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特開2022-155504弁を回転させることによって印刷システムの真空プラテンを通る気流を制御するためのデバイス、システム、及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155504
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】弁を回転させることによって印刷システムの真空プラテンを通る気流を制御するためのデバイス、システム、及び方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20221005BHJP
【FI】
B41J2/01 305
B41J2/01 401
B41J2/01 451
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034690
(22)【出願日】2022-03-07
(31)【優先権主張番号】17/217,448
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・パトリック・ベイカー
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・エム.・バルタサル
(72)【発明者】
【氏名】エメット・ジェームズ・スペンス
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・チエン・チャン
(72)【発明者】
【氏名】メーガン・ジエレンスキ
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EB03
2C056EB13
2C056EB36
2C056EC03
2C056EC12
2C056EC28
2C056EC37
2C056HA29
2C056HA32
(57)【要約】      (修正有)
【課題】インクジェット印刷システムにおける液滴の配置の精度を改善し、最終的な印刷媒体製品のぶれの発生を低減する。
【解決手段】印刷システムは、インク堆積アセンブリ、媒体輸送デバイス、及び気流制御システムを含む。インク堆積アセンブリは、堆積領域を通って輸送される紙などの印刷媒体上にインクなどの印刷流体を堆積させるための印刷ヘッドを含む。媒体輸送デバイスは、媒体輸送デバイス内の穴を介した真空吸引によってベルトなどの可動支持面に印刷媒体を保持し、堆積領域を通って印刷媒体を輸送する。気流制御システムは、開状態と閉状態との間で作動可能である1つ以上の弁を含み、各弁は、閉状態において穴のサブセットを遮断する。気流制御システムはまた、弁を作動させるための1つ以上のアクチュエータを含む。アクチュエータは、隣接する印刷媒体間の媒体間ゾーンの位置に基づいて、開状態と閉状態との間で弁を選択的に作動させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷システムであって、
インク堆積アセンブリであって、インクを前記インク堆積アセンブリの堆積領域に吐出するように配置された1つ以上の印刷ヘッドを含む、インク堆積アセンブリと、
可動支持面を含む媒体輸送デバイスであって、前記媒体輸送デバイス内の穴を介した真空吸引によって印刷媒体を前記可動支持面に保持し、前記堆積領域を通るプロセス方向に沿って前記印刷媒体を輸送するように構成された媒体輸送デバイスと、
開状態と閉状態との間で作動可能な弁を含む気流制御システムであって、前記弁は、前記閉状態において前記穴のサブセットを通る気流を遮断し、前記弁は、前記開状態において穴の前記サブセットを通る気流を可能にする、気流制御システムと、を含む、印刷システム。
【請求項2】
アクチュエータが、前記弁に動作可能に結合されており、前記弁を作動させるように構成されている、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
コントローラが、前記可動支持面に保持された隣接する印刷媒体間の媒体間ゾーンの位置に基づいて、前記アクチュエータに、前記弁を前記開状態と前記閉状態との間で作動させて、穴の前記サブセットを選択的に遮断するように構成されている、請求項2に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記媒体間ゾーンの下流縁部が前記弁に対して第1の位置に達したことに応答して、前記アクチュエータに、前記弁を前記開状態から前記閉状態に作動させるように構成されている、請求項3に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記コントローラは、前記媒体間ゾーンの上流縁部が前記弁に対して第2の位置に達したことに応答して、前記アクチュエータに、前記弁を前記閉状態から前記開状態に作動させるように構成されている、請求項4に記載の印刷システム。
【請求項6】
前記第1の位置が、穴の前記サブセットの上流境界に対応し、前記第2の位置が、穴の前記サブセットの下流境界に対応する、請求項5に記載の印刷システム。
【請求項7】
前記弁によって遮断される前記穴の前記サブセットが、
前記印刷ヘッドのうちの1つの上流にあり、かつこれに隣接する穴、
前記印刷ヘッドのうちの1つの下流にあり、かつこれに隣接する穴、
前記印刷ヘッドのうちの1つの下方に位置する穴、及び
前記インク堆積アセンブリの印刷ヘッドモジュールの下方に位置する穴であって、前記印刷ヘッドモジュールが、キャリアプレートと、前記キャリアプレートの開口部を通して印刷流体を吐出するように配置された複数の前記印刷ヘッドと、を含む、穴、のうちの1つ又はこれらの任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項8】
前記媒体輸送デバイスは、前記可動支持面が上方を移動する第1の表面を含む真空プラテンを更に含み、
前記穴が、前記真空プラテンを通って延在し、
前記弁が、前記第1の表面とは反対側の前記真空プラテンの第2の表面に隣接して位置付けられている、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項9】
前記弁が、前記プロセス方向に垂直な方向に前記真空プラテンを横切って延在する、請求項8に記載の印刷システム。
【請求項10】
前記穴が、前記真空プラテン内の行及び列に配置され、前記弁によって遮断される穴の前記サブセットが、1つ以上の行の穴を含む、請求項9に記載の印刷システム。
【請求項11】
前記可動支持面がベルトを含む、請求項8に記載の印刷システム。
【請求項12】
前記気流制御システムが複数の弁を含み、前記弁が前記複数の弁のうちの1つであり、前記複数の弁の各々が、開状態と閉状態との間で独立して作動可能である、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項13】
前記気流制御システムが複数のアクチュエータを更に含み、前記複数のアクチュエータの各々が、前記複数の弁のうちのそれぞれの1つに動作可能に結合され、前記開状態と前記閉状態との間で前記複数の弁のうちの前記それぞれの1つを作動させるように構成されている、請求項12に記載の印刷システム。
【請求項14】
前記アクチュエータに、媒体間ゾーンの位置に基づいて、前記開状態と前記閉状態との間で前記複数の弁を独立して作動させるように構成されたコントローラを更に含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記弁が、長手方向軸を有する弁本体と、前記弁本体を通って直径方向に放射状に延在する1つ以上の通路と、を含み、
前記弁が、前記弁の前記開状態において前記1つ以上の通路を穴の前記サブセットとの流体連通状態にするように、前記長手方向軸を中心に回転可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
方法であって、
印刷システムの印刷ヘッドの堆積領域を通る印刷媒体を輸送することであって、前記印刷媒体が、前記輸送中に媒体輸送デバイス内の穴を介した真空吸引によって前記媒体輸送デバイスの可動支持面に保持される、ことと、
印刷流体を前記印刷ヘッドから吐出して、前記堆積領域内の前記印刷媒体にインクを堆積させることと、
弁が前記穴のサブセットを通る気流を遮断する閉状態と前記弁が前記穴の前記サブセットを通る気流を遮断しない開状態との間で前記弁を作動させることによって、前記穴の前記サブセットを選択的に遮断するように気流制御システムを制御することと、を含む、方法。
【請求項17】
穴の前記サブセットを選択的に遮断することが、前記可動支持面に保持された隣接する印刷媒体間の媒体間ゾーンの位置に基づいて、前記閉状態と前記開状態との間で前記弁を作動させることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記弁を選択的に作動させることが、
前記媒体間ゾーンの下流縁部が前記弁に対して第1の位置に達したことに応答して、前記弁を前記開状態から前記閉状態に作動させることと、
前記媒体間ゾーンの下流縁部が前記弁に対して第2の位置に達したことに応答して、前記弁を前記閉状態から前記開状態に作動させることと、を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記弁を選択的に作動させることが、前記弁に結合されたアクチュエータに、前記弁の本体を回転させることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記弁を作動させることが、前記弁の長手方向軸を中心に前記弁を回転させて、前記開状態では前記弁を通って直径方向に延在する1つ以上の通路を前記穴との流体連通状態に配置し、前記閉状態では前記穴を通る気流を遮断するように前記弁を位置付けることを含み、前記長手方向軸は、プロセス方向に垂直に延在する、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の態様は、一般にインクジェット印刷に関し、より具体的には、真空吸引を利用して印刷媒体を保持及び輸送する媒体輸送デバイスを有するインクジェット印刷システムに関する。関連するデバイス、システム、及び方法も開示される。
【背景技術】
【0002】
