(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022015539
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】電動アシスト自転車、電動アシスト自転車のながら運転抑制方法、モータ制御部およびプログラム
(51)【国際特許分類】
B62M 6/45 20100101AFI20220114BHJP
【FI】
B62M6/45
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020118457
(22)【出願日】2020-07-09
(71)【出願人】
【識別番号】000112978
【氏名又は名称】ブリヂストンサイクル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】山本 成二郎
(57)【要約】
【課題】電動アシスト自転車の走行を阻害することなくながら運転を抑制する。
【解決手段】ペダル踏力に応じて定まるアシストトルク目標値と等しいアシストトルクを発生するアシストトルク目標値モードとアシストトルク増加モードとアシストトルク減少モードとを有する電動アシスト自転車は、モータ制御部と電動アシスト自転車の運転者が携帯端末を操作しながら電動アシスト自転車を運転するながら運転を検出するながら運転検出部とを備え、ながら運転が検出された場合にモータ制御部はながら運転抑制制御を実行し、ながら運転抑制制御の実行期間には少なくともアシストトルク増加モード期間とアシストトルク減少モード期間とが含まれ、アシストトルク増加モード期間中のアシストトルク増加量とアシストトルク増加モード期間の長さとの積と、アシストトルク減少モード期間中のアシストトルク減少量とアシストトルク減少モード期間の長さとの積とが概略等しい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪と、
前記車輪を駆動するペダル踏力が加えられるペダルと、
前記ペダルに加えられた前記ペダル踏力に応じてアシストトルクを発生するモータと、
前記モータに電力を供給するバッテリと、
前記モータを制御するモータ制御部とを備える電動アシスト自転車であって、
前記電動アシスト自転車の運転者が携帯端末を操作しながら前記電動アシスト自転車を運転するながら運転を検出するながら運転検出部を備え、
前記電動アシスト自転車は、
前記モータが、前記ペダルに加えられた前記ペダル踏力に応じて定まるアシストトルク目標値と等しいアシストトルクを発生するアシストトルク目標値モードと、
前記モータが、前記アシストトルク目標値よりも大きいアシストトルクを発生するアシストトルク増加モードと、
前記モータが、前記アシストトルク目標値よりも小さいアシストトルクを発生するか、あるいは、回生トルクを発生するアシストトルク減少モードとを有し、
前記ながら運転検出部によって前記ながら運転が検出された場合に、前記モータ制御部は、ながら運転抑制制御を実行し、
前記ながら運転抑制制御の実行期間には、少なくとも、前記電動アシスト自転車を前記アシストトルク増加モードにするアシストトルク増加モード期間と、前記電動アシスト自転車を前記アシストトルク減少モードにするアシストトルク減少モード期間とが含まれ、
前記アシストトルク増加モード期間中に前記モータが発生するアシストトルクと前記アシストトルク目標値との差であるアシストトルク増加量と、前記アシストトルク増加モード期間の長さとの積と、
前記アシストトルク減少モード期間中に前記モータが発生するアシストトルクまたは回生トルクと前記アシストトルク目標値との差であるアシストトルク減少量と、前記アシストトルク減少モード期間の長さとの積とが概略等しい、
電動アシスト自転車。
【請求項2】
前記アシストトルク増加モード期間には、少なくとも、第1アシストトルク増加モード小期間と、第2アシストトルク増加モード小期間とが含まれ、
前記モータ制御部は、前記第1アシストトルク増加モード小期間の後であって、前記第2アシストトルク増加モード小期間の前に、前記アシストトルク減少モード期間を設定する、
請求項1に記載の電動アシスト自転車。
【請求項3】
前記アシストトルク減少モード期間には、少なくとも、第1アシストトルク減少モード小期間と、第2アシストトルク減少モード小期間とが含まれ、
前記モータ制御部は、前記第1アシストトルク減少モード小期間の後であって、前記第2アシストトルク減少モード小期間の前に、前記アシストトルク増加モード期間を設定する、
請求項1に記載の電動アシスト自転車。
【請求項4】
前記ながら運転抑制制御の実行期間には、前記電動アシスト自転車を前記アシストトルク目標値モードにするアシストトルク目標値モード期間が含まれる、
請求項1に記載の電動アシスト自転車。
【請求項5】
前記モータ制御部は、
前記アシストトルク増加モード期間中の前記アシストトルク増加量と、前記アシストトルク増加モード期間の長さと、前記アシストトルク減少モード期間中の前記アシストトルク減少量と、前記アシストトルク減少モード期間の長さと、前記アシストトルク目標値モード期間の長さとの組み合わせをランダムに設定するランダム設定部を備える、
請求項4に記載の電動アシスト自転車。
【請求項6】
前記モータ制御部は、前記アシストトルク増加モード期間と前記アシストトルク減少モード期間とを連続して設定する、
請求項4に記載の電動アシスト自転車。
【請求項7】
前記アシストトルク増加モード期間には、複数のアシストトルク増加モード小期間が含まれ、
前記モータ制御部は、所定のリズムになるように、前記複数のアシストトルク増加モード小期間のそれぞれの長さと、前記複数のアシストトルク増加モード小期間の相互の間隔とを設定する、
請求項4に記載の電動アシスト自転車。
【請求項8】
前記アシストトルク減少モード期間には、複数のアシストトルク減少モード小期間が含まれ、
前記モータ制御部は、所定のリズムになるように、前記複数のアシストトルク減少モード小期間のそれぞれの長さと、前記複数のアシストトルク減少モード小期間の相互の間隔とを設定する、
請求項4に記載の電動アシスト自転車。
【請求項9】
前記アシストトルク増加モード期間中の前記アシストトルク増加量と、前記アシストトルク減少モード期間中の前記アシストトルク減少量との和が所定の閾値以上である、
請求項1または6に記載の電動アシスト自転車。
【請求項10】
前記電動アシスト自転車が上り坂を走行していることを検出する上り坂検出部を備え、
前記電動アシスト自転車が上り坂を走行していることが前記上り坂検出部によって検出されている場合には、前記ながら運転検出部によって前記ながら運転が検出されている場合であっても、前記モータ制御部は、前記ながら運転抑制制御を実行しない、
請求項1に記載の電動アシスト自転車。
【請求項11】
前記電動アシスト自転車が上り坂を走行していることを検出する上り坂検出部を備え、
前記電動アシスト自転車が上り坂を走行していることが前記上り坂検出部によって検出されている場合であって、前記ながら運転検出部によって前記ながら運転が検出されている場合における前記アシストトルク減少量は、
前記電動アシスト自転車が上り坂を走行していることが前記上り坂検出部によって検出されていない場合であって、前記ながら運転検出部によって前記ながら運転が検出されている場合における前記アシストトルク減少量よりも小さい、
請求項1に記載の電動アシスト自転車。
【請求項12】
前記電動アシスト自転車の運転者の前記ペダル踏力を検出するペダル踏力検出部と、
前記ペダル踏力検出部によって検出された前記ペダル踏力をペダル踏力履歴として記憶する記憶部と、
前記ペダル踏力検出部によって検出された前記ペダル踏力と、前記記憶部に記憶されている前記ペダル踏力履歴とに基づいて、一定重量以上の荷物が前記電動アシスト自転車に積載されている重量荷物積載時であるか否かを判定する判定部とを備え、
前記重量荷物積載時であると前記判定部によって判定された場合には、前記ながら運転検出部によって前記ながら運転が検出されている場合であっても、前記モータ制御部は、前記ながら運転抑制制御を実行しない、
請求項1に記載の電動アシスト自転車。
【請求項13】
前記電動アシスト自転車の運転者の前記ペダル踏力を検出するペダル踏力検出部と、
前記ペダル踏力検出部によって検出された前記ペダル踏力をペダル踏力履歴として記憶する記憶部と、
前記ペダル踏力検出部によって検出された前記ペダル踏力と、前記記憶部に記憶されている前記ペダル踏力履歴とに基づいて、一定重量以上の荷物が前記電動アシスト自転車に積載されている重量荷物積載時であるか否かを判定する判定部とを備え、
前記重量荷物積載時であると前記判定部によって判定された場合であって、前記ながら運転検出部によって前記ながら運転が検出されている場合における前記アシストトルク減少量は、
前記重量荷物積載時ではないと前記判定部によって判定された場合であって、前記ながら運転検出部によって前記ながら運転が検出されている場合における前記アシストトルク減少量よりも小さい、
請求項1に記載の電動アシスト自転車。
【請求項14】
前記電動アシスト自転車の車速を検出する車速検出部を備え、
前記電動アシスト自転車の車速がゼロであることが前記車速検出部によって検出された場合には、前記ながら運転検出部によって前記ながら運転が検出されている場合であっても、前記モータ制御部は、前記ながら運転抑制制御を実行しない、
請求項1に記載の電動アシスト自転車。
【請求項15】
前記電動アシスト自転車の車速を検出する車速検出部を備え、
前記車速検出部によって検出された前記電動アシスト自転車の車速が第1閾値以下である場合には、前記ながら運転検出部によって前記ながら運転が検出されている場合であっても、前記モータ制御部は、前記ながら運転抑制制御を実行しない、
請求項1に記載の電動アシスト自転車。
【請求項16】
前記電動アシスト自転車の車速を検出する車速検出部を備え、
前記車速検出部によって検出された前記電動アシスト自転車の車速が第2閾値以上である場合には、前記ながら運転検出部によって前記ながら運転が検出されている場合であっても、前記モータ制御部は、前記ながら運転抑制制御を実行せず、前記モータは、前記アシストトルクを発生することなく、前記回生トルクを発生する、
請求項1に記載の電動アシスト自転車。
【請求項17】
車輪と、
前記車輪を駆動するペダル踏力が加えられるペダルと、
前記ペダルに加えられた前記ペダル踏力に応じてアシストトルクを発生するモータと、
前記モータに電力を供給するバッテリと、
前記モータを制御するモータ制御部とを備える電動アシスト自転車のながら運転抑制方法であって、
前記電動アシスト自転車は、
前記モータが、前記ペダルに加えられた前記ペダル踏力に応じて定まるアシストトルク目標値と等しいアシストトルクを発生するアシストトルク目標値モードと、
前記モータが、前記アシストトルク目標値よりも大きいアシストトルクを発生するアシストトルク増加モードと、
前記モータが、前記アシストトルク目標値よりも小さいアシストトルクを発生するか、あるいは、回生トルクを発生するアシストトルク減少モードとを有し、
前記電動アシスト自転車の運転者が携帯端末を操作しながら前記電動アシスト自転車を運転するながら運転を検出するながら運転検出ステップと、
前記ながら運転検出ステップにおいて前記ながら運転が検出された場合に、前記モータ制御部がながら運転抑制制御を実行するながら運転抑制制御ステップとを備え、
前記ながら運転抑制制御の実行期間には、少なくとも、前記電動アシスト自転車を前記アシストトルク増加モードにするアシストトルク増加モード期間と、前記電動アシスト自転車を前記アシストトルク減少モードにするアシストトルク減少モード期間とが含まれ、
前記アシストトルク増加モード期間中に前記モータが発生するアシストトルクと前記アシストトルク目標値との差であるアシストトルク増加量と、前記アシストトルク増加モード期間の長さとの積と、
前記アシストトルク減少モード期間中に前記モータが発生するアシストトルクまたは回生トルクと前記アシストトルク目標値との差であるアシストトルク減少量と、前記アシストトルク減少モード期間の長さとの積とが概略等しい、
電動アシスト自転車のながら運転抑制方法。
【請求項18】
車輪と、
前記車輪を駆動するペダル踏力が加えられるペダルと、
前記ペダルに加えられた前記ペダル踏力に応じてアシストトルクを発生するモータと、
前記モータに電力を供給するバッテリとを備え、
前記モータが、前記ペダルに加えられた前記ペダル踏力に応じて定まるアシストトルク目標値と等しいアシストトルクを発生するアシストトルク目標値モードと、
前記モータが、前記アシストトルク目標値よりも大きいアシストトルクを発生するアシストトルク増加モードと、
前記モータが、前記アシストトルク目標値よりも小さいアシストトルクを発生するか、あるいは、回生トルクを発生するアシストトルク減少モードと
を有する電動アシスト自転車の前記モータを制御するモータ制御部であって、
