(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155572
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】ラベル構造体及びラベル
(51)【国際特許分類】
G09F 3/02 20060101AFI20221005BHJP
G09F 3/10 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
G09F3/02 M
G09F3/10 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056114
(22)【出願日】2022-03-30
(31)【優先権主張番号】P 2021058193
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小口 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 裕子
(57)【要約】
【課題】ラベルの使用中は被着体の表面に保持することができ、使用者が意図した場合にはラベルに記載された情報を簡単に破棄可能にする。
【解決手段】ラベル構造体は、表面に所定方向に並んだ情報が印字される印字領域を有する基材と、基材の裏面に粘着剤が積層された粘着部と、粘着部を覆うセパレータと、を備え、基材の少なくとも印字領域には、基材切取線により区画された基材区画部が形成されており、基材区画部は、所定方向と交差する方向に延びる複数の交差部を有し、セパレータには、基材区画部に対応する領域の少なくとも一部分に対応する領域に、セパレータ切取線により区画されたセパレータ区画部が形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面に所定方向に並んだ情報が印字される印字領域を有する基材と、
前記基材の他方の面に粘着剤が積層された粘着部と、
前記粘着部を覆うセパレータと、
を備え、
前記基材の少なくとも前記印字領域には、基材切取線により区画された基材区画部が形成されており、
前記基材区画部は、前記所定方向と交差する方向に延びる複数の交差部を有し、
前記セパレータには、前記基材区画部に対応する領域の少なくとも一部分に対応する領域に、セパレータ切取線により区画されたセパレータ区画部が形成された、
ラベル構造体。
【請求項2】
請求項1に記載のラベル構造体であって、
前記セパレータ区画部は、前記基材区画部の輪郭よりも内側の領域に位置するように形成されている、
ラベル構造体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のラベル構造体であって、
前記基材区画部は、更に、前記基材と前記粘着部とからなるラベルの縁辺部に沿って延びる主幹部を有し、
前記交差部の一方の端部が前記主幹部に連結されている、
ラベル構造体。
【請求項4】
請求項3に記載のラベル構造体であって、
前記ラベルは、略矩形状を有し、
前記主幹部は、前記ラベルの縦辺部に沿って形成された縦主幹部と、前記ラベルの横辺部に沿って形成された横主幹部と、を有する、
ラベル構造体。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のラベル構造体であって、
前記基材切取線は、一部が前記基材を貫通したミシン目であり、
前記セパレータ切取線は、前記セパレータを厚み方向に貫通するスリットであり、前記セパレータ区画部の外周に亘って連続して形成されている、
ラベル構造体。
【請求項6】
請求項5に記載のラベル構造体であって、
前記基材区画部を区画する前記基材切取線は、前期基材を貫通するカット部と、前記基材を貫通しないアンカット部とからなり、前記アンカット部は、前記基材区画部を前記基材に繋ぎ留めるための点留め部分と、前記点留め部分よりもアンカット長が長い基材連続部とを有する、
ラベル構造体。
【請求項7】
請求項6に記載のラベル構造体であって、
前記基材連続部は、少なくとも、前記交差部における前記主幹部に連結された端部とは反対側の端部に形成された、
ラベル構造体。
【請求項8】
請求項4から7のいずれか1項に記載のラベル構造体であって、
前記ラベルの前記縦辺部に沿うとともに前記主幹部に連続し、前記ラベルの端部まで延長された切取り片部を有し、
前記セパレータ区画部は、前記切取り片部に対応する領域の少なくとも一部分に対応する領域に及んで形成された、
ラベル構造体。
【請求項9】
一方の面に所定方向に並んだ情報が印字される印字領域を有する基材と、
前記基材の他方の面に粘着剤が積層された粘着部と、
前記粘着部を覆うセパレータと、
を備え、
