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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155244
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】着物整理帖
(51)【国際特許分類】
   B42D 15/00 20060101AFI20221005BHJP
【FI】
B42D15/00 331G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021058656
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】521134721
【氏名又は名称】松丸 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100145425
【弁理士】
【氏名又は名称】大平 和由
(72)【発明者】
【氏名】松丸 明子
(57)【要約】
【課題】所有する着物を体系的に整理し、TPOに合わせたふさわしい着物を選んで着ることができ、着用記録も残せる冊子を提供する。
【解決手段】本着物整理帖1は、着物の歴史、種類、格、帯の歴史、種類、格、着物を着るのに必要な物、更衣に関する情報、及び使用者に対してのワンポイントアドバイスが記載された教育用資料の収納部分1aと、冊子使用者の所有する着物の寸法の記録簿、使用者の所有する着物のプロフィール記録簿、使用者の帯のプロフィール記録簿、及び使用者の帯揚げ、帯締めのプロフィール記録簿を収納する記録簿の収納部分1bを具備し、着物の歴史、種類、格に関する資料は、TPO別のふさわしい装いについての早見表を含み、着物の着用に必要な物に関する資料は、着付けに必要な小物チェック確認表を含み、更衣に関する資料は、更衣一覧早見表を含み、着物プロフィール記録簿は、着物の写真情報、手入れの履歴及び着用履歴の欄を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着物を整理するために使用する冊子であって、
着物の歴史、着物の種類と格、帯の歴史、帯の種類と格、着物を着るのに必要な物、更衣に関する情報、および上記冊子の使用者に対してのワンポイントアドバイスが記載された教育用資料の収納部分と、
上記冊子使用者の所有する着物の寸法の記録簿、
上記使用者の所有する着物のプロフィール記録簿、
上記使用者の所有する帯のプロフィール記録簿、および
上記使用者の所有する帯揚げ、帯締めのプロフィール記録簿
を収納する記録簿の収納部分と、
を具備することを特徴とする着物整理帖。
【請求項2】
上記着物の歴史、種類、格に関する上記資料は、TPO別のふさわしい装いについての早見表を含み、
上記着物を着るのに必要な物に関する上記資料は、着付けに必要な小物チェック確認表を含み、
上記更衣に関する上記資料は、更衣一覧早見表を含むことを特徴とする、請求項1に記載の着物整理帖。
【請求項3】
上記着物プロフィール記録簿は、着物の写真情報、手入れの履歴及び着用履歴の欄を含み、
上記帯プロフィール記録簿は、帯の写真情報、手入れの履歴及び着用履歴の欄を含み、
上記帯揚げ、帯締めプロフィール記録簿は、帯揚げ、帯締めの写真情報を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の着物整理帖。
【請求項4】
男性用の着物整理帖であって、上記教育用資料と、上記ワンポイントアドバイスの頁と、は男性用着物に独自の情報を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の着物整理帖。
【請求項5】
請求項1~4に記載された着物整理帖の情報を含むことを特徴とするスマートフォンアプリケーション。
【請求項6】
請求項1~4に記載された着物整理帖の情報を含むことを特徴とするCD。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着物整理帖に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の我国における着物についての以下の会話をご覧いただきたい。
「着物はもっているんだけどね~。」「昔習ったけど今は着れないよね~。」「同窓会に着ていきたいと思ったけど、どの着物を着るか、帯はどれを選べばいいのかわからないし、考えると面倒になるのよね。」
「おばあちゃんやお母さんの着物、処分したの。しつけも付いている新しい着物もただ同然で持って行かれたわ。」
