(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155630
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】電池モジュール、電池モジュールの製造方法、プログラム、及び電池モジュールの製造装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/262 20210101AFI20221006BHJP
H01M 50/211 20210101ALI20221006BHJP
H01M 50/289 20210101ALI20221006BHJP
【FI】
H01M50/262 E
H01M50/211
H01M50/289 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021058960
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】521107116
【氏名又は名称】Enpower Japan株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高柳 良基
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 貴也
(72)【発明者】
【氏名】宮川 絢太郎
(72)【発明者】
【氏名】チェ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】高橋 勉
(72)【発明者】
【氏名】メン ファンドン
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA14
5H040AA20
5H040AT04
5H040AY10
5H040CC24
5H040CC26
5H040CC34
5H040CC38
5H040JJ03
5H040JJ06
5H040JJ10
5H040NN03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】充放電中の電池の変形を吸収できる電池モジュールを提供する。
【解決手段】第1の拘束部材と、第1の拘束部材に対して固定された第2の拘束部材と、第1の拘束部材と第2の拘束部材との間に配置された第3の拘束部材と、第2の拘束部材と第3の拘束部材との間に配置された電池と、第1の拘束部材と第3の拘束部材との間に配置され、第1の拘束部材及び第3の拘束部材に弾性力を加えることにより、第2の拘束部材と第3の拘束部材によって電池を挟圧する弾性部材とを備える、電池モジュールである。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の拘束部材と、
前記第1の拘束部材に対して固定された第2の拘束部材と、
前記第1の拘束部材と前記第2の拘束部材との間に配置された第3の拘束部材と、
前記第2の拘束部材と前記第3の拘束部材との間に配置された電池と、
前記第1の拘束部材と前記第3の拘束部材との間に配置され、前記第1の拘束部材及び前記第3の拘束部材に弾性力を加えることにより、前記第2の拘束部材と前記第3の拘束部材によって前記電池を挟圧する弾性部材と
を備える電池モジュール。
【請求項2】
前記電池は、パウチ型電池である、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記電池は、負極の電極反応にリチウム金属の酸化還元反応が含まれる電池である、請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記弾性部材は、ばねである、請求項1から3のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記電池は、階層的に配置された複数の電池セルによって構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項6】
第1の拘束部材と、第2の拘束部材と、前記第1の拘束部材と前記第2の拘束部材との間に配置された第3の拘束部材と、前記第2の拘束部材と前記第3の拘束部材との間に配置された電池と、前記第1の拘束部材と前記第3の拘束部材との間に配置された弾性部材とを準備する準備工程と、
前記第1の拘束部材に対して、前記第2の拘束部材の方向に予め定められた圧力を加えるよう制御する加圧制御工程と、
前記第1の拘束部材に対して、前記第2の拘束部材の方向に前記予め定められた圧力が加えられている状態で、固定部材によって前記第1の拘束部材と前記第2の拘束部材とを固定して、前記第1の拘束部材、前記第2の拘束部材、前記第3の拘束部材、前記電池、及び前記弾性部材によって構成され、前記弾性部材の弾性力によって、前記第2の拘束部材と前記第3の拘束部材との間に配置された前記電池が挟圧された電池モジュールを生成する生成工程と
を備える、電池モジュールの製造方法。
【請求項7】
前記加圧制御工程は、前記第1の拘束部材に対して前記第2の拘束部材の方向に圧力を加えながら、前記第1の拘束部材に加わっている圧力を圧力センサによって測定することによって、前記第1の拘束部材に対して前記第2の拘束部材の方向に前記予め定められた圧力を加えるよう制御する、請求項6に記載の電池モジュールの製造方法。
【請求項8】
前記加圧制御工程は、前記第1の拘束部材に対して、前記第2の拘束部材の方向に、前記弾性部材の組成変化を考慮して目的の圧力よりも強く設定された前記予め定められた圧力を加えるよう制御する、請求項6又は7に記載の電池モジュールの製造方法。
【請求項9】
コンピュータに、請求項6から8のいずれか一項に記載の電池モジュールの製造方法を実行させるためのプログラム。
【請求項10】
