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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155653
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】スイングドアの装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/63 20150101AFI20221006BHJP
   E05F 5/00 20170101ALI20221006BHJP
   E05F 3/00 20060101ALI20221006BHJP
   E06B 3/36 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
E05F15/63
E05F5/00 A
E05F3/00 A
E06B3/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021058991
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】516000321
【氏名又は名称】AMYドアテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103067
【弁理士】
【氏名又は名称】神戸 真澄
(72)【発明者】
【氏名】横井 裕治
(72)【発明者】
【氏名】横井 堂好
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 守十樹
【テーマコード(参考)】
2E014
2E052
【Fターム(参考)】
2E014AA02
2E014DB05
2E052AA02
2E052CA06
2E052DA01
2E052DA04
2E052DA06
2E052DB01
2E052DB04
2E052DB06
2E052EA03
2E052EB01
2E052EC01
2E052GB12
2E052GB15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】スイングドアの開閉を自動化すると共に、自動化しても、伝達部材の端部と回動部材の端部とが回動可能な回動部から生じる上下方向の振動を抑制する。
【解決手段】スイングドア機構は、モータの回転により主プーリー、タイミングベルト35を介して、電磁ブレーキ52の回転軸に設けられた従動プーリー54に伝達し、電磁ブレーキ52の回転軸に一端部60aが連結固定された伝達部材60と、伝達部材60の他端部60cに第1の回動部70を介して回転可能に連結され回動部材62とを備え、第1の回動部70は、第1及び第2の孔を遊挿する胴部72dを有するボルト72を有し、胴部72dには、第1のねじと第2のねじとから成る二重ねじ72nが形成されており、第1のねじに螺合する第1のナット74と、第2のねじに螺合する第2のナット76とを備えている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアをヒンジにより開閉可能にし、モータの回転に基づいて前記ドアを開閉するスイングドア機構を有し、自動指令信号に基づいて電力変換手段により前記モータを回転して前記ドアを開放端と閉鎖端との間を開閉するスイングドアの装置であって、
前記スイングドア機構は、前記モータの第1の回転軸に設けられた主プーリーに掛けられたタイミングベルトを介して回転可能にする従動プーリーと、
この従動プーリーの第2の回転軸に連結固定すると共に、ブレーキ制御手段により電源の遮断又は投入して制動トルクを付与する電磁ブレーキと、
第1の一端部と第1の他端部とを有し、前記第2の回転軸に前記第1の一端部が連結固定された長尺状の伝達部材と、
第2の一端部と第2の他端部とを有し、前記第2の一端部が前記第1の他端部に回動可能に連結された第1の回動部を有しており、前記第2の他端部が第2の回動部を介して前記ドアに連結固定された長尺状の回動部材とを備え、