前記基材の少なくとも前記印字領域には、基材切取線により区画された基材区画部が形成されており、
前記基材区画部は、前記所定方向と交差する方向に延びる複数の交差部を有し、
前記粘着部には、前記基材区画部に対応する領域の少なくとも一部分に対応する領域に非粘着部が形成された、
ラベル。
【請求項10】
請求項9に記載のラベルであって、
前記非粘着部は、前記セパレータの一部が残留したものである、
ラベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベル構造体及びラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
荷物を発送する際に、差出人や受取人の住所、氏名、電話番号等の個人情報が印字されたラベルが荷物に貼り付けられる。これらのラベルは、個人情報保護の観点から、配送後に荷物の外装材とともに廃棄されるか、外装材から剥がされて廃棄される。
【0003】
このような利用のため、ラベルの個人情報が表示された部分を容易に切り離すことができるようにしたラベルが提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載されたラベルは、個人情報が表示された部分の裏面に糊の粘着力を弱くする処理が施され、ミシン目で区切られているため、ラベルの個人情報が表示された部分を被着体である外装材から剥がして回収することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、ラベルの個人情報が表示された部分を剥がして回収することができるが、剥がして回収したラベルの個人情報が表示されている部分を、更に、シュレッダ等により裁断する必要があった。
【0007】
そこで、本発明は、ラベルの使用中は被着体の表面に保持することができ、かつ、ラベルに記載された情報を簡単に破棄可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様によれば、一方の面に所定方向に並んだ情報が印字される印字領域を有する基材と、前記基材の他方の面に粘着剤が積層された粘着部と、前記粘着部を覆うセパレータと、を備え、前記基材の少なくとも前記印字領域には、基材切取線により区画された基材区画部が形成されており、前記基材区画部は、前記所定方向と交差する方向に延びる複数の交差部を有し、前記セパレータには、前記基材区画部に対応する領域の少なくとも一部分に対応する領域に、セパレータ切取線により区画されたセパレータ区画部が形成された、ラベル構造体が提供される。
【発明の効果】
【0009】
上記態様によれば、基材の印字領域に所定方向に並んで印字された情報に対して平行ではなく交差方向に延びる複数の交差部を有する基材区画部が基材切取線により区画されている。このため、使用者によって、基材区画部が切り取られると、基材に印字された情報は、交差方向に分断される。したがって、基材に印字された情報を第三者に認識できないようにして破棄することができる。
【0010】
また、基材区画部の他方の面には、基材区画部に対応する領域にセパレータ切取線によって区画されたセパレータ区画部が形成されている。このため、ラベルにおいて基材区画部の裏面は、被着体に貼り付けられていない。したがって、使用者は、ラベルから基材区画部を切り離す際に、被着体から基材区画部を容易に分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の第一実施形態に係るラベル構造体を表面側からみた平面図である。
【
図2】
図2は、ラベル構造体を裏面側からみた平面図である。
【
図3】
図3は、
図1のIII-III線における断面図である。
【
図4】
図4は、印字領域に文字列が印字されたラベル構造体を説明する平面図である。
【
図5】
図5は、ラベル構造体のセパレータからラベルを剥がした状態を、ラベルの裏面側からみた平面図である。
【
図6】
図6は、ラベル構造体のセパレータからラベルを剥がした状態を、
図3の断面に対応する断面を用いて説明する図である。
【
図7】
図7は、ラベル構造体のセパレータから剥がしたラベルを被着体に貼り付ける様子を、
図3の断面に対応する断面を用いて説明する図である。
【
図8】
図8は、被着体に貼り付けられたラベルから基材区画部を切り離した状態を説明する模式図である。
【
図9】
図9は、被着体に貼り付けられたラベルから基材区画部を切り離した状態を、
図3の断面に対応する断面を用いて説明する図である。
【
図10】
図10は、第二実施形態に係るラベル構造体を表面側からみた平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第一実施形態]
<ラベル構造体の構成>
