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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155274
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】電源管理システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20221005BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20221005BHJP
   H01M 8/04664 20160101ALI20221005BHJP
   H01M 8/04537 20160101ALI20221005BHJP
   H01M 8/04313 20160101ALI20221005BHJP
   H01M 8/0432 20160101ALI20221005BHJP
【FI】
H02J13/00 311R
H02J3/38 170
H01M8/04664
H01M8/04537
H01M8/04313
H01M8/0432
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021058692
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】松崎 崚
(72)【発明者】
【氏名】南 和徹
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
5H127
【Fターム(参考)】
5G064AA04
5G064AC06
5G064AC09
5G064CB08
5G064CB12
5G064CB16
5G064DA07
5G066HA15
5G066HB07
5G066KA06
5G066KC01
5H127AB08
5H127BA05
5H127BA13
5H127BA34
5H127BB02
5H127BB19
5H127DB47
5H127DB49
5H127DC42
(57)【要約】
【課題】電源管理システムにおいて、複数の電源装置の発電効率が互いに異なるものとなっても、各施設の受電点電力の下げ及び上げが適切に行えるように構成する。
【解決手段】電源装置8は、電力を電力負荷部9に供給可能で、且つ、電力を電力系統7に供給可能な状態及び電力系統7から電力負荷部9に供給可能な状態で電力系統7と連系されている。電源装置8の劣化状態を検出する劣化状態検出部5が備えられる。管理装置2は、調整力の供出指令を受信すると共に、劣化状態に基づいて、受信した供出指令の出力要請値を複数に分割し複数の電源装置8に割り当てて、割り当て値に応じた電源装置8の出力電力を定める出力制御指令を、複数の電源装置8に対して送信する指令送信処理を行う。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の施設の夫々に設置されて電力を出力可能な電源装置と、複数の前記電源装置との間で前記施設の外部から通信を行うことができる管理装置とを備える電源管理システムであって、
前記電源装置は、電力を電力負荷部に供給可能で、且つ、電力を電力系統に供給可能な状態及び前記電力系統から前記電力負荷部に供給可能な状態で前記電力系統と連系されており、
夫々の前記電源装置の劣化状態を検出する劣化状態検出部が備えられ、
前記管理装置は、調整力の供出指令を受信すると共に、前記劣化状態に基づいて、受信した前記供出指令の出力要請値を複数に分割し複数の前記電源装置に割り当てて、割り当て値に応じた前記電源装置の出力電力を定める出力制御指令を、複数の前記電源装置に対して送信する指令送信処理を行う電源管理システム。
【請求項2】
前記電源装置に、前記電源装置の出力電力が減少すると発電効率又は充放電効率が低下する電源装置が含まれている請求項1に記載の電源管理システム。
【請求項3】
前記施設の受電点電力を下げるために前記管理装置から複数の前記電源装置に前記出力制御指令としての受電点電力下げ指令を指令する際、前記劣化状態が他の前記電源装置よりも低い前記電源装置に対しては、前記割り当て値を、他の前記電源装置の前記割り当て値よりも増加させる請求項1又は2に記載の電源管理システム。
【請求項4】
前記電源装置の電源部が燃料電池部を備える燃料電池装置であり、
前記施設の受電点電力を上げるために前記管理装置から複数の前記電源装置に前記出力制御指令としての受電点電力上げ指令を指令する際、前記劣化状態が他の前記燃料電池装置よりも高い前記燃料電池装置に対しては、前記割り当て値を、他の前記燃料電池装置の前記割り当て値よりも増加させる請求項1~3のうちのいずれか一項に記載の電源管理システム。
【請求項5】
前記劣化状態に、前記燃料電池装置の発電出力、発電効率、燃料消費量、温度、累積発電時間及び故障履歴のうちの少なくとも一つが含まれている請求項4に記載の電源管理システム。
【請求項6】
前記電源装置の電源部が充放電部を備える充放電装置であり、
前記施設の受電点電力を上げるために前記管理装置から複数の前記充放電装置に前記出力制御指令としての受電点電力上げ指令を指令する際、前記劣化状態が他の前記充放電装置よりも低い前記充放電装置に対しては、前記割り当て値を、他の前記充放電装置の前記割り当て値よりも増加させる請求項1~3のうちのいずれか一項に記載の電源管理システム。
【請求項7】
前記劣化状態に、前記充放電装置の電池容量、充放電効率、最大入出力電流及び故障履歴のうちの少なくとも一つが含まれている請求項6に記載の電源管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の施設の夫々に設置されて電力を出力可能な電源装置と、複数の電源装置との間で施設の外部から通信を行うことができる管理装置とを備える電源管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているように、バーチャルパワープラント(VPP:Virtual Power Plant)という概念に基づいて、複数の施設及び電源装置と管理装置とを有する電源管理システムが提案されている。
【0003】
