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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155193
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】ダイカスト用金型
(51)【国際特許分類】
   B22D 17/22 20060101AFI20221005BHJP
【FI】
B22D17/22 T
B22D17/22 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021058580
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142022
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一晃
(74)【代理人】
【識別番号】100196623
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 計介
(72)【発明者】
【氏名】四宮 慶人
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼久 伸男
(72)【発明者】
【氏名】橋本 知啓
(72)【発明者】
【氏名】飯島 正彦
(57)【要約】      (修正有)
【課題】スリーブの内面から剥離したチル層が溶湯とともにキャビティ内に流れ込むのを抑制可能なダイカスト用金型を提供する。
【解決手段】ダイカスト用金型は、固定型12と前記固定型と接触した型締め状態で前記固定型との間にキャビティ13を構成する可動型11とを有する。前記可動型は型締め状態で、前記固定型との間にスリーブから前記キャビティに繋がる溶湯流路Lの一部を構成する流路空間部15を形成する分流子16と、型締め状態で前記溶湯流路の一部を構成し且つ前記流路空間部の下流側端部32bから前記キャビティまで固定型と可動型との合わせ面に沿って延びる接続通路を構成する溝部11cとを有する。前記溝部は、その内面において、型締め状態で前記流路空間部を前記上流側端部32aから前記下流側端部に向かって見て、前記流路空間部の前記下流側端部と少なくとも一部が重なる位置に、前記溝部の内面に対して凹む凹部40を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線に沿って軸線方向に延びて内部をプランジャが前記軸線方向に移動可能な円筒状であり且つ前記内部に溶湯が注入されるスリーブを有する固定型と、
前記固定型と接触した型締め状態で前記固定型との間にキャビティを構成する可動型と、
を有するダイカスト用金型であって、
前記可動型は、
前記型締め状態で、前記固定型との間に、前記スリーブから前記キャビティに繋がる溶湯流路の一部を構成する流路空間部を形成する分流子と、
前記型締め状態で前記溶湯流路の一部を構成し且つ前記流路空間部の下流側端部から前記キャビティまで前記固定型と前記可動型との合わせ面に沿って延びる接続通路を構成する溝部と、
を有し、
前記溝部は、その内面において、前記型締め状態で前記流路空間部を上流側端部から前記下流側端部に向かって見て、前記流路空間部の前記下流側端部と少なくとも一部が重なる位置に、前記溝部の内面に対して凹む凹部を有する、
ダイカスト用金型。
【請求項2】
請求項1に記載のダイカスト用金型において、
前記流路空間部は、
前記型締め状態で、前記スリーブに対して前記プランジャによる前記溶湯の押し出し方向に位置する空間部と、
上流側端部が前記空間部の一部に繋がるとともに前記溶湯流路のうち前記空間部から前記キャビティに繋がる流路の一部を構成するランナと、
を有し、
前記凹部は、前記溝部の内面において、前記型締め状態で前記ランナを前記上流側端部から前記下流側端部に向かって見て、前記ランナの前記下流側端部と少なくとも一部が重なる位置に位置する、
ダイカスト用金型。
【請求項3】
請求項2に記載のダイカスト用金型において、
前記ランナの前記上流側端部の少なくとも一部は、前記型締め状態で前記空間部を前記軸線方向に見て、前記空間部に対して径方向外側の位置で接続されていて、
前記凹部は、前記溝部の内面において、前記型締め状態で前記ランナを前記上流側端部から前記下流側端部に向かって見て、前記ランナの前記下流側端部のうち前記軸線に対して最も近い部分と重なる位置よりも、前記接続通路の下流側に位置する、ダイカスト用金型。
【請求項4】
請求項3に記載のダイカスト用金型において、
前記ランナの前記上流側端部の少なくとも一部は、前記型締め状態で前記空間部を前記軸線方向に見て、前記空間部に対して径方向外側の位置で接続されていて、
前記凹部は、前記溝部の内面において、前記型締め状態で前記ランナを前記上流側端部から前記下流側端部に向かって見て、前記ランナの前記下流側端部のうち前記軸線に対して最も離れている部分と重なる位置よりも、前記接続通路の上流側に位置する、ダイカスト用金型。
【請求項5】
請求項3または4に記載のダイカスト用金型において、
前記ランナは、前記型締め状態で、前記空間部から前記接続通路に向かって、前記軸線に対して交差し且つ前記軸線に対して離れる方向に延びている、ダイカスト用金型。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一つに記載のダイカスト用金型において、
