(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155671
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】ロボット装置
(51)【国際特許分類】
B25J 19/00 20060101AFI20221006BHJP
F15B 1/26 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
B25J19/00 G
F15B1/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059017
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市川 真也
(72)【発明者】
【氏名】岡本 朋也
(72)【発明者】
【氏名】石川 智己
【テーマコード(参考)】
3C707
3H086
【Fターム(参考)】
3C707BS10
3C707CS08
3C707CY13
3C707CY24
3C707HS16
3C707HS21
3C707HS27
3C707LV22
3H086AA30
3H086AB03
3H086AB12
3H086AC02
3H086AE02
3H086AF15
3H086AF23
(57)【要約】
【課題】ロボット装置の人工筋肉に液体を供給する液体供給装置における当該液体の温度を精度よく検出可能にする。
【解決手段】本開示のロボット装置は、液体の供給を受けて作動する少なくとも1つの人工筋肉と、当該人工筋肉に液体を供給する液体供給装置とを含み、液体供給装置は、液体を貯留する液体貯留部と、液体貯留部内の液体を吸引して吐出するポンプと、ポンプの吸入口に流入する液体の温度を検出する温度センサとを含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体の供給を受けて作動する少なくとも1つの人工筋肉と、前記人工筋肉に前記液体を供給する液体供給装置とを含むロボット装置であって、
前記液体供給装置は、
前記液体を貯留する液体貯留部と、
前記液体貯留部内の前記液体を吸引して吐出するポンプと、
前記ポンプの吸入口に流入する前記液体の温度を検出する温度センサと、
を備えるロボット装置。
【請求項2】
請求項1に記載のロボット装置において、
前記ポンプの前記吸入口は、鉛直下方に開口しており、
前記温度センサは、前記ポンプの前記吸入口に近接するように前記液体貯留部を画成する側壁部に取り付けられているロボット装置。
【請求項3】
請求項1に記載のロボット装置において、
前記温度センサは、前記ポンプの前記吸入口内に配置されているロボット装置。
【請求項4】
請求項1に記載のロボット装置において、
前記温度センサは、前記ポンプの前記吸入口に流入する前記液体から異物を除去するフィルタに取り付けられているロボット装置。
【請求項5】
液体の供給を受けて作動する少なくとも1つの人工筋肉を含むロボット本体と、前記人工筋肉に前記液体を供給する液体供給装置とを含むロボット装置であって、
前記液体供給装置は、
前記液体を貯留する液体貯留部と、
前記液体貯留部内の前記液体を吸引して吐出するポンプと、
前記ポンプから吐出される前記液体の圧力を調整する圧力調整弁と、
前記ポンプの吐出口と前記圧力調整弁との間で前記ポンプから吐出される前記液体の温度を検出する温度センサと、
を備えるロボット装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流体の供給を受けて作動する少なくとも1つの人工筋肉と、当該人工筋肉に流体を給排する流体供給装置とを含むロボット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、両端部が栓体で閉じられたゴムチューブと、当該ゴムチューブを覆う網体とを有する2つの人工筋肉(ゴム人工筋)を含む関節装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この関節装置において、各人工筋肉の出入口は、導電性作動液を圧送する液圧源に圧力制御弁を介して接続されている。これにより、各人工筋肉は、出入口に作動液が流入することで、軸方向に収縮しながら径方向に膨張し、出入口から作動液が流出することで、径方向に収縮しながら軸方向に伸長する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された関節装置の液圧源としてポンプが用いられる場合、ポンプの昇圧動作に伴って発生する熱やエネルギが液体に伝えられることで、当該液体の温度が上昇する。また、ポンプを含む液体供給装置の構成部材に高い耐熱性を要求すると、当該液体供給装置のコストアップを招いてしまう。このため、コストアップを抑制しつつ、構成部材を保護するためには、液体供給装置に温度センサを設け、当該温度センサにより液体の温度を精度よく検出することが必要となる。しかしながら、上記特許文献1および2には、人工筋肉に液体を供給する液体供給装置に温度センサを設けることが開示も示唆もされていない。
