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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155598
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】ロボット装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/00 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
B25J19/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021058906
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 喬之
(72)【発明者】
【氏名】石川 智己
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS10
3C707CS08
3C707CY13
3C707CY24
3C707HS16
3C707HS21
3C707LV22
(57)【要約】
【課題】流体供給装置の制御の煩雑化を抑制しつつ、少なくとも1つの人工筋肉を含むロボット装置のエネルギ効率を良好に確保すると共に当該人工筋肉を適正に作動させる。
【解決手段】本開示のロボット装置は、流体の供給を受けて作動する少なくとも1つの人工筋肉と、人工筋肉に流体を給排する流体供給装置とを含み、流体供給装置は、流体の供給源と、当該供給源からの流体の圧力または流量を調整して人工筋肉に供給する流体調整部とを含み、供給源から流体調整部に供給される元圧を第1目標圧および第1目標圧よりも低い第2目標圧の何れか一方に調整する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の供給を受けて作動する少なくとも1つの人工筋肉と、前記人工筋肉に前記流体を給排する流体供給装置とを含むロボット装置であって、
前記流体供給装置は、前記流体の供給源と、前記供給源からの前記流体の圧力または流量を調整して前記人工筋肉に供給する流体調整部とを含み、前記供給源から前記流体調整部に供給される元圧を第1目標圧および前記第1目標圧よりも低い第2目標圧の何れか一方に調整するロボット装置。
【請求項2】
請求項1に記載のロボット装置において、
複数の関節と、複数のリンクと、前記関節を介して連結された対応する2つの前記リンクを相対的に回動させる複数の前記人工筋肉とを更に備え、
前記第2目標圧は、複数の前記人工筋肉の各々を自然状態から所定量だけ収縮させ得る圧力であるロボット装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のロボット装置において、
前記供給源は、流体貯留部から前記流体を吸入して吐出するポンプであり、
前記流体供給装置は、前記流体調整部に供給される前記元圧が前記第1および第2目標圧の何れか一方になるように前記ポンプを制御する制御装置と、前記元圧が前記第1目標圧よりも高い上限圧を超えないように前記ポンプから吐出される前記流体の圧力を制限するリリーフ弁と、前記元圧が前記第2目標圧になるように前記ポンプから吐出される前記流体の一部を前記流体貯留部側に流出させるオリフィスとを含むロボット装置。
【請求項4】
請求項3に記載のロボット装置において、
前記リリーフ弁は、前記元圧が前記第2目標圧になるように前記ポンプが制御されるときに、前記ポンプから吐出される前記流体の一部を第1排出ポートから流出させ、前記元圧が前記第1目標圧になるように前記ポンプが制御されると共に前記ポンプの吐出圧が前記上限圧よりも高いときに、前記ポンプから吐出される前記流体の一部を第2排出ポートから流出させ、
前記オリフィスは、前記リリーフ弁の前記第1排出ポートに接続された流体通路に配置されるロボット装置。
【請求項5】
請求項4に記載のロボット装置において、
前記流体は、液体であり、
前記流体供給装置は、前記リリーフ弁の前記第2排出ポートに連通する入力ポートを有すると共に前記リリーフ弁からの前記流体を減圧して前記流体貯留部へと流出させる第2のリリーフ弁を含むロボット装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流体の供給を受けて作動する少なくとも1つの人工筋肉と、当該人工筋肉に流体を給排する流体供給装置とを含むロボット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、両端部が栓体で閉じられたゴムチューブと、当該ゴムチューブを覆う網体とを有する2つの人工筋肉(ゴム人工筋)を含む関節装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この関節装置は、2つの人工筋肉に加えて、基台と、支持部材を介して基台により支持されたプーリと、プーリに固定されたアームと、プーリの回転中立に対して両側に位置するように基台に取り付けられると共に人工筋肉の一端がそれぞれ連結される2つの係止ブラケットと、2つの人工筋肉の他端に連結されると共にプーリに巻き掛けられるロープとを含む。