図1は、第一実施形態に係るラベル構造体1を表面側からみた平面図である。また、
図2は、ラベル構造体1を裏面側からみた平面図である。
図3は、
図1のIII-III線における断面図である。
【0013】
ラベル構造体1は、基材2と、基材2に積層された粘着部3とを備えたラベル4に、粘着部3を覆うセパレータ5が更に積層されたものである。
【0014】
本実施形態において、ラベル構造体1の表面とは、文字列などの情報が印字される表面であり、基材2の一方の面に相当する。また、ラベル構造体1の裏面とは、基材2の他方の面に積層されたセパレータ5の裏面に相当する。
【0015】
本実施形態では、ラベル4の一例として、被着体L(
図8参照)としての荷物に貼り付けられる、いわゆる送り状や荷札として用いられるラベル4について説明する。
【0016】
基材2は、表面に印字領域20を有する。印字領域20には、所定方向に並んだ情報が印字される。印字される情報としては、差出人や受取人の住所、氏名、電話番号等の文字列があげられる。また、所定方向とは、
図1に示される矢印Fの方向であり、文字列M(
図4参照)を表記する方向(以下、文字列方向Fと記す)を示している。
【0017】
印字領域20には、基材区画部21が形成されている。基材区画部21は、基材切取線21Cにより区画されている。また、基材区画部21は、ラベル4の横方向又は縦方向に延びる主幹部24x,24yと、主幹部24x,24yから枝分かれして文字列方向Fに交差する方向に延びる複数の交差部23と、を有する。
【0018】
基材区画部21は、基材切取線21Cによって、周囲の基材2から切り離されるように区画されている。また、基材2の所定の位置、すなわち、本実施形態においては印字領域20の左下に、基材区画部21の切り離し起点部Oとなることを使用者に分かり易く示すための目印Y(
図1における黒矢印)が印字されている。基材区画部21に関する詳細は、後述する。
【0019】
基材2の表面には、印字領域20のほかに、配送に必要な情報等が表されたバーコードB及び2次元コードQが印字されている。
【0020】
なお、バーコードB及び2次元コードQは、後述する差出人や受取人の住所、氏名、電話番号等の文字列が印字されるよりも前に、ラベル構造体1に予め印刷されていてもよいし、差出人や受取人の住所、氏名、電話番号等の文字列の印字とともに印字されてもよい。
【0021】
本実施形態において、基材2としては、例えば、厚紙、上質紙、中質紙、又はこれらに塗工層を適宜形成したコート紙等の紙基材を適用可能である。
【0022】
また、基材2としては、上記紙基材のほか、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンナフタレート等の樹脂フィルム単体又はこれら樹脂フィルムを複数積層してなる多層フィルム等の樹脂フィルム基材を用いることができる。
【0023】
本実施形態においては、基材2の厚さは、10μm以上300μm以下のものを使用可能である。基材2として紙類を用いる場合には、上記範囲のなかでも、50μm以上120μm以下のものを使用することができる。通常、80μm~110μmとすることが好ましい。
【0024】
また、基材2として樹脂フィルムを用いる場合には、上記範囲のなかでも、25μm以上200μm以下、なかでも、基材2は、厚さ10μm~120μmのものを使用することができる。
【0025】
粘着部3は、
図3に示されるように、基材2において情報が印字された面の他方の面に積層されている。粘着部3を形成する粘着剤としては、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系、ゴム系等の粘着剤や接着剤を用いることができる。
【0026】
セパレータ5は、例えば、紙やフィルムに紫外線硬化シリコーン、熱硬化シリコーン、シリコーン溶剤、アルキルペンダントポリマー、或いはフッ素系の剥離剤を紙やフィルムに塗布したものである。これらの塗布面(セパレータ5における表面)が粘着部3に重ねられて仮着している。
【0027】
また、セパレータ5には、
図2に示されるように、基材区画部21(
図2においては、破線で示される)に対応する領域として、セパレータ区画部51が形成されている。セパレータ区画部51は、
図2に示されるように、基材区画部21の輪郭よりも内側の領域に位置するように形成されている。セパレータ区画部51は、セパレータ切取線51Cによって区画されている。
【0028】
以上の構成を備えるラベル構造体1は、基材切取線21Cによって区画された基材区画部21をラベル4から切り離すことができる。また、基材区画部21は、裏面に、セパレータ5から区画されたセパレータ区画部51が仮着されたままの状態で、ラベル4から引き離される。