【0005】
そこで、本開示は、ロボット装置の人工筋肉に液体を供給する液体供給装置における当該液体の温度を精度よく検出可能にすることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のロボット装置は、液体の供給を受けて作動する少なくとも1つの人工筋肉と、前記人工筋肉に前記液体を供給する液体供給装置とを含むロボット装置であって、前記液体供給装置が、前記液体を貯留する液体貯留部と、前記液体貯留部内の前記液体を吸引して吐出するポンプと、前記ポンプの吸入口に流入する前記液体の温度を検出する温度センサとを含むものである。
【0007】
本開示のロボット装置では、液体供給装置に対して、ポンプの吸入口に流入する液体の温度を検出する温度センサが設けられる。これにより、ポンプの作動中に液体の流れが常時形成される箇所で液体供給装置全体を反映した液体の温度を精度よく検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示のロボット装置を示す概略構成図である。
【
図3】本開示のロボット装置の流体供給装置を示す部分断面図である。
【
図4】本開示のロボット装置の他の流体供給装置を示す系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図面を参照しながら、本開示の発明を実施するための形態について説明する。
【0010】
図1は、本開示のロボット装置1を示す概略構成図であり、
図2は、ロボット装置1を示す拡大図である。これらの図面に示すロボット装置1は、ロボットアーム2と、流体供給装置(液体供給装置)10とを含む。本実施形態において、ロボット装置1は、指定された目的位置まで自走可能な、いわゆる無人搬送車(AGV)である搬送台車20に搭載される。ただし、ロボット装置1は、搬送台車20に搭載されるものに限られず、予め定められた設置箇所に定置されてもよい。
【0011】
ロボットアーム2は、複数(本実施形態では、3つ)の関節(ピン結合部)J1,J2,J3と、複数(本実施形態では、3つ)のアーム(リンク)3と、関節J1,J2,J3ごとに例えば偶数個(本実施形態では、2つ)ずつ設けられる人工筋肉としての複数の流体アクチュエータ(液圧アクチュエータ)M1,M2,M3,M4,M5,M6と、先端側のアーム3に取り付けられる把持部(手先)としてのハンド部(ロボットハンド)4とを含む多関節アームである。ロボットアーム2のハンド部4は、対象となる物体(以下、「把持対象」という。)を把持するようにロボット装置1の制御装置100(
図3参照)により制御される。また、流体供給装置10は、当該制御装置100により制御されて各流体アクチュエータM1-M6に流体(作動流体)としての作動油(液体)を給排する。これにより、ロボットアーム2を油圧(液圧)により駆動してハンド部4を所望の位置に移動させることができる。
【0012】
ロボットアーム2の各流体アクチュエータM1-M6は、
図2に示すように、作動油の圧力によって膨張するチューブTと、当該チューブTを覆う編組スリーブSとを含む、いわゆるマッキベン型の人工筋肉である。チューブTは、高い耐油性をもった例えばゴム材等の弾性材により円筒状に形成されており、当該チューブTの両端部は、封止部材Cにより封止されている。チューブTの基端側(流体供給装置10側、
図2中下端側)の封止部材Cには、作動油の出入口IOが形成されている。編組スリーブSは、所定方向に配向された複数のコードを互いに交差するように編み込むことにより円筒状に形成されており、軸方向および径方向に収縮可能である。編組スリーブSを形成するコードとしては、繊維コード、高強度繊維、極細のフィラメントによって構成される金属製コード等を採用することができる。このような流体アクチュエータM1-M6のチューブT内に上記出入口IOから作動油を供給して当該チューブT内の作動油の圧力を高めることで、チューブTは、編組スリーブSの作用により径方向に膨張すると共に軸方向に収縮し、内部の作動油の圧力に応じた収縮力を発生する。
【0013】
図1および
図2に示すように、複数のアーム3のうち、最基端側(最も流体供給装置10側)のアーム3は、関節J1を介してリンクとしての支持部材5により回動自在に支持される。また、2つのアーム3同士が、関節J2またはJ3を介して互いに回動自在に連結される。更に、流体供給装置10側の2つのアーム3の先端部(手先側の端部)には、連結部材6が固定されている。図示するように、支持部材5は、最基端側の関節J1に対応した流体アクチュエータM1の基端側の封止部材Cを第1の連結軸を介して回動自在に支持すると共に、当該関節J1に対応した流体アクチュエータM2の基端側の封止部材Cを第2の連結軸を介して回動自在に支持する。
