(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155421
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】L形ブロックによるセミフラット街渠
(51)【国際特許分類】
E01C 11/22 20060101AFI20221005BHJP
【FI】
E01C11/22 B
E01C11/22 A
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021083495
(22)【出願日】2021-03-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】503234115
【氏名又は名称】大嶋 正剛
(72)【発明者】
【氏名】大嶋 正剛
【テーマコード(参考)】
2D051
【Fターム(参考)】
2D051AA03
2D051AC06
2D051DA02
2D051DA08
(57)【要約】
【課題】 段差のある歩車道境界において歩道と自転車通行帯の環境に適したセミフラット街渠を形成する。
【解決手段】 越流縁石と車止縁石とが交互する縁石部と、エプロンとで一定長さに成型したL形ブロックを連続布設し、歩道と自転車通行帯に適したセミフラット街渠を設ける。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車通行帯とそれより高い段差のある歩道との境界を区分するL形ブロックのセミフラット街渠であって、
越流縁石と車止縁石とが交互する縁石部とエプロンとで一定長さに成型したL形ブロックを連続して用い、歩道面と一致する高さの前記越流縁石上面にて布設するセミフラット街渠において、
前記越流縁石は自転車乗入可能幅で前記車止縁石の連立間隔ごとに自転車通行帯に沿って連続状態に配設されてなり、
前記越流縁石が連続状態で歩道からの雨水流出水を滞留することなく、エプロンへ傾斜排水することと併せ、走行自転車のみ歩道への乗入れを街渠沿いに自由とすることを特徴とするL形ブロックによるセミフラット街渠。
【請求項2】
自転車通行帯とそれより高い段差のある歩道との境界を区分するL形ブロックのセミフラット街渠であって、
エプロン渠底にスリットで開口する副水路を内蔵し、越流縁石と車止縁石とが交互する縁石部とエプロンとで一定長さに成型したL型ブロックを連続して用い、歩道面と一致する高さの前記越流縁石上面にて布設するセミフラット街渠において、
前記越流縁石は自転車乗入可能幅で前期車止縁石の連立間隔ごとに自転車通行帯に沿って連続状態に配設されてなり、
前記越流縁石が連続状態で歩道からの雨水流出水を滞留することなく、エプロンへの傾斜排水と、スリットから副水路へ落下排水することと併せ、走行自転車のみ歩道への乗入れを街渠沿いに自由とすることを特徴とするL形ブロックによるセミフラット街渠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路の車道側帯と段差のある歩道との境界に設置するL形ブロックによるセミフラット街渠に関する。
【背景技術】
【0002】
プレキャストコンクリート街渠用L形ブロックはエプロン側面をアスファルト舗装止とし、縁石側面を歩道止として、一般にエプロン幅50cmがL形状通水断面となる雨水排水施設を形成し、車道と歩道面の雨水を道路縦断勾配に沿って集水桝へ排水する。
【0003】
歩道はおおむね1%の横断勾配で縁石に接し、かまぼこ状断面の車道は路肩がおおむね2%の横断勾配でL形排水部と接しエプロンが幅50cm6%傾斜面の通水断面となっている。
近時、車道の側帯を自転車通行帯とする道路構造令が施行され、加えて国が示す「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」では、エプロン部横断勾配をも2%に規定して車道からの急変緩和とともに全体をアスファルト舗装とすることが求められる。
【0004】
そして、従来の歩道幅1m~1.5mから現在では広い歩道の都市計画道路になってきて、例えば幅員12m(車道7m歩道各2.5m)や、対面2車線幅員18m(車道9m歩道各4.5m)など道路空間における利活用の多様化を目指し、歩行者中心に再構築するとして、
