(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022015531
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】エレベータの利用者検知システム
(51)【国際特許分類】
B66B 13/26 20060101AFI20220114BHJP
B66B 13/14 20060101ALI20220114BHJP
B66B 3/00 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
B66B13/26 F
B66B13/14 K
B66B3/00 L
B66B3/00 M
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020118441
(22)【出願日】2020-07-09
(71)【出願人】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 紗由美
(72)【発明者】
【氏名】田村 聡
【テーマコード(参考)】
3F303
3F307
【Fターム(参考)】
3F303CB31
3F307DA11
3F307EA18
(57)【要約】
【課題】カメラを用いて乗場および乗りかご内の利用者を検知する場合に、乗りかご内の戸袋付近にいる利用者の検知精度を上げて、引き込まれ事故を防止する。
【解決手段】一実施形態に係るエレベータの利用者検知システムは、カメラによって得られる撮影画像上で、上記出入口の両側の少なくとも一方に設けられた戸袋と接する入口柱の内側側面に沿って、上記戸袋付近にいる利用者を検知するための第1の検知エリアを設定する検知エリア設定手段と、上記第1の検知エリアの中で上記カメラから遠い部分を注視エリアとして定め、上記注視エリア内の画像を拡大処理する拡大処理手段と、上記注視エリアについては上記拡大処理された画像を用いて利用者の有無を検知し、上記第1の検知エリアの上記注視エリア以外の部分は通常サイズの画像を用いて利用者の有無を検知する検知処理手段とを具備する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗りかご内に設置され、上記乗りかごのドアが取り付けられた出入口付近を含む所定の範囲を撮影するカメラを備えたエレベータの利用者検知システムにおいて、
上記カメラによって得られる撮影画像上で、上記出入口の両側の少なくとも一方に設けられた戸袋と接する入口柱の内側側面に沿って、上記戸袋付近にいる利用者を検知するための第1の検知エリアを設定する検知エリア設定手段と、
上記第1の検知エリアの中で上記カメラから遠い部分を注視エリアとして定め、上記注視エリア内の画像を拡大処理する拡大処理手段と、
上記注視エリアについては上記拡大処理された画像を用いて利用者の有無を検知し、上記第1の検知エリアの上記注視エリア以外の部分は通常サイズの画像を用いて利用者の有無を検知する検知処理手段と
を具備したことを特徴とするエレベータの利用者検知システム。
【請求項2】
上記拡大処理手段は、
上記第1の検知エリアの中で少なくとも2つ以上の注視エリアを設定し、これらの注視エリア毎に上記カメラから遠くなるほど拡大率を上げて段階的に拡大処理することを特徴とする請求項1記載のエレベータの利用者検知システム。
【請求項3】
上記拡大処理手段は、
上記拡大処理した画像を上記撮影画像上の上記第1の検知エリアとは別の部分に描画することを特徴とする請求項1記載のエレベータの利用者検知システム。
【請求項4】
上記拡大処理手段は、
上記拡大処理した画像を上記撮影画像上で利用者検知に影響しない部分に描画することを特徴とする請求項3記載のエレベータの利用者検知システム。
【請求項5】
上記検知エリア設定手段は、
上記撮影画像上に上記乗りかごの出入口から乗場に向けて、上記乗場の利用者を検知するための第2の検知エリアを設定し、
上記拡大処理手段は、
上記乗りかごの戸開動作が開始されたときに、上記第2の検知エリアを消し、上記第2の検知エリアが設定されていた部分に上記拡大処理した画像を描画することを特徴とする請求項3記載のエレベータの利用者検知システム。
【請求項6】
上記検知処理手段の検知結果に基づいて、上記ドアの開閉動作を制御する戸開閉制御手段をさらに具備したことを特徴とする請求項1記載のエレベータの利用者検知システム。
【請求項7】
上記カメラは、
上記乗りかご内の上部の戸閉位置に設置されることを特徴とする請求項1記載のエレベータの利用者検知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータの利用者検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの乗りかごのドアが戸開するときに、乗りかご内にいる利用者の指などが戸袋へ引き込まれることがある。また、乗場にいる利用者が乗りかごに乗り込むときに、戸閉途中のドアの先端にぶつかることがある。このようなドアの事故を防止するため、乗りかごに設置された1台のカメラを用いて、乗場の利用者や乗りかご内の利用者を検知して、ドアの開閉制御に反映させるシステムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6092433号公報
