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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155230
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】寸法測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 5/02 20060101AFI20221005BHJP
【FI】
G01B5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021058634
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】日本電産トーソク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】石川 崇紀
【テーマコード(参考)】
2F062
【Fターム(参考)】
2F062AA21
2F062AA32
2F062AA34
2F062BB04
2F062CC22
2F062CC26
2F062EE04
2F062FF03
2F062FF04
2F062FG07
2F062GG18
2F062HH05
2F062MM06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】小型化することが可能な寸法測定装置を提供する。
【解決手段】第1接触子31は第1先端アーム部213に位置する。第2接触子32は第2先端アーム部223に位置する。第1検出器4は第1基端アーム部211の移動を検出する。第2検出器5は第2レバー22の第2基端アーム部221の移動を検出する。第1付勢部は、第1接触子31および第2接触子32が測定対象物9に接触するように、第1レバー21および第2レバー22を付勢する。第1支持部は、第1先端アーム部213および第2先端アーム部223が第1配列方向に円弧状に移動するように、第1レバー21および第2レバー22を支持する。第1検出器4は、第1レバー21に対して、第1接触子31とは反対側に接触する。第2検出器5は、第2レバー22に対して、第2接触子32と同じ側に接触する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象の寸法を測定可能な寸法測定装置であって、
第1基端アーム部と、前記第1基端アーム部に対して軸方向の一方側に位置する第1先端アーム部とを有する第1レバーと、
第2基端アーム部と、前記第2基端アーム部に対して前記軸方向の一方側に位置する第2先端アーム部とを有し、前記第2先端アーム部が前記第1先端アーム部から前記軸方向に交差する第1配列方向に離れて配置されている第2レバーと、
前記第1先端アーム部に位置する第1接触子と、
前記第2先端アーム部に位置する第2接触子と、
前記第1基端アーム部の移動を検出する第1検出器と、
前記第2基端アーム部の移動を検出する第2検出器と、
前記第1接触子および前記第2接触子が測定対象に接触するように、前記第1レバーおよび前記第2レバーを付勢する第1付勢部と、
前記第1先端アーム部および前記第2先端アーム部が第1配列方向に円弧状に移動するように、前記第1レバーおよび前記第2レバーを支持する第1支持部と、
を備え、
前記第1検出器は、前記第1レバーに対して、前記第1接触子とは反対側に接触し、
前記第2検出器は、前記第2レバーに対して、前記第2接触子と同じ側に接触する、寸法測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の寸法測定装置であって、
前記第1レバーは、前記第1基端アーム部および前記第1先端アーム部が、前記第1配列方向において異なる位置に配置されるように、前記第1基端アーム部および前記第1先端アーム部を連結する第1連結部、をさらに有する、寸法測定装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の寸法測定装置であって、
前記第2基端アーム部は、前記第1基端アーム部に対して、前記第1配列方向と交差する方向にずらして配置されており、
前記第1検出器は、前記第2検出器と、前記軸方向に重ならない位置に配置されている、寸法測定装置。
【請求項4】
請求項3に記載の寸法測定装置であって、
前記第1レバーおよび前記第2レバーが同じ形状を有する、寸法測定装置。
【請求項5】
請求項1に記載の寸法測定装置であって、
前記第2基端アーム部が、前記第1基端アーム部よりも、前記軸方向の他方側に長く延びており、
前記第1検出器および前記第2検出器が、前記軸方向において互いに重なる位置に配置されている、寸法測定装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の寸法測定装置であって、
