(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155371
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20221005BHJP
G08G 1/005 20060101ALI20221005BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G08G1/005
G01C21/26 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021058826
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小山 和哉
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA02
2F129AA03
2F129BB03
2F129BB20
2F129BB21
2F129BB22
2F129DD13
2F129DD20
2F129DD25
2F129DD53
2F129EE21
2F129EE25
2F129EE78
2F129EE95
2F129FF12
2F129FF20
2F129FF41
2F129FF62
2F129FF72
2F129GG04
2F129HH12
2F129HH20
2F129HH33
2F129HH35
5H181AA05
5H181AA21
5H181BB05
5H181CC04
5H181DD04
5H181FF04
5H181FF12
5H181FF13
5H181FF27
5H181FF33
5H181FF35
5H181LL01
5H181LL08
5H181LL09
5H181LL14
(57)【要約】
【課題】車両と障害物との接触を防止することができる情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法を提供する。
【解決手段】実施形態の一態様に係る情報処理装置においては、取得部と、判定部と、指示部とを備える。取得部は、歩道を走行する車両に関する車両情報と歩道に存在する障害物の状況に関する状況情報とを取得する。判定部は、取得部によって取得された車両情報および状況情報に基づき、車両と障害物とが接触する可能性の有無を判定する。指示部は、判定部によって車両と障害物とが接触する可能性があると判定された場合、歩道に設置された表示装置に対して所定の報知情報を表示する表示指示を出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩道を走行する車両に関する車両情報と前記歩道に存在する障害物の状況に関する状況情報とを取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記車両情報および前記状況情報に基づき、前記車両と前記障害物とが接触する可能性の有無を判定する判定部と、
前記判定部によって前記車両と前記障害物とが接触する可能性があると判定された場合、前記歩道に設置された表示装置に対して所定の報知情報を表示する表示指示を出力する指示部と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記障害物は、
前記歩道を通行する通行者であり、
前記指示部は、
前記車両の乗員および前記通行者の少なくともいずれかに視認可能な位置に設置された前記表示装置に対して前記表示指示を出力すること
を特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記障害物は、
前記歩道を通行する通行者であり、
前記指示部は、
前記通行者が表示部を備えた端末装置を所持する場合、前記表示装置より優先して前記端末装置に対し前記表示指示を出力すること
を特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記障害物は、
前記歩道を通行する通行者であり、
前記指示部は、
前記表示装置が前記通行者に注視されている場合、当該表示装置に対する前記表示指示の出力を制限すること
を特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記指示部は、
前記判定部によって前記車両と前記障害物とが接触する可能性があると判定された場合、前記車両に対して、前記障害物との接触を回避するように前記車両を制御する車両制御指示を出力すること
を特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の情報処理装置。
【請求項6】
情報処理装置と表示装置とを含む情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
歩道を走行する車両に関する車両情報と前記歩道に存在する障害物の状況に関する状況情報とを取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記車両情報および前記状況情報に基づき、前記車両と前記障害物とが接触する可能性の有無を判定する判定部と、
前記判定部によって前記車両と前記障害物とが接触する可能性があると判定された場合、前記歩道に設置された前記表示装置に対して所定の報知情報を表示する表示指示を出力する指示部と
を備え、
前記表示装置は、
前記表示指示を受け付けた場合に前記所定の報知情報を表示すること
を特徴とする情報処理システム。
【請求項7】
歩道を走行する車両に関する車両情報と前記歩道に存在する障害物の状況に関する状況情報とを取得する取得工程と、
前記取得工程によって取得された前記車両情報および前記状況情報に基づき、前記車両と前記障害物とが接触する可能性の有無を判定する判定工程と、
前記判定工程によって前記車両と前記障害物とが接触する可能性があると判定された場合、前記歩道に設置された表示装置に対して所定の報知情報を表示する表示指示を出力する指示工程と
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば1人乗りのコンパクトな車両であるパーソナルモビリティに関する技術が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。かかるパーソナルモビリティは、例えば高齢者や身体障害者などのユーザの移動を支援するものとして普及が進んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、パーソナルモビリティなどの車両においては、例えば大型商業施設や商店街などの歩道を走行することができる。かかる歩道には、歩道を通行する通行者などを含む障害物が存在するため、例えば歩道の混雑状況等によっては、車両と障害物とが接触するおそれがある。