いくつかの用途では、インクジェット印刷システムは、1つ以上の印刷ヘッドを有するインク堆積アセンブリと、インク堆積アセンブリのインク堆積領域(例えば、印刷ヘッドの下方にある領域)を通って印刷媒体(例えば、紙のシート、封筒、又はインクで印刷するのに適した他の基材などの基材)を移動させる媒体輸送デバイスとを使用する。インクジェット印刷システムは、媒体が堆積領域を通過するときに、印刷ヘッドから中央にインクを吐出することによって印刷媒体上に印刷画像を形成する。いくつかのインクジェット印刷システムでは、媒体輸送デバイスは、真空吸引を利用して、輸送デバイスの可動支持面(例えば、コンベヤベルト、回転ドラムなど)に印刷中央を保持するのを支援する。支持面に印刷媒体を保持するための真空吸引は、真空源(例えば、ファン)と、印刷媒体を支持する側面とは反対側の移動面の側面に真空源を流体的に結合する真空プレナムとを使用して達成することができる。真空源は真空プレナム内に真空状態を作り出し、真空プレナムに流体的に結合されている可動支持面内の穴を通る真空吸引を引き起こす。印刷媒体が可動支持面上に導入されると、真空吸引は、印刷媒体を可動支持面に保持する吸引力を生成する。真空吸引を利用する媒体輸送デバイスは、印刷媒体が、インク堆積アセンブリの下方にあるインク堆積領域を通って輸送されている間、滑ることなく所定の位置にしっかりと保持されることを可能にし得、それにより、印刷ヘッドに対する印刷媒体の正確な位置決め、ひいてはより正確な印刷画像を確実にするのに役立ち得る。真空吸引はまた、印刷媒体が、インク堆積領域を通過するときに平坦に保持されることを可能にし得、これはまた、印刷画像の精度を高めることにも役立ち得、更に、印刷媒体の一部が浮き上がってインク堆積アセンブリの一部に当たり、場合によっては詰まり又は損傷を引き起こすことがあるのを防ぐのに役立つ。
【0003】
真空吸引を利用する媒体輸送デバイスを含むインクジェット印刷システムで生じ得る1つの問題は、真空吸引によって誘発された気流によりもたらされる意図せぬ画像のぶれである。いくつかのシステムでは、そのようなぶれは、印刷媒体の縁部の近くにある印刷画像の部分で、特に、限定するものではないが、印刷媒体の輸送方向における前縁部又は後縁部の近くにあるそれらの部分で起こり得る。印刷ジョブ中、印刷媒体は、インク堆積アセンブリの堆積領域を通って輸送されるとき、可動支持面上で互いに離間されており、したがって、隣接する印刷媒体間の可動支持面の部分は、印刷媒体によって覆われていない。隣接する印刷媒体間のこの領域は、本明細書において媒体間ゾーンと称される。したがって、各印刷媒体の前縁部及び後縁部の両方に隣接する、媒体間ゾーン内の可動支持面には、覆われていない穴が存在する。これらの穴は覆われていないため、真空プレナムの真空により、それらの覆われていない穴を通って空気が流れるように誘導される。この気流は、インク液滴が印刷ヘッドから基材に移動する際にインク液滴を偏向させ得、したがって、画像のぶれを引き起こし得る。
【0004】
インクジェット印刷システムにおける液滴の配置の精度を改善し、最終的な印刷媒体製品のぶれの発生を低減する必要性が存在する。効率的なインクジェット印刷システムを提供するために、信頼できる方法で、かつ印刷及び輸送の速度を維持しながら、ぶれの問題に対処する必要性が更に存在する。
【発明の概要】
【0005】
本開示の実施形態は、上述の問題のうちの1つ以上を解決し得、及び/又は上述の望ましい特徴のうちの1つ以上を実証し得る。他の特徴及び/又は利点は、以下の説明から明らかになり得る。
【0006】
本開示の少なくとも1つの実施形態によれば、印刷システムは、インク堆積アセンブリ、媒体輸送デバイス、及び気流制御システムを含む。インク堆積アセンブリは、インクをインク堆積アセンブリの堆積領域に吐出するように配置された1つ以上の印刷ヘッドを含む。媒体輸送デバイスは可動支持面を含み、また、媒体輸送デバイス内の穴を介した真空吸引によって印刷媒体を可動支持面に保持し、堆積領域を通るプロセス方向に沿って印刷媒体を輸送するように構成されている。気流制御システムは、開状態と閉状態との間で作動可能な弁を含み、弁は、閉状態において穴のサブセットを通る気流を遮断し、弁は、開状態において穴のサブセットを通る気流を可能にする。
【0007】
本開示の少なくとも1つの実施形態によれば、方法は、印刷システムの印刷ヘッドの堆積領域を通る印刷媒体を輸送することであって、印刷媒体が、輸送中に媒体輸送デバイス内の穴を介した真空吸引によって媒体輸送デバイスの可動支持面に保持される、ことと、印刷流体を印刷ヘッドから吐出して、堆積領域内の印刷媒体にインクを堆積させることと、弁が穴のサブセットを通る気流を遮断する閉状態と弁が穴のサブセットを通る気流を遮断しない開状態との間で弁を作動させることによって、穴のサブセットを選択的に遮断するように気流制御システムを制御することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示は、単独で又は添付の図面と一緒に、以下の詳細な説明から理解され得る。図面は、本開示の更なる理解を提供するために含まれるものであり、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する。図面は、本教示の1つ以上の実施形態を示し、説明と共に、特定の原理及び動作を説明する。図面において、
【0009】
図1A】従来のインクジェット印刷システムのインク堆積領域を通る印刷媒体輸送の異なる段階中の印刷ヘッドアセンブリ、輸送デバイス、及び印刷媒体に対する気流パターン、並びに印刷媒体製品に結果として生じるぶれ効果を概略的に示す。
図1B】従来のインクジェット印刷システムのインク堆積領域を通る印刷媒体輸送の異なる段階中の印刷ヘッドアセンブリ、輸送デバイス、及び印刷媒体に対する気流パターン、並びに印刷媒体製品に結果として生じるぶれ効果を概略的に示す。
図1C】従来のインクジェット印刷システムのインク堆積領域を通る印刷媒体輸送の異なる段階中の印刷ヘッドアセンブリ、輸送デバイス、及び印刷媒体に対する気流パターン、並びに印刷媒体製品に結果として生じるぶれ効果を概略的に示す。
図1D】従来のインクジェット印刷システムのインク堆積領域を通る印刷媒体輸送の異なる段階中の印刷ヘッドアセンブリ、輸送デバイス、及び印刷媒体に対する気流パターン、並びに印刷媒体製品に結果として生じるぶれ効果を概略的に示す。
図1E】従来のインクジェット印刷システムのインク堆積領域を通る印刷媒体輸送の異なる段階中の印刷ヘッドアセンブリ、輸送デバイス、及び印刷媒体に対する気流パターン、並びに印刷媒体製品に結果として生じるぶれ効果を概略的に示す。
図1F】従来のインクジェット印刷システムのインク堆積領域を通る印刷媒体輸送の異なる段階中の印刷ヘッドアセンブリ、輸送デバイス、及び印刷媒体に対する気流パターン、並びに印刷媒体製品に結果として生じるぶれ効果を概略的に示す。
図1G】従来のインクジェット印刷システムのインク堆積領域を通る印刷媒体輸送の異なる段階中の印刷ヘッドアセンブリ、輸送デバイス、及び印刷媒体に対する気流パターン、並びに印刷媒体製品に結果として生じるぶれ効果を概略的に示す。
図1H】従来のインクジェット印刷システムのインク堆積領域を通る印刷媒体輸送の異なる段階中の印刷ヘッドアセンブリ、輸送デバイス、及び印刷媒体に対する気流パターン、並びに印刷媒体製品に結果として生じるぶれ効果を概略的に示す。
図1I】従来のインクジェット印刷システムのインク堆積領域を通る印刷媒体輸送の異なる段階中の印刷ヘッドアセンブリ、輸送デバイス、及び印刷媒体に対する気流パターン、並びに印刷媒体製品に結果として生じるぶれ効果を概略的に示す。
【0010】
図2】気流制御システムを含むインクジェット印刷システムの実施形態の構成要素を示すブロック図である。
【0011】
図3図2のインクジェット印刷システムのインク堆積アセンブリ、媒体輸送デバイス、及び気流制御気流制御システムの概略図である。
【0012】
図4】気流制御システムを含むインクジェット印刷システムの一実施形態の印刷ヘッドアセンブリの上から見た平面図である。
【0013】
図5A図4のインクジェット印刷システムの断面図であり、この断面は図4のDに沿って取られた。
図5B図4のインクジェット印刷システムの断面図であり、この断面は図4のDに沿って取られた。
図5C図4のインクジェット印刷システムの断面図であり、この断面は図4のDに沿って取られた。
図5D図4のインクジェット印刷システムの断面図であり、この断面は図4のDに沿って取られた。
図5E図4のインクジェット印刷システムの断面図であり、この断面は図4のDに沿って取られた。
図5F図4のインクジェット印刷システムの断面図であり、この断面は図4のDに沿って取られた。
図5G図4のインクジェット印刷システムの断面図であり、この断面は図4のDに沿って取られた。
図5H図4のインクジェット印刷システムの断面図であり、この断面は図4のDに沿って取られた。
図5I図4のインクジェット印刷システムの断面図であり、この断面は図4のDに沿って取られた。
図5J図4のインクジェット印刷システムの断面図であり、この断面は図4のDに沿って取られた。
【0014】
図6A図4のインクジェット印刷システムの断面図であり、この断面は図4のEに沿って取られた。
図6B図4のインクジェット印刷システムの断面図であり、この断面は図4のEに沿って取られた。
【0015】
図7A】インクジェット印刷システムの実施形態の断面図であり、この断面は交差プロセス方向に沿って取られた。
図7B】インクジェット印刷システムの実施形態の断面図であり、この断面は交差プロセス方向に沿って取られた。
【発明を実施するための形態】
【0016】
上述のように、媒体間ゾーンが印刷ヘッドの近く又はその下方にあるとき、媒体間ゾーン内の覆われていない穴は、いくつかのインク液滴を進路から吹き飛ばして画像ぶれを引き起こし得る交差流を作り出す可能性がある。ぶれの問題を生じさせる現象の一部をよりよく説明するために、図1A図1Iを参照する。図1A図1D、及び図1Gは、それぞれ、印刷媒体5の後縁部TE、前縁部LE、及び中央の近くで印刷媒体5に印刷している印刷ヘッド10を概略的に示す。図1B図1E、及び図1Hは、それぞれ、領域A、B、及びCの拡大図を示す。図1C図1F、及び図1Iは、印刷画像の拡大写真を示しており、これらの印刷画像は、それぞれ、紙のシートの後縁部TE、前縁部LE、及び中央の近くに印刷された線を含む。
【0017】
図1A図1D、及び図1Gに示されるように、インクジェット印刷システムは、インクを印刷媒体(印刷媒体5a及び印刷媒体5bが図示されている)に吐出するための印刷ヘッド10と、図中の正のy軸方向に対応するプロセス方向Pに印刷媒体5を輸送する可動支持面20とを含む。可動支持面20は、真空プラテン26の上部の上を移動し(プロセス方向P)、プラテン26の底部側に真空環境が提供される。可動支持面20は穴21を有し、真空プラテン26は穴27を有し、穴21及び27は、可動支持面20より上の領域をプラテン26より下の真空に露出させるように、可動支持面20が移動するのに応じて周期的に整列する。印刷媒体5のうちの1つが穴21を覆う領域では、整列した穴21及び27を介した真空吸引は、印刷媒体5を可動支持面20に保持する力を生成する。しかしながら、これらの覆われた穴21及び27は印刷媒体5によって遮断されているので、これらの穴を通って流れる空気はほとんど又は全くない。一方、図1A及び図1Dに示されるように、印刷媒体5aと印刷媒体5bとの間の媒体間ゾーン22では、穴21及び27は覆われてなく、したがって、真空吸引は、媒体間ゾーン22内の穴21及び27を通って流れ落ちるように空気を引く。これにより、図1A及び図1Dの破線矢印によって示される気流が作り出され、これは、印刷ヘッド10の周りの領域(例えば、プロセス方向Pに対して定義されるような印刷ヘッドの上流及び下流)から、媒体間ゾーン22内の覆われていない穴21及び27に向かって流れ、この気流の一部は、印刷ヘッド10の下方を通過する。
