(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155466
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】電力変換装置および電力変換システム
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20221005BHJP
【FI】
H02M3/28 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021198515
(22)【出願日】2021-12-07
(31)【優先権主張番号】P 2021056534
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】針屋 昭典
(72)【発明者】
【氏名】長 寿典
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA15
5H730AS04
5H730AS05
5H730AS08
5H730AS17
5H730BB27
5H730BB57
5H730DD04
5H730DD41
5H730EE03
5H730EE04
5H730EE08
5H730EE13
5H730EE49
5H730EE57
5H730EE59
5H730FD01
5H730FD11
5H730FD31
5H730FD41
5H730FG05
5H730FG12
(57)【要約】
【課題】シンプルな構成でプリチャージ動作を行うことができる電力変換装置を得る。
【解決手段】本発明の電力変換装置は、第1の電力端子と、第1の電力ノードと第1のノードとを結ぶ経路に設けられた第1のスイッチング素子、第1のノードと第2の電力ノードとを結ぶ経路に設けられた第2のスイッチング素子、第1の電力ノードと第2のノードとを結ぶ経路に設けられた第3のスイッチング素子、および第2のノードと第2の電力ノードとを結ぶ経路に設けられた第4のスイッチング素子を有するスイッチング部と、スイッチング部に接続された第1の巻線と、第2の巻線とを有するトランスと、整流部と、第2の電力端子と、制御部とを備える。制御部は、第1の電力端子から第2の電力端子に向かって電力を供給する期間とは異なる所定の期間において、第2の電力端子から第1の電力端子に向かって電力を供給するようにスイッチング部および整流部の動作を制御する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の接続端子および第2の接続端子を有する第1の電力端子と、
前記第1の接続端子に導かれた第1の電力ノードと第1のノードとを結ぶ経路に設けられた第1のスイッチング素子、前記第1のノードと前記第2の接続端子に導かれた第2の電力ノードとを結ぶ経路に設けられた第2のスイッチング素子、前記第1の電力ノードと第2のノードとを結ぶ経路に設けられた第3のスイッチング素子、および前記第2のノードと前記第2の電力ノードとを結ぶ経路に設けられた第4のスイッチング素子を有するスイッチング部と、
前記第1のノードに接続された第1の端子と前記第2のノードに接続された第2の端子とを有する第1の巻線と、第2の巻線とを有するトランスと、
前記第2の巻線に接続され、複数のスイッチング素子を有する整流部と、
前記整流部に導かれた第2の電力端子と、
前記第1のスイッチング素子、前記第2のスイッチング素子、前記第3のスイッチング素子、前記第4のスイッチング素子、および前記複数のスイッチング素子の動作を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、前記第1の電力端子から前記第2の電力端子に向かって電力を供給する期間とは異なる所定の期間において、前記第2の電力端子から前記第1の電力端子に向かって電力を供給するように前記スイッチング部および前記整流部の動作を制御し、
前記制御部は、前記所定の期間において、第1のデューティ比で前記スイッチング部を動作させるとともに、第2のデューティ比で前記整流部を動作させ、
前記第1のデューティ比は、0より大きく前記第2のデューティ比以下である
電力変換装置。
【請求項2】
前記所定の期間は、前記第1の電力端子から前記第2の電力端子に向かって電力を供給する期間の前の期間である
請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記第2のデューティ比は、0より大きく0.5以下である
請求項1または請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記所定の期間は、第1の期間と、前記第1の期間の後の第2の期間とを含み、
前記制御部は、前記第1の期間において、前記整流部の動作を制御し、前記第2の期間において、前記スイッチング部および前記整流部の動作を制御する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記所定の期間において、前記スイッチング部における前記第1のスイッチング素子、前記第2のスイッチング素子、前記第3のスイッチング素子、および前記第4のスイッチング素子のうちの2つの動作を制御する
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第2の電力端子における電圧に基づいて、前記所定の期間における前記スイッチング部のデューティ比のシーケンスおよび前記整流部のデューティ比のシーケンスをそれぞれ決定し、決定結果に基づいて前記スイッチング部および前記整流部の動作を制御する
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記第1の電力端子に流れる電流に応じた第1の電流に基づいてフィードバック制御を行うことにより、前記スイッチング部および前記整流部のうちの一方または双方の動作を制御する
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記第1の電流は、前記第1の電力端子に流れる電流、前記スイッチング部に流れる電流、および前記第1の巻線に流れる電流のうちのいずれか1つを含む
請求項7に記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記第1の電力端子における電圧に基づいてフィードバック制御を行うことにより、前記スイッチング部および前記整流部のうちの一方または双方の動作を制御する
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記第1の電力端子における電圧が所定の電圧に達した場合に、前記所定の期間における制御を終了する
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項11】
前記第2のノードに接続された第1の端子と、第3のノードに接続された第2の端子とを有するインダクタをさらに備え、
前記第1の巻線の前記第2の端子は、前記第3のノードに接続され、前記インダクタを介して前記第2のノードに接続された
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項12】
前記第1の電力ノードに接続されたカソードと、前記第3のノードに接続されたアノードとを有する第1のダイオードと、
前記第3のノードに接続されたカソードと、前記第2の電力ノードに接続されたアノードとを有する第2のダイオードと
をさらに備え、
前記制御部は、前記所定の期間において、前記スイッチング部における前記第1のスイッチング素子、前記第2のスイッチング素子、前記第3のスイッチング素子、および前記第4のスイッチング素子のうちの、前記第3のスイッチング素子および前記第4のスイッチング素子の動作を制御する
請求項11に記載の電力変換装置。
【請求項13】
前記第2の電力端子は、第3の接続端子および第4の接続端子を有し、
前記整流部の前記複数のスイッチング素子は、前記第3の接続端子に導かれた第3の電力ノードと第4のノードとを結ぶ経路に設けられた第5のスイッチング素子、前記第4のノードと前記第4の接続端子に導かれた第4の電力ノードとを結ぶ経路に設けられた第6のスイッチング素子、前記第3の電力ノードと第5のノードとを結ぶ経路に設けられた第7のスイッチング素子、および前記第5のノードと前記第4の電力ノードとを結ぶ経路に設けられた第8のスイッチング素子を有する
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項14】
前記整流部は、前記第3の電力ノードおよび前記第4の電力ノードを結ぶ経路に設けられたツェナーダイオードをさらに有する
請求項13に記載の電力変換装置。
【請求項15】
前記第2の電力端子は、第3の接続端子および第4の接続端子を有し、
前記トランスは、第3の巻線をさらに有し、
前記第2の巻線は、前記第3の接続端子に導かれた第3の電力ノードに接続された第1の端子と、第6のノードに接続された第2の端子とを有し、
前記第3の巻線は、前記第3の電力ノードに接続された第1の端子と、第7のノードに接続された第2の端子とを有し、
前記整流部の前記複数のスイッチング素子は、前記第6のノードと前記第4の接続端子に導かれた第4の電力ノードとを結ぶ経路に設けられた第9のスイッチング素子、および前記第7のノードと前記第4の電力ノードとを結ぶ経路に設けられた第10のスイッチング素子を有する
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項16】
前記整流部は、
前記第6のノードおよび前記第4の電力ノードを結ぶ経路に設けられた第1のツェナーダイオードと、
前記第7のノードおよび前記第4の電力ノードを結ぶ経路に設けられた第2のツェナーダイオードと
をさらに有する
請求項15に記載の電力変換装置。
【請求項17】
第1の巻線および第2の巻線を有するチョークトランスと、
第3のダイオードと
をさらに備え、
前記第2の電力端子は、第3の接続端子および第4の接続端子を有し、
前記チョークトランスの前記第1の巻線および前記第3のダイオードは、前記第1の電力ノードおよび前記第2の電力ノードを結ぶ経路に設けられ、
前記チョークトランスの前記第2の巻線は、前記整流部と前記第3の接続端子を結ぶ経路に設けられた
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項18】
スイッチをさらに備え、
前記チョークトランスの前記第1の巻線、前記第3のダイオード、および前記スイッチは、前記第1の電力ノードおよび前記第2の電力ノードを結ぶ経路に設けられ、
前記スイッチは、前記所定の期間においてオン状態である
請求項17に記載の電力変換装置。
【請求項19】
第1の巻線および第2の巻線を有するチョークトランスと、
第3のダイオードと、
をさらに備え、
前記第2の電力端子は、第3の接続端子および第4の接続端子を有し、
前記チョークトランスの前記第1の巻線および前記第3のダイオードは、前記第3の接続端子および前記第4の接続端子を結ぶ経路に設けられ、
前記チョークトランスの前記第2の巻線は、前記整流部と前記第3の接続端子を結ぶ経路に設けられた
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項20】
スイッチをさらに備え、
前記チョークトランスの前記第1の巻線、前記第3のダイオード、および前記スイッチは、前記第3の接続端子および前記第4の接続端子を結ぶ経路に設けられ、
前記スイッチは、前記所定の期間においてオン状態である
請求項19に記載の電力変換装置。
【請求項21】
前記第1の接続端子および前記第2の接続端子にはキャパシタが接続される
請求項1から請求項20のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項22】
第1の端子および第2の端子を有する第1のバッテリと、
第1の端子および第2の端子を有するキャパシタと、
前記第1のバッテリの前記第1の端子と前記キャパシタの前記第1の端子とを結ぶ経路に設けられた第1のスイッチと、
前記第1のバッテリの前記第2の端子と前記キャパシタの前記第2の端子とを結ぶ経路に設けられた第2のスイッチと、
電力変換装置と、
第2のバッテリと
を備え、
前記電力変換装置は、
前記キャパシタの前記第1の端子に接続された第1の接続端子、および前記キャパシタの前記第2の端子に接続された第2の接続端子を有する第1の電力端子と、
前記第1の接続端子に導かれた第1の電力ノードと第1のノードとを結ぶ経路に設けられた第1のスイッチング素子、前記第1のノードと前記第2の接続端子に導かれた第2の電力ノードとを結ぶ経路に設けられた第2のスイッチング素子、前記第1の電力ノードと第2のノードとを結ぶ経路に設けられた第3のスイッチング素子、および前記第2のノードと前記第2の電力ノードとを結ぶ経路に設けられた第4のスイッチング素子を有するスイッチング部と、
前記第1のノードに接続された第1の端子と前記第2のノードに接続された第2の端子とを有する第1の巻線と、第2の巻線とを有するトランスと、
前記第2の巻線に接続され、複数のトランジスタを有する整流部と、
前記整流部に導かれるとともに前記第2のバッテリに接続された第2の電力端子と、
前記第1のスイッチング素子、前記第2のスイッチング素子、前記第3のスイッチング素子、前記第4のスイッチング素子、および前記複数のスイッチング素子の動作を制御する制御部と
を有し、
前記制御部は、前記第1の電力端子から前記第2の電力端子に向かって電力を供給する期間とは異なる所定の期間において、前記第2の電力端子から前記第1の電力端子に向かって電力を供給するように前記スイッチング部および前記整流部の動作を制御し、
前記制御部は、前記所定の期間において、第1のデューティ比で前記スイッチング部を動作させるとともに、第2のデューティ比で前記整流部を動作させ、
前記第1のデューティ比は、0より大きく前記第2のデューティ比以下である
電力変換システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力を変換する電力変換装置および電力変換システムに関する。
【背景技術】
【0002】
1次側のバッテリの電力を変換して2次側のバッテリに供給する電力変換装置には、電力変換動作を行う前に、電力変換装置を介して2次側のバッテリの電力を1次側のキャパシタに供給する、いわゆるプリジャージ動作を行うものがある。例えば、特許文献1には、このプリチャージ動作において、2次側のチョークコイルの電流値を検出し、その検出結果に基づいて、2次側のスイッチング素子の動作を制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電力変換装置では、一般にシンプルな構成が望まれており、プリチャージ動作を行う電力変換装置においても、追加部品が少ないシンプルな構成が期待されている。
【0005】