前記凹部は、前記接続通路に対して幅方向に延びている溝状である、ダイカスト用金型。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一つに記載のダイカスト用金型において、
前記凹部は、側面のうち前記接続通路の下流側に位置する部分に、前記接続通路に開口する開口部に向かうほど、前記側面のうち前記接続通路の上流側に位置する部分に対して下流側に離隔するテーパ部を有する、ダイカスト用金型。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一つに記載のダイカスト用金型において、
前記凹部は、前記接続通路に開口する開口部のうち前記接続通路の下流側の部分に、曲面部を有する、ダイカスト用金型。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一つに記載のダイカスト用金型において、
前記可動型と前記固定型との合わせ面は、上下方向に延びていて、
前記流路空間部は、前記スリーブにおける前記プランジャの押し出し方向の出口から前記合わせ面に向かって斜め上方向に延びていて、
前記溝部は、前記流路空間部の前記下流側端部から前記キャビティまで前記合わせ面に沿って上方向に延びていて、
前記凹部は、前記溝部の内面において、前記流路空間部を前記上流側端部から前記下流側端部に向かって見て前記流路空間部の前記下流側端部の上端部よりも下に位置する、
ダイカスト用金型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイカスト用金型に関する。
【背景技術】
【0002】
スリーブからキャビティに溶湯を注入してダイカスト製品を製造する際に用いられるダイカスト用金型が知られている。このようなダイカスト金型として、例えば特許文献1に開示されるダイカストスリーブが取り付けられる固定型と、前記固定型に対して移動可能な可動型とを有する金型が知られている。
【0003】
前記ダイカストスリーブは、内部を射出プランジャが移動可能である。前記ダイカストスリーブの内部には、溶湯が投入される。前記ダイカストスリーブ内で前記射出プランジャを金型に向かって前進させることにより、前記ダイカストスリーブ内の溶湯がキャビティ内に注入される。前記キャビティは、前記固定型と前記可動型とによって形成される空間である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-93441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記特許文献1のようにスリーブ内に溶湯を投入した後にプランジャによって前記スリーブ内の溶湯をキャビティ内に注入する場合、前記スリーブの内面に、前記溶湯の一部が凝固したチル層が形成される。このように前記スリーブの内面に前記チル層が形成された状態で、前記スリーブ内の溶湯を前記プランジャによって押し出すと、前記プランジャによって前記スリーブの内面から前記チル層が剥離して、該剥離した前記チル層が前記溶湯とともに前記スリーブ内から流れ出る。前記チル層が前記溶湯とともにキャビティ内に流れ込むと、前記キャビティによって成形されるダイカスト製品の機械的特性を低下させる可能性がある。
【0006】
よって、スリーブの内面から剥離したチル層が溶湯とともにキャビティ内に流れ込むのを抑制可能なダイカスト用金型が望まれている。
【0007】
本発明の目的は、スリーブの内面から剥離したチル層が溶湯とともにキャビティ内に流れ込むのを抑制可能なダイカスト用金型を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係るダイカスト用金型は、軸線に沿って軸線方向に延びて内部をプランジャが前記軸線方向に移動可能な円筒状であり且つ前記内部に溶湯が注入されるスリーブを有する固定型と、前記固定型と接触した型締め状態で前記固定型との間にキャビティを構成する可動型と、を有するダイカスト用金型である。前記可動型は、前記型締め状態で、前記固定型との間に、前記スリーブから前記キャビティに繋がる溶湯流路の一部を構成する流路空間部を形成する分流子と、前記型締め状態で前記溶湯流路の一部を構成し且つ前記流路空間部の下流側端部から前記キャビティまで前記固定型と前記可動型との合わせ面に沿って延びる接続通路を構成する溝部と、を有する。前記溝部は、その内面において、前記型締め状態で前記流路空間部を前記上流側端部から前記下流側端部に向かって見て、前記流路空間部の前記下流側端部と少なくとも一部が重なる位置に、前記溝部の内面に対して凹む凹部を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一実施形態に係るダイカスト用金型によれば、スリーブの内面から剥離したチル層が溶湯とともにキャビティ内に流れ込むのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係るダイカスト装置の構成を模式的に示す図である。
図2図2は、ダイカスト用金型の流路空間部の構成を示す断面図である。
図3図3は、ダイカスト用金型の流路空間部を拡大して示す断面図である。
