(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155634
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】情報処理装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 43/00 20220101AFI20221006BHJP
G06F 13/00 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
H04L12/26
G06F13/00 351N
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021058964
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【弁理士】
【氏名又は名称】畑添 隆人
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 滋
(74)【代理人】
【識別番号】100216367
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 梨絵
(72)【発明者】
【氏名】平野 一義
(72)【発明者】
【氏名】田中 直行
【テーマコード(参考)】
5B089
5K030
【Fターム(参考)】
5B089GA11
5B089GA21
5B089GA31
5B089GB02
5B089HA06
5B089HA10
5B089HB02
5B089HB06
5B089JA35
5B089JB10
5B089JB14
5B089KA02
5B089KA12
5B089KB04
5B089MC02
5B089MD01
5B089MD06
5K030GA12
5K030JT02
5K030MA06
5K030MB09
5K030MC07
5K030MC09
(57)【要約】
【課題】ネットワークに接続された機器が意図された停止状態にあるのか、又は当該機器に障害が発生した状態にあるのかを判別することを課題とする。
【解決手段】情報処理装置に、ネットワークに接続された複数の機器からなるグループを定義して該定義を記録する機器管理部と、グループに属する複数の機器の稼働状態を監視する機器監視部と、グループに属する複数の機器の全てが未稼働状態であると判定された場合に、グループに属する機器が意図された停止状態にあると判定し、グループに属する機器が一部的に未稼働状態であると判定された場合に、未稼働状態であると判定された機器に障害が発生したと判定する判定部と、を備えた。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続された複数の機器からなるグループを定義して該定義を記録する機器管理手段と、
前記グループに属する複数の機器の稼働状態を監視する機器監視手段と、
前記グループに属する複数の機器の全てが未稼働状態であると判定された場合に、該グループに属する機器が意図された停止状態にあると判定し、前記グループに属する機器が一部的に未稼働状態であると判定された場合に、未稼働状態であると判定された機器に障害が発生したと判定する判定手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記ネットワークを流れる通信データを取得する通信データ取得手段を更に備え、
前記機器監視手段は、取得された前記通信データに基づいて、前記グループに属する複数の機器の稼働状態を監視する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記機器管理手段は、前記ネットワークに接続された機器の識別情報を記録する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記機器監視手段は、前記グループに属する複数の機器に対して稼働確認のためのメッセージを送信し、該メッセージを受信した機器から送信された、該メッセージへの応答に係る通信データが取得された場合に、該応答に係る通信データの送信元機器が稼働状態であると判定する、
請求項2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記機器管理手段は、前記通信データ取得手段によって取得された通信データのうち、該機器管理手段によって記録されていない機器によって送受信された通信データに係る機器の識別情報を新たに記録し、
更に、新たに記録された識別情報に係る機器を、定義済みの何れかのグループに登録する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記機器管理手段は、新たに記録された識別情報に係る機器を、定義済みのグループのうち、該機器と同一サブネットに属する機器のグループに登録する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記機器管理手段は、前記通信データ取得手段によって取得された通信データのうち、同一のゲートウェイとの間で送受信された通信データに係る機器を、1のグループに登録する、
請求項2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記ゲートウェイに対して稼働確認のためのメッセージを送信し、前記ゲートウェイから送信された、該メッセージへの応答に係る通信データが取得された場合に、該ゲートウェイが稼働状態であると判定するゲートウェイ監視手段を更に備える、
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記ゲートウェイ監視手段は、前記ゲートウェイのポートに対して稼働確認のためのメッセージを送信し、前記ゲートウェイのポートを送信元として送信された、該メッセージへの応答に係る通信データが取得された場合に、該ポートが稼働状態であると判定する、
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記ゲートウェイ監視手段は、前記ゲートウェイ又は前記ポートが稼働状態であると判定されなかった場合に、該ゲートウェイ又は該ポートに障害が発生したと判定する、
請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記機器監視手段は、前記グループに属する機器によって送受信された通信データが取得された場合に、該通信データを送受信する機器が稼働状態であると判定し、前記グループに属する機器によって送受信された通信データが所定時間以上取得されない場合に、該通信データを送受信する機器が未稼働状態であると判定する、
請求項2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記機器監視手段は、送受信された通信データが所定時間以上取得されない機器であると判定された場合に、該機器に対して稼働確認のためのメッセージを送信し、該メッセージを受信した機器から送信された、該メッセージへの応答に係る通信データが取得された場合に、該応答に係る通信データの送信元機器が稼働状態であると判定する、