前記第1の回動部は、前記第1の他端部に設けられた第1の孔を有し、前記第2の一端部に設けられた第2の孔を有しており、前記第1及び第2の孔を遊挿する第1の胴部を有する第1のボルトを備え、前記第1の胴部には、第1のねじと第2のねじとから成る第1の二重ねじが形成され、前記第1のねじに螺合する第1のナットと、前記第2のねじに螺合する第2のナットと、
を備えていることを特徴とするスイングドアの装置。
【請求項2】
前記第2の回動部は、前記第2の他端部に設けられた第1の取付け孔を有し、前記取付け部材に設けられた第2の取付け孔を有しており、前記第1及び第2の取付け孔を遊挿する第2の胴部を有する第2のボルトを備え、前記第2の胴部には、第1の取付けねじと第2の取付けねじとから成る第2の二重ねじが形成され、前記第1の取付けねじに螺合する第1の取付けナットと、前記第2の取付けねじに螺合する第2の取付けナットと、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載のスイングドアの装置。
【請求項3】
前記モータの回転位置を検出して位置検出信号に基づいて前記開放端、前記閉鎖端の位置にあることをそれぞれ検出して端部検出信号を発生する端部検出手段と、
前記自動指令信号に基づいて解除信号を発生する拘束解除手段と、を備え、
前記ブレーキ制御手段は、さらに、前記自動指令信号及び前記端部検出信号に基づいて前記電磁ブレーキから制動トルクを発生すると共に、前記解除信号に基づいて前記電磁ブレーキを解放する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のスイングドアの装置。
【請求項4】
前記電磁ブレーキは、前記電源の投入で、印加される電圧値を高くすると前記制動トルクが大きくなると共に、前記電源を遮断すると制動トルクが発生しない特性を有しており、
前記自動指令信号と手動指令信号とを切換えて発生する指令信号発生手段と、
前記電力変換手段の入力を開放又は閉成し、前記自動指令信号に基づいて前記閉成すると共に、前記手動指令信号に基づいて前記開放する自動スイッチ手段と、を備え、
前記ブレーキ制御手段は、さらに、前記電磁ブレーキに前記端部検出信号及び前記自動指令信号に基づいて第1の電圧値を印加すると共に、前記手動指令信号に基づいて前記第1の電圧値よりも低い第2の電圧値を印加する、
ことを特徴とする請求項3に記載のスイングドアの装置。
【請求項5】
前記モータの回転に基づいて速度を検出して速度検出信号を発生する速度検出手段と、
前記自動指令信号に基づく速度指令信号と前記速度検出信号との差となる速度偏差信号を求める速度偏差手段と、
前記速度偏差信号に基づく速度偏差値が予め定められた速度偏差閾値を越えると、異常信号を発生する異常判断手段と、を備え
前記ブレーキ制御手段は、さらに、前記異常信号に基づいて前記電磁ブレーキを拘束する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載のスイングドアの装置。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイングドアの装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のスイングドアの装置は、下記特許文献1に記載された図1に示すように、取付け金具がドアに固定されており、取付け金具に回動自在に回動部材の一端部が連結されており、回動部材の他端部が回動自在に伝達部材の一端部に連結されている。これにより、ドアの開放により回動部材及び伝達部材が直線状になって、ドアが一定角度以上に開放しないようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-128256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載のスイングドアの装置では、伝達部材と回動部材とが回動自在な回動部を介して回転自在に形成されているが、発明者は、スイングドアを自動開閉する過程において、ドアの開閉の速度が所定速度以上になると、上記回動部の回動部材及び伝達部材が上下方向の振動により騒音が発生するという課題を見出した。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、スイングドアの開閉を自動化すると共に、自動化した際において、伝達部材の端部と回動部材の端部とが回動可能な回動部から生じる上下方向の振動騒音を抑制するスイングドアの装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明に係るスイングドアの装置は、ドアをヒンジにより開閉可能にし、モータの回転に基づいて前記ドアを開閉するスイングドア機構を有し、制御指令信号に基づいて電力変換手段により前記モータを回転して前記ドアを開放端と閉鎖端との間を開閉するスイングドアの装置であって、