追加部品が少ないシンプルな構成でプリチャージ動作を行うことができる電力変換装置および電力変換システムを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施の形態に係る電力変換装置は、第1の電力端子と、スイッチング部と、トランスと、整流部と、第2の電力端子と、制御部とを備えている。第1の電力端子は、第1の接続端子および第2の接続端子を有するように構成される。スイッチング部は、第1の接続端子に導かれた第1の電力ノードと第1のノードとを結ぶ経路に設けられた第1のスイッチング素子、第1のノードと第2の接続端子に導かれた第2の電力ノードとを結ぶ経路に設けられた第2のスイッチング素子、第1の電力ノードと第2のノードとを結ぶ経路に設けられた第3のスイッチング素子、および第2のノードと第2の電力ノードとを結ぶ経路に設けられた第4のスイッチング素子を有するように構成される。トランスは、第1のノードに接続された第1の端子と第2のノードに接続された第2の端子とを有する第1の巻線と、第2の巻線とを有するように構成される。整流部は、第2の巻線に接続され、複数のスイッチング素子を有するように構成される。第2の電力端子は、整流部に導かれるように構成される。制御部は、第1のスイッチング素子、第2のスイッチング素子、第3のスイッチング素子、第4のスイッチング素子、および複数のスイッチング素子の動作を制御するように構成される。上記制御部は、第1の電力端子から第2の電力端子に向かって電力を供給する期間とは異なる所定の期間において、第2の電力端子から第1の電力端子に向かって電力を供給するようにスイッチング部および整流部の動作を制御するように構成される。制御部は、所定の期間において、第1のデューティ比でスイッチング部を動作させるとともに、第2のデューティ比で整流部を動作させる。第1のデューティ比は、0より大きく第2のデューティ比以下である。
【0007】
本発明の一実施の形態に係る電力変換システムは、第1のバッテリと、キャパシタと、第1のスイッチと、第2のスイッチと、電力変換装置と、第2のバッテリとを備えている。第1のバッテリは、第1の端子および第2の端子を有するように構成される。キャパシタは、第1の端子および第2の端子を有するように構成される。第1のスイッチは、第1のバッテリの第1の端子とキャパシタの第1の端子とを結ぶ経路に設けられる。第2のスイッチは、第1のバッテリの第2の端子とキャパシタの第2の端子とを結ぶ経路に設けられる。電力変換装置は、第1の電力端子と、スイッチング部と、トランスと、整流部と、第2の電力端子と、制御部とを有している。第1の電力端子は、キャパシタの第1の端子に接続された第1の接続端子、およびキャパシタの第2の端子に接続された第2の接続端子を有するように構成される。スイッチング部は、第1の接続端子に導かれた第1の電力ノードと第1のノードとを結ぶ経路に設けられた第1のスイッチング素子、第1のノードと第2の接続端子に導かれた第2の電力ノードとを結ぶ経路に設けられた第2のスイッチング素子、第1の電力ノードと第2のノードとを結ぶ経路に設けられた第3のスイッチング素子、および第2のノードと第2の電力ノードとを結ぶ経路に設けられた第4のスイッチング素子を有するように構成される。トランスは、第1のノードに接続された第1の端子と第2のノードに接続された第2の端子とを有する第1の巻線と、第2の巻線とを有するように構成される。整流部は、第2の巻線に接続され、複数のスイッチング素子を有するように構成される。第2の電力端子は、整流部に導かれるとともに第2のバッテリに接続されるように構成される。制御部は、第1のスイッチング素子、第2のスイッチング素子、第3のスイッチング素子、第4のスイッチング素子、および複数のスイッチング素子の動作を制御するように構成される。上記制御部は、第1の電力端子から第2の電力端子に向かって電力を供給する期間とは異なる所定の期間において、第2の電力端子から第1の電力端子に向かって電力を供給するようにスイッチング部および整流部の動作を制御するように構成される。制御部は、所定の期間において、第1のデューティ比でスイッチング部を動作させるとともに、第2のデューティ比で整流部を動作させる。第1のデューティ比は、0より大きく第2のデューティ比以下である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一実施の形態に係る電力変換装置および電力変換システムによれば、追加部品が少ないシンプルな構成でプリチャージ動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る電力変換システムの一構成例を表す回路図である。
【
図2】
図1に示した制御部の一構成例を表すブロック図である。
【
図3】
図1に示した電力変換システムの一動作例を表すタイミング図である。
【
図4】
図1に示した電力変換システムの一動作例を表すタイミング波形図である。
【
図5】
図1に示した電力変換システムの一動作例を表す他のタイミング波形図である。
【
図6】
図1に示した電力変換システムの一動作例を表す他のタイミング波形図である。
【
図7A】
図1に示した電力変換システムにおける一動作状態を表す説明図である。
【
図7B】
図1に示した電力変換システムにおける他の動作状態を表す説明図である。
【
図7C】
図1に示した電力変換システムにおける他の動作状態を表す説明図である。
【
図7D】
図1に示した電力変換システムにおける他の動作状態を表す説明図である。
【
図7E】
図1に示した電力変換システムにおける他の動作状態を表す説明図である。
【
図7F】
図1に示した電力変換システムにおける他の動作状態を表す説明図である。
【
図7G】
図1に示した電力変換システムにおける他の動作状態を表す説明図である。
【
図8】
図1に示した電力変換システムの一動作例を表すフローチャートである。
【
図9】変形例に係る電力変換システムの一動作例を表すフローチャートである。
【
図10】他の変形例に係る電力変換システムの一動作例を表すタイミング図である。
【
図11】他の変形例に係る電力変換システムの一動作例を表すタイミング波形図である。
【
図12】他の変形例に係る電力変換システムの一動作例を表すフローチャートである。
【
図13】他の変形例に係る電力変換システムの一構成例を表す回路図である。
【
図14】他の変形例に係る電力変換システムの一構成例を表す回路図である。
【
図15】他の変形例に係る電力変換システムの一構成例を表す回路図である。
【
図16】
図15に示した制御部の一構成例を表すブロック図である。
【
図17】他の変形例に係る制御部の一構成例を表すブロック図である。
【
図18】他の変形例に係る制御部の一構成例を表すブロック図である。
【
図19】他の変形例に係る制御部の一構成例を表すブロック図である。
【
図20】他の変形例に係る電力変換システムの一構成例を表す回路図である。
【
図21】他の変形例に係るアクティブクランプ回路の一構成例を表す回路図である。
【
図22】他の変形例に係る電力変換システムの一構成例を表す回路図である。
【
図23】
図22に示した電力変換システムの一動作例を表すタイミング波形図である。
【
図24】
図22に示した電力変換システムの一動作例を表す他のタイミング波形図である。
【
図25】
図22に示した電力変換システムの一動作例を表す他のタイミング波形図である。
【
図26A】
図22に示した電力変換システムにおける一動作状態を表す説明図である。
【
図26B】
図22に示した電力変換システムにおける他の動作状態を表す説明図である。
【
図26C】
図22に示した電力変換システムにおける他の動作状態を表す説明図である。
【
図26D】
図22に示した電力変換システムにおける他の動作状態を表す説明図である。
【
図26E】
図22に示した電力変換システムにおける他の動作状態を表す説明図である。
【
図26F】
図22に示した電力変換システムにおける他の動作状態を表す説明図である。
【
図26G】
図22に示した電力変換システムにおける他の動作状態を表す説明図である。
【
図26H】
図22に示した電力変換システムにおける他の動作状態を表す説明図である。
【
図27】他の変形例に係る電力変換システムの一構成例を表す回路図である。
【
図28】
図27に示した電力変換システムの一動作例を表すフローチャートである。
【
図29】他の変形例に係る電力変換システムの一構成例を表す回路図である。
【
図30】
図29に示した電力変換システムの一動作例を表すタイミング波形図である。
【
図31A】
図29に示した電力変換システムにおける一動作状態を表す説明図である。
【
図31B】
図29に示した電力変換システムにおける一動作状態を表す説明図である。
【
図31C】
図29に示した電力変換システムにおける一動作状態を表す説明図である。
【
図31D】
図29に示した電力変換システムにおける一動作状態を表す説明図である。
【
図31E】
図29に示した電力変換システムにおける一動作状態を表す説明図である。
【
図32】他の変形例に係る電力変換システムの一構成例を表す回路図である。
【
図33】他の変形例に係る電力変換システムの一構成例を表す回路図である。
【
図34】他の変形例に係る電力変換システムの一構成例を表す回路図である。
【
図35】他の変形例に係る電力変換システムの一構成例を表す回路図である。
【
図36】他の変形例に係る電力変換システムの一構成例を表す回路図である。
【
図37】他の変形例に係る電力変換システムの一構成例を表す回路図である。
【
図38】他の変形例に係る電力変換システムの一構成例を表す回路図である。
【
図39】他の変形例に係る電力変換システムの一構成例を表す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
<実施の形態>
[構成例]
図1は、本発明の一実施の形態に係る電力変換装置を備えた電力変換システム1の一構成例を表すものである。電力変換システム1は、高圧バッテリBHと、スイッチSW1,SW2と、キャパシタ9と、電力変換装置10と、低圧バッテリBLとを備えている。この電力変換システム1は、高圧バッテリBHから供給された電力を変換し、変換された電力を低圧バッテリBLに供給するように構成される。
【0012】
高圧バッテリBHは、電力を蓄えるように構成される。高圧バッテリBHは、スイッチSW1,SW2を介して電力を電力変換装置10に供給するようになっている。
【0013】
スイッチSW1,SW2は、オン状態になることにより高圧バッテリBHに蓄えられてた電力を電力変換装置10に供給するように構成される。スイッチSW1,SW2は、例えばリレーを用いて構成される。スイッチSW1は、オン状態になることにより、高圧バッテリBHの正端子と電力変換装置10の端子T11とを接続する。スイッチSW2は、オン状態になることにより、高圧バッテリBHの負端子と電力変換装置10の端子T12とを接続する。スイッチSW1,SW2は、図示しないシステム制御部からの指示に基づいてオンオフするようになっている。
【0014】
キャパシタ9の一端は電力変換装置10の端子T11およびスイッチSW1に接続され、他端は電力変換装置10の端子T12およびスイッチSW2に接続される。
【0015】
電力変換装置10は、高圧バッテリBHから供給された電圧を降圧することにより、電力を変換し、変換された電力を低圧バッテリBLに供給するように構成される。電力変換装置10は、端子T11,T12と、電圧センサ12と、スイッチング部13と、トランス14と、整流部15と、平滑部41と、電圧センサ18と、制御部19と、端子T21,T22とを有している。高圧バッテリBH、スイッチSW1,SW2、キャパシタ9、電圧センサ12、およびスイッチング部13は、電力変換システム1の1次側回路を構成し、整流部15、平滑部41、電圧センサ18、および低圧バッテリBLは、電力変換システム1の2次側回路を構成する。
【0016】
端子T11,T12は、スイッチSW1,SW2がオン状態になることにより、高圧バッテリBHから電圧が供給されるように構成される。電力変換装置10の装置内において、端子T11は電圧線L11に接続され、端子T12は基準電圧線L12に接続される。
【0017】
電圧センサ12は、電圧線L11における電圧を検出するように構成される。電圧センサ12の一端は電圧線L11に接続され、他端は基準電圧線L12に接続される。電圧センサ12は、基準電圧線L12での電圧を基準とした電圧線L11での電圧を、電圧VHとして検出する。そして、電圧センサ12は、電圧VHの検出結果を制御部19に供給するようになっている。
【0018】
スイッチング部13は、高圧バッテリBHから供給された直流電圧を交流電圧に変換するように構成される。スイッチング部13は、フルブリッジ型の回路であり、トランジスタS1~S4を有している。トランジスタS1~S4は、ゲート信号GA~GDに基づいてそれぞれスイッチング動作を行うスイッチング素子である。トランジスタS1~S4は、例えばN型の電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)を用いて構成される。トランジスタS1~S4は、ボディダイオードD1~D4をそれぞれ有している。例えば、ボディダイオードD1のアノードはトランジスタS1のソースに接続され、カソードはトランジスタS1のドレインに接続される。ボディダイオードD2~D4についても同様である。なお、この例では、N型の電界効果トランジスタを用いたが、スイッチング素子であればどのようなものを用いてもよい。
【0019】
トランジスタS1は、電圧線L11とノードN1とを結ぶ経路に設けられ、オン状態になることによりノードN1を電圧線L11に接続するように構成される。トランジスタS1のドレインは電圧線L11に接続され、ゲートにはゲート信号GAが供給され、ソースはノードN1に接続される。トランジスタS2は、ノードN1と基準電圧線L12とを結ぶ経路に設けられ、オン状態になることによりノードN1を基準電圧線L12に接続するように構成される。トランジスタS2のドレインはノードN1に接続され、ゲートにはゲート信号GBが供給され、ソースは基準電圧線L12に接続される。ノードN1は、トランジスタS1のソースとトランジスタS2のドレインとの接続点である。
【0020】
トランジスタS3は、電圧線L11とノードN2とを結ぶ経路に設けられ、オン状態になることによりノードN2を電圧線L11に接続するように構成される。トランジスタS3のドレインは電圧線L11に接続され、ゲートにはゲート信号GCが供給され、ソースはノードN2に接続される。トランジスタS4は、ノードN2と基準電圧線L12とを結ぶ経路に設けられ、オン状態になることによりノードN2を基準電圧線L12に接続するように構成される。トランジスタS4のドレインはノードN2に接続され、ゲートにはゲート信号GDが供給され、ソースは基準電圧線L12に接続される。ノードN2は、トランジスタS3のソースとトランジスタS4のドレインとの接続点である。
【0021】
トランス14は、1次側回路と2次側回路とを直流的に絶縁するとともに交流的に接続し、1次側回路から供給された交流電圧を、トランス14の変成比Nで変換し、変換された交流電圧を2次側回路に供給するように構成される。トランス14は、巻線14A,14Bを有している。巻線14Aの一端はスイッチング部13におけるノードN1に接続され、他端はスイッチング部13におけるノードN2に接続される。巻線14Bの一端は整流部15におけるノードN4(後述)に接続され、他端は整流部15におけるノードN5(後述)に接続される。
【0022】
整流部15は、トランス14の巻線14Bから出力された交流電圧を整流することにより出力電圧を生成するように構成される。整流部15は、フルブリッジ型の回路であり、トランジスタS5~S8を有している。トランジスタS5~S8は、ゲート信号GE,GFに基づいてスイッチング動作を行うように構成される。トランジスタS5~S8は、スイッチング部13のトランジスタS1~S4と同様に、例えばN型の電界効果トランジスタを用いて構成される。トランジスタS5~S8は、トランジスタS1~S4と同様に、ボディダイオードD5~D8をそれぞれ有している。
【0023】
