(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155449
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】慣性センサ
(51)【国際特許分類】
G01C 19/5691 20120101AFI20221005BHJP
H01L 29/84 20060101ALI20221005BHJP
B81B 3/00 20060101ALI20221005BHJP
B81C 3/00 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
G01C19/5691
H01L29/84 Z
B81B3/00
B81C3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021174533
(22)【出願日】2021-10-26
(31)【優先権主張番号】P 2021057615
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520124752
【氏名又は名称】株式会社ミライズテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 啓太郎
(72)【発明者】
【氏名】原田 翔太
(72)【発明者】
【氏名】後藤 勝昭
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 優輝
(72)【発明者】
【氏名】明石 照久
(72)【発明者】
【氏名】船橋 博文
(72)【発明者】
【氏名】吉田 貴彦
(72)【発明者】
【氏名】川合 祐輔
【テーマコード(参考)】
2F105
3C081
4M112
【Fターム(参考)】
2F105AA02
2F105BB02
2F105BB13
2F105BB15
2F105BB17
2F105CC04
2F105CD03
2F105CD05
3C081AA01
3C081BA01
3C081BA22
3C081BA30
3C081BA41
3C081BA53
3C081CA05
3C081CA14
3C081CA15
3C081CA20
3C081CA26
3C081CA28
3C081CA29
3C081CA32
3C081CA33
3C081CA42
3C081DA03
3C081DA06
3C081DA07
3C081DA27
3C081EA02
4M112AA02
4M112BA07
4M112CA42
4M112CA46
4M112EA02
4M112EA13
4M112FA01
(57)【要約】
【課題】微小振動体のリムと実装基板の複数の電極部との静電容量バラつきが低減された慣性センサを実現する。
【解決手段】微小振動体2は、外径が大きいほうの表面2aと裏面2bを有する薄肉部材からなり、三次元曲面の曲面部21と、曲面部21から凹んだ凹部22とを有する。微小振動体2は、曲面部21のうち凹部22とは反対側の端部を含む一領域のリム211として、リム211のうち表面2aと裏面2bとを繋ぐ面であるリム下面211cが、凹部22のうち裏面2b側の底面である実装面22bと同一平面上に位置する。微小振動体2は、実装面22bが接合部材52を介して実装基板3のうち枠体状の内枠部51に囲まれた領域に接合され、リム211が中空状態となっている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
慣性センサであって、
外径が大きい側の面である表面(2a)と前記表面の反対面である裏面(2b)とを有する薄肉部材であって、環状曲面を備える曲面部(21)と、前記曲面部から前記裏面の側に凹んだ凹部(22)とを有する微小振動体(2)と、
枠体状の内枠部(51)と、互いに距離を隔てつつ、前記内枠部を囲む配置とされる複数の電極部(53)とを有してなる上部基板(5)が下部基板(4)に接合されてなる実装基板(3)と、
前記実装基板のうち前記内枠部に囲まれた内側領域に配置される接合部材(52)と、を備え、
前記微小振動体は、前記凹部のうち前記裏面の側の底面である実装面(22b)が、前記内側領域に配置され、前記接合部材を介して前記実装基板に接合されており、
前記曲面部のうち前記凹部とは反対側の端部を含む一部の領域であるリム(211)は、中空状態であり、
前記リムのうち前記表面と前記裏面とを繋ぐ面であるリム下面(211c)は、前記実装面またはその先端部(28)と同一の平面上に位置している、慣性センサ。
【請求項2】
前記微小振動体は、前記実装面に、前記裏面から前記表面に向かって凹んだ実装面凹部(26)を有し、
前記実装基板は、前記微小振動体のうち前記実装面凹部から前記実装面に向かって突出する突出部(27)に対応する位置決め溝(43)を有し、
前記突出部は、前記位置決め溝に挿入されている、請求項1に記載の慣性センサ。
【請求項3】
前記微小振動体は、前記凹部のうち前記表面における底面近傍の側面に設けられ、前記表面と前記裏面とを繋ぐ側面貫通孔(24)を有し、
前記接合部材は、少なくとも一部が前記側面貫通孔に入り込んでいる、請求項1または2に記載の慣性センサ。
【請求項4】
前記微小振動体は、前記実装面に設けられた底面貫通孔(25)を有し、
前記接合部材は、少なくとも一部が前記底面貫通孔に入り込んでいる、請求項1に記載の慣性センサ。
【請求項5】
前記微小振動体は、前記実装面凹部の底面に設けられた底面貫通孔(25)を有し、
前記接合部材は、少なくとも一部が前記底面貫通孔に入り込んでいる、請求項2に記載の慣性センサ。
【請求項6】
前記実装基板は、前記内枠部に囲まれた領域に、前記底面貫通孔に挿入される支柱部(55)を有する、請求項4または5に記載の慣性センサ。
【請求項7】
外径が大きい側の面である表面(2a)と前記表面の反対面である裏面(2b)とを有する薄肉部材であって、環状曲面を備える曲面部(21)と、前記曲面部から前記裏面の側に凹んだ凹部(22)とを有する微小振動体(2)と、
枠体状の内枠部(51)と、互いに距離を隔てつつ、前記内枠部を囲む配置とされる複数の電極部(53)とを有してなる上部基板(5)が下部基板(4)に接合されてなる実装基板(3)と、が接合部材(52)を介して接合されてなる慣性センサの製造方法であって、
前記微小振動体を用意することと、
前記実装基板のうち前記内枠部に囲まれた内側領域に前記接合部材を配置することと、
前記接合部材を配置した後、前記微小振動体のうち前記凹部を前記内側領域に配置し、前記凹部のうち前記裏面の側の底面である実装面(22b)を前記接合部材に接触させることと、
前記接合部材を溶融させた後、固化させることで、前記微小振動体と前記実装基板とを接合し、前記微小振動体の前記曲面部のうち前記凹部とは反対側の端部であるリム(211)を中空状態とすることと、を含み、
前記微小振動体を用意することにおいては、
マイクロメートルオーダーの薄肉基材(20)を加熱溶融し、固化することで、後に前記曲面部となる曲面部位(201)、および後に前記凹部となる凹部位(202)を形成した後に、前記薄肉基材を封止材(E)で封止し、
前記曲面部位、前記凹部位、および前記封止材の一部を研磨により除去することで、同一平面上に位置する、前記実装面、および前記リムのうち前記表面と前記裏面とを繋ぐリム下面(211c)を形成する、慣性センサの製造方法。
【請求項8】