【特許文献2】特開2017-165541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したシステムにおいて、戸袋に対する引き込まれ検知は、乗りかご内の入口柱に設定された検知エリア内の画像の輝度変化を検知することで実現している。なお、「入口柱」とは、乗りかごの出入口の両側あるいは片側に設けられた柱のことであり、「正面柱」とも呼ばれる。しかしながら、通常、カメラは乗りかごの上部に設置される。このため、検知エリアの中でカメラから遠くなる部分(入口柱の下端部側)の画像が小さくなり、そこに利用者の指があっても、輝度変化が表れづらく、検知できないことがある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、カメラを用いて乗場および乗りかご内の利用者を検知する場合に、乗りかご内の戸袋付近にいる利用者の検知精度を上げて、引き込まれ事故を防止することのできるエレベータの利用者検知システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係るエレベータの利用者検知システムは、乗りかご内に設置され、上記乗りかごのドアが取り付けられた出入口付近を含む所定の範囲を撮影するカメラを備える。上記エレベータの利用者検知システムは、上記カメラによって得られる撮影画像上で、上記出入口の両側の少なくとも一方に設けられた戸袋と接する入口柱の内側側面に沿って、上記戸袋付近にいる利用者を検知するための第1の検知エリアを設定する検知エリア設定手段と、上記第1の検知エリアの中で上記カメラから遠い部分を注視エリアとして定め、上記注視エリア内の画像を拡大処理する拡大処理手段と、上記注視エリアについては上記拡大処理された画像を用いて利用者の有無を検知し、上記第1の検知エリアの上記注視エリア以外の部分は通常サイズの画像を用いて利用者の有無を検知する検知処理手段とを具備する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は一実施形態に係るエレベータの利用者検知システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は同実施形態における乗りかご内の出入口周辺部分の構成を示す図である。
【
図3】
図3は同実施形態におけるカメラの撮影画像の一例を示す図である。
【
図4】
図4は同実施形態における乗車検知エリアの構成を模式的に示す図である。
【
図5】
図5は同実施形態における利用者検知システムの処理動作を説明するためのフローチャートである。
【
図6】
図6は
図5のステップS14の引き込まれ検知処理を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は同実施形態における実空間での座標系を説明するための図である。
【
図8】
図8は同実施形態における撮影画像をブロック単位で区切った状態を示す図である。
【
図9】
図9は同実施形態における引き込まれ検知エリアと注視エリアを示す図である。
【
図10】
図10は上記注視エリアの設定方法を説明するための図である。
【
図11】
図11は上記引き込まれ検知エリア内の画像が小さい場合に当該画像をブロック単位で区切った状態を示す図である。
【
図13】
図13は上記引き込まれ検知エリア内の画像を拡大した場合に当該画像をブロック単位で区切った状態を示す図である。
【
図15】
図15は他の実施形態として2つの注視エリアを設定した場合の一例を示す図である。
【
図16】
図16は他の実施形態として拡大画像を乗車検知エリアの設定部分に描画する方法を説明するための図である。
【
図17】
図17は他の同実施形態における片開きタイプのかごドアが用いられた乗りかご内の出入口周辺部分の構成を示す図である。
【
図18】
図18は上記片開きタイプのかごドアの開閉動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
なお、開示はあくまで一例にすぎず、以下の実施形態に記載した内容により発明が限定されるものではない。当業者が容易に想到し得る変形は、当然に開示の範囲に含まれる。説明をより明確にするため、図面において、各部分のサイズ、形状等を実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合もある。複数の図面において、対応する要素には同じ参照数字を付して、詳細な説明を省略する場合もある。
【0009】
図1は一実施形態に係るエレベータの利用者検知システムの構成を示す図である。なお、ここでは、1台の乗りかごを例にして説明するが、複数台の乗りかごでも同様の構成である。
【0010】
乗りかご11の出入口上部にカメラ12が設置されている。具体的には、カメラ12は、乗りかご11の出入口上部を覆う幕板11aの中にレンズ部分を直下方向、もしくは、乗場15側あるいは乗りかご11内部側に所定の角度だけ傾けて設置される。
【0011】
カメラ12は、例えば車載カメラ等の小型の監視用カメラであり、広角レンズもしくは魚眼レンズを有し、1秒間に数コマ(例えば30コマ/秒)の画像を連続的に撮影可能である。カメラ12は、例えば乗りかご11が各階の乗場15に到着したときに起動され、かごドア13付近と乗場15を含めて撮影する。なお、カメラ12は、乗りかご11の運転時に常時動作中であっても良い。