【0018】
図1Aでは、印刷媒体5aは、その後縁部TEの近くで印刷されており、したがって、インクが現在吐出されている領域(「インク吐出領域」)(例えば、図1Aの丸で囲まれた領域)は、媒体間ゾーン22の下流に位置する。したがって、媒体間ゾーン22に向かって吸い込まれている空気の一部は、インク吐出領域を通って上流に流れる。より具体的には、媒体間ゾーン22からの真空吸引は、媒体間ゾーン22のすぐ上の領域、例えば、図1Aの領域Rの圧力を低下させるが、印刷ヘッド10の下流の領域、例えば、図1Aの領域Rは、より高い圧力に留まる。この圧力勾配により、領域Rから領域Rへの上流方向に空気が流れ、この気流は、領域RとRとの間にあるインク吐出領域(例えば、図1Aの丸で囲まれた領域)を横切る。インク吐出領域を横切る、これらなどの気流は、本明細書において交差流15と称される。図1Aでは、交差流15は上流に流れるが、他の状況では、交差流15は異なる方向に流れ得る。
【0019】
図1Aの丸で囲まれた領域の拡大図を含む、図1Bの拡大図A’に示されるように、インクが印刷ヘッド10から媒体5に向かって吐出されると、主液滴12及び衛星液滴13が形成される。衛星液滴13は、主液滴12よりもはるかに小さく、より小さい質量及び運動量を有しており、したがって、上流の交差流15aは、主液滴12に対するよりも大きな影響を衛星液滴13に及ぼす傾向がある。したがって、主液滴12は、交差流15に関係なく、それらの意図された堆積場所16の近くで印刷媒体5に着地し得るが、交差流15は、衛星液滴13を巻き込んでそれらを意図された場所から吹き飛ばし得、その結果、衛星液滴13は、印刷媒体5上の意図しない場所17に着地し、この意図しない場所17は、意図された場所16からずれている。これは、図1Cの実際の印刷画像で見ることができ、図中、より濃い/暗い線状の部分は、主に意図された場所16に堆積された液滴(主液滴12及び巻き込まれなかった可能性のある任意の衛星液滴など)によって形成され、一方、線から離れて分散しているより小さい点は、交差流に巻き込まれ、意図された場所16から吹き飛ばされて、意図しない場所17に着地した液滴(衛星液滴13など)によって形成され、印刷された線にぶれた又は滲んだ外観をもたらす。特に、図1Cのぶれは、主に上流方向に吹いている、後縁部TEの近くの交差流15に起因して、後縁部TEに向かって非対称的に付勢される。媒体間ゾーン22はまた、印刷ヘッド10の上流側からの下流気流など、他の方向に流れる他の気流を誘発し得るが、これらの他の気流は、例示のシナリオにおいて現在インクが吐出されている領域を通過せず、したがって、画像ぶれに寄与しない。本明細書において交差流と称されるのは、インク吐出領域を横切るそれらの気流のみである。
【0020】
図1D図1Fは、そのようなぶれが発生する別の例を示すが、今回は、印刷媒体5bの前縁部LEの近くに発生する。図1C及び図1Dに示されるような前縁部LEの近くのぶれの原因は、前縁部LEの近くに印刷する場合、インク吐出領域が媒体間ゾーン22の上流に現在位置することを除いて、印刷媒体5aの後縁部TEに関連して上述したのと同様である。結果として、ここでは、インク吐出領域を横切る交差流15は、印刷ヘッド10の上流側から、例えば、領域Rから発生し、下流に流れる。したがって、図1Dの丸で囲まれた領域の拡大図を含む、図1Eの拡大図B’に示されるように、前縁部LEの近くに印刷する場合、衛星液滴13は、巻き込まれ、印刷媒体5bの前縁部LEに向かって下流に吹き流される(正のy軸方向)。図1Fに示すように、これは、印刷媒体の前縁部LEに向かって付勢される非対称のぶれをもたらす。
【0021】
対照的に、図1G、及び図1Gの丸で囲まれた領域の拡大図に対応する、図1Hの拡大図C’に示されるように、印刷媒体5の縁部から更に遠くなると、媒体間ゾーン22が遠すぎてあまり気流を誘発しないため、交差流15はほとんど又は全く存在しないことがある。交差流15は、印刷媒体5の縁部から更に遠く離れていると、存在しないか、又は弱いため、この領域の衛星液滴13は、進路から吹き飛ばされる可能性が高くなるようなことはない。したがって、図1H及び図1Iに示されるように、印刷媒体5bの縁部から更に遠くで印刷するとき、衛星液滴は、意図された場所16に非常に近い場所18に着地し、その結果、はるかに少ない画像ぶれをもたらす。衛星液滴の堆積場所18は、衛星液滴13に影響を与える他の要因により、依然として意図された場所16から多少変化し得るが、その逸脱は、前縁部又は後縁部の近くで生じるものより小さい。
【0022】
本明細書に開示される実施形態は、とりわけ、交差流を低減又は排除する気流制御システムを利用することによって、そのような画像ぶれを低減又は排除し得る。交差流が低減又は排除されると、衛星液滴は、それらの意図された堆積場所のより近くに、又はそれらの意図された堆積場所に着地する可能性がより高くなり、したがって、ぶれの量が低減される。様々な実施形態による気流制御システムは、媒体間ゾーンが印刷ヘッドの近く又は下方にあるときに、印刷ヘッドの近くにある媒体輸送デバイスの穴を選択的に遮断することによって、交差流を低減又は排除する。様々な実施形態では、一連の弁が、輸送デバイスのプラテン内の穴を選択的に遮断するように位置付けられる。一連の弁は、閉状態と開状態との間で回転可能である。閉状態では、弁の一部分が、穴のサブセット(例えば、1つ以上の行)の下方でプラテンの底部側に、又はその十分に近くに位置付けられ、したがって、それらの穴を通る気流を遮断する。開状態では、弁は回転されて、穴を通る気流の遮断を解除する。弁は、真空プレナムからプラテンへの気流を可能にするために、プラテンの穴との流体連通状態に入り、弁本体が穴及びプラテンへの気流を遮断するように、穴との流体連通状態から出る、中央通路を有する回転弁であり得る。弁が開状態と閉状態との間で移動されるタイミングは、媒体間ゾーンがプラテン内の穴の上にあるときに弁がそれらの穴を遮断するように、媒体間ゾーンの場所に基づいて制御され得、それによって、媒体間ゾーンの下方にあるプラテン内の穴が空気を吸引して交差流を作り出すことを防止する。弁は、媒体間ゾーンが印刷ヘッドの下方にあるプラテン内の穴を通過したときに開状態に移動され得、その結果、穴は、印刷ヘッドによって印刷される印刷媒体に押さえ力を加えることを再開する。交差流が低減又は排除されると、衛星液滴は、それらの意図された堆積場所のより近くに着地する可能性がより高くなり、したがって、ぶれの量が低減される。
【0023】
図2は、上記のような回転弁を含む気流制御システムの実施形態を利用する印刷システム100印刷システムの構成要素を示すブロック図である。印刷システム100は、インク堆積アセンブリ101、媒体輸送デバイス103、気流制御システム150、及び制御システム130を含む。印刷システム100のこれらの構成要素は、以下で順次より詳細に説明される。
【0024】
インク堆積アセンブリ101は、1つ以上の印刷ヘッドモジュール102を含む。単純化のために、1つの印刷ヘッドモジュール102が図2に示されているが、任意の数の印刷ヘッドモジュール102がインク堆積アセンブリ101に含まれ得る。いくつかの実施形態では、各印刷ヘッドモジュール102は、シアン、マゼンタ、黄色、及び黒などの特定のインク色に対応し得る。各印刷ヘッドモジュール102は、インクを印刷媒体上に吐出して画像を形成するように構成された1つ以上の印刷ヘッド110を含む。図2では、単純化のために、1つの印刷ヘッド110が印刷ヘッドモジュール102に示されているが、印刷ヘッドモジュール102ごとに任意の数の印刷ヘッド110が含まれ得る。以下で更に説明するいくつかの実施形態では、各印刷ヘッドモジュールは、3つの印刷ヘッドを含むことができるが、これは、非限定的であり、例示のみを目的とする。印刷ヘッドモジュール102はまた、当業者によく知られているように、キャリアプレート111、インク供給ライン、インクリザーバ、電気接続など、印刷ヘッド110を支持し、その動作を容易にするための追加の構造及びデバイスを含み得る。
【0025】
図2に示すように、媒体輸送デバイス103は、可動支持面120、真空プレナム125、及び真空源128を含む。可動支持面120は、印刷アセンブリ101の堆積領域を通る印刷媒体を輸送する。真空プレナム125は、可動支持面120の片側(例えば、底部側)に真空吸引を供給し、印刷媒体は、可動支持面120の反対側(例えば、上部側)に支持される。可動支持面120を貫通する空気穴121は、印刷媒体を表面120に押さえ付けるように、表面120を介して真空吸引を伝達する。可動支持面120は、印刷アセンブリ101に対して移動可能であり、したがって、可動支持面120に保持された印刷媒体は、可動支持面120が移動すると、印刷アセンブリ101に対して輸送される。具体的には、可動支持面120は、印刷アセンブリ101の堆積領域を通って印刷媒体を輸送し、堆積領域は、印刷ヘッド110の下方にある領域など、印刷流体(例えば、インク)が印刷媒体上に吐出される領域である。可動支持面120は、印刷アセンブリ101に対して移動するように駆動されることが可能であり、かつ真空吸引が印刷媒体を押さえることを可能にする空気穴121を有する、任意の構造を含むことができる。そのような構造としては、例えば、ベルト、1つ以上の回転可能なドラムなどを挙げることができるが、これらに限定されない。当業者は、印刷媒体を搬送するために印刷システムで使用される様々な可動支持構造に精通している。真空プレナム125は、バッフル、壁、又は真空状態(例えば、低圧状態)が真空源128によって維持される環境を取り囲む又は画定するように配置された任意の他の構造を含み、プレナム125は、可動支持面120が真空プレナム125内の真空状態に露出されるように、真空源128を可動支持面120に流体的に結合する。いくつかの実施形態では、可動支持面120は、真空プレナム125の頂壁であり得る、真空プラテン126によって支持される。そのような実施形態では、可動支持面120は、真空プラテン126を貫通する空気穴127を介してプレナム125内の真空に流体的に結合されている。いくつかの実施形態では、可動支持面120はそれ自体、真空プレナム125の壁のうちの1つであり、したがって、プレナム125内の真空に直接露出される。真空源128は、ファン、ポンプなど、プレナム125から空気を除去してプレナム125内に低圧状態を作り出すように構成された任意のデバイスであり得る。
【0026】
