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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155364
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20221005BHJP
   A63F 7/02 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
A63F5/04 611B
A63F7/02 326Z
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021058816
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000154679
【氏名又は名称】株式会社平和
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】特許業務法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】立石 卓也
【テーマコード(参考)】
2C088
2C182
【Fターム(参考)】
2C088EA10
2C182DA23
(57)【要約】
【課題】遊技機に記憶される情報のデータ容量を圧縮可能な遊技機を提供する。
【解決手段】メダルを用いた遊技を行う遊技機において、遊技機は、データテーブルに対応付けられたアドレスに関するアドレスデータは、1バイトに区切られたデータ領域に記憶されている。遊技機は、第1区画に記憶された第1情報としてのアドレスデータと、第2区画に記憶された第2情報としてのアドレスデータと、に基づき、第1データテーブルのアドレスを構築可能であり、第1区画に記憶された第1情報としてのアドレスデータと、第3区画に記憶された第3情報としてのアドレスデータと、に基づき、第2データテーブルのアドレスを構築可能である。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技価値を用いた遊技を行う遊技機において、
データが記憶されたデータテーブルと、前記データテーブルに対応付けられたアドレスに関する情報と、が記憶された記憶手段を備え、
前記アドレスに関する情報は、複数の区画に記憶され、
前記複数の区画は、それぞれ所定のサイズに区切られた区画であり、
前記アドレスに関する情報には、第1情報と、第2情報と、第3情報と、が含まれ、
前記第1情報は、前記複数の区画のうち第1区画に記憶され、
前記第2情報は、前記複数の区画のうち第2区画に記憶され、
前記第3情報は、前記複数の区画のうち第3区画に記憶され、
前記データテーブルとして、第1データテーブルと、第2データテーブルと、を有し、
前記第1情報と前記第2情報とに基づき、前記第1データテーブルのアドレスを構築可能であり、
前記第1情報と前記第3情報とに基づき、前記第2データテーブルのアドレスを構築可能である、
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記第1情報は、第1分割情報と、第2分割情報と、から構成され、
前記第1分割情報は、前記所定のサイズを分割した分割サイズから構成され、
前記第2分割情報は、前記分割サイズから構成され、
前記第1データテーブルのアドレスは、前記第1分割情報と、前記第2情報と、に基づき構築可能であり、
前記第2データテーブルのアドレスは、前記第2分割情報と、前記第3情報と、に基づき構築可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外周面に図柄が配列された複数のリールを備えた遊技機(回胴式遊技機、スロットマシン)が知られている。この種の遊技機は、メダルやパチンコ玉などの遊技媒体に対して一定の遊技価値を付与し、このような遊技媒体を獲得するための遊技を行うものである。また、この種の遊技機は、遊技者の回転開始操作を契機として、内部抽選を行うとともに複数のリールの回転を開始させ、遊技者の停止操作を契機として、内部抽選の結果に応じた態様で複数のリールを停止させる制御を行っている。そして、遊技の結果は、複数のリールが停止した状態における入賞判定ライン上に表示された図柄組合せによって判定され、遊技の結果に応じてメダル等の払い出しなどが行われる。
【0003】
上述した遊技機においては、遊技の進行を制御する制御装置において実行される制御プログラムのうち所定のプログラムをモジュール化し、該モジュール化したプログラムを呼び出して実行するように構成することで、所定のプログラムを実行する際に必要となるプログラムコードのデータ容量を圧縮した遊技機が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-50783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、近年、遊技機においては、多様な遊技性を実現するために、遊技の進行を制御する制御部において多様のプログラムやデータテーブルを記憶可能にすることが求められており、制御部に記憶されるデータのデータ容量を圧縮することが求められている。
【0006】
そこで、本発明は、遊技機に記憶されるデータのデータ容量を圧縮可能な遊技機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、遊技価値を用いた遊技を行う遊技機において、
データが記憶されたデータテーブルと、前記データテーブルに対応付けられたアドレスに関する情報と、が記憶された記憶手段を備え、
前記アドレスに関する情報は、複数の区画に記憶され、
前記複数の区画は、それぞれ所定のサイズに区切られた区画であり、
前記アドレスに関する情報には、第1情報と、第2情報と、第3情報と、が含まれ、
前記第1情報は、前記複数の区画のうち第1区画に記憶され、
前記第2情報は、前記複数の区画のうち第2区画に記憶され、
前記第3情報は、前記複数の区画のうち第3区画に記憶され、
前記データテーブルとして、第1データテーブルと、第2データテーブルと、を有し、
前記第1情報と前記第2情報とに基づき、前記第1データテーブルのアドレスを構築可能であり、
前記第1情報と前記第3情報とに基づき、前記第2データテーブルのアドレスを構築可能である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、遊技機に記憶される情報のデータ容量を圧縮可能な遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態の遊技機の外観構成を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態の遊技機の機能ブロックを説明する図である。
図3】本発明の実施形態の遊技機における内部抽選で当選可能な当選エリアと、各当選エリアに含まれる当選役と、を示す図である。
図4】(A)は、本発明の実施形態の遊技機における遊技状態の状態遷移図、(B)は、AT制御手段が制御する通常区間及び有利区間と、有利区間中における演出状態と、に係る遷移図である。
図5】本発明の実施形態の遊技機における1つのオフセットから2つのデータテーブルのアドレスを構築するために参照されるアドレスデータテーブルを示す図である。
図6】本発明の実施形態の遊技機における条件テーブルのアドレスと、抽選テーブルのアドレスと、を構築する制御プログラムを示す図である。
図7】本発明の実施形態の遊技機における1つのオフセットから1つのデータテーブルのアドレスを構築するために参照されるアドレスデータテーブルを示す図である。
図8】本発明の実施形態の遊技機における抽選テーブルのアドレスを構築する制御プログラムを示す図である。
図9】(A)は、本発明の比較例の遊技機において1つのオフセットから2つのデータテーブルのアドレスを構築するために参照されるアドレスデータテーブルを示す図、(B)は、比較例の遊技機において条件テーブルのアドレスと、抽選テーブルのアドレスと、を構築する制御プログラムを示す図である。
図10】(A)は、本発明の比較例の遊技機において1つのオフセットから1つのデータテーブルのアドレスを構築するために参照されるアドレスデータテーブルを示す図、(B)は、比較例の遊技機において抽選テーブルのアドレスを構築する制御プログラムを示す図である。
図11】(A)は、本発明の実施形態の遊技機が有する1つのオフセットから2つのデータテーブルのアドレスを構築するために参照されるアドレスデータテーブルに記憶されたアドレスデータのデータ容量と、比較例の遊技機が有する1つのオフセットから2つのデータテーブルのアドレスを構築するために参照されるアドレスデータテーブルに記憶されたアドレスデータのデータ容量と、のデータ容量を比較した図、(B)は、本発明の実施形態の遊技機が有する1つのオフセットから1つのデータテーブルのアドレスを構築するために参照されるアドレスデータテーブルに記憶されたアドレスデータのデータ容量と、比較例の遊技機が有する1つのオフセットから1つのデータテーブルのアドレスを構築するために参照されるアドレスデータテーブルに記憶されたアドレスデータのデータ容量と、のデータ容量を比較した図である。
図12】本発明の変形例の遊技機の扉が解放された状態における外観構成を示す斜視図である。
図13】本発明の変形例の遊技機の正面図である。
図14】本発明の変形例の遊技機の機能ブロックを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、本実施形態で説明される構成のすべてが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0011】
1.遊技機の構成の概要
図1は、本発明の実施形態に係るスロットマシン1の外観構成を示す斜視図である。本実施形態のスロットマシン1は、いわゆる回胴式遊技機と呼ばれるもので、メダルを遊技価値として用いた遊技を行う種類の遊技機である。
【0012】
本実施形態のスロットマシン1は、筐体BX、前面上扉UD及び前面下扉DDからなる箱形の筐体内に複数のリールとしての左リールR1~右リールR3からなるリールユニット310(図2参照)が収められている。また、筐体内のリールユニット310の下部には、メダルの払出装置としてのホッパーユニット320(図2参照)が収められている。また、本実施形態のスロットマシン1の筐体内には、CPU、ROM(情報記憶媒体の一例)、RAM等を搭載し、スロットマシン1の動作を制御する制御基板も収められている。
【0013】
図1に示す左リールR1~右リールR3は、それぞれ外周面が一定の間隔で20の領域(以下、各領域を「コマ」と記載する)に区画されており、各コマに複数種類の図柄のいずれかが配列されている。
【0014】
前面上扉UDと前面下扉DDとは、個別に開閉可能に設けられている。前面上扉UDには、左リールR1~右リールR3の回転状態及び停止状態を観察可能にする表示窓DWが設けられている。左リールR1~右リールR3の停止状態では、左リールR1~右リールR3それぞれの外周面に一定間隔で配列された複数種類の図柄のうち、外周面上に連続して配列されている3つの図柄(上段図柄、中段図柄、下段図柄)をスロットマシン1の正面から表示窓DWを通じて観察できるようになっている。
【0015】
また、本実施形態のスロットマシン1では、表示窓DWを通じて図柄を観察するための表示位置として、各リールについて上段、中段、下段が設けられており、各リールの表示位置の組合せによる有効ラインについて、有効ラインL1が設定されている。本実施形態のスロットマシン1では、1回の遊技に関して必要となるメダルの数、いわゆる規定投入数がいずれの遊技状態においても3枚に設定されており、規定投入数に相当するメダルが投入されると左リールR1~右リールR3の中段によって構成される有効ラインL1が有効化される。
【0016】
そして、遊技結果は、表示窓DW内の有効ラインL1上に停止表示された図柄組合せによって判定され、有効ラインL1上の図柄組合せが予め定められた役に対応した図柄組合せである場合に、その役が入賞したものとしてホッパーユニット320からメダルの払い出し等が行われる。
【0017】
前面上扉UDには、遊技情報表示部DSが設けられている。遊技情報表示部DSは、LED、ランプ、7セグメント表示器等からなり、メダルのクレジット数、1回の遊技におけるメダルの払出数あるいは獲得数、ボーナス状態でのメダルの払出数の合計あるいは獲得数の合計、今回の遊技で当選した役の情報、メダルの払い出しに関係するストップボタンB1、ストップボタンB2、ストップボタンB3の押し方を示唆する情報の表示等の各種遊技情報が表示される。
【0018】
遊技情報表示部DSには、7セグメント表示器から構成される主制御表示装置500が含まれており、規定投入数のメダルが投入されスタートレバーSLが操作された際に、今回の遊技で当選した役の情報である当選情報に基づき作成される制御信号である当選役コマンドに対応する表示である報知表示が表示され、報知表示の表示後左リールR1~右リールR3が停止した際に、報知表示が終了するとともにメダルの払出数あるいは獲得数が表示される。本実施形態のスロットマシン1では、当選役コマンドに応じた表示態様で主制御表示装置500の各セグメントが点灯及び消灯する報知表示が実行される。
【0019】
また、主制御表示装置500には、7セグメント表示器のドットであり、後述するAT制御手段200(図2参照)によって有利区間が開始され、小役の入賞が補助されることでメダルの獲得期待値が1以上となっている場合に点灯する区間報知部500Aが設けられている。また、本実施形態のスロットマシン1では、音を用いた演出を行うための音響装置340が前面上扉UDと前面下扉DDとに複数設けられている。音響装置340からは、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種の音声が出力される。
【0020】
前面下扉DDには、各種の操作手段が設けられている。操作手段としては、クレジット(貯留)されたメダルを投入する操作を行うための投入操作手段として、1枚のメダルを投入するシングルベットボタンBT及び規定投入数のメダルを投入するマックスベットボタンMB、左リールR1~右リールR3を回転させて遊技を開始する契機となる開始操作を遊技者に実行させるための遊技開始操作手段としてのスタートレバーSL、ステッピングモータにより回転駆動されている左リールR1~右リールR3のそれぞれを停止させる契機となる停止操作を遊技者に実行させるための停止操作手段としてのストップボタンB1~ストップボタンB3及びクレジットされたメダルを精算するための精算ボタンBSも設けられている。
【0021】
また、前面下扉DDの下部には、メダル払出口MOとメダル受け皿MPとが設けられており、遊技の結果に応じた枚数のメダルがメダル払出口MOからメダル受け皿MPへ払い出されるようになっている。また、遊技機内にクレジットされたメダルが記憶されている状態で、精算ボタンBSが押下された場合、精算ボタンBSの押下に伴ってホッパーユニット320からクレジット数(クレジットされたメダルの枚数)に相当する枚数のメダルを払い出す精算処理を実行し、メダル払出口MOからメダル受け皿MPへメダルを払い出す。
【0022】
図2は、本実施形態のスロットマシン1の機能ブロック図である。本実施形態のスロットマシン1は、制御基板としての遊技制御手段10によって制御される。遊技制御手段10は、複数の操作検出手段としてのメダル投入スイッチ210、ベットスイッチ220、スタートスイッチ230、ストップスイッチ240、設定変更許可スイッチ250及び設定変更スイッチ260の入力手段からの入力信号を受けて、遊技を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいて演出装置300、リールユニット310、ホッパーユニット320及び主制御表示装置500等の出力手段の動作を制御する。
【0023】
また、遊技制御手段10は、設定変更手段100、投入受付手段105、乱数生成手段110、内部抽選手段120、リール制御手段130、入賞判定手段140、払出制御手段150、リプレイ処理手段160、遊技状態移行制御手段170、演出制御手段180、記憶手段190及びアシストタイム制御手段(AT制御手段)200を含む。遊技制御手段10を構成する各手段は、各制御処理の実行時に、記憶手段190に予め記憶されている各制御プログラムを読み出して実行する。
【0024】
設定変更手段100は、記憶手段190の設定値記憶手段191に記憶されている設定値を変更する制御(設定変更制御)を行う。設定変更手段100は、前面上扉UDが開放された状態で設定変更許可スイッチ250がON状態となり設定変更を許可する状態である設定変更許可状態において、設定変更手段100は、電源装置に設けられている設定変更スイッチ260から出力される入力信号を受け付けるごとに、設定値記憶手段191に記憶されている設定値を設定1→設定2・・・設定6→設定1→・・・の順序で循環的に変動させる。また、スロットマシン1では、設定変更許可状態におけるスタートレバーSLの操作により作動するスタートスイッチ230からのスタート信号に基づいて設定値記憶手段191に記憶されている設定値を確定させて設定変更許可状態を終了する。本実施形態のスロットマシン1では、設定値記憶手段191において確定された設定値に応じて、内部抽選手段120による内部抽選で当選可能な当選エリアのうち一部の当選エリアの当選確率が変更される。つまり、設定変更手段100は、内部抽選手段120による内部抽選における役の当選確率を変更可能な値である設定値を変更可能に構成されている。
【0025】
なお、本実施形態のスロットマシン1においては、設定変更手段100による設定変更制御が実行された場合に、遊技状態移行制御手段170が実行する遊技状態に係る制御及びAT制御手段200が実行する有利区間に係る制御が初期化されるように構成されており、遊技状態が後述する非リプレイタイム(以下、リプレイタイムを「RT」とも記載)状態に設定され、通常区間が設定されるように構成されている。このため、スロットマシン1では、設定変更前においてAT制御手段200が実行していた補助遊技に関する制御についても、初期化されるように構成されている。一方、スロットマシン1においては、遊技制御手段10への電力の供給が遮断(電断)され、その後再度電力の供給が再開された場合、遊技状態移行制御手段170が実行する遊技状態に係る制御及びAT制御手段200が実行する有利区間に係る制御について、電断前の状態から再開されるように構成されている。このため、スロットマシン1では、電断が発生しその後電力の供給が再開された場合、電断前にAT制御手段200が実行していた補助遊技に関する制御についても、電断前の状態が維持されるように構成されている。
【0026】
投入受付手段105は、メダルの投入を受け付ける投入受付期間内において、規定投入数(3枚)に相当するメダルが投入されたことに基づいて、スタートレバーSLに対する遊技開始操作を有効化する処理を行う。具体的には、メダル投入口MI(図1参照)にメダルが投入されると、メダル投入スイッチ210が作動することに伴って、投入受付手段105が、規定投入数を限度として、投入されたメダルを投入状態に設定する。また、投入受付手段105は、メダルがクレジットされた状態でシングルベットボタンBT又はマックスベットボタンMBが押下されるベット操作が実行されると、ベットスイッチ220が作動することに伴って、規定投入数を限度として、クレジットされたメダルを投入状態に設定する。
【0027】
なお、本実施形態のスロットマシン1では、規定投入数に相当するメダルの投入に基づいて有効化されたスタートレバーSLの最初の押下操作が、遊技者による遊技の開始操作として受け付けられ、左リールR1~右リールR3の回転を開始させる契機となっているとともに、後述する内部抽選手段120が内部抽選を実行する契機となっている。
【0028】
乱数生成手段110は、抽選用の乱数を発生させる手段である。なお、本実施形態において、「乱数」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、発生自体は規則的であっても、取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能し得る値も含まれる。
【0029】
内部抽選手段120は、遊技者がスタートレバーSLに対して開始操作を実行し、スタートスイッチ230が開始操作を検出することで出力されるスタート信号に基づいて、役の当否を決定する内部抽選を行う手段であって、抽選テーブル選択処理、乱数判定処理、抽選フラグ設定処理等を行う。
【0030】