【0012】
このときの撮影範囲はL1+L2に調整されている(L1≫L2)。L1は乗場側の撮影範囲であり、かごドア13から乗場15に向けて所定の距離を有する。L2はかご側の撮影範囲であり、かごドア13からかご背面に向けて所定の距離を有する。なお、L1,L2は奥行き方向の範囲であり、幅方向(奥行き方向と直交する方向)の範囲については少なくとも乗りかご11の横幅より大きいものとする。
【0013】
各階の乗場15において、乗りかご11の到着口には乗場ドア14が開閉自在に設置されている。乗場ドア14は、乗りかご11の到着時にかごドア13に係合して開閉動作する。なお、動力源(ドアモータ)は乗りかご11側にあり、乗場ドア14はかごドア13に追従して開閉するだけである。以下の説明においては、かごドア13を戸開している時には乗場ドア14も戸開しており、かごドア13が戸閉している時には乗場ドア14も戸閉しているものとする。
【0014】
カメラ12によって連続的に撮影された各画像(映像)は、画像処理装置20によってリアルタイムに解析処理される。なお、
図1では、便宜的に画像処理装置20を乗りかご11から取り出して示しているが、実際には、画像処理装置20はカメラ12と共に幕板11aの中に収納されている。
【0015】
画像処理装置20には、記憶部21と検知部22とが備えられている。記憶部21は、例えばRAM等のメモリデバイスからなる。記憶部21は、カメラ12によって撮影された画像を逐次保存すると共に、検知部22の処理に必要なデータを一時的に保存しておくためのバッファエリアを有する。なお、記憶部21には、撮影画像に対する前処理として、歪み補正や拡大縮小、一部切り取り等の処理が施された画像が保存されるとしても良い。
【0016】
検知部22は、例えばマイクロプロセッサからなり、カメラ12の撮影画像を用いてかごドア13付近にいる利用者を検知する。この検知部22を機能的に分けると、検知エリア設定部22a、検知処理部22b、拡大処理部22cで構成される。なお、これらは、ソフトウェアによって実現しても良いし、IC(Integrated Circuit)等のハードウェアにより実現しても良いし、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現しても良い。
【0017】
検知エリア設定部22aは、カメラ12から得られる撮影画像上に利用者を検知するための検知エリアを少なくとも1つ以上設定する。本実施形態では、乗場15の利用者を検知するための検知エリアE1(第2の検知エリア)と、乗りかご11内の利用者を検知するための検知エリアE2,E3(第1の検知エリア)が設定される。検知エリアE1は、乗車検知エリアとして用いられ、乗りかご11の出入口から乗場15に向けて設定される。検知エリアE2は、引き込まれ検知エリアとして用いられ、乗りかご11内の入口柱41a,41bに設定される。検知エリアE3は、検知エリアE2と同様に引き込まれ検知エリアとして用いられ、乗りかご11内の出入口側の床面19に設定される(
図3参照)。
【0018】
検知処理部22bは、戸閉動作中に検知エリアE1内の画像の輝度変化に基づいて、乗場15に存在する利用者または物を検知する。また、検知処理部22bは、戸開動作中に検知エリアE2,E3内の画像の輝度変化に基づいて、戸袋42a,42bあるいはかごドア13に近い利用者または物を検知する。なお、「物」とは、例えば利用者の衣服や荷物、さらに車椅子等の移動体を含む。以下の説明で、「利用者を検知」と言った場合に、「物」を含んでいるものとする。
【0019】
拡大処理部22cは、引き込まれ検知エリアとして用いられる検知エリアE2の中でカメラ12から遠い部分(入口柱の下端部側)を注視エリアとして定め、上記注視エリアの画像を拡大処理する。検知処理部22bは、検知エリアE2の中の注視エリアについては拡大処理された画像を用い、その他の部分は通常の画像を用いて利用者の有無を検知する。なお、画像処理装置20の一部あるいは全部の機能をエレベータ制御装置30に持たせることでも良い。
【0020】
エレベータ制御装置30は、CPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータからなる。エレベータ制御装置30は、乗りかご11の運転制御などを行う。また、エレベータ制御装置30は、戸開閉制御部31を備える。
【0021】
戸開閉制御部31は、乗りかご11が乗場15に到着したときのかごドア13の戸開閉を制御する。詳しくは、戸開閉制御部31は、乗りかご11が乗場15に到着したときにかごドア13を戸開し、所定時間経過後に戸閉する。ただし、かごドア13の戸閉動作中のときに、検知処理部22bによって検知エリアE1内で利用者が検知された場合には、戸開閉制御部31は、かごドア13の戸閉動作を禁止して、かごドア13を全開方向にリオープンして戸開状態を維持する。
【0022】
また、かごドア13の戸開動作中に検知処理部22bによって検知エリアE2またはE3内で利用者が検知された場合には、戸開閉制御部31は、ドア事故(戸袋への引き込まれ事故)を回避するための戸開閉制御を行う。具体的には、戸開閉制御部31は、かごドア13の戸開動作を一時停止するか、逆方向(戸閉方向)に動かす、あるいは、かごドア13の戸開速度を遅くする。