前記第1付勢部が、板バネである、寸法測定装置。
【請求項7】
請求項6に記載の寸法測定装置であって、
前記第1基端アーム部を貫通するネジ孔とかみ合うとともに、前記第1基端アーム部と前記板バネとの間の間隔を調整する調整ネジ、
をさらに備える、寸法測定装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の寸法測定装置であって、
第3基端アーム部と、前記第3基端アーム部に対して前記軸方向の一方側に位置する第3先端アーム部とを有する第3レバーと、
第4基端アーム部と、前記第4基端アーム部に対して前記軸方向の一方側に位置する第4先端アーム部とを有し、前記第4先端アーム部が前記第3先端アーム部から前記軸方向に交差する第2配列方向に離れて配置されている第4レバーと、
前記第3先端アーム部に位置する第3接触子と、
前記第4先端アーム部に位置する第4接触子と、
前記第3基端アーム部の移動を検出する第3検出器と、
前記第4基端アーム部の移動を検出する第4検出器と、
前記第3接触子および前記第4接触子が測定対象に接触するように、前記第3レバーおよび前記第4レバーを付勢する第2付勢部と、
前記第3レバーおよび前記第4レバーが第2配列方向に円弧状に移動するように、前記第3レバーおよび前記第4レバーを支持する第2支持部と、
をさらに備え、
前記第3検出器は、前記第3レバーに対して、前記第3接触子とは反対側に接触し、
前記第4検出器は、前記第4レバーに対して、前記第4接触子と同じ側に接触する、寸法測定装置。
【請求項9】
請求項8に記載の寸法測定装置であって、
前記第3先端アーム部は、前記第1配列方向において、前記第2先端アーム部と前記第4先端アーム部との間に配置されており、
前記第1検出器と前記第2検出器は、前記第1基端アーム部に対して前記第1配列方向の他方側に配置され、
前記第3検出器と前記第4検出器は、前記第3基端アーム部に対して前記第1配列方向の一方側に配置される、寸法測定装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の寸法測定装置であって、
前記第1接触子は、前記第1先端アーム部に対して前記第1配列方向の一方側に位置し、
前記第1検出器は、前記第1基端アーム部に対して前記第1配列方向の他方側に位置し、
前記第2接触子は、前記第2先端アーム部に対して前記第1配列方向の他方側に位置し、
前記第2検出器は、前記第2基端アーム部に対して前記第1配列方向の他方側に位置する、寸法測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、寸法測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークの寸法を測定する装置として、差動トランスなどの検出器を有する電気マイクロメータを備えたものが知られている。例えば、特開2002-181502号公報には、ワークの外径寸法を測定する外径測定用定寸装置に適用された測定ヘッドが開示されている。測定ヘッドは、一対の基部アームを有する。基部アームの基端部には、検出器である差動トランスが設けられている。基部アームの先端部には測定アームが連結されている。測定アームの先端部には、ワークに接触する接触子が設けられている。基部アームは軸支されており、基部アームおよび測定アームは、回動支軸を支点として回動可能である。
【0003】
ワークの外形寸法を測定するため、一対の接触子は、互いに向かい合って配置されている。ワークの外径寸法に応じて、測定アームおよび基部アームが回動すると、基部アームの移動量が差動トランスによって検出されることによって、ワークの外径寸法が測定される。
【特許文献1】特開2002-181502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開2002-181502号公報に記載の測定ヘッドは、一対の基部アームの内側に、一対の差動トランスが、配置されている。このため、一対の基部アームの間の間隔は、少なくとも、一対の差動トランスが配置できる程度の大きさが必要である。
【0005】
