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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155365
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】ステータコア製造装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 15/02 20060101AFI20221005BHJP
   H02K 1/12 20060101ALI20221005BHJP
   B21D 28/02 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
H02K15/02 D
H02K1/12
B21D28/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021058818
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142022
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一晃
(74)【代理人】
【識別番号】100196623
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 計介
(72)【発明者】
【氏名】亀山 和久
(72)【発明者】
【氏名】南梨 智宏
(72)【発明者】
【氏名】服部 祥弘
【テーマコード(参考)】
5H601
5H615
【Fターム(参考)】
5H601AA09
5H601KK01
5H601KK08
5H601KK22
5H601KK29
5H615AA01
5H615PP01
5H615PP06
5H615SS03
5H615SS05
5H615SS16
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ステータコアの製造ラインにおいて、生産性を向上可能なステータコア製造装置を提供する。
【解決手段】複数のコア板が厚み方向に積層されたコアブロックMを用いてステータコアを製造する装置である。ステータコア製造装置1は、前記ステータコアを製造する複数の製造装置の間で前記コアブロックを搬送する搬送路の一部を構成するバッファ部を有する。前記バッファ部は、前記コアブロックが搬入される搬入部と、前記コアブロックが搬出される搬出部と、前記搬入部と前記搬出部との間で前記コアブロックを保持する保持部と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコア板が厚み方向に積層されたコアブロックによって構成されるステータコアの製造に用いられるステータコア製造装置であって、
前記ステータコアを製造する複数の製造装置の間で前記コアブロックを搬送する搬送路の一部を構成するバッファ部を有し、
前記バッファ部は、
前記コアブロックが搬入される搬入部と、
前記コアブロックが搬出される搬出部と、
前記搬入部と前記搬出部との間で前記コアブロックを保持する保持部と、
を有する、ステータコア製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載のステータコア製造装置において、
前記バッファ部は、前記コアブロックを前記搬入部から前記搬出部に向かって移動させるコアブロック移動部を有する、ステータコア製造装置。
【請求項3】
請求項2に記載のステータコア製造装置において、
前記搬入部及び前記搬出部は、上下方向の異なる位置に位置し、
前記コアブロック移動部は、前記コアブロックを、前記搬入部から前記搬出部に向かって上下方向に移動させる、ステータコア製造装置。
【請求項4】
請求項3に記載のステータコア製造装置において、
前記保持部は、
前記搬入部と前記搬出部との間に上下方向に並んで位置し、前記コアブロックが載置される複数のトレーを有する、ステータコア製造装置。
【請求項5】
請求項4に記載のステータコア製造装置において、
前記コアブロック移動部は、前記コアブロックを、前記複数のトレーのうち前記搬入部側に位置するトレーから前記搬出部側に位置するトレーへ移動させる、ステータコア製造装置。
【請求項6】
請求項5に記載のステータコア製造装置において、
前記搬出部は、前記搬入部よりも上に位置し、
前記コアブロック移動部は、前記コアブロックを、前記複数のトレーに対して前記搬入部から前記搬出部に向かって上方向へ移動させる、ステータコア製造装置。
【請求項7】
請求項4から6のいずれか一つに記載のステータコア製造装置において、
前記複数のトレーは、それぞれ、一方向に開口する複数のスリットを有し、
前記コアブロック移動部は、
前記スリットを上下方向に通過可能で上下方向に並ぶ複数の櫛歯部を有する、ステータコア製造装置。
【請求項8】
請求項4に記載のステータコア製造装置において、
前記コアブロック移動部は、前記コアブロックを、前記複数のトレーとともに、前記搬入部から前記搬出部に向かって移動させる、ステータコア製造装置。
【請求項9】
請求項8に記載のステータコア製造装置において、
前記搬出部は、前記搬入部よりも上に位置し、
前記コアブロック移動部は、前記コアブロックを、前記複数のトレーとともに、前記搬入部から前記搬出部に向かって上方向に移動させる、ステータコア製造装置。
【請求項10】
請求項3に記載のステータコア製造装置において、
前記コアブロック移動部は、
上下方向に並ぶ複数の第1突出部をそれぞれ有し、それぞれの前記第1突出部が上下方向に直交する第1方向に対向して位置し、且つ、前記第1方向において、対向する前記第1突出部によって前記コアブロックを径方向に把持する把持位置と前記コアブロックの把持を解除する解除位置とに移動可能である一対の第1把持部と、
上下方向に並ぶ複数の第2突出部をそれぞれ有し、それぞれの前記第2突出部が前記上下方向及び前記第1方向に直交する第2方向に対向して位置し、且つ、前記第2方向において、対向する前記第2突出部によって前記コアブロックを径方向に把持する把持位置と前記コアブロックの把持を解除する解除位置とに移動可能である一対の第2把持部と、
を有し、
前記一対の第1把持部は、前記一対の第2把持部に対して、上下方向に移動可能である、ステータコア製造装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一つに記載のステータコア製造装置において、
前記搬送路の一部を構成し且つ前記複数の製造装置のうち前記搬送路において前記バッファ部よりも搬送方向上流に位置する製造装置から前記バッファ部に前記コアブロックを搬送する第1搬送路の搬送出口から、前記バッファ部の前記搬入部に、前記コアブロックを搬送する搬入側移載部を有する、ステータコア製造装置。
【請求項12】
請求項11に記載のステータコア製造装置において、
前記保持部は、
前記搬入部と前記搬出部との間に上下方向に並んで位置し、前記コアブロックが載置される複数のトレーを有し、
前記搬入部は、前記コアブロックが載置されていないトレーのうち前記搬出部に最も近い位置に位置するトレーである、ステータコア製造装置。
【請求項13】
請求項12に記載のステータコア製造装置において、
前記複数のトレーには、前記搬出部側のトレーから前記搬入部側のトレーに向かって順に前記コアブロックが載置されている、ステータコア製造装置。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一つに記載のステータコア製造装置において、
前記搬出部から、前記搬送路の一部を構成し且つ前記バッファ部から前記複数の製造装置のうち前記搬送路において前記バッファ部よりも搬送方向下流に位置する製造装置に向かって延びる第2搬送路の搬送入口に、前記コアブロックを搬送する搬出側移載部を有する、ステータコア製造装置。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一つに記載のステータコア製造装置において、
前記複数の製造装置は、
前記搬送路において前記バッファ部よりも搬送方向上流に位置し、前記コア板をプレス成形して前記コアブロックを形成するプレス機と、
前記搬送路において前記バッファ部よりも搬送方向下流に位置し、前記コアブロックを複数積層した状態で溶接する溶接機と、
を含み、
前記バッファ部は、前記プレス機と前記溶接機との間で前記コアブロックを搬送する搬送路の一部を構成する、ステータコア製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータコア製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ステータコアを製造するためのステータコア製造装置が知られている。このようなステータコア製造装置として、例えば、特許文献1に開示されているように、電磁鋼板をプレス加工するプレス機が知られている。
【0003】
前記プレス機を用いてプレス加工された電磁鋼板は、前記プレス機内で厚み方向に複数積層される。積層された複数の電磁鋼板は、前記プレス装置から搬出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-75935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1に開示されるようにプレス機によってプレス加工された電磁鋼板が厚み方向に複数積層されることにより、コアブロックが形成される。複数のコアブロックを積層することにより、ステータコアが得られる。すなわち、プレス機によって電磁鋼板をプレス加工するプレス加工工程の次の工程では、ステータコア組立装置によって複数のコアブロックを積層して溶接することにより、ステータコアを形成する。