【0005】
しかしながら、従来技術には、上記したような車両と障害物との接触を防止するという点で、さらなる改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、車両と障害物との接触を防止することができる情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、情報処理装置において、取得部と、判定部と、指示部とを備える。取得部は、歩道を走行する車両に関する車両情報と前記歩道に存在する障害物の状況に関する状況情報とを取得する。判定部は、前記取得部によって取得された前記車両情報および前記状況情報に基づき、前記車両と前記障害物とが接触する可能性の有無を判定する。指示部は、前記判定部によって前記車両と前記障害物とが接触する可能性があると判定された場合、前記歩道に設置された表示装置に対して所定の報知情報を表示する表示指示を出力する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、車両と障害物との接触を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報処理装置による情報処理方法の概要を説明する図である。
【
図2】
図2は、情報処理システムの構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【
図5A】
図5Aは、表示指示の出力などを説明するための図(その1)である。
【
図5B】
図5Bは、表示指示の出力などを説明するための図(その2)である。
【
図5C】
図5Cは、表示指示の出力などを説明するための図(その3)である。
【
図5D】
図5Dは、表示指示の出力などを説明するための図(その4)である。
【
図5E】
図5Eは、表示指示の出力などを説明するための図(その5)である。
【
図6】
図6は、車載装置などの構成例を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、情報処理装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
<情報処理装置による情報処理方法の概要>
以下では先ず、実施形態に係る情報処理装置による情報処理方法の概要について
図1を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る情報処理装置による情報処理方法の概要を説明する図である。
【0012】
なお、以下において、実施形態に係る車両Vは、例えば高齢者や身体障害者などのユーザUによって利用され、ユーザUの移動を支援するパーソナルモビリティや比較的小型のモビリティであるものとする。なお、ユーザUは乗員の一例である。
【0013】
図1に示すように、実施形態に係る車両Vは、例えば1人乗りの電動車両であるが、2人以上が乗車可能な車両であってもよい。車両Vには、同図に示すようなカート型の他、車椅子型や立ち乗り型など様々なタイプのものがある。なお、上記では、車両Vを動力としてモータを用いる電動車両としたが、これに限られず、例えば内燃機関などその他の動力を用いる車両であってもよい。
【0014】
また、以下の例において、車両Vは、例えば大型商業施設などの施設における歩道(通路)Aを走行するものとする。なお、施設は、上記した大型商業施設に限定されるものではなく、例えば医療介護施設、空港や駅などの公共交通機関の施設などその他の施設であってもよい。また、車両Vが走行する歩道Aは、施設の歩道に限られず、例えば商店街や公園などその他の場所の歩道であってもよい。
【0015】
ところで、車両Vが走行する歩道Aには、歩道Aを通行する通行者(歩行者)Wなどを含む障害物が存在する。従って、例えば歩道Aに混雑が発生するなどの混雑状況によっては、車両Vと障害物とが接触するおそれがある。なお、障害物は、上記した通行者Wに限られず、例えば歩道A上の物や他のユーザが使用する車両(パーソナルモビリティ)などを含んでもよい。
【0016】
本実施形態に係る情報処理装置100にあっては、上記したような車両Vと障害物との接触を防止することができるような構成とした。
【0017】
具体的に説明すると、情報処理システム1は、情報処理装置100と、車両Vと、端末装置50と、表示装置70とを含む。情報処理装置100は、施設に関する情報の処理など各種の処理を実行可能なサーバであり、例えば施設内に設けられる。なお、情報処理装置100は、クラウドサーバとして実現され、例えば施設外に設けられてもよい。
【0018】
車両Vは、車載装置10を備える。車載装置10は、後述する制御部20(
図6参照)を備え、例えばユーザUの運転操作による手動運転制御や、ユーザUの運転操作を要しない自動運転制御によって車両Vを制御することができる。
【0019】
端末装置50は、ユーザUに所持されて使用される装置である。端末装置50は、車載装置10および情報処理装置100などと通信可能に接続される。なお、端末装置50としては、例えばスマートフォンやタブレット端末などを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0020】
表示装置70は、各種の情報を表示する装置である。表示装置70は、例えば施設の歩道Aなどに設置される。詳しくは、表示装置70は、例えば通行者Wなどによって視認可能な位置に設置される。
【0021】
表示装置70としては、例えばデジタルサイネージを用いることができる。なお、
図1では、一例として歩道Aの壁に設置される壁掛け式の表示装置70を示したが、これに限られず、吊り下げ式や自立式などであってもよい。また、表示装置70は、固定式であっても、移動式であってもよい。
【0022】
表示装置70は、情報処理装置100と通信可能に接続され、情報処理装置100から出力される表示指示に応じた情報を表示することができる。
【0023】
詳説すると、情報処理装置100は先ず、車両Vに関する車両情報を端末装置50から取得する(ステップS1)。車両情報には、例えば車両Vの位置情報、車両Vの制御に関する車両制御情報(例えば操舵角や車速など)などが含まれる。
【0024】
ここで、情報処理装置100は、上記したように、車両情報を端末装置50から取得することから、例えば車両Vの制御に関する車両制御情報などについては、車載装置10から端末装置50を介して取得することとなる。なお、車両情報の取得方法は、上記に限られず、例えば情報処理装置100が車載装置10と通信可能に接続され、車載装置10から車両制御情報を取得するように構成してもよい。
【0025】
