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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155479
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】車両用のバッテリーケース
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20221005BHJP
   F28D 15/02 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
F28D15/02 101K
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022004847
(22)【出願日】2022-01-17
(31)【優先権主張番号】P 2021057839
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永塚 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】太田 直幸
(72)【発明者】
【氏名】大石 将人
(72)【発明者】
【氏名】岡▲崎▼ 裕志
【テーマコード(参考)】
3D235
【Fターム(参考)】
3D235BB36
3D235CC15
3D235DD23
3D235EE63
3D235FF12
3D235HH42
(57)【要約】
【課題】バッテリーの温度の均一化を図ることができる車両用のバッテリーケースを提供する。
【解決手段】バッテリーケース10の底板部の調温経路20には、バッテリー載置スペースBSの中央部を通過する第一中央経路部211および第二中央経路部212と、バッテリー載置スペースBSの端部を通過する第一外側経路部221および第二外側経路部222と、第一中央経路部211と第一外側経路部221の間の複数の第一中間経路部231と、第二中央経路部212と第二外側経路部222の間の複数の第二中間経路部233とが含まれ、複数の第一中間経路部231は一端部において第一中央経路部211に連通し他端部において第一外側経路部221に連通し、複数の第二中間経路部233は、一方の端部において第二中央経路部212に連通し、他方の端部において第二外側経路部222に連通している。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直角な第一方向および第二方向に延伸する板状の形状を有しており、一方の面にはバッテリーを載置可能な領域が設けられており、内部には前記バッテリーの温度を調節するための流体が通過可能な経路である調温経路が設けられている底板部を有し、
前記調温経路には、
前記第一方向に互いに離間しており前記第二方向に延伸する部分を有する第一外側経路部および第二外側経路部と、
前記第一外側経路部および前記第二外側経路部の間に位置し、前記第二方向に延伸する中央経路部と、
前記第一外側経路部と前記中央経路部との間であって前記第一方向および前記第二方向に直角な第三方向視において前記領域内に位置し、前記第一方向に延伸しており、前記第一方向の前記第一外側経路部に近い側の端部おいて前記第一外側経路部に連通しており、前記第一方向の前記中央経路部に近い側の端部おいて前記中央経路部に連通している複数の第一中間経路部と、
前記第二外側経路部と前記中央経路部との間であって前記第三方向視において前記領域内に位置し、前記第一方向に延伸しており、前記第一方向の前記第二外側経路部に近い側の端部おいて前記第二外側経路部に連通しており、前記第一方向の前記中央経路部に近い側の端部おいて前記中央経路部に連通している複数の第二中間経路部と、
が含まれる、
車両用のバッテリーケース。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用のバッテリーケースであって、
前記中央経路部は、前記第一方向に並んで設けられている第一中央経路部と前記第一中央経路部よりも前記第二外側経路部に近い第二中央経路部とを備え、
複数の前記第一中間経路部は、前記中央経路部に近い側の端部において前記第一中央経路部に連通しており、
複数の前記第二中間経路部は、前記中央経路部に近い側の端部において前記第二中央経路部に連通している、
車両用のバッテリーケース。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の車両用のバッテリーケースであって、
前記領域は、前記第二方向に並んで設けられ、それぞれが前記第一方向に長く前記第二方向に短い長尺形状である複数のバッテリー載置スペースにより構成されており、
前記第三方向視においてそれぞれの前記バッテリー載置スペースに前記第二方向に並ぶ複数の前記第一中間経路部および前記第二方向に並ぶ複数の前記第二中間経路部が通過し、
1つの前記バッテリー載置スペースを通過する複数の前記第一中間経路部は、前記第一外側経路部に近い側の端部において第一連通経路部により互いに連通しているとともに第一オリフィス部を介して前記第一外側経路部に連通しており、
1つの前記バッテリー載置スペースを通過する複数の前記第二中間経路部は、前記第二外側経路部に近い側の端部において第二連通経路部により互いに連通しているとともに第二オリフィス部を介して前記第二外側経路部に連通している、
車両用のバッテリーケース。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用のバッテリーケースであって、
前記第三方向視において1つの前記バッテリー載置スペースを通過する複数の前記第一中間経路部は前記第二方向に並ぶ複数の第一区画壁部により区画されているとともに、前記第一方向視において前記第一オリフィス部と複数のうちの1つの前記第一区画壁部である特定第一区画壁部とが重畳しており、
前記第三方向視において1つの前記バッテリー載置スペースを通過する複数の前記第二中間経路部は前記第二方向に並ぶ複数の第二区画壁部により区画されているとともに、前記第一方向視において前記第二オリフィス部と複数のうちの1つの前記第二区画壁部である特定第二区画壁部とが重畳している、
車両用のバッテリーケース。
【請求項5】
請求項4に記載の車両用のバッテリーケースであって、
前記特定第一区画壁部の前記第一オリフィス部に近い側の端部は、前記特定第一区画壁部以外の前記第一区画壁部の前記第一オリフィス部に近い側の端部よりも、前記第一方向に関して前記第一オリフィス部に近い側に位置しており、
前記特定第二区画壁部の前記第二オリフィス部に近い側の端部は、前記特定第二区画壁部以外の前記第二区画壁部の前記第二オリフィス部に近い側の端部よりも、前記第一方向に関して前記第二オリフィス部に近い側に位置している、
車両用のバッテリーケース。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の車両用のバッテリーケースであって、
前記特定第一区画壁部の前記第一オリフィス部に近い側の端部は、前記第三方向視において前記第二方向における前記特定第一区画壁部の中心から前記第二方向の外側に向かうにしたがって前記第一オリフィス部からの距離が大きくなるように前記第一方向に対して傾斜する傾斜面である2つの特定第一傾斜面を有するとともに、前記第一オリフィス部に近づくにしたがって前記第二方向の寸法が小さくなる先細り形状を有し、
前記特定第二区画壁部の前記第二オリフィス部に近い側の端部は、前記第三方向視において前記第二方向における前記特定第二区画壁部の中心から前記第二方向の外側に向かうにしたがって前記第二オリフィス部からの距離が大きくなるように前記第一方向に対して傾斜する傾斜面である2つの特定第二傾斜面を有するとともに、前記第二オリフィス部に近づくにしたがって前記第二方向の寸法が小さくなる先細り形状を有する、
車両用のバッテリーケース。
【請求項7】
請求項6に記載の車両用のバッテリーケースであって、
前記特定第一区画壁部以外の他の前記第一区画壁部の前記第一外側経路部に近い側の端部は、前記第三方向視において前記第二方向の前記特定第一区画壁部に近い側の面から前記特定第一区画壁部より遠い側の面に向かうにしたがって前記第一オリフィス部からの距離が遠くなるように前記第一方向に対して傾斜する傾斜面である第一傾斜面を有するとともに、前記第一オリフィス部に近づくにしたがって前記第二方向の寸法が小さくなる先細り形状を有し、
前記特定第二区画壁部以外の他の前記第二区画壁部の前記第二外側経路部に近い側の端部は、前記第三方向視において前記第二方向の前記特定第二区画壁部に近い側の面から前記特定第二区画壁部より遠い側の面に向かうにしたがって前記第二オリフィス部からの距離が遠くなるように前記第一方向に対して傾斜する傾斜面である第二傾斜面を有するとともに、前記第二オリフィス部に近づくにしたがって前記第二方向の寸法が小さくなる先細り形状を有する、
車両用のバッテリーケース。
【請求項8】
請求項7に記載の車両用のバッテリーケースであって、
前記第一傾斜面は、前記第三方向視において、前記特定第一区画壁部の2つの前記特定第一傾斜面のうちの前記他の前記第一区画壁部に近い側に位置する1つの前記特定第一傾斜面の延長線よりも前記第一方向について前記中央経路部に近い側に位置しており、
前記第二傾斜面は、前記第三方向視において、前記特定第二区画壁部の2つの前記特定第二傾斜面のうちの前記他の前記第二区画壁部に近い側に位置する1つの前記特定第二傾斜面の延長線よりも前記第一方向について前記中央経路部に近い側に位置している、
車両用のバッテリーケース。
【請求項9】
請求項3乃至請求項8のいずれか1項に記載の車両用のバッテリーケースであって、
前記第一連通経路部の前記流体の流通方向に直角な面で切断した断面積は、前記第一オリフィス部に近い側から遠い側に向かって大きくなり、
前記第二連通経路部の前記流体の流通方向に直角な面で切断した断面積は、前記第二オリフィス部に近い側から遠い側に向かって大きくなる、
車両用のバッテリーケース。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の車両用のバッテリーケースであって、
前記底板部の外周部には、前記第三方向に立設し前記領域を囲む枠体が設けられており、
前記底板部は、前記第三方向視において前記枠体の外周側に延出する延出部を有しており、
前記中央経路部の一方の端部は前記延出部に位置しており、前記延出部に設けられている第一給排部を介して前記底板部の外部と連通しており、
前記第一外側経路部および前記第二外側経路部の一方の端部は前記延出部に位置しており、前記第一外側経路部および前記第二外側経路部は、前記延出部にて互いに連通しているとともに、前記延出部に設けられている第二給排部を介して前記底板部の外部と連通している、
車両用のバッテリーケース。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の車両用のバッテリーケースであって、
前記底板部は、互いに前記第三方向に重ねて接合されている板状の第一部材および第二部材を有しており、
前記第二部材には、前記第一部材に対向する側が開口する有底の溝部が設けられており、
前記第一部材により覆われた前記溝部が前記調温経路である、
車両用のバッテリーケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のバッテリーケースに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、内部にバッテリーセルが配置され、外部にウォータージャケットが配置されたバッテリーケース(特許文献1では「バッテリーボックス」と記載されている)を有するバッテリー温度制御システムが開示されている。ウォータージャケットは、両端部の導入口と排出口にて冷媒の導入と排出ができるように構成されている。そして、冷媒の流れの方向を切り替えることによって、両端部間で温度差が発生することを抑制できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-55649号公報
【発明の概要】
【0004】
(発明が解決しようとする課題)