前記スイングドア機構は、前記モータの第1の回転軸に設けられた主プーリーに掛けられたタイミングベルトを介して回転可能にする従動プーリーを有し、この従動プーリーの第2の回転軸に連結固定すると共に、ブレーキ制御手段により電源の遮断又は投入して制動トルクを付与する電磁ブレーキと、
第1の一端部と第1の他端部とを有し、前記第2の回転軸に前記第1の一端部が連結固定された長尺状の伝達部材と、
第2の一端部と第2の他端部とを有し、前記第2の一端部が前記第1の他端部に回動可能に連結された第1の回動部を有しており、前記第2の他端部が第2の回動部を介して前記ドアに連結固定された長尺状の回動部材とを備え、
前記第1の回動部は、前記第1の他端部に設けられた第1の孔を有し、前記第2の一端部に設けられた第2の孔を有しており、前記第1及び第2の孔を遊挿する第1の胴部を有する第1のボルトを備え、前記第1の胴部には、第1のねじと第2のねじとから成る第1の二重ねじが形成され、前記第1のねじに螺合する第1のナットと、前記第2のねじに螺合する第2のナットとを、
備えたことを特徴とするものである。
【0007】
このようなスイングドアの装置よれば、スイングドアの機構は、モータの回転に伴い主プーリー、タイミングベルトを介して電磁ブレーキに設けられた従動プーリーも回転し、電磁ブレーキの第2の回転軸に連結固定された伝達部材も回転して、第1の回動部を介して回動部材が回転することによりドアを自動開閉できる。
さらに、第1の回動部は、第1の他端部の第1の孔と、第2の一端部に設けられた第2の孔を遊挿する胴部を有する第1のボルトを備え、胴部には、第1のねじと第2のねじとから成る第1の二重ねじが形成されており、第1のねじに第1のナットが螺合し、第2のねじに第2のナットが螺合して、伝達部材の第1の他端部と、回動部材の第1の他端部との隙間を減少して回動自在に移動するので、ドアの自動開閉に伴う第1の回動部からの振動騒音を抑制することができる。
【0008】
第2の発明に係るスイングドアの装置は、前記第2の回動部は、前記第2の他端部に設けられた第1の取付け孔を有し、前記取付け部材に設けられた第2の取付け孔を有しており、前記第1及び第2の取付け孔を遊挿する第2の胴部を有する第2のボルトを備え、前記第2の胴部には、第1の取付けねじと第2の取付けねじとから成る第2の二重ねじが形成され、前記第1の取付けねじに螺合する第1の取付けナットと、前記第2の取付けねじに螺合する第2の取付けナットと、
を備えたことを特徴とするものである。
【0009】
このようなスイングドアの装置よれば、スイングドアの機構は、モータの回転に伴い主プーリー、タイミングベルトを介して電磁ブレーキに設けられた従動プーリーも回転し、電磁ブレーキの第2の回転軸に連結固定された伝達部材も回転して、第1の回動部を介して伝達部材が回転し、第2の回動部を介して取付け部材に連結されたドアを自動開閉できる。
さらに、第2の回動部は、第2の他端部の第1の取付け孔と、取付け部材に設けられた第2の取付け孔を遊挿する第2の胴部を有する第2のボルトを備え、第2の胴部には、第1の取付けねじと第2の取付けねじとから成る第2の二重ねじが形成されており、第1の取付けねじに第1の取付けナットが螺合し、第2の取付けねじに第2の取付けナットが螺合して、回動部材の第2の他端部と、取付け部材との隙間を減少して回動自在に移動するので、ドアの自動開閉に伴う第2の回動部からの振動騒音を抑制することができる。
【0010】
第3の発明に係るスイングドアの装置は、前記モータの回転位置を検出して位置検出信号に基づいて前記開放端、前記閉鎖端の位置にあることをそれぞれ検出して端部検出信号を発生する端部検出手段と、
前記自動指令信号に基づいて解除信号を発生する拘束解除手段と、を備え、
