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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155503
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】無線給電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/05 20160101AFI20221005BHJP
   H02J 50/40 20160101ALI20221005BHJP
【FI】
H02J50/05
H02J50/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033395
(22)【出願日】2022-03-04
(31)【優先権主張番号】P 2021058266
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003001
【氏名又は名称】帝人株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110135
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 裕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(72)【発明者】
【氏名】根岸 毅人
(72)【発明者】
【氏名】浅村 直也
(72)【発明者】
【氏名】箱崎 光弘
(57)【要約】
【課題】利便性が高い無線給電システムを提供する。
【解決手段】給電装置100は、シート状であり第1方向に延びる電極210と、シート状であり第1方向に延びる電極220と、電極210と電極220とを介して、電界結合により受電カプラ400に給電する給電部305と、を備える。受電カプラ400は、シート状であり電極210と対向する電極410と、シート状であり電極220と対向する電極420と、電極410と電極420とを介して、電界結合により給電装置100から受電する受電部404と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受電カプラに無線で給電する給電装置と前記受電カプラとを備える無線給電システムであって、
前記給電装置は、
シート状であり第1方向に延びる第1電極と、
シート状であり前記第1方向に延びる第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極とを介して、電界結合により前記受電カプラに給電する給電部と、を備え、
前記受電カプラは、
シート状であり前記第1電極と対向する第3電極と、
シート状であり前記第2電極と対向する第4電極と、
前記第3電極と前記第4電極とを介して、電界結合により前記給電装置から受電する受電部と、を備える、
無線給電システム。
【請求項2】
前記給電装置は、前記第1電極と前記第2電極とを備える給電シートを備え、
前記第1電極と前記第2電極とは、前記給電シートにおいて、前記第1方向に延びている、
請求項1に記載の無線給電システム。
【請求項3】
前記第1電極と前記第2電極とは、前記給電シートにおいて、前記第1電極及び前記第2電極の厚み方向である第2方向と前記第1方向とに直交する第3方向に並んで配置され、
前記第3電極と前記第4電極とは、前記受電カプラにおいて、前記受電カプラの長手方向に延び、前記第3電極及び前記第4電極の厚み方向と前記受電カプラの長手方向とに直交する方向に並んで配置される、
請求項2に記載の無線給電システム。
【請求項4】
前記受電カプラの前記長手方向における長さは、前記給電シートの前記第3方向における長さよりも長い、
請求項3に記載の無線給電システム。
【請求項5】
前記第1電極及び前記第2電極の前記第1方向における長さは、前記給電装置が給電に用いる電磁波の前記給電シート内における波長の1/4よりも短い、
請求項2から4の何れか1項に記載の無線給電システム。
【請求項6】
前記給電シートは、シート状である第5電極とシート状である第6電極とを備える複数の分割給電シートを、前記複数の分割給電シートが備える前記第5電極が互いに接続されて前記第1方向に延び、前記複数の分割給電シートが備える前記第6電極が互いに接続されて前記第1方向に延びるように、直列に接続することにより構成される、
請求項2から5の何れか1項に記載の無線給電システム。
【請求項7】
前記給電装置は、複数の前記給電シートを備え、
前記複数の給電シートは、前記給電部に対して並列に接続される、
請求項2から5の何れか1項に記載の無線給電システム。
【請求項8】
前記第1電極と前記第2電極とは、互いに対向するように平行に配置され、
前記第3電極と前記第4電極とは、前記受電カプラにおいて、前記受電カプラの長手方向に延び、互いに対向するように平行に配置され、
前記受電カプラが前記第1電極と前記第2電極との間に配置された状態において、前記第1電極と前記第3電極とが対向し、前記第2電極と前記第4電極とが対向する、
請求項1又は2に記載の無線給電システム。
【請求項9】
前記第1電極と前記第2電極とは、互いに直交するように配置され、
前記第3電極と前記第4電極とは、前記受電カプラにおいて、前記受電カプラの長手方向に延び、互いに直交するように配置され、
前記受電カプラは、前記第1電極と前記第3電極とが対向し、前記第2電極と前記第4電極とが対向するように配置される、
請求項1又は2に記載の無線給電システム。
【請求項10】
前記給電装置は、前記第1電極と前記第2電極とを介して、前記受電カプラと通信する通信部を備え、
前記受電カプラは、前記第3電極と前記第4電極とを介して、前記給電装置と通信する第1通信部を備え、
前記給電装置は、前記通信部が前記第1通信部から受信した情報に基づいて、前記受電カプラに給電する電力を調整する電力調整部を備える、
請求項1から9の何れか1項に記載の無線給電システム。
【請求項11】
前記給電装置は、前記第1電極と前記第2電極とを介して、前記受電カプラと通信する通信部を備え、
前記受電カプラは、前記第3電極と前記第4電極とを介して、前記給電装置と通信する第1通信部を備え、
前記給電装置は、前記通信部が前記第1通信部から受信した情報と、前記給電装置が給電している電力とに基づいて、異常の有無を判別する異常判別部を備える、
請求項1から9の何れか1項に記載の無線給電システム。
【請求項12】
前記受電カプラは、前記受電部が受電した電力を第1機器に供給する送電部を備える、
請求項1から11の何れか1項に記載の無線給電システム。
【請求項13】
前記受電カプラは、送電コイルを備え、
前記第1機器は、前記送電コイルと磁気的に結合する受電コイルを備え、
前記送電部は、前記送電コイルを介して、磁界結合により前記第1機器に送電する、
請求項12に記載の無線給電システム。
【請求項14】
前記受電カプラは、前記受電部が受電した電力により第2機器と通信する第2通信部を備える、
請求項1から13の何れか1項に記載の無線給電システム。
【請求項15】
前記受電カプラは、送信コイルを備え、
前記第2機器は、前記送信コイルと磁気的に結合する受信コイルを備え、
前記第2通信部は、前記送信コイルを介して、磁界結合により前記第2機器と通信する、
請求項14に記載の無線給電システム。
【請求項16】
前記受電カプラは、前記受電部が受電した電力により第3機器と通信する第3通信部を備え、
前記第2通信部は、前記第2機器から情報を取得し、
前記第3通信部は、前記第2通信部が前記第2機器から取得した情報を前記第3機器に送信する、
請求項14又は15に記載の無線給電システム。
【請求項17】
前記給電装置は、
シート状であり前記第1電極と対向する第7電極と、
シート状であり前記第2電極と対向する第8電極と、を備え、
前記給電部は、前記第1電極と前記第2電極と前記第3電極と前記第4電極と前記第7電極と前記第8電極とを介して、電界結合により前記受電カプラに給電する、
請求項1から16の何れか1項に記載の無線給電システム。
【請求項18】
前記給電装置は、前記第1電極と前記第2電極とに接続される給電インターフェースを備え、
前記給電インターフェースは、前記受電カプラの個数に応じてインピーダンスが調整されるインピーダンス調整回路を備える、
請求項1から7の何れか1項に記載の無線給電システム。
【請求項19】
前記給電装置は、前記第1方向に延びる第1嵌合部を備え、
前記受電カプラは、前記第1嵌合部と嵌合する第2嵌合部を備え、
前記受電カプラは、前記第1嵌合部と前記第2嵌合部との嵌合により、前記給電装置に取り付けられた状態で前記第1方向に移動可能である、
請求項1から18の何れか1項に記載の無線給電システム。
【請求項20】
前記給電シートは、シート状である第9電極とシート状である第10電極とを備える複数の分割給電シートと、シート状である第11電極とシート状である第12電極とを備える接続部材とを備え、
前記複数の分割給電シートのうち第1分割給電シートと前記複数の分割給電シートのうち第2分割給電シートとが前記第1方向に延びるように直列に配置され、
前記接続部材は、前記第11電極が、前記第1分割給電シートが備える前記第9電極と前記第2分割給電シートが備える前記第9電極とに対向し、前記第12電極が、前記第1分割給電シートが備える前記第10電極と前記第2分割給電シートが備える前記第10電極とに対向するように配置される、
請求項2に記載の無線給電システム。
【請求項21】
前記複数の分割給電シートは、前記第9電極と前記第10電極とが設置される基材と、前記第9電極及び前記第10電極の露出を抑制する保護部材とを備え、
前記分割給電シートの前記第1方向の端部における前記保護部材の厚さは、前記分割給電シートの前記第1方向の中央部における前記保護部材の厚さよりも薄く、
前記接続部材は、前記第1分割給電シートの前記第1方向の端部と前記第2分割給電シートの前記第1方向の端部とを跨ぐように配置される、
請求項20に記載の無線給電システム。
【請求項22】
前記複数の分割給電シートは、前記第9電極と前記第10電極とが設置される基材と、前記分割給電シートの前記第1方向の中央部に設けられ、前記第9電極及び前記第10電極の露出を抑制する第1保護部材と、前記分割給電シートの前記第1方向の端部に設けられ、前記第9電極及び前記第10電極の露出を抑制する第2保護部材とを備え、
前記第2保護部材の誘電率は、前記第1保護部材の誘電率よりも高く、
前記接続部材は、前記第1分割給電シートの前記第1方向の端部と前記第2分割給電シートの前記第1方向の端部とを跨ぐように配置される、
請求項20に記載の無線給電システム。
【請求項23】
前記給電シートは、前記第2電極として、第13電極と第14電極とを備え、
前記第1電極と前記第13電極と前記第14電極とは、前記給電シートにおいて、前記第1電極、前記第13電極及び前記第14電極の厚み方向である第2方向と前記第1方向とに直交する第3方向に並んで配置され、
前記第1電極は、前記第13電極と前記第14電極との間に配置される、
請求項2に記載の無線給電システム。
【請求項24】
前記第1電極の前記第3方向の長さは、前記第13電極及び前記第14電極の前記第3方向の長さよりも長い、
請求項23に記載の無線給電システム。
【請求項25】
前記第1電極と前記第2電極とは、前記給電シートにおいて、前記第1電極及び前記第2電極の厚み方向である第2方向と前記第1方向とに直交する第3方向に並んで配置され、
前記第3電極と前記第4電極とは、円筒の側面に沿って曲げられた形状を有し、前記円筒の中心軸が延びる方向に並んで配置され、
前記受電カプラは、前記円筒の中心軸が前記第3方向に延び、前記第3電極が前記第1電極と対向し、前記第4電極が前記第2電極と対向するように、前記給電シート上に配置される、
請求項2に記載の無線給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、金属接点、金属コネクタ等を用いずに非接触で給電する無線給電システムが知られている。このような無線給電システムでは、給電方式として電界結合方式が採用されることがある。電界結合方式は、給電装置が備える電極と受電装置が備える電極とにより構成されるキャパシタの静電容量を利用して給電する方式である。
【0003】
例えば、特許文献1には、並列共振を用いた電界結合方式で給電を実現する無線給電システムが記載されている。この無線給電システムでは、給電装置が備える送電電極と受電装置が備える受電電極とが対向する位置に配置されたときに、給電装置から受電装置に給電される。ここで、無線給電システムの利便性を高めるためには、受電装置の個数、受電装置の形状、受電装置の大きさ等に応じて、電極の形状、大きさ、配置等が調整されることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-183622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1には、電極の形状、大きさ、配置等について詳細に説明されていない。このため、特許文献1に記載された無線給電システムは、利便性の観点から改善の余地があると考えられる。そこで、利便性が高い無線給電システムが望まれている。
【0006】
本開示は、上記問題に鑑みてなされたものであり、利便性が高い無線給電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示に係る無線給電システムは、
受電カプラに無線で給電する給電装置と前記受電カプラとを備える無線給電システムであって、
前記給電装置は、
シート状であり第1方向に延びる第1電極と、
シート状であり前記第1方向に延びる第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極とを介して、電界結合により前記受電カプラに給電する給電部と、を備え、
前記受電カプラは、
シート状であり前記第1電極と対向する第3電極と、
シート状であり前記第2電極と対向する第4電極と、
前記第3電極と前記第4電極とを介して、電界結合により前記給電装置から受電する受電部と、を備える。
【0008】
前記給電装置は、前記第1電極と前記第2電極とを備える給電シートを備え、
前記第1電極と前記第2電極とは、前記給電シートにおいて、前記第1方向に延びていてもよい。
【0009】
