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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155658
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】レーダカバー
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/00 20060101AFI20221006BHJP
   H01Q 1/42 20060101ALI20221006BHJP
   G01S 7/03 20060101ALI20221006BHJP
   G01S 13/931 20200101ALN20221006BHJP
【FI】
B60R13/00
H01Q1/42
G01S7/03 246
G01S13/931
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021058997
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】504136889
【氏名又は名称】株式会社ファルテック
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】▲柳▼ 大介
(72)【発明者】
【氏名】山口 和紀
【テーマコード(参考)】
3D024
5J046
5J070
【Fターム(参考)】
3D024BA03
3D024BA07
5J046AA13
5J046RA03
5J046RA08
5J070AB24
5J070AC02
5J070AC06
5J070AF03
(57)【要約】
【課題】電波を透過可能なレーダカバーであって、希少金属によらずに光輝性を得る。
【解決手段】透明部材11と、透明部材11の背面側に配置されたベース部材13とを備えたレーダカバー10であって、透明部材11の背面の少なくとも一部に設けられると共に透明部材11の前面から入射した光を反射させる複数の反射突部11bと、遮光性を有すると共に少なくともいずれかの反射突部11bの先端に当接して配置されたインナコア12とを備え、反射突部11bの表面とインナコア12の表面とで囲まれた空間Kが設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明部材と、前記透明部材の背面側に配置された支持部材とを備えるレーダカバーであって、
前記透明部材の前記背面の少なくとも一部に設けられると共に前記透明部材の前面から入射した光を反射させる複数の反射突部と、
遮光性を有すると共に少なくともいずれかの前記反射突部の先端に当接して配置された当接部と
を備え、
前記反射突部の表面と前記当接部の表面とで囲まれた空間が設けられている
ことを特徴とするレーダカバー。
【請求項2】
前記当接部は、前記支持部材と別体であると共に前記透明部材と前記支持部材との間に介挿されたインナコアであることを特徴とする請求項1記載のレーダカバー。
【請求項3】
前記当接部は、前記支持部材の一部からなることを特徴とする請求項1記載のレーダカバー。
【請求項4】
前記透明部材の背面に凹部が設けられ、前記凹部の内壁面に前記反射突部が設けられていることを特徴とする請求項1~3いずれか一項に記載のレーダカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーダカバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ミリ波等の電波を用いて車両の周囲の障害物等を検知するレーダユニットが車両に搭載されている。このようなレーダユニットは、車両の前面に設けられるレーダカバーの内側に配置されており、レーダカバー等を透過する電波の送受信を行う。このため、上述のようなレーダユニットを備える車両においては、レーダカバーは、電波の減衰を抑制しつつ当該電波を透過可能に形成する必要がある。
【0003】
一方で、レーダカバーは、車両の前面に配置されることから、車両の意匠上、極めて重要な部分であり、高級感や質感を向上させるために光輝性を付与することが多い。光輝性を付与するため、めっき処理を施すことが一般的である。しかしながら、めっき層は電波を透過しない。このため、近年、光輝性を付与しかつ電波を透過可能とするため、電波が透過可能な光輝性膜を形成する技術が用いられている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-46183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に光輝性膜は、希少金属であるインジウムによって形成される。また、このようなインジウムによって形成された光輝性膜の両側にはコート層を設ける必要がある。さらに、インジウムによる光輝性膜はスパッタリング装置等によって形成され、コート層は光輝性膜の形成工程とは別の工程にて形成する必要がある。このため、希少金属を用いたレーダカバーは、製造工程が煩雑化すると共に製造コストが増加する。
【0006】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、電波を透過可能なレーダカバーであって、希少金属によらずに光輝性を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0008】