トランジスタS5は、電圧線L21AとノードN4とを結ぶ経路に設けられ、オン状態になることによりノードN4を電圧線L21Aに接続するように構成される。トランジスタS5のドレインは電圧線L21Aに接続され、ゲートにはゲート信号GFが供給され、ソースはノードN4に接続される。トランジスタS6は、ノードN4と基準電圧線L22とを結ぶ経路に設けられ、オン状態になることによりノードN4を基準電圧線L22に接続するように構成される。トランジスタS6のドレインはノードN4に接続され、ゲートにはゲート信号GEが供給され、ソースは基準電圧線L22に接続される。ノードN4は、トランジスタS5のソースとトランジスタS6のドレインとの接続点である。
【0024】
トランジスタS7は、電圧線L21AとノードN5とを結ぶ経路に設けられ、オン状態になることによりノードN5を電圧線L21Aに接続するように構成される。トランジスタS7のドレインは電圧線L21Aに接続され、ゲートにはゲート信号GEが供給され、ソースはノードN5に接続される。トランジスタS8は、ノードN5と基準電圧線L22とを結ぶ経路に設けられ、オン状態になることによりノードN5を基準電圧線L22に接続するように構成される。トランジスタS8のドレインはノードN5に接続され、ゲートにはゲート信号GFが供給され、ソースは基準電圧線L22に接続される。ノードN5は、トランジスタS7のソースとトランジスタS8のドレインとの接続点である。
【0025】
平滑部41は、整流部15の出力電圧を平滑化するように構成される。平滑部41は、チョークインダクタ16と、キャパシタ17とを有している。チョークインダクタ16の一端は電圧線L21Aに接続され、他端は電圧線L21Bに接続される。キャパシタ17の一端は電圧線L21Bに接続され、他端は基準電圧線L22に接続される。なお、この例では、チョークインダクタ16を電圧線L21A,L21Bに設けたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば基準電圧線L22に設けてもよい。
【0026】
電圧センサ18は、電圧線L21Bにおける電圧を検出するように構成される。電圧センサ18の一端は電圧線L21Bに接続され、他端は基準電圧線L22に接続される。電圧センサ18は、基準電圧線L22での電圧を基準とした電圧線L21Bでの電圧を、電圧VLとして検出する。そして、電圧センサ18は、電圧VLの検出結果を制御部19に供給するようになっている。
【0027】
制御部19は、電圧センサ12により検出された電圧VH、および電圧センサ18により検出された電圧VLに基づいて、スイッチング部13および整流部15の動作を制御することにより、電力変換装置10の動作を制御するように構成される。具体的には、制御部19は、電圧VH,VLに基づいてゲート信号GA~GFを生成し、このゲート信号GA~GFによりPWM(Pulse Width Modulation)制御を行うことにより、電力変換装置10の動作を制御するようになっている。
【0028】
端子T21,T22は、電力変換装置10が生成した電圧を低圧バッテリBLに供給するように構成される。電力変換装置10の装置内において、端子T21は電圧線L21Bに接続され、端子T22は基準電圧線L22に接続される。また、端子T21は、低圧バッテリBLの正端子に接続され、端子T22は低圧バッテリBLの負端子に接続される。
【0029】
低圧バッテリBLは、電力変換装置10から供給された電力を蓄えるように構成される。
【0030】
この構成により、電力変換システム1では、高圧バッテリBHから供給された電力を変換し、変換された電力を低圧バッテリBLに供給する電力変換動作を行うようになっている。
【0031】
また、この電力変換システム1では、このような電力変換動作を開始する前の準備期間(プリチャージ期間P1)において、キャパシタ9をチャージする、いわゆるプリチャージ動作を行う機能をも有している。このプリチャージ動作では、スイッチSW1,SW2はオフ状態になり、制御部19がスイッチング部13および整流部15の動作を制御することにより、電力変換システム1は、低圧バッテリBLの電力をキャパシタ9に供給する。これにより、電力変換装置10では、電力変換動作を行うためにスイッチSW1,SW2をオン状態にしたときに高圧バッテリBHからキャパシタ9に流れる突入電流を抑えることができるようになっている。
【0032】
図2は、制御部19の一構成例を表すものである。制御部19は、プリチャージ制御部21と、電力変換制御部25と、ゲート信号生成部26,27とを有している。
【0033】
プリチャージ制御部21は、プリチャージ期間P1において、電圧VH,VLに基づいて、スイッチング部13におけるスイッチング動作のデューティ比DP、および整流部15におけるスイッチング動作のデューティ比DSを生成するように構成される。プリチャージ制御部21は、目標値判定部22と、デューティ比生成部23,24とを有している。
【0034】
目標値判定部22は、プリチャージ期間P1において、電圧VHが目標電圧VH_targetに到達したかどうかを判定するように構成される。そして、目標値判定部22は、判定結果をデューティ比生成部23,24に供給するようになっている。
【0035】
デューティ比生成部23は、プリチャージ期間P1において、電圧VLに基づいて、スイッチング部13におけるデューティ比DPを算出するように構成される。具体的には、デューティ比生成部23は、電圧VLが大きいほどデューティ比DPが低くなるように、デューティ比DPを生成する。デューティ比生成部23は、例えば、“DP=X1/VL”のような式を用いて、電圧VLに基づいてデューティ比DPを生成することができる。ここで、“X1”は任意の定数である。また、デューティ比生成部23は、例えば、デューティ比DPと電圧VLとの関係を示すテーブルデータを用いて、電圧VLに基づいてデューティ比DPを生成してもよい。デューティ比生成部23は、プリチャージ期間P1において、デューティ比DPが徐々に増加するように、デューティ比DPを生成する。これにより、電力変換システム1では、回路内の電流ストレスを低減することができる。また、目標値判定部22が、電圧VHが目標電圧VH_targetに到達したことを判定した場合には、デューティ比生成部23は、プリチャージ期間P1が終了したと判断し、デューティ比DPの生成を終了するようになっている。
【0036】
デューティ比生成部24は、プリチャージ期間P1において、電圧VLに基づいて、整流部15におけるデューティ比DSを生成するように構成される。具体的には、デューティ比生成部24は、電圧VLが大きいほどデューティ比DSが低くなるように、デューティ比DSを生成する。デューティ比生成部24は、例えば、“DS=X2/VL”のような式を用いて、電圧VLに基づいてデューティ比DSを生成することができる。ここで、“X2”は任意の定数である。また、デューティ比生成部24は、例えば、デューティ比DSと電圧VLとの関係を示すテーブルデータを用いて、電圧VLに基づいてデューティ比DSを生成してもよい。デューティ比生成部24は、プリチャージ期間P1において、デューティ比DSが徐々に増加するように、デューティ比DSを生成する。これにより、電力変換システム1では、回路内の電流ストレスを低減することができる。また、目標値判定部22が、電圧VHが目標電圧VH_targetに到達したことを判定した場合には、デューティ比生成部24は、プリチャージ期間P1が終了したと判断し、デューティ比DSの生成を終了するようになっている。
【0037】
デューティ比生成部23,24は、デューティ比DP,DSを生成する際、以下の式EQ1,EQ2を満たすように、デューティ比DP,DSを生成する。
0 < DS ≦ 0.5 …(EQ1)
0 < DP ≦ DS …(EQ2)
すなわち、整流部15におけるデューティ比DSは、0.5以下に制御される。また、スイッチング部13におけるデューティ比DPは、整流部15におけるデューティ比DS以下になるように制御される。デューティ比生成部23,24は、このようなデューティ比DP,DSを生成するようになっている。
【0038】
電力変換制御部25は、電力変換動作を行う期間(電力変換期間P2)において、電圧VH,VLに基づいて、スイッチング部13におけるスイッチング動作のデューティ比DP、および整流部15におけるスイッチング動作のデューティ比DSを生成するように構成される。
【0039】
ゲート信号生成部26は、デューティ比生成部23および電力変換制御部25により生成されたデューティ比DPに基づいて、ゲート信号GA~GDを生成するように構成される。具体的には、ゲート信号生成部26は、プリチャージ期間P1では、この例では、デューティ比生成部23により生成されたデューティ比DPに基づいてゲート信号GC,GDを生成するとともに、ゲート信号GA,GBを低レベルに維持する。また、ゲート信号生成部26は、電力変換期間P2では、電力変換制御部25により生成されたデューティ比DPに基づいてゲート信号GA~GDを生成するようになっている。
【0040】
ゲート信号生成部27は、デューティ比生成部24および電力変換制御部25から供給されたデューティ比DSのデータに基づいて、ゲート信号GE,GFを生成するように構成される。具体的には、ゲート信号生成部27は、プリチャージ期間P1では、この例では、デューティ比生成部23により生成されたデューティ比DSに基づいてゲート信号GE,GFを生成する。また、ゲート信号生成部27は、電力変換期間P2では、電力変換制御部25により生成されたデューティ比DSに基づいてゲート信号GE,GFを生成するようになっている。
【0041】
ここで、端子T11,T12は、本開示における「第1の電力端子」の一具体例に対応する。端子T11は、本開示における「第1の接続端子」の一具体例に対応する。端子T12は、本開示における「第2の接続端子」の一具体例に対応する。スイッチング部13は、本開示における「スイッチング部」の一具体例に対応する。電圧線L11は、本開示における「第1の電力ノード」の一具体例に対応する。基準電圧線L12は、本開示における「第2の電力ノード」の一具体例に対応する。ノードN1は、本開示における「第1のノード」の一具体例に対応する。ノードN2は、本開示における「第2のノード」の一具体例に対応する。トランジスタS1は、本開示における「第1のスイッチング素子」の一具体例に対応する。トランジスタS2は、本開示における「第2のスイッチング素子」の一具体例に対応する。トランジスタS3は、本開示における「第3のスイッチング素子」の一具体例に対応する。トランジスタS4は、本開示における「第4のスイッチング素子」の一具体例に対応する。トランス14は、本開示における「トランス」の一具体例に対応する。巻線14Aは、本開示における「第1の巻線」の一具体例に対応する。巻線14Bは、本開示における「第2の巻線」の一具体例に対応する。整流部15は、本開示における「整流部」の一具体例に対応する。電圧線L21Aは、本開示における「第3の電力ノード」の一具体例に対応する。基準電圧線L22は、本開示における「第4の電力ノード」の一具体例に対応する。ノードN4は、本開示における「第4のノード」の一具体例に対応する。ノードN5は、本開示における「第5のノード」の一具体例に対応する。トランジスタS5は、本開示における「第5のスイッチング素子」の一具体例に対応する。トランジスタS6は、本開示における「第6のスイッチング素子」の一具体例に対応する。トランジスタS7は、本開示における「第7のスイッチング素子」の一具体例に対応する。トランジスタS8は、本開示における「第8のスイッチング素子」の一具体例に対応する。端子T21,T22は、本開示における「第2の電力端子」の一具体例に対応する。端子T21は、本開示における「第3の接続端子」の一具体例に対応する。端子T22は、本開示における「第4の接続端子」の一具体例に対応する。制御部19は、本開示における「制御部」の一具体例に対応する。デューティ比DPは、本開示における「第1のデューティ比」の一具体例に対応する。デューティ比DSは、本開示における「第2のデューティ比」の一具体例に対応する。プリチャージ期間P1は、本開示における「所定の期間」の一具体例に対応する。
【0042】
[動作および作用]
続いて、本実施の形態の電力変換システム1の動作および作用について説明する。
【0043】
(全体動作概要)
まず、
図1,2を参照して、電力変換システム1の全体動作概要を説明する。プリチャージ期間P1において、スイッチSW1,SW2がオフ状態になり、制御部19は、電圧VH,VLに基づいてゲート信号GC~GFを生成するとともにゲート信号GA,GBを低レベルに維持する。これにより、スイッチング部13および整流部15が動作し、電力変換装置10は、低圧バッテリBLの電力をキャパシタ9に供給する。その結果、キャパシタ9がチャージされ、電圧VHが上昇する。電圧VHが目標電圧VH_targetに到達すると、プリチャージ動作は終了し、スイッチSW1,SW2がオン状態になり、制御部19は、電圧VH,VLに基づいてゲート信号GA~GFを生成する。これにより、電力変換装置10は、高圧バッテリBHから供給された電力を変換し、変換された電力を低圧バッテリBLに供給する。
【0044】
(詳細動作)
図3は、プリチャージ動作の一例を表すものである。この例では、プリチャージ制御部21は、タイミングt1~t2の期間(プリチャージ期間P1)においてデューティ比DP,DSが徐々に増加するようにデューティ比DP,DSを生成する。プリチャージ制御部21は、式EQ1,EQ2に示したように、デューティ比DSが0.5以下になるように、そしてデューティ比DPがデューティ比DS以下になるように、デューティ比DP,DSを生成する。そして、ゲート信号生成部26は、このデューティ比DPに基づいてゲート信号GC,GDを生成するとともにゲート信号GA,GBを低レベルに維持する。スイッチング部13は、このゲート信号GA~GDに基づいてスイッチング動作を行う。ゲート信号生成部27は、このデューティ比DSに基づいてゲート信号GE,GFを生成する。整流部15は、このゲート信号GE,GFに基づいてスイッチング動作を行う。これにより、プリチャージ期間P1が始まるタイミングt1以降において、キャパシタ9における電圧VHは徐々に上昇する。
【0045】
図4は、プリチャージ動作のシミュレーション波形例を表すものであり、(A)はゲート信号GE,GFの波形を示し、(B)はゲート信号GC,GDの波形を示し、(C)はキャパシタ9に流れ込む電流(チャージ電流ICHG)の波形を示し、(D)はトランス14の励磁電流IMの波形を示し、(E)はチョークインダクタ16において電圧線L21Bから電圧線L21Aに流れる電流(インダクタ電流IL)の波形を示し、(F)はトランス14の巻線14Bにおける、ノードN5を基準としたノードN4における電圧(トランス電圧VTR2)の波形を示し、(G)は電圧VHの波形を示す。
図4において、Tは、スイッチング動作の周期を示す。
【0046】
プリチャージ動作では、制御部19は、デューティ比DPに基づいてゲート信号GC,GDを生成し、デューティ比DSに基づいてゲート信号GE,GFを生成する。デューティ比DPは、周期T(タイミングt11~t13の時間長)を“1”とした場合におけるゲート信号GC,GDのそれぞれのパルス幅を示し、デューティ比DSは、周期Tを“1”とした場合におけるゲート信号GE,GFのそれぞれのパルス幅を示す。制御部19は、