外径が大きい側の面である表面(2a)と前記表面の反対面である裏面(2b)とを有する薄肉部材であって、環状曲面を備える曲面部(21)と、前記曲面部から前記裏面の側に凹んだ凹部(22)と、前記凹部の底面である実装面(22b)に形成された貫通孔(25)とを有する微小振動体(2)と、
枠体状の内枠部(51)と、互いに距離を隔てつつ、前記内枠部を囲む配置とされる複数の電極部(53)と、前記内枠部に囲まれた領域に配置された支柱部(55)とを有してなる上部基板(5)が下部基板(4)に接合されてなる実装基板(3)と、が接合部材(52)を介して接合されてなる慣性センサの製造方法であって、
前記微小振動体を用意することと、
前記微小振動体の前記貫通孔に前記実装基板の前記支柱部を挿入し、前記微小振動体を前記実装基板に載置することと、
前記実装基板に前記微小振動体を載置した後、前記凹部に前記接合部材を流し込み、固化させることで、前記微小振動体と前記実装基板とを接合し、前記微小振動体の前記曲面部のうち前記凹部とは反対側の端部であるリム(211)を中空状態とすることと、を含み、
前記微小振動体を用意することにおいては、
マイクロメートルオーダーの薄肉基材(20)を加熱溶融し、固化することで、後に前記曲面部となる曲面部位(201)、および後に前記凹部となる凹部位(202)を形成した後に、前記薄肉基材を封止材(E)で封止し、
前記曲面部位、前記凹部位、および前記封止材の一部を研磨により除去することで、同一平面上に位置する、前記実装面、および前記リムのうち前記表面と前記裏面とを繋ぐリム下面(211c)を形成する、慣性センサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小振動体を備える慣性センサおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の自動運転のシステム開発が進められており、この種のシステムでは、高精度の自己位置の推定技術が必要である。例えば、いわゆるレベル3の自動運転向けに、GNSS(Global Navigation Satellite Systemの略)とIMU(Inertial Measurement Unitの略)とを備える自己位置推定システムの開発が進められている。IMUは、例えば、3軸のジャイロセンサと3軸の加速度センサから構成される6軸の慣性力センサである。将来的に、いわゆるレベル4以上の自動運転を実現するためには、現状よりもさらに高感度のIMUが求められる。
【0003】
このような高感度のIMUを実現するためのジャイロセンサとしては、例えば、BRG(Bird-bath Resonator Gyroscopeの略)が有力視されている。BRGは、ワイングラスモードで振動する三次元曲面を有する微小振動体が実装基板に搭載されてなる(例えば特許文献1)。この微小振動体は、振動の状態を表すQ値が106以上に達するため、従来よりも高感度が見込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2019/0094024号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この微小振動体は、例えば、特許文献1に記載のように、石英等の加熱によるリフロー工程が可能な板材を型にセットして溶融させ、固化させることによりワイングラスモードで振動する三次元曲面が形成される。この微小振動体は、上記の加工後の板材を封止材で覆った後、研磨やCMP(Chemical Mechanical Polishingの略)等での不要部分の除去により、実装基板に接合される実装部位と、実装基板への搭載時に中空状態になる三次元形状部位とを有する構造となる。また、この微小振動体は、表裏面を覆う電極膜を備えると共に、搭載される実装基板に形成された複数の電極部と距離を隔てて配置され、これらとキャパシタを形成する。
【0006】
特許文献1に記載のBRGは、互いに距離を隔てて環状に配置された複数の電極部を有する実装基板に、共振器となる微小振動体(BR)が搭載され、BRのリムが中空状態とされる。しかし、このBRGを製造する際に、微小振動体は、実装部位が実装基板の搭載面に対して傾き、実装基板に対して傾いた状態で接合されるおそれがある。この場合、微小振動体は、複数の電極部に対向配置されるリムの面積が場所により異なった状態となる。すると、BRGは、BRと複数の電極部で構成される各キャパシタの静電容量のバラつきが生じ、センサ精度が低下してしまう。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑み、ワイングラスモードで振動する微小振動体が実装基板に実装されてなる慣性センサにおいて、実装基板の複数の電極部に対向配置される微小振動体のリムの面積バラつきを抑制し、センサ精度を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の慣性センサは、慣性センサであって、外径が大きい側の面である表面(2a)と表面の反対面である裏面(2b)とを有する薄肉部材であって、環状曲面を備える曲面部(21)と、曲面部から裏面の側に凹んだ凹部(22)とを有する微小振動体(2)と、枠体状の内枠部(51)と、互いに距離を隔てつつ、内枠部を囲む配置とされる複数の電極部(53)とを有してなる上部基板(5)が下部基板(4)に接合されてなる実装基板(3)と、実装基板のうち内枠部に囲まれた内側領域に配置される接合部材(52)と、を備え、微小振動体は、凹部のうち裏面の側の底面である実装面(22b)が、内側領域に配置され、接合部材を介して実装基板に接合されており、曲面部のうち凹部とは反対側の端部を含む一部の領域であるリム(211)は、中空状態であり、リムのうち表面と裏面とを繋ぐ面であるリム下面(211c)は、実装面または先端部(28)と同一の平面上に位置している。
【0009】
これによれば、三次元曲面を有する曲面部と曲面部から凹んだ凹部とを備える微小振動体が、実装基板に接合され、曲面部のうち凹部とは反対側の端部を含む一領域であるリムが中空状態となる慣性センサである。この慣性センサは、微小振動体が凹部のうち実装基板と接合される実装面またはその先端部と、リムのうち表面と裏面とを繋ぐリム下面とが同一平面に位置している。そのため、微小振動体が実装基板に対して傾いたときであっても、実装面とリム下面とが同じ高さに位置するため、実装基板の複数の電極部に対するリムの高さ方向の位置バラつき、すなわち対向配置されるリムの面積バラつきが低減される。よって、この慣性センサは、微小振動体が実装基板に対して傾いた場合であっても、微小振動体と実装基板の複数の電極部とで構成されるキャパシタの静電容量バラつきが抑制され、センサ精度が向上する。
【0010】
請求項7に記載の慣性センサの製造方法は、外径が大きい側の面である表面(2a)と表面の反対面である裏面(2b)とを有する薄肉部材であって、環状曲面を備える曲面部(21)と、曲面部から裏面の側に凹んだ凹部(22)とを有する微小振動体(2)と、枠体状の内枠部(51)と、互いに距離を隔てつつ、内枠部を囲む配置とされる複数の電極部(53)とを有してなる上部基板(5)が下部基板(4)に接合されてなる実装基板(3)と、が接合部材(52)を介して接合されてなる慣性センサの製造方法であって、微小振動体を用意することと、実装基板のうち内枠部に囲まれた内側領域に接合部材を配置することと、接合部材を配置した後、微小振動体のうち凹部を内側領域に配置し、凹部のうち裏面の側の底面である実装面(22b)を接合部材に接触させることと、接合部材を溶融させた後、固化させることで、微小振動体と実装基板とを接合し、微小振動体の曲面部のうち凹部とは反対側の端部であるリム(211)を中空状態とすることと、を含み、微小振動体を用意することにおいては、マイクロメートルオーダーの薄肉基材(20)を加熱溶融し、固化することで、後に曲面部となる曲面部位(201)、および後に凹部となる凹部位(202)を形成した後に、薄肉基材を封止材(E)で封止し、曲面部位、凹部位、および封止材の一部を研磨により除去することで、同一平面上に位置する、実装面、およびリムのうち表面と裏面とを繋ぐリム下面(211c)を形成する。
