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特開2022-155264電源管理システム、燃料電池装置及び充放電装置
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  • 特開-電源管理システム、燃料電池装置及び充放電装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155264
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】電源管理システム、燃料電池装置及び充放電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20221005BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20221005BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
H02J13/00 311R
H02J13/00 301A
H02J3/32
H02J3/38 170
H02J3/38 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021058682
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】山本 明日香
(72)【発明者】
【氏名】松原 未央
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
【Fターム(参考)】
5G064AC05
5G064AC09
5G064CB13
5G064DA03
5G064DA05
5G066AA04
5G066HB07
5G066HB09
5G066JB03
(57)【要約】
【課題】受電点電力を上昇させる調整力及び受電点電力を低下させる調整力の両方を提供できる電源管理システムを提供する。
【解決手段】電源管理システムであって、管理装置30は、複数の電源装置10に対して、電源装置10の出力電力を定める出力制御指令を送信でき、電源装置10は、管理装置30から出力制御指令を受け取った場合、出力制御指令の対象となる制御対象期間の間、出力制御指令に基づいて定まる出力電力の供給を目標とする第1運転モードで動作し、制御対象期間から外れる非制御対象期間の間、第1運転モードとは別の第2運転モードで動作し、複数の電源装置10には、第2運転モードが、出力電力が上限出力電力未満の値に制限される運転モードに設定される装置と、第2運転モードが、出力電力が下限出力電力を超える値に制限される運転モードに設定される装置とが含まれるように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の施設のそれぞれに設置されて電力を出力可能な電源装置と、複数の前記電源装置との間で前記施設の外部の遠隔地から通信を行うことができる管理装置とを備える電源管理システムであって、
前記電源装置は、電力系統に連系される電源部を備え、上限出力電力と下限出力電力との間で出力電力を調節できるように構成され、
前記施設に設置される電力負荷装置は、当該施設に設置される前記電源装置及び前記電力系統の少なくとも一方から電力供給を受けるように構成され、
前記管理装置は、複数の前記電源装置に対して、前記電源装置の出力電力を定める出力制御指令を送信でき、
前記電源装置は、前記管理装置から前記出力制御指令を受け取った場合、前記出力制御指令の対象となる制御対象期間の間、前記出力制御指令に基づいて定まる出力電力の供給を目標とする第1運転モードで動作し、前記制御対象期間から外れる非制御対象期間の間、前記第1運転モードとは別の第2運転モードで動作し、
複数の前記電源装置には、前記第2運転モードが、出力電力が前記上限出力電力未満の値に制限される運転モードに設定される装置と、前記第2運転モードが、出力電力が前記下限出力電力を超える値に制限される運転モードに設定される装置とが含まれるように構成される電源管理システム。
【請求項2】
複数の前記電源装置には、前記第2運転モードが、出力電力が前記上限出力電力未満で且つ前記電力負荷装置の負荷電力に最も近くなる値に定められる運転モードに設定される装置と、前記第2運転モードが、出力電力が前記上限出力電力に定められる運転モードに設定される装置とが含まれるように構成される請求項1に記載の電源管理システム。
【請求項3】