本発明の第1の態様は、透明部材と、上記透明部材の背面側に配置された支持部材とを備えるレーダカバーであって、上記透明部材の上記背面の少なくとも一部に設けられると共に上記透明部材の前面から入射した光を反射させる複数の反射突部と、遮光性を有すると共に少なくともいずれかの上記反射突部の先端に当接して配置された当接部とを備え、上記反射突部の表面と上記当接部の表面とで囲まれた空間が設けられているという構成を採用する。
【0009】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様において、上記当接部が、上記支持部材と別体であると共に上記透明部材と上記支持部材との間に介挿されたインナコアであるという構成を採用する。
【0010】
本発明の第3の態様は、上記第1の態様において、上記当接部が、上記支持部材の一部からなるという構成を採用する。
【0011】
本発明の第4の態様は、上記第1~第3いずれかの態様において、上記透明部材の背面に凹部が設けられ、上記凹部の内壁面に上記反射突部が設けられているという構成を採用する。
【発明の効果】
【0012】
本発明においては、当接部が反射突部の先端に当接されていることから、反射突部の形状や反射突部の表面と当接部の表面とで囲まれた空間の形状を保持することができる。このような本発明においては、透明部材の前面から透明部材に進入した光が反射突部と空間との界面で反射することで反射される。また、反射突部と空間との界面で反射されずに空間に抜け出した光は遮光性を有する当接部によって遮光されることで当接部に進入して迷光となることが防止される。このため、レーダカバーの外部の者には、レーダカバーの反射突部が設けられた部位がはっきりと輝いて視認される。したがって、本発明によれば、電波を透過可能なレーダカバーであって、希少金属によらずに光輝性を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】(a)が、本発明第1実施形態におけるレーダカバーを備えるラジエータグリルの正面図であり、(b)が、本発明の一実施形態におけるレーダカバーの拡大正面図である。
図2】本発明の第1実施形態におけるレーダカバーの模式的な断面図である。
図3】本発明の第1実施形態におけるレーダカバーの製造方法について説明するための概略図である。
図4】本発明の第2実施形態におけるレーダカバーの模式的な断面図である。
図5】本発明の第3実施形態におけるレーダカバーの模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明に係るレーダカバーの一実施形態について説明する。
【0015】
(第1実施形態)
図1(a)は、本実施形態のレーダカバー10を備えるラジエータグリル1の正面図であり、図1(b)は、本第1実施形態のレーダカバー10の拡大正面図である。また、図2は、本実施形態のレーダカバー10の模式的な断面図である。
【0016】
ラジエータグリル1は、車両のエンジンルームに通じる開口を塞ぐように車両の前面に設けられており、エンジンルームへの通気を確保しかつエンジンルームへの異物の進入を防止している。ラジエータグリル1の中央には、エンジンルーム内に配置されるレーダユニットRに対向するようにしてレーダカバー10が設けられている。なお、ラジエータグリル1において、レーダカバー10を除く部位は、電波透過性を有する必要性がないことから、例えばクロム(Cr)によってめっき処理されている。
【0017】
レーダユニットR(図2参照)は、例えばミリ波を発信する発信部、反射波を受信する受信部、及び、演算処理を行う演算部等を有している。このレーダユニットRは、レーダカバー10を透過する電波の送受信を行い、受信した電波に基づいて車両の周囲状況を検知する。例えば、レーダユニットRは、障害物までの距離や障害物の相対速度等を算出して出力する。
【0018】
レーダカバー10は、レーダユニットRを車両の正面側から見て覆うように配置されている。このレーダカバー10は、図1(b)に示すように、車両の正面側から見て、車両メーカのエンブレムを示す図形や文字等を表す光輝領域10Aと、当該光輝領域10Aの視認性を向上させる黒色領域10Bを有する部品である。このようなレーダカバー10は、図2に示すように、透明部材11と、インナコア12(当接部)と、ベース部材13(支持部材)とを備えている。
【0019】
透明部材11は、最も車両の外側に配置される略矩形状の透明材料により形成される部位である。この透明部材11は、車両の外部からのインナコア12の視認性を高めるため、表側の面が円滑面とされている。また、透明部材11の背面(裏側の面)には、インナコア12が配置される凹部11aが形成されている。また、透明部材11の背面の凹部11aが設けられていない領域は、ベース部材13との固着面とされている。
【0020】
凹部11aは、インナコア12を収容する部位であり、収容されたインナコア12を車両の前方側から立体的に視認可能とする。この凹部11aは、車両メーカのエンブレム等の図形や文字等の形状に沿って設けられている。
【0021】
