(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022015551
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/325 20060101AFI20220114BHJP
B65H 23/188 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
B41J2/325 A
B65H23/188
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020118471
(22)【出願日】2020-07-09
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】特許業務法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高田 真吾
【テーマコード(参考)】
2C065
3F105
【Fターム(参考)】
2C065AA01
2C065AB09
2C065AD07
2C065DA24
2C065DA33
2C065DA38
3F105AA04
3F105BA09
3F105CA09
3F105CB01
3F105CC07
3F105DA12
3F105DB11
3F105DC11
(57)【要約】
【課題】 本発明は、予めズレ検出マークを設けていない転写フィルムであっても転写フィルムの搬送精度を向上する。
【解決手段】 パターン検出センサ1により検出されたエンコーダパターン91bの間隔Tにより転写フィルム91の搬送速度を解析する搬送速度解析手段(MPU11)を有し、モータドライバ部16は、MPU11により解析した転写フィルム91の搬送速度が所定値と異なる場合に、前記所定値に近付く搬送速度となるようにフィルム巻取りモータ39の駆動電圧の設定値を変更することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送り方向に沿って一色以上のインクを一定の順序に従って順次塗布されたインクリボンと、
前記インクリボンの色材を一次転写するための転写フィルムと、
前記転写フィルムを一定のテンションに保ちつつ搬送駆動するために前記転写フィルムの搬送方向の上流側に設けられた第1駆動部と、前記転写フィルムの搬送方向の下流側に設けられた第2駆動部と、
前記第1駆動部または前記第2駆動部の駆動電圧を調整するための駆動制御部と、
前記転写フィルムの実画像に使用する領域から外れた余白領域に周期的なパターンを前記インクリボンから前記転写フィルムへの一次転写時に記録する記録制御部と、
前記パターンを検出するためのパターン検出部と、
を有する記録装置において、
前記パターン検出部により検出された前記パターンの間隔により前記転写フィルムの搬送速度を解析する搬送速度解析手段を有し、
前記駆動制御部は、前記搬送速度解析手段により解析した前記転写フィルムの搬送速度が所定値と異なる場合に、前記所定値に近付く搬送速度となるように前記駆動電圧の設定値を変更することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記駆動制御部は、
前記パターン検出部により検出された前記パターンの間隔が所定の間隔よりも大きい場合には、前記駆動電圧を高くし、
前記パターン検出部により検出された前記パターンの間隔が所定の間隔よりも小さい場合には、前記駆動電圧を低くする、
ことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記パターン検出部は、前記パターンを検出し記録が開始するまでに前記第1駆動部または前記第2駆動部の駆動制御を変更可能な位置に配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクリボンを用いてサーマルヘッドにて記録を行う記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にこの種の記録装置は、プラスチックカード等の記録媒体上に顔写真、文字情報等の画像を形成する装置として広く知られている。この場合、記録媒体に直接画像を形成する装置構成と、転写フィルムに画像を形成し、その画像を記録媒体に転写する装置構成とが知られている。
【0003】
このような転写フィルムを用いた記録装置では、インクリボンを介してサーマルヘッドで転写フィルムに画像を形成(一次転写)する。その後、転写ローラを用いて転写フィルムに形成された画像をカード等の記録媒体に転写(二次転写)する。このような間接転写方式の構成が知られている。
【0004】
この種の記録装置では、未使用フィルム(画像形成前)の画像形成領域を繰り出すための供給スプールと、既使用フィルム(転写後)の画像形成領域を巻き取るための巻取スプールとを有することが多い。各色インクリボンについても同様に供給スプールと巻き取りスプールを有することが多い。
【0005】
転写フィルムやインクリボンは一般に画像形成部の上流側から下流側にまたがって搬送され、その搬送距離も比較的長くなる。このため、供給スプールと巻取スプールには、それぞれ個別に駆動するためのモータが用いられ、転写フィルムやインクリボンには、その搬送精度を確保するためと、寄れやしわを防止するために所定のテンションが付与されている。
【0006】