【0011】
これによれば、慣性センサの製造方法であって、薄肉基材を加熱溶融し、固化して曲面部位および凹部位を形成し、研磨することで、同一平面上に位置する実装面およびリム下面を有する微小振動体を形成することを含む。微小振動体の実装面とリム下面とが同一平面上に位置するため、実装基板に微小振動体を接合する際に、微小振動体の傾きが生じた場合であっても、実装基板の複数の電極部に対向配置されるリムの面積バラつきが低減される。よって、微小振動体と実装基板の複数の電極部とで構成されるキャパシタの静電容量バラつきが抑制され、センサ精度が向上した慣性センサを製造することができる。
【0012】
請求項8に記載の慣性センサの製造方法は、外径が大きい側の面である表面(2a)と表面の反対面である裏面(2b)とを有する薄肉部材であって、環状曲面を備える曲面部(21)と、曲面部から裏面の側に凹んだ凹部(22)と、凹部の底面である実装面(22b)に形成された貫通孔(25)とを有する微小振動体(2)と、枠体状の内枠部(51)と、互いに距離を隔てつつ、内枠部を囲む配置とされる複数の電極部(53)と、内枠部に囲まれた領域に配置された支柱部(55)とを有してなる上部基板(5)が下部基板(4)に接合されてなる実装基板(3)と、が接合部材(52)を介して接合されてなる慣性センサの製造方法であって、微小振動体を用意することと、微小振動体の貫通孔に実装基板の支柱部を挿入し、微小振動体を実装基板に載置することと、実装基板に微小振動体を載置した後、凹部に接合部材を流し込み、固化させることで、微小振動体と実装基板とを接合し、微小振動体の曲面部のうち凹部とは反対側の端部であるリム(211)を中空状態とすることと、を含み、微小振動体を用意することにおいては、マイクロメートルオーダーの薄肉基材(20)を加熱溶融し、固化することで、後に曲面部となる曲面部位(201)、および後に凹部となる凹部位(202)を形成した後に、薄肉基材を封止材(E)で封止し、曲面部位、凹部位、および封止材の一部を研磨により除去することで、同一平面上に位置する、実装面、およびリムのうち表面と裏面とを繋ぐリム下面(211c)を形成する。
【0013】
これによれば、請求項7に記載の慣性センサの製造方法と同様に、実装面とリム下面とが同一平面上に位置することに加え、実装面に貫通孔を有する微小振動体を形成することを含む。一方、実装基板としては、微小振動体の実装面に形成された貫通孔に挿入される支柱部を有するものを用意する。そして、微小振動体の貫通孔に実装基板の支柱部を挿入して載置した後に、微小振動体の凹部に接合部材を流し込み、固化することで、微小振動体と実装基板とを接合する。このような接合工程を経た場合であっても、実装面とリム下面とが同一平面上に位置するため、微小振動体と実装基板の複数の電極部とで構成されるキャパシタの静電容量バラつきが抑制され、センサ精度が向上した慣性センサを製造することができる。
【0014】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態に係る慣性センサを示す上面レイアウト図である。
【
図2】慣性センサに用いられる微小振動体を示す斜視図である。
【
図3】
図2のIII-III間の断面構成を示す断面図である。
【
図4A】微小振動体の形成工程のうち部材の用意工程を示す図である。
【
図5】
図2の微小振動体が搭載される実装基板を示す上面レイアウト図である。
【
図6】
図5のVI-VI間の断面構成を示す断面図である。
【
図7】
図5のVII-VII間の断面構成を示す断面図である。
【
図8】
図1のVIII-VIII間の断面構成を示す断面図である。
【
図9】
図1のIX-IX間の断面構成を示す断面図である。
【
図10A】比較例の微小振動体を示す断面図である。
【
図10B】
図10Aの微小振動体を実装基板に搭載した比較例の慣性センサの断面構成を示す断面である。
【
図11A】慣性センサの製造における微小振動体の搭載工程を示す図であって、部材の用意工程を示す図である。
【
図12】第1実施形態の慣性センサに係る微小振動体の変形例を示す断面図である。
【
図13】第1実施形態の慣性センサの変形例を示す断面図である。
【
図14】第2実施形態の慣性センサを示す断面図である。
【
図15】第2実施形態の慣性センサに係る微小振動体を示す断面図である。
【
図16】第3実施形態の慣性センサを示す断面図である。
【
図17】第3実施形態の慣性センサに係る微小振動体を示す断面図である。
【
図18】第3実施形態における底面貫通孔の形成方法の一例を説明するための説明図である。
【
図19】第3実施形態の慣性センサの変形例を示す上面レイアウト図である。
【
図20】第3実施形態の慣性センサの変形例に係る実装基板を示す上面レイアウト図である。
【
図21】
図19のXXI-XXI間の断面構成を示す断面図である。
【
図22】第4実施形態の慣性センサを示す断面図である。
【
図23】第4実施形態の慣性センサに係る微小振動体を示す断面図である。
【
図24】第4実施形態の慣性センサに係る実装基板を示す上面レイアウト図である。
【
図25A】
図22に示す微小振動体の成形工程のうち部材の用意工程を示す図である。
【
図26】第4実施形態の慣性センサの変形例に係る微小振動体を示す断面図である。
【
図27】第4実施形態の慣性センサの変形例に係る実装基板を示す上面レイアウト図である。
【
図28】第4実施形態の慣性センサの変形例を示す断面図である。
【
図29】第4実施形態の慣性センサの別の変形例を示す断面図である。
【
図30】
図29の慣性センサの製造における微小振動体の搭載工程を示す図であって、実装基板への微小振動体の載置工程およびその後の接合部材の充填工程を説明するための説明図である。
【
図31】微小振動体の他の形状例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0017】
(第1実施形態)
実施形態に係る慣性センサ1について、
図1~
図9を参照して説明する。
【0018】
図2では、後述する微小振動体2の構成を分かり易くするため、微小振動体2の一部を省略して断面を示すと共に、微小振動体2の外郭のうち
図2に示す角度から見えない部分については破線で示している。
【0019】
以下、説明の便宜上、
図1に示すように、紙面における左右方向に沿った方向を「x方向」と、同紙面上においてx方向に直交する方向を「y方向」と、xy平面に対する法線方向を「z方向」と、それぞれ称する。
図3以降の図中のx、y、z方向は、
図1のx、y、z方向にそれぞれ対応するものである。また、本明細書における「上」とは、図中のz方向に沿った方向であって、矢印側を意味し、「下」とは上の反対側を意味する。さらに、本明細書では、例えば