制御システム130は、印刷システム100の動作を制御するための処理回路を含む。処理回路は、本明細書に記載の様々な動作を実行するための論理で構成された1つ以上の電子回路を含み得る。電子回路は、様々な動作を実行するように構成された専用ハードウェアを含むことによって、様々な動作を実行するための回路によって実行可能なソフトウェア命令を含むことによって、又はそれらの任意の組み合わせによって動作を実行するための論理で構成され得る。論理がソフトウェア命令を含む例では、処理回路の電子回路は、ソフトウェアを記憶するメモリデバイスと、例えば、プロセッサ、プロセッサコア、中央処理ユニット(CPU)、コントローラ、マイクロコントローラ、システムオンチップ(SoC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、グラフィックス処理ユニット(GPU)など、命令を実行することができる1つ以上の処理デバイスを含むプロセッサと、を含む。処理回路の論理が専用ハードウェアを含む例では、プロセッサに加えて又はプロセッサの代わりに、専用ハードウェアは、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、複合プログラマブル論理デバイス(CPLD)、離散論理回路、ハードウェアアクセラレータ、ハードウェアエンコーダなど、特定の動作を実行するように構成されている任意の電子デバイスを含み得る。処理回路はまた、専用ハードウェア及びソフトウェア付き汎用プロセッサの任意の組み合わせも含み得る。
【0027】
気流制御システム150は、1つ以上の弁151及び対応するアクチュエータ159を含む。弁151は、可動支持面120とは反対側の真空プラテン126の側(例えば、図の視点ではプラテン126の底部側)で真空プレナム125の内側に配設され、各弁151は、1つ以上の行の穴127など、プラテン穴127の対応するサブセットの下方で交差プロセス方向に延在する。各弁151は、プラテン穴127のサブセットを選択的に遮断するために、開状態と閉状態との間で対応するアクチュエータ159によって独立して作動可能であるように構成されている。例えば、弁151は、気流を遮断する中実本体と、気流を可能にするために本体を貫通する中央開口部とを有する細長いボール弁を含み得る。閉状態では、弁151の本体は、弁が穴127のその対応するサブセット内の各穴127を通る気流を遮断するように、真空プラテン126の底部側と、及び/又はプラテン126に結合されたシール(例えば、以下に記載されるシール354)と係合するように位置付けられる。開状態では、弁151は、穴127のその対応するサブセット内の穴127を遮断することをやめ、空気がプラテン127と真空プレナム125との間の弁151を通って流れることを可能にするように回転される。
【0028】
弁151の各々は、印刷ヘッド110のうちの対応する1つの近くに位置付けられて、印刷ヘッド110の近くに(例えば、そのインク堆積領域内で下方に)ある穴127のサブセットを遮断する。例えば、いくつかの実施形態では、所与の印刷ヘッド110に関連付けられた弁151のグループは、所与の印刷ヘッド110の下方に位置し、かつ印刷ヘッドのそれぞれのインク堆積領域内に位置する穴127の全てを集合的に遮断するように位置付けられる。したがって、いくつかの実施形態では、印刷ヘッド110のうちのいずれかの下方にある穴127の全てが、対応する弁151によって遮断される。いくつかの実施形態では、弁151は、各印刷ヘッド110のすぐ上流に又はすぐ下流にある穴127など、印刷ヘッド110に隣接しているが、その下方にはない穴127を遮断するために提供される。いくつかの実施形態では、弁151は、印刷ヘッド110の下方にある穴127及び印刷ヘッド110に隣接する穴127の両方を集合的に遮断するように配置される。いくつかの実施形態では、各印刷ヘッドモジュール102は、それに関連付けられたいくつかの弁151を有し得、所与の印刷ヘッドモジュール102に関連付けられた弁151は、その所与の印刷ヘッドモジュール102の下方に位置する穴127の各行を集合的に遮断するように配置され得る。いくつかの実施形態では、所与の弁151によって遮断される穴127のサブセットは、2つ以上の行の穴127を含み得る。他の実施形態では、各弁151は、穴127の個々の列を遮断し得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の弁151が、プラテン126の幅を横切って延在して、1つ又は複数の行の穴127全体を遮断し得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の弁151が、プラテン126の全幅より小さく延在し、1つ又は複数の行の穴127の一部のみを遮断し得る。本開示の範囲内としては、1つ又は複数の行の穴に対する専用の弁が、各1つ又は複数の行内のいくつかの穴の選択的な遮断及び遮断解除を可能にするようにのみ構成され得ることも企図され、当業者であれば、所望の気流及び吸引力に基づいて選択が行われ得ることを理解するであろう。
【0029】
アクチュエータ159は、電気モータ、油圧式又は空圧式回転アクチュエータなど、弁151の作動を駆動するように構成されたデバイスである。以下に説明される様々な実施形態では、アクチュエータ159は、交差プロセス方向(x軸)に延在する弁の長手方向軸などの回転軸を中心に弁を回転させることによって弁を作動させるように構成され得る。アクチュエータ159は、電気原動力、油圧原動力、空圧原動力、又は任意の他の所望の原動力を利用し得る。
【0030】
気流制御システム150は、媒体間ゾーン122の場所に基づいて、又は言い換えれば、印刷媒体105の前縁部LE及び後縁部TEの場所に基づいて、穴127のサブセットを選択的に遮断するように構成されている。この文脈における「選択的に」とは、印刷システム100の印刷動作中に、弁151に関連する穴127のサブセットが遮断される閉状態と、遮断解除される開状態との間で弁151を独立して移動させる、気流制御システム150の能力を指す。更に、媒体間ゾーンの場所に基づいて穴を選択的に遮断することは、媒体間ゾーン122の特定の位置に対応するタイミングで弁151を独立して作動させる気流制御システム150によって行うことができ、例えば、媒体間ゾーン122の特定の位置は、弁151を閉鎖及び開放するためのトリガとして使用される。以下で更に説明するように、媒体間ゾーンが位置する場所の決定は、印刷媒体の位置を検出することに基づいて行われ得る。弁151の作動をトリガするために使用される位置は、コントローラ131にプログラムされ、動作中に静的なままである所定のパラメータであり得るか、又はこれらの位置は、ランタイム中に自動的に変化/更新され得る動的パラメータであり得る。コントローラ131は、制御システム130に関して上述したような、1つ以上の電子回路を含み、気流制御システム150の一部、全体制御システム130の一部、又はその両方と見なされ得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、各弁151は、媒体間ゾーン122が、弁151に関連付けられた対応する印刷ヘッド110又は印刷ヘッドモジュール102の近く又は下方に位置するときに、閉状態に移動される。より具体的には、いくつかの実施形態では、各弁151は、媒体間ゾーン122の下流縁部(印刷媒体105の後縁部TEに対応する)が、弁151に関連付けられた上流位置にあるとき、閉状態にある。逆に、各弁151は、媒体間ゾーン122の上流縁部(印刷媒体105の前縁部LEに対応する)が、弁151に関連付けられた下流位置に到達するとき、開状態にある。いくつかの実施形態では、所与の弁151に関連付けられた上流位置は、弁151の上流縁部であり、弁151に関連付けられた下流位置は、弁151の下流縁部である。いくつかの実施形態では、所与の弁151に関連付けられた上流位置は、弁151によって遮断された穴127のサブセットの上流境界であり、弁151に関連付けられた下流位置は、弁151によって遮断された穴127のサブセットの下流境界である。いくつかの実施形態では、所与の弁151に関連付けられた上流位置は、弁151の上流側の任意の所定の位置であり、一方、所与の弁151に関連付けられた下流位置は、弁151の下流側の任意の所定の位置である。いくつかの実施形態では、弁151に対する媒体間ゾーン122の場所に基づいて弁151を閉鎖及び開放するのではなく、弁151は、印刷ヘッド110、印刷ヘッドモジュール102などのいくつかの他の物体又は場所に対する媒体間ゾーン122の場所に基づいて閉鎖及び開放され得る。
【0032】
したがって、いくつかの実施形態では、所与の弁151は、媒体間ゾーン122(の少なくとも一部)が所与の弁151の上に位置するときは常に閉鎖され、媒体間ゾーン122が所与の弁151を越えて移動したときに開放される。更に、いくつかの実施形態では、弁151のグループが印刷ヘッドモジュール102の下方にある領域全体にわたって位置付けられて、媒体間ゾーン122が印刷ヘッドモジュール102の下方を移動するときに印刷ヘッド110の下方に位置する媒体間ゾーン122の任意の部分を通る気流を集合的に遮断する。一実施形態による弁151の配置及び作動は、図5A図5Fに関連して以下でより詳細に考察される。
【0033】
穴127を遮断することに関連する問題は、そのことが、印刷媒体に加えられる押さえ力と干渉する可能性があることである。例えば、印刷ヘッド110の近くにある穴127が永久かつ完全に遮断又は排除されると、これにより、印刷ヘッド110付近の全ての押さえ力が永久に低減又は排除されることになり、状況によっては、印刷媒体の前縁が可動支持面120から浮くという結果をもたらし、印刷システムの詰まり及び/又は印刷媒体の画像の印刷精度の低下を引き起こす可能性がある。対照的に、上述のアプローチでは、弁151は、媒体間ゾーン122が弁151/印刷ヘッド110を越えて移動することに概ね対応する期間にのみ閉鎖され、その後、弁151は開放される。このようにして、押さえ力は、印刷プロセスのほとんどにわたって干渉なしで適用され得る。更に、弁151が閉鎖されている間であっても、それらの押さえ力との干渉は十分に小さく、印刷媒体105が可動支持面120から浮くリスクは排除されるか、又は許容できるほど小さい。特に、弁151が閉鎖されている期間のほとんどについて、弁151によって遮断されている穴127は、いずれの印刷媒体によっても覆われてなく(すなわち、媒体間ゾーン122が弁151の上にある)、したがって、弁151は、印刷媒体の押さえ付けと干渉しない。弁151は、例えば、媒体間ゾーン122の縁部の近くで、印刷媒体によって短時間覆われたいくつかの穴127を遮断し得るが、弁151は媒体間ゾーンの位置に基づいて閉鎖及び開放されるため、一般に、印刷媒体によって覆われた穴127のうちの比較的少数のみが、任意の所与の時間に弁151によって遮断される。したがって、任意の所与の時間に押さえ付け吸引を活発に受けていない印刷媒体の部分は、比較的小さいままに保たれる。したがって、弁151を閉鎖することは、弁付近の印刷媒体への押さえ力を減少させるが、この押さえ力の減少は、時間及び空間において十分に限定的であり、印刷媒体105は、依然として、可動支持面120に対して浮くこと及び/又は滑ることを防ぐのに十分な力で可動支持面120に押さえ付けられる。更に、以下で更に説明するように、弁151に起因する押さえ力の減少は、所望により、遮断されていない領域を提供すること並びに/又は弁151の幅及び数を調整することによって更に調整することができる。