電源管理システムにおいて、調整力の供出指令を管理装置が受信すると、管理装置は、供出の当日に各施設の電源装置の調整力を電力系統に供出する。このように、分散して配置された複数の施設及び電源装置を管理装置によってまとめることにより、複数の施設及び電源装置を、一つの発電所や消費市場として機能させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-125907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に電源装置は、長期間に亘って運転すると、各種の要因により劣化が進行するのであり、劣化が進行した電源装置では、発電効率が低下することがある。電源装置の運転状態や周囲の環境等の違いにより、複数の電源装置において、劣化の進行は互いに異なるものとなるのであり、発電効率も互いに異なるものとなる。
【0006】
本発明は、電源管理システムにおいて、複数の電源装置の発電効率が互いに異なるものとなっても、各施設の受電点電力の下げ及び上げが適切に行えるように構成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数の施設の夫々に設置されて電力を出力可能な電源装置と、複数の前記電源装置との間で前記施設の外部から通信を行うことができる管理装置とを備える電源管理システムであって、前記電源装置は、電力を電力負荷部に供給可能で、且つ、電力を電力系統に供給可能な状態及び前記電力系統から前記電力負荷部に供給可能な状態で前記電力系統と連系されており、夫々の前記電源装置の劣化状態を検出する劣化状態検出部が備えられ、前記管理装置は、調整力の供出指令を受信すると共に、前記劣化状態に基づいて、受信した前記供出指令の出力要請値を複数に分割し複数の前記電源装置に割り当てて、割り当て値に応じた前記電源装置の出力電力を定める出力制御指令を、複数の前記電源装置に対して送信する指令送信処理を行う。
【0008】
本発明によると、供出指令を管理装置が受信した場合、管理装置は、各施設における受点電力の下げ及び上げを行う為に、供出指令の出力要請値を複数の割り当て値に分割して各電源装置に割り当てる。
管理装置は、電源装置の各々において受電点電力の下げを行う際、電源装置に対して出力制御指令としての受電点電力下げ指令を送信することで、当該受電点下げ指令に含まれる割り当て値に基づいて電源装置の出力電力を増加させて調整力を創出させる。当該割り当て値に相当する電力(各施設の調整力)が電力系統に供出されることで、管理装置は供出指令の出力要請値に相当する電力(合計の調整力)を供出できたことになる。
管理装置は、電源装置の各々において受電点電力の上げを行う際、電源装置に対して出力制御指令としての受電点電力上げ指令を送信することで、当該受電点上げ指令に含まれる割り当て値に基づいて電源装置の出力電力を減少させて調整力を創出させる。当該割り当て値に相当する電力(各施設の調整力)が各施設に導入されることで、管理装置は供出指令の出力要請値に相当する電力(合計の調整力)を供出できたことになる。
【0009】
複数の電源装置において、劣化の進行は互いに異なるものとなるのであり、発電効率も互いに異なるものとなる。
本発明によると、供出指令の出力要請値を複数の割り当て値に分割して電源装置に割り当てる際、電源装置の劣化状態に基づいて割り当て値を設定することにより、劣化の進行した電源装置のさらなる劣化の進行を抑えながら、複数の電源装置の全体として発電を無駄なく行うことができる割り当て値を設定することができる。
これにより、複数の電源装置の全体として発電を無駄なく行いながら、各施設の受電点電力の下げ及び上げが適切に行えることができて、電源管理システムの効率の向上を図ることができる。
【0010】
本発明において、前記電源装置に、前記電源装置の出力電力が減少すると発電効率又は充放電効率が低下する電源装置が含まれていると好適である。
【0011】
施設に設けられる電源装置としては、例えば燃料電池装置や充放電装置等のように、電源装置の出力電力が減少すると発電効率又は充放電効率が低下する電源装置が含まれていることがある。
本発明によると、電源装置の劣化状態に基づいて割り当て値を設定することにより、劣化の進行した電源装置のさらなる劣化の進行を抑えながら、出力電力が大きく減少操作される電源装置を少なくすることができるので、電源管理システムの効率の向上の面で有利である。
【0012】
本発明において、前記施設の受電点電力を下げるために前記管理装置から複数の前記電源装置に前記出力制御指令としての受電点電力下げ指令を指令する際、前記劣化状態が他の前記電源装置よりも低い前記電源装置に対しては、前記割り当て値を、他の前記電源装置の前記割り当て値よりも増加させると好適である。
【0013】
本発明によると、管理装置が施設の受電点電力を下げるための受電点電力下げ指令を指令する際、劣化状態の低い電源装置に対して、割り当て値を、他の電源装置の割り当て値よりも増加させる操作が行われる。
これにより、劣化状態の低い電源装置(劣化が進行していない電源装置)では、出力電力の増加が大きく、劣化状態の高い電源装置(劣化が進行した電源装置)では、出力電力の増加が小さい状態が得られるので、劣化の進行した電源装置のさらなる劣化の進行を抑えることができる。
【0014】
本発明において、前記電源装置の電源部が燃料電池部を備える燃料電池装置であり、前記施設の受電点電力を上げるために前記管理装置から複数の前記電源装置に前記出力制御指令としての受電点電力上げ指令を指令する際、前記劣化状態が他の前記燃料電池装置よりも高い前記燃料電池装置に対しては、前記割り当て値を、他の前記燃料電池装置の前記割り当て値よりも増加させると好適である。
【0015】
本発明によると、管理装置が施設の受電点電力を上げるための受電点電力上げ指令を指令する際、劣化状態の高い燃料電池装置に対して、割り当て値を、他の燃料電池装置の割り当て値よりも増加させる操作が行われる。
これによって、劣化状態の低い燃料電池装置(劣化が進行していない燃料電池装置)では、出力電力の減少が小さく、劣化状態の高い燃料電池装置(劣化が進行した燃料電池装置)では、出力電力の減少が大きい状態が得られるので、劣化の進行した燃料電池装置のさらなる劣化の進行を抑えることができる。
【0016】
本発明において、前記劣化状態に、前記燃料電池装置の発電出力、発電効率、燃料消費量、温度、累積発電時間及び故障履歴のうちの少なくとも一つが含まれていると好適である。
【0017】
燃料電池装置において、発電出力、発電効率、燃料消費量、温度、累積発電時間及び故障履歴は、正確且つ容易に得られるものなので、本発明によると、劣化状態検出部により燃料電池装置の劣化状態を精度良く検出することができる。
