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特開2022-155482残高管理装置、残高管理方法、及び残高管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155482
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】残高管理装置、残高管理方法、及び残高管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/00 20120101AFI20221005BHJP
   G06Q 50/08 20120101ALI20221005BHJP
【FI】
G06Q40/00 420
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022010419
(22)【出願日】2022-01-26
(31)【優先権主張番号】P 2021058613
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀬藤 良光
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【テーマコード(参考)】
5L049
5L055
【Fターム(参考)】
5L049CC07
5L055BB64
(57)【要約】
【課題】複数セグメントでの残高管理を可能として、細かな分析や管理をできるようにすることが可能な残高管理装置、残高管理方法、および残高管理プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】本実施の形態に係る残高管理装置は、前月末時点の月別区分別残高データと当月の仕訳明細データを事業所、部門、科目、および各分析コード別に集計して、当月分を含む月別区分別残高データを作成して登録する残高算出手段を備えている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を備えた残高管理装置であって、
前記制御部は、
伝票番号、発生日、伝票区分、事業所コード、部門コード、総勘定科目コード、補助科目コード、賃借区分、賃借発生区分、正味金額、借方金額、貸方金額、複数の分析コードを含む仕訳明細データと、
該当年月、事業所コード、部門コード、総勘定科目コード、補助科目コード、賃借区分、複数の分析コード、当月借方発生金額、当月貸方発生金額、当月正味金額、当月末時点残高を含む月別区分別残高データと、
にアクセス可能に構成されており、
前月末時点の月別区分別残高データと当月の仕訳明細データを事業所、部門、科目、及び各分析コード別に集計して、当月分を含む月別区分別残高データを作成して登録する残高算出手段を備えたことを特徴とする残高管理装置。
【請求項2】
建築工事業の場合は、前記分析コードは、案件種別である工種、案件番号、不動産の種類、工事地域、請負区分、及び工事業態のうちの複数であることを特徴とする請求項1に記載の残高管理装置。
【請求項3】
IT業の場合は、前記分析コードは、案件種別である種類、案件番号、請負区分、及び提供業態のうちの複数であることを特徴とする請求項1又は2に記載の残高管理装置。
【請求項4】
前記制御部は、さらに、
分析コードに紐付く情報を登録したマスタにアクセス可能に構成されており、
前記月別区分別残高データに、分析コードで紐付く前記マスタの情報を結合させた分析指標結合データを出力する分析手段を備えたことを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の残高管理装置。
【請求項5】
制御部を備えた情報処理装置で実行される残高管理方法であって、
前記制御部は、
伝票番号、発生日、伝票区分、事業所コード、部門コード、総勘定科目コード、補助科目コード、賃借区分、正味金額、借方金額、貸方金額、複数の分析コードを含む仕訳明細データと、
該当年月、事業所コード、部門コード、総勘定科目コード、補助科目コード、賃借区分、複数の分析コード、当月借方発生金額、当月貸方発生金額、当月正味金額、当月末時点残高を含む月別区分別残高データと、
にアクセス可能に構成されており、
前記制御部において実行される、
前月末時点の月別区分別残高データと当月の仕訳明細データを事業所、部門、科目、及び各分析コード別に集計して、当月分を含む月別区分別残高データを算出して登録する残高算出工程を含むことを特徴とする残高管理方法。
【請求項6】
制御部を備えた情報処理装置に実行させるための残高管理プログラムであって、
前記制御部は、
伝票番号、発生日、伝票区分、事業所コード、部門コード、総勘定科目コード、補助科目コード、賃借区分、正味金額、借方金額、貸方金額、複数の分析コードを含む仕訳明細データと、
該当年月、事業所コード、部門コード、総勘定科目コード、補助科目コード、賃借区分、複数の分析コード、当月借方発生金額、当月貸方発生金額、当月正味金額、当月末時点残高を含む月別区分別残高データと、