図4図4は、可動型の溝部を、合わせ面の法線方向に見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照し、本発明の例示的な実施の形態を詳しく説明する。なお、図中の同一または相当部分については同一の符号を付してその説明は繰り返さない。また、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表してはいない。
【0012】
なお、以下の説明において、ダイカスト装置1を設置した状態の重力方向を「上下方向」といい、ダイカスト装置1の重力方向に対して直交し且つ固定型と可動型とが並ぶ方向を「左右方向」という。また、プランジャスリーブ21が延びる方向を「軸線方向」という。
【0013】
また、以下の説明において、“固定”、“接続”及び“取り付ける”等(以下、固定等)の表現は、部材同士が直接、固定等されている場合だけでなく、他の部材を介して固定等されている場合も含む。すなわち、以下の説明において、固定等の表現には、部材同士の直接的及び間接的な固定等の意味が含まれる。
【0014】
(ダイカスト装置)
図1は、本発明の例示的な実施形態に係るダイカスト用金型10を備えたダイカスト装置1の構成を模式的に示す図である。ダイカスト装置1は、射出プランジャ装置2によって、ダイカスト用金型10の内部に溶融金属である溶湯を射出することにより、所定形状を有するダイカスト製品を成形する装置である。ダイカスト装置1は、ダイカスト用金型10と、射出プランジャ装置2と、可動盤3と、固定盤4と、を備える。
【0015】
ダイカスト用金型10は、可動盤3に固定された可動型11と、固定盤4に固定された固定型12とを有する。特に図示しないが、可動盤3は、ダイカスト装置1において左右方向に移動可能である。固定盤4は、ダイカスト装置1の図示しないフレーム等に固定される。よって、可動盤3が固定盤4から離れる方向に移動することにより、ダイカスト用金型10の可動型11は固定型12に対して離れる方向に移動する。一方、可動盤3が固定盤4に近づく方向に移動することにより、ダイカスト用金型10の可動型11は固定型12に対して近づく方向に移動する。
【0016】
可動型11及び固定型12は、それぞれ、対向する面に合わせ面11a,12aを有する。合わせ面11a,12aは、可動型11と固定型12とを型締めした際に、接触する面である。本実施形態では、合わせ面11a,12aは、上下方向に延びている。
【0017】
可動型11は、合わせ面11aに、ダイカスト製品の形状に応じた彫り込み部11bを有する。固定型12は、合わせ面12aに、ダイカスト製品の形状に応じた彫り込み部12bを有する。これにより、可動型11が固定型12に最も近づいた状態で、可動型11と固定型12との間にはキャビティ13が形成される。すなわち、可動型11の彫り込み部11bと、固定型12の彫り込み部12bとによって、キャビティ13が構成される。
【0018】
キャビティ13内に、射出プランジャ装置から溶湯が射出されることにより、所定形状を有するダイカスト製品が成形される。なお、ダイカスト用金型10によって前記所定形状を有するダイカスト製品が成形された後、可動型11を固定型12から離隔させることにより、前記ダイカスト製品をダイカスト用金型10内から取り出すことができる。
【0019】
固定型12及び固定盤4には、プランジャスリーブ21が貫通している。典型的には、プランジャスリーブ21は、軸線Pに沿って延びる円筒状の金属製部材である。プランジャスリーブ21は、内部に通路21aを有する。プランジャスリーブ21の軸線方向の一端側は、固定型12を貫通して、後述する流路空間部15に接続される。プランジャスリーブ21が、本発明のスリーブである。
【0020】
プランジャスリーブ21は、通路21aと、射出口21bと、供給口21cと、を有する。通路21aは、円筒状のプランジャスリーブ21内で軸線方向に延びる断面円形状の通路である。
【0021】
射出口21bは、プランジャスリーブ21の一端側、すなわち通路21aの一端側に位置し且つダイカスト用金型10の流路空間部15に向かって軸線方向に開口している。すなわち、射出口21bは、通路21a内の溶湯をダイカスト用金型10の流路空間部15内に射出するための開口部である。
【0022】
供給口21cは、プランジャスリーブ21の側壁において射出口21bとは反対側の端部に位置し、上に向かって開口している。供給口21cは、通路21a内に溶湯を供給するための開口部である。
【0023】
プランジャスリーブ21の通路21a内には、射出プランジャ装置2の円柱状のプランジャチップ22が往復移動可能に配置される。プランジャチップ22は、射出プランジャ装置2のプランジャ23の先端部に位置する。供給口21cから通路21a内に供給された溶湯は、プランジャチップ22が射出口21bに向かって移動することにより(図1の矢印)、射出口21bから流路空間部15内に射出される。なお、射出プランジャ装置2は、プランジャ23を軸線方向に往復移動させる図示しない駆動機構を有する。
【0024】
可動型11は、合わせ面11aに、キャビティ13に繋がる接続通路14を構成する溝部11cを有する。この接続通路14は、後述する流路空間部15とキャビティ13とを接続する。接続通路14は、可動型11が固定型12と接触した型締め状態において、溶湯がプランジャスリーブ21の射出口21bからキャビティ13に流れる溶湯流路Lの一部を構成し、且つ、流路空間部15の下流側端部からキャビティ13まで固定型12と可動型11との合わせ面11a,12aに沿って延びている。本実施形態では、溝部11cは、流路空間部15の下流側端部からキャビティ13まで合わせ面11a,12aに沿って上方向に延びている。