図4(A),(B)に示したように、タイミングt11において、ゲート信号GC,GFを低レベルから高レベルに変化させる。そして、制御部19は、このタイミングt11からデューティ比DPに対応する時間(デューティ比DP×周期T)が経過したタイミングでゲート信号GCを高レベルから低レベルに変化させ、このタイミングt11からデューティ比DSに対応する時間(デューティ比DS×周期T)が経過したタイミングでゲート信号GFを高レベルから低レベルに変化させる。次に、制御部19は、タイミングt12において、ゲート信号GD,GEを低レベルから高レベルに変化させる。そして、制御部19は、このタイミングt12からデューティ比DPに対応する時間(デューティ比DP×周期T)が経過したタイミングでゲート信号GDを高レベルから低レベルに変化させ、このタイミングt12からデューティ比DSに対応する時間(デューティ比DS×周期T)が経過したタイミングでゲート信号GEを高レベルから低レベルに変化させる。制御部19は、図示していないが、ゲート信号GA,GBを低レベルに維持する。なお、電力変換システム1では、デューティ比DP,DSを変化させつつ、タイミングt11~t13の動作を繰り返すことにより、キャパシタ9をチャージする。これにより、
図4(G)に示したように、電圧VHが徐々に上昇する。
【0047】
以下に、タイミングt11~t12の期間における、ゲート信号GC,GFに基づく動作を例に挙げて、詳細に説明する。なお、タイミングt12~t13の期間における、ゲート信号GD,GEに基づく動作についても同様である。
【0048】
図5,6は、タイミングt11~t12の期間における動作をより詳しく表すものであり、(A)はゲート信号GE,GFの波形を示し、(B)はゲート信号GC,GDの波形を示し、(C)はキャパシタ9に流れ込む電流(チャージ電流ICHG)の波形を示し、(D)はトランス14の励磁電流IMの波形を示し、(E)はチョークインダクタ16において電圧線L21Bから電圧線L21Aに流れる電流(インダクタ電流IL)の波形を示し、(F)はトランス14の巻線14Aにおける、ノードN2を基準としたノードN1における電圧(トランス電圧VTR1)の波形を示し、(G)はトランス14の巻線14Bにおける、ノードN5を基準としたノードN4における電圧(トランス電圧VTR2)の波形を示し、(H)は電圧VHの波形を示す。
図5に示したように、電力変換システム1は、タイミングt11~t12の期間において、7つの動作状態ST1~ST7をとり得る。電力変換システム1の動作状態STは、動作状態ST1、動作状態ST2、動作状態ST3、…、動作状態ST7の順に変化する。動作状態ST3,ST4は、微小期間における動作状態である。
図6では、この動作状態ST3,ST4に対応する期間およびその周辺の期間の動作を拡大して示している。
【0049】
図7A~7Gは、7つの動作状態ST1~ST7における電力変換システム1の動作を表すものである。
図7A~7Gでは、説明の便宜上、電力変換システム1をより簡略化して描いている。
【0050】
動作状態ST1では、制御部19は、ゲート信号GC,GFを高レベルにし、ゲート信号GA,GB,GD,GEを低レベルにする(
図5(A),(B))。これにより、トランジスタS3,S5,S8がオン状態になり、トランジスタS1,S2,S4,S6,S7がオフ状態になる(
図7A)。2次側回路では、低圧バッテリBLの正端子、チョークインダクタ16、オン状態であるトランジスタS5、巻線14B、オン状態であるトランジスタS8、低圧バッテリBLの負端子の順に電流I2が流れ、チョークインダクタ16にエネルギーが蓄えられる。1次側回路では、トランジスタS1のボディダイオードD1がオン状態になり、巻線14Aの一端(ノードN1)、トランジスタS1のボディダイオードD1、オン状態であるトランジスタS3、巻線14Aの他端(ノードN2)の順に電流I1が流れ、トランス14の漏れインダクタLLKにエネルギーが蓄えられる。このとき、2次側回路から見て、1次側回路はほぼ短絡状態である。よって、トランス電圧VTR1,VTR2は、ほぼ0Vである(
図5(F),(G))。
【0051】
次の動作状態ST2では、制御部19は、ゲート信号GCを高レベルから低レベルに変化させる(
図5(B))。これにより、トランジスタS3がオン状態からオフ状態に変化する(
図7B)。1次側回路では、トランジスタS4のボディダイオードD4がオン状態になり、巻線14Aの一端(ノードN1)、トランジスタS1のボディダイオードD1、キャパシタ9、トランジスタS4のボディダイオードD4、巻線14Aの他端(ノードN2)の順に電流I1が流れ、チャージ電流ICHGが流れる(
図5(C))。すなわち、トランス14の漏れインダクタLLKに蓄えられたエネルギーが放出され、キャパシタ9に蓄えられる。このようにして、電圧VHが上昇する(
図5(H))。2次側回路では、トランス電圧VTR2が正電圧になり(
図5(G))、トランス14に励磁電流IMが流れ始める(
図5(D))。電圧VHがまだ十分に上昇しておらず以下の式EQ3を満たす場合には、電力変換システム1は降圧動作を行い、電圧VHが十分に上昇し以下の式EQ4を満たす場合には、電力変換システム1は昇圧動作を行う。
VH < N × VL …(EQ3)
VH ≧ N × VL …(EQ4)
ここで、Nは、トランス14の変成比であり、トランス14の1次側巻線である巻線14Aの巻数Np、および2次側巻線である巻線14Bの巻数Nsを用いて、以下の式EQ5で表すことができる。
N = Np / Ns …(EQ5)
この動作状態ST2では、電力変換システム1が降圧動作を行う場合には、インダクタ電流ILは時間の経過に対して正の傾きになって増加し、電力変換システム1が昇圧動作を行う場合には、インダクタ電流ILは時間の経過に対して負の傾きになって減少する。この例では、電力変換システム1は昇圧動作を行っているので、インダクタ電流ILは減少する(
図5(E))。
【0052】
次の、微小期間における動作状態ST3では、制御部19は、ゲート信号GFを高レベルから低レベルに変化させる(
図5(A),6(A))。これにより、トランジスタS5,S8がオン状態からオフ状態に変化する(
図7C)。2次側回路では、チョークインダクタ16に逆起電圧が生じ、トランジスタS5~S8のそれぞれのドレイン・ソース間電圧が大きくなり、アバランシェ降伏のブレークダウン電圧に至る。その結果、トランジスタS5~S8のそれぞれにおいてアバランシェ電流が流れ、トランジスタS5~S8のそれぞれがアバランシェ降伏状態AVAになる。そして、チョークインダクタ16に蓄えられていたエネルギーが放出され、インダクタ電流ILは減少する(
図5(E),6(E))。このように、トランジスタS5~S8のそれぞれがアバランシェ降伏状態AVAになることにより、トランス電圧VTR2はほぼ0Vになる(
図5(G),6(G))。1次側回路では、1つ前の動作状態ST2から継続して、巻線14Aの一端(ノードN1)、トランジスタS1のボディダイオードD1、キャパシタ9、トランジスタS4のボディダイオードD4、巻線14Aの他端(ノードN2)の順に電流I1が流れる。トランス電圧VTR1には、トランス14の漏れインダクタLLKの逆起電圧が現れる。
【0053】
次の、微小期間における動作状態ST4では、1次側回路において、トランス14の漏れインダクタLLKに蓄えられたエネルギーの放出が終了し、トランジスタS1のボディダイオードD1およびトランジスタS4のボディダイオードD4がオフ状態になる(
図7D)。このように、1次側回路では、スイッチング部13に電流は流れないので、チャージ電流ICHGは0Aになる(
図5(C),6(C))。2次側回路では、トランジスタS5~S8のそれぞれは、アバランシェ降伏状態AVAを維持する。トランジスタS5に流れるアバランシェ電流は、トランジスタS6に流れるアバランシェ電流よりも、励磁電流IMの分だけ大きい。同様に、トランジスタS8に流れるアバランシェ電流は、トランジスタS7に流れるアバランシェ電流よりも、励磁電流IMの分だけ大きい。よって、トランジスタS6,S7に流れるアバランシェ電流は、トランジスタS5,S8に流れるアバランシェ電流よりも早く0Aに近づく。
【0054】
次の動作状態ST5では、トランジスタS6,S7に流れるアバランシェ電流が0Aに到達し、トランジスタS6,S7のアバランシェ降伏状態AVAは解消する(
図7E)。トランジスタS5,S8はアバランシェ降伏状態AVAを維持する。これにより、トランス電圧VTR1,VTR2は負電圧になる(
図5(F),(G))。その結果、1次側回路では、トランジスタS2のボディダイオードD2およびトランジスタS3のボディダイオードD3がオン状態になり、巻線14Aの他端(ノードN2)、トランジスタS3のボディダイオードD3、キャパシタ9、トランジスタS2のボディダイオードD2、巻線14Aの一端(ノードN1)の順に電流I1が流れ、チャージ電流ICHGが流れる(
図5(C))。すなわち、トランス14の励磁インダクタLMに蓄えられたエネルギーが放出され、キャパシタ9に蓄えられる。このようにして、電圧VHが上昇する(
図5(H))。
【0055】
次の動作状態ST6では、2次側回路において、チョークインダクタ16に蓄えられていたエネルギーの放出が終了し、トランジスタS5,S8のアバランシェ降伏状態AVAは解消する(
図7F)。これにより、2次側回路では、整流部15に電流が流れない。1次側回路では、1つ前の動作状態ST5から継続して、巻線14Aの他端(ノードN2)、トランジスタS3のボディダイオードD3、キャパシタ9、トランジスタS2のボディダイオードD2、巻線14Aの一端(ノードN1)の順に電流I1が流れる。すなわち、トランス14の励磁インダクタLMに蓄えられたエネルギーが放出され、キャパシタ9に蓄えられる。このようにして、電圧VHが上昇する(
図5(H))。
【0056】
次の動作状態ST7では、1次側回路において、トランス14の励磁インダクタLMに蓄えられたエネルギーの放出が終了し、トランジスタS2のボディダイオードD2およびトランジスタS3のボディダイオードD3がオフ状態になる(
図7G)。これにより、1次側回路では、スイッチング部13に電流が流れない。すなわち、この動作状態ST7では、1次側回路および2次側回路の両方において、電流は流れない。
【0057】
このようにして、タイミングt11~t12の期間において、キャパシタ9がチャージされ、電圧VHが上昇する。タイミングt12~t13の期間についても同様である。なお、上述した動作は一例である。例えば、デューティ比DSが上昇し“0.5”に近づくと、例えば、動作状態ST1~ST7のうちの動作状態ST7がなくなり得る。電力変換システム1では、
図4に示したように、このようなタイミングt11~t13の動作を繰り返すことにより、キャパシタ9が徐々にチャージされ、電圧VHが徐々に上昇する。
【0058】
そして、
図3に示したように、タイミングt2において電圧VHが目標電圧VH_targetに到達すると、プリチャージ制御部21は、デューティ比DP,DSの生成を終了する。これによりプリチャージ動作は終了する。そして、スイッチSW1,SW2がオン状態になった後に、電力変換動作が開始する。なお、この例では、電力変換システム1は、タイミングt2においてプリチャージ動作が終了した直後に電力変換動作を開始したが、これに限定されるものではない。例えば、電力変換システム1は、プリチャージ動作が終了した後に、デューティ比DP,DSを生成することにより電圧VHを目標電圧VH_target付近の電圧に維持させる電圧維持動作を行い、その後に、電力変換動作を行うようにしてもよい。
【0059】
以上に説明したプリチャージ動作は、制御部19のプリチャージ制御部21により制御される。次に、プリチャージ制御部21の一動作例について説明する。
【0060】
図8は、プリチャージ制御部21の一動作例を表すものである。スイッチSW1,SW2がオフ状態に設定されている状態で、プリチャージ制御部21は、以下の動作を行う。
【0061】
まず、プリチャージ制御部21のデューティ比生成部23,24は、電圧VLに基づいて、プリチャージ期間P1におけるデューティ比DP,DSのシーケンスを設定する(ステップS101)。具体的には、デューティ比生成部23は、
図3に示したように、プリチャージ期間P1において、デューティ比DPが徐々に増加するように、デューティ比DPを生成する。デューティ比生成部24は、
図3に示したように、プリチャージ期間P1において、デューティ比DSが徐々に増加するように、デューティ比DSを生成する。デューティ比生成部23,24は、式EQ1,EQ2に示したように、デューティ比DSが0.5以下になるように、そしてデューティ比DPがデューティ比DS以下になるように、デューティ比DP,DSを生成する。
【0062】
次に、制御部19は、ステップS101において設定されたシーケンスに基づいて、PWM制御を開始する(ステップS102)。具体的には、制御部19は、ステップS101において設定されたシーケンスに基づいて、ゲート信号GC~GFを生成するとともに、ゲート信号GA,GBを低レベルに維持する。これにより、電力変換システム1では、
図4~6に示したように、PWM制御が行われ、キャパシタ9が徐々にチャージされ、電圧VHが徐々に上昇する。
【0063】
次に、目標値判定部22は、電圧VHが目標電圧VH_targetに到達したかどうかを判定する(ステップS103)。電圧VHが目標電圧VH_targetに到達していない場合(ステップS103において“N”)には、電圧VHが目標電圧VH_targetに到達するまで、このステップS103の処理を繰り返す。
【0064】
電圧VHが目標電圧VH_targetに到達した場合(ステップS103において“Y”)には、制御部19は、PWM制御を終了する(ステップS104)。
【0065】
これにより、プリチャージ動作は終了する。その後、スイッチSW1,SW2がオン状態になり、電力変換装置10は、高圧バッテリBHから供給された電力を変換し、変換された電力を低圧バッテリBLに供給する電力変換動作を開始する。
【0066】
このように、電力変換システム1では、第1の電力端子(端子T11,T12)から第2の電力端子(端子T21,T22)に向かって電力を供給する前の準備期間であるプリチャージ期間P1において、第2の電力端子(端子T21,T22)から第1の電力端子(端子T11,T12)に向かって電力を供給するように、スイッチング部13および整流部15の動作を制御するようにしたので、シンプルな構成でプリチャージ動作を行うことができる。すなわち、例えば、特許文献1に記載された技術では、プリチャージ動作において、チョークコイルの電流値に基づいて、2次側回路のスイッチング動作を制御する。この場合には、チョークコイルに流れる電流を検出する電流センサが必要になってしまう。一方、本実施の形態に係る電力変換システム1では、プリチャージ期間P1において、スイッチング部13および整流部15の動作を制御するようにした。例えば、デューティ比DSが0.5以下になるように、そしてデューティ比DPがデューティ比DS以下になるように、スイッチング部13および整流部15の動作を制御することができる。これにより、電力変換システム1では、電流センサを省くことができるので、シンプルな構成でプリチャージ動作を行うことができる。
【0067】
[効果]
以上のように本実施の形態では、第1の電力端子から第2の電力端子に向かって電力を供給する前の準備期間であるプリチャージ期間において、第2の電力端子から第1の電力端子に向かって電力を供給するように、スイッチング部および整流部の動作を制御するようにしたので、シンプルな構成でプリチャージ動作を行うことができる。
【0068】
[変形例1]
上記実施の形態では、プリチャージ期間P1において、スイッチング部13における4つのトランジスタS1~S4のうちのトランジスタS3,S4の動作を制御したが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、トランジスタS1,S2の動作を制御してもよいし、トランジスタS1,S3の動作を制御してもよいし、トランジスタS2,S4の動作を制御してもよい。