【0034】
制御システム130の一部であり得るコントローラが、弁151を閉鎖する及び開放するときを決定するように構成されている。コントローラはまた、アクチュエータ159に、決定されたタイミングで弁151を移動させるように、アクチュエータ159を制御するための信号を生成する。コントローラは、本明細書に記載のオプションを実行するための論理で構成された1つ以上の電子回路を含む。いくつかの実施形態では、コントローラの電子回路は、上述の制御システム130の処理回路の一部であり、そのため、コントローラは、図2において別個に示されていない。
【0035】
場所追跡システム132は、印刷媒体がインク堆積アセンブリを通って輸送されるときに、媒体間ゾーン122及び/又は印刷媒体の場所を追跡するために使用され得る。本明細書で使用されるとき、媒体間ゾーン122又は印刷媒体の場所を追跡することは、印刷媒体がインク堆積アセンブリ101を通って輸送されるときに、印刷媒体が様々な時点でどこに位置しているかの知識を、直接であるか、推論であるかにかかわらず、有するシステムを指す。媒体間ゾーン122又は印刷媒体の場所の直接の知識は、例えばセンサ(例えば、縁部検出センサ)を介して、印刷媒体を直接観察することによって得られた情報を含み得る。媒体間ゾーン122又は印刷媒体の場所の推論された知識は、他の既知の情報からの推論によって、例えば、可動支持面120の既知の速度に基づいて印刷媒体が前の既知の場所からどれだけ移動しているかを計算することによって、取得され得る。いくつかの実施形態では、場所追跡システム132は、媒体間ゾーン122、印刷媒体の前縁部LE、及び/又は印刷媒体の後縁部TEの場所を明示的に追跡し得る。他の実施形態では、場所追跡システムは、印刷媒体のいくつかの他の部分の場所を明示的に追跡し得る。媒体間ゾーン122の場所は、印刷媒体の場所に、及び印刷媒体の寸法(一般に、制御システム130によって事前に知られている)に決定論的に依存するため、当業者は、印刷媒体の任意の部分の場所を追跡することが、媒体間ゾーン122の場所を追跡することと機能的に同等であることを理解するであろう。場所追跡システム132は、図2に示されるように、制御システム130の一部であり得、又は所望される構成要素であり得る。
【0036】
従来の印刷システムは、印刷媒体の場所の知識が印刷媒体上の正確な画像形成を確実にするのに役立ち得るので、印刷媒体がインク堆積アセンブリを通って輸送されるときに印刷媒体の場所を追跡するように、すでに構成されている。したがって、印刷媒体の場所を追跡するための様々なシステムが当業者にとって周知であり、本明細書で詳細に説明することはしない。任意の既知の場所追跡システム(又は任意の新しい場所追跡システム)が、本明細書に開示される実施形態で印刷媒体の場所を追跡するために使用され得、コントローラがこの情報を使用して、前縁部LE及び/又は後縁部TEの場所を決定し得る(既知ではない場合)。
【0037】
図3図6Bは、図2を参照して上述した印刷システム100として使用され得る、印刷システム300の別の実施形態を示す。図3は、側面から見た印刷システム300の一部分を示す概略図を含む。図4は、印刷システム300の一部分を上から見た平面図を含む。図4では、他の構成要素の下に位置付けられているため視認することができないいくつかの構成要素は、破線又は点線で示されている。図5A図5Kは、図4の線D-Dに沿って取られた部分を有する印刷システム300の断面を含み、図5A図5Kの各々は、印刷媒体305a及び305bが印刷ヘッドモジュール302のうちの1つを越えて輸送されるときの一連の状態を示す。図6A図6Bは、図4の線E-Eに沿って取られた部分を有する印刷システム300の断面を含み、図6Aは、閉状態の弁351を示し、図6Bは、開状態の弁351を示す。
【0038】
図3に示すように、印刷システム300は、インク堆積アセンブリ301、媒体輸送デバイス303、及び気流制御システム350を損ない(compromises)、これらは、インク堆積アセンブリ101、媒体輸送デバイス103、及び気流制御システム150としてそれぞれ使用することができる。印刷システム300はまた、制御システム(例えば、制御システム130)など、図3図6Bに示されていない追加の構成要素も含み得る。
【0039】
印刷システム300では、インク堆積アセンブリ301は、図3に示すように4つの印刷ヘッドモジュール302を含み、各モジュール302は、図4に示すように3つの印刷ヘッド310を有する。図3及び図4に示されるように、印刷ヘッドモデル302は、印刷媒体305が印刷ヘッドモジュール302の各々の下方で順次輸送されるように、媒体輸送デバイス303の上でプロセス方向Pに沿って直列に配置されている。印刷ヘッド310は、対応するキャリアプレート311のそれぞれ対応する開口部319を介して印刷流体(例えば、インク)を吐出するように配置され(図4に示されている)、印刷ヘッド310の底端部は、開口部319内に途中まで延在する。この実施形態では、印刷ヘッド310は、印刷ヘッド310のうちの1つが同じ印刷ヘッドモジュール302の他の2つの印刷ヘッド310よりも更に上流又は下流にあるオフセットパターンで配置されている。他の実施形態では、異なる数及び/又は配置の印刷ヘッド310及び/又は印刷ヘッドモジュール302が使用される。
【0040】
印刷システム300では、媒体輸送デバイス303は、可動支持面320を提供する可撓性ベルトを含む。図3に示されるように、可動支持面320は、ローラ329(当業者であれば理解されるように、図3における数及び配置は非制限的である)によって駆動されて、ループ状経路に沿って移動し、経路の一部分は、インク堆積アセンブリ301のインク堆積領域323を通過する。更に、この実施形態では、真空プレナム325は、プレナム325の頂壁を形成し、可動支持面320を支持する、真空プラテン326を含む。プラテン326は、プレナム325の内部と可動支持面320の下側との間の流体連通を可能にする、プラテン穴327を含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、プラテン穴327は、図3の拡大された切り取り部分3Aに見られるように、その上部側にチャネルを含み得、これは、その上部側にある穴327の開口部の面積を増加させ得る。具体的には、プラテン穴327は、プラテン326の底部側に開口する底部部分327aと、プラテン326の上部側に開口する上部部分327bとを含み得、頂部327bは、底部部分327aとは異なる方法でサイズが決定され、及び/又は成形されている。例えば、図3図5Fは、上部部分327bがプロセス方向に細長いチャネルであるが、底部部分327aは、それほど細長くなく、かつより小さい断面積を有する通り穴である(図3の拡大D及び図4の破線を参照)、プラテン穴327の実施形態を示す。いくつかの実施形態では、複数の穴327は、同じ上部部分327bを共有し得、言い換えれば、複数の底部部分327aは、同じ上部部分327bに結合され得る。本明細書における弁351が穴327を遮断することへの言及は、穴327の少なくとも底部部分327aを遮断することを指す。
【0042】
穴327は、プロセス方向Pに延在する列及び交差プロセス方向(図3及び図4に示されるx方向)に延在する行に配置され、各列は、プロセス方向Pにおいて互いに整列されている穴327のグループを含み、各行は、交差プロセス方向において互いに整列された1つ以上の穴327のグループを含む。いくつかの実施形態では、列及び行は構造格子に配置されるが、他の実施形態では、列及び行は、構造格子を形成しない他のパターンに配置される。例えば、図4の実施形態など、いくつかの実施形態では、2つの隣接する列の穴327(上部部分327b、底部部分327a、又は両方)は、プロセス方向Pにおいて互いにオフセットされ又は互い違いにされ得、言い換えれば、1つの列の穴327は、隣接する列内のいずれの穴327とも交差プロセス方向において整列されないことがある。同様に、いくつかの実施形態では、2つの隣接する行の穴327(上部部分327b、底部部分327a、又は両方)は、交差プロセス方向において互いにオフセットされ又は互い違いにされ得、言い換えれば、1つの行の穴327は、すぐ隣の行内のいずれの穴327ともプロセス方向において完全に整列されないことがある。いくつかの実施形態では、各個々の列の穴327(上部部分327b、底部部分327a、又は両方)は、プロセス方向において均一な間隔で配置されるが、他の実施形態では、1つ以上の列内の穴327のうちのいくつか又は全てが、不均一な間隔を有し得る。いくつかの実施形態では、各個々の行の穴327(上部部分327b、底部部分327a、又は両方)は、交差プロセス方向において均一な間隔で配置されるが、他の実施形態では、1つ以上の行内の穴327のうちのいくつか又は全てが、不均一な間隔を有し得る。いくつかの実施形態では、各列は他の列と同じ数の穴327を有し、及び/又は各行は他の行と同じ数の穴327を有するが、いくつかの実施形態では、列及び/又は行のうちのいくつか又は全てが、異なる数の穴327を有する。穴327が、異なる形状/サイズの底部部分327an及び上部部分327bを有する実施形態では、本明細書における穴327が整列されていることへの言及は、穴の底部部分327aが、整列された327であることを指す。
【0043】
可動支持面320の穴321は、各穴321が、対応するプラテン穴327の集合体とプロセス方向P(y軸方向)に整列されるように配置されている。言い換えれば、印刷システム300では、各穴321は、プラテン穴327の列のうちの1つと整列されている。したがって、可動支持面320がプラテン326を横切って摺動すると、可動支持面320の各穴321は、対応するプラテン穴327の上方を周期的に移動することになり、その結果、可動支持面穴321及びプラテン穴327は、一時的に垂直方向に整列される(すなわち、z軸方向に整列される)。可動支持面320の穴321が、対応するプラテン穴327の上方を移動するとき、穴321及び327は、可動支持面320より上の環境を真空プレナム325内の低圧状態に流体的に結合する開口部を画定し、したがって穴321及び327を介する真空吸引を生成する。この吸引は、印刷媒体305が穴321の上に配設されていると、印刷媒体305に真空押さえ力を発生させる。
【0044】