抽選テーブル選択処理では、記憶手段190の内部抽選テーブル記憶手段192に格納されている複数の内部抽選テーブルのうち、いずれの内部抽選テーブルを用いて内部抽選を行うかを現在の遊技状態に基づき選択する。各内部抽選テーブルでは、複数の乱数(例えば、0~65535の65536個の乱数)のそれぞれに対して、リプレイ、小役及びボーナスなどの各種の役や不当選(ハズレ)が対応付けられている。
【0031】
なお、以下の記載において、ボーナスとは、入賞することで役物又は役物連続作動装置を作動させる役を意味し、ボーナスが作動とは、ボーナスが入賞し役物又は役物連続作動装置を作動することを意味し、ボーナス状態とは、役物又は役物連続作動装置が作動した状態を意味する。
【0032】
乱数判定処理では、スタートスイッチ230から出力されるスタート信号に基づいて、遊技ごとに乱数生成手段110が生成する乱数(抽選用乱数)を取得し、取得した乱数を抽選テーブル選択処理で選択した内部抽選テーブルと比較して、比較結果に基づき役に当選したか否かを判定する。
【0033】
抽選フラグ設定処理では、乱数判定処理の結果に基づいて、当選したと判定された役に対応する抽選フラグを非成立状態(第1のフラグ状態、OFF状態)から成立状態(第2のフラグ状態、ON状態)に設定する。本実施形態のスロットマシン1では、2種類以上の役が重複して当選した場合には、重複して当選した2種類以上の役のそれぞれに対応する抽選フラグが成立状態に設定される。なお、本実施形態のスロットマシン1では、入賞するまで次回以降の遊技に成立状態を持ち越し可能な抽選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に成立状態を持ち越さずに非成立状態にリセットされる抽選フラグ(持越不可フラグ)が用意されている。また、抽選フラグの設定情報は、記憶手段190の抽選フラグ記憶手段193に格納される。
【0034】
リール制御手段130は、遊技者がスタートレバーSLへ開始操作を実行することにより作動するスタートスイッチ230からスタート信号が出力されたことに基づいて、左リールR1~右リールR3の回転駆動を開始し左リールR1~右リールR3の回転態様を制御するリール回転制御を実行する。また、リール制御手段130は、左リールR1~右リールR3の回転状態が、所定速度(例えば、約80rpm)で定常回転する回転状態となった場合に、各リールに対応するストップボタンB1~ストップボタンB3が押下されることでストップスイッチ240によって検出される停止操作を有効化する制御を実行する。そして、リール制御手段130は、停止操作を検出したストップスイッチ240からリール停止信号が出力された場合に、停止操作を検出したストップスイッチ240に対応する左リールR1~右リールR3の各リールを停止させる制御(リール停止制御)を行う。
【0035】
なお、以下の記載において、リール制御手段130によって左リールR1~右リールR3の回転が開始され、遊技者が有効なストップボタンB1~ストップボタンB3をそれぞれ押下することについて、最初の押下を第1停止操作、2番目の押下を第2停止操作、3番目の押下を第3停止操作とも記載する。
【0036】
本実施形態のスロットマシン1では、左リールR1~右リールR3について、ストップボタンB1~ストップボタンB3が押下された時点(ストップスイッチ240が停止操作を検出した時点)から所定の期間としての190msが経過するまでに、押下されたストップボタンに対応する回転中のリールを停止するようになっている。ここで、ストップボタンの押下時点から190ms以内に回転中のリールを停止させる場合、回転している各リールの停止位置は、各リールの直径及び回転速度より、ストップボタンの押下時点からリールが停止するまでに最大で4コマ分回転可能に構成されている。
【0037】
このため、本実施形態のスロットマシン1では、左リールR1~右リールR3について、ストップボタンの押下時点で有効ラインL1上に表示されているコマから4コマ回転するまでの計5コマが、有効ラインL1上に図柄を引き込み可能な範囲(引き込み範囲)となっている。
【0038】
リール制御手段130は、リール停止制御の実行時において、抽選フラグが成立状態に設定された役を可能な限り入賞させることができるように回転中のリールを停止させる引き込み処理と、抽選フラグが非成立状態に設定された役を入賞させることができないように回転中のリールを停止させる蹴飛ばし処理と、を含むロジック演算により予め設定された優先順位に基づき回転中のリールの停止位置を求めるロジック演算処理と、記憶手段190の停止制御テーブル記憶手段194に記憶されている停止制御テーブルを参照して回転中のリールの停止位置を決定するテーブル参照処理と、を行い、回転中のリールを停止させ有効ラインL1上に図柄を表示(以下、リール停止制御によって回転中のリールを停止させて有効ラインL1上に図柄を表示することを「停止表示」とも記載)している。
【0039】
なお、本実施形態のスロットマシン1において、内部抽選で複数種類の小役が当選した場合における停止位置の候補の優先度の求め方は、有効ラインL1上に表示可能な図柄組合せの数に応じて優先度を求める方法(個数優先制御)と、小役に予め定められている配当に基づくメダルの払出数に応じて優先度を求める方法(枚数優先制御)とが存在する。ただし、枚数優先制御を実行する場合に、配当が同一の小役が重複して当選した場合には、それぞれの小役を入賞させることができる停止位置の候補の優先度がそれぞれ同一のものとして扱われる。
【0040】
入賞判定手段140は、左リールR1~右リールR3の停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する入賞判定処理を行う。具体的には、記憶手段190の入賞判定テーブル記憶手段195に記憶されている入賞判定テーブルを参照しながら、左リールR1~右リールR3のすべてが停止した時点で有効ラインL1上に表示されている図柄組合せが、それぞれ予め定められた役の入賞の形態であるか否かを判定する。そして、各リールが停止した状態における有効ラインL1上に表示された図柄組合せによって、ボーナス、リプレイ、小役の入賞の有無を判定(以下、「入賞判定」と記載)できるように入賞判定テーブルが用意されている。なお、以下の記載において、役の入賞形態を示す図柄組合せを「入賞図柄組合せ」とも記載する。
【0041】
本実施形態のスロットマシン1では、入賞判定処理における入賞判定手段140の判定結果に基づいて各処理が実行される。入賞役の判定結果に基づき実行される各処理としては、例えば、小役が入賞した場合には払出制御手段150にメダルを払い出させる枚数を決定する処理が行われ、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理手段160に次回の遊技においてメダルを消費せずに遊技を実行させる処理を行わせ、ボーナス等の遊技状態を移行させる契機となる役が入賞した場合には遊技状態移行制御手段170に遊技状態を移行させる処理が行われる。
【0042】
払出制御手段150は、遊技結果に応じたメダルの払い出しに関する払出処理を行う。具体的には、小役が入賞した場合に、役ごとに予め定められている配当に基づいて遊技におけるメダルの払出数を決定し、決定された払出数に相当するメダルを、払出装置としてのホッパーユニット320に払い出させる制御を行う。
【0043】
ホッパーユニット320は、払出制御手段150によって指示された払出数のメダルを払い出す動作を行う。ホッパーユニット320には、メダルを1枚払い出すごとに作動する払出メダル検出スイッチ325が備えられている。払出制御手段150は、払出メダル検出スイッチ325からの入力信号に基づいて、ホッパーユニット320から実際に払い出されたメダルの数を管理することができるように構成されている。なお、メダルのクレジットが許可されている場合には、ホッパーユニット320によって実際にメダルの払い出しを行う代わりに、記憶手段190のクレジット記憶領域(図示省略)に記憶されているクレジット数(クレジットされたメダルの数)に対して払出数を加算するクレジット加算処理を行って仮想的にメダルを払い出す処理を行う。
【0044】
リプレイ処理手段160は、入賞判定手段140により有効ラインL1上に後述する複数種類のリプレイ役のうちいずれかのリプレイの入賞を示す図柄組合せが停止表示されたと判定され、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関してメダルの投入を要さずに遊技を実行可能にする準備状態に設定するリプレイ処理(再遊技処理)を行う。すなわち、本実施形態のスロットマシン1では、リプレイが入賞した場合、規定投入数分のメダルを遊技者の手持ちのメダル(クレジットメダルを含む)を使わずに自動的に投入する自動投入処理が行われ、前回の遊技と同じ有効ラインL1を設定した状態で、次回のスタートレバーSLに対する開始操作を待機する。
【0045】
遊技状態移行制御手段170は、複数の遊技状態の間で遊技状態を移行させる処理と、ボーナスの作動及び終了に係る処理と、を行う。ここで、各遊技状態の移行条件は、1つの条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の予め定められた条件のうちいずれか1つの条件が成立したこと、あるいは複数の予め定められた条件のすべてが成立したことに基づいて、遊技状態を別の遊技状態へ移行させることができる。
【0046】
演出制御手段180は、演出制御データ記憶手段196に記憶されている演出データに基づいて、例えば、演出表示装置としての表示装置330を用いて行う画像、映像演出や、音響装置340を用いて行う音響演出等、遊技に関する演出に係る制御を行う。具体的には、メダルの投入、シングルベットボタンBT、マックスベットボタンMB、スタートレバーSL、ストップボタンB1~ストップボタンB3に対する操作等への遊技者によるスロットマシン1の各構成の操作時や、遊技状態の変動等の遊技イベントの発生時に、ランプ及びLEDの点灯あるいは点滅、音響装置340からの音の出力、スタートスイッチ230からスタート信号が出力された状態で左リールR1~右リールR3の回転開始を遅延させる左リールR1~右リールR3を用いた演出等を実行することにより、遊技を盛り上げる演出や、遊技を補助するための演出の実行制御を行う。
【0047】
また、演出制御手段180は、各演出状態に基づく演出を演出装置300を構成する各構成に実行させる。なお、本実施形態において、演出制御手段180は、乱数を用いる抽選処理ごとに、乱数生成手段110の乱数格納領域から乱数を取得し、演出制御データ記憶手段196に記憶されている複数の演出抽選テーブルのうち、各抽選処理に必要な演出抽選テーブルを用いて各抽選処理を実行する。
【0048】
本実施形態において、演出制御手段180は、AT制御手段200による入賞補助の実行時において、入賞補助で報知される内容(例えば、当選エリア「打順ベル1」の当選時に正解打順の報知等)を演出装置300を用いた演出によって報知する入賞補助演出を実行する。
【0049】
AT制御手段200は、特定役の入賞を補助する入賞補助を実行可能な補助遊技が実行される区間(期間)である有利区間(有利期間)と、内部抽選手段120による内部抽選の結果に基づく補助遊技に関する制御が実行されない遊技が実行される区間(期間)である通常区間(非有利期間、非有利区間)と、の間での移行に係る制御を、AT制御データ記憶手段197に記憶されているデータを用いて実行する。AT制御データ記憶手段197には、通常区間において有利区間を開始するか否かを決定する有利区間移行抽選で用いられる有利区間移行抽選テーブルや、有利区間内において実行されるAT状態及び非AT状態を含む複数種類の演出状態に関する各種制御において用いられるデータ(所定の制御処理でON状態又はOFF状態にセットする各種フラグ、カウンタ等)が格納されている。
【0050】
AT制御手段200は、有利区間において所定条件下で演出状態をAT状態(アシストタイム状態)に設定し、7セグメント表示器からなる主制御表示装置500に当選している特定役を入賞可能にするストップボタンB1~ストップボタンB3の操作順序(正解打順)に対応する情報(操作指示情報の一例)を表示することで、特定役の入賞を補助する入賞補助(正解打順報知)を行う。また、スロットマシン1では、AT制御手段200による入賞補助が実行される場合に、演出制御手段180によって表示装置330に正解打順に対応する指標を表示する入賞補助演出を実行する。このように、スロットマシン1では、AT状態において、入賞補助によってストップボタンB1~ストップボタンB3の操作態様が報知されることで、遊技者にとって有利な補助遊技(AT遊技、報知遊技)が実行される。
【0051】
AT制御手段200は、より詳しくは後述する有利区間を終了する所定の終了条件が成立した際に、有利区間を終了し次ゲームから通常区間を開始するとともに、有利区間内において設定した各種フラグ、数値等、有利区間に関する情報を初期化する処理である所定の初期化処理としての終了処理を実行する。また、AT制御手段200は、有利区間を開始し、かつ入賞補助が実行されることで、メダルの獲得期待値が1以上となる場合に区間報知部500Aを点灯させる。このため、AT制御手段200は、有利区間を開始している場合であっても、入賞補助が実行されない演出状態である場合には、区間報知部500Aを消灯可能に構成されている。
【0052】
AT制御手段200は、有利区間を開始した遊技において、第1有利区間カウンタ197aに初期値として値「1500」をセットし、1回の遊技が実行されるごとに、1ゲームに相当する値である値「1」を第1有利区間カウンタ197aに記憶される値(記憶値)から減算し、第1有利区間カウンタ197aの記憶値を累積的にデクリメント更新するゲーム数更新処理を実行する。また、AT制御手段200は、有利区間を開始した遊技からメダルの払出数をメダルの投入数で減算した値(差枚数)を第2有利区間カウンタ197bに累積的に記録する差枚数更新処理を実行する。
【0053】
本実施形態のAT制御手段200は、有利区間に制御している場合、いずれの遊技状態である場合にも、1回の遊技が実行されるごとに1ゲームに相当する値である値「1」ずつ第1有利区間カウンタ197aの記憶値に累積的に減算(更新)するゲーム数更新処理と、メダルの差枚数に相当する値を第2有利区間カウンタ197bの記憶値に累積的に更新する差枚数更新処理と、を実行する。
【0054】
ここで、AT制御手段200は、第2有利区間カウンタ197bの記憶値を更新する差枚数更新処理において、当該遊技におけるメダルの払出数が規定投入数未満であることで第2有利区間カウンタ197bの記憶値を減算した際に、第2有利区間カウンタ197bの記憶値が値「0」未満となる場合、第2有利区間カウンタ197bの記憶値を値「0」にセットする。これにより、AT制御手段200は、第2有利区間カウンタ197bの記憶値が最下点となる際の値について、値「0」に固定することができるため、第2有利区間カウンタ197bの記憶値を用いた制御処理において、最下点における具体的な数値に応じて判定の閾値となる値を変動させる必要がなくなり、第2有利区間カウンタ197bの記憶値を用いた制御処理の負荷を軽減させることができる。
【0055】
AT制御手段200は、1500ゲームの遊技が実行された場合、つまり第1有利区間カウンタ197aの記憶値が第1値としての値「0」になった場合又は有利区間において最もメダルを消費した時点から2400枚を超えるメダルを遊技者が獲得した場合、つまり第2有利区間カウンタ197bの記憶値が最も低い値(最下点)であった時点から値「2401」になった場合に、有利区間を終了させる所定の終了条件として特定終了条件が成立したと判定し、有利区間を終了させて次ゲームから通常区間を開始する所定の終了処理を実行する。
【0056】
AT制御手段200は、所定の終了処理において、有利区間においてON状態にセットした各フラグや有利区間において設定した値等の有利区間における各種制御処理で用いた情報をすべて初期化する。なお、AT制御手段200は、特定終了条件以外の予め設定されている所定の終了条件(通常終了条件)が成立した場合にも有利区間を終了可能であり、通常終了条件が成立した場合にも終了処理を実行する。本実施形態のAT制御手段200が設定する通常終了条件の詳細については、後述する。
【0057】
2.本実施形態における遊技機が備える構成
次に、図3図11を参照して、本実施形態におけるスロットマシン1が備える各構成の詳細について説明する。
【0058】
<内部抽選の対象となる当選エリア>
図3は、本実施形態のスロットマシン1における内部抽選の対象となる当選エリアと、各当選エリアに対応付けられている当選番号及び当選役と、を示す図である。
【0059】
なお、本実施形態のスロットマシン1では、ボーナスとして、第1種特別役物に係る役物連続作動装置としてのレギュラービッグボーナス(以下、レギュラービッグボーナスを「RBB」とも記載)を有している。また、スロットマシン1では、遊技状態移行制御手段170によって制御される遊技状態として、RBBが成立状態に設定されておらず、かつRBBが作動していない一般中としての非RT状態と、RBBが成立状態に設定された場合に移行され、RBBが作動するまで内部でRBBの成立状態が維持されているボーナス内部中(内部中)としてのボーナス成立状態と、RBBが作動した場合に移行され、RBBが作動しているボーナス作動中(作動中)としてのボーナス状態と、を有している。
【0060】
図3に示すように、本実施形態のスロットマシン1では、内部抽選の対象となる当選エリアとして、当選エリア「全小役」、当選エリア「全1枚役」、当選エリア「通常リプレイ1」、当選エリア「通常リプレイ2」、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」、当選エリア「RBB&1枚役」、当選エリア「RBB&レア役」及び当選エリア「RBB」を有しており、当選番号1番~当選番号20番の番号がそれぞれ対応付けらえている。また、スロットマシン1では、内部抽選の結果として不当選(ハズレ)に当選番号0番が対応付けられている。
【0061】
ここで、「打順」とは、ストップボタンB1~ストップボタンB3に対して押下を実行する順番を意味する。また、以下の記載において、ストップボタンB1~ストップボタンB3が押下されるタイミングを「押下タイミング」とも記載する。
【0062】
本実施形態のスロットマシン1において、ストップボタンB1~ストップボタンB3の3つのストップボタンを押下する順序である打順は、打順1~打順6の6種類の打順から構成されている。打順1は、ストップボタンB1→ストップボタンB2→ストップボタンB3の順に停止操作が実行される、いわゆる順押しと称される打順である。また、打順2は、ストップボタンB1→ストップボタンB3→ストップボタンB2の順に停止操作が実行される、いわゆるハサミ打ちと称される打順である。また、打順3は、ストップボタンB2→ストップボタンB1→ストップボタンB3の順に停止操作が実行される打順である。また、打順4は、ストップボタンB2→ストップボタンB3→ストップボタンB1の順に停止操作が実行される打順である。また、打順5は、ストップボタンB3→ストップボタンB1→ストップボタンB2の順に停止操作が実行される打順である。また、打順6は、ストップボタンB3→ストップボタンB2→ストップボタンB1の順に停止操作が実行される、いわゆる逆押しと称される打順である。
【0063】
内部抽選手段120は、乱数判定処理において、当選番号20番に対応付けられた当選エリアから当選番号0番に対応付けられた不当選に向かう順番で、各当選エリアの当否を決定していく。
【0064】
本実施形態のスロットマシン1では、内部抽選で当選した場合に入賞可能な小役として、ベルA~ベルF、1枚役A~1枚役C、レア役を有しており、内部抽選で当選可能なリプレイとして、リプレイA、リプレイB、レアリプレイを有している。各小役及び各リプレイは、それぞれ図3に示す組合せで各当選エリアに対応付けられている。
【0065】
また、図3に示すように、スロットマシン1では、ボーナスと小役とを含む当選エリアとして、当選エリア「RBB&1枚役」、当選エリア「RBB&レア役」が設定され、ボーナスのみを含み当選エリアとして、当選エリア「RBB」が設定されている。
【0066】
スロットマシン1では、当選エリア「レアリプレイ」について、他のリプレイの当選エリアよりも低い当選確率に設定されている。また、スロットマシン1では、当選エリア「RBB&レア役」について、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」、当選エリア「RBB&1枚役」の小役を含む各当選エリアよりも低い当選確率に設定されている。
【0067】