広い歩道と自転車通行帯等の柔軟な使い方を推進すべきとの流れとなっている。
【先行技術文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-253611号公報
【特許文献2】特開2014-66057号公報
【特許文献3】特開2017-31780号公報
【特許文献4】特開2019-100166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、歩道のバリアフリー化において、国が示す「道路の移動円滑化整備ガイドライン」で、車道からの歩道面の高さを標準5cmと定めてあり、
エプロン渠底とそれより高い歩道面との5cm段差境界のセミフラット街渠においては縁石が車止構造として歩道面からさらに10cm~20cm高く設置されるので、
歩道面の雨水排水を連続する境界縁石が遮るため、水抜きに設けた穴明開口からのみエプロンに排出しており、
道路空間の利活用においては、長時間の雨水滞留による支障も生じ、広い歩道幅員による雨水流出量に対し水はけが十分でなく、
また、連続する歩車道境界縁石に沿って路肩通行帯を走行する自転車が、前方に駐停車中の車両を避けて隣の車道車線に入らざるを得ない場合が生じる危険性も常に伴っているので、歩道面への一時回避による安全向上の必要も課題とされている。
【0007】
エプロン部傾斜面が6%から2%に平坦化した場合の排水断面減少によるセミフラット街渠の排水能力低下分に対しては、道路縦断勾配沿いの集水ます設置間隔短縮等で吸収して補うが、
その上で、道路空間の利活用等においては、歩道面からの雨水流出に対し、水はけが速く、長時間の滞留が生じないこととされる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明のL形ブロックは、一般の街渠用と同じエプロン傾斜6%や自転車通行帯に合わせる2%とする場合等も含めて、縁石部を歩道面に一致する低い自転車乗り入れも可能の排水越流縁石と、それより高い歩車道境界車止縁石とが、交互にエプロン面から立上る構造とする。
【0009】
自転車通行帯においては、L形ブロックエプロン幅50cmを10cm等に縮小してアスファルト舗装部分に代替した場合においても、掃流性をもつL形街渠断面の通水能力が維持される。
その上で、
自転車通行帯とそれより高い歩道面との段差境界のL形ブロックによる街渠において、
連続する縁石部が歩道面と一致する低い越流縁石と高い車止縁石が、おおむね各1m交互に設置されて、歩道面の雨水が道路沿い連続状態でエプロンに越流排水できるとともに、自転車のみ走行中に歩道面への乗り入れがずい時可能となる。
【0010】
横断勾配を6%から車道路肩の2%に近づけ、L形排水部の断面縮小で通水能力が低下しても、集水ますの間隔縮少のほかエプロン渠底にスリットで開口する副水路を内蔵するL形ブロックにより充足することもできる。
【発明の効果】
【0011】
越流縁石と車止縁石が交互し、連続するL形街渠によって、車止縁石は通行車両が乗り入れできない高さに形成され、越流縁石が広い歩道面の雨水をエプロンへ排水するための十分な落下帯となり、さらに自転車のみ乗り入れにも適し、歩車道空間の利活用に資すものとなる。
【0012】
車止縁石が越流縁石と交互に連続する歩車道境界沿い自転車通行帯においては、断続する歩車道境界ラインが自転車歩行者の視線に入り、アクセントにもなり、さらに自転車走通中に前方に駐停車中の車両を避けて、一時的に歩道内を走行する場合も安全性が確保でき、安全で快適な自転車通行帯を創出するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】 L形ブロックの実施例を示す斜面図である。
【
図2】
図1に示すL形ブロックにより自転車通行帯沿いセミフラット街渠を形成した実施例を示す切欠斜面図である。
【
図4】 スリット開口副水路付きL形ブロックの実施例を示す斜面図である。
【
図5】
図4に示すL形ブロックにより自転車通行帯沿いセミフラット街渠を形成した実施例を示す切欠斜面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