にアクセス可能に構成されており、
前記制御部において、
前月末時点の月別区分別残高データと当月の仕訳明細データを事業所、部門、科目、及び各分析コード別に集計して、当月分を含む月別区分別残高データを算出して登録する残高算出工程を実行させるための残高管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、残高管理装置、残高管理方法、及び残高管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、工事の残高管理を行う場合に、従来は、現場社員は出来高率を基にした数値により各状況を判断し、経理や経営は原価比例による数値を基に工事進捗及び収支状況を把握していた。従来、残高管理を行うシステムとして、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-182765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、複数セグメントでの残高管理を可能として、細かな分析や管理をできるようにすることに関して何ら記載されていない。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、複数セグメントでの残高管理を可能として、細かな分析や管理をできるようにすること可能な残高管理装置、残高管理方法、及び残高管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部を備えた残高管理装置であって、前記制御部は、伝票番号、発生日、伝票区分、事業所コード、部門コード、総勘定科目コード、補助科目コード、賃借区分、賃借発生区分、正味金額、借方金額、貸方金額、複数の分析コードを含む仕訳明細データと、該当年月、事業所コード、部門コード、総勘定科目コード、補助科目コード、賃借区分、複数の分析コード、当月借方発生金額、当月貸方発生金額、当月正味金額、当月末時点残高を含む月別区分別残高データと、
にアクセス可能に構成されており、前月末時点の月別区分別残高データと当月の仕訳明細データを事業所、部門、科目、各分析コード別に集計して、当月分を含む月別区分別残高データを算出して登録する残高算出手段を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の一態様によれば、建築工事業の場合は、前記分析コードは、案件種別である工種、案件番号、不動産の種類、工事地域、請負区分、及び工事業態のうちの複数であることにしてもよい。
【0008】
また、本発明の一態様によれば、IT業の場合は、前記分析コードは、案件種別である種類、案件番号、請負区分、及び提供業態のうちの複数であることにしてもよい。
【0009】
また、本発明の一態様によれば、さらに、分析コードに紐付く情報を登録したマスタにアクセス可能に構成されており、前記月別区分別残高データに、分析コードで紐付く前記マスタの情報を結合させた分析指標結合データを出力する分析手段を備えることにしてもよい。
【0010】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部を備えた情報処理装置で実行される残高管理方法であって、前記制御部は、伝票番号、発生日、伝票区分、事業所コード、部門コード、総勘定科目コード、補助科目コード、賃借区分、正味金額、借方金額、貸方金額、複数の分析コードを含む仕訳明細データと、該当年月、事業所コード、部門コード、総勘定科目コード、補助科目コード、賃借区分、複数の分析コード、当月借方発生金額、当月貸方発生金額、当月正味金額、当月末時点残高を含む月別区分別残高データと、にアクセス可能に構成されており、前記制御部において実行される、前月末時点の月別区分別残高データと当月の仕訳明細データを事業所、部門、科目、各分析コード別に集計して、当月分を含む月別区分別残高データを算出して登録する残高算出工程を含むことを特徴とする。
【0011】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部を備えた情報処理装置に実行させるための残高管理プログラムであって、前記制御部は、伝票番号、発生日、伝票区分、事業所コード、部門コード、総勘定科目コード、補助科目コード、賃借区分、正味金額、借方金額、貸方金額、複数の分析コードを含む仕訳明細データと、該当年月、事業所コード、部門コード、総勘定科目コード、補助科目コード、賃借区分、複数の分析コード、当月借方発生金額、当月貸方発生金額、当月正味金額、当月末時点残高を含む月別区分別残高データと、にアクセス可能に構成されており、前記制御部において、