したがって、差動トランスまたは差動トランスに付随する部材のサイズが大きくなると、一対の基部アームの間隔が大きくなるために、基部アームの配列方向に装置サイズが大きくなってしまうおそれがある。また、各差動トランスを、一対の基部アームの外側に配置することも考えられるが、この場合も、装置が上記配列方向に大きくなるおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、装置を小型化することが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、測定対象の寸法を測定可能な寸法測定装置であって、第1レバーと、第2レバーと、第1接触子と、第2接触子と、第1検出器検出器と、第2検出器と、第1付勢部と、第1支持部とを備える。第1レバーは、第1基端アーム部と、第1先端アーム部を有する。第1先端アーム部は、前記第1基端アーム部よりも軸方向の一方側に位置する。第2レバーは、第2基端アーム部と、第2先端アーム部とを有する。第2先端アーム部は、前記第2基端アーム部よりも前記軸方向の一方側に位置する。第2レバーは、前記第2先端アーム部が前記第1先端アーム部から前記軸方向に交差する第1配列方向に離れて配置されている。第1接触子は、前記第1先端アーム部に位置する。第2接触子は、前記第2先端アーム部に位置する。第1検出器は、前記第1基端アーム部の移動を検出する。第2検出器は、第2レバーの前記第2基端アーム部の移動を検出する。第1付勢部は、前記第1接触子および前記第2接触子が測定対象に接触するように、前記第1レバーおよび前記第2レバーを付勢する。第1支持部は、前記第1先端アーム部および前記第2先端アーム部が第1配列方向に円弧状に移動するように、前記第1レバーおよび前記第2レバーを支持する。前記第1検出器は、前記第1レバーに対して、前記第1接触子とは反対側に接触する。前記第2検出器は、前記第2レバーに対して、前記第2接触子と同じ側に接触する。
【発明の効果】
【0008】
第1配列方向に配列された第1基端アーム部および第2基端アーム部に対して、第1検出器および第2検出器が、第1配列方向の同じ側にそれぞれ配置される。これにより、第1検出器または第2検出器のうち、一方を第1基端アーム部および第2基端アーム部の間に、他方を第1基端アーム部および第2基端アーム部の外側に配置できる。したがって、比較的大きいサイズの第1検出器および第2検出器を用いる場合でも、第1配列方向の装置サイズを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態の寸法測定装置を示す図である。
図2図1に示す測定ヘッドを示す側面図である。
図3】測定ヘッドを模式的に示す図である。
図4】第2実施形態に係る寸法測定装置を示す概略構成図である。
図5図4に示す2つの測定ヘッドの別の配置例を示す図である。
図6】第3実施形態に係る第1レバーおよび第2レバーを示す図である。
図7】変形例に係る測定ヘッドを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、この実施形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。図面においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数が誇張又は簡略化して図示されている場合がある。
【0011】
以下の説明では、測定ヘッドの中心軸と平行な方向を「軸方向」、測定ヘッドの中心軸に直交する方向を「径方向」、測定ヘッドの中心軸を中心とする円弧に沿う方向を「周方向」、とそれぞれ称する。軸方向一方側から視て、中心軸に対して反時計回りの向きを「周方向一方」と、軸方向一方側から視て中心軸に対して時計回りの向きを「周方向他方」と、それぞれ称する。
【0012】
また、各構成要素において、軸方向一方側の端部を「軸方向一端部」、軸方向一方側の端部の位置を「軸方向一方端」、とそれぞれ称する。また、各構成要素において、軸方向他方側の端部を「軸方向他端部」、軸方向他方側の端部の位置を「軸方向他方端」、とそれぞれ称する。
【0013】
また、中心軸に向かう径方向の一方を「径方向内方」または「径方向内側」、中心軸から離れる径方向の他方を「径方向外方」または「径方向外側」、とそれぞれ称する。各構成要素の側面において、径方向内方を向く側面を「内面」、径方向外方を向く側面を「外面」、とそれぞれ称する。
【0014】
<1. 第1実施形態>
図1は、第1実施形態の寸法測定装置1を示す図である。図2は、図1に示す測定ヘッド2を示す側面図である。なお、図1においては、ケーシング3を断面図で示している。また、図2においては、第1支持部51の図示を省略している。
【0015】
寸法測定装置1は、測定対象の寸法を測定する装置である。寸法測定装置1は、円筒形状を有する測定対象物9の内径を測定する装置である。寸法測定装置1は、基部11と、ケーシング3と、測定ヘッド2と、第1電気マイクロメータ4と、第2電気マイクロメータ5とを有する。ケーシング3は、軸方向に延びる略円筒状を有している。測定ヘッド2の一部は、ケーシング3内に配置されている。測定ヘッド2は、第1レバー21と、第2レバー22と、第1接触子31と、第2接触子32と、第1板バネ41と、第2板バネ42と、第1支持部51とを有する。
【0016】
第1レバー21は、第1基端アーム部211と第1先端アーム部213とを有する。第1先端アーム部213は、第1基端アーム部211に対して軸方向一方側に配置されている。第1接触子31は、第1先端アーム部213の先端部に配置されている。