ここで、本実施形態のスロットマシン1では、持越可能フラグが対応付けられる役としては、RBBがあり、小役及びリプレイは、持越不可フラグに対応付けられている。すなわち、抽選フラグ設定処理では、内部抽選でRBBを含む当選エリアに当選すると、当選したRBBの抽選フラグの成立状態を、RBBが入賞するまで持ち越す処理を行う。このとき、内部抽選手段120は、RBBの抽選フラグの成立状態が持ち越されている遊技でも、小役及びリプレイについての当否を決定する内部抽選を行っている。すなわち、抽選フラグ設定処理では、RBBの抽選フラグの成立状態が持ち越されている遊技において、小役やリプレイが当選した場合には、既に当選しているRBBの抽選フラグと内部抽選で当選した小役やリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを成立状態に設定する。
【0068】
<内部抽選テーブル>
本実施形態のスロットマシン1は、内部抽選手段120による内部抽選で用いられる抽選テーブルである内部抽選テーブルとして、非RT状態(一般中)で用いられる内部抽選テーブル(以下、内部抽選テーブルAと記載)と、ボーナス成立状態(内部中)で用いられる内部抽選テーブル(以下、内部抽選テーブルBと記載)と、ボーナス状態(作動中)で用いられる内部抽選テーブル(以下、内部抽選テーブルCと記載)と、を内部抽選テーブル記憶手段192に記憶させている。内部抽選テーブルA~内部抽選テーブルCの各内部抽選テーブルにおいては、抽選の対象となる各当選エリアに抽選値数が対応付けられている。
【0069】
<乱数判定処理>
本実施形態の内部抽選手段120は、乱数判定処理において、乱数生成手段110から取得した乱数を、内部抽選テーブル記憶手段192から取得した内部抽選テーブルにおいて各当選エリアに対応付けられている抽選値数で順次減算していき、減算した結果が負の値となった場合に、当該減算した抽選値数に対応する当選エリアに当選したと判定する。また、内部抽選手段120は、内部抽選テーブルに記憶されているすべての抽選値数で減算し終えた時点で減算した結果が正の値である場合、いずれの役にも当選しなかった不当選であると判定する。
【0070】
なお、本実施形態の乱数生成手段110は、内部抽選で用いる乱数として、0~65535の計65536個の乱数を生成可能に構成されている。また、内部抽選テーブルAにおいては、当選エリア「RBB」~当選エリア「通常リプレイ1」に対応付けられている抽選値数の総数が65536となっており、内部抽選テーブルBにおいては、当選エリア「RBB&レア役」~当選エリア「通常リプレイ1」に対応付けられている抽選値数の総数が65536となっているため、非RT状態又はボーナス成立状態における内部抽選においては、いずれかの役に当選し、不当選とならないように構成されている。
【0071】
<ボーナス当選判定処理>
上述した通り、本実施形態の内部抽選手段120は、ボーナス成立状態において、当選エリア「RBB&1枚役」、当選エリア「RBB&レア役」に抽選値数が設定されている。このため、内部抽選手段120は、遊技状態がボーナス成立状態である場合における内部抽選において、既にRBBが成立状態に設定されている状態で再度RBBが当選してしまう可能性があることから、新たに当選したRBBを成立状態に設定しないために、乱数判定処理で当否を決定される当選エリアがボーナスを含む当選エリアであるか否かを判定するボーナス当選判定処理を実行するように構成されている。
【0072】
内部抽選手段120は、ボーナス当選判定処理において、乱数判定処理でボーナスを含む当選エリアが当否を決定される対象となると判定した場合、ボーナスを含む当選エリアが当選し、かつ遊技状態がボーナス成立状態である場合に、ボーナスを成立状態に設定する処理をスキップする処理を実行する。このようにして、スロットマシン1は、既にRBBが成立状態に設定されている状態で、新たなRBBが成立状態に設定されてしまうことを防いでいる。
【0073】
<打順ベルの詳細>
本実施形態において、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」は、当選した場合にベルA~ベルFを入賞可能にする打順(正解打順)がそれぞれ設定されている。
【0074】
当選エリア「打順ベル1」、当選エリア「打順ベル7」は、ベルAを入賞可能にする正解打順が打順1に設定されており、打順2~打順6でストップボタンB1~ストップボタンB3が押下操作された場合に、1/2の確率で1枚役A、1枚役Bが入賞する。当選エリア「打順ベル2」、当選エリア「打順ベル8」は、ベルBを入賞可能にする正解打順が打順2に設定されており、打順1、打順3~打順6でストップボタンB1~ストップボタンB3が押下操作された場合に、1/2の確率で1枚役A、1枚役Bが入賞する。当選エリア「打順ベル3」、当選エリア「打順ベル9」は、ベルCを入賞可能にする正解打順が打順3に設定されており、打順1、打順2、打順4~打順6でストップボタンB1~ストップボタンB3が押下操作された場合に、1/2の確率で1枚役A、1枚役Bが入賞する。当選エリア「打順ベル4」、当選エリア「打順ベル10」は、ベルDを入賞可能にする正解打順が打順4に設定されており、打順1~打順3、打順5、打順6でストップボタンB1~ストップボタンB3が押下操作された場合に、1/2の確率で1枚役A、1枚役Bが入賞する。当選エリア「打順ベル5」、当選エリア「打順ベル11」は、ベルEを入賞可能にする正解打順が打順5に設定されており、打順1~打順4、打順6でストップボタンB1~ストップボタンB3が押下操作された場合に、1/2の確率で1枚役A、1枚役Bが入賞する。当選エリア「打順ベル6」、当選エリア「打順ベル12」は、ベルFを入賞可能にする正解打順が打順6に設定されており、打順1~打順5でストップボタンB1~ストップボタンB3が押下操作された場合に、1/2の確率で1枚役A、1枚役Bが入賞する。
【0075】
<リール制御手段>
本実施形態のスロットマシン1では、いずれの遊技状態である場合にも、リール停止制御において有効ラインL1上に停止させる役の優先順序が「リプレイ>小役>ボーナス」の順序で優先順位が定められている。つまり、リール制御手段130は、ボーナスと小役又はボーナスとリプレイが重複して当選している場合、ボーナスに優先して小役又はリプレイを入賞させる停止制御を実行する。
【0076】
<小役の配当>
ベルA~ベルFの配当は、規定投入数(3枚)よりも多い枚数の払出数(15枚)に設定されている。また、1枚役A~1枚役C、レア役の配当は、規定投入数よりも少ない枚数の払出数(1枚)に設定されている。
【0077】
<遊技状態移行制御手段>
図4(A)は、本実施形態の遊技状態移行制御手段170が実行する遊技状態の移行に係る制御において、各遊技状態から移行可能な遊技状態を示す状態遷移図である。
【0078】
図4(A)に示すように、非RT状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する遊技状態(初期遊技状態、通常遊技状態)であり、ボーナスが作動及び成立していない非ボーナス状態となっている。非RT状態において、遊技状態移行制御手段170は、リプレイの当選確率が8978/65536(約1/7.3)に設定されている内部抽選テーブルAを用いた内部抽選を内部抽選手段120に実行させる。
【0079】
ボーナス成立状態は、非RT状態における内部抽選で当選エリア「RBB」、当選エリア「RBB&1枚役」、当選エリア「RBB&レア役」のいずれかに当選し、RBBが成立状態に設定された場合に移行する遊技状態である。ボーナス成立状態において、遊技状態移行制御手段170は、リプレイの当選確率が8982/65536(約1/7.3)に設定されている内部抽選テーブルBを用いた内部抽選を内部抽選手段120に実行させる。
【0080】
ボーナス状態は、RBBが入賞しRBBが作動することで移行される遊技状態である。ボーナス状態において、遊技状態移行制御手段170は、払い出されたメダルの合計数によって作動しているRBBの終了条件が成立したかを判定し、予め定められた所定の払出数(例えば、100枚)を超えるメダルが払い出された場合に、RBBの作動を終了させることでボーナス状態を終了させて、遊技状態を非ボーナス状態である非RT状態へ移行させる。ボーナス状態において、遊技状態移行制御手段170は、内部抽選手段120に内部抽選テーブルCを用いた内部抽選を実行させる。
【0081】
図3に示すように、内部抽選テーブルCでは、ベルA~ベルF、1枚役A~1枚役C、レア役のすべての小役に当選する当選エリア「全小役」と、1枚役A~1枚役C、レア役の配当が1枚に設定されたすべての小役に当選する当選エリア「全1枚役」と、に乱数が対応付けられている。
【0082】
図3を用いてボーナス状態について詳細に説明する。本実施形態のスロットマシン1において、内部抽選テーブルCが選択されるボーナス状態において当選エリア「全小役」又は当選エリア「全1枚役」に当選する確率は、内部抽選テーブルA、内部抽選テーブルBにおいて小役を含む当選エリアのいずれかに当選する確率よりも高い、つまりボーナス状態において小役に当選する確率が、ボーナス状態以外の遊技状態においていずれかの小役に当選する確率よりも高い確率に設定されている。また、内部抽選テーブルCにおいて、当選エリア「全小役」に当選する確率は、内部抽選テーブルA、内部抽選テーブルBにおいて当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル6」のいずれか1つと、当選エリア「打順ベル7」~当選エリア「打順ベル12」のいずれか1つと、に当選する確率の合算と同じ確率に設定されている。
【0083】
このような構成であることから、本実施形態のスロットマシン1は、ボーナス状態において、ボーナスの非作動時である非RT状態、ボーナス成立状態である場合よりもすべての小役の当選確率が上昇するとともに、いずれかの小役に当選する確率も同一又は上昇するように構成されている。
【0084】
また、スロットマシン1は、ボーナス状態において、当選エリア「全小役」に当選する確率が、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」のいずれかに当選する確率(当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」の各当選確率を合算した当選確率)よりも低くなるように構成されている。
【0085】
このように、本実施形態のスロットマシン1は、遊技を開始する際に必要となる遊技価値の投入数よりも多い配当に設定された複数種類の特定役(ベルA~ベルF)が互いに重複せずに他の小役と重複当選する複数種類の第1特定当選態様(当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル6」、当選エリア「打順ベル7」~当選エリア「打順ベル12」)と、複数種類の特定小役が重複して当選する第2特定当選態様(当選エリア「全小役」)と、を有し、内部抽選手段120が、通常遊技状態(非RT状態)、ボーナス成立状態において、複数種類の第1特定当選態様が存在するように内部抽選を行うとともに、ボーナス状態において、第2特定当選態様が存在するように内部抽選を行うように構成されている。また、スロットマシン1において、ボーナス状態における内部抽選で第2当選態様に当選する確率は、通常遊技状態、ボーナス成立状態における内部抽選で複数種類の第1当選態様のいずれかに当選する確率よりも低く、ボーナス状態における内部抽選でのすべての小役それぞれの当選確率は、通常遊技状態、ボーナス成立状態における内部抽選でのすべての小役それぞれの当選確率以上となるように構成されている。
【0086】
このため、本実施形態のスロットマシン1は、ボーナス状態について、メダルの獲得率の期待値が100%未満となっている。
【0087】
ここで、ボーナス成立状態においては、より詳しくは後述するが、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」の当選時に、打順1~打順6から構成された正解打順でストップボタンB1~ストップボタンB3を押下しないとベルA~ベルFを入賞させることができない構成であることから、ベルA~ベルFのいずれかが入賞する確率は、6種類の打順から正解打順でストップボタンB1~ストップボタンB3を押下できた場合に限定される。一方、後述するAT制御手段200によって入賞補助が実行されるAT遊技が実行された場合には、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」の当選時に、正解打順がAT制御手段200による入賞補助制御及び演出制御手段180による入賞補助演出によって報知されるため、ベルA~ベルFのいずれかが入賞する確率について、入賞補助が実行されない場合に対して最大で6倍まで高めることができる。
【0088】
このように、本実施形態においては、正解打順で停止操作し、かつ第1停止操作の押下タイミングが適切な場合に入賞する規定投入枚数よりも多くのメダルを払い出す入賞役(特定役)として、ベルA~ベルFの6種類を設定している。そして、ボーナス状態において特定役を含む当選態様が得られる確率を、ボーナス状態以外の遊技状態において特定役を含む当選態様が得られる確率の約1/6に圧縮している。このように構成することで、ボーナス状態以外の遊技状態においてN種類の特定役を互いに重複せずに当選させる態様を設けて内部抽選を行い、ボーナス状態においてN種類の特定役を重複して当選させる態様を設けて内部抽選を行うことによって、ボーナス状態において特定役を含む当選態様が得られる確率を、ボーナス状態以外の遊技状態において特定役を含む当選態様が得られる確率の約1/Nに圧縮することができる。これにより、ボーナス状態でのメダルの獲得率の期待値の下限を100%未満にまで引き下げた上でAT遊技に関するメダルの獲得性能を設計することができるため、AT機能を備えたスロットマシン1の設計自由度を飛躍的に向上させることができる。
【0089】
<AT制御手段>
図4(B)は、本実施形態のAT制御手段200よって制御される通常区間及び有利区間と、有利区間中に制御される演出状態と、についての詳細を示す状態遷移図である。
【0090】
上述した通り、通常区間は、内部抽選手段120による内部抽選の結果に基づく補助遊技に関する制御が実行されない期間である。AT制御手段200は、通常区間内における遊技において、内部抽選手段120による内部抽選で当選した当選エリアに基づき、通常区間を終了し有利区間を開始するか否かを決定する抽選である有利区間抽選を実行する。
【0091】
有利区間抽選において、AT制御手段200は、まず、AT制御データ記憶手段197から、複数の乱数のそれぞれに対して「有利区間の開始」、「ハズレ(不当選)」が対応付けられているデータテーブルである有利区間移行抽選テーブルを取得する。そして、AT制御手段200は、乱数生成手段110から乱数を取得し、取得した乱数を有利区間移行抽選テーブルと比較して、比較結果に基づき、有利区間を開始するか否かを決定する。
【0092】
AT制御手段200は、内部抽選で当選した当選エリアの当選確率と、有利区間抽選における「有利区間の開始」の当選確率と、を乗算した確率について、1/17500以上となるように有利区間抽選を実行する。
【0093】
本実施形態のAT制御手段200は、非RT状態及びボーナス成立状態における内部抽選で当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」、当選エリア「RBB&レア役」、当選エリア「RBB&1枚役」、当選エリア「通常リプレイ1」、当選エリア「レアリプレイ」に当選した場合に、有利区間抽選を実行し、他の当選エリアに当選した場合には、有利区間抽選を実行しないように構成されている。また、AT制御手段200は、約1/1.5と高い確率で「有利区間の開始」に当選する有利区間抽選を実行する。
【0094】
有利区間において、AT制御手段200は、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」の当選時におけるベルA~ベルFの入賞補助を実行しない通常状態(第1状態)と、通常状態よりもAT状態に移行しやすいことで通常状態よりも有利な状態であるチャンスゾーン(CZ)状態と、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」の当選時におけるベルA~ベルFの入賞補助を実行するAT状態(第2状態)と、を有している。また、本実施形態のスロットマシン1は、全体の遊技における有利区間の滞在比率が、7割以上となりうる構成となっている。
【0095】
通常状態は、他の演出状態に移行していない場合に設定される、複数種類の演出状態の中で通常の状態に相当する演出状態(通常演出状態)である。AT制御手段200は、演出状態が通常状態に移行した場合、通常状態における遊技回数をカウントする非ATゲーム数カウンタ(不図示)に、遊技が実行される都度、非ATゲーム数カウンタの記憶値を1ゲームに相当する値「1」を加算するインリメント更新を実行する。AT制御手段200は、非ATゲーム数カウンタの記憶値が値「700」となった場合に、CZ状態への移行条件が成立したと判定し、演出状態を通常状態からCZ状態に移行する。
【0096】
また、AT制御手段200は、内部抽選で当選エリア「RBB&レア役」に当選した場合と、当選エリア「レアリプレイ」に当選した場合と、において、AT状態への移行を決定するか否かを抽選する通常中AT抽選を実行する。
【0097】
本実施形態のAT制御手段200は、通常中AT抽選において、設定値記憶手段191に記憶されている設定値が設定1である場合に、第1通常中AT抽選テーブルを用いて通常中AT抽選を行い、設定値記憶手段191に記憶されている設定値が設定2である場合に、第2通常中AT抽選テーブルを用いて通常中AT抽選を行い、設定値記憶手段191に記憶されている設定値が設定3である場合に、第3通常中AT抽選テーブルを用いて通常中AT抽選を行い、設定値記憶手段191に記憶されている設定値が設定4である場合に、第4通常中AT抽選テーブルを用いて通常中AT抽選を行い、設定値記憶手段191に記憶されている設定値が設定5である場合に、第5通常中AT抽選テーブルを用いて通常中AT抽選を行い、設定値記憶手段191に記憶されている設定値が設定6である場合に、第6通常中AT抽選テーブルを用いて通常中AT抽選を行う。通常中AT抽選を実行する場合においてAT制御手段200が実行する抽選テーブルの取得に係る制御処理の詳細については、後述する。
【0098】
AT制御手段200は、通常中AT抽選において、「AT状態への移行」、「不当選」のいずれかに決定する抽選を行い、通常中AT抽選において「AT状態への移行」に当選した場合には、AT状態への移行条件(AT移行条件)が成立したと判定し、演出状態を通常状態からAT状態に移行する。
【0099】
CZ状態は、内部抽選で当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」に当選した際にベルA~ベルFの入賞補助が実行されるAT状態に移行する確率が通常状態よりも高く、通常状態よりも有利な演出状態である。AT制御手段200は、CZ状態の開始時にAT制御データ記憶手段197のCZゲーム数カウンタ(不図示)に所定の遊技回数に対応する値(例えば、32ゲーム)をセットし、遊技が実行される都度、CZゲーム数カウンタの記憶値を1ゲームに相当する値「1」で減算するデクリメント更新を実行する。
【0100】
AT制御手段200は、CZ状態が開始された遊技において、AT状態への移行を決定するか否かを抽選するCZ中AT抽選を実行するように構成されている。CZ中AT抽選において「AT状態への移行」に当選した場合、AT制御手段200は、CZ状態の開始から32ゲームの遊技が実行された後に、演出状態をCZ状態からAT状態に移行する。一方、CZ中AT抽選で「AT状態への移行」に当選しなかった場合、AT制御手段200は、CZ状態の開始から32ゲームの遊技が実行された後に、CZ状態を終了する。AT制御手段200は、AT移行条件が成立していない状態でCZ状態を終了した場合、有利区間の終了条件のうち通常終了条件が成立したと判定し、有利区間に関する情報を初期化する処理である所定の初期化処理と、有利区間を終了させて次ゲームから通常区間を開始する所定の終了処理と、を実行する。
【0101】
本実施形態のAT制御手段200は、CZ中AT抽選において、設定値記憶手段191に記憶されている設定値が設定1、設定2である場合に、第1CZ中AT抽選テーブルを用いてCZ中AT抽選を行い、設定値記憶手段191に記憶されている設定値が設定3、設定4である場合に、第2CZ中AT抽選テーブルを用いてCZ中AT抽選を行い、設定値記憶手段191に記憶されている設定値が設定5、設定6である場合に、第3CZ中AT抽選テーブルを用いてCZ中AT抽選を行う。