図3図6Bに示すように、気流制御システム350は、弁351と、弁351を移動させるための対応するアクチュエータ359とを含む。図3図6Bの弁351及びアクチュエータ359は、図2に関連して上述した弁151及びアクチュエータ159として使用され得る。図を簡略化するために、1つの弁351及び1つのアクチュエータ359が図3に示され、図4図5Kは、印刷ヘッドモジュール302ごとに5つの弁351を示しているが、実際には、印刷ヘッド310ごと及び/又は印刷ヘッドモジュール302ごとに任意の数の弁351及びアクチュエータ359が提供され得る。いくつかの実施形態では、弁351は、印刷ヘッド310の下方に位置する穴327を集合的に遮断するために提供される。例えば、いくつかの実施形態では、弁351は、少なくとも、印刷ヘッド310のうちのいずれかの下方に位置する全ての穴327を集合的に遮断するために提供される。いくつかの実施形態では、弁351は、各印刷ヘッド310のすぐ上流に又はすぐ下流にある穴327など、印刷ヘッド310に隣接しているが、その下方にはない穴327を遮断するために提供される。いくつかの実施形態では、各印刷ヘッド310に対して、印刷ヘッド310の下方に位置する穴327を集合的に遮断するために、及びまた印刷ヘッド310に隣接する(例えば、すぐ上流又はすぐ下流の)穴を遮断するために、弁351が提供される。いくつかの実施形態では、弁351は、印刷ヘッドモジュール302の任意のキャリアプレート311の下方に位置する穴327の全てを集合的に遮断するために提供される。
【0045】
図3及び図6Aに示すように、印刷システム300では、弁351は、プラテン326の底面に対して配設され、プラテン326を横切って交差プロセス(x軸)方向に延在する。この実施形態では、弁351は細長いボール弁として構成され、長手方向軸はx方向に延在する。例えば、弁351は、閉状態において気流を遮断する概ね円筒形の本体352を有し、開状態において気流を可能にするために、円筒形本体を通って直径方向に延在する1つ以上の通路353が存在する。図示の実施形態では、単一の通路353は、円筒形本体を通って直径方向に延在し、本体のほぼ全長に及ぶ(図6A図6Bを参照)。
【0046】
図7A及び図7Bに示されるような他の実施形態では、弁751は、複数の通路753を含み得る。通路753は、プラテン726内の穴727の各列に対して1つの通路753、又は複数の列のグループごとに1つの通路753など、円筒形本体752を通って直径方向に延在し、互いに離間され、弁751の長さに沿って分散されることができる。図7Aは、閉状態でのそのような弁751を示し、図7Bは、開状態での弁751を示す。この実施形態では、印刷システム及び気流制御システムの他の態様は、他の記載された実施形態のうちのいずれかと同様であり得、したがって、他の構成要素の詳細な説明は省略されている。
【0047】
図5A図6Bの実施形態に戻ると、各弁351はまた、閉状態の弁351の本体352と相互作用して気流を遮断する一対のシール354も含み得る。シール354は、プラテン326を横切って交差プロセス方向に延在し得、弁に関連付けられた穴327のサブセットを含む1つ又は複数の行の両側でプラテン326に対して固定され得る。
【0048】
プロセス方向Pにおける弁351の幅は、各個々の弁351によって穴327の行がいくつ遮断/遮断解除されるかを決定する。各弁351は、少なくとも1行の穴327からの穴327を遮断するのに十分な距離だけプロセス方向に延在する。図5A図5Jでは、各弁351は、3つの行の穴327を遮断する。例えば、図5Aに示される第1の弁351_1は、3つの行の穴327、すなわち、図5Aに示される穴327_1、327_11、及び327_12に対応する行に関連付けられ、したがって、第1の弁351_1のシール354は、これら3つの行の穴327の両側に配置されている。図5A図5Jでは、穴327_11、及び327_12など、穴327のうちのいくつかは、断面線からオフセットされている列に位置するため、図の視野から遮られるであろう。他の実施形態では、各弁351は、例えば、弁351あたり1つの行の穴、弁351あたり2つの行の穴、又は弁351あたり任意の他の数の行の穴を含む、より少ない又はより多くの行の穴を遮断するために、プロセス方向においてより狭い又はより広いことがあり得る。更に、図4図5Jは、弁351が、それぞれ同じ数の行をブロックするように、プロセス方向に同様の幅を有することを示しているが、いくつかの実施形態では、これらの弁のうちの1つ以上は、他の弁とは異なる幅を有し得、異なる数の行を遮断し得る。プロセス方向においてより狭い弁351をより多く提供することは、どの行の穴327が遮断されるかをより細かい粒度で制御することを可能にし得、これは、印刷媒体305の押さえ付けを維持する能力に対する弁351の影響を低減し得る。一方、より広い弁351をより少なく提供することは、より単純な制御を可能にし、より少ないアクチュエータ359を可能にし得、これは、システムのコスト、サイズ、及び/又は複雑さを低減し得る。
【0049】
アクチュエータ359は、図6A図6Bを参照して以下でより詳細に説明されるように、閉状態と開状態との間の弁351の移動を駆動する。上述のように、気流制御システム350は、媒体間ゾーン322の位置に基づいたタイミングで弁351を閉鎖及び開放するように構成されている。具体的には、印刷システム300aでは、所与の弁351は、媒体間ゾーン322が、弁351に関連付けられた上流位置に到達すると、すなわち、印刷媒体305の後縁部TEが上流位置に達すると、閉鎖される。弁351は、媒体間ゾーン322が、弁351に関連付けられた下流位置を通過すると、すなわち、印刷媒体305の前縁部LEが下流位置に達すると、開放される。言い換えれば、いくつかの実施形態では、各弁351は、媒体間ゾーン322が弁351に近づくと閉鎖され、媒体間ゾーン322が弁351を越えて移動するまで閉鎖されたままである。したがって、媒体間ゾーン322が印刷ヘッド310を越えて移動するとき、弁351は、媒体間ゾーン322の移動に呼応して閉鎖及び開放されて、印刷ヘッド310の近くにある覆われていない穴327の全てを集合的に遮断する。したがって、弁351は、媒体間ゾーン322が交差流を誘発することを防止する。媒体間ゾーンが通過した後の弁351の開放は、その弁351に関連付けられている現在遮断されていない穴327が、印刷媒体305を押さえ付けるというそれらの意図された役割を再開することを可能にする。
【0050】
印刷システム300内の弁351を閉鎖及び開放するためのタイミングは、図5A図5Jを参照して以下でより詳細に説明され、これらの図は、弁351の閉鎖又は開放がトリガされるときの媒体間ゾーン322の様々な位置を示す。各弁351は、それに関連付けられた第1のトリガ場所及び第2のトリガ場所を有し、弁351は、媒体間ゾーン322が第1のトリガ場所に関連付けられた位置に達すると閉鎖され、媒体間ゾーン322が、第1のトリガ場所の下流にある、第2のトリガ場所に関連付けられた位置に達すると開放される。図5A図5Kは一実施形態のトリガ場所を示しているが、他の実施形態では、異なるトリガ場所が使用される。第1及び第2のトリガ場所は、任意の所定の場所であり得る。
【0051】
実際には、弁351が完全に閉鎖又は開放されるのに有限の時間を要し、この時間中、弁351の閉鎖又は開放の動作が進行しながら、媒体間ゾーン322は移動し続けることに留意されたい。したがって、いくつかの実施形態では、媒体間ゾーン322が所望のトリガ場所(「公称トリガ場所」)に達したときに、弁351が完全に閉鎖されていることを確実にするために、アクチュエータ359は、媒体間ゾーン322が実際に公称トリガ場所に達する少し前に、弁351の閉鎖を開始する必要があり得る。言い換えれば、閉鎖又は開放をトリガするために使用される実際のトリガ場所は、弁351が閉鎖又は開放されるのに要する有限の時間を考慮するために、公称トリガ場所からいくらかの固定量でオフセットされ得る。このオフセットを決定するために、可動支持面320の既知の速度及び弁351の既知の作動時間が使用され得る。説明を簡素化するために、公称トリガ場所のみが以下で論じられる。
【0052】
図5A図5Jの実施形態では、各弁351のトリガ場所は、それぞれの弁351によって遮断される穴327のサブセットの上流及び下流境界に対応する。この実施形態では、穴327は、細長い上部部分327bを有し、穴327の上流/下流縁部は、弁351の上流/下流縁部と整列していない。したがって、この実施形態における各弁351に関連付けられたトリガ場所は、弁351の縁部に対して上流又は下流に少しオフセットされている。他の実施形態(図示せず)では、トリガ場所は、弁351の上流及び下流縁部に対応する。
【0053】
図5Aは、第1の位置にある媒体間ゾーン322を示す。第1の位置は、第1の弁351_1に関連付けられた第1のトリガ場所に達している媒体間ゾーン322の下流縁部(すなわち、印刷媒体305aの後縁部TE)に対応する。具体的には、媒体間ゾーン322は、印刷媒体305aの後縁部TEが、第1の弁351_1によって遮断される穴327のサブセットの上流境界にある(又はそれと垂直方向に整列されている)とき、又は言い換えれば、図5Aにおいて327_1とラベル付けされている、サブセット内の最も上流の穴327のチャネル327bの上流縁部にあるとき、第1のトリガ場所に達する。したがって、媒体間ゾーン322が第1のトリガ場所に達するタイミングで(又はその少し前に)、コントローラは、アクチュエータ359のうちの1つに、第1の弁351_1を閉状態に移動させる。したがって、その後、印刷媒体305aが下流に移動し、穴327_1を覆わなくなったとき、弁351_1は、すでに閉鎖され、穴327_1を通る気流を遮断する準備ができているので、覆われなくなった穴327_1が交差流35を誘発するのを防止する。図5Aに示す状態では、同じ印刷ヘッドモジュール302に関連付けられた他の弁351は、それらの弁351に関連付けられたトリガ場所に媒体間ゾーン322がまだ到達していないため、閉鎖されていない。
【0054】
図5Bは、第2の位置にある媒体間ゾーン322を示す。第2の位置は、第2の弁351_2に関連付けられた第1のトリガ場所に達している媒体間ゾーン322の下流縁部(すなわち、印刷媒体305aの後縁部TE)に対応する。具体的には、媒体間ゾーン322は、印刷媒体305aの後縁部TEが、第2の弁351_2によって遮断される穴327のサブセットの上流境界に、すなわち、穴327_2の上流縁部にあるとき、このトリガ場所に達する。したがって、媒体間ゾーン322が第2の位置に達するタイミングで(又はその少し前に)、コントローラは、アクチュエータ359のうちの1つに、第2の弁351_2を閉状態に移動させる。第1の弁351_1は、媒体間ゾーン322がまだ第1の弁351_1を完全には通過していないため、この状態において閉鎖されたままであり、したがって、第1及び第2の弁351_1及び351_2の両方が、この状態において閉鎖されている。図5Bに示す状態では、印刷ヘッド310の近く/下方にある媒体間ゾーン322の全ての部分が、弁351_1及び351_2によって遮断されており、したがって、そうでなければ誘発され得る交差流35が防止される。より具体的には、弁351は、領域Rがプラテン326より下の真空状態に曝されるのを防止しており、したがって、領域R及び領域Rは、ほぼ同じ圧力に留まる。領域R及びRはほぼ同じ圧力であるため、領域RとRとの間に誘発される気流はほとんど又は全く存在せず、したがって、交差流35はほとんど又は全く存在しない。媒体間ゾーン322の上流部分は、この状態において遮断されていないが、媒体間ゾーン322の遮断されていない部分が印刷ヘッド310のインク吐出領域312から比較的離れているため、インク吐出領域312を通る有意な交差流35を誘発しないことに留意されたい。