請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記グループには、同時間帯に稼働するために前記ネットワークに接続された複数の機器が属する、
請求項1から12の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項14】
コンピュータが、
ネットワークに接続された複数の機器からなるグループを定義して該定義を記録する機器管理ステップと、
前記グループに属する複数の機器の稼働状態を監視する機器監視ステップと、
前記グループに属する複数の機器の全てが未稼働状態であると判定された場合に、該グループに属する機器が意図された停止状態にあると判定し、前記グループに属する機器が一部的に未稼働状態であると判定された場合に、未稼働状態であると判定された機器に障害が発生したと判定する判定ステップと、
を実行する方法。
【請求項15】
コンピュータを、
ネットワークに接続された複数の機器からなるグループを定義して該定義を記録する機器管理手段と、
前記グループに属する複数の機器の稼働状態を監視する機器監視手段と、
前記グループに属する複数の機器の全てが未稼働状態であると判定された場合に、該グループに属する機器が意図された停止状態にあると判定し、前記グループに属する機器が一部的に未稼働状態であると判定された場合に、未稼働状態であると判定された機器に障害が発生したと判定する判定手段と、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ネットワークに接続された機器を監視するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ネットワークシステムにあって管理ステーションに状態を管理されるべきネットワーク機器であって、電源を切断する旨の切断通知を、管理ステーションに出力するよう構成された通知手段と、電源の切断指令を受けたときに、通知手段に対して切断通知を行うように指令するとともに、この指令に対応した切断通知が出力された後に、電源の切断を開始する電源制御手段とを備えたネットワーク機器が提案されている(特許文献1を参照)。
【0003】
また、複数の監視対象機器の少なくとも1台の障害が検知された場合に、複数の監視対象機器の各々と複数のサービスのうちの監視対象機器が提供するサービスとを対応付けた影響範囲情報に基づいて、障害が検知された監視対象機器によって提供されるサービスを特定する特定部と、障害が検知された監視対象機器に対し、特定部により特定されたサービスが利用可能か否かを確認するための稼動確認処理を実行する実行部と、を備える稼動確認装置が提案されている(特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-298510号公報
【特許文献2】特開2018-142092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、工場やオフィス等の、ネットワークに接続された複数の機器が同時に稼働する環境において、監視装置がネットワーク通信を監視することで、機器の死活監視を行う技術がある。しかし、機器の「意図された停止状態」と「障害が発生した状態」とは、何れもネットワーク通信上は機器からの応答が無い状態であるため、従来の監視装置がネットワーク通信を監視する方法では、これらの状態を区別せずに「機器未稼働状態」として判定する他なかった。即ち、従来の監視装置がネットワーク通信を監視する方法では、機器の「意図された停止状態」と「障害が発生した状態」とを判別することは困難であり、これらを判別するために、現場に赴き目視で確認する等の煩雑な作業が行われていた。
【0006】
本開示は、上記した問題に鑑み、ネットワークに接続された機器が意図された停止状態にあるのか、又は当該機器に障害が発生した状態にあるのかを判別することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一例は、ネットワークに接続された複数の機器からなるグループを定義して該定義を記録する機器管理手段と、前記グループに属する複数の機器の稼働状態を監視する機器監視手段と、前記グループに属する複数の機器の全てが未稼働状態であると判定された場合に、該グループに属する機器が意図された停止状態にあると判定し、前記グループに属する機器が一部的に未稼働状態であると判定された場合に、未稼働状態であると判定された機器に障害が発生したと判定する判定手段と、を備える情報処理装置である。
【0008】
本開示は、情報処理装置、システム、コンピュータによって実行される方法又はコンピュータに実行させるプログラムとして把握することが可能である。また、本開示は、そのようなプログラムをコンピュータその他の装置、機械等が読み取り可能な記録媒体に記録したものとしても把握できる。ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的又は化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、ネットワークに接続された機器が意図された停止状態にあるのか、又は当該機器に障害が発生した状態にあるのかを判別することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係るシステムの構成を示す概略図である。
【
図2】実施形態に係るシステムの機能構成の概略を示す図である。
【
図3】実施形態に係る機器状態監視処理の流れの概要を示すフローチャートである。
【
図4】実施形態に係るシステムの機能構成の概略を示す図である。
【
図5】実施形態に係るグループ定義処理の流れの概要を示すフローチャートである。
【
図6】実施形態に係るシステムの機能構成の概略を示す図である。
【
図7】実施形態に係るグループ定義処理の流れの概要を示すフローチャートである。
【
図8】実施形態に係るゲートウェイ状態監視処理の流れの概要を示すフローチャートである。
【
図9】実施形態に係るシステムの機能構成の概略を示す図である。
【
図10】実施形態に係る稼働状態更新処理の流れの概要を示すフローチャートである。
【
図11】実施形態に係る機器状態監視処理の流れの概要を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示に係る情報処理装置、方法及びプログラムの実施の形態を、図面に基づいて説明する。但し、以下に説明する実施の形態は、実施形態を例示するものであって、本開示に係る情報処理装置、方法及びプログラムを以下に説明する具体的構成に限定するものではない。実施にあたっては、実施の態様に応じた具体的構成が適宜採用され、また、種々の改良や変形が行われてよい。
【0012】