しかしながら、特許文献1に記載の温度制御システムのような、バッテリーケースのウォータージャケットの両端部に導入口と排出口が設けられる構成では、ウォータージャケットの中央部と両端部との間で温度が不均一になることを防止することはできない。なお、特許文献1には、ウォータージャケットの導入口と排出口との中間に冷媒を導入するための中間導入部が設けられており、冷媒を中間導入部から導入し排出口から排出する構成が開示されている。しかしながら、中間導入部から冷媒を導入した場合、導入口と中間導入部との間には冷媒が流れないから、導入口と中間導入部との間の温度調整ができない。このため、バッテリーの温度が不均一になることを防止または十分に抑制できない。
【0005】
さらに、バッテリーの温度は冷媒経路の物理的な構造の影響を受けるが、特許文献1には、ウォータージャケットの冷媒経路の具体的な構造は開示されていない。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、バッテリーの温度の不均一を解消または抑制できる車両用のバッテリーケースを提供することを目的とする。
【0007】
(課題を解決するための手段)
前記課題を解決するため、本発明に係る車両用のバッテリーケースは、
互いに直角な第一方向および第二方向に延伸する板状の形状を有しており、一方の面にはバッテリーを載置可能な領域が設けられており、内部には前記バッテリーの温度を調節するための流体が通過可能な経路である調温経路が設けられている底板部を有し、
前記調温経路には、
前記第一方向に互いに離間しており前記第二方向に延伸する部分を有する第一外側経路部および第二外側経路部と、
前記第一外側経路部および前記第二外側経路部の間に位置し、前記第二方向に延伸する中央経路部と、
前記第一外側経路部と前記中央経路部との間であって前記第一方向および前記第二方向に直角な第三方向視において前記領域内に位置し、前記第一方向に延伸しており、前記第一方向の前記第一外側経路部に近い側の端部おいて前記第一外側経路部に連通しており、前記第一方向の前記中央経路部に近い側の端部おいて前記中央経路部に連通している複数の第一中間経路部と、
前記第二外側経路部と前記中央経路部との間であって前記第三方向視において前記領域内に位置し、前記第一方向に延伸しており、前記第一方向の前記第二外側経路部に近い側の端部おいて前記第二外側経路部に連通しており、前記第一方向の前記中央経路部に近い側の端部おいて前記中央経路部に連通している複数の第二中間経路部と、
が含まれる。
【0008】
本発明によれば、バッテリーの温度を調節するための流体(以下、「調温流体」と記す)を中央経路部に導入することにより、バッテリーを載置可能な領域の中央部から両端部に向かって調温流体を流すことができる。また、第一外側経路部および第二外側経路部に調温流体を導入することにより、前記領域の両端部から中央部に向かって調温流体を流すことができる。このため、このような構成であると、前記領域の両端部間で温度差が発生することを防止または抑制できるとともに、両端部と中央部との間で温度差が発生することを防止または抑制できる。特に、前記領域の一方の端部から他方の端部に向かって調温流体を流す構成に比較して冷媒の経路が短くなるから、前記領域の中央部と両端部との間での温度差の発生を防止または抑制する効果が高い。したがって、バッテリーの温度が不均一になることを防止または抑制できる。
【0009】
前記中央経路部は、前記第一方向に並んで設けられている第一中央経路部と前記第一中央経路部よりも前記第二外側経路部に近い第二中央経路部とを備え、
複数の前記第一中間経路部は、前記中央経路部に近い側の端部において前記第一中央経路部に連通しており、
複数の前記第二中間経路部は、前記中央経路部に近い側の端部において前記第二中央経路部に連通している、
という構成が適用できる。
【0010】
このような構成によれば、第一中央経路部および第二中央経路部に導入される流体の量を均一にすることにより、第一中間経路部を流れる調温流体の量と第二中間経路部を流れる調温流体の量に差が生じることを防止または抑制できる。したがって、載置されているバッテリーの一方端寄りの部分と他方端寄りの部分とに温度差が発生することを防止または抑制できる。
【0011】
前記領域は、前記第二方向に並んで設けられ、それぞれが前記第一方向に長く前記第二方向に短い長尺形状である複数のバッテリー載置スペースにより構成されており、
前記第三方向視においてそれぞれの前記バッテリー載置スペースに前記第二方向に並ぶ複数の前記第一中間経路部および前記第二方向に並ぶ複数の前記第二中間経路部が通過し、
1つの前記バッテリー載置スペースを通過する複数の前記第一中間経路部は、前記第一外側経路部に近い側の端部において第一連通経路部により互いに連通しているとともに第一オリフィス部を介して前記第一外側経路部に連通しており、
1つの前記バッテリー載置スペースを通過する複数の前記第二中間経路部は、前記第二外側経路部に近い側の端部において第二連通経路部により互いに連通しているとともに第二オリフィス部を介して前記第二外側経路部に連通している、
という構成が適用できる。
【0012】
このような構成によれば、1つのバッテリー載置スペース内に含まれる複数の第一中間経路部を流れる調温流体の量のばらつき、および1つのバッテリー載置スペース内に含まれる複数の第二中間経路部を流れる調温流体の量のばらつきを防止または抑制できる。すなわち、複数の第一中間経路部がそれぞれ個別にオリフィス部を介して中央経路部または第一外側経路部と連通している構成では、オリフィス部の加工精度に起因して複数の第一中間経路部を流れる調温流体の量にばらつきが生じることがある。複数の第二中間経路部についても同様である。しかしながら、前記構成によれば、オリフィス部の加工精度に起因する量のばらつきが発生しないから、バッテリーの温度の不均一の発生を防止または抑制できる。また、1つの第一中間経路部に1つのオリフィス部を設ける構成、および1つの第二中間経路部に1つのオリフィス部を設ける構成に比較して、オリフィス部の寸法精度の管理が容易になるから、製造コストの削減を図ることができる。
【0013】
前記第三方向視において1つの前記バッテリー載置スペースを通過する複数の前記第一中間経路部は前記第二方向に並ぶ複数の第一区画壁部により区画されているとともに、前記第一方向視において前記第一オリフィス部と複数のうちの1つの前記第一区画壁部である特定第一区画壁部とが重畳しており、
前記第三方向視において1つの前記バッテリー載置スペースを通過する複数の前記第二中間経路部は前記第二方向に並ぶ複数の第二区画壁部により区画されているとともに、前記第一方向視において前記第二オリフィス部と複数のうちの1つの前記第二区画壁部である特定第二区画壁部とが重畳している、
という構成が適用できる。
【0014】
このような構成によれば、1つの第一オリフィス部に繋がる複数の第一中間経路部を流れる調温流体の量に差が生じることを防止または抑制できる。同様に、1つの第二オリフィス部に繋がる複数の第二中間経路部を流れる調温流体の量に差が生じることを防止または抑制できる。すなわち、第一方向視において第一オリフィス部が複数の第一中間経路部のうちのある1つと重畳している構成であると、調温流体が第一オリフィス部の側から複数の第一中間経路部に向かって流れた場合、第一オリフィス部を通過した流体は勢いが削がれることなく、第一オリフィス部に重畳する第一中間経路部に流入する。このため、第一オリフィス部に重畳する第一中間経路部を流れる調温流体の量が、他の第一中間経路部を流れる調温流体の量よりも多くなりやすい。したがって、複数の第一中間経路部を流れる調温流体の量に差が生じ、その結果、バッテリーの温度分布が不均一になることがある。
【0015】
しかしながら前記構成によれば、第一オリフィス部の側から複数の第一中間経路部に向かって流れた調温流体は、いったん第一区画壁部の端部に衝突して向きを変えてから各第一中間経路部に流入する。同様に、第二オリフィス部の側から複数の第二中間経路部に向かって流れた調温流体は、いったん第二区画壁部に衝突して向きを変えてから各第二中間経路部に流入する。このため、第一オリフィス部を通過した流体が勢いを削がれることなく特定の1つの第一中間経路部に流入することが防止される。同様に、第二オリフィス部を通過した流体が勢いを削がれることなく特定の1つの第二中間経路部に流入することが防止される。このため、複数の第一中間経路部を流れる調温流体の量に差が生じること、および複数の第二中間経路部を流れる調温流体の量に差が生じることを防止または抑制できる。
【0016】
前記特定第一区画壁部の前記第一オリフィス部に近い側の端部は、前記特定第一区画壁部以外の前記第一区画壁部の前記第一オリフィス部に近い側の端部よりも、前記第一方向に関して前記第一オリフィス部に近い側に位置しており、
前記特定第二区画壁部の前記第二オリフィス部に近い側の端部は、前記特定第二区画壁部以外の前記第二区画壁部の前記第二オリフィス部に近い側の端部よりも、前記第一方向に関して前記第二オリフィス部に近い側に位置している、
という構成が適用できる。
【0017】
このような構成であると、1つの第一オリフィス部に繋がる複数の第一中間経路部を流れる調温流体の量に差が生じることを防止または抑制できる。同様に、1つの第二オリフィス部に繋がる複数の第二中間経路部を流れる調温流体の量に差が生じることを防止または抑制できる。すなわち、特定第一区画壁部以外の他の第一区画壁部の第一オリフィス部に近い側の端部が、特定第一区画壁部の第一オリフィス部に近い側の端部よりも、第一方向に関して第一オリフィス部に近い側に位置していると、当該他の第一区画壁部の端部によって、第一オリフィス部から「第一オリフィス部から見て当該他の区画壁部よりも遠い位置に設けられている第一中間経路部」(以下、「遠い第一中間経路部」と記す)に流れる流体の抵抗となる。このため第一オリフィス部から遠い第一中間経路部に向かって流れる流体、および遠い第一中間経路部から第一オリフィス部に向かって流れる流体の量が、「第一オリフィス部から見て当該他の区画壁部よりも近い位置に設けられている第一中間経路部」(以下、「近い第一中間経路部」と記す)流れる流体(およびその反対方向に流れる流体)の量よりも少なくなることがある。これに対して、前記構成によれば、他の第一区画壁部の端部が、第一オリフィス部から遠い第一中間経路部に向かって流れる流体、および遠い第一中間経路部から第一オリフィス部に向かって流れる流体の抵抗となることを防止または抑制できる。したがって、1つの第一オリフィス部に繋がる複数の第一中間経路部を流れる調温流体の量に差が生じることを防止または抑制できる。複数の第二中間経路部についても同様である。
【0018】
前記特定第一区画壁部の前記第一オリフィス部に近い側の端部は、前記第三方向視において前記第二方向における前記特定第一区画壁部の中心から前記第二方向の外側に向かうにしたがって前記第一オリフィス部からの距離が大きくなるように前記第一方向に対して傾斜する傾斜面である2つの特定第一傾斜面を有するとともに、前記第一オリフィス部に近づくにしたがって前記第二方向の寸法が小さくなる先細り形状を有し、
前記特定第二区画壁部の前記第二オリフィス部に近い側の端部は、前記第三方向視において前記第二方向における前記特定第二区画壁部の中心から前記第二方向の外側に向かうにしたがって前記第二オリフィス部からの距離が大きくなるように前記第一方向に対して傾斜する傾斜面である2つの特定第二傾斜面を有するとともに、前記第二オリフィス部に近づくにしたがって前記第二方向の寸法が小さくなる先細り形状を有する、
という構成が適用できる。
【0019】
このような構成によれば、第一オリフィス部から特定第一区画壁部に向かって流れる流体は、特定第一区画壁部の端部に設けられている2つの傾斜面によって、遠い第一中間経路部に向かうように流れの向きが変えられる。そして、第一オリフィス部から遠い第一中間経路部に向かって流れる流体の量を増やすことによって、複数の第一中間経路部(近い第一中間経路部と遠い第一中間経路部)を流れる流体の量に差が生じることを防止または抑制できる。特定第二区画壁部についても同様である。
【0020】
前記特定第一区画壁部以外の他の前記第一区画壁部の前記第一外側経路部に近い側の端部は、前記第三方向視において前記第二方向の前記特定第一区画壁部に近い側の面から前記特定第一区画壁部より遠い側の面に向かうにしたがって前記第一オリフィス部からの距離が遠くなるように前記第一方向に対して傾斜する傾斜面である第一傾斜面を有するとともに、前記第一オリフィス部に近づくにしたがって前記第二方向の寸法が小さくなる先細り形状を有し、
前記特定第二区画壁部以外の他の前記第二区画壁部の前記第二外側経路部に近い側の端部は、前記第三方向視において前記第二方向の前記特定第二区画壁部に近い側の面から前記特定第二区画壁部より遠い側の面に向かうにしたがって前記第二オリフィス部からの距離が遠くなるように前記第一方向に対して傾斜する傾斜面である第二傾斜面を有するとともに、前記第二オリフィス部に近づくにしたがって前記第二方向の寸法が小さくなる先細り形状を有する、
