(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155651
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】コイル部品、回路基板、及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H01F 17/04 20060101AFI20221006BHJP
H01F 17/00 20060101ALI20221006BHJP
H01F 27/29 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
H01F17/04 F
H01F17/00 C
H01F27/29 123
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021058987
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126572
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 智史
(72)【発明者】
【氏名】野木 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】上山 義明
(72)【発明者】
【氏名】竹岡 伸介
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA01
5E070AB08
5E070BB03
5E070EA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】コイル部品の長手方向に延びる面から基体の外への磁束の漏れを抑制することが可能なコイル部品、回路基板及び電子機器を提供する
【解決手段】コイル部品1は、コイル軸Axの周りに延びる周回部を有するコイル導体25と、磁性材料を含む基体と、外部電極21と、22外部電極と、を備える。基体は、コイル軸と交わり長辺及び短辺を含む第1面及び第1面と対向し長辺よりも短い距離だけ第1面から離間している第2面を含み、コイル導体のうち少なくとも周回部を覆う外表面(主面10a、10b、側面10c~10f)を有する。外部電極21は、第1面のうち少なくともコイル軸と交わる領域を覆うように基体に設けられ、コイル導体の一端に接続される。外部電極22は、第2面のうち少なくともコイル軸と交わる領域を覆うように基体に設けられ、コイル導体の他端に接続される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイル軸の周りに延びる周回部を有するコイル導体と、
前記コイル軸と交わり長辺及び短辺を含む第1面及び前記第1面と対向し前記長辺よりも短い距離だけ前記第1面から離間している第2面を含み前記コイル導体のうち少なくとも前記周回部を覆う外表面を有し、磁性材料を含む基体と、
前記第1面のうち少なくとも前記コイル軸と交わる領域を覆うように前記基体に設けられ前記コイル導体の一端に接続された第1外部電極と、
前記第2面のうち少なくとも前記コイル軸と交わる領域を覆うように前記基体に設けられ前記コイル導体の他端に接続された第2外部電極と、
を備えるコイル部品。
【請求項2】
前記短辺は、前記第1面と前記第2面との間の前記距離よりも長い、
請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記第1外部電極は、前記第1面の全体を覆っている、
請求項1又は2に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記第2外部電極は、前記第2面の全体を覆っている、
請求項1から3のいずれか1項に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記基体の前記外表面は、前記第1面と前記第2面とを接続する第3面を有し、
前記第1外部電極及び前記第2外部電極の各々は、前記第3面の一部を覆う、
請求項1から4のいずれか1項に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記基体の前記外表面は、前記第1面と前記第2面とを接続し前記第3面と対向する第4面をさらに有し、
前記第1外部電極及び前記第2外部電極の各々は、前記第3面の一部を覆う一方で第4面を覆わない、
請求項5に記載のコイル部品。
【請求項7】
前記第1面と前記第2面とを接続し前記第3面と対向する第4面とをさらに有し、
前記第1外部電極及び前記第2外部電極の各々は、前記第3面の一部及び前記第4面の一部をそれぞれ覆う、
請求項5に記載のコイル部品。
【請求項8】
前記第3面のうち前記第1外部電極によって覆われている領域の面積と前記第2外部電極によって覆われている領域の面積との合計は、前記第4面のうち前記第1外部電極によって覆われている領域の面積と前記第2外部電極によって覆われている領域の面積との合計よりも大きい、
請求項7に記載のコイル部品。
【請求項9】
前記基体の前記外表面は、前記第1面と前記第2面とを接続する第3面と、前記第1面と前記第2面とを接続し前記第3面と対向する第4面と、前記第3面と前記第4面とを接続する第5面と、前記第3面と前記第4面とを接続し前記第5面と対向する第6面と、をさらに有し、
前記第1外部電極及び前記第2外部電極の各々は、前記第5面の一部及び前記第6面の一部のそれぞれを覆う、
請求項1から8のいずれか1項に記載のコイル部品。
【請求項10】
前記第3面のうち前記第1外部電極によって覆われている領域の面積と前記第2外部電極で覆われている領域の面積との合計は、前記第3面のうち前記第1外部電極及び前記第2外部電極のいずれにも覆われていない領域の面積よりも大きい、
請求項5から9のいずれか1項に記載のコイル部品。
【請求項11】
前記コイル導体の前記一端及び前記他端はいずれも、前記第3面から前記基体の外部に露出している、
請求項5から10のいずれか1項に記載のコイル部品。
【請求項12】
前記コイル導体の前記一端は前記第1面のうち前記第3面よりも前記第4面に近い位置において前記基体の外部に露出し、前記コイル導体の前記他端は前記第2面のうち前記第3面よりも前記第4面に近い位置において前記基体の外部に露出する、
請求項5から10のいずれか1項に記載のコイル部品。
【請求項13】
前記磁性材料の比透磁率は、100以下である、
請求項1から12のいずれか1項に記載のコイル部品。
【請求項14】
前記基体は、複数の金属磁性粒子を含む、
請求項1から13のいずれか1項に記載のコイル部品。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1項に記載のコイル部品を備える回路基板。
【請求項16】
請求項15の回路基板を備える電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の開示は、コイル部品、回路基板、及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコイル部品は、磁性材料から成り直方体形状を有する基体と、その基体に囲まれたコイル導体と、コイル導体の一端及び他端にそれぞれ接続される一組の外部電極と、を備える。従来のコイル部品においては、コイル導体のうちコイル軸の周りに巻回される周回部の寸法を大きくすることで高インダクタンス化及び磁気飽和特性の改善を図っている。例えば、特開2016-092404号公報(特許文献1)に記載されているコイル部品においては、当該コイル部品の長手方向(L軸方向)に沿って延びるLW面と交わる方向にコア部55が延びており、このコア部55の周りにコイル導体(内部コイル部42、44)が巻回されている。このように、コイル導体のコイル軸がコイル部品の長手方向を含む面と交わるように当該コイル導体を配置することで、所与の寸法を有する基体内に配置されるコイル導体の周回部の寸法を大きくすることが可能となる。