また、車両情報には、例えば車両Vの行先情報、行先までの走行予定通路情報などが含まれてもよい。情報処理装置100は、行先情報等について、例えばユーザUの施設の利用履歴情報などに基づいて推定して取得してもよいし、端末装置50から取得してもよく、これについては後に詳説する。また、車両情報には、上記した車両Vの位置情報、車両制御情報、行先情報および走行予定通路情報のうちの一部が含まれてもよいし、上記した各情報以外の情報が含まれてもよい。
【0026】
次いで、情報処理装置100は、障害物の状況に関する状況情報を取得する(ステップS2)。状況情報には、例えば歩道Aにおいて障害物である通行者Wによる混雑の発生状況を示す混雑情報、歩道Aにおいて障害物(例えば通行者W)が存在している位置を示す障害物位置情報などの情報が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0027】
また、上記した混雑情報には、現在および将来の混雑の発生状況が含まれる。例えば、情報処理装置100は、施設に設置される定点カメラ60(
図3参照)によって撮像されるカメラ画像を解析して現在の混雑の発生状況を推定することができる。また、例えば情報処理装置100は、過去に施設で発生した混雑の状況などを含む過去データ、当日の天候などの環境情報などに基づいて、歩道Aにおける人流のシミュレーションを行うことで、将来の混雑の発生状況を推定することができる。
【0028】
なお、混雑の発生状況である混雑情報としては、例えば歩道Aの混雑度の情報を用いることができる。混雑度は、歩道Aでの混雑の度合いを示す指標値であり、例えば歩道Aを通行する通行者Wの数等(人の密度)に応じた数段階のレベルで示される情報である。
【0029】
次いで、情報処理装置100は、車両情報および状況情報などに基づき、車両Vと障害物とが接触する可能性の有無を判定する(ステップS3)。例えば、情報処理装置100は、車両Vの周辺や車両Vの行先までの走行予定通路などにおいて混雑が発生する場合に、車両Vと障害物(例えば通行者W)とが接触する可能性があると判定する。
【0030】
一例として、情報処理装置100は、状況情報の混雑度に基づいて接触の可能性の有無を判定することができる。すなわち、情報処理装置100は、車両Vの周辺や走行予定通路などに混雑度が所定値以上となる領域(地点)がある場合、当該領域において車両Vと障害物とが接触する可能性があると判定する。なお、所定値は、接触の可能性があると推定される値に設定されるが、これに限られず、任意の値に設定可能である。また、以下では、車両Vの周辺や走行予定通路などにおいて、接触する可能性があると判定された領域を「危険領域」と記載する場合がある。
【0031】
次いで、情報処理装置100は、車両Vと障害物(例えば通行者W)とが接触する可能性があると判定された場合、表示装置70に対して所定の報知情報を表示する表示指示を出力する(ステップS4)。例えば、情報処理装置100は、歩道Aにおいて、上記した危険領域あるいは危険領域付近に設置される表示装置70に対して所定の報知情報を表示する表示指示を出力する。これにより、表示装置70の表示画面701には、所定の報知情報が表示される。
【0032】
なお、所定の報知情報は、
図1の例に示すような「まもなく車両が通ります。ご注意下さい」など、車両Vの走行について通行者Wに対して注意喚起するような情報であるが、これはあくまでも例示であって限定されるものではない。
【0033】
本実施形態にあっては、上記したように表示装置70に報知情報を表示することで、例えば通行者Wに対して、車両Vが付近を走行することを事前に認識させることが可能になる。これにより、通行者Wは車両Vに注意しながら通行することができ、よって車両Vと障害物(ここでは通行者W)との接触を防止することができる。
【0034】
なお、
図1の例において、情報処理装置100は、通行者Wに対して注意喚起するようにしたが、これに限られず、車両VのユーザUに対して注意喚起するようにしてもよい。すなわち、例えば情報処理装置100は、車両V付近に設置される表示装置70に対して表示指示を出力してもよい(後述する
図5E参照)。なお、このときの所定の報知情報は、車両Vの周辺や走行予定通路に危険領域が存在することを車両VのユーザUに対して注意喚起するような情報となる。これにより、車両VのユーザUに対して危険領域があることを認識させることが可能になり、よって車両Vと障害物(通行者W)との接触を防止することができる。
【0035】
このように、本実施形態にあっては、車両Vと障害物とが接触する可能性があると判定された場合、歩道Aに設置された表示装置70に対して所定の報知情報を表示する表示指示を出力するようにしたので、通行者Wや車両VのユーザUに対して接触の危険性を効果的に報知することが可能になり、よって車両Vと通行者W(障害物)との接触を防止することができる。
【0036】
<情報処理装置を備えた情報処理システムの構成>
次に、実施形態に係る情報処理装置100を備えた情報処理システム1の構成について、
図2を用いて説明する。
図2は、情報処理システム1の構成例を示すブロック図である。
【0037】
図2に示すように、情報処理システム1は、車載装置10が搭載された車両Vと、端末装置50と、表示装置70と、通行者用端末装置80と、情報処理装置100とを含む。本実施形態においては、端末装置50、表示装置70、通行者用端末装置80および情報処理装置100は、インターネット網などの通信ネットワークNを介して通信可能に接続される。
【0038】
なお、
図2に想像線で示すように、車載装置10も、通信ネットワークNを介して情報処理装置100と通信可能に接続されてもよい。また、
図2では、図示の簡略化のため、車両V、端末装置50、表示装置70および通行者用端末装置80をそれぞれ1つ示したが、複数であってもよい。
【0039】
車載装置10は、端末装置50と例えば近距離無線通信を介して通信可能に接続される。近距離通信方式としては、例えばBluetooth(登録商標)等を用いることができるが、これに限定されるものではない。なお、車載装置10の詳細な構成については、
図6を用いて後述する。
【0040】
端末装置50は、上記したように車両VのユーザUによって所持(携帯)される装置である。端末装置50は、例えばGPS(Global Positioning System)衛星からの信号に基づいて車両Vの位置(正確には端末装置50の位置)を示す位置情報を検出するGPS受信機などが含まれる。端末装置50は、検出した位置情報を情報処理装置100へ車両情報として送信することができる。
【0041】
また、端末装置50は、車載装置10から、車両Vの制御に関する車両制御情報などを受信し、受信した情報を車両情報として情報処理装置100へ送信することができる。
