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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155499
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】広帯域幅共振回路
(51)【国際特許分類】
   H03H 7/09 20060101AFI20221005BHJP
   H03H 7/01 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
H03H7/09 Z
H03H7/01 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022028206
(22)【出願日】2022-02-25
(31)【優先権主張番号】63/167,712
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/412,764
(32)【優先日】2021-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517216431
【氏名又は名称】コルボ ユーエス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(72)【発明者】
【氏名】クラ,ナディム
【テーマコード(参考)】
5J024
【Fターム(参考)】
5J024AA01
5J024AA10
5J024BA01
5J024BA03
5J024CA01
5J024CA02
5J024CA06
5J024DA01
5J024DA25
5J024DA35
5J024EA03
5J024EA05
5J024KA01
(57)【要約】
【課題】広帯域幅共振回路を提供する。
【解決手段】本明細書に開示される実施形態では、広帯域幅共振回路は、負の共振回路に並列に結合された正の共振回路を含む。正の共振回路および負の共振回路を、広帯域幅にわたって特定のインピーダンス特性を全体として呈するように構成することができる。その結果、広帯域幅共振回路を利用して、広帯域幅信号フィルタ回路などにおける多様な広帯域幅アプリケーションをサポートすることが可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
広帯域幅共振回路であって、
第1のノードおよび第2のノードと、
前記第1のノードと前記第2のノードとの間に結合された正の共振回路であって、前記正の共振回路が、共振周波数で共振して、前記共振周波数よりも低域で前記第1のノードと前記第2のノードとの間にそれぞれのより低いインピーダンスを呈出するように構成されている、正の共振回路と、
前記第1のノードと前記第2のノードとの間に結合され、かつ前記正の共振回路に並列の負の共振回路であって、前記負の共振回路が、前記共振周波数で共振して、前記共振周波数よりも高域で前記第1のノードと前記第2のノードとの間にそれぞれのより低いインピーダンスを呈出するように構成されている、負の共振回路と、を備える、広帯域幅共振回路。
【請求項2】
前記正の共振回路が、前記共振周波数で共振して、前記共振周波数よりも高域で前記第1のノードと前記第2のノードとの間にそれぞれのより高いインピーダンスを呈出するようにさらに構成されており、
前記負の共振回路が、前記共振周波数で共振して、前記共振周波数よりも低域で前記第1のノードと前記第2のノードとの間にそれぞれのより高いインピーダンスを呈出するようにさらに構成されている、請求項1に記載の広帯域幅共振回路。
【請求項3】
前記正の共振回路が、前記第1のノードと前記第2のノードとの間に正のインダクタンスと直列の正のキャパシタンスを呈出するようにさらに構成されており、
前記負の共振回路が、前記第1のノードと前記第2のノードとの間に等価な負のインダクタンスと直列の等価な負のキャパシタンスを呈出するようにさらに構成されている、請求項1に記載の広帯域幅共振回路。
【請求項4】
前記等価な負のキャパシタンスの絶対値が、前記正のキャパシタンスに等しく、
前記等価な負のインダクタンスの絶対値が、前記正のインダクタンスに等しい、請求項3に記載の広帯域幅共振回路。
【請求項5】
前記正の共振回路が、前記正のキャパシタンスを有し、かつ前記正のインダクタンスを有するインダクタと直列に結合されたキャパシタを備える、請求項3に記載の広帯域幅共振回路。
【請求項6】
前記負の共振回路が、動作周波数よりも高域で前記第1のノードと前記第2のノードとの間に前記等価な負のインダクタンスと直列の前記等価な負のキャパシタンスを呈出するようにさらに構成されている、請求項3に記載の広帯域幅共振回路。
【請求項7】
前記動作周波数が、前記共振周波数よりも低く、