【0069】
[変形例2]
上記実施の形態では、
図8に示したように、プリチャージ動作を開始する際に、プリチャージ期間P1におけるデューティ比DP,DSのシーケンスをあらかじめ設定するようにしたが、これに限定されるものではない。以下に、本変形例に係る電力変換システム1について詳細に説明する。
【0070】
図9は、本変形例に係るプリチャージ制御部21の一動作例を表すものである。
【0071】
まず、プリチャージ制御部21のデューティ比生成部23,24は、電圧VLに基づいて、プリチャージ期間P1におけるデューティ比DP,DSのシーケンスを設定する(ステップS101)。
【0072】
次に、制御部19は、ステップS101において設定されたシーケンスに基づいて、PWM制御を開始する(ステップS102)。これにより、電力変換システム1では、PWM制御が行われ、キャパシタ9が徐々にチャージされ、電圧VHが徐々に上昇する。
【0073】
次に、目標値判定部22は、電圧VHが目標電圧VH_targetに到達したかどうかを判定する(ステップS103)。
【0074】
電圧VHが目標電圧VH_targetに到達していない場合(ステップS103において“N”)には、デューティ比生成部23,24は、電圧VLがステップS101における当初の電圧VLから所定量以上変化したかどうかを確認する(ステップS113)。電圧VLが所定量以上変化していない場合(ステップS113において“N”)には、ステップS103の処理に戻る。
【0075】
ステップS113において、電圧VLが所定量以上変化した場合(ステップS113において“Y”)には、デューティ比生成部23,24は、電圧VLに基づいて、以降のデューティ比DP,DSのシーケンスを再設定する(ステップS114)。そして、制御部19は、ステップS114において再設定されたシーケンスに基づいて、PWM制御を行う(ステップS115)。すなわち、電圧VLが当初の電圧VLから大きく変化した場合には、ステップS101において当初の電圧VLに基づいて設定したデューティ比DP,DSのシーケンスが適切ではない可能性がある。よって、電圧VLが所定量以上変化した場合には、デューティ比生成部23,24は、最新の電圧VLに基づいて、以降のデューティ比DP,DSのシーケンスを再設定する。そして、ステップS103の処理に戻る。
【0076】
ステップS103において、電圧VHが目標電圧VH_targetに到達した場合(ステップS103において“Y”)には、制御部19は、PWM制御を終了する(ステップS104)。これにより、プリチャージ動作は終了する。
【0077】
[変形例3]
上記実施の形態では、
図3に示したように、プリチャージ期間P1において、プリチャージ動作を開始するタイミングt1から、デューティ比DPに基づいてスイッチング部13を動作させるようにしたが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、
図10に示すように、プリチャージ動作が開始した後に少し時間が経過してから、デューティ比DPに基づいてスイッチング部13を動作させてもよい。この例では、プリチャージ制御部21は、タイミングt21~t22の期間においてデューティ比DSが徐々に増加するようにデューティ比DSを生成する。そして、電圧VHがしきい値Vthに到達すると、プリチャージ制御部21は、タイミングt22~t23の期間においてデューティ比DP,DSが徐々に増加するようにデューティ比DP,DSを生成する。これにより、タイミングt21~t22の期間では、整流部15がスイッチング動作を行い、タイミングt22~t23の期間では、上記実施の形態の場合(
図4)と同様に、スイッチング部13および整流部15がスイッチング動作を行う。このしきい値Vthは、例えば、以下の式EQ6を満たすように設定される。
Vth < N × VL …(EQ6)
すなわち、しきい値Vthは、式EQ3に示したように、プリチャージ動作において電力変換システム1が降圧動作を行うような電圧VHの範囲内の電圧に設定される。
【0078】
図11は、タイミングt21~t22の期間における動作のシミュレーション波形例を表すものであり、(A)はゲート信号GE,GFの波形を示し、(B)はゲート信号GC,GDの波形を示し、(C)はキャパシタ9に流れ込む電流(チャージ電流ICHG)の波形を示し、(D)はトランス14の励磁電流IMの波形を示し、(E)はチョークインダクタ16において電圧線L21Bから電圧線L21Aに流れる電流(インダクタ電流IL)の波形を示し、(F)はトランス14の巻線14Bにおける、ノードN5を基準としたノードN4における電圧(トランス電圧VTR2)の波形を示し、(G)は電圧VHの波形を示す。
【0079】
制御部19は、
図11(A)に示したように、タイミングt31において、ゲート信号GFを低レベルから高レベルに変化させる。そして、制御部19は、このタイミングt31からデューティ比DSに対応する時間が経過したタイミングでゲート信号GFを高レベルから低レベルに変化させる。次に、制御部19は、タイミングt32において、ゲート信号GEを低レベルから高レベルに変化させる。そして、制御部19は、このタイミングt32からデューティ比DSに対応する時間が経過したタイミングでゲート信号GEを高レベルから低レベルに変化させる。制御部19は、ゲート信号GA~GDを低レベルに維持する。電力変換システム1では、このタイミングt21~t22の期間において、デューティ比DSを変化させつつ、タイミングt31~t33の動作を繰り返すことにより、キャパシタ9をチャージする。これにより、
図11(G)に示したように、電圧VHが徐々に上昇する。
【0080】
この例では、電力変換システム1は、タイミングt31~t32の期間において、4つの動作状態ST11~ST14をとり得る。電力変換システム1の動作状態STは、動作状態ST11、動作状態ST12、動作状態ST13、動作状態ST14の順に変化する。
【0081】
動作状態ST11では、制御部19は、ゲート信号GFを高レベルにし、ゲート信号GA~GEを低レベルにする(
図11(A),(B))。これにより、トランジスタS5,S8がオン状態になり、トランジスタS1~S4,S6,S7がオフ状態になる。2次側回路では、低圧バッテリBLの正端子、チョークインダクタ16、オン状態であるトランジスタS5、巻線14B、オン状態であるトランジスタS8、低圧バッテリBLの負端子の順に電流I2が流れ、チョークインダクタ16にエネルギーが蓄えられる。1次側回路では、トランス14に励磁電流IMが流れる(
図11(D))。
【0082】
次の動作状態ST12では、制御部19は、ゲート信号GFを高レベルから低レベルに変化させる(
図11(A))。これにより、トランジスタS5,S8がオン状態からオフ状態に変化する。2次側回路では、チョークインダクタ16に逆起電圧が生じ、トランジスタS5,S8のそれぞれのドレイン・ソース間電圧が大きくなり、アバランシェ降伏のブレークダウン電圧に至る。その結果、トランジスタS5,S8のそれぞれにおいて、アバランシェ電流が流れ、トランジスタS5,S8のそれぞれがアバランシェ降伏状態AVAになる。これにより、トランス電圧VTR1,VTR2は負電圧になる(
図11(F))。1次側回路では、トランジスタS2のボディダイオードD2およびトランジスタS3のボディダイオードD3がオン状態になり、巻線14Aの他端(ノードN2)、トランジスタS3のボディダイオードD3、キャパシタ9、トランジスタS2のボディダイオードD2、巻線14Aの一端(ノードN1)の順に電流I1が流れ、チャージ電流ICHGが流れる(
図11(C))。このようにして、電圧VHが上昇する(
図11(G))。
【0083】
次の動作状態ST13では、チョークインダクタ16に蓄えられていたエネルギーの放出が終了し、トランジスタS5,S8のアバランシェ降伏状態AVAは解消する。1次側回路では、1つ前の動作状態ST12から継続して、巻線14Aの他端(ノードN2)、トランジスタS3のボディダイオードD3、キャパシタ9、トランジスタS2のボディダイオードD2、巻線14Aの一端(ノードN1)の順に電流I1が流れる。すなわち、トランス14の励磁インダクタLMに蓄えられたエネルギーが放出され、キャパシタ9に蓄えられる。このようにして、電圧VHが上昇する(
図11(G))。
【0084】
次の動作状態ST14では、1次側回路において、トランス14の励磁インダクタLMに蓄えられたエネルギーの放出が終了し、トランジスタS2のボディダイオードD2およびトランジスタS3のボディダイオードD3がオフ状態になる。これにより、1次側回路では、スイッチング部13に電流が流れない。
【0085】
このようにして、タイミングt31~t32の期間において、キャパシタ9がチャージされ、電圧VHが上昇する。タイミングt32~t33の期間についても同様である。なお、上述した動作は一例である。例えば、デューティ比DSが上昇し“0.5”に近づくと、例えば、動作状態ST11~ST14のうちの動作状態ST14がなくなり得る。電力変換システム1では、
図11に示したように、このようなタイミングt31~t33の動作を繰り返すことにより、キャパシタ9が徐々にチャージされ、電圧VHが徐々に上昇する。
【0086】
そして、
図10に示したように、電圧VHがしきい値Vthに到達した後のタイミングt22~t23の期間では、電力変換システム1は、
図4~6に示したように動作する。これにより、
図4(G)に示したように、電圧VHが徐々に上昇する。
【0087】
そして、
図10に示したように、タイミングt23において電圧VHが目標電圧VH_targetに到達すると、プリチャージ制御部21は、デューティ比DP,DSの生成を終了する。これによりプリチャージ動作は終了する。そして、スイッチSW1,SW2がオン状態になった後に、電力変換動作が開始する。
【0088】
図12は、本変形例に係るプリチャージ制御部21の一動作例を表すものである。
【0089】
まず、プリチャージ制御部21のデューティ比生成部24は、電圧VLに基づいて、プリチャージ期間P1におけるデューティ比DP,DSのシーケンスを設定する(ステップS121)。具体的には、デューティ比生成部23は、プリチャージ期間P1において、デューティ比DPが徐々に増加するように、デューティ比DPを生成する。デューティ比生成部24は、プリチャージ期間P1において、デューティ比DSが徐々に増加するように、デューティ比DSを生成する。デューティ比生成部23,24は、式EQ1,EQ2に示したように、デューティ比DSが0.5以下になるように、そしてデューティ比DPがデューティ比DS以下になるように、デューティ比DP,DSを生成する。
【0090】
次に、制御部19は、ステップS121において設定されたデューティ比DSのシーケンスに基づいて、PWM制御を開始する(ステップS122)。具体的には、制御部19は、ステップS121において設定されたデューティ比DSのシーケンスに基づいて、ゲート信号GE,GFを生成するとともに、ゲート信号GA~GDを低レベルに維持する。これにより、電力変換システム1では、
図10に示したように、PWM制御が行われ、キャパシタ9が徐々にチャージされ、電圧VHが徐々に上昇する。
【0091】
次に、目標値判定部22は、電圧VHがしきい値Vthに到達したかどうかを判定する(ステップS123)。電圧VHがしきい値Vthに到達していない場合(ステップS123において“N”)には、電圧VHがしきい値Vthに到達するまで、このステップS123の処理を繰り返す。
【0092】
電圧VHがしきい値Vthに到達した場合(ステップS123において“Y”)には、制御部19は、ステップS121において設定されたデューティ比DP,DSのシーケンスに基づいて、PWM制御を行う(ステップS124)。具体的には、制御部19は、ステップS121において設定されたデューティ比DP,DSのシーケンスに基づいて、ゲート信号GC~GFを生成するとともに、ゲート信号GA,GBを低レベルに維持する。これにより、電力変換システム1では、
図4~6に示したように、PWM制御が行われ、キャパシタ9が徐々にチャージされ、電圧VHが徐々に上昇する。
【0093】
次に、目標値判定部22は、電圧VHが目標電圧VH_targetに到達したかどうかを判定する(ステップS125)。電圧VHが目標電圧VH_targetに到達していない場合(ステップS125において“N”)には、電圧VHが目標電圧VH_targetに到達するまで、このステップS126の処理を繰り返す。
【0094】
電圧VHが目標電圧VH_targetに到達した場合(ステップS125において“Y”)には、制御部19は、PWM制御を終了する(ステップS126)。
【0095】
これにより、プリチャージ動作は終了する。
【0096】
なお、この例では、ステップS123,S124に示したように、電圧VHがしきい値Vthに到達した場合に、制御部19は設定されたデューティ比DPに基づいてPWM制御を行うようにしたが、これに限定されるものではない。例えば、プリチャージ動作が開始して所定の時間が経過した後に、制御部19は設定されたデューティ比DPに基づいてPWM制御を行うようにしてもよい。
【0097】
[変形例4]
上記実施の形態では、
図1に示したように、スイッチング部13とトランス14とを直接接続したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、
図13に示す電力変換システム1Aのように、スイッチング部13とトランス14との間に共振インダクタLrを設けてもよい。電力変換システム1Aは、電力変換装置10Aを備えている。電力変換装置10Aは共振インダクタLrを有している。共振インダクタLrの一端はノードN2に接続され、他端はノードN3に接続される。トランス14の巻線14Aの他端はノードN3に接続される。ここで、共振インダクタLrは、本開示における「インダクタ」の一具体例に対応する。なお、この例では、共振インダクタLrの一端をノードN2に接続するとともに他端を巻線14Aの他端に接続したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、共振インダクタLrの一端をノードN1に接続するとともに他端を巻線14Aの一端に接続してもよい。
【0098】
[変形例5]
上記実施の形態では、
図1に示したように、1次側にスイッチング部13を設けたが、例えば、
図14に示す電力変換システム1Bのように、さらに共振インダクタLrおよびダイオードD11,D12を設けてもよい。この電力変換システム1Bは、電力変換装置10Bを備えている。電力変換装置10Bは、共振インダクタLrと、ダイオードD11,D12とを有している。共振インダクタLrの一端はノードN2に接続され、他端はノードN3に接続される。トランス14の巻線14Aの他端はノードN3に接続される。ダイオードD11のアノードはノードN3に接続され、カソードは電圧線L11に接続される。ダイオードD12のアノードは基準電圧線L12に接続され、カソードはノードN3に接続される。ここで、共振インダクタLrは、本開示における「インダクタ」の一具体例に対応する。ダイオードD11は、本開示における「第1のダイオード」の一具体例に対応する。ダイオードD12は、本開示における「第2のダイオード」の一具体例に対応する。この構成により、電力変換システム1Bでは、高圧バッテリBHから供給された電力を変換し、変換された電力を低圧バッテリBLに供給する電力変換動作を行う際に、ダイオードD11,D12がいわゆるクランプダイオードとして機能することにより、2次側回路で生じるサージ電圧を抑制することができる。プリチャージ動作では、電力変換システム1Bは、