着付けのお稽古に、と言われて生徒さんが着物を持って来た際、「箪笥にあったから持ってきました。」
このような会話は現在、日常的に聞かれるものである。
【0003】
しかしながら、何気なく聞き流してしまうこれらの会話に中に、日本の文化としての着物の危機的状況がゆっくりと進行しているのを感じ取ることができる。
すなわち、着物の着方だけでなく、着物や帯の種類や格、それらの歴史や着るために必要な周辺の小物など、さらには着物にまつわる様々の知識、整理の仕方などといったことが、もはや一般の人々の常識ではなくなってきているということである。これは、洋服全盛の世の中になったとはいえ、何世代か前までは常識とされていたものが伝承されてこなかったこと、伝承していくシステムや道具が確立されていなかったことを示している。このままでは上記の常識が時間とともに消滅し、着物文化そのものが次第に衰退していくことが強く懸念される。
【0004】
このような状況を改善するべく、上記の知識を容易に得ることができるとともに、所有する着物を体系的に整理し、TPOに合わせたふさわしい着物を選んで着られるといったことを可能にするコンパクトな冊子の作成を企画したのである。
特許文献1には着物の収納保管具についての記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】登録実用新案3201184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1やその他の専門書では実際に着物を着る際の手軽な参考書として利用する事はできないし、所有する着物のリストや着用実績はまた別の資料を作成する必要があり、それらは現実には煩雑な作業となるため使い勝手と性能という点から見て十分とは言えない。
【0007】
本発明の着物整理帖は、上記の様々な問題点を解決して、誰でも着物を着る時や着付けを依頼する時に使用して、TPO、季節の着物、それに合わせた着物選び、小物合わせをすることができ、その時々に合わせた必要なアドバイスを確認することで、着物を着ることへの注意点等を知り、より楽しい着物生活を送ってもらうことへの一助となるいわば「着物生活便利帖」を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、着物を整理するために使用する冊子であって、着物の歴史、着物の種類と格、帯の歴史、帯の種類と格、着物を着るのに必要な物、更衣に関する情報、および冊子の使用者に対してのワンポイントアドバイスが記載された教育用資料の収納部分と、冊子使用者の所有する着物の寸法の記録簿、使用者の所有する着物のプロフィール記録簿、使用者の所有する帯のプロフィール記録簿、および使用者の所有する帯揚げ、帯締めのプロフィール記録簿を収納する記録簿の収納部分を具備することを特徴とする。
請求項2の発明は、さらに、着物の歴史、種類、格に関する資料は、TPO別のふさわしい装いについての早見表を含み、着物を着るのに必要な物に関する資料は、着付けに必要な小物チェック確認表を含み、更衣に関する資料は、更衣一覧早見表を含むことを特徴とする。
請求項3の発明は、さらに、着物プロフィール記録簿は、着物の写真情報、手入れの履歴及び着用履歴の欄を含み、帯プロフィール記録簿は、帯の写真情報、手入れの履歴及び着用履歴の欄を含み、帯揚げ、帯締めプロフィール記録簿は、帯揚げ、帯締めの写真情報を含むことを特徴とする。
請求項4の発明は男性用の着物整理帖であって、教育用資料と、ワンポイントアドバイスの頁は男性用着物に独自の情報を含むことを特徴とする。
請求項5の発明はスマートフォンアプリケーションであって、請求項1~3に記載された着物整理帖の情報を含むことを特徴とする。
請求項6の発明はCDであって、請求項1~3に記載された着物整理帖の情報を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、着物を着なれた人だけでなく初心者でも、自分で着る時や着付けを依頼する時に使用して、TPO、季節の着物、それに合わせた着物選び、小物合わせをすることができる。さらに、女性用だけでなく男性用の着物整理帖が提供されることで、男性用の着物についても同様の効果を奏することができる。
その他、その時々に合わせた必要なアドバイスを確認することで、着物を着ることへの注意点等を知り、より楽しい着物生活を送ってもらうことへの一助となるものである。
さらに、使用実績を記録して使い続けることで、将来的には着物文化を子や孫に継承するバトンともなり得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態である着物整理帖の外観図であり、(a)は女性用の着物整理帖、(b)は男性用の着物整理帖である。