前記負の共振回路が、前記共振周波数よりも低域で、かつ前記動作周波数よりも高域で、前記それぞれのより高いインピーダンスを呈出するようにさらに構成されている、請求項6に記載の広帯域幅共振回路。
【請求項8】
前記負の共振回路が、
前記第1のノードと中央ノードとの間に結合された第1のインダクタと、
前記中央ノードと前記第2のノードとの間に結合された第2のインダクタと、
前記中央ノードとグラウンドとの間に結合された調整可能なキャパシタと、を備え、
前記第1のインダクタ、前記第2のインダクタ、および前記調整可能なキャパシタが全体として、前記等価な負のキャパシタンスを、前記第1のノードと前記第2のノードとの間に前記等価な負のインダクタンスと直列に呈出するように構成されている、請求項6に記載の広帯域幅共振回路。
【請求項9】
前記動作周波数が、
【数1】
と近似され、
前記等価な負のキャパシタンスが、
【数2】
と近似され、
前記等価な負のインダクタンスが、
【数3】
と近似され、
式中、
Lが、前記第1のインダクタおよび前記第2のインダクタのそれぞれのインダクタンスを表し、
Kが、前記第1のインダクタと前記第2のインダクタとの間の結合係数を表し、
が、前記調整可能なキャパシタのそれぞれのキャパシタンスを表す、請求項8に記載の広帯域幅共振回路。
【請求項10】
広帯域幅信号フィルタ回路であって、
広帯域幅共振回路であって、
第1のノードおよび第2のノードと、
前記第1のノードと前記第2のノードとの間に結合された正の共振回路であって、前記正の共振回路が、共振周波数で共振して、前記共振周波数よりも低域で前記第1のノードと前記第2のノードとの間にそれぞれのより低いインピーダンスを呈出するように構成されている、正の共振回路と、
前記第1のノードと前記第2のノードとの間に結合され、かつ前記正の共振回路に並列の負の共振回路であって、前記負の共振回路が、前記共振周波数で共振して、前記共振周波数よりも高域で前記第1のノードと前記第2のノードとの間にそれぞれのより低いインピーダンスを呈出するように構成されている、負の共振回路と、
前記第1のノードと前記第2のノードとの間に結合された負荷回路と、を備える、広帯域幅共振回路を備える、広帯域幅信号フィルタ回路。
【請求項11】
前記広帯域幅共振回路と直列に結合された第2の広帯域幅共振回路をさらに備え、前記第2の広帯域幅共振回路が、
前記第2のノードおよび第4のノードに結合された第3のノードと、
前記第3のノードと前記第4のノードとの間に結合された第2の正の共振回路であって、前記第2の正の共振回路が、第2の共振周波数で共振して、前記第2の共振周波数よりも低域で前記第3のノードと前記第4のノードとの間にそれぞれのより低いインピーダンスを呈出するように構成されている、第2の正の共振回路と、
前記第3のノードと前記第4のノードとの間に結合され、かつ前記第2の正の共振回路に並列の第2の負の共振回路であって、前記第2の負の共振回路が、前記第2の共振周波数で共振して、前記第2の共振周波数よりも高域で前記第3のノードと前記第4のノードとの間にそれぞれのより低いインピーダンスを呈出するように構成されている、第2の負の共振回路と、を備える、請求項10に記載の広帯域幅信号フィルタ回路。
【請求項12】
前記負荷回路が、前記第1のノードと前記第2のノードとの間に前記広帯域幅共振回路と直列に結合されている、請求項10に記載の広帯域幅信号フィルタ回路。
【請求項13】
前記負荷回路が、前記第1のノードと前記第2のノードとの間に前記広帯域幅共振回路に並列に結合されている、請求項10に記載の広帯域幅信号フィルタ回路。
【請求項14】
前記正の共振回路が、前記共振周波数で共振して、前記共振周波数よりも高域で前記第1のノードと前記第2のノードとの間にそれぞれのより高いインピーダンスを呈出するようにさらに構成されており、
前記負の共振回路が、前記共振周波数で共振して、前記共振周波数よりも低域で前記第1のノードと前記第2のノードとの間にそれぞれのより高いインピーダンスを呈出するようにさらに構成されている、請求項10に記載の広帯域幅信号フィルタ回路。
【請求項15】
前記正の共振回路が、前記第1のノードと前記第2のノードとの間に正のインダクタンスと直列の正のキャパシタンスを呈出するようにさらに構成されており、
前記負の共振回路が、前記第1のノードと前記第2のノードとの間に等価な負のインダクタンスと直列の等価な負のキャパシタンスを呈出するようにさらに構成されている、請求項10に記載の広帯域幅信号フィルタ回路。
【請求項16】
前記等価な負のキャパシタンスの絶対値が、前記正のキャパシタンスに等しく、
前記等価な負のインダクタンスの絶対値が、前記正のインダクタンスに等しい、請求項15に記載の広帯域幅信号フィルタ回路。
【請求項17】
