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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155663
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】搬送供給装置
(51)【国際特許分類】
   B65D 75/52 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
B65D75/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059004
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】302025822
【氏名又は名称】有限会社 押切技研
(72)【発明者】
【氏名】押切 新悦
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AB01
3E067AC03
3E067BA12A
3E067BA20B
3E067BB15A
3E067BB16A
3E067BB25A
3E067CA04
3E067EA22
3E067EB17
3E067EC32
3E067EE59
3E067FA01
3E067FC01
3E067GD10
(57)【要約】
【課題】回転動作をするコンベア等に設けた横桟を使用して長尺野菜を摘出する際に、より良好な状態で長尺野菜を横桟上に積載可能とする摘出装置、及び、当該摘出装置を含む供給搬送装置を提供することを課題とする。
【解決手段】長尺野菜を搬送する複数の回転ローラー付き振動供給機構と干渉せず交差する斜め上方に積載移動する横桟付き上昇機構を有し移動面には略平行の位置にブラシ付き回転機構が上昇方向と逆方向回転して上昇機構に積載された当該長尺野菜に接触し尚且つ、当該供給機構では重なり搬送された長尺野菜に接触することにより均し又は払い戻して上昇横桟に良好適切に所定量を摘出する摘出機構による長尺野菜の搬送供給装置。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入された長尺野菜を搬送する供給機構と、前記供給機構の下流側搬送面端に隣接し、当該長尺野菜を移動面に設けた横桟に積載して斜め上方に搬送する上昇機構と、前記上昇機構にはみ出して積載された長尺野菜を均し及び払い落し機能を有する回転機構を設けたことを特徴とする長尺野菜の摘出装置。
【請求項2】
前記回転機構は、回転面に外装体を持つ回転機構を有し、当該回転機構の回転中心軸は、前記移動面と略並行で、当該回転機構の回転面が、前記横桟に積載された長尺野菜に接触する位置に設置され、上昇方向と逆方向に回転することにより、均しまたは払い落す機構を有する請求項1に記載の長尺野菜の摘出装置。
【請求項3】
前記回転機構の回転面が、前記供給機構上で重なり合って存在する長尺野菜に接触する位置に設置され、当該供給機構上で重なり合って存在する長尺野菜を回転して払いながら均すように機能することを特徴とする請求項1および2に記載の長尺野菜の摘出装置。
【請求項4】
前記回転機構の回転面の外装体は、「ブラシ」であることを特徴とする請求項1~3に記載の長尺野菜の摘出装置。
【請求項5】
前記の供給機構は、搬送面に回転軸を長尺野菜の搬送方向と垂直とする複数の回転ローラーを有し、当該長尺野菜の搬送方向に当該回転ローラーを振動させて当該回転ローラー間で長尺野菜を順次受け渡すことによって、長尺野菜を前記上昇機構の長尺野菜積載位置に搬送することを特徴とする請求項1~4に記載の長尺野菜の摘出装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の機構を単数の組み合わせ、あるいは複数組合せた長尺野菜の摘出装置の機構を有することを特徴とする搬送供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺物を搬送供給するための装置である。特に、アスパラガスやキュウリ等の長尺形状の野菜を選別システムへ供給するのに好適な搬送供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