複数の前記電源装置には、前記第2運転モードが、出力電力が前記上限出力電力未満で且つ前記下限出力電力を超える一定値に定められる運転モードに設定される装置が含まれるように構成される請求項1に記載の電源管理システム。
【請求項4】
複数の前記電源装置には、前記第2運転モードが、出力電力が前記上限出力電力未満で且つ前記電力負荷装置の負荷電力よりも所定値だけ大きい値に最も近くなる値に定められる運転モードに設定される装置が含まれるように構成される請求項1に記載の電源管理システム。
【請求項5】
前記電源装置において、前記所定値は、(前記上限出力電力-前記負荷電力)×0.5、という条件を満たす値に設定される請求項4に記載の電源管理システム。
【請求項6】
複数の前記電源装置には、前記第2運転モードが、出力電力が前記上限出力電力未満で且つ前記下限出力電力を超える一定値と前記電力負荷装置の負荷電力とのうちの大きい方の値に定められる運転モードに設定される装置が含まれるように構成される請求項1に記載の電源管理システム。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項に記載の電源管理システムで用いられる前記電源装置の機能を備え、前記電源部が燃料電池を備える燃料電池装置。
【請求項8】
請求項1~6の何れか一項に記載の電源管理システムで用いられる前記電源装置の機能を備え、前記電源部が充放電部を備える充放電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の施設のそれぞれに設置されて電力を出力可能な電源装置と、複数の電源装置との間で施設の外部の遠隔地から通信を行うことができる管理装置とを備える電源管理システム、その電源管理システムで用いられる電源装置としての燃料電池装置及び充放電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力系統には、従来から有る大規模な発電所だけでなく、住宅や事業所などの施設に設置された発電装置や充放電装置等の電源装置も接続されている。また、施設に設置された電力負荷装置も電力系統に接続されている。そして、電源装置及び電力負荷装置を用いて施設の受電点電力を増減させることで、電力系統での電力の需給バランス調整に貢献することができる。近年では、バーチャルパワープラント(VPP:Virtual Power Plant)という概念の下で、需要家の施設に設置された上述のような電源装置及び電力負荷装置などの需要家側エネルギーリソースの動作を制御することで、発電所と同等の機能を提供することが試みられている。尚、施設の受電点電力という場合、電力系統から施設への受電電力及び施設から電力系統への逆潮流電力の両方が含まれる。
【0003】
特許文献1(特開2018-125907号公報)には、複数の施設のそれぞれに設置される電源装置(電力資源101)と、複数の電源装置との間で通信を行うことができる管理装置(仮想発電中央装置103)とを備える電源管理システムが記載されている。そして、管理装置は、経済性や、電力負荷低減における需要家への影響度、電源装置の発動における信頼性、電源装置の故障可能性や稼働寿命の長期化、制御指令に対する電源装置の追従速度、電源装置の通信性能などの評価基準に基づいて、動作指令の対象とする電源装置を選択する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-125907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、所定の制御対象期間において動作指令の対象とする電源装置を選択する手法は記載されているが、選択される前の電源装置をどのような動作状態にしておくことが好ましいのかは記載されていない。例えば、電源装置が、上限出力電力未満の出力電力で動作していれば、即ち、出力電力を上昇させる余力を有した状態で動作していれば、施設における受電点電力を低下させる余力を有しているため、その電源装置に対して、制御対象期間において出力電力を上昇させる動作指令を行うことができる。また、電源装置が、下限出力電力よりも大きい出力電力で動作していれば、即ち、出力電力を低下させる余力を有した状態で動作していれば、施設における受電点電力を上昇させる余力を有しているため、その電源装置に対して、制御対象期間において出力電力を低下させる動作指令を行うことができる。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、受電点電力を上昇させる調整力及び受電点電力を低下させる調整力の両方を提供できる電源管理システム、その電源管理システムで用いられる電源装置としての燃料電池装置及び充放電装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る電源管理システムの特徴構成は、複数の施設のそれぞれに設置されて電力を出力可能な電源装置と、複数の前記電源装置との間で前記施設の外部の遠隔地から通信を行うことができる管理装置とを備える電源管理システムであって、
