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特開2022-155603計量キャップおよびこれを備える計量キャップ付き容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155603
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】計量キャップおよびこれを備える計量キャップ付き容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/20 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
B65D47/20 200
B65D47/20 220
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021058913
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000175397
【氏名又は名称】三笠産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】呉 振宇
(72)【発明者】
【氏名】橋本 武尚
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA03
3E084AA04
3E084AA12
3E084AB01
3E084AB06
3E084BA02
3E084CA01
3E084CB02
3E084DA01
3E084DB12
3E084DB13
3E084EA02
3E084EB02
3E084FA09
3E084FB01
3E084FC03
3E084GA01
3E084GA08
3E084GB01
3E084HB02
3E084HD04
3E084KB01
3E084LC01
3E084LD01
3E084LD30
3E084LE06
(57)【要約】
【課題】内容物の飛散を抑制し得る計量キャップおよびこれを備える計量キャップ付き容器を提供する。
【解決手段】計量キャップ1は、取付部10、供給部30および計量筒40を備える。取付部10は、容器100に取り付けられる。供給部30は、取付部10を介して容器100から内容物Lが供給される。計量筒40は、供給部30に形成された通過口31からの内容物Lが所定量だけ貯留される。供給部30は、その通過口31に計量筒40側から面するノズル板34を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に取り付けられる取付部と、
前記取付部を介して容器から内容物が供給される供給部と、
前記供給部に形成された通過口からの内容物が所定量だけ貯留される計量筒とを備え、
前記供給部が、その通過口に計量筒側から面するノズル板を有することを特徴とする計量キャップ。
【請求項2】
供給部が、計量筒の内側に位置するものであり、
前記供給部のノズル板が、全周にわたる形状であり、内側で通過口に面するとともに、外側で全周にわたって計量筒に面することを特徴とする請求項1に記載の計量キャップ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の計量キャップと、
前記計量キャップの取付部が取り付けられた容器とを備え、
前記計量キャップおよび容器が、それぞれスパウトおよびパウチであり、
前記計量キャップの供給部に形成された通過口が、1つであることを特徴とする計量キャップ付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の内容物を所定量だけ取り出す計量キャップおよびこれを備える計量キャップ付き容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
調味料、入浴剤、洗濯用洗剤および化粧品などは、通常、使用される1回分の量が一定である。このため、使用者は、容器に収納された調味料、入浴剤、洗濯用洗剤および化粧品など(以下、内容物)を容器から取り出す際、使用する1回分の量(所定量)を別途計量する必要がある。この計量の手間を省くために、容器または当該容器に取り付けられたキャップは、内容物を所定量だけ取り出す機能を有することが好ましい。
【0003】
前記機能を有するキャップ、つまり計量キャップとして、特許文献1に、容器(ボトル16)から内容物(液体)を送液パイプ11で吸い上げる供給部(吸液筒8)と、供給部(吸液筒8)に形成された通過口(液体吐出口9)からの内容物(液体)が所定量だけ貯留される計量筒(計量カップ10)とを備えるものが提案されている。
【0004】
しかしながら、通過口(液体吐出口9)から吐出される内容物(液体)は、勢いよく計量筒(計量カップ10)に当たることで、飛散して周囲を汚すことがある。