また、転写フィルムの使用率に応じて、巻取スプールを駆動するモータの駆動力を変化させていた。その制御としては、転写フィルムの巻き取りスプール側の径が大きくなるにつれて、モータを駆動する供給電圧も小さくするというものである。その際、転写フィルムの種類によっては、モータを駆動する供給電圧が大きいと、転写フィルムに弛みができ、一次転写の際に画像にしわができるという課題があった。また、転写フィルムの種類によっては、モータを駆動する供給電圧が小さくなりすぎると、巻取スプールを回転させたいタイミングでモータが駆動できず、フィルム搬送ムラに起因する画像ムラが生じてしまうという課題があった。
【0007】
特許文献1では、インクリボンの弛みや搬送ムラの発生を検出する方法として、インクリボンの両耳部に写真フィルムのパーフォレーション状のズレ検出マークをそれぞれ付している。そして、各ズレ検出マークを2つのセンサで検出することで、弛みや搬送ムラの発生を検出することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら特許文献1では、インクリボンに予めズレ検出マークを設けておく必要があったためインクリボンのコストが上昇するという課題があった。
【0010】
本発明は前記課題を解決するものであり、その目的とするところは、予めズレ検出マークを設けていない転写フィルムであっても転写フィルムの搬送精度を向上する記録装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するための本発明に係る記録装置の代表的な構成は、送り方向に沿って一色以上のインクを一定の順序に従って順次塗布されたインクリボンと、前記インクリボンの色材を一次転写するための転写フィルムと、前記転写フィルムを一定のテンションに保ちつつ搬送駆動するために前記転写フィルムの搬送方向の上流側に設けられた第1駆動部と、前記転写フィルムの搬送方向の下流側に設けられた第2駆動部と、前記第1駆動部または前記第2駆動部の駆動電圧を調整するための駆動制御部と、前記転写フィルムの実画像に使用する領域から外れた余白領域に周期的なパターンを前記インクリボンから前記転写フィルムへの一次転写時に記録する記録制御部と、前記パターンを検出するためのパターン検出部と、を有する記録装置において、前記パターン検出部により検出された前記パターンの間隔により前記転写フィルムの搬送速度を解析する搬送速度解析手段を有し、前記駆動制御部は、前記搬送速度解析手段により解析した前記転写フィルムの搬送速度が所定値と異なる場合に、前記所定値に近付く搬送速度となるように前記駆動電圧の設定値を変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、予めズレ検出マークを設けていない転写フィルムであっても転写フィルムの搬送精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る記録装置の第1実施形態の構成を示す断面図である。
【
図2】第1実施形態の記録装置の制御部の構成を示すブロック図である。
【
図3】(a)乃至(c)は、フィルム巻取りモータにより駆動される巻取りスプーラとフィルム供給モータにより駆動される供給スプーラとの間で搬送される転写フィルムの一次転写部を直線上に展開して見せた図である。
【
図4】(a),(b)は、フィルム巻取りモータにより駆動される巻取りスプーラとフィルム供給モータにより駆動される供給スプーラとの間で搬送される転写フィルムの一次転写部を直線上に展開して見せた図である。
【
図5】(a),(b)は、フィルム巻取りモータにより駆動される巻取りスプーラとフィルム供給モータにより駆動される供給スプーラとの間で搬送される転写フィルムの一次転写部を直線上に展開して見せた図である。
【
図6】(a),(b)は、第1実施形態の転写フィルムの余白領域にエンコーダパターンを記録した様子を示す図である。
【
図7】(a),(b)は、第1実施形態のエンコーダパターンを検出したパターン検出センサの出力結果の一例を示す図である。
【
図8】第1実施形態の記録装置の一次転写部の制御を示すフローチャートである。
【
図9】第1実施形態の記録装置の一次転写部の制御を示すフローチャートである。
【
図10】第2実施形態の記録装置の構成を示す断面図である。
【
図11】第2実施形態の記録装置の一次転写部の制御を示すフローチャートである。
【
図12】第2実施形態の記録装置の一次転写部の制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図により本発明に係る記録装置の一実施形態を具体的に説明する。
【0015】
〔第1実施形態〕
先ず、
図1乃至
図9を用いて本発明に係る記録装置の第1実施形態の構成について説明する。
【0016】
<記録装置>
図1及び
図2を用いて、本実施形態の記録装置10の構成について説明する。
図1は、本実施形態の記録装置10の構成を示す断面図である。
図2は、本実施形態の記録装置10の制御部の構成を示すブロック図である。
図1は、記録装置10の記録部の構成を示している。
図1に示す記録装置10は、各種証明用のID(Identification)カード、商取引用のクレジットカード等の被記録媒体50に情報を記録するものである。
【0017】