前記電源装置は、電力系統に連系される電源部を備え、上限出力電力と下限出力電力との間で出力電力を調節できるように構成され、
前記施設に設置される電力負荷装置は、当該施設に設置される前記電源装置及び前記電力系統の少なくとも一方から電力供給を受けるように構成され、
前記管理装置は、複数の前記電源装置に対して、前記電源装置の出力電力を定める出力制御指令を送信でき、
前記電源装置は、前記管理装置から前記出力制御指令を受け取った場合、前記出力制御指令の対象となる制御対象期間の間、前記出力制御指令に基づいて定まる出力電力の供給を目標とする第1運転モードで動作し、前記制御対象期間から外れる非制御対象期間の間、前記第1運転モードとは別の第2運転モードで動作し、
複数の前記電源装置には、前記第2運転モードが、出力電力が前記上限出力電力未満の値に制限される運転モードに設定される装置と、前記第2運転モードが、出力電力が前記下限出力電力を超える値に制限される運転モードに設定される装置とが含まれるように構成される点にある。
【0008】
上記特徴構成によれば、出力電力が上限出力電力未満の値に制限される電源装置には、電源装置の出力電力を上昇させる余力、即ち、施設における受電点電力を低下させる余力がある。つまり、第2運転モードが、出力電力が上限出力電力未満の値に制限される運転モードに設定される電源装置が設けられる施設は、制御対象期間の開始前の時点で、制御対象期間の間に施設における受電点電力を低下させるための出力制御指令に応じる準備が整っている。また、出力電力が下限出力電力を超える値に制限される電源装置には、電源装置の出力電力を低下させる余力、即ち、施設における受電点電力を上昇させる余力がある。つまり、第2運転モードが、出力電力が下限出力電力を超える値に制限される運転モードに設定される電源装置が設けられる施設は、制御対象期間の開始前の時点で、制御対象期間の間に施設における受電点電力を上昇させるための出力制御指令に応じる準備が整っている。このように、本特徴構成の電源管理システムは、制御対象期間の間、複数の電源装置の何れかを用いて、受電点電力を上昇させる調整力及び受電点電力を低下させる調整力の両方を提供できる。
【0009】
本発明に係る電源管理システムの別の特徴構成は、複数の前記電源装置には、前記第2運転モードが、出力電力が前記上限出力電力未満で且つ前記電力負荷装置の負荷電力に最も近くなる値に定められる運転モードに設定される装置と、前記第2運転モードが、出力電力が前記上限出力電力に定められる運転モードに設定される装置とが含まれるように構成される点にある。
【0010】
上記特徴構成によれば、第2運転モードが、出力電力が上限出力電力未満で且つ電力負荷装置の負荷電力に最も近くなる値に定められる運転モードの場合、非制御対象期間の間で施設での電力系統からの買電電力を小さくしつつ、制御対象期間の間で電源装置の出力電力を上昇させる余力を確保できる。また、第2運転モードが、出力電力が上限出力電力に定められる運転モードに設定される場合、非制御対象期間の間で施設での電力系統からの買電電力を小さくしつつ、制御対象期間の間で電源装置の出力電力を低下させる余力を確保できる。
【0011】
本発明に係る電源管理システムの別の特徴構成は、複数の前記電源装置には、前記第2運転モードが、出力電力が前記上限出力電力未満で且つ前記下限出力電力を超える一定値に定められる運転モードに設定される装置が含まれるように構成される点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、第2運転モードが、出力電力が上限出力電力未満で且つ下限出力電力を超える一定値に定められる運転モードに設定される場合、制御対象期間の間で電源装置の出力電力を上昇させる余力及び電源装置の出力電力を低下させる余力を共に確保できる。
【0013】
本発明に係る電源管理システムの別の特徴構成は、複数の前記電源装置には、前記第2運転モードが、出力電力が前記上限出力電力未満で且つ前記電力負荷装置の負荷電力よりも所定値だけ大きい値に最も近くなる値に定められる運転モードに設定される装置が含まれるように構成される点にある。