【0014】
また、各連結部材6は、基端側に位置する関節J1またはJ2に対応した流体アクチュエータM1またはM3の先端側(手先側)の封止部材Cを第1の連結軸を介して回動自在に支持すると共に、関節J1またはJ2に対応した流体アクチュエータM2またはM4の先端側(手先側)の封止部材Cを第2の連結軸を介して回動自在に支持する。更に、各連結部材6は、先端側に位置する関節J2またはJ3に対応した流体アクチュエータM3またはM5の基端側の封止部材Cを第1の連結軸を介して回動自在に支持すると共に、関節J2またはJ3に対応した流体アクチュエータM4またはM6の基端側の封止部材Cを第2の連結軸を介して回動自在に支持する。
【0015】
これにより、関節J1-J3の関節軸から手先側(ハンド部4側)に延びる各アーム3の両側には、流体アクチュエータM1-M6のうちの対応する2つが当該アーム3と平行に配列される。そして、各アーム3の一側に配置される流体アクチュエータM1,M3,M5は、1つの関節J1,J2またはJ3に対応した第1の人工筋肉(一方の拮抗筋)を構成し、各アーム3の他側に配置される流体アクチュエータM2,M4,M6は、当該第1の人工筋肉と対をなす1つの関節J1,J2またはJ3に対応した第2の人工筋肉を構成する。
【0016】
ただし、第1および第2の人工筋肉は、それぞれ2つ以上(同数)の流体アクチュエータにより構成されてもよく、第1の人工筋肉を構成する流体アクチュエータの数と、第2の人工筋肉を構成する流体アクチュエータの数とが異なっていてもよい。更に、本実施形態において、1つの関節J1,J2またはJ3に対して設けられる複数(2つ)の流体アクチュエータM1,M2等は、互いに同一の諸元を有するが、第1の人工筋肉を構成する流体アクチュエータの諸元と、第2の人工筋肉を構成する流体アクチュエータの諸元とが異なっていてもよい。
【0017】
また、本実施形態において、各アーム3は、中空に形成されており、各アーム3の内部には、流体供給管としての複数のホースH(
図2における破線参照)が配置される。各ホースHは、対応する流体アクチュエータM1-M6の基端側の封止部材Cに形成された出入口IOに接続され、流体アクチュエータM1-M6のチューブT内には、ホースHを介して流体供給装置10からの作動油(油圧)が供給される。
【0018】
従って、制御装置100により流体供給装置10を制御することで、第1の人工筋肉を構成する流体アクチュエータM1等のチューブT内の油圧と、第1の人工筋肉と対をなす第2の人工筋肉を構成する流体アクチュエータM2等のチューブT内の油圧とを互いに異ならせることができる。これにより、互いに拮抗するように配置された2つの流体アクチュエータM1,M2等すなわち対をなす(1組の)第1および第2の人工筋肉から連結部材6を介して各アーム3に力(回転トルク)を伝達し、支持部材5または基端側のアーム3に対して各アーム3を回動させて関節J1-J3の関節角度を変化させることが可能となる。本実施形態において、第1の人工筋肉を構成する流体アクチュエータM1等と、第1の人工筋肉と対をなす第2の人工筋肉を構成する流体アクチュエータM2等とは、チューブTが自然状態から所定量(例えば、自然長の10%程度)だけ軸方向に収縮した状態を初期状態として流体供給装置10からの油圧により駆動される。
【0019】
上記流体アクチュエータM1-M6に作動油を供給するロボット装置1の流体供給装置10は、
図3に示すように、作動油貯留部(流体貯留部)を画成するタンク11と、当該タンク11を上下方向に延びる回転軸(
図1における一点鎖線参照)の周りに回転自在に支持するベース部12と、ポンプ13と、ストレーナZと、アキュムレータ14と、タンク11の内部に配置されて第1流体調整部を構成する第1バルブボディB1と、タンク11の内部に配置されて第2流体調整部を構成する第2バルブボディB2とを含む。更に、流体供給装置10は、
図4に示すように、第1減圧弁(圧力調整弁)RV1と、第2減圧弁RV2と、逆止弁CVと、流体調整バルブとしての複数のリニアソレノイドバルブ151,152,153,154,155,156,157およびコントロールバルブ(圧力制御弁)16とを含む。
【0020】
タンク11は、例えば上端および下端が閉鎖された筒体であり、内部に作動油を貯留可能なものである。本実施形態において、ロボットアーム2の支持部材5は、タンク11の回転軸と同軸に延在するように、タンク11の上壁部11uに図示しないボルト等を介して固定される(