以下に説明する実施形態では、本開示に係る情報処理装置、方法及びプログラムを、ネットワーク監視装置が設置された通信システムにおいて実施した場合の実施の形態について説明する。但し、本開示に係る情報処理装置、方法及びプログラムは、ネットワークに接続された機器を監視するための技術について広く用いることが可能であり、本開示の適用対象は、実施形態において示した例に限定されない。
【0013】
[第一の実施形態]
<システムの構成>
図1は、本実施形態に係るシステムの構成を示す概略図である。本実施形態に係るシステムは、ネットワークに接続されることで互いに通信可能なネットワーク監視装置1と、ゲートウェイ5と、1又は複数のスイッチ7と、1又は複数の管理対象機器9とを備える。なお、
図1には、スイッチ7a及び7bが示されているが、本開示において、単に「スイッチ7」と称された場合には、スイッチ7a及び7bの何れか1又は全体を指す。また、
図1には、管理対象機器9aから9fが示されているが、単に「管理対象機器9」と称された場合には、管理対象機器9aから9fの何れか1又は全体を指す。
【0014】
従来、工場やオフィス等の、ネットワークに接続された複数の管理対象機器9が同時に稼働する環境において、監視装置がネットワーク通信を監視することで、管理対象機器9の死活確認を行う技術がある。しかし、管理対象機器9の「意図された停止状態」と「障害が発生した状態」とは、何れもネットワーク通信上は管理対象機器9からの応答が無い状態であるため、従来の監視装置がネットワーク通信を監視する方法では、これらの状態を区別せずに「機器未稼働状態」として判定する他なかった。即ち、従来の監視装置がネットワーク通信を監視する方法では、管理対象機器9の「意図された停止状態」と「障害が発生した状態」とを判別することは困難であり、これらを判別するために、現場に赴き目視で確認する等の煩雑な作業が行われていた。
【0015】
このため、本実施形態に開示されたシステムでは、同時に稼働される複数の管理対象機器9をグループとして定義し、複数の管理対象機器9を同時にネットワーク通信で死活確認する機能を備え、グループ内の全ての管理対象機器9が応答しない場合に「意図された停止状態」と判断し、グループ内の一部の管理対象機器9が応答しない場合に「障害が発生した状態」と判断することとした。これにより、複数の管理対象機器9を同時に稼働させる環境において、監視装置からネットワーク通信で死活確認する場合に、管理対象機器9の「意図された停止状態」と「障害が発生した状態」との判別を正しく行うことが可能となり、従来行われていた、現場に赴き目視で確認するなどの煩雑な作業が不要となる。
【0016】
ネットワーク監視装置1は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)やHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置14、NIC(Network Interface Card)等の通信ユニット15、等を備えるコンピュータである。但し、ネットワーク監視装置1の具体的なハードウェア構成に関しては、実施の態様に応じて適宜省略や置換、追加が可能である。また、ネットワーク監視装置1は、単一の筐体からなる装置に限定されない。ネットワーク監視装置1は、所謂クラウドや分散コンピューティングの技術等を用いた、複数の装置によって実現されてよい。
【0017】
ゲートウェイ5は、ネットワーク同士を接続するために設置される装置であり、本実施形態では、ゲートウェイ5が備えるポート毎にサブネットを接続することで、サブネット間及びシステム外との通信を仲介する。本実施形態において、管理対象機器9が同一のサブネットに属することは、管理対象機器9が同一のグループに所属すると判定されるための条件として用いられる。但し、同一のグループに属させる管理対象機器9は任意に選択可能であり、管理対象機器9が同一のグループに所属すると判定されるための条件は本開示における例示に限定されない。
【0018】
スイッチ7a及び7bは、各グループに対応するサブネットに設置されて、パケットやフレームのスイッチングを行う。また、スイッチ7a及び7bは、パケットのキャプチャ機能及びキャプチャされたパケットのミラーリング機能を備えてもよい。この場合、ネットワーク監視装置1は、各グループに設置されたスイッチ7から、当該スイッチ7においてキャプチャされたパケットを取得することが出来る。
【0019】
管理対象機器9aから9fは、オフィスや工場等において使用される、IP通信を行う端末機器である。管理対象機器9aから9fは、例えば、PC(Personal Computer)、スキャナー、プリンター、センサー、産業用機械、等である。
【0020】
図2は、本実施形態に係るシステムの機能構成の概略を示す図である。ネットワーク監視装置1は、記憶装置14に記録されているプログラムが、RAM13に読み出され、CPU11によって実行されて、ネットワーク監視装置1に備えられた各ハードウェアが制御されることで、機器管理部21、通信データ取得部22、機器監視部23及び判定部24を備える情報処理装置として機能する。なお、本実施形態及び後述する他の実施形態では、ネットワーク監視装置1の備える各機能は、汎用プロセッサであるCPU11によって実行されるが、これらの機能の一部又は全部は、1又は複数の専用プロセッサによって実行されてもよい。
【0021】
機器管理部21は、ネットワークに接続された管理対象機器9の識別情報を機器管理台帳に記録することで、ネットワークに接続された管理対象機器9を管理し、また、ネットワークに接続された複数の管理対象機器9からなるグループを定義して当該定義を機器グループ管理台帳に記録する。グループには、同時間帯に稼働するためにネットワークに接続された複数の管理対象機器9が属する。このようにすることで、本開示に係るシステムでは、グループ内の全ての管理対象機器9が未稼働である場合にグループ内管理対象機器9を「意図された停止状態」と判定し、グループ内の一部の管理対象機器9が未稼働である場合に未稼働管理対象機器9を「障害が発生した状態」と判定することが可能となる。ここで、「意図された停止状態」とは、例えば、業務時間外でグループに属する全ての管理対象機器9の電源が落とされている状態等である。なお、本実施形態では、同一サブネット内で同時間帯に協働して稼働する複数の管理対象機器9(例えば、工場等での生産の際に同時に稼働する複数の機器)の集合が、「機器グループ」として定義される。
【0022】
通信データ取得部22は、ネットワークを流れる通信データ(本実施形態では、通信ユニット15によって受信されるパケット)を取得する。
【0023】
機器監視部23は、取得された通信データに基づいて、グループに属する複数の管理対象機器9の稼働状態を監視する。より具体的には、機器監視部23は、メッセージを受信した管理対象機器9から送信された、当該メッセージへの応答に係る通信データが取得された場合に、当該応答に係る通信データの送信元管理対象機器9が稼働状態であると判定する。