記録装置10は、昇華型のインクリボン90に対して、サーマルヘッド100を用いて転写フィルム91に画像を記録する一次転写部2を有する。更に、記録装置10は、転写フィルム91に記録された画像をヒートローラ35により被記録媒体50に記録する二次転写部4を有して構成されている。インクリボン90は、インクリボン90の送り方向に沿ってフィルム上に一色以上のインクを一定の順序に従って順次塗布されたものである。転写フィルム91は、インクリボン90の色材を一次転写するものである。
【0018】
図1を用いて記録装置10の各部の機能を記録の流れに沿って説明する。記録装置10の記録動作が開始されると、カード搬送ローラ29,30により被記録媒体50が搬送される。このとき被記録媒体50は、被記録媒体50の先端部がカード先端検出センサ3により検出される位置まで搬送される。
【0019】
一方、インクリボン90は、未使用部分がリボン供給モータ36により回転駆動される
図2に示す供給スプーラ5に巻かれている。そして、記録装置10の記録動作に伴い、インクリボン90の使用済み部分がリボン巻取りモータ37により回転駆動される
図2に示す巻取りスプーラ22に巻かれていく。
【0020】
転写フィルム91は、未使用部分がフィルム供給モータ38により回転駆動される
図2に示す供給スプーラ6に巻かれている。そして、記録装置10の記録動作に伴い、転写フィルム91の使用済み部分がフィルム巻取りモータ39により回転駆動される
図2に示す巻取りスプーラ7に巻かれていく。
【0021】
転写フィルム91は、フィルム搬送モータ24により回転駆動されるフィルム搬送ローラ41により精度良く搬送される。転写フィルム91は、フィルム供給モータ38及びフィルム巻取りモータ39によりそれぞれ回転駆動される供給スプーラ6及び巻取りスプーラ7を介してテンションが保たれる。フィルム供給モータ38とフィルム巻取りモータ39は、転写フィルム91を一定のテンションに保ちつつ搬送駆動するための駆動部として構成される。
【0022】
ここで、フィルム供給モータ38は、転写フィルム91の
図1の矢印A方向で示す搬送方向の上流側に設けられた第1駆動部として構成される。フィルム巻取りモータ39は、転写フィルム91の搬送方向の下流側に設けられた第2駆動部として構成される。
【0023】
転写フィルム91は、
図2に示すフィルム搬送モータ24により回転駆動されるフィルム搬送ローラ41により搬送される。フィルム搬送ローラ41の周面には、ピンチローラ34a,34bがそれぞれ配置されている。各ピンチローラ34a,34bは、ピンチローラ支持部材40により回転可能に支持されている。ピンチローラ支持部材40は、フィルム搬送ローラ41に対して進出及び退避するよう移動可能に構成されている。
【0024】
ピンチローラ支持部材40に支持された各ピンチローラ34a,34bがフィルム搬送ローラ41に対して進出してフィルム搬送ローラ41の表面に圧接することで、転写フィルム91をフィルム搬送ローラ41の表面に巻き付けている。これにより転写フィルム91は、フィルム搬送ローラ41の回転数に応じた距離の正確な搬送が行われる。
【0025】
一次転写部2を構成するプラテンローラ32とサーマルヘッド100とは、プラテンローラ32に対向する位置にサーマルヘッド100が配置されている。サーマルヘッド100は、画像データに従って加熱制御され、昇華型のインクリボン90を用いて転写フィルム91に画像データに応じた画像を記録する。
【0026】
一次転写部2において、一次転写が終了した転写フィルム91は、二次転写部4を構成するプラテンローラ33とヒートローラ35とが対向する位置までフィルム搬送ローラ41により搬送される。二次転写部4では、転写フィルム91は、被記録媒体50と共にヒートローラ35とプラテンローラ33とにより挟持される。そして、ヒートローラ35による加熱と、ヒートローラ35とプラテンローラ33とによる加圧により転写フィルム91上の画像が被記録媒体50の表面に転写される。
【0027】
ヒートローラ35は、図示しない移動ユニットにより転写フィルム91を介してプラテンローラ33に圧接・離間するように構成されている。二次転写部4において、二次転写が終了した被記録媒体50は、カード搬送ローラ31により図示しないスタッカに排出される。
【0028】
<一次転写制御>
次に、
図3乃至
図7を用いて一次転写時の制御について説明する。
図3乃至
図5は、フィルム巻取りモータ39により回転駆動される巻取りスプーラ7と、フィルム供給モータ38により回転駆動される供給スプーラ6との間で搬送される転写フィルム91の一次転写部2を直線上に展開して見せた図である。
図6(a),(b)は、本実施形態の転写フィルム91の余白領域Rmにエンコーダパターン91bを記録した様子を示す図である。
図7(a),(b)は、本実施形態のエンコーダパターン91bを検出したパターン検出センサ1の出力結果の一例を示す図である。
【0029】
図3(a)において、転写フィルム91に一次転写を始める際には、未使用部分の転写フィルム91をフィルム巻取りモータ39側に引き出す。その際に、既に転写フィルム91に記録済みの頭出しマーク91aをパターン検出センサ1により検知し、そこから転写フィルム91を所定距離分フィルム巻取りモータ39側に引き出した後、転写フィルム91を停止する。パターン検出センサ1は、周期的なパターンからなるエンコーダパターン91bを検出するためのパターン検出部として構成される。
【0030】
次に、
図3(b)において、フィルム搬送ローラ41の搬送力をメインとしてサーマルヘッド100がある方向に転写フィルム91を搬送する。その際、フィルム巻取りモータ39は、転写フィルム91が弛まない程度に弱い力でテンションを掛けながら転写フィルム91をサーマルヘッド100側に送り出していく。