また、各人工筋肉の出入口は、導電性作動液を圧送する液圧源に圧力制御弁を介して接続されている。これにより、各人工筋肉は、出入口に作動液が流入することで、軸方向に収縮しながら径方向に膨張し、出入口から作動液が流出することで、径方向に収縮しながら軸方向に伸長する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63-216691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような人工筋肉を適正に作動させるためには、各圧力制御弁に対して高圧の作動液を供給する必要があるが、各圧力制御弁に対して高圧の作動液を常時供給するのは、エネルギ効率の面で好ましくない。その一方で、エネルギ効率の改善を優先すると、供給源の制御が煩雑化するおそれがある。
【0005】
そこで、本開示は、流体供給装置の制御の煩雑化を抑制しつつ、少なくとも1つの人工筋肉を含むロボット装置のエネルギ効率を良好に確保すると共に当該人工筋肉を適正に作動させることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のロボット装置は、流体の供給を受けて作動する少なくとも1つの人工筋肉と、前記人工筋肉に前記流体を給排する流体供給装置とを含むロボット装置であって、前記流体供給装置が、前記流体の供給源と、前記供給源からの前記流体の圧力または流量を調整して前記人工筋肉に供給する流体調整部とを含み、前記供給源から前記流体調整部に供給される元圧を第1目標圧および前記第1目標圧よりも低い第2目標圧の何れか一方に調整するものである。
【0007】
本開示のロボット装置において、流体供給装置は、供給源から流体調整部に供給される元圧を第1目標圧および当該第1目標圧よりも低い第2目標圧の何れか一方になるように調整する。これにより、第1目標圧を十分に高く定めると共に、第2目標圧を比較的低い待機圧として定めることで、流体供給装置すなわち供給源の制御の煩雑化を抑制しつつ、少なくとも1つの人工筋肉を含むロボット装置のエネルギ効率を良好に確保すると共に当該人工筋肉を適正に作動させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示のロボット装置を示す概略構成図である。
図2】本開示のロボット装置を示す拡大図である。
図3】本開示のロボット装置の流体供給装置を示す系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図面を参照しながら、本開示の発明を実施するための形態について説明する。
【0010】
図1は、本開示のロボット装置1を示す概略構成図であり、図2は、ロボット装置1を示す拡大図である。これらの図面に示すロボット装置1は、ロボットアーム2と、流体供給装置(液体供給装置)10とを含む。本実施形態において、ロボット装置1は、指定された目的位置まで自走可能な、いわゆる無人搬送車(AGV)である搬送台車20に搭載される。ただし、ロボット装置1は、搬送台車20に搭載されるものに限られず、予め定められた設置箇所に定置されてもよい。
【0011】
ロボットアーム2は、複数(本実施形態では、3つ)の関節(ピン結合部)J1,J2,J3と、複数(本実施形態では、3つ)のアーム(リンク)3と、関節J1,J2,J3ごとに例えば偶数個(本実施形態では、2つ)ずつ設けられる人工筋肉としての複数の流体アクチュエータ(液圧アクチュエータ)M1,M2,M3,M4,M5,M6と、先端側のアーム3に取り付けられる把持部(手先)としてのハンド部(ロボットハンド)4とを含む多関節アームである。ロボットアーム2のハンド部4は、対象となる物体(以下、「把持対象」という。)を把持するようにロボット装置1の制御装置100(図3参照)により制御される。また、流体供給装置10は、当該制御装置100により制御されて各流体アクチュエータM1-M6に流体(作動流体)としての作動油(液体)を給排する。これにより、ロボットアーム2を油圧(液圧)により駆動してハンド部4を所望の位置に移動させることができる。
【0012】
ロボットアーム2の各流体アクチュエータM1-M6は、図2に示すように、作動油の圧力によって膨張するチューブTと、当該チューブTを覆う編組スリーブSとを含む、いわゆるマッキベン型の人工筋肉である。チューブTは、高い耐油性をもった例えばゴム材等の弾性材により円筒状に形成されており、当該チューブTの両端部は、封止部材Cにより封止されている。チューブTの基端側(流体供給装置10側、図2中下端側)の封止部材Cには、作動油の出入口IOが形成されている。編組スリーブSは、所定方向に配向された複数のコードを互いに交差するように編み込むことにより円筒状に形成されており、軸方向および径方向に収縮可能である。編組スリーブSを形成するコードとしては、繊維コード、高強度繊維、極細のフィラメントによって構成される金属製コード等を採用することができる。このような流体アクチュエータM1-M6のチューブT内に上記出入口IOから作動油を供給して当該チューブT内の作動油の圧力を高めることで、チューブTは、編組スリーブSの作用により径方向に膨張すると共に軸方向に収縮し、内部の作動油の圧力に応じた収縮力を発生する。