前記モータ制御部は、前記電動アシスト自転車の運転者が携帯端末を操作しながら前記電動アシスト自転車を運転するながら運転が検出された場合に、ながら運転抑制制御を実行し、
前記ながら運転抑制制御の実行期間には、少なくとも、前記電動アシスト自転車を前記アシストトルク増加モードにするアシストトルク増加モード期間と、前記電動アシスト自転車を前記アシストトルク減少モードにするアシストトルク減少モード期間とが含まれ、
前記アシストトルク増加モード期間中に前記モータが発生するアシストトルクと前記アシストトルク目標値との差であるアシストトルク増加量と、前記アシストトルク増加モード期間の長さとの積と、
前記アシストトルク減少モード期間中に前記モータが発生するアシストトルクまたは回生トルクと前記アシストトルク目標値との差であるアシストトルク減少量と、前記アシストトルク減少モード期間の長さとの積とが概略等しい、
モータ制御部。
【請求項19】
車輪と、
前記車輪を駆動するペダル踏力が加えられるペダルと、
前記ペダルに加えられた前記ペダル踏力に応じてアシストトルクを発生するモータと、
前記モータに電力を供給するバッテリとを備え、
前記モータが、前記ペダルに加えられた前記ペダル踏力に応じて定まるアシストトルク目標値と等しいアシストトルクを発生するアシストトルク目標値モードと、
前記モータが、前記アシストトルク目標値よりも大きいアシストトルクを発生するアシストトルク増加モードと、
前記モータが、前記アシストトルク目標値よりも小さいアシストトルクを発生するか、あるいは、回生トルクを発生するアシストトルク減少モードと
を有する電動アシスト自転車に搭載されたコンピュータに、
前記モータを制御するモータ制御ステップと、
前記電動アシスト自転車の運転者が携帯端末を操作しながら前記電動アシスト自転車を運転するながら運転が検出された場合に、ながら運転抑制制御を実行するながら運転抑制制御ステップとを実行させるためのプログラムであって、
前記ながら運転抑制制御の実行期間には、少なくとも、前記電動アシスト自転車を前記アシストトルク増加モードにするアシストトルク増加モード期間と、前記電動アシスト自転車を前記アシストトルク減少モードにするアシストトルク減少モード期間とが含まれ、
前記アシストトルク増加モード期間中に前記モータが発生するアシストトルクと前記アシストトルク目標値との差であるアシストトルク増加量と、前記アシストトルク増加モード期間の長さとの積と、
前記アシストトルク減少モード期間中に前記モータが発生するアシストトルクまたは回生トルクと前記アシストトルク目標値との差であるアシストトルク減少量と、前記アシストトルク減少モード期間の長さとの積とが概略等しい、
プログラム。
【請求項20】
車輪と、
前記車輪を駆動するペダル踏力が加えられるペダルと、
前記ペダルに加えられた前記ペダル踏力に応じてアシストトルクを発生すると共に、電動アシスト自転車を制動する回生トルクを発生するモータと、
前記モータに電力を供給するバッテリと、
前記モータを制御するモータ制御部とを備える電動アシスト自転車であって、
前記電動アシスト自転車の運転者が携帯端末を操作しながら前記電動アシスト自転車を運転するながら運転を検出するながら運転検出部を備え、
前記電動アシスト自転車は、
前記モータが、回生トルク発生条件に応じて定まる回生トルク目標値と等しい回生トルクを発生する回生トルク目標値モードと、
前記モータが、前記回生トルク目標値よりも大きい回生トルクを発生する回生トルク増加モードと、
前記モータが、前記回生トルク目標値よりも小さい回生トルクを発生するか、あるいは、アシストトルクを発生する回生トルク減少モードとを有し、
前記ながら運転検出部によって前記ながら運転が検出された場合に、前記モータ制御部は、ながら運転抑制制御を実行し、
前記ながら運転抑制制御の実行期間には、少なくとも、前記電動アシスト自転車を前記回生トルク増加モードにする回生トルク増加モード期間と、前記電動アシスト自転車を前記回生トルク減少モードにする回生トルク減少モード期間とが含まれ、
前記回生トルク増加モード期間中に前記モータが発生する回生トルクと前記回生トルク目標値との差である回生トルク増加量と、前記回生トルク増加モード期間の長さとの積と、
前記回生トルク減少モード期間中に前記モータが発生する回生トルクまたはアシストトルクと前記回生トルク目標値との差である回生トルク減少量と、前記回生トルク減少モード期間の長さとの積とが概略等しい、
電動アシスト自転車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動アシスト自転車、電動アシスト自転車のながら運転抑制方法、モータ制御部およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンの普及により乗り物の種類を問わずスマートフォンを見ながら運転をする「ながら運転」による事故が急増している。「ながら運転」による事故を減らすため道交法による罰則が制定され、自動車と原動機付自転車については2019年12月にはさらに厳罰化されている。
一方で自転車については道交法で安全注意義務は定められているものの上記の厳罰化の対象外であり、「ながら運転」をするかどうかはもっぱら運転者のモラルに任されているのが実情である。
【0003】
例えば特許文献1には、利用者が携帯端末を操作しながら自転車を運転することを防止する電動アシスト自転車が記載されている。
特許文献1に記載された技術では、携帯端末が、利用者による携帯端末の操作を検知する。また、携帯端末は、携帯端末の速度情報から、携帯端末を所持している利用者が移動中であるか否かを判定する。電動アシスト自転車は、利用者が携帯端末を操作しながら電動アシスト自転車を運転している旨の通知を受けると、モータを停止させる。
つまり、特許文献1に記載された技術では、電動アシスト自転車の利用者によるながら運転が検知された場合に、電動アシスト自転車のモータが停止させられる。
そのため、特許文献1に記載された技術では、電動アシスト自転車の利用者によるながら運転が検知された場合に、電動アシスト自転車の走行そのものが阻害されてしまうおそれがある。
例えば、電動アシスト自転車の上り坂走行時には、電動アシスト自転車のモータが、電動アシスト自転車の運転者のアシストトルクを発生することによって、電動アシスト自転車の上り坂走行が可能になる場合がある。そのような場合に、モータが停止させられてしまうと、電動アシスト自転車の上り坂走行を継続できなくなってしまう。
また、一定重量以上の荷物が電動アシスト自転車に積載されている時には、モータがアシストトルクを発生することによって、電動アシスト自転車の走行が可能になる場合がある。そのような場合に、モータが停止させられてしまうと、電動アシスト自転車の走行を継続できなくなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した問題点に鑑み、本発明は、電動アシスト自転車の走行そのものを阻害することなく、ながら運転を抑制することができる電動アシスト自転車、電動アシスト自転車のながら運転抑制方法、モータ制御部およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、車輪と、前記車輪を駆動するペダル踏力が加えられるペダルと、前記ペダルに加えられた前記ペダル踏力に応じてアシストトルクを発生するモータと、前記モータに電力を供給するバッテリと、前記モータを制御するモータ制御部とを備える電動アシスト自転車であって、前記電動アシスト自転車の運転者が携帯端末を操作しながら前記電動アシスト自転車を運転するながら運転を検出するながら運転検出部を備え、前記電動アシスト自転車は、前記モータが、前記ペダルに加えられた前記ペダル踏力に応じて定まるアシストトルク目標値と等しいアシストトルクを発生するアシストトルク目標値モードと、前記モータが、前記アシストトルク目標値よりも大きいアシストトルクを発生するアシストトルク増加モードと、前記モータが、前記アシストトルク目標値よりも小さいアシストトルクを発生するか、あるいは、回生トルクを発生するアシストトルク減少モードとを有し、前記ながら運転検出部によって前記ながら運転が検出された場合に、前記モータ制御部は、ながら運転抑制制御を実行し、前記ながら運転抑制制御の実行期間には、少なくとも、前記電動アシスト自転車を前記アシストトルク増加モードにするアシストトルク増加モード期間と、前記電動アシスト自転車を前記アシストトルク減少モードにするアシストトルク減少モード期間とが含まれ、前記アシストトルク増加モード期間中に前記モータが発生するアシストトルクと前記アシストトルク目標値との差であるアシストトルク増加量と、前記アシストトルク増加モード期間の長さとの積と、前記アシストトルク減少モード期間中に前記モータが発生するアシストトルクまたは回生トルクと前記アシストトルク目標値との差であるアシストトルク減少量と、前記アシストトルク減少モード期間の長さとの積とが概略等しい、電動アシスト自転車である。
【0007】
本発明の一態様の電動アシスト自転車では、前記アシストトルク増加モード期間には、少なくとも、第1アシストトルク増加モード小期間と、第2アシストトルク増加モード小期間とが含まれ、前記モータ制御部は、前記第1アシストトルク増加モード小期間の後であって、前記第2アシストトルク増加モード小期間の前に、前記アシストトルク減少モード期間を設定してもよい。
【0008】
本発明の一態様の電動アシスト自転車では、前記アシストトルク減少モード期間には、少なくとも、第1アシストトルク減少モード小期間と、第2アシストトルク減少モード小期間とが含まれ、前記モータ制御部は、前記第1アシストトルク減少モード小期間の後であって、前記第2アシストトルク減少モード小期間の前に、前記アシストトルク増加モード期間を設定してもよい。
本発明の一態様の電動アシスト自転車では、前記アシストトルク増加モード期間には、少なくとも、第1アシストトルク増加モード小期間と、第2アシストトルク増加モード小期間とが含まれ、前記アシストトルク減少モード期間には、少なくとも、第1アシストトルク減少モード小期間と、第2アシストトルク減少モード小期間とが含まれ、前記モータ制御部は、前記第1アシストトルク増加モード小期間の後であって、前記第2アシストトルク増加モード小期間の前に、前記第1アシストトルク減少モード小期間を設定し、前記第2アシストトルク増加モード小期間の後に、前記第2アシストトルク減少モード小期間を設定してもよい。
本発明の一態様の電動アシスト自転車では、前記アシストトルク増加モード期間には、少なくとも、第1アシストトルク増加モード小期間と、第2アシストトルク増加モード小期間とが含まれ、前記アシストトルク減少モード期間には、少なくとも、第1アシストトルク減少モード小期間と、第2アシストトルク減少モード小期間とが含まれ、前記モータ制御部は、前記第1アシストトルク減少モード小期間の後であって、前記第2アシストトルク減少モード小期間の前に、前記第1アシストトルク増加モード小期間を設定し、前記第2アシストトルク減少モード小期間の後に、前記第2アシストトルク増加モード小期間を設定してもよい。
本発明の一態様の電動アシスト自転車では、前記第1アシストトルク増加モード小期間の長さと前記第2アシストトルク増加モード小期間の長さとが等しくてもよい。
本発明の一態様の電動アシスト自転車では、前記第1アシストトルク増加モード小期間の長さと前記第2アシストトルク増加モード小期間の長さとが異なってもよい。
本発明の一態様の電動アシスト自転車では、前記第1アシストトルク減少モード小期間の長さと前記第2アシストトルク減少モード小期間の長さとが等しくてもよい。
本発明の一態様の電動アシスト自転車では、前記第1アシストトルク減少モード小期間の長さと前記第2アシストトルク減少モード小期間の長さとが異なってもよい。
【0009】
本発明の一態様の電動アシスト自転車では、前記ながら運転抑制制御の実行期間には、前記電動アシスト自転車を前記アシストトルク目標値モードにするアシストトルク目標値モード期間が含まれてもよい。
【0010】
本発明の一態様の電動アシスト自転車では、前記モータ制御部は、前記アシストトルク増加モード期間中の前記アシストトルク増加量と、前記アシストトルク増加モード期間の長さと、前記アシストトルク減少モード期間中の前記アシストトルク減少量と、前記アシストトルク減少モード期間の長さと、前記アシストトルク目標値モード期間の長さとの組み合わせをランダムに設定するランダム設定部を備えてもよい。
【0011】
本発明の一態様の電動アシスト自転車では、前記モータ制御部は、前記アシストトルク増加モード期間と前記アシストトルク減少モード期間とを連続して設定してもよい。
【0012】
本発明の一態様の電動アシスト自転車では、前記アシストトルク増加モード期間には、複数のアシストトルク増加モード小期間が含まれ、前記モータ制御部は、所定のリズムになるように、前記複数のアシストトルク増加モード小期間のそれぞれの長さと、前記複数のアシストトルク増加モード小期間の相互の間隔とを設定してもよい。