【0018】
本発明において、前記電源装置の電源部が充放電部を備える充放電装置であり、前記施設の受電点電力を上げるために前記管理装置から複数の前記充放電装置に前記出力制御指令としての受電点電力上げ指令を指令する際、前記劣化状態が他の前記充放電装置よりも低い前記充放電装置に対しては、前記割り当て値を、他の前記充放電装置の前記割り当て値よりも増加させると好適である。
【0019】
本発明によると、管理装置が施設の受電点電力を上げるための受電点電力上げ指令を指令する際、劣化状態の低い充放電装置に対して、割り当て値を、他の充放電装置の割り当て値よりも増加させる操作が行われる。
これにより、劣化状態の低い充放電装置(劣化が進行していない充放電装置)では、出力電力の減少が大きく、劣化状態の高い充放電装置(劣化が進行した充放電装置)では、出力電力の減少が小さい状態が得られるので、劣化の進行した充放電装置のさらなる劣化の進行を抑えることができる。
【0020】
本発明において、前記劣化状態に、前記充放電装置の電池容量、充放電効率、最大入出力電流及び故障履歴のうちの少なくとも一つが含まれていると好適である。
【0021】
充放電装置において、電池容量、充放電効率、最大入出力電流及び故障履歴は、正確且つ容易に得られるものなので、本発明によると、劣化状態検出部により充放電装置の劣化状態を精度良く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】施設と、管理装置と、アグリゲーションコーディネーターとの関係を示す図である。
図2】施設の構成を示す図である。
図3】燃料電池装置の内部の構成を示す図である。
図4】燃料電池装置の出力電力と電力負荷装置の負荷電力とが同じ値となる負荷追従制御が行われる状態を示す図である。
図5図4に示す状態から燃料電池装置の出力電力が増加操作された状態を示す図である。
図6】燃料電池装置の出力電力と電力負荷装置の負荷電力とが同じ値となる負荷追従制御が行われる状態を示す図である。
図7図6に示す状態から燃料電池装置の出力電力が減少操作された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(電源管理システムの概要)
図1及び図2に、管理装置2及び複数の施設3を有する電源管理システム1が示されている。電源管理システム1の外部に、アグリゲーションコーディネーター4、需給調整市場(図示せず)及び送配電事業者(図示せず)等が存在する。
【0024】
管理装置2は、リソースアグリゲーター等とも呼ばれ、バーチャルパワープラント(VPP、仮想発電所)サービス契約を締結した施設3に対して需要家側エネルギーリソースとしての燃料電池装置8及び電力負荷装置9への制御情報を伝達することで、その需要家側エネルギーリソースの制御を行う事業者である。
【0025】
アグリゲーションコーディネーター4は、各管理装置2が制御する電力量を束ね、電気の取引市場(需給調整市場、卸電力市場、容量市場等)において一般送配電事業者や小売電気事業者と電力取引を行う事業者である。
【0026】
図1及び図2に示すように、管理装置2は、複数の施設3から、燃料電池装置8の出力電力A1、電力負荷装置9の負荷電力B1、施設3での電力メーター10の受電点電力などの電力情報を逐次収集して記憶している。本実施形態で「電力負荷装置9の負荷電力B1」と記載する場合、施設3に設けられている全ての電力負荷装置9の合計の負荷電力B1のことを意味する。
【0027】
管理装置2は、将来の所定の時間帯に各施設3から供出可能な電力を予測し、アグリゲーションコーディネーター4に伝達する。この供出可能電力は、施設3の受電点電力を上げる能力又は下げる能力といった調整力である。
本実施形態において、「受電点電力を上げる」と言う場合、電力系統7から電力線14への受電電力(順潮流電力)を増加させる、又は、電力線14から電力系統7への逆潮流電力を減少させることを意味し、「受電点電力を下げる」と言う場合、電力系統7から電力線14への受電電力(順潮流電力)を減少させる、又は、電力線14から電力系統7への逆潮流電力を増加させることを意味する。
【0028】
例えば、施設3の受電点電力を上げるためには、燃料電池装置8の出力電力A1を下げること、及び、電力負荷装置9の負荷電力B1を上げることのうちの少なくとも一方を行えばよいため、施設3の受電点電力を上げる場合の上げ側調整余力は、燃料電池装置8の出力電力A1を下げる余力がどの程度あるかを示し、電力負荷装置9の負荷電力B1を上げる余力がどの程度あるかを示している。
【0029】
施設3の受電点電力を下げるためには、燃料電池装置8の出力電力A1を上げること、及び、電力負荷装置9の負荷電力B1を下げることのうちの少なくとも一方を行えばよいため、施設3の受電点電力を下げる場合の下げ側調整余力は、燃料電池装置8の出力電力A1を上げる余力がどの程度あるかを示し、電力負荷装置9の負荷電力B1を下げる余力がどの程度あるかを示している。
【0030】
管理装置2は、自身が管理する複数の施設3におけるベースライン受電点電力を決定する。このベースライン受電点電力は、各施設3から調整力(即ち、送配電事業者に提供する調整力及び小売事業者等に提供する供給力等を含む)を供出させない場合に予測される各施設3の受電点電力の合計に相当する。
【0031】
アグリゲーションコーディネーター4は、各管理装置2から受け取った供出可能調整力を集計し、需給調整市場,卸電力市場,容量市場等の取引市場への入札を行うなどして、一般送配電事業者や小売電気事業者と取引を行う。アグリゲーションコーディネーター4は、取引を行った一般送配電事業者や小売電気事業者から、将来の所定の制御対象期間での調整力の供出指令を受け取った場合、その供出指令で指定された調整力を各管理装置2に対して分配して伝達する。
【0032】
管理装置2は、アグリゲーションコーディネーター4から供出指令を受け取った場合、その供出指令で指定された調整力を各施設3に対して分配して伝達する。各施設3は、将来の所定の制御対象期間において、需要家側エネルギーリソースとしての燃料電池装置8の調整力を供出する制御が行われる。その結果、前述の制御が行われなかった場合と比較して、施設3の受電点電力が増減するという調整力の供出が行われる。
【0033】
(施設の構成)