【0023】
図2は乗りかご11内の出入口周辺部分の構成を示す図である。
乗りかご11の出入口にかごドア13が開閉自在に設けられている。
図2の例では両開きタイプのかごドア13が示されており、かごドア13を構成する2枚のドアパネル13a,13bが間口方向(水平方向)に沿って互いに逆方向に開閉動作する。なお、「間口」とは、乗りかご11の出入口と同じである。
【0024】
乗りかご11の出入口の両側に入口柱41a,41bが設けられており、幕板11aと共に乗りかご11の出入口を囲っている。「入口柱」は、正面柱とも言い、裏側にはかごドア13を収納するための戸袋が設けられているのが一般的である。
図2の例では、かごドア13が戸開したときに、一方のドアパネル13aが入口柱41aの裏側に設けられた戸袋42aに収納され、他方のドアパネル13bが入口柱41bの裏側に設けられた戸袋42bに収納される。入口柱41a,41bの一方あるいは両方に表示器43や、行先階ボタン44などが配設された操作盤45、スピーカ46が設置されている。
図2の例では、入口柱41aにスピーカ46、入口柱41bに表示器43、操作盤45が設置されている。
【0025】
カメラ12は、乗りかご11の出入口上部に水平方向に配設された幕板11aの中に設けられる。ここで、乗場15の利用者を戸閉直前まで検知するため、かごドア13の戸閉位置に合わせてカメラ12が取り付けられている。具体的には、かごドア13が両開きタイプであれば、幕板11aの中央部にカメラ12が取り付けられる(
図2参照)。
【0026】
図3はカメラ12の撮影画像の一例を示す図である。上側は乗場15、下側は乗りかご11内である。図中の16は乗場15の床面、19は乗りかご11の床面を示している。E1,E2,E3は検知エリアを表している。
【0027】
かごドア13は、かごシル47上を互いに逆方向に移動する2枚のドアパネル13a,13bを有する。乗場ドア14も同様であり、乗場シル18上を互いに逆方向に移動する2枚のドアパネル14a,14bを有する。乗場ドア14のドアパネル14a,14bは、かごドア13のドアパネル13a,13bと共に戸開閉方向に移動する。
【0028】
カメラ12は乗りかご11の出入口上部に設置されている。したがって、乗りかご11が乗場15で戸開したときに、
図1に示したように、乗場側の所定範囲(L1)とかご内の所定範囲(L2)が撮影される。このうち、乗場側の所定範囲(L1)に、乗りかご11に乗車する利用者を検知するための検知エリアE1が設定されている。
【0029】
実空間において、検知エリアE1は、出入口(間口)の中心から乗場方向に向かってL3の距離を有する(L3≦乗場側の撮影範囲L1)。全開時における検知エリアE1の横幅W1は、出入口(間口)の横幅W0以上の距離に設定されている。検知エリアE1は、
図3に斜線で示すように、シル18,47を含み、三方枠17a,17bの死角を除いて設定される。なお、検知エリアE1の横方向(X軸方向)のサイズは、かごドア13の開閉動作に合わせて変更される構成としても良い。また、検知エリアE1の縦方向(Y軸方向)のサイズについても、かごドア13の開閉動作に合わせて変更される構成としても良い。
【0030】
図4に示すように、乗車検知エリアとして用いられる検知エリアE1は、乗車意思推定エリアE1a,近接検知エリアE1b,シル上検知エリアE1cからなる。乗車意思推定エリアE1aは、利用者が乗車意思を持って乗りかご11に向かっているか否かを推定するためのエリアである。近接検知エリアE1bは、利用者が乗りかご11の出入口に近接していることを検知するためのエリアである。シル上検知エリアE1cは、利用者がシル18,47上を通過していることを検知するためのエリアである。これらのエリアE1a,E1b,E1cに関する検知処理については、本発明とは直接関係しないため、ここでは詳しい説明を省略する。
【0031】
ここで、本システムでは、検知エリアE1とは別に、検知エリアE2,E3を有する。検知エリアE2,E3は、引き込まれ検知エリアとして用いられる。検知エリアE2は、乗りかご11の入口柱41a,41bの内側側面41a-1,41b-1に沿って、所定の幅を有して設定される。なお、内側側面41a-1,41b-1の横幅に合わせて検知エリアE2を設定しても良い。検知エリアE3は、乗りかご11の床面19のかごシル47に沿って、所定の幅を有して設定される。後述するように、本実施形態では、検知エリアE2に着目し、その検知エリアE2内の一部の画像を拡大して引き込まれ検知処理を行うことを特徴としている。
【0032】
次に、本システムの動作について説明する。
図5は本システムの処理動作を説明するためのフローチャートである。このフローチャートでは、戸開動作時に実行される「引き込まれ検知処理」と、戸閉動作時に実行される「乗車検知処理」を含んでいる。
【0033】
まず、初期設定として、画像処理装置20に備えられた検知部22の検知エリア設定部22aによって検知エリア設定処理が実行される(ステップS10)。この検知エリア設定処理は、例えばカメラ12を設置したとき、あるいは、カメラ12の設置位置を調整したときに、以下のようにして実行される。
【0034】
すなわち、検知エリア設定部22aは、乗りかご11が全開した状態で、出入口から乗場15に向けて距離L3を有する検知エリアE1を設定する。