図4~6に示したように、スイッチング部13における4つのトランジスタS1~S4のうち、トランジスタS3,S4を動作させる。これにより、電力変換システム1Bでは、プリチャージ動作において、例えばトランジスタS3がオン状態である場合にはダイオードD11ではなくトランジスタS3に電流が流れ、例えばトランジスタS4がオン状態である場合にはダイオードD12ではなくトランジスタS4に電流が流れる。これにより、プリチャージ動作において、ダイオードD11,D12に流れる電流を低減することができるので、ダイオードD11,D12のサイズアップを行わないで済む。
【0099】
[変形例6]
上記実施の形態では、制御部19は、電圧VLに基づいてプリチャージ期間P1におけるデューティ比DP,DSのシーケンスを生成し、生成されたシーケンスに基づいてスイッチング部13および整流部15の動作を制御するようにしたが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、キャパシタ9に流れる電流に基づいてフィードバック制御を行うことによりスイッチング部13および整流部15の動作を制御してもよい。以下に、いくつか例を挙げて本変形例について詳細に説明する。
【0100】
図15は、本変形例に係る電力変換システム1Cの一構成例を表すものである。電力変換システム1Cは、電力変換装置10Cを有している。電力変換装置10Cは、電流センサ11Cと、制御部19Cとを有している。電流センサ11Cは、端子T11に流れる電流を検出するように構成される。電流センサ11Cの一端は端子T11に接続され、他端は電圧線L11に接続される。電流センサ11Cは、電圧線L11から端子T11に向かって流れる電流を、電流IHとして検出する。そして、電流センサ11Cは、電流IHの検出結果を制御部19Cに供給するようになっている。制御部19Cは、電流センサ11Cにより検出された電流IH、電圧センサ12により検出された電圧VH、および電圧センサ18により検出された電圧VLに基づいて、スイッチング部13および整流部15の動作を制御するように構成される。
【0101】
図16は、制御部19Cの一構成例を表すものである。制御部19Cは、プリチャージ制御部21Cを有している。プリチャージ制御部21Cは、平均電流算出部25Cと、リファレンスレベル生成部26Cと、エラーアンプ27Cと、デューティ比生成部24Cとを有している。
【0102】
平均電流算出部25Cは、電流センサ11Cにより検出された電流IHの平均値を算出するように構成される。リファレンスレベル生成部26Cは、電流IHの平均値に対するリファレンスレベルREFを生成するように構成される。エラーアンプ27Cは、リファレンスレベルREFと、電流IHの平均値との差分を増幅することにより誤差信号Serrを生成するように構成される。デューティ比生成部24Cは、誤差信号Serrに基づいてデューティ比DSを生成するように構成される。
【0103】
これにより、電力変換システム1Cでは、プリチャージ動作において、キャパシタ9に流れる電流に基づいてフィードバック制御を行うことにより、整流部15の動作を制御することができる。
【0104】
次に、本変形例に係る他の電力変換システム1Dについて説明する。この電力変換システム1Dは、電力変換システム1C(
図15)と同様に、電流センサ11Cと、制御部19Dとを有している。
【0105】
図17は、制御部19Dの一構成例を表すものである。制御部19Dは、プリチャージ制御部21Dを有している。プリチャージ制御部21Dは、平均電流算出部25Cと、リファレンスレベル生成部26Cと、エラーアンプ27Cと、デューティ比生成部23Dとを有している。デューティ比生成部23Dは、誤差信号Serrに基づいてデューティ比DPを生成するように構成される。
【0106】
これにより、電力変換システム1Dでは、プリチャージ動作において、キャパシタ9に流れる電流に基づいてフィードバック制御を行うことにより、スイッチング部13の動作を制御することができる。
【0107】
また、これに限定されるものではなく、例えば、これらを組み合わせ、プリチャージ動作において、キャパシタ9に流れる電流に基づいてフィードバック制御を行うことにより、スイッチング部13および整流部15の両方の動作を制御してもよい。
【0108】
また、電力変換システム1Cでは、
図15に示したように、電流センサ11Cを端子T11と電圧線L11との間に設けたが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、電流センサ11Cを端子T12と基準電圧線L12との間に設けてもよいし、ノードN1と巻線14Aの一端との間に設けてもよいし、ノードN2と巻線14Aの他端との間に設けてもよい。また、この例では、電流センサ11Cを1次側回路に設けたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば電流センサ11Cを2次側回路に設けてもよい。
【0109】
[変形例7]
上記実施の形態では、制御部19は、電圧VLに基づいてプリチャージ期間P1におけるデューティ比DP,DSのシーケンスを生成し、生成したデューティ比DP,DSに基づいてスイッチング部13および整流部15の動作を制御するようにしたが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、電圧VHに基づいてフィードバック制御を行うことによりスイッチング部13および整流部15の動作を制御してもよい。以下に、いくつか例を挙げて本変形例について詳細に説明する。
【0110】
本変形例に係る電力変換システム1Eは、制御部19Eとを有している。
【0111】
図18は、制御部19Eの一構成例を表すものである。制御部19Eは、プリチャージ制御部21Eを有している。プリチャージ制御部21Eは、リファレンスレベル生成部26Eと、エラーアンプ27Eと、デューティ比生成部24Eとを有している。
【0112】
リファレンスレベル生成部26Eは、電圧VHに対するリファレンスレベルREFを生成するように構成される。エラーアンプ27Eは、リファレンスレベルREFと電圧VHとの差分を増幅することにより誤差信号Serrを生成するように構成される。デューティ比生成部24Eは、誤差信号Serrに基づいてデューティ比DSを生成するように構成される。
【0113】
これにより、電力変換システム1Eでは、プリチャージ動作において、電圧VHに基づいてフィードバック制御を行うことにより、整流部15の動作を制御することができる。
【0114】
次に、本変形例に係る他の電力変換システム1Fについて説明する。この電力変換システム1Fは、電力変換システム1Eと同様に、制御部19Fとを有している。
【0115】
図19は、制御部19Fの一構成例を表すものである。制御部19Fは、プリチャージ制御部21Fを有している。プリチャージ制御部21Fは、リファレンスレベル生成部26Eと、エラーアンプ27Eと、デューティ比生成部23Fとを有している。デューティ比生成部23Fは、誤差信号Serrに基づいてデューティ比DPを生成するように構成される。
【0116】
これにより、電力変換システム1Fでは、プリチャージ動作において、電圧VHに基づいてフィードバック制御を行うことにより、スイッチング部13の動作を制御することができる。
【0117】
また、これに限定されるものではなく、例えば、これらを組み合わせ、プリチャージ動作において、電圧VHに基づいてフィードバック制御を行うことにより、スイッチング部13および整流部15の両方の動作を制御してもよい。
【0118】
[変形例8]
上記実施の形態では、
図1に示したように、電圧線L21Aおよび基準電圧線L22の間に4つのトランジスタS5~S8を設けたが、
図20に示す電力変換システム1Gのように、さらに、電圧線L21Aおよび基準電圧線L22の間にツェナーダイオードDZを設けてもよい。この電力変換システム1Gは、電力変換装置10Gを備えている。電力変換装置10Gは、整流部15Gを有している。整流部15Gは、ツェナーダイオードDZを有している。ツェナーダイオードDZのアノードは基準電圧線L22に接続され、カソードは電圧線L21Aに接続される。ツェナーダイオードDZのツェナー電圧は、トランジスタS5~S8におけるアバランシェ降伏のブレイクダウン電圧よりも低い。これにより、チョークインダクタ16において逆起電圧が生じた場合に、動作状態ST3~ST5(
図7C~7E)において、トランジスタS5~S8がアバランシェ降伏状態AVAにならないようにすることができる。ここで、ツェナーダイオードDZは、本開示における「ツェナーダイオード」の一具体例に対応する。なお、この例では、ツェナーダイオードDZを電圧線L21Aおよび基準電圧線L22の間に設けたが、これに限定されるものではない。これに代えて、トランジスタS5~S8のそれぞれのドレインおよびソースの間にツェナーダイオードを設けてもよい。
【0119】
この例では、ツェナーダイオードDZを電圧線L21Aと基準電圧線L22との間に設けたが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、
図21に示す、ツェナーダイオードDZを含むアクティブクランプ回路90を、電圧線L21Aと基準電圧線L22との間に設けてもよい。アクティブクランプ回路90は、ツェナーダイオードDZと、抵抗素子R1と、トランジスタTRとを有している。ツェナーダイオードDZのアノードは抵抗素子R1の一端およびトランジスタTRのゲートに接続され、カソードは電圧線L21Aに接続される。抵抗素子R1の一端はツェナーダイオードDZのアノードに接続され、他端は基準電圧線L22に接続される。トランジスタTRはN型の電界効果トランジスタであり、ドレインは電圧線L21Aに接続され、ゲートはツェナーダイオードDZのアノードおよび抵抗素子R1の一端に接続され、ソースは基準電圧線L22に接続される。これにより、アクティブクランプ回路90のクランプ電圧の設定自由度を高めることができるので、チョークインダクタ16において逆起電圧が生じた場合に、トランジスタS5~S8がアバランシェ降伏状態AVAにならないようにすることができる。
【0120】
[変形例9]
上記実施の形態では、チョークインダクタ16を設けるようにしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、
図22に示す電力変換システム1Hのように、チョークトランス31を設けてもよい。この電力変換システム1Hは、電力変換装置10Hを備えている。電力変換装置10Hは、平滑部41Hと、ダイオードD13とを有している。平滑部41Hは、チョークトランス31を有している。チョークトランス31は、巻線31A,31Bを有している。巻線31Aの一端は電圧線L11に接続され、他端はダイオードD13のカソードに接続される。巻線31Bの一端は電圧線L21Aに接続され、他端は電圧線L21Bに接続される。ダイオードD13のアノードは基準電圧線L12に接続され、カソードは巻線31Aの他端に接続される。ここで、チョークトランス31は、本開示における「チョークトランス」の一具体例に対応する。ダイオードD13は、本開示における「第3のダイオード」の一具体例に対応する。
【0121】
図23は、電力変換システム1Hにおけるプリチャージ動作のシミュレーション波形例を表すものであり、(A)はゲート信号GE,GFの波形を示し、(B)はゲート信号GC,GDの波形を示し、(C)はキャパシタ9に流れ込む電流(チャージ電流ICHG)の波形を示し、(D)はダイオードD13に流れる電流(ダイオード電流ID)の波形を示し、(E)はトランス14の励磁電流IMの波形を示し、(F)はチョークトランス31の励磁電流ILCHの波形を示し、(G)はトランス14の巻線14Bにおける、ノードN5を基準としたノードN4における電圧(トランス電圧VTR2)の波形を示し、(H)は電圧VHの波形を示す。
【0122】
制御部19は、
図23(A),(B)に示したように、タイミングt41において、ゲート信号GC,GFを低レベルから高レベルに変化させる。そして、制御部19は、このタイミングt41からデューティ比DPに対応する時間が経過したタイミングでゲート信号GCを高レベルから低レベルに変化させ、このタイミングt41からデューティ比DSに対応する時間が経過したタイミングでゲート信号GFを高レベルから低レベルに変化させる。次に、制御部19は、タイミングt42において、ゲート信号GD,GEを低レベルから高レベルに変化させる。そして、制御部19は、このタイミングt42からデューティ比DPに対応する時間が経過したタイミングでゲート信号GDを高レベルから低レベルに変化させ、このタイミングt42からデューティ比DSに対応する時間が経過したタイミングでゲート信号GEを高レベルから低レベルに変化させる。制御部19は、ゲート信号GA,GBを低レベルに維持する。電力変換システム1Hでは、デューティ比DP,DSを変化させつつ、タイミングt41~t43の動作を繰り返すことにより、キャパシタ9をチャージする。これにより、
図23(H)に示したように、電圧VHが徐々に上昇する。
【0123】
以下に、タイミングt41~t42の期間における、ゲート信号GC,GFに基づく動作を例に挙げて、詳細に説明する。なお、タイミングt42~t43の期間における、ゲート信号GD,GEに基づく動作についても同様である。
【0124】
図24,25は、タイミングt41~t42の期間における動作をより詳しく表すものであり、(A)はゲート信号GC~GFの波形を示し、(B)はキャパシタ9に流れ込む電流(チャージ電流ICHG)の波形を示し、(C)はトランス14の励磁電流IMの波形を示し、(D)はトランス14の巻線14Aにおける、ノードN2を基準としたノードN1における電圧(トランス電圧VTR1)の波形を示し、(E)はトランス14の巻線14Bにおける、ノードN5を基準としたノードN4における電圧(トランス電圧VTR2)の波形を示し、(F)はチョークトランス31の励磁電流ILCHの波形を示し、(G)は低圧バッテリBLに流れる電流ILLKの波形を示し、(H)はダイオードD13に流れる電流(ダイオード電流ID)の波形を示し、(I)はチョークトランス31の巻線31Aにおける、ダイオードD13のカソードを基準とした電圧線L11における電圧(電圧VLCH2)の波形を示し、(J)はチョークトランス31の巻線31Bにおける、電圧線L21Bを基準とした電圧線L21Aにおける電圧(電圧VLCH1)の波形を示し、(K)は電圧VHの波形を示す。
図24に示したように、電力変換システム1Hは、タイミングt41~t42の期間において、8つの動作状態ST21~ST28をとり得る。電力変換システム1Hの動作状態STは、動作状態ST21、動作状態ST22、動作状態ST23、…、動作状態ST28の順に変化する。動作状態ST23~ST25は、微小期間における動作状態である。
図25では、この動作状態ST23~ST25に対応する期間およびその周辺の期間の動作を拡大して示している。
【0125】
図26A~26Hは、8つの動作状態ST21~ST28における電力変換システム1Hの動作を表すものである。
【0126】
動作状態ST21では、制御部19は、ゲート信号GC,GFを高レベルにし、ゲート信号GA,GB,GD,GEを低レベルにする(
図24(A))。これにより、トランジスタS3,S5,S8がオン状態になり、トランジスタS1,S2,S4,S6,S7がオフ状態になる(