図2】TPO別ふさわしい装いについての早見表である。
図3】着物寸法の記録簿である。
図4】着物プロフィール記録簿である。
図5】帯プロフィール記録簿である。
図6】(a)は、着物整理帖の情報を含むスマートフォンアプリケーションであり、(b)は、着物整理帖の情報を含むCDである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の着物整理帖の実施形態について図を用いて説明する。
まず、本実施形態の構成について図を用いて説明する。
【0012】
図1に示すように本実施形態の着物整理帖1はコンパクトな冊子の形態であって、資料の部分1aと、所有する着物や帯の写真やデータを保存する記録簿の部分1bを有している。
【0013】
図2図5に示すように、本着物整理帖は、着物を整理するために使用する冊子であって、着物の歴史、種類、格、帯の歴史、種類、格、着物を着るのに必要な物、更衣に関する情報、および冊子の使用者に対してのワンポイントアドバイスが記載された教育用資料と、冊子使用者の所有する着物の寸法の記録簿と、使用者の所有する着物のプロフィール記録簿と、使用者の所有する帯のプロフィール記録簿と、使用者の所有する帯揚げ、帯締めのプロフィール記録簿を収納する記録簿の収納部分を具備している。
さらに、着物の歴史、種類、格に関する資料は、TPO別のふさわしい装いについての早見表を含み、着物を着るのに必要な物に関する資料は、着付けに必要な小物チェック確認表を含み、更衣に関する資料は、更衣一覧早見表を含んでいる。
さらに、着物プロフィール記録簿は、着物の写真情報、手入れの履歴及び着用履歴の欄を含み、帯プロフィール記録簿は、帯の写真情報、手入れの履歴及び着用履歴の欄を含み、帯揚げ、帯締めプロフィール記録簿は、帯揚げ、帯締めの写真情報の欄を含んでいる。
【0014】
さらに本実施形態の構成についてより詳しく説明する。
「着物の歴史、種類、格」に関する情報が記載された教育用資料には、ミセスの第一礼装である留袖と、色留袖について解説されており、さらに、ミスの第一礼装である振袖について解説されている。
さらに、この資料の中には図2に示すような「TPO別のふさわしい装いについての早見表」が含まれており、「着物」と「シーン」の2つの条件のマトリクス形式で、その着物がそのシーンにふさわしいのかどうかの評価が示されている。
【0015】
「帯の歴史、種類、格」に関する情報が記載された教育用資料には、帯の歴史として、「はだけ防止紐」から長く、広く進化した経緯と、実用品から装飾品への発達の経緯が解説されている。
さらに、帯の種類、形と用途として、丸帯、袋帯、名古屋帯、単帯、半幅帯、小袋帯の形状、用途が解説されている。
【0016】
「着物を着るのに必要な物」に関する情報が記載された教育用資料には、長襦袢、肌襦袢、裾除けについての解説と、腰紐、伊達締め、帯枕、帯板、帯締め、帯揚げ、足袋、草履などの小物類についての解説が記載されている。
さらに、この資料の中には不図示の「着付けに必要な小物チェック確認表」が含まれている。
【0017】
「更衣(ころもがえ)」に関する情報が記載された教育用資料には、季節に応じて着物を替える更衣についての歴史についての解説されており、さらに、更衣の先取り文化についても解説されている。
また、上記各々の情報が記載された教育用資料の一部は「着物豆知識」としてまとめられており、「着物を通して見えてくる日本文化」についても解説されている。さらに、教育用資料には「日本の着物(染めと織り)産地マップ」として日本の各地方の着物の情報がまとめられている。
【0018】
「着物の寸法の記録簿」は、図3に示すように、冊子使用者が所有している全ての着物の寸法や、反物から着物に仕立てた際に計ってもらった寸法を記録しておくためのものである。袖丈、袖口、袖つけ、袖丸み、身丈などの各寸法を採寸日時とともに記録しておくことで、将来的には使用者の着物に関する歴史の記録簿となる。
【0019】
「着物のプロフィール記録簿」は、所有している全ての着物のプロフィールと履歴書を兼ねた記録簿である。この資料には、図4に示すように、各着物のプロフィールとして、写真を貼りつける欄と、着物の種類、織・染の名称、産地や購入・入手先、購入時期、購入金額を記載する欄が備えられている。
さらに、手入れ履歴と、着用履歴を記載する欄が備えられている。
【0020】
「帯のプロフィール記録簿」は、所有している全ての帯のプロフィールと履歴書を兼ねた記録簿である。図5に示すように、各帯のプロフィールとして、写真を貼りつける欄と、帯の種類、織・染の名称、産地や購入・入手先、購入時期、購入金額を記載する欄が備えられている。