という構成が適用できる。
【0021】
このような構成であると、第一オリフィス部から遠い第一中間経路部に向かって流れる流体の量が少なくなることを防止または抑制する効果を高めることができる。すなわち、他の第一区画壁部の端部に前記のような傾斜面が設けられると、当該他の第一区画壁部が第一オリフィス部から遠い中間経路部に向かって流れる流体の抵抗になることを防止または抑制できる。このため、近い中間経路部と遠い中間経路部とで、流れる流体の量に差が生じることを防止または抑制する効果を高めることができる。第二区画壁部および第二中間経路部についても同様である。
【0022】
前記第一傾斜面は、前記第三方向視において、前記特定第一区画壁部の2つの前記特定第一傾斜面のうちの前記他の前記第一区画壁部に近い側に位置する1つの前記特定第一傾斜面の延長線よりも前記第一方向について前記中央経路部に近い側に位置しており、
前記第二傾斜面は、前記第三方向視において、前記特定第二区画壁部の2つの前記特定第二傾斜面のうちの前記他の前記第二区画壁部に近い側に位置する1つの前記特定第二傾斜面の延長線よりも前記第一方向について前記中央経路部に近い側に位置している、
という構成が適用できる。
【0023】
このような構成であると、1つの第一オリフィス部に繋がる複数の第一中間経路部を流れる調温流体の量に差が生じることを防止または抑制する効果を高めることができる。同様に、1つの第二オリフィス部に繋がる複数の第二中間経路部を流れる調温流体の量に差が生じることを防止または抑制する効果を高めることができる。すなわち、第一オリフィス部から第一傾斜面(特定第一区画壁部以外の他の第一区画壁部の端部)までの距離が第一オリフィス部から特定第一傾斜面までの距離よりも大きいと、他の第一区画壁部の端部が、特定第一傾斜面により他の第一区画壁部に向けて流れの向きを変えられた流体(遠い第一中間経路部に向かって流れる流体)の抵抗になることが防止または抑制される。したがって、1つの第一オリフィス部に繋がる複数の第一中間経路部を流れる調温流体の量に差が生じることを防止または抑制する効果を高めることができる。複数の第二中間経路部についても同様である。
【0024】
前記第一連通経路部の前記流体の流通方向に直角な面で切断した断面積は、前記第一オリフィス部に近い側から遠い側に向かって大きくなり、
前記第二連通経路部の前記流体の流通方向に直角な面で切断した断面積は、前記第二オリフィス部に近い側から遠い側に向かって大きくなる、
という構成が適用できる。
【0025】
このような構成であると、1つの第一オリフィス部に繋がる複数の第一中間経路部を流れる調温流体の量に差が生じることを防止または抑制できる。同様に、1つの第二オリフィス部に繋がる複数の第二中間経路部を流れる調温流体の量に差が生じることを防止または抑制できる。すなわち、第一オリフィス部から離れるにしたがって圧損が大きくなるため、第一オリフィス部と各第一中間経路部とを連通する経路部の断面積が均等であると、第一オリフィス部に近い第一中間経路部を流れる調温流体の量よりも、第一オリフィス部から遠い第一中間経路部を流れる調温流体の量が少なくなる。これに対して前記構成によれば、第一オリフィス部から遠い第一中間経路部を流れる調温流体の量が、第一オリフィス部に近い第一中間経路部を流れる流体の量よりも少なくなることを防止または抑制できる。複数の第二中間経路部についても同様である。
【0026】
前記底板部の外周部には、前記第三方向に立設し前記領域を囲む枠体が設けられており、
前記底板部は、前記第三方向視において前記枠体の外周側に延出する延出部を有しており、
前記中央経路部の一方の端部は前記延出部に位置しており、前記延出部に設けられている第一給排部を介して前記底板部の外部と連通しており、
前記第一外側経路部および前記第二外側経路部の一方の端部は前記延出部に位置しており、前記第一外側経路部および前記第二外側経路部は、前記延出部にて互いに連通しているとともに、前記延出部に設けられている第二給排部を介して前記底板部の外部と連通している、
という構成が適用できる。
【0027】
このような構成であると、枠体の内周側(すなわち枠体に囲まれた領域)におけるバッテリー載置スペースの専有面積を大きくできるため、バッテリーケースを含めた電池エネルギー密度を高められる。また、バッテリーケースの一側において調温流体を導入するための配管と排出するための配管を接続できるため、車両における配管レイアウトの自由度が向上する。
【0028】
また、このような構成であると、第一給排部を介して調温経路に導入された調温流体は、第一経路部および第二経路部に略均等に流入する。また、第二給排部を介して調温経路に導入された調温流体は、第三経路および第四経路に略均等に流入する。したがって、第三方向視において1つの同じバッテリー載置スペース内に含まれる複数の第五経路部と複数の第六経路部を通過する調温流体の量に差が生じることを防止または抑制できる。
【0029】
前記底板部は、互いに前記第三方向に重ねて接合されている板状の第一部材および第二部材を有しており、
前記第二部材には、前記第一部材に対向する側が開口する有底の溝部が設けられており、
前記第一部材により覆われた前記溝部が前記調温経路である、
という構成が適用できる。
【0030】
このような構成であると、調温流体が第一板部材の下面に直接に接触するから、バッテリーと調温流体との間の熱交換量を多くできる。したがって、バッテリーの温度調節の効果を高めることができる。また、底板部材の軽量化を図ることができるため、バッテリーケースを含めた構成での電池エネルギーの密度を高められる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、バッテリーケースの構成を示す斜視図である。
図2図2は、バッテリーケースの構成を示す斜視図である。
図3図3は、バッテリーケースの構成を示す分解斜視図である。
図4図4は、ヒートシンクの構成を示す斜視図である。
図5図5は、第一中間経路部の構成を示す平面図である。
図6図6は、第一中間経路部の構成を示す斜視図である。
図7図7は、変形例に係る第一中間経路部の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、本発明の実施形態に係る車両用のバッテリーケース10を単に「バッテリーケース10」と略して記す。以下の説明において、バッテリーケース10に用いられる各方向は、車両に組付けられた状態での方向(すなわち、車両の方向)を基準とする。各図においては、バッテリーケース10の前側を矢印Frで示し、後側を矢印Rrで示し、上側を矢印Upで示し、下側を矢印Dwで示し、右側を矢印Rで示し、左側を矢印Lで示す。なお、左右方向(車幅方向)が本発明の第一方向の例であり、前後方向が本発明の第二方向の例であり、上下方向が本発明の第三方向の例である。
【0033】
バッテリーケース10は、電動車両(EV、PHV(プラグインハイブリッド車両)、HV(ハイブリッド車両)など)に搭載されているバッテリーの収容に用いられる。本実施形態では、収容対象であるバッテリーとして、バッテリーモジュール50を示す(図2参照)。バッテリーモジュール50は、直列に並べて配列された複数のバッテリーセル501が保護部材502などによって一体に結合された組立体である。バッテリーモジュール50の上下方向視における形状は、複数のバッテリーセル501の配列方向に長い略長方形である。バッテリーケース10は、車両の床部(シートの下側)に配置され、温度調節のための水などの流体(以下、「調温流体」と記す)が流通可能な経路(以下、「調温経路20」と記す)を有している。そして、バッテリーケース10は、この調温経路20に調温流体を流すことによってバッテリーモジュール50の温度調節(冷却および加熱)可能に構成されている。また、調温経路20の各部を「経路部」と記す。
【0034】
まず、バッテリーケース10の全体構成について説明する。図1は、バッテリーケース10の構成を示す斜視図である。図2は、バッテリーケース10にバッテリーモジュール50が収容されている状態を示す斜視図である。図3は、バッテリーケース10の構成を示す分解斜視図であり、下方から見た図である。
【0035】
図1図3に示すように、バッテリーケース10は、ロアパネル11と、ヒートシンク12と、フロントフレーム13と、リアフレーム14と、左右の2本のサイドフレーム15と、複数のクロス16と、複数のクロス支持部材17と、複数のロアフレーム18と、シェアパネル19とを有している。バッテリーケース10は、左右略対称の構成を有している。また、バッテリーケース10は、上下方向視において略四辺形を有しており、上側が開口する有底の箱状の構造を有している。具体的には、ロアパネル11、ヒートシンク12、ロアフレーム18およびシェアパネル19が「箱の底部」を構成し、フロントフレーム13、リアフレーム14および左右のサイドフレーム15が「箱の側壁部」を構成する。また、フロントフレーム13、リアフレーム14、および左右のサイドフレーム15は、上下方向における内周側に開口部を有する枠体を構成する。この枠体の開口部の内部(すなわち、フロントフレーム13、リアフレーム14および左右のサイドフレーム15に囲まれる領域)に、複数のバッテリーモジュール50を収容可能である。さらに、ロアパネル11の上面側(バッテリーモジュール50を載置可能な側)には、複数のクロス16が、互いに前後方向に所定の間隔をおいて離間して配置されている。
【0036】
バッテリーケース10は、互いに上下方向に離間している内底板部と外底板部とを有する二重底構造を有している。内底板部は、ロアパネル11とヒートシンク12とを有している。ロアパネル11とヒートシンク12とは上下方向に積層しており、互いに直接に接合されている。ロアパネル11とヒートシンク12との間(すなわち、内底板部の内部)には調温経路20が設けられている。なお、調温経路20の構成については後述する。ロアパネル11とヒートシンク12との積層体の下方には、シェアパネル19が配置されている。そして、シェアパネル19が二重底構造の外底板部を形成する。ロアパネル11とヒートシンク12との積層体(内底板部)とシェアパネル19(外底板部)との間には、複数のロアフレーム18が配置されている。そして、ロアパネル11とヒートシンク12との積層体とシェアパネル19との間には空間が形成されている。なお、内底板部(ロアパネル11とヒートシンク12の積層体)が、底板部に相当する。
【0037】
ロアパネル11の上面側には、バッテリーモジュール50を載置可能な領域が設けられている。フロントフレーム13、リアフレーム14、および左右のサイドフレーム15は、上下方向視において、ロアパネル11およびヒートシンク12の外周部に沿うように配置され、これらの外周部から上側に立設するように設けられている。これらのフレームによりバッテリーモジュール50を収容可能な開口部を有する枠体が形成される。そして、バッテリーケース10は、上記の開口部内に、複数のバッテリーモジュール50を、それらの長尺方向がバッテリーケース10の左右方向に平行になる向きで、前後方向に並べて収容可能である。具体的には、バッテリーケース10は、互いに隣接するクロス16どうしの間の領域、最も前側に位置するクロス16とフロントフレーム13の間の領域、および最も後側に位置するクロス16とリアフレーム14との間の領域のそれぞれに、2基ずつのバッテリーモジュール50を収容可能に(換言すると載置可能に)構成されている。
【0038】
次に、バッテリーケース10の各部材について説明する。図3に示すように、ロアパネル11およびヒートシンク12は、いずれも上下方向視において略四辺形の板状の部材である。また、ロアパネル11およびヒートシンク12は、上下方向視において、互いに略同形且つ略同寸である。ロアパネル11およびヒートシンク12は、例えばアルミニウム板により成形される。
【0039】
ロアパネル11およびヒートシンク12は、いずれも左右略対称の形状を有している。ロアパネル11およびヒートシンク12の前端部(前側の辺)の左右方向の中央部には、前側に向かって延出する延出部111,121が設けられている。ロアパネル11の延出部111には、第一給排部112および第二給排部113の2つの給排部が設けられている。第一給排部112および第二給排部113は、ロアパネル11とヒートシンク12との間の調温経路20の内部と外部とを連通する孔である。第一給排部112および第二給排部113を介して、調温経路20への調温流体の供給、および調温経路20からの調温流体の排出が可能である。