第1の拘束部材と、第2の拘束部材と、前記第1の拘束部材と前記第2の拘束部材との間に配置された第3の拘束部材と、前記第2の拘束部材と前記第3の拘束部材との間に配置された電池と、前記第1の拘束部材と前記第3の拘束部材との間に配置された弾性部材とを準備する準備部と、
前記第1の拘束部材に対して、前記第2の拘束部材の方向に予め定められた圧力を加えるよう制御する加圧制御部と、
前記第1の拘束部材に対して、前記第2の拘束部材の方向に前記予め定められた圧力が加えられている状態で、固定部材によって前記第1の拘束部材と前記第2の拘束部材とを固定して、前記第1の拘束部材、前記第2の拘束部材、前記第3の拘束部材、前記電池、及び前記弾性部材によって構成され、前記弾性部材の弾性力によって、前記第2の拘束部材と前記第3の拘束部材との間に配置された前記電池が挟圧された電池モジュールを生成する生成部と
を備える、電池モジュールの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池モジュール、電池モジュールの製造方法、プログラム、及び電池モジュールの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電池の製造過程において電池ケースの膨張変形を抑制するために電池を拘束する電池拘束治具が記載されている。特許文献2には、電池を拘束する2つのプレートの距離を可変にし、電池の充放電中に電池が膨張してもシリンダーで制御して拘束力を固定値にする治具が記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開2015-170490号公報
[特許文献2]中国特許出願公開第111537126号
【発明の概要】
【0003】
本発明の一実施態様によれば、電池モジュールが提供される。電池モジュールは、第1の拘束部材を備えてよい。電池モジュールは、第1の拘束部材に対して固定された第2の拘束部材を備えてよい。電池モジュールは、第1の拘束部材と第2の拘束部材との間に配置された第3の拘束部材を備えてよい。電池モジュールは、第2の拘束部材と第3の拘束部材との間に配置された電池を備えてよい。電池モジュールは、第1の拘束部材と第3の拘束部材との間に配置され、第1の拘束部材及び第3の拘束部材に弾性力を加えることにより、第2の拘束部材と第3の拘束部材によって電池を挟圧する弾性部材を備えてよい。
【0004】
上記電池は、パウチ型電池であってよい。上記電池は、負極の電極反応にリチウム金属の酸化還元反応が含まれる電池であってよい。上記弾性部材は、ばねであってよい。上記電池は、階層的に配置された複数の電池セルによって構成されてよい。
【0005】
本発明の一実施態様によれば、電池モジュールの製造方法が提供される。電池モジュールの製造方法は、第1の拘束部材と、第2の拘束部材と、第1の拘束部材と第2の拘束部材との間に配置された第3の拘束部材と、第2の拘束部材と第3の拘束部材との間に配置された電池と、第1の拘束部材と第3の拘束部材との間に配置された弾性部材とを準備する準備工程を備えてよい。電池モジュールの製造方法は、第1の拘束部材に対して、第2の拘束部材の方向に予め定められた圧力を加えるよう制御する加圧制御工程を備えてよい。電池モジュールの製造方法は、第1の拘束部材に対して、第2の拘束部材の方向に予め定められた圧力が加えられている状態で、固定部材によって第1の拘束部材と第2の拘束部材とを固定して、第1の拘束部材、第2の拘束部材、第3の拘束部材、電池、及び弾性部材によって構成され、弾性部材の弾性力によって、第2の拘束部材と第3の拘束部材との間に配置された電池が挟圧された電池モジュールを生成する生成工程を備えてよい。
【0006】
上記加圧制御工程は、上記第1の拘束部材に対して上記第2の拘束部材の方向に圧力を加えながら、上記第1の拘束部材に加わっている圧力を圧力センサによって測定することによって、上記第1の拘束部材に対して上記第2の拘束部材の方向に上記予め定められた圧力を加えてよい。上記加圧制御工程は、上記第1の拘束部材に対して、上記第2の拘束部材の方向に、上記弾性部材の組成変化を考慮して目的の圧力よりも強く設定された上記予め定められた圧力を加えてよい。
【0007】
本発明の一実施態様によれば、コンピュータに、上記電池モジュールの製造方法を実行させるためのプログラムが提供される。
【0008】
本発明の一実施態様によれば、電池モジュールの製造装置が提供される。電池モジュールの製造装置は、第1の拘束部材と、第2の拘束部材と、第1の拘束部材と第2の拘束部材との間に配置された第3の拘束部材と、第2の拘束部材と第3の拘束部材との間に配置された電池と、第1の拘束部材と第3の拘束部材との間に配置された弾性部材とを準備する準備部を備えてよい。電池モジュールの製造装置は、第1の拘束部材に対して、第2の拘束部材の方向に予め定められた圧力を加えるよう制御する加圧制御部を備えてよい。電池モジュールの製造装置は、第1の拘束部材に対して、第2の拘束部材の方向に予め定められた圧力が加えられている状態で、固定部材によって第1の拘束部材と第2の拘束部材とを固定して、第1の拘束部材、第2の拘束部材、第3の拘束部材、電池、及び弾性部材によって構成され、弾性部材の弾性力によって、第2の拘束部材と第3の拘束部材との間に配置された電池が挟圧された電池モジュールを生成する生成部を備えてよい。
【0009】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】コントローラ150による処理の流れの一例を概略的に示す。
【
図4】電池モジュール200の一例を概略的に示す。
【
図5】電池モジュール200の他の一例を概略的に示す。
【
図7】コントローラ150として機能するコンピュータ1200のハードウェア構成の一例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