【0005】
当該飛散を抑制する計量キャップとして、特許文献2に、通過口(吐出口36)を所定の縦横比に形成したものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3033394号公報
【特許文献2】特許第6411307号公報
【発明の概要】
【0007】
ところで、前記特許文献2に記載の計量キャップは、通過口(吐出口36)を所定の縦横比にすることで、通過口(吐出口36)から吐出される内容物(液状体)の方向ができるだけ上方にならないようにしている。このため、計量筒(計量室)の上端が低ければ、吐出される内容物(液状体)が計量筒(計量室)の外に飛散することになる。
【0008】
このため、特許文献1および2に記載の計量キャップは、いずれも、内容物の飛散を抑制するものではなかった。
【0009】
そこで、本発明は、内容物の飛散を抑制し得る計量キャップおよびこれを備える計量キャップ付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、第1の発明に係る計量キャップは、容器に取り付けられる取付部と、
前記取付部を介して容器から内容物が供給される供給部と、
前記供給部に形成された通過口からの内容物が所定量だけ貯留される計量筒とを備え、
前記供給部が、その通過口に計量筒側から面するノズル板を有するものである。
【0011】
また、第2の発明に係る計量キャップは、第1の発明に係る計量キャップにおける供給部が、計量筒の内側に位置するものであり、
前記供給部のノズル板が、全周にわたる形状であり、内側で通過口に面するとともに、外側で全周にわたって計量筒に面するものである。
【0012】
さらに、第3の発明に係る計量キャップ付き容器は、第1または第2の発明に係る計量キャップと、
前記計量キャップの取付部が取り付けられた容器とを備え、
前記計量キャップおよび容器が、それぞれスパウトおよびパウチであり、
前記計量キャップの供給部に形成された通過口が、1つであるものである。
【発明の効果】
【0013】
前記計量キャップおよびこれを備える計量キャップ付き容器によると、通過口に面するノズル板により、通過口から吐出された内容物の飛散を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態1に係る計量キャップおよびこれを備える計量キャップ付き容器を示す縦断面図である。
図2】同計量キャップの計量筒に容器の内容物が充填される状態を示す縦断面図である。
図3】同計量筒から内容物が容器に逆流する状態を示す縦断面図である。
図4】同計量筒に内容物が所定量だけ貯留された状態を示す縦断面図である。
図5】同容器を傾けることで計量筒の内容物が注ぎ出される状態を示す縦断面図である。
図6】本発明の実施の形態2に係る計量キャップおよびこれを備える計量キャップ付き容器を示す縦断面図である。
図7】同計量キャップのスパウトの縦断面図である。
図8図7のA-A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施の形態1]
【0016】
以下、本発明の実施の形態1に係る計量キャップおよびこれを備える計量キャップ付き容器について、図1に基づき説明する。
【0017】
図1に示すように、本実施の形態1に係る計量キャップ1は、容器100に取り付けられる取付部10と、この取付部10を介して容器100から内容物Lが供給される供給部30と、この供給部30に形成された通過口31からの内容物Lが所定量だけ貯留される計量筒40とを備える。
【0018】
前記取付部10が取り付けられる容器100の部分は、例えば、容器100の口部110である。このため、前記取付部10は、容器100の口部110の外側および内側に接する外筒11および内筒12と、当該外筒11および内筒12の上端を接続する上壁13とを有する。なお、前記取付部10は、図1に示す例に限られず、容器100に取り付けられるのであれば、口部110以外に取り付けられてもよい。取付部10が口部110以外に取り付けられる例は、実施の形態2として後述する。
【0019】
前記容器100の内容物Lは、流動性を有するものであればよく、例えば、粉体または液体などである。当該液体の例としては、醤油、ソース、または、ドレッシングなどの液体調味料が挙げられる。また、前記液体の他の例としては、柔軟剤、洗濯用液体洗剤、液体入浴剤、または、化粧品なども挙げられる。なお、以下では、粘度が100~1000mPa・sの液体を、中粘度の液体と称する。
【0020】