【0017】
第1電気マイクロメータ4は、第1基端アーム部211の移動量(変位量)を検出する。第1電気マイクロメータ4は、検出器として差動トランスを備えた差動トランス形である。ただし、第1電気マイクロメータ4は、差動トランス形以外の形(例えば、静電容量形、抵抗線ひずみ形、インダクタンス形)であってもよい。第1電気マイクロメータ4は、第1配列方向に沿って棒状に延びている。第1レバー21に対して、第1電気マイクロメータ4は、第1配列方向他方側に配置されている。第1電気マイクロメータ4の先端部は、第1基端アーム部211に接触しており、当該第1基端アーム部211を径方向外方に押圧している。
【0018】
図1に示すように、第1電気マイクロメータ4は、第1レバー21に対して、第1接触子31とは反対側の面に接触する。詳細には、第1接触子31は、第1先端アーム部213の第1配列方向一方側の面に配置されている。第1電気マイクロメータ4の先端部は、第1基端アーム部211の第1配列方向他方側の面に接触している。第1基端アーム部211に対して、第1電気マイクロメータ4は、第1配列方向他方側に配置されている。
【0019】
第1板バネ41は、第1接触子31が測定対象物9の内面91に当接するように第1レバー21を付勢する。第1板バネ41は、軸方向に延びる板状を有する。第1板バネ41は、固定部401と可動部403とを有する。可動部403の軸方向他端部は、固定部401の軸方向一端部に連結部405を介して連結されている。連結部405は、径方向の厚さが固定部401および可動部403よりも薄くなっており、曲げ変形が容易となっている。このため、可動部403は、固定部401の軸方向一端部を軸(可動軸407(図3参照))にして、第1配列方向に円弧状に移動することが可能となっている。
【0020】
第2レバー22は、第2基端アーム部221と第2先端アーム部223とを有する。第2先端アーム部223は、第2基端アーム部221に対して軸方向一方側に配置されている。第2先端アーム部223は、第1先端アーム部213から第1配列方向(詳細には、第1配列方向他方側)に離れて配置されている。
【0021】
第2電気マイクロメータ5は、第2基端アーム部221の移動量(変位量)を検出する。第2電気マイクロメータ5の先端部は、第2基端アーム部221に接触しており、第2基端アーム部221を径方向内方に押圧している。
【0022】
第2電気マイクロメータ5は、検出器として差動トランスを備えた差動トランス形である。ただし、第2電気マイクロメータ5は、差動トランス形以外の形(例えば、静電容量形、抵抗線ひずみ形、インダクタンス形)であってもよい。
【0023】
図1に示すように、第2電気マイクロメータ5は、第2レバー22に対して、第2接触子32と同じ側の面に接触する。詳細には、第2接触子32は、第2先端アーム部223の第1配列方向他方側の面に配置されている。第2電気マイクロメータ5の先端部は、第2基端アーム部221の第1配列他方側の面に接触している。第2電気マイクロメータ5は、第1配列方向他方側に配置されている。
【0024】
第2板バネ42は、第2接触子32が測定対象物9の内面91に当接するように第2レバー22を付勢する。第2板バネ42は、軸方向に延びる板状を有する。第2板バネ42は、固定部401と可動部403とを有する。可動部403の軸方向他端部は、固定部401の軸方向一端部に連結部405を介して連結されている。連結部405は、径方向の厚さが固定部401および可動部403よりも薄くなっており、曲げ変形が容易となっている。このため、可動部403は、固定部401の軸方向一端部を軸(可動軸407)にして、第1配列方向へ円弧状に移動することが可能となっている。
【0025】
第1支持部51は、第1レバー21の第1先端アーム部213および第2レバー22の第2先端アーム部223が、第1配列方向に円弧状に移動できるように、第1レバー21および第2レバー22を支持する。本実施形態では、第1支持部51は、軸方向に延びる略円筒状を有する。第1支持部51は、第1配列方向において、第1レバー21と第2レバー22の間に配置されている。
【0026】
第1板バネ41の固定部401の内面は、第1支持部51の外面に固定されている。固定部401の外面は、第1基端アーム部211の内面と径方向に対向している。固定部401の外面と第1基端アーム部211との間には、わずかに隙間が形成されている。
【0027】
第1板バネ41の可動部403の外面は、第1レバー21の第1基端アーム部211に固定されている。可動部403の内面は、第1支持部51の外面と径方向に対向している。可動部403の内面と第1支持部51の外面との間には、わずかに隙間が形成されている。第1先端アーム部213は、第1板バネ41の固定部401の軸方向一端部を軸にして、第1配列方向に移動できる。
【0028】