図1等に示すように、z方向上側から慣性センサ1または実装基板3を見た状態を「上面視」と称することがある。
【0020】
〔基本構成〕
慣性センサ1は、例えば、
図1に示すように、微小振動体2と、実装基板3とを備え、微小振動体2の一部が実装基板3に接合されてなる。慣性センサ1は、ワイングラスモードで振動することが可能な薄肉の微小振動体2と実装基板3のうち後述する複数の電極部53との間における静電容量の変化に基づき、慣性センサ1に印加された角速度を検出する構成となっている。慣性センサ1は、例えば、BRG構造のジャイロセンサであって、自動車等の車両に搭載される用途に適用されると好適であるが、勿論、他の用途にも適用されうる。
【0021】
微小振動体2は、例えば
図1や
図2に示すように、略半球形の三次元曲面の外形を有する曲面部21と、略半球の曲面部21の頂点側から当該半球の中心側に向かうように凹んだ凹部22とを備える。微小振動体2は、曲面部21のうち凹部22とは反対側の端部であるリム211が略円筒形状となっている。微小振動体2は、例えば、曲面部21が椀状の三次元曲面を有し、その振動のQ値が10
6以上となっている。曲面部21のうち凹部22とは反対側の端部をリム211として、リム211は、例えば、微小振動体2が実装基板3に搭載された際に、表面2a側が実装基板3のうち後述する複数の電極部53と向き合うと共に、複数の電極部53の間隔が等間隔とされる。
【0022】
微小振動体2は、例えば
図3に示すように、外径が大きいほうの面を表面2aとし、その反対面を裏面2bとして、凹部22のうち裏面2b側のZ方向における底面が実装基板3に接合される実装面22bとなっている。微小振動体2は、例えば、凹部22のうち表面2a側のZ方向における底面が、実装基板3に搭載する際の搬送に用いられる吸着面22aとなっている。微小振動体2は、実装基板3への搭載時において、リム211を含む曲面部21が他の部材と接触しない中空状態となり、中空状態のリム211がワイングラスモードで振動する構造となっている。
【0023】
微小振動体2は、例えば
図3に示すように、リム211のうち表面2aと裏面2bとを繋ぐ面をリム下面211cとして、リム下面211cと実装面22bとが同一の仮想平面22b1を構成する形状となっている。これは、後述する微小振動体2の形成工程において、研磨およびCMPによって、リム下面211cおよび実装面22bを同時に形成した結果である。微小振動体2は、リム下面211cと実装面22bとが同一平面に位置する形状であるため、実装基板3に搭載されたときに、実装基板3の複数の電極部53に対するリム211の高さ方向の位置バラつきが低減される。言い換えると、微小振動体2は、実装基板3への搭載時に、複数の電極部53に対向配置されるリム211の面積バラつきが低減される形状となっている。微小振動体2は、例えば、表面2aおよび裏面2bの全域が導電層23により覆われている。
【0024】
導電層23は、例えば、限定するものではないが、下地側からCr(クロム)あるいはTi(チタン)と、Au(金)やPt(白金)等の任意の導電性材料との積層膜で構成され、電極膜として機能する。導電層23は、例えば、スパッタリングや蒸着等の任意の真空成膜法により微小振動体2の表面2aおよび裏面2bに成膜される。
【0025】
微小振動体2は、例えば、石英、ガラス、シリコンやセラミック等の材料で構成されるが、三次元曲面形状とされた曲面部21、および凹部22を形成でき、ワイングラスモードでの振動が可能なものであればよく、これらの材料に限定されない。微小振動体2は、例えば、後述する形成工程により、上記した材料で構成された薄肉基材を加工して形成されることで、曲面部21、凹部22の厚みが20μm~80μmといった具合のマイクロメートルオーダーの薄肉部材となっている。微小振動体2は、例えば、実装基板3の厚み方向に沿った方向を高さ方向として、高さ方向の寸法が2.5mm、リム211の表面2a側の外径が5mmといったミリサイズの形状となっている。
【0026】
微小振動体2は、例えば、次のような工程により形成される。
【0027】
まず、例えば
図4Aに示すように、石英板20、三次元曲面形状を形成するための型Mおよび型Mを冷却するための冷却体Cを用意する。型Mは、例えば、石英板20に三次元曲面形状を形成する際のスペースとなる凹部M1と、凹部M1の中心において、凹部M1の深さ方向に沿って延設され、加工時に石英板20の一部を支える柱状の支持部M2とを備える。型Mは、凹部M1の底面に貫通孔M11が形成されており、冷却体Cに取り付けられることで、貫通孔M11が冷却体Cに連通する構成となっている。冷却体Cは、型Mが嵌め込まれる嵌め込み部C1と、嵌め込み部C1の底面に排気用の排気口C11とを備え、石英板20を加工する際に型Mを冷却する役割を果たす。石英板20は、型Mの凹部M1の全域を覆うように配置される。
【0028】
続けて、例えば
図4Bに示すように、石英板20に向けてトーチTから火炎Fを吹きかけ、石英板20を加熱溶融させる。このとき、型Mの凹部M1は、図示しない真空機構により冷却体Cの排気口C11を通じて真空引きされている。これにより、石英板20のうち溶融した部分は、凹部M1の底面に向かって引き延ばされると共に、その中心周辺領域が支持部M2により支えられた状態となる。その後、石英板20の加熱をやめて冷却することで、石英板20は、略半球形の三次元曲面形状とされた曲面部位201と、支持部M2に支えられることで曲面部位201の中心近傍で凹んだ凹部位202とが形成される。また、石英板20は、凹部M1の外側に位置する部分が、曲面部位201の外周端に位置し、平坦形状とされた端部203となる。
【0029】
次いで、型Mの凹部M1を常圧に戻し、加工後の石英板20を取り外し、例えば
図4Cに示すように、任意の硬化性樹脂材料によりなる封止材Eで石英板20を封止する。その後、例えば、
図4Dに示すように、封止材Eを端部203に近い側の面から研磨およびCMP(Chemical Mechanical Polishingの略)を行い、封止材Eごと端部203および凹部位202の先端部分を除去する。これにより、石英板20は、環状曲面の曲面部21と、曲面部21から凹んだ凹部22を有し、リム下面211cおよび実装面22bが同一平面上に位置する形状となる。
【0030】
そして、加熱や薬液を用いた溶解等の任意の方法により、封止材Eをすべて除去し、石英板20を取り出す。最後に、例えば、スパッタリング、蒸着、原子層堆積(ALD)や化学蒸着(CVD)等の任意の成膜プロセスにより、上記の加工後の石英板20の表面および裏面に導電層23を形成する。
【0031】
なお、微小振動体2は、例えば、上記のような製造プロセスにより製造され、Z方向を回転軸として回転対称な略ハーフトロイダル形状とされるが、基材の成形については上記の方法に限定されるものではなく、他の公知の方法が採用されても構わない。また、微小振動体2は、ワイングラスモードで振動可能な形状であればよく、BRの形状に限定されるものではない。
【0032】
実装基板3は、例えば
図5に示すように、下部基板4と、上部基板5とを備え、これらが接合された構成となっている。例えば、実装基板3は、絶縁材料のホウケイ酸ガラスにより構成された下部基板4に、半導体材料のSi(シリコン)により構成された上部基板5を陽極接合することで得られる。実装基板3は、内枠部51と、内枠部51を囲むように互いに離隔して配置された複数の電極部53と、電極部53を囲むように配置された外枠部54とを備える。