図2に示すように、施設3の各々に、燃料電池装置8(電源装置に相当)、電力負荷装置9(電力負荷部に相当)、電力メーター10、ゲートウェイ11、ルーター12、リモコン13、電力測定部15及び劣化状態検出部5等が設けられている。
【0034】
施設3において、電力線14が設けられ、電力線14が電力系統7と連系されており、電力メーター10が電力線14に設けられている。燃料電池装置8及び電力負荷装置9が電力線14に接続されており、電力測定部15が電力線14に設けられている。電力負荷装置9は、例えば照明装置や空調装置等の装置であり、燃料電池装置8及び電力系統7のうちの少なくとも一方からの電力の供給を受けることができる。
【0035】
リモコン13が燃料電池装置8に接続されており、施設3の利用者がリモコン13を操作することにより、燃料電池装置8に対して指令を行うことができる。電力メーター10により施設3の受電点電力が検出されており、検出された受電点電力が、ゲートウェイ11及びルーター12を介して、管理装置2に送信されている。
【0036】
(燃料電池装置の構成)
図2及び図3に示すように、燃料電池装置8に、電力変換部16、燃料電池部17、燃料改質部18、燃料電池制御部19及び記憶部20等が設けられている。電力変換部16及び燃料電池部17は、電力線14を介して電力系統7と連系されている。
【0037】
断熱性を有する容器6に、燃料電池部17、ガスマニホールド21、気化器22及び燃料改質部18が収容されている。
都市ガス等の燃料及び改質用水が気化器22に供給されるのであり、気化器22において、燃料及び水蒸気の混合ガスが生成されて、混合ガスが燃料改質部18に供給される。燃料改質部18において、供給された混合ガスが改質され、水素を含む燃料ガスが生成されて、水素を含む燃料ガスがガスマニホールド21に供給される。容器6の内部には、空気も供給されている。
【0038】
水素を含む燃料ガスが、ガスマニホールド21から燃料電池部17を通ることにより、燃料電池部17において発電が行われ、燃料電池部17の発電した電力が、電力変換部16に供給される。水素を含む燃料ガスは、燃料電池部17での発電に使用された後、容器6の内部で燃焼して、燃料電池部17、気化器22及び燃料改質部18を加熱するのであり、燃焼後の燃焼排ガスが容器6から排出される。
【0039】
燃料電池部17の発電した電力が、電力変換部16により所定の電圧、周波数及び位相に変換されて、電力線14に供給されるのであり、燃料電池制御部19は、燃料電池部17及び電力変換部16の作動を制御する。燃料電池装置8で取り扱われる情報が、記憶部20に記憶される。
【0040】
(燃料電池装置での発電状態)
図2に示すように、燃料電池制御部19は、電力測定部15で検出される電力(電力系統7から供給される電力)の検出値がゼロとなるように(燃料電池装置8の出力電力A1と電力負荷装置9の負荷電力B1とが同じ値となるように)、燃料電池装置8の出力電力A1を増減させる負荷追従制御(図4参照)を行うことができる。
【0041】
燃料電池制御部19は、負荷追従制御とは別に、電力メーター10により検出される施設3の受電点電力が増減されるように、燃料電池装置8の出力電力A1を増減させる制御を行うことができる。
燃料電池制御部19は、燃料電池装置8の出力電力A1を上限値AM1に維持して連続運転(定格出力運転)させることができる。
【0042】
以上の燃料電池装置8の3つの制御は、上限値AM1と下限値AM2との間において、燃料電池装置8から電力線14への出力電力を調整する形態で行われる(図4及び図5参照)。一般に燃料電池装置8では、燃料電池装置8の出力電力A1が減少すると、燃料電池装置8の発電効率は低下する。
【0043】
燃料電池制御部19は、電力変換部16から電力線14に供給する出力電力A1についての情報及び電力メーター10での測定電力についての情報を有しているため、電力負荷装置9の負荷電力B1(=出力電力A1+測定電力)を導出できる。電力メーター10の測定電力の符号が正(順潮流)(受電)の場合は負荷電力B1が燃料電池装置8の出力電力A1よりも大きい状態であることを意味し、電力メーター10での測定電力の符号が負(逆潮流)の場合は燃料電池装置8の出力電力A1が負荷電力B1よりも大きい状態であることを意味している。
【0044】
電力測定部15の検出値が正の値であると、電力系統7の電力が電力線14に導入されている状態を意味し、燃料電池装置8の出力電力A1が電力負荷装置9の負荷電力B1よりも小さい状態であることを意味している。電力測定部15の検出値が負の値であると、電力線14の電力が電力系統7に供給されている状態を意味し、燃料電池装置8の出力電力A1が電力負荷装置9の負荷電力B1よりも大きい状態であることを意味している。
【0045】
受電点電力を上げるということは、電力系統7から電力線14への受電電力を増加させること、又は、電力線14から電力系統7への逆潮流電流を減少させることを意味している。受電点電力を下げるということは、電力系統7から電力線14への受電電力を減少させること、又は、電力線14から電力系統7への逆潮流電流を増加させることを意味している。
【0046】
(劣化状態検出部の構成)
図2及び図3に示すように、気化器22に供給される燃料量を検出する燃料計23、及び温度センサー24,25,26が設けられている。
【0047】
燃料電池装置8において、温度センサー24は、容器6(ホットモジュール)の内部の雰囲気温度を検出する。温度センサー25は、燃料改質部18の温度を検出する。温度センサー26は、水素を含む燃料ガスが燃料電池部17での発電に使用された後に容器6の内部で燃焼した際の燃焼排ガスの温度を検出する。燃料計23の検出値及び温度センサー24,25,26の検出値が、燃料電池制御部19及び記憶部20に入力されている。
【0048】
劣化状態検出部5は、燃料計23の検出値(入力)に対する燃料電池装置8の出力電力A1(出力)の比を、燃料電池装置8の発電効率として検出(算出)する。劣化状態検出部5により検出された燃料電池装置8の発電効率が、管理装置2に送信されている。
【0049】
燃料電池装置8の発電効率は、燃料電池装置8の劣化状態を意味する。燃料電池装置8の発電効率が高いと、燃料電池装置8において劣化は進行していないと判断(劣化状態は低いと判断)でき、燃料電池装置8の発電効率が低いと、燃料電池装置8において劣化は進行している判断(劣化状態は高いと判断)できる。
【0050】
(施設における調整力)