第2板バネ42の固定部401の内面は、第1支持部51の外面に固定されている。固定部401の外面は、第2基端アーム部221の内面と径方向に対向している。固定部401の外面と第2基端アーム部221との間には、わずかに隙間が形成されている。
【0029】
第2板バネ42の可動部403の外面は、第2レバー22の第2基端アーム部221に固定されている。可動部403の内面は、第1支持部51の外面と径方向に対向している。可動部403の内面と第1支持部51の外面との間には、わずかに隙間が形成されている。第2先端アーム部223は、第2板バネ42の固定部401の軸方向一端部を軸にして、第1配列方向に移動できる。
【0030】
第1板バネ41および第2板バネ42は、第1付勢部の一例である。なお、第1付勢部は、第1板バネ41および第2板バネ42とは異なる構成によって実現されてもよい。
【0031】
図1および図2に示すように、第1基端アーム部211は、第1板バネ41の軸方向他端部よりも軸方向他方側に長く延びている。第1電気マイクロメータ4は、第1板バネ41に対して軸方向他方側に離れた位置で、第1基端アーム部211に接触する。また、第2基端アーム部221は、第2板バネ42の軸方向他端部よりも軸方向他方側に長く延びている。第2電気マイクロメータ5は、第2板バネ42に対して軸方向他方側に離れた位置で、第2基端アーム部221に接触する。
【0032】
図1および図2に示すように、第1レバー21は、第1連結部215を有する。第1連結部215は、第1基端アーム部211および第1先端アーム部213が、第1配列方向において異なる位置に配置されるように、第1基端アーム部および第1先端アーム部を連結する。第1連結部215は、軸方向一方側に向かって、周方向一方に延びている。このため、第1基端アーム部211に対して、第1先端アーム部213は、周方向一方側に位置する。
【0033】
図1および図2に示すように、第2レバー22は、第2連結部225を有する。第2連結部225は、第2基端アーム部221および第2先端アーム部223が、第1配列方向において異なる位置に配置されるように、第2基端アーム部221および第2先端アーム部を連結する。第2連結部225は、軸方向一方側に向かって周方向一方に延びている。このため、第2基端アーム部221に対して、第2先端アーム部223は、周方向一方側に位置する。
【0034】
第2レバー22は、第1レバー21と同じ大きさおよび同じ形状を有していてもよい。これにより、第1レバー21と第2レバー22とを共通化できるため、寸法測定装置1を構成する部品の種類を少なくすることができる。また第1配列方向の一方側および他方側のどちらに配置した場合でも、後述するように、第1基端アーム部211および第2基端アーム部221を幅方向にずらして配置できる。第1基端アーム部211および第2基端アーム部221を幅方向にずらして配置できるため、第1配列方向の他方側に第1電気マイクロメータ4および第2電気マイクロメータ5を配置しても、第1電気マイクロメータ4と、第2電気マイクロメータ5とが、幅方向および軸方向においてお互いに干渉しないように、配置することが可能である。
【0035】
図2に示すように、第2基端アーム部221は、第1基端アーム部211に対して、第1配列方向に直交する幅方向(詳細には、幅方向他方側)にずらして配置されている。このため、第1基端アーム部211および第2基端アーム部221は、第1配列方向に重ならならない位置に配置されている。したがって、第1電気マイクロメータ4と第2電気マイクロメータ5とを、幅方向にずらして配置できる。特に、図1および図2に示すように、軸方向を高さとした場合に、第1電気マイクロメータ4および第2電気マイクロメータ5を幅方向に配列することによって、第1電気マイクロメータ4および第2電気マイクロメータ5を軸方向の同じ高さに配置しても、第1電気マイクロメータ4が第2電気マイクロメータ5と同じ軸方向の線上に重ならないように配置できる。
【0036】
図1に示すように、測定ヘッド2は、第1調整ネジ61を有する。第1調整ネジ61は、第1レバー21の第1基端アーム部211を径方向(第1配列方向)に貫通するネジ孔601に挿通されており、ネジ孔601とかみ合う。第1調整ネジ61の径方向内側の先端部は、第1板バネ41の外面に当接する。第1調整ネジ61を締めたり、または、緩めたりすることにより、第1基端アーム部211と板バネとの間の間隔を調整できる。したがって、第1調整ネジ61の位置を調整することによって、第1レバー21が第1板バネ41から受ける付勢力を調整できる。
【0037】
図1に示すように、測定ヘッド2は、第2調整ネジ62を有する。第2調整ネジ62は、第2レバー22の第1基端アーム部211を径方向(第1配列方向)に貫通するネジ孔601に挿通されており、ネジ孔601とかみ合う。第2調整ネジ62の径方向内側の先端部は、第2板バネ42の外面に当接している。第2調整ネジ62を締めたり、または、緩めたりすることにより、第2基端アーム部221と板バネとの間の間隔を調整できる。このため、第2調整ネジ62の位置を調整することによって、第2レバー22が第2板バネ42から受ける付勢力を調整できる。