【0025】
図2は、ダイカスト用金型10の流路空間部15の構成を示す断面図である。可動型11は、固定型12との間に流路空間部15を形成する分流子16を有する。流路空間部15は、後述するプランジャスリーブ21の射出口21bと接続通路14とを接続する。流路空間部15は、プランジャスリーブ21の射出口21bからキャビティ13に繋がる溶湯流路Lの一部を構成する。
【0026】
分流子16は、前記型締め状態で、可動型11から固定型12に向かって突出している。分流子16と固定型12との間に位置する隙間が、流路空間部15である。流路空間部15は、分流子16の先端部とプランジャスリーブ21の射出口21bとの間に位置する空間部31と、分流子16の上部と固定型12との間に位置するランナ32とを有する。本実施形態では、流路空間部15は、プランジャスリーブ21におけるプランジャ23の押し出し方向の出口である射出口21bから合わせ面11a,12aに向かって斜め上方向に延びている。
【0027】
流路空間部15の空間部31は、前記型締め状態で、プランジャスリーブ21に対してプランジャ23による前記溶湯の押し出し方向に位置する。空間部31は、プランジャスリーブ21の軸線Pに沿って軸線方向に延びる円柱状の空間である。流路空間部15のランナ32は、ランナ上流側端部32aが空間部31の一部に繋がるとともに溶湯流路Lのうち空間部31からキャビティ13に繋がる流路の一部を構成する。
【0028】
ランナ上流側端部32aの少なくとも一部は、前記型締め状態で空間部31を前記軸線方向に見て、空間部31の上部に接続されている。すなわち、ランナ上流側端部32aの少なくとも一部は、空間部31に対して径方向外側の位置に接続されている。
【0029】
ランナ32は、前記型締め状態で、空間部31から接続通路14に向かって、プランジャスリーブ21の軸線Pに対して交差し且つ軸線Pに対して離れる方向に延びている。本実施形態では、ランナ32は、前記型締め状態で、空間部31から接続通路14に向かって斜め上方向に延びている。ランナ32は、軸線Pに直交する各断面において軸線Pに最も近いランナ底部32cと、軸線Pに直交する各断面において軸線Pから最も遠いランナ上部32dとを有する。ランナ底部32c及びランナ上部32dは、ランナ32を、軸線Pを含む断面で見て、軸線Pに対して交差し且つ軸線Pに対して離れる方向に延びている。ランナ32を、軸線Pを含む断面で見て、軸線Pに対するランナ底部32cの傾きは、軸線Pに対するランナ上部32dの傾きと同じであってもよいし、ランナ上部32dの傾きよりも大きくてもよいし、ランナ上部32dの傾きよりも小さくてもよい。
【0030】
ランナ32は、ランナ上流側端部32aで且つ溶湯が空間部31からランナ32に流れる流路のコーナー部分に、ランナ上流側曲面部33を有する。ランナ上流側曲面部33は、空間部31からランナ32に流れる溶湯の流れ方向に湾曲する曲面を有する。本実施形態では、ランナ上流側曲面部33は、ダイカスト用金型10を、軸線Pを含む断面で見て、円弧状である。これにより、溶湯が空間部31からランナ32内にスムーズに流れる。
【0031】
ランナ下流側端部32bは、ランナ上流側端部32aよりも、軸線Pに対して離れた位置に位置する。本実施形態では、ランナ下流側端部32bは、ランナ上流側端部32aよりも上に位置する。ランナ下流側端部32bは、接続通路14の上流側端部14aに接続されている。
【0032】
ランナ32は、ランナ下流側端部32bで且つ溶湯がランナ32から接続通路14に流れる流路のコーナー部分に、ランナ下流側曲面部34を有する。ランナ下流側曲面部34は、ランナ32から接続通路14に流れる溶湯の流れ方向に湾曲する曲面を有する。本実施形態では、ランナ下流側曲面部34は、ダイカスト用金型10を、軸線Pを含む断面で見て、円弧状である。これにより、溶湯がランナ32から接続通路14内にスムーズに流れる。
【0033】
可動型11は、接続通路14を構成する溝部11cに、その内面に対して凹んだ凹部40を有する。凹部40は、溝部11cの内面において、前記型締め状態で流路空間部15を上流側端部から下流側端部に向かって見て、流路空間部15の下流側端部の少なくとも一部が重なる位置に位置する。
【0034】
本実施形態では、凹部40は、溝部11cの内面において、前記型締め状態でランナ32をランナ上流側端部32aからランナ下流側端部32bに向かって見て、ランナ下流側端部32bのうちランナ底部32cと重なる位置、すなわちランナ下流側端部32bのうち軸線Pに対して最も近い部分と重なる位置よりも、接続通路14の下流側に位置する。
【0035】
また、本実施形態では、凹部40は、溝部11cの内面において、前記型締め状態でランナ32をランナ上流側端部32aからランナ下流側端部32bに向かって見て、ランナ下流側端部32bのうちランナ上部32dと重なる位置、すなわちランナ下流側端部32bのうち軸線Pに対して最も離れている部分と重なる位置よりも、接続通路14の上流側に位置する。さらに換言すると、本実施形態では、凹部40は、溝部11cの内面において、前記型締め状態でランナ32をランナ上流側端部32aからランナ下流側端部32bに向かって見て、流路空間部15の下流側端部の上端部よりも下に位置する。
【0036】