一般にL形ブロックは、段差5cmのセミフラット歩車道境界におおむねエプロン幅50cm、渠底に向かって6%の傾斜、内高3cmの三角形通水とするほかエプロン幅50cmを10cm等に縮小し、アスファルト舗装に代替して街渠エプロン面渠底を形成する。
歩道面とのセミフラット街渠断面縁石部は、段差5cmの越流縁石と、それより高い車止縁石を歩道面から10cmから20cmの高さに設置する。
車道の舗装止め部は、おおむね厚さ15cm、20cm、25cmの3種類が用意されて縁石下部から張出してL形断面を形成し、外圧荷重別に対応している。
長さは1m、2m等とするプレキャストコンクリートで供給され、道路縦断勾配に沿い、基礎上に固定勾配で布設する。
【0015】
L形ブロックを副水路付きとするものは、縁石側面とエプロン渠底とのコーナー部エプロン面にスリットが直下の副水路に向かって開口している。
副水路は楕円、円形等とし、縁石下からL形エプロン部にまたがる内径幅に設け、スリットが縁石下を通らず副水路に直結する。
【0016】
街渠の排水能力を充足する副水路は、おおむね内径15cm内高10~15cm以上、内底面高が上面舗装止以下で、L形通水断面部とスリットで直結している。
【実施例0017】
図1に縁石部(3)エプロン(2)を一体とする長尺2m、L形ブロック(1)の実施例を示す。
縁石部は両端各0.5mの越流縁石(3A)と中央1mの車止縁石(3B)となっている。
エプロン(2)は幅50cmで側端の舗装止め(7)に達している。この実施例では車止縁石(3B)に水抜口(11)を設けている。
【0018】
図2は
図1に示すL形ブロック(1)により自転車通行帯(5)沿いセミフラット街渠(10)とした実施例であり、傾斜面(4)付き越流縁石(3A)と車止縁石(3B)が1m交互に連続する縁石部(3)が形成される。
越流縁石(3A)が連続状態で歩道(15)からの雨水流出水を滞留なくエプロン(2)へ傾斜排水することと併せ、自転車の歩道への乗入れも街渠(10)沿いに自由となる。
走行中の自転車の乗入れ幅は車止縁石(3B)(3B)間毎交互に連続しているので自由となる反面、四輪自動車等は進入不可能である。
なお車止縁石(3B)の越流縁石(3A)寄り端面角部に丸味と面取を施してある。
水抜口(11)は
図1、
図2にも示すとおり下辺が歩道面と一致し、車止縁石(3B)からも歩道の水溜りをなくし、越流縁石(3A)からの雨水排水を補う実施例である。
【0019】
図3は
図2のA~A線にそった断面図に示すとおりエプロン(2)は渠底(25)から舗装止め(7)までの通水幅で車道上面舗装(9)と連続し、自転車通行帯(5)に最適の横断勾配とアスファルト舗装面に形成される。
【0020】
図4に副水路を内蔵し、スリット開口15mmとする長さ1mL形ブロック(1)の実施例を示す。
縁石部(3)は中央0.5mの越流縁石と、両端各0.25mの車止縁石となっている。
エプロン(2)は幅10cmで側端の舗装止め(7)に達している。
副水路(20)はスリット(12)によってエプロン渠底(25)に向って開口している。
【0021】
図5は
図4に示すL形ブロック(1)により、自転車通行帯(5)沿いセミフラット街渠(10)とした実施例であり、
傾斜面(4)付き越流縁石(3A)と車止縁石(3B)が0.5m交互に連続する縁石部(3)が形成される。
越流縁石(3A)が連続状態で歩道(15)からの雨水流出水を滞留することなく、エプロン(2)、副水路(20)へ傾斜排水することと併せ、自転車の歩道(15)への乗入れも街渠(10)沿いに自由となる。
走行中の自転車の乗入れ幅は越流縁石(3A)が0.5m底幅が上開き0.7mで車止縁石(3B)(3B)間毎交互に連続しているので自由となる反面、四輪自動車等は進入不可能である。
なお、車止縁石(3B)の越流縁石(3A)寄り端面角部に丸味と面取を施してある。
この実施例においては、車止縁石(3B)の長さが0.5mと小さく越流縁石(3A)と交互に連続することにより、車止縁石(3B)に接する歩道(15)面に水溜りは生じにくい。
【0022】
図6は
図5のB~B線にそった断面図にも示すとおりエプロン(2)は渠底(25)側端が舗装止め(7)で、車道上面舗装(9)と連続し、コンクリートエプロン幅10cmに縮小し、アスファルト舗装に代替して自転車通行帯(5)に最適の横断勾配とアスファルト舗装面が形成される。