【0013】
図1および図2に示すように、複数のアーム3のうち、最基端側(最も流体供給装置10側)のアーム3は、関節J1を介してリンクとしての支持部材5により回動自在に支持される。また、2つのアーム3同士が、関節J2またはJ3を介して互いに回動自在に連結される。更に、流体供給装置10側の2つのアーム3の先端部(手先側の端部)には、連結部材6が固定されている。図示するように、支持部材5は、最基端側の関節J1に対応した流体アクチュエータM1の基端側の封止部材Cを第1の連結軸を介して回動自在に支持すると共に、当該関節J1に対応した流体アクチュエータM2の基端側の封止部材Cを第2の連結軸を介して回動自在に支持する。
【0014】
また、各連結部材6は、基端側に位置する関節J1またはJ2に対応した流体アクチュエータM1またはM3の先端側(手先側)の封止部材Cを第1の連結軸を介して回動自在に支持すると共に、関節J1またはJ2に対応した流体アクチュエータM2またはM4の先端側(手先側)の封止部材Cを第2の連結軸を介して回動自在に支持する。更に、各連結部材6は、先端側に位置する関節J2またはJ3に対応した流体アクチュエータM3またはM5の基端側の封止部材Cを第1の連結軸を介して回動自在に支持すると共に、関節J2またはJ3に対応した流体アクチュエータM4またはM6の基端側の封止部材Cを第2の連結軸を介して回動自在に支持する。
【0015】
これにより、関節J1-J3の関節軸から手先側(ハンド部4側)に延びる各アーム3の両側には、流体アクチュエータM1-M6のうちの対応する2つが当該アーム3と平行に配列される。そして、各アーム3の一側に配置される流体アクチュエータM1,M3,M5は、1つの関節J1,J2またはJ3に対応した第1の人工筋肉(一方の拮抗筋)を構成し、各アーム3の他側に配置される流体アクチュエータM2,M4,M6は、当該第1の人工筋肉と対をなす1つの関節J1,J2またはJ3に対応した第2の人工筋肉を構成する。
【0016】
ただし、第1および第2の人工筋肉は、それぞれ2つ以上(同数)の流体アクチュエータにより構成されてもよく、第1の人工筋肉を構成する流体アクチュエータの数と、第2の人工筋肉を構成する流体アクチュエータの数とが異なっていてもよい。更に、本実施形態において、1つの関節J1,J2またはJ3に対して設けられる複数(2つ)の流体アクチュエータM1,M2等は、互いに同一の諸元を有するが、第1の人工筋肉を構成する流体アクチュエータの諸元と、第2の人工筋肉を構成する流体アクチュエータの諸元とが異なっていてもよい。
【0017】
また、本実施形態において、各アーム3は、中空に形成されており、各アーム3の内部には、流体供給管としての複数のホースH(図2における破線参照)が配置される。各ホースHは、対応する流体アクチュエータM1-M6の基端側の封止部材Cに形成された出入口IOに接続され、流体アクチュエータM1-M6のチューブT内には、ホースHを介して流体供給装置10からの作動油(油圧)が供給される。
【0018】
従って、制御装置100により流体供給装置10を制御することで、第1の人工筋肉を構成する流体アクチュエータM1等のチューブT内の油圧と、第1の人工筋肉と対をなす第2の人工筋肉を構成する流体アクチュエータM2等のチューブT内の油圧とを互いに異ならせることができる。これにより、互いに拮抗するように配置された2つの流体アクチュエータM1,M2等すなわち対をなす(1組の)第1および第2の人工筋肉から連結部材6を介して各アーム3に力(回転トルク)を伝達し、支持部材5または基端側のアーム3に対して各アーム3を回動させて関節J1-J3の関節角度を変化させることが可能となる。本実施形態において、第1の人工筋肉を構成する流体アクチュエータM1等と、第1の人工筋肉と対をなす第2の人工筋肉を構成する流体アクチュエータM2等とは、チューブTが自然状態から所定量(例えば、自然長の10%程度)だけ軸方向に収縮した状態を初期状態として流体供給装置10からの油圧により駆動される。
【0019】
上記流体アクチュエータM1-M6等に作動油を供給するロボット装置1の流体供給装置10は、図1に示すように、作動油貯留部(流体貯留部)を画成するタンク11と、当該タンク11を上下方向に延びる回転軸(図1における一点鎖線参照)の周りに回転自在に支持するベース部12とを含む。タンク11は、例えば上端および下端が閉鎖された筒体であり、内部に作動油を貯留可能なものである。本実施形態において、ロボットアーム2の支持部材5は、タンク11の回転軸と同軸に延在するように、タンク11の上壁部11uに図示しないボルト等を介して固定される(図2参照)。すなわち、ロボットアーム2は、流体供給装置10のタンク11(上壁部11u)により支持される。
【0020】
ベース部12は、ロボットアーム2およびタンク11の下方に位置するように搬送台車20に搭載(固定)される。また、ベース部12は、タンク11を上記回転軸の周りに所定角度(例えば360°)だけ回転させる図示しない回転駆動ユニットを支持している。これにより、回転駆動ユニットを作動させることで、ロボットアーム2を当該回転軸の周りにタンク11と一体に回転させることが可能となる。本実施形態において、回転駆動ユニットは、流体供給装置10から供給される油圧により駆動される揺動モータである。ただし、当該回転駆動ユニットは、電動モータやギヤ機構等を含むものであってもよい。