【0024】
更に、機器監視部23は、グループに属する複数の管理対象機器9に対して稼働確認のためのメッセージを送信する。即ち、本実施形態において、機器監視部23は、送信された確認メッセージを受信した管理対象機器9から送信された、当該確認メッセージへの応答に係る通信データが取得された場合に、当該応答に係る通信データの送信元管理対象機器9が稼働状態であると判定する。
【0025】
判定部24は、グループに属する複数の管理対象機器9の全てが未稼働状態であると判定された場合に、当該グループに属する管理対象機器9が意図された停止状態にあると判定し、グループに属する管理対象機器9が一部的に未稼働状態であると判定された場合に、未稼働状態であると判定された管理対象機器9に障害が発生したと判定する。
【0026】
<処理の流れ>
次に、本実施形態に係るシステムによって実行される処理の流れを説明する。なお、以下に説明する処理の具体的な内容及び処理順序は、本開示を実施するための一例である。具体的な処理内容及び処理順序は、本開示の実施の形態に応じて適宜選択されてよい。
【0027】
ユーザは、事前に、同一サブネット内で同時間帯に稼働する複数の管理対象機器9の集合を「機器グループ」として定義し、機器管理部21に登録する。具体的には、ユーザは、これらの管理対象機器9を識別可能な情報(以下、機器ID)を機器管理台帳に登録し、また、機器IDを所定のグループIDに紐づけることで、機器グループに、当該グループに属する管理対象機器9を登録する。ここで、機器IDには、管理対象機器9のIPアドレスやMACアドレス等が用いられてよい。
【0028】
図3は、本実施形態に係る機器状態監視処理の流れの概要を示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、死活確認対象のグループ毎に、定期的に、又はユーザによる機器状態監視処理の開始指示が入力されたことを契機として実行される。
【0029】
ステップS101からステップS103では、管理対象機器9の死活確認が行われる。機器監視部23は、死活確認対象のグループに属する複数の管理対象機器9の全てに対して、稼働確認のためのメッセージを送信する。具体的には、本実施形態において、機器監視部23は、対象のグループに属する全ての管理対象機器9のIPアドレスを、機器管理部21から取得し、取得されたIPアドレスを宛先として、ICMP(Internet Control Message Protocol)のエコーリクエスト(以下、「ping」と称する)を送信する(ステップS101)。但し、稼働確認のために送信されるメッセージは、管理対象機器9からの応答が期待される種類のメッセージであればよく、メッセージの種類は、本実施形態において例示されたpingに限定されない。例えば、管理対象機器9の稼働確認には、SNMP(Simple Network Management Protocol)が用いられてもよい。
【0030】
死活確認対象のグループに属する複数の管理対象機器9の全てに対して確認メッセージ(本実施形態では、pingパケット)が送信されると、機器監視部23は、送信された確認メッセージに対する各管理対象機器9による応答状況に基づいて、グループに属する複数の管理対象機器9の状態(稼働/未稼働)を判定する(ステップS102)。具体的には、通信データ取得部22は、機器管理台帳を参照することで、受信パケットが死活確認中の管理対象機器9からの応答パケットであるか否かを判定する。この際、機器管理台帳に記録されている管理対象機器9以外に係るパケットは無視される。
【0031】
確認メッセージの送信先の管理対象機器9から当該確認メッセージに対する応答メッセージが受信された場合、機器監視部23は、当該管理対象機器9が稼働状態であると判定する。一方、確認メッセージの送信先の管理対象機器9から当該確認メッセージに対する応答メッセージが受信されることなく応答メッセージの受付時間がタイムアウトした場合や、当該確認メッセージに対するエラーメッセージが受信された場合、機器監視部23は、当該管理対象機器9が未稼働状態であると判定する。ステップS102で得られた各管理対象機器9についての状態(稼働/未稼働)は、機器管理台帳及び機器グループ管理台帳に記録される(ステップS103)。即ち、機器管理部21は、管理対象機器9からの正常な応答が受信された場合は、機器管理台帳及び機器グループ管理台帳に当該管理対象機器9が「稼働状態」である旨を記録し、エラー応答が受信された場合や一定時間応答が受信されない場合は、機器管理台帳及び機器グループ管理台帳に当該管理対象機器9が「未稼働状態」である旨を記録する。その後、処理はステップS104へ進む。
【0032】
ステップS104からステップS109では、グループ内の管理対象機器9の稼働状況に応じて、未稼働の管理対象機器9が「意図された停止状態」にあるのか、又は「障害が発生した状態」にあるのかが判定される。ステップS103までの処理において、死活確認対象のグループに属する複数の管理対象機器9についての死活確認結果が揃った場合、判定部24は、グループに属する複数の管理対象機器9についての状態(稼働/未稼働)を参照し、当該グループに属する管理対象機器9に、1以上の未稼働状態の管理対象機器9があるか否かを判定する(ステップS104)。死活確認対象のグループに属する管理対象機器9に、未稼働状態の管理対象機器9が1つもない場合、換言すれば、死活確認対象のグループに属する全ての管理対象機器9が稼働状態である場合(ステップS104のNO)、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0033】
一方、死活確認対象のグループに属する管理対象機器9に1以上の未稼働状態の管理対象機器9がある場合(ステップS104のYES)、判定部24は、更に、死活確認対象のグループに属する複数の管理対象機器9の全てが未稼働状態であるか否かを判定する(ステップS105)。グループに属する複数の管理対象機器9の全てが未稼働状態である場合(ステップS105のYES)、処理はステップS106へ進む。一方、グループに属する複数の管理対象機器9の全てが未稼働状態ではない場合、換言すれば、グループ中に稼働状態の管理対象機器9と未稼働状態の管理対象機器9とが混在している場合(ステップS105のNO)、処理はステップS108へ進む。
【0034】
ステップS105において死活確認対象のグループに属する複数の管理対象機器9の全てが未稼働状態であると判定された場合、判定部24は、当該グループに属する管理対象機器9が、「意図された停止状態」であると判定する(ステップS106)。そして、機器管理部21は、これらの管理対象機器9について、「停止状態」であることを機器管理台帳及び機器グループ管理台帳に記録し、当該グループに属する管理対象機器9が停止されていることをユーザに通知する(ステップS107)。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0035】