前月末時点の月別区分別残高データと当月の仕訳明細データを事業所、部門、科目、各分析コード別に集計して、当月分を含む月別区分別残高データを算出して登録する残高算出工程を実行させるための残高管理プログラムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数セグメントでの残高管理を可能として、細かな分析や管理をできるようにすることが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、従来の残高管理の例を説明するための図である。
図2図2は、従来の残高管理の例を説明するための図である。
図3図3は、従来の残高管理の例を説明するための図である。
図4図4は、従来の残高管理の例を説明するための図である。
図5図5は、本発明の残高管理の例を説明するための図である。
図6図6は、本発明の残高管理の例を説明するための図である。
図7図7は、本実施の形態に係る残高管理装置の構成の一例を示すブロック図である。
図8図8は、本実施の形態に係る残高管理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
図9図9は、本実施の形態に係る残高管理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
図10図10は、本実施の形態に係る残高管理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
図11図11は、本実施の形態に係る残高管理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
図12図12は、本実施の形態に係る残高管理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
図13図13は、本実施の形態に係る残高管理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
図14図14は、本実施の形態に係る残高管理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
図15図15は、本実施の形態に係る残高管理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
【0015】
[1.概要]
従来、残高管理する場合に、勘定科目、補助科目や取引先といった項目に対しては残高管理を行っていたが、業種業界に応じた付髄情報における残高管理はできていなかった。そのため、取引毎に、情報を収集し直して、必要な分析軸での残高管理を集計し直す必要があった。
【0016】
そこで、本発明では、複数セグメントでの残高管理を可能として、細かな分析や管理をできるようにした。
【0017】
図1図4は、従来の残高管理の例を説明するための図である。図1において、従来、残高管理としては、分析コード別(図1に示す例では、分析コード1、分析コード2)科目別(図1に示す例では、科目1~3)に残高管理を行っているが、複数の分析コードに跨がっての管理はできていなかった。2つの視点から分析するのは大変であり、案件別種類別の状況が見えづらい。
【0018】
図2は、従来の仕訳管理の例を説明するための図である。図2において、仕訳データは、日付・伝票No、借方勘定科目・貸方勘定科目、分析コード1(案件種別)・分析CD7(案件番号)、借方金額・借方税額、貸方勘定科目・貸方勘定科目、分析コード1(案件種別)・分析CD7(案件番号)、貸方金額・貸方税額と、を含んでいる。
【0019】
図3は、図2の分析コード1別科目別の残高表を示す図である。図3に示す残高表は、会計年月、科目、分析コード1、前期繰越残高、前期借方発生高、当期借方発生高、当期貸方発生高、当期末期残高を含んでいる。図4は、図2の分析コード7別科目別の残高表を示す図である。図4に示す残高表は、会計年月、科目、分析コード7,前期繰越残高、前期借方発生高、当期借方発生高、当期貸方発生高、当期末期残高を含んでいる。図3及び図4において、2つの分析コードから別々に分析するのは大変であり、違和感があっても何が間違っているのかを解析するのが難しい。
【0020】
図5及び図6は、本発明の残高管理の例を説明するための図である。図5において、残高管理を複数の分析コードを跨がって管理できるようにすることで、分析資料を一括で出力可能として、みたい指標を見えるようにする。図6は、分析コード1分析コード7別科目別の残高表を示す図である。図6に示す残高表は、会計年月、科目、分析コード7、分析コード1、前期繰越残高、前期借方発生高、当期借方発生高、当期貸方発生高、当期末期残高を含んでいる。例えば、図6において、分析コード7が「PJ-1000002」、分析コード1が「土木工事」になっている「未成工事支出金」の計上内容がおかしいと簡単に判断でき、工事支出金の仕訳を修正することで、正しい原価管理を行うことが可能となる。また、同様の指標を用いることで、例えば、回収が遅れている案件別・種類別の状況を明確にでき、また、当月支払う予定の案件別・種類別の状況を明確にできる。
【0021】