前記第1電極と前記第2電極とは、前記給電シートにおいて、前記第1電極及び前記第2電極の厚み方向である第2方向と前記第1方向とに直交する第3方向に並んで配置され、
前記第3電極と前記第4電極とは、前記受電カプラにおいて、前記受電カプラの長手方向に延び、前記第3電極及び前記第4電極の厚み方向と前記受電カプラの長手方向とに直交する方向に並んで配置されてもよい。
【0010】
前記受電カプラの前記長手方向における長さは、前記給電シートの前記第3方向における長さよりも長くてもよい。
【0011】
前記第1電極及び前記第2電極の前記第1方向における長さは、前記給電装置が給電に用いる電磁波の前記給電シート内における波長の1/4よりも短くてもよい。
【0012】
前記給電シートは、シート状である第5電極とシート状である第6電極とを備える複数の分割給電シートを、前記複数の分割給電シートが備える前記第5電極が互いに接続されて前記第1方向に延び、前記複数の分割給電シートが備える前記第6電極が互いに接続されて前記第1方向に延びるように、直列に接続することにより構成されてもよい。
【0013】
前記給電装置は、複数の前記給電シートを備え、
前記複数の給電シートは、前記給電部に対して並列に接続されてもよい。
【0014】
前記第1電極と前記第2電極とは、互いに対向するように平行に配置され、
前記第3電極と前記第4電極とは、前記受電カプラにおいて、前記受電カプラの長手方向に延び、互いに対向するように平行に配置され、
前記受電カプラが前記第1電極と前記第2電極との間に配置された状態において、前記第1電極と前記第3電極とが対向し、前記第2電極と前記第4電極とが対向してもよい。
【0015】
前記第1電極と前記第2電極とは、互いに直交するように配置され、
前記第3電極と前記第4電極とは、前記受電カプラにおいて、前記受電カプラの長手方向に延び、互いに直交するように配置され、
前記受電カプラは、前記第1電極と前記第3電極とが対向し、前記第2電極と前記第4電極とが対向するように配置されてもよい。
【0016】
前記給電装置は、前記第1電極と前記第2電極とを介して、前記受電カプラと通信する通信部を備え、
前記受電カプラは、前記第3電極と前記第4電極とを介して、前記給電装置と通信する第1通信部を備え、
前記給電装置は、前記通信部が前記第1通信部から受信した情報に基づいて、前記受電カプラに給電する電力を調整する電力調整部を備えてもよい。
【0017】
前記給電装置は、前記第1電極と前記第2電極とを介して、前記受電カプラと通信する通信部を備え、
前記受電カプラは、前記第3電極と前記第4電極とを介して、前記給電装置と通信する第1通信部を備え、
前記給電装置は、前記通信部が前記第1通信部から受信した情報と、前記給電装置が給電している電力とに基づいて、異常の有無を判別する異常判別部を備えてもよい。
【0018】
前記受電カプラは、前記受電部が受電した電力を第1機器に供給する送電部を備えてもよい。
【0019】
前記受電カプラは、送電コイルを備え、
前記第1機器は、前記送電コイルと磁気的に結合する受電コイルを備え、
前記送電部は、前記送電コイルを介して、磁界結合により前記第1機器に送電してもよい。
【0020】
前記受電カプラは、前記受電部が受電した電力により第2機器と通信する第2通信部を備えてもよい。
【0021】
前記受電カプラは、送信コイルを備え、
前記第2機器は、前記送信コイルと磁気的に結合する受信コイルを備え、
前記第2通信部は、前記送信コイルを介して、磁界結合により前記第2機器と通信してもよい。
【0022】
前記受電カプラは、前記受電部が受電した電力により第3機器と通信する第3通信部を備え、
前記第2通信部は、前記第2機器から情報を取得し、
前記第3通信部は、前記第2通信部が前記第2機器から取得した情報を前記第3機器に送信してもよい。
【0023】
前記給電装置は、
シート状であり前記第1電極と対向する第7電極と、
シート状であり前記第2電極と対向する第8電極と、を備え、
前記給電部は、前記第1電極と前記第2電極と前記第3電極と前記第4電極と前記第7電極と前記第8電極とを介して、電界結合により前記受電カプラに給電してもよい。
【0024】
前記給電装置は、前記第1電極と前記第2電極とに接続される給電インターフェースを備え、
前記給電インターフェースは、前記受電カプラの個数に応じてインピーダンスが調整されるインピーダンス調整回路を備えてもよい。
【0025】
前記給電装置は、前記第1方向に延びる第1嵌合部を備え、
前記受電カプラは、前記第1嵌合部と嵌合する第2嵌合部を備え、
前記受電カプラは、前記第1嵌合部と前記第2嵌合部との嵌合により、前記給電装置に取り付けられた状態で前記第1方向に移動可能であってもよい。
【0026】
前記給電シートは、シート状である第9電極とシート状である第10電極とを備える複数の分割給電シートと、シート状である第11電極とシート状である第12電極とを備える接続部材とを備え、
前記複数の分割給電シートのうち第1分割給電シートと前記複数の分割給電シートのうち第2分割給電シートとが前記第1方向に延びるように直列に配置され、
前記接続部材は、前記第11電極が、前記第1分割給電シートが備える前記第9電極と前記第2分割給電シートが備える前記第9電極とに対向し、前記第12電極が、前記第1分割給電シートが備える前記第10電極と前記第2分割給電シートが備える前記第10電極とに対向するように配置されてもよい。
【0027】
前記複数の分割給電シートは、前記第9電極と前記第10電極とが設置される基材と、前記第9電極及び前記第10電極の露出を抑制する保護部材とを備え、
前記分割給電シートの前記第1方向の端部における前記保護部材の厚さは、前記分割給電シートの前記第1方向の中央部における前記保護部材の厚さよりも薄く、
前記接続部材は、前記第1分割給電シートの前記第1方向の端部と前記第2分割給電シートの前記第1方向の端部とを跨ぐように配置されてもよい。
【0028】
前記複数の分割給電シートは、前記第9電極と前記第10電極とが設置される基材と、前記分割給電シートの前記第1方向の中央部に設けられ、前記第9電極及び前記第10電極の露出を抑制する第1保護部材と、前記分割給電シートの前記第1方向の端部に設けられ、前記第9電極及び前記第10電極の露出を抑制する第2保護部材とを備え、
前記第2保護部材の誘電率は、前記第1保護部材の誘電率よりも高く、
前記接続部材は、前記第1分割給電シートの前記第1方向の端部と前記第2分割給電シートの前記第1方向の端部とを跨ぐように配置されてもよい。
【0029】
前記給電シートは、前記第2電極として、第13電極と第14電極とを備え、
前記第1電極と前記第13電極と前記第14電極とは、前記給電シートにおいて、前記第1電極、前記第13電極及び前記第14電極の厚み方向である第2方向と前記第1方向とに直交する第3方向に並んで配置され、
前記第1電極は、前記第13電極と前記第14電極との間に配置されてもよい。
【0030】
前記第1電極の前記第3方向の長さは、前記第13電極及び前記第14電極の前記第3方向の長さよりも長くてもよい。
【0031】
前記第1電極と前記第2電極とは、前記給電シートにおいて、前記第1電極及び前記第2電極の厚み方向である第2方向と前記第1方向とに直交する第3方向に並んで配置され、
前記第3電極と前記第4電極とは、円筒の側面に沿って曲げられた形状を有し、前記円筒の中心軸が延びる方向に並んで配置され、
前記受電カプラは、前記円筒の中心軸が前記第3方向に延び、前記第3電極が前記第1電極と対向し、前記第4電極が前記第2電極と対向するように、前記給電シート上に配置されてもよい。
【発明の効果】
【0032】
本開示によれば、利便性が高い無線給電システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】実施の形態1に係る無線給電システムの外観図
図2】実施の形態1に係る無線給電システムの構成図
図3】実施の形態1に係る給電シートの平面図
図4図3におけるA-A線の断面図
図5】実施の形態1に係る受電カプラの平面図
図6図5におけるB-B線の断面図
図7】実施の形態2に係る無線給電システムの給電方法の説明図
図8】実施の形態3に係る無線給電システムの構成図
図9】実施の形態3に係る無線給電システムの通信方法の説明図
図10】実施の形態4に係る無線給電システムの外観図
図11】実施の形態4に係る送電カプラの平面図
図12】実施の形態5に係る無線給電システムの構成図
図13】実施の形態6に係る給電シートの平面図
図14】実施の形態7に係る無線給電システムの外観図
図15】実施の形態8に係る無線給電システムの外観図
図16図15におけるC-C線の断面図
図17】実施の形態9に係る無線給電システムの外観図
図18図17におけるD-D線の断面図
図19】実施の形態10に係る無線給電システムの外観図
図20図19におけるE-E線の断面図
図21】実施の形態11に係る給電シートの断面図
図22】実施の形態12に係る給電シートの平面図
図23図22におけるF-F線の断面図
図24】実施の形態13に係る給電シートの平面図
図25図24におけるG-G線の断面図
図26】実施の形態14に係る給電シートの平面図
図27】電極から延びる電気力線の説明図であり、(A)は、コールド電極が2つの場合の電気力線の説明図であり、(B)は、コールド電極が1つの場合の電気力線の説明図
図28】実施の形態15に係る受電カプラの平面図
図29図28におけるH-H線の断面図
図30】実施の形態16に係る給電シートの側面図
図31】実施の形態17に係る給電シートの使用方法の説明図
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、図中において、同一又は対応する部分には、同一の符号を付す。
【0035】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る無線給電システム1000の外観図である。図2は、本発明の実施の形態1に係る無線給電システム1000の構成図である。無線給電システム1000は、給電装置100が受電カプラ400に無線で給電し、受電カプラ400が機器500に給電するシステムである。本実施の形態では、受電カプラ400は機器500の外部に設けられる。無線給電システム1000は、給電装置100と、受電カプラ400とを備える。給電装置100は、給電シート200と、給電本体装置300とを備える。
【0036】
給電シート200は、給電本体装置300から供給された電力を無線で受電カプラ400に供給するシート状の媒体である。シート状とは、厚さが薄い形状を示す概念であり、平面形状だけでなく、曲面形状も含む概念である。以下、適宜、シート状であって2次元の面としての広がりを持つ形状を平面シート状といい、シート状であって曲面としての広がりを持つ形状を曲面シート状という。但し、平面シート状のことを、単にシート状ということがある。給電シート200は、平面視で略長方形である。本実施の形態では、給電シート200は、給電シート200の長手方向とX軸とが平行であり、給電シート200の厚さ方向とZ軸とが平行であるように配置される。なお、本実施の形態では、Z軸は鉛直方向に延びる軸であり、X軸はZ軸と直交する軸であり、Y軸はX軸とZ軸とに直交する軸である。給電シート200は、複数の受電カプラ400に対して、同時に電力を供給することが可能である。
【0037】
図3に、給電シート200の平面図を示す。図4に、図3におけるA-A線の断面図を示す。給電シート200は、電極210と、電極220と、基材230と、保護部材240と、電極250と、スルーホール260とを備える。電極210と電極220とは、基材230の一方の面上に設けられる。保護部材240は、電極210と電極220とを覆うように、基材230の一方の面上に設けられる。電極250は、基材230の他方の面上に設けられる。
【0038】
電極210と電極220とは、シート状の電極であり、第1方向に延びる電極である。電極210は、後述する電極410と電界結合する電極である。電極220は、後述する電極420と電界結合する電極である。電界結合は、容量結合ともいう。電極210と電極220とは、給電シート200において、電極210及び電極220の厚み方向である第2方向と第1方向とに直交する第3方向に並んで配置される。本実施の形態では、第1方向はX軸が延びる方向である。第2方向はZ軸が延びる方向であり、第3方向はY軸が延びる方向である。第3方向は、給電シート200、電極210及び電極220の幅方向である。また、電極210と電極220とは、同一平面上に配置される。
【0039】
給電シート200の長さはL10であり、給電シート200の幅はW10である。電極210の長さはL11であり、電極210の幅はW11である。電極220の長さはL11であり、電極220の幅はW12である。W11とW12とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。ここで、電極210及び電極220の第1方向における長さであるL11は、給電装置100が給電に用いる電磁波の給電シート200内における波長の1/4よりも短い。なお、給電シート200内における波長は、給電シート200に含まれる誘電体が電磁波の近傍に存在するときの波長であり、誘電体が存在しない空間における波長よりも短い。
【0040】
上記波長が上記条件を満たす場合、電磁波が伝播する経路の長さである経路長を上記波長の1/4よりも短くすることが可能である。従って、この場合、電磁波が伝播する回路は、分布定数回路ではなく集中定数回路と見做すことができ、電磁波の反射、干渉等が低減され、効率の良い給電が期待できる。なお、実際には、上記経路長には、電極210及び電極220における経路長に加え、給電ケーブル320における経路長、給電本体装置300の内部の回路における経路長等他の経路長が含まれる。しかしながら、電磁波が伝播する回路を集中定数回路と見做すためには、少なくとも電極210及び電極220における経路長が上記波長の1/4よりも短いことが望まれる。
【0041】
電極210及び電極220の厚さは、給電に用いる周波数である給電用周波数における表皮深さよりも厚い。かかる構成によれば、給電時の電力損失が低減される。電極210と電極220とは、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、鉄等の金属により構成される。電極210は、第1電極の一例である。電極220は、第2電極の一例である。
【0042】
