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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155246
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】摩擦具及び熱変色性筆記具
(51)【国際特許分類】
   B43L 19/00 20060101AFI20221005BHJP
   B43K 29/02 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
B43L19/00 A
B43K29/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021058658
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(72)【発明者】
【氏名】蟹江 孝司
(57)【要約】
【課題】摩擦部の板厚方向の厚みまたは透視部の板厚方向の厚みが比較的厚肉に形成されても、摩擦操作時、摩擦箇所が容易に視認可能であるとともに、長期にわたり摩擦部と透視部との強固な固着状態が得られる摩擦具及び熱変色性筆記具を提供する。
【解決手段】摩擦部4が弾性材料により形成される。透視部6が、摩擦部より硬質な透明合成樹脂により形成される。透視部6が、頂面61と、該頂面に連設される複数組の対向側面62・63とを備える。頂面及び複数組の対向側面が外部に露出するように設けられる。透視部の少なくとも一組の対向側面の頂辺部及び両側辺部に摩擦部4が連続して形成される。透視部6の対向側面の底辺部に、透視部6の両側辺部に形成された摩擦部4と連続して摩擦部4が形成される。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱変色性インキを用いて被筆記面上に形成した熱変色性の像または筆跡を摩擦し、その際に生じる摩擦熱で前記熱変色性の像または筆跡を熱変色可能な摩擦部と、該摩擦部が外面に固着され、摩擦操作時の摩擦箇所を視認可能な透視部と、を備えた摩擦具であって、
前記摩擦部が弾性材料により形成され、
前記透視部が、前記摩擦部より硬質な透明合成樹脂により形成され、
前記透視部が、頂面と、該頂面に連設される複数組の対向側面とを備え、前記頂面及び前記複数組の対向側面が外部に露出するように設けられ、
前記透視部の少なくとも一組の対向側面の頂辺部及び両側辺部に摩擦部が連続して形成され、
前記透視部の対向側面の底辺部に、前記透視部の両側辺部に形成された摩擦部と連続して摩擦部が形成されることを特徴とする摩擦具。
【請求項2】
前記透視部の頂面と前記透視部の対向側面との間に面取り部が形成され、前記面取り部の外面に前記摩擦部が形成される請求項1に記載の摩擦具。
【請求項3】
前記透視部の全ての対向側面の、頂辺部、両側辺部及び底辺部に摩擦部が連続して形成される請求項1または2に記載の摩擦具。
【請求項4】
熱変色性インキを用いて被筆記面上に形成した熱変色性の像または筆跡を摩擦し、その際に生じる摩擦熱で前記熱変色性の像または筆跡を熱変色可能な摩擦部と、該摩擦部が外面に固着され、摩擦操作時の摩擦箇所を視認可能な透視部と、を備えた摩擦具であって、
前記摩擦部が弾性材料により形成され、
前記透視部が、前記摩擦部より硬質な透明合成樹脂により形成され、
前記透視部が、頂面と、該頂面に連設される側面とを備え、前記頂面及び前記側面が外部に露出するように設けられ、
前記透視部の頂面と前記透視部の側面との間に面取り部が形成され、前記面取り部の外面に前記摩擦部が形成されることを特徴とする摩擦具。
【請求項5】
熱変色性インキが内蔵され且つ該熱変色性インキが吐出可能なペン先を有する軸筒を備えた熱変色性筆記具であって、前記軸筒が前記請求項1乃至4の何れかに記載の摩擦具の本体であることを特徴とする熱変色性筆記具。
【請求項6】
熱変色性インキが内蔵され且つ該熱変色性インキが吐出可能なペン先を有する軸筒と、該軸筒のペン先側に着脱自在に装着されるキャップとを備えた熱変色性筆記具であって、前記キャップが前記請求項1乃至4の何れかに記載の摩擦具の本体であることを特徴とする熱変色性筆記具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摩擦具及び熱変色性筆記具に関する。