【0038】
ケーシング3の軸方向他端部は、基部11の軸方向一方側の面に固定されている。ケーシング3は、軸方向一端に開口部301を有する。第1先端アーム部213および第2先端アーム部223は、開口部301を通じて、ケーシング3外に露出している。これにより、第1接触子31および第2接触子32が、ケーシング3外に配置されている。また、第1支持部51の軸方向一端部も、ケーシング3の開口部301を介して、ケーシング3外に露出している。ケーシング3は、第1電気マイクロメータ4および第2電気マイクロメータ5が挿入される一対の孔を有している。
【0039】
図1に示すように、ケーシング3は、軸方向の中間部に、一対の貫通孔303を有している。貫通孔303は、ケーシング3を径方向(第1配列方向)に貫通している。第1調整ネジ61および第2調整ネジ62は、径方向において、一対の貫通孔303とそれぞれ重なっている。このため、ユーザは、一対の貫通孔303を介して、第1調整ネジ61および第2調整ネジ62を調整できる。
【0040】
図2に示すように、第1先端アーム部213は、幅方向において、第2先端アーム部223と同じ位置に配置されている。第1先端アーム部213は、第2先端アーム部223と第1配列方向に重なっている。一方、第1基端アーム部211は、第2基端アーム部221に対して、幅方向一方側にずれて配置されている。すなわち、第1基端アーム部211は、第2基端アーム部221と第1配列方向に重なっていない。
【0041】
図2に示すように、第1基端アーム部211の中心線C11(軸方向と平行な直線であって、幅方向の中心部を通る線)は、第1先端アーム部213の中心線C12に対して、幅方向一方にずれている。図2に示すように、第2基端アーム部221の中心線C21は、第2先端アーム部223の中心線C22に対して、幅方向他方にずれている。
【0042】
図3は、測定ヘッド2を模式的に示す図である。寸法測定装置1を用いて測定対象物9の内径を測定する場合、測定ヘッド2の先端部が、測定対象物9の内側に配置される。そうすると、測定ヘッド2の第1接触子31および第2接触子32は、測定対象物9の内面91に押し当てられる。そして、第1接触子31および第2接触子32の径方向(第1配列方向)への変位量に基づいて、測定対象物9の内径が測定される。
【0043】
例えば、第1接触子31が径方向内側へ移動した場合、第1先端アーム部213が径方向内側へ移動し、第1基端アーム部211が径方向外方へ移動する。すると、第1電気マイクロメータ4は、第1基端アーム部211の径方向外方への移動量を検出する。また、第2接触子32が径方向内側へ移動した場合、第2先端アーム部223が径方向内側へ移動し、第2基端アーム部221が径方向外方へ移動する。すると、第2電気マイクロメータ5は、第2基端アーム部221の径方向外方への移動量を検出する。このように、第1基端アーム部211および第2基端アーム部221の移動量を第1電気マイクロメータ4および第2電気マイクロメータ5が検出することにより、測定対象物9の内径が測定される。
【0044】
測定ヘッド2に対して、中心軸Q1を中心に測定対象物9を回転させることにより、測定対象物9の内面91の内周を、第1接触子31および第2接触子32でなぞることができる。これにより、周方向の各位置において、測定対象物9の内径を測定できる。この内径の測定結果に基づき、測定対象物9の内面91の真円度または円筒度を測定できる。
【0045】
図1に示すように、第1配列方向に配列された第1基端アーム部211および第2基端アーム部221に対して、第1電気マイクロメータ4および第2電気マイクロメータ5が、第1配列方向の同じ側(他方側)にそれぞれ配置される。これにより、第1電気マイクロメータ4を第1基端アーム部211および第2基端アーム部221の間に配置でき、第2電気マイクロメータ5を、第1基端アーム部211および第2基端アーム部221の外側に配置できる。したがって、第1電気マイクロメータ4および第2電気マイクロメータ5が、比較的大きいサイズであっても、第1配列方向の装置サイズを小さくすることが可能である。また、第1基端アーム部211と第2基端アーム部221とを接近させることができる。これにより、第1配列方向における装置サイズを小さくすることができる。
【0046】
また、第1電気マイクロメータ4は、第1配列方向の一方側に配置される第1接触子31に対して反対側となる、第1基端アーム部211の第1配列方向他方側に配置され、また、第2電気マイクロメータ5に沿って配置される。この構成によって、第1電気マイクロメータ4が第1基端アーム部211の第1配列方向一方側に配置される場合と比べ、寸法測定装置1の第1配列方向の装置サイズを小さくすることが可能である。