【0042】
また、端末装置50は、ユーザUのユーザ情報を情報処理装置100へ送信してもよい。例えば、ユーザUが車両Vに乗車して施設を利用する際、ユーザUの端末装置50に対する操作によって氏名や連絡先などのユーザ情報が入力され、端末装置50は入力されたユーザ情報を情報処理装置100へ送信してもよい。なお、ユーザ情報には、ユーザUが施設内で利用を所望する店舗(場所)などの情報が含まれてもよい。
【0043】
表示装置70は、例えば施設の歩道Aの適宜位置に設置され、情報処理装置100から出力される表示指示に応じた情報(例えば報知情報)を表示する。なお、表示装置70が複数ある場合、報知情報を表示する表示装置70は、情報処理装置100によって適切に選択されるが、これについては後述する。
【0044】
また、表示装置70は、上記した報知情報を表示する表示指示が情報処理装置100から出力されない場合、報知情報とは異なる他の情報(例えば、広告情報やニュース情報などのコンテンツ情報)を表示することができる。なお、以下では、表示装置70が、他の情報として広告情報を表示する場合を例に挙げて説明することがあるが、これに限定されるものではない。
【0045】
通行者用端末装置80は、通行者Wによって所持(携帯)される装置である。通行者用端末装置80は、端末装置50と同様、GPS受信機などを含み、通行者Wの位置(正確には通行者用端末装置80の位置)を示す位置情報を検出する。通行者用端末装置80は、検出した位置情報を情報処理装置100へ送信することができる。また、通行者用端末装置80は、表示部(例えばディスプレイ)を備え、報知情報を表示することができるが、これについては後述する。なお、通行者用端末装置80としては、例えばスマートフォンやタブレット端末などを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0046】
<情報処理装置の構成>
次いで、情報処理装置100の構成について
図3等を参照して具体的に説明する。
図3は、情報処理装置100の構成例を示すブロック図である。なお、
図3等のブロック図では、本実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを機能ブロックで表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0047】
換言すれば、
図3等のブロック図に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各機能ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0048】
図3に示すように、情報処理装置100は、通信部101と、制御部110と、記憶部120とを備える。また、情報処理装置100には、定点カメラ60が通信可能に接続される。
【0049】
定点カメラ60は、施設の歩道Aや施設内の店舗などに複数台設定される。定点カメラ60は、施設の歩道A等を撮像し、撮像されたカメラ画像を情報処理装置100へ送信することができる。なお、定点カメラ60のカメラ画像は、動画データであるが、これに限られず、静止画データなどであってもよい。かかるカメラ画像は、情報処理装置100において現在の混雑の発生状況を示す混雑情報として取得されるが、これについては後述する。
【0050】
なお、定点カメラ60は、歩道A等の人を検知する人体検知センサを有していてもよい。人体検知センサとしては、例えば赤外線信号を用いた焦電センサなどを採用することができる。
【0051】
情報処理装置100の通信部101は、例えばNIC(Network Interface Card)等によって実現される。通信部101は、通信ネットワークNに双方向通信可能に接続され、端末装置50、表示装置70および通行者用端末装置80等との間で情報の送受信を行う。
【0052】
制御部110は、取得部111と、推定部112と、判定部113と、指示部114とを備え、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0053】
コンピュータのCPUは、例えば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部110の取得部111、推定部112、判定部113および指示部114として機能する。
【0054】
また、制御部110の取得部111、推定部112、判定部113および指示部114の少なくともいずれか一部または全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
【0055】
また、記憶部120は、例えば、不揮発性メモリやデータフラッシュ、ハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部である。かかる記憶部120には、施設情報121、車両情報122、状況情報123および各種プログラムなどが記憶される。
【0056】
施設情報121は、施設に関する情報である。施設情報121には、例えば車両Vが走行する施設の歩道Aの場所や施設内の店舗の場所などを示す地図情報等(ダイナミックマップ等)を含む。なお、施設情報121は、記憶部120に予め記憶されてもよいし、図示しない外部サーバから取得されてもよい。
【0057】
車両情報122は、車両Vに関する情報である。具体的には、車両情報122は、施設の歩道Aを走行する車両V、あるいは走行予定の車両Vに関する情報であるが、これに限定されるものではない。
【0058】
ここで、
図4を用いて、車両情報122について説明する。
図4は、車両情報122の一例を示す図である。
図4に示すように、車両情報122には、「車両ID」、「位置情報」、「車両制御情報」、「行先」および「走行予定通路」等の項目が含まれ、各項目は互いに関連付けられている。
【0059】
「車両ID」は、車両情報を識別する識別情報である。「位置情報」は、車両Vの位置を示す情報であり、詳しくは、施設内における車両Vの現在の位置を示す情報である。なお、
図4に示す例では、便宜上、「位置情報」を「位置P01」といったように抽象的な記載とするが、「位置P01」には具体的な情報が記憶されるものとする。以下、他の情報についても抽象的に記載する場合がある。
【0060】
「車両制御情報」は、車両Vの制御に関する情報である。「車両制御情報」には、例えば車両Vの操舵角や車速などの情報が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0061】