【0033】
内枠部51は、上面視にて、例えば円環形状となっているが、下部基板4のうち微小振動体2が接合される領域を囲む枠体状であればよく、この形状に限定されない。内枠部51は、例えば
図8や
図9に示すように、その外径および内径が、断面視にて略M字形状の微小振動体2に当接しない寸法となっている。
【0034】
複数の電極部53は、エッチング溝41の外周側の位置において、内枠部51を囲むように互いに離れて配置されている。複数の電極部53は、例えば
図5に示すように、上面視にて、内周側および外周側の辺がそれぞれ円弧状となっており、内周側および外周側の辺それぞれを繋げると、径の異なる断続的な円を描く状態となっている。言い換えると、複数の電極部53は、内枠部51を囲む円環を所定間隔で均等に分割した構成となっている。
【0035】
複数の電極部53は、例えば
図6に示すように、それぞれ上面に電極膜531が形成されている。複数の電極部53は、例えば、電極膜531に図示しないワイヤが接続され、図示しない外部の回路基板等と電気的に接続されることで、電位の制御が可能となっている。複数の電極部53は、いずれも、例えば
図1や
図8に示すように、微小振動体2が搭載されたとき、微小振動体2のリム211と所定の距離を隔てた状態となり、それぞれが微小振動体2とキャパシタを形成する。つまり、実装基板3は、複数の電極部53を介して、微小振動体2との間の静電容量を検出したり、微小振動体2との間に静電引力を生じさせ、微小振動体2をワイングラスモードで振動させたりすることが可能となっている。
【0036】
なお、実装基板3の「内周側」とは、
図5に示すような上面視において、内枠部51に囲まれた内側領域の中心側を意味し、「外周側」とは、内周側とは反対に位置する側を意味する。また、
図1等には、実装基板3に16個の電極部53が互いに離れて環を描くように均等配置された例を示しているが、これに限定されるものではなく、電極部53の数や配置については微小振動体2の形状やサイズ等に応じて適宜変更されうる。
【0037】
外枠部54は、上面視にて、内枠部51を囲む1つの枠体形状とされ、例えば
図5や
図7に示すように、上面にAl等によりなる電極膜541を備える。外枠部54は、電極膜541に図示しないワイヤが接続され、図示しない外部の回路基板等と電気的に接続されることで、図示しない外部の電源等により、外枠部54の電位制御が可能となっている。
【0038】
実装基板3は、上面視にて、円環形状の内枠部51よりも外周側の位置に、内枠部51を囲む環状のエッチング溝41が形成されている。これにより、微小振動体2が実装基板3に搭載されたとき、微小振動体2は、例えば
図8や
図9に示すように、リム211を含む曲面部21が中空状態となる。
【0039】
実装基板3は、例えば
図5に示すように、上面視にて、下部基板4のエッチング溝41を跨ぎつつ、内枠部51と外枠部54と繋ぐブリッジ配線42を備える。ブリッジ配線42は、例えばAl(アルミニウム)等の導電性材料により構成されると共に、複数の電極部53の間を通過する配置とされ、複数の電極部53とは電気的に独立している。ブリッジ配線42は、例えば
図7に示すように、その一端が外枠部54により覆われ、その反対側の他端が内枠部51により覆われている。これにより、ブリッジ配線42は、内枠部51と外枠部54とを電気的に接続し、これらを同電位とする役割を果たす。また、実装基板3のうち内枠部51に囲まれた内側領域には接合部材52が配置され、微小振動体2が接合されるため、外枠部54は、ブリッジ配線42、内枠部51および接合部材52を介して、微小振動体2と電気的に接続される。言い換えると、実装基板3は、外枠部54の電位調整により、微小振動体2の電位調整が可能となっている。なお、ブリッジ配線42の本数や配置等については、
図5に示す例に限定されるものではなく、適宜変更されうる。
【0040】
実装基板3は、例えば、次のような工程により製造されうる。
【0041】
まず、例えば、ホウケイ酸ガラスによりなる下部基板4を用意し、バッファードフッ酸を用いたウエットエッチングにより円環状のエッチング溝41を形成する。その後、エッチング溝41を跨ぐブリッジ配線42を、例えばAlのスパッタによる成膜を用いたリフトオフ法により形成する。なお、ブリッジ配線42の厚みは、例えば、0.1μm程度とされる。
【0042】
続けて、例えば、SiによりなるSi基板(後の上部基板5)を用意し、ホウケイ酸ガラスの下部基板4と陽極接合する。次にSi基板に後の内枠部51、複数の電極部53、外枠部54となる領域に区画する溝を公知のエッチング方法により形成する。
【0043】
具体的には、例えば、DRIE(Deep Reactive Ion Etchingの略)によりトレンチエッチングを行って、下部基板4を露出させ、内枠部51、複数の電極部53、外枠部54の各領域を分離させる。これにより、Si基板は、互いに離隔した内枠部51、複数の電極部53、および外枠部54を備える上部基板5となる。また、下部基板4に形成されたエッチング溝41は、このSi基板の区画工程により、上部基板5から露出した状態となる。
【0044】
最後に、例えば、複数の電極部53および外枠部54の上面にスパッタ等により電極膜531、541を形成する。このような工程の結果、上述した構造の実装基板3が得られる。そして、実装基板3は、微小振動体2が搭載される際に、下部基板4の位置決め溝43内に、接合部材52が配置される。接合部材52は、例えば、AuSn(金錫)、Ag(銀)、Auなどの導電性材料を有してなるペースト状の導電材とされ、内枠部51に囲まれた内側領域に塗布される。
【0045】
なお、
図5等で示す1つの実装基板3は、例えば、ウエハに上記構造の複数の実装基板3となる領域を形成し、ダイシングカット等により個片化することにより得られる。言い換えると、実装基板3の製造については、ウエハレベルでの対応が可能である。
【0046】
また、実装基板3は、例えば、所定以下の真空度とされた真空環境下において、図示しないキャップ部材が微小振動体2に接触しないように取り付けられ、微小振動体2が真空気密封止される。
【0047】
以上が、慣性センサ1の基本的な構成である。慣性センサ1は、駆動時には、複数の電極部53の一部と微小振動体2との間に静電引力を生じさせることで、微小振動体2をワイングラスモードで振動させる。慣性センサ1は、微小振動体2が振動状態のときに、外部からコリオリ力が印加されると、微小振動体2が変位してその振動モードの節の位置が変化する。慣性センサ1は、この振動モードの節の変化を微小振動体2と複数の電極部53との静電容量で検出することで、慣性センサ1に働く角速度の検出が可能となっている。
【0048】
この慣性センサ1は、実装面22bとリム下面211cとが同一平面上に位置する形状とされた微小振動体2が実装基板3に接合されることで、リム211と複数の電極部53とで構成される各キャパシタの静電容量バラつきが低減されている。
【0049】
ここで、微小振動体2の形状による上記の効果について、例えば
図10Aに示す比較例の微小振動体6と対比して説明する。
【0050】
比較例の微小振動体6は、略半球形の曲面部61と、曲面部61の略半球の頂点からその中心に向かって凹む凹部62と、これらを覆う電極膜63とを有し、凹部62の底面62bよりもリム611のリム下面611cがz方向の下側に突き出た形状である。比較例の微小振動体6は、例えば、本実施形態に係る微小振動体2と同様に、