基材230は、電極210及び電極220の土台となる部材である。つまり、基材230上に電極210及び電極220が設けられる。基材230上に電極210及び電極220を設ける手法は、適宜、調整することができる。このような手法として、例えば、メッキ、蒸着、貼り付け等がある。基材230は、例えば、FR4(Flame Retardant Type 4)により構成される。保護部材240は、電極210と電極220とを保護し、電極210と電極220とをそれぞれ電極410と電極420とから絶縁するための部材である。保護部材240は、例えば、PET(Polyethylene Terephthalate)、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)により構成される。
【0043】
電極250は、電極220と電気的に接続される電極である。電極250は、スルーホール260を介して電極220と接続される。スルーホール260は、電極220と電極250とを電気的に接続するための部材である。電極250とスルーホール260とは、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、鉄等の金属により構成される。
【0044】
給電本体装置300は、給電シート200に電力を供給する装置である。給電シート200と給電本体装置300とは、給電ケーブル320により接続される。給電シート200と給電ケーブル320との接続部分には、給電インターフェース310が設けられる。給電インターフェース310は、インピーダンス調整回路311を備える。
【0045】
インピーダンス調整回路311は、給電本体装置300から給電インターフェース310及び給電シート200を見たときのインピーダンスである入力インピーダンスを調整する。インピーダンス調整回路311は、例えば、キャパシタ、コイル、キャパシタ又はコイルと直列に接続されたスイッチ素子を含む可変インピーダンス回路、スイッチ素子を制御する制御回路を含む。又は、インピーダンス調整回路311は、例えば、可変容量キャパシタを含む可変インピーダンス回路、可変容量キャパシタの容量を制御する制御回路を含む。
【0046】
インピーダンス調整回路311は、給電シート200上に配置される受電カプラ400の個数、又は、給電シート200上に配置される受電カプラ400の位置に拘わらず、上記入力インピーダンスが予め定められたインピーダンスになるように、上記入力インピーダンスを調整する。例えば、インピーダンス調整回路311が備える制御回路は、給電シート200上に配置された受電カプラ400の個数に応じて、インピーダンス調整回路311が備える可変インピーダンス回路のインピーダンスを調整する。なお、給電シート200上に配置された受電カプラ400の個数は、後述する通信部303が通信可能な受電カプラ400の個数から特定可能である。又は、例えば、インピーダンス調整回路311が備える制御回路は、インピーダンス調整回路311から給電シート200を見たときのインピーダンスの測定結果に応じて、インピーダンス調整回路311が備える可変インピーダンス回路のインピーダンスを調整してもよい。インピーダンス調整回路311の働きにより、反射波の影響が低減される。
【0047】
給電本体装置300は、制御部301と、記憶部302と、通信部303と、高周波電源304と、給電部305と、電力調整部306とを備える。制御部301は、給電本体装置300の全体の動作を制御する。制御部301は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、RTC(Real Time Clock)を備える。CPUは、ROM又は記憶部302に記憶された動作プログラムを実行することにより各種の処理を実行する。記憶部302は、各種のプログラム又はデータを記憶する。記憶部302は、例えば、フラッシュメモリを備える。
【0048】
通信部303は、制御部301による制御に従って、受電カプラ400と通信する。通信部303は、電界結合を利用して受電カプラ400と通信する。通信部303が通信に用いる周波数である第1通信用周波数と給電部305が給電に用いる周波数である給電用周波数とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。本実施の形態では、第1通信用周波数は給電用周波数よりも高い。第1通信用周波数は、例えば、300MHzから3GHzのUHF(Ultra High Frequency)帯の周波数であることが望ましい。通信部303は、例えば、第1通信用周波数を生成する発振回路と、第1通信用周波数の搬送波を送信データで変調する変調回路と、受信された高周波信号から受信データを生成する復調回路とを備える。
【0049】
高周波電源304は、制御部301による制御に従って、給電用周波数の交流電力を生成する。給電時における高周波の伝播効率を高くするため、給電用周波数は高すぎないことが望ましい。例えば、給電用周波数は、3MHzから30MHzのHF(High Frequency)帯の周波数であることが望ましく、13.56MHz以下の周波数であることが更に望ましい。給電部305は、高周波電源304が生成した交流電力を、電界結合を利用して受電カプラ400に供給する。
【0050】
給電部305は、例えば、トランスとキャパシタとを備える。このトランスは、高周波電源の電源電圧を変圧するためのトランスである。このトランスの一次コイルは、高周波電源304と接続される。このトランスの二次コイルとこのキャパシタとは共振回路を構成する。
【0051】
電力調整部306は、給電部305が給電する電力である給電電力を調整する。例えば、電力調整部306は、受電カプラ400が要求する電力である要求電力が一定である場合、受電カプラ400の個数に基づいて、給電電力を決定する。また、例えば、電力調整部306は、各受電カプラ400の要求電力が一定でない場合、各受電カプラ400の要求電力の合計値に基づいて、給電電力を決定する。なお、受電カプラ400の個数と各受電カプラ400の要求電力とは、通信部303が受電カプラ400から受信した情報から特定可能である。
【0052】
受電カプラ400は、電界結合を利用して、給電装置100から電力の供給を受ける装置である。また、受電カプラ400は、給電装置100から供給された電力を、給電ケーブル510を介して機器500に供給する。受電カプラ400は、給電シート200の表面近傍に配置されているときに、給電シート200から無線で電力を受信する。具体的には、電極210と電極410とが近接して対向することにより電界結合し、電極220と電極420とが近接して対向することにより電界結合するときに、給電装置100から受電カプラ400への給電が可能となる。
【0053】
受電カプラ400は、受電シート431と、制御部401と、記憶部402と、第1通信部403と、受電部404と、電源部405と、送電部406とを備える。受電シート431は、電極410と電極420とを備えるシート状の部材である。受電シート431は、電極410と、電極420と、電極410と電極420とが配置される基材とを備える。本実施の形態では、この基材は、受電カプラ400の筐体の一部である。
【0054】
図5に、受電カプラ400の平面図を示す。図6に、図5におけるB-B線の断面図を示す。電極410と電極420とは、受電カプラ400が備える筐体430の底面上に設けられる。電極410と電極420とは、シート状の電極である。受電カプラ400が給電シート200上に配置されると、電極210と電極410とが対向し、電極210と電極410とが電界結合する。また、受電カプラ400が給電シート200上に配置されると、電極220と電極420とが対向し、電極220と電極420とが電界結合する。
【0055】
電極410と電極420とは、受電カプラ400において、受電カプラ400の長手方向に延び、電極410及び電極420の厚み方向と受電カプラ400の長手方向とに直交する方向である幅方向に並んで配置される。また、電極410と電極420とは、同一平面上に配置される。受電カプラ400の長さはL20であり、受電カプラ400の幅はW20である。電極410の長さはL21であり、電極410の幅はW21である。電極420の長さはL21であり、電極420の幅はW22である。W21とW22とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0056】
ここで、受電カプラ400の長手方向における長さであるL20は、給電シート200の第3方向における長さであるW10よりも長い。かかる構成によれば、受電カプラ400が給電シート200上に配置されるときに、受電カプラ400が適切な向きで配置されることが期待できる。つまり、受電カプラ400が給電シート200からはみ出ないように配置されると、受電カプラ400は適切な向きで配置される。また、給電シート200の長手方向の両端にガイドが設けられている場合、受電カプラ400がガイドの内側に配置されると、受電カプラ400は適切な向きで配置される。
【0057】
電極410及び電極420の厚さは、給電に用いる周波数である給電用周波数における表皮深さよりも厚い。かかる構成によれば、給電時の電力損失が低減される。電極410と電極420とは、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、鉄等の金属により構成される。電極410は、第3電極の一例である。電極420は、第3電極の一例である。筐体430は、受電カプラ400が備える各構成を収納する部材である。また、筐体430は、電極410及び電極420の土台となる部材でもある。筐体430は、絶縁体により構成される。
【0058】
制御部401は、受電カプラ400の全体の動作を制御する。制御部401は、例えば、CPU、ROM、RAM、RTCを備える。CPUは、ROM又は記憶部402に記憶された動作プログラムを実行することにより各種の処理を実行する。記憶部402は、各種のプログラム又はデータを記憶する。例えば、記憶部402は、給電装置100に要求する電力である要求電力を示す情報を記憶する。記憶部402は、例えば、フラッシュメモリを備える。
【0059】
第1通信部403は、制御部401による制御に従って、給電装置100と通信する。第1通信部403は、電界結合を利用して給電装置100と通信する。第1通信部403は、例えば、第1通信用周波数を生成する発振回路と、第1通信用周波数の搬送波を送信データで変調する変調回路と、受信された高周波信号から受信データを生成する復調回路とを備える。
【0060】
受電部404は、電界結合を利用して、給電装置100から受電する。つまり、受電部404は、電極210と電極410との電界結合と電極220と電極420との電界結合とを利用して、給電装置100から受電する。受電部404は、コイルを含む共振回路と、共振回路が出力した交流電圧を電圧変換するトランスとを備える。
【0061】
電源部405は、受電部404から供給された電力を受電カプラ400の動作電力として蓄える。電源部405は、例えば、交流電力を直流電力に変換する整流回路と、整流回路が生成した直流電圧を電圧変換するDC(Direct Current)/DCコンバータと、DC/DCコンバータが電圧変換した直流電力を蓄積する蓄電池とを備える。
【0062】
送電部406は、受電部404が給電装置から受電した電力を、機器500に供給する。本実施の形態では、送電部406は、給電ケーブル510を介して機器500に供給する。給電ケーブル510は、例えば、USB(Universal Serial Bus)ケーブルである。この場合、受電カプラ400は、USBケーブルが差し込まれるUSBポートを備える。送電部406が機器500に供給する電力は、交流電力でもよいし直流電力でもよい。
【0063】
機器500は、受電カプラ400から供給された電力で動作する機器である。機器500は、ノートパソコン、スマートフォン、タブレット端末、イヤホン、時計、照明機器、卓上扇風機、卓上空気清浄機等である。機器500は、第1機器の一例である。天板600は、例えば、オフィスに配置された机が備える最上部の板である。本実施の形態では、天板600の上に給電シート200が配置される。
【0064】
本実施の形態では、第1方向に延びる電極210と電極410との電界結合と第1方向に延びる電極220と電極420との電界結合とにより、給電装置100から受電カプラ400に給電される。本実施の形態では、電極210及び電極220上の長手方向におけるどの位置に配置された受電カプラ400に対しても給電が可能である。つまり、本実施の形態に係る無線給電システム1000は、受電カプラ400の配置の自由度が高く、利便性が高い。
【0065】
また、本実施の形態では、給電シート200が電極210と電極220とを備え、電極210と電極220とは給電シート200において第1方向に延びている。本実施の形態によれば、給電シート200により電極210と電極220との位置関係が固定されているため電極210と電極220との配置が容易である。
【0066】
また、本実施の形態では、電極210と電極220とは電極210及び電極220の幅方向に並んで配置され、電極410と電極420とは電極410及び電極420の幅方向に並んで配置される。本実施の形態によれば、電極210と電極410との結合面積と電極220と電極420との結合面積とを確保することが容易である。
【0067】
また、本実施の形態では、受電カプラ400の長手方向における長さは、給電シート200の幅方向における長さよりも長い。本実施の形態によれば、受電カプラ400が適切な向きで給電シート200上に配置されることが期待できる。
【0068】
また、本実施の形態では、電極210及び電極220の長さは、給電装置100が給電に用いる電磁波の給電シート200内における波長の1/4よりも短い。本実施の形態によれば、電磁波の反射による干渉が低減され、効率の良い給電が期待できる。
【0069】
また、本実施の形態では、受電カプラ400は、受電部404が受電した電力を機器500に供給する送電部406を備える。本実施の形態によれば、受電カプラ400を介して、給電装置100から機器500に給電することができる。
【0070】
また、本実施の形態では、給電インターフェース310は、受電カプラ400の個数に応じてインピーダンスが調整されるインピーダンス調整回路311を備える。本実施の形態によれば、給電時及び通信時に反射波の影響が低減され、効率の良い給電と適切な通信とが期待できる。
【0071】