詳細には、熱変色性の像または筆跡を熱変色可能な摩擦部と、該摩擦部が外面に固着され、摩擦操作時の摩擦箇所を視認可能な透視部と、を備えた摩擦具及び熱変色性筆記具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1には、熱変色性インキを用いて被筆記面上に形成した熱変色性の像または筆跡を摩擦し、その際に生じる摩擦熱で前記熱変色性の像または筆跡を熱変色性可能な摩擦体であって、被筆記面上の熱変色性の像または筆跡を摩擦する際、側面に、該側面から該側面の反対側を透視可能な透視部を備え、板形状の透視部を包囲するように摩擦部を設けた摩擦体が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、筆記面に筆記された筆跡等を消去する消去具において、一端に筆跡等を消去する消去部と、前記消去部の近傍の筆記面が視認可能な可視部とからなり、可視部の先端に形成された凸部の外周面に消去部が固着された消去具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-95013号公報
【特許文献2】特開2014-177053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1の摩擦体は、摩擦部の板厚方向の厚みまたは透視部の板厚方向の厚みが比較的厚肉に形成される場合、摩擦操作時に摩擦箇所の視認性が低下する可能性がある。
【0006】
前記特許文献2の消去具は、長期間の使用で消去部と可視部との固着が弱まり、摩擦操作時に、可視部から消去部が外れるおそれがある。また、前記特許文献2の消去具は、可視部の先端部に形成された凸部の外周面に形成された段部の表面に消去部が固着されており、段部により透視部の側面から凸部の先端を通しての摩擦箇所の視認性が低下するおそれがある。
【0007】
本願発明は、前記従来の問題点を解決するものであって、摩擦部の板厚方向の厚みまたは透視部の板厚方向の厚みが比較的厚肉に形成されても、摩擦操作時、摩擦箇所が容易に視認可能であるとともに、長期にわたり摩擦部と透視部との強固な固着状態が得られる摩擦具及び熱変色性筆記具、及び透視部の側面から透視部の頂面を通しての視認性が向上する摩擦具及び熱変色性筆記具を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の第1の発明は、熱変色性インキを用いて被筆記面上に形成した熱変色性の像または筆跡を摩擦し、その際に生じる摩擦熱で前記熱変色性の像または筆跡を熱変色可能な摩擦部と、該摩擦部が外面に固着され、摩擦操作時の摩擦箇所を視認可能な透視部と、を備えた摩擦具であって、前記摩擦部が弾性材料により形成され、前記透視部が、前記摩擦部より硬質な透明合成樹脂により形成され、前記透視部が、頂面と、該頂面に連設される複数組の対向側面とを備え、前記頂面及び前記複数組の対向側面が外部に露出するように設けられ、前記透視部の少なくとも一組の対向側面の頂辺部及び両側辺部に摩擦部が連続して形成され、前記透視部の対向側面の底辺部に、前記透視部の両側辺部に形成された摩擦部と連続して摩擦部が形成されることを要件とする。
【0009】
前記第1の発明の摩擦具は、前記構成により、摩擦部の板厚方向の厚みまたは透視部の板厚方向の厚みが比較的厚肉に形成されても、摩擦操作時、摩擦箇所が透視部の対向側面及び透視部の頂面を通して容易に視認可能であるとともに、長期にわたり摩擦部と透視部との強固な固着状態が得られる。
【0010】
尚、本発明の透視部は、少なくとも一組の対向側面を有するものであればよく、例えば、透視部の横断面形状は、長方形、正方形、多角形、または長円形状等が挙げられる。対向側面の各々は、平面が好ましいが、曲面(凸曲面または凹曲面)であってもよい。
【0011】
尚、本発明において、前記透視部の対向側面の底辺部に、前記透視部の両側辺部に形成された摩擦部と連続して摩擦部が形成される構成は、例えば、前記一組の対向側面の底辺部に摩擦部が形成される構成、または前記一組の対向側面と隣接する対向側面の底辺部に摩擦部が形成される構成が挙げられる。
【0012】
本願の第2の発明は、前記第1の発明の摩擦具において、前記透視部の頂面と前記透視部の対向側面との間に面取り部が形成され、前記面取り部の外面に前記摩擦部が形成される
ことを要件とする。
【0013】
前記第2の発明の摩擦具は、前記構成により、透視部の頂面と透視部の対向側面との間の角部を露出させず、透視部の角部(即ち頂部稜線部)に摩擦部を容易に形成することができ、しかも、摩擦部を薄肉にでき、より一層、透視部の頂面及び対向側面を通して摩擦操作時の摩擦箇所を容易に視認することができる。尚、前記面取り部は、例えば、傾斜面、凸曲面が挙げられる。
【0014】
本願の第3の発明は、前記第1または第2の発明の摩擦具において、前記透視部の全ての対向側面の、頂辺部、両側辺部及び底辺部に摩擦部が連続して形成されることを要件とする。