ステップS105において死活確認対象のグループ中に稼働状態の管理対象機器9と未稼働状態の管理対象機器9とが混在していると判定された場合、判定部24は、当該グループに属する管理対象機器9のうち、未稼働状態の管理対象機器9を、「障害が発生した状態」であると判定する(ステップS108)。そして、機器管理部21は、これらの管理対象機器9について、「障害が発生した状態」であることを機器管理台帳及び機器グループ管理台帳に記録し、当該管理対象機器9に関する障害が発生したことをユーザに通知する(ステップS109)。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0036】
なお、上記説明したフローチャートでは、グループに属する全ての管理対象機器9が稼働状態である場合、特段の処理を行うことなく機器状態監視処理を終了する例を説明したが、グループに属する全ての管理対象機器9が稼働状態である場合にも、全て正常稼働である旨をユーザに通知する等の処理が実行されてよい。
【0037】
また、ユーザへの通知は、予め登録されたユーザへの通知先へのメッセージ送信によって行われてよい。ユーザへの通知に用いられる技術は限定されず、電子メール、ショートメッセージサービス(SMS)、管理アプリケーション内メッセージ、ユーザ端末へのプッシュ通知等、種々の方法が採用されてよい。
【0038】
上記説明した第一の実施形態によれば、ネットワークに接続された機器を監視するシステムにおいて、複数の機器の集合を1つのグループとして定義し、グループに属する複数の機器をネットワーク通信で死活確認し、グループ内の全ての機器が死活確認に応答しない場合にグループ内の全ての機器が意図的に停止されていると判定し、グループ内の一部の機器が死活確認に応答しない場合に応答しない機器に障害は発生していると判定することが可能となる。
【0039】
[第二の実施形態]
<システムの構成>
本実施形態に係るシステムのネットワーク構成及びハードウェア構成は、上記説明した第一の実施形態と概略同様であるため、説明を省略する。
【0040】
図4は、本実施形態に係るシステムの機能構成の概略を示す図である。ネットワーク監視装置1bは、記憶装置14に記録されているプログラムが、RAM13に読み出され、CPU11によって実行されて、ネットワーク監視装置1bに備えられた各ハードウェアが制御されることで、機器管理部21b、通信データ取得部22b、機器監視部23及び判定部24を備える情報処理装置として機能する。なお、本実施形態及び後述する他の実施形態では、ネットワーク監視装置1bの備える各機能は、汎用プロセッサであるCPU11によって実行されるが、これらの機能の一部又は全部は、1又は複数の専用プロセッサによって実行されてもよい。
【0041】
ネットワーク監視装置1bが備える機器監視部23及び判定部24の機能は、第一の実施形態において説明した機能と概略同様である。但し、本実施形態において、機器管理部21b及び通信データ取得部22bは、第一の実施形態において説明した機器管理部21及び通信データ取得部22の機能に加えて、以下で説明する機能を更に備える。
【0042】
本実施形態において、通信データ取得部22bは、各グループ(サブネット)に設置されたスイッチ7から、これらのスイッチ7によってキャプチャされたパケットを取得することで、各グループ(サブネット)内での管理対象機器9間の通信内容を取得する。即ち、本実施形態において、ネットワーク監視装置1bは、グループ(サブネット)内の管理対象機器9間の通信を、各グループに設置されたスイッチ7におけるキャプチャパケットを取得することで監視する。
【0043】
また、本実施形態において、通信データ取得部22bは、ネットワークを流れるIPパケットを解析することで、ネットワークに接続された管理対象機器9に係る、IPアドレスを含む機器情報を収集する。具体的には、通信データ取得部22bは、ネットワーク監視装置1bが接続されたネットワークを流れるパケットやフレームを取得し、取得されたパケット等に含まれる情報(例えば、IPアドレスやMACアドレス等)から、ネットワークに接続された管理対象機器9を自動的に検出・特定し、更に検出された管理対象機器9に係る機器情報の取得・収集を行う。本実施形態において、機器情報は、管理対象機器9の機器名、IPアドレス、MACアドレス、ベンダー名、機器種別、オペレーティングシステム種別、ユーザ(所有者)名、ユーザ(所有者)所属、利用日時、及びその他の情報を含んでよい。
【0044】
本実施形態において、機器管理部21bは、通信データ取得部22bによって取得された通信データのうち、機器管理部21bによって記録されていない機器によって送受信された通信データに係る機器の識別情報を新たに記録する。具体的には、機器管理部21bは、通信データ取得部22bによって取得されたIPアドレスを含む管理対象機器9の機器情報を、ネットワークに接続された管理対象機器9の機器情報として、機器管理台帳に記録する。更に、機器管理部21bは、新たに記録された識別情報に係る機器を、定義済みのグループのうち、当該機器と同一サブネットに属する機器のグループに登録する。即ち、本実施形態では、新規機器を機器管理台帳へ記録し、記録された機器と通信を行う同一サブネットの機器を同一グループとして機器グループ管理台帳へ記録する事で、グループを自動で定義する。
【0045】
<処理の流れ>
次に、本実施形態に係るシステムによって実行される処理の流れを説明する。なお、以下に説明する処理の具体的な内容及び処理順序は、本開示を実施するための一例である。具体的な処理内容及び処理順序は、本開示の実施の形態に応じて適宜選択されてよい。
【0046】
図5は、本実施形態に係るグループ定義処理の流れの概要を示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、ネットワーク監視装置1bが起動し、管理対象機器9の監視機能が有効化されている間、繰り返し実行される。
【0047】
ステップS201では、管理対象機器9間の通信に係るキャプチャパケットが取得される。通信データ取得部22bは、各グループに設置されたスイッチ7から、当該スイッチ7においてキャプチャされたパケットを取得し、取得されたパケットから、管理対象機器9間の通信に係るパケットを抽出する(ステップS201)。その後、処理はステップS202へ進む。
【0048】
ステップS202及びステップS203では、新たに発見された管理対象機器9が機器管理台帳に登録される。機器管理部21bは、抽出されたパケットの宛先アドレス及び送信元アドレスを抽出し、これらのアドレスに基づいて機器管理台帳を検索することで、当該パケットの送受信に係る機器が、機器管理台帳に登録済みの機器であるか否かを判定する(ステップS202)。パケットの送受信に係る機器が、機器管理台帳に登録済みの機器であると判定された場合(ステップS202のYES)、処理はステップS204へ進む。一方、パケットの送受信に係る機器が、機器管理台帳に登録済みの機器でない(機器管理台帳に未登録の新規の機器である)と判定された場合(ステップS202のNO)、機器管理部21bは、新規の機器に係るデータを機器管理台帳に記録することで、当該新規の機器を管理対象として登録する(ステップS203)。その後、処理はステップS204へ進む。
