(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155305
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】液体状態検出センサ
(51)【国際特許分類】
G01N 27/22 20060101AFI20221005BHJP
G01N 27/00 20060101ALI20221005BHJP
G01N 27/06 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
G01N27/22 B
G01N27/00 L
G01N27/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021058740
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】吉田 尚弘
(72)【発明者】
【氏名】亀田 幸則
(72)【発明者】
【氏名】永井 勇冴
(72)【発明者】
【氏名】中村 瞭平
【テーマコード(参考)】
2G060
【Fターム(参考)】
2G060AA05
2G060AE30
2G060AF07
2G060AF10
2G060AG03
2G060AG11
2G060FA14
(57)【要約】
【課題】液体の状態を良好に検出する。
【解決手段】液体状態検出センサ10では、封止部90が、ケース14の基板収容部14D内に充填されて、第1基板、第2基板76、及び中継基板72の外表面が、封止部90によって封止されている。これにより、第1基板、第2基板76、中継基板72、及びモールドベース22の吸湿による液体状態検出センサ10の検出値の変化を抑制することができる。また、サーミスタ60のセンサ部60Aが、内側電極52の内側検出部52Aの内部に配置され、センサ部60Aから延出されたリード部60Bの先端側部分が封止部90によって封止されている。これにより、封止部90によってリード部60Bが固定されるため、センサ部60Aの検出位置が変化することを抑制できる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体の状態を検出する液体状態検出センサであって、
筒状のケースと、
前記ケースの内部に配置され、前記ケースの軸方向に延在された筒状に形成され、一端部が前記ケースの一端部から突出した外側電極と、
前記外側電極の径方向内側に配置され、前記ケースの軸方向に延在され且つ一端部が閉じられた筒状に形成され、一端部が前記ケースの一端部から突出した内側電極と、
前記内側電極の一端部の内部に配置されたセンサ部と、前記センサ部から延出されたリード部と、を含んで構成された温度センサと、
前記ケースの内部において前記外側電極及び前記内側電極に対して前記ケースの他端側に配置され、前記外側電極、前記内側電極、及び前記リード部が接続された基板と、
前記ケースの内部に設けられ、前記基板を封止すると共に、前記リード部の少なくとも一部を封止する封止部と、
を備えた液体状態検出センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体状態検出センサに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、油等の液体の状態を検出するためのセンサが記載されている。
この種のセンサは、円筒状の第1電極(内側電極)と、第1電極の径方向外側に配置された円筒状の第2電極(外側電極)と、を有しており、第1電極及び第2電極が絶縁体に組付けられている。
組付状態の第1電極、第2電極、及び絶縁体は、ケースの内部に配置されると共に、第1電極及び第2電極の先端部が絶縁体及びケースから突出している。
また、第1電極の内部には、温度センサが設けられている。
【0003】
そして、第1電極及び第2電極の先端部を液体に浸漬させて、液体における第1電極と第2電極との間の静電容量をセンサによって検出する。
また、温度センサによって、液体の温度を検出する。これにより、センサを用いて、液体の状態を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/0051793号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記センサにおいて、ケースの内部に設けられた基板や基板を固定する固定部材等が吸湿すると、例えば、液体の静電容量に対するセンサの検出値が変化する可能性がある。
すなわち、基板や固定部材の吸湿による影響によって、センサの検出精度が低下する可能性がある。
【0006】
また、上記センサでは、温度センサに対する、特別な固定機構がなく、振動等により、温度センサが動いてしまうと、温度センサの検出位置がずれる。
これにより、温度センサの検出精度が低下する可能性がある。
以上により、上記センサでは、液体の状態を良好に検出するという点において改善の余地がある。