前記正の共振回路が、前記正のキャパシタンスを有し、かつ前記正のインダクタンスを有するインダクタと直列に結合されたキャパシタを備える、請求項15に記載の広帯域幅信号フィルタ回路。
【請求項18】
前記負の共振回路が、動作周波数よりも高域で前記第1のノードと前記第2のノードとの間に前記等価な負のインダクタンスと直列の前記等価な負のキャパシタンスを呈出するようにさらに構成されている、請求項15に記載の広帯域幅信号フィルタ回路。
【請求項19】
前記動作周波数が、前記共振周波数よりも低く、
前記負の共振回路が、前記共振周波数よりも低域で、かつ前記動作周波数よりも高域で、前記それぞれのより高いインピーダンスを呈出するようにさらに構成されている、請求項18に記載の広帯域幅信号フィルタ回路。
【請求項20】
前記負の共振回路が、
前記第1のノードと中央ノードとの間に結合された第1のインダクタと、
前記中央ノードと前記第2のノードとの間に結合された第2のインダクタと、
前記中央ノードとグラウンドとの間に結合された調整可能なキャパシタと、を備え、
前記第1のインダクタ、前記第2のインダクタ、および前記調整可能なキャパシタが全体として、前記等価な負のキャパシタンスを、前記第1のノードと前記第2のノードとの間に前記等価な負のインダクタンスと直列に呈出するように構成されている、請求項15に記載の広帯域幅信号フィルタ回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年3月30日に出願された米国仮特許出願第63/167,712号の利益を主張し、その開示は、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の技術は、概して、共振回路、より具体的には、インダクタキャパシタ(LC)共振回路に関する。
【背景技術】
【0003】
現在の社会では、無線デバイスがますます一般的になっている。これらの無線デバイスの普及は、部分的には、多様な無線技術(例えば、ワイドエリア、ローカルエリア、および近距離無線技術)に基づいて、および多様な周波数帯域(例えば、認可帯域および無認可帯域)で、多様なアプリケーションをサポートするために、そのようなデバイス上で現在可能にされている多くの機能によって推進されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
絶えず増加する周波数帯の数、およびより高い性能への要求は、極めて困難なフィルタリング要求を投げかける。これらの要求は、無線デバイスの複雑さを高揚させ続けるが、それに基づいた信号フィルタのフットプリントを低減し、性能(例えば、帯域幅)を改善することが常に必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
詳細な説明に開示される態様は、広帯域幅共振回路を含む。本明細書に開示される実施形態では、広帯域幅共振回路は、負の共振回路に並列に結合された正の共振回路を含む。正の共振回路および負の共振回路を、広帯域幅にわたって特定のインピーダンス特性を全体として呈するように構成することができる。その結果、広帯域幅共振回路を利用して、広帯域幅信号フィルタ回路などにおける多様な広帯域幅アプリケーションをサポートすることが可能である。
【0006】
一態様では、広帯域幅共振回路を提供する。広帯域幅共振回路は、第1のノードおよび第2のノードを含む。広帯域幅共振回路はまた、第1のノードと第2のノードとの間に結合された正の共振回路を含む。正の共振回路は、共振周波数で共振して、共振周波数よりも低域で第1のノードと第2のノードとの間にそれぞれのより高いインピーダンスを呈出するように構成されている。広帯域幅共振回路はまた、第1のノードと第2のノードとの間に結合され、かつ正の共振回路に並列の負の共振回路を含む。負の共振回路は、共振周波数で共振して、共振周波数よりも高域で第1のノードと第2のノードとの間にそれぞれのより低いインピーダンスを呈出するように構成されている。
【0007】
別の態様では、広帯域幅信号フィルタ回路を提供する。広帯域幅信号フィルタ回路は、広帯域幅共振回路を含む。広帯域幅共振回路は、第1のノードおよび第2のノードを含む。広帯域幅共振回路はまた、第1のノードと第2のノードとの間に結合された正の共振回路を含む。正の共振回路は、共振周波数で共振して、共振周波数よりも低域で第1のノードと第2のノードとの間にそれぞれのより高いインピーダンスを呈出するように構成されている。広帯域幅共振回路はまた、第1のノードと第2のノードとの間に結合され、かつ正の共振回路に並列の負の共振回路を含む。負の共振回路は、共振周波数で共振して、共振周波数よりも高域で第1のノードと第2のノードとの間にそれぞれのより低いインピーダンスを呈出するように構成されている。広帯域幅信号フィルタ回路はまた、第1のノードと第2のノードとの間に結合された負荷回路を含む。
【0008】