「行先」は、車両Vの行先を示す行先情報であり、言い換えると、車両Vの目的地点を示す情報である。例えば、「行先」には、施設内において車両VのユーザUが所望する(あるいは所望すると推定される)店舗や場所、移動方向を示す情報が含まれる。
【0062】
「走行予定通路」は、車両Vが走行を予定する通路を示す情報である。具体的に「走行予定通路」には、施設の歩道Aのうち、車両Vの現在位置から行先までの経路を示す情報が含まれる。
【0063】
図4に示す例では、車両ID「W01」で識別される車両情報は、位置情報が「位置P01」、車両制御情報が「車両制御Q01」、行先が「行先R01」、走行予定通路が「通路T01」であることを示している。なお、
図4では、車両情報122が1台の車両Vに対応する情報を含む例を示したが、例えば施設内の車両Vが複数である場合、車両情報122には、複数の車両Vに対する情報が含まれることとなる。
【0064】
図3の説明に戻ると、状況情報123は、障害物の状況に関する情報である。状況情報123には、上記したように、例えば歩道Aにおける現在および将来の混雑の発生状況を示す混雑情報、歩道Aにおいて障害物(例えば通行者W)が存在している位置を示す障害物位置情報などが情報含まれる。
【0065】
制御部110の取得部111は、通信部101を介して各種の情報を取得する。例えば、取得部111は、車両Vの位置情報を端末装置50から取得し、記憶部120に車両情報122(
図4参照)として記憶させる。なお、取得部111は、通行者Wの位置情報を通行者用端末装置80から取得し、指示部114へ出力してもよい。
【0066】
また、取得部111は、車載装置10から端末装置50を介して車両制御情報(例えば操舵角や車速など)を取得し、記憶部120に車両情報122(
図4参照)として記憶させる。
【0067】
また、取得部111は、ユーザUが施設を利用する際に端末装置50にユーザ情報が入力された場合、かかるユーザ情報を取得することができる。また、ユーザUが過去に施設を訪れたことがある場合、取得部111は、そのとき取得された車両Vの位置情報からユーザUが行った店舗(場所)等を推定し、ユーザUの利用履歴情報としてユーザ情報と対応付けて記憶部120に記憶しておくことができる。従って、取得部111は、今回ユーザUが施設を利用する際に端末装置50に入力されたユーザ情報を取得すると、ユーザ情報と対応する利用履歴情報を読み出して、ユーザUが所望する店舗(場所)を推定し、記憶部120の車両情報122の行先情報として登録してもよい。すなわち、行先情報は、施設内におけるユーザUの過去の行動傾向に基づいて登録されてもよい。
【0068】
なお、取得部111は、ユーザ情報にユーザUが施設内で利用を所望する店舗の情報が含まれる場合、かかる店舗を行先情報として登録してもよい。また、取得部111は、車両制御情報に含まれる車両Vの操舵角や、車両Vの位置情報の時系列での推移等に基づいて、車両Vの移動方向(例えば北方向や南方向など)を算出し、かかる移動方向を行先情報として登録してもよい。
【0069】
取得部111は、上記した行先情報とともに、車両情報122の走行予定通路情報を登録することができる。例えば、取得部111は、車両Vの位置情報と、行先情報と、施設情報121に含まれる地図情報とに基づいて、車両Vの現在位置から行先までの経路を検索し、検索された経路を走行予定通路情報として記憶部120に登録する。なお、取得部111は、例えばユーザUによって経路が指定(選択)された場合、かかる経路を走行予定通路情報として登録してもよい。
【0070】
また、取得部111は、定点カメラ60によって撮影されたカメラ画像を取得し、取得されたカメラ画像を推定部112や指示部114へ出力する。
【0071】
推定部112は、歩道Aに存在する障害物の状況に関する状況情報を推定する。例えば、推定部112は、定点カメラ60のカメラ画像の解析や人流のシミュレーションを行うことで、混雑情報や障害物位置情報を含む状況情報を推定する。
【0072】
例えば、推定部112は、カメラ画像を解析して、歩道Aを区画した所定領域ごとに存在する通行者Wの数を計測し、計測された人数に応じた混雑度を含む混雑情報を、現在の混雑の発生状況として推定してもよい。また、推定部112は、例えばカメラ画像を解析して、歩道Aにおいて障害物(例えば通行者W)が存在している位置を障害物位置情報として推定してもよい。
【0073】
また、推定部112は、例えば過去に施設で発生した混雑の状況などを含む過去データ、現在発生している混雑の状況、当日の天候などの環境情報、時間帯情報や曜日情報などに基づいて、将来の混雑の発生状況を推定してもよい、言い換えると、歩道Aにおける将来の人流を推定してもよい。
【0074】
一例として、推定部112は、任意のアルゴリズムを用いて予め生成された推定モデルを利用して人流を推定する。推定モデルは、例えば現在の混雑の発生状況、環境情報、時間帯情報や曜日情報等における静的および動的な各種の情報を入力することによって、歩道Aにおける人流を推定して出力する予測モデルである。なお、推定モデルは、過去に施設で計測結果として得られた人流データや環境情報等に基づき予め生成されて記憶部120に格納される。なお、上記した人流(将来の混雑の発生状況)の推定手法は、あくまでも例示であって限定されるものではない。
【0075】
推定部112は、現在および将来の混雑の発生状況を示す混雑情報や障害物位置情報を、記憶部120に状況情報123として記憶させる。そして、取得部111は、記憶部120に記憶された車両情報および状況情報を読み出して取得し、取得された情報を判定部113へ出力する。
【0076】
判定部113は、車両情報および状況情報に基づき、車両Vと障害物とが接触する可能性の有無を判定する。例えば、判定部113は、施設の歩道Aのうち、車両Vの周辺や車両Vの行先までの走行予定通路などにおいて混雑が発生する場合に、車両Vと障害物(例えば通行者W)とが接触する可能性があると判定する。
【0077】
一例として、判定部113は、車両Vの周辺や走行予定通路などに混雑度が所定値以上となる領域がある場合、当該領域において車両Vと障害物とが接触する可能性があると判定する、言い換えると、当該領域が危険領域であると判定する。逆に言えば、判定部113は、車両Vの走行予定通路などにおいて混雑度が所定値未満である場合、接触の可能性がない(あるいは比較的低い)と判定する。
【0078】
指示部114は、判定部113による判定結果に応じて、表示装置70に対して所定の報知情報を表示する表示指示を出力する。ここで、指示部114による表示指示の出力などについて、
図5A~
図5Eを参照しつつ詳しく説明する。
【0079】
図5A~
図5Eは、表示指示の出力などを説明するための図である。なお、
図5A~
図5Eでは、理解の便宜のため、歩道Aにおける危険領域Cを二点鎖線で囲んで示している。