【0007】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、液体の状態を良好に検出することができる液体状態検出センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1またはそれ以上の実施形態に係る液体状態検出センサは、液体の状態を検出する液体状態検出センサであって、筒状のケースと、前記ケースの内部に配置され、前記ケースの軸方向に延在された筒状に形成され、一端部が前記ケースの一端部から突出した外側電極と、前記外側電極の径方向内側に配置され、前記ケースの軸方向に延在され且つ一端部が閉じられた筒状に形成され、一端部が前記ケースの一端部から突出した内側電極と、前記内側電極の一端部の内部に配置されたセンサ部と、前記センサ部から延出されたリード部と、を含んで構成された温度センサと、前記ケースの内部において前記外側電極及び前記内側電極に対して前記ケースの他端側に配置され、前記外側電極、前記内側電極、及び前記リード部が接続された基板と、前記ケースの内部に設けられ、前記基板を封止すると共に、前記リード部の少なくとも一部を封止する封止部と、を備えている。
【0009】
上記構成の液体状態検出センサでは、外側電極及び内側電極が、モールド部の電極保持部に一体に形成されており、外側電極及び内側電極の一端部がケースの一端部から突出した状態で、電極保持部が、ケースの一端側開口部を閉塞している。
また、ケースの内部には、外側電極及び内側電極が接続された基板が収容されており、基板は、モールド部の基板固定部に固定されている。
これにより、外側電極及び内側電極の一端部を液体に浸漬させることで、例えば、外側電極と内側電極との間の液体の静電容量を検出する。
【0010】
ここで、ケース部に設けられた封止部によって、基板の外表面が被覆されている。
このため、ケース内における基板の吸湿を抑制することができる。
これにより、基板が吸湿することによる液体状態検出センサの検出値の変化を抑制することができる。
【0011】
また、ここで、温度センサのセンサ部が、内側電極の一端部内に配置されており、温度センサのリード部が、センサ部から延出して基板に接続されている。
しかも、封止部によって、リード部の先端部が封止されている。
このため、内側電極内における温度センサの配策状態を良好に維持することができる。
すなわち、液体に対するセンサ部の検出位置が変化することを抑制できる。以上により、液体の状態を良好に検出することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の1またはそれ以上の実施形態に係る液体状態検出センサによれば、液体の状態を良好に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態に係る液体状態検出センサを、蓋をケースから取外した状態で示す斜視図である。
【
図2】
図1に示される液体状態検出センサの全体を示す第1方向一方側から見た縦断面図である。
【
図3】
図1に示される液体状態検出センサの全体を示す第2方向一方側から見た縦断面図である。
【
図4】
図1に示されるケースの内部を示す上側から見た断面図(
図1の4-4線断面図)である。
【
図5】
図2に示される電極センサ部の全体を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を用いて本実施形態に係る「センサ」としての液体状態検出センサ10について説明する。
図1~
図3に示されるように、液体状態検出センサ10は、全体として略段付円柱状に形成されている。
そして、以下の説明では、液体状態検出センサ10の軸方向一方側(
図1~
図3の矢印A方向側)を液体状態検出センサ10の下側とし、液体状態検出センサ10の軸方向他方側(
図1~
図3の矢印B方向側)を液体状態検出センサ10の上側としている。
また、以下の説明では、上下方向に対して直交する方向を第1方向(
図1~
図3の矢印C方向及び矢印D方向)としており、上側から見た平面視で、第1方向に対して直交する方向を第2方向(
図1~
図3の矢印E方向及び矢印E方向)としている。
【0015】
液体状態検出センサ10は、液体状態検出センサ10の外郭を構成するケースユニット12と、ケースユニット12の内部に収容された電極センサ部20と、を含んで構成されている。
電極センサ部20は、油等の液体の状態を検出するための略円筒状の外側電極42及び内側電極52を有しており、外側電極42及び内側電極52が、同軸上に配置されている。
すなわち、液体状態検出センサ10は、所謂同軸円筒型電極センサとして構成されている。
【0016】
そして、液体状態検出センサ10が、検出した液体の検出値を、液体状態検出センサ10に接続された外部のコントローラへ出力するようになっている。