前記ブレーキ制御手段は、さらに、前記自動指令信号及び前記端部検出信号に基づいて前記電磁ブレーキから制動トルクを発生すると共に、解除信号に基づいて前記電磁ブレーキを解放する、
ことを特徴とするものである。
このようなスイングドアの装置よれば、ドアが開放端又は閉鎖端に位置すると、端部検出手段が端部検出信号を発生して、電磁ブレーキから制動トルクを発生してドアを拘束する。一方、拘束解除手段からの解除信号により電磁ブレーキを解放するので、円滑にドアの移動を開始できる。これにより、スイングドアの開閉を自動化した際に、ドアが開放端及び閉鎖端に位置する状態において、電磁ブレーキによりドアを拘束することにより、ドアが強風などにより勝手に開放又は閉鎖しにくいスイングドアを得ることができる。
なお、スイングドアの装置は、電磁ブレーキによりドアを拘束した後、ドアノブを回すと、上記拘束を解除することが好ましい。自動よりも手動のドア開閉操作を優先させるからである。
【0011】
第4の発明に係るスイングドアの装置における前記電磁ブレーキは、前記電源の投入で、印加される電圧値を高くすると前記制動トルクが大きくなると共に、前記電源を遮断すると制動トルクが発生しない特性を有しており、
前記自動指令信号と手動指令信号とを切換えて発生する指令信号発生手段と、
前記電力変換手段の入力を開放又は閉成し、前記自動指令信号に基づいて前記閉成すると共に、前記手動指令信号に基づいて前記開放する自動スイッチ手段と、を備え、
前記ブレーキ制御手段は、さらに、前記電磁ブレーキに前記端部検出信号及び前記自動指令信号に基づいて第1の電圧値を印加すると共に、前記手動指令信号に基づいて前記第1の電圧値よりも低い第2の電圧値を印加する、
ことを特徴とするものである。
このようなスイングドアの装置よれば、自動スイッチ手段は、電力変換手段の入力を開放又は閉成し、自動指令信号に基づいて閉成すると共に、手動指令信号に基づいて開放する。ブレーキ制御手段は、端部検出信号及び自動指令信号に基づいて第1の電圧値により電磁ブレーキを拘束すると共に、手動指令信号に基づいて第1の電圧値よりも低い第2の電圧値を印加する。これにより、自動状態ではドアの閉鎖端及び開放端において、ドアを電磁ブレーキにより拘束できるので、風などでドアが衝撃を受けても、ドアの移動を阻止できる。さらに、手動状態では、自動及び閉鎖端等よりも、電磁ブレーキから制動トルクを減少した摩擦トルクを発生する。これにより、手動によるドアの移動を緩慢にできるので、手で移動し易いスイングドアの装置を得ることができる。
【0012】
第5の発明に係るスイングドアの装置は、前記制御指令信号は速度指令信号であり、
前記モータの回転に基づいて速度を検出して速度検出信号を発生する速度検出手段と、
前記速度指令信号と前記速度検出信号との差となる速度偏差値を求める速度偏差手段と、
前記速度偏差値が予め定められた速度偏差閾値を越えると、異常信号を発生する異常判断手段と、を備え
前記ブレーキ制御手段は、さらに、前記異常信号に基づいて前記電磁ブレーキを拘束する、ことを特徴とするものである。
このようなスイングドアの装置よれば、制御指令信号に基づいてモータを回転しながらドアを開放又は閉鎖している時に、ドアが円滑に移動できないことを異常判断手段が速度偏差値より判断して異常信号を発生して電磁ブレーキを拘束する。これにより、ドアの開閉異常を簡易に検出してドアを電磁ブレーキにより拘束するので、信頼性の高いスイングドアを得ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、スイングドアの開閉を自動化すると共に、自動化しても、伝達部材の端部と回動部材の端部とが回動可能な回動部から生じる上下方向の振動を抑制するスイングドアの装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施の形態によるスイングドアの装置を裏面から見た全体図である。
図2図1に示すスイングドアの平面図である。
図3図1に示すスイングドアの右側面図である。
図4図1によるスイングドアの装置を示すブロック図である。
図5図4によるスイングドアの装置の自動動作を示すフローチャートである。
図6図4によるスイングドアの装置の手動動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
実施の形態1.