このような凹部11aの内壁面(すなわち透明部材11の背面の一部)には、図3に示すように、複数の反射突部11bが設けられている。これらの反射突部11bは、先端に向かって窄む形状に形成されており、例えば、円錐や角柱形状に形成されている。このような反射突部11bは、異なる方向を向く複数の面を有しており、透明部材11の前面から入射した光を反射することで反射させる。なお、透明部材11の前面から入射した光は、反射突部11bと、反射突部11bに隣接する空間Kに封入された気体(一般的には空気)と、の屈折率の差に起因して、反射突部11bと空間Kとの界面にて反射される。このように凹部11aの内壁面に反射突部11bが設けられることによって、上述の光輝領域10Aが形成される。
【0022】
透明部材11は、例えば金型を用いた射出成形によって形成される。このため、金型の表面に反射突部11bを形成する凹凸を設けることで、内壁面に反射突部11bが設けられた凹部11aを有する透明部材11を形成することができる。なお、例えば、凹部11aの内壁面に反射突部11bが設けられていない透明部材11を形成し、その後、後加工によって凹部11aの内壁面に反射突部11bを設けるようにしても良い。
【0023】
このような透明部材11は、例えば、透明のPC(ポリカーボネート)やPMMA(ポリメタクリル酸メチル樹脂)等の透明合成樹脂によって形成されており、1.5mm~10mm程度の厚さとされている。また、透明部材11の表側の面には、必要に応じて、傷付き防止のためのハードコート処理、またはウレタン系塗料のクリヤコート処理が施される。なお、耐傷性を備える透明合成樹脂であれば、これらの傷付き防止処理は不要である。
【0024】
インナコア12は、透明部材11の内部に収容される部材であり、透明部材11とベース部材13との間に配置されている。本実施形態においてインナコア12は、遮光性かつ電波透過性を有する有色の樹脂によって形成されている。なお、インナコア12は、樹脂のみによって形成されている構成に限定されるものではない。
【0025】
インナコア12は射出成形等によって成形されており、例えばABS、PC又はPET等の合成樹脂によって形成されている。このインナコア12は、透明部材11の凹部11aを埋設する凸状の形状とされており、透明部材11の凹部11aに嵌合される。このようなインナコア12の表面は、反射突部11bが設けられた凹部11aの内壁面よりも表面粗さが小さな円滑面とされている。このインナコア12の表面は、図2に示すように、反射突部11bの先端に当接されている。
【0026】
図2の拡大図に示すように、表面粗さが相対的に大きな凹部11aの内壁面と、表面粗さが相対的に小さなインナコア12の表面とが当接されることによって、透明部材11とインナコア12との間には、複数の空間Kが設けられている。このような多数の空間Kは、例えば空気等の気体を封入する。上述のように、このような空間Kに封入された気体と透明部材11との屈折率の差によって、透明部材11の前面から入射した光が、反射突部11bで反射される。
【0027】
なお、反射突部11bで反射せずに空間Kに入射した光は、遮光性を有するインナコア12の内部には入射することはできない。このため、インナコア12の内部を透過する迷光が生じることがない。このようなインナコア12の色は特に限定されるものではないが、例えば黒色とすることが考えられる。例えば、インナコア12が黒色である場合には、空間Kに入射した光をインナコア12の表面で吸収することができる。このため、空間Kに入射した光が迷光となることがより確実に防止される。
【0028】
ベース部材13は、透明部材11の背面側に配置されており、黒色の樹脂材料から形成されている。このベース部材13は、エンジンルーム側に突出する係合部13aを有している。この係合部13aは、先端部が爪状に成形されており、当該先端部が例えばラジエータグリル本体に係止される。このように透明部材11の背面に対して固着されたベース部材13は、透明部材11の外側から視認可能とされており、上述の黒色領域10Bを形成している。このベース部材13は、光輝領域10A以外の領域を黒色に視認させ、相対的に光輝領域10Aの視認性を向上させる。
【0029】
このようなベース部材13は、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂)、AES(アクリロニトリル・エチレン・スチレン共重合合成樹脂)、ASA(アクリロニトリル・スチレン・アクリレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、有色のPC、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の合成樹脂、又はこれらの複合樹脂からなり、0.5mm~10mm程度の厚さとされている。
【0030】
このような本実施形態のレーダカバー10によれば、透明部材11の前面から透明部材11に進入した光が反射突部11bによって反射され、少なくとも一部の反射光が透明部材11の前面から射出される。このような透明部材11の前面から射出された反射光によって、レーダカバー10の外部の者には、レーダカバーの反射突部11bが設けられた部位が輝いて視認される。
【0031】
また、本実施形態のレーダカバー10によれば、インナコア12が反射突部11bの先端に当接されている。このため、透明部材11の熱収縮等によって反射突部11bの形状や表面とインナコア12の表面とで囲まれた空間Kの形状が変化することを抑制することができる。したがって、設計通りの光輝性をより確実に得ることが可能となる。
【0032】