【0049】
ステップS204及びステップS205では、グループ未登録の管理対象機器9が機器グループ管理台帳に登録される。機器管理部21bは、パケットから抽出された宛先アドレス及び送信元アドレスが同一のサブネットに属している場合、当該サブネットアドレスに基づいて機器グループ管理台帳を検索することで、当該パケットの送受信に係る機器が、同一サブネットに係る機器グループに登録済みの機器であるか否かを判定する(ステップS204)。パケットの送受信に係る機器が、同一サブネットに係る機器グループに登録済みの機器であると判定された場合(ステップS204のYES)、本フローチャートに示された処理は終了する。一方、パケットの送受信に係る機器が、同一サブネットに係る機器グループに登録済みの機器でない(機器グループ管理台帳に未登録の機器である)と判定された場合(ステップS204のNO)、機器管理部21bは、当該機器を、同一サブネットに係る機器グループに属する機器として機器グループ管理台帳に記録することで、当該機器のグループ定義を自動で行う(ステップS205)。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0050】
上記説明した第二の実施形態によれば、グループを定義するにあたって、機器間のネットワーク通信を監視し、通信相手が同一のグループに属するとして自動でグループを定義することが可能となる。
【0051】
[第三の実施形態]
<システムの構成>
本実施形態に係るシステムのネットワーク構成及びハードウェア構成は、上記説明した第一の実施形態と概略同様であるため、説明を省略する。
【0052】
図6は、本実施形態に係るシステムの機能構成の概略を示す図である。ネットワーク監視装置1cは、記憶装置14に記録されているプログラムが、RAM13に読み出され、CPU11によって実行されて、ネットワーク監視装置1cに備えられた各ハードウェアが制御されることで、機器管理部21c、通信データ取得部22c、機器監視部23、判定部24及びゲートウェイ監視部25を備える情報処理装置として機能する。なお、本実施形態及び後述する他の実施形態では、ネットワーク監視装置1cの備える各機能は、汎用プロセッサであるCPU11によって実行されるが、これらの機能の一部又は全部は、1又は複数の専用プロセッサによって実行されてもよい。
【0053】
ネットワーク監視装置1cが備える機器監視部23及び判定部24の機能は、第一の実施形態において説明した機能と概略同様である。但し、本実施形態において、機器管理部21c及び通信データ取得部22cは、第一の実施形態において説明した機器管理部21及び通信データ取得部22の機能に加えて、以下で説明する機能を更に備える。
【0054】
本実施形態において、通信データ取得部22cは、各グループ(サブネット)に設置されたスイッチ7から、これらのスイッチ7によってキャプチャされたパケットを取得することで、各グループ(サブネット)内でのゲートウェイ5と管理対象機器9との間の通信内容を取得する。即ち、本実施形態において、ネットワーク監視装置1cは、グループ(サブネット)内のゲートウェイ5と管理対象機器9との間の通信を、各グループに設置されたスイッチ7におけるキャプチャパケットを取得することで監視する。
【0055】
本実施形態において、機器管理部21cは、通信データ取得部22cによって取得された通信データのうち、機器管理部21cによって記録されていない機器によって送受信された通信データに係る機器の識別情報を新たに記録し、更に、通信データ取得部22cによって取得された通信データのうち、同一のゲートウェイ5との間で送受信された通信データに係る機器を、1のグループに登録する。また、本実施形態では、ゲートウェイ5が備える各ポートも、機器管理台帳及び機器グループ管理台帳において管理される。
【0056】
ゲートウェイ監視部25は、ゲートウェイ5に対して稼働確認のためのメッセージを送信し、ゲートウェイ5から送信された、当該メッセージへの応答に係る通信データが取得された場合に、当該ゲートウェイ5が稼働状態であると判定する。ここで、ゲートウェイ監視部25は、ゲートウェイ5のポートに対して稼働確認のためのメッセージを送信し、ゲートウェイ5のポートを送信元として送信された、当該メッセージへの応答に係る通信データが取得された場合に、当該ポートが稼働状態であると判定する。そして、ゲートウェイ監視部25は、ゲートウェイ5又はポートが稼働状態であると判定されなかった場合に、当該ゲートウェイ5又は当該ポートに障害が発生したと判定する。
【0057】
<処理の流れ>
次に、本実施形態に係るシステムによって実行される処理の流れを説明する。なお、以下に説明する処理の具体的な内容及び処理順序は、本開示を実施するための一例である。具体的な処理内容及び処理順序は、本開示の実施の形態に応じて適宜選択されてよい。
【0058】
図7は、本実施形態に係るグループ定義処理の流れの概要を示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、ネットワーク監視装置1cが起動し、管理対象機器9の監視機能が有効化されている間、繰り返し実行される。
【0059】
ステップS301では、ゲートウェイ5と管理対象機器9との間の通信に係るキャプチャパケットが取得される。通信データ取得部22cは、各グループに設置されたスイッチ7から、当該スイッチ7においてキャプチャされたパケットを取得し、取得されたパケットから、ゲートウェイ5と管理対象機器9との間の通信に係るパケットを抽出する(ステップS301)。その後、処理はステップS302へ進む。
【0060】
ステップS302及びステップS303では、新たに発見された管理対象機器9が機器管理台帳に登録される。機器管理部21cは、抽出されたパケットから、ゲートウェイ5の通信相手の管理対象機器9のアドレスを抽出し、当該アドレスに基づいて機器管理台帳を検索することで、ゲートウェイ5の通信相手の管理対象機器9が、機器管理台帳に登録済みの機器であるか否かを判定する(ステップS302)。ゲートウェイ5の通信相手の機器が、機器管理台帳に登録済みの機器であると判定された場合(ステップS302のYES)、処理はステップS304へ進む。一方、ゲートウェイ5の通信相手の機器が、機器管理台帳に登録済みの機器でない(機器管理台帳に未登録の新規の機器である)と判定された場合(ステップS302のNO)、機器管理部21cは、新規の機器に係るデータを機器管理台帳に記録することで、当該新規の機器を管理対象として登録する(ステップS303)。その後、処理はステップS304へ進む。
【0061】