【0013】
本発明の一態様の電動アシスト自転車では、前記アシストトルク減少モード期間には、複数のアシストトルク減少モード小期間が含まれ、前記モータ制御部は、所定のリズムになるように、前記複数のアシストトルク減少モード小期間のそれぞれの長さと、前記複数のアシストトルク減少モード小期間の相互の間隔とを設定してもよい。
【0014】
本発明の一態様の電動アシスト自転車では、前記アシストトルク増加モード期間中の前記アシストトルク増加量と、前記アシストトルク減少モード期間中の前記アシストトルク減少量との和が所定の閾値以上であってもよい。
【0015】
本発明の一態様の電動アシスト自転車は、前記電動アシスト自転車が上り坂を走行していることを検出する上り坂検出部を備え、前記電動アシスト自転車が上り坂を走行していることが前記上り坂検出部によって検出されている場合には、前記ながら運転検出部によって前記ながら運転が検出されている場合であっても、前記モータ制御部は、前記ながら運転抑制制御を実行しなくてもよい。
【0016】
本発明の一態様の電動アシスト自転車は、前記電動アシスト自転車が上り坂を走行していることを検出する上り坂検出部を備え、前記電動アシスト自転車が上り坂を走行していることが前記上り坂検出部によって検出されている場合であって、前記ながら運転検出部によって前記ながら運転が検出されている場合における前記アシストトルク減少量は、前記電動アシスト自転車が上り坂を走行していることが前記上り坂検出部によって検出されていない場合であって、前記ながら運転検出部によって前記ながら運転が検出されている場合における前記アシストトルク減少量よりも小さくてもよい。
【0017】
本発明の一態様の電動アシスト自転車は、前記電動アシスト自転車の運転者のペダル踏力を検出するペダル踏力検出部と、前記ペダル踏力検出部によって検出された前記ペダル踏力をペダル踏力履歴として記憶する記憶部と、前記ペダル踏力検出部によって検出された前記ペダル踏力と、前記記憶部に記憶されている前記ペダル踏力履歴とに基づいて、一定重量以上の荷物が前記電動アシスト自転車に積載されている重量荷物積載時であるか否かを判定する判定部とを備え、前記重量荷物積載時であると前記判定部によって判定された場合には、前記ながら運転検出部によって前記ながら運転が検出されている場合であっても、前記モータ制御部は、前記ながら運転抑制制御を実行しなくてもよい。
【0018】
本発明の一態様の電動アシスト自転車は、前記電動アシスト自転車の運転者の前記ペダル踏力を検出するペダル踏力検出部と、前記ペダル踏力検出部によって検出された前記ペダル踏力をペダル踏力履歴として記憶する記憶部と、前記ペダル踏力検出部によって検出された前記ペダル踏力と、前記記憶部に記憶されている前記ペダル踏力履歴とに基づいて、一定重量以上の荷物が前記電動アシスト自転車に積載されている重量荷物積載時であるか否かを判定する判定部とを備え、前記重量荷物積載時であると前記判定部によって判定された場合であって、前記ながら運転検出部によって前記ながら運転が検出されている場合における前記アシストトルク減少量は、前記重量荷物積載時ではないと前記判定部によって判定された場合であって、前記ながら運転検出部によって前記ながら運転が検出されている場合における前記アシストトルク減少量よりも小さくてもよい。
【0019】
本発明の一態様の電動アシスト自転車は、前記電動アシスト自転車の車速を検出する車速検出部を備え、前記電動アシスト自転車の車速がゼロであることが前記車速検出部によって検出された場合には、前記ながら運転検出部によって前記ながら運転が検出されている場合であっても、前記モータ制御部は、前記ながら運転抑制制御を実行しなくてもよい。
【0020】
本発明の一態様の電動アシスト自転車は、前記電動アシスト自転車の車速を検出する車速検出部を備え、前記車速検出部によって検出された前記電動アシスト自転車の車速が第1閾値以下である場合には、前記ながら運転検出部によって前記ながら運転が検出されている場合であっても、前記モータ制御部は、前記ながら運転抑制制御を実行しなくてもよい。
【0021】
本発明の一態様の電動アシスト自転車は、前記電動アシスト自転車の車速を検出する車速検出部を備え、前記車速検出部によって検出された前記電動アシスト自転車の車速が第2閾値以上である場合には、前記ながら運転検出部によって前記ながら運転が検出されている場合であっても、前記モータ制御部は、前記ながら運転抑制制御を実行せず、前記モータは、前記アシストトルクを発生することなく、前記回生トルクを発生してもよい。
【0022】
本発明の一態様は、車輪と、前記車輪を駆動するペダル踏力が加えられるペダルと、前記ペダルに加えられた前記ペダル踏力に応じてアシストトルクを発生するモータと、前記モータに電力を供給するバッテリと、前記モータを制御するモータ制御部とを備える電動アシスト自転車のながら運転抑制方法であって、前記電動アシスト自転車は、前記モータが、前記ペダルに加えられた前記ペダル踏力に応じて定まるアシストトルク目標値と等しいアシストトルクを発生するアシストトルク目標値モードと、前記モータが、前記アシストトルク目標値よりも大きいアシストトルクを発生するアシストトルク増加モードと、前記モータが、前記アシストトルク目標値よりも小さいアシストトルクを発生するか、あるいは、回生トルクを発生するアシストトルク減少モードとを有し、前記電動アシスト自転車の運転者が携帯端末を操作しながら前記電動アシスト自転車を運転するながら運転を検出するながら運転検出ステップと、前記ながら運転検出ステップにおいて前記ながら運転が検出された場合に、前記モータ制御部がながら運転抑制制御を実行するながら運転抑制制御ステップとを備え、前記ながら運転抑制制御の実行期間には、少なくとも、前記電動アシスト自転車を前記アシストトルク増加モードにするアシストトルク増加モード期間と、前記電動アシスト自転車を前記アシストトルク減少モードにするアシストトルク減少モード期間とが含まれ、前記アシストトルク増加モード期間中に前記モータが発生するアシストトルクと前記アシストトルク目標値との差であるアシストトルク増加量と、前記アシストトルク増加モード期間の長さとの積と、前記アシストトルク減少モード期間中に前記モータが発生するアシストトルクまたは回生トルクと前記アシストトルク目標値との差であるアシストトルク減少量と、前記アシストトルク減少モード期間の長さとの積とが概略等しい、電動アシスト自転車のながら運転抑制方法である。
【0023】
本発明の一態様は、車輪と、前記車輪を駆動するペダル踏力が加えられるペダルと、前記ペダルに加えられた前記ペダル踏力に応じてアシストトルクを発生するモータと、前記モータに電力を供給するバッテリとを備え、前記モータが、前記ペダルに加えられた前記ペダル踏力に応じて定まるアシストトルク目標値と等しいアシストトルクを発生するアシストトルク目標値モードと、前記モータが、前記アシストトルク目標値よりも大きいアシストトルクを発生するアシストトルク増加モードと、前記モータが、前記アシストトルク目標値よりも小さいアシストトルクを発生するか、あるいは、回生トルクを発生するアシストトルク減少モードとを有する電動アシスト自転車の前記モータを制御するモータ制御部であって、前記モータ制御部は、前記電動アシスト自転車の運転者が携帯端末を操作しながら前記電動アシスト自転車を運転するながら運転が検出された場合に、ながら運転抑制制御を実行し、前記ながら運転抑制制御の実行期間には、少なくとも、前記電動アシスト自転車を前記アシストトルク増加モードにするアシストトルク増加モード期間と、前記電動アシスト自転車を前記アシストトルク減少モードにするアシストトルク減少モード期間とが含まれ、前記アシストトルク増加モード期間中に前記モータが発生するアシストトルクと前記アシストトルク目標値との差であるアシストトルク増加量と、前記アシストトルク増加モード期間の長さとの積と、前記アシストトルク減少モード期間中に前記モータが発生するアシストトルクまたは回生トルクと前記アシストトルク目標値との差であるアシストトルク減少量と、前記アシストトルク減少モード期間の長さとの積とが概略等しい、モータ制御部である。
【0024】
本発明の一態様は、車輪と、前記車輪を駆動するペダル踏力が加えられるペダルと、前記ペダルに加えられた前記ペダル踏力に応じてアシストトルクを発生するモータと、前記モータに電力を供給するバッテリとを備え、前記モータが、前記ペダルに加えられた前記ペダル踏力に応じて定まるアシストトルク目標値と等しいアシストトルクを発生するアシストトルク目標値モードと、前記モータが、前記アシストトルク目標値よりも大きいアシストトルクを発生するアシストトルク増加モードと、前記モータが、前記アシストトルク目標値よりも小さいアシストトルクを発生するか、あるいは、回生トルクを発生するアシストトルク減少モードとを有する電動アシスト自転車に搭載されたコンピュータに、前記モータを制御するモータ制御ステップと、前記電動アシスト自転車の運転者が携帯端末を操作しながら前記電動アシスト自転車を運転するながら運転が検出された場合に、ながら運転抑制制御を実行するながら運転抑制制御ステップとを実行させるためのプログラムであって、前記ながら運転抑制制御の実行期間には、少なくとも、前記電動アシスト自転車を前記アシストトルク増加モードにするアシストトルク増加モード期間と、前記電動アシスト自転車を前記アシストトルク減少モードにするアシストトルク減少モード期間とが含まれ、前記アシストトルク増加モード期間中に前記モータが発生するアシストトルクと前記アシストトルク目標値との差であるアシストトルク増加量と、前記アシストトルク増加モード期間の長さとの積と、前記アシストトルク減少モード期間中に前記モータが発生するアシストトルクまたは回生トルクと前記アシストトルク目標値との差であるアシストトルク減少量と、前記アシストトルク減少モード期間の長さとの積とが概略等しい、プログラムである。
【0025】
本発明の一態様は、車輪と、前記車輪を駆動するペダル踏力が加えられるペダルと、前記ペダルに加えられた前記ペダル踏力に応じてアシストトルクを発生すると共に、電動アシスト自転車を制動する回生トルクを発生するモータと、前記モータに電力を供給するバッテリと、前記モータを制御するモータ制御部とを備える電動アシスト自転車であって、前記電動アシスト自転車の運転者が携帯端末を操作しながら前記電動アシスト自転車を運転するながら運転を検出するながら運転検出部を備え、前記電動アシスト自転車は、前記モータが、回生トルク発生条件に基づいて定まる回生トルク目標値と等しい回生トルクを発生する回生トルク目標値モードと、前記モータが、前記回生トルク目標値よりも大きい回生トルクを発生する回生トルク増加モードと、前記モータが、前記回生トルク目標値よりも小さい回生トルクを発生するか、あるいは、アシストトルクを発生する回生トルク減少モードとを有し、前記ながら運転検出部によって前記ながら運転が検出された場合に、前記モータ制御部は、ながら運転抑制制御を実行し、前記ながら運転抑制制御の実行期間には、少なくとも、前記電動アシスト自転車を前記回生トルク増加モードにする回生トルク増加モード期間と、前記電動アシスト自転車を前記回生トルク減少モードにする回生トルク減少モード期間とが含まれ、前記回生トルク増加モード期間中に前記モータが発生する回生トルクと前記回生トルク目標値との差である回生トルク増加量と、前記回生トルク増加モード期間の長さとの積と、前記回生トルク減少モード期間中に前記モータが発生する回生トルクまたはアシストトルクと前記回生トルク目標値との差である回生トルク減少量と、前記回生トルク減少モード期間の長さとの積とが概略等しい、電動アシスト自転車である。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、電動アシスト自転車の走行そのものを阻害することなく、ながら運転を抑制することができる電動アシスト自転車、電動アシスト自転車のながら運転抑制方法、モータ制御部およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】第1実施形態の電動アシスト自転車の概要の一例を示す図である。
【
図2】モータ制御部によって実行されるながら運転抑制制御の一例を説明するための図である。
【
図3】モータ制御部によって実行されるながら運転抑制制御の他の例を説明するための図である。
【
図4】モータ制御部によって実行されるながら運転抑制制御の他の例を説明するための図である。
【