【0003】
上記の特許文献1は、同一平面において周回部が複数ターン巻回されている平面コイルと呼ばれる種類のコイル部品であるが、平面コイル以外のコイル部品においても、コイル導体は、そのコイル軸がコイル部品の長手方向に延びる面と交わるように配置される。例えば、特開2007-027354号公報(特許文献2)に記載されているコイル部品は、コイル軸の周りに螺旋状に延びる周回部を有するコイル導体を備えており、このコイル導体もコイル軸がコイル部品の長手方向に延びる面と交わるように配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-092404号公報
【特許文献2】特開2007-027354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、従来のコイル部品においては、コイル軸が基体の外表面を画定する面のうちコイル部品の長手方向に沿って延びる比較的大きな面積を有する面と交わるように配置されている。このため、従来のコイル部品においては、コイル軸に沿って生じる磁束が当該長手方向を含む面から基体の外部に漏れやすく、この漏れ磁束がコイル部品の周囲にある他の素子への磁気的なノイズとなるという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、上述した問題の少なくとも一部を解決又は緩和することである。より具体的な本発明の目的の一つは、コイル部品の長手方向に延びる面から基体の外への磁束の漏れを抑制することが可能なコイル部品を提供することである。
【0007】
本明細書に開示される発明の前記以外の目的は、本明細書全体を参照することにより明らかになる。本明細書に開示される発明は、前記の課題に代えて又は前記の課題に加えて、本明細書の記載から把握される課題を解決するものであってもよい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によるコイル部品は、コイル軸の周りに延びる周回部を有するコイル導体と、磁性材料を含む基体と、第1外部電極と、第2外部電極と、を備える。一実施形態におけるコイル部品の基体は、コイル軸と交わり長辺及び短辺を含む第1面、及び、当該第1面と対向し前記長辺よりも短い距離だけ当該第1面から離間している第2面を含み、コイル導体のうち少なくとも周回部を覆う外表面を有する。第1外部電極は、前記第1面のうち少なくとも前記コイル軸と交わる領域を覆うように前記基体に設けられ、前記コイル導体の一端に接続される。前記第2外部電極は、前記第2面のうち少なくとも前記コイル軸と交わる領域を覆うように前記基体に設けられ前記コイル導体の他端に接続される。
【0009】
本発明の一態様において、前記短辺は、前記第1面と前記第2面との間の前記距離よりも長い。
【0010】
本発明の一態様において、前記第1外部電極は、前記第1面の全体を覆っている。
【0011】
本発明の一態様において、前記第2外部電極は、前記第2面の全体を覆っている。
【0012】
本発明の一態様において、前記基体の前記外表面は、前記第1面と前記第2面とを接続する第3面を有し、前記第1外部電極及び前記第2外部電極の各々は、前記第3面の一部を覆っている。
【0013】
本発明の一態様において、前記基体の前記外表面は、前記第1面と前記第2面とを接続し前記第3面と対向する第4面をさらに有し、前記第1外部電極及び前記第2外部電極の各々は、前記第3面の一部を覆う一方で第4面を覆わない。
【0014】
本発明の一態様において、前記基体の前記外表面は、前記第1面と前記第2面とを接続する第3面と、前記第1面と前記第2面とを接続し前記第3面と対向する第4面とをさらに有し、前記第1外部電極及び前記第2外部電極の各々は、前記第3面の一部及び前記第4面の一部をそれぞれ覆う。
【0015】
本発明の一態様において、前記第3面のうち前記第1外部電極によって覆われている領域の面積と前記第2外部電極によって覆われている領域の面積との合計は、前記第4面のうち前記第1外部電極によって覆われている領域の面積と前記第2外部電極によって覆われている領域の面積との合計よりも大きい。
【0016】
本発明の一態様において、前記基体の前記外表面は、前記第1面と前記第2面とを接続する第3面と、前記第1面と前記第2面とを接続し前記第3面と対向する第4面と、前記第3面と前記第4面とを接続する第5面と、前記第3面と前記第4面とを接続し前記第5面と対向する第6面と、をさらに有し、前記第1外部電極及び前記第2外部電極の各々は、前記第5面の一部及び前記第6面の一部のそれぞれを覆う。
【0017】
本発明の一態様において、前記第3面のうち前記第1外部電極によって覆われている領域の面積と前記第2外部電極で覆われている領域の面積との合計は、前記第3面のうち前記第1外部電極及び前記第2外部電極のいずれにも覆われていない領域の面積よりも大きい。
【0018】
本発明の一態様において、前記コイル導体の前記一端及び前記他端はいずれも、前記第3面から前記基体の外部に露出している。
【0019】
本発明の一態様において、前記コイル導体の前記一端は前記第1面のうち前記第3面よりも前記第4面に近い位置において前記基体の外部に露出し、前記コイル導体の前記他端は前記第2面のうち前記第3面よりも前記第4面に近い位置において前記基体の外部に露出する。
【0020】
本発明の一態様において、前記磁性材料の比透磁率は、100以下である。
【0021】
本発明の一態様において、前記基体は、複数の金属磁性粒子を含む。
【0022】
本発明の一態様による回路基板は、上記のいずれかのコイル部品を備える。
【0023】
本発明の一態様による電子機器は、上記の回路基板を備える。
【発明の効果】
【0024】
本発明の少なくとも一つの実施形態によれば、コイル部品の長手方向を含む面から基体の外への磁束の漏れを抑制することが可能なコイル部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施形態によるコイル部品を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図1のコイル部品のI-I線断面を模式的に示す断面図である。
【
図3】
図1のコイル部品をW軸の方向から見た正面図である。
【
図4】本発明の別の実施形態によるコイル部品を模式的に示す斜視図である。
【
図5】
図4のコイル部品のI-I線断面を模式的に示す断面図である。
【
図6】本発明の別の実施形態によるコイル部品を模式的に示す斜視図である。
【
図7】
図6のコイル部品のI-I線断面を模式的に示す断面図である。
【
図8】本発明の別の実施形態によるコイル部品を模式的に示す斜視図である。
【
図9】
図8のコイル部品のI-I線断面を模式的に示す断面図である。
【
図10】本発明の別の実施形態によるコイル部品を模式的に示す斜視図である。
【
図11】
図10のコイル部品をW軸の方向から見た正面図である。