また、本実施の形態では、給電装置100は、受電カプラ400から受信した情報に基づいて、受電カプラ400に給電する電力を調整する。本実施の形態によれば、受電カプラ400に適切な量の電力を供給することができる。
【0072】
(実施の形態2)
実施の形態1では、受電カプラ400から機器500に給電ケーブル510を介して電力が供給される例について説明した。本実施の形態では、受電カプラ400から機器500に無線で給電される例について説明する。なお、実施の形態1と同様の構成及び機能については説明を省略又は簡略化する。
【0073】
以下、図7を参照して、本実施の形態に係る無線給電システム1000Aの給電方法について説明する。無線給電システム1000Aは、給電装置100が受電カプラ400Aに無線で給電し、受電カプラ400Aが機器500Aに無線で給電するシステムである。無線給電システム1000Aは、受電カプラ400Aから機器500Aに無線で給電される点が無線給電システム1000と異なる。
【0074】
給電シート200上に配置された受電カプラ400Aの上方に機器500Aが配置され、受電カプラ400Aが備える送電コイル450と機器500Aが備える受電コイル520とが磁気的に結合しているときに、受電カプラ400Aから機器500Aへの給電が可能である。機器500Aは、例えば、Qi規格に対応したスマートフォンである。受電カプラ400Aは、送電部406と送電コイル450とを備える。機器500Aは、受電コイル520と受電部530とを備える。機器500Aは、第1機器の一例である。
【0075】
送電部406は、受電部404が受電した電力を、送電コイル450を介して、磁界結合により機器500Aに供給する。送電部406は、送信電力に応じた交流電流を送電コイル450に流す。送電部406は、例えば、電圧を変換する変圧回路、直流又は交流を所望の周波数の交流に変換するDC/AC(Alternate Current)コンバータ、キャパシタを含む共振回路等の各種の回路を備える。送電部406は、例えば、Qi規格に対応した電力伝送を実現するための各種の回路を備える。送電コイル450は、送電部406から供給された電流に応じた磁界を発生する。
【0076】
受電コイル520には、送電コイル450が生成した磁界に応じた電流が流れる。つまり、受電コイル520は、送電コイル450と磁気的に結合する。受電部530は、受電コイル520を介して受電カプラ400Aから受電する。受電部530は、例えば、キャパシタを含む共振回路と、共振回路が出力した交流電圧を電圧変換するトランスとを備える。受電部530は、例えば、Qi規格に対応した電力伝送を実現するための各種の回路を備える。受電部530が取得した電力は、機器500Aが備える電源部(図示せず)に供給されて蓄積される。
【0077】
本実施の形態では、受電カプラ400Aが備える送電コイル450と機器500Aが備える受電コイル520とが磁気的に結合して、受電カプラ400Aから機器500Aに給電される。このように、本実施の形態では、受電カプラ400Aは、給電装置100から機器500Aへの給電を中継する。従って、本実施の形態によれば、給電シート200から直接給電することが困難である機器500Aに給電することができる。
【0078】
(実施の形態3)
実施の形態2では、受電カプラ400Aから機器500Aに無線で給電される例について説明した。本実施の形態では、受電カプラ400Aが、給電装置100から給電された電力で機器500Aと無線通信する例について説明する。なお、実施の形態1,2と同様の構成及び機能については説明を省略又は簡略化する。
【0079】
以下、図8図9とを参照して、本実施の形態に係る無線給電システム1000Bの通信方法について説明する。無線給電システム1000Bは、給電装置100が受電カプラ400Bに無線で給電し、受電カプラ400Bが給電により得られた電力で機器500BA及び機器500BBと無線通信するシステムである。無線給電システム1000Bは、受電カプラ400Bと機器500BA及び機器500BBとが無線で通信する点が無線給電システム1000Aと異なる。
【0080】
給電シート200上に配置された受電カプラ400Bの上方に機器500BAが配置され、受電カプラ400Bが備える送信コイル451と機器500BAが備える受信コイル521とが磁気的に結合しているときに、受電カプラ400Bと機器500BAとの無線通信が可能である。機器500BAは、例えば、NFC(Near Field Communication)に対応した通信機器又は無線タグである。また、受電カプラ400Bが給電シート200上に配置されているときに、受電カプラ400Bと機器500BBとの無線通信が可能である。機器500BBは、例えば、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の無線通信規格に対応した通信機器である。受電カプラ400Bは、第2通信部407と第3通信部408と送信コイル451とを備える。機器500BAは、受信コイル521と通信部540とを備える。機器500BAは、第2機器の一例である。
【0081】
第2通信部407は、受電部404が受電した電力に基づいて、送信コイル451を介して、磁界結合により機器500BAと無線通信する。第2通信部407は、送信データに応じた交流電流を送信コイル451に流す。また、第2通信部407は、送信コイル451に流れる交流電流から受信データを取得する。第2通信部407は、例えば、第2通信部407が無線通信に用いる周波数である第2通信用周波数を生成する発振回路と、第2通信用周波数の搬送波を送信データで変調する変調回路と、受信された高周波信号から受信データを生成する復調回路とを備える。第2通信部407は、例えば、NFCに対応した無線通信を実現するための各種の回路を備える。
【0082】
送信コイル451は、第2通信部407から供給された電流に応じた磁界を発生する。また、送信コイル451は、受信コイル521が生成した磁界に応じた電流が流れる。つまり、送信コイル451は、受信コイルとしても機能する。
【0083】
受信コイル521には、送信コイル451が生成した磁界に応じた電流が流れる。つまり、受信コイル521は、送信コイル451と磁気的に結合する。また、受信コイル521は、通信部540から供給された電流に応じた磁界を発生する。つまり、受信コイル521は、送信コイルとしても機能する。
【0084】
通信部540は、受信コイル521を介して受電カプラ400Bと無線通信する。通信部540は、受信コイル521に流れる交流電流から受信データを取得し、機器500BAが備える制御部(図示せず)に供給する。また、通信部540は、制御部(図示せず)から供給された送信データに応じた交流電流を受信コイル521に流す。通信部540は、例えば、第2通信用周波数を生成する発振回路と、第2通信用周波数の搬送波を送信データで変調する変調回路と、受信された高周波信号から受信データを生成する復調回路とを備える。通信部540は、例えば、NFCに対応した無線通信を実現するための各種の回路を備える。
【0085】
第3通信部408は、受電部404が受電した電力に基づいて、機器500BBと無線通信する。例えば、第3通信部408は、図示しないアンテナを介して、Wi-Fi、Bluetooth等の無線通信規格で機器500BBと無線通信する。例えば、第3通信部408は、第2通信部407がNFC通信で機器500BAから取得した情報を、Bluetooth通信により機器500BBに送信する。第3通信部408は、例えば、Wi-Fi、Bluetooth等の無線通信規格に対応した無線通信を実現するための各種の回路を備える。
【0086】
機器500BBは、図示しないアンテナを介して、Wi-Fi、Bluetooth等の無線通信規格で受電カプラ400Bと無線通信する。例えば、機器500BBは、受電カプラ400Bが機器500BAから取得した情報を受信する。機器500BBは、例えば、Wi-Fi、Bluetooth等の無線通信規格に対応した無線通信を実現するための各種の回路を備える。機器500BBは、第3機器の一例である。
【0087】
本実施の形態では、受電カプラ400Bが備える送信コイル421と機器500BAが備える受信コイル521とが磁気的に結合して、受電カプラ400Bと機器500BAとの無線通信が可能となる。なお、給電装置100Bと受電カプラ400Bとは、給電シート200を介した無線通信が可能である。従って、本実施の形態では、受電カプラ400Bは、給電装置100Bと機器500BAとの通信を中継することができる。従って、本実施の形態によれば、給電装置100Bと直接無線通信することが困難である機器500BAと給電装置100Bとの無線通信を実現することができる。
【0088】
また、本実施の形態では、受電カプラ400Bは、給電シート200からの給電により機器500BBとの無線通信も可能となる。従って、本実施の形態では、受電カプラ400Bは、機器500BAから無線通信により取得した情報を、無線通信により機器500BBに送信することができる。例えば、受電カプラ400は、NFCにより機器500BAから取得した情報を、Wi-Fi通信又はBluetooth通信により機器500BBに送信することができる。
【0089】
(実施の形態4)
実施の形態1では、給電シート200の長手方向の一端に給電インターフェース310を設け、給電シート200の長手方向の一端から給電シート200に電磁波を供給する例について説明した。本実施の形態では、給電シート200上に送電カプラ700を配置し、送電カプラ700を介して給電シート200に電磁波を供給する例について説明する。なお、実施の形態1-3と同様の構成及び機能については説明を省略又は簡略化する。
【0090】
図10に示すように、本実施の形態に係る無線給電システム1000Cが備える給電装置100Cは、給電シート200と給電本体装置300とに加え、給電ケーブル320を介して給電本体装置300と接続される送電カプラ700を備える。送電カプラ700と給電ケーブル320との接続部分には、給電インターフェース310が設けられる。
【0091】
図11に、送電カプラ700の平面図を示す。送電カプラ700は、電極710と電極720と筐体730とを備える。なお、電極710と電極720と筐体730との配置関係は、基本的に、電極410と電極420と筐体430と同様である。送電カプラ700は、給電装置100から供給された電力を、電界結合を利用して、給電シート200に供給する装置である。電極710と電極720とは、送電カプラ700が備える筐体730の底面上に設けられる。電極710と電極720とは、シート状の電極である。
【0092】
送電カプラ700が給電シート200上に配置されると、電極210と電極710とが近接して対向し、電極210と電極710とが電界結合する。また、送電カプラ700が給電シート200上に配置されると、電極220と電極720とが近接して対向し、電極220と電極720とが電界結合する。電極210と電極710とが電界結合し、電極220と電極720とが電界結合するときに、送電カプラ700から給電装置100への給電が可能となる。このように、送電カプラ700は、給電シート200の表面近傍に配置されているときに、給電シート200に無線で電力を供給する。
【0093】
電極710と電極720とは、送電カプラ700において、送電カプラ700の長手方向に延び、電極710及び電極720の厚み方向と送電カプラ700の長手方向とに直交する方向である幅方向に並んで配置される。また、電極710と電極720とは、同一平面上に配置される。送電カプラ700の長さはL30であり、送電カプラ700の幅はW30である。電極710の長さはL31であり、電極710の幅はW31である。電極720の長さはL31であり、電極720の幅はW32である。W31とW32とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0094】
ここで、送電カプラ700の長手方向における長さであるL30は、給電シート200の第3方向における長さであるW10よりも長い。かかる構成によれば、送電カプラ700が給電シート200上に配置されるときに、送電カプラ700が適切な向きで配置されることが期待できる。つまり、送電カプラ700が給電シート200からはみ出ないように配置されると、送電カプラ700は適切な向きで配置される。また、給電シート200の長手方向の両端にガイドが設けられている場合、送電カプラ700がガイドの内側に配置されると、送電カプラ700は適切な向きで配置される。
【0095】
電極710及び電極720の厚さは、給電用周波数における表皮深さよりも厚い。かかる構成によれば、給電時の電力損失が低減される。電極710と電極720とは、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、鉄等の金属により構成される。電極710は、第7電極の一例である。電極720は、第8電極の一例である。筐体730は、送電カプラ700が備える各構成を収納する部材である。また、筐体730は、電極710及び電極720の土台となる部材でもある。筐体730は、絶縁体により構成される。
【0096】
本実施の形態では、給電部305は、電極210と電極220と電極410と電極420と電極710と電極720とを介して、電界結合により受電カプラ400に給電する。つまり、本実施の形態では、給電本体装置300から送電カプラ700に給電ケーブル320を介して供給された電力は、電極210と電極710との電界結合と電極220と電極720との電界結合により、送電カプラ700から給電シート200に供給される。また、給電シート200に供給された電力は、電極210と電極410との電界結合と電極220と電極420との電界結合とにより、給電シート200から受電カプラ400に供給される。本実施の形態によれば、給電本体装置300から給電シート200への電力の注入箇所の自由度が高い。
【0097】
(実施の形態5)
実施の形態1では、電力調整部306が受電カプラ400から取得される情報に基づいて給電電力を決定し、給電部305が決定された給電電力の給電を実行する例について説明した。本実施の形態では、受電カプラ400から取得される情報から求められる要求電力と、給電部305が実際に給電している給電電力との差に応じて異常を判別する例について説明する。なお、実施の形態1-4と同様の構成及び機能については説明を省略又は簡略化する。
【0098】