販売する際の付加価値を高めるために、アスパラガスやキュウリ等の長尺形状の野菜を出荷する際に、予め各種のセンサーを設けた選別システムを用いて当該野菜の形状や、重量などを測定して、クラス分け等が行われている。また、長尺形状の野菜を出荷する際には、結束装置などを使用して所定の本数毎に結束することが行われる。
【0003】
前記のように、長尺野菜を選別システムや結束装置に投入して各種の測定や結束等の処理をしようとする際には、その処理の精度を高めるために、処理の内容に応じて長尺野菜を相互に平行に並べたり、更には一本ずつを平行な状態で装置に供給することが望まれる。
【0004】
長尺野菜を相互に平行な状態で各種装置に供給するための装置として、例えば、特許文献1に記載される装置が提案されている。当該装置では、斜めにしたコンベア上に横桟を設けた摘出装置を使用して、長尺野菜が概ね平行な状態にされた群の中から1本~数本単位で長尺野菜を摘出することによって、結果として所定本数の長尺野菜を相互に平行にした状態で結束装置等に供給することが可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開 2020-159874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された摘出装置によれば、コンベア上に設けた横桟によって長尺野菜を摘出して搬送する過程で長尺野菜をコンベアに平行な状態とするものであり、長尺野菜が適切に当該横桟に積載されることによって所望の効果を得ることができる。
【0007】
しかしながら、野菜などの農産物においてはそれぞれの個体間の形状のバラつきが存在し、特に選別以前の状態においては様々な形状の個体が含まれる等により、実際に特許文献1等に記載のような摘出機構を用いて長尺野菜の摘出を行った場合には、所定の割合でコンベアと平行になり難い形態で長尺野菜が摘出され、その後の工程において問題を生じる原因となっている。
【0008】
本発明は、前記の問題を解決して、回転動作をするコンベア等に設けた横桟を使用して長尺野菜を摘出する際に、より良好な状態で長尺野菜を横桟上に積載可能とする摘出装置、及び、当該摘出装置を含む搬送供給装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、本発明に係る摘出装置は、投入された長尺野菜を搬送する供給機構と、前記供給機構の下流側搬送面端に隣接し、当該長尺野菜を移動面に設けた横桟に積載して斜め上方に搬送する上昇機構と、前記上昇機構にはみ出して積載された長尺野菜を均し及び払い落し機能を有する回転機構を設けたものである。
【0010】
本発明に係る摘出装置の他の態様は、前記回転機構は、回転面に外装体を持つ回転機構を有し、当該回転機構の回転軸は、前記移動面と略並行であり、当該回転機構の回転面が、前記横桟に積載された長尺野菜に接触する位置に設置され、上昇方向と逆方向に回転することにより、前記横桟からはみ出して積載された長尺野菜を均しまたは払い落す機構を有するものである。
【0011】
本発明に係る摘出装置の他の態様は、前記回転機構の回転面が、前記供給機構上で重なり合って存在する長尺野菜に接触する位置に設置され、当該供給機構上で重なり合って存在する長尺野菜を回転して払いながら均すように機能するものである。
【0012】
本発明に係る摘出装置の他の態様は、前記回転機構の回転面の外装体が、「ブラシ」のものである。
【0013】
本発明に係る摘出装置の他の態様は、前記の供給機構は、搬送面に回転軸を長尺野菜の搬送方向と垂直とする複数の回転ローラーを有し、当該長尺野菜の搬送方向に当該回転ローラーを振動させて当該回転ローラー間で長尺野菜を順次受け渡すことによって、長尺野菜を前記上昇機構の長尺野菜積載位置に搬送するものである。
【0014】
本発明に係る態様は、前記のいずれかに記載の機構を単数の組み合わせ、あるいは複数組合せた長尺野菜の摘出装置の機構を有するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、アスパラガスやキュウリ等の長尺野菜の選別システム等への供給に必要な人員の省力化に寄与する。また、供給の効率を上げる事が可能となり、選別システム等の能率向上を図る事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る搬送供給装置の一実施形態の外観を示す斜視図である。