リチウム金属電池のように、充放電時に厚みが変化する電池が知られている。従来の電池は、例えば、直接拘束板で拘束されていた。当該電池の初期拘束力は、拘束板を固定するねじ部全箇所に、例えば、座金形状をしたロードセル等のセンサを用いて計測されていた。このように複数のロードセル等で直接計測する場合、再現性のある安定した計測ができない場合が多い。また、従来の電池を拘束する治具は、電池を一旦締め上げると、電池の厚み変化に対応できない。電池は、充放電時に電池の厚さが変化するので、初期圧力は小さくても過剰圧力になる懸念がある。また、従来の拘束治具は、試験室用としては利用可能であるが、そのまま量産電池パック製造用に用いることは困難である。本実施形態に係る電池モジュールは、例えば、電池両側の拘束板の間の距離を可変にするために、合計3枚の拘束板を用い、電池の充放電中、電池の変形を吸収できるように、ばね等の弾性部材を用いる。
【0012】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0013】
図1は、電池モジュールを製造する製造装置100の一例を概略的に示す。製造装置100は、筐体102を備える。製造装置100は、筐体102に対して配置されたねじ部104を備えてよい。
【0014】
製造装置100は、筐体102内に配置された対象物に対して、ねじ部104によって圧力を加える構造を備えてよい。ねじ部104を回転することによって、ねじ部104が下方向に移動して、筐体102内に配置された対象物に対して圧力を加える。筐体102は、
図1に示すように、門型であってよく、他の形状であってもよい。
【0015】
なお、ここでは、製造装置100が、筐体102内に配置された対象物に対して圧力を加える機構として、ねじ部104を備える場合を例示しているが、これに限らない。製造装置100は、対象物に対して圧力を加えることができれば、ねじ部104に代えて、他の任意の機構を備えてもよい。製造装置100は、例えば、油圧又は空圧によって対象物に圧力を加える機構を備える。
【0016】
製造装置100は、圧力センサ110を備えてよい。圧力センサ110は、ねじ部104の先端に配置されてよい。圧力センサ110によって、ねじ部104が対象物に与える圧力を測定可能であってよい。圧力センサ110は、例えば、ロードセルである。圧力センサ110は、歪ゲージ型のセンサであってもよい。圧力センサ110は、静電容量型のセンサであってもよい。圧力センサ110は、他の方式のセンサであってもよい。
【0017】
製造装置100は、コントローラ150を備えてよい。コントローラ150は、準備部152、加圧制御部154、及び生成部156を備えてよい。
【0018】
準備部152は、拘束板202と、拘束板204と、拘束板202と拘束板204との間に配置された拘束板206と、拘束板204と拘束板206との間に配置された電池300と、拘束板202と拘束板206との間に配置された弾性部材250とを準備する。拘束板202、拘束板204、拘束板206、電池300、及び弾性部材250を、電池モジュール構成物と記載する場合がある。
【0019】
準備部152は、例えば、ロボットアーム等を用いて、筐体102に対して、拘束板204、電池300、拘束板206、弾性部材250、拘束板202を、順番に搬送する。また、準備部152は、例えば、ロボットアーム及びベルトコンベア等を用いて、拘束板202と、拘束板204と、拘束板202と拘束板204との間に配置された拘束板206と、拘束板204と拘束板206との間に配置された電池300と、拘束板202と拘束板206との間に配置された弾性部材とを含む電池モジュール構成物を筐体102に対して搬送する。
【0020】
拘束板202は、第1の拘束部材の一例であってよい。拘束板204は、第2の拘束部材の一例であってよい。拘束板206は、第3の拘束部材の一例であってよい。
【0021】
電池300は、使用されることによって、厚みが増加する電池であってよい。電池300は、充放電時に厚みが変化する電池であってよい。電池300は、パウチ型電池であってよい。電池300は、負極の電極反応にリチウム金属の酸化還元反応が含まれる電池であってよい。電池300の種類はこれらに限らず、他の種類であってもよい。
【0022】
電池300は、平板状の形状を有してよい。電池300は、ラミネートタイプであってよい。電池300は、角形であってもよい。電池300は、円筒形であってもよい。電池300の形状は、これらに限らず、他の形状であってもよい。
【0023】
加圧制御部154は、拘束板202に対して、拘束板204の方向に予め定められた圧力を加えるよう制御する。加圧制御部154は、ねじ部104によって拘束板202に対して拘束板204の方向に圧力を加えながら、拘束板202に加わっている圧力を圧力センサ110によって測定することによって、拘束板202に対して、拘束板204の方向に予め定められた圧力を加えるよう制御してよい。
【0024】
生成部156は、加圧制御部154による制御のもと、拘束板202に対して、拘束板204の方向に予め定められた圧力が加えられている状態で、固定部材によって、拘束板202と拘束板204とを固定して、拘束板202、拘束板204、拘束板206、電池300、及び弾性部材250によって構成され、弾性部材250の弾性力によって、拘束板204と拘束板206との間に配置された電池300が挟圧された電池モジュールを生成する。
【0025】
固定部材は、拘束板202と拘束板204とを固定可能であれば、どのような部材であってもよい。生成部156は、例えば、1又は複数の支柱を拘束板202及び拘束板204にねじ止めすることによって、拘束板202と拘束板204とを固定する。また、生成部156は、例えば、拘束板202と拘束板204とを上下に挟んで固定する治具を用いて、拘束板202と拘束板204とを固定する。
【0026】
弾性部材250は、弾性力によって拘束板204と拘束板206との間に配置された電池300を挟圧することができれば、どのようなものであってもよい。弾性部材250は、例えば、ばねである。