図26A)。2次側回路では、低圧バッテリBLの正端子、チョークトランス31の巻線31B、オン状態であるトランジスタS5、巻線14B、オン状態であるトランジスタS8、低圧バッテリBLの負端子の順に電流I2が流れ、チョークトランス31の励磁インダクタLCHにエネルギーが蓄えられる。1次側回路では、トランジスタS1のボディダイオードD1がオン状態になり、巻線14Aの一端(ノードN1)、トランジスタS1のボディダイオードD1、オン状態であるトランジスタS3、巻線14Aの他端(ノードN2)の順に電流I1が流れ、トランス14の漏れインダクタLLKにエネルギーが蓄えられる。このとき、2次側回路から見て、1次側回路はほぼ短絡状態である。よって、トランス電圧VTR1,VTR2は、ほぼ0Vである(
図24(D),(E))。
【0127】
次の動作状態ST22では、制御部19は、ゲート信号GCを高レベルから低レベルに変化させる(
図24(A))。これにより、トランジスタS3がオン状態からオフ状態に変化する(
図26B)。1次側回路では、トランジスタS4のボディダイオードD4がオン状態になり、巻線14Aの一端(ノードN1)、トランジスタS1のボディダイオードD1、キャパシタ9、トランジスタS4のボディダイオードD4、巻線14Aの他端(ノードN2)の順に電流I1が流れ、チャージ電流ICHGが流れる(
図24(B))。すなわち、トランス14の漏れインダクタLLKに蓄えられたエネルギーが放出され、キャパシタ9に蓄えられる。このようにして、電圧VHが上昇する(
図24(K))。2次側回路では、トランス電圧VTR2が正電圧になり(
図24(E))、トランス14に励磁電流IMが流れ始める(
図24(C))。電力変換システム1Hが降圧動作を行う場合には、インダクタ電流ILは増加し、電力変換システム1Hが昇圧動作を行う場合には、インダクタ電流ILは減少する(
図24(F))。
【0128】
次の、微小期間における動作状態ST23では、制御部19は、ゲート信号GFを高レベルから低レベルに変化させる(
図24(A),25(A))。これにより、トランジスタS5,S8がオン状態からオフ状態に変化する(
図26C)。2次側回路では、チョークトランス31に逆起電圧が生じ、トランジスタS5~S8のそれぞれのドレイン・ソース間電圧が大きくなり、アバランシェ降伏のブレークダウン電圧に至る。その結果、トランジスタS5~S8のそれぞれにおいて、アバランシェ電流が流れ、トランジスタS5~S8のそれぞれがアバランシェ降伏状態AVAになる。このように、トランジスタS5~S8のそれぞれがアバランシェ降伏状態AVAになることにより、トランス電圧VTR2はほぼ0Vになる(
図24(E),25(E))。1次側回路では、1つ前の動作状態ST22から継続して、巻線14Aの一端(ノードN1)、トランジスタS1のボディダイオードD1、キャパシタ9、トランジスタS4のボディダイオードD4、巻線14Aの他端(ノードN2)の順に電流I1が流れる。トランス電圧VTR1には、トランス14の漏れインダクタLLKの逆起電圧が現れる。また、チョークトランス31の逆起電圧により、チョークトランス31の巻線31Aに電圧が生じる(
図24(I),25(I))。これによりダイオードD13がオン状態になり、ダイオード電流IDが流れ始める(
図24(H),25(H))。
【0129】
次の、微小期間における動作状態ST24では、1次側回路において、トランス14の漏れインダクタLLKに蓄えられたエネルギーの放出が終了し、トランジスタS1のボディダイオードD1およびトランジスタS4のボディダイオードD4がオフ状態になる(
図26D)。このように、1次側回路では、スイッチング部13に電流は流れない。2次側回路では、トランジスタS5~S8のそれぞれは、アバランシェ降伏状態AVAを維持する。トランジスタS5に流れるアバランシェ電流は、トランジスタS6に流れるアバランシェ電流よりも、励磁電流IMの分だけ大きい。同様に、トランジスタS8に流れるアバランシェ電流は、トランジスタS7に流れるアバランシェ電流よりも、励磁電流IMの分だけ大きい。よって、トランジスタS6,S7に流れるアバランシェ電流は、トランジスタS5,S8に流れるアバランシェ電流よりも早く0Aに近づく。また、ダイオードD13は、1つ前の動作状態ST23から継続してオン状態であり、ダイオード電流IDが流れる(
図24(H),25(H))。すなわち、チョークトランス31の励磁インダクタLCHに蓄えられたエネルギーが放出され、キャパシタ9に蓄えられる。このようにして、チャージ電流ICHGが流れ(
図24(B),25(B))、電圧VHが上昇する(
図24(K))。
【0130】
次の、微小期間における動作状態ST25では、トランジスタS6,S7に流れるアバランシェ電流が0Aに到達し、
図26Eに示したように、トランジスタS6,S7のアバランシェ降伏状態AVAは解消する。トランジスタS5,S8はアバランシェ降伏状態AVAを維持する。これにより、トランス電圧VTR1,VTR2は負電圧になる。その結果、1次側回路では、トランジスタS2のボディダイオードD2およびトランジスタS3のボディダイオードD3がオン状態になり、巻線14Aの他端(ノードN2)、トランジスタS3のボディダイオードD3、キャパシタ9、トランジスタS2のボディダイオードD2、巻線14Aの一端(ノードN1)の順に電流I1が流れる。すなわち、トランス14の励磁インダクタLMに蓄えられたエネルギーが放出され、キャパシタ9に蓄えられる。また、ダイオードD13は、継続してオン状態であり、ダイオード電流IDが流れる(
図24(H),25(H))。すなわち、チョークトランス31の励磁インダクタLCHに蓄えられたエネルギーが放出され、キャパシタ9に蓄えられる。このようにして、チャージ電流ICHGが流れ(
図24(B),25(B))、電圧VHが上昇する(
図24(K))。
【0131】
次の動作状態ST26では、2次側回路において、チョークトランス31の漏れインダクタLLKCHに蓄えられていたエネルギーの放出が終了し、トランジスタS5,S8のアバランシェ降伏状態AVAは解消する(
図26F)。これにより、2次側回路では、整流部15に電流が流れない。1次側回路では、1つ前の動作状態ST25から継続して、巻線14Aの他端(ノードN2)、トランジスタS3のボディダイオードD3、キャパシタ9、トランジスタS2のボディダイオードD2、巻線14Aの一端(ノードN1)の順に電流I1が流れる。すなわち、トランス14の励磁インダクタLMに蓄えられたエネルギーが放出され、キャパシタ9に蓄えられる。また、ダイオードD13は、継続してオン状態であり、ダイオード電流IDが流れる(
図24(H))。すなわち、チョークトランス31の励磁インダクタLCHに蓄えられたエネルギーが放出され、キャパシタ9に蓄えられる。このようにして、チャージ電流ICHGが流れ(
図24(B))、電圧VHが上昇する(
図24(K))。
【0132】
次の動作状態ST27では、1次側回路において、トランス14の励磁インダクタLMに蓄えられたエネルギーの放出が終了し、トランジスタS2のボディダイオードD2およびトランジスタS3のボディダイオードD3がオフ状態になる(
図26G)。これにより、1次側回路では、スイッチング部13に電流が流れない。また、ダイオードD13は、継続してオン状態であり、ダイオード電流IDが流れる(
図24(H))。すなわち、チョークトランス31の励磁インダクタLCHに蓄えられたエネルギーが放出され、キャパシタ9に蓄えられる。このようにして、チャージ電流ICHGが流れ(
図24(B))、電圧VHが上昇する(
図24(K))。
【0133】
次の動作状態ST28では、1次側回路において、チョークトランス31の励磁インダクタLCHに蓄えられたエネルギーの放出が終了し、ダイオードD13がオフ状態になる(
図26H)。これにより、1次側回路では電流が流れない。すなわち、この動作状態ST28では、1次側回路および2次側回路の両方において、電流は流れない。
【0134】
このようにして、タイミングt41~t42の期間において、キャパシタ9がチャージされ、電圧VHが上昇する。タイミングt42~t43の期間についても同様である。なお、上述した動作は一例である。例えば、デューティ比DSが上昇し“0.5”に近づくと、例えば、動作状態ST21~ST28のうちの動作状態ST28がなくなり得る。電力変換システム1では、
図23に示したように、このようなタイミングt41~t43の動作を繰り返すことにより、キャパシタ9が徐々にチャージされ、電圧VHが徐々に上昇する。
【0135】
本変形例に係る電力変換システム1Hでは、上記実施の形態に係るチョークインダクタ16(
図1)に代えて、チョークトランス31を設けるようにした。これにより、電力変換システム1Hでは、例えば、トランジスタS5~S8がアバランシェ降伏状態AVAである場合において消費するエネルギーを、1次側回路に効率よく伝達し回生することができる。また、電力変換システム1Hでは、例えば、トランジスタS5~S8がアバランシェ降伏状態AVAになる期間の長さを短くすることができる。
【0136】
図22の例では、基準電圧線L12と電圧線L11とを結ぶ経路に、ダイオードD13と、チョークトランス31の巻線31Aとを設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、
図27に示す電力変換システム1Iのように、この経路にさらにスイッチSWを設けてもよい。この電力変換システム1Iは、電力変換装置10Iを備えている。電力変換装置10Iは、スイッチSWと、制御部19Iとを有している。スイッチSWの一端は基準電圧線L12に接続され、他端はダイオードD13のアノードに接続される。スイッチSWは、制御部19Iからの指示に基づいて動作し、オン状態になることにより、ダイオードD13のアノードを基準電圧線L12に接続する。制御部19Iは、上記実施の形態に係る制御部19と同様に、電圧センサ12により検出された電圧VH、および電圧センサ18により検出された電圧VLに基づいて、スイッチング部13および整流部15の動作を制御することにより、電力変換装置10Iの動作を制御するように構成される。制御部19Iは、プリチャージ動作においてスイッチSWをオン状態にし、電力変換動作においてスイッチSWをオフ状態にするようになっている。具体的には、
図28に示すように、制御部19Iは、電圧VHがしきい値Vthに到達した場合(ステップS103において“Y”)に、PWM制御を終了し(ステップS104)、スイッチSWをオフ状態にする(ステップS135)。ここで、スイッチSWは、本開示における「スイッチ」の一具体例に対応する。
【0137】
図29は、本変形例に係る他の電力変換システム1Jの一構成例を表すものである。電力変換システム1Jは、チョークトランス31の巻線31Aの両端を、2次側回路に接続したものである。すなわち、
図22に示した電力変換システム1Hでは、チョークトランス31の巻線31Aの両端を、トランス14よりも高圧バッテリBH側の1次側回路に接続したが、本変形例に係る電力変換システム1Jでは、チョークトランス31の巻線31Aの両端を、トランス14よりも低圧バッテリBL側の2次側回路に接続している。この電力変換システム1Jは、電力変換装置10Jを備えている。電力変換装置10Jは、平滑部41Jと、ダイオードD13とを有している。平滑部41Jは、チョークトランス31を有している。チョークトランス31は、巻線31A,31Bを有している。巻線31Aの一端は電圧線L21Bに接続され、他端はダイオードD13のカソードに接続される。巻線31Bの一端は電圧線L21Aに接続され、他端は電圧線L21Bに接続される。ダイオードD13のアノードは基準電圧線L22に接続され、カソードは巻線31Aの他端に接続される。ここで、チョークトランス31は、本開示における「チョークトランス」の一具体例に対応する。ダイオードD13は、本開示における「第3のダイオード」の一具体例に対応する。
【0138】
図30は、電力変換システム1Jにおけるプリチャージ動作の一例を表すものであり、(A)はゲート信号GE,GFの波形を示し、(B)はゲート信号GC,GDの波形を示し、(C)はキャパシタ9に流れ込む電流(チャージ電流ICHG)の波形を示し、(D)はトランス14の巻線14Aに流れる電流(トランス電流IP)の波形を示し、(E)はチョークトランス31の巻線31Bに流れる電流(コイル電流ILCH1)の波形を示し、(F)はチョークトランス31の巻線31Aに流れる電流(コイル電流ILCH2)の波形を示し、(G)はトランス14の巻線14Bにおける、ノードN5を基準としたノードN4における電圧(トランス電圧VTR2)の波形を示し、(H)は電圧VHの波形を示す。
【0139】
制御部19は、
図30(A),(B)に示したように、タイミングt51において、ゲート信号GC,GFを低レベルから高レベルに変化させる。そして、制御部19は、このタイミングt51からデューティ比DPに対応する時間が経過したタイミングでゲート信号GCを高レベルから低レベルに変化させ、このタイミングt51からデューティ比DSに対応する時間が経過したタイミングでゲート信号GFを高レベルから低レベルに変化させる。次に、制御部19は、タイミングt52において、ゲート信号GD,GEを低レベルから高レベルに変化させる。そして、制御部19は、このタイミングt56からデューティ比DPに対応する時間が経過したタイミングでゲート信号GDを高レベルから低レベルに変化させ、このタイミングt56からデューティ比DSに対応する時間が経過したタイミングでゲート信号GEを高レベルから低レベルに変化させる。制御部19は、ゲート信号GA,GBを低レベルに維持する。電力変換システム1Jでは、デューティ比DP,DSを変化させつつ、タイミングt51~t53の動作を繰り返すことにより、キャパシタ9をチャージする。これにより、
図30(H)に示したように、電圧VHが徐々に上昇する。
【0140】
以下に、タイミングt51~t52の期間における、ゲート信号GC,GFに基づく動作を例に挙げて、詳細に説明する。なお、タイミングt52~t53の期間における、ゲート信号GD,GEに基づく動作についても同様である。電力変換システム1Jは、タイミングt51~t52の期間において、5つの動作状態ST31~ST35をとり得る。なお、この説明では、
図24における動作状態ST23~ST25のような、微小期間における動作状態の説明を省いている。電力変換システム1Jの動作状態STは、動作状態ST31、動作状態ST32、…、動作状態ST35の順に変化する。
【0141】
図31A~31Eは、5つの動作状態ST31~ST35における電力変換システム1Jの動作を表すものである。
【0142】
動作状態ST31では、制御部19は、ゲート信号GC,GFを高レベルにし、ゲート信号GA,GB,GD,GEを低レベルにする(
図31(A))。これにより、トランジスタS3,S5,S8がオン状態になり、トランジスタS1,S2,S4,S6,S7がオフ状態になる(
図31A)。2次側回路では、低圧バッテリBLの正端子、チョークトランス31の巻線31B、オン状態であるトランジスタS5、巻線14B、オン状態であるトランジスタS8、低圧バッテリBLの負端子の順に電流I2が流れ、チョークトランス31の励磁インダクタLCHにエネルギーが蓄えられる。1次側回路では、トランジスタS1のボディダイオードD1がオン状態になり、巻線14Aの一端(ノードN1)、トランジスタS1のボディダイオードD1、オン状態であるトランジスタS3、巻線14Aの他端(ノードN2)の順に電流I1が流れ、トランス14の漏れインダクタLLKにエネルギーが蓄えられる。このとき、2次側回路から見て、1次側回路はほぼ短絡状態である。よって、トランス電圧VTR2は、ほぼ0Vである(
図30(G))。
【0143】