【0055】
図5Cは、第3の位置にある媒体間ゾーン322を示す。第3の位置は、第3の弁351_3に関連付けられた第1のトリガ場所に達している媒体間ゾーン322の下流縁部(すなわち、印刷媒体105aの後縁部TE)に対応する。具体的には、媒体間ゾーン322は、印刷媒体305aの後縁部TEが、第3の弁351_3によって遮断される穴327のサブセットの上流境界に、すなわち、穴327_3の上流縁部にあるとき、このトリガ場所に達する。したがって、媒体間ゾーン322が第3の位置に達するタイミングで(又はその少し前に)、コントローラは、アクチュエータ359のうちの1つに、第3の弁351_3を閉状態に移動させる。第1及び第2の弁351_1、351_2は、媒体間ゾーン322がまだそれらを完全には通過していないため、この状態において閉鎖されたままである。図5Cに示す状態では、印刷ヘッド310の近く/下方にある媒体間ゾーン322の部分が、弁351によって遮断されており、したがって、そうでなければ誘発され得る交差流35が防止される。
【0056】
図5Dは、第4の位置にある媒体間ゾーン322を示す。第4の位置は、第1の弁351_1に関連付けられた第2のトリガ場所に達している媒体間ゾーン322の上流縁部(すなわち、印刷媒体305bの前縁部LE)に対応する。第4の位置では、媒体間ゾーンは、第1の弁351_1を完全に通過した状態である。具体的には、媒体間ゾーン322は、次の印刷媒体305bの前縁部LEが、第1の弁351_1によって遮断される穴327のサブセットの下流境界に、すなわち、穴327_4の下流縁部にあるとき、このトリガ場所に達する。したがって、媒体間ゾーン322が第4の位置に達するタイミングで(又はその少し前に)、コントローラは、アクチュエータ359のうちの1つに、第1の弁351_1を開状態に戻させる。第2及び第3の弁351_2、351_3は、媒体間ゾーン322がまだそれらを完全には通過していないため、この状態において閉鎖されたままである。第1の弁351_1の開放は、その近傍の穴327が、印刷媒体305bに押さえ力を加えるというそれらの意図された役割における機能を再開することを可能にする。
【0057】
図5Eは、第5の位置にある媒体間ゾーン322を示す。第5の位置は、第4の弁351_4に関連付けられた第1のトリガ場所に達している媒体間ゾーン322の下流縁部(すなわち、印刷媒体305aの後縁部TE)に対応する。具体的には、媒体間ゾーン322は、印刷媒体305aの後縁部TEが、第4の弁351_4によって遮断される穴327のサブセットの上流境界に、すなわち、穴327_5の上流縁部にあるとき、このトリガ場所に達する。したがって、媒体間ゾーン322が第5の位置に達するタイミングで(又はその少し前に)、コントローラは、アクチュエータ359のうちの1つに、第4の弁351_4を閉状態に移動させる。第2及び第3の弁351_2、351_3は、媒体間ゾーン322がまだそれらを完全には通過していないため、この状態において閉鎖されたままである。
【0058】
図5Fは、第6の位置にある媒体間ゾーン322を示す。第6の位置は、第2の弁351_2に関連付けられた第2のトリガ場所に達している媒体間ゾーン122の上流縁部(すなわち、印刷媒体305bの前縁部LE)に対応する。言い換えれば、第6の位置では、媒体間ゾーン322は、第2の弁351_2を完全に通過した状態である。具体的には、媒体間ゾーン322は、次の印刷媒体305bの前縁部LEが、第2の弁351_2によって遮断される穴327のサブセットの下流境界に、すなわち、穴327_6の下流縁部にあるとき、このトリガ場所に達する。したがって、媒体間ゾーン322が第6の位置に達するタイミングで(又はその少し前に)、コントローラは、アクチュエータ359のうちの1つに、第2の弁351_2を開状態に戻させる。第3及び第4の弁351_3、351_4は、媒体間ゾーン322がまだそれらを完全には通過していないため、この状態において閉鎖されたままである。
【0059】
図5Gは、第7の位置にある媒体間ゾーン322を示す。第7の位置は、第5の弁351_5に関連付けられた第1のトリガ場所に達している媒体間ゾーン322の下流縁部(すなわち、印刷媒体305aの後縁部TE)に対応する。具体的には、媒体間ゾーン322は、印刷媒体305aの後縁部TEが、第5の弁351_5によって遮断される穴327のサブセットの上流境界に、すなわち、穴327_7の上流縁部にあるとき、このトリガ場所に達する。したがって、媒体間ゾーン322が第7のトリガ場所に達するタイミングで(又はその少し前に)、コントローラは、アクチュエータ359のうちの1つに、第5の弁351_5を閉状態に移動させる。第3及び第4の弁351_3、351_4は、媒体間ゾーン322がまだそれらを完全には通過していないため、この状態において閉鎖されたままである。
【0060】
図5H図5Jは、それぞれ、第3の弁351_3、第4の弁351_4、及び第5の弁351_5にそれぞれ関連付けられた第2のトリガ場所に達している媒体間ゾーン122の上流縁部(すなわち、印刷媒体305bの前縁部LE)に各々対応する、第8~第10の位置にある媒体間ゾーン322を示す。具体的には、第8~第10の位置は、それぞれ、第3の弁351_3、第4の弁351_4、及び第5の弁351_5の下流境界にある印刷媒体305bの前縁部LE、すなわち、穴327_8、327_9、及び327_10の下流縁部に対応する。したがって、媒体間ゾーン322が第8の位置に達すると、第3の弁351_3が開放され(図5H)、媒体間ゾーン322が第9の位置に達すると、第4の弁351_4が開放され(図5J)、媒体間ゾーン322が第10の位置に達すると、第5の弁351_5が開放される(図5K)。
【0061】
図6A図6Bは、閉状態と開状態との間の弁351の移動を示す、図4のEに沿って取られた断面を示す。明確さを改善するために、弁351のうちの1つのみが図6A図6Bに示されている。図6Aは、弁351_1が閉状態にある、図5Aに示される状態に対応する。図6Bは、弁351_1が開状態に移動している、図5Fに示される状態に対応する。
【0062】
図6Aに示すように、弁351が閉状態にあるとき、弁351の本体352は、プラテン326の底部と、及び/又は弁351に関連付けられた穴327のサブセットの両側で交差プロセス方向に延在するシール354と係合する。したがって、閉状態では、本体352、シール354、及び/又はプラテン326は一緒になって、穴327のサブセットの底部開口部を通る気流を遮断する。この文脈において、プラテン326及び/又はシール354の底部と係合する本体352は、プラテン326及び/若しくはシール354と接触するか、又はプラテン326及び/若しくはシール354に十分に近接して、穴327のサブセットを通る気流を遮断する本体352を指す。この文脈において、穴327を「遮断する」とは、弁351の本体352を、穴327を通る気流を防止するように位置付けることを指す。この文脈において、穴327を「遮断する」とは、弁351の本体352を、穴327を通る気流を防止するように位置付けることを指す。この文脈において、空気が穴327を通って流れることを「防止する」ことは、穴327を通る気流が、完全に開いた状態と比較して、著しく低減されるように、穴327に比較的高いインピーダンス状態を作り出すことを意味する(例えば、インピーダンスが少なくとも10倍増加する、及び/又は気流が少なくとも90%減少する)。したがって、穴327を遮断し、気流を防止することは、必ずしも気密シール、すなわち、全ての気流の厳密な排除を必要としない。
【0063】
図6Bに示されるように、弁351が開状態にあるとき、弁351は、開口部353が穴327のサブセットに面するように回転されており、その結果、開口部353は、穴327をプレナム325内の真空状態に流体的に結合させる通路を形成する。したがって、開状態では、弁351は、穴327のサブセットを遮断することをやめ、空気が穴327を通って流れることを可能にする。
【0064】
図6A及び図6Bに示されるように、アクチュエータ359は、対応する弁351の本体352に回転を付与し、それによって弁351に、図6Aに示す閉状態と図6Bに示す開状態との間を移動させる。図6A図6Bに示される実施形態では、アクチュエータ359は、回転アクチュエータを含み、回転アクチュエータの駆動出力357は、アクチュエータ359が駆動して回転軸360を中心に回転させるロータを含む。回転軸360は、弁351の長手方向軸と整列している。アクチュエータ359のロータは、弁351に結合されており、したがって、ロータの回転は、弁351の回転を駆動する。
【0065】
図6A図6Bに示される実施形態では、アクチュエータ359の駆動出力357は、弁351に直接結合されているが、いくつかの実施形態(図示せず)では、アクチュエータ359の駆動出力357は、ギア機構、チェーンドライブなど、リンケージ又は他の機構を使用して間接的に弁351に結合されている。図6A図6Bに示される実施形態では、アクチュエータ359は回転アクチュエータであるが、他の実施形態では、アクチュエータ359は、ソレノイド、油圧式アクチュエータ、空圧式アクチュエータなど、直線アクチュエータであり得る。アクチュエータ359が直線アクチュエータである実施形態では、アクチュエータ359の駆動出力(例えば、ピストン)は、駆動出力の直線運動を弁351の回転に変換するための直線回転運動変換機構を含むリンケージを介して弁に結合され得る。
【0066】
アクチュエータ359は、メカニカルファスナ、溶接、接着剤、真空プレナム325の壁と一体である支持体、任意の他の締結技術を介して、真空プラテン326、真空プレナム325の底壁、側壁、又は内壁など、真空プレナムの1つ以上の壁に固定される。図6A図6Bに示される実施形態では、アクチュエータは、弁351のインボード側に位置付けられているが、いくつかの実施形態(図示せず)では、アクチュエータ359は、弁351より下に、かつ/又は弁351のアウトボード側に位置付けられている。弁351は、回転可能なベアリングによって支持されている。図6A図6Bの実施形態では、インボード側で弁351を支持するベアリングのうちの1つは、アクチュエータ359のロータを含み、アウトボード側で弁351を支持する別のベアリングは、真空プレナム325の壁に結合されたシャフトを含む。