図4に示す状態は、燃料電池装置8の出力電力A1と電力負荷装置9の負荷電力B1とが、同じ値の状態で、燃料電池装置8の出力電力A1が上限値AM1よりも低い状態であり、図5に示すように、燃料電池装置8の出力電力A1を上限値AM1の付近まで増加操作が可能である。
【0051】
図4から図5に示すように、燃料電池装置8の出力電力A1の増加操作が行われて、燃料電池装置8の出力電力A1が、電力負荷装置9の負荷電力B1よりも大きくなると、燃料電池装置8の出力電力A1と電力負荷装置9の負荷電力B1との差が、正の調整力A2Pとなる。正の調整力A2Pは、施設3の余剰の電力であり、施設3から電力系統7に供出可能である。
【0052】
図6に示す状態は、燃料電池装置8の出力電力A1と電力負荷装置9の負荷電力B1とが同じ値の状態で、燃料電池装置8の出力電力A1が上限値AM1と略同じ状態であり、図7に示すように、燃料電池装置8の出力電力A1の減少操作が可能である。
【0053】
図6から図7に示すように、燃料電池装置8の出力電力A1の減少操作が行われて、燃料電池装置8の出力電力A1が、電力負荷装置9の負荷電力B1よりも小さくなると、燃料電池装置8の出力電力A1と電力負荷装置9の負荷電力B1との差が、負の調整力A2Mとなる。負の調整力A2Mは、施設3の不足の電力であり、電力系統7から電力負荷装置9に導入可能な電力である。
【0054】
施設3の各々において、燃料電池装置8の発電状態の変化や、電力負荷装置9の負荷状態の変化により、正の調整力A2Pが発生したり、負の調整力A2Mが発生したりする。施設3の正の調整力A2Pの合計が、電源管理システム1として供出可能な電力(合計の調整力)となるのであり、施設3の負の調整力A2Mの合計が、電源管理システム1として導入可能な電力(合計の調整力)となる。
【0055】
(管理装置、アグリゲーションコーディネーター及び需給調整市場の間の流れ)
図1及び図2に示すように、管理装置2は、施設3の各々から、受電点電力、電力測定部15の検出値、燃料電池装置8の発電効率(劣化状態検出部5の検出値)、燃料電池装置8の情報等の各種の電力情報を収集して記憶している。
【0056】
管理装置2は、現在及び過去の電力情報に基づいて、施設3における今後の正及び負の調整力A2P,A2Mの発生状態を予測し、正の調整力A2Pの合計や、負の調整力A2Mの合計を予測して、これらを基に制御対象期間における供出可能電力を算出する。供出可能電力は、施設3の受電点電力を上げる能力又は受電点電力を下げる調整余力である。
【0057】
管理装置2は、制御対象期間における供出可能電力がアグリゲーションコーディネーター4からの供出指令における制御対象期間での調整力(出力要請値)を満たすことができれば、アグリゲーションコーディネーター4に当該供出指令に応じることができる旨を送信する。なお、管理装置2は、供出可能電力が供出指令の出力要請値を満たしていない場合には、制御対象期間における供出可能電力をアグリゲーションコーディネーター4に送信するようにしてもよい。
【0058】
供出可能電力としては、例えば、「〇日後の〇月〇日の〇時~〇時に〇kWの電力を供出可能」というものや、「〇日後の〇月〇日の〇時~〇時に〇kWの電力を導入可能」というものがある。他の電源管理システム1の管理装置2からも、同様の情報がアグリゲーションコーディネーター4に送信されている。
【0059】
アグリゲーションコーディネーター4は、複数の電源管理システム1の供出可能電力に基づいて、需給調整市場に入札して、送配電事業者と取引を行う。
取引の結果、アグリゲーションコーディネーター4と送配電事業者との取引が成立すると、アグリゲーションコーディネーター4は、供出指令を電源管理システム1(管理装置2)の各々に送信する。
【0060】
管理装置2は、複数の燃料電池装置8に対して燃料電池装置8の出力電力A1を定める出力制御指令を指令する。管理装置2が施設3に指令する出力制御指令として、施設3の受電点電力を下げる受電点電力下げ指令があり、施設3の受電点電力を上げる受電点電力上げ指令がある。なお、管理装置2は、受電点電力を維持する出力制御指令を指令する場合もある。
【0061】
燃料電池装置8は、管理装置2から出力制御指令を受け取ると、出力制御指令の対象となる制御対象期間の間、出力制御指令に基づいて定まる出力電力A1の供出を目標とする第1運転モードで作動する。
出力制御対象期間以外の期間では、燃料電池装置8は、第1運転モードとは別の第2運転モードで作動する。燃料電池装置8の第2運転モードとしては、前述の(施設の構成)に記載の負荷追従制御や、定格出力運転がある。
【0062】
(正の調整力の供出指令を受信した管理装置の処理)(その1)
管理装置2が正の調整力の供出指令を受信した場合(管理装置2が出力制御指令として受電点電力下げ指令を指令する場合)、例えば電力系統7への電力の供出当日の朝や、電力系統7への電力の供出の数時間前に、管理装置2は、以下の説明のように燃料電池装置8から供出可能な燃料電池装置8を選抜する。
【0063】
管理装置2は、図4に示すように、出力電力A1が上限値AM1よりも十分に低く、出力電力A1の増加が許容できる燃料電池装置8を、供出可能な燃料電池装置8として選抜する。出力電力A1が上限値AM1に近く、出力電力A1の増加が許容できない燃料電池装置8は、供出不可の燃料電池装置8として選抜から外される。
【0064】
(正の調整力の供出指令を受信した管理装置の処理)(その2)
管理装置2は、供給可能な燃料電池装置8を選抜した後、燃料電池装置8の発電効率に基づいて、以下の説明のように、正の調整力の供出指令の出力要請値を複数の割り当て値に分割し、割り当て値を、供出可能な燃料電池装置8に割り当てる。
【0065】
例えば、供出可能な燃料電池装置8(A),8(B),8(C),8(D),8(E)が存在したとする。
供出可能な燃料電池装置8(A)~8(E)において発電効率が全て同じであれば、正の調整力の供出指令の出力要請値の20%を、割り当て値として燃料電池装置8(A)~8(E)の各々に割り当てる。
【0066】
供出可能な燃料電池装置8(A)~8(E)において、発電効率の高低関係が、例えば燃料電池装置8(A)>燃料電池装置8(B)>燃料電池装置8(C)>燃料電池装置8(D)>燃料電池装置8(E)であったとする。
【0067】
この場合、例えば、正の調整力の供出指令の出力要請値の35%を、割り当て値として燃料電池装置8(A)に割り当てる。
例えば、正の調整力の供出指令の出力要請値の30%を、割り当て値として燃料電池装置8(B)に割り当てる。
