
上述した実施形態では、第1出力部として車載通信制御部106を例示したが、第1出力部は、車載通信制御部106に限定されない。路面温度データ又は施設温度データを情報処理サーバ5に送信する送信元が、運転者Dが使用する運転者端末6である場合、運転者端末6、又は、運転者端末6のプロセッサの機能部のうち路面温度データ又は施設温度データを出力する機能部を第1出力部としてもよい。
【0142】
車載プロセッサ100、端末プロセッサ200、及びサーバプロセッサ500は、1又は複数のプロセッサで構成されてもよい。
【0143】
図2は、利用者端末2、車両1、及び情報処理サーバ5の機能構成を、主な処理内容により区分して示した概略図であり、利用者端末2、車両1、及び情報処理サーバ5の構成を限定するものではない。例えば、サーバプロセッサ500が備える構成要素の処理を、1つのハードウェアユニットにより実行してもよいし、複数のハードウェアユニットにより実行してもよい。車載プロセッサ100、及び端末プロセッサ200についても同様である。また、図3図5に示した各処理は、1つのプログラムにより実行されてもよいし、複数のプログラムにより実行されてもよい。
【0144】
サーバプロセッサ500が実行する制御用プログラム511は、可搬型の情報記録媒体に制御用プログラム511を記録させた状態で実現することも可能である。情報記録媒体は、ハードディスク等の磁気的記録媒体、CD等の光学的記録媒体、USB(Universal Serial Bus)メモリやSSD(Solid State Drive)等の半導体記憶デバイスが挙げられるが、その他の記録媒体を用いることも可能である。このことは、制御用プログラム111、及び地域アプリ211についても同様である。
【0145】
図3図5に示す動作のステップ単位は、情報処理システム1000の各部の動作の理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものであり、処理単位の分割の仕方や名称によって限定されることはない。処理内容に応じて、さらに多くのステップ単位に分割してもよい。また、1つのステップ単位がさらに多くの処理を含むように分割してもよい。また、そのステップの順番は適宜に入れ替えてもよい。
【0146】
[5.上記実施形態によりサポートされる構成]
上記実施形態は、以下の構成をサポートする。
【0147】
(構成1)車両に設けられ、車両に設けられ、路面又は施設を撮影するサーモグラフィーカメラと、前記路面の温度データである路面温度データ、又は前記施設の温度データである施設温度データを前記サーモグラフィーカメラから取得する第1取得部と、前記サーモグラフィーカメラが撮影したときの前記車両の位置情報を取得する第2取得部と、前記第1取得部が取得した前記路面温度データ又は前記施設温度データと、前記第2取得部が取得した前記車両の位置情報とを紐付けて出力する第1出力部と、を備える、情報処理システム。
構成1の情報処理システムによれば、車両の移動に伴ってサーモグラフィーカメラの撮影範囲を変えることができるため、1のサーモグラフィーカメラによって多数箇所の路面又は施設の温度データを取得できる。また、取得した温度データと車両の位置情報とが紐付いて出力されることでどの位置における温度データであるかを考慮して温度データを活用できるようになる。よって、街中等に存在する路面又は施設の温度データを容易に取得でき、且つ、取得した路面又は施設の温度データを適切に活用できるようになる。
【0148】
(構成2)前記サーモグラフィーカメラは、前記車両の車室内に設けられ前記車両の後方を撮影するリアカメラである、構成1に記載の情報処理システム。
一般に、フロントガラスには紫外線及び赤外線を抑制する加工が施されている一方で、リアガラスにはそのような加工が施されていないことが多い。よって、車室内に設けられたカメラを活用して路面又は施設の温度データを取得する場合、リアカメラであれば適切な温度データを取得できる。よって、構成2の情報処理システムによれば、車室内に設けられたカメラを活用して、正確な路面又は施設の温度データを取得できる。
【0149】
(構成3)前記サーモグラフィーカメラは、前記車両に設けられ前記車両の後方を撮影する車外のリアカメラである、構成1に記載の情報処理システム。
構成3の情報処理システムによれば、車外のリアカメラを活用して路面又は施設の温度データを取得できる。
【0150】
(構成4)前記第1出力部が出力した前記路面温度データに基づいて、前記路面が凍結する可能性があるか否かを予測する凍結予測部を備える、構成1から構成3のいずれか一項に記載の情報処理システム。
構成4の情報処理システムによれば、車両に設けられたサーモグラフィーカメラを用いて、路面が凍結する可能性があるか否かを予測できる。
【0151】
(構成5)前記第1出力部が出力した前記路面温度データに基づいて、前記路面に対応する道路において熱中症が起こる可能性があるか否かを予測する熱中症予測部を備える、構成1から構成4のいずれか一項に記載の情報処理システム。
構成5の情報処理システムによれば、車両に設けられたサーモグラフィーカメラを用いて、熱中症が起こる可能性があるか否かを予測できる。
【0152】
(構成6)前記第1出力部が出力した前記車両の位置情報に基づいて、前記第1出力部が出力した前記路面温度データを地域ごとに記憶する記憶部と、前記記憶部が記憶した前記路面温度データを前記地域ごとに出力する第2出力部と、を備える、構成1から構成5のいずれか一項に記載の情報処理システム。
構成6の情報処理システムによれば、車両に設けられたサーモグラフィーカメラを用いて、地域ごとの路面の温度データを出力できる。
【0153】
(構成7)前記施設は、住宅であり、前記第1出力部が出力した前記施設温度データが示す前記住宅の窓の温度に基づいて、前記住宅が空き家か否かを判定する判定部を備える、構成1から構成6のいずれか一項に記載の情報処理システム。