【
図12】本発明の別の実施形態によるコイル部品を模式的に示す斜視図である。
【
図13】
図12のコイル部品のI-I線断面を模式的に示す断面図である。
【
図14】
図12のコイル部品をW軸の方向から見た正面図である。
【
図15】
図12に示されているコイル部品の変形例を模式的に示す断面図である。
【
図16】本発明の別の実施形態によるコイル部品を模式的に示す斜視図である。
【
図17】
図16のコイル部品のI-I線断面を模式的に示す断面図である。
【
図18】
図16のコイル部品をW軸の方向から見た正面図である。
【
図19】
図5に示されているコイル部品の変形例を模式的に示す断面図である。
【
図20】
図5に示されているコイル部品の別の変形例を模式的に示す断面図である。
【
図21】
図5に示されているコイル部品の別の変形例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、適宜図面を参照し、本発明の様々な実施形態を説明する。なお、複数の図面において共通する構成要素には当該複数の図面を通じて同一の参照符号が付されている。各図面は、説明の便宜上、必ずしも正確な縮尺で記載されているとは限らない点に留意されたい。以下で説明される本発明の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。以下の実施形態で説明されている諸要素が発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0027】
図1から
図3を参照して本発明の一実施形態によるコイル部品1について説明する。
図1は、コイル部品1を模式的に示す斜視図であり、
図2はコイル部品1を
図1のI-I線で切断した断面を示す模式的な断面図であり、
図3はコイル部品1をW軸方向(後述する。)から見た模式的な正面図である。図示のように、コイル部品1は、基体10と、基体10に設けられたコイル導体25と、基体10の表面に設けられた外部電極21と、基体10の表面において外部電極21から離間した位置に設けられた外部電極22と、を備える。基体10は、磁性材料を含む。このため、本明細書では、基体10を磁性基体10と呼ぶことがある。
図1では、基体10を透過させて、基体10の内部に設けられたコイル導体25を図示している。また、
図3では、基体10及び外部電極21を透過させてコイル導体25を図示している。
【0028】
本明細書においては、各図に示されている「L軸」、「W軸」、及び「T軸」を基準として各部材の配置、寸法、形状、及びその他の側面を説明することがある。本明細書においては、コイル部品1の「長さ」方向、「幅」方向及び「厚さ」方向はそれぞれ、
図1の「L軸」方向、「W軸」方向及び「T軸」方向とすることがある。「厚さ」方向を「高さ」方向と呼ぶこともある。L軸、W軸、及びT軸は、互いに直交している。
【0029】
コイル部品1は、実装基板2aに実装され得る。実装基板2aには、ランド部3a、3bが設けられている。コイル部品1は、外部電極21とランド部3aとを接合し、また、外部電極22とランド部3bとを接続することで実装基板2aに実装される。本発明の一実施形態による回路基板2は、コイル部品1と、このコイル部品1が実装される実装基板2aと、を備える。回路基板2は、様々な電子機器に搭載され得る。回路基板2が搭載され得る電子機器には、スマートフォン、タブレット、ゲームコンソール、自動車の電装品、サーバ及びこれら以外の様々な電子機器が含まれる。図示の明瞭さのために、
図1以外では、実装基板2a、ランド部3a、3bの図示を省略している。
【0030】
コイル部品1は、インダクタ、トランス、フィルタ、リアクトル及びこれら以外の様々なコイル部品であってもよい。コイル部品1は、カップルドインダクタ、チョークコイル及びこれら以外の様々な磁気結合型コイル部品であってもよい。コイル部品1は、例えば、DC/DCコンバータに用いられるパワーインダクタであってもよい。コイル部品1の用途は、本明細書で明示されるものには限定されない。
【0031】
基体10は、磁性材料で構成され、概ね直方体形状を有する。本発明の一実施形態において、基体10は、L軸方向における寸法(長さ寸法)がW軸方向における寸法(幅寸法)W1及びT軸方向における寸法(高さ寸法)T1よりも大きくなるように構成されている。例えば、長さ寸法L1は、0.2mm~6.0mmの範囲にあり、幅寸法W1は0.1mm~4.5mmの範囲にあり、高さ寸法T1は0.1mm~4.5mmの範囲にある。基体10の寸法は、本明細書で具体的に説明される寸法には限定されない。本明細書において「直方体」又は「直方体形状」という場合には、数学的に厳密な意味での「直方体」のみを意味するものではない。基体10の寸法及び形状は、本明細書で明示されるものには限定されない。
【0032】
基体10は、第1主面10a、第2主面10b、第1端面10c、第2端面10d、第1側面10e、及び第2側面10fを有する。基体10は、これらの6つの面によってその外表面が画定されている。第1主面10aと第2主面10bとはそれぞれ基体10の高さ方向両端の面を成し、第1端面10cと第2端面10dとはそれぞれ基体10の幅方向両端の面を成し、第1側面10eと第2側面10fとはそれぞれ基体10の長さ方向両端の面を成している。上面10aと下面10bとの間は高さ寸法T1だけ離間しており、第1端面10cと第2端面10dとの間は幅寸法W1だけ離間しており、第1側面10eと第2側面10fとの間は長さ寸法L1だけ離間している。
図1に示されているように、第1主面10aは基体10の上側にあるため、第1主面10aを「上面」と呼ぶことがある。同様に、第2主面10bを「下面」と呼ぶことがある。コイル部品1は、第2主面10bが基板2と対向するように配置されるので、第2主面10bを「実装面」と呼ぶこともある。
【0033】
上述のとおり、基体10の長さ寸法L1は高さ寸法T1よりも大きいので、第1端面10cを画定する各辺のうちL軸方向に延びる辺(すなわち、第1端面10cと上面10aとの間の稜線及び第1端面10cと下面10bとの間の稜線)が第1端面10cの長辺となり、T軸方向に延びる辺(すなわち、第1端面10cと第1側面10eとの間の稜線及び第1端面10cと第2側面10fとの間の稜線)が第1端面10cの短辺となる。また、L軸方向がコイル部品1の長手方向となる。
【0034】
図示の実施形態において基体10の各面10a~10fは平面として図示されているが、各面10a~10fは湾曲した面であってもよい。また、各面10a~10fは、隣接する面と直交するように図示されているが、各面10a~10fは隣接する面と直交していなくともよい。基体10の各頂点は丸みを帯びていてもよく、基体10の稜線(各面10a~10fのうち隣接する面の境界を示す線)は直線ではなく各面10a~10fの形状及び配置に応じて湾曲していてもよい。
【0035】