【0047】
図1に示すように、第1電気マクロメータ4の先端側の部分は、第2電気マイクロメータ5の先端部よりも、第1配列方向一方側に配置されている。すなわち、第2電気マイクロメータ5に対して、第1電気マイクロメータ4が第1配列方向一方側に片寄って配置されている。この場合、第2電気マクロメータ5に対して第1電気マイクロメータ4を第1配列方向一方側に片寄らせる長さに応じて、寸法測定装置1の第1配列方向(径方向)および幅方向の装置サイズを小さくすることが可能である。
【0048】
また、図1に示すように、第1電気マイクロメータ4および第2電気マイクロメータ5に接続される配線を、第1配列方向の同じ側(他方側)に集約できるため、配線などの作業性が向上する。また、配線の引き出しが整理されるため、測定ヘッド2のメンテナンスが容易となる。
【0049】
図1に示すように、第1基端アーム部211および第1先端アーム部213は、第1配列方向において異なる位置に配置されるように、第1連結部215によって連結されている。この場合、第1基端アーム部211と第1先端アーム部213の第1配列方向の位置をそれぞれ適切に設定することで、測定可能な寸法範囲を変更できる。例えば、図1に示す例では、第1基端アーム部211に対して、第1先端アーム部213が第1配列方向他方側(径方向内側)に配置される。このような配置により、より小さい内径の測定対象物を測定することが可能となる。
【0050】
<2. 第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。なお、以降の説明において、既に説明した要素と同様の機能を有する要素については、同じ符号又はアルファベット文字を追加した符号を付して、詳細な説明を省略する場合がある。
【0051】
図4は、第2実施形態に係る寸法測定装置1Aを示す概略構成図である。図4に示すように、寸法測定装置1Aは、図1に示す測定ヘッド2に加えて、測定ヘッド2Aをさらに備えている。測定ヘッド2Aは、測定ヘッド2と同一の構成を有する。
【0052】
測定ヘッド2Aを構成する各要素の位置関係は、中心軸Q1を中心に測定ヘッド2を180°回転させた場合の各要素の位置関係と一致する。すなわち、測定ヘッド2,2Aは、軸方向と平行な平面であって、測定ヘッド2,2Aの中間を通る平面PL1に関して、面対称となっている。測定ヘッド2Aにおいて、第1先端アーム部213に対して、第2先端アーム部223が配列されている方向(第2配列方向)は、第1配列方向と平行である。
【0053】
測定ヘッド2Aの第1レバー21、第2レバー22、第1接触子31、第2接触子32、第1電気マイクロメータ4、第2電気マイクロメータ5、および第1支持部51は、それぞれ、第3レバー、第4レバー、第3接触子、第4接触子、第3検出器、第4検出器、および第2支持部の一例である。また、測定ヘッド2Aの第1板バネ41、第2板バネ42は、第2付勢部の一例である。さらに、測定ヘッド2Aの第1基端アーム部211、第1先端アーム部213、第2基端アーム部221、および第2先端アーム部223は、それぞれ第3基端アーム部、第3先端アーム部、第4基端アーム部、および第4先端アーム部の一例である。
【0054】
図4に示すように、寸法測定装置1Aは、測定ヘッド2,2Aを備えるため、同時に2つの測定対象物9の寸法を測定できる。なお、寸法測定装置1Aは、3つ以上の測定ヘッドを備えてもよい。この場合、同時に3つ以上の測定対象物9の内径を測定することが可能となる。
【0055】
図4に示すように、測定ヘッド2Aの第1先端アーム部213(第3先端アーム部)は、第1配列方向において、測定ヘッド2の第2先端アーム部223と測定ヘッド2Aの第2先端アーム部223(第4先端アーム部)との間に配置されている。測定ヘッド2の第1電気マイクロメータ4および第2電気マイクロメータ5は、測定ヘッド2の第1基端アーム部211に対して、第1配列方向他方側に配置されている。そして、測定ヘッド2Aの第1電気マイクロメータ4(第3検出器)および第2電気マイクロメータ5(第4検出器)は、測定ヘッド2Aの第1基端アーム部211(第3基端アーム部)に対して第1配列方向の一方側に配置されている。
【0056】
図4に示すように、測定ヘッド2の第1電気マイクロメータ4および第2電気マイクロメータ5は、第1配列方向の他方側に引き出されているのに対して、測定ヘッド2Aの第1電気マイクロメータ4および第2電気マイクロメータ5は、第1配列方向の一方側に引き出されている。この場合、測定ヘッド2を測定ヘッド2Aに近づけても、測定ヘッド2の第1電気マイクロメータ4および第2電気マイクロメータ5が、測定ヘッド2Aの第1電気マイクロメータ4および第2電気マイクロメータ5と干渉することを抑制できる。したがって、2つの測定対象物9を近づけた状態で、それぞれの内径を測定できる。