前記供給部30は、その内部が取付部10を介して容器100と連通したものである。このため、当該供給部30は、前記容器100のスクイズなどにより内容物Lが供給され、また、当該内容物Lが自重などにより容器100に逆流する。さらに、前記供給部30の通過口31は、当該供給部30の内部と計量筒40と連通し、前記内容物Lを通過させる開口である。前記供給部30は、例えば、前記計量筒40の底面から立ち上がるノズル32と、このノズル32の先端部内側に設けられるとともに当該ノズル32の上方に位置するドーム33とを有する。前記通過口31は、例えば、前記ノズル32とドーム33との隙間である。
【0021】
本発明の要旨として、前記供給部30は、その通過口31に計量筒40側から面するノズル板34を有する。このノズル板34は、前記通過口31から吐出された内容物Lが当たることにより、当該内容物Lの飛散を抑制するものである。また、前記ノズル板34は、前記取付部10が取り付けられた容器100を傾けた際に、前記通過口31から内容物Lが漏れ出しにくくするものでもある。前記ノズル板34は、例えば、前記ノズル32の先端に接続される。
【0022】
前記供給部30は、前記計量筒40の内側に位置することが好ましく、言い換えれば、前記計量筒40に囲われていることが好ましい。また、前記供給部30のノズル板34は、全周にわたる形状であり、内側で通過口31に面するとともに、外側で全周にわたって計量筒40に面することが好ましい。この構成により、前記ノズル板34は、全周にわたる形状なので、前記通過口31に対して十分に大きく、その結果、前記内容物Lの飛散を十分に抑制する。また、全周にわたるノズル板34は、前記計量筒40に充填された内容物Lを堰き止める板としても作用する。さらに、全周にわたるノズル板34の上端は、前記計量筒40の上端よりも低いことが好ましく、前記ドーム33の上端と同じ高さであることが一層このましい。
【0023】
前記供給部30の通過口31は、0.06mm以上6.4mm以下であることが好ましい。具体的に説明すると、前記通過口31は、縦幅および横幅を有する矩形状の場合、縦幅(または横幅)が0.3mm以上1.6mm以下で、且つ、横幅(または縦幅)が0.2mm以上4.0mm以下であることが好ましい。前記通過口31は、この面積または形状であることにより、前記内容物Lが中粘度の液体の場合、前記容器100のスクイズなどにより内容物Lをスムーズに計量筒40に吐出しつつ、一方で、前記容器100を傾けた際に内容物Lが一層漏れ出しにくくなる。
【0024】
なお、ここまで本実施の形態1に係る計量キャップ1について説明したが、本実施の形態1に係る計量キャップ付き容器101は、前記計量キャップ1と、この計量キャップ1の取付部10が取り付けられた容器100とを備えるものである。
【0025】
以下、前記計量キャップ1およびこれを備える計量キャップ付き容器101の使用方法について、図1図5に基づき説明する。
【0026】
まず、図1に示す計量キャップ付き容器101の容器100をスクイズすると、図2に示すように、容器100の内容物Lが、計量キャップ1の取付部10を介して供給部30に供給され、さらに、通過口31から計量筒40に吐出される。ここで、内容物Lが中粘度の液体の場合、通過口31が0.06mm未満(例えば、縦幅が0.3mm未満で且つ横幅が0.2mm未満)でも、前記吐出が行われるが、通過口31が0.06mm以上(例えば、縦幅が0.3mm以上で且つ横幅が0.2mm以上)なら、前記吐出がスムーズに行われる。
【0027】
吐出された内容物Lは、計量筒40に直接当たるのではなく、一旦ノズル板34に当たって計量筒40に導かれるので、飛散が抑制される。ノズル板34に当たった内容物Lは、計量筒40に導かれ、ノズル板34の上端よりも高くなるまで計量筒40に充填される。
【0028】
その後、スクイズを止めると、図3に示すように、計量筒40の内容物Lが自重により通過口31から供給部30および取付部10を介して容器100に逆流していく。こうして、図4に示すように、内容物Lの上端がノズル板34の上端まで下がると、内容物Lは、ノズル板34に堰き止められることで、所定量だけ計量筒40に貯留されることになる。
【0029】
そして、図5に示すように、容器100を傾けることで、計量筒40の内容物L(つまり所定量の内容物L)が、計量筒40から注ぎ出される。ここで、内容物Lが中粘度の液体の場合、通過口31が6.4mm超(例えば、縦幅が1.6mm超で且つ横幅が4.0mm超)でも、容器100を傾けた際に内容物Lが通過口31から漏れ出しにくいが、通過口31が6.4mm以下(例えば、縦幅が1.6mm以下で且つ横幅が4.0mm以下)なら、容器100を傾けた際に内容物Lが通過口31から一層漏れ出しにくくなる。
【0030】
このように、前記計量キャップ1およびこれを備える計量キャップ付き容器101によると、通過口31に面するノズル板34により、通過口31から吐出された内容物Lの飛散を抑制することができる。
【0031】
また、全周にわたるノズル板34が、通過口31に対して十分大きいので、通過口31から吐出された内容物Lの飛散を十分に抑制することができる。
[実施の形態2]
【0032】