【0102】
また、AT制御手段200は、第1CZ中AT抽選テーブル~第3CZ中AT抽選テーブルのいずれの抽選テーブルを用いる場合にも、内部抽選の結果を用いた抽選を実行する。AT制御手段200は、内部抽選で当選した当選エリアについて、当選エリア「RBB&レア役」以外の小役の当選エリアと、当選エリア「レアリプレイ」以外のリプレイの当選エリアと、当選エリア「RBB&レア役」又は当選エリア「レアリプレイ」と、でそれぞれ異なる抽選テーブルを用いる。
【0103】
AT制御手段200は、例えば、第1CZ中AT抽選テーブルを用いてCZ中AT抽選を実行する場合において、内部抽選の結果が当選エリア「RBB&レア役」以外の小役の当選エリアに当選した場合には、第1CZ中AT抽選テーブルAを用いてCZ中AT抽選を実行し、内部抽選の結果が当選エリア「レアリプレイ」以外のリプレイの当選エリアに当選した場合には、第1CZ中AT抽選テーブルBを用いてCZ中AT抽選を実行し、内部抽選の結果が当選エリア「RBB&レア役」又は当選エリア「レアリプレイ」に当選した場合には、第1CZ中AT抽選テーブルCを用いてCZ中AT抽選を実行する。第1CZ中AT抽選テーブルA~第1CZ中AT抽選テーブルCは、「AT状態への移行」に当選する確率が、第1CZ中AT抽選テーブルA<第1CZ中AT抽選テーブルB<第1CZ中AT抽選テーブルCとなるように構成されている。
【0104】
なお、スロットマシン1では、第2CZ中AT抽選テーブルを用いたCZ中AT抽選においても、内部抽選の結果に応じて第1CZ中AT抽選テーブルを用いる場合と同様に第2CZ中AT抽選テーブルA~第2CZ中AT抽選テーブルCのいずれを用いるかが決定される。第2CZ中AT抽選テーブルA~第2CZ中AT抽選テーブルCは、「AT状態への移行」に当選する確率が、第2CZ中AT抽選テーブルA<第2CZ中AT抽選テーブルB<第2CZ中AT抽選テーブルCとなるように構成されている。
【0105】
また、スロットマシン1では、第3CZ中AT抽選テーブルを用いたCZ中AT抽選においても、内部抽選の結果に応じて第1CZ中AT抽選テーブルを用いる場合と同様に第3CZ中AT抽選テーブルA~第3CZ中AT抽選テーブルCのいずれを用いるかが決定される。第3CZ中AT抽選テーブルA~第3CZ中AT抽選テーブルCは、「AT状態への移行」に当選する確率が、第3CZ中AT抽選テーブルA<第3CZ中AT抽選テーブルB<第3CZ中AT抽選テーブルCとなるように構成されている。
【0106】
AT制御手段200は、内部抽選の結果に応じたCZ中AT抽選テーブルを取得するために、内部抽選の結果に対応する第1CZ中AT抽選テーブルA~第1CZ中AT抽選テーブルCを規定した条件テーブルとして、第1当選エリアテーブルを有し、内部抽選の結果に対応する第2CZ中AT抽選テーブルA~第2CZ中AT抽選テーブルCを規定した条件テーブルとして、第2当選エリアテーブルを有し、内部抽選の結果に対応する第3CZ中AT抽選テーブルA~第3CZ中AT抽選テーブルCを規定した条件テーブルとして、第3当選エリアテーブルを有している。
【0107】
AT制御手段200は、設定値記憶手段191に記憶された設定値に基づき、第1当選エリアテーブル~第3当選エリアテーブルのいずれかと、第1CZ中AT抽選テーブル~第3CZ中AT抽選テーブルのいずれかと、を取得する。AT制御手段200は、第1当選エリアテーブルを取得した場合であれば、内部抽選の結果と取得した第1当選エリアテーブルとを参照して、第1CZ中AT抽選テーブルA~第1CZ中AT抽選テーブルCのいずれを用いてCZ中AT抽選を実行するかを決定し、第2当選エリアテーブルを取得した場合であれば、内部抽選の結果と取得した第2当選エリアテーブルとを参照して、第2CZ中AT抽選テーブルA~第2CZ中AT抽選テーブルCのいずれを用いてCZ中AT抽選を実行するかを決定し、第3当選エリアテーブルを取得した場合であれば、内部抽選の結果と取得した第3当選エリアテーブルとを参照して、第3CZ中AT抽選テーブルA~第3CZ中AT抽選テーブルCのいずれを用いてCZ中AT抽選を実行するかを決定する。
【0108】
また、AT制御手段200は、CZ中AT抽選において、いずれの抽選テーブルを用いる場合にも、通常状態において実行される通常中AT抽選よりも高い確率で「AT状態への移行」に当選可能な抽選を実行する。
【0109】
このように、CZ状態は、開始時における遊技において、内部抽選の結果によらず「AT状態への移行」に当選可能なCZ中AT抽選が実行されるとともに、CZ中AT抽選について、内部抽選で当選エリア「RBB&レア役」又は当選エリア「レアリプレイ」に当選した場合に、他の当選エリアに当選した場合よりも高い確率で「AT状態への移行」に当選可能に構成されており、当選エリア「RBB&レア役」又は当選エリア「レアリプレイ」に当選した場合に限りAT状態への移行条件が成立する可能性を有する通常状態よりも、遊技者にとって有利な演出状態として構成されている。AT制御手段200が、CZ中AT抽選を実行するために抽選テーブルを取得する際に実行する制御処理の詳細については、後述する。
【0110】
なお、AT制御手段200は、演出状態がCZ状態である場合における当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」の当選時において、入賞補助制御を実行するように構成されていてもよく、1回の遊技において獲得できるメダルの枚数と投入するメダルの枚数との差分の平均値である純増枚数が約1.0枚となる頻度で入賞補助制御を実行するように構成されていてもよい。
【0111】
AT状態は、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」に当選した際にベルA~ベルFの入賞補助が実行される補助遊技を実行可能な状態である。AT制御手段200は、AT状態における入賞補助として、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」の当選時において、ベルA~ベルFを入賞可能にする正解打順を報知する表示を主制御表示装置500に表示させる。
【0112】
この、規定投入数(3枚)よりも多い配当(15枚)が設定されたベルA~ベルFの入賞補助が実行される補助遊技によってメダルの払い出しに関して通常状態よりも遊技者にとって有利なAT状態が、本実施形態における第2状態を構成し、通常区間、有利区間及び補助遊技に係る制御を行うAT制御手段200が、本実施形態における補助遊技制御手段を構成する。
【0113】
AT制御手段200は、AT状態の開始時にAT制御データ記憶手段197のATゲーム数カウンタ(不図示)に所定の遊技回数に対応する初期値(50ゲーム)をセットし、遊技が実行される都度、ATゲーム数カウンタの記憶値を1ゲームに相当する値「1」で減算するデクリメント更新を実行する。
【0114】
また、AT制御手段200は、内部抽選手段120による内部抽選で当選エリア「RBB&レア役」に当選した場合と、当選エリア「レアリプレイ」に当選した場合と、に、ATゲーム数カウンタの記憶値に抽選により決定された値を加算するか否かを決定することで、AT状態が継続する期間を加算(上乗せ)するか否かを決定する上乗せ抽選を実行し、上乗せ抽選によって決定した値が1以上の値である場合に、決定した値をATゲーム数カウンタに加算する上乗せ処理を実行するように構成されている。
【0115】
AT制御手段200は、AT状態における毎回の遊技の実行の都度実行するデクリメント更新によってATゲーム数カウンタの記憶値が値「0」になった場合に、ストック記憶領域を参照して1セット以上のAT状態がストックされているか否かを判定する。AT制御手段200は、AT状態がストックされていないと判定した場合に、AT状態の終了条件(AT終了条件)が成立したと判定し、AT状態を終了する。また、AT制御手段200は、AT状態において第1有利区間カウンタ197aの記憶値が値「1500」に達した場合と、AT状態において第2有利区間カウンタ197bの記憶値が値「2400」を超えた場合と、にも、AT終了条件が成立したと判定し、AT状態を終了する。
【0116】
AT制御手段200は、ATゲーム数カウンタの記憶値が値「0」になったことに基づきAT状態を終了した場合、有利区間を継続するか否かを決定する有利区間継続抽選を実行可能に構成されている。本実施形態において、AT制御手段200は、第2有利区間カウンタ197bの記憶値が値「900」未満、つまり、今回のAT状態において遊技者が獲得したメダルの枚数(差枚数)が900枚未満である場合に、有利区間継続抽選を実行する。
【0117】
AT制御手段200は、有利区間継続抽選を実行し、「有利区間の継続」に当選した場合、演出状態をAT状態から通常状態に移行する。一方、AT制御手段200は、有利区間継続抽選を実行し、「有利区間の継続」に当選しなかった場合と、AT状態の終了時に第2有利区間カウンタ197bの記憶値が値「900」以上である場合と、に、有利区間の終了条件のうち通常終了条件が成立したと判定し、有利区間に関する情報を初期化する処理である所定の初期化処理と、有利区間を終了させて次ゲームから通常区間を開始する所定の終了処理と、を実行する。
【0118】
また、AT制御手段200は、AT状態において第1有利区間カウンタ197aの記憶値が値「1500」に達したことに基づきAT状態を終了した場合と、AT状態において第2有利区間カウンタ197bの記憶値が値「2400」を超えたことに基づきAT状態を終了した場合と、において、有利区間の終了条件のうち特定終了条件が成立したと判定し、有利区間に関する情報を初期化する処理である所定の初期化処理と、有利区間を終了させて次ゲームから通常区間を開始する所定の終了処理と、を実行する。
【0119】
3.抽選テーブルの取得に係る制御処理の詳細
次に、本実施形態のAT制御手段200が実行する抽選テーブルの取得に係る制御処理の詳細について、図5図11を用いて説明する。
【0120】
<データテーブルが記憶されたデータ領域のアドレス>
本実施形態のスロットマシン1は、遊技制御手段10のうち遊技の進行を制御するプログラムによって参照されるデータテーブルを記憶しているROMについて、1200H~1EFFHのアドレスが対応付けられたデータ領域に各種データテーブルを記憶している。このため、スロットマシン1では、いずれのデータテーブルについても、アドレスを構成する2バイトのデータのうち上位4ビット(ビット12~ビット15)のデータが「0001」となるように構成されている。
【0121】
<CZ中AT抽選で用いられるアドレスデータテーブル>
図5は、本実施形態のAT制御手段200がCZ中AT抽選を実行する場合に参照するアドレスデータテーブルT1を示す図である。抽選テーブルを取得する際に参照される条件が規定されたデータテーブルである条件テーブル(第1当選エリアテーブル~第3当選エリアテーブル)に対応付けられたアドレスと、抽選の実行時に使用される抽選値数が記憶されたデータテーブルである抽選テーブル(第1CZ中AT抽選テーブル~第3CZ中AT抽選テーブル)に対応付けられたアドレスと、に関する情報(アドレスデータ)を記憶するアドレスデータテーブルT1は、記憶手段としてのAT制御データ記憶手段197に記憶されている。また、アドレスデータテーブルT1を用いて取得される第1当選エリアテーブル~第3当選エリアテーブル及び第1CZ中AT抽選テーブル~第3CZ中AT抽選テーブルについても、AT制御データ記憶手段197に記憶されている。
【0122】
図5に示すように、アドレスデータテーブルT1には、内部抽選の結果に応じて取得するCZ中AT抽選テーブルを決定するために使用される条件テーブルである第1当選エリアテーブル~第3当選エリアテーブルのアドレスのうちビット0~ビット11のアドレスデータと、抽選テーブルである第1CZ中AT抽選テーブル~第3CZ中AT抽選テーブルのアドレスのうちビット0~ビット11のアドレスデータと、が記憶されている。
【0123】
アドレスデータテーブルT1において、値「0」がアドレスとして対応付けられたデータ領域には、上位4ビットに第1当選エリアテーブルのアドレスのうちビット8~ビット11の計4ビットのアドレスデータが記憶され、下位4ビットに第1CZ中AT抽選テーブルのアドレスのうちビット8~ビット11の計4ビットのアドレスデータが記憶されており、合計で1バイトのアドレスデータが記憶されている。アドレスデータテーブルT1において、値「1」がアドレスとして対応付けられたデータ領域には、第1当選エリアテーブルのアドレスのうちビット0~ビット7の合計8ビットのアドレスデータが記憶され、値「2」がアドレスとして対応付けられたデータ領域には、第1CZ中AT抽選テーブルのアドレスのうちビット0~ビット7の合計8ビットのアドレスデータが記憶されている。
【0124】
このように、アドレスデータテーブルT1においては、3バイトのデータ領域に、第1当選エリアテーブルのアドレスのうちビット0~ビット11のアドレスデータと、第1CZ中AT抽選テーブルのアドレスのうちビット0~ビット11のアドレスデータと、が記憶されている。また、アドレスデータテーブルT1においては、第2当選エリアテーブルのアドレスのうちビット0~ビット11のアドレスデータ及び第2CZ中AT抽選テーブルのアドレスのうちビット0~ビット11のアドレスデータと、第3当選エリアテーブルのアドレスのうちビット0~ビット11のアドレスデータ及び第3CZ中AT抽選テーブルのアドレスのうちビット0~ビット11のアドレスデータと、についても、それぞれ第1当選エリアテーブル及び第1CZ中AT抽選テーブルと同様に、3バイトのデータ領域に記憶されている。
【0125】
このため、本実施形態のスロットマシン1において、CZ中AT抽選の実行時に用いられるアドレスデータテーブルT1は、条件テーブルのアドレスを構成するアドレスデータと、抽選テーブルのアドレスを構成するアドレスデータと、が合計9バイト記憶されたデータテーブルとなっている。
【0126】
また、アドレスデータテーブルT1では、3の倍数の値が対応付けられたアドレス(値「0」、値「3」、値「6」)のデータ領域に、それぞれ条件テーブルのアドレスのうちビット8~ビット11の4ビットのアドレスデータと、抽選テーブルのアドレスのうちビット8~ビット11の4ビットのアドレスデータと、が記憶され、値「1」、値「4」、値「7」の値がアドレスとして対応付けられたデータ領域に、それぞれ条件テーブルのアドレスのうちビット0~ビット7の8ビット(1バイト)のアドレスデータが記憶され、値「2」、値「5」、値「8」の値がアドレスとして対応付けられたデータ領域に、それぞれ抽選テーブルのアドレスのうちビット0~ビット7の8ビット(1バイト)のアドレスデータが記憶されている。
【0127】
つまり、アドレスデータテーブルT1においては、3の倍数の値がアドレスとして対応付けられたデータ領域に記憶されているアドレスデータについて、条件テーブルのアドレスを構成する2バイトのアドレスデータのうち上位1バイトのアドレスデータを分割した4ビットから構成されたビット8~ビット11のアドレスデータと、抽選テーブルのアドレスを構成する2バイトのアドレスデータのうち上位1バイトのアドレスデータを分割した4ビットから構成されたビット8~ビット11のアドレスデータと、から構成されている。
【0128】
この、アドレスデータテーブルT1において値「0」~値「8」がアドレスとして対応付けられたデータ領域であり、それぞれ所定のサイズとしての1バイトに区切られたデータ領域が、本実施形態における複数の区画を構成し、値「0」、値「3」、値「6」の値がアドレスとして対応付けられたデータ領域が、本実施形態における第1区画を構成し、値「1」、値「4」、値「7」の値がアドレスとして対応付けられたデータ領域が、本実施形態における第2区画を構成し、値「2」、値「5」、値「8」の値がアドレスとして対応付けられたデータ領域が、本実施形態における第3区画を構成する。
【0129】
また、値「0」、値「3」、値「6」の値がアドレスとして対応付けられたデータ領域に記憶されている条件テーブルのアドレスのうちビット8~ビット11のアドレスデータ及び抽選テーブルのアドレスのうちビット8~ビット11のアドレスデータが、本実施形態における第1情報を構成し、値「1」、値「4」、値「7」の値がアドレスとして対応付けられたデータ領域に記憶されている条件テーブルのアドレスのうちビット0~ビット7のアドレスデータが、本実施形態における第2情報を構成し、値「2」、値「5」、値「8」の値がアドレスとして対応付けられたデータ領域に記憶されている抽選テーブルのアドレスのうちビット0~ビット7のアドレスデータが、本実施形態における第3情報を構成する。
【0130】
また、条件テーブルのアドレスを構成する上位1バイトのアドレスデータを分割サイズとしての4ビットに分割したアドレスデータ(条件テーブルのアドレスのうちビット8~ビット11のアドレスデータ)が、本実施形態における第1分割情報を構成し、抽選テーブルのアドレスを構成する上位1バイトのアドレスデータを分割サイズとしての4ビットに分割したアドレスデータ(抽選テーブルのアドレスのうちビット8~ビット11のアドレスデータ)が、本実施形態における第2分割情報を構成する。
【0131】
<CZ中AT抽選の実行時におけるアドレス構築処理>
図6は、CZ中AT抽選において使用する条件テーブル(第1当選エリアテーブル~第3当選エリアテーブル)及び抽選テーブル(第1CZ中AT抽選テーブル~第3CZ中AT抽選テーブル)のアドレスを構築するために実行するアドレス構築処理の制御プログラムを示す図である。
【0132】
なお、本実施形態のAT制御手段200は、図6に示す制御プログラムを開始する前に、オフセットとしてAレジスタに予め値をセットするように構成されている。AT制御手段200は、設定値記憶手段191に記憶されている設定値が設定1、設定2である場合には、Aレジスタに値「0」をセットし、設定値が設定3、設定4である場合には、Aレジスタに値「1」をセットし、設定値が設定5、設定6である場合には、Aレジスタに値「2」をセットする。
【0133】
また、スロットマシン1では、遊技制御手段10のうち遊技の進行を制御するプログラムを実行する場合に用いられるRWMに、それぞれ8ビットのAレジスタ~Fレジスタ、Hレジスタ、Lレジスタが設けられているとともに、Hレジスタと、Lレジスタと、は、16ビットのHLレジスタとしても使用可能に構成されている。また、遊技制御手段10のうち遊技の進行を制御するプログラムを実行する場合に用いられるRWMには、各レジスタの情報を一時的にスタック可能なスタック領域も設けられている。
【0134】
AT制御手段200は、まず、乗算を実行する命令であるMUL命令を実行し、Aレジスタにセットされているオフセットの値を3倍する。次に、AT制御手段200は、レジスタにデータをセットする命令であるLD命令を実行し、HLレジスタにアドレスデータテーブルT1の値「0」にあたるアドレスをセットし、アドレスデータテーブルT1を取得する。次に、AT制御手段200は、1バイト単位で加算するADDWB命令を実行し、HLレジスタにAレジスタの値を加算することで、Aレジスタにセットされた値に応じたアドレスデータテーブルT1のアドレスを取得する。
【0135】
これらの一連の命令を実行することで、AT制御手段200は、Aレジスタにセットした値、つまり設定値記憶手段191に記憶された設定値に応じたアドレスデータテーブルT1のアドレスを、HLレジスタにセットすることができる。
【0136】
次に、AT制御手段200は、4ビット単位でレジスタにデータをセットする命令であるLDH命令を実行し、HLレジスタにセットされているアドレスのデータ領域に記憶されているデータのうち上位4ビットのデータをBレジスタにセットし、下位4ビットのデータをCレジスタにセットする。図5に示したように、アドレスデータテーブルT1のうち値「0」、値「3」、値「6」がアドレスとして対応付けられたデータ領域には、いずれのデータ領域においても、上位4ビットに条件テーブルのアドレスのうちビット8~ビット11のアドレスデータが記憶され、下位4ビットに抽選テーブルのアドレスのうちビット8~ビット11のアドレスデータが記憶されている。
【0137】
このため、AT制御手段200は、LDH BC,(HL)の命令を実行することで、Bレジスタに条件テーブルのアドレスのうちビット8~ビット11のアドレスデータをセットし、Cレジスタに抽選テーブルのアドレスのうちビット8~ビット11のアドレスデータをセットすることができる。具体的には、AT制御手段200は、Aレジスタにセットされていたオフセットの値が値「0」であった場合、LDH BC,(HL)の命令を実行することで、Bレジスタに第1当選エリアテーブルのアドレスのうちビット8~ビット11のアドレスデータをセットし、Cレジスタに第1CZ中AT抽選テーブルのアドレスのうちビット8~ビット11のアドレスデータをセットする。