【0027】
加圧制御部154は、拘束板202に対して拘束板204の方向に、弾性部材250の組成変化を考慮して目的の圧力よりも強く設定された予め定められた圧力を加えるよう制御してもよい。弾性部材250は、圧力が加わった状態で時間経過することによって、組成変化することにより、弾性力が弱まり得る。そのため、目的の圧力で固定すると、後に目的の圧力よりも弱くなってしまう場合があり得る。加圧制御部154が、弾性部材250の組成変化を考慮して目的の圧力よりも強く設定された予め定められた圧力を加えるよう制御することによって、このように、目的の圧力よりも弱まってしまう事態の発生確率を低減することができる。
【0028】
図2は、コントローラ150による処理の流れの一例を概略的に示す。ここでは、1つの電池モジュール構成物を準備して、電池モジュールを生成するまでの処理の流れを説明する。
【0029】
ステップ(ステップをSと省略して記載する場合がある。)102では、準備部152が、電池モジュール構成物を準備する。S104では、加圧制御部154が、ねじ部104を回転させることによって、拘束板202に加圧する。拘束板202に圧力が加わることによって、弾性部材250が変形し、電池300に加わる圧力が増加する。
【0030】
S106では、加圧制御部154が、圧力センサ110によって、拘束板202に加わっている圧力を測定する。S108では、加圧制御部154が、S106において測定した圧力が、予め定められた圧力に達しているか否かを判定する。達していないと判定した場合、S104に戻り、達していると判定した場合、S110に進む。
【0031】
S110では、生成部156が、固定部材によって、拘束板202と拘束板204とを固定する。これにより、電池モジュールが生成される。
【0032】
図1及び
図2では、製造装置100がコントローラ150を備える場合を例に挙げて説明したが、これに限らず、製造装置100は、コントローラ150を備えなくてもよい。電池モジュールは、製造装置100を用いることによって、人手によって生成されてもよい。
【0033】
例えば、作業者が、電池モジュール構成物を筐体102の配置した後、ねじ部104を回転させることによって、電池モジュール構成物に圧力を加える。作業者は、圧力センサ110による測定結果を確認しながら、圧力が予め定められた圧力に達するまでに、ねじ部104を回転させる。そして、作業者は、固定部材によって、拘束板202と拘束板204とを固定することによって、電池モジュールを生成する。
【0034】
図3は、電池モジュール200の一例を概略的に示す。
図3では、拘束板202と拘束板204とを固定する固定部材として、支柱210を用いた場合を例示している。
【0035】
電池モジュール200は、拘束板202と、拘束板202に対して支柱210によって固定された拘束板204と、拘束板202と拘束板204との間に配置された拘束板206と、拘束板202と拘束板206との間に配置され、拘束板202及び拘束板206に弾性力を加えることにより、拘束板204と拘束板206によって電池300を挟圧する弾性部材250とを備える。
【0036】
支柱210は、拘束板202及び拘束板204のそれぞれに対してねじ止めされている。支柱210は、拘束板206に設けられた孔を貫通しており、拘束板206は、支柱210に対して移動可能に構成されている。
【0037】
電池モジュール200の拘束板202及び拘束板204は、予め定められた圧力が加わった状態で固定されており、電池300を適切な圧力で挟圧することができる。電池モジュール200は、拘束板202と拘束板206との間に弾性部材250を備えることによって、電池300の厚みの変化を吸収することができる。例えば、電池300の厚みが充放電によって増加した場合に、弾性部材250が縮むことによって、電池300に加わる圧力を一定の範囲内に収めることができる。これにより、過剰圧力によって、電池300に悪影響が及んでしまう可能性を低減することができる。
【0038】
弾性部材250の数、サイズ、及び位置は、電池300の種類、厚み、及びサイズ等に応じて、適宜決定されてよい。例えば、電池300に対して均等に圧力が加わるように、弾性部材250の数、サイズ、及び位置が決定され得る。
【0039】
図4は、電池モジュール200の一例を概略的に示す。ここでは、
図3に示す電池モジュール200とは異なる点を主に説明する。
【0040】
図4に示す電池モジュール200は、階層的に配置された複数の電池セル310によって構成される電池300を備える。
図4では、電池300が3つの電池セル310によって構成されている場合を例示しているが、電池セル310の数はこれに限らず、他の数であってもよい。
【0041】
図5は、製造装置100の一例を概略的に示す。ここでは、
図1に示す製造装置100とは異なる点を主に説明する。
図5に示す製造装置100は、計測シート120を備える。計測シート120は、拘束板206と電池300との間、又は、拘束板204と電池300との間に配置される。
図5では、計測シート120が拘束板206と電池300との間に配置されている場合を例示している。
【0042】
計測シート120は、圧力分布を計測可能な圧力分布計測シートであってよい。コントローラ150は、計測シート120によって計測された、圧力分布を取得する。取得した圧力分布は、例えば、加圧制御部154によって用いられる。加圧制御部154は、圧力センサ110による測定結果と、計測シート120による計測結果とに基づいて、ねじ部104による加圧を制御してよい。
【0043】
コントローラ150は、計測シート120による計測結果を、コントローラ150に接続されたディスプレイに表示させてもよい。これにより、電池300に加わる圧力の分布状況を、閲覧者に知得させることができる。
【0044】
図6は、製造装置100の一例を概略的に示す。