凹部40は、溝部11cの内面において、前記型締め状態でランナ32をランナ上流側端部32aからランナ下流側端部32bに向かって見て、ランナ下流側端部32bのうちランナ上部32dと重なる位置に位置するのが好ましい。すなわち、凹部40は、溝部11cの内面において、前記型締め状態でランナ32をランナ上流側端部32aからランナ下流側端部32bに向かって見て、ランナ下流側端部32bのうち軸線Pに対して最も離れている部分と重なる位置に位置するのが好ましい。
【0037】
図3は、ダイカスト用金型10の流路空間部15を拡大して示す断面図である。溶湯が空間部31からランナ32内に流れ込む際には、図3に太線矢印で示すように、溶湯は、空間部31からランナ32の内面のうち軸線Pに対して最も離れている内面に当たる。その後、溶湯は、ランナ32の内面のうち軸線Pに対して最も離れている内面に沿って、すなわち、ランナ上部32dに沿って、ランナ下流側端部32bに向かって流れる。そのため、ランナ下流側端部32bから接続通路14内に流れ込んだ溶湯は、凹部40内に最初に流れ込む。
【0038】
これにより、プランジャスリーブ21の内面に形成されたチル層が剥離して溶湯とともにランナ32から接続通路14内に流れ込んだ際に、前記チル層を凹部40内に滞留させることができる。よって、前記チル層が、前記溶湯とともにキャビティ13内に流入するのを抑制できる。
【0039】
また、上述のように溝部11cの内面に凹部40が位置することにより、図3に細線矢印で示すように、接続通路14内に先に流れ込んだ溶湯が、凹部40内に入り込んだ後、接続通路14内を後から流れる溶湯に合流する。これにより、溶湯が接続通路14内を流れる際に、気体を巻き込むのを抑制できる。
【0040】
図4は、可動型11の溝部11cを、合わせ面11aの法線方向に見た図である。図4に示すように、凹部40は、溝部11cに対して幅方向に延びている溝状である。すなわち、凹部40は、接続通路14に対して接続通路14の幅方向に延びている。
【0041】
図3に示すように、凹部40は、上流側側面41と、下流側側面42と、上流側曲面部43と、下流側曲面部44とを有する。
【0042】
上流側側面41は、凹部40の側面のうち、接続通路14の上流側に位置する側面である。上流側側面41は、凹部40の開口側に向かうほど接続通路14の上流側に位置する傾斜面である。下流側側面42は、凹部40の側面のうち、接続通路14の下流側に位置する側面である。下流側側面42は、凹部40の開口側に向かうほど接続通路14の下流側に位置する傾斜面である。上流側側面41は、本発明のテーパ部である。すなわち、凹部40は、側面のうち少なくとも接続通路14の下流側に位置する部分に、接続通路14に開口する開口部に向かうほど、前記側面のうち接続通路14の上流側に位置する部分に対して下流側に離隔するテーパ部Tを有する。
【0043】
これにより、溶湯とともに接続通路14内に流れ込んだチル層が凹部40内で滞留した後、溶湯を接続通路14の下流側にスムーズに流すことができる。したがって、溶湯の流れが凹部40によって阻害されるのを抑制できる。
【0044】
また、上流側側面41が、凹部40の開口側に向かうほど接続通路14の下流側に位置する傾斜面であるため、ランナ32から接続通路14内に流れ込んだ溶湯が凹部40内にスムーズに流れ込む。これにより、凹部40内でチル層をより確実に滞留させることができる。
【0045】
上流側曲面部43は、上流側側面41における凹部40の開口側に位置する。下流側曲面部44は、下流側側面42における凹部40の開口側に位置する。すなわち、凹部40は、接続通路14に開口する開口部のうち接続通路14の上流側の部分に上流側曲面部43と、接続通路14に開口する開口部のうち接続通路14の下流側の部分に下流側曲面部44とを有する。下流側曲面部44が、本発明の曲面部である。上流側曲面部43及び下流側曲面部44は、それぞれ、凹部40の開口部の周縁部分に位置し、接続通路14における溶湯の流れ方向に滑らかな曲面を有する。本実施形態では、上流側曲面部43及び下流側曲面部44は、ダイカスト用金型10を、軸線Pを含む断面で見て、それぞれ円弧状である。
【0046】
これにより、溶湯とともに接続通路14内に流れ込んだチル層を凹部40内に滞留させた後、溶湯を接続通路14の下流側にスムーズに流すことができる。したがって、溶湯の流れが凹部40によって阻害されるのを抑制できる。
【0047】
また、上述のように、凹部40の開口側に上流側曲面部43及び下流側曲面部44が位置することにより、ダイカスト用金型10にダイカスト製品が焼き付くのを抑制できるとともに、ダイカスト製品の割れの発生を抑制できる。
【0048】
本実施形態のダイカスト用金型10は、軸線Pに沿って軸線方向に延びて内部をプランジャ23が前記軸線方向に移動可能な円筒状であり且つ前記内部に溶湯が注入されるプランジャスリーブ21を有する固定型12と、固定型12と接触した型締め状態で固定型12との間にキャビティ13を構成する可動型11と、を有する。可動型11は、前記型締め状態で、固定型12との間に、プランジャスリーブ21からキャビティ13に繋がる溶湯流路Lの一部を構成する流路空間部15を形成する分流子16と、前記型締め状態で溶湯流路Lの一部を構成し且つ流路空間部15の下流側端部からキャビティ13まで固定型12と可動型11との合わせ面12a,11aに沿って延びる接続通路14を構成する溝部11cと、を有する。溝部11cは、その内面において、前記型締め状態で流路空間部15を上流側端部から下流側端部に向かって見て、流路空間部15の下流側端部と少なくとも一部が重なる位置に、溝部11cの内面に対して凹む凹部40を有する。