例えば、正の調整力の供出指令の出力要請値の20%を、割り当て値として燃料電池装置8(C)に割り当てる。
例えば、正の調整力の供出指令の出力要請値の10%を、割り当て値として燃料電池装置8(D)に割り当てる。
例えば、正の調整力の供出指令の出力要請値の5%を、割り当て値として燃料電池装置8(E)に割り当てる。
【0068】
供出可能な燃料電池装置8(A)~8(E)において、発電効率の高低関係が、例えば燃料電池装置8(A),8(E)<燃料電池装置8(C)<燃料電池装置8(B),8(D)であったとする。
【0069】
この場合、例えば、正の調整力の供出指令の出力要請値の10%を、割り当て値として燃料電池装置8(A)に割り当て、正の調整力の供出指令の出力要請値の10%を、割り当て値として燃料電池装置8(E)に割り当てる。
例えば、正の調整力の供出指令の出力要請値の20%を、割り当て値として燃料電池装置8(C)に割り当てる。
例えば、正の調整力の供出指令の出力要請値の30%を、割り当て値として燃料電池装置8(B)に割り当て、正の調整力の供出指令の出力要請値の30%を、割り当て値として燃料電池装置8(D)に割り当てる。
【0070】
以上のように、燃料電池装置8の発電効率の高低に基づいて、正の調整力の供出指令の出力要請値が複数の割り当て値に分割される。
施設3の受電点電力を下げるために、出力制御指令としての受電点電力下げ指令を複数の燃料電池装置8に指令する場合、燃料電池装置8の発電効率が高い燃料電池装置8(劣化状態が低い燃料電池装置8)において、割り当て値が大きくなり、燃料電池装置8の発電効率が低い燃料電池装置8(劣化状態が高い燃料電池装置8)において、割り当て値が小さくなる(前記劣化状態が他の前記電源装置よりも低い前記電源装置に対しては、前記割り当て値を、他の前記電源装置の前記割り当て値よりも増加させる状態に相当)。
【0071】
(正の調整力の供出指令を受信した管理装置の処理)(その3)
燃料電池装置8に割り当て値が割り当てられた後に、電力系統7への電力の供出の際、管理装置2は、施設3の受電点電力を下げるために、出力制御指令としての受電点電力下げ指令を複数の燃料電池装置8に指令する(前記割り当て値に応じた前記電源装置の出力電力を定める出力制御指令を、複数の前記電源装置に対して送信する指令送信処理に相当)。
【0072】
図4から図5に示すように、施設3において、燃料電池装置8の出力電力A1が、割り当て値に基づいて増加操作されて、正の調整力A2Pが創出される。
管理装置2は、燃料電池装置8の各々において創出された正の調整力A2Pが電力系統7に供出されることで、合計された正の調整力を供出指令の出力要請値に相当する電力として供出できたことになる。
【0073】
燃料電池装置8の出力電力A1が割り当て値に基づいて増加操作された場合、燃料電池装置8の発電効率や割り当て値に含まれていた誤差により、割り当てられた割り当て値を賄う前に、出力電力A1が上限値AM1に達した燃料電池装置8が発生したとする。
【0074】
この場合、管理装置2は、前述の燃料電池装置8の出力電力A1を上限値AM1に維持して、この燃料電池装置8の割り当て値の残りを複数に分割する。
管理装置2は、前述の(正の調整力の供出指令を受信した管理装置の処理)(その1)に記載の供出不可の燃料電池装置8として、選抜から外された燃料電池装置8のうち、出力電力A1が上限値AM1よりも比較的低く、出力電力A1の増加が許容できる燃料電池装置8を、供出可能な燃料電池装置8として選抜し、前述の分割された割り当て値の残りを、前述の新たに選抜された燃料電池装置8に割り当て、受電点電力下げ指令を、この燃料電池装置8に指令する。
【0075】
(負の調整力の供出指令を受信した管理装置の処理)(その1)
管理装置2が負の調整力の供出指令を受信した場合(管理装置2が出力制御指令として受電点電力上げ指令を指令する場合)、管理装置2は、以下の説明のように燃料電池装置8のうちから導入可能な燃料電池装置8を選抜する。
【0076】
管理装置2は、図6に示すように、出力電力A1が下限値AM2よりも十分に高く、出力電力A1の減少が許容できる燃料電池装置8を、導入可能な燃料電池装置8として選抜する。出力電力A1が下限値AM2に近く、出力電力A1の減少が許容できない燃料電池装置8は、導入不可の燃料電池装置8として選抜から外される。
【0077】
(負の調整力の供出指令を受信した管理装置の処理)(その2)
管理装置2は、導入可能な燃料電池装置8を選抜した後、燃料電池装置8の発電効率に基づいて、以下の説明のように、負の調整力の供出指令の出力要請値を複数の割り当て値に分割し、割り当て値を、導入可能な燃料電池装置8に割り当てる。
【0078】
例えば、導入可能な燃料電池装置8(A),8(B),8(C),8(D),8(E)が存在したとする。
導入可能な燃料電池装置8(A)~8(E)において発電効率が全て同じであれば、負の調整力の供出指令の出力要請値の20%を、割り当て値として燃料電池装置8(A)~8(E)の各々に割り当てる。
【0079】
導入可能な燃料電池装置8(A)~8(E)において、発電効率の高低関係が、例えば燃料電池装置8(A)>燃料電池装置8(B)>燃料電池装置8(C)>燃料電池装置8(D)>燃料電池装置8(E)であったとする。
【0080】
この場合、例えば、負の調整力の供出指令の出力要請値の35%を、割り当て値として燃料電池装置8(E)に割り当てる。
例えば、負の調整力の供出指令の出力要請値の30%を、割り当て値として燃料電池装置8(D)に割り当てる。
例えば、負の調整力の供出指令の出力要請値の20%を、割り当て値として燃料電池装置8(C)に割り当てる。
例えば、負の調整力の供出指令の出力要請値の10%を、割り当て値として燃料電池装置8(B)に割り当てる。
例えば、負の調整力の供出指令の出力要請値の5%を、割り当て値として燃料電池装置8(A)に割り当てる。
【0081】
導入可能な燃料電池装置8(A)~8(E)において、発電効率の高低関係が、例えば燃料電池装置8(A),8(E)<燃料電池装置8(C)<燃料電池装置8(B),8(D)であったとする。
【0082】
この場合、例えば、負の調整力の供出指令の出力要請値の10%を、割り当て値として燃料電池装置8(B)に割り当て、負の調整力の供出指令の出力要請値の10%を、割り当て値として燃料電池装置8(D)に割り当てる。
例えば、負の調整力の供出指令の出力要請値の20%を、割り当て値として燃料電池装置8(C)に割り当てる。