図6に示す電池モジュール構成物は、拘束板202、拘束板204、拘束板206、及び支柱210と、支柱212及びばね252を備える。
図6において、説明のため、電池モジュール構成物の右側は、断面を示している。
【0045】
支柱210は、拘束板202及び拘束板204に対して、ねじ止め可能に構成されている。また、支柱210は、拘束板206に設けられた孔を貫通しており、拘束板206は、支柱210に対して上下方向に移動可能に構成されている。
【0046】
支柱212は、拘束板206に対して固定され、拘束板202に設けられた孔を貫通している。当該孔により、支柱210に固定される前の拘束板202は、上下方向に移動可能に構成されている。
【0047】
加圧制御部154が、ねじ部104を回転させることによって、ねじ部104が下方向に移動し、拘束板202が下方向に移動する。拘束板202は、ばね252による弾性力を受けながら、下方向に移動する。加圧制御部154は、圧力センサ110による測定結果を取得しながら、圧力センサ110による測定結果が予め定められた圧力に達するまで、ねじ部104を回転させる。
【0048】
生成部156は、圧力センサ110による測定結果が予め定められた圧力に達したことに応じて、支柱210と拘束板202とをねじ止めによって固定する。これにより、拘束板202と拘束板204とが固定され、ばね252の弾性力によって、拘束板206を拘束板204側に押し付けて、電池300を拘束板206と拘束板204によって挟圧する、電池モジュールが生成される。
【0049】
図7は、コントローラ150として機能するコンピュータ1200のハードウェア構成の一例を概略的に示す。コンピュータ1200にインストールされたプログラムは、コンピュータ1200を、本実施形態に係る装置の1又は複数の「部」として機能させ、又はコンピュータ1200に、本実施形態に係る装置に関連付けられるオペレーション又は当該1又は複数の「部」を実行させることができ、及び/又はコンピュータ1200に、本実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ1200に、本明細書に記載のフローチャート及びブロック図のブロックのうちのいくつか又はすべてに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU1212によって実行されてよい。
【0050】
本実施形態によるコンピュータ1200は、CPU1212、RAM1214、及びグラフィックコントローラ1216を含み、それらはホストコントローラ1210によって相互に接続されている。コンピュータ1200はまた、通信インタフェース1222、記憶装置1224、DVDドライブ、及びICカードドライブのような入出力ユニットを含み、それらは入出力コントローラ1220を介してホストコントローラ1210に接続されている。DVDドライブは、DVD-ROMドライブ及びDVD-RAMドライブ等であってよい。記憶装置1224は、ハードディスクドライブ及びソリッドステートドライブ等であってよい。コンピュータ1200はまた、ROM1230及びキーボードのようなレガシの入出力ユニットを含み、それらは入出力チップ1240を介して入出力コントローラ1220に接続されている。
【0051】
CPU1212は、ROM1230及びRAM1214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ1216は、RAM1214内に提供されるフレームバッファ等又はそれ自体の中に、CPU1212によって生成されるイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス1218上に表示されるようにする。
【0052】
通信インタフェース1222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。記憶装置1224は、コンピュータ1200内のCPU1212によって使用されるプログラム及びデータを格納する。DVDドライブは、プログラム又はデータをDVD-ROM等から読み取り、記憶装置1224に提供する。ICカードドライブは、プログラム及びデータをICカードから読み取り、及び/又はプログラム及びデータをICカードに書き込む。
【0053】
ROM1230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ1200によって実行されるブートプログラム等、及び/又はコンピュータ1200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入出力チップ1240はまた、様々な入出力ユニットをUSBポート、パラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入出力コントローラ1220に接続してよい。
【0054】
プログラムは、DVD-ROM又はICカードのようなコンピュータ可読記憶媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体から読み取られ、コンピュータ可読記憶媒体の例でもある記憶装置1224、RAM1214、又はROM1230にインストールされ、CPU1212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ1200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ1200の使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されてよい。
【0055】