この場合、前記電源装置において、前記所定値は、(前記上限出力電力-前記負荷電力)×0.5、という条件を満たす値に設定してもよい。
【0014】
上記特徴構成によれば、非制御対象期間の間で施設での電力系統からの買電電力を小さくしつつ、制御対象期間の間で電源装置の出力電力を上昇させる余力及び電源装置の出力電力を低下させる余力を共に確保できる。
【0015】
本発明に係る電源管理システムの別の特徴構成は、複数の前記電源装置には、前記第2運転モードが、出力電力が前記上限出力電力未満で且つ前記下限出力電力を超える一定値と前記電力負荷装置の負荷電力とのうちの大きい方の値に定められる運転モードに設定される装置が含まれるように構成される点にある。
【0016】
上記特徴構成によれば、非制御対象期間の間で施設での電力系統からの買電電力を小さくできる。
【0017】
上記目的を達成するための本発明に係る燃料電池装置の特徴構成は、上記電源管理システムで用いられる前記電源装置の機能を備え、前記電源部が燃料電池を備える点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、受電点電力を上昇させる調整力及び受電点電力を低下させる調整力の両方を提供できる電源管理システムで用いられる電源装置の機能を備える燃料電池装置を提供できる。
【0019】
上記目的を達成するための本発明に係る充放電装置の特徴構成は、上記電源管理システムで用いられる前記電源装置の機能を備え、前記電源部が充放電部を備える点にある。
【0020】
上記特徴構成によれば、受電点電力を上昇させる調整力及び受電点電力を低下させる調整力の両方を提供できる電源管理システムで用いられる電源装置の機能を備える充放電装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】施設と、管理装置と、アグリゲーションコーディネーターとの関係を示した図である。
図2】施設の構成例を示す図である。
図3】制御対象期間と非制御対象期間とを模式的に描いた図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、燃料電池装置10及び電力負荷装置4が設けられる施設20と、管理装置30と、アグリゲーションコーディネーター40との関係を示した図である。図2は、施設20の構成例を示す図である。電源管理システムは、複数の施設20のそれぞれに設置されて電力を出力可能な燃料電池装置10と、複数の燃料電池装置10との間で施設20の外部の遠隔地から通信を行うことができる管理装置30とを備える。尚、図1に記載した管理装置30の数及び施設20の数は適宜変更可能である。
燃料電池装置10は、本発明の「電源装置」に対応する。
【0023】
管理装置30は、リソースアグリゲーター等とも呼ばれ、VPP(Virtual Power Plant)サービス契約を締結した施設20に対して需要家側エネルギーリソースとしての燃料電池装置10及び電力負荷装置4への制御情報を伝達することで、その需要家側エネルギーリソースの制御を行う事業者である。アグリゲーションコーディネーター40は、各管理装置30が制御する電力量を束ね、電気の取引市場等において一般送配電事業者や小売電気事業者と電力取引を行う事業者である。
【0024】
管理装置30は、複数の施設20から、燃料電池装置10の出力電力、電力負荷装置4の負荷電力、施設20での受電点電力などの電力情報を逐次収集して記憶している。尚、本実施形態で「電力負荷装置4の負荷電力」と記載する場合、施設20に設けられている全ての電力負荷装置4の合計の負荷電力のことを意味する。そして、管理装置30は、将来の所定の時間帯に各施設20から供出可能な電力を予測し、アグリゲーションコーディネーター40に伝達する。この供出可能電力は、施設20の受電点電力を上げる能力又は下げる能力といった調整余力である。尚、本実施形態において「受電点電力を上げる」という場合、電力系統1から電力線2への受電電力を増加させる、又は、電力線2から電力系統1への逆潮流電力を減少させることを意味し、「受電点電力を下げる」という場合、電力系統1から電力線2への受電電力を減少させる、又は、電力線2から電力系統1への逆潮流電力を増加させることを意味する。
【0025】