図2参照)。すなわち、ロボットアーム2は、流体供給装置10のタンク11(上壁部11u)により支持される。
【0021】
ベース部12は、ロボットアーム2およびタンク11の下方に位置するように搬送台車20に搭載(固定)される。また、ベース部12は、タンク11を上記回転軸の周りに所定角度(例えば360°)だけ回転させる揺動モータ(回動ユニット)RMを支持している。揺動モータRMは、液体のエネルギを回転運動に変換するものであり、ベーン(ピストン)の両側に供給された液体の圧力差に応じて当該ベーンを軸心の周りに揺動(回転)させる。これにより、揺動モータRMを作動させることで、ロボットアーム2およびタンク11を当該回動軸の周りに一体に回動させることが可能となる。ただし、揺動モータRMの代わりに、回転駆動ユニットとして電動モータやギヤ機構等を含むものが採用されてもよい。
【0022】
ポンプ13は、制御装置100により制御される電動ポンプであり、
図3に示すように、タンク11内に配置されるポンプ部130と、タンク11内の作動油を吸引して吐出するようにポンプ部130を駆動する駆動部としての電動モータ131および減速ギヤ機構132とを含む。ポンプ13のポンプ部130は、減速ギヤ機構132を介して電動モータ131に連結されるロータ、複数の外歯を有すると共に当該ロータと一体に回転する外歯ギヤ(ドライブギヤ)、および外歯ギヤの外歯に噛合する当該外歯の総数よりも1つ多い複数の内歯を有すると共に当該外歯ギヤに対して偏心して配置される内歯ギヤ(ドリブンギヤ)とを含む内接ギヤポンプ機構である(何れも、図示省略)。
【0023】
ポンプ部130は、
図3に示すように、タンク11内の作動油の液位が予め定められた最低液位(ロボットアーム2の作動時における最低液位)であるときに、作動油の液面よりも下方に位置するようにタンク11内に固定される。更に、ポンプ部130は、タンク11内の作動油の液面(最低液位)よりも下側で鉛直下方に開口する吸入口13iを含む。また、吸入口13iには、外歯ギヤおよび内歯ギヤに対する異物の流入を規制するフィルタ(ストレーナ)135が取り付けられている。ポンプ部130は、タンク11内に貯留された作動油を吸入して吐出口13o(
図4参照)から配管L1に吐出(圧送)し、配管L1に吐出された作動油は、ストレーナZを介して第1バルブボディB1に形成された油路に供給される。ストレーナZは、吸入口13iのフィルタ135が対象とするものより小さい異物を捕捉可能なものである。
【0024】
また、本実施形態において、ポンプ13の減速ギヤ機構132は、タンク11内の作動油の液位が予め定められた最高液位であるときに少なくとも一部が作動油に浸漬するように当該タンク11内に配置される。更に、電動モータ131は、タンク11内の作動油の液位が最高液位であるときに作動油の液面(最高液位)よりも上方に位置するようにタンク11内に配置される。これにより、電動モータ131の回転時における撹拌抵抗をより低減化することが可能となる。電動モータ131には、電力を供給するためのケーブルKpが接続され、当該ケーブルKpは、タンク11内の作動油の液面(最高液位)よりも上側で開口するように当該タンク11に形成されたケーブル孔11hから外部に引き出される。
【0025】
なお、ポンプ13のポンプ部130は、ベーンやインペラを含むものであってもよい。また、ポンプ13から減速ギヤ機構132が省略されてもよい。更に、電動モータ131および減速ギヤ機構132が液没可能に構成されている場合、両者は、タンク11内の作動油の液面(最低液位)よりも下方に配置されてもよい。これにより、ポンプ13の放熱をより促進させると共にポンプ13の騒音を作動油およびタンク11の壁部とにより遮断することができる。
【0026】
第1バルブボディB1は、
図3に示すように、タンク11内の作動油の液位が上記最低液位であるときに、作動油の液面よりも下方に位置するようにタンク11内に固定される。
図3および
図4に示すように、第1バルブボディB1は、第1および第2リリーフ弁RV1,RV2と、逆止弁CVとを収容(保持)する。第1リリーフ弁RV1は、ポンプ13により吐出された作動油の圧力を予め定められた一定の上限圧Plim(上限値、本実施形態では、例えば6-7MPa程度)を超えないように制限するものである。本実施形態において、第1リリーフ弁RV1は、第1バルブボディB1内に配置されるスプールS1および当該スプールS1を付勢するスプリングSP1を含む。更に、第1リリーフ弁RV1は、配管L1に接続された第1バルブボディB1の油路に連通する入力ポートi1と、第1排出ポートda1と、第2排出ポートdb1とを含む。
【0027】