【0006】
このようなステータコアの製造過程において、プレス機による電磁鋼板のプレス加工の速度とステータコア組立装置によるステータコアの形成の速度とが異なる場合、処理速度が遅い装置の処理速度に合わせて、ステータコアの製造ラインを稼働させる必要がある。また、ステータコアの製造ラインのうち1つの装置が停止した場合には、ステータコアの製造ライン全体の稼働が停止する。
【0007】
このように、ステータコアの製造ラインの生産性は、処理速度が遅い装置の処理速度に大きく影響を受けるとともに、製造ラインのうち1つの装置が停止すると、稼働率が大きく低下する。
【0008】
これに対し、ステータコアの製造ラインにおいて、ステータコアの生産性を向上可能なステータコア製造装置が望まれている。
【0009】
本発明の目的は、ステータコアの製造ラインにおいて、ステータコアの生産性を向上可能なステータコア製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態に係るステータコア製造装置は、複数のコア板が厚み方向に積層されたコアブロックを用いてステータコアを製造する装置である。ステータコア製造装置は、前記ステータコアを製造する複数の製造装置の間で前記コアブロックを搬送する搬送路の一部を構成するバッファ部を有する。前記バッファ部は、前記コアブロックが搬入される搬入部と、前記コアブロックが搬出される搬出部と、前記搬入部と前記搬出部との間で前記コアブロックを保持する保持部と、を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一実施形態に係るステータコア製造装置によれば、ステータコアの生産性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施形態1に係るステータコアバッファ装置を含むステータコア製造ラインの一例を模式的に示す図である。
図2図2は、ステータコアバッファ装置の概略構成を示す斜視図である。
図3A図3Aは、ステータコアバッファ装置のバッファ部によって、コアブロックを保持する様子を説明する図である。
図3B図3Bは、ステータコアバッファ装置のバッファ部によって、コアブロックを保持する様子を説明する図である。
図3C図3Cは、ステータコアバッファ装置のバッファ部によって、コアブロックを保持する様子を説明する図である。
図3D図3Dは、ステータコアバッファ装置のバッファ部によって、コアブロックを保持する様子を説明する図である。
図3E図3Eは、ステータコアバッファ装置のバッファ部によって、コアブロックを保持する様子を説明する図である。
図3F図3Fは、ステータコアバッファ装置のバッファ部によって、コアブロックを保持する様子を説明する図である。
図4A図4Aは、ステータコアバッファ装置の搬出側移載部によって、コアブロックをバッファ部の搬出部からベルトコンベアに移動させる様子を説明する図である。
図4B図4Bは、ステータコアバッファ装置の搬出側移載部によって、コアブロックをバッファ部の搬出部からベルトコンベアに移動させる様子を説明する図である。
図4C図4Cは、ステータコアバッファ装置の搬出側移載部によって、コアブロックをバッファ部の搬出部からベルトコンベアに移動させる様子を説明する図である。
図4D図4Dは、ステータコアバッファ装置の搬出側移載部によって、コアブロックをバッファ部の搬出部からベルトコンベアに移動させる様子を説明する図である。
図4E図4Eは、ステータコアバッファ装置の搬出側移載部によって、コアブロックをバッファ部の搬出部からベルトコンベアに移動させる様子を説明する図である。
図5図5は、実施形態2に係るステータコアバッファ装置のバッファ部の概略構成を示す側面図である。
図6図6は、ステータコアバッファ装置のバッファ部の概略構成を示す上面図である。
図7A図7Aは、バッファ部内でコアブロックを搬入部側から搬出部側に搬送する様子を説明する図である。
図7B図7Bは、バッファ部内でコアブロックを搬入部側から搬出部側に搬送する様子を説明する図である。
図7C図7Cは、バッファ部内でコアブロックを搬入部側から搬出部側に搬送する様子を説明する図である。
図7D図7Dは、バッファ部内でコアブロックを搬入部側から搬出部側に搬送する様子を説明する図である。
図8図8は、実施形態3に係るステータコアバッファ装置の概略構成を示す斜視図である。
図9A図9Aは、ステータコアバッファ装置が、バッファ部によってコアブロックを保持しない通常動作を行う様子を説明する図である。
図9B図9Bは、ステータコアバッファ装置が、バッファ部によってコアブロックを保持しない通常動作を行う様子を説明する図である。
図9C図9Cは、ステータコアバッファ装置が、バッファ部によってコアブロックを保持しない通常動作を行う様子を説明する図である。
図9D図9Dは、ステータコアバッファ装置が、バッファ部によってコアブロックを保持しない通常動作を行う様子を説明する図である。
図9E図9Eは、ステータコアバッファ装置が、バッファ部によってコアブロックを保持しない通常動作を行う様子を説明する図である。
図10A図10Aは、ステータコアバッファ装置が、バッファ部によってコアブロックを保持するバッファ動作を行う様子を説明する図である。
図10B図10Bは、ステータコアバッファ装置が、バッファ部によってコアブロックを保持するバッファ動作を行う様子を説明する図である。
図11図11は、実施形態4に係るステータコアバッファ装置の概略構成を示す斜視図である。
図12A図12Aは、ステータコアバッファ装置が、バッファ部によってコアブロックを保持しない通常動作を行う様子を説明する図である。
図12B図12Bは、ステータコアバッファ装置が、バッファ部によってコアブロックを保持しない通常動作を行う様子を説明する図である。
図12C図12Cは、ステータコアバッファ装置が、バッファ部によってコアブロックを保持しない通常動作を行う様子を説明する図である。
図12D図12Dは、ステータコアバッファ装置が、バッファ部によってコアブロックを保持しない通常動作を行う様子を説明する図である。
図12E図12Eは、ステータコアバッファ装置が、バッファ部によってコアブロックを保持しない通常動作を行う様子を説明する図である。
図13A図13Aは、ステータコアバッファ装置が、バッファ部によってコアブロックを保持するバッファ動作を行う様子を説明する図である。
図13B図13Bは、ステータコアバッファ装置が、バッファ部によってコアブロックを保持するバッファ動作を行う様子を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。なお、図中の同一または相当部分については同一の符号を付してその説明は繰り返さない。また、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0014】
なお、以下の説明において、ステータコアバッファ装置1を設置した状態の鉛直方向を「上下方向」という。
【0015】
また、以下の説明において、“固定”、“接続”及び“取り付ける”等(以下、固定等)の表現は、部材同士が直接、固定等されている場合だけでなく、他の部材を介して固定等されている場合も含む。すなわち、以下の説明において、固定等の表現には、部材同士の直接的及び間接的な固定等の意味が含まれる。
【0016】
<実施形態1>
(ステータコア製造装置)
図1は、本発明の実施形態1に係るステータコアバッファ装置1を含むステータコア製造ラインSの一例を模式的に示す図である。ステータコア製造ラインSは、複数のコア板が厚み方向に積層されたコアブロックMによって構成されるステータコアを製造する。ステータコア製造ラインSは、ステータコアバッファ装置1と、プレス機2と、ステータコア組立装置3と、ベルトコンベアB1,B2とを有する。ステータコア製造ラインSでは、後述するプレス機2によって形成されたコアブロックMが、ベルトコンベアB1、ステータコアバッファ装置1、ベルトコンベアB2及びステータコア組立装置3の順に搬送される。
【0017】
プレス機2は、電磁鋼板をプレス加工することにより、コア板を形成する。プレス機2は、形成したコア板を厚み方向に複数積層することにより、コアブロックMを形成する。プレス機2によって形成されたコアブロックMは、プレス機2から搬出されて、ベルトコンベアB1によって、プレス機2の搬送方向下流に位置するステータコアバッファ装置1に搬送される。
【0018】
ステータコア組立装置3は、プレス機2によって形成された複数のコアブロックMを積層することにより、ステータコアを製造する。ステータコア組立装置3は、積層された複数のコアブロックMを外周側で溶接する。よって、ステータコア組立装置3は、本発明の溶接機を含む。
【0019】
プレス機2及びステータコア組立装置3は、ステータコアを製造する本発明の製造装置である。すなわち、複数の製造装置は、プレス機2及びステータコア組立装置3を含む。
【0020】
ベルトコンベアB1は、後述するプレス機2によって形成されたコアブロックMを、ステータコアバッファ装置1に搬送する。ベルトコンベアB2は、ステータコアバッファ装置1内のコアブロックMを、ステータコア組立装置3に搬送する。ベルトコンベアB1,B2の構成は、従来のベルトコンベアの構成と同様であるため、ベルトコンベアB1,B2の構成についての詳しい説明を省略する。
【0021】