【0031】
制御手段としてのMPU(Micro-Processing Unit;マイクロプロセッサ)11は、パターン検出センサ1により頭出しマーク91aを検出してからフィルム巻取りモータ39の起動時の転写フィルム91の搬送速度のバラツキを考慮する。そして、転写フィルム91の搬送速度が安定する領域Rsから
図6(a)に示す転写フィルム91の実画像領域Rgから外れた余白領域Rmに所定の間隔Toを持ったエンコーダパターン91bを一次転写時に記録していく。
【0032】
図3(c)は、
図6(a)に示す転写フィルム91の実画像領域Rgから外れた余白領域Rmにエンコーダパターン91bを所定の長さ分記録し終えた状態を示す。
図6(a)は、
図3(c)において記録された転写フィルム91の1枚のカード記録に使用される1パネル分領域Rの実画像領域Rgから外れた余白領域Rmにエンコーダパターン91bが記録された状態を示す。フィルム巻取りモータ39による転写フィルム91の搬送速度が不安定な箇所では、エンコーダパターン91bを記録せず、転写フィルム91の搬送速度が安定した部分からエンコーダパターン91bの記録を行っている。
【0033】
図4(a)では、所望の実画像を記録するために再び転写フィルム91をフィルム巻取りモータ39側に搬送して、転写フィルム91が記録スタンバイ位置にある状態である。
図4(b)では、転写フィルム91の頭出しマーク91aをパターン検出センサ1により検出した後、MPU11は、
図7(a),(b)に示すパターン検出センサ1の出力結果に基づいて、エンコーダパターン91bの間隔Tを順次分析していく。
【0034】
ここで、
図7(a),(b)を用いてエンコーダパターン91bの間隔Tの分析方法について説明する。
図7(a)では、エンコーダパターン91bが、間隔T1~Tnまで、所定の間隔Toに対して同じ間隔Toで等速に検出された状態であり、転写フィルム91が正常な搬送速度であることが分かる。エンコーダパターン91bの下には、パターン検出センサ1の出力結果を示す。
【0035】
一方、
図7(b)では、エンコーダパターン91bの転写フィルム91の頭出しマーク91aに近い方の間隔T1、T2では、所定の間隔Toに対して、それぞれ間隔Tが大きくなっている。このためフィルム巻取りモータ39の駆動電圧が足りず、転写フィルム91を無理に引っ張り過ぎて、転写フィルム91の搬送速度が低下している状態であることが分かる。エンコーダパターン91bの下には、パターン検出センサ1の出力結果を示す。
【0036】
よって、エンコーダパターン91bが正常な間隔Toとなるように、
図2に示す制御手段としてのMPU11は、記録制御部15によりモータドライバ部16を介してフィルム巻取りモータ39の駆動電圧を上げる制御を行う。その結果、
図7(b)に示すエンコーダパターン91bの転写フィルム91の頭出しマーク91aから遠い方の間隔Tn-1,Tnでは、所定の間隔Toと同じ間隔Toとなり記録開始までに転写フィルム91は、正常な搬送速度となっている。
【0037】
ここで、MPU11は、パターン検出センサ1により検出されたエンコーダパターン91bの間隔Tにより転写フィルム91の搬送速度を解析する搬送速度解析手段として構成されている。また、モータドライバ部16は、フィルム供給モータ38及びフィルム巻取りモータ39の駆動電圧を調整するための駆動制御部として構成される。
【0038】
また、記録制御部15は、一次転写部2において、サーマルヘッド100によるインクリボン90から転写フィルム91への一次転写時に周期的なパターンであるエンコーダパターン91bを余白領域Rmに記録する。ここで、余白領域Rmは、転写フィルム91の実画像に使用する実画像領域Rgから外れた領域である。また、パターン検出センサ1は、エンコーダパターン91bを検出し記録が開始するまでにフィルム巻取りモータ39(第2駆動部)の駆動制御を変更可能な位置に配置されている。本実施形態のパターン検出センサ1は、
図1の矢印A方向で示す転写フィルム91の搬送方向において、一次転写部2よりも下流側で、フィルム巻取りモータ39の上流側に設けられている。
【0039】
逆に、エンコーダパターン91bの間隔Tが所定の間隔Toに対して小さい場合には、フィルム巻取りモータ39の駆動電圧が高いことにより転写フィルム91の搬送速度が速くなっていることを示す。このため
図2に示すMPU11により記録制御部15は、モータドライバ部16を介してフィルム巻取りモータ39の駆動電圧を下げる制御を行う。
【0040】
図5(a)では、MPU11は、フィルム巻取りモータ39の駆動電圧を最適な値に制御する。その後、
図3(b)では転写フィルム91の搬送速度のバラツキを考慮して記録しなかった頭出しマーク91aの直後の部分にもエンコーダパターン91bの記録を行う。そして、実画像領域Rgにも第1色目の実画像を記録していく。
【0041】
図6(b)は、
図3(b)では転写フィルム91の搬送速度が不安定部分であった部分にもエンコーダパターン91bを記録し、かつ第1色目の実画像である「No.1」を記録した状態を示す。
図5(b)では、第2色目の記録を
図4(b)乃至
図5(a)で実施した制御と同様な制御を行い、以下必要な色数分同様な制御を繰り返すことで1枚の実画像の一次転写が終了する。
【0042】
<制御部>
次に、