図4A~
図4Cに示す工程を経た後、不要部分の除去工程を凹部62の底面62bにまで到達しない段階で留めることにより形成される。そのため、比較例の微小振動体6は、リム下面611cが一点鎖線で示すように、同一平面上に位置すると共に、凹部62の底面62bとは異なる平面上に位置する形状となる。
【0051】
上記の不要部分の除去工程において、研削面が凹部62の底面62bに対して傾いた状態となると、比較例の微小振動体6のように、断面視にてリム611の底面62bに対する突出度合いが左右で異なる形状となる。この比較例の微小振動体6を実装基板3に搭載し、比較例の微小振動体6が実装基板3に対して傾いた状態で得られる慣性センサを「比較例の慣性センサ100」と称する。
【0052】
具体的には、比較例の慣性センサ100は、例えば
図10Bに示すように、比較例の微小振動体6が傾き、実装基板3の複数の電極部53ごとに、対向配置されるリム611の面積が大きく異なった状態となる。例えば、比較例の微小振動体6は、z方向におけるリム下面611cの高さ位置に分布が生じ、リム611が電極部53のうちz方向に沿った側面の一部とのみ向き合う箇所と、電極部53の側面全部と向き合う箇所とが生じる。この場合、側面の全域がリム611およびこれを覆う電極膜63と向き合う電極部53は、側面の一部のみがリム611およびこれを覆う電極膜63と向き合う他の電極部53に比べて、その静電容量が大きくなる。つまり、比較例の慣性センサ100は、複数の電極部53ごとに静電容量のバラつきが大きい構成であり、センサ精度が低下してしまう。
【0053】
これに対して、本実施形態の慣性センサ1は、実装面22bとリム下面211cとが同一平面上に位置する微小振動体2を用いて構成されるため、微小振動体2が傾いたとしても、電極部53と対向配置されるリム211の面積バラつきが低減される。その結果、慣性センサ1は、比較例の慣性センサ100に比べて、リム211と複数の電極部53とで構成される各キャパシタの静電容量バラつきが低減され、センサ精度が向上する効果が得られる。
【0054】
【0055】
〔慣性センサの製造方法〕
次に、本実施形態の慣性センサ1の製造方法について
図11A~
図11Eを参照して説明するが、微小振動体2および実装基板3自体の製造については上記したため、ここでは、微小振動体2を実装基板3に接合する工程について主に説明する。
【0056】
なお、
図11A~
図11Eは、
図9に示す断面図に相当するものである。また、
図11C~
図11Eでは、見易くするため、後述するピックアップ機構300の一部のみを簡易的に示すと共に、コレット302の内部を破線で示している。また、
図11D、
図11Eでは、ピックアップ機構300の移動方向を分かり易くするため、その移動方向を白抜き矢印で示している。
【0057】
まず、
図11Aに示すように、例えば、上記の方法により製造した微小振動体2および実装基板3を用意する。その後、例えば、
図11Bに示すように、内枠部51に囲まれた内側領域に接合部材52を配置する。接合部材52としては、例えば、AuペーストやAgペースト等の導電性の接合材料が用いられ、シリンジ等を用いた塗布により配置される。
【0058】
そして、例えば、実装基板3を図示しないマウンタ装置の吸着面に載置し、真空吸着により実装基板3を固定する。なお、この図示しないマウンタ装置は、吸着面を加熱可能な加熱機構を備えた構成となっている。
【0059】
続いて、例えば
図11Cに示すように、微小振動体2の凹部22のうち表面2a側の底部である吸着面22aにピックアップ機構300の一部を挿入し、真空吸着により微小振動体2を把持する。ピックアップ機構300は、例えば、台座部301と、略円筒形状のコレット302とを備え、台座部301が図示しない搬送部および真空機構に接続されており、コレット302による真空吸着と、吸着した物体の搬送とが可能な構成となっている。ピックアップ機構300は、例えば、コレット302の最大径が凹部22の内径よりも小さくされ、コレット302の先端部の外径が他の部分よりも小さくなっている。また、ピックアップ機構300は、コレット302の長さが微小振動体2の凹部22の深さよりも大きく、コレット302を微小振動体2の凹部22に挿入した際に、コレット302が微小振動体2の吸着面22a以外に当接しない構成となっている。これにより、微小振動体2を搬送する際に、微小振動体2の導電層23や基材に傷が生じることが抑止される。
【0060】
一方、図示しないマウンタ装置により実装基板3を吸着した状態で加熱し、接合部材52を溶融もしくは軟化させておく。そして、例えば
図11Dに示すように、上記のピックアップ機構300を用いて、微小振動体2の吸着面22aを真空吸着により把持しつつ、微小振動体2のうち凹部22の実装面22bを実装基板3の内枠部51の内側に挿入する。そして、微小振動体2を実装基板3側に近づけていき、微小振動体2の実装面22bを接合部材52に接触させる。
【0061】
なお、微小振動体2の実装基板3に対する位置合わせについては、例えば、微小振動体2および実装基板3を撮像し、公知の画像処理技術によりエッジ検出により特徴点を抽出することで、相対位置を調整するといった方法で行うことができる。
【0062】
その後、図示しないマウンタ装置等の吸着面の温度を下げ、溶融した接合部材52を固化させることで微小振動体2と実装基板3とを接合する。そして、例えば
図11Eに示すように、コレット302の内部を常圧に戻して微小振動体2の真空吸着を解除し、ピックアップ機構300を退避させ、コレット302を微小振動体2の凹部22から抜き出す。
【0063】
続いて、図示しないマウンタ装置等による吸着を解除し、微小振動体2が接合された実装基板3を吸着面から取り外す。そして、実装基板3を図示しない回路基板等に搭載し、実装基板3の電極膜531、541にワイヤボンディングをし、回路基板等と実装基板3の電極部53および外枠部54とを電気的に接続する。最後に、例えば、実装基板3あるいは実装基板3が取り付けられる外部の部材に、図示しないキャップ材を真空環境で取り付け、微小振動体2を実装基板3と図示しないキャップ材とによりなる内部空間に気密封止を行う。このような工程により、実施形態に係る慣性センサ1を製造することができる。
【0064】
以上が、本実施形態の慣性センサ1の基本的な製造方法である。なお、ここでは、微小振動体2を把持する方法として凹部22の吸着面22aを真空吸着する場合を代表例として説明したが、これに限定されるものではない。例えば、コレット302の構成を変更し、凹部22の表面2a側の側壁を真空吸着することで把持してもよいし、機械的に当該側壁を2か所以上で押圧することで把持しても構わない。
【0065】
本実施形態によれば、ワイングラスモードで振動可能な曲面部21と、凹部22とを有し、凹部22のうち裏面2b側の実装面22bとリム611のリム下面611cとが同一平面に位置する微小振動体2が、実装基板3に接合されてなる慣性センサ1となる。実装面22bとリム下面611cとが同一平面に位置することで、微小振動体2が実装基板3に対して傾いた場合であっても、複数の電極部53に対向配置されるリム211の面積バラつきが低減される。そのため、この慣性センサ1は、リム211と複数の電極部53とで構成される各キャパシタの静電容量のバラつきが抑制され、センサ精度が向上する効果が得られる。
【0066】