本発明の一実施の形態を示すスイングドアの装置を図1から図3によって説明する。図1において、スイングドアの装置1は、スイングドア機構30と制御装置100とから成り、住居内には、下枠3、上枠5、二つの側枠7にて形成された長方形状の開口9に上吊り型で、長方形の板状のドア10が設けられている。なお、制御装置100が上枠5に連結固定されている。
【0016】
図1において、スイングドアの装置1は、側枠3の二か所にヒンジ12によりドア10をスイングドア機構30により開放したり、閉成したりするように形成されている。側枠7には、開放釦スイッチ101、閉鎖釦スイッチ102が並べて設けられており、その下には、運転切換えスイッチ105が設けられている。運転切換えスイッチ105は、トグル型のスイッチで、レバー105rを上側に倒すと、自動指令信号が発生し、レバー105rを下側に倒すと、手動指令信号を発生し、レバー105rを上側と下側との中間に位置すると、いずれの指令信号も発生しないように形成されている。さらに、側枠7には、オンにすると緊急信号を発生する緊急釦スイッチSeが設けられている。なお、手動でドア10を開閉するドアノブ10aがドア10に設けられている。
【0017】
図1から図3において、スイングドア機構30は、駆動源としてモータ31と、モータ31の第1の回転軸31aに設けられた主プーリー33を有しており、主プーリー33とタイミングベルト35を介して回転可能にする従動プーリー54が電磁ブレーキ52の第2の回転軸52aに設けられている。ここで、主プーリー33よりも従動プーリー54の直径を大きくして、モータ31から発生したトルクよりも電磁ブレーキ52へ伝達されるトルクを大きくしている。電磁ブレーキ52は、印加電圧の投入により制動トルクを付与すると共に、印加される電圧値の大きさに比例して制動トルクが大きくなるように形成されている。なお、モータ31及び電磁ブレーキ52は、L状部材22を介して上枠5に固定されている。
【0018】
さらに、スイングドア機構30は、電磁ブレーキ52の第2の回転軸52aに一端部60aが連結固定された板状で長尺状の伝達部材60を有しており、伝達部材60の第1の他端部60cに第2の一端部62aを第1の回動部70により回動可能に連結された板状で長尺状の回動部材62を備え、回動部材62の第2の他端部62cが第2の回動部80を介してL形状の取付け金具90によりドア10の裏面に固定されている。これにより、スイングドア機構30は、モータ31の回転に伴い主プーリー33、タイミングベルト35を介して電磁ブレーキ52に設けられた従動プーリー54も回転し、電磁ブレーキ52の軸52aに連結固定された伝達部材60も回転して、第1の回動部70を介して回動部材62も回転し、第2の回動部80を介して取付け金具90に固定されたドア10を開閉できるように形成されている。ここで、伝達部材60、第1の回動部70、回動部材62によりリンクを成している。
【0019】
図3において、第1の回動部70は、伝達部材60の第1の他端部60cに設けられた第1の孔60eを有し、第2の一端部62aに設けられた第2の孔62eを有しており、第1及び第2の孔60e、62eを遊挿する胴部72dを有する第1のボルト72を備え、胴部72dには、第1のねじと第2のねじとから成る二重ねじ72nが形成されており、第1のねじに螺合する第1のナット74と、第2のねじに螺合する第2のナット76とを備えている。そして、第1の回動部70は、伝達部材60の第1の他端部60cと回動部材62の第2の一端部62aとが円滑に回動可能で、第1の他端部60cと第2の一端部62aとの隙間が少なるように第1のねじに第1のナット74、第2のねじに第2のナット76がそれぞれ螺合されている。なお、第1のボルト72に挿入された第1の平座金73が伝達部材60の第1の他端部60cと回動部材62の第2の一端部62aとの間に挿入されている。
【0020】