図5】第1実施形態の電動アシスト自転車において実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図6】第6実施形態の電動アシスト自転車において実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図7】第7実施形態の電動アシスト自転車において実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図8】第8実施形態の電動アシスト自転車において実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図9】第9実施形態の電動アシスト自転車において実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図10】第10実施形態の電動アシスト自転車において実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図11】第11実施形態の電動アシスト自転車のモータ制御部によって実行されるながら運転抑制制御の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の電動アシスト自転車、電動アシスト自転車のながら運転抑制方法、モータ制御部およびプログラムの実施形態について説明する。
【0029】
<第1実施形態>
図1は第1実施形態の電動アシスト自転車1の概要の一例を示す図である。
図1に示す例では、第1実施形態の電動アシスト自転車1が、例えば、自転車本体11と、モータ12と、バッテリ13と、モータ制御部14と、検出部15と、記憶部16と、判定部17とを備えている。
自転車本体11は、例えば、車輪11Aと、車輪11Aを駆動するペダル踏力が加えられるペダル11Bと、ハンドル11Cと、ブレーキレバー11Dとを備えている。
モータ12は、ペダル11Bに加えられたペダル踏力に応じてアシストトルクを発生する。バッテリ13は、モータ12に電力を供給する。
電動アシスト自転車1は、アシストトルク目標値モードと、アシストトルク増加モードと、アシストトルク減少モードとを有する。アシストトルク目標値モードは、モータ12が、ペダル11Bに加えられたペダル踏力に応じて定まるアシストトルク目標値と等しいアシストトルクを発生するモードである。
アシストトルク増加モードは、モータ12が、アシストトルク目標値よりも大きいアシストトルクを発生するモードである。アシストトルク減少モードは、モータ12が、アシストトルク目標値よりも小さいアシストトルクを発生するか、あるいは、回生トルクを発生するモードである。
【0030】
モータ制御部14は、モータ12を制御する。詳細には、モータ制御部14は、電動アシスト自転車1をアシストトルク増加モードにする期間であるアシストトルク増加モード期間の長さ、電動アシスト自転車1をアシストトルク減少モードにする期間であるアシストトルク減少モード期間の長さ、電動アシスト自転車1をアシストトルク目標値モードにする期間であるアシストトルク目標値モード期間の長さなどを設定する。また、モータ制御部14は、アシストトルク増加モード期間中にモータ12が発生するアシストトルクとアシストトルク目標値との差であるアシストトルク増加量を設定する。更に、モータ制御部14は、アシストトルク減少モード期間中にモータ12が発生するアシストトルクまたは回生トルクとアシストトルク目標値との差であるアシストトルク減少量を設定する。
モータ制御部14は、ランダム設定部14Aを備えている。ランダム設定部14Aは、アシストトルク増加モード期間中のアシストトルク増加量と、アシストトルク増加モード期間の長さと、アシストトルク減少モード期間中のアシストトルク減少量と、アシストトルク減少モード期間の長さと、アシストトルク目標値モード期間の長さとの組み合わせをランダムに設定する。
他の例では、モータ制御部14がランダム設定部14Aを備えていなくてもよい。
【0031】
図1に示す例では、検出部15が、モータ12の制御に用いられる情報、状態、状況などを検出する。検出部15は、ながら運転検出部15Aと、上り坂検出部15Bと、ブレーキ操作検出部15Cと、ペダル踏力検出部15Dと、車速検出部15Eとを備えている。
ながら運転検出部15Aは、電動アシスト自転車1の運転者が携帯端末を操作しながら電動アシスト自転車1を運転するながら運転を検出する。ながら運転検出部15Aは、例えば特開2016-215845号公報の段落0034などに記載された技術を用いることによって、ながら運転を検出する。具体的には、特開2016-215845号公報に記載された技術では、携帯端末が、電動アシスト自転車1の運転者による携帯端末の操作を検知する。また、携帯端末は、携帯端末の速度情報から、携帯端末を携帯している電動アシスト自転車1の運転者が移動中であるか否かを判定する。つまり、携帯端末は、電動アシスト自転車1の運転者が携帯端末を操作しながら電動アシスト自転車1を運転しているか否かを判定する。ながら運転検出部15Aは、携帯端末の判定結果に基づいてながら運転を検出(判定)する。
モータ制御部14は、ながら運転検出部15Aによってながら運転が検出された場合に、ながら運転抑制制御を実行する。
【0032】
図2はモータ制御部14によって実行されるながら運転抑制制御の一例を説明するための図である。
図2の縦軸の上向きはアシストトルク増加量を示しており、
図2の縦軸の下向きはアシストトルク減少量を示しており、
図2の横軸は時刻を示している。
図2に示す例では、モータ制御部14が、時刻t1にながら運転抑制制御を開始し、時刻t3にながら運転抑制制御を終了する。つまり、期間P1(時刻t1~時刻t3)が、ながら運転抑制制御の実行期間である。ながら運転抑制制御の実行期間P1には、電動アシスト自転車1をアシストトルク増加モードにするアシストトルク増加モード期間P11(時刻t1~時刻t2)と、電動アシスト自転車1をアシストトルク減少モードにするアシストトルク減少モード期間P12(時刻t2~時刻t3)とが含まれている。
【0033】
詳細には、モータ制御部14は、アシストトルク増加モード期間P11中にモータ12が発生するアシストトルクとアシストトルク目標値との差であるアシストトルク増加量T1と、アシストトルク増加モード期間P11(の長さ)との積S1(=T1×P11)と、アシストトルク減少モード期間P12中にモータ12が発生するアシストトルクまたは回生トルクとアシストトルク目標値との差であるアシストトルク減少量T2と、アシストトルク減少モード期間P12(の長さ)との積S2(=T2×P12)とが概略等しくなるように、ながら運転抑制制御を実行する。
すなわち、ながら運転抑制制御の実行期間P1のアシストトルク増加モード期間P11中には、電動アシスト自転車1の運転者のペダル11Bに対するペダル踏力が増加しないにもかかわらず、モータ12がアシストトルクを増加させる。
また、ながら運転抑制制御の実行期間P1のアシストトルク減少モード期間P12中には、ペダル踏力が減少しないにもかかわらず、モータ12がアシストトルクを減少させる。
そのため、電動アシスト自転車1の運転者は、電動アシスト自転車1によって注意喚起が行われていることに気づき、その結果、電動アシスト自転車1の運転者のながら運転を抑制することができる。
【0034】
また、
図2に示す例では、ながら運転抑制制御の実行期間P1のアシストトルク増加モード期間P11中のアシストトルク増加量T1とアシストトルク増加モード期間P11(の長さ)との積S1(=T1×P11)と、アシストトルク減少モード期間P12中のアシストトルク減少量T2と、アシストトルク減少モード期間P12(の長さ)との積S2(=T2×P12)とが概略等しい。
つまり、ながら運転抑制制御の実行期間P1中に電動アシスト自転車1の運転者にかかる負担は、ながら運転抑制制御の実行期間P1中に電動アシスト自転車1をアシストトルク目標値モードにする場合とほぼ同等である。
すなわち、ながら運転抑制制御が実行されても、電動アシスト自転車1の走行そのものが阻害されることはない。
そのため、
図2に示す例では、電動アシスト自転車1の走行そのものを阻害することなく、電動アシスト自転車1の運転者のながら運転を抑制することができる。
他の例では、ながら運転抑制制御において、上述した期間P1が、複数回繰り返されてもよい。また、複数回繰り返される場合に、アシストトルク増加モード期間P11およびアシストトルク減少モード期間P12の組み合わせ(つまり、アシストトルク増加モード期間P11の長さ、アシストトルク増加量T1、アシストトルク減少モード期間P12の長さおよびアシストトルク減少量T2の組み合わせ)を適宜変更してもよい。
【0035】
図3はモータ制御部14によって実行されるながら運転抑制制御の他の例を説明するための図である。
図3の縦軸の上向きはアシストトルク増加量を示しており、
図3の縦軸の下向きはアシストトルク減少量を示しており、
図3の横軸は時刻を示している。
図3に示す例では、モータ制御部14が、時刻t11にながら運転抑制制御を開始し、時刻t14にながら運転抑制制御を終了する。つまり、期間P2(時刻t11~時刻t14)が、ながら運転抑制制御の実行期間である。ながら運転抑制制御の実行期間P2には、電動アシスト自転車1をアシストトルク増加モードにするアシストトルク増加モード小期間P21(時刻t11~時刻t12)と、電動アシスト自転車1をアシストトルク減少モードにするアシストトルク減少モード期間P22(時刻t12~時刻t13)と、電動アシスト自転車1をアシストトルク増加モードにするアシストトルク増加モード小期間P23(時刻t13~時刻t14)とが含まれている。
【0036】
つまり、
図3に示す例では、電動アシスト自転車1をアシストトルク増加モードにするアシストトルク増加モード期間に、アシストトルク増加モード小期間P21と、アシストトルク増加モード小期間P23とが含まれている。更に、モータ制御部14が、アシストトルク増加モード小期間P21の後であって、アシストトルク増加モード小期間P23の前に、アシストトルク減少モード期間P22を設定している。
【0037】
詳細には、モータ制御部14は、アシストトルク増加モード小期間P21中のアシストトルク増加量T1とアシストトルク増加モード小期間P21(の長さ)との積S1-1(=T1×P21)と、アシストトルク増加モード小期間P23中のアシストトルク増加量T1とアシストトルク増加モード小期間P23(の長さ)との積S1-2(=T1×P23)との和が、アシストトルク減少モード期間P22中のアシストトルク減少量T2とアシストトルク減少モード期間P22(の長さ)との積S2(=T2×P22)に概略等しくなるように、ながら運転抑制制御を実行する。
すなわち、ながら運転抑制制御の実行期間P2のアシストトルク増加モード小期間P21、P23中には、電動アシスト自転車1の運転者のペダル11Bに対するべダル踏力が増加しないにもかかわらず、モータ12がアシストトルクを増加させる。
また、ながら運転抑制制御の実行期間P2のアシストトルク減少モード期間P22中には、ペダル踏力が減少しないにもかかわらず、モータ12がアシストトルクを減少させる。
そのため、電動アシスト自転車1の運転者は、電動アシスト自転車1によって注意喚起が行われていることに気づき、その結果、電動アシスト自転車1の運転者のながら運転を抑制することができる。
図3に示す例では、アシストトルク増加モード小期間P21中のアシストトルク増加量T1と、アシストトルク増加モード小期間P23中のアシストトルク増加量T1とが等しいが、他の例では、アシストトルク増加モード小期間P21中のアシストトルク増加量と、アシストトルク増加モード小期間P23中のアシストトルク増加量とが異なっていてもよい。
【0038】
また、
図3に示す例では、ながら運転抑制制御の実行期間P2のアシストトルク増加モード小期間P21中のアシストトルク増加量T1とアシストトルク増加モード小期間P21(の長さ)との積S1-1(=T1×P21)と、アシストトルク増加モード小期間P23中のアシストトルク増加量T1とアシストトルク増加モード小期間P23(の長さ)との積S1-2(=T1×P23)との和が、アシストトルク減少モード期間P22中のアシストトルク減少量T2とアシストトルク減少モード期間P22(の長さ)との積S2(=T2×P22)に概略等しくなる。
つまり、ながら運転抑制制御の実行期間P2中に電動アシスト自転車1の運転者にかかる負担は、ながら運転抑制制御の実行期間P2中に電動アシスト自転車1をアシストトルク目標値モードにする場合とほぼ同等である。
すなわち、ながら運転抑制制御が実行されても、電動アシスト自転車1の走行そのものが阻害されることはない。
そのため、
図3に示す例では、電動アシスト自転車1の走行そのものを阻害することなく、電動アシスト自転車1の運転者のながら運転を抑制することができる。
他の例では、ながら運転抑制制御において、上述した期間P2が、複数回繰り返されてもよい。また、複数回繰り返される場合に、アシストトルク増加モード小期間P21、P23およびアシストトルク減少モード期間P22の組み合わせ(つまり、アシストトルク増加モード小期間P21の長さ、その期間中のアシストトルク増加量T1、アシストトルク減少モード期間P22の長さ、その期間中のアシストトルク減少量T2、アシストトルク増加モード小期間P23の長さ、その期間中のアシストトルク増加量T1の組み合わせ)を適宜変更してもよい。その場合に、アシストトルク増加モード小期間P21中のアシストトルク増加量T1と、アシストトルク増加モード小期間P23中のアシストトルク増加量T1とは、等しくても、異なっていてもよい。