図2】本発明に係る搬送供給装置における振動並列供給部の構成を示す斜視図である。
図3】本発明に係る搬送供給装置における振動並列供給部の振動機構を示す分解斜視図である。
図4】本発明に係る搬送供給装置における切出し供給部の駆動機構の構成を示す斜視図である。
図5】本発明に係る搬送供給装置における切出し供給部の構成及び実施例の実施結果を示す斜視図である。
図6】本発明に係る搬送供給装置における平面並列振動装置と摘出コンベアの長尺野菜積載位置での交差部を示す斜視図である。
図7】本発明に係る搬送供給装置における比較例1の実施結果を示す斜視図である。
図8】本発明に係る搬送供給装置における比較例2の実施結果を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0017】
1 ワーク
2 ワーク流し込み台
3 横桟付き搬送コンベア
4 ホッパ
5 平面並列振動装置
6 摘出コンベア
7 均し払い出しロール
7a 減速歯車付き電動機
7b 駆動伝動ベルト
8 供給コンベア
8a 横桟付きコンベアベルト
8b 横桟付きコンベアベルト
8c 減速歯車付き電動機
8d 駆動伝動ベルト
8e コンベア駆動軸
8f 搬送供給装置 ワーク穂先案内側板
8g ワーク案内側板
9 振動カムプレート
10 カムロール
11 カムフォロア
12 電動機
13 垂直軸ギアボックス
14 カムシャフト
15 物体感知器
16 平行スライドガイド
17 コロコンベア大
18 コロコンベア小
19 案内カバーa
20 案内カバーb
21 横桟
22 振動方向
23 長尺野菜積載位置
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る搬送供給装置によって搬送されるアスパラガス等長尺野菜を総称する時はワーク1といい、所定数量ずつ摘出する事を切り出すということもある。また、搬送に使用されている複数の回転ローラーをコロコンベアまたはコロコンと言い、自由回転するものや自転するものも含まれる。コンベアのベルトには進行方向と直交する向きに仕切り体を設置することもあり、本発明においては横桟と呼称している。
【0019】
請求項2において「回転機構は回転面に外装体を持つ」とあるが、本発明においての「外装体」とは、回転軸に装着または接着または植毛され、長尺野菜を無損傷で回転接触し得る柔軟な物質を言い、回転機構とは、回転軸を中心に回転する物体あるいは回転無限軌道帯も含まれる。
【0020】
特許文献1等に記載の摘出方法において、ワーク1が横桟21上に適切に積載されず、結果としてワーク1が横桟21の付帯された摘出コンベア6に対して平行とならない場合について、本発明者が種々の検討を行った。その結果、例えば図8に示すように、摘出コンベア6に対してワーク1が受け渡される際に、ワーク1が横桟21に良好に積載されず、脱落したワーク1が摘出積載位置付近において不適切な形態となり、良好な摘出の障害になる現象が散見された。
【0021】
前記問題に対して、請求項1~4に係る発明によれば、当該摘出装置は、回転面に外装体を持つ回転機構を有し、当該回転機構の回転中心軸は、摘出コンベア6の移動面と略並行であり、ワーク1の進行方向と逆方向に回転接触する機構を設けることにより、時々発生する前記横桟21からはみ出して摘出されたワーク1で、比較的に重心が横桟21上にあるものは均し、重心が横桟21上に無いものは素早く脱落させることが可能となり、障害物を設けるだけでは均したり払い落しきれない不適切な形態で摘出されるワーク1を、効率的に均し及び払い落とすことができ、尚且つ払い落とされるワーク1を損傷させずに前記供給装置に戻し、ワーク1の単層並列群に組み入れることができる。
【0022】
一方、例えば、過度な曲がりを有するワーク1の混入が多い場合や、投入量の多寡によって、ワーク1が不適切な形態で横桟21に摘出されてしまう頻度を低くするために、下記の手段が講じられていることが好ましい。
【0023】
前記のように、横桟21に良好に積載されず、その重心が横桟21に支えられていないワーク1が摘出される現象を防止するためには、当該横桟21の付帯された摘出コンベア6に対してワーク1が受け渡される際に、予めワーク1間の重なり合いを解消し、尚且つ横桟21の付帯された摘出コンベア6の搬送面に平行な状態にすることが望ましい。