【0040】
ロアパネル11の上面には、バッテリーモジュール50を載置可能な複数のバッテリー載置スペースBSが設けられている。換言すると、ロアパネル11の上面は、複数のバッテリーモジュール50を、それらの下面が接触する状態で載置可能である。この場合、載置されている各バッテリーモジュール50の下面が接触する領域が、バッテリー載置スペースBSである。なお、1つのバッテリー載置スペースBSに、1つのバッテリーモジュール50を載置可能である。そして、各バッテリー載置スペースBSは、各バッテリーモジュール50をそれらの長尺方向が左右方向に平行な向きで載置できるように構成されている。具体的には、各バッテリー載置スペースBSは、各バッテリーモジュール50を、上下方向視において各バッテリーモジュール50と略同形同寸で左右方向に長い長方形の領域である。
【0041】
ヒートシンク12には、調温経路20を構成する経路壁部122が設けられている。経路壁部122は、上側が開口する有底の溝部(窪み)であり、プレス加工により成形される。このため、経路壁部122は、下側に向かって膨出している。
【0042】
フロントフレーム13、リアフレーム14、および左右のサイドフレーム15は、いずれも中空で長尺棒状の部材であり、上下方向視において、ロアパネル11、ヒートシンク12およびシェアパネル19の外周に沿った方向に直交する方向である幅方向(フロントフレーム13およびリアフレーム14については前後方向、サイドフレーム15については左右方向)に所定の厚みを持つように形成される。フロントフレーム13、リアフレーム14、および左右のサイドフレーム15には、例えばアルミニウムの押し出し材が適用される。
【0043】
フロントフレーム13およびリアフレーム14は、それらの長尺方向が左右方向(車幅方向)に平行となる向きで、前後方向に互いに離間して平行に配置される。フロントフレーム13およびリアフレーム14の下方部は、ロアパネル11とヒートシンク12の積層体(内底板部)とシェアパネル19(外底板部)とを上下方向に互いに離間した状態で接合できるように構成されている。具体的には、フロントフレーム13およびリアフレーム14の下方部には、ロアパネル11とヒートシンク12の積層体が接合される第一接合面131,141と、シェアパネル19が接合される第二接合面132,142とが形成される。第一接合面131,141および第二接合面132,142は、いずれも左右方向に長い帯状の平面であり、且つ、上下方向に対して直角で下側を向く平面である。
【0044】
第一接合面131,141と第二接合面132,142とは、互いに前後方向および上下方向にずれており、上下方向視において互いに重畳していない。また、第二接合面132,142は第一接合面131,141よりも下側に位置している。なお、フロントフレーム13においては、第一接合面131が第二接合面132よりも後側に位置しており、リアフレーム14においては第一接合面141が第二接合面142よりも前側に位置している。すなわち、第二接合面132,142は、第一接合面131,141よりも、フロントフレーム13、リアフレーム14、および左右のサイドフレーム15により形成される四辺形の枠体の外側(外周側)であり、且つ、下側に位置している。
【0045】
フロントフレーム13の下部には、ロアパネル11およびヒートシンク12の延出部111,121との干渉を避けるための凹部133が設けられている。この凹部133は、ロアパネル11およびヒートシンク12をフロントフレーム13の下側から取り付けられるように、下側が開口している。
【0046】
左右のサイドフレーム15は、それらの長尺方向が前後方向に平行な向きで、左右方向に互いに離間して平行に配置される。左右のサイドフレーム15の下方部は、ロアパネル11とヒートシンク12の積層体とシェアパネル19とを互いに上下方向に離間した状態で接合できるように構成されている。具体的には、左右のサイドフレーム15の下方部には、ロアパネル11とヒートシンク12の積層体が接合される第一接合面151と、シェアパネル19が接合される第二接合面152とが形成される。第一接合面151および第二接合面152は、いずれも前後方向に長い帯状の平面であり、且つ、上下方向に対して直角で下側を向く平面である。
【0047】
第一接合面151と第二接合面152とは、互いに左右方向および上下方向にずれており、上下方向視において互いに重畳していない。また、第二接合面152は第一接合面151よりも下側に位置している。なお、左のサイドフレーム15においては、第一接合面151が第二接合面152より右側に位置しており、右のサイドフレーム15においては、第一接合面151が第二接合面152よりも左側に位置している。すなわち、第二接合面152は、第一接合面151よりも、フロントフレーム13、リアフレーム14、および左右のサイドフレーム15により形成される略四辺形の枠体の外側(外周側)であり、且つ、下側に位置している。
【0048】
左右のサイドフレーム15は、エネルギー吸収部153を有している。エネルギー吸収部153は、左右のサイドフレーム15の互いに対向する側とは反対側(すなわち、車幅方向外側)に向かって突出し、前後方向に延伸する部分であり、他の部分と一体に繋がっている。エネルギー吸収部153の内部には空間(空洞)が形成されている。エネルギー吸収部153は、側突などが発生した際に変形することによって、バッテリーモジュール50に掛かる衝撃を緩和するように構成されている。
【0049】
複数のクロス16は、側突などが発生した際に左右方向の荷重を受けることによって、サイドフレーム15が変形してバッテリーモジュール50に接触することを防止または抑制する。複数のクロス16は、いずれも長尺棒状の部材であり、例えばアルミニウムの押し出し材が適用される。複数のクロス16は、それらの長尺方向が左右方向に平行な向きで、ロアパネル11の上面に沿って棒状に延び、前後方向に並べて配置される。なお、各図においては、クロス16の断面形状が略四辺形である例を示すが、クロス16の断面形状は特に限定されるものではない。
【0050】
クロス支持部材17は、各クロス16の長尺方向の両端部のそれぞれを左右のサイドフレーム15のそれぞれに固定するための部材である。クロス支持部材17には、例えばアルミニウムの押し出し材が適用される。ただし、クロス支持部材17の具体的な構成は特に限定されない。各クロス支持部材17は、各クロス16の両端部のそれぞれを左右のサイドフレーム15に固定できる構成を有していればよい。
【0051】
ロアフレーム18は、長尺棒状の部材であり、例えばアルミニウムの押し出し材が適用される。ロアフレーム18の上端側には、ヒートシンク12の経路壁部122との干渉を避けるための凹部が設けられている。なお、ロアフレーム18の断面形状は特に限定されるものではない。
【0052】
シェアパネル19は、上下方向視において略四辺形の板状の部材である。シェアパネル19には、例えばアルミニウム板が適用される。
【0053】
次に、バッテリーケース10の組付け構成について説明する。
【0054】
フロントフレーム13およびリアフレーム14のそれぞれの長尺方向の端部と、左右のサイドフレーム15のそれぞれの長尺方向の端部とが互いに接合される。これにより、上下方向視において内周側に開口部を有する略四辺形の枠体が形成される。そして、この枠体の開口部の内部に、複数のクロス16が、それらの長尺方向がフロントフレーム13およびリアフレーム14の長尺方向に略平行となる向きで配置される。そして、各クロス16の両端部は、クロス支持部材17を介して左右のサイドフレーム15のそれぞれに接合される。
【0055】
フロントフレーム13、リアフレーム14、および左右のサイドフレーム15の下側に、ロアパネル11およびヒートシンク12が配置される。このとき、ロアパネル11およびヒートシンク12の外周部は、フロントフレーム13、リアフレーム14、および左右のサイドフレーム15の第一接合面131,141,151の下側に重畳している。そして、ロアパネル11およびヒートシンク12の外周部が、フロントフレーム13、リアフレーム14、および左右のサイドフレーム15の第一接合面131,141,151に接合される。なお、ロアパネル11およびヒートシンク12の延出部111,121の付け根部分がフロントフレーム13の凹部133に嵌まり込むとともに、この延出部111,121の先端部(前端部)はフロントフレーム13の前面よりも前側に突出している。そして、延出部111,121に設けられている第一給排部112および第二給排部113は、フロントフレーム13の前面よりも前側に突出している部分に位置している。すなわち、第一給排部112および第二給排部113は、フロントフレーム13の前面よりも前側(枠体の外周側)に位置している。
【0056】
さらに、クロス16の下面がロアパネル11に接合される。そして、ロアパネル11の上面の互いに隣接するクロス16どうしの間の領域、最も前側に位置するクロス16とフロントフレーム13の間の領域、および最も後側に位置するクロス16とリアフレーム14との間の領域のそれぞれに、2個所ずつのバッテリー載置スペースBSが設けられる。
【0057】
ロアパネル11およびヒートシンク12の下側に、複数のロアフレーム18が配置される。具体的には、複数のロアフレーム18は、それらの長尺方向がフロントフレーム13およびリアフレーム14の長尺方向に平行な向きで、互いに前後方向に離間して配置される。そして、各ロアフレーム18の上端部(上面)が、ヒートシンク12の下面に接合される。
【0058】
ロアパネル11、ヒートシンク12、左右のサイドフレーム15、および複数のロアフレーム18の下側に、シェアパネル19が配置される。シェアパネル19の外周部は、フロントフレーム13、リアフレーム14および左右のサイドフレーム15の第二接合面152の下側に重畳している。また、各ロアフレーム18の下端部(下面)は、シェアパネル19の上面に接触している。そして、シェアパネル19の外周部は、フロントフレーム13、リアフレーム14および左右のサイドフレーム15の第二接合面132,142,152に接合される。さらに、各ロアフレーム18の下端部(下面)がシェアパネル19に接合される。
【0059】
なお、バッテリーケース10を形成する各部材どうしの接合には、例えばレーザー溶接が適用される。
【0060】
次に、調温経路20について説明する。ヒートシンク12の上側にロアパネル11が重ね合わせられることにより、経路壁部122により形成される窪みの上側がロアパネル11によって塞がれる(換言すると蓋をされた状態になる)。これにより、ロアパネル11とヒートシンク12との間に(換言すると、内底板部の内部に)、調温流体が流通可能な調温経路20が成形される。
【0061】
図4は、ヒートシンク12の構成を示す斜視図である。なお、図4において、符号BSが示す二点鎖線で囲まれた四辺形は、ロアパネル11の上面のバッテリー載置スペースBSを上下方向に投影した領域を示す。説明の便宜上、この領域(すなわち、上下方向視においてバッテリー載置スペースBSに重畳する領域、換言すると、バッテリー載置スペースBSの直下の領域)についても、バッテリー載置スペースBSと記す。図4に示すように、調温経路20には、中央経路部21、第一外側経路部221、第二外側経路部222、複数の第一中間経路部231,232、複数の第二中間経路部233,234、複数の第一オリフィス部241、複数の第二オリフィス部242、複数の第一連通経路部251、および複数の第二連通経路部252が含まれる。そして、調温経路20は、各バッテリー載置スペースBSの長尺方向(第一方向)の中心を通過し前後方向に延伸する直線C(本実施形態では、この直線はヒートシンク12の左右方向(第一方向)についての中心線Cと一致する)を対称軸とする略左右対称の構成を有している。以下、各バッテリー載置スペースBSの長尺方向の中心を通過し前後方向に延伸する直線C(ヒートシンク12の左右方向についての中心線C)を、主中心線Cと記すことがある。
【0062】