例えば、施設20の受電点電力を上げるためには、燃料電池装置10の出力電力を下げること、及び、電力負荷装置4の負荷電力を上げることの少なくとも一方を行えばよいため、施設20の受電点電力を上げる場合の上げ側調整余力は、燃料電池装置10の出力電力を下げる余力がどの程度あるかを示し、電力負荷装置4の負荷電力を上げる余力がどの程度あるかを示す。また、施設20の受電点電力を下げるためには、燃料電池装置10の出力電力を上げること、及び、電力負荷装置4の負荷電力を下げることの少なくとも一方を行えばよいため、施設20の受電点電力を下げる場合の下げ側調整余力は、燃料電池装置10の出力電力を上げる余力がどの程度あるかを示し、電力負荷装置4の負荷電力を下げる余力がどの程度あるかを示す。
【0026】
また、管理装置30は、自身が管理する複数の施設20におけるベースライン受電点電力を決定する。このベースライン受電点電力は、各施設20から調整力等(即ち、送配電事業者に提供する調整力及び小売事業者等に提供する供給力等を含む)を供出させない場合に予測される、各施設20の受電点電力の合計に相当する。
【0027】
アグリゲーションコーディネーター40は、各管理装置30から受け取った供出可能電力を集計し、需給調整市場、卸電力市場、容量市場などの電力の取引市場への入札を行うなどして、一般送配電事業者や小売電気事業者と電力取引を行う。そして、アグリゲーションコーディネーター40は、取引を行った一般送配電事業者や小売電気事業者から、将来の所定の制御対象期間での調整力等の供出指令を受け取った場合、その供出指令で指定された調整力等を各管理装置30に対して分配して伝達する。
【0028】
管理装置30は、アグリゲーションコーディネーター40から供出指令を受け取った場合、その供出指令で指定された調整力等を各施設20に対して分配して伝達する。その結果、各施設20では、将来の所定の制御対象期間において需要家側エネルギーリソースとしての燃料電池装置10及び電力負荷装置4の制御が行われることで、その制御が行われなかった場合と比較して、施設20の受電点電力が増減するという調整力等の供出が行われる。
【0029】
施設20には、電源装置としての燃料電池装置10と、電力負荷装置4とが設けられている。燃料電池装置10及び電力負荷装置4は、電力系統1に連系される電力線2に接続される。電力線2には、施設20の受電点電力を測定する電力メーター3が設置されている。尚、図1及び図2には、電源装置としての燃料電池装置10が1台設置されている例を示しているが、電源装置の設置台数は適宜変更可能である。
【0030】
電力メーター3で測定された受電点電力に関する情報は、ゲートウェイ5及びルーター6を介して管理装置30に伝達される。例えば、受電点電力に関する情報は、10秒毎などの所定のタイミングで管理装置30に伝達される。
【0031】
電力負荷装置4は、例えば照明装置、空調装置などの様々な装置であり、施設20に設置される燃料電池装置10及び電力系統1の少なくとも一方から電力供給を受けることができる。
【0032】
燃料電池装置10は、電力系統1に連系される電源部としての燃料電池部12と、燃料電池部12の発電電力を所定の電圧、周波数、位相に変換して電力線2に供給する電力変換部11と、燃料電池部12及び電力変換部11の動作を制御する燃料電池制御部13と、燃料電池装置10で取り扱われる情報を記憶する記憶部14とを備える。また、燃料電池装置10は、燃料電池部12の燃料ガスである水素を生成する燃料改質装置を備えていてもよい。
【0033】
このように、電源管理システムで用いられる電源装置の機能を備え、電源部が燃料電池部12を備える燃料電池装置10を実現できる。
【0034】
燃料電池制御部13は、所定の上限出力電力と下限出力電力との間で、燃料電池装置10から電力線2への出力電力を調節できる。例えば、燃料電池制御部13は、燃料電池装置10の出力電力を上限出力電力に維持して連続運転させることができる。また、燃料電池制御部13は、燃料電池装置10の出力電力を、電力負荷装置4の負荷電力に追従させる運転を行わせることもできる。例えば、燃料電池制御部13は、電力測定部8で計測される電力(即ち、電力系統1から供給される電力)がゼロ又はゼロに近い電力になるように燃料電池装置10の出力電力を調節することで、電力負荷装置4の負荷電力に追従させる運転を行わせることができる。
【0035】
燃料電池制御部13は、電力変換部11から電力線2に供給する出力電力についての情報及び電力測定部8での測定電力についての情報を有しているため、電力負荷装置4の負荷電力(=出力電力+測定電力)を導出できる。尚、電力測定部8での測定電力の符号がプラスの場合は負荷電力が燃料電池装置10の出力電力よりも大きい状態であることを意味し、電力測定部8での測定電力の符号がマイナスの場合は燃料電池装置10の出力電力が負荷電力よりも大きい状態であることを意味する。
【0036】