【0039】
図4はモータ制御部14によって実行されるながら運転抑制制御の他の例を説明するための図である。
図4の縦軸の上向きはアシストトルク増加量を示しており、
図4の縦軸の下向きはアシストトルク減少量を示しており、
図4の横軸は時刻を示している。
図4に示す例では、モータ制御部14が、時刻t21にながら運転抑制制御を開始し、時刻t24にながら運転抑制制御を終了する。つまり、期間P3(時刻t21~時刻t24)が、ながら運転抑制制御の実行期間である。ながら運転抑制制御の実行期間P3には、電動アシスト自転車1をアシストトルク減少モードにするアシストトルク減少モード小期間P31(時刻t21~時刻t22)と、電動アシスト自転車1をアシストトルク増加モードにするアシストトルク増加モード期間P32(時刻t22~時刻t23)と、電動アシスト自転車1をアシストトルク減少モードにするアシストトルク減少モード小期間P33(時刻t23~時刻t24)とが含まれている。
【0040】
つまり、
図4に示す例では、電動アシスト自転車1をアシストトルク減少モードにするアシストトルク減少モード期間に、アシストトルク減少モード小期間P31と、アシストトルク減少モード小期間P33とが含まれている。更に、モータ制御部14が、アシストトルク減少モード小期間P31の後であって、アシストトルク減少モード小期間P33の前に、アシストトルク増加モード期間P32を設定している。
【0041】
詳細には、モータ制御部14は、アシストトルク増加モード期間P32中のアシストトルク増加量T1とアシストトルク増加モード期間P32(の長さ)との積S1(=T1×P32)が、アシストトルク減少モード小期間P31中のアシストトルク減少量T2とアシストトルク減少モード小期間P31(の長さ)との積S2-1(=T2×P31)と、アシストトルク減少モード小期間P33中のアシストトルク減少量T2とアシストトルク減少モード小期間P33(の長さ)との積S2-2(=T2×P33)との和に概略等しくなるように、ながら運転抑制制御を実行する。
すなわち、ながら運転抑制制御の実行期間P3のアシストトルク増加モード期間P32中には、電動アシスト自転車1の運転者のペダル11Bに対するペダル踏力が増加しないにもかかわらず、モータ12がアシストトルクを増加させる。
また、ながら運転抑制制御の実行期間P2のアシストトルク減少モード小期間P31、P33中には、ペダル踏力が減少しないにもかかわらず、モータ12がアシストトルクを減少させる。
そのため、電動アシスト自転車1の運転者は、電動アシスト自転車1によって注意喚起が行われていることに気づき、その結果、電動アシスト自転車1の運転者のながら運転を抑制することができる。
図4に示す例では、アシストトルク減少モード小期間P31中のアシストトルク減少量T2と、アシストトルク減少モード小期間P33中のアシストトルク減少量T2とが等しいが、他の例では、アシストトルク減少モード小期間P31中のアシストトルク減少量と、アシストトルク減少モード小期間P33中のアシストトルク減少量とが異なっていてもよい。
【0042】
また、
図4に示す例では、ながら運転抑制制御の実行期間P3のアシストトルク増加モード期間P32中のアシストトルク増加量T1とアシストトルク増加量モード期間P32(の長さ)との積S1が、アシストトルク減少モード小期間P31中のアシストトルク減少量T2とアシストトルク減少モード小期間P31(の長さ)との積S2-1(=T2×P31)と、アシストトルク減少モード小期間P33中のアシストトルク減少量T2とアシストトルク減少モード小期間P33(の長さ)との積S2-2(=T2×P33)との和に概略等しくなる。
つまり、ながら運転抑制制御の実行期間P3中に電動アシスト自転車1の運転者にかかる負担は、ながら運転抑制制御の実行期間P3中に電動アシスト自転車1をアシストトルク目標値モードにする場合とほぼ同等である。
すなわち、ながら運転抑制制御が実行されても、電動アシスト自転車1の走行そのものが阻害されることはない。
そのため、
図4に示す例では、電動アシスト自転車1の走行そのものを阻害することなく、電動アシスト自転車1の運転者のながら運転を抑制することができる。
他の例では、ながら運転抑制制御において、上述した期間P3が、複数回繰り返されてもよい。また、複数回繰り返される場合に、アシストトルク増加モード期間P32およびアシストトルク減少モード小期間P31、P33の組み合わせ(つまり、アシストトルク減少モード小期間P31の長さ、その期間中のアシストトルク減少量T2、アシストトルク増加モード期間P32の長さ、その期間中のアシストトルク増加量T1、アシストトルク減少モード小期間P33の長さ、その期間中のアシストトルク減少量T2の組み合わせ)を適宜変更してもよい。その場合に、アシストトルク減少モード小期間P31中のアシストトルク減少量T2と、アシストトルク減少モード小期間P33中のアシストトルク減少量T2とは、等しくても、異なっていてもよい。
【0043】
図2~
図4に示す例では、ながら運転抑制制御の実行期間に、電動アシスト自転車1をアシストトルク目標値モードにするアシストトルク目標値モード期間が含まれていないが、他の例では、ながら運転抑制制御の実行期間にアシストトルク目標値モード期間が含まれていてもよい。
【0044】
他の例では、アシストトルク増加モード期間に、少なくとも、第1アシストトルク増加モード小期間と、第2アシストトルク増加モード小期間とが含まれ、アシストトルク減少モード期間に、少なくとも、第1アシストトルク減少モード小期間と、第2アシストトルク減少モード小期間とが含まれ、モータ制御部14が、第1アシストトルク増加モード小期間の後であって、第2アシストトルク増加モード小期間の前に、第1アシストトルク減少モード小期間を設定し、第2アシストトルク増加モード小期間の後に、第2アシストトルク減少モード小期間を設定してもよい。
この例においては、ながら運転抑制制御の実行期間の第1アシストトルク増加モード小期間中のアシストトルク増加量と第1アシストトルク増加モード小期間(の長さ)との積と、第2アシストトルク増加モード小期間中のアシストトルク増加量と第2アシストトルク増加モード小期間(の長さ)との積との和が、第1アシストトルク減少モード小期間中のアシストトルク減少量と第1アシストトルク減少モード小期間(の長さ)との積と、第2アシストトルク減少モード小期間中のアシストトルク減少量と第2アシストトルク減少モード小期間(の長さ)との積との和に概略等しくなる。
他の例では、ながら運転抑制制御において、上述した第1アシストトルク増加モード小期間と、第2アシストトルク増加モード小期間と、第1アシストトルク減少モード小期間と、第2アシストトルク減少モード小期間とが、複数回繰り返されてもよい。また、複数回繰り返される場合に、第1アシストトルク増加モード小期間と、第2アシストトルク増加モード小期間と、第1アシストトルク減少モード小期間と、第2アシストトルク減少モード小期間との組み合わせ(つまり、第1アシストトルク増加モード小期間の長さ、その期間中のアシストトルク増加量、第2アシストトルク増加モード小期間の長さ、その期間中のアシストトルク増加量、第1アシストトルク減少モード小期間の長さ、その期間中のアシストトルク減少量、第2アシストトルク減少モード小期間の長さ、および、その期間中のアシストトルク増加量の組み合わせ)を適宜変更してもよい。
第1アシストトルク増加モード小期間の長さと第2アシストトルク増加モード小期間の長さとは、等しくても、異なっていてもよい。
第1アシストトルク増加モード小期間中のアシストトルク増加量と、第2アシストトルク増加モード小期間中のアシストトルク増加量とは、等しくても、異なっていてもよい。
第1アシストトルク減少モード小期間の長さと第2アシストトルク減少モード小期間の長さとは、等しくても、異なっていてもよい。
第1アシストトルク減少モード小期間中のアシストトルク減少量と、第2アシストトルク減少モード小期間中のアシストトルク減少量とは、等しくても、異なっていてもよい。
【0045】
他の例では、アシストトルク増加モード期間に、少なくとも、第1アシストトルク増加モード小期間と、第2アシストトルク増加モード小期間とが含まれ、アシストトルク減少モード期間に、少なくとも、第1アシストトルク減少モード小期間と、第2アシストトルク減少モード小期間とが含まれ、モータ制御部14が、第1アシストトルク減少モード小期間の後であって、第2アシストトルク減少モード小期間の前に、第1アシストトルク増加モード小期間を設定し、第2アシストトルク減少モード小期間の後に、第2アシストトルク増加モード小期間を設定してもよい。
この例においては、ながら運転抑制制御の実行期間の第1アシストトルク増加モード小期間中のアシストトルク増加量と第1アシストトルク増加モード小期間(の長さ)との積と、第2アシストトルク増加モード小期間中のアシストトルク増加量と第2アシストトルク増加モード小期間(の長さ)との積との和が、第1アシストトルク減少モード小期間中のアシストトルク減少量と第1アシストトルク減少モード小期間(の長さ)との積と、第2アシストトルク減少モード小期間中のアシストトルク減少量と第2アシストトルク減少モード小期間(の長さ)との積との和に概略等しくなる。
他の例では、ながら運転抑制制御において、上述した第1アシストトルク増加モード小期間と、第2アシストトルク増加モード小期間と、第1アシストトルク減少モード小期間と、第2アシストトルク減少モード小期間とが、複数回繰り返されてもよい。また、複数回繰り返される場合に、第1アシストトルク増加モード小期間と、第2アシストトルク増加モード小期間と、第1アシストトルク減少モード小期間と、第2アシストトルク減少モード小期間との組み合わせ(つまり、第1アシストトルク増加モード小期間の長さ、その期間中のアシストトルク増加量、第2アシストトルク増加モード小期間の長さ、その期間中のアシストトルク増加量、第1アシストトルク減少モード小期間の長さ、その期間中のアシストトルク減少量、第2アシストトルク減少モード小期間の長さ、および、その期間中のアシストトルク増加量の組み合わせ)を適宜変更してもよい。
第1アシストトルク増加モード小期間の長さと第2アシストトルク増加モード小期間の長さとは、等しくても、異なっていてもよい。
第1アシストトルク増加モード小期間中のアシストトルク増加量と、第2アシストトルク増加モード小期間中のアシストトルク増加量とは、等しくても、異なっていてもよい。
第1アシストトルク減少モード小期間の長さと第2アシストトルク減少量モード小期間の長さとは、等しくても、異なっていてもよい。
第1アシストトルク減少モード小期間中のアシストトルク減少量と、第2アシストトルク減少モード小期間中のアシストトルク減少量とは、等しくても、異なっていてもよい。
【0046】
図1に示す例では、上り坂検出部15Bが、電動アシスト自転車1が上り坂を走行していることを検出する。上り坂検出部15Bは、例えば傾斜センサ(図示せず)などを備えている。
他の例では、検出部15が上り坂検出部15Bを備えていなくてもよい。
【0047】
図1に示す例では、ブレーキ操作検出部15Cが、電動アシスト自転車1の運転者によるブレーキレバー11Dの操作を検出する。ブレーキ操作検出部15Cは、例えばブレーキセンサ(図示せず)などを備えている。
ペダル踏力検出部15Dは、電動アシスト自転車1の運転者のペダル踏力(ペダル11Bに対する踏力)を検出する。ペダル踏力検出部15Dは、例えば踏力センサ(図示せず)などを備えている。
車速検出部15Eは、電動アシスト自転車1の車速を検出する。車速検出部15Eは、例えば車輪速センサ(図示せず)、モータ12の回転数を検出する回転センサ(図示せず)などを備えている。
他の例では、検出部15が車速検出部15Eを備えていなくてもよい。
【0048】
図1に示す例では、記憶部16が、ペダル踏力検出部15Dによって検出されたペダル踏力をペダル踏力履歴として記憶する。判定部17は、ペダル踏力検出部15Dによって検出されたペダル踏力と、記憶部16に記憶されているペダル踏力履歴とに基づいて、一定重量以上の荷物が電動アシスト自転車1に積載されている重量荷物積載時であるか否かを判定する。
他の例では、電動アシスト自転車1が記憶部16および判定部17を備えていなくてもよい。
【0049】
図5は第1実施形態の電動アシスト自転車1において実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図5に示す例では、ステップS11において、ながら運転検出部15Aが、電動アシスト自転車1の運転者によるながら運転を検出する。