当業者は、本開示の範囲を認識し、添付の図面と関連して以下の詳細な説明を読んだ後、その追加の態様を了得するであろう。
【0009】
本明細書に組み込まれ、この一部を形成する添付の図面は、本開示のいくつかの態様を例示し、説明とともに、本開示の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】負の共振回路に並列に結合された正の共振回路を含む例示的な等価共振回路の概略図である。
図2A図1の等価共振回路における負の共振回路がインダクタネットワークに基づいてどのように実装され得るかについての例示的な説明図を提供する概略図である。
図2B図1の等価共振回路における負の共振回路がインダクタネットワークに基づいてどのように実装され得るかについての例示的な説明図を提供する概略図である。
図2C図1の等価共振回路における負の共振回路がインダクタネットワークに基づいてどのように実装され得るかについての例示的な説明図を提供する概略図である。
図3】特定のインピーダンス特性を呈するように本開示の実施形態に従って構成された、例示的な広帯域幅共振回路の概略図である。
図4】広帯域幅にわたって図3の広帯域幅共振回路が呈するインピーダンス特性の例示的な説明図を提供するグラフ図である。
図5A図3の広帯域幅共振回路に基づいて広帯域幅帯域阻止フィルタとして動作するように構成された例示的な広帯域幅信号フィルタ回路の概略図である。
図5B図3の広帯域幅共振回路に基づいて広帯域幅帯域通過フィルタとして動作するように構成された例示的な広帯域幅信号フィルタ回路の概略図である。
図6】本開示の代替実施形態に従って構成された例示的な広帯域幅共振回路の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に説明される実施形態は、当業者が実施形態を実施することを可能にするために必要な情報を表し、実施形態を実施するための最良のモードを例示する。添付の図面に照らして以下の説明を読むと、当業者は、本開示の概念を理解するであろうし、本明細書で特に扱われない、これらの概念の適用を認知するであろう。これらの概念および適用は、本開示および添付の特許請求の範囲の範囲内にあることを理解されたい。
【0012】
様々な要素を記載するために第1、第2などの用語が本明細書で使用され得るが、これらの要素は、これらの用語によって限定されるものではないことが理解されよう。これらの用語は、ある要素と別の要素を区別するためにのみ使用される。例えば、本開示の範囲から逸脱することなく、第1の要素を第2の要素と称することが可能であり、同様に、第2の要素を第1の要素と称することが可能である。本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、関連付けられた列挙項目のうちの1つ以上の任意のおよびすべての組み合わせを含む。
【0013】
層、領域、または基板などの要素が、別の要素の「上に(on)」あるか、または「上に(onto)」延在すると称される場合、それは、他の要素の直接上にあるか、もしくは他の要素の直接上に延在することができ、または介在要素が存在する場合もあることが理解されよう。対照的に、要素が、別の要素の「直接上に(directly on)」あるか、または「直接上に(directly onto)」延在すると称される場合、介在要素は存在しない。同じく、層、領域、または基板などの要素が、別の要素の「上に(over)」あるか、または「上に(over)」延在すると称される場合、それは、他の要素の直接上にあるか、もしくは他の要素の直接上に延在することができ、または介在要素が存在する場合もあることが理解されよう。対照的に、要素が、別の要素の「直接上に(directly over)」あるか、または「直接上に(directly over)」延在すると称される場合、介在要素は存在しない。要素が別の要素に「接続されて」いるか、または「結合されて」いると称される場合、他の要素に直接接続されているか、もしくは結合されていることができ、または介在要素が存在する場合があることも理解されよう。対照的に、要素が、別の要素に「直接接続されて」いるか、または「直接上結合されて」いると称される場合、介在要素は存在しない。
【0014】
「下方の」または「上方の」または「上側の」または「下側の」または「水平の」または「垂直の」などの相対的な用語が、図に例示されるように、ある要素、層、または領域と別の要素、層、または領域との関係を記載するために本明細書で使用される場合がある。これらの用語および上記で論じた用語は、図に描示された配向に加えて、デバイスの種々の配向を包含することが意図されていることが理解されよう。
【0015】