【0138】
次に、AT制御手段200は、レジスタのセットされているデータを1加算するINC命令を実行することで、HLレジスタにセットされているアドレスデータテーブルT1のアドレスの値を1加算する。INC HLの命令を実行することで、AT制御手段200が次に参照するアドレスデータテーブルT1のアドレスは、現在のアドレスから1つ下のアドレスとなる。AT制御手段200は、例えば、LDH BC,(HL)の命令を実行し、Bレジスタに第1当選エリアテーブルのアドレスのうちビット8~ビット11のアドレスデータをセットし、Cレジスタに第1CZ中AT抽選テーブルのアドレスのうちビット8~ビット11のアドレスデータをセットしていた場合、INC HLの命令を実行することで、次に参照するアドレスが第1当選エリアテーブルのアドレスのうちビット0~ビット7のアドレスデータが記憶されたデータ領域となる。
【0139】
次に、AT制御手段200は、LD命令を実行することで、CレジスタにセットされているデータをDレジスタにセットする。次に、AT制御手段200は、8ビット単位のデータを1つ下位のアドレスのデータから順にレジスタにセットする命令であるLDIN命令を実行することで、現在参照することが設定されているデータ領域よりも1つ下位のアドレスが設定されているデータ領域に記憶されている抽選テーブルのアドレスのうちビット0~ビット7のアドレスデータをAレジスタにセットし、現在参照することが設定されているデータ領域に記憶されている条件テーブルのアドレスのうちビット0~ビット7のアドレスデータをCレジスタにセットする。次に、AT制御手段200は、LD命令を実行することで、AレジスタにセットされているデータをEレジスタにセットする。
【0140】
ここまでの命令を実行することで、AT制御手段200は、Bレジスタに条件テーブルのアドレスのうちビット8~ビット11のアドレスデータをセットし、Cレジスタに条件テーブルのアドレスのうちビット0~ビット7のアドレスデータをセットすることができる。つまり、AT制御手段200は、条件テーブルのアドレスのうちビット0~ビット11のアドレスデータをBCレジスタに取得することができる。
【0141】
また、AT制御手段200は、Dレジスタに抽選テーブルのアドレスのうちビット8~ビット11のアドレスデータをセットし、Eレジスタに抽選テーブルのアドレスのうちビット0~ビット7のアドレスデータをセットすることができる。つまり、AT制御手段200は、抽選テーブルのアドレスのうちビット0~ビット11のアドレスデータをDEレジスタに取得することができる。
【0142】
そして、AT制御手段200は、指定のビットに値「1」をセットするSET命令を実行し、SET 4,Bの命令によってBレジスタのビット4に値「1」をセットし、SET 4,Dの命令によってDレジスタのビット4に値「1」をセットする。これにより、Bレジスタには、上位4ビットに条件テーブルのアドレスのうちビット12~ビット15のアドレスデータを構成する「0001」の値がセットされ、条件テーブルのアドレスのうちビット8~ビット15のアドレスデータがセットされた状態となる。また、Dレジスタには、上位4ビットに抽選テーブルのアドレスのうちビット12~ビット15のアドレスデータを構成する「0001」の値がセットされ、抽選テーブルのアドレスのうちビット8~ビット15のアドレスデータがセットされた状態となる。
【0143】
このように、本実施形態のAT制御手段200は、条件テーブルのアドレスを構築する場合に、Bレジスタの下位4ビットに条件テーブルのアドレスのうちビット8~ビット11のアドレスデータを取得し、Cレジスタに条件テーブルのアドレスのうちビット0~ビット7のアドレスデータを取得した状態で、所定の命令としてのSET 4,Bの命令を実行し、Bレジスタの4ビット目、つまり条件テーブルのアドレスのうちビット12の位置に値「1」をセットすることで、アドレスデータテーブルT1に記憶されていない情報である「0001」をビット15から順にビット12までセットし、BCレジスタに条件テーブルのアドレスを構築することができる。
【0144】
また、本実施形態のAT制御手段200は、抽選テーブルのアドレスを構築する場合に、Dレジスタの下位4ビットに抽選テーブルのアドレスのうちビット8~ビット11のアドレスデータを取得し、Eレジスタに抽選テーブルのアドレスのうちビット0~ビット7のアドレスデータを取得した状態で、所定の命令としてのSET 4,Dの命令を実行し、Dレジスタの4ビット目、つまり抽選テーブルのアドレスのうちビット12の位置に値「1」をセットすることで、アドレスデータテーブルT1に記憶されていない情報である「0001」をビット15から順にビット12までセットし、DEレジスタに抽選テーブルのアドレスを構築することができる。
【0145】
つまり、条件テーブルのアドレスと、抽選テーブルのアドレスと、には、共通の特定情報として、ビット12に値「1」、ビット13~ビット15に値「0」の情報が含まれた構成となっている。
【0146】
換言すると、前記第1データテーブルのアドレスと、前記第2データテーブルのアドレスと、には、共通の特定情報が含まれる。
【0147】
この構成により、本実施形態のスロットマシン1は、条件テーブルのアドレスと、抽選テーブルのアドレスと、に共通した特定情報を有するため、条件テーブルのアドレスと、抽選テーブルのアドレスと、を設計する場合において一部を共通化しアドレスの設計に係るコストを低減することができる。
【0148】
また、遊技機において、前記特定情報は、前記複数の区画には記憶されておらず、
前記第1データテーブルのアドレスは、前記第1情報及び前記第2情報が取得され、且つ所定の命令が実行されて前記特定情報がセットされることで構築され、
前記第2データテーブルのアドレスは、前記第1情報及び前記第3情報が取得され、且つ所定の命令が実行されて前記特定情報がセットされることで構築される。
【0149】
この構成により、本実施形態のスロットマシン1は、条件テーブルのアドレスと、抽選テーブルのアドレスと、に、アドレスデータテーブルT1に記憶されていない特定情報を含むとともに、該特定情報について、SET命令によってセットすることで条件テーブルのアドレスと抽選テーブルのアドレスとを構築できる、つまり、アドレスデータテーブルT1のデータ容量を用いることなく条件テーブルのアドレスの一部と抽選テーブルのアドレスの一部とを構築できるため、アドレスデータテーブルT1のデータ容量を圧縮することができる。
【0150】
以上の制御プログラムを実行することで、AT制御手段200は、BCレジスタに条件テーブルのアドレスを示すビット0~ビット15のアドレスデータを構築し、DEレジスタに抽選テーブルのアドレスを示すビット0~ビット15のアドレスデータを構築することができる。
【0151】
この、条件テーブルのアドレスのうちビット8~ビット11のアドレスデータと、条件テーブルのアドレスのうちビット0~ビット7のアドレスデータと、に基づいてアドレスを構築可能となる条件テーブルが、本実施形態における第1データテーブルを構成し、抽選テーブルのアドレスのうちビット8~ビット11のアドレスデータと、抽選テーブルのアドレスのうちビット0~ビット7のアドレスデータと、に基づいてアドレスを構築可能となる抽選テーブルが、本実施形態における第2データテーブルを構成する。
【0152】
なお、AT制御手段200は、第1当選エリアテーブル及び第1CZ中AT抽選テーブルと、第2当選エリアテーブル及び第2CZ中AT抽選テーブルと、第3当選エリアテーブル及び第3CZ中AT抽選テーブルと、のいずれの条件テーブル及び抽選テーブルを取得する場合にも、取得する条件テーブル及び抽選テーブルに対応するオフセットの値をAレジスタに設定してから図6に示した制御プログラムを実行することで取得する条件テーブル及び抽選テーブルのアドレスを構築することができる。
【0153】
<通常中AT抽選で用いられるアドレスデータテーブル>
図7は、本実施形態のAT制御手段200が通常中AT抽選を実行する場合に参照するアドレスデータテーブルT2、アドレスデータテーブルT3を示す図である。アドレスデータテーブルT2、アドレスデータテーブルT3は、AT制御データ記憶手段197に記憶されている。また、アドレスデータテーブルT2、アドレスデータテーブルT3を用いて取得される第1通常中AT抽選テーブル~第6通常中AT抽選テーブルについても、AT制御データ記憶手段197に記憶されている。
【0154】
図7に示すように、アドレスデータテーブルT2は、値「0」が対応付けられた1バイトのデータ領域から順に、値「5」が対応付けられた1バイトのデータ領域までの合計6バイトのデータ領域を有する構成となっている。アドレスデータテーブルT2には、値「0」が対応付けられたデータ領域から順に、第1通常中AT抽選テーブル~第6通常中AT抽選テーブルのアドレスのうちビット0~ビット7のアドレスデータがそれぞれ記憶されている。
【0155】
また、アドレスデータテーブルT3は、値「0」が対応付けられた1バイトのデータ領域と、値「1」が対応付けられた1バイトのデータ領域と、値「2」が対応付けられた1バイトのデータ領域と、の合計3バイトのデータ領域を有する構成となっている。アドレスデータテーブルT3において、値「0」がアドレスとして対応付けられたデータ領域には、上位4ビットに第1通常中AT抽選テーブルのアドレスのうちビット8~ビット11の計4ビットのアドレスデータが記憶され、下位4ビットに第2通常中AT抽選テーブルのアドレスのうちビット8~ビット11の計4ビットのアドレスデータが記憶されている。また、値「1」がアドレスとして対応付けられたデータ領域には、上位4ビットに第3通常中AT抽選テーブルのアドレスのうちビット8~ビット11の計4ビットのアドレスデータが記憶され、下位4ビットに第4通常中AT抽選テーブルのアドレスのうちビット8~ビット11の計4ビットのアドレスデータが記憶されている。そして、値「2」がアドレスとして対応付けられたデータ領域には、上位4ビットに第5通常中AT抽選テーブルのアドレスのうちビット8~ビット11の計4ビットのアドレスデータが記憶され、下位4ビットに第6通常中AT抽選テーブルのアドレスのうちビット8~ビット11の計4ビットのアドレスデータが記憶されている。
【0156】
このように、本実施形態のスロットマシン1において、アドレスデータテーブルT2は、第1通常中AT抽選テーブル~第6通常中AT抽選テーブルのアドレスを構成するアドレスデータが合計6バイト記憶されたデータテーブルとなっており、アドレスデータテーブルT3は、第1通常中AT抽選テーブル~第6通常中AT抽選テーブルのアドレスを構成するアドレスデータが合計3バイト記憶されたデータテーブルとなっている。このため、スロットマシン1では、通常中AT抽選の実行時において、合計で9バイトのアドレスデータが記憶された2つのデータテーブルを用いる構成となっている。
【0157】
この、アドレスデータテーブルT2において値「0」~値「5」の値がアドレスとして対応付けられたデータ領域であり、それぞれ所定のサイズとしての1バイトに区切られたデータ領域と、アドレスデータテーブルT3において値「0」~値「2」の値がアドレスとして対応付けられたデータ領域であり、それぞれ所定のサイズとしての1バイトに区切られたデータ領域と、が、本実施形態における複数の区画を構成し、アドレスデータテーブルT3における値「0」~値「2」の値がアドレスとして対応付けられたデータ領域が、本実施形態における第1区画を構成し、アドレスデータテーブルT2において値「0」、値「2」、値「4」の値がアドレスとして対応付けられたデータ領域が、本実施形態における第2区画を構成し、アドレスデータテーブルT2における値「1」、値「3」、値「5」の値がアドレスとして対応付けられたデータ領域が、本実施形態における第3区画を構成する。
【0158】
また、アドレスデータテーブルT3において値「0」~値「2」の値がアドレスとして対応付けられたデータ領域に記憶されている第1通常中AT抽選テーブル~第6通常中AT抽選テーブルのアドレスのうちビット8~ビット11のアドレスデータが、本実施形態における第1情報を構成し、アドレスデータテーブルT2において値「0」、値「2」、値「4」の値がアドレスとして対応付けられたデータ領域に記憶されている第1通常中AT抽選テーブル、第3通常中AT抽選テーブル、第5通常中AT抽選テーブルのアドレスのうちビット0~ビット7のアドレスデータが、本実施形態における第2情報を構成し、アドレスデータテーブルT2において値「1」、値「3」、値「5」の値がアドレスとして対応付けられたデータ領域に記憶されている第2通常中AT抽選テーブル、第4通常中AT抽選テーブル、第6通常中AT抽選テーブルのアドレスのうちビット0~ビット7のアドレスデータが、本実施形態における第3情報を構成する。
【0159】
また、第1通常中AT抽選テーブル、第3通常中AT抽選テーブル、第5通常中AT抽選テーブルのアドレスを構成する上位1バイトのアドレスデータを分割サイズとしての4ビットに分割したアドレスデータ(第1通常中AT抽選テーブル、第3通常中AT抽選テーブル、第5通常中AT抽選テーブルのビット8~ビット11のアドレスデータ)が、本実施形態における第1分割情報を構成し、第2通常中AT抽選テーブル、第4通常中AT抽選テーブル、第6通常中AT抽選テーブルのアドレスを構成する上位1バイトのアドレスデータを分割サイズとしての4ビットに分割した第1通常中AT抽選テーブル、第3通常中AT抽選テーブル、第5通常中AT抽選テーブルのアドレスデータのうちビット8~ビット11のデータが、本実施形態における第2分割情報を構成する。
【0160】
<通常中AT抽選の実行時におけるアドレス構築処理>
図8は、通常中AT抽選において使用する抽選テーブル(第1通常中AT抽選テーブル~第6通常中AT抽選テーブル)のアドレスデータを構築するために実行するアドレス構築処理の制御プログラムを示す図である。
【0161】
なお、本実施形態のAT制御手段200は、図8に示す制御プログラムを開始する前に、オフセットとしてAレジスタに予め値をセットするように構成されている。AT制御手段200は、設定値記憶手段191に記憶されている設定値が設定1である場合には、Aレジスタに値「0」をセットし、設定値が設定2である場合には、Aレジスタに値「1」をセットし、設定値が設定3である場合には、Aレジスタに値「2」をセットし、設定値が設定4である場合には、Aレジスタに値「3」をセットし、設定値が設定5である場合には、Aレジスタに値「4」をセットし、設定値が設定6である場合には、Aレジスタに値「5」をセットし、する。
【0162】
AT制御手段200は、まず、AT制御手段200は、LD命令を実行し、HLレジスタにアドレスデータテーブルT2の値「0」にあたるアドレスをセットし、アドレスデータテーブルT2を取得する。次に、AT制御手段200は、ADDWB命令を実行し、HLレジスタにAレジスタの値を加算することで、Aレジスタにセットされた値に応じたアドレスデータテーブルT2のアドレスを取得する。
【0163】
これらの一連の命令を実行することで、AT制御手段200は、Aレジスタにセットした値、つまり設定値記憶手段191に記憶された設定値に応じたアドレスデータテーブルT2のアドレスを、HLレジスタにセットすることができる。
【0164】
次に、AT制御手段200は、LD命令を実行し、HLレジスタにセットされているアドレスのデータ領域に記憶されているデータをCレジスタにセットする。AT制御手段200は、LD C,(HL)の命令を実行することで、Cレジスタに抽選テーブルのアドレスのうちビット0~ビット7のアドレスデータをセットすることができる。
【0165】
次に、AT制御手段200は、指定のレジスタを右論理シフトするSRL命令を実行し、Aレジスタにセットされているオフセットの値を値「2」で除算する。AT制御手段200は、Aレジスタのビット0の値が値「1」である場合、つまりAレジスタに記憶されているオフセットの値が奇数である場合に、SRL Aの命令を実行することで生じる余りの値を、キャリーフラグとして格納する。
【0166】
次に、AT制御手段200は、レジスタにセットされたデータとキャリーフラグとをスタック領域に記憶させるPUSH命令を実行し、値「2」で除算されたオフセットの値及び余りの値をスタック領域に転送する。
【0167】
次に、AT制御手段200は、LD命令を実行し、HLレジスタにアドレスデータテーブルT3の値「0」にあたるアドレスをセットし、アドレスデータテーブルT3を取得する。次に、AT制御手段200は、ADDWB命令を実行し、HLレジスタにAレジスタの値を加算することで、Aレジスタにセットされた値に応じたアドレスデータテーブルT3のアドレスを取得する。
【0168】
上述したように、Aレジスタの値は、SRL Aの命令を実行することで、アドレス構築処理の開始時にセットされた値から値「2」で除算された商の値がセットされている。つまり、アドレスデータテーブルT3を取得した後に実行されるADDWB HL,Aの命令の実行時においては、アドレス構築処理の開始時のオフセットの値が値「0」、値「1」であれば、値「0」がAレジスタにセットされており、アドレス構築処理の開始時のオフセットの値が値「2」、値「3」であれば、値「1」がAレジスタにセットされており、アドレス構築処理の開始時のオフセットの値が値「4」、値「5」であれば、値「2」がAレジスタにセットされている。
【0169】
次に、AT制御手段200は、LDH命令を実行し、HLレジスタにセットされているアドレスのデータ領域に記憶されているデータのうち上位4ビットのデータをHレジスタにセットし、下位4ビットのデータをLレジスタにセットする。AT制御手段200は、LDH HL,(HL)を実行することで、アドレスデータテーブルT3の各データ領域において、上位4ビットに記憶されているデータをHレジスタに記憶し、下位4ビットに記憶されているデータをLレジスタに記憶する。
【0170】
具体的には、AT制御手段200は、アドレスデータテーブルT3の値「0」が対応付けられたアドレスに記憶されているデータ領域において、上位4ビットに第1通常中AT抽選テーブルのアドレスのうちビット8~ビット11のアドレスデータが記憶され、下位4ビットに第2通常中AT抽選テーブルのアドレスのうちビット8~ビット11のアドレスデータが記憶されていることから、Hレジスタに第1通常中AT抽選テーブルのアドレスのうちビット8~ビット11のアドレスデータをセットし、Lレジスタに第2通常中AT抽選テーブルのアドレスのうちビット8~ビット11のアドレスデータをセットする。
【0171】
次に、AT制御手段200は、スタック領域のデータ及びキャリーフラグをレジスタに転送する命令であるPOP命令を実行し、スタック領域に転送していたオフセットの値と余りの値をAレジスタに転送する。
【0172】
次に、AT制御手段200は、キャリーフラグがセットされていない場合に所定のアドレスまで命令をジャンプさせるJR命令を実行し、キャリーフラグがセットされていないと判定、つまりSRL Aの命令を実行した際に余りが生じなかった場合には、アドレス構築処理のGET_TBL01まで実行する命令をジャンプする。一方、AT制御手段200は、JR NC,GET_TBL01の命令でキャリーフラグがセットされていると判定、つまりSRL Aの命令を実行した際に余りが生じた場合には、LD命令を実行し、LレジスタにセットされているデータをBレジスタにセットする。
【0173】
LD B,Hの命令からLD B,Lの命令までの一連の制御プログラムが実行されることで、アドレス構築処理の開始時のオフセットの値が値「0」、値「2」、値「4」である場合、つまり設定値記憶手段191に記憶されている設定値が設定1、設定3、設定5である場合には、SRL Aの命令が実行された際に余りが発生しておらず、JR NC,GET_TBL01の命令を実行後にLD B,Lが実行されることなくGET_TBL01にジャンプするため、Bレジスタにセットされたデータは、LD B,Hの命令でセットされたアドレスデータテーブルT3の各データ領域において上位4ビットに記憶されているデータとなる。
【0174】
一方、アドレス構築処理の開始時のオフセットの値が値「1」、値「3」、値「5」である場合、つまり設定値記憶手段191に記憶されている設定値が設定2、設定4、設定6である場合には、SRL Aの命令が実行された際に余りが発生しており、JR NC,GET_TBL01の命令を実行後にLD B,Lが実行されるため、Bレジスタにセットされたデータは、LD B,Hの命令でセットされたアドレスデータテーブルT3の各データ領域において下位4ビットに記憶されているデータとなる。
【0175】