さらに、手入れ履歴と、着用履歴を記載する欄が備えられている。
【0021】
「帯揚げ、帯締めのプロフィール記録簿」は、所有している全ての帯揚げ、帯締めのプロフィールの記録簿である。
【0022】
「ワンポイントアドバイスの頁」には、使用者に対してのアドバイスとして、浴衣の洗濯方法、着物の手入れ方法、着物を着た時の所作、雨の時の装いについての詳しい解説が記載されている。
【0023】
冊子の形態としては、着物と帯のプロフィールページは、アルバムのように差し込みができる形態となっており、それ以外の部分は固定の冊子のような作りであり、両方の形態が併用されている。
【0024】
着物文化には女性の着物だけでなく男性の着物ももちろん含まれている。本実施形態は上述した女性用の着物整理帖1とともに、これと対をなす男性用の着物整理帖2を含んでいる。
男性用の着物整理帖2についてもその構成は上述した女性用の着物整理帖1と同一であるが、普段着における着流しスタイル等男性独特の装いについての解説や、上述の「着物豆知識」において、男性ならではの着物についての情報が解説されている。
「着物豆知識」においては、着付け教室などで時間をかけて習っていく中で着物の知識を身に付けていく女性と違い男性は着付けが女性ほど難しくなく、自分で着られるようになる時間が短い故に、着物に関する知識を学ぶ機会も少ない。そのような事情から豆知識としては女性版以上に多くの記事を記載している。
【0025】
以下に、本実施形態の着物整理帖の機能、効果について説明する。
まず、本実施形態の機能を一言で言えば「着物の履歴書」となる。
主有している全ての着物について、その種類や寸法、手入れや着用の履歴が記載されているからである。着物をTPOに合わせて着るためのポイントとなる知識や様々な状況におけるアドバイスも載っている心強い味方でもある。
本冊子を箪笥の側に備えておけば、着物を着てのお出かけも、気軽に、楽しく、そして晴れやかな気持ちになれると思われる。本冊子が着物に関する不安な要素を全て取り払ってくれるからである。
さらに、この冊子を子供や孫に譲る時、使用者の歴史や思い出も込められた物となるであろう。
【0026】
上述した着物に関する会話から垣間見える文化的危機に対して、歯止めとなる有効な手段はそう簡単には見出せないとも考えられる。大きな歴史の流れに逆らう方向に力を発揮する手段、ということになるわけであるから。しかしながら、それを可能にする手段としてその役割を担えるのは、何か現状にはない、新しいものを提供するものであることは確かである。本冊子はその一つの有力な候補であると考える。以下に、なぜこの小冊子が上記手段たりうるかについて少し考察してみる。
【0027】
日本の貴重な文化である着物文化がこのままでは世代間で継承されることなく衰退していってしまう、というこのような危機を食い止めるとともに、誰でも易しく、楽しく着物に接することができる貴重な知識やノウハウがコンパクトにまとめられた冊子「着物整理帖」。これは文化の強力な防衛装置なのである。
以下のように参考書として使うことができ、手入れや着用の記録簿として使い続けることで、自身の使用記録を残していくことができ、自動的に自分史を作成していくことができる。それは後進の参考資料となり、多くの整理帖が残されることで歴史の資料として残せるものとなる。
【0028】
そもそも、着物にまつわる様々の必要な情報、その発信源と記録媒体とが一ヶ所にまとまっていなかったことが、現代社会において時間の経過とともに着物文化が廃れて行ってしまう大きな要因となっていると考えられる。本発明は着物に関する情報の発信源と記録媒体とを一か所に整理帖という形でまとめたものなのである。次に、実際にこの整理帖を作成する際の問題を考察する。
【0029】
本冊子を完成させるためには、実際に所有している着物や帯、その他を写真に撮って、寸法等を記録していく必要がある。
実際整理していくのに写真が必要となる。これが面倒という人もおられるであろうが、本着物整理帖は写真を使わなくても活用できなくはないものである。
確かに最近は紙の写真が残せない時代になってきている。紙に印刷する代わりにCDで本着物整理帖を作成してもよいかもしれない。しかし、その場合、着物を着る時、手入れする度にパソコンで開いて、というのもまた不便である。
箪笥のひと隅に置いていて、いつでも着物と見比べられる、それでこそ着物の活用に本願の着物整理帖が活かされてくると思われる。
【0030】
具体的な効果について説明する。
本実施形態の着物整理帖を使用することで、
1)その着物がそれぞれどんな価値を持っているのかがわかる。