【0024】
本発明に係る搬送供給装置では、横桟21の付帯された摘出コンベア6に向けてワーク1を搬送する過程において、回転軸をワーク1の搬送方向と垂直な軸とする複数の回転ローラー、則ちコロコンベア大17を搬送方向に振動させながら、コロコンベア小18とによってワーク1を搬送することで、他のワーク1の上部に重なったワーク1を振動及びローラーの凹凸で均しながら搬送し、単層でコロコンベア軸と平行の状態でワーク1の群が横桟21の付帯された摘出コンベア6に供給されるものである。
【0025】
コロコンベアは自由回転するものと自転するものがあるが、好ましくは自由回転するものが良く、前記のようにコロコンベア大17とコロコンベア小18によってワーク1の搬送中に単層の状態とする方法によれば、ワーク1の群は前進方向だけではなく後退方向へも移動できるため、横桟から脱落したワーク1を他のワーク1に重なった状態から単層の状態にし易く、尚且つワーク1に大きな荷重が掛かることがなく、これを損傷する恐れが無い。
【0026】
前記コロコンベア小18と前記摘出コンベア6に付帯された横桟21とのワーク1受け渡し位置において、前記コロコンベア小18は、横桟21の通過範囲に干渉しない供給部分の(図6)長尺野菜積載位置23を持ち、互いに干渉することなく交差することによって、ワーク1を落下させるなど搬送の姿勢が変わる過程を経ることなく上昇機構に受け渡すことが可能となり、ワーク1が良好な状態で当該横桟21積載され、不適切な形態で摘出されるワーク1の頻度を低下することができる。
【0027】
また、特に請求項1~4に係る発明によれば、前記の回転面に外装体を持つ回転機構の回転中心軸は、請求項5に記載の回転ローラーと略平行であって、当該回転面を回転ローラー上で時々重なり合って存在するワーク1に接触する位置に設置し、当該回転機構を搬送方向と逆方向に回転させることにより、当該回転ローラー上で重なったワーク1を払いながら均すように機能させることができる。
【0028】
請求項4において回転機構の回転面の外装体は、ブラシであるとしているが、その柔軟性や硬さ及び材質については、市販されているアスパラガスに対して回転接触しても当該アスパラガスの表面を損傷しない程度のものとし、材質は問わないが、本発明の実施形態で使用した植毛長さ50ミリメートル以上で太さ0.3ミリメートルの6ナイロン材ブラシが好ましいが、例えば柔らかい中実スポンジまたはスポンジ帯、板状ゴム、帯状ゴム、紐状ゴム、樹脂紐、樹脂線、動物の毛、布帯、樹脂ワイヤーなどを外装体として接着または、植毛したりするもので回転面を構成する部材も有効であり、長尺野菜への接触において無損傷であることが好ましい。
【0029】
以下、本発明に係る搬送供給装置の好適な実施形態として添付図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る搬送供給装置の実施形態の斜視図であり、そこに示されるように、本実施形態に係る搬送供給装置は、ワーク1の投入手段である横桟付き搬送コンベア3とホッパ4を備え、搬送面にコロコンベア大17とコロコンベア小18を有する平面並列振動装置5によってワーク1をほぼ単層の状態で搬送し、横桟21の付帯された摘出コンベア6によってワーク1を切り出し、均し払い出しロール7によって不適切な形態で摘出されたワーク1を均し又は払い落し、供給コンベア8に受け渡されたワーク1をその後の選別システム等に供給する構成となっている。
【0030】
図1に示されるように、ワーク流し込み台2にはコロコンベアが設置してあり、滑り易い傾斜板面を持ち、横桟付きベルトコンベア3に複数のワーク1を投入する際の負担を軽減している。また、横桟付きベルトコンベア3に投入されたワーク1は、コンベアの側面の案内カバーa19、案内カバーb20により長手方向の位置が制限されながらホッパ4に搬送される。
【0031】
図2に示されるように、振動供給装置部のホッパ4には物体感知器15が取付けられており、規定量以上のワーク1がホッパ4に溜まると物体感知器15が検出して横桟付き搬送コンベア3を停止させる。横桟付き搬送コンベア3が停止していても平面並列振動装置5はワーク1を前進させ続けるため、次第にワーク1の溜まりは解消される。溜まりが解消されれば横桟付き搬送コンベア3が起動しホッパ4へのワーク1の搬送が再開される。これらにより投入量を制御する事で、切り出し供給部へ多量のワーク1が搬送されて詰まる事や、並列振動装置5の搬送面上でワーク1同士が重なり合う事を抑制している。