【0015】
前記第3の発明の摩擦具は、前記構成により、透視部の全ての対向側面の頂辺部の摩擦部によって摩擦可能であるとともに、長期にわたり摩擦部と透視部との強固な固着状態が得られる。
【0016】
本願の第4の発明は、熱変色性インキを用いて被筆記面上に形成した熱変色性の像または筆跡を摩擦し、その際に生じる摩擦熱で前記熱変色性の像または筆跡を熱変色可能な摩擦部と、該摩擦部が外面に固着され、摩擦操作時の摩擦箇所を視認可能な透視部と、を備えた摩擦具であって、前記摩擦部が弾性材料により形成され、前記透視部が、前記摩擦部より硬質な透明合成樹脂により形成され、前記透視部が、頂面と、該頂面に連設される側面とを備え、前記頂面及び前記側面が外部に露出するように設けられ、前記透視部の頂面と前記透視部の側面との間に面取り部が形成され、前記面取り部の外面に前記摩擦部が形成されることを要件とする。
【0017】
前記第4の発明の摩擦具は、前記構成により、透視部の側面から透視部の頂面を通しての視認性が向上し、摩擦操作時、摩擦箇所を容易に視認できる。尚、前記面取り部は、例えば、傾斜面、凸曲面が挙げられる。本発明の透視部の横断面形状は、例えば、円、長方形、正方形、多角形、長円形状等が挙げられる。
【0018】
本願の第5の発明は、熱変色性インキが内蔵され且つ該熱変色性インキが吐出可能なペン先を有する軸筒を備えた熱変色性筆記具であって、前記軸筒が前記第1の発明乃至第4の何れかの発明の摩擦具の本体であることを要件とする。
【0019】
前記第5の発明の熱変色性筆記具は、摩擦部の板厚方向の厚みまたは透視部の板厚方向の厚みが比較的厚肉に形成されても、摩擦操作時、摩擦箇所が容易に視認可能であるとともに、長期にわたり摩擦部と透視部との強固な固着状態が得られる。
【0020】
本願の第6の発明は、熱変色性インキが内蔵され且つ該熱変色性インキが吐出可能なペン先を有する軸筒と、該軸筒のペン先側に着脱自在に装着されるキャップとを備えた熱変色性筆記具であって、前記キャップが前記第1の発明乃至第4の何れかの発明の摩擦具の本体であることを要件とする。
【0021】
前記第6の発明の熱変色性筆記具は、摩擦部の板厚方向の厚みまたは透視部の板厚方向の厚みが比較的厚肉に形成されても、摩擦操作時、摩擦箇所が容易に視認可能であるとともに、長期にわたり摩擦部と透視部との強固な固着状態が得られる。
【0022】
尚、本発明の摩擦部は、弾性材料(ゴム弾性を有する材料)から形成され、例えば、ゴム弾性を有する合成樹脂(ゴム、エラストマー)が挙げられ、例えば、シリコーン樹脂、SBS樹脂(スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体)、SEBS樹脂(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体)、ポリエステル系樹脂、オレフィン系樹脂、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等が挙げられる。本実施の形態では、摩擦部は、熱可塑性エラストマー(例えば、ポリエステル系エラストマー、スチレン系エラストマー)の射出成形により得られる。前記ゴム弾性を有する材料は、高摩耗性の弾性材料(例えば、消しゴム等)からなるものよりも、摩擦時に摩耗屑が殆ど生じない低摩耗性の弾性材料からなることが好ましい。
【0023】
尚、本発明の透視部は、透明合成樹脂(透明はたは半透明の合成樹脂)からなり、例えば、ポリカーボネイト、ABS樹脂、ポリプロピレン等が挙げられる。透視部を構成する材料は、摩擦部を構成する材料より硬質な材料により形成される。透視部と摩擦部とは二色成形により一体に形成されることが好ましい。
【0024】
尚、本発明で、熱変色性インキは、可逆熱変色性インキが好ましい。可逆熱変色性インキは、発色状態から加熱により消色する加熱消色型、発色状態又は消色状態を互変的に特定温度域で記憶保持する色彩記憶保持型、又は、消色状態から加熱により発色し、発色状態からの冷却により消色状態に復する加熱発色型等、種々のタイプを単独又は併用して構成することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の摩擦具は、摩擦部の板厚方向の厚みまたは透視部の板厚方向の厚みが比較的厚肉に形成されても、摩擦操作時、摩擦箇所が容易に視認可能であるとともに、長期にわたり摩擦部と透視部との強固な固着状態が得られる。
【0026】
本発明の摩擦具は、透視部の側面から透視部の頂面を通しての視認性が向上し、摩擦操作時、摩擦箇所を容易に視認できる。
【0027】