2)どんな時に着物を着ればいいのかがわかる。
3)どんな帯と合わせたらよいか、帯揚げ帯締めとのコーディネートも参考にできる。
4)作られた時の寸法がわかり、価値がわかることで作り直す価値がわかる。これらを分かったうえで自分の物として生き返らせることができるからである。
5)おばあちゃんやお母さんの歴史が見えてきて、代々伝えていくことができる。
6)自分で自分用に作った着物の枚数が多くなっていく時に、あるはずの着物が見つからない、箪笥の中から探し出せない、又は洗いに出したのを忘れている等のトラブルが防止できる。
7)この着物にどの帯にしようか、前に締めた帯はどれだったか、今回は同じ帯にするかそれとも別な帯に、と悩むことがなくなる。ちゃんと使用記録が残っており、組み合わせもプロフィール写真だけでできるからである。
【0031】
オリンピックやインバウンドの外国人の増加などもあり、和文化が見直されてきている今日、外国人はもとより、日本人においても着物についての関心は高まりを見せている。
しかしながら、「着物を着たい」という思いと「着物を着る」という現実のずれは大きく、何とか着物を着る人を増やし、日本文化としての着物を、そして着物を通して日本の良さを感じてほしいと願うものである。
本実施形態の着物整理帖は、このような着物を着る楽しさや身に着けることの楽しさ、そして着物を着る必要性を見つけるための一助となるものである。
そして、これにより着物を楽しむことができる、また着物で楽しむことができる、より豊かな人生を送るための手助けとなることが期待される。
さらに、その先に自分で着物が着られる人(自装)を育てる、他の人にも着物を着せることができる(他装)人を育てる、着物文化についての造詣を深めて、日常の中での日本文化を感じられる人を育てる、といった展開につなげていく第一歩となることが望まれる。
このように、着物のことを学び習得することで日本文化としての伝承・継承を担っていく人を育て、増やしていくことに貢献できると考えている。
【0032】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
本発明の第2の実施形態は、上述した実施形態の着物整理帖の資料を全て含み、着物や帯の写真データをアップロードすることができるスマートフォンアプリケーション3である。第1の実施形態では作成に手間のかかった着物や帯の写真についてもスマートフォンで撮影してそのままこのアプリケーションに保存することができ、使い勝手としてはさらに手軽となり、特にこれからの若い世代に広く利用してもらうためには適していると思われる。
【0033】
上述のように、紙に印刷する代わりにCD4で本着物整理帖を作成して使用する方式も写真データの迅速な取り込みが可能な点など有利な面がある。但し、実際に着物を着る時や、手入れする度にパソコンで開いてというのが不便とも言えた。
これがスマートフォンアプリケーション3であれば、使用の手軽さにおいて話は別である。着る時や手入れするときも手軽に参照したり写真データを入力したりすることができる。また、CD4でも同様ではあるが、データ格納量が飛躍的にアップできるため、上記請求項3に記載の着物整理帖の「TPO別ふさわしい装い早見表」の「シーン」及び「きもの」を入力すると、多くの参考例を表示することができ、当該ケースにおける装いの評価と注意点についてのより詳細情報を表示することもできる。インターネットで着物に関する新しい情報も手軽に入手できる。若者にこのアプリケーション3を使ってもらえれば次世代の着物文化の担い手になってもらうこともできるかもしれない。
【0034】
上述したように、現在は着物やその周辺の事物、すなわち帯や小物やそれらを着物と合わせるための常識やノウハウ、それらの歴史などが一つにまとめられている媒体がない。専門の書籍はあっても、それらは実際の生活における着物を着る場面に手軽に使える形にまとめられてはいない。
【0035】
本願の着物整理帖は、これ一冊があれば着物を着る際の全てのニーズに対応できる、といった虎の巻的な冊子であって、しかもそれを自分の着物用にカスタマイズすることができ、着用実績を一定の基準で記録し編集しておくことで子供や孫に伝えていくことができるという優れた機能を有するものである。
【0036】
すなわち、直接的には生活における実践的なニーズに便利かつ手軽に役立つという効果を奏し、同時に上述のように着物文化といった大きなテーマの担い手にもなりうる側面を有しているのである。
【符号の説明】
【0037】
1 着物整理帖
1a 資料の収納部分
1b 記録簿の収納部分
2 男性用の着物整理帖
3 スマートフォンアプリケーション
4 CD
図1
図2
図3
図4
図5
図6