本明細書で使用される用語は、単に特定の実施形態を記載する目的でのものであり、本開示を限定することは意図されていない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が別途明確に示さない限り、複数形も含むことが意図されている。本明細書で使用される場合、「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「含む(includes)」、および/または「含む(including)」という用語は、述べられた特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在もしくは追加を排除しないことがさらに理解されよう。
【0016】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての用語(専門用語および科学用語を含む)は、本開示が属する技術分野の当業者に一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書で使用される用語は、本明細書および関連技術の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有するものとして解釈されるものであり、本明細書において明示的にそのように定義されない限り、理想化されたまたは過度に形式的な意味で解釈されないことがさらに理解されよう。
【0017】
詳細な説明に開示される態様は、広帯域幅共振回路を含む。本明細書に開示される実施形態では、広帯域幅共振回路は、負の共振回路に並列に結合された正の共振回路を含む。正の共振回路および負の共振回路を、広帯域幅にわたって特定のインピーダンス特性を全体として呈するように構成することができる。その結果、広帯域幅共振回路を利用して、広帯域幅信号フィルタ回路などにおける多様な広帯域幅アプリケーションをサポートすることが可能である。
【0018】
図1は、第1のノード16と第2のノード18との間に負の共振回路14に並列に結合された正の共振回路12を含む例示的な等価共振回路10の概略図である。非限定的な例では、正の共振回路12および負の共振回路14の各々は、インダクタキャパシタ(LC)共振回路である。より具体的には、正の共振回路12は、正のインダクタL(正のインダクタンスL)と直列に結合された正のキャパシタC(正のキャパシタンスCを有する)を含む。負の共振回路14は、負のインダクタ-L(負のインダクタンス-L)と直列に結合された負のキャパシタ-C(負のキャパシタンス-Cを有する)を含む。以下で詳細に論じるように、等価共振回路10は、広帯域幅にわたって特定のインピーダンス特性を呈することができ、したがって、広帯域幅信号フィルタ、インピーダンスインバータなどを含むが、これに限定されない、多様な広帯域幅アプリケーションに等価共振回路10を採用することが可能となる。
【0019】
しかしながら、負のキャパシタンス-Cを有する負のキャパシタンス-Cと、負のインダクタンス-Lを有する負のインダクタ-Lと、を実回路で提供することは困難であり得る。したがって、負の共振回路14に負のキャパシタンス-Cおよび負のインダクタンス-Lを提供するための代替の方法を探索することが必要である。図2A図2Cで論じるように、インダクタネットワークに基づいて、負の共振回路14に負のキャパシタンス-Cおよび負のインダクタンス-Lを提供することが可能である。
【0020】
図2Aは、図1の等価共振回路10に負のキャパシタンス-Cおよび負のインダクタンス-Lを提供するために利用され得るインダクタネットワーク20の概略図である。図1図2Aとの間の共通の要素は、共通の要素番号を伴ってその中に示されており、本明細書では再記載されない。
【0021】
非限定的な例では、インダクタネットワーク20は、第1のインダクタ22、第2のインダクタ24、および調整可能なキャパシタ26を含む。第1のインダクタ22は、第1のノード16と中央ノード28との間に結合されている。第2のインダクタ24は、中央ノード28と第2のノード18との間に結合されている。調整可能なキャパシタ26は、中央ノード28とグラウンド(GND)との間に結合されている。第1のインダクタ22および第2のインダクタ24は各々、インダクタンスLを有し、結合係数K(0<K<1)に基づいて相互インダクタンスMを全体として提供する。調整可能なキャパシタ26を、キャパシタンスCを提供するように調整することができる。
【0022】
図2Bは、図2Aのインダクタネットワーク20の等価電気ネットワーク30を示す。図2A図2Bとの間の共通の要素は、共通の要素番号を伴ってその中に示されており、本明細書では再記載されない。
【0023】
等価電気ネットワーク30では、第1のインダクタ22および第2のインダクタ24の各々は、インダクタンスL*(1+K)を有することができる。等価電気ネットワーク30は、中央ノード28と調整可能なキャパシタ26との間に結合されている第3のインダクタ32をさらに含む。第3のインダクタ32は、-L*Kに等しいインダクタンスを有する。