図2を用いて本実施形態の記録装置10の制御部の構成について説明する。MPU11は、記録装置10の全体制御を行う。ROM(Read Only Memory;リードオンリメモリ)12は、起動用プログラムと圧縮された状態の制御プログラムが格納されており、圧縮された制御プログラムは、起動時にシステムメモリ13に展開される。
【0043】
プリントバッファ14は、記録データを一時的に蓄える部分である。記録制御部15は、モータドライバ部16の制御を行う。モータドライバ部16は、ヒートローラ移動モータ17と、カード搬送モータ18と、リボン供給モータ36と、リボン巻取りモータ37と、フィルム搬送モータ24と、フィルム供給モータ38と、フィルム巻取りモータ39とをそれぞれ駆動する。
【0044】
ヒートローラ移動モータ17は、図示しない移動ユニットによりヒートローラ35の移動制御に使用される。カード搬送モータ18は、カード搬送ローラ29乃至31の制御に使用される。リボン供給モータ36及びリボン巻取りモータ37は、インクリボン90の搬送制御に使用される。フィルム供給モータ38及びフィルム巻取りモータ39は、フィルム搬送モータ24により回転駆動されるフィルム搬送ローラ41により一次転写時に搬送される転写フィルム91のテンションを保つための制御に使用される。
【0045】
また、記録制御部15は、サーマルヘッド100の記録制御も行う。パターン検出センサ1は、転写フィルム91の余白領域Rmに施された周期的なエンコーダパターン91bを検出するための光学センサである。カード先端検出センサ3は、被記録媒体50の有無を検出するための光学センサである。
【0046】
次に、
図8及び
図9を用いて本実施形態の記録装置10の一次転写部2の制御について説明する。
図8及び
図9は、本実施形態の記録装置10の一次転写部2の制御を示すフローチャートである。
図8のステップS1において、MPU11は、フィルム搬送モータ24を駆動してフィルム搬送ローラ41を回転させ、転写フィルム91をフィルム巻取りモータ39側に搬送する。そして、転写フィルム91の頭出しマーク91aがパターン検出センサ1を通過したスタンバイ位置にて転写フィルム91を停止させる。つまり、
図3(a)に示すように、転写フィルム91の1枚のカード記録に使用される1パネル分領域Rをフィルム巻取りモータ39寄りで停止させる。
【0047】
次に、ステップS2において、MPU11は、フィルム搬送モータ24を駆動してフィルム搬送ローラ41を回転させ、転写フィルム91をサーマルヘッド100側に搬送する。次に、ステップS3において、MPU11は、パターン検出センサ1により頭出しマーク91aを検出したか否かを判断し、頭出しマーク91aを検出した場合には、ステップS4に進む。頭出しマーク91aを検出しなかった場合には、ステップS2に戻る。
【0048】
次に、ステップS4において、MPU11は、パターン検出センサ1により頭出しマーク91aを検出してから所定時間だけフィルム搬送ローラ41を回転して転写フィルム91を搬送する。次に、ステップS5において、MPU11は、フィルム巻取りモータ39の起動時の転写フィルム91の搬送速度のバラツキを考慮する。そして、MPU11は、
図3(b)に示すように、予め実験データにより割り出した転写フィルム91の搬送速度が安定する領域Rsを特定する。
【0049】
そして、MPU11は、記録制御部15を介して記録手段としてのサーマルヘッド100を駆動してインクリボン90を加熱する。そして、転写フィルム91の搬送速度が安定する領域Rsから
図6(a)に示す転写フィルム91の実画像領域Rgから外れた余白領域Rmに所定の間隔Toを持ったエンコーダパターン91bを一次転写時に記録していく。
【0050】
次に、ステップS6において、MPU11は、転写フィルム91の1パネル分領域Rにエンコーダパターン91bを記録したか否かを判断し、転写フィルム91の1パネル分領域Rにエンコーダパターン91bを記録した場合には、ステップS7に進む。また、転写フィルム91の1パネル分領域Rにエンコーダパターン91bの記録が終了していなければ、ステップS5に戻る。
【0051】
ステップS7において、MPU11は、
図4(a)に示すように、フィルム搬送ローラ41を回転させて転写フィルム91を再びスタンバイ位置まで搬送する。次に、ステップS8において、MPU11は、
図4(b)に示すように、フィルム搬送ローラ41を回転させて転写フィルム91をサーマルヘッド100側に搬送する。
【0052】
次に、ステップS9において、MPU11は、パターン検出センサ1により転写フィルム91の頭出しマーク91aを検出したか否かを判断する。パターン検出センサ1により転写フィルム91の頭出しマーク91aを検出した場合には、ステップS10に進む。パターン検出センサ1により転写フィルム91の頭出しマーク91aを検出しなかった場合には、ステップS8に戻る。ステップS10において、MPU11は、
図4(b)に示すように、パターン検出センサ1により転写フィルム91の1パネル分領域Rに記録したエンコーダパターン91bの間隔Tを順次分析していく。
【0053】
ステップS11において、MPU11は、ステップS10にて解析したエンコーダパターン91bの間隔Tが所定の間隔Toに対して一致しているか否かを判断する。ステップS10にて解析したエンコーダパターン91bの間隔Tが所定の間隔Toに対して一致している場合には、
図9のステップS12に進む。ステップS10にて解析したエンコーダパターン91bの間隔Tが所定の間隔Toに対して一致していない場合には、