本発明の一実施形態において、基体10は、磁性材料から構成される。基体10用の磁性材料としては、例えば、フェライト、軟磁性合金材料、及びこれらを混合した混合時性材料を用いることができる。基体10用のフェライトとして、Ni-Cu-Zn系フェライト、Ni-Cu-Zn-Mg系フェライト、Cu-Zn系フェライト、Ni-Cu系フェライト、又はこれら以外の公知のフェライトを用いることができる。基体10用の軟磁性金属材料として、例えば、(1)金属系のFeもしくはNi、(2)合金系のFe-Si-Cr、Fe-Si-AlもしくはFe-Ni、(3)非晶質のFe―Si-Cr-B-CもしくはFe-Si-B-Cr、(4)またはこれらの混合材料を用いることができる。基体10は、軟磁性金属材料から成る複数の金属磁性粒子から構成されてもよい。一実施形態において、基体10用の磁性材料の比透磁率は、100以下である。例えば、基体10用の磁性材料として比透磁率が100以下の軟磁性金属材料を用いることができる。基体10に含まれる複数の金属磁性粒子の各々は、隣接する金属磁性粒子と絶縁膜を介して結合してもよい。絶縁膜は、金属磁性粒子の構成元素の酸化物を含んでもよいし、金属磁性粒子の構成元素以外の絶縁性の材料から形成されてもよい。基体10は、樹脂を含んでもよい。例えば、基体10は、軟磁性金属材料から成る金属磁性粒子同士を結合する樹脂製の結着材を含んでいてもよい。結着材は、例えば、絶縁性に優れた熱硬化性樹脂からなる。結着材の材料として用いられる樹脂材料は、第1磁性材料よりも小さな透磁率を有する。結着材用の樹脂材料として、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂、ポリオキシメチレン(POM)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリフッ化ビニルデン(PVDF)樹脂、フェノール(Phenolic)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂又はポリベンゾオキサゾール(PBO)樹脂が用いられ得る。
【0036】
本発明の一実施形態において、コイル導体25は、コイル軸Axの周りに螺旋状に延びる周回部25Aを有する。コイル導体25は、基体10の内部に配置される。基体10をコイル軸Axの方向から見たときに、基体10のうち周回部25Aの内側にある領域をコア領域11と呼ぶ。コイル導体25の少なくとも周回部25Aが基体10によって覆われている。一実施形態において、コイル導体25は、コイル軸Axが第1端面10cと交わるように配置される。コイル軸Axは、第2端面10dと交わってもよい。コイル導体25は、コイル軸Axが上面10a、下面10b、第1側面10e、及び第2側面10fのうちの少なくとも一つと平行となるように配置されてもよい。基体10内にコイル軸Axが基体10の第1端面10cと交わるようにコイル導体25を配置することにより、周回部25Aの寸法をコイル部品1の長手方向において大きくすることができる。したがって、所与の寸法を有する基体10において、コイル部品1のインダクタンスを大きくするとともに周回部25Aの内部にあるコア領域11での磁気飽和を抑制することができる。
【0037】
本発明の一実施形態において、基体10の高さ寸法T1が幅寸法W1よりも大きくなるように基体10を構成することができる。これにより、周回部25Aの寸法をT軸方向においても大きくすることができる。したがって、所与の寸法を有する基体10において、コイル部品1のインダクタンスをさらに大きくするとともに周回部25Aの内部にあるコア領域11での磁気飽和をさらに抑制することができる。
【0038】
コイル導体25は、その一端が第1端面10cから露出しており、第1端面10cから露出する部位において外部電極21と接続されている。また、コイル導体25は、その他端が第2端面10dから露出しており、第2端面10dから露出する部位において外部電極22と接続されている。よって、コイル導体25の周回部25Aは、基体10に埋め込まれている。言い換えると、周回部25Aは、基体10の外表面により覆われている。図示の実施形態において、コイル導体25は、その両端のみが基体10から露出しており、それ以外の部位は基体10内に設けられている。本発明の一実施形態において、コイル導体25の一端は、第1端面10cのうち下面10bよりも上面10aに近い位置において基体10の外部に露出し、コイル導体25の他端は、第2端面10dのうち下面10bよりも上面10aに近い位置において基体10の外部に露出している。
【0039】
図示の実施形態において、コイル導体25は、コイル軸Axの周りに延びる導体パターンC1~C8と、コイル軸Axに沿って延びるビア導体V1~V11と、を備えている。導体パターンC1~C8の各々は、コイル軸Axの周りの周方向に約1/2ターン(約180°)だけ延伸している。導体パターンC1~C8の各々は、隣接する導体パターンと、ビア導体V3~V9のうちの対応するビア導体によって接続されている。例えば、導体パターンC1は、隣接する導体パターンC2とビア導体V3を介して接続されている。ビア導体V2~V10は、導体パターンC1~C8の周方向における一方の端部に接続されている。例えば、導体パターンC1の一端にはビア導体V1が接続され、他端にはビア導体V2が接続されている。このようにして接続された導体パターンC1~C8及びビア導体V3~V9が、コイル軸Axの周りにスパイラル状に延びる周回部25Aを形成する。周回部25Aの一方の端部は、ビア導体V2、V1を介して外部電極21と接続されており、周回部25Aの一方の端部は、ビア導体V10、V11を介して外部電極22に接続されている。このように、ビア導体V1及びV2は、周回部25Aの一方の端部を外部電極21に接続する引出導体であり、ビア導体V10及びV11は、周回部25Aの他方の端部を外部電極22に接続する引出導体である。図示されている導体パターンC1~C8の形状及び配置は例示であり、本発明には図示されている以外に様々な形状の導体パターンを適用することができる。
【0040】
本発明の一実施形態において、外部電極21は、基体10の第1端面10cの少なくとも一部を覆うように設けられ、外部電極22は、基体10の第2端面10dの少なくとも一部を覆うように設けられる。図示の実施形態では、外部電極21は、第1端面10cの全面を覆っており、外部電極22は、第2端面10dの全面を覆っている。一実施形態において、外部電極21は、第1端面10cのうちの一部を覆っていてもよい。例えば、外部電極21は、第1端面10cとコイル軸Axとが交わる位置を含む領域を覆うように、第1端面10cに設けられる。外部電極21は、コイル軸Ax方向から見たときに第1端面10cのうち少なくとも周回部25Aの内側のコア領域11を覆うように設けられてもよい。外部電極21に関する説明は、適宜外部電極22にも適用される。例えば、外部電極22は、第2端面10dのうちの一部を覆っていてもよい。例えば、外部電極22は、第2端面10dとコイル軸Axとが交わる位置を含む領域を覆うように、第2端面10dに設けられる。
【0041】
外部電極21は、第1端面10cの下端まで延伸している。外部電極21は、その下端においてランド部3aと接続される。同様に、外部電極22は、第2端面10dの下端まで延伸している。外部電極22は、その下端においてランド部3bと接続される。外部電極21とランド部3aは、公知の任意の方法で接続され得る。同様に、外部電極22とランド部3bとは公知の任意の方法で接続され得る。例えば、外部電極21及び外部電極22は、半田又は導電性接着剤を介して対応するランド部3a及びランド部3bと接続され得る。外部電極21及び外部電極22は、対応するランド部3a及びランド部3bに直接圧接されてもよい。外部電極21及び外部電極22の表面にはんだフリットを塗布してもよい。この場合、外部電極21及び外部電極22は、はんだフリットを介して対応するランド部3a及びランド部3bに接続される。
【0042】