次いで、ステップS12では、例えばモータ制御部14が、ながら運転検出部15Aによってながら運転が検出されたか否かを判定する。ながら運転が検出された場合には、ステップS13に進む。一方、ながら運転が検出されなかった場合には、ステップS14に進む。
【0050】
ステップS13では、モータ制御部14が、ながら運転抑制制御を実行する。具体的には、モータ制御部14は、ながら運転抑制制御の実行期間中に、電動アシスト自転車1の運転者のペダル11Bに対する踏力(ペダル踏力)が増加しなくても、モータ12がアシストトルクを増加させるように、モータ12を制御する。また、モータ制御部14は、ながら運転抑制制御の実行期間中に、ペダル踏力が減少しなくても、モータ12がアシストトルクを減少させるように、モータ12を制御する。
【0051】
ステップS14では、モータ制御部14が、通常制御を実行する。基本的には、モータ制御部14は、通常制御の実行期間中に、電動アシスト自転車1の運転者のペダル11Bに対する踏力(ペダル踏力)に応じてモータ12がアシストトルクを発生するように、モータ12を制御する。
【0052】
<第2実施形態>
以下、本発明の電動アシスト自転車、電動アシスト自転車のながら運転抑制方法、モータ制御部およびプログラムの第2実施形態について説明する。
第2実施形態の電動アシスト自転車1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の電動アシスト自転車1と同様に構成されている。従って、第2実施形態の電動アシスト自転車1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の電動アシスト自転車1と同様の効果を奏することができる。
【0053】
第2実施形態の電動アシスト自転車1の一例では、ランダム設定部14Aが、ながら運転抑制制御の実行期間に含まれるアシストトルク増加モード期間中のアシストトルク増加量と、ながら運転抑制制御の実行期間に含まれるアシストトルク増加モード期間の長さと、ながら運転抑制制御の実行期間に含まれるアシストトルク減少モード期間中のアシストトルク減少量と、ながら運転抑制制御の実行期間に含まれるアシストトルク減少モード期間の長さと、ながら運転抑制制御の実行期間に含まれるアシストトルク目標値モード期間の長さとの組み合わせをランダムに設定する。
つまり、第1実施形態の電動アシスト自転車1では、ながら運転抑制制御の実行期間に含まれるアシストトルク増加モード期間中のアシストトルク増加量と、ながら運転抑制制御の実行期間に含まれるアシストトルク増加モード期間の長さと、ながら運転抑制制御の実行期間に含まれるアシストトルク減少モード期間中のアシストトルク減少量と、ながら運転抑制制御の実行期間に含まれるアシストトルク減少モード期間の長さと、ながら運転抑制制御の実行期間に含まれるアシストトルク目標値モード期間の長さとの組み合わせとして、予め設定されたものが用いられる場合がある。
一方、第2実施形態の電動アシスト自転車1の一例では、ランダム設定部14Aによって設定(出力)された組み合わせが用いられる。
第2実施形態の電動アシスト自転車1の他の例では、アシストトルク目標値モード期間が、ながら運転抑制制御の実行期間に含まれなくてもよい。
【0054】
<第3実施形態>
以下、本発明の電動アシスト自転車、電動アシスト自転車のながら運転抑制方法、モータ制御部およびプログラムの第3実施形態について説明する。
第3実施形態の電動アシスト自転車1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の電動アシスト自転車1と同様に構成されている。従って、第3実施形態の電動アシスト自転車1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の電動アシスト自転車1と同様の効果を奏することができる。
【0055】
第1実施形態の電動アシスト自転車1の一例では、ながら運転抑制制御の実行期間に含まれるアシストトルク増加モード期間と、ながら運転抑制制御の実行期間に含まれるアシストトルク減少モード期間との間に、ながら運転抑制制御の実行期間に含まれるアシストトルク目標値モード期間が設定される場合がある。
一方、第3実施形態の電動アシスト自転車1の第1例では、モータ制御部14が、ながら運転抑制制御の実行期間に含まれるアシストトルク増加モード期間と、ながら運転抑制制御の実行期間に含まれるアシストトルク減少モード期間とを連続して設定する。具体的には、
図2に示すように、モータ制御部14が、ながら運転抑制制御の実行期間P1に含まれるアシストトルク増加モード期間P11と、ながら運転抑制制御の実行期間P1に含まれるアシストトルク減少モード期間P12とを連続して設定する。そのため、第3実施形態の電動アシスト自転車1は、アシストトルク増加モード期間P11からアシストトルク減少モード期間P12への切り替わり時刻t2におけるトルクショック(大きさがT1+T2のトルクショック)によって、電動アシスト自転車1の運転者に対する注意喚起を行うことができる。
【0056】
第3実施形態の電動アシスト自転車1の第2例では、モータ制御部14が、ながら運転抑制制御の実行期間に含まれるアシストトルク増加モード小期間と、ながら運転抑制制御の実行期間に含まれるアシストトルク減少モード期間とを連続して設定する。
具体的には、
図3に示すように、モータ制御部14が、ながら運転抑制制御の実行期間P2に含まれるアシストトルク増加モード小期間P21と、ながら運転抑制制御の実行期間P2に含まれるアシストトルク減少モード期間P22とを連続して設定する。そのため、第3実施形態の電動アシスト自転車1は、アシストトルク増加モード小期間P21からアシストトルク減少モード期間P22への切り替わり時刻t12におけるトルクショック(大きさがT1+T2のトルクショック)によって、電動アシスト自転車1の運転者に対する注意喚起を行うことができる。
また、モータ制御部14は、ながら運転抑制制御の実行期間P2に含まれるアシストトルク減少モード期間P22と、ながら運転抑制制御の実行期間P2に含まれるアシストトルク増加モード小期間P23とを連続して設定する。そのため、第3実施形態の電動アシスト自転車1は、アシストトルク減少モード期間P22からアシストトルク増加モード小期間P21への切り替わり時刻t13におけるトルクショック(大きさがT1+T2のトルクショック)によって、電動アシスト自転車1の運転者に対する注意喚起を行うことができる。
【0057】
第3実施形態の電動アシスト自転車1の第3例では、モータ制御部14が、ながら運転抑制制御の実行期間に含まれるアシストトルク増加モード期間と、ながら運転抑制制御の実行期間に含まれるアシストトルク減少モード小期間とを連続して設定する。
具体的には、
図4に示すように、モータ制御部14が、ながら運転抑制制御の実行期間P3に含まれるアシストトルク減少モード小期間P31と、ながら運転抑制制御の実行期間P3に含まれるアシストトルク増加モード期間P32とを連続して設定する。そのため、第3実施形態の電動アシスト自転車1は、アシストトルク減少モード小期間P31からアシストトルク増加モード期間P32への切り替わり時刻t22におけるトルクショック(大きさがT1+T2のトルクショック)によって、電動アシスト自転車1の運転者に対する注意喚起を行うことができる。
また、モータ制御部14は、ながら運転抑制制御の実行期間P3に含まれるアシストトルク増加モード期間P32と、ながら運転抑制制御の実行期間P3に含まれるアシストトルク減少モード小期間P33とを連続して設定する。そのため、第3実施形態の電動アシスト自転車1は、アシストトルク増加モード期間P32からアシストトルク減少モード小期間P33への切り替わり時刻t23におけるトルクショック(大きさがT1+T2のトルクショック)によって、電動アシスト自転車1の運転者に対する注意喚起を行うことができる。
【0058】
<第4実施形態>
以下、本発明の電動アシスト自転車、電動アシスト自転車のながら運転抑制方法、モータ制御部およびプログラムの第4実施形態について説明する。
第4実施形態の電動アシスト自転車1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の電動アシスト自転車1と同様に構成されている。従って、第4実施形態の電動アシスト自転車1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の電動アシスト自転車1と同様の効果を奏することができる。
【0059】
第4実施形態の電動アシスト自転車1の第1例では、
図3に示す例と同様に、ながら運転抑制制御の実行期間に含まれるアシストトルク増加モード期間に、複数のアシストトルク増加モード小期間が含まれる。
詳細には、第4実施形態の電動アシスト自転車1の第1例では、モータ制御部14は、所定のリズムになるように、複数のアシストトルク増加モード小期間のそれぞれの長さと、複数のアシストトルク増加モード小期間の相互の間隔とを設定する。具体的には、「三三七拍子」のリズムにする場合に、モータ制御部14が13個(=3個+3個+7個)のアシストトルク増加モード小期間を設定する。13個のアシストトルク増加モード小期間の長さは等しい。3番目のアシストトルク増加モード小期間と4番目のアシストトルク増加モード小期間との間隔の長さと、6番目のアシストトルク増加モード小期間と7番目のアシストトルク増加モード小期間との間隔の長さとが、他の間隔の長さよりも長い。13個のアシストトルク増加モード小期間の相互の間隔(つまり、12個の間隔)には、アシストトルク減少モード小期間が設定される。
この例では、第4実施形態の電動アシスト自転車1は、電動アシスト自転車1に運転者にとって耳慣れたリズムによって、電動アシスト自転車1の運転者に対する注意喚起を行うことができる。
この例においても、ながら運転抑制制御の実行期間に含まれるアシストトルク増加モード期間(複数のアシストトルク増加モード小期間の合計期間)とアシストトルク増加量との積は、ながら運転抑制制御の実行期間に含まれるアシストトルク減少モード期間(複数のアシストトルク減少モード小期間の合計期間)とアシストトルク減少量との積に概略等しい。
【0060】
第4実施形態の電動アシスト自転車1の第2例では、
図4に示す例と同様に、ながら運転抑制制御の実行期間に含まれるアシストトルク減少モード期間に、複数のアシストトルク減少モード小期間が含まれる。
詳細には、第4実施形態の電動アシスト自転車1の第2例では、モータ制御部14は、所定のリズムになるように、複数のアシストトルク減少モード小期間のそれぞれの長さと、複数のアシストトルク減少モード小期間の相互の間隔とを設定する。具体的には、「三三七拍子」のリズムにする場合に、モータ制御部14が13個(=3個+3個+7個)のアシストトルク減少モード小期間を設定する。13個のアシストトルク減少モード小期間の長さは等しい。3番目のアシストトルク減少モード小期間と4番目のアシストトルク減少モード小期間との間隔の長さと、6番目のアシストトルク減少モード小期間と7番目のアシストトルク減少モード小期間との間隔の長さとが、他の間隔の長さよりも長い。13個のアシストトルク減少モード小期間の相互の間隔(つまり、12個の間隔)には、アシストトルク増加モード期間が設定される。
この例では、第4実施形態の電動アシスト自転車1は、電動アシスト自転車1に運転者にとって耳慣れたリズムによって、電動アシスト自転車1の運転者に対する注意喚起を行うことができる。
この例においても、ながら運転抑制制御の実行期間に含まれるアシストトルク増加モード期間(複数のアシストトルク増加モード小期間の合計期間)とアシストトルク増加量との積は、ながら運転抑制制御の実行期間に含まれるアシストトルク減少モード期間(複数のアシストトルク減少モード小期間の合計期間)とアシストトルク減少量との積に概略等しい。
【0061】
<第5実施形態>
以下、本発明の電動アシスト自転車、電動アシスト自転車のながら運転抑制方法、モータ制御部およびプログラムの第5実施形態について説明する。
第5実施形態の電動アシスト自転車1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の電動アシスト自転車1と同様に構成されている。従って、第5実施形態の電動アシスト自転車1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の電動アシスト自転車1と同様の効果を奏することができる。
【0062】
第5実施形態の電動アシスト自転車1では、モータ制御部14は、ながら運転抑制制御の実行期間に含まれるアシストトルク増加モード期間中のアシストトルク増加量と、ながら運転抑制制御の実行期間に含まれるアシストトルク減少モード期間中のアシストトルク減少量との和が所定の閾値以上になるように、アシストトルク増加量およびアシストトルク減少量を設定する。
具体的には、第1実施形態の電動アシスト自転車1の