図3に示したように、検知エリアE1は、シル18,47を含み、三方枠17a,17bの死角を除いて設定される。ここで、乗りかご11が全開した状態では、検知エリアE1の横方向(X軸方向)のサイズはW1であり、出入口(間口)の横幅W0以上の距離を有する。また、検知エリア設定部22aは、乗りかご11の入口柱41a,41bの内側側面41a-1,41b-1に沿って、所定の幅を有する検知エリアE2を設定すると共に、乗りかご11の床面19のかごシル47に沿って所定の幅を有する検知エリアE3を設定する。
【0035】
乗りかご11が任意の階の乗場15に到着すると(ステップS11のYes)、エレベータ制御装置30は、乗りかご11の戸開動作を開始する(ステップS12)。このとき、乗りかご11の出入口上部に設置されたカメラ12によって乗場側の所定範囲(L1)とかご内の所定範囲(L2)が所定のフレームレート(例えば30コマ/秒)で撮影される。なお、カメラ12の撮影は、乗りかご11が戸閉した状態から連続的に行われていても良い。
【0036】
画像処理装置20は、カメラ12で撮影された画像を時系列で取得し、これらの画像を記憶部21に逐次保存しながら(ステップS13)、以下のような引き込まれ検知処理をリアルタイムで実行する(ステップS14)。なお、撮影画像に対する前処理として、歪み補正や、拡大縮小、画像の一部の切り取りなどを行っても良い。
【0037】
図7に示すように、カメラ12は、乗りかご11の出入口に設けられたかごドア13と水平の方向をX軸、かごドア13の中心から乗場15の方向(かごドア13に対して垂直の方向)をY軸、乗りかご11の高さ方向をZ軸とした画像を撮影する。このカメラ12によって撮影された各画像において、検知対象とする画像をブロック単位で比較する。戸開動作中であれば、乗りかご11内に設定された検知エリアE2,E3(引き込まれ検知エリア)内の画像が検知対象となる。
【0038】
図8に撮影画像を所定のブロック単位でマトリックス状に分割した例を示す。原画像を一辺Wblockの格子状に区切ったものを「ブロック」と呼ぶ。
図8の例では、ブロックの縦横の長さが同じであるが、縦と横の長さが異なっていても良い。また、画像全域に渡ってブロックを均一な大きさとしても良いし、例えば画像上部ほど縦(Y軸方向)の長さを短くするなどの不均一な大きさにしても良い。
【0039】
検知処理部22bは、記憶部21に保持された各画像を時系列順に1枚ずつ読み出し、これらの画像の平均輝度値をブロック毎に算出する。その際、初期値として最初の画像が入力されたときに算出されたブロック毎の平均輝度値を記憶部21内の図示せぬ第1のバッファエリアに保持しておくものとする。
【0040】
2枚目以降の画像が得られると、検知処理部22bは、現在の画像のブロック毎の平均輝度値と上記第1のバッファエリアに保持された1つ前の画像のブロック毎の平均輝度値とを比較する。その結果、現在の画像の中で予め設定された閾値以上の輝度差を有するブロックが存在した場合には、検知処理部22bは、当該ブロックを動きありのブロックとして判定する。現在の画像に対する動きの有無を判定すると、検知処理部22bは、当該画像のブロック毎の平均輝度値を次の画像との比較用として上記第1のバッファエリアに保持する。
【0041】
以後同様にして、検知処理部22bは、各画像の輝度値を時系列順にブロック単位で比較しながら動きの有無を判定することを繰り返す。その結果、画像に動きありのブロックがあれば、検知処理部22bは、利用者または物が存在するものと判断する。例えば、検知エリアE2内の画像に動きありのブロックが検出されれば、検知処理部22bは、乗りかご11内の戸袋近くに利用者または物が存在するものと判断する。
【0042】
(引き込まれ検知処理の問題)
引き込まれ検知処理は、引き込まれ検知エリアである検知エリアE2,E3内の画像の輝度変化が利用者の侵入によって正しく表れることを前提としている。ところが、検知エリアE2については、カメラ12と入口柱41a,41bとの位置関係から以下のような問題が生じる。なお、検知エリアE3については、カメラ12と正面で対向しており、検知エリアE3内の画像はどこでも同じサイズであるため、以下のような問題は生じない。
【0043】
カメラ12は、乗りかご11の上部の戸閉位置に取り付けられる。両開きタイプのかごドア13は乗りかご11出入口の中央位置で戸閉するので、カメラ12も乗りかご11の上部の中央位置に取り付けられる(
図2参照)。このカメラ12の位置から乗りかご11内の入口柱41a,41bを撮影すると、
図9に示すように、入口柱41a,41bの画像が撮影画像の中心に向けて放射状に傾く。この場合、床面19に近いほど、カメラ12から遠くなるため、入口柱41a,41bの下端部側の画像が小さくなる。
【0044】
図11および
図12に示すように、画像が小さいと、検知エリアE2内に利用者の指が映っていても、当該画像をブロック単位で区切ったときに、1ブロック当たりに占める利用者の指の画素データが少なくなり、輝度変化が表れにくい。例えば、3×3画素を1ブロックとした場合に、
図11の例では、1ブロックの中で利用者の指が占める割合は全体の1/3程度である。このため、利用者の指による輝度値の変化が動き判定基準用として設定された閾値TH以下になり、正しく検知されない。