第2の回動部80は、第2の他端部62cに設けられた第1の取付け孔62oを有し、取付け金具90に設けられた第2の取付け孔90eを有しており、第1及び第2の取付け孔62o、90eを遊挿する第2の胴部82dを有する第2のボルト82を備え、第2の胴部82dには、第1の取付けねじと第2の取付けねじとから成る第2の二重ねじ82nが形成され、第1の取付けねじに螺合する第1の取付けナット84と、第2の取付けねじに螺合する第2の取付けナット86がそれぞれ螺合されている。そして、第2の回動部80は、回動部材62の第2の他端部62cと取付け金具90とが円滑に回動可能で、第2の他端部62cと取付け金具90との隙間が少なるように第1の取付けねじに第1の取付けナット74、第2の取付けねじに第2の取付けナット76がそれぞれ螺合されている。
なお、第2のボルト82に挿入された第2の平座金83が回動部材62の第2の他端部62cと取付け金具90との間に挿入されている。
【0021】
図4において、スイングドアの装置1は、モータ31を駆動制御すると共に、電磁ブレーキ52を制御する制御装置100を有している。制御装置100は、自動指令信号が発生している状態で、開放釦スイッチ101、閉鎖釦スイッチ102のそれぞれオン(閉成)になると、開放信号、閉鎖信号をそれぞれ発生し、この信号が開閉位置指令部111に入力されるように形成されている。開閉位置指令部111は、開放信号によりドア10を閉鎖端から開放端まで移動する開放位置指令信号を生成すると共に、閉鎖信号によりドア10を開放端から閉鎖端まで移動する閉鎖位置指令信号を発生して速度指令部113に入力すると、速度指令部113は、速度指令信号を出力するように形成されている。
【0022】
制御装置100は、モータ31の回転位置をエンコーダ121が検出して位置検出信号psを速度検出部123に入力すると、速度検出部123は速度検出信号を発生し、この速度検出信号と、速度指令信号との差となる速度偏差信号を求める速度偏差手段としての減算器esを有している。速度制御部117は、速度偏差信号の入力を受けて、自動スイッチ201を介して電力変換部119によりモータ31を駆動制御するように形成されている。ここで、自動スイッチ201は、ドア10を自動指令信号の発生(オン)により閉成(オン)すると共に、自動指令信号の消滅(オフ)で、開放(オフ)するものである。
【0023】
ブレーキ制御部50は、拘束スイッチ501をオンすることにより直流電源の電圧値2Vを電磁ブレーキ52に印加すると共に、拘束スイッチ501が開放状態で、手動スイッチ503をオンすることにより、上記における半分の電圧値Vが電磁ブレーキ52に印加するように形成されている。ここで、電磁ブレーキ52は、電圧値2Vが印加されると拘束トルクを発生し、電圧値Vが印加されると、拘束トルクの半分となる摩擦トルクを発生するように形成されている。ここで、手動スイッチ503は、ドア10を手動指令信号の発生(オン)により閉成(オン)すると共に、手動指令信号の消滅(オフ)で、開放(オフ)するものである。
【0024】
端部検出部130は、位置検出信号によりドア10が開放端又は閉鎖端に位置したことを検出すると、端部検出信号を発生するように形成されている。異常判断部140は、入力された速度偏差信号に基づく速度偏差値が予め定めた速度偏差閾値を越えると、異常信号を発生して、拘束スイッチ501を開放(オフ)から閉成(オン)にして電圧値2Vが電磁ブレーキ52に印加して拘束される。さらに、異常判断部140は、緊急釦スイッチSeのオンにより緊急信号が入力されると、上記異常信号を発生するように形成されている。
【0025】
また、自動指令信号を発生している状態で、拘束解除部150は、制御指令信号としての位置指令信号が発生すると、解除信号を発生して拘束スイッチ501及び手動スイッチ503を開放にして電磁ブレーキ52に電圧を印加しないようにすると共に、端部検出信号が発生すると、拘束スイッチ501を閉成して電磁ブレーキ52に電圧値2Vを印加するように形成されている。手動指令信号が発生すると、拘束解除部150は、拘束スイッチ501を開放すると共に、手動スイッチ503を閉成にして第2の電圧値としての電源値Vが電磁ブレーキ52に印加するように形成されている。自動指令信号及び手動指令信号が発生しない状態では、拘束解除部150は、拘束スイッチ501及び手動スイッチ503を開放して直流電源が電磁ブレーキ52に印加されないように形成されている。
【0026】
上記のように構成されたスイングドアの動作を図1から図6を参照して説明する。