図12に、本実施の形態に係る無線給電システム1000Dを示す。無線給電システム1000Dは、給電装置100に代えて給電装置100Dを備える点が無線給電システム1000と異なる。給電装置100Dは、電力調整部306に代えて異常判別部307と通知部308とを備える点と、給電部305の動作とが、給電装置100と異なる。
【0099】
給電部305は、給電電力の指定を受けずに給電する。例えば、給電部305は、受電カプラ400により消費される電力を補うように給電する。異常判別部307は、給電部305による給電に異常があるか否かを判別する。例えば、異常判別部307は、受電カプラ400が要求する電力である要求電力が一定である場合、受電カプラ400の個数に基づいて、給電電力の理論値を決定する。また、例えば、異常判別部307は、各受電カプラ400の要求電力が一定でない場合、各受電カプラ400の要求電力の合計値に基づいて、給電電力の理論値を決定する。なお、受電カプラ400の個数と各受電カプラ400の要求電力とは、通信部303が受電カプラ400から受信した情報から特定可能である。
【0100】
また、異常判別部307は、給電部305が実際に給電している給電電力の測定値を取得する。そして、異常判別部307は、給電電力の理論値と給電電力の測定値との差が予め定められた閾値を超える場合、給電部305による給電に異常があると判別する。異常の原因としては、受電カプラ400に要求電力を大幅に超える電力が供給されていたり、給電シート200上に配置された受電カプラ400以外の物体に電力が供給されていたりすることが考えられる。異常判別部307は、給電に異常があると判別した場合、給電部305に給電の停止を指示し、通知部308に給電に異常があることを通知する。異常判別部307は、例えば、CPU、ROM、RAM、RTCを備える。
【0101】
通知部308は、異常判別部307により給電に異常があると判別された場合、給電に異常があることをユーザに通知する。通知部308が異常を通知する方法は、適宜、調整することができる。例えば、通知部308は、音声出力、画像表示、発光素子の発光により異常を通知する。通知部308は、例えば、CPU、ROM、RAM、RTC、スピーカ、液晶ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)を備える。
【0102】
本実施の形態では、給電電力の理論値と給電電力の測定値との差が予め定められた閾値を超える場合、給電部305による給電に異常があると判別される。従って、本実施の形態によれば、給電に異常が発生した場合に、各種の処理を実行することが可能である。
【0103】
(実施の形態6)
実施の形態1では、給電シート200が分割可能でない例について説明した。本実施の形態では、給電シート200が分割可能である例について説明する。なお、実施の形態1-5と同様の構成及び機能については説明を省略又は簡略化する。
【0104】
図13に、本実施の形態に係る給電シート200Eの平面図を示す。給電シート200Eは、3つの分割給電シート200EEに分割可能である。言い換えれば、3つの分割給電シート200EEを直列に接続することにより給電シート200Eが構成される。分割給電シート200EEは、電極210Eと電極220Eと基材230Eとを備える。電極210Eと電極220Eとは、基材230Eの一方の面上に設けられる。つまり、電極210Eと電極220Eとは、同一平面上に配置される。
【0105】
電極210Eと電極220Eとは、シート状の電極である。電極210Eと電極220Eとは、分割給電シート200EEにおいて、厚み方向と長手方向とに直交する幅方向に並んで配置される。分割給電シート200EEの長さはL40であり、分割給電シート200EEの幅はW40である。電極210Eの長さはL40であり、電極210Eの幅はW41である。電極220Eの長さはL40であり、電極220Eの幅はW42である。W41とW42とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。電極210E及び電極220Eの厚さは、給電用周波数における表皮深さよりも厚い。電極210Eと電極220Eとは、電極210及び電極220と同様の素材により構成される。電極210Eは、第5電極の一例である。電極220Eは、第6電極の一例である。
【0106】
基材230Eは、電極210E及び電極220Eの土台となる部材である。つまり、基材230E上に電極210E及び電極220Eが設けられる。基材230Eは、基材230と同様の素材により構成される。なお、分割給電シート200EEには、給電シート200と同様に、保護部材240と電極250とスルーホール260とが設けられていてもよい。
【0107】
ここで、給電シート200Eは、複数の分割給電シート200EEを、複数の分割給電シート200EEが備える電極210Eが互いに接続されて第1方向に延び、複数の分割給電シート200EEが備える電極220Eが互いに接続されて第1方向に延びるように、直列に接続することにより構成される。本実施の形態では、分割給電シート200EEの接続箇所には、接続インターフェース312が設けられる。接続インターフェース312は、2つの分割給電シート200EEが備える電極210Eを電気的に接続し、2つの分割給電シート200EEが備える電極220Eを電気的に接続する。また、3つの分割給電シート200EEを直列に接続することにより構成された給電シート200Eの一端には、給電インターフェース310が設けられる。
【0108】
本実施の形態では、複数の分割給電シート200EEを直列に接続することにより、給電シート200Eが構成される。従って、本実施の形態によれば、給電シート200の長手方向の長さの調整が容易である。
【0109】
(実施の形態7)
実施の形態1では、給電本体装置300に1つの給電シート200が接続される例について説明した。本実施の形態では、給電本体装置300に複数の給電シート200が並列に接続される例について説明する。なお、実施の形態1-6と同様の構成及び機能については説明を省略又は簡略化する。
【0110】
図14に示すように、本実施の形態に係る無線給電システム1000Fは、給電装置100に代えて、給電装置100Fを備える点が無線給電システム1000と異なる。給電装置100Fは、2つの給電シート200を備える点と、分配器340を備える点とが給電装置100と異なる。なお、本実施の形態では、2つの給電シート200は、それぞれ、2つの棚板601のそれぞれの上に配置される。
【0111】
分配器340は、給電装置100Fに2つの給電シート200を接続するための部材である。分配器340は、給電ケーブル330を2つの給電ケーブル320に分岐させる。給電ケーブル320の一端は給電シート200の長手方向の一端に設けられた給電インターフェース310に接続され、給電ケーブル320の他端は分配器340の出力側に接続される。給電ケーブル330の一端は給電本体装置300に接続され、給電ケーブル330の他端は分配器340の入力側に接続される。
【0112】
なお、給電ケーブル320は、電極210に接続される第1電線と、電極220に接続される第2電線とを備える。また、給電ケーブル330は、第3電線と第4電線とを備える。分配器340内において、第3電線は2つの給電ケーブル320のそれぞれが備える第1電線に接続され、第4電線は2つの給電ケーブル320のそれぞれが備える第2電線に接続される。
【0113】
本実施の形態では、給電本体装置300に複数の給電シート200が並列に接続される。従って、本実施の形態によれば、1つの給電本体装置300から複数の給電シート200のそれぞれの上に配置された受電カプラ400への給電が可能である。
【0114】
(実施の形態8)
実施の形態1では、電極210と電極220とが電極210及び電極220の幅方向に並んで配置される例について説明した。本実施の形態では、電極210と電極220とが互いに対向するように平行に配置される例について説明する。なお、実施の形態1-7と同様の構成及び機能については説明を省略又は簡略化する。
【0115】
図15に、本実施の形態に係る無線給電システム1000Gの構成を示す。図16に、図15におけるC-C線の断面図を示す。無線給電システム1000Gは、給電装置100に代えて給電装置100Gを備える点と、受電カプラ400に代えて受電カプラ400Gを備える点とが、無線給電システム1000と異なる。給電装置100Gは、給電シート200に代えて給電シート200Gを備える点が給電装置100と異なる。
【0116】
給電シート200Gは、電極210Gと、電極220Gと、基材230Gと、保護部材240Gとを備える。給電シート200Gの形状は、給電シート200を電極210と電極220とが対向するように基材230と保護部材240とを折り曲げ、電極250とスルーホール260とを取り除いたような形状である。基材230Gは、互いに平行な2つの板状部分と、2つの板状部分を連結する連結部分とを有する。
【0117】
電極210Gは、基材230Gにおける一方の板状部分の内側の面に配置される。電極220Gは、基材230Gにおける他方の板状部分の内側の面に配置される。保護部材240Gは、電極210Gと電極220Gとを覆うように、基材230Gの内側の面上に配置される。このように、電極210Gと電極220Gとは、互いに対向するように平行に配置される。なお、電極210Gと電極220Gと基材230Gと保護部材240Gとは、それぞれ、電極210と電極220と基材230と保護部材240と同様の素材により構成される。電極210Gは、第1電極の一例である。電極220Gは、第2電極の一例である。
【0118】
受電カプラ400Gは、電極410Gと、電極420Gと、筐体430Gとを備える。電極410Gは、筐体430Gの天井面上に設けられる。電極420Gは、筐体430Gの底面上に設けられる。このように、電極410Gと電極420Gとは、受電カプラ400Gにおいて、受電カプラ400Gの長手方向に延び、互いに対向するように平行に配置される。電極410Gと電極420Gと筐体430Gとは、それぞれ、電極410と電極420と筐体430と同様の素材により構成される。電極410Gは、第3電極の一例である。電極420Gは、第4電極の一例である。
【0119】
ここで、受電カプラ400Gが電極210Gと電極220Gとの間に配置された状態において、電極210Gと電極410Gとが近接して対向し、電極220Gと電極420Gとが近接して対向する。このとき、電極210Gと電極410Gとが電界結合し、電極220Gと電極420Gとが電界結合する。
【0120】
本実施の形態では、電極210Gと電極220Gとが互いに対向するように平行に配置され、受電カプラ400Gにおいて電極410Gと電極420Gとが互いに対向するように平行に配置される。本実施の形態によれば、電極210Gと電極410Gとの結合面積と電極220Gと電極420Gとの結合面積とを広くすることが容易である。
【0121】
(実施の形態9)
実施の形態8では、電極210Gと電極220Gとが互いに対向するように平行に配置される例について説明した。本実施の形態では、電極210Hと電極220Hとが互いに直交するように配置される例について説明する。なお、実施の形態1-8と同様の構成及び機能については説明を省略又は簡略化する。
【0122】
図17に、本実施の形態に係る無線給電システム1000Hの構成を示す。図18に、図17におけるD-D線の断面図を示す。無線給電システム1000Hは、給電装置100Gに代えて給電装置100Hを備える点と、受電カプラ400Gに代えて受電カプラ400Hを備える点とが、無線給電システム1000Gと異なる。給電装置100Hは、給電シート200Gに代えて給電シート200Hを備える点が給電装置100Gと異なる。
【0123】
給電シート200Hは、電極210Hと、電極220Hと、基材230Hと、保護部材240Hとを備える。給電シート200Hの形状は、給電シート200を電極210と電極220とが直角に配置されるように基材230と保護部材240とを折り曲げ、電極250とスルーホール260とを取り除いたような形状である。基材230Hは、互いに直交する第1板状部分及び第2板状部分を備える。
【0124】
電極210Hは、基材230Hにおける第1板状部分の内側の面に配置される。電極220Hは、基材230Hにおける第2板状部分の内側の面に配置される。保護部材240Hは、電極210Hと電極220Hとを覆うように、基材230Hの内側の面上に配置される。このように、電極210Hと電極220Hとは、互いに直交するように配置される。なお、電極210Hと電極220Hと基材230Hと保護部材240Hとは、それぞれ、電極210と電極220と基材230と保護部材240と同様の素材により構成される。電極210Hは、第1電極の一例である。電極220Hは、第2電極の一例である。
【0125】
受電カプラ400Hは、電極410Hと、電極420Hと、筐体430Hとを備える。電極410Hは、筐体430Hの側面上に設けられる。電極420Hは、筐体430Hの底面上に設けられる。このように、電極410Hと電極420Hとは、受電カプラ400Hにおいて、受電カプラ400Hの長手方向に延び、互いに直交するように配置される。電極410Hと電極420Hと筐体430Hとは、それぞれ、電極410と電極420と筐体430と同様の素材により構成される。電極410Hは、第3電極の一例である。電極420Hは、第4電極の一例である。
【0126】
ここで、受電カプラ400Hは、電極210Hと電極410Hとが近接して対向し、電極220Hと電極420Hとが近接して対向するように配置される。このとき、電極210Hと電極410Hとが電界結合し、電極220Hと電極420Hとが電界結合する。
【0127】
本実施の形態では、電極210Hと電極220Hとが互いに直交するように配置され、受電カプラ400Hにおいて電極410Hと電極420Hとが互いに直交するように配置される。本実施の形態によれば、電極210Hと電極410Hとの結合面積と電極220Hと電極420Hとの結合面積とを広くすることが容易である。
【0128】
(実施の形態10)
実施の形態1では、受電カプラ400が給電シート200上に固定されずに配置される例について説明した。本実施の形態では、受電カプラ400Iが給電シート200I上に移動可能に固定される例について説明する。なお、実施の形態1-9と同様の構成及び機能については説明を省略又は簡略化する。
【0129】