具体的には、液体状態検出センサ10の外側電極42及び内側電極52の下端部を液体に浸漬させて、液体状態検出センサ10が、外側電極42と内側電極52との間の液体の電気的パラメータを検出値としてコントローラへ出力するようになっている。より詳しくは、液体状態検出センサ10が、外側電極42と内側電極52との間の液体の静電容量を検出値としてコントローラへ出力し、コントローラが液体の比誘電率を算出するようになっている。
また、液体状態検出センサ10が、外側電極42と内側電極52との間の液体の抵抗値を検出値としてコントローラへ出力し、コントローラが油の導電率を算出するようになっている。
以下、液体状態検出センサ10の各構成について説明する。
【0017】
(ケースユニット12について)
図1~
図3に示されるように、ケースユニット12は、ケースユニット12の本体を構成するケース14と、後述する外側電極42及び内側電極52の下端部(一端部)を覆うカバー18と、を含んで構成されている。
【0018】
(ケース14について)
ケース14は、金属製であり、全体として上下方向を軸方向とする略段付き円筒状に形成されている。ケース14は、ケース14の下端部を構成する略円筒状の小径部14Aと、ケース14の上部を構成する大径部14Bと、を含んで構成されている。
大径部14Bは、上側へ開放され且つ小径部14Aよりも大径の略有底円筒状に形成されると共に、小径部14Aと同軸上に配置されている。
小径部14Aの内部は、電極収容部14Cとして構成され、大径部14Bの内部は、基板収容部14Dとして構成されている。
【0019】
ケース14の上側開口部には、金属製の蓋16が設けられている。蓋16は、下側へ開放された略有底円筒状に形成されており、蓋16の側壁がケース14の上側開口部内に嵌入されている。
そして、蓋16が、蓋固定ネジS1によって、大径部14Bの開口端部に締結固定されている。
これにより、基板収容部14Dが蓋16によって閉塞されている。
また、蓋16の底壁には、後述する外部コネクタ83を配置するためのコネクタ孔部16Aが貫通形成されている。
【0020】
(カバー18について)
カバー18は、金属製とされると共に、上側へ開放された略有底円筒状に形成されている。カバー18の上端部が、ケース14の小径部14A内に下側から嵌入されて、カバー18がケース14に固定されている。
なお、小径部14Aにおけるカバー18が嵌入される部分は、段差状に形成されて、小径部14Aの内周面とカバー18の内周面とが、略面一に配置されている。
カバー18の側壁には、4箇所の連通孔18Aが貫通形成されており、連通孔18Aは、カバー18の周方向に等間隔(90度毎)に配置されている。
また、カバー18の底壁には、連通孔18Bが貫通形成されている。
【0021】
(電極センサ部20について)
図2~
図5に示されるように、電極センサ部20は、「モールド部」としてのモールドベース22と、外側電極ユニット40と、内側電極ユニット50と、「温度センサ」としてのサーミスタ60と、を含んで構成されている。
また、電極センサ部20は、「基板」としての第1基板70及び第2基板76を有している。
以下、電極センサ部20の各構成について説明する。
【0022】
(モールドベース22について)
モールドベース22は、樹脂材(絶縁材)によって構成されて、電極センサ部20の骨格を構成している。
モールドベース22は、第1方向から見て、上側へ開放された略Y字形ブロック状に形成されて、ケース14内に配置されている。
具体的には、モールドベース22は、モールドベース22の下部を構成する電極保持部24と、モールドベース22の上部を構成する一対の基板固定部26と、を含んで構成されている。
【0023】
電極保持部24は、上下方向を軸方向とする略円柱状に形成されて、ケース14の電極収容部14C内に配置されている。
具体的には、電極保持部24の外径が小径部14Aの内径と略一致しており、電極保持部24が、小径部14A内の全体を埋めるように、小径部14A内に配置されている。
これにより、電極保持部24によってケース14の下側開口部が閉塞されている。
【0024】
電極保持部24の上端部は、ケース14の基板収容部14Dの下端部に配置されており、電極保持部24の上端部には、径方向外側へ延出されたフランジ部24Aが形成されている。
フランジ部24Aは、上下方向を板厚方向とし且つ第1方向を長手方向とする略トラック形板状に形成されている。
フランジ部24Aの外周部には、3箇所の第1~第3カラー30,32,34が一体に設けられている。
第1~第3カラー30,32,34は、金属製とされると共に、上下方向を軸方向とする略円筒状に形成されている。
そして、第1~第3カラー30,32,34内に固定ネジS2が上側から挿入されて、固定ネジS2によってフランジ部24Aがケース14に固定されている。
【0025】
一対の基板固定部26は、第2方向を板厚方向とし且つ上下方向を長手方向とする略矩形板状に形成されて、電極保持部24のフランジ部24Aにおける第2方向両側端部から上側へ延出している。
基板固定部26の上端部及び下端部には、第1方向を軸方向とする金属製のナット36が一体に設けられている。