図9のステップS15に進む。
【0054】
ステップS12において、MPU11は、
図5(a)に示すように、第一色目にて転写フィルム91の搬送速度が不安定な領域でエンコーダパターン91bを記録しなかった未記録領域Ruにエンコーダパターン91bを記録し、かつ第一色目の実画像を記録する。次に、ステップS13において、MPU11は、目的の色数分の記録が完了したか否かを判断し、目的の色数分の記録が完了していれば、ステップS14に進む。また、目的の色数分(全色)の記録が完了していなければ、ステップS7に戻る。
【0055】
ステップS14において、MPU11は、一次転写部2における一次転写を終了し、二次転写部4における二次転写の動作に移行する。ステップS15において、MPU11は、パターン検出センサ1にて検出したエンコーダパターン91bの間隔Tと所定の間隔Toとの大小を判断する。パターン検出センサ1にて検出したエンコーダパターン91bの間隔Tが所定の間隔Toよりも大きい場合には、ステップS16に進む。パターン検出センサ1にて検出したエンコーダパターン91bの間隔Tが所定の間隔Toよりも小さい場合には、ステップS17に進む。
【0056】
ステップS16において、MPU11は、エンコーダパターン91bの間隔Tが所定の間隔Toに近づくように、フィルム巻取りモータ39の駆動電圧を上げる制御を行う。即ち、MPU11は、モータドライバ部16(駆動制御部)を介してパターン検出センサ1により検出されたエンコーダパターン91bの間隔Tが所定の間隔Toよりも大きい場合は、フィルム巻取りモータ39の駆動電圧を高くする。
【0057】
また、ステップS17において、MPU11は、エンコーダパターン91bの間隔Tが所定の間隔Toに近づくように、フィルム巻取りモータ39の駆動電圧を下げる制御を行う。即ち、MPU11は、モータドライバ部16(駆動制御部)を介してパターン検出センサ1により検出されたエンコーダパターン91bの間隔Tが所定の間隔Toよりも小さい場合は、フィルム巻取りモータ39の駆動電圧を低くする。
【0058】
このように、MPU11は、モータドライバ部16(駆動制御部)を介して、搬送速度解析手段を兼ねるMPU11により解析した転写フィルム91の搬送速度が所定値と異なる場合を考慮する。そして、MPU11は、転写フィルム91の搬送速度が前記所定値に近付く搬送速度となるようにフィルム巻取りモータ39の駆動電圧の設定値を変更する。
【0059】
フィルム巻取りモータ39による転写フィルム91の搬送速度は、巻取りスプーラ7に巻き取られる転写フィルム91の巻き取り径によって変化する。そこで、
図8及び
図9のステップS11,S15乃至S17に示すように、ステップS12で実行する実画像の記録開始前までに、フィルム巻取りモータ39による転写フィルム91の搬送速度のバラツキを素早く補正する効果がある。
【0060】
尚、本実施形態では、転写フィルム91の余白領域Rmに1パネル分のエンコーダパターン91bを記録しているが、フィルム巻取りモータ39の駆動応答性が良ければ、必ずしも1パネル分のエンコーダパターン91bを記録する必要は無い。
【0061】
また、本実施形態では、一つのパターン検出センサ1を用いてエンコーダパターン91bを検出する場合の一例について説明した。他に、転写フィルム91の搬送経路において、フィルム巻取りモータ39とサーマルヘッド100との間でフィルム巻取りモータ39寄りにもう一つパターン検出センサを設けることもできる。これにより、一つ前のパネルで記録したエンコーダパターン91bを前記パターン検出センサにより検出してフィルム巻取りモータ39の駆動電圧の補正に活用しても良い。また、本実施形態では、
図6(a),(b)に示すように、エンコーダパターン91bを直線状に記録する一例について示したが、周期的な所定間隔のパターンであれば、三角波やドットのパターンでも良い。
【0062】
特許文献1では、インクリボン上に事前に搬送状態を把握するためのパーフォレーションマークを記録しておくことが必要となり、消耗部品のコストアップにつながるという問題があった。また、インクリボンを構成するフィルムは、熱によって伸縮するため伸びてしまったインクリボンのパーフォレーションを基準にモータの駆動制御を変更して記録をしてしまうと画像も伸びてしまうという問題があった。本実施形態によれば、予めズレ検出マークを設けていない転写フィルム91を使用しても転写フィルム91の搬送精度を向上することができる。これにより記録装置10において、一次転写時の転写フィルム91の弛みや搬送ムラを簡易な手段で検出し補正することができる。
【0063】
〔第2実施形態〕
次に、
図10乃至
図12を用いて本発明に係る記録装置の第2実施形態の構成について説明する。尚、前記第1実施形態と同様に構成したものは同一の符号、或いは符号が異なっても同一の部材名を付して説明を省略する。
図10は、本実施形態の記録装置10の構成を示す断面図である。
【0064】
第1実施形態では、
図1に示すように、フィルム供給モータ38は、ヒートローラ35が設けられる二次転写部4側の装置本体10aの上方に位置しており、フィルム巻取りモータ39は、パターン検出センサ1が設けられる装置本体10aの下方に位置していた。本実施形態では、
図10に示すように、フィルム巻取りモータ39は、ヒートローラ35が設けられる二次転写部4側の装置本体10aの上方に位置している。一方、フィルム供給モータ38は、パターン検出センサ1が設けられる装置本体10aの下方に位置した場合の一例である。即ち、本実施形態では、フィルム供給モータ38とフィルム巻取りモータ39の位置が第1実施形態の位置とは逆転した位置に配置されている。