【0049】
プランジャスリーブ21内に溶湯を注いだ後、プランジャ23によってプランジャスリーブ21内の溶湯を押し出すまでの間に、プランジャスリーブ21の内面には、前記溶湯の一部が凝固したチル層が形成される。プランジャスリーブ21内の溶湯をプランジャ23によって押し出すと、プランジャ23によってプランジャスリーブ21の内面から前記チル層が剥離して、該剥離した前記チル層が前記溶湯とともにプランジャスリーブ21内から流れ出る。前記チル層が溶湯とともにキャビティ13内に流れ込むと、キャビティ13によって成形されるダイカスト製品の機械的特性を低下させる可能性がある。
【0050】
これに対し、本実施形態の構成のように、プランジャ23によってプランジャスリーブ21内から押し出された溶湯が流路空間部15内を通過した後に流れる接続通路14を構成する溝部11cが、その内面において、流路空間部15を上流側端部から下流側端部に向かって見て下流側端部と重なる位置に凹部40を有することにより、前記溶湯とともに接続通路14内に流れ込んだチル層を凹部40内に滞留させることができる。よって、前記チル層が、前記溶湯とともにキャビティ13内に流入するのを抑制できる。
【0051】
また、溝部11cが上述の凹部40を有することにより、接続通路14内に先に流れ込んだ溶湯が、凹部40内に入り込んだ後、接続通路14内を後から流れる溶湯に合流する。これにより、溶湯が接続通路14内を流れる際に、気体を巻き込むのを抑制できる。
【0052】
本実施形態では、流路空間部15は、前記型締め状態で、プランジャスリーブ21に対してプランジャ23による前記溶湯の押し出し方向に位置する空間部31と、ランナ上流側端部32aが空間部31の一部に繋がるとともに溶湯流路Lのうち空間部31からキャビティ13に繋がる流路の一部を構成するランナ32と、を有する。凹部40は、溝部11cの内面において、前記型締め状態でランナ32をランナ上流側端部32aからランナ下流側端部32bに向かって見て、ランナ下流側端部32bと少なくとも一部が重なる位置に位置する。
【0053】
これにより、プランジャ23によってプランジャスリーブ21内から押し出された溶湯が空間部31に流れ込んだ後、ランナ32内を流れる。その後、溶湯は、接続通路14内を流れる。接続通路14を構成する溝部11cの内面において、型締め状態でランナ32をランナ上流側端部32aからランナ下流側端部32bに向かって見て、ランナ下流側端部32bと少なくとも一部が重なる位置に、凹部40が位置することにより、前記溶湯とともに接続通路14内に流れ込んだチル層を凹部40内に滞留させることができる。よって、前記チル層が、前記溶湯とともにキャビティ13内に流入するのを抑制できる。
【0054】
また、溝部11cが上述の凹部40を有することにより、接続通路14内に先に流れ込んだ溶湯が、凹部40内に入り込んだ後、接続通路14内を後から流れる溶湯に合流する。これにより、溶湯が接続通路14内を流れる際に、気体を巻き込むのを抑制できる。
【0055】
本実施形態では、ランナ上流側端部32aの少なくとも一部は、前記型締め状態で空間部31を前記軸線方向に見て、空間部31に対して径方向外側の位置で接続されている。凹部40は、溝部11cの内面において、前記型締め状態でランナ32をランナ上流側端部32aからランナ下流側端部32bに向かって見て、ランナ下流側端部32bのうち軸線Pに対して最も近いランナ底部32cと重なる位置よりも、接続通路14の下流側に位置する。
【0056】
上述のように、空間部31を軸線方向に見て、ランナ上流側端部32aの少なくとも一部が空間部31に対して径方向外側の位置で接続されている場合、空間部31から流れ出た溶湯は、ランナ32のうち軸線Pに最も近いランナ底部32cよりも軸線Pに対して離れているランナ上部32dに先に流れる。
【0057】
そのため、上述の構成のように、接続通路14を構成する溝部11cにおいて、ランナ32をランナ上流側端部32aからランナ下流側端部32bに向かって見て、ランナ下流側端部32bのうち軸線Pに対して最も近いランナ底部32cと重なる位置よりも接続通路14の下流側に、凹部40が位置することにより、ランナ32のうち軸線Pに対して最も近いランナ底部32cよりも軸線Pに対して離れているランナ上部32dに先に流れる溶湯が、凹部40内に流れ込む。これにより、前記溶湯とともに流れるチル層が、凹部40内に流れ込んで、凹部40内に滞留する。よって、前記チル層が、前記溶湯とともにキャビティ13内に流入するのを抑制できる。
【0058】
また、溝部11cが上述の凹部40を有することにより、接続通路14内に先に流れ込んだ溶湯が凹部40内に入り込む。これにより、接続通路14内に先に流れ込んだ溶湯が、凹部40内に入り込んだ後、接続通路14内を後から流れる溶湯に合流する。よって、接続通路14内を溶湯が流れる際に、気体を巻き込むのを抑制できる。
【0059】
本実施形態では、ランナ上流側端部32aの少なくとも一部は、前記型締め状態で空間部31を前記軸線方向に見て、空間部31に対して径方向外側の位置で接続されている。凹部40は、溝部11cの内面において、前記型締め状態でランナ32をランナ上流側端部32aからランナ下流側端部32bに向かって見て、ランナ下流側端部32bのうち軸線Pに対して最も離れているランナ上部32dと重なる位置よりも、接続通路14の上流側に位置する。
【0060】