具体的には、ナット36の軸方向両端面が、基板固定部26から露出した状態で、ナット36が基板固定部26に埋設されている。
基板固定部26の上下方向中間部には、第1方向から見て、略クランク状に屈曲された屈曲部26Aが形成されており、基板固定部26の上端部が、下端部に比べて、第2方向外側に配置されている。
【0026】
(外側電極ユニット40について)
外側電極ユニット40は、外側電極42と、外側ターミナル44と、を含んで構成されており、外側電極ユニット40が、インサート成形によってモールドベース22の電極保持部24に一体に形成されている。
【0027】
外側電極42は、上下方向を軸方向とする略円筒状に形成されている。
そして、外側電極42が、ケース14の小径部14Aと同軸上に配置されて、モールドベース22の電極保持部24と一体に形成されている。
具体的には、外側電極42の下端部が、電極保持部24から下側へ突出した状態で、外側電極42の上部が電極保持部24に埋設されている。
そして、外側電極42における電極保持部24から下側へ突出した部分が、外側検出部42Aとして構成されて、外側検出部42Aがカバー18の内部に配置されている。
【0028】
外側ターミナル44は、上下方向に延在された略丸棒状に形成されている。
そして、溶接等によって、外側ターミナル44の下端部が、外側電極42の上端部の外周部に固定されて、外側ターミナル44が、外側電極42と共に電極保持部24に一体に形成されている。
外側ターミナル44の上端部は、モールドベース22における一対の基板固定部26の間において電極保持部24から上側へ突出すると共に、ケース14の基板収容部14D内に配置されている。
【0029】
(内側電極ユニット50について)
内側電極ユニット50は、内側電極52と、内側ターミナル54と、を含んで構成されている。
【0030】
内側電極52は、上側へ開放された略有底円筒状に形成されている。
すなわち、内側電極52は、下端部が閉じられた略円筒状に形成されている。
内側電極52は、外側電極42の径方向内側において、外側電極42と同軸上に配置されている。
そして、インサート成形によって、内側電極52の外周部が、モールドベース22の電極保持部24と一体に形成されている。
具体的には、内側電極52の上下方向両端部が、電極保持部24の上下方向外側へ突出した状態で、内側電極52が、電極保持部24と一体に形成されている。
これにより、内側電極52の内部とケース14の基板収容部14Dの内部とが連通している。
内側電極52の下端部は、内側検出部52Aとして構成され、内側検出部52Aが、外側電極42の外側検出部42Aの径方向内側に配置されている。
【0031】
内側ターミナル54は、上下方向に延在された略丸棒状に形成されている。
そして、溶接等によって、内側ターミナル54の下端部が、内側電極52の上下方向中間部の外周部に固定されて、内側ターミナル54が、内側電極52と共に電極保持部24に一体に形成されている。
内側ターミナル54の上端部は、電極保持部24から上側へ突出して、ケース14の基板収容部14D内に配置されている。
また、内側ターミナル54の上端部は、外側ターミナル44の上端部に対して、電極保持部24の周方向に180度離間して配置されている。
【0032】
(サーミスタ60について)
サーミスタ60は、長尺状に形成されている。
サーミスタ60の一端部には、センサ部60Aが設けられており、センサ部60Aは、内側電極52の内側検出部52A内に配置されている。
これにより、内側検出部52Aの部位における液体の温度を、サーミスタ60によって検出する構成になっている。
また、サーミスタ60は、センサ部60Aから延出されたリード部60Bを有している。
リード部60Bは、内側電極52内に配策されて、内側電極52から基板収容部14D内へ延出されている。
【0033】
(第1基板70について)
第1基板70は、第1方向を板厚方向とし且つ上下方向を長手方向とする略矩形板状に形成されている。
第1基板70は、モールドベース22の基板固定部26の第1方向一方側に隣接して配置されている。
そして、基板固定ネジS3が、基板固定部26のナット36に螺合されて、第1基板70の4隅の角部が、基板固定部26に締結固定されている。
【0034】
第1基板70の一側面(第1方向一方側の面)には、液体の状態を検出するときの電気的パラメータを切替えるための一対のリレー80(広義には、「電子部品」として把握される要素である)が実装されている。
また、第1基板70の一側面には、第2方向一方側の端部において、第1基板70と、後述する第2基板76と、を接続するためのフラットケーブル81用のケーブル用コネクタ82が実装されている。
このケーブル用コネクタ82は、第1基板70の長手方向中間部に配置されている。
【0035】
第1基板70の他側面には、下端部において、「基板」としての中継基板72が実装されており、中継基板72は、上下方向を板厚方向とする略矩形板状に形成されている。
中継基板72には、前述した外側ターミナル44の上端部及び内側ターミナル54の上端部が挿入される一対のターミナル孔部72Aが貫通形成されている。