【0029】
<基材区画部及びセパレータ区画部>
続いて、基材区画部21及びセパレータ区画部51の詳細について説明する。
【0030】
基材区画部21は、交差部23のほかに、ラベル4の縁辺部に沿って延びる基材主幹部を有する。本実施形態では、ラベル4は、略矩形状を有するものである。
【0031】
このため、ラベル4は、縁辺部として縦辺部4yと横辺部4xとを有する。すなわち、ラベル4においては、基材区画部21は、基材主幹部として、ラベル4の縦辺部4yに沿って延びる基材縦主幹部24yと、ラベル4の横辺部4xに沿って延びる基材横主幹部24xとを有する。
【0032】
本実施形態においては、基材縦主幹部24y及び基材横主幹部24xは、一方の端部において互いに連結されており、連結された端部は、切り離し起点部Oを構成する。
【0033】
図1に示されるように、切り離し起点部Oには、使用者に対して、切り離しの起点であることと、その引き剥がし方向とを分かり易く示すための目印Yが印字されている(
図1における黒太矢印)。
【0034】
本実施形態においては、基材縦主幹部24yの幅W1及び基材横主幹部24xの幅W2は、一定に構成されている。また、交差部23の幅W3と交差部23同士の間隔D1も一定に構成されている。
【0035】
基材区画部21を区画する基材切取線21Cは、基材2を厚み方向に貫通するスリットが部分的に形成されたものである。ラベル4がセパレータ5或いは被着体Lに貼り付けられているときに、基材区画部21が周囲の基材2から切り離されて脱落してしまわないように、基材切取線21Cには、
図1に破線丸で示すように、所定の間隔で点留め部分Rが形成されている。すなわち、基材切取線21Cは、一部が基材2を貫通した、粗いミシン目状である。
【0036】
セパレータ区画部51は、基材区画部21の形状に対応する領域に形成されている。
【0037】
図2に示されるように、セパレータ区画部51は、ラベル4の縦辺部4yに沿って延びるセパレータ縦主幹部53yと、ラベル4の横辺部4xに沿って延びるセパレータ横主幹部53xとを有する。また、セパレータ縦主幹部53y及びセパレータ横主幹部53xから分岐し、文字列方向Fに交差して延びる複数のセパレータ交差部54を有する。
【0038】
セパレータ区画部51を区画するセパレータ切取線51Cは、セパレータ5を厚み方向に貫通するスリットであり、セパレータ切取線51Cは、セパレータ区画部51の外周に亘って連続して形成されている。このため、セパレータ区画部51は、周囲のセパレータ5とは完全に切り離されている。
【0039】
セパレータ縦主幹部53yの幅W4及びセパレータ横主幹部53xの幅W5は、一定に構成されている。また、セパレータ交差部54の幅W6とセパレータ交差部54同士の間隔D2も一定に構成されている。
【0040】
セパレータ区画部51は、
図2に示されるように、基材区画部21の輪郭よりも内側の領域に位置するように形成されている。すなわち、セパレータ縦主幹部53yの幅W4は、基材縦主幹部24yの幅W1よりも狭い(W4<W1)。同様に、セパレータ横主幹部53xの幅W5は、基材横主幹部24xの幅W2よりも狭い(W5<W2)。また、セパレータ交差部54の幅W6は、交差部23の幅W3よりも狭い(W6<W3)。
【0041】
すなわち、基材区画部21が切り離されて基材2にできる開口よりも、セパレータ区画部51が小さく形成されている。
【0042】
[作用・効果]
以下、本実施形態に係るラベル構造体1の作用及び効果について説明する。
【0043】
図4は、印字領域20に文字列が印字されたラベル構造体1を説明する平面図である。なお、基材区画部21を区画する基材切取線21Cは、粗いミシン目で形成されるが、
図4では、図面を解りやすくするために、実線で記載している。
図4に示されるように、ラベル4は、プリンタにより、印字領域20に所定方向に並んだ文字列を印字することができる。印字後のラベル4は、セパレータ5から剥がされて、被着体Lに貼り付けられる。
【0044】
図5は、ラベル4をセパレータ5から剥がした状態を、ラベル4の裏面側からみた平面図である。
図6は、ラベル構造体1からセパレータを剥がした状態を、
図3に基づいて説明する断面図である。また、
図7は、ラベル構造体1のセパレータから剥がしたラベル4を被着体Lに貼り付ける様子を、
図3に基づいて説明する断面図である。
【0045】
図5及び
図6に示されるように、本実施形態のラベル構造体1では、ラベル4がセパレータ5から剥がされると、ラベル4の裏面の粘着部3には、基材区画部21に対応する位置に、セパレータ5の一部(セパレータ区画部51)が仮着されたままの状態で付いてくる。
【0046】