さらに、本実施形態のレーダカバー10によれば、インナコア12が遮光性を有しているため、反射突部11bと空間Kとの界面で反射されずに空間Kに抜け出した光がインナコア12の内部に入射して迷光となることを防止することができる。このため、本実施形態のレーダカバー10によれば、光輝性が得られる領域(光輝領域10A)と周囲(黒色領域10B)との境界を、ぼやけることなく明確にすることが可能となる。
【0033】
続いて、本実施形態のレーダカバー10の製造方法について、図3を参照して説明する。図3は、本実施形態のレーダカバー10の製造方法について説明するための概略図である。
【0034】
まず、図3(a)に示すように、透明部材11を形成する。例えば、透明部材11は、樹脂材料を射出成形することによって形成される。この射出成形により、凹部11aを有する透明部材11を形成することができるため、後工程により凹部11aを形成する必要はない。ここで、本実施形態においては、例えば射出成形に用いる金型に対して、反射突部11bを形成する凹凸を予め形成しておく。これによって、1度の射出成形によって、反射突部11bを有する透明部材11を形成することができる。なお、必要に応じて、透明部材11の前面側(車両外側に向く面)あるいは全面には、耐久性等を向上させるためのハードコート処理を施しても良い。
【0035】
次に、図3(b)に示すように、インナコア12を形成する。例えば、射出成形によりインナコア12が形成される。インナコア12の形成は、図3(a)で示した透明部材11の形成を待って行う必要はない。図3(a)で示した透明部材11の形成工程と並行して、インナコア12を形成することによって、レーダカバー10の製造時間を短縮することができる。
【0036】
続いて、図3(c)に示すように、インナコア12を透明部材11の凹部11aに嵌合する。次に、図3(d)に示すように、ベース部材13を形成する。ここでは、凹部11aにインナコア12が設置された透明部材11を、射出成形用の金型の内部に配置し、透明部材11の背面側に溶融した樹脂を射出するインサート成形を行うことで、ベース部材13を形成する。このようなベース部材13は、インサート成形時の熱により透明部材11と溶着され、インナコア12を覆うように配置される。また、インナコア12の裏面も、ベース部材13に溶着される。これによって、インナコア12がベース部材13により支持される。
【0037】
なお、インサート成形を行う場合に、反射突部11bはインナコア12によって覆われている。このため、溶融した樹脂が反射突部11bに直接接触することが防止される。このため、インサート成形の際の熱によって反射突部11bが変形することを防止することができる。
【0038】
以上のような本実施形態のレーダカバー10は、透明部材11と、透明部材11の背面側に配置されたベース部材13とを備える。また、本実施形態のレーダカバー10は、透明部材11の背面の少なくとも一部に設けられると共に透明部材11の前面から入射した光を反射させる複数の反射突部11bを備える。また、本実施形態のレーダカバー10は、遮光性を有すると共に少なくともいずれかの反射突部11bの先端に当接して配置されたインナコア12を備える。また、本実施形態のレーダカバー10においては、反射突部11bの表面とインナコア12の表面とで囲まれた空間Kが設けられている。
【0039】
本実施形態のレーダカバー10においては、インナコア12が反射突部11bの先端に当接されていることから、反射突部11bの形状や反射突部11bの表面とインナコア12の表面とで囲まれた空間Kの形状を保持することができる。このような本実施形態のレーダカバー10においては、透明部材11の前面から透明部材11に進入した光が反射突部11bと空間Kとの界面で反射することで反射される。また、反射突部11bと空間Kとの界面で反射されずに空間Kに抜け出した光は遮光性を有するインナコア12によって遮光されることでインナコア12に進入して迷光となることが防止される。このため、レーダカバー10の外部の者には、レーダカバー10の反射突部11bが設けられた部位がはっきりと輝いて視認される。したがって、本実施形態のレーダカバー10によれば、電波を透過可能なレーダカバー10であって、希少金属によらずに光輝性を得ることが可能となる。
【0040】
また、本実施形態のレーダカバー10においては、ベース部材13と別体であるインナコア12が透明部材11とベース部材13との間に介挿されている。このため、ベース部材13をインサート成形等により形成する場合に、反射突部11bをインナコア12によって覆うことができる。このため、溶融した樹脂が反射突部11bに直接接触することが防止され、熱によって反射突部11bが変形することを防止することができる。
【0041】
また、本実施形態のレーダカバー10においては、透明部材11の背面に凹部11aが設けられ、凹部11aの内壁面に反射突部11bが設けられている。このため、透明部材11の前側から見ると、反射突部11bによって形成された光輝領域10Aが手前側に膨出するように立体的に視認される。このため、光輝領域10Aによって形成されるマーク等を立体的にすることが可能となる。
【0042】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、図4を参照して説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0043】