そして、ターミナル孔部72A内に挿入された外側ターミナル44の上端部及び内側ターミナル54の上端部が、半田付けされて、中継基板72に接続されている。
これにより、外側電極42が、外側ターミナル44を介して中継基板72に接続され、内側電極52が、内側ターミナル54及を介して中継基板72に接続されている。
すなわち、本発明における「外側電極、内側電極が接続された基板」とは、外側電極42及び内側電極52が、ターミナル等の接続部材を介して間接的に接続される場合を含んでいる。
【0036】
さらに、中継基板72の略中央部には、基板側連通孔72Bが貫通形成されており、基板側連通孔72Bは、内側電極52と同軸上に配置されている。
そして、サーミスタ60のリード部60Bが、基板側連通孔72B内を挿通して、第1基板70の他側面に接続されている。
【0037】
なお、中継基板72と電極保持部24との間には、台座プレート74が配置されており、中継基板72が台座プレート74によって支持されている。
台座プレート74は、樹脂製とされると共に、上下方向を板厚方向とし且つ第2方向を長手方向とする略矩形板状に形成されている。
そして、台座プレート74の第1方向一方側端部が、第1基板70と電極保持部24とによって上下方向に挟み込まれ、台座プレート74の第1方向他方側端部が、後述する第2基板76と電極保持部24とによって上下方向に挟み込まれている。
また、台座プレート74には、外側ターミナル44の上端部及び内側ターミナル54の上端部が挿入された第1挿入孔74Aが貫通形成されている。
さらに、台座プレート74の略中央部には、内側電極52の上端部が挿入された第2挿入孔74B内が貫通形成されている。
【0038】
(第2基板76について)
第2基板76は、第1方向を板厚方向とし且つ上下方向を長手方向とする略矩形板状に形成されている。
第2基板76は、モールドベース22の基板固定部26の第1方向他方側に隣接して配置されている。
そして、図示しない基板固定ネジが、基板固定部26のナット36に螺合されて、第2基板76の4隅の角部が、基板固定部26に締結固定されている。
【0039】
第2基板76の上端部は、第1基板70の上端部よりも上側へ突出している。
また、第2基板76の一側面(第1方向一方側の面)の上端部には、外部コネクタ83が実装されており、外部コネクタ83が、上側から見て、第1基板70と第2基板76との間に配置されている。
また、外部コネクタ83は、第2基板76よりも上側へ突出して、蓋16のコネクタ孔部16A内に配置されている。
【0040】
第2基板76の他側面には、第2方向一方側の端部において、ケーブル用コネクタ84が実装されている。
そして、第1基板70のケーブル用コネクタ82と第2基板76のケーブル用コネクタ84にフラットケーブル81が接続されて、第1基板70と第2基板76とが電気的に接続されている。
これにより、液体状態検出センサ10が、外側電極42及び内側電極52によって検出した検出値を、外部のコントローラへ出力するようになっている。
【0041】
(封止部90について)
図2~
図4に示されるように、封止部90は、ケース14の基板収容部14D内において、第1基板70、第2基板76、中継基板72、及びモールドベース22の基板固定部26の外表面を封止している(
図2~
図4において、ドットのハッチングが施された部分を参照)。
すなわち、封止部90は、第1基板70、第2基板76、中継基板72、及び基板固定部26に対する防水部として構成されている。封止部90は、ウレタンやエポキシ等の樹脂材によって構成されて、基板収容部14D内に充填されている。
具体的には、液状の樹脂材を基板収容部14Dの上側開口部から注入し、注入された樹脂材を硬化させることで、封止部90が、基板収容部14D内に充填されている。
これにより、第1基板70、第2基板76、及び中継基板72に形成されたパターン等が封止部90によって封止されている。
また、ケース14の基板収容部14D内において露出された、モールドベース22の基板固定部26の外表面及びフランジ部24Aの一部の外表面が、封止部90によって封止されている。
【0042】
また、封止部90の基板収容部14Dへの充填状態では、基板収容部14D内に配策されたサーミスタ60のリード部60Bの先端側部分が、封止部90によって封止されている。
これにより、サーミスタ60が、封止部90によって固定されて、封止部90がサーミスタ60の固定部材としての機能するように構成されている。
【0043】
また、本実施の形態では、一例として、第1基板70の一側面及び他側面が封止されるように、封止部90の基板収容部14Dへの充填量が設定されている。
すなわち、第1基板70には、液体の状態を検出するときの電気的パラメータを切替えるための一対のリレー80が実装されているため、第1基板70の吸湿を抑制して、液体に対する検出精度を高めるように構成されている。
【0044】
(作用・効果)