本発明の残高管理装置は、業界毎に各セグメント(分析指標である分析コード)を設定し、それに応じた残高管理を行うことで、業界問わず、全業界で適用可能である。
【0022】
[2.構成]
本実施の形態に係る残高管理装置の構成の一例について、図7を参照して説明する。図7は、本実施の形態に係る残高管理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0023】
残高管理装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、残高管理装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0024】
残高管理装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。残高管理装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0025】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置及び専用線等の有線又は無線の通信回線を介して、残高管理装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、残高管理装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。
【0026】
入出力インターフェース部108には、入力装置112及び出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0027】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、及びファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び光ディスク等を用いることができる。
【0028】
また、記憶部106は、月度期間マスタ106aと、プロジェクトマスタ106bと、プロジェクト予算マスタ106cと、データファイル106dと、を備えている。図8は、月度期間マスタ106aの構成例を示す図である。図9は、プロジェクトマスタ106bの構成例を示す図である。図10は、プロジェクト予算マスタ106cの構成例を示す図である。
【0029】
月度期間マスタ106aは、図8に示すように、月度、開始日、終了日を関連づけて登録したテーブル等で構成することができる。図8に示す例では、1行目は、月度「2020年4月度」、開始日「2020/4/1」、終了日「2020/4/30」となっている。
【0030】
プロジェクトマスタ(工事情報)106bは、図9に示すように、工事番号(プロジェクトコード)、工事名(プロジェクト名)、請負区分、請負金額、工事分類1(地区)、工事分類2(官民区分)、工事分類3(JV区分)を関連づけて登録したテーブル等で構成することができる。
【0031】
プロジェクト予算マスタ(予算情報)106cは、図10に示すように、工事番号(プロジェクトコード)、工種、原価要素、予算金額を関連づけて登録したテーブル等で構成することができる。
【0032】
データファイル106dは、仕訳明細データ、月別区分別残高データ等の各種データを格納するためのファイルである。
【0033】
仕訳明細データは、伝票番号、発生日、伝票区分、事業所コード、部門コード、総勘定科目コード、補助科目コード、賃借区分、賃借発生区分、金額、消費税額、正味金額、正味消費税、明細適用、行番号、借方金額、借方消費税、貸方金額、貸方消費税、分析コード1(工種),分析コード2、分析コード3,分析コード4、分析コード5,分析コード6(資金コード)、分析コード7(工事番号)を含んでいてもよい(図11参照)。
【0034】
月別区分別残高データ(以下、単に「残高データ」ともいう)は、該当年月、事業所コード、部門コード、総勘定科目コード、補助科目コード、賃借区分、分析コード1(工種)、分析コード2、分析コード3,分析コード4、分析コード5,分析コード6(資金コード)、分析コード7(工事番号)、当月借方発生金額、当月貸方発生金額、当月正味金額、当月末時点残高を含んでいてもよい(図13参照)。
【0035】
図7に戻り、制御部102は、残高管理装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0036】
制御部102は、記憶部106に格納されている、月度期間マスタ106a、プロジェクトマスタ106b、プロジェクト予算マスタ106c、データファイル106dにアクセス可能に構成されている。なお、これらのマスタ・ファイルは、他の場所(例えば、サーバ200)に設けられていてもよく、制御部102がアクセス可能な構成であればよい。
【0037】
制御部102は、機能概念的に、データ入力部102aと、残高処理部102bと、分析処理部102cと、マスタメンテ部102dと、画面表示制御部102eと、を備えている。