(第1実施形態の変形例)
上記第1実施形態では、吸着面22aと実装面22bとが平行であると共に、実装面22bとリム下面211cとが同一平面上に位置する形状の微小振動体2を用いた例について説明したが、これに限定されるものではない。
【0067】
微小振動体2は、例えば
図12に示すように、実装面22bとリム下面211cとが同一平面上に位置する一方で、実装面22bが吸着面22aに対して平行でない形状であってもよい。この場合、慣性センサ1は、例えば
図13に示すように、微小振動体2の実装面22bが実装基板3の搭載面に対して平行に配置されると、リム下面211cのz方向における高さ位置が、
図13紙面左右方向において同じとなる。言い換えると、慣性センサ1は、複数の電極部53に対して対向配置されるリム211の面積がすべて同じとなっている。仮に、微小振動体2が実装基板3に対して傾いたとしても、実装面22bとリム下面211cとが同一平面上に位置するため、複数の電極部53に対して対向配置されるリム211の面積のバラつきが低減された慣性センサ1となる。
【0068】
本変形例によっても、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0069】
(第2実施形態)
第2実施形態の慣性センサ1について、
図14、
図15を参照して説明する。
図14は、
図9に相当する断面を示す断面図である。
図15は、
図3に相当する断面を示す断面図である。
【0070】
本実施形態の慣性センサ1は、例えば
図14に示すように、微小振動体2が凹部22の吸着面22a近傍の側面に形成された貫通孔である側面貫通孔24を備え、接合部材52が側面貫通孔24に流れ込んでいる点で上記第1実施形態と相違する。本実施形態では、この相違点について主に説明する。
【0071】
微小振動体2は、本実施形態では、例えば
図15に示すように、凹部22のうち表面2aにおける底面近傍の側面、すなわち吸着面22aに近接する側壁の部分に、基材の表面2aと裏面2bとを繋ぐ側面貫通孔24を備える。側面貫通孔24は、例えば、微小振動体2を構成する薄肉基材(石英等)にレーザ光を照射し、部分的に溶融させる等の方法により形成される。また、側面貫通孔24は、例えば
図4Aに示す工程において、石英板20のうち型Mの支持部M2の少し外側に位置する領域にあらかじめ貫通孔を開けておく等の方法でも形成されうる。側面貫通孔24は、例えば
図14に示すように、微小振動体2を実装基板3に搭載したときにおいて、凹部22のうち内枠部51のz方向の高さよりも低い位置に形成される。側面貫通孔24は、例えば、上面視にて対称となる位置に離れて2つ形成されるが、これに限定されるものではなく、その数やその位置については適宜変更されうる。
【0072】
接合部材52は、本実施形態では、一部が微小振動体2の側面貫通孔24に流れ込み、微小振動体2の凹部22のうち表面2a側の底面、すなわち吸着面22aの一部または全部を覆いうる。言い換えると、接合部材52の量が多い場合であっても、微小振動体2の側面貫通孔24に接合部材52の一部が流れ込み、実装面22bと実装基板3の搭載面との間に過度の接合部材52が介在することが抑制される。また、この場合、微小振動体2と接合部材52との接触面積が上記第1実施形態に比べて増大することで、微小振動体2の接合強度が向上する。
【0073】
本実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の効果が得られる慣性センサ1となる。また、微小振動体2に側面貫通孔24が形成されているため、実装基板3に配置される接合部材52の量が多くなった場合であっても、接合部材52の一部が側面貫通孔24に流れ込むこととなる。そのため、実装面22bと実装基板3の搭載面との間に必要以上の接合部材52が介在すること、ひいては微小振動体2が実装基板3に対して傾くことが抑制される。また、接合部材52が吸着面22a上にも達した場合には、微小振動体2と接合部材52との接触面積が増加し、接合強度が向上する効果も得られる。
【0074】
(第3実施形態)
第3実施形態の慣性センサ1について、
図16~
図18を参照して説明する。
図16は、
図9に相当する断面を示す断面図である。
図17は、
図3に相当する断面を示す断面図である。
【0075】
本実施形態の慣性センサ1は、例えば
図16に示すように、微小振動体2が凹部22のうちz方向における底面に底面貫通孔25を有し、底面貫通孔25に接合部材52が流れ込んでいる点で上記第1実施形態と相違する。本実施形態では、この相違点について主に説明する。
【0076】
微小振動体2は、本実施形態では、例えば
図17に示すように、凹部22のうちz方向における底面に実装面22bまで連通する底面貫通孔25を備える。底面貫通孔25は、例えば、上記第2実施形態の側面貫通孔24と同様の方法により形成される。また、底面貫通孔25は、例えば
図18に示すように、成形用の型Mとして支持部M2の上端に突出部M21を備えるものを用意し、凹部位202のうち突出部M21に追従して突出した部分をすべて研磨除去する方法によって形成されてもよい。底面貫通孔25は、例えば、実装面22bの中心位置に1つ形成されるが、これに限定されるものではなく、複数形成されてもよいし、実装面22bの中心位置とは異なる位置に形成されてもよく、その数やその位置については適宜変更されうる。
【0077】
接合部材52は、本実施形態では、一部が微小振動体2の底面貫通孔25に流れ込み、微小振動体2の凹部22のうち吸着面22aの一部または全部を覆いうる。これにより、上記第2実施形態と同様に、実装面22bと実装基板3の搭載面との間に過度の接合部材52が介在することが抑制されると共に、微小振動体2と接合部材52との接触面積の増大により、微小振動体2の接合強度が向上する効果が得られる。また、底面貫通孔25が実装面22bに位置することで、接合部材52中に気泡が存在する場合であっても、底面貫通孔25を通じて外部に気泡が抜けやすくなり、微小振動体2と実装基板3との接合がより安定する効果も得られる。
【0078】
本実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の効果が得られる慣性センサ1となる。また、微小振動体2が底面貫通孔25を備え、接合部材52の一部が底面貫通孔25に流れ込む構造であるため、微小振動体2の傾き抑制、接合部材52の気泡影響低減、および微小振動体2と実装基板3との接合強度向上の効果も得られる。
【0079】
(第3実施形態の変形例)
上記第3実施形態の慣性センサ1は、例えば
図19に示すように、実装基板3の一部である支柱部55が微小振動体2の底面貫通孔25に挿入された構成であってもよい。
【0080】
具体的には、実装基板3は、微小振動体2に底面貫通孔25が形成されている場合には、例えば
図20に示すように、上面視にて、上部基板5が内枠部51に囲まれた内側領域に配置される支柱部55をさらに有する構成とされうる。支柱部55は、底面貫通孔25の内径よりも直径が小さく、底面貫通孔25に挿入可能になっている。支柱部55は、例えば、内枠部51、電極部53および外枠部54と同時にエッチングにより形成される。変形例に係る慣性センサ1は、例えば
図21に示すように、微小振動体2が底面貫通孔25に支柱部55が挿入された状態で、接合部材52により実装基板3に接合されている。なお、底面貫通孔25が複数設けられる場合には、実装基板3は、底面貫通孔25と同数の支柱部55を有した構成とされうる。