【0080】
図5Aに示すように、例えば指示部114は、判定部113によって車両Vと障害物(例えば通行者W)とが接触する可能性があると判定された場合、歩道Aに設置された表示装置70に対して所定の報知情報を表示する表示指示を出力する。そして、表示装置70は、表示指示を受け付けた場合に所定の報知情報を表示する。なお、報知情報は、例えば車両Vの走行について通行者Wに対して注意喚起するような情報である。
【0081】
これにより、本実施形態にあっては、例えば通行者Wに対して、接触の危険性を効果的に報知し、車両Vが付近を走行することを事前に認識させることが可能になる。従って、通行者Wは、将来的に自身の付近を走行する車両Vに注意しながら通行することができ、よって車両Vと障害物(ここでは通行者W)との接触を防止することができる。
【0082】
また、指示部114は、歩道Aのうち危険領域Cに設定された表示装置70に対して表示指示を出力してもよい。これにより、危険領域Cに存在する通行者Wに対して、接触の危険性をより効果的に報知でき、結果として車両Vと障害物(通行者W)との接触をより防止することができる。
【0083】
また、指示部114は、通行者Wに視認可能な位置に設置された表示装置70に対して表示指示を出力してもよい。これにより、通行者Wに対して報知情報を視認させて、車両Vが付近を走行することを効果的に認識させることが可能になる。
【0084】
次いで、
図5Bについて説明する。
図5Bに示すように、歩道Aの危険領域Cにおいて、表示装置70が複数台(ここでは2台)設置される場合がある。このとき、例えば一方の表示装置70a付近に通行者Wが比較的多く存在し、他方の表示装置70b付近には、表示装置70a付近に比べて通行者Wが少ないものとする。
【0085】
このような場合、指示部114は、複数の表示装置70a,70bのうち、通行者Wの人数が多い表示装置70aに対して表示指示を出力してもよい。逆に言えば、指示部114は、複数の表示装置70a,70bのうち、通行者Wの人数が少ない表示装置70bに対して表示指示を出力しないようにしてもよい。なお、このときの表示装置70bにおいては、例えば広告情報が継続して表示されるものとする。また、指示部114は、通行者Wの向いている方向が偏っている場合に、向いている人数が多い方向の表示装置70のみに表示指示を出力するようにしてもよい。
【0086】
これにより、例えば表示装置70bは広告情報を表示して広告機能を維持できるとともに、表示装置70a付近に存在する比較的多くの通行者Wに対して、接触の危険性をより効果的に報知でき、結果として車両Vと障害物(通行者W)との接触をより防止することができる。
【0087】
次いで、
図5Cについて説明する。
図5Cに示すように、指示部114は、表示装置70より優先して通行者用端末装置80に対し表示指示を出力してもよい。詳しくは、例えば歩道Aの危険領域Cに存在する通行者Wのうち比較的多くの通行者Wが通行者用端末装置80を所持している場合、指示部114は、表示装置70より優先して通行者用端末装置80に対し表示指示を出力してもよい。
【0088】
一例として、指示部114は、通行者用端末装置80から取得される通行者Wの位置情報や状況情報などに基づいて、危険領域Cに存在する全ての通行者Wに対する、通行者用端末装置80を所持する通行者Wの割合を算出する。そして、指示部114は、算出された割合が所定割合以上である場合、表示装置70より優先して通行者用端末装置80に対し表示指示を出力する。
【0089】
なお、このときの表示装置70においては、例えば広告情報が継続して表示されるものとする。また、上記した所定割合は、例えば接触の危険性を危険領域Cに存在する通行者Wに対して効果的に報知できると推定される値に設定されるが、これに限られず、任意の値に設定可能である。
【0090】
これにより、例えば表示装置70は広告情報を表示して広告機能を維持できるとともに、通行者用端末装置80を所持する比較的多くの通行者Wに対して、接触の危険性をより効果的に報知でき、結果として車両Vと障害物(通行者W)との接触をより防止することができる。
【0091】
なお、上記では、通行者用端末装置80を所持する通行者Wの割合が所定割合以上であることを条件として示したが、これは例示であって限定されるものではない。すなわち、例えば通行者用端末装置80を所持する通行者Wの人数が所定人数以上の場合などその他の条件を満たした場合に、通行者用端末装置80に対し表示指示を出力するようにしてもよい。
【0092】
また、上記では、指示部114は、表示装置70より優先して通行者用端末装置80に対し表示指示を出力するようにしたが、これに限られず、表示装置70および通行者用端末装置80の両方に対して表示指示を出力してもよい。
【0093】
次いで、
図5Dについて説明する。
図5Dに示すように、表示装置70には、例えば広告情報が表示され、かかる広告情報を通行者Wが見ている場合がある。このような場合に、例えば仮に、表示装置70に対して表示指示が出力されて、表示装置70の表示が広告情報から報知情報に切り替わると、通行者Wは広告情報を見ることができなくなるため、表示装置70の広告サービスに対する通行者Wの満足度が低下するおそれがある。
【0094】
そこで、
図5Dに示す例では、指示部114は、表示装置70が通行者Wに注視されている場合、当該表示装置70に対する表示指示の出力を制限するようにした。ここで、表示指示の出力の制限とは、例えば表示装置70の表示画面701(
図1参照)うちの一部に報知情報を表示する表示指示を出力することを意味するが、これは例示であって限定されるものではない。
【0095】
一例として、指示部114は、定点カメラ60(
図3参照)によって撮影されたカメラ画像を解析するなどして、表示装置70付近に存在する通行者Wの顔の向きや目の向きを検出し、通行者Wの視線方向Waを推定する。そして、指示部114は、推定された通行者Wの視線方向Waに表示装置70が存在する場合、表示装置70が通行者Wに注視されていると判定し、表示装置70に対する表示指示の出力を制限する。このとき、表示装置70においては、例えば広告情報が継続して表示されつつ、表示画面701の一部に報知情報が表示されることとなる。
【0096】
これにより、例えば表示装置70は広告情報を表示して広告機能を維持できるため、表示装置70の広告サービスに対する通行者Wの満足度が低下することを抑制することができる。また、表示装置70は報知情報を表示するため、表示装置70付近の通行者Wに対して、接触の危険性を報知することもでき、結果として車両Vと障害物(通行者W)との接触をより防止することができる。
【0097】