上記のように構成された液体状態検出センサ10では、電極センサ部20における外側電極42の外側検出部42A及び内側電極52の内側検出部52Aが、ケース14から下側へ突出して、カバー18内に配置されている。
【0045】
そして、液体状態検出センサ10を用いて液体の状態を検出するときには、液体状態検出センサ10のカバー18を液体に浸漬させる。
これにより、液体が、カバー18の内部に流入されて、外側検出部42Aと内側検出部52Aとの間に流れ込む。
そして、液体状態検出センサ10が、外側検出部42Aと内側検出部52Aとの間における液体の静電容量を検出し、検出値をコントローラへ出力する。
また、液体状態検出センサ10が、外側検出部42Aと内側検出部52Aとの間における液体の抵抗値を検出し、検出値をコントローラへ出力する。
これにより、コントローラにおいて比誘電率及び導電率を算出して、液体の劣化状態を判別する。
また、液体状態検出センサ10が、サーミスタ60によって検出された検出値をコントローラへ出力して、コントローラにおいて液体の温度を検知する。
以上により、液体状態検出センサ10によって液体の状態が検出される。
【0046】
ところで、液体状態検出センサ10において、ケース14内の第1基板70、中継基板72、及び第2基板76が吸湿すると、第1基板70、中継基板72、及び第2基板76の吸湿による影響で、液体状態検出センサ10における検出値が変化して、液体状態検出センサ10の検出精度が低下する虞がある。
具体的には、液体状態検出センサ10において、静電容量の検出値が変化する可能性がある。
また、液体状態検出センサ10では、外側電極42及び内側電極52が、樹脂製のモールドベース22に一体に形成されており、外側電極42及び内側電極52の間には、モールドベース22の樹脂材が介在している。
このため、液体状態検出センサ10によって液体の静電容量を検出するときには、液体状態検出センサ10が、モールドベース22の樹脂材の静電容量を含んだ検出値として検出する。
よって、ケース14内においてモールドベース22が吸湿すると、液体状態検出センサ10における静電容量の検出値が変化して、液体状態検出センサ10の検出精度が低下する虞がある。
【0047】
ここで、液体状態検出センサ10では、封止部90が、ケース14の基板収容部14D内に充填されて、第1基板70、第2基板76、及び中継基板72の外表面が、封止部90によって封止されている。
これにより、第1基板70、第2基板76、及び中継基板72の吸湿を抑制することができる。
また、基板収容部14D内に充填された封止部90によって、モールドベース22の基板固定部26の外表面が封止されている。
これにより、ケース14内において、モールドベース22の吸湿を抑制することができる。
したがって、第1基板70、第2基板76、中継基板72、及びモールドベース22の吸湿による液体状態検出センサ10の検出値の変化を抑制することができる。
【0048】
また、ここで、サーミスタ60のセンサ部60Aが、内側電極52の内側検出部52A内に配置されている。
このため、センサ部60Aの検出位置を、液体に浸漬される内側検出部52Aの内側にして、液体の温度を検出することができる。
これにより、サーミスタ60において、液体の温度を良好に検出することができる。
しかも、基板収容部14D内に充填された封止部90によって、センサ部60Aから延出されたリード部60Bの先端側部分が封止されている。
これにより、封止部90によってリード部60Bが固定されるため、内側電極52内におけるサーミスタ60の配策状態を良好に維持することができる。
すなわち、センサ部60Aの位置が内側検出部52Aからずれて、液体に対するセンサ部60Aの検出位置が変化することを抑制できる。
以上により、本実施の形態の液体状態検出センサ10によれば、液体の状態を良好に検出することができる。
【0049】
なお、本実施の形態では、第1基板70、第2基板76、及び中継基板72の外表面が、封止部90によって封止されているが、液体状態検出センサ10の検出値に合わせて、封止部90によって封止する部分を適宜変更してもよい。
例えば、封止部90を、基板収容部14D内において、第1基板70と第2基板76との間に注入して、第1基板70の他側面、第2基板76の一側面、及び中継基板72の上面を、封止部90によって封止してもよい。
この場合にも、サーミスタ60のリード部60Bの先端側部分が封止部90によって封止されると共に、モールドベース22における一対の基板固定部26の第2方向内側の側面が封止部90によって封止される。
【0050】
以上、この発明の実施形態につき、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0051】
10:液体状態検出センサ、14:ケース、22:モールドベース(モールド部)、24:電極保持部、26:基板固定部、42:外側電極、52:内側電極、60:サーミスタ(温度センサ)、60A:センサ部、60B:リード部、70:第1基板(基板)、72:中継基板(基板)、76:第2基板(基板)、90:封止部