【0038】
データ入力部102aは、例えば、仕訳明細データを入力して、データファイル106dに登録する。
【0039】
残高処理部102bは、前月末時点の月別区分別残高データと当月の仕訳明細データを事業所、部門、科目、各分析コード別に集計して、当月分を含む月別区分別残高データを作成してデータファイル106dに登録する。
【0040】
建築工事業の場合には、分析コードは、案件種別である工種、案件番号、不動産の種類、工事地域、請負区分、及び工事業態のうちの複数であることにしてもよい。
【0041】
また、IT業の場合は、分析コードは、案件種別である種類、案件番号、請負区分、及び提供業態のうちの複数であることにしてもよい。
【0042】
分析処理部102cは、月別区分別残高データに、分析コードに紐付く情報を登録したマスタ(例えば、プロジェクトマスタ106b、プロジェクト予算マスタ106c)の情報を結合させたデータを表示出力及び/又は印刷出力する。
【0043】
マスタメンテ部102dは、例えば、モニタ114に表示されるマスタメンテ画面上でのオペレータの操作に応じて、月度期間マスタ106a、プロジェクトマスタ106b、プロジェクト予算マスタ106cに対して、データの入力・追加・削除・編集等の設定を行う。
【0044】
画面表示制御部102eは、モニタ114に表示する各種画面(例えば、仕訳入力画面、分析用の抽出画面等)の表示及びその入力を制御する。
【0045】
[3.具体例]
図7図15を参照して、本実施の形態における残高管理装置100の処理の具体例を説明する。図11図15は、本実施の形態における残高管理装置100の処理の具体例を説明するためのサンプルデータを示す図である。
【0046】
図11は、仕訳明細データの一例を示す図である。工事業界では1科目に対して、複数の関連情報を付与して仕訳計上を行っているケースがよく見られ、本実施の形態の例でも、補助科目だけでなく、分析コードとして、工種や不動産、工事番号などの情報を付与したデータを作成する。
【0047】
1工事内でも、どんな取引での実績が上がっており、その実績に紐づく消込状況などをウォッチすることで、正しい進捗状況や入出金管理を行うようにするためである。本実施の形態の例では、分析指標である分析コードとして、工種や不動産、工事番号を使用しているが、これ以外にも、工事地域や請負区分、工事業態なども管理することで分析の幅を広げることが可能である。分析軸は建設工事業界以外の利用者でも運用ができ、IT業やメーカーなどでも個々の企業に応じた分析軸を保持して、分析に活かすことも可能である。
【0048】
例えば、建設工事事業の場合は、分析コードとして、案件番号(工事番号)、案件種別である工種(建築、土木他)、不動産種類(商業施設、マンション他)、工事地域(都道府県)、請負区分(元請、下請)、工事業態(サービス業向け、メーカー業向け他)等を使用することができる。また、IT業の場合は、分析コードとして、案件番号、案件種別である種類(ERP、CAD、ゲーム他)、請負区分(元請、下請)、提供業態(サービス業向け、メーカー業向け 他)等を使用することができる。
【0049】
図11に示す仕訳明細データの例では、1行目は、伝票番号「SW-2004001」、発生日「2024/4/1」、伝票区分「本伝票」、事業所コード「大阪本社」、部門コード「大阪建築一部」、総勘定科目コード「完成工事未収入金」、補助科目コード「*」、賃借区分「借方」、賃借発生区分「借方」、金額「110,000」、消費税額「0」、正味金額「110,000」、正味消費税「0」、明細適用「任意記入」、行番号「1」、借方金額「110,000」、借方消費税「0」、貸方金額「0」、貸方消費税「0」、分析コード1(工種)「土木工事」,分析コード2「*」、分析コード3「*」,分析コード4「*」、分析コード5「*」,分析コード6(資金コード)「*」、分析コード7(工事番号)「PJ-1000001」となっている。
【0050】
補助科目コードの「*」は、「補助管理なし」を意味している(該当行の総勘定科目コードのみで、仕訳実績を管理する意味合いとなる。)。各種分析コードの「*」は、「管理項目なし」を意味している。貸借区分は、総勘定科目コードが貸借どちらの属性を持っているかを示した区分値である(例:完成工事未収入金は借方科目、売上工事高は貸方科目であることを明記したもの)。貸借発生区分は実際の仕訳計上で、貸借どちら側で発生したかを表したものとなる。貸借区分と同じ場合は正味金額がプラス、異なる場合は正味金額がマイナスとなり、残高金額への更新情報として正味金額の符号が反転する仕掛けになっている。
【0051】
残高処理部102bは、高階層科目別残高データ作成処理を実行して、前月末時点の月別区分別残高データと当月の仕訳明細データを事業所、部門、科目、各分析コード別に集計して、当月分を含む月別区分別残高データを作成してデータファイル106dに登録する。
【0052】