ステップS304及びステップS305では、グループ未登録の管理対象機器9が機器グループ管理台帳に登録される。機器管理部21cは、パケットから抽出された、ゲートウェイ5の通信相手の機器のサブネットアドレスに基づいて機器グループ管理台帳を検索することで、当該機器が、同一サブネットに係る機器グループに登録済みの機器であるか否かを判定する(ステップS304)。ゲートウェイ5の通信相手の機器が、同一サブネットに係る機器グループに登録済みの機器であると判定された場合(ステップS304のYES)、本フローチャートに示された処理は終了する。一方、ゲートウェイ5の通信相手の機器が、同一サブネットに係る機器グループに登録済みの機器でない(機器グループ管理台帳に未登録の機器である)と判定された場合(ステップS304のNO)、機器管理部21cは、当該機器を、同一サブネットに係る機器グループに属する機器として機器グループ管理台帳に記録することで、当該機器のグループ定義を自動で行う(ステップS305)。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0062】
図8は、本実施形態に係るゲートウェイ状態監視処理の流れの概要を示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、定期的に、又はユーザによるゲートウェイ状態監視処理の開始指示が入力されたことを契機として実行される。
【0063】
ステップS401からステップS403では、ゲートウェイ5が備える各ポートの死活確認が行われる。ゲートウェイ監視部25は、死活確認対象のグループに対応するサブネットへのゲートウェイ5の出口ポートの全てに対して、稼働確認のためのメッセージを送信する。具体的には、本実施形態において、ゲートウェイ監視部25は、各サブネットへのゲートウェイ5の出口ポートのIPアドレスを宛先として、pingを送信する(ステップS401)。但し、稼働確認のために送信されるメッセージは、ゲートウェイ5からの応答が期待される種類のメッセージであればよく、メッセージの種類は、本実施形態において例示されたpingに限定されない。
【0064】
死活確認対象のグループに対応するサブネットへのゲートウェイ5のポートの全てに対して確認メッセージ(本実施形態では、pingパケット)が送信されると、ゲートウェイ監視部25は、送信された確認メッセージに対する各ポートによる応答状況に基づいて、ポートの状態(稼働/未稼働)を判定する(ステップS402)。具体的には、ゲートウェイ監視部25は、パケットが受信されると、通信データ取得部22cにパケットを通知し、通信データ取得部22cは、受信パケットが死活確認中のポートからの応答パケットであるか否かを判定する。この際、ゲートウェイ5のポート以外に係るパケットは無視される。
【0065】
確認メッセージの送信先のポートから当該確認メッセージに対する応答メッセージが受信された場合、ゲートウェイ監視部25は、当該ポートが稼働状態であると判定する。一方、確認メッセージの送信先のポートから当該確認メッセージに対する応答メッセージが受信されることなく応答メッセージの受付時間がタイムアウトした場合や、当該確認メッセージに対するエラーメッセージが受信された場合、ゲートウェイ監視部25は、当該ポートが未稼働状態であると判定する。ステップS402で得られた各ポートについての状態(稼働/未稼働)は、機器管理台帳及び機器グループ管理台帳に記録される(S403)。即ち、機器管理部21は、ポートからの正常な応答が受信された場合は、当該ポートが「稼働状態」である旨を機器管理台帳及び機器グループ管理台帳に記録し、エラー応答が受信された場合や一定時間応答が受信されない場合は、当該ポートが「未稼働状態」である旨を機器管理台帳及び機器グループ管理台帳に記録する。その後、処理はステップS404へ進む。
【0066】
ステップS404及びステップS405では、未稼働状態のポートがある場合、障害発生がユーザに通知される。ゲートウェイ監視部25は、グループに属する複数のポートについての状態(稼働/未稼働)を参照し、当該グループに属するポートに、未稼働状態のポートがあるか否かを判定する(ステップS404)。死活確認対象のグループに属するポートに、未稼働状態のポートが1つもない場合、換言すれば、死活確認対象のグループに属する全てのポートが稼働状態である場合(ステップS404のNO)、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0067】
一方、死活確認対象のグループに属するポートに未稼働状態のポートがある場合(ステップS404のYES)、機器管理部21は、当該ポートについて、「障害が発生した状態」であることを機器管理台帳及び機器グループ管理台帳に記録し、当該ポートに関する障害が発生したこと(当該ポートが故障したこと)をユーザに通知する(ステップS405)。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0068】
なお、上記説明したフローチャートでは、ポートが稼働状態である場合には特段の処理を行うことなくゲートウェイ状態監視処理を終了する例を説明したが、ポートが稼働状態である場合にも、正常稼働である旨をユーザに通知する等の処理が実行されてよい。
【0069】
上記説明した第三の実施形態によれば、グループ定義において、起点となる装置(ゲートウェイ5)と機器とのネットワーク通信を監視し、起点となる装置(ゲートウェイ5)とネットワーク通信する機器を自動でグループ定義すること、及び、起点となる装置(ゲートウェイ5)が未稼働になった場合に、起点となる装置(ゲートウェイ5)に障害が発生したと判定することが可能となる。
【0070】
[第四の実施形態]
<システムの構成>
図9は、本実施形態に係るシステムの機能構成の概略を示す図である。ネットワーク監視装置1dは、記憶装置14に記録されているプログラムが、RAM13に読み出され、CPU11によって実行されて、ネットワーク監視装置1dに備えられた各ハードウェアが制御されることで、機器管理部21、通信データ取得部22、機器監視部23d及び判定部24を備える情報処理装置として機能する。なお、本実施形態及び後述する他の実施形態では、ネットワーク監視装置1dの備える各機能は、汎用プロセッサであるCPU11によって実行されるが、これらの機能の一部又は全部は、1又は複数の専用プロセッサによって実行されてもよい。
【0071】
ネットワーク監視装置1dが備える機器管理部21、通信データ取得部22及び判定部24の機能は、第一の実施形態において説明した機能と概略同様である。但し、本実施形態において、機器監視部23dは、第一の実施形態において説明した機器監視部23の機能に加えて、以下で説明する機能を更に備える。
【0072】