ポンプ13から入力ポートi1に作動油が供給されない第1リリーフ弁RV1の取付状態において、当該第1リリーフ弁RV1は、スプールS1がスプリングSP1により付勢されて入力ポートi1と第1排出ポートda1とを連通させる第1連通状態を形成する。また、ポンプ13の吐出圧すなわちポンプ13から入力ポートi1に供給される作動油の圧力が予め定められた比較的低い待機圧Pst(例えば1000kPa程度)よりも高く、かつ上記上限圧Plimよりも十分に低く定められた切替圧(本実施形態では、例えば1-2MPa程度)未満であるときに、第1リリーフ弁RV1は、スプールS1が入力ポートi1と第1排出ポートda1とを連通させる第1連通状態を形成する。
【0028】
更に、ポンプ13から入力ポートi1に供給される作動油の圧力が上記切替圧以上であり、かつ上限圧Plimを超えていないときに、第1リリーフ弁RV1は、スプールS1がスプリングSP1の付勢力に抗して入力ポートi1と第1および第2排出ポートda1,db1との連通を遮断する遮断状態を形成する。また、ポンプ13から入力ポートi1に供給される作動油の流量が必要供給流量を上回って当該作動油の圧力が上限圧Plimに達すると、第1リリーフ弁RV1は、スプールS1がスプリングSP1の付勢力に抗して入力ポートi1と第2排出ポートdb1とを連通させる第2連通状態を形成する。
【0029】
図4に示すように、第1リリーフ弁RV1の第1排出ポートda1は、第1バルブボディB1に形成された油路L0を介してタンク11内の作動油貯留部に連通する。また、第1バルブボディB1内の油路L0には、第1排出ポートda1に近接するようにオリフィスOrが設置されている。オリフィスOrには、ポンプ13から入力ポートi1に供給される作動油の圧力が上記切替圧未満であって第1リリーフ弁RV1のスプールS1が第1連通状態を形成するときに、第1リリーフ弁RV1の第1排出ポートda1からの作動油が流入する。そして、オリフィスOrのオリフィス径等の諸元は、ポンプ13が予め定められている下限回転数より所定値だけ高い回転数で作動したときに当該ポンプ13から供給された作動油の通過により発生する前後差圧が、上記待機圧Pstになるように定められている。この際、下流側すなわちタンク11側の作動油の圧力が概ねゼロであるため、上流側すなわち第1排出ポートda1における作動油の圧力は上記待機圧Pstになる。
【0030】
第2リリーフ弁RV2は、バルブボディ内に配置されるスプールS2および当該スプールS2を付勢するスプリングSP2を含む。更に、第2リリーフ弁RV2は、バルブボディに形成された油路を介して第1リリーフ弁RV1の第2排出ポートdb1に連通する入力ポートi2と、上記オリフィスOrの下流側で上記油路L0に連通する排出ポートdb2とを含む。かかる第2リリーフ弁RV2は、第1リリーフ弁RV1から排出される作動油を一時的に堰き止めて所定圧まで昇圧させると共に、昇圧させた圧力によりスプールを移動させて減圧させた作動油を排出ポートdb2からタンク11内の作動油貯留部へと流出させる。
【0031】
逆止弁CVは、ポンプ13(第1リリーフ弁RV1の入力ポートi1)側からの作動油を配管(流体通路)LLに流出させると共に、配管LLからポンプ13(第1リリーフ弁RV1の入力ポートi1)側への作動油の流通を規制するものである。また、アキュムレータ14は、逆止弁CVの下流側で配管LLに接続(直結)される作動油の出入口を有しており、ポンプ13側からの油圧を蓄える。アキュムレータ14としては、最高作動圧が上記上限圧Plim以上であるものが用いられる。更に、配管LLには、逆止弁CVの下流側かつアキュムレータ14の上流側で当該配管LLにおける作動油の圧力(元圧)を検出する元圧センサPSが設置されている。
【0032】
第2バルブボディB2は、
図3に示すように、タンク11内、すなわち上壁部11uの内面に取り付けられ(固定され)、タンク11内で上下方向に延在する配管LLや第1バルブボディB1の油路を介してポンプ13(および第1リリーフ弁RV1)に接続される。
図3および
図4に示すように、第2バルブボディB2は、複数のリニアソレノイドバルブ151-157と、コントロールバルブ16とを収容する。
【0033】
リニアソレノイドバルブ151-157は、共通の構成を有しており、それぞれ制御装置100により制御される。本実施形態において、リニアソレノイドバルブ151は、コントロールバルブ16への信号圧を調整し、リニアソレノイドバルブ152は、流体アクチュエータM2への油圧(駆動圧)を調整する。また、リニアソレノイドバルブ153は、流体アクチュエータM3への油圧(駆動圧)を調整し、リニアソレノイドバルブ154は、流体アクチュエータM4への油圧(駆動圧)を調整する。更に、リニアソレノイドバルブ155は、流体アクチュエータM5への油圧(駆動圧)を調整し、リニアソレノイドバルブ156は、流体アクチュエータM6への油圧(駆動圧)を調整する。また。リニアソレノイドバルブ157は、揺動モータRMへの油圧(駆動圧)を調整する。