【0021】
更に、流体供給装置10は、図3に示すように、タンク11およびベース部12に加えて、流体供給源としてのポンプ13と、タンク11内に配置される図示しないバルブボディと、第1リリーフ弁(圧力制御弁)RV1と、第2リリーフ弁RV2と、逆止弁CVと、アキュムレータ(蓄圧器)14と、流体調整バルブ(流体調整部)としての複数のリニアソレノイドバルブ151,152,153,154,155,156およびコントロールバルブ(圧力制御弁)16とを含む。
【0022】
ポンプ13は、制御装置100により制御される電動ポンプであり、タンク11内に貯留された作動油を吸入して吐出口から油路L1に吐出(圧送)する。本実施形態において、ポンプ13は、タンク11内に配置されるポンプ部と、電動モータや減速ギヤ機構、制御装置100により制御されるインバータ等の駆動回路等を有すると共にタンク11内またはタンク11外に配置される駆動ユニット130とを含む。
【0023】
第1リリーフ弁RV1は、ポンプ13により吐出された作動油の圧力を予め定められた一定の上限圧(制限圧)Plim(上限値、本実施形態では、例えば6-7MPa程度)を超えないように制限するものである。本実施形態において、第1リリーフ弁RV1は、バルブボディ内に配置されるスプールS1および当該スプールS1を付勢するスプリングSP1を含むリリーフバルブである。更に、第1リリーフ弁RV1は、上記油路L1に連通する入力ポートi1と、第1排出ポートda1と、第2排出ポートdb1とを含む。
【0024】
ポンプ13から入力ポートi1に作動油が供給されない第1リリーフ弁RV1の取付状態において、当該第1リリーフ弁RV1は、スプールS1がスプリングSP1により付勢されて入力ポートi1と第1排出ポートda1とを連通させる第1連通状態を形成する。また、ポンプ13の吐出圧すなわちポンプ13から入力ポートi1に供給される作動油の圧力が予め定められた比較的低い待機圧Pst(第2目標圧、本実施形態では、例えば1000kPa程度)よりも高く、かつ上記上限圧Plimよりも十分に低く定められた切替圧(本実施形態では、例えば1-2MPa程度)未満であるときに、第1リリーフ弁RV1は、スプールS1が入力ポートi1と第1排出ポートda1とを連通させる上記第1連通状態を形成する。
【0025】
更に、ポンプ13から入力ポートi1に供給される作動油の圧力が上記切替圧以上であり、かつ上限圧Plimを超えていないときに、第1リリーフ弁RV1は、スプールS1がスプリングSP1の付勢力に抗して入力ポートi1と第1および第2排出ポートda1,db1との連通を遮断する遮断状態を形成する。また、ポンプ13から入力ポートi1に供給される作動油の流量が必要供給流量を上回って当該作動油の圧力が上限圧Plimに達すると、第1リリーフ弁RV1は、スプールS1がスプリングSP1の付勢力に抗して入力ポートi1と第2排出ポートdb1とを連通させる第2連通状態を形成する。
【0026】
図3に示すように、第1リリーフ弁RV1の第1排出ポートda1は、図示しないバルブボディに形成された油路L0を介してタンク11内の作動油貯留部に連通する。また、油路L0には、第1排出ポートda1に近接するようにオリフィスOrが設置されている。オリフィスOrには、ポンプ13から入力ポートi1に供給される作動油の圧力が上記切替圧未満であって第1リリーフ弁RV1のスプールS1が第1連通状態を形成するときに、第1リリーフ弁RV1の第1排出ポートda1からの作動油が流入する。そして、オリフィスOrのオリフィス径等の諸元は、ポンプ13が予め定められている下限回転数より所定値だけ高い回転数で作動したときに当該ポンプ13から供給された作動油の通過により発生する前後差圧が、上記待機圧Pstになるように定められている。この際、下流側すなわちタンク11側の作動油の圧力が概ねゼロであるため、上流側すなわち第1排出ポートda1における作動油の圧力は上記待機圧Pstになる。
【0027】
第2リリーフ弁RV2は、バルブボディ内に配置されるスプールS2および当該スプールS2を付勢するスプリングSP2を含む。更に、第2リリーフ弁RV2は、バルブボディに形成された油路を介して第1リリーフ弁RV1の第2排出ポートdb1に連通する入力ポートi2と、上記オリフィスOrの下流側で上記油路L0に連通する排出ポートdb2とを含む。かかる第2リリーフ弁RV2は、第1リリーフ弁RV1から排出される作動油を一時的に堰き止めて所定圧まで昇圧させると共に、昇圧させた圧力によりスプールを移動させて減圧させた作動油を排出ポートdb2からタンク11内の作動油貯留部へと流出させる。
【0028】
逆止弁CVは、ポンプ13(および第1リリーフ弁RV1)側すなわち油路L1からの作動油を油路LLに流出させると共に、油路LLから油路L1すなわちポンプ13(および第1リリーフ弁RV1)側への作動油の流通を規制する。アキュムレータ14は、逆止弁CVの下流側で油路LLにバルブ等を介在させることなく直結(接続)された作動油の出入口を有しており、ポンプ13側からの油圧を蓄える。また、アキュムレータ14としては、最高作動圧が上記上限圧Plim以上であるものが用いられる。更に、油路LLには、逆止弁CVの下流側かつアキュムレータ14の上流側で当該油路LLにおける作動油の圧力(元圧)を検出する元圧センサPSが設置されている。