機器監視部23dは、グループに属する管理対象機器9によって送受信された通信データが取得された場合に、当該通信データを送受信する管理対象機器9が稼働状態であると判定する。また、機器監視部23dは、グループに属する管理対象機器9によって送受信された通信データが所定時間以上取得されない場合に、当該管理対象機器9に対して稼働確認のためのメッセージを送信する。そして、機器監視部23dは、当該メッセージを受信した管理対象機器9から送信された、当該メッセージへの応答に係る通信データが取得された場合に、当該応答に係る通信データの送信元管理対象機器9が稼働状態であると判定し、応答に係る通信データが取得されない場合に、当該管理対象機器9が未稼働状態であると判定する。
【0073】
<処理の流れ>
次に、本実施形態に係るシステムによって実行される処理の流れを説明する。なお、以下に説明する処理の具体的な内容及び処理順序は、本開示を実施するための一例である。具体的な処理内容及び処理順序は、本開示の実施の形態に応じて適宜選択されてよい。
【0074】
図10は、本実施形態に係る稼働状態更新処理の流れの概要を示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、ネットワーク監視装置1dが起動し、管理対象機器9の監視機能が有効化されている間、繰り返し実行される。
【0075】
通信データ取得部22は、各グループに設置されたスイッチ7から、当該スイッチ7においてキャプチャされたパケットを取得し(ステップS501)、取得されたパケットが、機器管理台帳に登録された管理対象機器9による通信に係るパケット(管理対象機器9によって送受信される通常のパケットの他、後述する稼働確認メッセージ(ping)への応答パケットを含む)であるか否かを判定する(ステップS502)。取得されたパケットが、機器管理台帳に登録された管理対象機器9による通信に係るパケットでない場合、本フローチャートに示された処理は終了する。一方、取得されたパケットが、機器管理台帳に登録された管理対象機器9による通信に係るパケットである場合、機器監視部23dは、機器管理台帳における当該管理対象機器9の状態を「稼働状態」に更新する(ステップS503)。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0076】
図11は、本実施形態に係る機器状態監視処理の流れの概要を示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、定期的に、又はユーザによる機器状態監視処理の開始指示が入力されたことを契機として実行される。
【0077】
ステップS601では、一定時間以上稼働が確認されていない管理対象機器9が抽出される。機器監視部23dは、機器管理台帳から、上記説明した稼働状態更新処理によって一定時間以上稼働が確認されていない管理対象機器9(換言すれば、一定時間以上通信が途絶えている機器)のデータを抽出する。具体的には、例えば、機器監視部23dは、稼働状態更新処理によって最後に稼働が確認された日時を管理対象機器9毎に機器管理台帳に記録しておき、当該日時が一定時間以上古くなった機器データを抽出することで、一定時間以上稼働が確認されていない管理対象機器9のデータを抽出することができる。また、機器監視部23dは、管理対象機器9毎にタイマーを設定しておき、タイムアウトの際に通知を発生させることで、一定時間以上稼働が確認されていない管理対象機器9のデータを抽出することとしてもよい。但し、該当する管理対象機器9の特定方法は、本実施形態における例示に限定されない。その後、処理はステップS602へ進む。
【0078】
ステップS602からステップS605では、管理対象機器9の死活確認が行われる。機器監視部23dは、ステップS601で抽出された管理対象機器9の全てに対して、稼働確認のためのメッセージを送信する。具体的には、本実施形態において、機器監視部23dは、対象の管理対象機器9のIPアドレスを機器管理部21から取得し、取得されたIPアドレスを宛先としてpingを送信する(ステップS602)。但し、稼働確認のために送信されるメッセージは、管理対象機器9からの応答が期待される種類のメッセージであればよく、メッセージの種類は、本実施形態において例示されたpingに限定されない。
【0079】
ステップS601で抽出された管理対象機器9の全てに対して確認メッセージ(本実施形態では、pingパケット)が送信されると、機器監視部23dは、機器管理台帳及び機器グループ管理台帳に、ステップS601で抽出された管理対象機器9の状態が「確認中」である旨を記録し(ステップS603)、管理対象機器9からの応答パケットを待つ。そして、機器監視部23dは、確認中の各管理対象機器9による応答状況に基づいて、これらの管理対象機器9の状態(稼働/未稼働)を判定する(ステップS604)。管理対象機器9の状態確認のための処理の具体的な内容は、
図3を示して説明した機器状態監視処理のステップS102の処理内容と概略同様であるため、説明を省略する。
【0080】
管理対象機器9の状態が判定されると、機器管理部21は、判定に係る管理対象機器9について、ステップS603で記録された状態「確認中」を消去し、ステップS604で得られた各管理対象機器9についての状態(稼働/未稼働)を、機器管理台帳及び機器グループ管理台帳に記録する(ステップS605)。その後、処理はステップS606へ進む。
【0081】
ステップS606からステップS611の処理内容は、
図3を示して説明した機器状態監視処理のステップS104からステップS109の処理内容と概略同様であるため、説明を省略する。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0082】
上記説明した第四の実施形態によれば、管理対象機器9から送信されるパケットに基づいて管理対象機器9の稼働状態を監視し、管理対象機器9によるパケット通信が無くなった時にネットワーク監視装置1dからパケットを送信し稼働状態を確認することにより、管理対象機器9への負荷を減らすことが可能となる。
【0083】
<バリエーション>
上記説明した第一から第四の実施形態は、実施形態を例示するものであって、本開示に係る情報処理装置、方法及びプログラムを上記に説明した具体的構成に限定するものではない。実施にあたっては、上記説明した各実施形態において採用されている構成を、技術的に矛盾が生じない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0084】
また、上記説明した実施形態では、所定のメッセージへの応答の有無に基づいて、機器やポート、ゲートウェイ等の死活確認を行う例について説明したが、機器やポート、ゲートウェイ等の死活確認は、機器間の通信や、ゲートウェイと機器との間の通信が行われていることをキャプチャパケットに基づいて監視し、通信が一定期間検出されないことをもって未稼働を検出する等の方法で行われてもよい。
【0085】
また、上記説明した第一から第四の実施形態では、ゲートウェイ5及びスイッチ7が設置されたネットワーク構成を例に挙げて説明しているが、ネットワーク構成は、各実施形態における例示に限定されない。例えば、第三の実施形態を除いて、ゲートウェイ5は省略されてもよい。
【符号の説明】
【0086】
1、1b、1c、1d ネットワーク監視装置