ステータコアバッファ装置1は、プレス機2の搬送方向下流で且つステータコア組立装置3の搬送方向上流に位置する。ステータコアバッファ装置1には、プレス機2によって形成されたコアブロックMが搬送される。ステータコアバッファ装置1は、ステータコア組立装置3に対してコアブロックMを供給する。ステータコアバッファ装置1は、ステータコア製造ラインSの搬送路L上に位置する。
【0022】
ステータコアバッファ装置1は、プレス機2によって形成されたコアブロックMを一次的に保持するとともに、コアブロックMを所定のタイミングでステータコア組立装置3に供給する装置である。このように、ステータコアバッファ装置1は、複数のコア板が厚み方向に積層されたコアブロックMによって構成されるステータコアの製造に用いられる。ステータコアバッファ装置1が、本発明のステータコア製造装置である。
【0023】
ステータコアバッファ装置1は、プレス機2によって形成された複数のコアブロックMを一次的に保持可能であるとともに、ステータコア組立装置3に対して適切なタイミングでコアブロックMを供給可能である。図2は、ステータコアバッファ装置1の概略構成を示す斜視図である。図2に示すように、ステータコアバッファ装置1は、バッファ部10と、搬出側移載部20とを有する。
【0024】
バッファ部10は、ステータコア製造ラインSにおいてコアブロックMを搬送する搬送路Lの一部を構成し、且つ、複数のコアブロックMを一次的に保持可能である。具体的には、バッファ部10は、搬入部11と、搬出部12と、保持部13とを有する。搬入部11は、バッファ部10にコアブロックMが搬入される部分である。搬出部12は、バッファ部10からコアブロックMが搬出される部分である。保持部13は、搬入部11から搬入されたコアブロックMを、搬出部12から搬出されるまでの間、保持する。
【0025】
本実施形態では、搬入部11は、バッファ部10の下部に位置する。搬出部12は、バッファ部10の上部に位置する。よって、搬出部12は、搬入部11よりも上方に位置する。すなわち、搬入部11と搬出部12とは、上下方向の異なる位置に位置する。
【0026】
保持部13は、複数のコアブロックMを保持しつつ、保持したコアブロックMを搬入部11から搬出部12まで移動可能である。具体的には、保持部13は、一対の第1把持部14と、一対の第2把持部15と、一対の第1水平方向駆動部16と、一対の第2水平方向駆動部17と、上下方向駆動部18とを有する。一対の第1把持部14は、一対の第1水平方向駆動部16及び上下方向駆動部18を介して、図示しないフレーム等に支持されている。一対の第2把持部15は、一対の第2水平方向駆動部17を介して、図示しないフレーム等に支持されている。一対の第1把持部14及び一対の第2把持部15は、コアブロックMを径方向に把持する。
【0027】
一対の第1把持部14は、それぞれ、長方形の板状の第1本体部14aと、複数の板状の第1突出部14bとを有する。複数の第1突出部14bは、第1本体部14aに対して厚み方向の同じ側に延びている。すなわち、複数の第1突出部14bは、第1本体部14aの一方の面に直交する方向に延びている。複数の第1突出部14bは、互いに平行に上下方向に並んでいる。一対の第1把持部14は、各第1本体部14aの長手方向が上下方向と一致し且つ第1突出部14bが互いに対向した状態で配置されている。一対の第1把持部14が対向する方向が、第1方向である。
【0028】
一対の第1把持部14の第1突出部14bは、先端部に、幅方向中央部における第1突出部14bの突出方向の長さが幅方向端部における前記突出方向の長さよりも小さい第1テーパ部14cを有する。すなわち、第1突出部14bの先端部の形状は、第1把持部14を上から見て、幅方向中央部が凹んだV字状である。一対の第1把持部14の第1突出部14bが先端部に第1テーパ部14cを有することにより、一対の第1把持部14が異なる外径を有するコアブロックMを径方向に把持することができる。一対の第1把持部14の第1突出部14bは、先端部に、テーパ部を有していなくてもよい。
【0029】
第1水平方向駆動部16は、一対の第1把持部14に対して第1本体部14aにおける第1突出部14bとは反対側の面にそれぞれ接続され、例えば図示しないフレーム等に対して伸縮可能なアクチュエータである。これにより、一対の第1把持部14は、それぞれ、第1水平方向駆動部16によって第1方向に相対移動可能である。よって、一対の第1把持部14は、第1突出部14bが互いに近づく方向に移動したり、第1突出部14bが互いに離間する方向に移動したりすることが可能である。すなわち、第1水平方向駆動部16によって、一対の第1把持部14は、前記第1方向において、対向する第1突出部14bによってコアブロックMを径方向に把持する把持位置とコアブロックMの把持を解除する解除位置とに移動可能である。
【0030】
上下方向駆動部18は、一対の第1把持部14の下方に位置するとともに一対の第1把持部14に接続され、例えば図示しないフレーム等に対して伸縮可能なアクチュエータである。これにより、一対の第1把持部14は、上下方向駆動部18によって、一対の第2把持部15及びベルトコンベアB1に対して上下方向に移動可能である。本実施形態では、上下方向駆動部18は、一対の第1把持部14を、一対の第2把持部における第2突出部15bの間隔分、上下方向に移動させる。
【0031】
一対の第1把持部14、一対の第2把持部15、一対の第1水平方向駆動部16、一対の第2水平方向駆動部17及び上下方向駆動部18が、コアブロックMを搬入部11から搬出部12に向かって移動させるコアブロック移動部30を構成する。本実施形態では、コアブロック移動部30は、コアブロックMを上方に移動させる。
【0032】
一対の第2把持部15は、それぞれ、長方形の板状の第2本体部15aと、複数の板状の第2突出部15bとを有する。複数の第2突出部15bは、第2本体部15aに対して厚み方向の同じ側に延びている。すなわち、複数の第2突出部15bは、第2本体部15aの一方の面に直交する方向に延びている。複数の第2突出部15bは、互いに平行に上下方向に並んでいる。一対の第2把持部15は、各第2本体部15aの長手方向が上下方向と一致し且つ第2突出部15bが互いに対向した状態で配置されている。一対の第2把持部15の第2突出部15bが対向する方向が、第2方向である。
【0033】
一対の第2把持部15の第2突出部15bは、先端部に、幅方向中央部における第2突出部15bの突出方向の長さが幅方向端部における前記突出方向の長さよりも小さい第2テーパ部15cを有する。すなわち、第2突出部15bの先端部の形状は、第2把持部15を上から見て、幅方向中央部が凹んだV字状である。一対の第2把持部15の第2突出部15bが先端部に第2テーパ部15cを有することにより、一対の第2把持部15が異なる外径を有するコアブロックMを径方向に把持することができる。一対の第2把持部15の第1突出部15bは、先端部に、テーパ部を有していなくてもよい。
【0034】
本実施形態では、第2把持部15における第2突出部15bの数は、第1把持部14における第1突出部14bの数と同じである。また、第2把持部15における複数の第2突出部15bの間隔は、第1把持部14における複数の第1突出部14bの間隔と同じである。
【0035】
また、本実施形態では、一対の第2把持部15は、最も下に位置する初期位置での一対の第1把持部14よりも、第2突出部15bの間隔分、上方に位置する。なお、前記初期位置における一対の第1把持部14と一対の第2把持部15との上下方向の距離は、第2突出部15bの間隔に限定されない。また、前記初期位置では、一対の第2把持部15と一対の第1把持部14との高さ位置が同じであってもよいし、一対の第2把持部15が一対の第1把持部14よりも上方に位置していてもよい。
【0036】
第2水平方向駆動部17は、一対の第2把持部15に対して第2本体部15aにおける第2突出部15bとは反対側の面にそれぞれ接続され、例えば図示しないフレーム等に対して伸縮可能なアクチュエータである。これにより、一対の第2把持部15は、それぞれ、第2水平方向駆動部17によって対向方向に相対移動可能である。よって、一対の第2把持部15は、第2突出部15bが互いに近づく方向に移動したり、第2突出部15bが互いに離間する方向に移動したりすることが可能である。すなわち、第2水平方向駆動部17によって、一対の第2把持部15は、前記第2方向において、対向する第2突出部15bによってコアブロックMを径方向に把持する把持位置とコアブロックMの把持を解除する解除位置とに移動可能である。
【0037】
一対の第2把持部15は、一対の第1把持部14とは異なり、上下方向に移動せずに、水平方向のみに移動する。
【0038】
搬出側移載部20は、搬出部12に位置するコアブロックMをベルトコンベアB2に移動させる。具体的には、搬出側移載部20は、搬出側把持部21と、水平方向移動部25とを有する。
【0039】
搬出側把持部21は、コアブロックMの内周側を把持する。搬出側把持部21は、複数の接触部22と、駆動部23とを有する。複数の接触部22は、搬出側把持部21を上下方向に見て、コアブロックMの径方向内方に収容可能に周方向に並んでいる。複数の接触部22は、駆動部23によって、コアブロックMの径方向に移動可能である。複数の接触部22は、コアブロックMの内周側に接触することにより、コアブロックMを把持する。駆動部23は、複数の接触部22を、コアブロックMの径方向に移動させる。駆動部23は、例えば、圧電アクチュエータ、エアシリンダなどのアクチュエータである。
【0040】