【0034】
図4に示すように、リニアソレノイドバルブ151-157は、制御装置100により通電制御される電磁部15eと、第2バルブボディB2により保持されるスリーブ内に軸方向に移動可能に配置されるスプール15sと、スプール15sを電磁部15e側(出力ポート15o側から入力ポート15i側、
図4中上側)に付勢するスプリング15spとを含む。更に、リニアソレノイドバルブ151-157は、入力ポート15iと、出力ポート15oと、出力ポート15oに連通するフィードバックポート15fと、入力ポート15iおよび出力ポート15oと連通可能なドレンポート15dとを含む。
【0035】
リニアソレノイドバルブ151-157の入力ポート15iは、アキュムレータ14の下流側で配管LLに接続された第2バルブボディB2の油路にそれぞれ連通する。また、リニアソレノイドバルブ152・156の出力ポート15oは、第2バルブボディB2に形成された油路やホースH等を介して対応する流体アクチュエータM2・M6(チューブT)の作動油の出入口IOに連通し、リニアソレノイドバルブ157の出力ポート15oは、第2バルブボディB2に形成された油路や配管LR(
図3参照)等を介して揺動モータRMの作動油入口に連通する。更に、リニアソレノイドバルブ151-157のドレンポート15dは、それぞれ第2バルブボディB2に形成された油路や、タンク11内の作動油の液面(最低液位)よりも下側で開口する配管LDを介してタンク11内の作動油貯留部に連通する。
【0036】
本実施形態において、リニアソレノイドバルブ151-157は、電磁部15eに電流が供給される際に開弁する常閉弁であり、各電磁部15eは、印加される電流に応じて入力ポート15iと出力ポート15oとを連通させるようにスプール15sを軸方向に移動させる。これにより、電磁部15e(コイル)への給電により発生する推力と、スプリング15spの付勢力と、出力ポート15oからフィードバックポート15fに供給された油圧(駆動圧)によりスプール15sに作用する電磁部15e側への推力とをバランスさせることで、入力ポート15iに供給されたポンプ13(および第1リリーフ弁RV1)側からの作動油を所望の圧力に調整して出力ポート15oから流出させることが可能となる。
【0037】
また、流体アクチュエータM1-M6側に供給される油圧(信号圧または駆動圧)をリニアソレノイドバルブ151-156にフィードバックすることで、人工筋肉としての流体アクチュエータM1-M6により駆動されるロボットアーム2に当該流体アクチュエータM1-M6以外からの外力が加えられたときに、当該外力による流体アクチュエータM1-M6のチューブTの体積変化に応じた油圧の変動を吸収することができる。加えて、当該外力が無くなった後には、速やかに要求に応じた油圧(駆動圧)を流体アクチュエータM1-M6に供給することが可能となる。
【0038】
コントロールバルブ16は、リニアソレノイドバルブ151からの信号圧に応じて配管LLからの作動油の圧力を調整し、要求出力(収縮力と収縮速度との積)の最大値が全流体アクチュエータM1-M6の中で最大となる流体アクチュエータM1のチューブTに供給するものである。コントロールバルブ16は、第2バルブボディB2内に配置されるスプール16sおよび当該スプール16sを付勢するスプリング16spを含むスプールバルブである。また、コントロールバルブ16は、
図4に示すように、入力ポート16iと、出力ポート16oと、フィードバックポート16fと、信号圧入力ポート16cと、ドレンポート16dとを含む。
【0039】
入力ポート16iは、アキュムレータ14の下流側で配管LLに接続された第2バルブボディB2の油路に連通する。出力ポート16oは、第2バルブボディB2に形成された油路やホースH等を介して流体アクチュエータM1(チューブT)の作動油の出入口IOに連通する。フィードバックポート16fは、第2バルブボディB2に形成された油路を介して出力ポート16oに連通する。信号圧入力ポート16cは、第2バルブボディB2に形成された油路を介してリニアソレノイドバルブ151の出力ポート15oに連通する。ドレンポート16dは、第2バルブボディB2に形成された油路や配管LDを介してタンク11内の作動油貯留部に連通する。
【0040】
かかるコントロールバルブ16のスプール16sは、電磁部15eに印加される電流に応じたリニアソレノイドバルブ151からの信号圧が作用することで、スプリング16spの付勢力に抗して軸方向に移動する。これにより、信号圧の作用によりスプール16sに付与される推力と、スプリング16spの付勢力と、出力ポート16oからフィードバックポート16fに供給された油圧(駆動圧)によりスプール16sに作用する推力とをバランスさせることで、入力ポート16iに供給されたポンプ13(および第1リリーフ弁RV1)側からの作動油の一部を適宜ドレンポート16dを介してドレンして出力ポート16oから流体アクチュエータM1のチューブTへと供給される作動油を所望の圧力に調整することができる。