図示されている実施形態では、第1端面10c及び第2端面10dのうちコイル軸Axと交わる領域がそれぞれ外部電極21及び第2外部電極22によって覆われているため、コイル導体25に電流が流れるときにコイル軸Axに沿って基体10内に生じる磁束が第1端面10c又は第2端面10dから基体10の外部へ漏れることを抑制できる。これにより、コイル部品1からの漏れ磁束による他素子への磁気的な干渉を低減することができる。コイル軸Ax方向から見たときに第1端面10cのうち周回部25Aの内側のコア領域11を覆うように外部電極21を配置することにより第1端面10cからの磁束の漏れをさらに抑制することができる。同様に、コイル軸Ax方向から見たときに第2端面10dのうち周回部25Aの内側のコア領域11を覆うように外部電極22を配置することにより第2端面10dからの磁束の漏れをさらに抑制することができる。また、コイル導体25の一端は、第1端面10cのうち下面10bよりも上面10aに近い位置において基体10の外部に露出し、コイル導体25の他端は、第2端面10dのうち下面10bよりも上面10aに近い位置において基体10の外部に露出しているから、コイル導体25に電流が流れたときに、コイル導体25と下面10bとの間の領域よりもコイル導体25と上面10aとの間の領域においてより多くの磁束が発生する。これにより、下面10bからの磁束の漏れをさらに抑制することができる。
【0043】
続いて、本発明の一実施形態によるコイル部品1の製造方法の例について説明する。コイル部品1は、例えば、シート積層法により作製することができる。コイル部品1をシート積層法により作製する場合の具体的な手順について説明する。
【0044】
シート積層法によりコイル部品1を作製する場合には、まず、磁性材料からシート形状の磁性体シートを作製する。磁性体シートは複数枚作製される。磁性体シートは、その厚さ方向から見たときに、概ね長さ寸法L1の長辺と概ね高さ寸法T1の短辺とを有する長方形形状を呈するように形成される。磁性体シートは、例えば金属磁性粒子を樹脂と混練して得られたスラリーを成型金型に入れて所定の成形圧力を加えることで作製される。金属磁性粒子と混練される樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂、エポキシ樹脂等の絶縁性に優れた樹脂が用いられ得る。
【0045】
次に、磁性体シートにビア導体V1~V11を配置するための貫通孔を形成する。次に、貫通孔が形成された磁性体シートにスクリーン印刷等の公知の手法により導体ペーストを塗布することにより、焼成後に導体パターンC1~C8となる未焼成導体パターンが形成される。このとき、導体ペーストが磁性体シートの貫通孔内に埋め込まれ、焼成後にビアV1~V11となる未焼成ビアが形成される。
【0046】
次に、各々に複数の未焼成導体パターン及び/又は複数の未焼成ビアが形成された複数の磁性体シートを積層し、この積層された磁性体シートを熱圧着することにより積層体を形成する。次に、ダイシング機やレーザ加工機などの切断機を用いて当該本体積層体を所望のサイズに個片化することでチップ積層体が得られる。
【0047】
次に、このチップ積層体を脱脂し、脱脂されたチップ積層体を加熱処理する。チップ積層体への加熱処理は、例えば400℃~900℃で20分間~120分間行われる。これにより、内部にコイル導体25を有する基体10が形成される。
【0048】
次に、加熱処理により得られた基体の表面に外部電極21及び外部電極22を形成する。外部電極21は、基体10の第1端面10cに導電性ペーストを塗布して下地電極を形成し、この下地電極の表面に例えば電解めっき法によりめっき層を形成することで形成される。めっき層は、2層構造であってもよい。めっき層が2層構造の場合は、下地電極に接する第1めっき層がニッケルめっき層とされ、第1めっき層の上に形成される第2めっき層がスズめっき層とされてもよい。
【0049】
以上の工程により、コイル部品1が得られる。以上のコイル部品1の製造方法において、磁性体シートの積層方向は、
図1~
図3のW軸方向である。つまり、複数の磁性体シートの各々は、TL面に沿って延びる板状のシートであり、この複数の磁性体シートがW軸方向に積層される。
【0050】
コイル部品1は、シート製法以外の当業者に知られている方法、例えば圧縮成形法、スラリービルド法、又は薄膜プロセス法により作製されてもよい。
【0051】
続いて、
図4及び
図5を参照して、本発明の別の実施形態によるコイル部品101について説明する。
図4は、
図1に示されている実施形態とは別の実施形態によるコイル部品101の概略的な斜視図を示し、
図5は、
図4のコイル部品101をI-I線で切断した断面を示す。コイル部品101は、外部電極21に代えて外部電極121を備え外部電極22に代えて外部電極122を備える点で、
図1から
図3に示されているコイル部品1と異なっている。
【0052】
図4及び
図5に示されているように、外部電極121は、基体10の第1端面10cを覆う主電極部121aと、主電極部121aの下端に接続されており基体10の下面10bに沿って延びる板状のフランジ部121bと、を有する。外部電極121は、フランジ部121bにおいてランド部3aと接続される。外部電極122は、基体10の第2端面10dを覆う主電極部122aと、主電極部122aの下端に接続されており基体10の下面10bに沿って延びる板状のフランジ部122bと、を有する。外部電極122は、フランジ部122bにおいてランド部3bと接続される。フランジ部121b及びフランジ部122bは、W軸方向において、互いから距離W2だけ離間するように構成される。基体10の下面10bに沿って延びるフランジ部121bを介して外部電極21をランド部3aに接続し、基体10の下面10bに沿って延びるフランジ部122bを介して外部電極22をランド部3bに接続することで、外部電極121とランド部3aとの接触面積及び外部電極122とランド部3bとの接触面積を増やすことができるため、コイル部品1を実装基板2aにより強固に接続することができる。
【0053】
コイル部品101において、主電極部121aは、第1端面10cの全面を覆っており、主電極部122aは、第2端面10dの全面を覆っている。一実施形態において、主電極部121aは、第1端面10cのうちの一部を覆っていてもよい。例えば、主電極部121aは、第1端面10cとコイル軸Axとが交わる位置を含む領域を覆うように第1端面10cに設けられる。一実施形態において、主電極部122aは、第2端面10dのうちの一部を覆っていてもよい。例えば、主電極部122aは、第2端面10dとコイル軸Axとが交わる位置を含む領域を覆うように第1端面10dに設けられる。
【0054】
外部電極121は第1端面10cだけでなく下面10bの一部も覆っており、また、外部電極122は第2端面10dだけでなく下面10bの一部も覆っているため、コイル部品101においては、外部電極121及び外部電極122により、第1端面10c及び第2端面10dからの磁束の漏れを抑制するとともに、下面10bからの磁束の漏れも抑制することができる。よって、外部電極121及び外部電極122により、コイル部品101からの漏れ磁束による他素子への磁気的な干渉をさらに低減することができる。本発明の少なくとも一つの実施形態において、W軸方向における外部電極121と外部電極122との間の距離W2は、基体10のW方向の寸法W1の1/2未満とされる。W2をW1の1/2未満とすることにより、基体10の下面10bのうち、外部電極121及び外部電極122のいずれにも覆われていない領域の面積を示す露出面積は、下面10bの全面積の1/2未満とすることができる。これにより、基体10の下面10bからの磁束の漏れを少なくすることができる。