水平方向移動部25は、搬出側把持部21を、バッファ部10とベルトコンベアB2との間で水平方向に移動させる。水平方向移動部25は、水平方向に延びるレール25aと、レール25aに対して水平方向に移動するスライダ25bとを有する。スライダ25bには、搬出側移載部20が固定されている。なお、水平方向移動部25の構成は、一般的なリニアスライダの構成と同様であるため、水平方向移動部25の詳しい説明は省略する。
【0041】
(ステータコアバッファ装置の動作)
次に、上述の構成を有するステータコアバッファ装置1の動作について、図3Aから図3F、及び、図4Aから図4Eを用いて説明する。図3Aから図3Fは、ステータコアバッファ装置1のバッファ部10によって、コアブロックMを保持する様子を説明する図である。図4Aから図4Eは、ステータコアバッファ装置1の搬出側移載部20によって、コアブロックMをバッファ部10の搬出部12からベルトコンベアB2に移動させる様子を説明する図である。
【0042】
まず、図3Aから図3Fを用いて、バッファ部10によって、コアブロックMを保持する動作について説明する。
【0043】
図3Aに示すように、ベルトコンベアB1によって、コアブロックMが搬入部11まで搬送される。この状態で、一対の第1把持部14は、一対の第1水平方向駆動部16の駆動によって、図3Bに実線矢印で示すように互いの第1突出部14bが近づく方向に移動する。これにより、一対の第1把持部14は、コアブロックMを把持する。このときの一対の第1把持部14の位置が、把持位置である。一対の第2把持部15は、コアブロックMを把持していない。このときの一対の第2把持部15の位置が、解除位置である。
【0044】
続いて、一対の第1把持部14は、コアブロックMを把持した状態で、上下方向駆動部18の駆動によって、図3Cに実線矢印で示すように、第2把持部15の第2突出部15bの間隔分、上方に移動する。図3Dに示すように、コアブロックMが一対の第1把持部14によって、一対の第2把持部15において一番下に位置する第2突出部15bの高さまで移動した後、一対の第2把持部15は、一対の第2水平方向駆動部17の駆動によって、互いの第2突出部15bが近づく方向に移動する。これにより、一対の第2把持部15は、コアブロックMを把持する。このときの一対の第2把持部15の位置が、把持位置である。
【0045】
その後、一対の第1水平方向駆動部16の駆動によって、一対の第1把持部14における第1突出部14bは、図3Eに実線矢印で示すようにそれぞれ離れる方向に移動する。これにより、コアブロックMが一対の第1把持部14によって把持されていない状態になる。このときの一対の第1把持部14の位置が、解除位置である。そして、図3Fに実線矢印で示すように、一対の第1把持部14は、上下方向駆動部18によって、第2把持部15の第2突出部15bの間隔分、下方に移動する。
【0046】
ベルトコンベアB1によって、別のコアブロックMが搬入部11まで搬送されると、バッファ部10は、図3Bから図3Fの動作を繰り返す。これにより、保持部13では、コアブロックMが下から上に移動しつつ保持される。
【0047】
次に、図4Aから図4Eを用いて、搬出側移載部20によって、コアブロックMをベルトコンベアB2に移動させる動作について説明する。搬出側移載部20によってコアブロックMをベルトコンベアB2に移動させる動作は、図示しないセンサによるコアブロックMが搬出部12に位置している状態の検出、または、保持部13の動作時間等に基づいて行われる。
【0048】
図4Aに示すように、水平方向移動部25によって、搬出側把持部21を搬出部12の上方まで移動させる。その後、図4Bに示すように、一対の第1把持部14によってコアブロックMを把持する一方、一対の第2把持部15によってコアブロックMの把持を解除する。図4Cに白抜き矢印で示すように、上下方向駆動部18によって一対の第1把持部14を上方に移動させる。このとき、上下方向駆動部18は、一対の第1把持部14によって把持されたコアブロックMを、搬出側把持部21と同じ高さまで上昇させる。
【0049】
その後、図4Cに実線で示すように、搬出側把持部21において、駆動部23によって複数の接触部22をコアブロックMの径方向に移動させる。これにより、複数の接触部22はコアブロックMの径方向内周側に接触する。よって、コアブロックMは、搬出側把持部21によって径方向内周側で把持される。
【0050】
一対の第1水平方向駆動部16の駆動によって、一対の第1把持部14における第1突出部14bは、図4Dに実線矢印で示すように、それぞれ離れる方向に移動する。これにより、コアブロックMが一対の第1把持部14によって把持されていない状態になる。その後、図4Dに白抜き矢印で示すように、上下方向駆動部18によって一対の第1把持部14を下方に移動させる。
【0051】
図4Eに白抜き矢印で示すように、水平方向移動部25によって、コアブロックMを把持した搬出側把持部21をベルトコンベアB2まで移動させる。その後、図4Eに実線矢印で示すように、搬出側把持部21の複数の接触部22を駆動部23によってコアブロックMの径方向内方に移動させる。これにより、搬出側把持部21がコアブロックMを把持していない状態になり、コアブロックMは、ベルトコンベアB2上に載置される。コアブロックMは、ベルトコンベアB2によって、ステータコア組立装置3に搬送される。
【0052】
以上の構成により、コアブロックMの姿勢を変えることなく、プレス機2によってコアブロックMが形成された順番で、複数のコアブロックMを保持することができる。よって、ステータコアバッファ装置1の搬送方向下流に位置するステータコア組立装置3によって、ステータコアを効率良く形成することができる。
【0053】
本実施形態のステータコア製造装置は、複数のコア板が厚み方向に積層されたコアブロックMによって構成されるステータコアの製造に用いられるステータコアバッファ装置1である。ステータコアバッファ装置1は、前記ステータコアを製造する複数の製造装置であるプレス機2及びステータコア組立装置3の間でコアブロックMを搬送する搬送路Lの一部を構成するバッファ部10を有する。バッファ部10は、コアブロックMが搬入される搬入部11と、コアブロックMが搬出される搬出部12と、搬入部11と搬出部12との間でコアブロックMを保持する保持部13と、を有する。
【0054】
これにより、プレス機2及びステータコア組立装置の処理スピードが異なる場合に、ステータコアのコアブロックMを搬送する搬送路Lの途中で、バッファ部10によってコアブロックMを保持することができる。よって、プレス機2及びステータコア組立装置の処理スピードを互いに合わせる必要がないため、例えばプレス機2が材料補充のために動作停止している場合などでも、ステータコア組立装置3を効率良く駆動させることができる。よって、ステータコアを効率良く製造することができる。
【0055】
本実施形態では、バッファ部10は、コアブロックMを搬入部11から搬出部12に向かって移動させるコアブロック移動部30を有する。
【0056】
これにより、バッファ部10内で、コアブロックMを搬入部11から搬出部12に向かって移動させることができる。よって、プレス機2とステータコア組立装置3との間でコアブロックMを搬送する搬送路Lの一部を構成するバッファ部10内で、コアブロックMをスムーズに移動させることができる。
【0057】
しかも、ステータコア組立装置3によって複数のコアブロックMを積層してステータコアを形成する場合には、複数のコアブロックMを積層する順番が決まっている。そのため、上述のように、バッファ部10内でコアブロックMを搬入部11から搬出部12に向かって移動させることにより、バッファ部10内で複数のコアブロックMを積層順で保持することができる。よって、ステータコアを効率良く製造することができる。
【0058】
また、コアブロックMをステータコア組立装置3に搬送する際に、コアブロックMが連続して複数並んだ状態で搬送されると、ステータコア組立装置3では、複数のコアブロックMを回収して処理できない場合がある。これに対し、ステータコアバッファ装置1が本実施形態のようなバッファ部10を有することにより、ベルトコンベアB2にコアブロックMを1つずつ搬送することができる。よって、複数のコアブロックMが連続して並んだ状態でステータコア組立装置3に搬送されるのを防止できる。したがって、ステータコア組立装置3でのコアブロックMの回収ミスを防止できる。
【0059】
本実施形態では、搬入部11及び搬出部12は、上下方向の異なる位置に位置する。コアブロック移動部30は、コアブロックMを、搬入部11から搬出部12に向かって上下方向に移動させる。
【0060】
これにより、コアブロックMを上下方向に移動させることができる。よって、バッファ部10の設置面積を小さくすることができる。また、プレス機2及びステータコア組立装置3の設置位置が上下方向に異なる場合に、バッファ部10をコアブロックMの昇降機としても利用することができるため、ステータコア製造ラインSをコンパクトな構成にすることができる。
【0061】
本実施形態では、コアブロック移動部30は、上下方向に並ぶ複数の第1突出部14bをそれぞれ有し、それぞれの第1突出部14bが上下方向に直交する第1方向に対向して位置し、且つ、前記第1方向において、対向する第1突出部14bによってコアブロックMを径方向に把持する把持位置とコアブロックMの把持を解除する解除位置とに移動可能である一対の第1把持部14と、上下方向に並ぶ複数の第2突出部15bをそれぞれ有し、それぞれの第2突出部15bが前記上下方向及び前記第1方向に直交する第2方向に対向して位置し、且つ、前記第2方向において、対向する第2突出部15bによってコアブロックMを径方向に把持する把持位置と前記コアブロックの把持を解除する解除位置とに移動可能である一対の第2把持部15と、を有する。一対の第1把持部14は、一対の第2把持部15に対して、上下方向に移動可能である。