本発明の熱変色性筆記具は、摩擦部の板厚方向の厚みまたは透視部の板厚方向の厚みが比較的厚肉に形成されても、摩擦操作時、摩擦箇所が容易に視認可能であるとともに、長期にわたり摩擦部と透視部との強固な固着状態が得られる。
【0028】
本発明の熱変色性筆記具は、透視部の側面から透視部の頂面を通しての視認性が向上し、摩擦操作時、摩擦箇所を容易に視認できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の実施の第1の形態の要部縦断面図である。矢印Lは視認方向を示す。
図2図1のA-A線断面図である。
図3図1の要部斜視図である。
図4図1の摩擦体の斜視図である。
図5図4の摩擦体の透視部を除いた摩擦部の斜視図である。
図6図4の摩擦体の摩擦部を除いた透視部の斜視図である。
図7図1の摩擦体の正面図である。
図8図7の側面図である。
図9図7の平面図である。
図10】本発明の実施の第2の形態の要部縦断面図である。矢印Lは視認方向を示す。
図11図10のB-B線断面図である。
図12】本発明の実施の第3の形態の要部斜視図である。
図13】本発明の実施の第4の形態の要部斜視図である。
図14】本発明の実施の第5の形態の要部斜視図である。
図15】本発明の実施の第6の形態の要部斜視図である。
図16】本発明の実施の第7の形態の要部縦断面図である。矢印Lは視認方向を示す。
図17図16のC-C線断面図である。矢印Lは視認方向を示す。
図18図16の内部材(透視部)の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
<第1の実施の形態>
本発明の摩擦具1及び熱変色性筆記具11の第1の実施の形態を図1乃至図9に示す。
本実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11は、本体2と、本体2の上端部に取り付けられる摩擦体3とを備える。
【0031】
・本体
本体2は、筒状体(例えば円筒体)または柱状体(例えば円柱体)である。本体2を構成する材料としては、例えば、合成樹脂(例:ポリカーボネイト、ABS樹脂、ポリプロピレン等)、金属、木材等が挙げられる。
【0032】
本体2は、内部が空洞の筒状体の場合、熱変色性筆記具11に用いる軸筒、または熱変色性筆記具11に用いるキャップを構成することができる。熱変色性筆記具11に用いる軸筒は、内部に熱変色性インキが収容され且つ該熱変色性インキが吐出可能なペン先を備えた熱変色性筆記具11における軸筒である。熱変色性筆記具11に用いるキャップは、内部に熱変色性インキが収容され且つ該熱変色性インキが吐出可能なペン先を備えた熱変色性筆記具11における軸筒のペン先側に装着されるキャップである。
【0033】
・摩擦体
摩擦体3は、透明または半透明の合成樹脂(例えばポリカーボネイト樹脂)からなる内部材5(透視部6)と、該内部材5の外周面を覆うように固着される、ゴム弾性材料(例えばSEBS樹脂)からなる外部材(摩擦部4)とからなる。内部材5と外部材4とは2色成形により一体に固着される。
【0034】
内部材5は、円柱状の芯部7と、横断面長方形状の平板状の透視部6とからなる。透視部6は、大きい面積の第1の対向側面62と、小さい面積の第2の対向側面63と、長方形状の頂面61とを有する。第2の対向側面63と頂面61との間の稜線部には、傾斜面からなる面取り部64が形成される。第1の対向側面62の長辺部及び両側辺部には、内方に低くなるよう段部65が形成される。
【0035】
外部材4は、内部材5の円柱状の芯部7を同心状に覆う円筒状の取付部41と、内部材5の頂面61、第1の対向側面62及び第2の対向側面63を枠状に包囲する摩擦部4とからなる。取付部41と摩擦部4とは同一材料により一体に形成される。
【0036】
透視部6の頂面61は、枠状に外部材4(摩擦部)が固着される。透視部6の第1の対向側面62の各々には、枠状に外部材4(摩擦部)が固着される。透視部6の第2の対向側面63の各々は、枠状に外部材4(摩擦部)が固着される。具体的には、透視部6の頂面61の4つの辺部、透視部6の第1の対向側面62の4つの辺部(即ち、頂辺部、両側辺部及び底辺部)、透視部6の第2の対向側面63の4つの辺部(即ち、頂辺部、両側辺部及び底辺部)に摩擦部4が連続して固着される。透視部6の頂面61、透視部6の第1の対向側面62、及び透視部6の第2の対向側面63は、外部に露出される。
【0037】
透視部6の第1の対向側面62と該第1の対向側面62の両側辺部の摩擦部4とは、同一平面を構成する。透視部6の第2の対向側面63の両側辺部と該第2の対向側面63の摩擦部4とは、同一平面を構成する。透視部6の頂面61と該頂面61の周辺部の摩擦部4とは、同一平面を構成する。