【0055】
外部電極121及び外部電極122はいずれも基体10の上面10aを覆っていない。よって、基体10の上面10aは、その全体が露出している。このため、コイル部品101とは異なる導電性の部材がコイル部品1の上面10aの近くに配置されていても、その導電性の部材とコイル部品101との間でショートが起こりにくい。このように、上面10aの全面を露出させることにより、コイル部品101の実装時に、その配置の自由度を高めることができる。コイル部品101と他の部材とのショートを防ぐためには、主電極部121aの上端が第1端面10cの上端よりも下方にあるように主電極部121aを構成及び配置し、主電極部122aの上端が第2端面10dの上端よりも下方にあるように主電極部122aを構成及び配置することが望ましい。
【0056】
続いて、
図6及び
図7を参照して、本発明の別の実施形態によるコイル部品201を説明する。コイル部品201は、コイル部品101の変形例である。
図6は、上記の実施形態とは別の実施形態によるコイル部品201の概略的な斜視図を示し、
図7は、
図6のコイル部品201をI-I線で切断した断面を示す。コイル部品201は、外部電極121に代えて外部電極221を備え外部電極122に代えて外部電極222を備える点で、コイル部品101と異なっている。具体的には、コイル部品201において、外部電極221は、主電極部221a及びフランジ部221bに加えて主電極部221aの上端に接続され基体10の上面10aに沿って延びる板状のフランジ部221cを備えており、外部電極222は、主電極部222a及びフランジ部222bに加えて主電極部222aの上端に接続され基体10の上面10aに沿って延びる板状のフランジ部222cを備えている。主電極部221a、フランジ部221b、主電極部222a、及びフランジ部222bはそれぞれ、主電極部121a、フランジ部121b、主電極部122a、及びフランジ部122bと同様に構成及び配置される。外部電極221は、フランジ部221cがフランジ部221aと同様の形状を呈するように構成されており、外部電極222は、フランジ部222cがフランジ部222aと同様の形状を呈するように構成されている。よって、フランジ部221c及びフランジ部222cは、W軸方向において、互いから距離W2だけ離間するように構成されている。コイル部品201は、上面10a及び上面10bの両方の面に沿って外部電極221及び外部電極222が延びている。このため、コイル部品1を実装基板2aに実装する際に、上面10a及び下面10bのいずれの面を実装基板2aと対向させてもよい。
【0057】
コイル部品201において、外部電極221は第1端面10cだけでなく上面10a及び下面10bのそれぞれの一部も覆っており、また、外部電極222は第2端面10dだけでなく上面10a及び下面10bのそれぞれの一部も覆っているため、外部電極221及び外部電極222により、第1端面10c及び第2端面10dからの磁束の漏れを抑制するとともに、上面10a及び下面10bからの磁束の漏れも抑制することができる。よって、外部電極221及び外部電極222により、コイル部品201からの漏れ磁束による他素子への磁気的な干渉をさらに低減することができる。
【0058】
続いて、
図8及び
図9を参照して、本発明の別の実施形態によるコイル部品301を説明する。コイル部品301は、コイル部品201の変形例である。
図8は、上記の実施形態とは別の実施形態によるコイル部品301の概略的な斜視図を示し、
図9は、
図8のコイル部品301をI-I線で切断した断面を示す。
図8及び
図9に示されているコイル部品301は、外部電極221に代えて外部電極321を備え外部電極222に代えて外部電極322を備える点で、コイル部品201と異なっている。具体的には、コイル部品301において、外部電極321は、主電極部321a、フランジ部321b、及びフランジ部321cを有するように構成され、外部電極322は、主電極部322a、フランジ部322b、及びフランジ部322cを有するように構成される。主電極部321a、フランジ部321c、主電極部322a、及びフランジ部322cはそれぞれ、主電極部221a、フランジ部221c、主電極部222a、及びフランジ部222cと同様に構成及び配置される。
【0059】
フランジ部321bは、主電極部321aの下端に接続されており基体10の下面10bに沿って延びるように構成されている。フランジ部322bは、主電極部322aの下端に接続されており基体10の下面10bに沿って延びるように構成されている。フランジ部321b及びフランジ部322bは、W軸方向において互いから距離W3だけ離間するように構成される。距離W3は、距離W2よりも短い。よって、コイル部品301において、W軸方向におけるフランジ部321bとフランジ部322bとの間の間隔は、フランジ部321cとフランジ部322cとの間の間隔よりも小さい。このため、基体10の下面10bうち外部電極321によって覆われている領域の面積と外部電極322によって覆われている面積との合計は、上面10aうち外部電極321によって覆われている領域の面積と外部電極322によって覆われている面積との合計よりも大きい。これにより、コイル部品301においては、下面10bからの磁束の漏れがさらに抑制される。下面10bが実装基板2aと対向するようにコイル部品301を実装することにより、実装基板2aに向かう磁束の漏れを抑制し、実装基板2aに実装された他の素子への磁気的な干渉をさらに抑制することができる。
【0060】
本発明の一実施形態において、下面10bのうち外部電極321によって覆われている領域の面積と外部電極322によって覆われている領域の面積との合計が、下面10bのうち外部電極321及び外部電極322のいずれにも覆われていない領域の面積よりも大きくなるように、外部電極321及び外部電極322を構成及び配置することができる。これにより、コイル部品301において、下面10bからの磁束の漏れをさらに抑制することができる。
【0061】
続いて、
図10及び
図11を参照して、本発明の別の実施形態によるコイル部品401について説明する。
図10は、コイル部品401の概略的な斜視図を示し、
図11は、
図10のコイル部品401の正面図を示す。コイル部品401は、外部電極21に代えて外部電極421を備え外部電極22に代えて外部電極422を備える点で、
図1から
図3に示されているコイル部品1と異なっている。
【0062】
図10及び
図11に示されているように、外部電極421は、基体10の第1端面10cを覆う主電極部421aと、主電極部421aのL軸方向の負側の端部に接続されており基体10の第1側面10eに沿って延びる板状のフランジ部421dと、主電極部421aのL軸方向の正側の端部に接続されており基体10の第2側面10fに沿って延びる板状のフランジ部421eと、を備える。外部電極422は、基体10の第2端面10dを覆う主電極部422aと、主電極部422aのL軸方向の負側の端部に接続されており基体10の第1側面10eに沿って延びる板状のフランジ部422dと、主電極部422aのL軸方向の正側の端部に接続されており基体10の第2側面10fに沿って延びる板状のフランジ部422eと、を備える。
【0063】