中央経路部21は、ロアパネル11およびヒートシンク12の左右方向(第一方向)の略中心に位置する経路部であり、前後方向(第二方向)に延伸する。中央経路部21には、第一中央経路部211と第二中央経路部212の2本の経路部が含まれる。第一中央経路部211および第二中央経路部212は、上下方向視において主中心線Cを対称軸として左右対称の位置に設けられており、ロアパネル11およびヒートシンク12の左右方向の中央部において互いに近接および隣接している。また、中央経路部21(第一中央経路部211および第二中央経路部212)は、第一方向に関し後述する第一外側経路部221および第二外側経路部222の間に位置している。第一中央経路部211と第二中央経路部212の前側の端部は、ロアパネル11およびヒートシンク12の延出部111,121に位置しており、この延出部111,121にて互いに連通している。さらに、第一中央経路部211および第二中央経路部212は、延出部111,121にて、互いに連通する箇所に設けられた第一給排部112を介して、ロアパネル11およびヒートシンク12の積層体の外部と連通している。
【0063】
第一外側経路部221および第二外側経路部222は、それぞれロアパネル11およびヒートシンク12の左右方向の外周近傍に位置する部分を有する経路部であり、前後方向に延伸する部分を有している。なお、第一外側経路部221および第二外側経路部222の「前後方向に延伸する部分」は、ロアパネル11およびヒートシンク12の左右の端部(外周)に沿うように設けられる部分である。第一外側経路部221および第二外側経路部222は、上下方向視において主中心線Cを対称軸として互いに左右対称の位置に設けられている。さらに、第一外側経路部221は主中心線Cから見て第一中央経路部211と同じ側に位置しており、第二外側経路部222は主中心線Cから見て第二中央経路部212と同じ側に位置している。換言すると、バッテリー載置スペースBSの長尺方向の一方の端部側(車幅方向右側)から、第一外側経路部221、第一中央経路部211、第二中央経路部212、第二外側経路部222の順に並んでいる。
【0064】
そして、第一外側経路部221は、各バッテリー載置スペースBSの長尺方向の一方の端部(右側の端部)を通過し、第二外側経路部222は各バッテリー載置スペースBSの他方の端部(左側の端部)を通過している。なお、本実施形態では、第一外側経路部221および第二外側経路部222が各バッテリー載置スペースBS内を通過している部分を有しているが、このような構成に限定されない。例えば、第一外側経路部221および第二外側経路部222が各バッテリー載置スペースBS内を通過していなくてもよい。
【0065】
第一外側経路部221および第二外側経路部222の前端部近傍は、ロアパネル11およびヒートシンク12の前端に沿って左右方向に延伸している。第一外側経路部221および第二外側経路部222の前端部は、ロアパネル11とヒートシンク12の延出部111,121に位置し、この延出部111,121にて互いに連通している。そして、第一外側経路部221および第二外側経路部222は、この延出部111,121にて、互いに連通する箇所に設けられた第二給排部113を介して、ロアパネル11およびヒートシンク12の積層体の外部と連通している。なお、図4からわかるように、延出部111,121における第一外側経路部221および第二外側経路部222の前端部は、第一中央経路部211および第二中央経路部212の前側の端部を囲むように形成されている。
【0066】
複数の第一中間経路部231,232および複数の第二中間経路部233,234は、いずれも左右方向に延伸する経路部である。第一中間経路部231,232は主中心線Cよりも右側に位置し、第一中央経路部211と第一外側経路部221との間に設けられている。第二中間経路部233,234は主中心線Cよりも左側に位置し、第二中央経路部212と第二外側経路部222との間に設けられている。なお、複数の第一中間経路部231,232と複数の第二中間経路部233,234は、上下方向視において主中心線Cを対称軸として左右対称である。
【0067】
さらに、図4に示すように、1つのバッテリー載置スペースBS内には所定の数(ただし複数。本実施形態では4本)の第一中間経路部231,232が一群となって設けられるとともに、所定の数(ただし複数。本実施形態では4本)の第二中間経路部233,234が一群となって設けられる。説明の便宜上、1つのバッテリー載置スペースBSに設けられる一群の第一中間経路部231,232と一群の第二中間経路部233,234を、それぞれ「第一中間経路部群235」、「第二中間経路部群236」と記す。このように、1つのバッテリー載置スペースBS内には、1つの第一中間経路部群235と1つの第二中間経路部群236とが、主中心線Cに関して左右対称に設けられている。そして、複数の第一中間経路部群235は前後方向に並ぶように設けられているとともに、複数の第二中間経路部群236も前後方向に並ぶように設けられている。
【0068】
1つの第一中間経路部群235に含まれる各第一中間経路部231,232は、左右方向の一方の端部(主中心線Cに近い側の端部、換言すると、中央経路部21に近い側の端部)にて、それぞれ中央経路部21である第一中央経路部211と連通している。換言すると、第一中央経路部211から左右方向外側(具体的には右側)に向かって複数の第一中間経路部231,232が分岐している。1つの第一中間経路部群235に含まれる各第一中間経路部231,232は、左右方向の他方の端部(主中心線Cから遠い側の端部、換言すると、第一外側経路部221に近い側の端部)にて第一連通経路部251によって互いに連通しているとともに、1つの第一オリフィス部241を通じて第一外側経路部221に連通している。したがって、「1つの第一中間経路部群235」とは、「1つの第一連通経路部251を介して連通している複数の第一中間経路部231,232の集合」である、ということもできる。
【0069】
同様に、1つの第二中間経路部群236に含まれる各第二中間経路部233,234は、左右方向の一方の端部(主中心線Cに近い側の端部、換言すると、中央経路部21に近い側の端部)にて、第二中央経路部212と連通している。換言すると、第二中央経路部212から左右方向外側(具体的には左側)に向かって複数の第二中間経路部233,234が分岐している。1つの第二中間経路部群236に含まれる各第二中間経路部233,234は、左右方向の他方の端部(主中心線Cから遠い側の端部、換言すると、第二外側経路部222に近い側の端部)にて第二連通経路部252によって互いに連通しているとともに、1つの第二オリフィス部242を通じて第一外側経路部221に連通している。したがって、「1つの第二中間経路部群236」とは、「1つの第二連通経路部252を介して連通している複数の第二中間経路部233,234の集合」である、ということもできる。
【0070】
このような構成の調温経路20によれば、第一給排部112から第一中央経路部211と第二中央経路部212との所定の位置(具体的には、第一中央経路部211と第二中央経路部212とが連通する箇所)に流入した調温流体は、第一中央経路部211および第二中央経路部212のそれぞれを後側に向かって流れる。そして、第一中央経路部211を流れる調温流体は各第一中間経路部群235の各第一中間経路部231,232に流入する。各第一中間経路部231,232を通過した調温流体は、各第一連通経路部251および各第一オリフィス部241を通じて第一外側経路部221に流入する。そして、第一外側経路部221に流入した調温流体は、第一外側経路部221を前方に向かって流れる。同様に、第二中央経路部212を流れる調温流体は各第二中間経路部群236の各第二中間経路部233,234に流入する。各第二中間経路部233,234を通過した調温流体は、各第二連通経路部252および各第二オリフィス部242を通じて第二外側経路部222に流入する。そして、第二外側経路部222に流入した調温流体は、第二外側経路部222を前方に向かって流れる。
【0071】
第一外側経路部221および第二外側経路部222を前側に向かって流れた調温流体は、互いに連通する箇所に設けられた第二給排部113から調温経路20の外部(すなわち、内底板部の外部)に排出される。そして、調温流体は、調温経路20を流れている間(特に、各第一中間経路部231および各第二中間経路部233を流れている間)に、バッテリーモジュール50と熱交換する。これにより、バッテリーモジュール50の温度が調節される。なお、調温経路20は、バッテリーモジュール50の加熱と冷却の両方に用いることができる。
【0072】
なお、調温流体の流れの方向は前記方向に限定されるものではなく、前記方向とは反対方向であってもよい。また、調温流体の流れの方向を交互に切り替えてもよい。例えば、まず、第一給排部112を通じて調温経路20の内部に調温流体を導入する。この場合、調温流体は、各第一中間経路部231,232および各第二中間経路部233,234をバッテリー載置スペースBSの中央部から両端部に向かって流れる。このため、バッテリーモジュール50を冷却する場合、バッテリーモジュール50の長尺方向の両端側に位置するバッテリーセル501の方が中央部側に位置するバッテリーセル501よりも温度が低くなることがある。そこで、中央部のバッテリーセル501と両端部のバッテリーセル501の温度差が閾値以上になった場合には、調温流体の流れの方向を反対にする。すなわち、第二給排部113を通じて調温経路20の内部に調温流体を導入する。この場合、調温流体は、各第一中間経路部231,232および各第二中間経路部233,234をバッテリー載置スペースBSの両端部から中央部に向かって流れる。このように、バッテリーモジュール50に含まれるバッテリーセル501の温度差に応じて、調温流体の流れの方向を切り替える。これにより、バッテリーモジュール50の温度が不均一になることを防止または抑制できる。
【0073】
このような構成によれば、中央経路部21(第一中央経路部211および第二中央経路部212)に調温流体を導入することにより、バッテリー載置スペースBSの長尺方向の中央部から両端部に向かって調温流体を流すことができる。また、第一外側経路部221および第二外側経路部222に調温流体を導入することにより、バッテリー載置スペースBSの長尺方向の両端部から中央部に向かって調温流体を流すことができる。このため、バッテリーモジュール50の長尺方向の両端部間で温度差が発生することを防止または抑制できる。さらに、バッテリー載置スペースBSの長尺方向の一方の端部から他方の端部に向かって調温流体を流す構成に比較して、冷媒の経路が短くなるから、バッテリー載置スペースBSの中央部と両端部との間で温度差が発生することを防止または抑制できる。したがって、バッテリーモジュール50の温度が不均一になることを防止または抑制できる。
【0074】
さらに、本実施形態では、各バッテリー載置スペースBSの長尺方向の中央部に中央経路部21として第一中央経路部211および第二中央経路部212の2本の経路部が設けられる。そして、第一中央経路部211と各第一中間経路部231とが連通し、第二中央経路部212と各第二中間経路部233とが連通している。このような構成であると、1つの同じバッテリー載置スペースBSに設けられている第一中間経路部群235と第二中間経路部群236を流れる調温流体の量に差が生じることを防止または抑制できる。
【0075】
具体的には、各バッテリー載置スペースBSの長尺方向の中央部を通過する中央経路部21として1本の経路部が設けられ、当該1本の経路部が第一中間経路部231,232および第二中間経路部233,234の両方に連通している構成(1本の経路部から第一中間経路部231,232と第二中間経路部233,234が分岐する構成)に比較して、バッテリーケース10の左右方向の傾き(バッテリーケース10が搭載された車両の傾き)などに起因する前記1本の経路部から複数の第一中間経路部231,232に流入する調温流体の量と複数の第二中間経路部233,234に流入する調温流体の量に差を少なくできる。その結果、バッテリー載置スペースBSの長尺方向の一方の端部寄りの部分と他方の端部寄りの部分とで温度調節の効果に差が生じることを防止または抑制する効果を高めることができ、バッテリーモジュール50の長尺方向の両端部における温度差を生じさせないようにすること、またはこの温度差を小さくする効果を高めることができる。
【0076】
このように、中央経路部21として第一中央経路部211と第二中央経路部212の2本の経路部を並列的に設け、第一中央経路部211および第二中央経路部212に導入される流体の量を均一にすることにより、第一中間経路部231,232を流れる調温流体の量と第二中間経路部233,234を流れる調温流体の量に差が生じることを防止または抑制できる。したがって、バッテリーモジュール50の長尺方向の一方端寄りの部分と他方端寄りの部分とに温度差が発生することを防止または抑制する効果を高めることができる。