【0045】
子供や車椅子に乗っている利用者は、入口柱41a,41bの低い位置に手を触れる可能性が高いため、入口柱41a,41bの下端部側に対する検知精度の改善が求められる。そこで、本実施形態では、
図10に示すように、検知エリアE2を入口柱41bの長手方向に2つに分割し、検知エリアE2の下側(入口柱41bの下端部側)を注視エリアE2aとして定め、この注視エリアE2a内の画像を拡大処理してから引き込まれ検知処理を行う。なお、他方の入口柱41aに検知エリアE2が設定されている場合も同様である。
【0046】
注視エリアE2a内の画像を拡大処理することで、
図13に示すように、1ブロック当たりに占める利用者の指の画素データが増える。したがって、
図14に示すように、閾値TH以上の輝度値の変化が表れ、利用者の指が検知エリアE2に入ったことを正しく検知できるようになる。検知エリアE2の注視エリアE2a以外の画像、つまり、入口柱41bの上端部側の画像については、通常サイズのままで引き込まれ検知処理を行う。
【0047】
検知エリアE2内の画像全体を拡大しないのは、入口柱41bの上端部側の画像は大きく映るので、検知処理に支障がないためである。なお、
図10の例では、検知エリアE2の最下端から上方向に1/3の範囲を注視エリアE2aとしているが、例えば入口柱41bの最下端から上方向に1/2の範囲を注視エリアE2aとしても良い。要は、カメラ12から最も遠い最下端を含め、画像サイズ的に検知処理に影響が出やすい範囲を注視エリアE2aして定めれば良い。
【0048】
図9に示すように、注視エリアE2aの拡大画像は、撮影画像の上部に設定されたエリア50に描画される。両開きタイプのかごドア13の場合には、左右の入口柱41a,41bに検知エリアE2が設定されるので、実際には、2つの注視エリアE2aの拡大画像が撮影画像の上部(例えば、上部右側と上部左側)に描画される。
【0049】
通常、撮影画像は、カメラ12のレンズの構造上、外周部が歪み、光量も減衰している。特に、魚眼レンズを通した画像の外周部は歪みが大きく、歪み補正すると、ノイズ等による輝度変化が広範囲に表れてしまう。このため、画像の外周部は利用者検知処理に使えず、未使用領域として扱われる。本実施形態では、このような未使用領域の中で、特に引き込まれ検知には関係しない撮影画像の上部を拡大画像描画用のエリア50として利用することで、1枚の撮影画像の中で注視エリアE2aに対する引き込まれ検知を実現している。
【0050】
以下に具体的な処理について説明する。
図6は検知エリアE2に着目した引き込まれ検知処理を示すフローチャートである。このフローチャートで示される処理は、
図5のステップS14で実行される。なお、以下では、一方の入口柱41bに設定された検知エリアE2について説明するが、他方の入口柱41に設定された検知エリアE2についても同様である。
【0051】
まず、検知エリアE2に対する引き込まれ検知処理を行う場合に、まず、拡大処理部22cによって検知エリアE2の中でカメラ12から遠い部分(画像が小さく映る下側部分)を注視エリアE2aとして定める(ステップS31)。詳しくは、
図10で説明したように、検知エリアE2の中でカメラ12から最も遠い入口柱41bの下端部を含む所定の範囲を注視エリアE2aとして定める。拡大処理部22cは、注視エリアE2a内の画像を拡大処理し(ステップS32)、その拡大処理後の画像を撮影画像上の別のエリア50に描画する(ステップS33)。
【0052】
画像の拡大率は、検知精度と描画先のエリア50との関係によって設定される。この場合、
図13および
図14で説明したように、画像を拡大すると、輝度変化が表れやすくなり、検知精度が高まる。ただし、1枚の同じ撮影画像上に拡大画像を描画するので、描画先のエリア50のスペースを考慮して拡大する必要がある。なお、実際の処理では、
図1に示した記憶部21のバッファメモリに撮影画像を保持した際に、その撮影画像の中で検知エリアE2の注視エリアE2a内の画像を部分的に切り出して拡大し、当該撮影画像の上部に設定されたエリア50の部分にその拡大後の画像を描画する。
【0053】
以後は、既に説明したように、検知処理部22bによって、検知エリアE2内の各画像の輝度値を時系列順にブロック単位で比較しながら、検知エリアE2も動きの有無を判定する(ステップS34)。その際、注視エリアE2aについては、撮影画像上部に設定されたエリア50に描画された拡大画像を用い、その拡大画像の輝度変化から動きの有無を判定する。
【0054】
図5に戻って、戸開動作中に利用者または物の存在が検知されると(ステップS15のYes)、画像処理装置20からエレベータ制御装置30に対して利用者検知信号が出力される。エレベータ制御装置30の戸開閉制御部31は、この利用者検知信号を受信すると、かごドア13の戸開動作を一時停止し、数秒後にその停止位置から戸開動作を再開する(ステップS16)。
【0055】
なお、利用者検知信号を受信したときに、かごドア13の戸開速度を通常より遅くすることや、あるいは、かごドア13を逆方向(戸閉方向)に若干移動させてから戸開動作を再開することでも良い。また、乗りかご11内のスピーカ46を通じて音声アナウンスを行い、利用者に対してかごドア13から離れるように注意を喚起することで良いし、警告音を鳴らすことでも良い。検知エリアE2または検知エリアE3内で利用者または物の存在が検知されている間、上記処理が繰り返される。これにより、例えば利用者が戸袋42aの近くに手を置いている場合に、戸袋42aに引き込まれることを未然に防ぐことができる。