そして、AT制御手段200は、SET命令を実行し、SET 4,Bの命令によってBレジスタのビット4に値「1」をセットする。これにより、Bレジスタには、上位4ビットに抽選テーブルのアドレスのうちビット12~ビット15のアドレスデータを構成する「0001」の値がセットされ、抽選テーブルのアドレスのうちビット8~ビット15のアドレスデータがセットされた状態となる。
【0176】
このように、第1通常中AT抽選テーブル~第6通常中AT抽選テーブルのアドレスには、共通の特定情報として、ビット12に値「1」、ビット13~ビット15に値「0」の情報が含まれた構成となっている。
【0177】
換言すると、前記第1データテーブルのアドレスと、前記第2データテーブルのアドレスと、には、共通の特定情報が含まれる。
【0178】
この構成により、本実施形態のスロットマシン1は、第1通常中AT抽選テーブル、第3通常中AT抽選テーブル、第5通常中AT抽選テーブルのアドレスと、第2通常中AT抽選テーブル、第4通常中AT抽選テーブル、第6通常中AT抽選テーブル、のアドレスと、に共通した特定情報を有するため、第1通常中AT抽選テーブル~第6通常中AT抽選テーブルのアドレスを設計する場合において一部を共通化しアドレスの設計に係るコストを低減することができる。
【0179】
また、遊技機において、前記特定情報は、前記複数の区画には記憶されておらず、
前記第1データテーブルのアドレスは、前記第1情報及び前記第2情報が取得され、且つ所定の命令が実行されて前記特定情報がセットされることで構築され、
前記第2データテーブルのアドレスは、前記第1情報及び前記第3情報が取得され、且つ所定の命令が実行されて前記特定情報がセットされることで構築される。
【0180】
この構成により、本実施形態のスロットマシン1は、第1通常中AT抽選テーブル~第6通常中AT抽選テーブルのアドレスに、アドレスデータテーブルT2、アドレスデータテーブルT3に記憶されていない特定情報を含むとともに、該特定情報について、SET命令によってセットすることで第1通常中AT抽選テーブル~第6通常中AT抽選テーブルのアドレスを構築できる、つまり、アドレスデータテーブルT2、アドレスデータテーブルT3のデータ容量を用いることなく第1通常中AT抽選テーブル~第6通常中AT抽選テーブルのアドレスの一部を構築できるため、アドレスデータテーブルT2、アドレスデータテーブルT3のデータ容量を圧縮することができる。
【0181】
以上の制御プログラムを実行することで、AT制御手段200は、BCレジスタに抽選テーブルのアドレスを示すビット0~ビット15のアドレスデータを構築することができる。
【0182】
この、第1通常中AT抽選テーブル、第3通常中AT抽選テーブル、第5通常中AT抽選テーブルのアドレスのうちビット8~ビット11のアドレスデータと、第1通常中AT抽選テーブル、第3通常中AT抽選テーブル、第5通常中AT抽選テーブルのアドレスのうちビット0~ビット7のアドレスデータと、に基づいてアドレスを構築可能となる第1通常中AT抽選テーブル、第3通常中AT抽選テーブル、第5通常中AT抽選テーブルテーブルが、本実施形態における第1データテーブルを構成し、第2通常中AT抽選テーブル、第4通常中AT抽選テーブル、第6通常中AT抽選テーブルのアドレスのうちビット8~ビット11のアドレスデータと、第2通常中AT抽選テーブル、第4通常中AT抽選テーブル、第6通常中AT抽選テーブルのアドレスのうちビット0~ビット7のアドレスデータと、に基づいてアドレスを構築可能となる条件テーブルが、本実施形態における第2データテーブルを構成する。
【0183】
なお、AT制御手段200は、第1通常中AT抽選テーブル~第6通常中AT抽選テーブルのいずれの抽選テーブルを取得する場合にも、取得する抽選テーブルに対応するオフセットの値をAレジスタに設定してから図8に示した制御プログラムを実行することで取得する抽選テーブルのアドレスを構築することができる。
【0184】
<比較例のCZ中AT抽選で用いられるアドレスデータテーブル>
次に、比較例として、アドレスデータテーブルにおける1つのデータ領域に1種類のアドレスデータを記憶させるように構成したスロットマシンについて説明する。図9(A)は、比較例のAT制御手段がCZ中AT抽選を実行する場合に参照するアドレスデータテーブルT4を示す図である。
【0185】
図9(A)に示すように、アドレスデータテーブルT4には、内部抽選の結果に応じて取得するCZ中AT抽選テーブルを決定するために使用される条件テーブルである第1当選エリアテーブル~第3当選エリアテーブルのアドレスのうちビット0~ビット15のアドレスデータと、抽選テーブルである第1CZ中AT抽選テーブル~第3CZ中AT抽選テーブルのアドレスのうちビット0~ビット15のアドレスデータと、が記憶されている。
【0186】
アドレスデータテーブルT4において、値「0」がアドレスとして対応付けられたデータ領域には、第1当選エリアテーブルのアドレスのうちビット0~ビット15の2バイトのアドレスデータが記憶され、値「2」がアドレスとして対応付けられたデータ領域には、第1CZ中AT抽選テーブルのアドレスのうちビット0~ビット15の2バイトのアドレスデータが記憶されている。また、アドレスデータテーブルT4において、値「4」がアドレスとして対応付けられたデータ領域には、第2当選エリアテーブルのアドレスのうちビット0~ビット15の2バイトのアドレスデータが記憶され、値「6」がアドレスとして対応付けられたデータ領域には、第2CZ中AT抽選テーブルのアドレスのうちビット0~ビット15の2バイトのアドレスデータが記憶されている。また、アドレスデータテーブルT4において、値「8」がアドレスとして対応付けられたデータ領域には、第3当選エリアテーブルのアドレスのうちビット0~ビット15の2バイトのアドレスデータが記憶され、値「10」がアドレスとして対応付けられたデータ領域には、第3CZ中AT抽選テーブルのアドレスのうちビット0~ビット15の2バイトのアドレスデータが記憶されている。
【0187】
このため、比較例のスロットマシンにおいて、CZ中AT抽選の実行時に用いられるアドレスデータテーブルT4は、条件テーブルのアドレスを構成するアドレスデータと、抽選テーブルのアドレスを構成するアドレスデータと、が合計12バイト記憶されたデータテーブルとなっている。
【0188】
また、アドレスデータテーブルT4では、値「0」、値「4」、値「8」の値がアドレスとして対応付けられたデータ領域に、条件テーブルのアドレスを構成する2バイトのアドレスデータが記憶され、値「2」、値「6」、値「10」の値がアドレスとして対応付けられたデータ領域に、抽選テーブルのアドレスを構成する2バイトのアドレスデータが記憶されている。
【0189】
つまり、アドレスデータテーブルT4においては、4の倍数の値がアドレスとして対応付けられたデータ領域に条件テーブルのアドレスを構成する2バイトのアドレスデータが記憶され、4の倍数の値に2を加算した値がアドレスとして対応付けられたデータ領域に抽選テーブルのアドレスを構成する2バイトのアドレスデータが記憶されている。
【0190】
<比較例のCZ中AT抽選の実行時におけるアドレス構築処理>
図9(B)は、比較例のスロットマシンがCZ中AT抽選において使用する条件テーブル(第1当選エリアテーブル~第3当選エリアテーブル)及び抽選テーブル(第1CZ中AT抽選テーブル~第3CZ中AT抽選テーブル)のアドレスを構築するために実行するアドレス構築処理の制御プログラムを示す図である。
【0191】
なお、比較例のAT制御手段は、図9(B)に示す制御プログラムを開始する前に、オフセットとしてAレジスタに予め値をセットするように構成されている。AT制御手段は、設定値記憶手段に記憶されている設定値が設定1、設定2である場合には、Aレジスタに値「0」をセットし、設定値が設定3、設定4である場合には、Aレジスタに値「1」をセットし、設定値が設定5、設定6である場合には、Aレジスタに値「2」をセットする。
【0192】
比較例のAT制御手段は、まず、加算を実行する命令であるADD命令を実行し、Aレジスタにセットされているオフセットの値にAレジスタにセットされているオフセットの値を加算する。次に、AT制御手段は、ADD命令を実行し、Aレジスタにセットされている値にAレジスタにセットされている値を加算する。次に、AT制御手段は、LD命令を実行し、HLレジスタにアドレスデータテーブルT4の値「0」にあたるアドレスをセットし、アドレスデータテーブルT4を取得する。次に、AT制御手段は、ADDWB命令を実行し、HLレジスタにAレジスタの値を加算することで、Aレジスタにセットされた値に応じたアドレスデータテーブルT4のアドレスを取得する。
【0193】
これらの一連の命令を実行することで、AT制御手段は、Aレジスタにセットした値、つまり設定値記憶手段に記憶された設定値に応じたアドレスデータテーブルT4のアドレスを、HLレジスタにセットすることができる。
【0194】
次に、AT制御手段は、LD命令を実行し、HLレジスタにセットされているアドレスのデータ領域に記憶されているデータをBレジスタとCレジスタとにセットする。図9(A)に示したように、アドレスデータテーブルT4のうち値「0」、値「4」、値「8」がアドレスとして対応付けられたデータ領域には、いずれのデータ領域においても、条件テーブルのアドレスを構成するビット0~ビット15のアドレスアドレスデータが記憶されている。
【0195】
このため、AT制御手段は、LD BC,(HL)の命令を実行することで、Bレジスタに条件テーブルのアドレスのうちビット8~ビット15のアドレスデータをセットし、Cレジスタに条件テーブルのアドレスのうちビット0~ビット7のアドレスデータをセットすることができる。具体的には、AT制御手段は、Aレジスタにセットされていたオフセットの値が値「0」であった場合、LD BC,(HL)の命令を実行することで、Bレジスタに第1当選エリアテーブルのアドレスのうちビット8~ビット15のアドレスデータをセットし、Cレジスタに第1当選エリアテーブルのアドレスのうちビット0~ビット7のアドレスデータをセットする。
【0196】
次に、AT制御手段は、INC命令を実行することで、HLレジスタにセットされているアドレスデータテーブルT4において参照するアドレスの値を1加算する。次に、AT制御手段は、INC命令を実行することで、HLレジスタにセットされているアドレスデータテーブルT4において参照するアドレスの値を1加算する。INC HLの命令を2回実行することで、AT制御手段が次に参照するアドレスデータテーブルT4のデータ領域は、現在のアドレスの値から値「2」加算されたアドレスが設定されたデータ領域となる。AT制御手段は、例えば、LD BC,(HL)の命令を実行し、Bレジスタ及びCレジスタに第1当選エリアテーブルのアドレスデータをセットしていた場合、INC HLの命令を2回実行することで、次に参照するアドレスが第1CZ中AT抽選テーブルのアドレスを構成するビット0~ビット15のアドレスデータが記憶されたデータ領域となる。
【0197】
次に、AT制御手段は、LD命令を実行し、HLレジスタにセットされているアドレスのデータ領域に記憶されているデータをDレジスタとEレジスタとにセットする。図9(A)に示したように、アドレスデータテーブルT4のうち値「2」、値「6」、値「10」がアドレスとして対応付けられたデータ領域には、いずれのデータ領域においても、抽選テーブルのアドレスデータを構成するビット0~ビット15のデータが記憶されている。
【0198】
このため、AT制御手段は、LD DE,(HL)の命令を実行することで、Dレジスタに抽選テーブルのアドレスのうちビット8~ビット15のアドレスデータをセットし、Eレジスタに抽選テーブルのアドレスのうちビット0~ビット7のアドレスデータをセットすることができる。具体的には、AT制御手段は、Aレジスタにセットされていたオフセットの値が値「0」であった場合、LD DE,(HL)の命令を実行することで、Dレジスタに第1CZ中AT抽選テーブルのアドレスのうちビット8~ビット15のアドレスデータをセットし、Eレジスタに第1CZ中AT抽選テーブルのアドレスのうちビット0~ビット7のアドレスデータをセットする。
【0199】
以上の制御プログラムを実行することで、AT制御手段は、BCレジスタに条件テーブルのアドレスを示すビット0~ビット15のアドレスデータを構築し、DEレジスタに抽選テーブルのアドレスを示すビット0~ビット15のアドレスデータを構築することができる。
【0200】
なお、AT制御手段は、第1当選エリアテーブル及び第1CZ中AT抽選テーブルと、第2当選エリアテーブル及び第2CZ中AT抽選テーブルと、第3当選エリアテーブル及び第3CZ中AT抽選テーブルと、のいずれの条件テーブル及び抽選テーブルを取得する場合にも、取得する条件テーブル及び抽選テーブルに対応するオフセットの値をAレジスタに設定してから図9(B)に示した制御プログラムを実行することで取得する条件テーブル及び抽選テーブルのアドレスを構築することができる。
【0201】
<比較例の通常中AT抽選で用いられるアドレスデータテーブル>
図10(A)は、比較例のAT制御手段が通常中AT抽選を実行する場合に参照するアドレスデータテーブルT5を示す図である。
【0202】
図10(A)に示すように、アドレスデータテーブルT5には、抽選テーブルである第1通常中AT抽選テーブル~第6通常中AT抽選テーブルのアドレスのうちビット0~ビット15のアドレスデータが記憶されている。
【0203】
アドレスデータテーブルT5において、値「0」がアドレスとして対応付けられたデータ領域には、第1通常中AT抽選テーブルのアドレスのうちビット0~ビット15の2バイトのアドレスデータが記憶され、値「2」がアドレスとして対応付けられたデータ領域には、第2通常中AT抽選テーブルのアドレスのうちビット0~ビット15の2バイトのアドレスデータが記憶され、値「4」がアドレスとして対応付けられたデータ領域には、第3通常中AT抽選テーブルのアドレスのうちビット0~ビット15の2バイトのアドレスデータが記憶され、値「6」がアドレスとして対応付けられたデータ領域には、第4通常中AT抽選テーブルのアドレスのうちビット0~ビット15の2バイトのアドレスデータが記憶され、値「8」がアドレスとして対応付けられたデータ領域には、第5通常中AT抽選テーブルのアドレスのうちビット0~ビット15の2バイトのアドレスデータが記憶され、値「10」がアドレスとして対応付けられたデータ領域には、第6通常中AT抽選テーブルのアドレスのうちビット0~ビット15の2バイトのアドレスデータが記憶されている。
【0204】
このため、比較例のスロットマシンにおいて、通常中AT抽選の実行時に用いられるアドレスデータテーブルT5は、抽選テーブルのアドレスを構成するアドレスデータが合計12バイト記憶されたデータテーブルとなっている。
【0205】
<比較例の通常中AT抽選の実行時におけるアドレス構築処理>
図10(B)は、比較例のスロットマシンが通常中AT抽選において使用する抽選テーブル(第1通常中AT抽選テーブル~第6通常中AT抽選テーブル)のアドレスを構築するために実行するアドレス構築処理の制御プログラムを示す図である。
【0206】
なお、比較例のAT制御手段は、図10(B)に示す制御プログラムを開始する前に、オフセットとしてAレジスタに予め値をセットするように構成されている。AT制御手段は、設定値記憶手段に記憶されている設定値が設定1である場合には、Aレジスタに値「0」をセットし、設定値が設定2である場合には、Aレジスタに値「1」をセットし、設定値が設定3である場合には、Aレジスタに値「2」をセットし、設定値が設定4である場合には、Aレジスタに値「3」をセットし、設定値が設定5である場合には、Aレジスタに値「4」をセットし、設定値が設定6である場合には、Aレジスタに値「5」をセットする。
【0207】
比較例のAT制御手段は、まず、加算を実行する命令であるADD命令を実行し、Aレジスタにセットされているオフセットの値にAレジスタにセットされているオフセットの値を加算する。次に、AT制御手段は、LD命令を実行し、HLレジスタにアドレスデータテーブルT5の値「0」にあたるアドレスをセットし、アドレスデータテーブルT5を取得する。次に、AT制御手段は、ADDWB命令を実行し、HLレジスタにAレジスタの値を加算することで、Aレジスタにセットされた値に応じたアドレスデータテーブルT5のアドレスを取得する。
【0208】
これらの一連の命令を実行することで、AT制御手段は、Aレジスタにセットした値、つまり設定値記憶手段に記憶された設定値に応じたアドレスデータテーブルT5のアドレスを、HLレジスタにセットすることができる。
【0209】
次に、AT制御手段は、LD命令を実行し、HLレジスタにセットされているアドレスのデータ領域に記憶されているデータをBレジスタとCレジスタとにセットする。AT制御手段は、LD BC,(HL)の命令を実行することで、Bレジスタに抽選テーブルのアドレスのうちビット8~ビット15のアドレスデータをセットし、Cレジスタに抽選テーブルのアドレスのうちビット0~ビット7のアドレスデータをセットすることができる。具体的には、AT制御手段は、Aレジスタにセットされていたオフセットの値が値「0」であった場合、LD BC,(HL)の命令を実行することで、Bレジスタに第1通常中AT抽選テーブルのアドレスのうちビット8~ビット15のアドレスデータをセットし、Cレジスタに第1通常中AT抽選テーブルのアドレスのうちビット0~ビット7のアドレスデータをセットする。
【0210】
以上の制御プログラムを実行することで、AT制御手段は、BCレジスタに抽選テーブルのアドレスを示すビット0~ビット15のアドレスデータを構築することができる。
【0211】
なお、AT制御手段は、第1通常中AT抽選テーブル~第6通常中AT抽選テーブルのいずれの抽選テーブルを取得する場合にも、取得する抽選テーブルに対応するオフセットの値をAレジスタに設定してから図10(B)に示した制御プログラムを実行することで取得する抽選テーブルのアドレスを構築することができる。
【0212】
<実施形態のアドレスデータテーブルと比較例のアドレスデータテーブルとの比較>
図11(A)は、1つのオフセットの値から2つのデータテーブルを取得するために、実施形態のスロットマシン1が有するアドレスデータテーブルT1と、比較例のスロットマシンが有するアドレスデータテーブルT4と、のデータ容量を示す図である。図11(A)に示すように、本実施形態のスロットマシン1が有するアドレスデータテーブルT1は、条件テーブルを記憶するデータ領域と、抽選テーブルを記憶するデータ領域と、の合計が9バイトとなるように構成されている。一方、比較例のスロットマシンが有するアドレスデータテーブルT4は、条件テーブルを記憶するデータ領域と、抽選テーブルを記憶するデータ領域と、の合計が12バイトとなるように構成されている。
【0213】
つまり、本実施形態のスロットマシン1は、1バイトのデータ領域において、上位4ビットに条件テーブルのアドレスのうちビット8~ビット11のアドレスデータを記憶させ、下位4ビットに抽選テーブルのアドレスのうちビット8~ビット11のアドレスデータを記憶させ、条件テーブルのアドレスを構築する場合と抽選テーブルのアドレスを構築する場合とで共通のデータ領域からデータを取得する構成のアドレスデータテーブルT1のデータ容量について、1つのデータ領域に1種類のデータを記憶させ、条件テーブルのアドレスを構築する場合と抽選テーブルのアドレスを構築する場合とで異なるデータ領域からデータを取得する構成のアドレスデータテーブルT4のデータ容量の0.75倍のデータ容量で構成することができる。
【0214】
図11(B)は、1つのオフセットの値から1つのデータテーブルを取得するために、実施形態のスロットマシン1が有するアドレスデータテーブルT2、アドレスデータテーブルT3と、比較例のスロットマシンが有するアドレスデータテーブルT5と、のデータ容量を示す図である。図11(B)に示すように、本実施形態のスロットマシン1が有するアドレスデータテーブルT2、アドレスデータテーブルT3は、抽選テーブルを記憶するデータ領域の合計が9バイトとなるように構成されている。一方、比較例のスロットマシンが有するアドレスデータテーブルT5は、抽選テーブルを記憶するデータ領域の合計が12バイトとなるように構成されている。
【0215】
つまり、本実施形態のスロットマシン1は、1バイトのデータ領域において、上位4ビットに1つの抽選テーブル(第1抽選テーブル)のアドレスのうちビット8~ビット11のアドレスデータを記憶させ、下位4ビットに上位4ビットに記憶されている第1抽選テーブルとは異なる抽選テーブル(第2抽選テーブル)のアドレスのうちビット8~ビット11のアドレスデータを記憶させ、第1抽選テーブルのアドレスを構築する場合と第2抽選テーブルのアドレスを構築する場合とで共通のデータ領域からデータを取得する構成のアドレスデータテーブルT2、アドレスデータテーブルT3のデータ容量について、1つのデータ領域に1種類のデータを記憶させ、アドレスを構築する抽選テーブルによって異なるデータ領域からデータを取得する構成のアドレスデータテーブルT5のデータ容量の0.75倍のデータ容量で構成することができる。