【0077】
特に、本実施形態では、中央経路部21である第一中央経路部211と第二中央経路部212とが延伸方向の一方の端部にて互いに連通しており、且つ、互いに連通している箇所に第一給排部112が設けられている。このような構成であると、第一給排部112から調温経路20の内部に流入した調温流体は、バッテリーケース10の左右方向の傾きなどにかかわらず、ほぼ均等に第一中央経路部211と第二中央経路部212に流入する。その結果、第一中央経路部211と第二中央経路部212を流れる調温流体の量を均一にできるから、1つの同じバッテリー載置スペースBS内に位置する複数の第一中間経路部231,232を流れる調温流体の量と複数の第二中間経路部233,234を流れる調温流体の量に差が生じることを防止または抑制できる。したがって、バッテリーモジュール50の長尺方向の温度分布の均一化を図る効果を高めることができる。
【0078】
また、ヒートシンク12の左右方向の中央部に第一中央経路部211と第二中央経路部212の2本の経路部が設けられる構成であると、1本の経路部が設けられる構成に比較して、経路部の強度を確保しつつ軽量化を図ることができる。すなわち、第一中央経路部211と第二中央経路部212との2本の経路部が略平行に形成される構成であると、第一中央経路部211と第二中央経路部212との間においてヒートシンク12とロアパネル11とを接合できる。このため、第一中央経路部211と第二中央経路部212との2本の経路部と同等の調温流体を流すことができる1本の経路部が設けられる構成に比較して、ヒートシンク12とロアパネル11との接合箇所どうしの間隔を小さくできる。さらに、第一中央経路部211と第二中央経路部212との間に立壁状の部分が設けられるから、単純な平板状の構成に比較して剛性が高くなる。したがって、1本の経路部が設けられる構成に比較して、中央経路部21の剛性を高めることができる。
【0079】
1つの第一中間経路部群235に含まれる複数の第一中間経路部231,232は、左右方向に延伸し前後方向に並んでいる。そして、複数の第一中間経路部231,232は、左右方向外側の端部(第一外側経路部221に近い側の端部)にて第一連通経路部251を介して互いに連通するとともに1つの第一オリフィス部241を通じて第一外側経路部221に連通している。同様に、1つの第二中間経路部群236に含まれる複数の第二中間経路部233,234は、左右方向に延伸し前後方向に並んでいる。そして、複数の第二中間経路部233,234は、左右方向外側の端部(第二外側経路部222に近い側の端部)にて第二連通経路部252を介して互いに連通するとともに1つの第二オリフィス部242を通じて第二外側経路部222に連通している。
【0080】
第一連通経路部251および第二連通経路部252は、いずれも前後方向に延伸する経路部である。そして、第一連通経路部251の左右方向の一側は複数の第一中間経路部231,232に繋がっており、他方の一側は第一オリフィス部241を介して第一外側経路部221と繋がっている。同様に、第二連通経路部252の左右方向の一側は複数の第二中間経路部233,234に繋がっており、他方の一側は第二オリフィス部242を介して第二外側経路部222と繋がっている。
【0081】
このような構成によれば、1つ第一中間経路部群235に含まれる複数の第一中間経路部231,232を流れる調温流体の量のばらつき、および1つの第二中間経路部群236に含まれる複数の第二中間経路部233,234を流れる調温流体の量のばらつきを防止または抑制できる。すなわち、複数の第一中間経路部231,232がそれぞれ個別にオリフィス部を介して第一外側経路部221と連通している構成では、オリフィス部の加工精度に起因して複数の第一中間経路部231,232を流れる調温流体の量にばらつきが生じることがある。複数の第二中間経路部233,234についても同様である。しかしながら、本実施形態によれば、オリフィス部の加工精度に起因する量のばらつきが発生しないから、バッテリーモジュール50の温度の不均一の発生を防止または抑制できる。また、1つの第一中間経路部231,232に1つのオリフィス部を設ける構成、および1つの第二中間経路部233,234に1つのオリフィス部を設ける構成に比較して、オリフィス部の寸法精度の管理が容易になるから、製造コストの削減を図ることができる。
【0082】
なお、複数の第一オリフィス部241の流路断面積(調温流体が可能な領域の断面積)は互いに異なる。具体的には、複数の第一オリフィス部241の流路断面積は、第一給排部112および第二給排部113から遠くなるにしたがって大きくなる。同様に、複数の第二オリフィス部242の流路断面積も、第一給排部112および第二給排部113から遠くなるにしたがって大きくなる。図4に示す例では、ある第一オリフィス部241の流路断面積はそれよりも前方の第一オリフィス部241の流路断面積よりも大きく、ある第二オリフィス部242の流路断面積はそれよりも前方の第二オリフィス部242の流路断面積よりも大きい。このような構成とする理由は次のとおりである。
【0083】
第一中央経路部211、第二中央経路部212、第一外側経路部221および第二外側経路部222を流れる調温流体は、それぞれの経路部において発生する圧損のため、第一給排部112および第二給排部113から離れるにしたがって圧力が低下する。このため、複数の第一オリフィス部241の流路断面積および複数の第二オリフィス部242の流路断面積が同じであると、第一給排部112および第二給排部113から離れるにしたがって、第一中間経路部群235および第二中間経路部群236を流れる調温流体の量が少なくなる。その結果、バッテリーケース10の前寄りの位置に収容されているバッテリーモジュール50に対する温度調節の効果と後寄りの位置に収容されているバッテリーモジュール50に対する温度調節の効果に差が生じるおそれがある。具体的には、後端に近いバッテリーモジュール50ほど、温度調節の効果が低くなる。
【0084】
本実施形態では、複数の第一オリフィス部241および複数の第二オリフィス部242の流路断面積は、第一給排部112および第二給排部113から遠くなるにしたがって大きくなる。換言すると、第一給排部112および第二給排部113に近づくにしたがって、第一オリフィス部241および第二オリフィス部242による圧損が大きくなるようにする。このような構成であれば、第一給排部112および第二給排部113からの距離に起因する圧損の差を、第一オリフィス部241と第二オリフィス部242の圧損の差によって相殺することができる。したがって、各第一中間経路部群235および各第二中間経路部群236を流れる調温流体の量に差が生じることを防止または抑制できる。
【0085】
ただし、1つの同じバッテリー載置スペースBSに含まれる第一オリフィス部241と第二オリフィス部242の流路断面積は同じである。このような構成によれば、1つの同じバッテリー載置スペースBSに設けられる第一中間経路部群235および第二中間経路部群236を流れる調温流体の量に差が生じることを防止または抑制できる。
【0086】
図5は、1つの第一中間経路部群235の平面図であり、図6は、1つの第一中間経路部群235の斜視図である。図5および図6に示すように、本実施形態においては、一つの第一中間経路部群235には4本の第一中間経路部231,232が含まれる。4本の第一中間経路部231は左右方向に延伸しており、前後方向に並ぶ。また、4本の第一中間経路部231は互いに平行である。そして、4本の第一中間経路部群235は、3本の第一区画壁部26によって区画されている。3本の第一区画壁部26は左右方向に延伸しており、前後方向に並ぶ。また、3本の第一区画壁部26は互いに平行である。同様に、一つの第二中間経路部群236には4本の第二中間経路部233,234が含まれる。4本の第二中間経路部233,234は左右方向に延伸しており、前後方向に並ぶ。また、4本の第二中間経路部233,234は互いに平行である。そして、4本の第二中間経路部群236は、3本の第二区画壁部27によって区画されている。3本の第二区画壁部27は左右方向に延伸しており、前後方向に並ぶ。また、3本の第二区画壁部27は互いに平行である(図3および図4参照)。
【0087】
換言すると、第一中央経路部211(中央経路部21)と第一外側経路部221と間であって1つのバッテリー載置スペースBS内には、前側、後側および左右方向の一側であって第一外側経路部221に近い側の三方が立壁部(前側に位置する前壁部28、後側に位置する後壁部29、および第一外側経路部221に近い側に位置する側壁部30)に囲まれ、第一中央経路部211に近い側が第一中央経路部211と繋がっている(開口している)空間が設けられる。この空間の内部には、互いに前後方向に離間して並んでおり左右方向に延伸する3本の第一区画壁部26が設けられる。
【0088】
3本の第一区画壁部26の左右方向(長尺方向)の一方の端部(第一中央経路部211に近い側の端部)は第一中央経路部211を形成する経路壁部122に一体に繋がっている。これに対して、3本の第一区画壁部26の左右方向の他方の端部(第一外側経路部221に近い側の端部)は立壁部(側壁部30)と離間している。このため、3本の第一区画壁部26の他方の端部と立壁部(側壁部30)との間は調温流体が流通可能である。すなわち、3本の第一区画壁部26のそれぞれの他方の端部と立壁部(側壁部30)とにより、4本の第一中間経路部231,232を互いに連通する第一連通経路部251が形成される。また、立壁部(側壁部30)には、第一連通経路部251と第一外側経路部221とを連通する第一オリフィス部241が設けられる。
【0089】
そして、図5および図6に示すように、左右方向視において、第一オリフィス部241と3本の第一区画壁部26のうちの前後方向中央に位置する1本の第一区画壁部261とが対向している。換言すると、第一オリフィス部241の流路の中心線Cと3本の第一区画壁部26のうちの前後方向中央に位置する1本の第一区画壁部261の中心線Cとが一致している。
【0090】
このような構成によれば、1つの第一オリフィス部241に繋がる複数の第一中間経路部231,232を流れる調温流体の量に差が生じることを防止または抑制できる。具体的には、左右方向視において第一オリフィス部241が複数の第一中間経路部231,232のうちの1つと重畳している構成であると、第一オリフィス部241の側から調温流体が流れた場合、第一オリフィス部241を通過した調温流体は勢い削がれることなく当該1つの第一中間経路部に流入する。また、第一中央経路部211の側から調温流体が流れる場合であっても、第一オリフィス部241と重畳している1つの第一中間経路部と重畳していない他の第一中間経路部とで、調温流体の流れの抵抗が相違する。すなわち、第一オリフィス部241と重畳している1つの第一中間経路部を流れた調温流体は、流れの方向を変えることなく第一オリフィス部241に流入するのに対し、第一オリフィス部241と重畳していない他の第一中間経路部を流れた調温流体は、第一オリフィス部241に流入する際に流れの方向が変化する。このため、第一オリフィス部241と重畳している1つの第一中間経路部を流れる調温流体の量は、第一オリフィス部241と重畳しない他の第一中間経路部を流れる調温流体の量よりも多くなりやすい。したがって、複数の第一中間経路部231を流れる調温流体の量に差が生じ、その結果、バッテリーモジュール50の温度分布が不均一になることがある。
【0091】
これに対して本実施形態によれば、第一オリフィス部241の側から複数の第一中間経路部231,232に向かって流れた調温流体は、直接的に1つの第一中間経路部231,232に流入せず、1本の第一区画壁部261に衝突して勢いが削がれる。また、第一中央経路部211の側から各第一中間経路部231,232流入した調温流体は、いずれも第一オリフィス部241に流入する際に流れの方向が変化する。このため、複数の第一中間経路部231,232を流れる調温流体の量に差が生じることを防止または抑制できる。
【0092】
さらに、図5および図6に示すように、3本の第一区画壁部26のうちの前後方向の中央に位置する1本の第一区画壁部261の端部と立壁部(側壁部30)との距離tは、前後方向の両端に位置する第一区画壁部264の端部と立壁部(側壁部30)との距離tよりも小さい。すなわち、第一連通経路部251の流路断面積は、第一オリフィス部241から前後方向に離れるにしたがって大きくなる。
【0093】