<自動によるドアの開放動作>
いま、ドア10が閉鎖した状態で、運転切換えスイッチ105のレバー105rを自動側に倒すと、(ステップS101)、自動指令信号が発生して自動スイッチ201を閉成する。この状態で、利用者が開放釦スイッチ101を押すと(ステップS103)、開閉位置指令部111から開放位置指令信号が発生して、拘束解除部150から解除信号を発生して拘束スイッチ501を閉成から開放にして電磁ブレーキ52を解放する(ステップS105)。
【0027】
開放位置指令信号を速度指令部113に入力すると、速度指令部113は、速度指令信号を速度制御部117に入力して電力変換部119を介してモータ31の回転を開始する。モータ31の回転に伴いタイミングベルト35を介して従動プーリー54も回転し、伝達部材60が回転して回動部材62を回転移動することによりドア10を開放端に向けて移動する(ステップS107)。異常判断部140から異常信号が発生していなので(ステップS109)、図2に示す一点鎖線のようにドア10を開放端まで移動すると(ステップS111)、端部検出部130はドア10が移動して開放端に位置すると、端部検出信号を発生して拘束スイッチ501を閉成にして電磁ブレーキ52から制動トルクを発生して、ドア10を拘束する(ステップS113)。これにより、ドア10が閉鎖端で強風により開放することを防止できる。
なお、上記はドア10を閉鎖端から開放端へ開放する自動動作について説明したが、ドア10を開放端から閉鎖端へ閉成する動作についても同様である。
【0028】
<手動によるドアの開放動作>
いま、ドア10が閉鎖した状態で、利用者が運転切換えスイッチ105のレバー105rを手動側に倒すと(ステップS201)、手動指令信号が入力された拘束解除部150は、拘束スイッチ501をオフにして、電圧値Vを電磁ブレーキ52に印加することにより摩擦トルクを発生する(ステップS203)。利用者が摩擦トルクに抗してドア10を閉鎖端から開放端に向かって移動を開始し(ステップS205)、摩擦トルクに抗してドア10が開放端まで移動すると、端部検出部130から端部検出信号が発生する(ステップS207)。これで、ドア10の閉鎖端から開放端への移動による一周期の動作が終了する。
【0029】
これにより、利用者が手動でドア10を閉鎖端から開放する際に、強風などによりドア10に衝撃が加わっても、ドア10の移動を緩慢にできるので、利用し易くなる。加えて、手動の際もドア10が閉鎖端で強風により開放することを防止できる。なお、上記はドア10を閉鎖端から開放端へ開放する手動動作について説明したが、ドア10を開放端から閉鎖端へ閉成する動作についても同様である。
また、風などによりドア10に衝撃が加わった場合などでは、緊急釦スイッチSeを押すと拘束スイッチ501をオンにして電磁ブレーキ52を拘束して、ドア10を拘束することができる。
【0030】
本発明は、上記発明の実施の形態の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様も本発明に含まれる。例えば、電磁ブレーキ52は、電源の投入により制動トルクを発生したが、電源を遮断により制動トルクを発生しても良い。
【0031】
また、電磁ブレーキ52によりドア10を拘束した後、ドアノブ10aを回すと、発生する強制開放信号により拘束解除部150から解除指令信号を発生し、拘束スイッチ501及び手動スイッチ503開放して上記拘束を解除することが好ましい。
【符号の説明】
【0032】
10 ドア、12 ヒンジ、30 スイングドア機構、31 モータ、33 主プーリー、35 タイミングベルト、52 電磁ブレーキ、54 従動プーリー、60 伝達部材、62 回動部材、70 第1の回動部、72 第1のボルト、74 第1のナット、76 第2のナット、80 第2の回動部、82 第2のボルト、84 第1の取付けナット、84 第2の取付けナット、100 制御装置、119 電力変換部(電力変換手段)、130 端部検出部(端部検出手段)、140 異常判断部(異常判断手段)、150 拘束解除部、201 自動スイッチ、501 拘束スイッチ(拘束スイッチ手段)、503 手動スイッチ(手動スイッチ手段)。

図1
図2
図3
図4
図5
図6