図12は、高階層科目別残高データ作成処理を詳細に説明するための図である。図12(A)は、月度期間マスタ106aのデータ例、図12(B)は、処理手順のフロー図を示している。高階層科目別残高データ作成処理の所定手順は以下のようになる。
【0053】
(1)前月末時点の残高データ(事業所・部門・科目・各分析コード1~7別)を取得する(期首月の場合はBS科目のみ、残高として取得する。)。
当日を基準とした当月+前後1か月分(計3か月分)を取得対象とする。これは、前月分は翌月に入った場合でも月次確定前の数字を最新化するため、翌月は月末日でも翌月発生分のデータを見える化するためである。
【0054】
日付、月度の判断方法
i:当日=処理を行う実際の日時から、当日を取得する(処理時間が「2021/2/17 10:15」の場合、当日は「2021/2/17」となる。)。
ii:iより取得した当日を元に、当月を判断する(当日が「2021/2/17」の場合、当月は「2021年2月度」となる。
iii:iiで取得した当月から、月度期間マスタ106aを参照して、前後1か月の計上期間を取得する。
【0055】
(2)当月の仕訳データから発生データを取得・集計(事業所・部門・科目・各分析コード1~7別)を行う。
(1)と同様に、当日を基準とした当月+前後1か月分(計3か月分)を取得対象とする。前月分は翌月に入った場合でも月次確定前の数字を最新化するため、翌月は月末日でも翌月発生分のデータを見える化するためである。
【0056】
(3) (1)と(2)を組み合わせて、3か月分の残高データを作成する。
(1)-1:前々月の残高データ+(2)-1:前月分の仕訳明細の集計
=(3)-1:前月の残高
(3)-1:前月の残高データ+(2)-2:当月分(当日まで)の仕訳明細の集計
=(3)-2:当月の残高(当日まで)
(3)-2:前月の残高データ+(2)-3:当月分(末日まで)の仕訳明細の集計 =(3)-3:当月の残高(末日まで)
(3)-3:当月の残高データ(末日まで)+(2)-4:翌月分の仕訳明細の集計
=(3)-4:翌月の残高
【0057】
(4)処理日は初期値が本日日付だが、手入力・手動実行で任意の日付に変更することも可能である。
【0058】
図13は、算出した月別区分別残高データの例を示す図である。図13に示す月別区分別残高データの例では、1行目は、該当年月「2020/04」、事業所コード「大阪本社」、部門コード「大阪建築一部」、総勘定科目コード「売上工事高」、補助科目コード「*」、賃借区分「借方」、分析コード1(工種)「土木工事」、分析コード2(不動産)「*」、分析コード3「*」、分析コード4「*」、分析コード5「*」、分析コード6(資金コード)「*」、分析コード7(工事番号)「PJ-1000001」、当月借方発生金額「0」、当月貸方発生金額「100,000」、当月正味金額「10,000」、当月末時点残高「100,000」となっている。
【0059】
これにより、事業所・部門・科目・各分析コード1~7別での残高・集計データが作成されることで、これまでは組織別・科目別でしか捉えられなかった集計実績に対して、各分析コード(工種や業界、案件など)別での残高情報も作成することで、様々な角度からの指標を捉えることができるようになる。
【0060】
図14及び図15を参照して、分析処理部102cで実行される分析処理を説明する。
分析処理では、分析処理部102cは、例えば、モニタ114に表示される抽出画面上でのオペレータの操作に指定される抽出条件に従って抽出した月別区分別残高データに、分析コードに紐付く情報を登録したマスタ(例えば、プロジェクトマスタ106b、プロジェクト予算マスタ106c)の情報を結合させた分析指標結合データを表示出力する。
【0061】
例えば、月別区分別残高データと、分析コード7と結合が可能なプロジェクトマスタを組み合わせることで、案件(分析コード7)別・工種(分析コード1)別での原価の発生状況や未払高などを見える化できるようになる。
【0062】
図14(A)は、抽出画面の表示例を示している。図14(B)は、プロジェクトマスタ(工事情報)106bのデータ例、図14(C)は、プロジェクト予算マスタ(予算情報)のデータ例を示している。ここでは、月別区分別残高データとプロジェクトマスタ106bとプロジェクト予算マスタ(予算情報)106cを分析コード7(工事番号)で結合した分析指標結合データを出力する場合を説明する。
【0063】
図14(A)に示す抽出画面において、は、月度、事業所、部門、総勘定科目、工種、不動産、工事番号、請負区分、地区、官民区分、JV区分を指定する欄と、出力ボタンを備えている。項目名の頭に付いている「*」は、抽出条件として、入力必須のものである。ここでは、月度が必須項目となっている。任意の抽出条件項目は、空白の場合は条件なしで結果を抽出できる。抽出条件を指定して、出力ボタンを押すと、月別区分別残高データから抽出条件に該当するデータを抽出し、抽出した月別区分別残高データに、分析コード7(工事番号)をキーとして、プロジェクトマスタ106bの工事情報(請負区分、請負金額、工事分類1(地区)、工事分類2(官民区分)、工事分類3(JV区分))と、プロジェクト予算マスタ(予算情報)106cの予算情報(予算金額)を結合して、図15に示すような分析指標結合データを表示出力する。