【0057】
図5は、図4に示す2つの測定ヘッド2,2Aの別の配置例を示す図である。図5に示す例では、測定ヘッド2Aにおいて、第1先端アーム部213に対して、第2先端アーム部223が配列されている方向(第2配列方向)が、第1配列方向と交差(図示の例では、直交)している。この配置であっても、測定ヘッド2,2Aを接近させた場合に、測定ヘッド2Aの第1電気マイクロメータ4および第2電気マイクロメータ5が、測定ヘッド2Aの第1電気マイクロメータ4および第2電気マイクロメータ5と干渉しないようにすることができる。したがって、2つの測定対象物9を近づけた状態で、それぞれの内径を測定できる。
【0058】
<3. 第3実施形態>
図6は、第3実施形態に係る第1レバー21Aおよび第2レバー22を示す図である。図6に示すように、第1レバー21Aの第1基端アーム部211Aは、第2レバーの第2基端アーム部221の軸方向他端部よりも、軸方向他方側に長く延びている。また、第1電気マイクロメータ4は、第2電気マイクロメータ5に対して軸方向他方側に離れて配置されている。この場合、図2に示す配置に比べて、第1基端アーム部211と第2基端アーム部221とを合わせた幅方向の大きさを小さくすることができる。したがって、幅方向の装置サイズを小さくすることが可能である。
【0059】
また、図6に示すように、幅方向において、第1基端アーム部211が第1先端アーム部213と同じ位置に配置されていてもよい。また、幅方向において、第2基端アーム部221が第2先端アーム部223と同じ位置に配置されていてもよい。この場合、第1配列方向において第1レバー21または第2レバー22の幅方向のサイズを小さくすることが可能であるため、幅方向の装置サイズを小さくすることが可能である。
【0060】
<4. 変形例>
以上、実施形態について説明してきたが、本発明は上記のようなものに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0061】
例えば、上記各実施形態の寸法測定装置1,1Aは、測定対象物9の内径を測定するように構成されている。しかしながら、寸法測定装置は、測定対象物の外径を測定するように構成されていてもよい。
【0062】
図7は、変形例に係る測定ヘッド2Bを示す図である。測定ヘッド2Bは、測定対象物9Aの外径を測定することが可能に構成されている。具体的には、第1接触子31および第2接触子32が、第1配列方向において互いに向かい合うように、配置されている。そして、第1電気マイクロメータ4は、第1基端アーム部211に対して、第1接触子とは反対側(第1配列方向一方側)に接触している。第2電気マイクロメータ5は、第2基端アーム部221に対して、第2接触子と同じ側(第1配列方向一方側)に配置されている。
【0063】
測定ヘッド2Bによれば、 第1配列方向に配列された第1基端アーム部211および第2基端アーム部221に対して、第1電気マイクロメータ4および第2電気マイクロメータ5が、第1配列方向の同じ側(一方側)にそれぞれ配置される。これにより、第2電気マイクロメータ5を第1基端アーム部211および第2基端アーム部221の間に配置でき、第1電気マイクロメータ4が第1基端アーム部211および第2基端アーム部221の外側に配置できる。したがって、第1電気マイクロメータ4および第2電気マイクロメータ5が比較的大きいサイズであっても、第1配列方向の装置サイズを小さくすることができる。
【0064】
また、図7に示すように、第1電気マイクロメータ4および第2電気マイクロメータ5を、第1配列方向の同じ側(一方側)に集約できるため、配線等の作業性が向上する。また、配線の引き出しが整理されるため、測定ヘッド2Bのメンテナンスが容易となる。
【0065】
この発明は詳細に説明されたが、上記の説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、省略したりすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、寸法測定装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0067】
1,1A 寸法測定装置
2,2A,2B 測定ヘッド
21,21A 第1レバー
211,211A 第1基端アーム部
213 第1先端アーム部
215 第1連結部
22 第2レバー
221 第2基端アーム部
223 第2先端アーム部
31 第1接触子
32 第2接触子
4 第1電気マイクロメータ(第1検出器)
41 第1板バネ(第1付勢部材)
42 第2板バネ(第1付勢部材)
5 第2電気マイクロメータ(第2検出器)
51 第1支持部
61 第1調整ネジ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7