図示の実施形態において、主電極部421aは、第1端面10cの全面を覆っており、主電極部422aは、第2端面10dの全面を覆っている。主電極部421aは、既に説明した主電極部121aと同様に構成されてもよく、主電極部422aは、既に説明した主電極部122aと同様に構成されてもよい。
【0064】
フランジ部421d及びフランジ部422dは、W軸方向において互いから離間するように配置される。同様に、フランジ部421e及びフランジ部422eは、W軸方向において互いから離間するように配置される。
【0065】
コイル部品401において、外部電極421は第1端面10cだけでなく第1側面10e及び第2側面10fのそれぞれの一部も覆っており、また、外部電極422は第2端面10dだけでなく第1側面10e及び第2側面10fのそれぞれの一部も覆っているため、外部電極421及び外部電極422により、第1端面10c及び第2端面10dからの磁束の漏れを抑制するとともに、第1側面10e及び第2側面10fからの磁束の漏れも抑制することができる。よって、外部電極421及び外部電極422により、コイル部品401からの漏れ磁束による他素子への磁気的な干渉をさらに低減することができる。
【0066】
続いて、
図12から
図14を参照して、本発明の別の実施形態によるコイル部品501について説明する。
図12は、コイル部品501の概略的な斜視図を示し、
図13は、
図12のコイル部品501をI-I線で切断した断面を示し、
図14は、
図12のコイル部品501の正面図を示す。コイル部品501は、外部電極21に代えて外部電極521を備え外部電極22に代えて外部電極522を備える点で、
図1から
図3に示されているコイル部品1と異なっている。
【0067】
図12から
図14に示されているように、外部電極521は、基体10の第1端面10cを覆う主電極部521aと、主電極部521aのL軸方向の負側の端部に接続されており基体10の第1側面10eに沿って延びる板状のフランジ部521dと、主電極部521aのL軸方向の正側の端部に接続されており基体10の第2側面10fに沿って延びる板状のフランジ部521eと、主電極部521aの下端に接続されており基体10の下面10bに沿って延びるフランジ部521bと、を備える。外部電極522は、基体10の第2端面10dを覆う主電極部522aと、主電極部522aのL軸方向の負側の端部に接続されており基体10の第1側面10eに沿って延びる板状のフランジ部522dと、主電極部522aのL軸方向の正側の端部に接続されており基体10の第2側面10fに沿って延びる板状のフランジ部522eと、主電極部522aの下端に接続されており基体10の下面10bに沿って延びるフランジ部522bと、を備える。
【0068】
図示の実施形態において、主電極部521aは、第1端面10cの全面を覆っており、主電極部522aは、第2端面10dの全面を覆っている。主電極部521aは、既に説明した主電極部121aと同様に構成されてもよく、主電極部522aは、既に説明した主電極部122aと同様に構成されてもよい。コイル部品501のフランジ部521d、フランジ部521e、フランジ部522d、及びフランジ部522eはそれぞれ、コイル部品401において対応するフランジ部421d、フランジ部421e、フランジ部422d、及びフランジ部422eと同様に構成及び配置されてもよい。フランジ部521b及びフランジ部522bは、W軸方向において互いから離間するように配置される。
【0069】
コイル部品501において、外部電極521は第1端面10cだけでなく下面10b、第1側面10e、及び第2側面10fのそれぞれの一部も覆っており、また、外部電極522は第2端面10dだけでなく下面10b、第1側面10e及び第2側面10fのそれぞれの一部も覆っているため、外部電極521及び外部電極522により、第1端面10c及び第2端面10dからの磁束の漏れを抑制するとともに、下面10b、第1側面10e及び第2側面10fからの磁束の漏れも抑制することができる。よって、外部電極521及び外部電極522により、コイル部品501からの漏れ磁束による他素子への磁気的な干渉をさらに低減することができる。
【0070】
続いて、
図15を参照して、本発明の別の実施形態によるコイル部品601について説明する。
図15は、コイル部品601の概略的な斜視図を示す。コイル部品601は、外部電極521に代えて外部電極621を備え外部電極522に代えて外部電極622を備える点で、
図12から
図14に示されているコイル部品501と異なっている。
【0071】
図15に示されているように、外部電極621は、基体10の第1端面10cを覆う主電極部621aと、主電極部621aのL軸方向の負側の端部に接続されており基体10の第1側面10eに沿って延びる板状のフランジ部621dと、主電極部621aのL軸方向の正側の端部に接続されており基体10の第2側面10fに沿って延びる板状のフランジ部621eと、主電極部621aの下端に接続されており基体10の下面10bに沿って延びるフランジ部621bと、を備える。外部電極622は、基体10の第2端面10dを覆う主電極部622aと、主電極部622aのL軸方向の負側の端部に接続されており基体10の第1側面10eに沿って延びる板状のフランジ部622dと、主電極部622aのL軸方向の正側の端部に接続されており基体10の第2側面10fに沿って延びる板状のフランジ部622eと、主電極部622aの下端に接続されており基体10の下面10bに沿って延びるフランジ部622bと、を備える。
【0072】
コイル部品601の主電極部621a、フランジ部621b、主電極部622a、及びフランジ部622bはそれぞれ、コイル部品501において対応する主電極部521a、フランジ部521b、主電極部522a、及びフランジ部522bと同様に構成及び配置されてもよい。
【0073】
フランジ部621e、622eはそれぞれ、L軸方向から見たときに三角形形状を呈するように構成されてもよい。フランジ部621e、622eのW軸方向における寸法は、T軸方向における下端において最も大きく、T軸方向における上端において最も小さくなるように構成される。これにより、W軸方向における寸法が大きいフランジ部621e、622eの下側の部位によって、基体10からコイル部品601の下方(T軸方向の負側)への磁束の漏れをさらに抑制することができる。
【0074】
続いて、
図16から
図18を参照して、本発明の別の実施形態によるコイル部品701について説明する。
図16は、コイル部品701の概略的な斜視図を示し、
図17は、
図16のコイル部品701をI-I線で切断した断面を示し、
図18は、
図16のコイル部品701の正面図を示す。コイル部品701は、外部電極521に代えて外部電極721を備え外部電極522に代えて外部電極722を備える点で、
図12から
図14に示されているコイル部品1と異なっている。
【0075】
図16から
図18に示されているように、外部電極721は、基体10の第1端面10cを覆う主電極部721aと、主電極部721aのL軸方向の負側の端部に接続されており基体10の第1側面10eに沿って延びる板状のフランジ部721dと、主電極部721aのL軸方向の正側の端部に接続されており基体10の第2側面10fに沿って延びる板状のフランジ部721eと、主電極部721aの下端に接続されており基体10の下面10bに沿って延びるフランジ部721bと、主電極部721aの上端に接続されており基体10の上面10aに沿って延びるフランジ部721cと、を備える。外部電極722は、基体10の第2端面10dを覆う主電極部722aと、主電極部722aのL軸方向の負側の端部に接続されており基体10の第1側面10eに沿って延びる板状のフランジ部722dと、主電極部722aのL軸方向の正側の端部に接続されており基体10の第2側面10fに沿って延びる板状のフランジ部722eと、主電極部722aの下端に接続されており基体10の下面10bに沿って延びるフランジ部722bと、主電極部722aの上端に接続されており基体10の上面10aに沿って延びるフランジ部722cと、を備える。