【0064】
図15は、分析指標結合データの例を示している。図15に示す分析指標結合データは、月別区分別残高データと、工事情報と、予算情報を結合したものとなっている。同図に示す例では、1行目は、該当年月「2020/04」、総勘定科目コード「売上工事高」、補助科目コード「 」、分析コード1(工種)「土木工事」、分析コード2(不動産)「*」、分析コード7(工事番号)「PJ-1000001」、当月末時点残高「100,000」、請負区分「元請」、請負金額「1,000,000」、工事分類1(地区)「大阪」、工事分類2(官民区分)「官庁」、工事分類3(JV区分))「JV」、予算金額「0」となっている。
【0065】
分析指標結合データからは以下のような情報を読み取ることができる。(1)請負金額に対して、売上高の進捗状況を確認できる。これにより、進捗状況が正しいかどうかを金額割合で判断できる。(2)外注費は予算金額までまだ枠が残っているが、経費は予算をほぼ消化しきっている。このように見直すかの判断基準となる。(3)末尾が2の工事番号に対して、経費の予算が設けられていない。しかし、他の科目は土木工事になっている。このように、予算情報の見直しと、計上内容の見直しを行うきっかけとなる。
【0066】
以上説明したように、本実施の形態によれば、前月末時点の月別区分別残高データと当月の仕訳明細データを事業所、部門、科目、各分析コード別に集計して、当月分を含む月別区分別残高データを作成して登録する残高処理部102bを備えているので、複数セグメントでの残高管理を可能として、細かな分析や管理をできるようにすることが可能となる。
【0067】
[4.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び9に貢献することが可能となる。
【0068】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13及び15に貢献することが可能となる。
【0069】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0070】
[5.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0071】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0072】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0073】
また、残高管理装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0074】
例えば、残高管理装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて残高管理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0075】
また、このコンピュータプログラムは、残高管理装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0076】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0077】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0078】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、及び、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0079】
また、残高管理装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、残高管理装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0080】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【符号の説明】
【0081】
100 残高管理装置
102 制御部
102a データ入力部
102b 残高処理部
102c 分析処理部
102d マスタメンテ部
102e 画面表示制御部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 月度期間マスタ
106b プロジェクトマスタ
106c プロジェクト予算マスタ
106d データファイル
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15