【0062】
一対の第1把持部14の第1突出部14bが、コアブロックMを径方向に把持した状態で、上下方向の一方向に移動することにより、一対の第2把持部15に対してコアブロックMを前記一方向に移動させることができる。この状態で、一対の第2把持部15の第2突出部15bによってコアブロックMを径方向に把持し、一対の第1把持部14の第1突出部14bを解除位置に移動させる。
【0063】
その後、一対の第1把持部14を元の位置に戻した後、一対の第1把持部14における別の第1突出部14bによってコアブロックMを径方向に把持し、一対の第2把持部15の第2突出部15bを解除位置に移動させる。この状態で、一対の第1把持部14を前記一方向に移動させることにより、コアブロックMを前記一方向にさらに移動させることができる。
【0064】
このように、上述の構成により、コアブロックMを上下方向の一方向に移動させることができる。
【0065】
本実施形態では、複数の製造装置は、搬送路Lにおいてバッファ部10よりも搬送方向上流に位置し、コア板をプレス成形してコアブロックMを形成するプレス機2と、搬送路Lにおいてバッファ部10よりも搬送方向下流に位置し、コアブロックMを複数積層した状態で溶接するステータコア組立装置3と、を含む。バッファ部10は、プレス機2とステータコア組立装置3との間でコアブロックMを搬送する搬送路Lの一部を構成する。
【0066】
これにより、ステータコア組立装置3よりもタクトタイムの短いプレス機2で形成されたコアブロックMを、バッファ部10で保持することができる。よって、材料交換が必要であるプレス機2が休止している間に、バッファ部10で保持されているコアブロックMを用いて、ステータコア組立装置3によって複数のコアブロックを溶接することができる。したがって、ステータコアを効率良く製造することができる。
【0067】
<実施形態2>
図5は、実施形態2に係るステータコアバッファ装置のバッファ部110の概略構成を示す側面図である。図6は、ステータコアバッファ装置のバッファ部110の概略構成を示す上面図である。図5及び図6に示すように、バッファ部110の構成は、実施形態1のバッファ部110の構成とは異なる。よって、以下では、実施形態1と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略し、実施形態1と異なる部分についてのみ説明する。
【0068】
図5に示すように、バッファ部110は、搬入部111と、搬出部112と、保持部113とを有する。搬入部111は、実施形態1の搬入部11と同様である。搬出部112も、実施形態1の搬出部12と同様である。すなわち、搬入部111は、保持部113の下部に位置し、搬出部112は、保持部113の上部に位置する。搬入部111及び搬出部112の詳しい説明は省略する。
【0069】
保持部113は、収容部114と、移動部115とを有する。収容部114は、上下方向に延びる収容本体部114aと、コアブロックMを収容する複数の収容棚114bとを有する。複数の収容棚114bは、収容本体部114aに対して厚み方向の同じ側に延びている。複数の収容棚114bは、搬入部111と搬出部112との間に互いに平行に上下方向に並んでいる。
【0070】
図6に示すように、複数の収容棚114bは、それぞれ、櫛歯状である。すなわち、収容棚114bは、収容本体部114aに対して水平方向に並ぶ複数の収容歯部114cを有する。よって、収容棚114bは、複数の収容歯部114cの間に位置する複数のスリット114dを有する。複数のスリット114dは、収容歯部114cの延びる方向に向かって開口している。収容歯部114cの延びる方向が、本発明においてスリット114dが開口する方向である一方向である。
【0071】
図5に示すように、移動部115は、上下方向に延びる移動本体部115aと、コアブロックMを載せる複数の載置部115bとを有する。複数の載置部115bは、移動本体部115aに対して厚み方向の同じ側に延びている。複数の載置部115bは、互いに平行に上下方向に並んでいる。移動部115は、収容部114に対し、載置部115bが収容部114の収容棚114bに対向した状態で配置されている。特に図示しないが、移動部115は、上下方向に移動可能であるとともに、収容部114に対して水平方向に移動可能である。本実施形態では、移動部115は、最も下に位置する初期位置において、収容部114よりも下方に位置する。
【0072】
図6に示すように、複数の載置部115bは、それぞれ、櫛歯状である。すなわち、載置部115bは、収容部114の収容棚114bにおける複数のスリット114dを通過可能な複数の移動歯部115cを有する。複数の移動歯部115cは、移動本体部115aに対して水平方向に並んでいる。
【0073】
これにより、後述するように移動部115が収容部114に対して上下方向に移動した際に、移動部115の載置部115bは、収容部114の収容棚114bのスリット114dを上下方向に通過可能である。
【0074】
本実施形態の収容棚114bが、本発明のトレーである。すなわち、保持部113は、搬入部111と搬出部112との間に上下方向に並んで位置し、コアブロックMが載置される複数の収容棚114bを有する。これにより、複数のコアブロックMを上下方向に保持することができる。よって、ステータコアバッファ装置の設置面積を小さくすることができる。
【0075】
また、本実施形態の移動部115が、本発明のコアブロック移動部である。本実施形態の移動部115の載置部115bが、本発明の櫛歯部である。
【0076】
なお、収容部114の収容棚114bにおける収容歯部114c及び移動部115の載置部115bにおける移動歯部115cのうち少なくとも一方は、コアブロックMの落下を防止するために、滑り止め部を有していてもよいし、先端部に上方に突出する突部を有していてもよい。
【0077】
次に、上述の構成を有するバッファ部110の動作について、図7Aから図7Dを用いて説明する。図7Aから図7Dは、バッファ部110内でコアブロックMを搬入部111側から搬出部112側に搬送する様子を説明する図である。
【0078】
図7Aに白抜き矢印で示すように、移動部115は、収容部114に対して近づく方向に移動する。移動部115の載置部115bは、収容部114の収容棚114bの下方に位置付けられる。そして、移動部115は上方に移動し、載置部115bが収容部114の収容棚114bのスリット114dを通過する。これにより、移動部115の載置部115bは、収容部114の収容棚114bの上方に移動して、コアブロックMを支持する。
【0079】
その後、図7Bに白抜き矢印で示すように、移動部115は、収容部114に対して離間する方向に移動する。そして、図7Bに白抜き矢印で示すように、移動部115は、収容部114の収容棚114bの間隔分、上方に移動する。
【0080】
図7Cに白抜き矢印で示すように、移動部115は、収容部114に対して近づく方向に移動する。コアブロックMを支持している載置部115bは、図7Aに示す収容棚に対して一つ上に位置する収容棚114bの上方に位置付けられる。
【0081】
その後、図7Dに白抜き矢印で示すように、移動部115は下方に移動し、載置部115bが収容部114の収容棚114bのスリット114dを通過する。これにより、移動部115の載置部115bは、収容部114の収容棚114bの下方に移動する。コアブロックMは、収容部114の収容棚114bによって支持される。
【0082】
以上のような移動部115の動作により、コアブロックMは、収容部114に対して搬入部111側から搬出部112側に移動する。
【0083】
以上の構成により、実施形態1に比べて少ない部品によって、コアブロックMをバッファ部110内で上方に移動させることができるステータコアバッファ装置を実現できる。
【0084】
本実施形態では、コアブロック移動部である移動部115は、コアブロックMを、複数の収容棚114bのうち搬入部111側に位置する収容棚114bから搬出部112側に位置する収容棚114bへ移動させる。
【0085】
これにより、コアブロックMを、バッファ部110における搬入部111と搬出部112との間で保持しつつ、バッファ部110内で搬入部111から搬出部112へ移動させることができる。
【0086】
本実施形態では、搬出部112は、搬入部111よりも上に位置する。移動部115は、コアブロックMを、複数の収容棚114bに対して搬入部111から搬出部112に向かって上方向へ移動させる。
【0087】
これにより、搬入部111よりも上に位置する搬出部112に向かって、コアブロックMを移動させることができる。
【0088】
本実施形態では、複数の収容棚114bは、それぞれ、一方向に開口する複数のスリット114dを有する。移動部115は、スリット114dを上下方向に通過可能で上下方向に並ぶ複数の載置部115bを有する。
【0089】
これにより、複数のコアブロックMを上下方向に保持可能な構成を実現することができる。また、複数の収容棚114b上に載置された複数のコアブロックMを、別の収容棚114bに一度に移動させることができる。
【0090】
<実施形態3>
図8は、実施形態3に係るステータコアバッファ装置201の概略構成を示す斜視図である。ステータコアバッファ装置201は、実施形態1のステータコアバッファ装置1とは、コアブロックMを搬送する構成が異なる。よって、以下では、実施形態1と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略し、実施形態1と異なる部分についてのみ説明する。