以下、本発明の実施の形態2に係る計量キャップおよびこれを備える計量キャップ付き容器について説明する。本実施の形態2に係る計量キャップ付き容器は、前記実施の形態1に係る計量キャップ付き容器101において、前記計量キャップ1がスパウトであり、前記容器100がパウチである。本実施の形態2では、前記実施の形態1とは異なる構成に着目して説明するとともに、前記実施の形態1と同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0033】
図6に示すように、本実施の形態2に係る計量キャップ2は、前記実施の形態1に係る計量キャップ1に相当するスパウト1と、このスパウト1に着脱自在の上蓋20とを備える。また、本実施の形態2に係る計量キャップ付き容器102は、前記スパウト1および上蓋20と、前記実施の形態1に係る容器100に相当するパウチ100とを備える。
【0034】
前記上蓋20は、天壁21と、この天壁21の外周に設けられたスカート22と、当該天壁21の下面に設けられた封止部23とを有する。前記スカート22は、その下部内側に、内周螺合部24を有する。
【0035】
前記スパウト1の計量筒40は、その下部外側に、前記上蓋20の内周螺合部24に螺合する外周螺合部42を有する。また、前記計量筒40は、その上端部43が拡径している。この拡径した上端部43は、前記内周螺合部24が外周螺合部42に螺合した際に、前記上蓋20の封止部23に接することで封止される部分である。
【0036】
図7に示すように、前記スパウト1の供給部30は、前記取付部10の上壁13に接続された基部35と、この基部35よりも小径の上部37とを有する。この基部35は、その内側に、内容物Lを整流する整流リブ36を有する。図8に示すように、当該整流リブ36は、複数であり、互いに等間隔に配置されている。図7に示すように、前記上部37は、前記実施の形態1で説明した通過口31、ドーム33、および、ノズル板34を有する。前記実施の形態1では、通過口31の数は任意であるが、本実施の形態2では、通過口31は1つである。
【0037】
以下、本実施の形態2に係る計量キャップ2およびこれを備える計量キャップ付き容器102の使用方法について、図6図8に基づき説明する。
【0038】
まず、図6に示すように、スパウト1の外周螺合部42に上蓋20の内周螺合部24が螺合された状態(スパウト1に上蓋20が装着された状態)から、当該螺合を解除(スパウト1から上蓋20の装着を解除)する。
【0039】
その後は、前記実施の形態1で説明した使用方法と同じである。ここで、通過口31は1つであるから、パウチ100の中で空気置換が起こりにくい。すなわち、パウチ100からスパウト1を介して注ぎ出される内容物Lがパウチ100の中で空気に置換されず、言い換えれば、内容物Lを注ぎ出してもパウチ100に空気が殆ど入り込まない。このため、パウチ100に空気が入り込むという、パウチ100にとって好ましくない現象が防止される。
【0040】
このように、本実施の形態2に係る計量キャップ2およびこれを備える計量キャップ付き容器102によると、前記実施の形態1で説明した効果を奏する上に、パウチ100への空気の入り込みを防止することができる。
【0041】
また、前記整流リブ36によりノズル32の基部35で内容物Lが整流されるので、整流された内容物Lを通過口31から吐出することになり、内容物Lの飛散を一層抑制することができる。
【0042】
ところで、前記実施の形態1および2では、前記供給部30から容器100(パウチ100)に至る部分について詳細に説明しなかったが、当該部分には、弁が設けられないことが好ましい。当該弁が設けられないことにより、図3に示す供給部30から容器(パウチ100)への内容物Lの逆流がスムーズになるからである。
【0043】
また、前記実施の形態1および2は、全ての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は、前述した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。前記発明を実施するための形態で説明した計量キャップ1,2の構成うち、「課題を解決するための手段」での第1の発明として記載した構成以外については、任意の構成であり、適宜削除および変更することが可能である。
【符号の説明】
【0044】
L 内容物
1 計量キャップ(実施の形態1)
2 計量キャップ(実施の形態2)
10 取付部
13 上壁
20 上蓋
30 供給部
31 通過口
32 ノズル
33 ドーム
34 ノズル板
36 整流リブ
40 計量筒
100 容器(パウチ)
101 計量キャップ付き容器(実施の形態1)
102 計量キャップ付き容器(実施の形態2)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8