【0065】
また、第1実施形態では、
図6(a),(b)に示す頭出しマーク91aが既に記録されていた転写フィルム91を使用した一例を示した。本実施形態では、一次転写部2における一次転写時にサーマルヘッド100とインクリボン90により転写フィルム91に頭出しマーク91aを記録する一例について説明する。
図10に示すように、本実施形態の記録装置10は、
図1に示した第1実施形態の記録装置10に対して、フィルム供給モータ38とフィルム巻取りモータ39の配置位置が入れ替わったものでり、その他は、第1実施形態と略同様に構成されている。
【0066】
次に、
図11及び
図12を用いて、本実施形態の記録装置10の一次転写部2の制御について説明する。
図11及び
図12は、本実施形態の記録装置10の一次転写部2の制御を示すフローチャートである。
図11に示すステップS21において、MPU11は、記録制御部15によりモータドライバ部16を介してフィルム搬送モータ24を駆動してフィルム搬送ローラ41を回転させ、転写フィルム91をフィルム供給モータ38側に所定時間搬送する。
【0067】
次に、ステップS22において、MPU11は、パターン検出センサ1により転写フィルム91に頭出しマーク91aがあるか否かを検出し、転写フィルム91に頭出しマーク91aがあった場合は、ステップS23に進む。転写フィルム91に頭出しマーク91aが無かった場合には、ステップS38に進む。これは、転写フィルム91が一番最初の未使用状態であるか否かを検出するためのものである。転写フィルム91に頭出しマーク91aが無かった場合には、MPU11は、転写フィルム91が一番最初の未使用状態であると判断する。一方、転写フィルム91に頭出しマーク91aがあった場合は、MPU11は、転写フィルム91が使用状態であると判断する。
【0068】
ステップS23において、転写フィルム91に頭出しマーク91aがあった場合は、MPU11は、転写フィルム91をスタンバイ位置で停止させる。次に、ステップS24において、MPU11は、記録制御部15によりモータドライバ部16を介してフィルム搬送モータ24を駆動してフィルム搬送ローラ41を回転させ、転写フィルム91をサーマルヘッド100側に搬送する。
【0069】
次に、ステップS25において、MPU11は、パターン検出センサ1により転写フィルム91の頭出しマーク91aを検出したか否かを判断する。パターン検出センサ1により転写フィルム91の頭出しマーク91aを検出した場合はステップS26に進む。パターン検出センサ1により転写フィルム91の頭出しマーク91aを検出しなかった場合には、ステップS24に戻る。ステップS26において、MPU11は、記録制御部15によりモータドライバ部16を介してフィルム搬送モータ24を駆動してフィルム搬送ローラ41を回転させ、転写フィルム91をサーマルヘッド100側に所定時間搬送する。
【0070】
次に、ステップS27において、MPU11は、フィルム供給モータ38の起動時の転写フィルム91の搬送速度のバラツキを考慮する。そして、MPU11は、一次転写部2において、予め実験データにより割り出した転写フィルム91の搬送速度が安定する領域Rsを特定する。そして、転写フィルム91の搬送速度が安定する領域Rsから転写フィルム91の実画像領域Rgから外れた余白領域Rmに所定の間隔Toを持ったエンコーダパターン91bを一次転写時に記録していく。
【0071】
次に、ステップS28において、MPU11は、一次転写部2において、転写フィルム91の1パネル分のエンコーダパターン91bを記録したか否かを判断する。転写フィルム91の1パネル分のエンコーダパターン91bを記録した場合には、ステップS29に進む。転写フィルム91の1パネル分のエンコーダパターン91bの記録が未だ終了していなければ、ステップS27に戻る。
【0072】
ステップS29において、MPU11は、記録制御部15によりモータドライバ部16を介してフィルム搬送モータ24を駆動してフィルム搬送ローラ41を回転させ、転写フィルム91を再びスタンバイ位置まで搬送する。次に、ステップS30において、MPU11は、記録制御部15によりモータドライバ部16を介してフィルム搬送モータ24を駆動してフィルム搬送ローラ41を回転させ、転写フィルム91をサーマルヘッド100側に搬送する。
【0073】
ステップS31において、MPU11は、パターン検出センサ1により頭出しマーク91aを検出したか否かを判断する。パターン検出センサ1により頭出しマーク91aを検出した場合には、
図12のステップS32に進む。パターン検出センサ1により頭出しマーク91aを検出しなかった場合には、ステップS30に戻る。ステップS32において、MPU11は、
図7(a),(b)に示すパターン検出センサ1の出力結果によりエンコーダパターン91bの間隔Tを順次分析していく。
【0074】
次に、ステップS33において、MPU11は、ステップS32にて解析したエンコーダパターン91bの間隔Tが所定の間隔Toに対して一致しているか否かを判断する。エンコーダパターン91bの間隔Tが所定の間隔Toに対して一致している場合には、ステップS34に進む。エンコーダパターン91bの間隔Tが所定の間隔Toに対して一致していない場合には、ステップS41に進む。
【0075】