【0091】
ステータコアバッファ装置201は、バッファ部210と、搬出側移載部220と、搬入側移載部240とを有する。
【0092】
バッファ部210は、ステータコア製造ラインSにおいてコアブロックMを搬送する搬送路Lの一部を構成し、且つ、複数のコアブロックMを一次的に保持可能である。具体的には、バッファ部210は、搬入部211と、搬出部212と、保持部213とを有する。搬入部211は、保持部213にコアブロックMが搬入される部分である。搬出部212は、保持部213からコアブロックMが搬出される部分である。保持部213は、搬入部211から搬入されたコアブロックMを、搬出部212から搬出されるまでの間、保持する。
【0093】
本実施形態では、搬出部212は、保持部213の上端部に位置する。搬入部211は、搬出部212の下方に位置する。よって、搬出部212は、搬入部211よりも上方に位置する。すなわち、搬入部211と搬出部212とは、上下方向の異なる位置に位置する。
【0094】
具体的には、搬出部212は、保持部213において、後述するベルト215aの一方の長軸方向中央部215bにおける最上端に位置する。搬出部212は、保持部213において、後述する搬出トレー222と同じ高さ位置の部分である。搬入部211は、搬出部212よりも下方に位置し、且つ、コアブロックMが載置されていないトレー214のうち最も搬出部212に近いトレー214である。なお、搬出部212から搬出トレー222に対してコアブロックMを移動可能な程度に、搬出トレー222が搬出部212よりも低い位置であってもよい。円盤状のコアブロックMを搬出部221から搬出トレー222に移動させる際に、コアブロックMが搬出トレー222に引っかからないのが好ましい。
【0095】
保持部213は、複数のコアブロックMを保持しつつ、保持したコアブロックMを搬出部212まで移動可能である。具体的には、保持部213は、複数のトレー214と、トレー回転移動部215とを有する。複数のトレー214は、トレー回転移動部215によって、上下方向に移動可能である。トレー回転移動部215は、図示しないフレーム等によって支持されている。
【0096】
トレー回転移動部215は、ベルト215aと、図示しない駆動部とを有する。ベルト215aは、帯状の部材の端部同士が接続されている楕円状である。ベルト215aは、その長軸が上下方向と一致した状態で配置されている。ベルト215aの長軸方向両端部215cはそれぞれ半円状であり、ベルト215aの一対の長軸方向中央部215bは平行に延びている直線状である。ベルト215aは、前記駆動部によって、回転する。ベルト215aは、水平方向に延びる図示しない回転軸を中心として回転することにより、上下方向に移動する。なお、前記駆動部は、例えばモータである。
【0097】
本実施形態のトレー回転移動部215が、本発明のコアブロック移動部である。
【0098】
複数のトレー214の端部は、ベルト215aに接続されている。よって、複数のトレー214のうちベルト215aの一対の長軸方向中央部215bに位置するトレー214は、互いに平行に上下方向に並んでいる。これにより、複数のトレー214は、コアブロックMを載せた状態で保持することができる。
【0099】
複数のトレー214のうちベルト215aの一方の長軸方向中央部215bに位置するトレー214は、ベルト215aの回転によって、上方に移動する。複数のトレー214のうちベルト215aの他方の長軸方向中央部215bに位置するトレー214は、ベルト215aの回転によって、下方に移動する。
【0100】
搬入側移載部240は、ベルトコンベアB1によって搬送されたコアブロックMを搬入部211に移動させる。すなわち、搬入側移載部240は、搬送路Lの一部を構成し且つ複数の製造装置のうち搬送路Lにおいてバッファ部210よりも搬送方向上流に位置するプレス機2からバッファ部210にコアブロックMを搬送するベルトコンベアB1の搬送出口から、バッファ部210の搬入部211に、コアブロックMを搬送する。本実施形態のベルトコンベアB1が、本発明の第1搬送路である。
【0101】
搬入側移載部240は、移動トレー241と、昇降部242と、コアブロック押出部243とを有する。移動トレー241がベルトコンベアB1の搬送出口に位置付けられることにより、移動トレー241上には、ベルトコンベアB1によって搬送されたコアブロックMが載置される。昇降部242は、移動トレー241を、水平状態を維持しつつ上下方向に移動させる。昇降部242は、ベルト215aの一方の長軸方向中央部215bに沿って上下方向に移動する。
【0102】
昇降部242は、例えば、アクチュエータによって移動するリニアスライダであってもよいし、移動トレーをワイヤ等によって吊り下げて移動させる構成などであってもよい。昇降部242は、移動トレーを、水平状態を維持しつつ上下方向に移動可能な構成であれば、どのような構成を有していてもよい。
【0103】
昇降部242は、コアブロックMを保持部213で保持しない通常動作時には、移動トレー241を搬出部212の下に位置するトレー214まで移動させる。昇降部242は、コアブロックMを保持部213に保持するバッファ動作時には、コアブロックMを載せていないトレー214のうち搬出部212に最も近いトレー214まで移動させる。ステータコアバッファ装置201の通常動作及びバッファ動作については、後述する。
【0104】
コアブロック押出部243は、移動トレー241上のコアブロックMを、トレー214に押し出す。詳しくは、コアブロック押出部243は、移動トレー241の溝241a内を往復移動可能である。溝241aは、移動トレー241を横切ってトレー214に向かって延びている。よって、コアブロック押出部243は、図示しない駆動部によって移動トレー241の溝241a内を移動することにより、コアブロックMを、トレー214に向かって押し出す。
【0105】
搬出側移載部220は、搬出部212に位置するトレー214上のコアブロックMを、搬出トレー222に移動させ、搬出トレー222からベルトコンベアB2に移動させる。すなわち、搬出側移載部220は、搬出部212から、搬送路Lの一部を構成し且つバッファ部210から複数の製造装置のうち搬送路Lにおいてバッファ部210よりも搬送方向下流に位置するステータコア組立装置3に向かって延びるベルトコンベアB2の搬送入口に、コアブロックMを搬送する。本実施形態のベルトコンベアB2が、本発明の第2搬送路である。
【0106】
搬出側移載部220は、第1移載部221と、搬出トレー222と、第2移載部223とを有する。
【0107】
第1移載部221は、搬出部212に位置するトレー214上のコアブロックMを、搬出トレー222に移動させる。第1移載部221は、板状の第1接触部221aと、第1搬出駆動部221bとを有する。第1搬出駆動部221bは、第1接触部221aを、トレー214上から搬出トレー222に向かって移動させる。第1搬出駆動部221bは、例えば往復移動可能なアクチュエータである。
【0108】
搬出トレー222は、搬出部212に対し、トレー回転移動部215によるトレー214の移動方向と直交する方向に位置する。搬出トレー222は、図示しないフレーム等によって支持されている。
【0109】
第2移載部223は、搬出トレー222上のコアブロックMを、ベルトコンベアB2に移動させる。第2移載部223は、板状の第2接触部223aと、第2搬出駆動部223bとを有する。第2搬出駆動部223bは、第2接触部223aを、搬出トレー222上からベルトコンベアB2に向かって移動させる。第2搬出駆動部223bは、例えば往復移動可能なアクチュエータである。
【0110】
(ステータコアバッファ装置の動作)
次に、上述の構成を有するステータコアバッファ装置201の動作について、図9Aから図9E図10A及び図10Bを用いて説明する。図9Aから図9Eは、ステータコアバッファ装置201が、バッファ部210によってコアブロックMを保持しない通常動作を行う様子を説明する図である。図10A及び図10Bは、ステータコアバッファ装置201が、バッファ部210によってコアブロックMを保持するバッファ動作を行う様子を説明する図である。
【0111】
まず、図9Aから図9Eを用いて、ステータコアバッファ装置201の通常動作について説明する。
【0112】
ベルトコンベアB1によって搬送されたコアブロックMが移動トレー241上に搬送されると、図9Aに実線矢印で示すように、搬入側移載部240の昇降部242によって、移動トレー241を搬入部211まで移動させる。この搬入部211は、図9Bに示すように、搬出部212の下方に位置するトレー214である。移動トレー241が搬入部211まで移動した状態で、コアブロック押出部243によって、移動トレー241上のコアブロックMをトレー214に移動させる。
【0113】
図9Cに実線矢印で示すように、トレー回転移動部215によってトレー214を一枚、移動させることにより、コアブロックMが載置されたトレー214が搬出部212に位置付けられる。この状態で、図9Dに実線矢印で示すように、搬出側移載部220の第1移載部221によって、トレー214上のコアブロックMを、搬出トレー222に移動させる。
【0114】
その後、図9Eに実線矢印で示すように、搬出側移載部220の第2移載部223によって、搬出トレー222上のコアブロックMをベルトコンベアB2に移動させる。これにより、ステータコアバッファ装置201からステータコア組立装置3にコアブロックMを供給することができる。