例えば、通信がコンピュータ1200及び外部デバイス間で実行される場合、CPU1212は、RAM1214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース1222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース1222は、CPU1212の制御の下、RAM1214、記憶装置1224、DVD-ROM、又はICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、又はネットワークから受信した受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込む。
【0056】
また、CPU1212は、記憶装置1224、DVDドライブ(DVD-ROM)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM1214に読み取られるようにし、RAM1214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU1212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
【0057】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU1212は、RAM1214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM1214に対しライトバックする。また、CPU1212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU1212は、当該複数のエントリの中から、第1の属性の属性値が指定されている条件に一致するエントリを検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0058】
上で説明したプログラム又はソフトウエアモジュールは、コンピュータ1200上又はコンピュータ1200近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ1200に提供する。
【0059】
本実施形態におけるフローチャート及びブロック図におけるブロックは、オペレーションが実行されるプロセスの段階又はオペレーションを実行する役割を持つ装置の「部」を表わしてよい。特定の段階及び「部」が、専用回路、コンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、及び/又はコンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタル及び/又はアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)及び/又はディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、及びプログラマブルロジックアレイ(PLA)等のような、論理積、論理和、排他的論理和、否定論理積、否定論理和、及び他の論理演算、フリップフロップ、レジスタ、並びにメモリエレメントを含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0060】
コンピュータ可読記憶媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読記憶媒体は、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(登録商標)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0061】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、又はSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコード又はオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0062】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路が、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を生成するために当該コンピュータ可読命令を実行すべく、ローカルに又はローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路に提供されてよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0063】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0064】
特許請求の範囲、明細書、及び図面中において示した装置、システム、プログラム、及び方法における動作、手順、ステップ、及び段階などの各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」などと明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」などを用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0065】
100 製造装置、102 筐体、104 ねじ部、110 圧力センサ、120 計測シート、150 コントローラ、152 準備部、154 加圧制御部、156 生成部、200 電池モジュール、202 拘束板、204 拘束板、206 拘束板、210 支柱、212 支柱、250 弾性部材、252 ばね、300 電池、310 電池セル、1200 コンピュータ、1210 ホストコントローラ、1212 CPU、1214 RAM、1216 グラフィックコントローラ、1218 ディスプレイデバイス、1220 入出力コントローラ、1222 通信インタフェース、1224 記憶装置、1230 ROM、1240 入出力チップ