このような構成であると、第一連通経路部251を介して1つの第一オリフィス部241に繋がる複数の第一中間経路部231,232を流れる調温流体の量に差が生じることを防止または抑制できる。すなわち、第一連通経路部251を流れる調温度流体の圧損は、第一オリフィス部241から前後方向に離れるにしたがって大きくなるため、第一連通経路部251の流路断面積の大きさに差が設けられない構成であると、第一オリフィス部241に近い第一中間経路部231(具体的には、4本の第一中間経路部231,232のうちの前後方向の中央に位置する2本の第一中間経路部231)を流れる調温流体の量よりも、第一オリフィス部241から遠い第一中間経路部232(具体的には、4本の第一中間経路部231,232のうちの前後方向の両端に位置する2本の第一中間経路部232)を流れる調温流体の量が少なくなる。
【0094】
これに対して本実施形態によれば、第一オリフィス部241から離れるほど第一連通経路部251の流路断面積が大きくされているため、第一オリフィス部241から遠い第一中間経路部232を流れる調温流体の圧損が軽減される。換言すると、第一連通経路部251において、第一オリフィス部241と遠い第一中間経路部232との間に存在する第一区画壁部264(前後方向の両端に位置する第一区画壁部264)の端部が、第一オリフィス部241と遠い第一中間経路部232との間を流れる調温流体の抵抗になることを防止または抑制できる。これにより、第一オリフィス部241から遠い第一中間経路部232を流れる調温流体の量が第一オリフィス部241に近い第一中間経路部231を流れる流体の量よりも少なくなることを防止または抑制できる。なお、前記距離t、tの具体的な値および距離t、tの差は特に限定されるものではなく、適宜設定される。
【0095】
また、本実施形態では、1つの第一中間経路部群235に4本の第一中間経路部231,232が含まれる。このため、第一中央経路部211と第一外側経路部221の間には、3本の第一区画壁部26が設けられる。そして、第一オリフィス部241は、左右方向視において、3本の第一区画壁部26のうちの前後方向の中央に位置する1本の第一区画壁部261と重畳している。このような構成であれば、複数の第一中間経路部231は第一オリフィス部241および中央の第一区画壁部261の中心線C,Cに対して前後方向に対称に位置するから、第一オリフィス部241から中央の2本の第一中間経路部231までの距離が同じなり、第一オリフィス部241から最も前側に位置する第一中間経路部232までの距離と最も後側に位置する第一中間経路部232までの距離が同じになる。したがって、中央の2本の第一中間経路部231を流れる調温流体の量に差が生じることを防止または抑制できるとともに、前端と後端に位置する2本の第一中間経路部232を流れる調温流体の量に差が生じることを防止または抑制できる。
【0096】
なお、第二中間経路部群236、第二連通経路部252、第二区画壁部27および第二オリフィス部242は、第一中間経路部群235、第一連通経路部251、第一区画壁部26および第一オリフィス部241と左右対称の構成を有している。すなわち、図4に示すように、複数の第二区画壁部27により複数の第二中間経路部233,234が区画される。複数の第二中間経路部233,234の第二外側経路部222に近い側の端部は、前後方向に延伸する第二連通経路部252によって連通している。さらに、複数の第二区画壁部27のうちの前後方向の中央に位置する1つの第二区画壁部271は、左右方向視において第二オリフィス部242と重畳している。また、前記1つの第二区画壁部271以外の他の第二区画壁部274の第二オリフィス部242に近い側の端部は、前記1つの第二区画壁部271よりも中央経路部21に近い側(第二オリフィス部242から遠い側)に位置している。したがって、第二中間経路部群236、第二連通経路部252、第二区画壁部27および第二オリフィス部242は、第一中間経路部群235、第一連通経路部251、第一区画壁部26および第一オリフィス部241と同じ作用効果を奏する。
【0097】
なお、本実施形態では、1つの第一中間経路部群235に含まれる複数の第一中間経路部231,232は互いに平行である。同様に、1つの第二中間経路部群236に含まれる複数の第二中間経路部233,234は互いに平行である。ただし、複数の第一中間経路部231,232は互いに平行でなくてもよい。同様に、複数の第二中間経路部233,234は互いに平行でなくてもよい。例えば、1つの第一中間経路部群235に含まれる複数の第一中間経路部231,232の中心線は互いに傾斜していてもよい。同様に、複数の第二中間経路部233,234の中心線は互いに傾斜していてもよい。また、複数の第一中間経路部231,232のそれぞれおよび複数の第二中間経路部233,234のそれぞれの中心線は直線でなくてもよい。
【0098】
また、本実施形態では、第一給排部112および第二給排部113がロアパネル11の延出部111に設けられており、フロントフレーム13の前側(すなわち、枠体の外周側)に位置している。このような構成であると、枠体の内周側(枠体に囲まれた領域)におけるバッテリー載置スペースBSの専有面積を大きくできるため、バッテリーケース10を含めた電池エネルギー密度を高められる。また、バッテリーケース10の一側において調温流体を導入するための配管と排出するための配管を接続できるため、車両における配管レイアウトの自由度が向上する。
【0099】
さらに、内底板部はロアパネル11とヒートシンク12の積層体により形成されている。そして、ロアパネル11およびヒートシンク12はアルミニウム板からなり、プレス加工により成形されている。このような構成であると、調温流体がロアパネル11の下面に直接に接触するから、バッテリーモジュール50と調温流体との間の熱交換量を多くできる。したがって、バッテリーモジュール50の温度調節の効果を高めることができる。
【0100】
また、ヒートシンク12の経路壁部122もプレス加工により成形されている。このような構成であると、内底板部の軽量化を図ることができるため、バッテリーケース10を含めた構成での電池エネルギーの密度を高められる。すなわち、プレス加工により経路壁部122が成形される構成であると、例えば切削加工によって経路壁部122を成形する(切削加工により溝を掘る)構成に比較すると、ヒートシンク12を薄くできるから、ヒートシンク12の軽量化を図ることができる。
【0101】
次に、1つの第一中間経路部群235に含まれる複数の第一中間経路部231,232を流れる調温流体の量の差をさらに少なくできる例(変形例)について説明する。図7は、変形例に係る第一中間経路部群235および第一区画壁部26の構成を示す平面図である。図7に示すように、一つの第一中間経路部群235には複数(本実施形態では4本)の第一中間経路部231,232が含まれ、複数の第一中間経路部群235は、前後方向に並んで設けられる複数(本実施形態では3本)の第一区画壁部26によって区画されている。
【0102】
図7に示すように、複数の第一区画壁部26のうちの特定の1つの第一区画壁部261は、左右方向視において第一オリフィス部241と重畳している。より具体的には、第一オリフィス部241の中心線Cと特定の1つの第一区画壁部261の中心線Cとは略一致している。本実施形態では、1つのバッテリー載置スペースBSに含まれる互いに平行な複数の第一区画壁部26のうち、前後方向の中央に位置する1つの第一区画壁部261が、「特定の1つの第一区画壁部261」である。この特定の1つの第一区画壁部を「特定第一区画壁部261」と記す。
【0103】
特定第一区画壁部261の第一オリフィス部241に近い側の端部は、上下方向視において第一オリフィス部241の側に向かうにしたがって幅寸法(前後方向寸法)が徐々に小さくなる先細り形状を有している。具体的には、特定第一区画壁部261の端部には、上下方向視において、特定第一区画壁部261の前後方向(幅方向の)の中心線Cに対して所定の角度で傾斜している(すなわち、左右方向および前後方向の両方に対して傾斜している)2つの傾斜面262が、当該中心線Cに関して互いに対称に設けられている。これら2つの傾斜面262は、本発明の特定第一傾斜面の例である。これら2つの傾斜面262(特定第一傾斜面)は、いずれも、上下方向視において、特定第一区画壁部261の前後方向の中心(すなわち中心線C)から前後方向前側と後側のそれぞれに離れるにしたがって第一オリフィス部241からの距離が大きくなるように傾斜している。そして、2つの傾斜面262どうしの間には、上下方向視において所定の曲率半径を有する曲面263(円弧形状の面)が設けられている。換言すると、2つの傾斜面262は、それらの間に設けられる円弧形状の曲面263によって滑らかに繋がっている。このため、特定第一区画壁部261の端部は、中心線Cに関して対称(鏡面対称)の形状を有しており、前後方向の中心が最も第一オリフィス部241に近く、前後方向の両端が最も第一オリフィス部241から遠い。
【0104】
図7に示すように、特定第一区画壁部261以外の第一区画壁部264の第一オリフィス部241に近い側の端部は、特定第一区画壁部261の第一オリフィス部241に近い側の端部よりも、中央経路部21に近い側に位置している。特定第一区画壁部261以外の第一区画壁部264を、「他の第一区画壁部264」と記すことがある。他の第一区画壁部264の第一オリフィス部241に近い側の端部(第一外側経路部221に近い側の端部)は、上下方向視において、特定第一区画壁部261に設けられている2つ傾斜面262のうちの一方であって、当該他の第一区画壁部264に近い側に位置する傾斜面262の延長線E(なお、この延長線Eは、実際には面である)より、中央経路部21に近い側(第一オリフィス部241から遠い側)に位置している。換言すると、上下方向視において、他の第一区画壁部264の中央経路部21に近い側の端部は、特定第一区画壁部261の2つの傾斜面262のうちの、当該他の第一区画壁部264に近い側に位置する傾斜面262の延長線E(当該傾斜面262の延長面)よりも、第一オリフィス部241の側に突出していない。
【0105】
他の第一区画壁部264の第一オリフィス部241に近い側の端部も、上下方向視において第一オリフィス部241の側に向かうにしたがって幅寸法(前後方向寸法)が徐々に小さくなる先細り形状を有している。具体的には、他の第一区画壁部264の第一オリフィス部241に近い側の端部には、上下方向視において、当該他の第一区画壁部264の中心線Cに対して所定の角度βで傾斜している(すなわち、左右方向および前後方向の両方に対して傾斜している)1つの傾斜面265が設けられている(図7中の一点鎖線Eは、傾斜面265の延長線である)。この1つの傾斜面は、本発明の第一傾斜面の例である。換言すると、他の第一区画壁部264の第一オリフィス部241に近い側の端面は、当該他の第一区画壁部264の中心線Cに対して所定の角度βで傾斜している傾斜面265である。そして、この傾斜面265は、同じ1つのバッテリー載置スペースに含まれる特定第一区画壁部261に近い側の側面(前後方向の一方の面)からその反対側(特定第一区画壁部261から遠い側)の側面に向かうにしたがって、第一オリフィス部241からの距離が大きくなるような向きに傾斜している。
【0106】
このような構成によれば、1つの第一オリフィス部241に繋がる複数の第一中間経路部231,232を流れる調温流体の量に差が生じることを防止または抑制する効果を高めることができる。具体的には、1つの第一オリフィス部241を通じて第一連通経路部251に流れた調温流体は、特定第一区画壁部261の端部に衝突する。特定第一区画壁部261の端部には前記のような傾斜面262および円弧状の曲面263が設けられているため、調温流体は特定第一区画壁部261の2つの傾斜面262によって前側と後側の両側に分けられるともに、分けられた調温流体の流れの方向は、それぞれ傾斜面262に略平行な方向に変えられる。このため、調温流体を、1つの第一中間経路部群235に含まれる4本の第一中間経路部231,232のうちの前後方向の両端に設けられる2本の第一中間経路部232(第一オリフィス部241から遠い第一中間経路部232)に向けて流すことができる。したがって、これら2本の第一中間経路部232に流入する調温流体の量を増加させることができるから、これら2本の第一中間経路部232に流入する調温流体の量が前後方向の中央に位置する2本の第一中間経路部231(第一オリフィス部241に近い第一中間経路部231)に流入する調温流体の量よりも少なくなることを防止または抑制する効果を高めることができる。
【0107】