燃料電池装置10は、施設20の利用者が燃料電池装置10に対する指令を行う場合に操作するリモコン7と接続されている。そして、燃料電池装置10が有する出力電力についての情報及び負荷電力についての情報などは、リモコン7及びルーター6を介して管理装置30に伝達される。例えば、燃料電池装置10が有する出力電力についての情報及び負荷電力についての情報などは、1分毎などの所定のタイミングで管理装置30に伝達される。
【0037】
上述したように、管理装置30は、複数の燃料電池装置10に対して、燃料電池装置10の出力電力を定める出力制御指令を送信できる。そして、燃料電池装置10は、管理装置30から出力制御指令を受け取った場合、出力制御指令の対象となる制御対象期間の間、出力制御指令に基づいて定まる出力電力の供給を目標とする第1運転モードで動作し、制御対象期間から外れる非制御対象期間の間、第1運転モードとは別の第2運転モードで動作する。
【0038】
第2運転モードは、複数の燃料電池装置10において予め設定されている運転モードである。或いは、管理装置30は、複数の燃料電池装置10に対して、第2運転モードを定める運転モード制御指令を送信でき、燃料電池装置10は、管理装置30から受け取った運転モード制御指令に従って第2運転モードを決定する。
【0039】
図3は、制御対象期間と非制御対象期間とを模式的に描いた図である。図3に示した例では、制御情報(出力制御指令)において、12時~15時の間が制御対象期間に指定されている。そのため、この燃料電池装置10は、12時~15時の制御対象期間は、第1運転モードで動作し、それ以外の非制御対象期間は、第2運転モードで動作する。
【0040】
管理装置30と通信する複数の燃料電池装置10には、第2運転モードが、出力電力が上限出力電力未満の値に制限される運転モードに設定される装置と、第2運転モードが、出力電力が下限出力電力を超える値に制限される運転モードに設定される装置とが含まれるように構成される。
【0041】
出力電力が上限出力電力未満の値に制限される燃料電池装置10には、燃料電池装置10の出力電力を上昇させる余力、即ち、施設20における受電点電力を低下させる余力がある。つまり、第2運転モードが、出力電力が上限出力電力未満の値に制限される運転モードに設定される燃料電池装置10が設けられる施設20は、制御対象期間の開始前の時点で、制御対象期間の間に施設20における受電点電力を低下させるための出力制御指令に応じる準備が整っていると言える。
【0042】
出力電力が下限出力電力を超える値に制限される燃料電池装置10には、燃料電池装置10の出力電力を低下させる余力、即ち、施設20における受電点電力を上昇させる余力がある。つまり、第2運転モードが、出力電力が下限出力電力を超える値に制限される運転モードに設定される燃料電池装置10が設けられる施設20は、制御対象期間の開始前の時点で、制御対象期間の間に施設20における受電点電力を上昇させるための出力制御指令に応じる準備が整っている。
【0043】
このように、管理装置30と通信する複数の燃料電池装置10に、第2運転モードが、出力電力が上限出力電力未満の値に制限される運転モードに設定される装置と、第2運転モードが、出力電力が下限出力電力を超える値に制限される運転モードに設定される装置とを含めておくことで、制御対象期間の間、複数の燃料電池装置10の何れかを用いて、受電点電力を上昇させる調整力及び受電点電力を低下させる調整力の両方を提供できる。
【0044】
以下に、第2運転モードの具体例について説明する。尚、以下の説明では、燃料電池装置10などの電源装置が、上限出力電力(0.7kW)と下限出力電力(0.05kW)との間で電力線2への出力電力を調節できるものとする。また、1台の管理装置30が5台の電源装置A,B,C,D,Eに対して出力制御指令を送信するものとする。
【0045】
〔第2運転モードの具体例1〕
具体例1は、以下の表1に示すように、複数の電源装置に、第2運転モードが、出力電力が上限出力電力未満で且つ電力負荷装置4の負荷電力に最も近くなる値に定められる運転モードに設定される装置(電源装置C,D,E)と、第2運転モードが、出力電力が上限出力電力に定められる運転モードに設定される装置(電源装置A,B)とが含まれるように構成する場合である。
【0046】
出力電力が上限出力電力未満で且つ電力負荷装置4の負荷電力に最も近くなる値に定められる運転モードの場合(即ち、電源装置C,D,E)、非制御対象期間の間での電力系統1からの買電電力を小さくしつつ、制御対象期間の間で出力電力を上昇させる余力(上げ余力)を確保できる。また、出力電力が上限出力電力に定められる運転モードに設定される場合(即ち、電源装置A,B)、非制御対象期間の間での電力系統1からの買電電力を小さくしつつ、制御対象期間の間で出力電力を低下させる余力(下げ余力)を確保できる。