【0029】
リニアソレノイドバルブ151-156は、共通の構成を有しており、それぞれバルブボディ内に配置されると共に制御装置100により制御される。本実施形態において、リニアソレノイドバルブ151は、コントロールバルブ16への信号圧を調整し、リニアソレノイドバルブ152は、流体アクチュエータM2への油圧(駆動圧)を調整する。また、リニアソレノイドバルブ153は、流体アクチュエータM3への油圧(駆動圧)を調整し、リニアソレノイドバルブ154は、流体アクチュエータM4への油圧(駆動圧)を調整する。更に、リニアソレノイドバルブ155は、流体アクチュエータM5への油圧(駆動圧)を調整し、リニアソレノイドバルブ156は、流体アクチュエータM6への油圧(駆動圧)を調整する。
【0030】
図3に示すように、リニアソレノイドバルブ151-156は、制御装置100により通電制御される電磁部15eと、バルブボディにより保持されるスリーブ内に軸方向に移動可能に配置されるスプール15sと、スプール15sを電磁部15e側(出力ポート15o側から入力ポート15i側、図3中上側)に付勢するスプリング15spとを含む。更に、リニアソレノイドバルブ151-156は、入力ポート15iと、出力ポート15oと、出力ポート15oに連通するフィードバックポート15fと、入力ポート15iおよび出力ポート15oと連通可能なドレンポート15dとを含む。リニアソレノイドバルブ151-156の入力ポート15iは、アキュムレータ14の下流側で油路LLにそれぞれ連通する。また、リニアソレノイドバルブ152-156の出力ポート15oは、バルブボディに形成された油路やホースH等を介して対応する流体アクチュエータM2-M6(チューブT)の作動油の出入口IOに連通する。更に、リニアソレノイドバルブ151-156のドレンポート15dは、それぞれ油路LDを介してタンク11内の作動油貯留部に連通する。
【0031】
本実施形態において、リニアソレノイドバルブ151-156は、電磁部15eに電流が供給される際に開弁する常閉弁であり、各電磁部15eは、印加される電流に応じて入力ポート15iと出力ポート15oとを連通させるようにスプール15sを軸方向に移動させる。これにより、電磁部15e(コイル)への給電により発生する推力と、スプリング15spの付勢力と、出力ポート15oからフィードバックポート15fに供給された油圧(駆動圧)によりスプール15sに作用する電磁部15e側への推力とをバランスさせることで、入力ポート15iに供給されたポンプ13(および第1リリーフ弁RV1)側からの作動油を所望の圧力に調整して出力ポート15oから流出させることが可能となる。
【0032】
また、流体アクチュエータM1-M6側に供給される油圧(信号圧または駆動圧)をリニアソレノイドバルブ151-156にフィードバックすることで、人工筋肉としての流体アクチュエータM1-M6により駆動されるロボットアーム2に当該流体アクチュエータM1-M6以外からの外力が加えられたときに、当該外力による流体アクチュエータM1-M6のチューブTの体積変化に応じた油圧の変動を吸収することができる。加えて、当該外力が無くなった後には、速やかに要求に応じた油圧(駆動圧)を流体アクチュエータM1-M6に供給することが可能となる。
【0033】
コントロールバルブ16は、リニアソレノイドバルブ151からの信号圧に応じて油路LLからの作動油の圧力を調整し、要求出力(収縮力と収縮速度との積)の最大値が全流体アクチュエータM1-M6の中で最大となる流体アクチュエータM1のチューブTに供給するものである。コントロールバルブ16は、バルブボディ内に配置されるスプール16sおよび当該スプール16sを付勢するスプリング16spを含むスプールバルブである。また、コントロールバルブ16は、図3に示すように、入力ポート16iと、出力ポート16oと、フィードバックポート16fと、信号圧入力ポート16cと、ドレンポート16dとを含む。
【0034】
入力ポート16iは、アキュムレータ14の下流側で油路LLに連通する。出力ポート16oは、バルブボディに形成された油路やホースH等を介して流体アクチュエータM1(チューブT)の作動油の出入口IOに連通する。フィードバックポート16fは、バルブボディに形成された油路を介して出力ポート16oに連通する。信号圧入力ポート16cは、バルブボディに形成された油路を介してリニアソレノイドバルブ151の出力ポート15oに連通する。ドレンポート16dは、油路LDを介してタンク11内の作動油貯留部に連通する。
【0035】
かかるコントロールバルブ16のスプール16sは、電磁部15eに印加される電流に応じたリニアソレノイドバルブ151からの信号圧が作用することで、スプリング16spの付勢力に抗して軸方向に移動する。これにより、信号圧の作用によりスプール16sに付与される推力と、スプリング16spの付勢力と、出力ポート16oからフィードバックポート16fに供給された油圧(駆動圧)によりスプール16sに作用する推力とをバランスさせることで、入力ポート16iに供給されたポンプ13(および第1リリーフ弁RV1)側からの作動油の一部を適宜ドレンポート16dを介してドレンして出力ポート16oから流体アクチュエータM1のチューブTへと供給される作動油を所望の圧力に調整することができる。