ラベル4の裏面の粘着部3において、基材区画部21に対応する領域には、セパレータ5の一部、すなわち、セパレータ区画部51のセパレータ横主幹部53xとセパレータ縦主幹部53yとセパレータ交差部54が仮着された状態で残留するため、
図7に示されるように、ラベル4が被着体Lに貼り付けられても、粘着部3のセパレータ区画部51が残された領域は、非粘着部として機能することで被着体Lには貼り付かない。
【0047】
一方で、ラベル4が送り状ラベルとして使用されている間は、セパレータ区画部51以外の粘着部3の領域が被着体Lに貼り付けられる。ラベル4の裏面に残されたセパレータ区画部51は、粘着部3によって囲まれているため、セパレータ区画部51が残された領域が被着体Lに貼り付かなくとも、ラベル4全体としては、十分な粘着性があり、貼り付き状態を維持することができる。
【0048】
このため、ラベル4は、荷物(被着体L)に貼り付けられて配送される過程において、荷物同士が積載されたり、外表面が隣接する荷物同士で擦れ合ったりすることがあっても、簡単に剥離しない。
【0049】
図8は、被着体に貼り付けられたラベルから基材区画部21を切り離した状態を説明する模式図である。また、
図9は、被着体に貼り付けられたラベルから基材区画部を切り離した状態を、
図3に基づいて説明する断面図である。
【0050】
ラベル4から基材区画部21を切り離す際には、使用者が意図的に基材区画部21を切り離し起点部Oから矢印方向に引き離す動作が必要となる。
【0051】
この引き離し動作により、基材区画部21と周囲の基材2とを連結している点留め部分Rが破断し、基材区画部21が基材2から切り離される。
【0052】
このとき、粘着部3の基材区画部21の裏面に対応する領域は、セパレータ区画部51に阻害されて被着体Lには貼り付いていないため、基材切取線21Cにおいてラベル4から基材区画部21を切り離す際に、基材区画部21を容易に切り離すことができる。
【0053】
また、セパレータ区画部51は、基材区画部21が切り離されて基材2にできる開口よりも小さく形成されている。このため、基材区画部21をスムースに剥がすことができる。また、基材2にできる基材区画部21の抜けた孔にセパレータ区画部51の外縁が引っかかることがない。
【0054】
したがって、ラベル4から基材区画部21を容易に切り離すことができる。
【0055】
また、基材区画部21がラベル4から切り離されることにより、文字列方向Fに対して交差するように形成された交差部23が基材2から離れ、印字領域20に印字された文字列が基材2と基材区画部21とに分断される。このため、基材2には、一部が欠落することで識別できなくなった文字列が残される。
【0056】
したがって、ラベル構造体1によれば、シュレッダ等を用いることなく、基材2に印字された情報を第三者に認識できないようにして破棄することができる。
【0057】
[第二実施形態]
<ラベル構造体の構成>
図10は、第二実施形態に係るラベル構造体10を表面側からみた平面図である。
【0058】
第二実施形態に係るラベル構造体10では、第一実施形態と同様に印字領域20に基材区画部121が形成されている。基材区画部121の輪郭を形成する基材切取線121Cは、基材2を厚さ方向に貫通するスリットが部分的に形成されたカット部と、カットされていないアンカット部とからなるミシン目である。基材切取線121Cには、所定の間隔で点留め部分Rが形成されている。更に、基材切取線121Cには、点留め部分Rよりもアンカット長が長い基材連続部123e,124eが形成されている。
【0059】
基材区画部121は、ラベル4の縦辺部4yに沿って延びる基材縦主幹部124yと、ラベル4の横辺部4xに沿って延びる基材横主幹部124xとを有する。また、基材縦主幹部124yと基材横主幹部124xとから枝分かれして、文字列方向Fに交差する方向に延びる複数の交差部123を有する。
【0060】
また、基材区画部121は、切取り片部125を有する。基材縦主幹部124yは、文字列方向Fに交差する方向に、ラベル4の端部まで延長された切取り片部125と連なっている。
【0061】
第二実施形態においては、切取り片部125のラベル4の端部に位置する部分が切り離し起点部O’となる。セパレータ5には、切取り片部125の領域に対応する領域に、セパレータ切取線151Cにより区画されたセパレータ区画部151が及んで形成されている。セパレータ区画部151は、ラベル4の端部の手前まで延長されている。
【0062】
基材連続部123eは、複数の交差部123における基材縦主幹部124y又は基材横主幹部124xに連続する起点部とは反対の端部に形成されている。
【0063】
基材連続部124eは、基材横主幹部124xにおける切取り片部125が形成された側とは反対側の端部に形成されている。