【0041】
また、第2バルブボディB2の各リニアソレノイドバルブ151-157には、電力を供給するためのケーブルK2が接続され、当該ケーブルK2は、上記ケーブルKpと同様に、タンク11に形成されたケーブル孔11hから外部に引き出される。本実施形態において、ケーブル孔11hには、タンク11の壁部とケーブルKp,K2との隙間を封止するシール部材が設けられる。ただし、流体供給装置10が設置箇所に固定される場合には、当該シール部材が省略されてもよい。
【0042】
更に、流体供給装置10のタンク11には、当該タンク11内の作動油貯留部における作動油の温度を検出する温度センサ(サーミスタ)TSが設置されている。本実施形態において、温度センサTSは、鉛直下方に開口したポンプ13の吸入口13iに近接するように作動油貯留部を画成するタンク11の側壁部11swに取り付けられており、吸入口13iに流入する作動油の温度を検出する。また、本実施形態では、
図3に示すように、ポンプ13(ポンプ部130)の外周面と、温度センサTsが取り付けられる側壁部11swとの間には、作動油が流通可能な空間(流体通路)が形成されている。
【0043】
ロボット装置1の制御装置100は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェース等を含むマイクロコンピュータや各種ロジックIC等(何れも図示省略)を含む。制御装置100は、上記元圧センサPSや温度センサTS、リニアソレノイドバルブ151-157等の電源の電圧を検出する図示しない電圧センサ等の検出値を入力する。また、制御装置100は、元圧センサPSにより検出される配管LLにおける油圧(元圧)が目標値になるように、ポンプ13を制御する。更に、制御装置100は、リニアソレノイドバルブ151-157の電磁部15eに供給される電流を制御する。
【0044】
続いて、上述のように構成されるロボット装置1の動作について説明する。
【0045】
図示しない起動スイッチがオフされてロボット装置1の動作が完全に停止している際、ハンド部4は、図示しない支持台に形成された係止部により保持される。これにより、ロボットアーム2の姿勢は、予め定められた待機姿勢に強制的に保持される。また、ロボット装置1の起動スイッチがオンされてシステム起動が完了すると、制御装置100は、元圧センサPSの検出値に基づいて、リニアソレノイドバルブ151-157に供給される配管LLにおける油圧(元圧)が上記待機圧Pst(例えば1000kPa程度)になるようにポンプ13を制御する。
【0046】
本実施形態において、待機圧Pstは、複数の流体アクチュエータM1-M6の各々を自然状態から上記初期状態まで軸方向に収縮させることができる圧力(例えば700-900kPa程度)よりも所定値だけ高い圧力に定められている。また、配管LLにおける油圧(元圧)が待機圧Pstに設定される際、ポンプ13は、予め定められている下限回転数以上の回転数で作動するように制御され、当該ポンプ13の吐出圧は、待機圧Pstよりも高くなる。このため、第1リリーフ弁RV1は、上記第1連通状態を形成し、ポンプ13から吐出される作動油の一部は、当該第1連通状態を形成する第1リリーフ弁RV1、オリフィスOrおよび油路L0を介してタンク11の流体貯留部へと流出させられる。これにより、第1リリーフ弁RV1の入力ポートi1並びに配管LLにおける油圧(元圧)がオリフィスOrによって待機圧Pstになるように調整されることになる。
【0047】
次いで、制御装置100は、予め定められた順番で流体アクチュエータM1-M6のチューブTに作動油を充填して各チューブTを上記初期状態とするようにリニアソレノイドバルブ151-156の電磁部15eへの電流を制御する。これにより、流体アクチュエータM1-M6のチューブTには、コントロールバルブ16およびリニアソレノイドバルブ152-156の対応する何れかから作動油が供給され、各チューブTは、自然状態から所定量(例えば、自然長の10%程度)だけ軸方向に収縮する。また、制御装置100は、揺動モータRMの油室に作動油が充填されるようにリニアソレノイドバルブ157の電磁部15eへの電流を制御する。これ以後、ハンド部4が上記支持台等に載置されてロボット装置1の動作が停止されるまで、リニアソレノイドバルブ151-157の各電磁部15eには継続して電流が供給され、リニアソレノイドバルブ151-157は、ポンプ13側からの作動油の圧力を電磁部15eに供給される電流に応じて調整する。
【0048】