【0036】
ロボット装置1の制御装置100は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェース等を含むマイクロコンピュータや各種ロジックIC等(何れも図示省略)を含む。制御装置100は、上記元圧センサPSや、リニアソレノイドバルブ151-156等の電源の電圧を検出する図示しない電圧センサ等の検出値を入力する。また、制御装置100は、元圧センサPSにより検出される油路LLにおける油圧(元圧)が目標値になるように、ポンプ13の駆動ユニット130を制御する。更に、制御装置100は、リニアソレノイドバルブ151-156の電磁部15eに供給される電流を制御する。
【0037】
続いて、上述のように構成されるロボット装置1の動作について説明する。
【0038】
図示しない起動スイッチがオフされてロボット装置1の動作が完全に停止している際、ハンド部4は、図示しない支持台に形成された係止部により保持される。これにより、ロボットアーム2の姿勢は、予め定められた待機姿勢に強制的に保持される。また、ロボット装置1の起動スイッチがオンされてシステム起動が完了すると、制御装置100は、元圧センサPSの検出値に基づいて、リニアソレノイドバルブ151-156に供給される油路LLにおける油圧(元圧)が上記待機圧Pst(例えば1000kPa程度)になるようにポンプ13を制御する。
【0039】
本実施形態において、待機圧Pstは、複数の流体アクチュエータM1-M6の各々を自然状態から上記初期状態まで軸方向に収縮させることができる圧力(例えば700-900kPa程度)よりも所定値だけ高い圧力に定められている。また、油路LLにおける油圧(元圧)が待機圧Pstに設定される際、ポンプ13は、予め定められている下限回転数以上の回転数で作動するように制御される。この際、第1リリーフ弁RV1は、上記第1連通状態を形成し、ポンプ13から吐出される作動油の一部は、当該第1連通状態を形成する第1リリーフ弁RV1、オリフィスOrおよび油路L0を介してタンク11の流体貯留部へと流出させられる。これにより、第1リリーフ弁RV1の入力ポートi1並びに油路LLにおける油圧(元圧)がオリフィスOrによって待機圧Pstになるように調整されることになる。
【0040】
次いで、制御装置100は、予め定められた順番で流体アクチュエータM1-M6のチューブTに作動油を充填して各チューブTを上記初期状態とするようにリニアソレノイドバルブ151-156の電磁部15eへの電流を制御する。これにより、流体アクチュエータM1-M6のチューブTには、コントロールバルブ16およびリニアソレノイドバルブ152-156の対応する何れかから作動油が供給され、各チューブTは、自然状態から所定量(例えば、自然長の10%程度)だけ軸方向に収縮する。これ以後、ハンド部4が上記支持台等に載置されてロボット装置1の動作が停止されるまで、リニアソレノイドバルブ151-156の各電磁部15eには継続して電流が供給され、リニアソレノイドバルブ151-156は、ポンプ13側からの作動油の圧力を電磁部15eに供給される電流に応じて調整する。
【0041】
上述のようなロボット装置1の作業開始準備の完了後、ロボットアーム2およびハンド部4を用いた作業の開始が指示されると、制御装置100は、元圧センサPSの検出値に基づいて、油路LLにおける油圧(元圧)が予め定められた比較的高い常用圧Pw(第1目標圧、本実施形態では、例えば5-6MPa程度)になるようにポンプ13を制御する。本実施形態において、常用圧Pwは、上記待機圧Pstおよび切替圧よりも高く、上限圧Plimよりも低く、かつアキュムレータ14の最低作動圧以上に定められている。更に、制御装置100は、外部(支持台)からの強制力無しにロボットアーム2を上記待機姿勢に保持するのに要求される油圧が予め定められた順番で流体アクチュエータM1-M6のチューブTに供給されるようにリニアソレノイドバルブ151-156の電磁部15eへの電流を制御する。
【0042】
そして、制御装置100は、コントロールバルブ16およびリニアソレノイドバルブ152-156から各流体アクチュエータM1-M6に対してロボットアーム2への要求に応じた油圧が供給されるように各電磁部15eへの電流指令値を設定し、当該電流指令値に基づいて各電磁部15eに供給される電流を制御する。これにより、流体アクチュエータM1-M6のチューブTに対し、コントロールバルブ16およびリニアソレノイドバルブ152-156により要求に応じて調整された油圧(駆動圧)を供給することが可能となる。この結果、複数の流体アクチュエータM1-M6により各アーム3を回動させてロボット装置1のハンド部4を所望の位置に移動させることができる。
【0043】