【0216】
また、図11(A)、(B)に示したように、本実施形態のスロットマシン1は、1つのオフセットの値から2つのデータテーブルを取得する場合と、1つのオフセットの値から1つのデータテーブルを取得する場合と、のいずれにもおいても、従来実施されてきた比較例のスロットマシンが有するアドレスデータテーブルのデータ容量よりも、データテーブルのデータ容量を0.75倍にすることができるようになっている。また、スロットマシン1においては、図示は省略しているものの、データテーブルについて、100種類以上有する構成となっており、各データテーブルを取得する場合に用いられるアドレスデータテーブルにおいて、複数のデータテーブルに対して共通のデータ領域からデータを取得する構成のアドレスデータテーブルを用いる構成とすることで、複数のアドレスデータテーブルのすべてにおいて、データ容量を比較例のスロットマシンが有するアドレスデータテーブルのデータ容量の0.75倍で構成することができる。
【0217】
また、本実施形態のスロットマシン1は、各データテーブルを取得するために用いるプログラムのデータ容量について、比較例のスロットマシン1が各データテーブルを取得するために用いるプログラムのデータ容量よりも大きくなっているものの、データテーブルの種類が増えた場合におけるプログラムのデータ容量については、オフセットの値を変更するだけで対応できる構成となっていることから、データテーブルの種類の増加に伴うデータ容量の増加が起こらない構成となっている。
【0218】
このような構成である本実施形態のスロットマシン1は、データテーブルの種類が増えた場合においてもプログラムのデータ容量がデータテーブルの種類の増加の影響を略受けず増加が防がれる構成となっているため、データテーブルの種類が増えるほど、アドレスデータテーブルのデータ容量の圧縮効果を大きくすることができる。
【0219】
4.本実施形態のまとめ
以上のように、本実施形態のスロットマシン1は、1つのオフセットから2つのデータテーブルを取得する場合において、条件テーブルのアドレスを構築する場合と、抽選テーブルのアドレスを構築する場合と、のいずれにおいても、アドレスのうちビット8~ビット11のアドレスデータについて共通のデータ領域(アドレスデータテーブルT1(図5参照)において値「0」、値「3」、値「6」の値がアドレスとして対応付けられたデータ領域)からアドレスデータを取得してアドレスを構築することで、条件テーブルのアドレスを構築する場合と、抽選テーブルのアドレスを構築する場合と、でそれぞれ異なるデータ領域からアドレスデータを取得する構成と比べて、スロットマシン1に記憶されるアドレスデータテーブルのデータ容量を0.75倍に圧縮することができる。
【0220】
また、本実施形態のスロットマシン1は、1つのオフセットから1つのデータテーブルを取得する場合において、第1データテーブルのアドレスを構築する場合と、第2データテーブルのアドレスを構築する場合と、のいずれにおいても、アドレスのうちビット8~ビット11のアドレスデータについて共通のデータ領域(アドレスデータテーブルT3(図7参照)において値「0」、値「1」、値「2」の値がアドレスとして対応付けられたデータ領域)からデータを取得してアドレスを構築することで、アドレスを構築する抽選テーブルによって異なるデータ領域からデータを取得してアドレスを構築する構成と比べて、スロットマシン1に記憶されるアドレスデータテーブルのデータ容量を0.75倍に圧縮することができる。
【0221】
また、本実施形態のスロットマシン1は、1つのオフセットから2つのデータテーブルを取得する場合において、条件テーブルのアドレスを構築する場合と、抽選テーブルのアドレスを構築する場合と、のいずれにおいても共通してアドレスデータが取得される1バイトのデータ領域について、それぞれ4ビットに分割された条件テーブルのアドレスデータと抽選テーブルのアドレスデータとを、上位4ビットの領域と下位4ビットの領域とに分割して記憶させ、条件テーブルのアドレスを構築する場合には上位4ビットから取得したアドレスデータに基づきアドレスを構築し、抽選テーブルのアドレスを構築する場合には下位4ビットから取得したアドレスデータに基づきアドレスを構築することで、条件テーブルのアドレスを構築する場合と、抽選テーブルのアドレスを構築する場合と、でそれぞれ異なるデータ領域からアドレスデータを取得する構成と比べて、スロットマシン1に記憶されるアドレスデータテーブルのデータ容量を0.75倍に圧縮することができる。
【0222】
また、本実施形態のスロットマシン1は、1つのオフセットから1つのデータテーブルを取得する場合において、第1データテーブルのアドレスを構築する場合と、第2データテーブルのアドレスを構築する場合と、のいずれにおいても共通してアドレスデータが取得される1バイトのデータ領域について、それぞれ4ビットに分割された第1データテーブルのアドレスデータと第2データテーブルのアドレスデータとを、上位4ビットの領域と下位4ビットの領域とに分割して記憶させ、第1データテーブルのアドレスを構築する場合には上位4ビットから取得したアドレスデータに基づきアドレスを構築し、第2データテーブルのアドレスを構築する場合には下位4ビットから取得したアドレスデータに基づきアドレスを構築することで、アドレスを構築する抽選テーブルによって異なるデータ領域からアドレスデータを取得してアドレスを構築する構成と比べて、スロットマシン1に記憶されるアドレスデータテーブルのデータ容量を0.75倍に圧縮することができる。
【0223】
5.変形例
なお、本実施形態において、スロットマシン1は、1つのオフセットに対して2つのアドレスが対応付けられているアドレスデータテーブルT1(図5参照)において、第1情報として、条件テーブルのアドレスのうちビット8~ビット11のアドレスデータと、抽選テーブルのアドレスのうちビット8~ビット11のアドレスデータと、のそれぞれデータの内容が異なる2種類であり、1バイトを4ビットに分割した2つのアドレスデータを有し、条件テーブルのアドレスを構築する場合には条件テーブルのアドレスのうちビット8~ビット11のアドレスデータを用い、抽選テーブルのアドレスを構築する場合には抽選テーブルのアドレスのうちビット8~ビット11のアドレスデータを用いるように構成されているが、これに限定されない。スロットマシン1は、例えば、条件テーブルのアドレスのうちビット8~ビット15のアドレスデータと、抽選テーブルのアドレスのうちビット8~ビット15のアドレスデータと、を同一の内容に構成することで、第1情報として1バイトから構成された1種類のアドレスデータをアドレスデータテーブルT1に有するように構成されていてもよい。
【0224】
また、1つのオフセットに対して1つのアドレスが対応付けられているアドレスデータテーブルT3(図7参照)においても、例えば、第1通常中AT抽選テーブルのアドレスのうちビット8~ビット15のアドレスデータと、第2通常中AT抽選テーブルのアドレスのうちビット8~ビット15のアドレスデータと、を同一の内容に構成することで、第1情報として1バイトから構成された1種類のアドレスデータをアドレスデータテーブルT3に有するように構成されていてもよい。
【0225】
また、本実施形態において、スロットマシン1は、分割サイズとして、1バイトを4ビットに分割したアドレスデータを有するように構成されているが、これに限定されない。スロットマシン1は、例えば、分割サイズとして、1バイトを2ビットに分割したアドレスデータを有し、1つのデータ領域に4種のアドレスデータが記憶されるように構成されていてもよい。
【0226】
また、本実施形態において、スロットマシン1は、第2情報として1バイトのアドレスデータを有し、第3情報として1バイトのアドレスデータを有しているが、これに限定されない。スロットマシン1は、例えば、データテーブルのアドレスが4バイトから構成される場合であれば、第2情報として2バイトのアドレスデータを有し、第3情報として2バイトのアドレスデータを有していてもよい。
【0227】
また、本実施形態において、スロットマシン1は、アドレスデータテーブルT1について、3種類の条件テーブル(第1当選エリアテーブル~第3当選エリアテーブル)のアドレスデータと、3種類の抽選テーブル(第1CZ中AT抽選テーブル~第3CZ中AT抽選テーブル)のアドレスデータと、が記憶されているが、これに限定されない。スロットマシン1は、例えば、オフセットの値として値「0」~値「5」の6種の値を設定可能にし、アドレスデータテーブルT1に6種類の条件テーブル(第1当選エリアテーブル~第6当選エリアテーブル)のアドレスデータと、6種類の抽選テーブル(第1CZ中AT抽選テーブル~第6CZ中AT抽選テーブル)のアドレスデータと、が記憶されるように構成されていてもよい。
【0228】
このように構成された場合、スロットマシン1は、条件テーブルのアドレスを構築する場合と、抽選テーブルのアドレスを構築する場合と、のいずれにおいても、アドレスのうちビット8~ビット11のアドレスデータについて共通のデータ領域からアドレスデータを取得してアドレスを構築することで、アドレスデータテーブルT1に記憶されるアドレスデータのデータ容量が、合計で18バイトとなる。
【0229】
また、6種類の条件テーブルのアドレスデータと、6種類の抽選テーブルのアドレスデータと、をアドレスデータテーブルのそれぞれ異なるデータ領域から取得するように構成された場合には、合計で24バイトとなる。
【0230】
つまり、スロットマシン1は、条件テーブルのアドレスを構築する場合と、抽選テーブルのアドレスを構築する場合と、のいずれにおいても共通のデータ領域からアドレスデータを取得する構成にした場合に、条件テーブルのアドレスを構築する場合と、抽選テーブルのアドレスを構築する場合と、でそれぞれ異なるデータ領域からアドレスデータを取得する構成にした場合と比べて圧縮できるデータ容量について、条件テーブルと、抽選テーブルと、の種類が増えるほど、より多くのデータ容量を圧縮することができる。
【0231】
また、本実施形態において、AT制御手段200は、設定値記憶手段191に記憶された設定値を参照してオフセットの値を設定するように構成されているが、これに限定されない。AT制御手段200は、遊技の進行に応じて取得可能なデータを参照してオフセットの値を設定するように構成されていてもよい。具体的には、AT制御手段200は、例えば、通常状態においてCZ状態への移行確率やAT状態に移行した場合におけるAT状態が継続する期間等の、指示機能に係る制御における有利さを規定するモードとして複数のモード(第1モード~第3モード)を有し、現在のモードを参照してオフセットの値を設定するように構成されていてもよい。
【0232】
また、本実施形態において、スロットマシン1は、指示機能に係る制御として、図5図8に示したアドレスデータテーブル及びアドレス構築処理を実行するように構成されているが、これに限定されない。スロットマシン1は、例えば、1つのオフセットの値から1つのアドレスを構築する場合として、内部抽選手段120による内部抽選を実行するために内部抽選テーブルのアドレスを構築する場合に、図7図8に示したアドレスデータテーブルの構造及びアドレス構築処理を実行するように構成されていてもよく、抽選テーブルが使用される抽選の具体的な構成については、本実施形態に限定されるものではない。
【0233】
また、本実施形態においては、遊技機として、外周面に複数種類の図柄が配列されている複数のリールと、遊技者による開始操作を検出するスタートスイッチと、複数のリールに対応して設けられ、各リールを停止させるための停止操作を検出するストップスイッチと、遊技の進行を制御する主制御部と、演出を制御する演出制御手段を有する副制御部を備え、主制御部が、複数種類の役の当否を決定する内部抽選を行う内部抽選手段と、スタートスイッチによる開始操作の検出に基づいて、複数のリールを回転させ、ストップスイッチによる停止操作の検出及び内部抽選手段により決定された内部抽選の結果に基づいて、回転中のリールを停止させるリール停止制御を行うリール制御手段と、複数のリールが停止した状態で、役ごとに予め定められた入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されたことに基づいて、役が入賞したと判定する入賞判定手段と、を有するスロットマシン1を例示したが、これに限らず、例えば、大当たり図柄を含む複数種類の図柄の中からいずれかを決定する図柄決定手段と、図柄が決定されてから所定の変動時間が経過すると、図柄表示部に図柄を表示させる図柄表示手段と、図柄表示部に大当たり図柄が表示されると、複数回のラウンド遊技で構成される大役遊技を実行する大役遊技実行手段と、大役遊技におけるラウンド遊技のうち予め設定された特定ラウンド遊技中に、大入賞口に入球した遊技球が特定領域に進入すると、所定の遊技利益を付与する遊技利益付与手段と、大役遊技中の演出を実行する演出実行手段と、を備えるいわゆる第一種遊技を可能なパチンコ機や、小当たり遊技中に所定の領域に遊技球が侵入することで大役遊技を開始可能な第二種遊技を可能なパチンコ機であっても本発明は適用し得る。以下、パチンコ機101について詳述する。
【0234】
<パチンコ機の機械的構成>
図12は、遊技価値(遊技球)を用いた遊技を行う遊技機であるパチンコ機101の斜視図である。図12に示すように、パチンコ機101は、略矩形状に組まれた四辺によって囲繞空間が形成される外枠2と、外枠2にヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられた中枠4と、中枠4にヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられた前枠6と、を備えている。
【0235】
中枠4は、外枠2と同様に、略矩形状に組まれた四辺によって囲繞空間が形成されている。パチンコ機101では、中枠4の囲繞空間に遊技盤30(図13参照)を保持している。また、前枠6には、ガラス製又は樹脂製の透過板11が保持されている。そして、パチンコ機101では、中枠4及び前枠6を外枠2に対して閉じると、遊技盤30においてベースとなり、パチンコ機101を正面視した場合における中枠4の前面に設置される遊技板31(図13参照)と透過板11とが所定の間隔を維持して略平行に対面するとともに、パチンコ機101の正面側から、透過板11を介して遊技盤30が視認可能となる。
【0236】
前枠6の下部には、パチンコ機101の正面側に突出する操作ハンドル12が設けられている。操作ハンドル12には、遊技者によって回転操作可能な発射操作レバー12aが設けられており、遊技者が発射操作レバー12aを回転させて発射操作を行うと、発射操作レバー12aの回転角度に応じた強度で、不図示の発射機構によって遊技価値としての遊技球が発射される。このようにして発射された遊技球は、遊技盤30の遊技板31の表面である遊技盤面31a(図13参照)に設けられたレール32,33(図13参照)間を上昇して遊技領域40(図13参照)に導かれることになる。
【0237】
図13は、遊技盤30の正面図である。図13に示すように、遊技領域40は、遊技盤面31aと透過板11(図12参照)との間隔に形成される空間であって、遊技球が流下又は転動可能な領域である。遊技盤30には、遊技盤面31aに多数の釘や風車が設けられており、遊技領域40に導かれた遊技球が釘や風車に衝突して、不規則な方向に流下、転動するようにしている。
【0238】
遊技領域40は、発射機構の発射強度に応じて遊技球の進入度合いを互いに異にする第1遊技領域40L及び第2遊技領域40Rを備えている。第1遊技領域40Lは、パチンコ機101に正対した遊技者から見て遊技領域40の左側に位置し、第2遊技領域40Rは、パチンコ機101に正対した遊技者から見て遊技領域40の右側に位置している。パチンコ機101では、レール33が遊技領域40の左側の上部で途切れていることから、発射機構によって所定の強度未満の発射強度で発射された遊技球が第1遊技領域40Lに進入し、所定の強度以上の発射強度で発射された遊技球が第2遊技領域40Rに進入することになる。
【0239】
また、遊技領域40には、遊技球が入球可能な第1始動口51、第2始動口52、複数の第1一般入賞口58、第2一般入賞口59、が設けられており、詳細には、第1遊技領域40Lに進入した遊技球は、第1始動口51、複数の第1一般入賞口58に入球可能であり、第2遊技領域40Rに進入した遊技球は、第2始動口52、第2一般入賞口59に入球可能であるように構成されている。第1始動口51、第2始動口52、第1一般入賞口58、第2一般入賞口59のそれぞれに遊技球が入球すると、それぞれに設定された所定の賞球が遊技者に払い出される。なお、パチンコ機101において、賞球数は、1個以上であれば何個でもよく、また、第1始動口51、第2始動口52、第1一般入賞口58、第2一般入賞口59のそれぞれで払い出す賞球数を異ならせてもよいし、同じ賞球数に設定してもよい。パチンコ機101では、第1始動口51に遊技球が入球して払い出す賞球数を、第2始動口52に遊技球が入球して払い出す賞球数よりも少なく設定することも可能である。
【0240】
パチンコ機101では、第1始動口51内に第1始動領域が設けられ、第2始動口52内に第2始動領域が設けられている。そして、パチンコ機101では、第1始動口51又は第2始動口52に遊技球が入球して第1始動領域又は第2始動領域に遊技球が進入すると、予め設けられた複数の特別図柄の中からいずれか1つの特別図柄を決定するための内部抽選が行われる。各特別図柄には、遊技者にとって有利な特別遊技状態としての大当たり遊技の実行可否や、以後の遊技状態をどのような遊技状態にするかといった種々の特典(遊技利益)が対応付けられている。したがって、遊技者は、第1始動口51又は第2始動口52に遊技球が入球すると、所定の賞球を獲得するのと同時に、種々の特典を受ける権利獲得の抽選の機会を獲得することとなる。
【0241】
また、第2始動口52には、可動片52aが開閉可能に設けられており、可動片52aの状態に応じて、第2始動口52への遊技球の進入容易性が変化するように構成されている。具体的には、可動片52aが閉状態にあるときには、第2始動口52への遊技球の入球が不可能となり、可動片52aが開き、遊技球の直径よりも開いた状態にあるときには、第2始動口52への遊技球の入球が可能となっている。
【0242】
パチンコ機101では、第2遊技領域40Rに設けられたゲート53内の進入領域を遊技球が通過すると、普通図柄の抽選が行われ、抽選によって当たりに当選すると、可動片52aが所定時間、開状態に制御される。可動片52aが開状態に制御されることで、パチンコ機101では、可動片52aが遊技球を第2始動口52に導く受け皿として機能し、第2始動口52への遊技球の入球が容易となる。なお、パチンコ機101は、可動片52aが閉状態にあるときに、第2始動口52への遊技球の入球が不可能となるように構成されているが、第2始動口52が閉状態にある場合にも一定の頻度で遊技球が入球可能となるように構成されていてもよい。
【0243】
なお、第2遊技領域40Rの上部には、ワープ導入口56及びワープ排出口57が設けられており、第2遊技領域40Rに進入した遊技球のうち、右側を流下する遊技球はワープ導入口56から遊技盤30の背面側を通過してワープ排出口57に導かれ、再度、ゲート53の上部で第2遊技領域40Rに戻される。
【0244】
第2遊技領域40Rの下方側には、遊技球が入球可能な大入賞口65を有する大入賞口装置60が設けられている。大入賞口装置60には、開閉扉61が大入賞口65を開閉可能となるように設けられており、通常、開閉扉61が大入賞口65を閉鎖して、大入賞口65への遊技球の入球が不可能となっている。これに対して、パチンコ機101では、大当たり遊技が実行されると、開閉扉61が開放されて、大入賞口65への遊技球の入球が可能となる。なお、大入賞口装置60には、開閉扉61の開閉と連動して上下に回動する回動部材62が設けられており、開閉扉61が開放された際に回動部材62が上方に回動して、上方から流下してくる遊技球を受け止めて大入賞口65に導き易くなる入賞補助を行うように構成されている。
【0245】
そして、大入賞口65に遊技球が入球すると、大入賞口検出センサ67により遊技球の通過が検出され、所定の賞球が遊技者に払い出される。そして、大入賞口65から入球した遊技球は、下方側に配置された排出口69を通過して大入賞口装置60の背面側から外部に排出される。なお、大入賞口検出センサ67を通過した遊技球は、遊技球検出センサである大入賞口排出検出センサ68により通過が検出され、所定時間以内に大入賞口装置60の排出口69から遊技盤30の背面に適切に排出されたか否かが検出される。