なお、上記では、表示装置70の表示画面701の一部に報知情報を表示するような表示指示の出力の制限を行うようにしたが、これに限られず、表示装置70における報知情報の表示を禁止するような制限を行ってもよい。なお、報知情報の表示を禁止するような制限を行った場合、指示部114は、通行者用端末装置80に対し表示指示を出力するようにしてもよい(
図5C参照)。
【0098】
次いで、
図5Eについて説明する。上記では、指示部114は、通行者Wに視認可能な位置に設置された表示装置70に対して表示指示を出力したが、これに限られず、
図5Eに示すように、車両VのユーザUに視認可能な位置に設置された表示装置70に対して表示指示を出力してもよい。また、指示部114は、表示装置70に対する表示指示に代えてあるいは加えて、端末装置50に対して表示指示を出力してもよい。
【0099】
なお、ここでの報知情報は、例えば「この先の通路で混雑の発生が予測されます。十分に注意して走行して下さい」など、車両Vの周辺や走行予定通路などに危険領域Cが存在することをユーザUに対して注意喚起するような情報である。
【0100】
図5Eの例では、例えばユーザUに対して、車両Vが危険領域Cを走行することを事前に認識させることが可能になる。これにより、車両VのユーザUは、危険領域Cを注意しながら通行することができ、よって車両Vと障害物(ここでは通行者W)との接触を防止することができる。
【0101】
なお、
図5A~
図5Eでは、表示装置70が歩道Aに沿った壁に設置される例を示したが、表示装置70の設置位置は、これに限定されるものではない。すなわち、例えば歩道Aに交差点があり、かかる交差点の四隅の角(例えば角から連続する壁)にそれぞれ表示装置70が設置されたり、歩道Aとして機能する広場、通路、交差点の中央等に柱があり、かかる柱の側面に表示装置70が設置されたりしてもよい。別言すれば、表示装置70は、見える方向がある程度限定されるような位置に設置されてもよい。
【0102】
このように設置される表示装置70において、指示部114は、例えば交差点で、つながっている通路ごとに通行者Wの人数の多さが偏っている場合、人数の多い通路の表示装置70のみに表示指示を出力するようにしてもよい。また、指示部114は、例えば交差点で、車両Vの走行予定通路に設置された表示装置70のみに表示指示を出力するようにしてもよい。また、指示部114は、例えば車両Vの走行予定通路において、車両VのユーザUから見える方向に設置された表示装置70のみに表示指示を出力するようにしてもよい。また、指示部114は、例えば車両Vの走行予定通路において車両Vが交差点の角から出てくるような経路である場合、車両Vが出てくる角に設置された表示装置70のみに表示指示を出力するようにしてもよい。このように、表示装置70が交差点の角や柱などに設置される場合であっても、上記のように構成することで、
図5A~
図5Eの例と同様に、車両Vと障害物(ここでは通行者W)との接触を防止することができる。
【0103】
また、指示部114は、車両Vが危険領域Cを走行するような場合、車両Vに対して車両制御を行うようにしてもよい。例えば、指示部114は、車両Vと障害物とが接触する可能性があると判定された場合(詳しくは、車両Vが危険領域Cを走行予定である場合)、車両Vに対して、障害物との接触を回避するように車両Vを制御する車両制御指示を出力してもよい。
【0104】
詳しくは、指示部114は、車両Vが危険領域Cに進入して走行するとき、障害物(通行者W)との接触を回避するように車両Vを制御する車両制御指示を出力する。上記した車両制御指示には、例えば車両Vの車速を低下させる(制限する)指示や、障害物との接触を回避するように車両Vの操舵角を制御する指示などが含まれるが、これに限定されるものではない。
【0105】
このように、指示部114が車両Vに対して車両制御指示を出力することで、車両Vは、危険領域Cを障害物(通行者W)との接触を回避しつつ安全に走行することが可能となる。なお、指示部114は、車両Vが危険領域Cを通過し終えた場合に、車両制御指示の出力を停止してもよい。
【0106】
また、車両Vが危険領域Cを走行する場合と走行していない場合とで、情報処理装置100と端末装置50との通信頻度が変更されるようにしてもよい。例えば、車両Vが危険領域Cを走行する場合の通信頻度が、車両Vが危険領域Cを走行していない場合の通信頻度に比べて増加するように設定されてもよい。逆に言えば、車両Vが危険領域Cを走行していない場合の通信頻度が、車両Vが危険領域Cを走行している場合の通信頻度に比べて減少するように設定されてもよい。
【0107】
なお、情報処理装置100と端末装置50との通信としては、例えば、情報処理装置100の取得部111(
図6参照)が端末装置50から位置情報や車両制御情報などを取得する通信などであるが、これに限定されるものではない。
【0108】
車両Vが危険領域Cを通過する場合、車両Vの周辺環境(例えば通行者Wとの相対位置関係や離間距離)が変化し易いことから、通信頻度を増加させることで、例えば情報処理装置100は、車両Vの現在位置を精度良く検出でき、結果として車両Vに対して適切な車両制御指示を出力することが可能になる。他方、車両Vが危険領域Cを走行していない場合、通信頻度を減少させることで、情報処理装置100や端末装置50における処理負荷を軽減させることが可能になる。
【0109】
<車載装置の構成>
次に、車載装置10などについて
図6を参照して説明する。
図6は、車載装置10などの構成例を示すブロック図である。
【0110】
図6に示すように、車載装置10には、車両機構41と、車載センサ部42と、HMI(Human Machine Interface)部43とが、CAN等を介して通信可能に接続される。
【0111】
車両機構41は、車両Vの走行系や電力系等を構成する各種の機構である。車載センサ部42は、車両Vに搭載され、車両Vの各種の状況を示す情報を出力するセンサ群である。車載センサ部42には、例えば車速センサや操舵角センサ、ジャイロセンサ、着座センサなどが含まれるが、これらは例示であって限定されるものではない。
【0112】
HMI部43は、ユーザUと車両Vとが情報をやり取りするための各種のインタフェース部品であって、アクセルやブレーキ、ステアリング、表示部、スピーカ、マイクといったハードウェア部品の他、表示部に表示されるソフトウェア部品を含む。
【0113】
車載装置10は、通信部11と、制御部20と、記憶部30とを備える。通信部11は、NIC等によって実現される。通信部11は、ユーザUの端末装置50と近距離無線通信方式で接続され、端末装置50を介して、情報処理装置100などとの間で各種情報の送受信を行う。
【0114】