【0064】
基材連続部123e,124eは、基材2が連続した部分である。
【0065】
図10において、セパレータ区画部151は、第一実施形態と同様に、基材区画部121の輪郭よりも内側の領域に位置するように形成されている。セパレータ区画部151は、基材連続部123eに対応する部分も連続してカットされている。すなわち、セパレータ区画部151は、セパレータ切取線151Cによって、周囲のセパレータ5とは完全に切り離されている。
【0066】
第二実施形態に係るラベル構造体10によれば、切取り片部125がラベル4の端部にまで延長されており、対応するセパレータ区画部151もラベル4の端部の手前まで延長されている。そのため、被着体Lに貼り付けられたラベル4において、切取り片部125付近がラベル4の一部(基材区画部121)を剥がし取るための切っ掛け(切り離し起点部O’)となる。
【0067】
このため、ユーザーが被着体Lに貼り付けられたラベル4における切取り片部125の端を摘まんで剥がした際に、基材切取線121Cに区画された基材区画部121が交差部123に沿って櫛形に剥がされていく。
【0068】
そして、基材区画部121が基材連続部123e,124eまで剥がされると、基材連続部123e,124eの先の基材2が被着体Lに貼り付いているため、基材区画部121から先の基材2が不規則に破れていく。多くの場合、基材2は、表面側と粘着剤側の2層に裂けて破断する。
【0069】
したがって、印字領域20に印字された文字列が基材2と基材区画部121とに分断されることに加え、基材区画部121以外の部分においても、基材2の一部が不規則な形状に破断するため、基材2に印字された情報を第三者に認識できないようにする効果が更に高められる。
【0070】
なお、ラベル4には、切取り片部125に基材2のみを貫通する、或いは基材2からセパレータ5まで貫通する切り込み152を形成しておいてもよい。切り込み152は、切取り片部125の剥がし代として機能する。切り込み152は、切取り片部125を剥がすための切っ掛けとなる形状であればよく、形状及び数は、任意である。
【0071】
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は、本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0072】
基材縦主幹部24yの幅W1は、切り離し起点部Oから遠ざかるにつれて、幅広になるように形成されていてもよい。また、幅狭になるように形成されていてもよい。なお、基材横主幹部24xの幅W2、交差部23の幅W3についても同様である。
【0073】
なお、上述のように、基材区画部21の形状を変更する場合には、セパレータ区画部51の形状も基材区画部21に対応する形状に変更される。
【0074】
また、基材区画部21の形状は、
図1に示す形状に限定されない。例えば、切り離し起点部Oから交差部23が放射状に形成されていてもよい。また、基材区画部21の輪郭が曲線を含んでいてもよい。
【0075】
本実施形態では、切り離し起点部Oからの引き剥がし方向が左下から右上に向かうように説明されているが、これに限定されない。また、切り離し起点部Oの位置も左下に限定されない。交差部23の延びる方向に沿って基材区画部21を引き剥がすことのできる方向であればよい。
【0076】
本実施形態において、セパレータ区画部51は、基材区画部21の形状に対応する領域に形成されているが、セパレータ区画部51は、基材区画部21の形状に対応する領域内にあって、基材区画部21の裏面が被着体Lに完全に貼り付けられることを妨げることのできる形状であればよい。基材区画部21に対応する領域内において島状に点在するものであってもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 ラベル構造体
2 基材
3 粘着部
4 ラベル
4x 横辺部
4y 縦辺部
5 セパレータ
10 ラベル構造体
20 印字領域
21 基材区画部
21C 基材切取線
23 交差部
24x 基材横主幹部
24y 基材縦主幹部
51 セパレータ区画部
51C セパレータ切取線
53x セパレータ横主幹部
53y セパレータ縦主幹部
54 セパレータ交差部
121 基材区画部
121C 基材切取線
123 交差部
123e 基材連続部
124e 基材連続部
124x 基材横主幹部
124y 基材縦主幹部
125 切取り片部
151 セパレータ区画部
151C セパレータ切取線
152 切り込み
B バーコード
O 切り離し起点部
O’ 切り離し起点部
Q 2次元コード
R 点留め部分
Y 目印
W1,W2,W3,W4,W5,W6 幅
D1,D2 間隔