【0067】
上述の気流制御システム350の実施形態は、印刷システム300の特定のインク堆積アセンブリ301及び媒体輸送デバイス303の文脈において図示及び説明されているが、同じ気流制御システム350を、異なる方法で構成されたインク堆積アセンブリ301及び媒体輸送デバイス303を有する印刷システム300の他の実施形態において使用することができる。例えば、気流制御システム350の様々な実施形態は、異なるタイプの可動支持面320を有する印刷システム300、異なるタイプの真空プレナム325を有する印刷システム300、異なるタイプの真空プラテン326を有する印刷システム300、異なる数及び/又はタイプの印刷ヘッドモジュール302を有する印刷システム300などで使用され得る。
【0068】
本説明、並びに本発明の態様及び実施形態を例示する添付の図面は、限定するものとして解釈されるべきではなく、保護される発明は特許請求の範囲によって定義される。本説明及び特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な機械的、組成的、構造的、電気的、及び動作的変更を行うことができる。いくつかの例では、本発明を不明瞭にしないために、周知の回路、構造、及び技術は、詳細に示されていないか、又は詳細に説明されていない。2つ以上の図における同様の番号は、同じ又は同様の要素を表す。
【0069】
更に、空間的及び相関的な用語など、本発明の態様を説明するために本明細書で使用される用語は、読者が本発明の実施形態を理解するのを助けるために選択されているが、本発明を限定することを意図するものではない。例えば、「上流」、「下流」、「下方」、「より下」、「より低い」、「より上」、「上側」、「インボード」、「アウトボード」、「上へ」、「下へ」など、空間的な用語は、本明細書において、図に示されるような方向、又は1つの要素若しくは特徴の別の要素若しくは特徴との空間的な関係を説明するために使用され得る。これらの空間的な用語は、図に示される姿勢に対して使用され、実世界の特定の参照フレームに限定されるものではない。したがって、例えば、図における方向「上へ」は、必ずしも世界参照フレームにおける「上へ」(例えば、地球の表面から離れる方向へ)に対応する必要はない。更に、図に示されるものとは異なる参照フレームが考慮される場合、本明細書で使用される空間的な用語は、その異なる参照フレームで異なるように解釈される必要があり得る。例えば、図の1つに関連して「上へ」と称される方向は、この図の参照フレームから180度回転される異なる参照フレームに関連して「下へ」と呼ばれる方向に対応し得る。別の例として、デバイスが、図に示された状態と比較して、世界参照フレームでは180度裏返しになる場合、図に関連して第2のアイテムの「より上」又は「上方」にあるものとして本明細書に記載されるアイテムは、世界参照フレームに関連して第2のアイテムの「より下」又は「下方」にあることになる。したがって、どの参照フレームが考慮されているかに応じて、同じ空間的な関係又は方向が、異なる空間的な用語を使用して説明され得る。更に、図に示されるアイテムの姿勢は、例示及び説明の便宜のために選択されるが、実際の実施態様では、それらのアイテムは異なる姿勢になり得る。
【0070】
「プロセス方向」という用語は、印刷媒体がインク堆積アセンブリの堆積領域を通って輸送されるときに印刷媒体が沿って移動する軸に平行であり、かつその軸と同じ方向に向いている方向を指す。したがって、プロセス方向は、図中のy軸に平行であり、かつ正のy軸方向に向いている方向である。
【0071】
「交差プロセス方向」という用語は、プロセス方向に垂直であり、かつ可動支持面に平行である方向を指す。任意の所与の点において、相対する方向に向いている2つの交差プロセス方向、すなわち、「インボード」交差プロセス方向及び「アウトボード」交差プロセス方向が存在する。したがって、図に示される参照フレームを考慮すると、交差プロセス方向は、x軸に沿った正又は負の方向に向いている方向を含む、x軸に平行な任意の方向である。本明細書における「交差プロセス方向」への言及は、文脈によって別段に示されない限り、一般的に、1つの特定の交差プロセス方向ではなく、任意の交差プロセス方向を指すものとして理解されるべきである。したがって、例えば、「弁が交差プロセス方向に移動可能である」という記述は、弁が、インボード方向、アウトボード方向、又は両方の方向に移動することができることを意味する。
【0072】
「上流」及び「下流」という用語は、プロセス方向に平行な方向を指し得、「下流」は、プロセス方向と同じ方向に向いている方向を指し(すなわち、印刷媒体がインク堆積アセンブリを通って輸送される方向)、「上流」は、プロセス方向の逆に向いている方向を指す。図において、「上流」は負のy軸方向に対応し、「下流」は正のy軸正方向に対応する。「上流」及び「下流」という用語はまた、要素の相対的な場所を指すために使用され得、「上流」要素は、参照点に対して上流方向にずれており、「下流」要素は、参照点に対して下流方向にずれている。言い換えれば、「上流」要素は、いくつかの他の参照要素よりも、印刷媒体がインク堆積アセンブリを通って輸送されるときにとる経路の始点(例えば、印刷媒体が可動支持面と合流する場所)に近い。逆に、「下流」要素は、いくつかの他の参照要素よりも、経路の終点(例えば、印刷媒体が支持面から離れる場所)に近い。「上流」又は「下流」要素が比較される他の要素の参照点は、明示的に述べられ得るか(例えば、「印刷ヘッドの上流側」)、又は文脈から推論され得る。
【0073】
「インボード」及び「アウトボード」という用語は、交差プロセス方向に沿った媒体輸送デバイスの両側を指す。「アウトボード」とは、印刷媒体の縁部が位置合わせされる位置合わせ場所に最も近い媒体輸送デバイスの側を指す。「インボード」とは、アウトボード側とは反対側の媒体輸送デバイスの側を指す。例えば、図6A図6Bでは、媒体輸送デバイスのアウトボード側はOBとラベル付けされ、媒体輸送デバイスのインボード側はIBとラベル付けされている。「インボード」及び「アウトボード」という用語はまた、交差プロセス方向を指すために使用され、「インボード」は、アウトボード側からインボード側に向いている交差プロセス方向を指し、「アウトボード」は、インボード側からアウトボード側に向いている交差プロセス方向を指す。図において、「インボード」は正のx軸方向に対応し、「アウトボード」は不のx軸正方向に対応する。「インボード」及び「アウトボード」という用語はまた、相対的な場所を指し、「インボード」要素は、参照点に対してインボード方向にずれており、「アウトボード」要素は、参照点に対してアウトボード方向にずれている。参照点は、明示的に述べられ得るか(例えば、「印刷ヘッドのインボード側」)、又は文脈から推論され得る。したがって、例えば、「キャリアプレートのインボード側」は、キャリアプレートの別の側よりも比較的更にインボード側にあるキャリアプレートの側を指す。
【0074】
「垂直」という用語は、堆積領域内の可動支持面に垂直な方向を指す。任意の所与の点において、相対する方向に向いている2つの垂直方向、すなわち、「上向き」方向及び「下向き」方向が存在する。したがって、図に示される参照フレームを考慮すると、垂直方向は、正のz軸方向(「上へ」)又は不のz軸方向(「下へ」)に向いている方向を含む、z軸に平行な任意の方向である。
【0075】
「水平」という用語は、堆積領域内の可動支持面に平行な(又は可動支持面が堆積領域内で平坦でない場合は、堆積領域内で可動支持面に接する)方向を指す。水平方向は、プロセス方向及び交差プロセス方向を含む。
【0076】
「真空」という用語は、様々な文脈において様々な意味を有しており、全ての物質を欠く空間という厳密な意味から、相対的に低い圧力状態というより一般的な意味までの幅がある。本明細書では、「真空」という用語は、一般的な意味で使用され、空気圧が、周囲圧力又は大気圧など、何らかの参照圧力の空気圧よりも低くなる状態又は環境を広く指すものとして理解されるべきである。「真空」と見なされるために、真空環境の圧力が参照圧力の圧力よりも低くなければならない量は、限定されず、小さい量であっても、大きい量であってもよい。したがって、本明細書で使用される「真空」としては、用語のより厳密な意味の下で「真空」と見なされ得る状態が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0077】
「空気」という用語は、様々な文脈において様々な意味を有しており、地球の大気(又は組成が地球の大気のものと同様であるガスの混合物)という厳密な意味から、任意のガス又はガスの混合物というより一般的な意味までの幅がある。本明細書では、「空気」という用語は、一般的な意味で使用され、任意のガス又はガスの混合物を広く指すものとして理解されるべきである。これには、地球の大気、希ガスのうちの1つなどの不活性ガス(例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴンなど)、窒素(N)ガス、又は任意の他の所望のガス若しくはガスの混合物が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0078】
加えて、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈によって別段に示されない限り、複数形も含むことが意図される。また、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」などの用語は、記載された特徴、工程、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、工程、動作、要素、構成要素、及び/又はグループの存在又は追加を排除しない。別途特に記載されない限り、結合されるものとして記載された構成要素は、電気的又は機械的に直接結合され得るか、又は1つ以上の中間構成要素を介して間接的に結合され得る。数学的及び幾何学的な用語は、説明の文脈が別途示されていない限り、それらの厳密な定義に従って使用されることを必ずしも意図するものではなく、当業者は、例えば、実質的に同様の方法で機能する実質的に同様の要素が、説明的な用語の範囲内に、その用語が厳密な定義を有するとしても、容易に収まり得ることを理解するであろう。
【0079】
一実施形態を参照して詳細に説明される要素及びそれらの関連する態様は、実用的である場合は常に、それらが具体的に図示又は説明されていない他の実施形態に含まれ得る。例えば、ある要素が、一実施形態を参照して詳細に説明され、第2の実施形態を参照して説明されていない場合、それにもかかわらず、この要素は、第2の実施形態に含まれるものとして特許請求され得る。

図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図5I
図5J
図6A
図6B
図7A
図7B