次の動作状態ST32では、制御部19は、ゲート信号GCを高レベルから低レベルに変化させる(
図30(B))。これにより、トランジスタS3がオン状態からオフ状態に変化する(
図31B)。1次側回路では、トランジスタS4のボディダイオードD4がオン状態になり、巻線14Aの一端(ノードN1)、トランジスタS1のボディダイオードD1、キャパシタ9、トランジスタS4のボディダイオードD4、巻線14Aの他端(ノードN2)の順に電流I1が流れ、チャージ電流ICHGが流れる(
図30(C))。すなわち、トランス14の漏れインダクタLLKに蓄えられたエネルギーが放出され、キャパシタ9に蓄えられる。このようにして、電圧VHが上昇する(
図30(H))。2次側回路では、トランス電圧VTR2が正電圧になる(
図30(G))。電力変換システム1Jが降圧動作を行う場合には、チョークコイル電流ILCH1は増加し、電力変換システム1Jが昇圧動作を行う場合には、チョークコイル電流ILCH1は減少する(
図30(E))。
【0144】
次の動作状態ST33では、制御部19は、ゲート信号GFを高レベルから低レベルに変化させる(
図30(A))。これにより、トランジスタS5,S8がオン状態からオフ状態に変化する(
図31C)。1次側回路では、1つ前の動作状態ST32から継続して、巻線14Aの一端(ノードN1)、トランジスタS1のボディダイオードD1、キャパシタ9、トランジスタS4のボディダイオードD4、巻線14Aの他端(ノードN2)の順に電流I1が流れる。これにより、電圧VHは継続して上昇する(
図30(H))。2次側回路では、チョークトランス31に逆起電圧が生じ、この逆起電圧により、チョークトランス31の巻線31Aに電圧が生じる。これによりダイオードD13がオン状態になり、巻線31A、低圧バッテリBL、ダイオードD13、巻線31Aの順に電流I2が流れ、チョークコイル電流ILCH2が流れる(
図30(F))。
【0145】
次の動作状態ST34では、1次側回路において、トランス14の励磁エネルギーの放出が終了し、トランジスタS1のボディダイオードD1およびトランジスタS4のボディダイオードD4がオフ状態になる(
図31D)。このように、1次側回路では、スイッチング部13に電流は流れない。2次側回路では、ダイオードD13は、1つ前の動作状態ST23から継続してオン状態であり、チョークコイル電流ILCH2が流れる(
図30(F))。
【0146】
次の動作状態ST35では、1次側回路において、チョークトランス31の励磁インダクタLCHに蓄えられたエネルギーの放出が終了し、ダイオードD13がオフ状態になる(
図31E)。これにより、2次側回路では電流が流れない。すなわち、この動作状態ST35では、1次側回路および2次側回路の両方において、電流は流れない。
【0147】
このようにして、タイミングt51~t52の期間において、キャパシタ9がチャージされ、電圧VHが上昇する。タイミングt52~t53の期間についても同様である。
【0148】
図29の例では、基準電圧線L22と電圧線L21Bとを結ぶ経路に、ダイオードD13と、チョークトランス31の巻線31Aとを設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、
図32に示す電力変換システム1Kのように、この経路にさらにスイッチSWを設けてもよい。この電力変換システム1Kは、電力変換装置10Kを備えている。電力変換装置10Kは、スイッチSWと、制御部19Kとを有している。スイッチSWの一端は基準電圧線L22に接続され、他端はダイオードD13のアノードに接続される。スイッチSWは、制御部19Kからの指示に基づいて動作し、オン状態になることにより、ダイオードD13のアノードを基準電圧線L22に接続する。制御部19Kは、上記実施の形態に係る制御部19と同様に、電圧センサ12により検出された電圧VH、および電圧センサ18により検出された電圧VLに基づいて、スイッチング部13および整流部15の動作を制御することにより、電力変換装置10Kの動作を制御するように構成される。制御部19Kは、プリチャージ動作においてスイッチSWをオン状態にし、電力変換動作においてスイッチSWをオフ状態にするようになっている。
【0149】
[変形例10]
上記実施の形態では、
図1に示したように、フルブリッジ型の回路を用いて整流部15を構成したが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、いわゆるセンタータップ型の電力変換システムであってもよい。以下に、本変形例について詳細に説明する。
【0150】
図33は、本変形例に係る電力変換システム2の一構成例を表すものである。電力変換システム2は、電力変換装置30を備えている。電力変換装置30は、トランス34と、整流部35と、制御部39とを有している。
【0151】
トランス34は、巻線34A,34B,34Cを有している。巻線34Aの一端はスイッチング部13におけるノードN1に接続され、他端はスイッチング部13におけるノードN2に接続される。巻線34Bの一端はノードN6に接続され、他端は巻線34Cの一端および電圧線L21Aに接続される。巻線34Cの一端は巻線34Bの他端および電圧線L21Aに接続され、他端はノードN7に接続される。
【0152】
整流部35は、トランジスタS9,S10を有している。トランジスタS9,S10は、例えばN型の電界効果トランジスタを用いて構成される。トランジスタS9,S10は、ボディダイオードD9、D10をそれぞれ有している。トランジスタS9は、ノードN6と基準電圧線L22とを結ぶ経路に設けられ、オン状態になることによりノードN6を基準電圧線L22に接続するように構成される。トランジスタS9のドレインはノードN6に接続され、ゲートにはゲート信号GFが供給され、ソースは基準電圧線L22に接続される。トランジスタS10は、ノードN7と基準電圧線L22とを結ぶ経路に設けられ、オン状態になることによりノードN7を基準電圧線L22に接続するように構成される。トランジスタS20のドレインはノードN7に接続され、ゲートにはゲート信号GEが供給され、ソースは基準電圧線L22に接続される。
【0153】
制御部39は、電圧センサ12により検出された電圧VH、および電圧センサ18により検出された電圧VLに基づいて、スイッチング部13および整流部35の動作を制御することにより、電力変換装置30の動作を制御するように構成される。具体的には、制御部39は、電圧VH,VLに基づいてゲート信号GA~GFを生成し、このゲート信号GA~GFによりPWM(Pulse Width Modulation)制御を行うことにより、電力変換装置30の動作を制御するようになっている。
【0154】
ここで、トランス34は、本開示における「トランス」の一具体例に対応する。巻線34Aは、本開示における「第1の巻線」の一具体例に対応する。巻線34Bは、本開示における「第2の巻線」の一具体例に対応する。巻線34Cは、本開示における「第3の巻線」の一具体例に対応する。整流部35は、本開示における「整流部」の一具体例に対応する。ノードN6は、本開示における「第6のノード」の一具体例に対応する。ノードN7は、本開示における「第7のノード」の一具体例に対応する。トランジスタS9は、本開示における「第9のスイッチング素子」の一具体例に対応する。トランジスタS10は、本開示における「第10のスイッチング素子」の一具体例に対応する。
【0155】
この電力変換システム2に、上記変形例を適用してもよい。以下に、変形例を適用した電力変換システムについて、いくつか例について説明する。
【0156】
図34は、変形例4を適用した電力変換システム2Aの一構成例を表すものである。この電力変換システム2Aは、電力変換装置30Aを備えている。電力変換装置30Aは共振インダクタLrを有している。共振インダクタLrの一端はノードN2に接続され、他端はトランス34の巻線34Aの他端に接続される。
【0157】
図35は、変形例5を適用した電力変換システム2Bの一構成例を表すものである。この電力変換システム2Bは、電力変換装置30Bを備えている。電力変換装置30Bは、共振インダクタLrと、ダイオードD11,D12とを有している。共振インダクタLrの一端はノードN2に接続され、他端はノードN3に接続される。トランス34の巻線34Aの他端はノードN3に接続される。ダイオードD11のアノードはノードN3に接続され、カソードは電圧線L11に接続される。ダイオードD12のアノードは基準電圧線L12に接続され、カソードはノードN3に接続される。
【0158】
図36は、変形例6を適用した電力変換システム2Cの一構成例を表すものである。この電力変換システム2Cは、電力変換装置30Cを備えている。電力変換装置30Cは、電流センサ11Cと、制御部39Cとを有している。電流センサ11Cは、端子T11に流れる電流を検出するように構成される。電流センサ11Cの一端は端子T11に接続され、他端は電圧線L11に接続される。電流センサ11Cは、電圧線L11から端子T11に向かって流れる電流を、電流IHとして検出する。制御部39Cは、電流センサ11Cにより検出された電流IH、電圧センサ12により検出された電圧VH、および電圧センサ18により検出された電圧VLに基づいて、スイッチング部13および整流部35の動作を制御するように構成される。制御部39Cは、例えば、
図16に示したプリチャージ制御部21Cを有してもよいし、
図17に示したプリチャージ制御部21Dを有してもよい。
【0159】
図37は、変形例8を適用した電力変換システム2Gの一構成例を表すものである。この電力変換システム2Gは、電力変換装置30Gを備えている。電力変換装置30Gは、整流部35Gを有している。整流部35Gは、ツェナーダイオードDZ1,DZ2を有している。ツェナーダイオードDZ1のアノードは基準電圧線L22に接続され、カソードはノードN6に接続される。ツェナーダイオードDZ2のアノードは基準電圧線L22に接続され、カソードはノードN7に接続される。なお、この例に限定されるものではなく、
図21に示したアクティブクランプ回路90を用いてもよい。具体的には、アクティブクランプ回路90(アクティブクランプ回路90A)をノードN6と基準電圧線L22との間に設けるとともに、別のアクティブクランプ回路90(アクティブクランプ回路90B)をノードN7と基準電圧線L22との間に設けてもよい。
【0160】
図38は、変形例9を適用した電力変換システム2Hの一構成例を表すものである。この電力変換システム2Hは、電力変換装置30Hを備えている。電力変換装置30Hは、チョークトランス31と、ダイオードD13とを有している。チョークトランス31は、巻線31A,31Bを有している。巻線31Aの一端は電圧線L11に接続され、他端はダイオードD13のカソードに接続される。巻線31Bの一端は電圧線L21Aに接続され、他端は電圧線L21Bに接続される。ダイオードD13のアノードは基準電圧線L12に接続され、カソードは巻線31Aの他端に接続される。なお、
図27の例と同様に、さらに、スイッチSWを設けてもよい。
【0161】
図39は、変形例9を適用した他の電力変換システム2Jの一構成例を表すものである。この電力変換システム2Jは、電力変換装置30Jを備えている。電力変換装置30Jは、チョークトランス31と、ダイオードD13とを有している。チョークトランス31は、巻線31A,31Bを有している。巻線31Aの一端は電圧線L21Bに接続され、他端はダイオードD13のカソードに接続される。巻線31Bの一端は電圧線L21Aに接続され、他端は電圧線L21Bに接続される。ダイオードD13のアノードは基準電圧線L22に接続され、カソードは巻線31Aの他端に接続される。なお、
図32の例と同様に、さらに、スイッチSWを設けてもよい。
【0162】
[その他の変形例]
また、これらの変形例のうちの2以上を組み合わせてもよい
【0163】
以上、実施の形態および変形例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
【0164】
例えば、上記実施の形態では、電力変換動作において、降圧動作を行うようにしたが、これに限定されるものではなく、昇圧動作を行うようにしてもよい。
【0165】
例えば、上記実施の形態では、電力変換動作において、高圧バッテリBHから低圧バッテリBLに電力を供給する単方向の変換動作を行うようにしたが、これに限定されるものではない。例えば、電力変換動作において、高圧バッテリBHから低圧バッテリBLに電力を供給するモードと、低圧バッテリBLから高圧バッテリBHに電力を供給するモードとを設けることにより、双方向の変換動作を行うようにしてもよい。この場合でも、高圧バッテリBHから低圧バッテリBLに電力を供給するモードで電力変換動作を行う前の準備期間において、低圧バッテリBLから供給された電力に基づいてキャパシタ9をチャージすることができる。
【0166】
例えば、上記実施の形態では、制御部19は、プリチャージ動作において、式EQ1,EQ2を満たすように、デューティ比DP,DSを生成したが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、電力変換動作において、高圧バッテリBHから低圧バッテリBLに電力を供給するモードと、低圧バッテリBLから高圧バッテリBHに電力を供給するモードとを有する、双方向の変換動作を行う電力変換システムにおいて、低圧バッテリBLから高圧バッテリBHに電力を供給するモードで電力変換動作を行う際に、制御部19は、式EQ1,EQ2を満たすように、デューティ比DP,DSを生成してもよい。
【0167】
例えば、トランジスタのボディダイオードがオン状態になる際、このタイミングでトランジスタのゲート信号を高レベルにしてそのトランジスタをオン状態にするように同期させてもよい。これにより、電力変換システムにおける変換効率を高めることができる。
【符号の説明】
【0168】
1,1A,1B,1C,1G,1H,1I,1J,1K,2,2A,2B,2C,2G,2H,2J…電力変換システム、9…キャパシタ、10,10A,10B,10C,10G,10H,10I,10J,10K,30,30A,30B,30C,30G,30H,30J…電力変換装置、11C…電流センサ、12…電圧センサ、13…スイッチング部、14,34…トランス、14A,14B,34A~34C…巻線、15,15G,35、35G…整流部、16…チョークインダクタ、17…キャパシタ、18…電圧センサ、19,19C,19D,19E,19F,19I,19K,39,39C…制御部、21,21C,21D,21E,21F…プリチャージ制御部、22…目標値判定部、23,23D,23F,24,24C,24E…デューティ比生成部、25…電力変換制御部、25C…平均電流算出部、26,27…ゲート信号生成部、26C,26E…リファレンスレベル生成部、27C,27E…エラーアンプ、31…チョークトランス、31A,31B…巻線、41,41H,41J…平滑部、90…アクティブクランプ回路、AVA…アバランシェ降伏状態、BH…高圧バッテリ、BL…低圧バッテリ、DP,DS…デューティ比、DZ,DZ1,DZ2…ツェナーダイオード、D1~D10…ボディダイオード、D11,D12,D13…ダイオード、GA~GF…ゲート信号、IH…電流、L11,L21A,L21B…電圧線、L12,L22…基準電圧線、Lr…共振インダクタ、N1~N7…ノード、P1…プリチャージ期間、P2…電力変換期間、R1…抵抗素子、SW…スイッチ、SW1,SW2…スイッチ、S1~S10…トランジスタ、TR…トランジスタ、T11,T12,T21,T22…端子、VH,VL…電圧、VH_target…目標電圧、Vth…しきい値。