【0081】
本変形例によっても、上記第3実施形態と同様の効果が得られる。また、微小振動体2を実装基板3に接合する際に、底面貫通孔25に支柱部55を嵌め込む構造のため、実装基板3に対する位置合わせが容易になる効果も得られる。
【0082】
(第4実施形態)
第4実施形態の慣性センサ1について、
図22~
図24を参照して説明する。
図22は、
図9に相当する断面を示す断面図である。
図23は、
図3に相当する断面を示す断面図である。
【0083】
本実施形態の慣性センサ1は、例えば
図22に示すように、微小振動体2が凹部22のうち実装面22b側に表面2aに向かって凹んだ実装面凹部26を有し、実装基板3に位置決め溝43を有する点で上記第1実施形態と相違する。本実施形態では、この相違点について主に説明する。
【0084】
微小振動体2は、本実施形態では、例えば
図23に示すように、凹部22のうち実装面22b側の底部に、表面2a側に向かって凹んだ実装面凹部26が形成されている。微小振動体2は、実装面凹部26の底面から突出する部分を突出部27として、突出部27の先端面が、リム下面211cと同一平面上に位置する実装面22bとなっている。
【0085】
実装基板3は、本実施形態では、例えば
図24に示すように、下部基板4のうち内枠部51に囲まれた内側領域であって、微小振動体2の突出部27に対応する位置に環状の位置決め溝43が形成されている。位置決め溝43は、例えば、エッチング溝41と同時に、DRIE等によるエッチング工程において形成される。位置決め溝43は、例えば
図22に示すように、微小振動体2のうち突出部27が入り込める幅となっており、実装基板3に対する微小振動体2の位置決めを容易にする役割を果たす。
【0086】
本実施形態の微小振動体2は、例えば、
図25A、
図25Bに示す工程を経て形成される。まず、三次元曲面を形成する成形用の型Mとして、
図25Aに示すように、支持部M2の先端面に窪み部M22を有するものを用意する。続けて、石英板20を火炎Fにより溶融させ、曲面部位201および凹部位202を形成する。このとき、凹部位202は、
図25Bに示すように、窪み部M22に追従し、後に実装面凹部26および突出部27に相当する形状となる。
【0087】
なお、支持部M2として窪み部M22を有する型Mを用いた微小振動体2の製造例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、窪み部M22に代わって、冷却体Cの嵌め込み部C1の底面側に連通する貫通孔を有するものを用い、真空引きによって実装面凹部26を形成してもよく、実装面凹部26の形成方法については適宜変更されてもよい。
【0088】
本実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の効果が得られる慣性センサ1となる。また、この慣性センサ1は、微小振動体2が実装面凹部26を有し、微小振動体2の突出部27が実装基板3の位置決め溝43に挿入される構成であるため、微小振動体2の位置決めが容易になる効果も得られる。
【0089】
(第4実施形態の変形例)
第4実施形態の慣性センサ1は、例えば、
図26に示すように、微小振動体2が実装面凹部26にさらに底面貫通孔25を有し、
図27に示すように実装基板3が支柱部55をさらに有し、これらが接合された構成であってもよい。この慣性センサ1は、例えば
図28に示すように、微小振動体2の底面貫通孔25に実装基板3の支柱部55が挿入されている。
【0090】
本変形例によれば、上記第4実施形態の効果に加えて、底面貫通孔25への支柱部55の挿入による微小振動体2の位置決め精度の向上、および接合部材52の気泡影響低減の効果が得られる。
【0091】
なお、本変形例に係る慣性センサ1は、例えば
図29に示すように、凹部22が接合部材52で充填された構成であってもよい。この慣性センサ1は、凹部22が接合部材52により充填されているため、z方向上側において接合部材52に図示しないワイヤを接続することが可能な構造となっている。例えば、この慣性センサ1は、外枠部54の上面に複数の電極膜541の1つと凹部22を充填する接合部材52とを直接ワイヤで接続することが可能である。この場合、実装基板3は、ブリッジ配線42が不要となる。
【0092】
図29の慣性センサ1は、例えば、
図30に示すように、位置決め溝43および支柱部55を有する実装基板3に、底面貫通孔25および実装面凹部26を有する微小振動体2を取り付けた後、凹部22に接合部材52を流し込み、固化させることで製造できる。このような構成であっても、上記した変形例と同様の効果が得られる。また、接合部材52と微小振動体2との接合面積が増大するため、微小振動体2と実装基板3との接合強度がさらに向上する効果も得られる。さらに、微小振動体2を実装基板3に取り付けた後に、接合部材52を凹部22に流し込んで接合するため、流動性のある状態の接合部材52上に微小振動体2が載置されないことから、接合部材52に起因する傾きが生じない。
【0093】
(他の実施形態)
本発明は、実施例に準拠して記述されたが、本発明は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本発明は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらの一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本発明の範疇や思想範囲に入るものである。
【0094】
(1)例えば、
図29では、実装基板3が位置決め溝43および支柱部55のいずれも有する構成である慣性センサ1の例を示したが、微小振動体2が実装面凹部26を有さず、実装基板3が位置決め溝43を有しない構成であってもよい。
【0095】
(2)上記第4実施形態およびその変形例に係る慣性センサ1は、例えば
図31に示すように、微小振動体2の突出部27が断面視にて全域が曲面の椀状とされ、平面部位を有しない構成であってもよい。この場合、微小振動体2は、突出部27の頂点を先端部28として、例えば、先端部28が円環形状とされ、リム下面211cと同一平面に位置する構造になっている。言い換えると、微小振動体2は、実装基板3への搭載時に、突出部27の実装面22bが面で実装基板3と接するのではなく、先端部28が実装基板3と点で接する構造である。
【0096】
なお、この微小振動体2は、リム下面211cが形成される端部203の除去工程を突出部27の頂点に到達した時点で止める点を除き、上記第4実施形態と基本的に同様の工程にて製造可能である。例えば、この微小振動体2は、端部203の除去工程において、
図25に示す型Mのうち石英板20と接する面と支持部M2の先端面との距離の分だけ研削されることで上記の構造となる。
【符号の説明】
【0097】
2・・・微小振動体、2a・・・表面、2b・・・裏面、20・・・薄肉基材、
201・・・曲面部位、202・・・凹部位、21・・・曲面部、211・・・リム、
211c・・・リム下面、22・・・凹部、22b・・・実装面、
24・・・貫通孔、25・・・(底面)貫通孔、26・・・実装面凹部、
27・・・突出部、3・・・実装基板、4・・・下部基板、43・・・位置決め溝、
5・・・上部基板、51・・・内枠部、52・・・接合部材、53・・・電極部、
55・・・支柱部、E・・・封止材