【0115】
次に、図10A及び図10Bを用いて、ステータコアバッファ装置201のバッファ動作について説明する。なお、図9Aから図9Cに示すステータコアバッファ装置201の動作は、バッファ動作時でも同様であるため、説明を省略する。
【0116】
ステータコアバッファ装置201は、図9Aから図9Cに示す動作の後、図10Aに示す動作を行う。ベルトコンベアB1によって搬送されたコアブロックMが移動トレー241上に搬送されると、図10Aに実線矢印で示すように、搬入側移載部240の昇降部242は、移動トレー241を、搬入部211まで移動させる。この場合の搬入部211は、コアブロックMが載置されていないトレー214のうち搬出部212に最も近いトレー214である。図10Aに示す例では、昇降部242は、移動トレー241を、搬出部212の下に位置するトレー214の高さ位置まで移動させる。移動トレー241が搬出部212の下に位置するトレー214の高さ位置まで移動した状態で、コアブロック押出部243によって、移動トレー241上のコアブロックMをトレー214に移動させる。
【0117】
その後、ベルトコンベアB1によって搬送されたコアブロックMが移動トレー241上に搬送されると、図10Bに実線矢印で示すように、昇降部242は、移動トレー241を、搬入部211まで移動させる。この場合の搬入部211は、コアブロックMが載置されていないトレー214のうち搬出部212に最も近いトレー214である。図10Bに示す例では、昇降部242は、移動トレー241を、搬出部212の2つ下に位置するトレー214の位置まで移動させる。移動トレー241が搬出部212の2つ下に位置するトレー214の高さ位置まで移動した状態で、コアブロック押出部243によって、移動トレー241上のコアブロックMをトレー214に移動させる。
【0118】
このようにステータコアバッファ装置201が動作することにより、保持部213の複数のトレー214に、コアブロックMを保持することができる。
【0119】
保持部213に保持された複数のコアブロックMを、搬出部212からベルトコンベアB2に搬出する際には、ステータコアバッファ装置201は、図9Cから図9Eの動作を繰り返す。すなわち、図9Cに示すように、トレー回転移動部215によってトレー214を移動させてコアブロックMを載置しているトレー214を搬出部212に位置づけた状態で、図9Dに示すように、搬出側移載部220の第1移載部221によって、トレー214上のコアブロックMを、搬出トレー222に移動させる。その後、図9Eに示すように、搬出側移載部220の第2移載部223によって、搬出トレー222上のコアブロックMをベルトコンベアB2に移動させる。
【0120】
これにより、保持部213に保持された複数のコアブロックMを、ベルトコンベアB2に排出して、ステータコア組立装置3に供給することができる。
【0121】
以上の構成により、コアブロックMを保持部213で保持するとともに、保持部213によって保持したコアブロックMをステータコア組立装置3に供給できる。一方、保持部213によるコアブロックMの保持が不要な場合には、搬入部211から搬出部212にコアブロックMを迅速に搬送することができる。
【0122】
本実施形態では、コアブロック移動部であるトレー回転移動部215は、コアブロックMを、複数のトレー214とともに、搬入部211から搬出部212に向かって移動させる。
【0123】
これにより、コアブロックMを、バッファ部210内の搬入部211と搬出部212との間で保持しつつ、バッファ部210内で搬入部211から搬出部212へ移動させることができる。
【0124】
本実施形態では、搬出部212は、搬入部211よりも上に位置する。トレー回転移動部215は、コアブロックMを、複数のトレー214とともに、搬入部211から搬出部212に向かって上方向に移動させる。
【0125】
これにより、搬入部211よりも上に位置する搬出部212に向かって、コアブロックMを移動させることができる。
【0126】
本実施形態では、ステータコアバッファ装置201は、搬送路Lの一部を構成し且つ複数の製造装置のうち搬送路Lにおいてバッファ部210よりも搬送方向上流に位置するプレス機2からバッファ部210にコアブロックMを搬送するベルトコンベアB1の搬送出口から、バッファ部210の搬入部211に、コアブロックMを搬送する搬入側移載部240を有する。
【0127】
これにより、コアブロックMを、ベルトコンベアB1の搬送出口からバッファ部10の搬入部11まで搬入側移載部240によって移動させることができる。よって、コアブロックMを、ベルトコンベアB1からバッファ部10にスムーズに移すことができる。
【0128】
本実施形態では、保持部213は、搬入部211と搬出部212との間に上下方向に並んで位置し、コアブロックMが載置される複数のトレー214を有する。搬入部211は、コアブロックMが載置されていないトレー214のうち搬出部212に最も近い位置に位置するトレー214である。
【0129】
これにより、保持部213内の搬出部212に近い位置にコアブロックMを保持することができる。よって、コアブロックMを保持部213内で搬入部211から搬出部212に向かって移動させる場合に比べて、保持部213内に保持されているコアブロックMを搬出部212から迅速に搬出することができる。よって、ステータコア製造ラインSにおけるバッファ部210でのタイムロスを低減できる。したがって、ステータコアを効率良く製造することができる。
【0130】
本実施形態では、複数のトレー214には、搬出部212側のトレー214から搬入部211側のトレー214に向かって順にコアブロックMが載置されている。
【0131】
このように、保持部213内で搬出部212側のトレー214から順にコアブロックMが保持されることにより、保持部213内に保持されているコアブロックMを搬出部212から迅速に搬出することができる。よって、ステータコア製造ラインSにおけるバッファ部210でのタイムロスを低減できる。したがって、ステータコアを効率良く製造することができる。
【0132】
しかも、ステータコア組立装置3によって複数のコアブロックMを積層してステータコアを形成する場合には、複数のコアブロックMを積層する順番が決まっている。そのため、上述のように、保持部213の複数のトレー214によって、コアブロックMを順番に保持することにより、複数のコアブロックMの積層順で保持することができる。よって、ステータコアを効率良く製造することができる。
【0133】
また、コアブロックMをステータコア組立装置3に搬送する際に、コアブロックMが連続して複数並んだ状態で搬送されると、ステータコア組立装置3では、複数のコアブロックMを回収して処理できない場合がある。これに対し、ステータコアバッファ装置201が本実施形態のような保持部213を有することにより、ベルトコンベアB2にコアブロックMを1つずつ搬送することができる。よって、複数のコアブロックMが連続して並んだ状態でステータコア組立装置3に搬送されるのを防止できる。したがって、ステータコア組立装置3でのコアブロックMの回収ミスを防止できる。
【0134】
本実施形態では、搬出部212から、搬送路Lの一部を構成し且つバッファ部210の搬出部212から複数の製造装置のうち搬送路Lにおいてバッファ部210よりも搬送方向下流に位置するステータコア組立装置3に向かって延びるベルトコンベアB2の搬送入口に、コアブロックMを搬送する搬出側移載部220を有する。
【0135】
これにより、コアブロックMを、バッファ部210の搬出部212からベルトコンベアB2の搬送入口まで搬出側移載部220によって移動させることができる。よって、コアブロックMを、バッファ部210からベルトコンベアB2にスムーズに移すことができる。
【0136】
<実施形態4>
図11は、実施形態4に係るステータコアバッファ装置301の概略構成を示す斜視図である。ステータコアバッファ装置301は、実施形態3のステータコアバッファ装置201とは、コアブロックMを搬送する構成が異なる。よって、以下では、実施形態3と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略し、実施形態3と異なる部分についてのみ説明する。
【0137】
ステータコアバッファ装置301は、バッファ部310と、搬出側移載部220と、搬入側移載部240とを有する。
【0138】
バッファ部310は、ステータコア製造ラインSにおいてコアブロックMを搬送する搬送路Lの一部を構成し、且つ、複数のコアブロックMを一次的に保持可能である。具体的には、バッファ部310は、搬入部311と、搬出部312と、保持部313とを有する。搬入部311は、バッファ部310にコアブロックMが搬入される部分である。搬出部312は、バッファ部310からコアブロックMが搬出される部分である。保持部313は、搬入部311から搬入されたコアブロックMを、搬出部312から搬出されるまでの間、保持する。
【0139】
保持部313は、複数のコアブロックMを保持しつつ、保持したコアブロックMを搬出部312まで移動可能である。具体的には、保持部313は、複数のトレー314と、トレー移動部315とを有する。複数のトレー314は、トレー移動部315によって、上下方向に移動可能である。トレー移動部315は、図示しないフレーム等によって支持されている。本実施形態のトレー移動部315が、本発明のコアブロック移動部である。
【0140】