図4は、本実施形態のレーダカバー20の模式的な断面図である。この図に示すように、本実施形態のレーダカバー20は、上記第1実施形態のレーダカバー10が備えるインナコア12を有していない。一方で、本実施形態のレーダカバー20においてベース部材13は、透明部材11の凹部11aに入り込む突出部13bを有している。
【0044】
突出部13bは、電波透過性を有すると共に遮光性を有するベース部材13の一部からなる。このような突出部13bは、反射突部11bの先端に当接して配置されている。つまり、本実施形態においては、ベース部材13の一部である突出部13bが、遮光性を有すると共に少なくともいずれかの反射突部11bの先端に当接して配置された当接部として機能する。
【0045】
このような本実施形態のレーダカバー20においては、突出部13bが反射突部11bの先端に当接されていることから、反射突部11bの形状や反射突部11bの表面と突出部13bの表面とで囲まれた空間Kの形状を保持することができる。このような本実施形態のレーダカバー10においては、透明部材11の前面から透明部材11に進入した光が反射突部11bと空間Kとの界面で反射することで反射される。また、反射突部11bと空間Kとの界面で反射されずに空間Kに抜け出した光は遮光性を有する突出部13bによって遮光されることで突出部13bに進入して迷光となることが防止される。このため、レーダカバー10の外部の者には、レーダカバー10の反射突部11bが設けられた部位がはっきりと輝いて視認される。したがって、本実施形態のレーダカバー10によれば、電波を透過可能なレーダカバー10であって、希少金属によらずに光輝性を得ることが可能となる。
【0046】
また、本実施形態のレーダカバー20においては、当接部として機能する突出部13bが、ベース部材13の一部からなる。このため、別途、インナコア12を形成する必要がなくなり、レーダカバー20の製造工程を簡素化することができる。なお、本実施形態のレーダカバー20を製造する場合には、反射突部11bの形状の変化を防止するため、ベース部材13を成形した後に透明部材11に接合することが好ましい。
【0047】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0048】
図5は、本実施形態のレーダカバー30の模式的な断面図である。この図に示すように、本実施形態のレーダカバー30は、上記第1実施形態のレーダカバー10における透明部材11の凹部11aが設けられていない。一方で、本実施形態のレーダカバー30において透明部材11は、ベース部材13に向けて突出する突出部11cを有している。
【0049】
また、本実施形態においては、突出部11cの表面に反射突部11bが設けられている。また、電波透過性を有すると共に遮光性を有するベース部材13の一部が、反射突部11bの先端に当接して配置されている。
【0050】
本実施形態のレーダカバー30においては、ベース部材13の一部が反射突部11bの先端に当接されていることから、反射突部11bの形状や反射突部11bの表面と突出部13bの表面とで囲まれた空間Kの形状を保持することができる。このような本実施形態のレーダカバー30においては、透明部材11の前面から透明部材11に進入した光が反射突部11bと空間Kとの界面で反射することで反射される。また、反射突部11bと空間Kとの界面で反射されずに空間Kに抜け出した光は遮光性を有するベース部材13によって遮光されることでベース部材13に進入して迷光となることが防止される。このため、レーダカバー30の外部の者には、レーダカバー30の反射突部11bが設けられた部位がはっきりと輝いて視認される。したがって、本実施形態のレーダカバー30によれば、希少金属によらずに光輝性を得ることが可能となる。
【0051】
また、本実施形態のレーダカバー30においては、当接部として機能する部位が、ベース部材13の一部からなる。このため、別途、インナコア12を形成する必要がなくなり、レーダカバー30の製造工程を簡素化することができる。なお、本実施形態のレーダカバー30を製造する場合には、反射突部11bの形状の変化を防止するため、ベース部材13を成形した後に透明部材11に接合することが好ましい。
【0052】
また、本実施形態のレーダカバー30においては、透明部材11の背面に突出部11cが設けられ、突出部11cの内壁面に反射突部11bが設けられている。このため、透明部材11の前側から見ると、反射突部11bによって形成された光輝領域10Aが奥側に窪むように立体的に視認される。このため、光輝領域10Aによって形成されるマーク等を立体的にすることが可能となる。
【0053】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0054】
例えば、上記実施形態においては、凹部11aの内壁面あるいは突出部11cの表面に反射突部11bを形成する構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、透明部材11の背面の平坦な領域に反射突部11bを設けるようにしても良い。
【符号の説明】
【0055】
1……ラジエータグリル、10……レーダカバー、10A……光輝領域、10B……黒色領域、11……透明部材、11a……凹部、11b……反射突部、11c……突出部、12……インナコア(当接部)、13……ベース部材(当接部)、13b……突出部(当接部)、20……レーダカバー、30……レーダカバー、K……空間、R……レーダユニット
図1
図2
図3
図4
図5