上述のように、空間部31を軸線方向に見て、ランナ上流側端部32aの少なくとも一部が空間部31に対して径方向外側の位置で接続されている場合、空間部31から流れ出た溶湯は、ランナ32のうち軸線Pに対して最も離れているランナ上部32dに先に流れる。
【0061】
そのため、上述の構成のように、接続通路14を構成する溝部において、ランナ32をランナ上流側端部32aからランナ下流側端部32bに向かって見て、ランナ下流側端部32bのうち軸線Pに対して最も離れているランナ底部32cと重なる位置よりも、接続通路14の上流側に、凹部40が位置することにより、ランナ32のうち軸線Pに対して最も離れているランナ上部32dに先に流れる溶湯が、凹部40内に流れ込む。これにより、前記溶湯とともに流れるチル層が、凹部40内に流れ込んで、凹部40内に滞留する。よって、前記チル層が、前記溶湯とともにキャビティ13内に流入するのをより確実に抑制できる。
【0062】
また、溝部11cが上述の凹部40を有することにより、接続通路14内に先に流れ込んだ溶湯が凹部40内により確実に入り込む。これにより、接続通路14内に先に流れ込んだ溶湯が、凹部40内に入り込んだ後、接続通路14内を後から流れる溶湯により確実に合流する。よって、接続通路14内を溶湯が流れる際に、気体を巻き込むのをより確実に抑制できる。
【0063】
本実施形態では、ランナ32は、前記型締め状態で、空間部31から接続通路14に向かって、軸線Pに対して交差し且つ軸線Pに対して離れる方向に延びている。
【0064】
空間部31から接続通路14に向かって、プランジャスリーブ21の軸線Pに対して交差し且つ軸線Pに対して離れる方向に延びているランナ32内に、溶湯が流れる場合、前記溶湯は、ランナ32のうち軸線Pに対して最も離れているランナ上部32dに、より確実に先に流れる。
【0065】
そのため、ランナ下流側端部32bが接続される接続通路14を構成する溝部11cにおいて、凹部40が本実施形態の位置に位置することにより、ランナ32のうち軸線Pに対して最も離れているランナ上部32dに先に流れる溶湯が、凹部40内により確実に流れ込む。これにより、前記溶湯とともに流れるチル層が、凹部40内により確実に流れ込んで、凹部40内により確実に滞留する。よって、前記チル層が、前記溶湯とともにキャビティ13内に流入するのをより確実に抑制できる。
【0066】
また、上述のような構成を有するランナ32内を先に流れる溶湯は、接続通路14内に流れ込んだ後に、凹部40内により確実に入り込む。これにより、接続通路14内に先に流れ込んだ溶湯は、接続通路14内を後から流れる溶湯により確実に合流する。よって、接続通路14内を溶湯が流れる際に、気体を巻き込むのをより確実に抑制できる。
【0067】
本実施形態では、凹部40は、接続通路14に対して幅方向に延びている溝状である。これにより、溶湯とともに接続通路14内に流れ込んだチル層を、凹部40内により確実に滞留させることができる。よって、前記チル層が、前記溶湯とともにキャビティ13内に流入するのをより確実に抑制できる。
【0068】
また、接続通路14内に流れ込んだ溶湯は、凹部40内により確実に流れ込む。これにより、接続通路14内に先に流れ込んだ溶湯は、接続通路14内を後から流れる溶湯により確実に合流する。よって、接続通路14内を溶湯が流れる際に、気体を巻き込むのをより確実に抑制できる。
【0069】
本実施形態では、凹部40は、側面のうち接続通路14の下流側に位置する下流側側面42に、接続通路14に開口する開口部に向かうほど、前記側面のうち接続通路14の上流側に位置する上流側側面41に対して下流側に離隔するテーパ部Tを有する。
【0070】
これにより、溶湯とともに接続通路14内に流れ込んだチル層が凹部40内で滞留した後、溶湯を接続通路14の下流側にスムーズに流すことができる。したがって、溶湯の流れが凹部40によって阻害されるのを抑制できる。
【0071】
本実施形態では、凹部40は、接続通路14に開口する開口部のうち接続通路14の下流側の部分に、下流側曲面部44を有する。
【0072】
これにより、溶湯とともに接続通路14内に流れ込んだチル層を凹部40内に滞留させた後、溶湯を接続通路14の下流側にスムーズに流すことができる。したがって、溶湯の流れが凹部40によって阻害されるのを抑制できる。
【0073】
本実施形態のダイカスト用金型10では、可動型11と固定型12との合わせ面11a,12aは、上下方向に延びている。流路空間部15は、プランジャスリーブ21におけるプランジャ23の押し出し方向の出口から合わせ面11a,12aに向かって斜め上方向に延びている。溝部11cは、流路空間部15の下流側端部からキャビティ13まで合わせ面11a,12aに沿って上方向に延びている。凹部40は、溝部11cの内面において、流路空間部15を上流側端部から前記下流側端部に向かって見て流路空間部15の前記下流側端部の上端部よりも下に位置する。
【0074】
このように溶湯が流路空間部15からキャビティ13に向かって押し上げられる構成の場合、溶湯は流路空間部15の上部に沿って流路空間部15の下流側端部に向かって流れる。
【0075】
よって、接続通路14を構成する溝部11cの内面において、流路空間部15を上流側端部から下流側端部に向かって見て流路空間部15の前記下流側端部の上端部よりも下に凹部40が位置することにより、凹部40内に、流路空間部15の上部に沿って流れる溶湯を流し込むことができる。これにより、前記溶湯とともに流れるチル層が、凹部40内に流れ込んで、凹部40内で滞留する。よって、前記チル層が、前記溶湯とともにキャビティ13内に流入するのを抑制できる。