図19に、本実施の形態に係る無線給電システム1000Iの構成を示す。図20に、図19におけるE-E線の断面図を示す。無線給電システム1000Iは、給電装置100に代えて給電装置100Iを備える点と、受電カプラ400に代えて受電カプラ400Iを備える点とが、無線給電システム1000と異なる。給電装置100Iは、給電シート200に代えて給電シート200Iを備える点が給電装置100と異なる。
【0130】
給電シート200Iは、電極210Iと、電極220Iと、基材230Iと、保護部材240Iとを備える。給電シート200Iの形状は、給電シート200の幅方向における両端を同一方向に折り曲げ、電極250とスルーホール260とを取り除いたような形状である。基材230Iは、第1板状部分と第1板状部分の両端に設けられた第2板状部分及び第3板状部分を備える。
【0131】
電極210Iと電極220Iとは、基材230Iにおける第1板状部分の内側の面に、電極210I及び電極220Iの幅方向に並ぶように配置される。保護部材240Iは、電極210Iと電極220Iとを覆うように、基材230Iにおける第1板状部分の内側の面上に配置される。なお、電極210Iと電極220Iと基材230Iと保護部材240Iとは、それぞれ、電極210と電極220と基材230と保護部材240と同様の素材により構成される。電極210Iは、第1電極の一例である。電極220Iは、第2電極の一例である。
【0132】
受電カプラ400Iは、電極410Iと、電極420Iと、筐体430Iとを備える。電極410Iと電極420Iとは、筐体430Iの底面上に設けられる。このように、電極410Iと電極420Iとは、受電カプラ400Iにおいて、受電カプラ400Iの長手方向に延び、幅方向に並ぶように配置される。電極410Iと電極420Iと筐体430Iとは、それぞれ、電極410と電極420と筐体430と同様の素材により構成される。電極410Iは、第3電極の一例である。電極420Iは、第4電極の一例である。
【0133】
ここで、基材230Iにおける第2板状部分及び第3板状部分の内側の面には、基材230Iの長手方向に延びる凹部270が設けられる。また、受電カプラ400Iが備える筐体430Iにおける両側面には、受電カプラ400Iの長手方向に延びる凸部470が設けられる。受電カプラ400Iは、凹部270と凸部470との嵌合により、給電装置100Iが備える給電シート200Iに取り付けられた状態で給電シート200Iが延びる第1方向に移動可能である。凹部270は、第1嵌合部の一例である。凸部470は、第2嵌合部の一例である。
【0134】
本実施の形態では、凹部270と凸部470との嵌合により、給電装置100Iが備える給電シート200Iに取り付けられた状態で給電シート200Iが延びる第1方向に移動可能である。本実施の形態によれば、受電カプラ400Iの移動を許容しつつ、受電カプラ400Iが誤った向きで配置されることを抑制可能である。
【0135】
(実施の形態11)
実施の形態1では、給電シート200が電極210と電極220と基材230と保護部材240とに加え、電極250とスルーホール260とを備える例について説明した。本実施の形態では、給電シート200が、電極210と電極220と基材230と保護部材240とを備え、電極250とスルーホール260とを備えない例について説明する。なお、実施の形態1-10と同様の構成及び機能については説明を省略又は簡略化する。
【0136】
図21に、本実施の形態に係る給電シート200Jの断面図を示す。なお、給電シート200Jの平面図は、図3に示す給電シート200の平面図と同様である。図21は、図3に示す給電シート200を給電シート200Jに置換したときのA-A線の断面図である。給電シート200は、電極210と、電極220と、基材230と、保護部材240とを備える。電極210と電極220とは、基材230の一方の面上に設けられる。保護部材240は、電極210と電極220とを覆うように、基材230の一方の面上に設けられる。
【0137】
本実施の形態においても、第1方向に延びる電極210と電極410との電界結合と第1方向に延びる電極220と電極420との電界結合とにより、給電装置100から受電カプラ400に給電される。本実施の形態においても、受電カプラ400の配置の自由度が高く、利便性が高い。
【0138】
(実施の形態12)
実施の形態6では、接続インターフェース312を用いて3つの分割給電シート200EEを接続する例について説明した。本実施の形態では、接続部材350を用いて3つの分割給電シート200KKを接続する例について説明する。なお、実施の形態1-11と同様の構成及び機能については説明を省略又は簡略化する。
【0139】
図22に、本実施の形態に係る給電シート200Kの平面図を示す。図23に、図22におけるF-F線の断面図を示す。給電シート200Kは、3つの分割給電シート200KKに分割可能である。言い換えれば、3つの分割給電シート200KKを直列に接続することにより給電シート200Kが構成される。なお、図22及び図23には、1つの接続部材350を用いて2つの分割給電シート200KKを接続する例を示すが、2つの接続部材350を用いて3つの分割給電シート200KKを接続することができる。3つの分割給電シート200KKのうち1つの分割給電シート200KKが第1分割給電シートの一例であり、残りの2つの分割給電シート200KKのうち1つの分割給電シート200KKが第2分割給電シートの一例である。分割給電シート200KKは、電極210Kと電極220Kと基材230Kと保護部材240Kとを備える。
【0140】
電極210Kと電極220Kとは、シート状の電極である。電極210Kと電極220Kとは、分割給電シート200KKにおいて、厚み方向と長手方向とに直交する幅方向に並んで配置される。電極210Kと電極220Kとは、基材230Kの一方の面上に設けられる。電極210Kと電極220Kとは、例えば、電極210及び電極220と同様の素材により構成される。電極210Kは、第9電極の一例である。電極220Kは、第10電極の一例である。
【0141】
基材230Kは、電極210K及び電極220Kの土台となる部材である。基材230Kは、例えば、基材230と同様の素材により構成される。保護部材240Kは、電極210K及び電極220Kの露出を抑制する部材である。つまり、保護部材240Kは、電極210Kと電極220Kとを保護し、電極210Kと電極220Kとを外部の導体から絶縁するための部材である。ここで、保護部材240Kにおける分割給電シート200KKの長手方向の両端部分の厚さは、保護部材240Kにおける分割給電シート200KKの長手方向の中央部分の厚さよりも薄い。保護部材240Kは、例えば、保護部材240と同様の素材により構成される。基材230Kは、基材の一例である。保護部材240Kは、保護部材の一例である。
【0142】
接続部材350は、2つの分割給電シート200KKを容量結合により接続する部材である。接続部材350は、電極351と電極352と基材353と保護部材354とを備える。電極351と電極352とは、シート状の電極である。電極351と電極352とは、接続部材350において、厚み方向と直交する方向に並んで配置される。電極351と電極352とは、基材353の一方の面上に設けられる。電極351と電極352とは、例えば、電極210及び電極220と同様の素材により構成される。電極351は、第11電極の一例である。電極352は、第12電極の一例である。
【0143】
基材353は、電極351及び電極352の土台となる部材である。基材353は、例えば、基材230と同様の素材により構成される。保護部材354は、電極351及び電極352の露出を抑制する部材である。つまり、保護部材354は、電極351と電極352とを保護し、電極351と電極352とを外部の導体から絶縁するための部材である。
【0144】
給電シート200Kは、複数の分割給電シート200KKを複数の分割給電シート200KKが第1方向に延びるように、直列に接続することにより構成される。本実施の形態では、複数の分割給電シート200KKが備える電極210Kが電磁的に結合するように、分割給電シート200KKの接続箇所には、接続部材350が設けられる。
【0145】
接続部材350は、2つの分割給電シート200KKのそれぞれの端部を跨ぐように配置される。つまり、接続部材350は、一方の分割給電シート200KKの保護部材240Kの薄い部分、及び、他方の分割給電シート200KKの保護部材240Kの薄い部分の上に配置される。また、接続部材350は、接続部材350が備える保護部材354と保護部材240Kとが対向するように、保護部材240Kの上に配置される。
【0146】
接続部材350は、単に保護部材240Kの上に配置されてもよいし、両面テープ、接着剤等により保護部材240Kと固定されてもよい。ここで、接続部材350が備える電極351は、一方の分割給電シート200KKが備える電極210Kと対向し、他方の分割給電シート200KKが備える電極210Kと対向する。また、接続部材350が備える電極352は、一方の分割給電シート200KKが備える電極220Kと対向し、他方の分割給電シート200KKが備える電極220Kと対向する。
【0147】
ここで、電極351と2つの電極210Kのそれぞれとが容量結合する。従って、一方の分割給電シート200KKが備える電極210Kと他方の分割給電シート200KKが備える電極210Kとの間で、電磁エネルギーの伝播が可能となる。また、電極352と2つの電極220Kのそれぞれとが容量結合する。従って、一方の分割給電シート200KKが備える電極220Kと他方の分割給電シート200KKが備える電極220Kとの間で、電磁エネルギーの伝播が可能となる。
【0148】
本実施の形態では、複数の分割給電シート200KKを直列に接続することにより、給電シート200Kが構成される。従って、本実施の形態によれば、給電シート200Kの長手方向の長さの調整が容易である。また、本実施の形態では、分割給電シート200KKの長さは使用現場で構築される給電シート200Kの長さよりも短いため、分割給電シート200KKの持ち運びが容易である。
【0149】
また、本実施の形態では、容量結合により2つの分割給電シート200KKの間で電磁エネルギーが伝播するため、2つの導体を直接接続する必要がない。従って、本実施の形態では、電極210K及び電極220Kを露出させる必要がなく、露出部分の被覆、被覆の除去等が不要である。また、本実施の形態では、接点を形成する必要がなく、コネクタの取り付け、半田付け等が不要である。このため、本実施の形態によれば、給電シート200Kの設置場所において、複数の分割給電シート200KKを容易に接続することができる。
【0150】
また、本実施の形態では、接続部材350は、保護部材240Kにおける薄い部分に配置される。従って、接続部材350が分割給電シート200KKから突出しにくくすることが容易である。また、電極210Kと電極351との間には、薄い保護部材240Kと薄い保護部材354とが存在するだけである。同様に、電極210Kと電極352との間には、薄い保護部材240Kと薄い保護部材354とが存在するだけである。このため、電極210Kと電極351との距離は短く、電極210Kと電極351との容量結合は強い。また、電極220Kと電極351との距離は短く、電極220Kと電極351との容量結合は強い。従って、本実施の形態によれば、電磁エネルギーが効率良く伝播する。
【0151】
(実施の形態13)
実施の形態12では、容量結合を強くするために、保護部材240Kにおける接続部材350が配置される部分の厚さを薄くする例について説明した。本実施の形態では、容量結合を強くするために、接続部材350が配置される部分の誘電率を高くする例について説明する。なお、実施の形態1-12と同様の構成及び機能については説明を省略又は簡略化する。
【0152】
図24に、本実施の形態に係る給電シート200Lの平面図を示す。図25に、図24におけるG-G線の断面図を示す。給電シート200Lは、3つの分割給電シート200LLに分割可能である。言い換えれば、3つの分割給電シート200LLを直列に接続することにより給電シート200Lが構成される。なお、図24及び図25には、1つの接続部材350を用いて2つの分割給電シート200LLを接続する例を示すが、2つの接続部材350を用いて3つの分割給電シート200LLを接続することができる。
【0153】
分割給電シート200LLは、電極210Lと電極220Lと基材230Lと保護部材240Lと保護部材241Lと保護部材242Lとを備える。分割給電シート200LLは、分割給電シート200KKと比較すると、主に、保護部材240Kに代えて、保護部材240Lと保護部材241Lと保護部材242Lとが設けられている点が異なる。なお、電極210L、電極220L、基材230Lは、それぞれ、電極210K、電極220K、基材230Kと同様の構成である。電極210Lは、第9電極の一例である。電極220Lは、第10電極の一例である。
【0154】
電極210Lと電極220Lとは、シート状の電極である。電極210Lと電極220Lとは、基材230Lの一方の面上に設けられる。基材230Lは、電極210L及び電極220Lの土台となる部材である。保護部材240Lと保護部材241Lと保護部材242Lとは、電極210L及び電極220Lの露出を抑制する部材である。つまり、保護部材240Lと保護部材241Lと保護部材242Lとは、電極210Lと電極220Lとを保護し、電極210Lと電極220Lとを外部の導体から絶縁するための部材である。基材230Lは、基材の一例である。保護部材240Lは、第1保護部材の一例である。保護部材241L及び保護部材242Lは、第2保護部材の一例である。
【0155】
保護部材240Lは、電極210L及び電極220Lにおける長手方向の中央部分を被覆する。保護部材241Lは、電極210L及び電極220Lにおける長手方向の一方の端部を被覆する。保護部材242Lは、電極210L及び電極220Lにおける長手方向の他方の端部を被覆する。保護部材240Lは、例えば、保護部材240Kと同様の素材により構成される。保護部材241L及び保護部材242Lの誘電率は、保護部材240Lの誘電率よりも高い。つまり、保護部材241Lと保護部材242Lとは、保護部材240Lが有する比誘電率よりも高い比誘電率を有する。保護部材241L及び保護部材242Lの比誘電率は、例えば、10~20であることが好適である。
【0156】