さらに、他の第一区画壁部264の端部(傾斜面265)は、特定第一区画壁部261の端部の傾斜面262の延長線Eよりも中央経路部21に近い側に位置している。このような構成であると、他の第一区画壁部264の端部が、特定第一区画壁部261の端部に設けられた傾斜面262により誘導された調温流体の流れの抵抗になることを防止または抑制できる。したがって、前後方向の両端に位置する2本の第一中間経路部231に流入する調温流体の量が、それらの間に位置する2本の第一中間経路部231に流入する調温流体の量よりも少なくなることを防止または抑制する効果を高めることができる。
【0108】
なお、上下方向視における中心線Cと傾斜面262とがなす角度αは、45°~60°であることが好ましい。すなわち、この角度αが45°未満であると、特定第一区画壁部261の端部で分かれた調温流体が他の第一区画壁部264の端部(換言すると、前後両端側の第一中間経路部232)に到達するまでの経路が長くなり、周辺部(前後両端側の第一中間経路部232)の流量分布にムラが生じやすい。一方、この角度が60°超であると、調温流体が特定第一区画壁部261の端部に当たった際に調温流体の流れに乱れが生じやすくなり、流量を均等にする効果が抑制される。また、上下方向視において、中心線Cに対する傾斜面265の角度βは、45°~60°であることが好ましい。この角度βが45°未満であると、周辺部(前後両端側の第一中間経路部232)における調温流体の流量の分布にムラが生じやすい。この角度βが60°超であると、調温流体が当たった際に調温流体の流れに乱れが生じやすくなり、周辺部における調温流体の流量の分布にムラが生じやすい。なお、この傾斜面265は、特定第一区画壁部261の傾斜面262と略平行であってもよい。また、2つの傾斜面262どうしを繋ぐ曲面263の上下方向視における曲率半径は、0.5mm~2.5mmであることが好ましい。すなわち、この曲率半径が0.5mm未満であると、先端部の接合強度が弱くなるおそれがあり、この曲率半径が2.5mm超であると先端が平面形状に近くなるため、調温流体が先端部に当たったときに調温流体の流れに乱れが生じやすくなり、周辺部の流量の分布にムラが生じやすくなる。
【0109】
さらに、第一中間経路部231,232の第一オリフィス部241に近い側の端部において、前壁部28と後壁部29との間隔との間隔は、第一オリフィス部241に近づくにしたがって徐々に小さくなる。換言すると、側壁部30は、第一オリフィス部241の中心線Cに対して直角ではなく、第一オリフィス部241から前後方向に離れるにしたがって中央経路部21に近づくように、所定の角度をもって傾斜している。さらに換言すると、前壁部28と後壁部29との第一オリフィス部241に近い側の端部近傍、および側壁部30は、上下方向視において、第一オリフィス部241に向かって収斂するような漏斗状の形状を有している。
【0110】
このような構成であると、第一オリフィス部241から第一連通経路部251に流入し、特定第一区画壁部261の端部で前後に分けられた調温流体は、前壁部28、後壁部29および側壁部30によって、スムーズに前後の両端に位置する第一中間経路部232に導かれる。また、第一中央経路部211から各第一中間経路部231,232に流入し、各第一中間経路部231,232を通過した調温流体は、前壁部28、後壁部29および側壁部30によって、スムーズに第一オリフィス部241に導かれる。したがって、調温流体の流動抵抗を減少させることができるとともに、調温流体が第一連通経路部251において滞留することを防止または抑制することができる。
【0111】
なお、1つのバッテリー載置スペースBSに含まれる複数の第二区画壁部27は、同じ1つのバッテリー載置スペースに含まれる複数の第一区画壁部26と主中心線Cに関して左右対称の構成を有している。このため、1つのバッテリー載置スペースBSに含まれる複数の第二区画壁部27のうちの前後方向の中央に位置する1つの第二区画壁部271(図4参照)の第二オリフィス部242に近い側の端部には、2つの傾斜面が対称に設けられるとともに、2つの傾斜面を滑らかに繋ぐ曲面が設けられる。なお、1つのバッテリー載置スペースBSに含まれる複数の第二区画壁部27のうちの前後方向の中央に位置する1つの第二区画壁部271が本発明の特定第二区画壁部の例であり、この第二区画壁部271に設けられる2つの傾斜面が本発明の特定第二傾斜面の例である。このため、同じ1つのバッテリー載置スペースに含まれる複数の第一区画壁部26のうちの前後方向の中央に位置する1つの第二区画壁部271(特定第二区画壁部)の第二オリフィス部242に近い側の端部は、特定第一区画壁部261の第一オリフィス部241に近い側の端部と同様に、第二オリフィス部242に近づくにしたがって前後方向寸法が小さくなる先細り形状を有する。
【0112】
同様に、1つのバッテリー載置スペースBSに含まれる複数の第二区画壁部27のうちの前後方向の中央に位置する1つの第二区画壁部271以外の第二区画壁部274の第二オリフィス部242に近い側の端部も、上下方向視において第二オリフィス部242の側に向かうにしたがって前後方向寸法が徐々に小さくなる先細り形状を有している。具体的には、これらの第二区画壁部274の第二オリフィス部242に近い側の端部には、上下方向視において、それぞれの第二区画壁部274の中心線に対して所定の角度βで傾斜している(すなわち、左右方向および前後方向の両方に対して傾斜している)1つの傾斜面が設けられている。この1つの傾斜面は、本発明の第二傾斜面の例である。この傾斜面は、1つのバッテリー載置スペースBSに含まれる複数の第二区画壁部27のうちの前後方向の中央に位置する1つの第二区画壁部271に近い側の側面(前後方向の一方の面)からその反対側(第二区画壁部271から遠い側)の側面に向かうにしたがって、第二オリフィス部242からの距離が大きくなるような向きに傾斜している。
【0113】
このため、1つのバッテリー載置スペースBSに含まれる複数の第二区画壁部27は、同じ1つのバッテリー載置スペースに含まれる複数の第一区画壁部26と同じ作用効果を奏する。
【0114】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。
【0115】
例えば、前記実施形態では、中央経路部21が第一中央経路部211と第二中央経路部212の2本の経路部を備える構成を示したが、本発明はこのような構成に限定されない。例えば、中央経路部21が1本の経路部からなる構成であってもよい。この場合、複数の第一中間経路部231と複数の第二中間経路部233は、中央経路部21である1本の経路部からそれぞれ左右方向の反対側に分岐する。
【0116】
また、前記実施形態では、各第一中間経路部群235に含まれる複数の第一中間経路部231,232の一方の端部がそれぞれ第一中央経路部211に連通しており、他方の端部が互いに連通するとともに第一オリフィス部241を介して第一外側経路部221に連通している構成を示したが、このような構成に限定されない。各第一中間経路部群235に含まれる複数の第一中間経路部231,232の一方の端部がそれぞれ第一外側経路部221に連通しており、他方の端部が互いに連通するとともにオリフィス部を介して第一中央経路部211に連通している構成であってもよい。同様に、各第二中間経路部群236に含まれる複数の第二中間経路部233,234の一方の端部がそれぞれ第二外側経路部222に連通しており、他方の端部が互いに連通するとともにオリフィス部を介して第二中央経路部212に連通している構成であってもよい。
【0117】
要は、1つの第一中間経路部群235に含まれる複数の第一中間経路部231,232は、一方の端部においてそれぞれ第一中央経路部211と第一外側経路部221の一方に連通しており、他方の端部において互いに連通するとともに第一オリフィス部241を介して第一中央経路部211と第一外側経路部221の他方に連通していればよい。同様に、1つの第二中間経路部群236に含まれる複数の第二中間経路部233,234は、一方の端部においてそれぞれ第二中央経路部212と第二外側経路部222の一方に連通しており、他方の端部において互いに連通するとともに第二オリフィス部242を介して第二中央経路部212と第二外側経路部222の他方に連通していればよい。
【0118】
また、各第一中間経路部群235に含まれる第一中間経路部231,232の数、および各第二中間経路部群236に含まれる第二中間経路部233,234の数は、前記実施形態に示す4本に限定されない。例えば、各第一中間経路部群235に含まれる第一中間経路部231,232の数、および各第二中間経路部群236に含まれる第二中間経路部233,234の数は、3本以下であってもよく5本以上であってもよい。ただし、各第一中間経路部群235に含まれる複数の第一中間経路部231,232は、第一オリフィス部241を中心として前後方向に対称に設けられており、且つ、左右方向視において第一オリフィス部241が1つの第一区画壁部261と重畳していることが好ましい。このため、各第一中間経路部群235に含まれる第一中間経路部231,232の数は偶数であることが好ましい。同様の理由により、各第二中間経路部群236に含まれる第二中間経路部233,234の数も偶数であることが好ましい。
【0119】
なお、各第一中間経路部群235に含まれる第一中間経路部231,232の数および各第二中間経路部群236に含まれる第二中間経路部233,234の数が2本である場合、第一区画壁部26および第二区画壁部27はそれぞれ1本である。そしてこの場合、左右方向視において、第一オリフィス部241は当該1つの第一区画壁部26に重畳し、第二オリフィス部242は当該1つの第二区画壁部27に重畳する。
【0120】
また、前記実施形態では、バッテリー載置スペースBSの長尺方向の中心とヒートシンク12の左右方向の中心とが一致している例を示したが、このような構成に限定されない。バッテリー載置スペースBSの長尺方向の中心とヒートシンク12の左右方向の中心とがずれていてもよい。さらに、第一中央経路部211と第一外側経路部221との間隔と、第二中央経路部212と第二外側経路部222の間隔は同じでなくてもよく、差があってもよい。
【0121】
また、前記実施形態では、1つのバッテリー載置スペースBS内に、1つの第一中間経路部群235と1つの第二中間経路部群236とが設けられる構成を示したが、このような構成に限定されない。例えば、第一中間経路部群235に含まれる第一中間経路部231,232の一部がバッテリー載置スペースBSの外側に位置していてもよい。同様に、第二中間経路部群236に含まれる第二中間経路部233,234の一部がバッテリー載置スペースBSの外側に位置していてもよい。このほか、1つのバッテリー載置スペースBS内に、複数の第一中間経路部群235と複数の第二中間経路部群236とが設けられてもよい。さらに、一つの第一オリフィス部241に繋がる複数の第一中間経路部231が1つの第一中間経路部群235であるとみなす場合、1つのバッテリー載置スペースBS内に複数の第一中間経路部群235が設けられてもよい。同様に、1つのバッテリー載置スペースBS内に複数の第二中間経路部群236が設けられてもよい。
【0122】
また、フロントフレーム13、リアフレーム14、サイドフレーム15の寸法および形状は、前記実施形態に限定されるものではない。また、バッテリー載置スペースBS、クロス16、ロアフレーム18の数も限定されるものではない。また、ロアパネル11、ヒートシンク12、フロントフレーム13、リアフレーム14、サイドフレーム15、クロス16、クロス支持部材17、ロアフレーム18およびシェアパネル19の材質も、アルミニウムに限定されるものではない。これらの各部材には、各種金属材料が適用できる。
【0123】
また、バッテリーケース10が、フロントフレーム13、リアフレーム14および左右のサイドフレーム15からなる枠体の開口部の上側を覆う蓋部材を有していてもよい。
【符号の説明】
【0124】
10…バッテリーケース、11…ロアパネル、12…ヒートシンク、20…調温経路、21…中央経路部、211…第一中央経路部、212…第二中央経路部、221…第一外側経路部、222…第二外側経路部、231,232…第一中間経路部、233,234…第二中間経路部、241…第一オリフィス部、242…第二オリフィス部、251…第一連通経路部、252…第二連通経路部、26…第一区画壁部、27…第二区画壁部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7