【0038】
透視部6の頂面61と透視部6の第2の対向側面63との間の頂辺部に面取り部64が形成される。面取り部64の外面に摩擦部4が一体に固着される。それにより、透視部6の頂面61と透視部6の第2の対向側面63との間の頂辺部に角部を露出させず、透視部6の頂面61と透視部6の第2の対向側面63との間の頂辺部に摩擦部4を容易に形成することができ、しかも、面取り部64の摩擦部4の厚みを小さくでき、第2の対向側面63と頂面61とを通した摩擦箇所の視認性が一層向上する。尚、面取り部64は、例えば、傾斜面、凸曲面が挙げられる。
【0039】
摩擦体3の摩擦部4及び透視部6は、本体2の端部より外部に突出し、摩擦体3の取付部41は、本体2の端部の取付孔21に取り付けられる。
【0040】
取付部41の外面には、外向突起41aが形成される。本体2の端部には、取付孔21が形成される。取付孔21の内面に内向突起21aが設けられる。摩擦体3の取付部41(外部材4の取付部41)を本体2の取付孔21に挿入し、取付部41の外面の外向突起41aと取付孔21の内面の内向突起21aとが前後方向に抜け止め係合させる。それにより、摩擦体3が本体2の端部に取り付けられる。
【0041】
本実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11は、摩擦操作時、透視部6の第1の対向側面62と頂面61を通して、または第2の対向側面63と頂面61を通して、摩擦箇所を容易に視認できる。本実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11は、摩擦部4が、透視部6の頂面61、第1の対向側面62及び第2の対向側面63の全周囲(透視部6の全稜線部)を包囲してなり、それにより、摩擦部4が透視部6に強固に固定される。
【0042】
本実施の形態の摩擦具1及び本実施の形態の熱変色性筆記具11は、熱変色性インキを用いて被筆記面上に形成した熱変色性の像または筆跡を摩擦し、その際に生じる摩擦熱で前記熱変色性の像または筆跡を熱変色可能な摩擦部4と、該摩擦部4が外面に固着され、摩擦操作時の摩擦箇所を視認可能な透視部6と、を備えた摩擦具及び熱変色性筆記具であって、前記摩擦部4が弾性材料により形成され、前記透視部6が、前記摩擦部4より硬質な透明合成樹脂により形成され、前記透視部6が、頂面61と、該頂面61に連設される複数組の対向側面とを備え、前記頂面61及び前記複数組の対向側面が外部に露出するように設けられ、前記透視部6の少なくとも一組の対向側面の頂辺部及び両側辺部に摩擦部4が連続して形成され、前記透視部6の対向側面の底辺部に、前記透視部6の両側辺部に形成された摩擦部4と連続して摩擦部4が形成される。それにより、本実施の形態の摩擦具1及び本実施の形態の熱変色性筆記具11は、摩擦部4の板厚方向の厚みまたは透視部6の板厚方向の厚みが比較的厚肉に形成されても、摩擦操作時、摩擦箇所が透視部6の対向側面及び透視部6の頂面61を通して容易に視認可能であるとともに、長期にわたり摩擦部4と透視部6との強固な固着状態が得られる。
【0043】
本実施の形態の摩擦具1及び本実施の形態の熱変色性筆記具11は、前記透視部6の頂面61と前記透視部6の対向側面との間に面取り部64が形成され、前記面取り部64の外面に前記摩擦部4が形成される。それにより、透視部6の頂面61と透視部6の対向側面との間の角部を露出させず、透視部6の角部(即ち頂部稜線部)に摩擦部4を容易に形成することができ、しかも、摩擦部4を薄肉にでき、より一層、透視部6の頂面61及び対向側面を通して摩擦操作時の摩擦箇所を容易に視認することができる。
【0044】
本実施の形態の摩擦具及び熱変色性筆記具は、熱変色性インキを用いて被筆記面上に形成した熱変色性の像または筆跡を摩擦し、その際に生じる摩擦熱で前記熱変色性の像または筆跡を熱変色可能な摩擦部4と、該摩擦部4が外面に固着され、摩擦操作時の摩擦箇所を視認可能な透視部6と、を備えた摩擦具及び熱変色性筆記具であって、前記摩擦部4が弾性材料により形成され、前記透視部6が、前記摩擦部4より硬質な透明合成樹脂により形成され、前記透視部6が、頂面と、該頂面に連設される側面とを備え、前記頂面及び前記側面が外部に露出するように設けられ、前記透視部6の頂面と前記透視部6の側面との間に面取り部64が形成され、前記面取り部64の外面に前記摩擦部4が形成される。それにより、透視部6の側面から透視部6の頂面を通しての視認性が向上し、摩擦操作時、摩擦箇所を容易に視認できる。
【0045】
<第2の実施の形態>
本発明の摩擦具1及び熱変色性筆記具11の第2の実施の形態を図10及び図11に示す。