接続部材350は、2つの分割給電シート200LLのそれぞれの端部を跨ぐように配置される。つまり、接続部材350は、一方の分割給電シート200LLの保護部材241L、及び、他方の分割給電シート200LLの保護部材242Lの上に配置される。また、接続部材350は、接続部材350が備える保護部材354と保護部材241L及び保護部材242Lとが対向するように、保護部材241L及び保護部材242Lの上に配置される。
【0157】
接続部材350は、単に保護部材241L及び保護部材242Lの上に配置されてもよいし、両面テープ、接着剤等により保護部材241L及び保護部材242Lと固定されてもよい。ここで、接続部材350が備える電極351は、一方の分割給電シート200LLが備える電極210Lと対向し、他方の分割給電シート200LLが備える電極210Lと対向する。また、接続部材350が備える電極352は、一方の分割給電シート200LLが備える電極220Lと対向し、他方の分割給電シート200LLが備える電極220Lと対向する。
【0158】
ここで、電極351と2つの電極210Lのそれぞれとが容量結合する。従って、一方の分割給電シート200LLが備える電極210Lと他方の分割給電シート200LLが備える電極210Lとの間で、電磁エネルギーの伝播が可能となる。また、電極352と2つの電極220Lのそれぞれとが容量結合する。従って、一方の分割給電シート200LLが備える電極220Lと他方の分割給電シート200LLが備える電極220Lとの間で、電磁エネルギーの伝播が可能となる。
【0159】
本実施の形態では、実施の形態12と同様に、容量結合により2つの分割給電シート200LLの間で電磁エネルギーが伝播する。従って、本実施の形態によれば、基本的に、実施の形態12と同様の効果が得られる。また、本実施の形態では、接続部材350は、比誘電率が高い保護部材241L及び保護部材242L上に配置される。このため、電極210Lと電極351との間の誘電率は高く、電極210Lと電極351との容量結合は強い。また、電極220Lと電極351との間の誘電率は高く、電極220Lと電極351との容量結合は強い。従って、本実施の形態によれば、電磁エネルギーが効率良く伝播する。
【0160】
(実施の形態14)
実施の形態1では、給電シート200が1つのホット電極と1つのコールド電極とを備える例について説明した。本実施の形態では、給電シート200Mが1つのホット電極と2つのコールド電極とを備える例について説明する。なお、実施の形態1-13と同様の構成及び機能については説明を省略又は簡略化する。
【0161】
図26に、給電シート200Mの平面図を示す。給電シート200Mは、電極210Mと、電極220MAと、電極220MBと、基材230Mと、保護部材(図示せず)とを備える。電極210Mと電極220MAと電極220MBとは、基材230Mの一方の面上に設けられる。保護部材は、電極210Mと電極220MAと電極220MBとを覆うように、基材230Mの一方の面上に設けられる。以下、適宜、電極220MAと電極220MBとを総称して、電極220Mという。
【0162】
電極210Mは、電源電圧が印加されるホット電極である。電極220MAと電極220MBとは、電源電圧に対する基準電圧が印加されるコールド電極である。コールド電極は、グランド電極又は基準電極ともいう。電極210Mは、受電カプラ400が備える電極410と電界結合する。電極220MAと電極220MBとは、受電カプラ400が備える電極420と電界結合する。なお、受電カプラ400は、電極220MAと電極220MBとの何れか一方に対向する1つの電極420を備えていてもよいし、電極220MAと電極220MBとのそれぞれに対向する2つの電極420を備えていてもよい。電極210Mは、第1電極の一例である。電極220MAは、第13電極の一例である。電極220MBは、第14電極の一例である。
【0163】
電極210Mと電極220MAと電極220MBとは、シート状の電極であり、第1方向に延びる。電極210Mと電極220MAと電極220MBとは、給電シート200Mにおいて、電極210M、電極220MA、及び、電極220MBの厚み方向である第2方向と第1方向とに直交する第3方向に並んで配置される。電極210Mは、電極220MAと電極220MBとの間に挟まれた位置に配置される。本実施の形態では、第1方向はX軸が延びる方向であり、第2方向はZ軸が延びる方向であり、第3方向はY軸が延びる方向である。第3方向は、給電シート200M、電極210M、電極220MA、及び、電極220MBの幅方向である。また、電極210Mと電極220MAと電極220MBとは、同一平面上に配置される。
【0164】
給電シート200Mの長さはL50であり、給電シート200Mの幅はW50である。電極210Mの幅はW51である。電極220MAの幅はW52である。電極220MBの幅はW53である。W51は、W52及びW53よりも長いことが好適である。W52とW53とは同程度であることが好適である。本実施の形態では、W52とW53とは等しく、W51はW52の2倍である。
【0165】
電極210M、電極220MA、及び、電極220MBの第1方向における長さは、給電装置100が給電に用いる電磁波の給電シート200M内における波長の1/4よりも短い。電極210M、電極220MA、及び、電極220MBの厚さは、給電に用いる周波数である給電用周波数における表皮深さよりも厚い。電極210Mと電極220MAと電極220MBとは、は、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、鉄等の金属により構成される。
【0166】
基材230Mは、電極210M、電極220MA、及び、電極220MBの土台となる部材である。つまり、基材230M上に電極210M、電極220MA、及び、電極220MBが設けられる。保護部材は、電極210M及び電極220Mの露出を抑制する。つまり、保護部材は、電極210Mと電極220Mとを保護し、電極210Mと電極220Mとをそれぞれ電極410と電極420とから絶縁するための部材である。
【0167】
次に、図27を参照して、給電シート200Mの周囲に発生する電磁場が広がりにくい理由について説明する。図27は、ホット電極から延びる電気力線の説明図である。図27(A)は、コールド電極が2つの場合の電気力線の説明図である。図27(B)は、コールド電極が1つの場合の電気力線の説明図である。
【0168】
本実施の形態に係る給電シート200Mは、ホット電極である電極210Mが、コールド電極である2つの電極220Mの間に配置される。従って、給電シート200Mを用いた場合、図27(A)に示すように、電極210Mから延びる多くの電気力線は、電極210Mからあまり離れた領域を通過せずに、電極210Mの両側に配置された2つの電極220Mに収束する。従って、給電シート200Mを用いた場合、電極210Mから見て2つの電極220Mの外側の領域における電気力線の密度は低く、電極210Mから見て2つの電極220Mの外側に電磁場が発生しにくい。つまり、ホット電極の両側に2つのコールド電極が配置される場合、電磁波が漏洩しにくく、電磁場が広がりにくい。
【0169】
これに対して、例えば、実施の形態1に係る給電シート200は、ホット電極である電極210の片側に、コールド電極である電極220が配置される。従って、給電シート200を用いた場合、図27(B)に示すように、電極210から延びる多くの電気力線は、電極210から離れた領域を通過して、電極210の片側に配置された電極220に収束する。従って、給電シート200を用いた場合、電極210から離れた領域における電気力線の密度は高く、電極210から離れた領域に電磁場が発生しやすい。つまり、ホット電極の片側に1つのコールド電極が配置される場合、電磁波が漏洩しやすく、電磁場が広がりやすい。
【0170】
本実施の形態では、ホット電極である電極210Mが、コールド電極である2つの電極220Mの間に配置される。従って、本実施の形態によれば、電磁波が漏洩しにくく、電磁場が広がりにくい。従って、本実施の形態に係る給電シート200Mは、人体保護又はEMI(Electromagnetic Interference)対策の観点から電磁波の放射が制限されている場合においても利用しやすい。
【0171】
(実施の形態15)
実施の形態1では、受電カプラ400が備える電極が平面シート状である例について説明した。本実施の形態では、受電カプラ400NAが備える電極が曲面シート状である例について説明する。なお、実施の形態1-14と同様の構成及び機能については説明を省略又は簡略化する。
【0172】
図28に、本実施の形態に係る受電カプラ400NAの平面図を示す。なお、図28には、給電シート200N上に受電カプラ400NAと受電カプラ400NBとを配置した様子を示している。受電カプラ400NBは、比較例に係る受電カプラであり、平面シート状の電極を備える。図29に、図28におけるH-H線の断面図を示す。なお、図29において、理解を容易にするため、基材430NA及び保護部材440NAのハッチングを省略している。
【0173】
給電シート200Nは、電極210Nと電極220Nと基材230Nと保護部材240Nとを備える。電極210Nと電極220Nとは、シート状の電極である。電極210Nと電極220Nとは、基材230Nの一方の面上に設けられる。基材230Nは、電極210N及び電極220Nの土台となる部材である。保護部材240Nは、電極210Nと電極220Nとを保護し、電極210Nと電極220Nとを外部の導体から絶縁するための部材である。電極210Nと電極220Nと基材230Nと保護部材240Nとは、それぞれ、電極210と電極220と基材230と保護部材240と同様の構成である。電極210Nは、第1電極の一例である。電極220Nは、第2電極の一例である。
【0174】
受電カプラ400NAは、給電シート200Nから電力を受けるモジュールである。本実施の形態では、受電カプラ400NAの形状は、軸431NAを中心軸とする円筒形状である。受電カプラ400NAは、電極410NAと電極420NAと基材430NAと保護部材440NAとを備える。電極410NAと電極420NAとは、薄く平たい形状である。つまり、電極410NAと電極420NAとは、シート状の電極である。但し、電極410NAと電極420NAとは、曲面としての広がりを持つ曲面シート状である。具体的には、電極410NAと電極420NAとは、軸431NAを中心軸とする円筒形状の部材である基材430NAの側面に沿って曲げられた形状を有する電極である。例えば、電極410NAと電極420NAとは、平面シート状の電極を基材430NAの側面に沿って曲げることにより形成される。
【0175】
本実施の形態では、電極410NA及び電極420NAの形状は、基材430NAの側面の形状である。なお、電極410NA及び電極420NAの形状は、基材430NAの側面から一部を除外した形状でもよい。つまり、電極410NA及び電極420NAの形状は、基材430NAの円周よりも短い長さを有する平面シート状の電極を、基材430NAの側面に沿って曲げることにより形成される形状でもよい。電極410NAと電極420NAとは、受電カプラ400NAにおいて、軸431NAが延びる方向に並んで配置される。電極410NAと電極420NAとの間の距離は、電極210Nと電極220Nとの間の距離と同程度であることが好適である。電極410NAは、第3電極の一例である。電極420NAは、第4電極の一例である。
【0176】
基材430NAは、電極410NA及び電極420NAの土台となる部材である。つまり、基材430NAの側面上に電極410NA及び電極420NAが設けられる。本実施の形態では、基材430NAの形状は、略円筒形状である。基材430NAは、絶縁体により構成される。保護部材440NAは、電極410NA及び電極420NAの露出を抑制する。つまり、保護部材440NAは、電極410NAと電極420NAとを保護し、電極410NAと電極420NAとをそれぞれ電極210Nと電極220Nとから絶縁するための部材である。保護部材440NAは、基材430NA、電極410NA、及び、電極420NAの表面を覆うように配置される。保護部材440NAは、絶縁体により構成される。
【0177】
受電カプラ400NBは、給電シート200Nから電力を受けるモジュールである。本実施の形態では、受電カプラ400NBの形状は、シート状である。受電カプラ400NBは、電極410NBと電極420NBと基材430NBと保護部材440NBとを備える。電極410NBと電極420NBとは、シート状の電極である。電極410NBと電極420NBとは、受電カプラ400NBにおいて、電極410NB及び電極420NBの長手方向に延び、電極410NB及び電極420NBの厚み方向と電極410NB及び電極420NBの長手方向とに直交する方向である幅方向に並んで配置される。また、電極410NBと電極420NBとは、基材430NBの一方の面上に配置される。電極410NBと電極420NBとの間の距離は、電極210Nと電極220Nとの間の距離と同程度であることが好適である。
【0178】
基材430NBは、電極410NB及び電極420NBの土台となる部材である。つまり、基材430NB上に電極410NB及び電極420NBが設けられる。保護部材440NBは、電極410NB及び電極420NBの露出を抑制する。つまり、保護部材440NBは、電極410NBと電極420NBとを保護し、電極410NBと電極420NBとをそれぞれ電極210Nと電極220Nとから絶縁するための部材である。保護部材440NBは、絶縁体により構成される。
【0179】
ここで、受電カプラ400NAは、電極410NAと電極210Aとが対向し、電極420NAと電極220Aとが対向するように、給電シート200N上に配置される。例えば、受電カプラ400NAは、軸431NAが給電シート200Nの幅方向に延び、給電シート200の幅方向において、電極410NAと電極210Aとが重なり、電極420NAと電極220Aとが重なるように、給電シート200N上に配置される。
【0180】
受電カプラ400NAは、電極410NAと電極210Aとが対向し、電極420NAと電極220Aとが対向する状態を維持した状態で、給電シート200N上を移動することができる。例えば、受電カプラ400NAは、軸431NAを中心にして回転することにより給電シート200Nの長手方向に移動することができる。この場合、基本的に、電極410NAと電極210Nとの距離は一定であり、電極410NAと電極210Nとの電界結合の強さは一定である。また、基本的に、電極420NAと電極220Nとの距離は一定であり、電極420NAと電極220Nとの電界結合の強さは一定である。従って、受電カプラ400NAを用いた場合、基本的に、給電効率は一定である。