例えば、負の調整力の供出指令の出力要請値の30%を、割り当て値として燃料電池装置8(A)に割り当て、負の調整力の供出指令の出力要請値の30%を、割り当て値として燃料電池装置8(E)に割り当てる。
【0083】
以上のように、燃料電池装置8の発電効率の高低に基づいて、負の調整力の供出指令の出力要請値が複数の割り当て値に分割される。
施設3の受電点電力を上げるために、出力制御指令としての受電点電力上げ指令を複数の燃料電池装置8に指令する場合、燃料電池装置8の発電効率が高い燃料電池装置8(劣化状態が低い燃料電池装置8)において、割り当て値が小さくなり、燃料電池装置8の発電効率が低い燃料電池装置8(劣化状態が高い燃料電池装置8)において、割り当て値が大きくなる(前記劣化状態が他の前記電源装置よりも高い前記電源装置に対しては、前記割り当て値を、他の前記電源装置の前記割り当て値よりも増加させる状態に相当)。
【0084】
(負の調整力の供出指令を受信した管理装置の処理)(その3)
燃料電池装置8に割り当て値が割り当てられた後、電力系統7からの電力の導入の際、管理装置2は、施設3の受電点電力を上げるために、出力制御指令としての受電点電力上げ指令を複数の燃料電池装置8に指令する(前記割り当て値に応じた前記電源装置の出力電力を定める出力制御指令を、複数の前記電源装置に対して送信する指令送信処理に相当)。
【0085】
図6から図7に示すように、施設3において、燃料電池装置8の出力電力A1が、割り当て値に基づいて減少操作され、負の調整力A2Mが創出される。
管理装置2は、燃料電池装置8の各々において創出された負の調整力A2Mが電力系統7に供出されることで、合計された負の調整力を供出指令の出力要請値に相当する電力として供出できたことになる。
【0086】
燃料電池装置8の出力電力A1が割り当て値に基づいて減少操作された場合、燃料電池装置8の発電効率や割り当て値に含まれていた誤差により、割り当てられた割り当て値を賄う前に、出力電力A1が下限値AM2に達した燃料電池装置8が発生したとする。
【0087】
この場合、管理装置2は、前述の燃料電池装置8の出力電力A1を下限値AM2に維持して、この燃料電池装置8の割り当て値の残りを複数に分割する。
管理装置2は、前述の(負の調整力の供出指令を受信した管理装置の処理)(その1)に記載の導入不可の燃料電池装置8として、選抜から外された燃料電池装置8のうち、出力電力A1が下限値AM2よりも比較的高く、出力電力A1の減少が許容できる燃料電池装置8を、導入可能な燃料電池装置8として選抜し、前述の分割された割り当て値の残りを、前述の新たに選抜された燃料電池装置8に割り当て、受電点電力上げ指令を、この燃料電池装置8に指令する。
【0088】
(発明の実施の第1別形態)
施設3において、複数の燃料電池装置8が設けられていてもよく、複数の電力負荷装置9が設けられていてもよい。
【0089】
(発明の実施の第2別形態)
燃料電池装置8の発電効率として、出力電力A1に対する燃料計23の検出値の比を発電効率として、この発電効率を劣化状態としてもよい。
この場合、出力電力A1に対する燃料計23の検出値の比が低いと、燃料電池装置8において劣化は進行していないと判断(劣化状態は低いと判断)でき、出力電力A1に対する燃料計23の検出値の比が高いと、燃料電池装置8において劣化は進行していると判断(劣化状態は高いと判断)できる。
【0090】
(発明の実施の第3別形態)
燃料電池装置8の劣化状態として、一定の燃料量、空気量及び蒸気量とした場合の発電出力(出力電力A1)を劣化状態として使用してもよい。
この場合、発電出力が高いと、燃料電池装置8において劣化は進行していないと判断(劣化状態は低いと判断)でき、発電出力が低いと、燃料電池装置8において劣化は進行していると判断(劣化状態は高いと判断)できる。
【0091】
(発明の実施の第4別形態)
前述の(発明の実施の第3別形態)に記載の発電出力(出力電力A1)を定格出力とした場合、定格出力と出力電力A1との差を劣化状態として使用してもよい。
この場合、定格出力と出力電力A1との差が小さいと、燃料電池装置8において劣化は進行していないと判断(劣化状態は低いと判断)でき、定格出力と出力電力A1との差が大きいと、燃料電池装置8において劣化は進行していると判断(劣化状態は高いと判断)できる。
【0092】
(発明の実施の第5別形態)
燃料電池装置8の劣化状態として、初めて発電を開始してからの出力電力A1の積算値(累積値)を、劣化状態として使用してもよい。
この場合、出力電力A1の積算値(累積値)が低いと、燃料電池装置8において劣化は進行していないと判断(劣化状態は低いと判断)でき、出力電力A1の積算値(累積値)が高いと、燃料電池装置8において劣化は進行していると判断(劣化状態は高いと判断)できる。
【0093】
(発明の実施の第6別形態)
燃料電池装置8の劣化状態として、一定の出力電力A1を得る為の燃料量(燃料消費量)を、劣化状態として使用してもよい。
この場合、燃料消費量が少ないと、燃料電池装置8において劣化は進行していないと判断(劣化状態は低いと判断)でき、燃料消費量が多いと、燃料電池装置8において劣化は進行していると判断(劣化状態は高いと判断)できる。
【0094】
(発明の実施の第7別形態)
燃料電池装置8が初めて発電を開始した時に、所定の出力電力A1を得ている状態での温度センサー24,25,25の検出値を、正常値として記憶しておくことにより、この後の燃料電池装置8の発電により、所定の出力電力A1を得ている状態での温度センサー24,25,25の検出値と正常値との差を、劣化状態として使用してもよい。
この場合、温度センサー24,25,25の検出値と正常値との差が小さいと、燃料電池装置8において劣化は進行していないと判断(劣化状態は低いと判断)でき、温度センサー24,25,25の検出値と正常値との差が大きいと、燃料電池装置8において劣化は進行していると判断(劣化状態は高いと判断)できる。
【0095】
例えば、温度センサー24の検出値の正常値が650℃において、温度センサー24の検出値が670℃の燃料電池装置8と、温度センサー24の検出値が700℃の燃料電池装置8とが存在した場合、温度センサー24の検出値が700℃の燃料電池装置8の方が劣化は進行している判断(劣化状態は高いと判断)できる。
【0096】
(発明の実施の第8別形態)
燃料電池装置8の劣化状態として、初めて発電を開始してからの発電時間の累積値(累積発電時間)を、劣化状態として使用してもよい。