【0246】
また、第2始動口52及び大入賞口65に入球しなかった遊技球は、大入賞口装置60をそのまま通過して、第2一般入賞口59の上方に導かれ、第2一般入賞口59に入賞するか、或いはそのまま下方に流下する。なお、第2一般入賞口59は、例えば賞球を1個に設定し、第1遊技領域40Lを狙って遊技球を発射すべき状態で入賞を検出した際に、第1遊技領域40Lを狙うべき旨(つまり左打ちの推奨)を報知するように構成しておくことが可能である。
【0247】
そして、遊技領域40の最下部には、第1一般入賞口58、第1始動口51、第2始動口52、大入賞口65、第2一般入賞口59、のいずれにも入球しなかった遊技球を、遊技領域40から遊技盤30の背面側に排出する排出口55が設けられている。
【0248】
また、図12及び図13に示すように、パチンコ機101には、遊技状態の変化や各入賞口への入球の有無、各種抽選結果等の遊技の進行に応じた演出を実行する演出装置として、液晶表示装置からなる画像を表示する表示装置(表示部)としての演出表示装置4000、演出役物装置4100、さまざまな点灯態様や発光色に制御されるランプからなる演出照明装置4200、スピーカからなる楽曲出力装置4300、遊技者の演出に関する操作を受け付ける演出操作装置4500が設けられている。
【0249】
演出表示装置4000は、遊技盤30の略中央部分において、パチンコ機101の正面側から視認可能な位置に画像を表示する画像表示装置としての画像表示部4000aを備えており、パチンコ機101を正面視した場合において中枠4の背面側に設置されることで遊技板31よりも奥側に設けられている。つまり、パチンコ機101では、画像表示部4000aよりも手前に遊技板31が位置している。
【0250】
演出表示装置4000は、図12に示すように、画像表示部4000aに左側、中央、右側にそれぞれ配置された演出図柄401L、401C,401Rが変動表示され、演出図柄401L、401C,401Rの停止表示態様によって大当たり抽選結果が遊技者に報知される変動演出が実行されることとなる。
【0251】
また、演出表示装置4000の表面には、表面に微細な半円筒型が並んだシートであるレンチキュラーレンズ4000bが配置されている。パチンコ機101では、レンチキュラーレンズ4000bを介して演出表示装置4000に表示される画像を遊技者に表示することで、演出表示装置4000に3次元画像を表示する際に、3次元画像を構成する左目用3次元画像と右目用3次元画像とに視差が生じ、遊技者の左目に左目用3次元画像が視認され、遊技者の右目に右目用3次元画像が視認されるため、遊技者に3次元の画像を視認させることができるように構成されている。
【0252】
演出役物装置4100は、演出表示装置4000の画像表示部4000aよりも前方に配置され、通常、画像表示部4000aの表示を邪魔しないように縮退しているが、演出図柄401L、401C,401Rの変動表示中等に、画像表示部4000aの前方に進出するように移動する等して、遊技者に大当たりの期待感を付与するものである。
【0253】
図12及び図13に示すように、演出照明装置4200は、例えば光源としてのLEDやLEDから照射される光を拡散するレンズ等を有して構成され、演出役物装置4100や遊技盤30等に設けられており、演出表示装置4000に表示される画像等に合わせて、さまざまに点灯制御される。
【0254】
図12に示すように、楽曲出力装置4300は、前枠6の上部位置や外枠2の最下部位置に設けられた、いわゆるスピーカであって、演出表示装置4000に表示される画像等に合わせて、パチンコ機101の正面側に向けてさまざまな楽曲を出力する。なお、楽曲とは、楽音、噪音、音声、擬音等、音に関するすべての概念を含む。
【0255】
演出操作装置4500は、遊技者の押下操作を受け付ける演出押下ボタン4510と、遊技者の演出操作装置4500全体を回動させる回動操作を受け付ける演出回動レバー4520を有しており、パチンコ機101の幅方向略中央位置であって、かつ、透過板11よりも下方位置に設けられている。演出操作装置4500は、演出表示装置4000に表示される画像等に合わせて有効化され、操作有効期間内に遊技者の操作を受け付けると、当該操作に応じて、演出表示装置4000や演出役物装置4100を用いたさまざまな演出が実行される。
【0256】
また、演出操作装置4500の後方には、パチンコ機101から払い出される賞球や、遊技球貸出装置から貸し出される遊技球が導かれる上皿22が設けられ、上皿22の下方に下皿24が設けられている。パチンコ機101では、上皿22が遊技球で一杯になると、上皿22に進入できない遊技球が下皿24に導かれることとなる。また、下皿24の底面には、下皿24から遊技球を排出するための球抜き孔(不図示)が形成されている。球抜き孔は、通常、開閉板(不図示)によって閉じられているが、球抜きボタン24aを押下操作することにより、上記開閉板がスライド移動する等して球抜き孔が開放され、球抜き孔から下皿24の下方に遊技球を排出することが可能となっている。
【0257】
そして、図13に示すように、遊技盤30には、遊技領域40の外方であって、かつ、遊技者が視認可能な位置に、遊技に係る種々の状況を表示するための装置として、第1特別図柄表示器71、第2特別図柄表示器72、第1特別図柄保留表示器73、第2特別図柄保留表示器74、普通図柄表示器75、普通図柄保留表示器76及び右打ち報知表示器77(図14参照)を有する情報表示装置70が設けられている。
【0258】
<パチンコ機の制御的構成>
図14は、パチンコ機101の各部を示すブロック図である。主制御基板で構成される主制御部1000は、遊技の進行を制御し、メインCPU1000aと、メインROM1000bと、メインRAM1000cと、を備えている。メインCPU1000aは、各検出スイッチや払出・発射制御部3000からの入力信号に基づいて、メインROM1000bに記憶されたプログラムを読み出して演算処理を行うとともに、各装置や表示器を直接制御したり、あるいは演算処理の結果に応じて他の制御部に主制御部1000で生成したコマンドを送信したりすることで、遊技の進行に係る制御処理を実行する。メインRAM1000cは、メインCPU1000aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。
【0259】
主制御部1000には、第1一般入賞口58に遊技球が入球したことを検出する第1一般入賞口検出スイッチ58sと、第2一般入賞口59に遊技球が入球したことを検出する第2一般入賞口検出スイッチ59sと、第1始動口51に遊技球が入球したことを検出する第1始動口検出スイッチ51sと、第2始動口52に遊技球が入球したことを検出する第2始動口検出スイッチ52sと、ゲート53を遊技球が通過したことを検出するゲート検出スイッチ53sと、大入賞口65に遊技球が入球したことを検出する大入賞口検出センサ67(図13参照)に設けられた大入賞口検出スイッチ65sと、大入賞口65から遊技球が排出されたことを検出する大入賞口排出検出センサ68(図13参照)に設けられた大入賞口排出検出スイッチ68sとが接続されており、各検出スイッチから出力される検出信号が主制御部1000に入力されるよう構成されている。
【0260】
また、主制御部1000には、第2始動口52の可動片52aを作動する普通電動役物ソレノイド52soと、大入賞口65を開閉する開閉扉61を作動する大入賞口ソレノイド61soと、回動部材62を作動する大入賞口補助ソレノイド62soとが接続されており、主制御部1000によって、第2始動口52及び大入賞口65の開閉制御、大入賞口65への入賞補助制御が実行されるよう構成されている。
【0261】
また、主制御部1000には、第1特別図柄表示器71と、第2特別図柄表示器72と、第1特別図柄保留表示器73と、第2特別図柄保留表示器74と、普通図柄表示器75と、普通図柄保留表示器76と、右打ち報知表示器77と、が接続されており、主制御部1000によって、これら各表示器の表示制御が実行される。
【0262】
パチンコ機101では、主に第1始動口51又は第2始動口52への遊技球の入球によって開始される特別遊技と、ゲート53を遊技球が通過することによって開始される普通遊技と、に遊技の種別が大別される。そして、主制御部1000のメインROM1000bには、特別遊技及び普通遊技を進行するための種々のプログラムや、各種の遊技に必要なデータ、テーブルが記憶されている。
【0263】
メインCPU1000aでは、例えば、発生させた乱数を用いて実行する特別図柄の当否に係る内部抽選、普通電動役物ソレノイド52soに信号を出力し可動片52aを作動させる制御、大入賞口ソレノイド61soに信号を出力し開閉扉61を作動させる制御、大入賞口補助ソレノイド62soに信号を出力し回動部材を作動させる制御、内部抽選における特別図柄の当選確率を変更する制御等、遊技の進行に係る制御を実行する。メインCPU1000aは、各制御の結果や、各検出スイッチから入力された検出信号をコマンド(主制御コマンド)に変換し、払出・発射制御部3000や副制御部2000に送信する。なお、特別図柄の当選確率を変更する制御とは、大当たり遊技の終了後の遊技状態を、内部抽選における特別図柄の当選確率を、通常の確率とする通常状態と、通常の確率よりも上昇する確変状態と、のいずれかに決定する遊技状態決定制御のことを指している。
【0264】
払出・発射制御部3000は、遊技球を発射させるための制御及び賞球を払い出すための制御を行う。払出・発射制御部3000も、主制御部1000と略同様に、図示を省略したCPU、ROM、RAMを備えており、主制御部1000に対して双方向に通信可能に接続されている。払出・発射制御部3000には、遊技情報出力端子板3110が接続されており、主制御部1000から出力される遊技進行上の種々の情報が、払出・発射制御部3000及び遊技情報出力端子板3110を介して、外部カウンタや遊技店のホールコンピュータ等に出力されることとなる。
【0265】
また、払出・発射制御部3000には、貯留部に貯留された遊技球を賞球として遊技者に払い出すための払出モータ3120が接続されている。払出・発射制御部3000は、主制御部1000から送信された払出個数指定コマンドに基づいて払出モータ3120を制御して所定の賞球を遊技者に払い出すように制御する。このとき、パチンコ機101では、払い出された遊技球数が払出球計数スイッチ3130sによって検出され、払い出すべき賞球が遊技者に払い出されたかが把握されるように構成されている。
【0266】
また、払出・発射制御部3000には、下皿24の満タン状態を検出する皿満タン検出スイッチ3140sが接続されている。皿満タン検出スイッチ3140sは、遊技球を上皿22から下皿24に導く通路に設けられており、皿満タン検出スイッチ3140sにおける遊技球の有無を遊技球検出信号として払出・発射制御部3000に出力するように構成されている。即ち、払出・発射制御部3000は、遊技球検出信号が所定時間連続して入力された場合に、下皿24が満タン状態であると判断し、遊技球検出信号の連続入力が途絶えた場合には、満タン状態が解除されたと判断する。なお、下皿24が満タン状態であると判断される場合、例えば副制御部2000が演出表示装置4000や楽曲出力装置4300等を用いて遊技者に下皿24が満タン状態であることを報知する。
【0267】
また、払出・発射制御部3000には、遊技球の発射制御を行う払出・発射制御回路3010が設けられている。払出・発射制御部3000には、操作ハンドル12に設けられ、当該操作ハンドル12に遊技者が触れたことを検出するタッチセンサ12sと、発射操作レバー12aの操作角度を検出する操作ボリューム12vと、が接続されている。そして、タッチセンサ12s及び操作ボリューム12vから信号が入力されると、払出・発射制御回路3010において、遊技球発射装置に設けられた発射用ソレノイド12soを通電して遊技球を発射させる制御が実行される。
【0268】
副制御基板で構成され、遊技に関する演出を制御する演出制御部としての副制御部2000は、主に遊技中や待機中等の各演出を制御し、サブCPU2000aと、サブROM2000bと、サブRAM2000cと、を備えている。なお、パチンコ機101においては、主制御部1000に対して、不正防止の観点により、当該主制御部1000から副制御部2000への一方向にのみ通信可能に接続されている。
【0269】
サブCPU2000aは、主制御部1000から送信されたコマンド等に基づいて、サブROM2000bに記憶されたプログラムを読み出して演算処理を行うとともに、演出表示装置4000に画像を表示させる制御である画像表示制御や、演出役物装置4100を駆動させたり発光させたりする演出役物制御、演出照明装置4200を点灯させる点灯制御、楽曲出力装置4300から楽曲を出力させる楽曲出力制御等の演出に係る制御を実行する演出制御手段として機能するように構成されている。サブRAM2000cは、サブCPU2000aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。
【0270】
また、副制御部2000には、演出操作装置4500の演出押下ボタン4510への遊技者の押下操作を検出する押下操作検出スイッチ4510sと演出回動レバー4520への遊技者の回動操作を検出する回動操作検出スイッチ4520sとが接続されている。押下操作検出スイッチ4510sは、遊技者による演出押下ボタン4510の押下操作を検出すると、演出押下操作検出信号を副制御部2000に出力し、また、回動操作検出スイッチ4520sは、遊技者による演出回動レバー4520の回動操作を検出すると、演出回動操作検出信号を副制御部2000に出力する。そして、副制御部2000は、これら演出押下操作検出信号や演出回動操作検出信号等の副制御部2000に入力される信号や、遊技の進行等に基づき、演出表示装置4000、演出役物装置4100、演出照明装置4200、楽曲出力装置4300等を用いた演出を実行する。
【0271】
なお、パチンコ機101には、例えば1000Vの電圧からなる商用電源の電力を入力し、電源として機能する不図示の電源ユニットが備えられており、電源ユニットは、商用電源の1000Vの電圧を、例えば24V(或いは12Vでもよい)の電圧に降圧して各部に供給する第1降圧回路と、例えば5Vの電圧に降圧して各部に供給する第2降圧回路とを有している。なお、島設備に供給されている例えば24Vの電圧からなる電力をそのまま入力するものでもよく、その場合、第1降圧回路は不要である。
【0272】
第1降圧回路からの例えば24Vの電圧の電力は、主制御部1000、副制御部2000、普通電動役物ソレノイド52so、大入賞口ソレノイド61so、大入賞口補助ソレノイド62so、第1特別図柄表示器71、第2特別図柄表示器72、第1特別図柄保留表示器73、第2特別図柄保留表示器74、普通図柄表示器75、普通図柄保留表示器76、右打ち報知表示器77、払出モータ3120、発射用ソレノイド12so、演出表示装置4000、演出役物装置4100、演出照明装置4200、楽曲出力装置4300等に送電され、それらの駆動電力や発光電力として用いられる。
【0273】
また、第2降圧回路からの例えば5Vの電圧の電力は、第1一般入賞口検出スイッチ58s、第2一般入賞口検出スイッチ59s、第1始動口検出スイッチ51s、第2始動口検出スイッチ52s、ゲート検出スイッチ53s、大入賞口検出スイッチ65s、大入賞口排出検出スイッチ68s、払出球計数スイッチ3130s、皿満タン検出スイッチ3140s、タッチセンサ12s、操作ボリューム12v、押下操作検出スイッチ4510s、回動操作検出スイッチ4520s等に送電され、それらのセンサやスイッチの駆動電力として用いられる。
【0274】
また、主制御部1000においては、第1降圧回路からの例えば24Vの電圧の電力をさらに例えば5Vの電圧の電力に降圧し、この例えば5Vの電圧の電力は、メインCPU1000a、メインROM1000b、メインRAM1000c、払出・発射制御回路3010の駆動電力として用いられる。
【0275】
そして、副制御部2000においても、第1降圧回路からの例えば24Vの電圧の電力をさらに例えば3.3V(或いは1.2Vでもよい)の電圧の電力に降圧し、この例えば3.3Vの電圧の電力は、サブCPU2000a、サブROM2000b、サブRAM2000cの駆動電力として用いられる。
【0276】
パチンコ機101は、通常状態と、確変状態と、を含む複数の遊技状態のうち現在の遊技状態に応じた内部抽選テーブルを取得するために、遊技状態に応じた内部抽選テーブルを規定した条件テーブルとして、複数の遊技状態テーブル(第1データテーブル)を有し、内部抽選で用いる抽選テーブルとして複数の内部抽選テーブル(第2データテーブル)を有し、遊技状態テーブルのアドレス(2バイト)を構築するアドレスデータと、内部抽選テーブルのアドレス(2バイト)を構築するアドレスデータと、を記憶したアドレスデータテーブルと、を記憶手段としてのメインROM1000bに記憶させている。
【0277】
アドレスデータテーブルは、それぞれ1バイト(所定のサイズ)に区切られた複数の区画としてのデータ領域を有しており、第1区画に相当するデータ領域に、遊技状態テーブルのアドレスのうちビット8~ビット11の4ビット(分割サイズ)のアドレスデータ(第1情報、第1分割情報)と、内部抽選テーブルのアドレスのうちビット8~ビット11の4ビット(分割サイズ)のアドレスデータ(第1情報、第2分割情報)と、が記憶され、第2区画に相当するデータ領域に、遊技状態テーブルのアドレスのうちビット0~ビット7のアドレスデータ(第2情報)が記憶され、第3区画に相当するデータ領域に、内部抽選テーブルのアドレスのうちビット0~ビット7のアドレスデータ(第3情報)が記憶されている。
【0278】
メインCPU1000aは、アドレスデータテーブルの第1区画に相当するデータ領域から遊技状態テーブルのアドレスのうちビット8~ビット11のアドレスデータを取得し、第2区画に相当するデータ領域から遊技状態テーブルのアドレスのうちビット0~ビット7のアドレスデータを取得し、SET命令を実行しビット12に値「1」をセットし、ビット13~ビット15のそれぞれに値「0」をセットすることで、遊技状態テーブルのアドレスを構築する。
【0279】
また、メインCPU1000aは、アドレスデータテーブルの第1区画に相当するデータ領域から内部抽選テーブルのアドレスのうちビット8~ビット11のアドレスデータを取得し、第3区画に相当するデータ領域から内部抽選テーブルのアドレスのうちビット0~ビット7のアドレスデータを取得し、SET命令を実行しビット12に値「1」をセットし、ビット13~ビット15のそれぞれに値「0」をセットすることで、内部抽選テーブルのアドレスを構築する。
【0280】
パチンコ機101は、遊技状態テーブルのアドレスを構築する場合と、内部抽選テーブルのアドレスを構築する場合と、のいずれにおいても、アドレスのうちビット8~ビット11のアドレスデータについて共通のデータ領域からアドレスデータを取得してアドレスを構築することで、遊技状態テーブルのアドレスを構築する場合と、内部中抽選テーブルのアドレスを構築する場合と、でそれぞれ異なるデータ領域からアドレスデータを取得する構成と比べて、パチンコ機101に記憶されるアドレスデータテーブルのデータ容量を0.75倍に圧縮することができる。
【0281】
また、パチンコ機101は、遊技状態テーブルのアドレスを構築する場合と、内部抽選テーブルのアドレスを構築する場合と、のいずれにおいても共通してアドレスデータが取得される1バイトのデータ領域について、それぞれ4ビットに分割された遊技状態テーブルのアドレスデータと内部抽選テーブルのアドレスデータとを、上位4ビットの領域と下位4ビットの領域とに分割して記憶させ、遊技状態テーブルのアドレスを構築する場合には上位4ビットから取得したアドレスデータに基づきアドレスを構築し、内部抽選テーブルのアドレスを構築する場合には下位4ビットから取得したアドレスデータに基づきアドレスを構築することで、遊技状態テーブルのアドレスを構築する場合と、内部抽選テーブルのアドレスを構築する場合と、でそれぞれ異なるデータ領域からアドレスデータを取得する構成と比べて、パチンコ機101に記憶されるアドレスデータテーブルのデータ容量を0.75倍に圧縮することができる。
【符号の説明】
【0282】
1 スロットマシン(遊技機)
101 パチンコ機(遊技機)
197 AT制御データ記憶手段(記憶手段)
1000b メインROM(記憶手段)
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