また、ポンプ13は、流体アクチュエータM1-M6のチューブTの収縮状態等に起因した油路LLにおける油圧(元圧)の変動に応じて制御されるが、ポンプ13の回転数がオーバーシュートして吐出量が過剰になった場合、入力ポートi1に供給される作動油の圧力が上限圧Plimに達することで第1リリーフ弁RV1は上記第2連通状態を形成する。これにより、ポンプ13から吐出される作動油の一部は、第1リリーフ弁RV1(入力ポートi1および第2排出ポートdb1)、第2リリーフ弁RV2および油路L0を介してタンク11の流体貯留部へと流出させられ、第1リリーフ弁RV1によって油路LLにおける油圧(元圧)が上限圧Plimを超えないように調整されることになる。
【0044】
更に、流体供給装置10は、逆止弁CVと流体アクチュエータM1-M6とを結ぶ油路(流体通路)LLに接続されたアキュムレータ14を含む。これにより、ロボットアーム2の動作中(運動中)にポンプ13が停止したとしても、しばらくの間、コントロールバルブ16およびリニアソレノイドバルブ152-156を介してアキュムレータ14からの作動油を流体アクチュエータM1-M6に供給することができる。この結果、流体アクチュエータM1-M6(チューブT)の状態の急変を抑えることが可能となる。
【0045】
以上説明したように、ロボット装置1において、流体供給装置10は、流体供給源としてのポンプ13から流体調整部としてのリニアソレノイドバルブ151-156に供給される油路LLにおける油圧(元圧)を上記常用圧Pw(第1目標圧)および当該常用圧Pwよりも十分に低く定められた待機圧Pst(第2目標圧)の何れか一方になるように調整する。更に、ロボット装置1では、ロボットアーム2を安定かつスムースに作動させ得るように常用圧Pwが十分に高く定められると共に、消費電力等を考慮して待機圧Pstが低く定められる。これにより、流体供給装置10すなわちポンプ13の制御の煩雑化を抑制しつつ、複数の流体アクチュエータ(人工筋肉)M1-M6を含むロボット装置1のエネルギ効率を良好に確保すると共に当該複数の流体アクチュエータM1-M6を適正に作動させることが可能となる。
【0046】
また、上記実施形態において、待機圧Pstは、関節J1-J3を介して連結された対応する2つのアーム3等を相対的に回動させる複数の流体アクチュエータ(人工筋肉)M1-M6の各々を自然状態から所定量(自然長の10%程度)だけ収縮させ得る圧力よりも所定値だけ高い圧力に定められている。これにより、油路LLにおける油圧(元圧)を待機圧に設定することで、エネルギ消費(電力消費等)の増加を抑制しつつ、ロボット装置1を待機状態に保持しておくことが可能となる。
【0047】
更に、上記実施形態において、制御装置100は、元圧センサPSの検出値に基づいて、リニアソレノイドバルブ151-156に供給される油路LLにおける油圧(元圧)が待機圧Pstおよび常用圧Pwの何れか一方になるようにポンプ13を制御する。また、油路LLにおける油圧(元圧)が待機圧Pstになるようにポンプ13が制御されるときには、当該ポンプ13から吐出される作動油の一部は、オリフィスOrを介してタンク11の流体貯留部へと流出させられる。更に、流体アクチュエータM1-M6のチューブTの収縮状態等に起因した油路LLにおける油圧(元圧)の低下に応じてポンプ13の吐出圧が上限圧Plimよりも高くなった場合、当該ポンプ13から吐出される作動油の一部は、第1および第2リリーフ弁RV1,RV2等を介してタンク11の流体貯留部へと流出させられる。
【0048】
これにより、流体供給装置10では、ポンプ13の制御の煩雑化を良好に抑制しつつ、リニアソレノイドバルブ151-156に供給される油圧(元圧)を要求に応じて待機圧Pstおよび常用圧Pwの何れか一方に精度よく調整することができる。また、アキュムレータ14の最高作動圧以下に定められた上限圧Plimを超えないように油路LLにおける油圧を設定して、当該アキュムレータ14ひいては流体供給装置10の耐久性を良好に確保することが可能となる。更に、オリフィスOrを用いてポンプ13から吐出された作動油を待機圧Pstまで低下させることで、ポンプ13を予め定められている下限回転数未満の回転数で作動させることなく油路LLにおける油圧を待機圧Pstに設定することができる。
【0049】
また、第1リリーフ弁RV1は、油路LLにおける油圧(元圧)が待機圧Pstになるようにポンプ13が制御されるときに、ポンプ13から吐出される作動油の一部を第1排出ポートda1から流出させる。更に、オリフィスOrは、第1リリーフ弁RV1の第1排出ポートda1に接続された油路L0に配置される。また、第1リリーフ弁RV1は、入力ポートi1に供給されるポンプ13の吐出圧が上限圧Plimよりも高いときに、ポンプ13から吐出される作動油の一部を第2排出ポートdb1から流出させる。これにより、部品点数の増加を抑制しつつ、ポンプ13の吐出圧が常用圧Pwよりも高いときに当該ポンプ13から吐出される作動油がオリフィスOrに流入しないようにすることができる。
【0050】
更に、流体供給装置10は、第1リリーフ弁RV1の第2排出ポートdb1に連通する入力ポートi2を有すると共に当該第1リリーフ弁RV1からの作動油を減圧してタンク11の流体貯留部へと流出させる第2リリーフ弁RV2を含む。これにより、第1および第2リリーフ弁RV1,RV2による作動油の減圧に伴ってキャビテーションが発生するのを良好に抑制し、気泡(エア)を含まない作動油をタンク11の流体貯留部に戻すことが可能となる。