制御部20は、取得部21と、車両制御部22と、処理部23とを備え、例えば、CPU、ROM、RAM、ハードディスクドライブ、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0115】
コンピュータのCPUは、例えば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部20の取得部21、車両制御部22および処理部23として機能する。また、制御部20の取得部21、車両制御部22および処理部23の少なくともいずれか一部または全部をASICやFPGA等のハードウェアで構成することもできる。
【0116】
また、記憶部30は、例えば、不揮発性メモリやデータフラッシュ、ハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部である。かかる記憶部30には、車両制御情報31および各種プログラムなどが記憶される。
【0117】
車両制御情報31は、車両Vの制御に関する情報である。例えば、車両制御情報31には、車両Vの現在の操舵角や車速などの情報が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0118】
制御部20の取得部21は、車載センサ部42から車両Vの各種の状況を示す情報(例えば車両Vの現在の操舵角や車速などの情報)を取得し、車両制御部22へ出力する。また、取得部21は、操舵角や車速などの情報を記憶部30に車両制御情報31として記憶させる。
【0119】
車両制御部22は、車両Vの制御を行う。例えば、車両制御部22は、HMI部43を介して入力されるユーザUの運転操作と、車載センサ部42からの情報とに基づき、ユーザUの運転操作による手動運転制御を行って車両Vを制御する。
【0120】
また、車両制御部22は、情報処理装置100から、障害物との接触を回避するように車両Vを制御する車両制御指示が入力された場合、かかる車両制御指示に基づいて車両Vの制御を行う。なお、車両制御指示が入力された場合、車両制御部22は、自動運転制御によって車両Vを制御してもよい。これにより、車両Vが危険領域Cにおいて接触を回避しつつ安全に走行することが可能になることは、既に述べた通りである。
【0121】
処理部23は、通信部11および端末装置50を介して、情報処理装置100などとの間で各種情報の送受信など各種の処理を行う。例えば、処理部23は、所定の通信タイミングで記憶部30から車両制御情報31を読み出し、読み出した情報(例えば車両Vの現在の操舵角や車速などの情報)を、通信部11を介して端末装置50へ送信する。なお、端末装置50では、受信した車両制御情報を車両情報として情報処理装置100へ送信する。
【0122】
<情報処理装置の制御処理>
次に、情報処理装置100における具体的な処理手順について
図7を用いて説明する。
図7は、情報処理装置100が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【0123】
図7に示すように、情報処理装置100の制御部110は、車両Vに関する車両情報を端末装置50等から取得する(ステップS10)。次いで、制御部110は、障害物の状況に関する状況情報を取得する(ステップS11)。状況情報には、上記したように混雑情報や障害物位置情報などの情報が含まれる。
【0124】
次いで、制御部110は、車両情報および状況情報などに基づき、車両Vと障害物とが接触する可能性の有無を判定する(ステップS12)。制御部110は、車両Vと障害物との接触の可能性がないと判定された場合(ステップS12,No)、以降の処理をスキップする。
【0125】
一方、制御部110は、車両Vと障害物との接触の可能性があると判定された場合(ステップS12,Yes)、歩道Aに設定された表示装置70に対して所定の報知情報を表示する表示指示を出力する(ステップS13)。
【0126】
また、制御部110は、車両Vに対して、障害物との接触を回避するように車両Vを制御する車両制御指示を出力する(ステップS14)。なお、制御部110は、車両Vの制御を行わない構成であってもよく、このような場合、ステップS14の処理は除去される。
【0127】
上述してきたように、実施形態に係る情報処理装置100は、取得部111と、判定部113と、指示部114とを備える。取得部111は、歩道Aを走行する車両Vに関する車両情報と歩道Aに存在する障害物の状況に関する状況情報とを取得する。判定部113は、取得部111によって取得された車両情報および状況情報に基づき、車両Vと障害物とが接触する可能性の有無を判定する。指示部114は、判定部113によって車両Vと障害物とが接触する可能性があると判定された場合、歩道Aに設置された表示装置70に対して所定の報知情報を表示する表示指示を出力する。これにより、車両Vと障害物との接触を防止することができる。
【0128】
なお、上記では、情報処理装置100が、車両Vと障害物とが接触する可能性の有無を判定する処理や、表示装置70に対して表示指示を出力する処理など各種の処理を行うようにしたが、各種の処理が行われる装置は、情報処理装置100に限定されるものではない。すなわち、情報処理装置100で行われる処理の一部あるいは全部が、車載装置10など他の装置で行われるようにしてもよい。
【0129】
すなわち、例えば車載装置10は、車両情報と状況情報とを取得し、取得された車両情報および状況情報に基づき、車両と障害物とが接触する可能性の有無を判定し、車両と障害物とが接触する可能性があると判定された場合、表示装置に対して所定の報知情報を表示する表示指示を出力してもよい。
【0130】
また、上記では、ユーザUが所持する端末装置50を用いて位置情報の送信など各種の処理が行われるようにしたが、これに限られない。すなわち、例えば車両Vがタブレット端末やスマートフォンなどの端末装置を備える場合、端末装置50で行われる処理の一部あるいは全部が、車両Vの端末装置で行われるようにしてもよい。
【0131】
なお、上記した障害物は、通行者Wの他に、例えば自車(車両V)と同じような歩道Aを走行可能な車両を含んでもよい。この場合、例えば情報処理装置100は、混雑度(言い換えると車両Vと障害物との接触の可能性)を算出する際、人である通行者Wよりも車両の方を混雑しやすい(すなわち接触しやすい)ものとして算出するようにしてもよい。例えば、混雑度を算出する係数において、人と車両とが同じ数であっても車両の方が、混雑度が大きくなるように係数が設定されるなどしてもよい。
【0132】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0133】
1 情報処理システム
10 車載装置
70 表示装置
100 情報処理装置
111 取得部
113 判定部
114 指示部