【0024】
等価電気ネットワーク30を、T型ネットワークから、図1の等価共振回路10の、負のキャパシタ-Cに等価な負のキャパシタと負のインダクタ-Lに等価な負のインダクタとを呈出するπ型ネットワークに変換することができる。これに関して、図2Cは、等価な負のキャパシタCNEGおよび等価な負のインダクタLNEGを呈出する例示的なπ型ネットワーク34の概略図である。図2B図2Cとの間の共通の要素は、共通の要素番号を伴ってその中に示されており、本明細書では再記載されない。
【0025】
図2Cに示されるように、等価な負のキャパシタCNEG(等価な負のキャパシタンスCNEGを有する)は、ノードNとNとの間で等価な負のインダクタLNEG(等価な負のインダクタンスLNEGを有する)と直列に結合されている。π型ネットワーク34はまた、ノードNとNとの間、ならびにノードNとNとの間に、等価な正のキャパシタCPOSと直列に結合された等価な正のインダクタLPOSを含む。等価な正のインダクタLPOSは、L(1-K)のインダクタンスを有し、等価な正のキャパシタCPOSは、1/2Cのキャパシタンスを有する。
【0026】
π型ネットワーク34を、動作周波数foperよりも高域で等価な負のキャパシタンスCNEGおよび等価な負のインダクタンスLNEGを提供するように変える(例えば、L、Cおよび/またはKに基づいて)ことができる。非限定的な例では、動作周波数foper、等価な負のキャパシタンスCNEG、および等価な負のインダクタンスLNEGを、以下の式(式1.1、1.2、および1.3)に従って近似することができる。
【0027】
【数1】
【数2】
【数3】
【0028】
π型ネットワーク34が、動作周波数foperよりも高域で等価な負のキャパシタンスCNEG、および等価な負のインダクタンスLNEGを提供することができることを考慮すると、図2Aのインダクタネットワーク20を使用して、図1の等価共振回路10に、負のキャパシタンス-Cを有する負のキャパシタ-Cと負のインダクタンス-Lを有する負のインダクタ-Lとを提供することが可能であることになる。
【0029】
図3は、図1の正の共振回路12に従って構成された正の共振回路38と、図2Aのインダクタネットワーク20に従って構成された負の共振回路40と、を含む例示的な広帯域幅共振回路36の概略図である。図1図2A、および図3の間の共通の要素は、共通の要素番号を伴ってその中に示されており、本明細書では再記載されない。
【0030】
式(式1.2および1.3)に示されるように、等価な負のキャパシタンスCNEGの絶対値および等価な負のインダクタンスLNEGの絶対値をそれぞれ正のキャパシタンスCおよび正のインダクタンスLに等しくすることができるように、L、Cおよび/またはKに基づいて負の共振回路40を調整することが可能である(|CNEG|=Cおよび|LNEG|=L)。したがって、正の共振回路38および負の共振回路40は、両方とも共振周波数fRESで共振して、広帯域幅にわたって特定のインピーダンス特性を呈出することができる。その結果、広帯域幅信号フィルタ回路、インピーダンスインバータなどにおける多様な広帯域幅アプリケーションのために、広帯域幅共振回路36を利用することが可能である。
【0031】
図4は、広帯域幅BWにわたって図3の広帯域幅共振回路36が呈するインピーダンス特性の例示的な説明図を提供するグラフ図である。図4に示されるグラフ図は、第1のインピーダンス曲線42、第2のインピーダンス曲線44、第3のインピーダンス曲線46、および第4のインピーダンス曲線48を含む。
【0032】
第1のインピーダンス曲線42は、図3の正の共振回路38が呈するインピーダンス特性を例示している。示されるように、正の共振回路38は、共振周波数fRESで共振して、共振周波数fRESよりも低域でそれぞれのより低いインピーダンスZPLを呈出し、共振周波数fRESよりも高域でそれぞれのより高いインピーダンスZPHを呈出する。
【0033】
第2のインピーダンス曲線44は、図3の負の共振回路40が呈するインピーダンス特性を例示している。示されるように、負の共振回路40は、共振周波数fRESで共振して、共振周波数fRESよりも低域でそれぞれのより高いインピーダンスZNHを呈出し、共振周波数fRESよりも高域でそれぞれのより低いインピーダンスZNLを呈出する。先に図2A図2Cで論じたように、インダクタネットワーク20は、共振周波数fRESよりも低い動作周波数foperよりも高域で等価な負のキャパシタンスCNEGおよび等価な負のインダクタンスLNEGのみを提供することができる。したがって、負の共振回路40は、動作周波数foperと共振周波数fRESとの間にそれぞれのより高いインピーダンスZNHのみを呈出することができる。