【0032】
図2においてホッパ4と平面並列振動装置5は、それぞれ振動装置を保有しているが、その振動機構は同じで、図3に示されるように、電動機12と垂直軸ギアボックス13に付帯したカムシャフト14は、カムロール10によって伝動され回転する。回転するカムロール10にはカムフォロア11が付帯されており、振動カムプレート9の溝の中でカムフォロアが動くことにより、振動が発生する。
【0033】
カムプレート9の溝の形状は、本実施形態での使用例であるが、溝の形状を変化させることにより、多様な緩急の振動を発生させることが可能である。発生した振動は、平行スライドガイド16により、水平方向に緩急のある振動を与える。平面並列振動装置5の搬送面には、コロコンベア大17とコロコンベア小18が備えられており、平面並列振動装置5は、緩急ある振動によってワーク1を単層の状態に整列させながら、コロコンローラー間でワーク1を順次受け渡すことによって、摘出コンベア6側に前進させる。また、平面並列振動装置5の搬送面を搬送方向に向かって下降する角度に傾斜させると、いっそうの推進力が生まれるため、好ましい。
【0034】
図6において振動方向22は、ワーク1の搬送方向に振動するコロコンベア大17の動きとなるが、コロコンベア小18は、前記摘出コンベア6の横桟21とのワーク1受け渡し位置において、横桟21の通過範囲に干渉しない供給部分の長尺野菜積載位置23を持ち、互いに干渉することなく交差することによって、当該コロコンベア大17の振動により送り出されたワーク1を上昇機構に受け渡し搬送する搬送手段を使用することにより、ワーク1を損傷無く的確に横桟21に積載することができる。
【0035】
図5に示されるように、平面並列振動装置5の搬送面を前進するワーク1は、当該搬送面端と接する位置に搬送方向に上昇する傾斜で設置された横桟21の付帯された摘出コンベア6によって切り出され、平面並列振動装置5の搬送面と摘出コンベア6の搬送面と略並行の空間に、搬送方向とは逆方向に回転する均し払い出しロール7を、横桟21で搬送されているワーク1の胴体に接触する程度の間隔で配置し、横桟21に良好に積載されなかったワーク1を均すかまたは、払い落として平面並列振動装置5の搬送面上にあるワーク1の群に戻すことで、安定して切り出すことが出来る。
【0036】
また、前記均し払い出しロール7は、同時に前記平面並列振動装置5のコロコンベア大17、コロコンベア小18上で時々に重なったワーク1に接触する位置にも設置することによって、ワーク1を搬送方向と逆方向に回転して払いながら均すように機能させることが出来る。
【0037】
平面並列振動装置5から横桟21の付帯された摘出コンベア6によって、ワーク1を切り出す過程において、摘出コンベア6と平行とならない不適切な形態でワーク1が搬送されることを防止し、重心が横桟21に支えられていないワーク1が横桟21から脱落することをより促すために、平面並列振動装置5の搬送面と摘出コンベア6の搬送面との角度は、45度以上の鉛直に近い角度であることが望ましく、本実施形態においては70度から80度の間であるとより効果的であるため、好ましい。
【0038】
本実施形態においては、均し払い出しロール7の部材は、ワーク1を損傷させずに均し及び払い落とすためには、植毛長さ55ミリメートルで太さ0.3ミリメートルの6ナイロン材ロールブラシが良好であった。
【0039】
図5に示された摘出コンベア6に付帯された横桟21は、ワーク1を損傷しないように柔軟性のある材質で出来ており、尚且つワーク1を安定して搬送出来る弾性を持っている材質で出来ている事が望ましい。本実施形態では、熱可塑性ポリウレタンを使用している。
また、当該横桟21の高さについては、ワーク1は個々の曲がりが異なり、太さは径で5ミリメートルから30ミリメートルとなるなど不揃いであるため、本実施形態ではそれらを1個ずつ安定して切り出せるよう20ミリメートル程に設定しているが、当該横桟21の高さを変える事で切り出す分量を変えることも可能であるとともに、図5に示されるように当該横桟21は、上昇する摘出コンベア6の搬送面に対して垂直に付帯されるだけでなく、爪等の手段でワーク1の引っ掛かりを向上させると搬送の効率が向上するため、好ましい。