ステップS34において、MPU11は、記録制御部15によりサーマルヘッド100を駆動して第一色目にて転写フィルム91の搬送速度が不安定な領域で記録しなかった未記録領域Ruの余白領域Rmにエンコーダパターン91bを記録する。更に、転写フィルム91の実画像領域Rgに第一色目の実画像を記録する。次に、ステップS35において、MPU11は、目的の色数分(全色)の記録が完了したか否かを判断する。目的の色数分(全色)の記録が完了していれば、ステップS36に進む。目的の色数分(全色)の記録が未だ完了していなければ、ステップS29に戻る。
【0076】
ステップS36において、MPU11は、ステップS34にて最後に記録した色に引き続いて、インクリボン90の次のパネルを利用し、転写フィルム91の次のパネルの頭出しマーク91aを記録する。次に、ステップS37において、MPU11は、一次転写部2での一次転写を終了し、二次転写部4での二次転写の動作に移行する。
【0077】
ステップS22において、転写フィルム91に頭出しマーク91aが無かった場合には、ステップS38に進む。ステップS38において、転写フィルム91に頭出しマーク91aが無かった場合には、MPU11は、記録制御部15によりモータドライバ部16を介してフィルム搬送モータ24を駆動してフィルム搬送ローラ41を回転させる。そして、転写フィルム91をサーマルヘッド100側に所定時間搬送する。
【0078】
次に、ステップS39において、MPU11は、記録制御部15によりサーマルヘッド100を駆動し、インクリボン90の第一色目を利用して転写フィルム91に頭出しマーク91aを記録する。次に、ステップS40において、MPU11は、記録制御部15によりモータドライバ部16を介してフィルム搬送モータ24を駆動してフィルム搬送ローラ41を回転させ、転写フィルム91をサーマルヘッド100側に所定時間搬送する。
【0079】
ステップS33において、エンコーダパターン91bの間隔Tが所定の間隔Toに対して一致していない場合には、ステップS41に進む。ステップS41において、MPU11は、パターン検出センサ1により検出したエンコーダパターン91bの間隔Tと所定の間隔Toとの大小を比較する。パターン検出センサ1により検出したエンコーダパターン91bの間隔Tが所定の間隔Toよりも大きい場合には、ステップS42に進む。パターン検出センサ1により検出したエンコーダパターン91bの間隔Tが所定の間隔Toよりも小さい場合には、ステップS43に進む。
【0080】
ステップS42において、MPU11は、パターン検出センサ1により検出されるエンコーダパターン91bの間隔Tが所定の間隔Toに近づくようにフィルム供給モータ38の駆動電圧を上げる制御を行う。即ち、MPU11は、モータドライバ部16(駆動制御部)を介してパターン検出センサ1により検出されたエンコーダパターン91bの間隔Tが所定の間隔Toよりも大きい場合は、フィルム供給モータ38の駆動電圧を高くする。
【0081】
一方、ステップS43において、MPU11は、パターン検出センサ1により検出されるエンコーダパターン91bの間隔Tが所定の間隔Toに近づくようにフィルム供給モータ38の駆動電圧を下げる制御を行う。即ち、MPU11は、モータドライバ部16(駆動制御部)を介してパターン検出センサ1により検出されたエンコーダパターン91bの間隔Tが所定の間隔Toよりも小さい場合は、フィルム供給モータ38の駆動電圧を低くする。
【0082】
このように、MPU11は、モータドライバ部16(駆動制御部)を介して搬送速度解析手段を兼ねるMPU11により解析した転写フィルム91の搬送速度が所定値と異なる場合を考慮する。そして、MPU11は、転写フィルム91の搬送速度が前記所定値に近付く搬送速度となるようにフィルム供給モータ38の駆動電圧の設定値を変更する。
【0083】
パターン検出センサ1は、エンコーダパターン91bを検出し記録が開始するまでにフィルム供給モータ38(第1駆動部)の駆動制御を変更可能な位置に配置されている。本実施形態のパターン検出センサ1は、
図10の矢印A方向で示す転写フィルム91の搬送方向において、一次転写部2よりも上流側で、フィルム供給モータ38の下流側に設けられている。
【0084】
フィルム供給モータ38の駆動による転写フィルム91の搬送速度は、供給スプーラ6に巻かれた転写フィルム91の供給径によって変化する。そこで、
図12のステップS33、S41乃至S43に示すように、ステップS34での実画像の記録開始前までに、フィルム供給モータ38の駆動による転写フィルム91の搬送速度のバラツキを素早く補正できる。
【0085】
また、本実施形態では、
図6(a),(b)に示す転写フィルム91の頭出しマーク91aをサーマルヘッド100とインクリボン90により記録するため転写フィルム91の製造時のコストを下げることができる。また、本実施形態では、前回のパネルで記録されたエンコーダパターン91bをパターン検出センサ1により検出し、次のパネルを記録する際に活用できるため生産性が向上する。他の構成は前記第1実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
【符号の説明】
【0086】
T,T1~Tn-1,Tn…間隔
1…パターン検出センサ(パターン検出部)
11…MPU(搬送速度解析手段)
16…モータドライバ部(駆動制御部)
39…フィルム巻取りモータ(第2駆動部)
91…転写フィルム
91b…エンコーダパターン(周期的なパターン)