【0034】
第3のインピーダンス曲線46は、広帯域幅BWにわたる正の共振回路38と負の共振回路40との間の相殺するインピーダンス特性の全体的な影響を示す。
【0035】
第4のインピーダンス曲線48は、広帯域幅BWにわたる図3の広帯域幅共振回路36の全体的なフィルタリング性能を例示している。具体的には、広帯域幅共振回路36は、動作周波数foperよりも低域の信号を通過させ、動作周波数foperよりも高域の信号を遮断することができる。したがって、広帯域幅共振回路36を利用して、帯域通過または帯域阻止信号フィルタを提供することができる。
【0036】
図5Aは、図3の広帯域幅共振回路36に基づいて広帯域幅帯域阻止フィルタとして動作するように構成された、例示的な広帯域幅信号フィルタ回路50の概略図である。図3図5Aとの間の共通の要素は、共通の要素番号を伴ってその中に示されており、本明細書では再記載されない。
【0037】
広帯域幅信号フィルタ回路50は、第1のノード16と第2のノード18との間の広帯域幅共振回路36と直列に結合された負荷回路52を含む。先の図4での議論によれば、広帯域幅信号フィルタ回路50は、動作周波数foperよりも高域で広帯域幅BWにわたって信号を遮断するための広帯域幅帯域阻止信号フィルタとして機能することができる。
【0038】
図5Bは、図3の広帯域幅共振回路36に基づいて広帯域幅帯域通過フィルタとして動作するように構成された、例示的な広帯域幅信号フィルタ回路54の概略図である。図3図5Bとの間の共通の要素は、共通の要素番号を伴ってその中に示されており、本明細書では再記載されない。
【0039】
広帯域幅信号フィルタ回路54は、第1のノード16と第2のノード18との間の広帯域幅共振回路36に並列に結合された負荷回路56を含む。先の図4での議論によれば、広帯域幅信号フィルタ回路54は、動作周波数foperよりも高域で広帯域幅BWにわたって信号がグラウンドに分流されるのを阻止するための広帯域幅帯域通過信号フィルタとして機能することができる。
【0040】
図3の広帯域幅共振回路36を、2つ以上の広帯域幅で動作するように適合させることができる。これに関して、図6は、本開示の代替実施形態に従って構成された例示的な広帯域幅共振回路58の概略図である。図3図6との間の共通の要素は、共通の要素番号を伴ってその中に示されており、本明細書では再記載されない。
【0041】
広帯域幅共振回路58は、広帯域幅共振回路36と直列に結合された第2の広帯域幅共振回路60を含む。第2の広帯域幅共振回路60は、第2のノード18および第4のノード64に結合された第3のノード62を含む。非限定的な例では、第3のノード62を、結合インピーダンスZCOUPを有する結合回路66を介して第2のノード18に結合することができる。
【0042】
第2の広帯域幅共振回路60は、第2の正の共振回路38’および第2の負の共振回路40’を含む。第2の正の共振回路38’は、第3のノード62と第4のノード64との間に結合されている。第2の正の共振回路38’は、第2の共振周波数f’RESで共振して、第2の共振周波数f’RESよりも低域で第3のノード62と第4のノード64との間にそれぞれのより低いインピーダンスを呈出するように構成されている。第2の負の共振回路40’は、第3のノード62と第4のノード64との間に、かつ第2の正の共振回路38’に並列に結合されている。第2の負の共振回路40’は、第2の共振周波数f’RESで共振して、第2の共振周波数f’RESよりも高域で第3のノード62と第4のノード64との間にそれぞれのより低いインピーダンスを呈出するように構成されている。
【0043】
広帯域幅共振回路36と同じく、第2の広帯域幅共振回路60は、図1の正の共振回路12を第2の正の共振回路38’として利用し、かつ図2Aのインダクタネットワーク20を第2の負の共振回路40’として利用するように構成されている。よって、第2の広帯域幅共振回路60は、広帯域幅共振回路36と同じ原理に基づいて動作するように構成されている。
【0044】
しかしながら、理解できるように、第2の広帯域幅共振回路60のL、C、およびKを、広帯域幅共振回路36のL、C、およびKとは独立に決定することができる。これに関して、第2の広帯域幅共振回路60の第2の共振周波数f’RESは、広帯域幅共振回路36の共振周波数fRESとは異なってもよいし、同一であってもよい。
【0045】
当業者は、本開示の実施形態に対する改善および修正を認知するであろう。すべてのそのような改善および修正は、本明細書に開示される概念および以下の特許請求の範囲の範囲内で考慮される。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5A
図5B
図6
【外国語明細書】