【0051】
なお、流体供給装置10において、リニアソレノイドバルブ151-156の少なくとも何れか1つは、常開弁であってもよい。この場合、当該常開弁は、電磁部からの推力および当該電磁部からの推力と同方向に作用するようにフィードバックポートに供給された液圧による推力を、スプリングの付勢力とバランスさせるものであってもよい。また、リニアソレノイドバルブ151-156の少なくとも何れか1つは、専用のフィードバックポートをもたず、スプールを収容するスリーブの内側で出力圧(駆動圧)をフィードバック圧としてスプールに作用させるように構成されたものであってもよい(例えば、特開2020-41687号公報参照)。同様に、コントロールバルブ16も、出力圧(駆動圧)をスプールの内部でフィードバック圧として当該スプールに作用させるように構成されたものであってもよい。更に、流体供給装置10において、コントロールバルブ16が省略されてもよく、流体アクチュエータM1にリニアソレノイドバルブ151から油圧(駆動圧)が供給されてもよい。また、流体供給装置10は、流体調整バルブ(流体調整部)として、例えば圧力センサにより検出される液圧(流体圧)が要求に応じた圧力になるように流体アクチュエータM1-M6への液体(流体)の流量を制御する流量制御弁を含むものであってもよい。そして、流体供給装置10は、水等の作動油以外の液体や空気等の気体を流体アクチュエータM1-M6に供給するものであってもよい。
【0052】
更に、ロボット装置1は、関節を1つだけ含むものであってもよく、人工筋肉としての流体アクチュエータを1つまたは2つだけ含むものであってもよい。また、ロボット装置1は、少なくとも1つの流体アクチュエータM1等とハンド部4とを有するロボットアーム2を含むものに限られず、少なくとも1つの流体アクチュエータと、例えばドリルビット等の工具や例えばスイッチ等を押圧する押圧部材といったハンド部4以外の要素が手先に取り付けられたロボットアームとを含むものであってもよい。更に、ロボット装置1は、歩行ロボットや、ウェアラブルロボット等であってもよい。
【0053】
また、ロボット装置1のロボットアーム2は、アーム3を駆動する流体アクチュエータとして揺動モータ(例えば、ハンド部4の根元(手首部)を回転させる揺動モータ)を含むものであってもよい。すなわち、ロボット装置1のロボット本体は、人工筋肉としての流体アクチュエータと揺動モータとの少なくとも何れか1つを含むものであってもよい。更に、ロボット装置1のロボットアーム2は、流体アクチュエータとしてエアシリンダや油圧シリンダといった流体圧シリンダを含むものであってもよい。また、関節J1-J3を介して連結された2つのアーム3等のすべてに必ずしも対をなす複数の流体アクチュエータ(人工筋肉)Mが設けられる必要はなく、何れか1組の2つのアーム3等に、1つまたは複数の流体アクチュエータと、当該流体アクチュエータと拮抗するように配置されるスプリングやゴム材等の弾性体とが連結されてもよい。加えて、ロボット装置1において、タンク11がロボットアーム2といったロボット本体により支持されてもよい。
【0054】
更に、上記実施形態において、人工筋肉としての流体アクチュエータM1-M6は、内部に作動油が供給されると共に当該内部の油圧の上昇に応じて径方向に膨張しながら軸方向に収縮するチューブTと、当該チューブTを覆う編組スリーブSとを含むマッキベン型の人工筋肉であるが、ロボット装置1における流体アクチュエータM1-M6の構成は、これに限られるものではない。すなわち、流体アクチュエータM1-M6は、流体が供給された際に径方向に膨張しながら軸方向に収縮するチューブを含むものであればよく、例えば弾性体により形成された内側筒状部材と、弾性体により形成されると共に内側筒状部材の外側に同軸に配置され外側筒状部材と、内側筒状部材と外側筒状部材との間に配置された繊維層とを含む軸方向繊維強化型の流体アクチュエータ(例えば、特開2011-137516号参照)であってもよい。
【0055】
また、本開示の発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の外延の範囲内において様々な変更をなし得ることはいうまでもない。更に、上記実施形態は、あくまで発明の概要の欄に記載された発明の具体的な一形態に過ぎず、発明の概要の欄に記載された発明の要素を限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本開示の発明は、流体の供給を受けて作動する少なくとも1つの人工筋肉を含むロボット装置の製造産業等において利用可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 ロボット装置、2 ロボットアーム、3 アーム、5 支持部材、10 流体供給装置、11 タンク、13 ポンプ、14 アキュムレータ、151,152,153,154,155,156 リニアソレノイドバルブ、16 コントロールバルブ、CV 逆止弁、J1,J2,J3 関節、M1,M2,M3,M4,M5,M6 流体アクチュエータ(人工筋肉)、Or オリフィス、RV1 第1リリーフ弁、RV2 第2リリーフ弁。
図1
図2
図3