図2に示す例では、切り替わり時刻t2におけるトルクショック(の大きさ(T1+T2))が比較的小さい場合(例えば、時刻t2のトルクショックによって電動アシスト自転車1の運転者の手元が揺れないなどトルクショックを運転者が体感できない場合)がある。
一方、第5実施形態の電動アシスト自転車1の
図2に示す例では、時刻t2のトルクショックによって電動アシスト自転車1の運転者の手元が揺れるなどトルクショックを運転者が体感するように、時刻t2のアシストトルク増加量T1とアシストトルク減少量T2との和が所定の閾値以上に設定される。
また、第5実施形態の電動アシスト自転車1の
図3に示す例では、時刻t12のトルクショックによって電動アシスト自転車1の運転者の手元が揺れ、かつ、時刻t13のトルクショックによって電動アシスト自転車1の運転者の手元が揺れるように、時刻t12、t13のアシストトルク増加量T1とアシストトルク減少量T2との和が所定の閾値以上に設定される。
同様に、第5実施形態の電動アシスト自転車1の
図4に示す例では、時刻t22のトルクショックによって電動アシスト自転車1の運転者の手元が揺れ、かつ、時刻t23のトルクショックによって電動アシスト自転車1の運転者の手元が揺れるように、時刻t22、t23のアシストトルク増加量T1とアシストトルク減少量T2との和が所定の閾値以上に設定される。
【0063】
<第6実施形態>
以下、本発明の電動アシスト自転車、電動アシスト自転車のながら運転抑制方法、モータ制御部およびプログラムの第6実施形態について説明する。
第6実施形態の電動アシスト自転車1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の電動アシスト自転車1と同様に構成されている。従って、第6実施形態の電動アシスト自転車1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の電動アシスト自転車1と同様の効果を奏することができる。
【0064】
図6は第6実施形態の電動アシスト自転車1において実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図6に示す例では、ステップS21において、ながら運転検出部15Aが、電動アシスト自転車1の運転者によるながら運転を検出する。
次いで、ステップS22では、例えばモータ制御部14が、ながら運転検出部15Aによってながら運転が検出されたか否かを判定する。ながら運転が検出された場合には、ステップS23に進む。一方、ながら運転が検出されなかった場合には、ステップS26に進む。
【0065】
ステップS23では、上り坂検出部15Bが、電動アシスト自転車1の上り坂走行を検出する。
次いで、ステップS24では、例えばモータ制御部14が、上り坂検出部15Bによって電動アシスト自転車1の上り坂走行が検出されたか否かを判定する。電動アシスト自転車1の上り坂走行が検出されなかった場合には、ステップS25に進む。一方、電動アシスト自転車1の上り坂走行が検出された場合には、ステップS26に進む。
【0066】
ステップS25では、モータ制御部14が、ながら運転抑制制御を実行する。具体的には、モータ制御部14は、ながら運転抑制制御の実行期間中に、電動アシスト自転車1の運転者のペダル11Bに対する踏力(ペダル踏力)が増加しなくても、モータ12がアシストトルクを増加させるように、モータ12を制御する。また、モータ制御部14は、ながら運転抑制制御の実行期間中に、ペダル踏力が減少しなくても、モータ12がアシストトルクを減少させるように、モータ12を制御する。
【0067】
ステップS26では、モータ制御部14が、通常制御を実行する。基本的には、モータ制御部14は、通常制御の実行期間中に、電動アシスト自転車1の運転者のペダル11Bに対する踏力(ペダル踏力)に応じてモータ12がアシストトルクを発生するように、モータ12を制御する。
【0068】
詳細には、
図6に示す例では、電動アシスト自転車1が上り坂を走行していることが上り坂検出部15Bによって検出されている場合であって、ながら運転検出部15Aによってながら運転が検出されている場合にステップS26においてモータ12がアシストトルクを減少させる量(具体的には、ゼロ)は、電動アシスト自転車1が上り坂を走行していることが上り坂検出部15Bによって検出されていない場合であって、ながら運転検出部15Aによってながら運転が検出されている場合にステップS25においてモータ12がアシストトルクを減少させる量(アシストトルク減少量T2)(
図2~
図4参照)よりも小さい。
【0069】
つまり、第6実施形態の電動アシスト自転車1では、電動アシスト自転車1が上り坂を走行していることが上り坂検出部15Bによって検出されている場合、ながら運転検出部15Aによってながら運転が検出されている場合であっても、モータ制御部14は、ながら運転抑制制御を実行しない。
そのため、第6実施形態の電動アシスト自転車1では、電動アシスト自転車1の走行が阻害されることなく、上り坂走行を継続することができる。
【0070】
<第7実施形態>
以下、本発明の電動アシスト自転車、電動アシスト自転車のながら運転抑制方法、モータ制御部およびプログラムの第7実施形態について説明する。
第7実施形態の電動アシスト自転車1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の電動アシスト自転車1と同様に構成されている。従って、第7実施形態の電動アシスト自転車1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の電動アシスト自転車1と同様の効果を奏することができる。
【0071】
図7は第7実施形態の電動アシスト自転車1において実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図7に示す例では、ステップS31において、ながら運転検出部15Aが、電動アシスト自転車1の運転者によるながら運転を検出する。
次いで、ステップS32では、例えばモータ制御部14が、ながら運転検出部15Aによってながら運転が検出されたか否かを判定する。ながら運転が検出された場合には、ステップS33に進む。一方、ながら運転が検出されなかった場合には、ステップS36に進む。
【0072】
ステップS33では、ペダル踏力検出部15Dが、電動アシスト自転車1の運転者のペダル踏力を検出する。
次いで、ステップS34では、判定部17が、重量荷物積載時判定を行う。詳細には、判定部17は、ステップS33において検出された電動アシスト自転車1の運転者のペダル踏力と、記憶部16に記憶されているペダル踏力履歴(ペダル踏力検出部15Dによって過去に検出されたペダル踏力を記憶したもの)とに基づいて、一定重量以上の荷物が電動アシスト自転車1に積載されている重量荷物積載時であるか否かを判定する。重量荷物積載時でない場合には、ステップS35に進む。一方、重量荷物積載時である場合には、ステップS36に進む。
【0073】
ステップS35では、モータ制御部14が、ながら運転抑制制御を実行する。具体的には、モータ制御部14は、ながら運転抑制制御の実行期間中に、電動アシスト自転車1の運転者のペダル11Bに対する踏力(ペダル踏力)が増加しなくても、モータ12がアシストトルクを増加させるように、モータ12を制御する。また、モータ制御部14は、ながら運転抑制制御の実行期間中に、ペダル踏力が減少しなくても、モータ12がアシストトルクを減少させるように、モータ12を制御する。
【0074】
ステップS36では、モータ制御部14が、通常制御を実行する。基本的には、モータ制御部14は、通常制御の実行期間中に、電動アシスト自転車1の運転者のペダル11Bに対する踏力(ペダル踏力)に応じてモータ12がアシストトルクを発生するように、モータ12を制御する。
【0075】
詳細には、
図7に示す例では、判定部17が重量荷物積載時であると判定した場合であって、ながら運転検出部15Aによってながら運転が検出されている場合にステップS36においてモータ12がアシストトルクを減少させる量(具体的には、ゼロ)は、判定部17が重量荷物積載時ではないと判定した場合であって、ながら運転検出部15Aによってながら運転が検出されている場合にステップS35においてモータ12がアシストトルクを減少させる量(アシストトルク減少量T2)(
図2~
図4参照)よりも小さい。
【0076】
つまり、第7実施形態の電動アシスト自転車1では、判定部17が重量荷物積載時であると判定した場合、ながら運転検出部15Aによってながら運転が検出されている場合であっても、モータ制御部14は、ながら運転抑制制御を実行しない。
そのため、第7実施形態の電動アシスト自転車1では、電動アシスト自転車1の走行が阻害されることなく、重量荷物積載時走行(重量荷物が積載された走行)を継続することができる。
【0077】
<第8実施形態>
以下、本発明の電動アシスト自転車、電動アシスト自転車のながら運転抑制方法、モータ制御部およびプログラムの第8実施形態について説明する。
第8実施形態の電動アシスト自転車1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の電動アシスト自転車1と同様に構成されている。従って、第8実施形態の電動アシスト自転車1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の電動アシスト自転車1と同様の効果を奏することができる。
【0078】
図8は第8実施形態の電動アシスト自転車1において実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図8に示す例では、ステップS41において、ながら運転検出部15Aが、電動アシスト自転車1の運転者によるながら運転を検出する。
次いで、ステップS42では、例えばモータ制御部14が、ながら運転検出部15Aによってながら運転が検出されたか否かを判定する。ながら運転が検出された場合には、ステップS43に進む。一方、ながら運転が検出されなかった場合には、ステップS46に進む。
【0079】
ステップS43では、車速検出部15Eが、電動アシスト自転車1の車速を検出する。
次いで、ステップS44では、例えばモータ制御部14が、車速検出部15Eによって検出された電動アシスト自転車1の車速がゼロであるか否かを判定する。電動アシスト自転車1の車速がゼロでない場合には、ステップS45に進む。一方、電動アシスト自転車1の車速がゼロである場合には、ステップS46に進む。
【0080】
ステップS45では、モータ制御部14が、ながら運転抑制制御を実行する。具体的には、モータ制御部14は、ながら運転抑制制御の実行期間中に、電動アシスト自転車1の運転者のペダル11Bに対する踏力(ペダル踏力)が増加しなくても、モータ12がアシストトルクを増加させるように、モータ12を制御する。また、モータ制御部14は、ながら運転抑制制御の実行期間中に、ペダル踏力が減少しなくても、モータ12がアシストトルクを減少させるように、モータ12を制御する。
【0081】
ステップS46では、モータ制御部14が、通常制御を実行する。基本的には、モータ制御部14は、通常制御の実行期間中に、電動アシスト自転車1の運転者のペダル11Bに対する踏力(ペダル踏力)に応じてモータ12がアシストトルクを発生するように、モータ12を制御する。
【0082】
つまり、第8実施形態の電動アシスト自転車1では、電動アシスト自転車1の車速がゼロであることが車速検出部15Eによって検出されている場合、ながら運転検出部15Aによってながら運転が検出されている場合であっても、モータ制御部14は、ながら運転抑制制御を実行しない。
【0083】
<第9実施形態>
以下、本発明の電動アシスト自転車、電動アシスト自転車のながら運転抑制方法、モータ制御部およびプログラムの第9実施形態について説明する。
第9実施形態の電動アシスト自転車1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の電動アシスト自転車1と同様に構成されている。従って、第9実施形態の電動アシスト自転車1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の電動アシスト自転車1と同様の効果を奏することができる。
【0084】
図9は第9実施形態の電動アシスト自転車1において実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図9に示す例では、ステップS51において、ながら運転検出部15Aが、電動アシスト自転車1の運転者によるながら運転を検出する。
次いで、ステップS52では、例えばモータ制御部14が、ながら運転検出部15Aによってながら運転が検出されたか否かを判定する。ながら運転が検出された場合には、ステップS53に進む。一方、ながら運転が検出されなかった場合には、ステップS56に進む。