この場合、累積発電時間が短いと、燃料電池装置8において劣化は進行していないと判断(劣化状態は低いと判断)でき、累積発電時間が長いと、燃料電池装置8において劣化は進行していると判断(劣化状態は高いと判断)できる。
【0097】
(発明の実施の第9別形態)
燃料電池装置8において、故障やエラーが発生した場合、故障及びエラーの発生箇所の重要度による重み付けを付加した値を累積(故障履歴)していき、故障履歴を劣化状態として使用してもよい。
この場合、故障履歴が低いと、燃料電池装置8において劣化は進行していないと判断(劣化状態は低いと判断)でき、故障履歴が高いと、燃料電池装置8において劣化は進行していると判断(劣化状態は高いと判断)できる。
【0098】
過去に故障及びエラーが発生した運転条件を記憶しておいた場合、現在の運転条件が、故障及びエラーが発生した運転条件と同じであれば、故障及びエラーの発生の可能性が高くなる。
これにより、現在の運転条件が過去に故障及びエラーが発生した運転条件と同じである状態を、故障履歴の予想値として前述の故障履歴に加えて、これを劣化状態としての故障履歴とすることもできる。
【0099】
(発明の実施の第10別形態)
以上の燃料電池装置8の発電効率、発電出力、出力電力A1の積算値(累積値)、燃料消費量、温度センサー24,25,25の検出値と正常値との差、累積発電時間及び故障履歴のうち、複数のデータを取り出し、取り出したデータに重み付けを行い、重み付けが行われたデータの合計を、劣化状態として使用してもよい。
【0100】
(発明の実施の第11別形態)
前述の(正の調整力の供出指令を受信した管理装置の処理)(その2)及び(負の調整力の供出指令を受信した管理装置の処理)(その2)において、正の調整力(負の調整力)の供出指令の出力要請値の割り当て値の数値(35%、30%、20%、10%、5%)(30%、20%、10%)は、一例であり、これ以外の割り当て値の数値として、(40%、35%、25%)等のように、多数の数値が存在する。
【0101】
(発明の実施の第12別形態)
以上の実施形態では、本発明の電源管理システムの構成について具体例を挙げて説明したが、その構成は適宜変更が可能である。
例えば、以上の実施形態では、電源装置が備える電源部が燃料電池部17を備える例を説明したが、電源部は電力を出力できる他の装置であってもよい。例えば、電源部が、蓄電池などの充放電部を備える装置であってもよい。その場合、電源管理システムに用いられる電源装置の機能を備え、電源部が充放電部を備える充放電装置が実現される。
又は、電源部は、エンジンとエンジンによって駆動される発電機とを備える装置などであってもよい。
【0102】
(発明の実施の第13別形態)
燃料電池装置8に代えて、充放電部を備える充放電装置(図示せず)を備えた場合、電力メーター10の検出値に基づいて、充放電装置の蓄積した電力と放出した電力とにより算出(検出)した充放電効率を、劣化状態として使用してもよい。
充放電効率が高いと、燃料電池装置8において劣化は進行していないと判断(劣化状態は低いと判断)でき、充放電効率が低いと、燃料電池装置8において劣化は進行していると判断(劣化状態は高いと判断)できる。
【0103】
施設3の受電点電力を上げるために、出力制御指令としての受電点電力上げ指令を複数の充放電装置に指令する場合、充放電効率が高い充放電装置(劣化状態が低い充放電装置)において、割り当て値が大きくなり、充放電効率が低い充放電装置(劣化状態が高い充放電装置)において、割り当て値が小さくなるように構成する(前記劣化状態が他の前記充放電装置よりも低い前記充放電装置に対しては、前記割り当て値を、他の前記充放電装置の前記割り当て値よりも増加させる状態に相当)。
【0104】
(発明の実施の第14別形態)
充放電装置の劣化状態として、充放電装置の電池容量を、劣化状態として使用してもよい。
この場合、電池容量が高いと、燃料電池装置8において劣化は進行していないと判断(劣化状態は低いと判断)でき、電池容量が低いと、燃料電池装置8において劣化は進行していると判断(劣化状態は高いと判断)できる。
【0105】
(発明の実施の第15別形態)
充放電装置の劣化状態として、充放電装置の最大入出力電流を、劣化状態として使用してもよい。
この場合、最大入出力電流が高いと、燃料電池装置8において劣化は進行していないと判断(劣化状態は低いと判断)でき、最大入出力電流が低いと、燃料電池装置8において劣化は進行していると判断(劣化状態は高いと判断)できる。
【0106】
(発明の実施の第16別形態)
充放電装置において、故障やエラーが発生した場合、故障及びエラーの発生箇所の重要度による重み付けを付加した値を累積(故障履歴)していき、故障履歴を劣化状態として使用してもよい。
この場合、故障履歴が低いと、充放電装置において劣化は進行していないと判断(劣化状態は低いと判断)でき、故障履歴が高いと、充放電装置において劣化は進行していると判断(劣化状態は高いと判断)できる。
【0107】
過去に故障及びエラーが発生した運転条件を記憶しておいた場合、現在の運転条件が、故障及びエラーが発生した運転条件と同じであれば、故障及びエラーの発生の可能性が高くなる。
これにより、現在の運転条件が過去に故障及びエラーが発生した運転条件と同じである状態を、故障履歴の予想値として前述の故障履歴に加えて、これを劣化状態としての故障履歴とすることもできる。
【0108】
(発明の実施の第17別形態)
以上の充放電装置の電池容量、充放電効率、最大入出力電流及び故障履歴のうち、複数のデータを取り出し、取り出したデータに重み付けを行い、重み付けが行われたデータの合計を、劣化状態として使用してもよい。
【0109】
以上の実施形態(別形態を含む、以下同じ)において開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用でき、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変できる。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、調整力の供出が可能な電源管理システムに適用できる。
【符号の説明】
【0111】
2 管理装置
3 施設
5 劣化状態検出部
7 電力系統
8 燃料電池装置(電源装置)
9 電力負荷装置(電力負荷部)
A1 出力電力
A2P 調整力
A2M 調整力
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7