【0076】
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0077】
前記実施形態では、可動型11は、固定型12に対して左右方向に移動する。よって、可動型11及び固定型12の合わせ面11a,12aは、上下方向に延びている。溝部11cは、流路空間部15の下流側端部からキャビティ13まで合わせ面11a,12aに沿って上方向に延びている。流路空間部15は、プランジャスリーブ21におけるプランジャ23の押し出し方向の出口である射出口21bから合わせ面11a,12aに向かって斜め上方向に延びている。ランナ32は、空間部31の上部に接続されている。ランナ32は、前記型締め状態で、空間部31から接続通路14に向かって斜め上方向に延びている。
【0078】
しかしながら、可動型は、固定型に対して、左右方向以外の方向に移動してもよい。よって可動型及び固定型の合わせ面が延びる方向は、上下方向以外の方向であってもよい。溝部の延びる方向は、上方向以外の方向であってもよい。流路空間部の延びる方向は、斜め上方向以外の方向であってもよい。ランナは、空間部の上部以外の部分に接続されていてもよい。前記ランナの延びる方向は、斜め上方向以外の方向であってもよい。
【0079】
前記実施形態では、ランナ上流側端部32aの少なくとも一部は、固定型12に対して可動型11が接触した型締め状態で空間部31を軸線方向に見て、空間部31に対して径方向外側の位置で接続されている。しかしながら、ランナの上流側端部の少なくとも一部は、前記型締め状態で空間部を前記軸線方向に見て、前記空間部に対して径方向内側の位置で接続されていてもよい。
【0080】
前記実施形態では、ランナ32は、前記型締め状態で、空間部31から接続通路14に向かって、軸線Pに対して交差し且つ軸線Pに対して離れる方向に延びている。しかしながら、ランナは、前記型締め状態で、空間部から接続通路に向かって、軸線Pに対して交差し且つ軸線Pに近づく方向に延びていてもよいし、軸線Pに平行に延びていてもよい。
【0081】
前記実施形態では、凹部40は、溝部11cの内面において、前記型締め状態でランナ32をランナ上流側端部32aからランナ下流側端部32bに向かって見て、ランナ下流側端部32bのうち軸線Pに対して最も近いランナ底部32cと重なる位置よりも、接続通路14の下流側に位置する。しかしながら、凹部は、溝部の内面において、前記型締め状態でランナを上流側端部から下流側端部に向かって見て、前記ランナの下流側端部のうち軸線に対して最も近いランナ底部と重なる位置に位置していてもよい。
【0082】
前記実施形態では、凹部40は、溝部11cの内面において、前記型締め状態でランナ32をランナ上流側端部32aからランナ下流側端部32bに向かって見て、ランナ下流側端部32bのうち軸線Pに対して最も離れているランナ上部32dと重なる位置よりも、接続通路14の上流側に位置する。しかしながら、凹部は、溝部の内面において、前記型締め状態でランナを上流側端部から下流側端部に向かって見て、前記ランナの下流側端部のうち軸線に対して最も離れているランナ上部32dと重なる位置に位置していてもよい。
【0083】
前記実施形態では、凹部40は、接続通路14に対して幅方向に延びている溝状である。しかしながら、凹部は、接続通路に対して幅方向の一部に位置していてもよい。
【0084】
前記実施形態では、凹部40は、側面のうち接続通路14の下流側に位置する下流側側面42に、接続通路14に開口する開口部に向かうほど、前記側面のうち接続通路14の上流側に位置する上流側側面41に対して下流側に離隔するテーパ部Tを有する。しかしながら、凹部は、テーパ部を有していなくてもよい。凹部は、側面のうち接続通路の下流側に位置する下流側側面に、テーパ部を有していてもよい。
【0085】
前記実施形態では、凹部40は、接続通路14に開口する開口部のうち接続通路14の下流側の部分に、下流側曲面部44を有する。凹部40は、接続通路14に開口する開口部のうち接続通路14の上流側の部分に、上流側曲面部43を有する。しかしながら、凹部は、下流側曲面部を有していなくてもよい。凹部は、上流側曲面部を有していなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、ダイカスト製品を製造するためのダイガスト用金型に利用可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 ダイカスト装置
2 射出プランジャ装置
3 可動盤
4 固定盤
10 ダイカスト用金型
11 可動型
11a 合わせ面
11b 彫り込み部
11c 溝部
12 固定型
12a 合わせ面
12b 彫り込み部
13 キャビティ
14 接続通路
15 流路空間部
16 分流子
21 プランジャスリーブ
21a 通路
21b 射出口
21c 供給口
22 プランジャチップ
23 プランジャ
31 空間部
32 ランナ
32a ランナ上流側端部
32b ランナ下流側端部
32c ランナ底部
32d ランナ上部
33 ランナ上流側曲面部
34 ランナ下流側曲面部
40 凹部
41 上流側側面
42 下流側側面
43 上流側曲面部
44 下流側曲面部
L 溶湯流路
P 軸線
T テーパ部
図1
図2
図3
図4