【0076】
図示の実施形態において、コイル部品701の主電極部721a、フランジ部721b~721d、主電極部722a、及びフランジ部722b~722dはそれぞれ、コイル部品501において対応する主電極部521a、フランジ部521b~521d、主電極部522a、及びフランジ部522b~522dと同様に構成及び配置されてもよい。フランジ部721c及びフランジ部722cは、W軸方向において互いから離間するように配置される。
【0077】
コイル部品701において、外部電極721は第1端面10cだけでなく上面10a、下面10b、第1側面10e、及び第2側面10fのそれぞれの一部も覆っており、また、外部電極722は第2端面10dだけでなく上面10a、下面10b、第1側面10e及び第2側面10fのそれぞれの一部も覆っているため、外部電極721及び外部電極722により、第1端面10c及び第2端面10dからの磁束の漏れを抑制するとともに、上面10a、下面10b、第1側面10e及び第2側面10fからの磁束の漏れも抑制することができる。よって、外部電極721及び外部電極722により、コイル部品701からの漏れ磁束による他素子への磁気的な干渉をさらに低減することができる。
【0078】
続いて、
図19を参照して、本発明の別の実施形態によるコイル部品801について説明する。
図19は、コイル軸Axを通りWT面に沿って延びる平面でコイル部品801を切断した断面を模式的に示す。コイル部品801は、コイル導体25に代えてコイル導体825を備えている点で、
図5に示されているコイル部品101と異なっている。
【0079】
図19に示されているように、コイル導体825は、コイル軸Axの周りに螺旋状に延びる周回部825Aと、周回部825Aの一端と外部電極121のフランジ部121bとを接続する引出導体825Bと、周回部825Aの他端と外部電極122のフランジ部122bとを接続する引出導体825Cと、を備える。コイル導体825は、コイル導体25と同様に、コイル軸Axが第1端面10cと交わるように配置される。コイル導体825は、その一端及び他端が下面10bから基体10の外部に露出している点でコイル導体25と異なっている。コイル導体825は、その両端が基体10の外部に露出する位置以外は、コイル導体25と同様に構成及び配置することができる。本明細書におけるコイル導体25に関する説明は、矛盾がない限りコイル導体825にも当てはまり得る。
【0080】
コイル導体825は、コイル軸Axの周りに延びる導体パターンC11~C18と、コイル軸Axに沿って延びるビア導体V111~V117と、を備えている。導体パターンC11~C18の各々は、コイル軸Axの周りの周方向に約1/2ターン(約180°)だけ延伸している。導体パターンC11~C18の各々は、隣接する導体パターンと、ビア導体V111~V117のうちの対応するビア導体によって接続されている。例えば、導体パターンC11は、隣接する導体パターンC12とビア導体V111を介して接続されている。このようにして接続された導体パターンC11~C18及びビア導体V111~V117が、コイル軸Axの周りにスパイラル状に延びる周回部825Aを形成する。
【0081】
コイル部品801は、下面10bに設けられたフランジ部121b及びフランジ部122bを介して実装基板2aに実装される。コイル導体825が実装基板2aと対向する下面10bから基体10の外部へ露出するように構成されているので、コイル部品801の動作時に電流が流れる電流経路を短縮することができる。これにより、コイル部品801の低抵抗化を図ることができる。また、コイル導体825が下面10bから基体10の外部へ引き出されているため、コイル部品801のW軸方向における寸法をコイル部品101のW軸方向における寸法よりも小型化することができる。
【0082】
続いて、
図20を参照して、本発明の別の実施形態によるコイル部品901について説明する。
図20は、コイル軸Axを通りWT面に沿って延びる平面でコイル部品901を切断した断面を模式的に示す。コイル部品901は、コイル導体25に代えてコイル導体925を備えている点で、
図5に示されているコイル部品101と異なっている。図示されているように、コイル導体925の一端は、第1端面10cのうち上面10a及び下面10bから等距離の位置において基体10の外部に露出し、コイル導体25の他端は、第2端面10dのうち上面10aと下面10bとの等距離の位置において基体10の外部に露出する。これにより、下面10bと上面10aのいずれの面を実装基板2aと対向する実装面としてもコイル部品1の電気的特性が変わらない。このため、実装基板2aへの実装時に、コイル部品1の姿勢に関する制約が小さく、より簡便に実装基板2aへ実装可能なコイル部品1が得られる。
【0083】
続いて、
図21を参照して、本発明の別の実施形態によるコイル部品1001について説明する。
図21は、コイル軸Axを通りWT面に沿って延びる平面でコイル部品1001を切断した断面を模式的に示す。コイル部品1001は、コイル導体25に代えてコイル導体1025を備えている点で、
図5に示されているコイル部品101と異なっている。図示されているように、コイル導体1025の一端は、第1端面10cのうち上面10aよりも下面10bに近い位置において基体10の外部に露出し、コイル導体25の他端は、第2端面10dのうち上面10aよりも下面10bに近い位置において基体10の外部に露出する。これにより、コイル部品1001の動作時に電流が流れる電流経路を短縮することができる。これにより、コイル部品801の低抵抗化を図ることができる。
【0084】
前述の様々な実施形態で説明された各構成要素の寸法、材料及び配置は、それぞれ、各実施形態で明示的に説明されたものに限定されず、当該各構成要素は、本発明の範囲に含まれ得る任意の寸法、材料及び配置を有するように変形することができる。
【0085】
本明細書において明示的に説明していない構成要素を、上述の各実施形態に付加することもできるし、各実施形態において説明した構成要素の一部を省略することもできる。
【0086】
本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」などの表記は、構成要素を識別するために付するものであり、必ずしも、数、順序、もしくはその内容を限定するものではない。また、構成要素の識別のための番号は文脈毎に用いられ、一つの文脈で用いた番号が、他の文脈で必ずしも同一の構成を示すとは限らない。また、ある番号で識別された構成要素が、他の番号で識別された構成要素の機能を兼ねることを妨げるものではない。
【符号の説明】
【0087】
1、101、201、301、401、501、601、701、801 コイル部品
10 基体
21、22、121、122、221、222、321、322、421、422、521、522、621、622、721、722 外部電極
25、125 コイル導体
Ax コイル軸