構成7の情報処理システムによれば、車両に設けられたサーモグラフィーカメラを用いて、住宅が空き家か否かを判定できる。
【0154】
(構成8)前記判定部は、地図データ及び前記第1出力部が出力した前記車両の位置情報に基づいて、前記サーモグラフィーカメラが撮影したときの前記車両の位置と、前記サーモグラフィーカメラの撮影対象である前記住宅の位置との離間距離が所定距離未満である場合に、前記住宅が空き家か否かを判定する、構成7に記載の情報処理システム。
サーモグラフィーカメラは、撮影対象との離間距離が大きければ大きいほど、温度データの正確性が低下する。構成8の情報処理システムによれば、車両1と撮影対象である住宅との離間距離が所定距離未満の場合に空き家か否かの判定が行われるため、正確性の高い温度データに基づいて空き家か否かを判定でき、精度良く温度データに写る住宅が空き家か否かを判定できる。
【0155】
(構成9)前記第1取得部が取得した前記路面温度データに対し前記サーモグラフィーカメラの撮影対象が前記路面であることに対応した補正を行い、前記第1取得部が取得した前記施設温度データに対し前記サーモグラフィーカメラの撮影対象が前記施設であることに対応した補正を行う補正部を備え、前記第1出力部は、前記補正部が補正した前記路面温度データ又は前記施設温度データを出力する、構成1から構成8のいずれか一項に記載の情報処理システム。
構成9の情報処理システムによれば、サーモグラフィーカメラの撮影対象に応じて温度データを補正できるため、正確な路面又は施設の温度データを活用できるようになる。
【0156】
(構成10)前記第1取得部が取得した前記路面温度データを補正する補正部と、前記第1出力部が出力した前記路面温度データにおいて、同時期に異なる前記車両の前記サーモグラフィーカメラにより得られた前記路面温度データであり且つ同じ前記路面の前記路面温度データである重複路面温度データが存在する場合、前記重複路面温度データに写る前記路面の温度を推定する推定部と、を備え、前記補正部は、前記重複路面温度データが示す温度が、前記推定部が推定した前記路面の温度から所定温度以上離れる温度を示す場合、前記第1取得部が取得する前記路面温度データを補正し、前記第1出力部は、前記補正部が補正した前記路面温度データを出力する、構成1から構成9のいずれか一項に記載の情報処理システム。
構成10の情報処理システムによれば、サーモグラフィーカメラにより得られた路面温度データを活用して、第1出力部が出力する路面温度データを自動で補正できる。そのため、正確な路面の温度データを簡単に活用できるようになる。
【0157】
(構成11)前記第1取得部が取得した前記施設温度データを補正する補正部と、前記第1出力部が出力した前記施設温度データにおいて、同時期に異なる前記車両の前記サーモグラフィーカメラにより得られた前記施設温度データであり且つ同じ前記施設の前記施設温度データである重複施設温度データが存在する場合、前記重複施設温度データに写る前記施設の温度を推定する推定部と、を備え、前記補正部は、前記重複施設温度データが示す温度が、前記推定部が推定した前記施設の温度から所定温度以上離れる温度を示す場合、前記第1取得部が取得する前記施設温度データを補正し、前記第1出力部は、前記補正部が補正した前記施設温度データを出力する、構成1から構成10のいずれか一項に記載の情報処理システム。
構成11の情報処理システムによれば、サーモグラフィーカメラにより得られた施設温度データを活用して、第1出力部が出力する施設温度データを自動で補正できる。そのため、正確な施設の温度データを簡単に活用できるようになる。
【0158】
(構成12)車両に設けられサーモグラフィーカメラが路面又は施設を撮影する撮影ステップと、前記路面の温度データである路面温度データ又は前記施設の温度データである施設温度データを、前記サーモグラフィーカメラから取得する第1取得ステップと、前記サーモグラフィーカメラが撮影したときの前記車両の位置情報を取得する第2取得ステップと、前記第1取得ステップで取得した前記路面温度データ又は前記施設温度データと、前記第2取得ステップで取得した前記車両の位置情報とを紐付けて出力する出力ステップと、を含む、情報処理システムの制御方法。
構成12の情報処理システムの制御方法によれば、構成1の情報処理システムと同様の作用効果を奏する。
【符号の説明】
【0159】
1、1A、1B、1C、1D…車両、2…利用者端末、3、3A、3B、3C、3D…リアカメラ、4…通信ネットワーク、5…情報処理サーバ、6、6A、6B、6C、6D…運転者端末、7、7A、7B、7C、7D…通信ユニット、10…車載装置、21、22…利用者端末、100…車載プロセッサ、101…撮影制御部、102…撮影データ取得部(第1取得部)、103…補正部、104…現在位置取得部(第2取得部)、105…方位取得部、106…車載通信制御部(第1出力部)、110…車載メモリ、111…制御用プログラム、120…タッチパネル、130…GNSS、140…方位センサ、200…端末プロセッサ、201…アプリ実行部、210…端末メモリ、211…地域アプリ、220…通信ユニット、230…タッチパネル、500…サーバプロセッサ、501…受信部、502…凍結予測部、503…熱中症予測部、504…判定部、505…データベース処理部、506…送信部(第2出力部)、507…推定部、508…補正制御部、510…サーバメモリ(記憶部)、511…制御用プログラム、518…地図データ、520…通信ユニット、1000…情報処理システム、A、B…地域、F、F1、F2…施設、R、R1、R2…道路、RA、RA1、RA2…路面、U、U1、U2…利用者、W…窓。
図1
図2
図3
図4
図5
図6