本実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11は、第1の実施の形態の変形例である。
【0046】
本体2は、筒状体(例えば円筒体)または柱状体(例えば円柱体)である。本体2を構成する材料としては、透明合成樹脂(例:ポリカーボネイト、ABS樹脂、ポリプロピレン等)が挙げられる。
【0047】
・透視部
本体2の端部に、透明合成樹脂よりなる透視部6が一体に形成される。透視部6は、第1の実施の形態と同様、横断面長方形状の板状体よりなる。
【0048】
・摩擦部
摩擦部4が、第1の実施の形態と同様、透視部6の頂面61、第1の対向側面62、及び第2の対向側面63の各々の全周囲を包囲するように連続して固着される。
【0049】
他の構成及び作用効果は、第1の実施の形態と共通のため、説明を省略する。
【0050】
<第3の実施の形態>
本発明の摩擦具1及び熱変色性筆記具11の第3の実施の形態を図12に示す。
本実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11は、第1の実施の形態及び第2の実施の形態の変形例である。透視部6の第2の対向側面63の底辺部に摩擦部4が形成されていないこと以外、他の構成及び作用効果は、第1の実施の形態及び第2の実施の形態と共通のため、説明を省略する。
【0051】
<第4の実施の形態>
本発明の摩擦具1及び熱変色性筆記具11の第4の実施の形態を図13に示す。
本実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11は、第1の実施の形態及び第2の実施の形態の変形例である。透視部6の第1の対向側面62の底辺部に摩擦部4が形成されていないこと以外、他の構成及び作用効果は、第1の実施の形態及び第2の実施の形態と共通のため、説明を省略する。
【0052】
<第5の実施の形態>
本発明の摩擦具1及び熱変色性筆記具11の第5の実施の形態を図14に示す。
本実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11は、第1の実施の形態及び第2の実施の形態の変形例である。透視部6の頂面61の長辺部、透視部6の第1の対向側面62の頂辺部、及び透視部6の第1の対向側面62の底辺部に摩擦部4が形成されていないこと以外、他の構成及び作用効果は、第1の実施の形態及び第2の実施の形態と共通のため、説明を省略する。
【0053】
<第6の実施の形態>
本発明の摩擦具1及び熱変色性筆記具11の第6の実施の形態を図15に示す。
本実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11は、第1の実施の形態及び第2の実施の形態の変形例である。透視部6の頂面61の長辺部、透視部6の第1の対向側面62の頂辺部、及び透視部6の第2対向側面の底辺部に摩擦部4が形成されていないこと以外、他の構成及び作用効果は、第1の実施の形態及び第2の実施の形態と共通のため、説明を省略する。
【0054】
<第7の実施の形態>
本発明の摩擦具1及び熱変色性筆記具11の第7の実施の形態を図16乃至図18に示す。本実施の形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11は、第1の実施の形態及び第2の実施の形態の面取り部64の変形例である。透視部6の全ての稜線部に面取り部64が形成され、面取り部64に摩擦部4が固着されている。それにより、摩擦部4を薄肉にでき、透視部6を通しての視認性が向上する。特に、面取り部64のみに摩擦部4が固着されているため、より一層、透視部6を通しての視認性が向上する。面取り部64は、凸曲面により形成されているが、傾斜面により形成することもできる。
【0055】
尚、他の構成及び作用効果は、第1の実施の形態及び第2の実施の形態と共通のため、説明を省略する。
【符号の説明】
【0056】
1 摩擦具
11 熱変色性筆記具
2 本体(軸筒、キャップ)
21 取付孔
21a 内向突起
3 摩擦体
4 外部材(摩擦部)
41 取付部
41a 外向突起
5 内部材
6 透視部
61 頂面
62 第1の対向側面
63 第2の対向側面
64 面取り部
65 段部
7 芯部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図12
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図15
図16
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図18