トレー移動部315は、例えば、リニアスライダである。このリニアスライダのスライダ部に、複数のトレー314が平行に上下方向に並んで接続されている。これにより、複数のトレー314は、平行に並んだ状態で、トレー移動部315によって上下方向に移動可能である。トレー移動部315は、複数のトレー314を上下方向に移動可能な構成であれば、どのような構成であってもよい。
【0141】
トレー移動部315は、搬出側移載部220に対して複数のトレー314を上下方向に移動可能である。複数のトレー314のうち搬出側移載部220と同じ高さ位置に位置するトレー314が、搬出部312に位置するトレーである。そのため、トレー移動部315によって複数のトレー314の高さ位置が変化することにより、搬出部312に位置するトレー314は変化する。
【0142】
(ステータコアバッファ装置の動作)
次に、上述の構成を有するステータコアバッファ装置301の動作について、図12Aから図12E図13A及び図13Bを用いて説明する。図12Aから図12Eは、ステータコアバッファ装置301が、バッファ部310によってコアブロックMを保持しない通常動作を行う様子を説明する図である。図13A及び図13Bは、ステータコアバッファ装置301が、バッファ部310によってコアブロックMを保持するバッファ動作を行う様子を説明する図である。
【0143】
まず、図12Aから図12Eを用いて、ステータコアバッファ装置301の通常動作について説明する。
【0144】
ベルトコンベアB1及び搬入側移載部240によって、コアブロックMが搬入部211に位置する移動トレー241上に移動されると、図12Aに示すように、昇降部242によって、移動トレー241を、複数のトレー314のうち最も上に位置するトレー314まで移動させる。複数のトレー314のうち最も上に位置するトレー314は、搬出部312よりも下方に位置する。
【0145】
図12Bに示すように、移動トレー241が搬出部312に位置するトレー314の高さ位置まで移動した状態で、コアブロック押出部243によって、移動トレー241上のコアブロックMをトレー314に移動させる。その後、昇降部242によって、移動トレー241を搬入部311の位置に移動させる。
【0146】
図12Cに実線矢印で示すように、トレー移動部315によってトレー314を上方に移動させることにより、コアブロックMが載置されたトレー314が搬出部312に位置付けられる。この状態で、図12Dに実線矢印で示すように、搬出側移載部220の第1移載部221によって、トレー314上のコアブロックMを、搬出トレー222に移動させる。
【0147】
その後、図12Eに実線矢印で示すように、搬出側移載部220の第2移載部223によって、搬出トレー222上のコアブロックMをベルトコンベアB2に移動させる。これにより、ステータコアバッファ装置301からステータコア組立装置3にコアブロックMを供給することができる。
【0148】
次に、図13A及び図13Bを用いて、ステータコアバッファ装置301のバッファ動作について説明する。なお、図12Aから図12Cに示すステータコアバッファ装置301の動作は、バッファ動作時でも同様であるため、説明を省略する。
【0149】
ステータコアバッファ装置301は、図12Aから図12Cに示す動作の後、図13Aに示す動作を行う。ベルトコンベアB1及び搬入側移載部240によって、コアブロックMが搬入部311に位置する移動トレー241上に搬送されると、図13Aに示すように、搬入側移載部240の昇降部242は、移動トレー241を、コアブロックMが載置されていないトレー314のうち搬出部312に最も近いトレー314の高さ位置まで移動させる。図13Aに示す例では、昇降部242は、移動トレー241を、搬出部312の下に位置するトレー314の高さ位置まで移動させる。移動トレー241が搬出部212の下に位置するトレー314の高さ位置まで移動した状態で、コアブロック押出部243によって、移動トレー241上のコアブロックMをトレー314に移動させる。
【0150】
その後、ベルトコンベアB1及び搬入側移載部240によって、コアブロックMが搬入部211に位置する移動トレー241上に搬送されると、図13Bに示すように、昇降部242は、移動トレー241を、コアブロックMが載置されていないトレー314のうち搬出部312に最も近いトレー314の高さ位置まで移動させる。図13Bに示す例では、昇降部242は、移動トレー241を、搬出部312の2つ下に位置するトレー314の位置まで移動させる。移動トレー241が搬出部312の2つ下に位置するトレー314の高さ位置まで移動した状態で、コアブロック押出部243によって、移動トレー241上のコアブロックMをトレー314に移動させる。
【0151】
このようにステータコアバッファ装置301が動作することにより、保持部313の複数のトレー314に、コアブロックMを保持することができる。
【0152】
上述の構成により、コアブロックMを保持部313によって保持できるとともに、コアブロックMの保持が不要な場合には、迅速に搬入部311から搬出部312にコアブロックMを搬送することができる。
【0153】
<その他の実施形態>
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0154】
前記実施形態1では、バッファ部10は、一対の第2把持部15を有する。しかしながら、バッファ部は、例えば、トレーなどのようにコアブロックを保持可能な他の構成を有していてもよい。
【0155】
前記実施形態1では、一対の第1把持部14が、上下方向駆動部18によって上下方向に移動する。しかしながら、一対の第2把持部が上下方向に移動してもよい。一対の第1把持部が上下方向に固定されていてもよい。
【0156】
前記実施形態1では、保持部13は、一対の第1把持部14または一対の第2把持部15によってコアブロックMを保持する。前記実施形態2では、保持部113は、収容部114によってコアブロックMを保持する。前記実施形態3、4では、保持部213,313は、トレー214,314によってコアブロックMを保持する。しかしながら、保持部の構成は、コアブロックを保持可能な構成であれば、どのような構成であってもよい。
【0157】
前記実施形態1では、コアブロック移動部30は、コアブロックMを上方に移動させる。前記実施形態2では、移動部115は、コアブロックMを上方に移動させる。前記実施形態3では、トレー回転移動部215は、コアブロックMを上方に移動させる。前記実施形態4では、コアブロックMを上方に移動させる。しかしながら、ステータコアバッファ装置は、コアブロックを下方に移動させてもよいし、水平方向などの他の方向に移動させてもよい。
【0158】
前記実施形態1では、コアブロック移動部30は、コアブロックMを、一対の第2把持部15の隣り合う第2突出部15bに移動させる。しかしながら、コアブロック移動部は、コアブロックを、一対の第2把持部において隣り合う第2突出部以外の第2突出部に移動させてもよい。
【0159】
前記実施形態2では、移動部115は、コアブロックMを収容部114の隣り合う収容棚114bに移動させる。しかしながら、コアブロック移動部は、コアブロックを、収容部において隣り合う収容棚以外の収容棚に移動させてもよい。
【0160】
前記実施形態3、4では、ステータコアバッファ装置201,301は、搬入側移載部240を有する。しかしながら、ステータコアバッファ装置は、搬入側移載部を有していなくてもよい。搬入側移載部の構成は、コアブロックをバッファ部に搬入可能な構成であれば、どのような構成であってもよい。
【0161】
前記実施形態1、3、4では、ステータコアバッファ装置1,201,301は、搬出側移載部20,220を有する。しかしながら、ステータコアバッファ装置は、搬出側移載部を有していなくてもよい。搬出側移載部の構成は、コアブロックをバッファ部から搬出可能な構成であれば、どのような構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0162】
本発明は、複数のコア板が厚み方向に積層されたコアブロックによって構成されるステータコアを製造するステータコア製造装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0163】
1、201、301 ステータコアバッファ装置
2 プレス機
3 ステータコア組立装置(溶接機)
10、110、210、310 バッファ部
11、111、211、311 搬入部
12、112、212、312 搬出部
13、113、213、313 保持部
14 第1把持部
14a 第1本体部
14b 第1突出部
14c 第1テーパ部
15 第2把持部
15a 第2本体部
15b 第2突出部
15c 第2テーパ部
16 第1水平方向駆動部
17 第2水平方向駆動部
18 上下方向駆動部
20、220 搬出側移載部
21 搬出側把持部
22 接触部
23 駆動部
25 水平方向移動部
25a レール
25b スライダ
30 コアブロック移動部
114 収容部
114a 収容本体部
114b 収容棚
114c 収容歯部
114d スリット
115 移動部(コアブロック移動部)
115a 移動本体部
115b 載置部
214、314 トレー
215 トレー回転移動部(コアブロック移動部)
215a ベルト
221 第1移載部
222 搬出トレー
223 第2移載部
240 搬入側移載部
241 移動トレー
241a 溝
242 昇降部
243 コアブロック押出部
315 トレー移動部
S ステータコア製造ライン
L 搬送路
B1、B2 ベルトコンベア
M コアブロック
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図13A
図13B