【0047】
【表1】
【0048】
〔第2運転モードの具体例2〕
具体例2は、以下の表2に示すように、複数の電源装置に、第2運転モードが、出力電力が上限出力電力未満で且つ下限出力電力を超える一定値に定められる運転モードに設定される装置(電源装置A,B,C,D,E)が含まれるように構成する場合である。表2に示す例では、その一定値を0.5kWに定めている。
【0049】
この場合、電源装置A,B,C,D,Eの何れも、制御対象期間の間で、出力電力を上昇させることができ、且つ、出力電力を低下させることができる。
【0050】
【表2】
【0051】
〔第2運転モードの具体例3〕
具体例3は、以下の表3に示すように、複数の電源装置に、第2運転モードが、出力電力が上限出力電力未満で且つ電力負荷装置4の負荷電力よりも所定値だけ大きい値に最も近くなる値に定められる運転モードに設定される装置が含まれるように構成する場合である。例えば、上記所定値は、「(上限出力電力-負荷電力)×0.5」、という条件を満たす値に設定される。
【0052】
この場合、非制御対象期間の間で施設20での電力系統1からの買電電力を小さくしつつ、制御対象期間の間で電源装置の出力電力を上昇させる余力及び電源装置の出力電力を低下させる余力を共に確保できる。
【0053】
【表3】
【0054】
〔第2運転モードの具体例4〕
具体例4は、以下の表4に示すように、複数の電源装置に、第2運転モードが、出力電力が上限出力電力未満で且つ下限出力電力を超える一定値と電力負荷装置4の負荷電力とのうちの大きい方の値に定められる運転モードに設定される装置が含まれるように構成する場合である。例えば、表4に示す例では、上限出力電力未満で且つ下限出力電力を超える一定値として0.5kWを設定している。
【0055】
以下の表4に示す場合、電源装置A,B,C,D,Eの第2運転モードでの出力電力は以下のように設定される。
・電源装置A:「負荷電力0.3kW<一定値0.5kW」なので、出力電力を0.5kWに設定する。
・電源装置B:「負荷電力0.6kW>一定値0.5kW」なので、出力電力を0.6kWに設定する。
・電源装置C:「負荷電力0.4kW<一定値0.5kW」なので、出力電力を0.5kWに設定する。
・電源装置D:「負荷電力0.15kW<一定値0.5kW」なので、出力電力を0.5kWに設定する。
・電源装置E:「負荷電力0.35kW<一定値0.5kW」なので、出力電力を0.5kWに設定する。
【0056】
この場合、非制御対象期間の間で施設20での電力系統1からの買電電力を小さくできる。
【0057】
【表4】
【0058】
<別実施形態>
<1>
上記実施形態では、本発明の電源管理システムの構成について具体例を挙げて説明したが、その構成は適宜変更可能である。
例えば、上記実施形態では、電源装置が備える電源部が燃料電池部12を備える例を説明したが、電源部は電力を出力できる他の装置であってもよい。例えば、電源部が、蓄電池などの充放電部を備える装置であってもよい。その場合、電源管理システムで用いられる電源装置の機能を備え、電源部が充放電部を備える充放電装置が実現される。
或いは、電源部は、エンジンとそのエンジンによって駆動される発電機とを備える装置などであってもよい。
【0059】
<2>
上記実施形態では、出力電力、負荷電力、受電点電力、制御対象期間の長さなどについて具体的な数値を例示して説明したが、それらの数値は例示目的で記載したものであり、適宜変更可能である。
【0060】
<3>
上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用でき、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変できる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、受電点電力を上昇させる調整力及び受電点電力を低下させる調整力の両方を提供できる電源管理システムに利用できる。
【符号の説明】
【0062】
1 電力系統
2 電力線
3 電力メーター
4 電力負荷装置
5 ゲートウェイ
6 ルーター
7 リモコン
8 電力測定部
10 燃料電池装置(電源装置)
11 電力変換部
12 燃料電池部(電源部)
13 燃料電池制御部
14 記憶部
20 施設
30 管理装置
40 アグリゲーションコーディネーター

図1
図2
図3