【0056】
かごドア13が全開し、所定時間が経過すると、戸閉動作が開始される(ステップS17)。このとき、画像処理装置20は、カメラ12で撮影された画像を時系列で取得し、これらの画像を記憶部21に逐次保存しながら(ステップS18)、以下のような乗車検知処理をリアルタイムで実行する(ステップS19)。
【0057】
乗車検知処理は、乗りかご11の出入口から乗場15に向けて設定された検知エリアE1内の画像を検知対象とする。検知処理部22bは、戸閉動作中に時系列で得られる検知エリアE1内の各画像をブロック単位で比較し、動きありブロックがあるか否かをチェックする。その結果、動きありのブロックがあれば、検知処理部22bは、検知エリアE1内に人または物が存在するものと判断する。
【0058】
このような方法により、戸閉動作中に検知エリアE1内で利用者または物の存在が検知されると(ステップS20のYes)、画像処理装置20からエレベータ制御装置30に対して利用者検知信号が出力される。エレベータ制御装置30の戸開閉制御部31は、この利用者検知信号を受信することにより、かごドア13の戸閉動作を禁止して戸開状態を維持する(ステップS21)。
【0059】
検知エリアE1内で利用者または物の存在が検知されなかった場合には(ステップS21のNo)、エレベータ制御装置30はかごドア13の戸閉動作を継続し、戸閉完了後に乗りかご11を目的階に向けて出発させる(ステップS22)。
【0060】
このように本実施形態によれば、乗りかご内の入口柱に設定された検知エリアの中でカメラから遠い部分(画像が小さく映る下側部分)を注視エリアとして定め、その注視エリア内の画像を拡大処理して検知処理を行う。これにより、乗りかご内の戸袋の下側付近に利用者の手が置かれているような場合でも正しく検知して、引き込まれ事故を防ぐことができる。また、拡大処理された画像を撮影画像上の別エリアに描画して検知処理を行うことで、1枚の同じ撮影画像上で注視エリアに対する引き込まれ検知を効率的に行うことができる。
【0061】
(他の実施形態)
(1)複数の注視エリア
上記実施形態では、検知エリアE2を2つに分割し、検知エリアE2の下側(入口柱の下端部側)を注視エリアとして定めたが、検知エリアE2をさらに複数の分割し、2つ以上の注視エリアを設定し、これらの注視エリア毎にカメラ12から遠くなるほど拡大率を上げて段階的に拡大処理する構成としても良い。
【0062】
図15に2つの注視エリアE2a,E2bを設定した場合の一例を示す。注視エリアE2aは、入口柱41bの下端部を含み、上方向に所定の範囲を有する。注視エリアE2bは、注視エリアE2aよりも上の位置にあり、上方向に所定の範囲を有する。ここで、注視エリアE2a内の画像は、注視エリアE2b内の画像よりも拡大率を上げて拡大処理する。注視エリアE2aの拡大画像と、注視エリアE2bの拡大画像は、撮影画像上の上部左右に描画され、上記実施形態と同様に引き込まれ検知処理に用いられる。なお、他方の入口柱41aに検知エリアE2が設定されている場合も同様である。
【0063】
このように、複数の注視エリアを設定し、これらの注視エリア毎にカメラ12から遠くなるほど拡大率を上げて段階的に拡大処理することで、検知エリアE2の各箇所に応じた拡大画像を用いて、利用者を正確に検知することができる。
【0064】
(2)拡大画像の描画方法
引き込まれ検知処理は、かごドア13が全閉した状態から戸開方向に移動している間に実行される。この間、乗場15に設定された検知エリアE1(乗車検知エリア)は使用しない。そこで、
図16に示すように、戸開動作中は検知エリアE1を消して、検知エリアE1が設定されていた場所に注視エリアE2aの拡大画像を描画するようにしても良い。
【0065】
図16の例では、注視エリアE2aが設定されていた乗場15に相当する部分に拡大画像描画用のエリア51を設定し、そこに注視エリアE2aの拡大画像を描画している。かごドア13が全開したときに、エリア51から拡大画像を消すと共に、検知エリアE1を復活させて、その検知エリアE1内の画像を用いて乗車検知処理を行う。このように、戸開動作中は検知エリアE1を消すことで、そこに注視エリアE2aの拡大画像を描画するエリアを広く確保することができる。
【0066】
(3)片開きタイプ
上記実施形態では、両開きタイプのかごドアを例にして説明したが、片開きタイプであっても同様である。
図17は2枚戸片開きタイプのかごドアが用いられた乗りかご内の出入口周辺部分の構成を示す図である。この例では、乗りかご11の出入口に2枚戸片開きタイプのかごドア13が開閉自在に設置されている。かごドア13は、
図18に示すように、2枚のドアパネル13a,13bを有し、これらが間口方向に沿って同じ方向に開閉動作する。
【0067】
かごドア13が片開きタイプの場合、出入口の片側に戸袋42aが設けられる。
図13の例では、出入口の左側に戸袋42aが設けられており、戸開時に2枚のドアパネル13a,13bが戸袋42aの中に重なった状態で戸袋42aに収納される。戸袋42aと接する入口柱41aの内側側面には、引き込み検知用の検知エリアEaが設定される。