【0181】
一方、受電カプラ400NBは、電極410NBと電極210Nとが対向し、電極420NBと電極220Nとが対向するように、給電シート200N上に配置される。ここで、受電カプラ400NBの底面が給電シート200Nの上面に対して傾いた状態で受電カプラ400NBが給電シート200N上に配置される場合がある。例えば、給電シート200N上に配置された障害物に、受電カプラ400NBにおける給電シート200Nの長手方向における一端が重なる場合、給電シート200Nの一端が給電シート200Nの上面から浮いた状態となる。この場合、電極410NBと電極210Nとの距離にばらつきが生じ、電極410NBと電極210Nとの電界結合が弱くなる。また、電極420NBと電極220Nとの距離にばらつきが生じ、電極420NBと電極220Nとの電界結合が弱くなる。従って、受電カプラ400NBを用いた場合、給電効率が低下することがある。
【0182】
本実施の形態では、電極410NAと電極420NAとは、シート状であり、軸431NAを中心軸とする円筒の側面に沿った形状である。従って、本実施の形態によれば、給電効率の変化を抑制することができる。
【0183】
(実施の形態16)
実施の形態1では、柔軟性を有しない給電シート200について説明し、実施の形態6では、柔軟性を有しない分割給電シート200EEについて説明した。本実施の形態では、柔軟性を有する給電シート200Pについて説明する。なお、1つの給電シート200Pが1つの給電シートとして使用されてもよいし、複数の給電シート200Pが分割給電シートとして連結されて1つの給電シートとして使用されてもよい。なお、実施の形態1-15と同様の構成及び機能については説明を省略又は簡略化する。
【0184】
図30に、本実施の形態に係る給電シート200Pの側面図を示す。給電シート200Pは、柔軟性を有し、折り曲げたり、巻いたりすることができる。給電シート200Pは、電極210Pと電極220Pと基材230Pと保護部材240Pとを備える。
【0185】
電極210Pと電極220Pとは、シート状の電極である。電極210Pと電極220Pとは、給電シート200Pにおいて、厚み方向と長手方向とに直交する幅方向に並んで配置される。電極210Pと電極220Pとは、基材230Pの一方の面上に設けられる。電極210Pと電極220Pとは、導電糸、メッキ、金属箔等の柔軟性を有する素材により構成される。
【0186】
基材230Pは、電極210P及び電極220Pの土台となる部材である。つまり、基材230P上に電極210P及び電極220Pが設けられる。基材230Pは、繊維体、発泡体、ゴム等の柔軟性を有する素材により構成される。保護部材240Pは、電極210P及び電極220Pの露出を抑制する。つまり、保護部材240Pは、電極210Pと電極220Pとを保護し、電極210Pと電極220Pとを外部の導体から絶縁するための部材である。保護部材240Pは、柔軟性を有しており、繊維体、発泡体、ゴム等の柔軟性を有する素材により構成されるか、フィルム又は塗布膜等の柔軟性を有する形態により構成される。
【0187】
本実施の形態では、給電シート200Pは柔軟性を有する。従って、本実施の形態によれば、給電シート200Pの持ち運びが容易である。なお、給電シート200Pを単体で用いる場合、給電シート200Pの長さは数メートルになることがある。また、複数の給電シート200Pを分割給電シートとして連結して使用する場合でも、1つの給電シート200Pの長さは1メートル程度になることがある。従って、給電シート200Pが柔軟性を有し、給電シート200Pを折りたたんだり、給電シート200Pを巻いたりすることができると便利であると考えられる。
【0188】
(実施の形態17)
実施の形態1では、給電対象がノートパソコン、スマートフォン等の機器である例について説明した。本実施の形態では、給電対象が床面又は空中を移動する移動体である例について説明する。なお、実施の形態1-16と同様の構成及び機能については説明を省略又は簡略化する。
【0189】
図31を参照して、本実施の形態に係る給電シート200Qの使用方法について説明する。給電シート200Qは、移動体に給電する。本実施の形態では、移動体は、AGV(Automatic Guided Vehicle)と呼ばれる自動搬送車810、及び、ドローンと呼ばれる無人飛行体820である。給電シート200Qは、電極210Qと電極220Qと基材230Qと保護部材240Qとを備える。
【0190】
電極210Qと電極220Qとは、シート状の電極である。電極210Qと電極220Qとは、給電シート200Qにおいて、厚み方向と長手方向とに直交する幅方向に並んで配置される。電極210Qと電極220Qとは、基材230Qの一方の面上に設けられる。基材230Qは、電極210Q及び電極220Qの土台となる部材である。つまり、基材230Q上に電極210Q及び電極220Qが設けられる。保護部材240Qは、電極210Q及び電極220Qの露出を抑制する。つまり、保護部材240Qは、電極210Qと電極220Qとを保護し、電極210Qと電極220Qとを外部の導体から絶縁するための部材である。
【0191】
自動搬送車810は、自動で走行することができる搬送車である。自動搬送車810は、受電カプラを備え、給電シート200Qから給電される。自動搬送車810は、電極410QAと電極420QAとを備える。電極410QA、電極420QAは、それぞれ、電極410、電極420と同様の構成である。電極410QAと電極420QAとの間の距離は、電極210と電極220との間の距離と同程度であることが好適である。自動搬送車810は、電極410QAと電極210とが対向し、電極420QAと電極220とが対向した状態で、給電シート200Qから給電される。
【0192】
無人飛行体820は、自動で飛行することができる無人機である。無人飛行体820は、受電カプラを備え、給電シート200Qから給電される。無人飛行体820は、電極410QBと電極420QBとを備える。電極410QB、電極420QBは、それぞれ、電極410、電極420と同様の構成である。電極410QBと電極420QBとの間の距離は、電極210と電極220との間の距離と同程度であることが好適である。無人飛行体820は、電極410QBと電極210とが対向し、電極420QBと電極220とが対向した状態で、給電シート200Qから給電される。
【0193】
本実施の形態では、給電シート200Qの長さは、移動体の長さがよりも何倍も長い。このため、給電シート200Qは、同時に複数の移動体に給電することができる。例えば、給電シート200Qは、少なくとも1つの自動搬送車810と少なくとも1つの無人飛行体820とに同時に給電することができる。従って、給電シート200Qを用いて給電ステーションを容易に構築することができる。
【0194】
また、給電シート200Q上に配置された移動体の向きと給電シート200Qの幅方向における移動体の位置とが正しい場合、給電シート200Qの長手方向における移動体の位置にかかわらず、給電シート200Qによる移動体への給電が可能である。従って、移動体の移動精度が低い場合でも、移動体を給電可能な位置に移動させることが容易である。
【0195】
(変形例)
以上、本開示の実施の形態を説明したが、種々の形態による変形及び応用が可能である。
【0196】
上記実施の形態において説明した構成、機能、動作のどの部分を採用するのかは任意である。また、上述した構成、機能、動作のほか、更なる構成、機能、動作が採用されてもよい。また、上述した実施の形態は、適宜、自由に組み合わせることができる。また、上述した実施の形態で説明した構成要素の個数は、適宜、調整することができる。また、採用可能な素材、サイズ、電気的特性などが、上記実施の形態において示したものに限定されないことは勿論である。
【0197】
実施の形態6では、複数の分割給電シートの長さが同じである例、つまり、3つの分割給電シート200EEの長さであるL40が同じである例について説明した。複数の分割給電シートの長さが異なっていてもよい。同様に、実施の形態12において、3つの分割給電シート200KKの長さは、同じでもよいし、異なっていてもよい。また、実施の形態13において、3つの分割給電シート200LLの長さは、同じでもよいし、異なっていてもよい。
【0198】
実施の形態6では、実施の形態1に係る給電シート200が分割された例を示した。実施の形態8に係る給電シート200G、又は、実施の形態9に係る給電シート200Hが、分割されてもよい。実施の形態7では、実施の形態1に係る給電シート200が給電本体装置300に並列に複数接続された例を示した。実施の形態8に係る給電シート200G、又は、実施の形態9に係る給電シート200Hが、給電本体装置300に並列に複数接続されてもよい。
【0199】
実施の形態1では、受電カプラ400が機器500の外部に設けられる例について説明した。受電カプラ400は、機器500に内蔵されていてもよい。
【0200】
実施の形態1では、受電カプラ400の形状が、平面視で、電極410及び電極420の長手方向に延びる長辺を有する長方形である例について説明した。受電カプラ400の形状は、適宜、調整することができる。例えば、受電カプラ400の形状が、平面視で、電極410及び電極420の長手方向に延びる楕円形であってもよい。
【0201】
また、電極210と電極410とが対向し、電極220と電極420とが対向するように受電カプラ400が配置されるのであれば、受電カプラ400の形状、電極410及び電極420の形状又は配置は任意である。例えば、電極410と電極420とは、正方形でもよいし、四角形以外の多角形でもよいし、楕円形又は円形でもよい。また、電極410と電極420とは、並んで配置されていなくてもよい。また、例えば、実施の形態10のように、給電シート200Iと受電カプラ400Iとが固定される場合、受電カプラ400Iは、給電シート200Iの長手方向に延びた形状でなくてもよい。
【0202】
実施の形態10では、給電シート200Iに凹部270が設けられ、受電カプラ400Iに凸部470が設けられる例について説明した。受電カプラ400Iを給電シート200Iに移動可能に給電シート200Iに固定する方法は、この例に限定されない。例えば、給電シート200Iに凸部が設けられ、受電カプラ400Iに凹部が設けられてもよい。また、受電カプラ400Iは、給電シート200Iに移動しないように固定されてもよい。かかる構成であっても、給電シート200Iにおける任意の場所に受電カプラ400Iを固定可能であれば、受電カプラ400Iの配置の自由度は高い。
【0203】
実施の形態1では、給電シート200がオフィスにおける机の天板600上に配置される例について説明した。給電シート200が配置される場所は、この例に限定されない。例えば、給電シート200は、工場、倉庫、学校、店舗、住宅、病院等における、什器、壁、柱等に配置されてもよい。なお、給電シート200が配置される什器としては、棚、机、テーブル等が考えられる。
【0204】
また、給電シート200は、床と平行に配置されなくてもよい。例えば、給電シート200は、給電シート200の長手方向が鉛直方向と一致するように、柱、壁等に配置されてもよい。また、給電シート200は、給電シート200の幅方向が鉛直方向と一致するように、棚板の側面、壁等に配置されてもよい。
【0205】
また、給電対象の機器500としては、ノートパソコン、スマートフォン、自動搬送車、無人飛行体以外の種々の機器を採用することができる。例えば、機器500として、医療機器、電子棚札、デジタルサイネージ等を採用することができる。
【0206】
本出願は、2021年3月30日に出願された、日本国特許出願特願2021-058266に基づく。本明細書中に日本国特許出願特願2021-058266の明細書、特許請求の範囲、図面全体を参照として取り込むものとする。
【符号の説明】
【0207】
30 電気力線、100,100B,100C,100D,100F,100G,100H,100I 給電装置、200,200E,200G,200H,200I,200J,200K,200L,200M,200N,200P,200Q 給電シート、200EE,200KK,200LL 分割給電シート、210,210E,210G,210H,210I,210K,210L,210M,210N,210P,210Q,220,220E,220G,220H,220I,220K,220L,220M,220MA,220MB,220N,220P,220Q,250,351,352,410,410G,410H,410I,410NA,410NB,410QA,410QB,420,420G,420H,420I,420NA,420NB,420QA,420QB,710,720 電極、230,230E,230G,230H,230I,230K,230L,230N,230P,230Q,353,430NA,430NB 基材、240,240G,240H,240I,240K,240L,240N,240P,240Q,241L,242L,354,440NA,440NB 保護部材、260 スルーホール、270 凹部、300 給電本体装置、301,401 制御部、302,402 記憶部、303,540 通信部、304 高周波電源、305 給電部、306 電力調整部、307 異常判別部、308 通知部、310 給電インターフェース、311 インピーダンス調整回路、312 接続インターフェース、320,330,510 給電ケーブル、340 分配器、350 接続部材、400,400A,400B,400G,400H,400I,400NA,400NB 受電カプラ、403 第1通信部、404 受電部、405 電源部、406 送電部、407 第2通信部、408 第3通信部、430,430G,430H,430I,730 筐体、431NA 軸、450 送電コイル、451 送信コイル、470 凸部、500,500A,500BA,500BB 機器、520 受電コイル、521 受信コイル、530 受電部、600 天板、601 棚板、700 送電カプラ、810 移動体、820 飛行体、1000,1000A,1000B,1000C,1000D,1000F,1000G,1000H,1000I 無線給電システム
図1
図2
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