【0040】
図4は、図5の裏手方向より駆動機構を示した斜視図である。均し払い出しロール7は、減速歯車付き電動機7aが発生した駆動力を、駆動伝動ベルト7bが伝動することにより回転する。横桟付きコンベアベルト8aと横桟付きコンベアベルト8bとの間に、横桟付き摘出コンベア6が屈曲して接続されており、それらは同じ駆動軸であるコンベア駆動軸8eで結合され、減速歯車付き電動機8cが発生した駆動力を、駆動伝動ベルト8dが、コンベア駆動軸8eに伝動することにより、無限軌道で動作する。また、屈曲して接続された横桟付きコンベアベルト8a及び横桟付きコンベアベルト8bを持つ供給コンベア8と摘出コンベア6の角度は、任意に変更が可能である。
【比較例1】
【0041】
以下、本発明を考案する過程においての実施例を(比較例1)として紹介する。
図7で示したように、比較例1においては、平面並列振動装置5の搬送面にコロコンベア大17及びコロコンベア小18の代わりに板状のカバーを設置し、それ以外の条件は、前記実施形態と同様の構成で試験を行った。その結果、ワーク1は個体間の形状のバラつきが存在するため、曲がりが異なることに加え、軟質で滑りにくい物質であるため、平面並列振動装置5の搬送面上で、ワーク1の端部が搬送面に引っ掛かるような形で片側のみが先行し斜めになることや、ワーク1同士が重なった状態が解消されないまま長尺野菜積載位置23まで搬送されることが散見された。
【0042】
前記比較例1においては、ワーク1の片側先端のみが摘出コンベア6に持ち上げられ、横桟21に良好に積載されず、均し払い出しロール7によって払い落とされることがしばしばあり、10分間の試験運転中に適切な形態で供給コンベア8まで搬送できたケースは、およそ60%であった。
【比較例2】
【0043】
以下、本発明を考案する過程においての実施例を(比較例2)として紹介する。
図8で示したように、比較例2においては、均し払い出しロール7を使用せず、前記実施形態と同様の構成で試験を行った。その結果、個々の形状により、斜め等の不適切な形態のまま平面並列振動装置5の搬送面上を移動し、長尺野菜積載位置23に搬送されたワーク1や、横桟21の設置間隔による切り出しのタイミングに合わず、横桟21に良好に積載されなかったワーク1が、不適切な形態のまま摘出コンベア6によって搬送されたり、横桟21から脱落したワーク1の姿勢が、後続するワーク1の搬送の障害となることが散見された。前記比較例2における10分間の試験運転中に適切な形態で供給コンベア8まで搬送できたケースはおよそ70%であった。
【実施例0044】
図5で示したように、実施例においては、均し払い出しロール7、コロコンベア大17及びコロコンベア小18を使用した前記実施形態と同様の構成で試験を行った。その結果、平面並列振動装置5の搬送面上にあるコロコンベア大17の振動により、時々重なり合って存在するワーク1が均され、コロコンベア小18の支持により、ワーク1の端部が当該搬送面に引っ掛かることなく単層の状態で長尺野菜積載位置23に供給されることで、不適切な形態で摘出コンベア6によって摘出されるワーク1の数が減少し、また、進行方向と逆方向に回転接触する機構を設けた均し払い出しロール7によって、当該搬送面上で時々重なり合って存在するワーク1を払いながら均し、摘出コンベア6に付帯された横桟21に良好に積載されず、時々発生する前記横桟21からはみ出して摘出されたワーク1で、比較的に重心が横桟21上にあるものは均し、重心が横桟21上に無いものは素早く脱落させることが可能となり、前記比較例1及び比較例2で散見された問題点が改善された。実施例における30分間の試験運転中に適切な形態で供給コンベア8まで搬送できたケースは、およそ98%であった。
【0045】
前記比較例1、比較例2及び実施例の結果により、コロコンベア大17及びコロコンベア小18と均し払い出しロール7が、横桟21を使用して長尺野菜を摘出する際により良好な状態で、長尺野菜を横桟21上に積載可能とすることへの有効性が実証できた。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8