【0068】
ここで、かごドア13の戸閉動作中は、乗場15から乗りかご11に向かって来る利用者を戸閉直前まで検知する必要があるため、カメラ12が乗りかご11の上部の戸閉位置に取り付けられる。
図17の例では、幕板11aの中の入口柱41b側(右側)にカメラ12が設置されている。このため、かごドア13が片開きタイプの場合には、両開きタイプよりも、検知エリアEaがカメラ12から遠くなるので、検知エリアEaの下側の画像がさらに小さく映ることになる。
【0069】
そこで、上記実施形態と同様に、検知エリアEaの下側を注視エリアE2aとして定め、注視エリアE2a内の画像を拡大処理する。この拡大処理された画像を用いて引き込まれ検知処理を行うことで、入口柱41aの下端部側に利用者の指が触れていた場合でも正確に検知でき、戸袋42aへの引き込まれ事故を防ぐことができる。
【0070】
以上述べた少なくとも1つの実施形態によれば、カメラを用いて乗場および乗りかご内の利用者を検知する場合に、乗りかご内の戸袋付近にいる利用者の検知精度を上げて、引き込まれ事故を防止することのできるエレベータの利用者検知システムを提供することができる。
【0071】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0072】
11…乗りかご、11a…幕板、12…カメラ、13…かごドア、13a,13b…ドアパネル、14…乗場ドア、14a,14b…ドアパネル、15…乗場、17a,17b…三方枠、18…乗場シル、47…かごシル、20…画像処理装置、21…記憶部、22…検知部、22a…検知エリア設定部、22b…検知処理部、22c…拡大処理部、30…エレベータ制御装置、31…戸開閉制御部、E1,E2,E3…検知エリア、E2a…注視エリア、50,51…拡大画像描画用のエリア。
【手続補正書】
【提出日】2021-10-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗りかご内の上部に設置され、上記乗りかごのドアが取り付けられた出入口付近を含む所定の範囲を撮影するカメラを備えたエレベータの利用者検知システムにおいて、
上記カメラによって得られる撮影画像上で、上記出入口の両側の少なくとも一方に設けられた戸袋と接する入口柱の内側側面に沿って、上記戸袋付近にいる利用者を検知するための第1の検知エリアを設定する検知エリア設定手段と、
上記第1の検知エリアの中で上記入口柱の下端部側から上方向に予め設定された範囲を注視エリアとして定め、上記注視エリア内の画像を拡大処理する拡大処理手段と、
上記注視エリアについては上記拡大処理された画像を用いて利用者の有無を検知し、上記第1の検知エリアの上記注視エリア以外の部分は通常サイズの画像を用いて利用者の有無を検知する検知処理手段と
を具備したことを特徴とするエレベータの利用者検知システム。
【請求項2】
上記拡大処理手段は、
上記第1の検知エリアの中で少なくとも2つ以上の注視エリアを設定し、これらの注視エリア毎に上記カメラから遠くなるほど拡大率を上げて段階的に拡大処理することを特徴とする請求項1記載のエレベータの利用者検知システム。
【請求項3】
上記拡大処理手段は、
上記拡大処理した画像を上記撮影画像上の上記第1の検知エリアとは別の部分に描画することを特徴とする請求項1記載のエレベータの利用者検知システム。
【請求項4】
上記拡大処理手段は、
上記拡大処理した画像を上記撮影画像上で利用者検知に影響しない部分に描画することを特徴とする請求項3記載のエレベータの利用者検知システム。
【請求項5】
上記検知エリア設定手段は、
上記撮影画像上に上記乗りかごの出入口から乗場に向けて、上記乗場の利用者を検知するための第2の検知エリアを設定し、
上記拡大処理手段は、
上記乗りかごの戸開動作が開始されたときに、上記第2の検知エリアを消し、上記第2の検知エリアが設定されていた部分に上記拡大処理した画像を描画することを特徴とする請求項3記載のエレベータの利用者検知システム。
【請求項6】
上記検知処理手段の検知結果に基づいて、上記ドアの開閉動作を制御する戸開閉制御手段をさらに具備したことを特徴とする請求項1記載のエレベータの利用者検知システム。
【請求項7】
上記カメラは、
上記乗りかご内の上部の戸閉位置に設置されることを特徴とする請求項1記載のエレベータの利用者検知システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
一実施形態に係るエレベータの利用者検知システムは、乗りかご内の上部に設置され、上記乗りかごのドアが取り付けられた出入口付近を含む所定の範囲を撮影するカメラを備える。上記エレベータの利用者検知システムは、上記カメラによって得られる撮影画像上で、上記出入口の両側の少なくとも一方に設けられた戸袋と接する入口柱の内側側面に沿って、上記戸袋付近にいる利用者を検知するための第1の検知エリアを設定する検知エリア設定手段と、上記第1の検知エリアの中で上記入口柱の下端部側から上方向に予め設定された範囲を注視エリアとして定め、上記注視エリア内の画像を拡大処理する拡大処理手段と、上記注視エリアについては上記拡大処理された画像を用いて利用者の有無を検知し、上記第1の検知エリアの上記注視エリア以外の部分は通常サイズの画像を用いて利用者の有無を検知する検知処理手段とを具備する。