【0085】
ステップS53では、車速検出部15Eが、電動アシスト自転車1の車速を検出する。
次いで、ステップS54では、例えばモータ制御部14が、車速検出部15Eによって検出された電動アシスト自転車1の車速が第1閾値TH1以下であるか否かを判定する。電動アシスト自転車1の車速が第1閾値TH1より高い場合には、ステップS55に進む。一方、電動アシスト自転車1の車速が第1閾値TH1以下である場合には、モータ12がアシストトルクを減少させると電動アシスト自転車1の走行が阻害されるおそれがあると判断し、ステップS56に進む。
【0086】
ステップS55では、モータ制御部14が、ながら運転抑制制御を実行する。具体的には、モータ制御部14は、ながら運転抑制制御の実行期間中に、電動アシスト自転車1の運転者のペダル11Bに対する踏力(ペダル踏力)が増加しなくても、モータ12がアシストトルクを増加させるように、モータ12を制御する。また、モータ制御部14は、ながら運転抑制制御の実行期間中に、ペダル踏力が減少しなくても、モータ12がアシストトルクを減少させるように、モータ12を制御する。
【0087】
ステップS56では、モータ制御部14が、通常制御を実行する。基本的には、モータ制御部14は、通常制御の実行期間中に、電動アシスト自転車1の運転者のペダル11Bに対する踏力(ペダル踏力)に応じてモータ12がアシストトルクを発生するように、モータ12を制御する。
【0088】
つまり、第9実施形態の電動アシスト自転車1では、電動アシスト自転車1の車速が第1閾値TH1以下であることが車速検出部15Eによって検出されている場合、ながら運転検出部15Aによってながら運転が検出されている場合であっても、モータ制御部14は、ながら運転抑制制御を実行しない。
そのため、第9実施形態の電動アシスト自転車1では、電動アシスト自転車1の走行が阻害されることなく、低速走行を継続することができる。
【0089】
<第10実施形態>
以下、本発明の電動アシスト自転車、電動アシスト自転車のながら運転抑制方法、モータ制御部およびプログラムの第10実施形態について説明する。
第10実施形態の電動アシスト自転車1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の電動アシスト自転車1と同様に構成されている。従って、第10実施形態の電動アシスト自転車1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の電動アシスト自転車1と同様の効果を奏することができる。
【0090】
図10は第10実施形態の電動アシスト自転車1において実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図10に示す例では、ステップS61において、ながら運転検出部15Aが、電動アシスト自転車1の運転者によるながら運転を検出する。
次いで、ステップS62では、例えばモータ制御部14が、ながら運転検出部15Aによってながら運転が検出されたか否かを判定する。ながら運転が検出された場合には、ステップS63に進む。一方、ながら運転が検出されなかった場合には、ステップS66に進む。
【0091】
ステップS63では、車速検出部15Eが、電動アシスト自転車1の車速を検出する。
次いで、ステップS64では、例えばモータ制御部14が、車速検出部15Eによって検出された電動アシスト自転車1の車速が第2閾値TH2以上であるか否かを判定する(第2閾値TH2は、上述した第1閾値TH1より大きい)。電動アシスト自転車1の車速が第2閾値TH2より低い場合には、ステップS65に進む。一方、電動アシスト自転車1の車速が第2閾値TH2以上である場合には、電動アシスト自転車1の走行が危険な高速走行あると判断し、ステップS67に進む。
【0092】
ステップS65では、モータ制御部14が、ながら運転抑制制御を実行する。具体的には、モータ制御部14は、ながら運転抑制制御の実行期間中に、電動アシスト自転車1の運転者のペダル11Bに対する踏力(ペダル踏力)が増加しなくても、モータ12がアシストトルクを増加させるように、モータ12を制御する。また、モータ制御部14は、ながら運転抑制制御の実行期間中に、ペダル踏力が減少しなくても、モータ12がアシストトルクを減少させるように、モータ12を制御する。
【0093】
ステップS66では、モータ制御部14が、通常制御を実行する。基本的には、モータ制御部14は、通常制御の実行期間中に、電動アシスト自転車1の運転者のペダル11Bに対する踏力(ペダル踏力)に応じてモータ12がアシストトルクを発生するように、モータ12を制御する。
【0094】
ステップS67では、モータ制御部14が、減速制御を実行する。具体的には、モータ制御部14は、減速制御の実行期間中に、電動アシスト自転車1の運転者がブレーキレバー11Dを操作しなくても、モータ12が回生トルクを発生するように、モータ12を制御する。
【0095】
つまり、第10実施形態の電動アシスト自転車1では、電動アシスト自転車1の車速が第2閾値TH2以上であることが車速検出部15Eによって検出されている場合、ながら運転検出部15Aによってながら運転が検出されている場合であっても、モータ制御部14は、ながら運転抑制制御を実行せず、モータ12は、アシストトルクを発生することなく、電動アシスト自転車1を減速させる回生トルクを発生する。
そのため、第10実施形態の電動アシスト自転車1では、ながら運転中の電動アシスト自転車1の危険な高速走行を抑制することができる。
【0096】
<第11実施形態>
以下、本発明の電動アシスト自転車、電動アシスト自転車のながら運転抑制方法、モータ制御部およびプログラムの第11実施形態について説明する。
第11実施形態の電動アシスト自転車1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の電動アシスト自転車1と同様に構成されている。従って、第11実施形態の電動アシスト自転車1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の電動アシスト自転車1と同様の効果を奏することができる。
【0097】
第11実施形態の電動アシスト自転車1では、モータ12が、ペダル11Bに加えられたペダル踏力に応じてアシストトルクを発生すると共に、電動アシスト自転車を制動させる回生トルクを発生する。モータ12は、例えば、ペダル11Bが回転していないときに電動アシスト自転車1の速度が上昇している場合に、電動アシスト自転車1の速度上昇を抑えるために加速度に応じて回生トルクを発生させる。また、モータ12は、ブレーキレバーが操作されたことをブレーキセンサが検出した場合に、ブレーキレバーの操作量あるいは電動アシスト自転車1の速度に応じて回生トルクを発生させる。なお、回生トルクは、モータ12の回転によって生じた電力がバッテリ13に充電されるときに電動アシスト自転車1を制動させる制動力となる。
第11実施形態の電動アシスト自転車1は、回生トルク目標値モードと、回生トルク増加モードと、回生トルク減少モードとを有する。回生トルク目標値モードは、電動アシスト自転車1を制動させる場合に、モータ12が、回生トルク発生条件に応じて定まる回生トルク目標値と等しい回生トルクを発生するモードである。
回生トルク増加モードは、モータ12が、回生トルク目標値よりも大きい回生トルクを発生するモードである。回生トルク減少モードは、モータ12が、回生トルク目標値よりも小さい回生トルクを発生するか、あるいは、アシストトルクを発生するモードである。
【0098】
モータ制御部14は、電動アシスト自転車1を回生トルク増加モードにする期間である回生トルク増加モード期間の長さ、電動アシスト自転車1を回生トルク減少モードにする期間である回生トルク減少モード期間の長さ、電動アシスト自転車1を回生トルク目標値モードにする期間である回生トルク目標値モード期間の長さなどを設定する。また、モータ制御部14は、回生トルク増加モード期間中にモータ12が発生する回生トルクと回生トルク目標値との差である回生トルク増加量を設定する。更に、モータ制御部14は、回生トルク減少モード期間中にモータ12が発生する回生トルクまたはアシストトルクと回生トルク目標値との差である回生トルク減少量を設定する。
ランダム設定部14Aは、回生トルク増加モード期間中の回生トルク増加量と、回生トルク増加モード期間の長さと、回生トルク減少モード期間中の回生トルク減少量と、回生トルク減少モード期間の長さと、回生トルク目標値モード期間の長さとの組み合わせをランダムに設定する。
【0099】
図11は第11実施形態の電動アシスト自転車1のモータ制御部14によって実行されるながら運転抑制制御の一例を説明するための図である。
図11の縦軸の上向きは回生トルク増加量を示しており、
図11の縦軸の下向きは回生トルク減少量を示しており、
図11の横軸は時刻を示している。
図11に示す例では、モータ制御部14が、時刻t31にながら運転抑制制御を開始し、時刻t33にながら運転抑制制御を終了する。つまり、期間P4(時刻t31~時刻t33)が、ながら運転抑制制御の実行期間である。ながら運転抑制制御の実行期間P4には、電動アシスト自転車1を回生トルク増加モードにする回生トルク増加モード期間P41(時刻t31~時刻t32)と、電動アシスト自転車1を回生トルク減少モードにする回生トルク減少モード期間P42(時刻t32~時刻t33)とが含まれている。
【0100】
詳細には、モータ制御部14は、回生トルク増加モード期間P41中にモータ12が発生する回生トルクと回生トルク目標値との差である回生トルク増加量T11と、回生トルク増加モード期間P41(の長さ)との積S11(=T11×P41)と、回生トルク減少モード期間P42中にモータ12が発生する回生トルクまたはアシストトルクと回生トルク目標値との差である回生トルク減少量T12と、回生トルク減少モード期間P42(の長さ)との積S12(=T12×P42)とが概略等しくなるように、ながら運転抑制制御を実行する。
すなわち、ながら運転抑制制御の実行期間P4の回生トルク増加モード期間P41中には、モータ12が回生トルクを増加させる。
また、ながら運転抑制制御の実行期間P4の回生トルク減少モード期間P42中には、モータ12が回生トルクを減少させる。
そのため、電動アシスト自転車1の運転者は、電動アシスト自転車1によって注意喚起が行われていることに気づき、その結果、電動アシスト自転車1の運転者のながら運転を抑制することができる。
【0101】
また、
図11に示す例では、ながら運転抑制制御が実行されても、電動アシスト自転車1の走行そのものが阻害されることはない。
そのため、
図11に示す例では、電動アシスト自転車1の走行そのものを阻害することなく、電動アシスト自転車1の運転者のながら運転を抑制することができる。
図2~
図4に示す例およびそれらの変形例におけるアシストトルク増加モード期間、アシストトルク増加モード小期間、アシストトルク増加量、アシストトルク減少モード期間、アシストトルク減少モード小期間、アシストトルク減少量、アシストトルク目標値モード期間などの組み合わせについての考え方は、第11実施形態の電動アシスト自転車1の回生トルク増加モード期間、回生トルク増加モード小期間、回生トルク増加量、回生トルク減少モード期間、回生トルク減少モード小期間、回生トルク減少量、回生トルク目標値モード期間などの組み合わせにそのまま適用することができる。
つまり、第11実施形態の電動アシスト自転車1の変形例では、第1実施形態の電動アシスト自転車1の各例におけるモータ12が本来出すべきトルク(アシストトルク目標値)を、回生トルク目標値に置き換えることができる。
すなわち、第11実施形態の電動アシスト自転車1の変形例(第1実施形態の電動アシスト自転車1の
図3、
図4などに相当する例)については、置き換えを準用することができ、詳細な説明は省略する。
【0102】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。上述した各実施形態および各例に記載の構成を組み合わせてもよい。
【0103】
なお、上述した実施形態における電動アシスト自転車1が備える各部の機能全体あるいはその一部は、これらの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶部のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【符号の説明】
【0104】
1…電動アシスト自転車、11…自転車本体、11A…車輪、11B…ペダル、11C…ハンドル、11D…ブレーキレバー、12…モータ、13…バッテリ、14…モータ制御部、14A…ランダム設定部、15…検出部、15A…ながら運転検出部、15B…上り坂検出部、15C…ブレーキ操作検出部、15D…ペダル踏力検出部、15E…車速検出部、16…記憶部、17…判定部