上述のようなロボット装置1の作業開始準備の完了後、ロボットアーム2およびハンド部4を用いた作業の開始が指示されると、制御装置100は、元圧センサPSの検出値に基づいて、配管LLにおける油圧(元圧)が予め定められた比較的高い常用圧Pw(本実施形態では、例えば5-6MPa程度)になるようにポンプ13を制御する。本実施形態において、常用圧Pwは、上記待機圧Pstおよび切替圧よりも高く、上限圧Plimよりも低く、かつアキュムレータ14の最低作動圧以上に定められている。更に、制御装置100は、外部(支持台)からの強制力無しにロボットアーム2を上記待機姿勢に保持するのに要求される油圧が予め定められた順番で流体アクチュエータM1-M6のチューブTに供給されるようにリニアソレノイドバルブ151-156の電磁部15eへの電流を制御する。
【0049】
そして、制御装置100は、コントロールバルブ16およびリニアソレノイドバルブ152-157から各流体アクチュエータM1-M6並びに揺動モータRMに対してロボットアーム2への要求に応じた油圧が供給されるように各電磁部15eへの電流指令値を設定し、当該電流指令値に基づいて各電磁部15eに供給される電流を制御する。これにより、流体アクチュエータM1-M6のチューブTや揺動モータRMに対し、コントロールバルブ16およびリニアソレノイドバルブ152-157により要求に応じて調整された油圧(駆動圧)を供給することが可能となる。この結果、複数の流体アクチュエータM1-M6により各アーム3を回動させたり、揺動モータRMによりロボットアーム2を回動させたりしてロボット装置1のハンド部4を所望の位置に移動させることができる。
【0050】
また、ポンプ13は、流体アクチュエータM1-M6のチューブTの収縮状態等に起因した油路LLにおける油圧(元圧)の変動に応じて制御されるが、ポンプ13の回転数がオーバーシュートして吐出量が過剰になった場合、入力ポートi1に供給される作動油の圧力が上限圧Plimに達することで第1リリーフ弁RV1は上記第2連通状態を形成する。これにより、ポンプ13から吐出される作動油の一部は、第1リリーフ弁RV1(入力ポートi1および第2排出ポートdb1)、第2リリーフ弁RV2および油路L0を介してタンク11の流体貯留部へと流出させられ、第1リリーフ弁RV1によって油路LLにおける油圧(元圧)が上限圧Plimを超えないように調整されることになる。
【0051】
ここで、ロボット装置1の作動中、電動モータ131および減速ギヤ機構132の作動に伴って発生する熱やポンプ部130の昇圧動作に伴って発生する熱やエネルギが作動油に伝えられ、当該作動油の温度が上昇する。また、ポンプ13やアキュムレータ14等に設けられる図示しないシール部材、ホースHといった作動油に接触する流体供給装置10の構成部材については、予め耐熱温度が定められており、作動油の温度が当該耐熱温度を超えてしまうと、当該シール部材やホースH等の耐久性が低下するおそれがある。
【0052】
このため、ロボット装置1の制御装置100は、温度センサTSにより検出される作動油の温度が予め定められた冷却開始温度以上になると、タンク11内の作動油を冷却するように流体供給装置10に設けられた図示しないラジエータファンを作動させる。また、制御装置100は、温度センサTSにより検出される作動油の温度が冷却開始温度よりも高い予め定められた上限温度を超えた場合、ロボット装置1(流体供給装置10)の作動を停止させる。
【0053】
このような流体供給装置10における作動油の温度に応じた処理を適正に実行するためには、温度センサTSにより作動油の温度を精度よく検出することが必要となる。これを踏まえて、ロボット装置1では、流体供給装置10に対して、ポンプ13の吸入口13iの近傍で当該ポンプ13により吸入される(吸入口13iに流入する)作動油の温度を検出するように温度センサTSが設けられる。これにより、ポンプ13の作動中に作動油の流れが常時形成される箇所で流体供給装置10の全体を反映した作動油の温度を精度よく検出することが可能となる。この結果、作動油の温度に応じて流体供給装置10ひいてはロボット装置1の全体を適正に制御することができる。
【0054】
また、上記実施形態において、温度センサTSは、鉛直下方に開口したポンプ13の吸入口13iに近接するように作動貯留部を画成するタンク11の側壁部11swに取り付けられる。これにより、流体供給装置10の全体を反映した作動油の温度を精度よく検出可能としつつ、温度センサTSの取付性やメインテナンス性をより向上させることができる。
【0055】
なお、流体供給装置10において、温度センサTSは、
図3において二点鎖線で示すように、ポンプ13の吸入口13i内に配置されてもよく、ポンプ13の吸入口13iに流入する作動油から異物を除去するフィルタ135に取り付けられてもよい。これらの態様によっても、流体供給装置10の全体を反映した作動油の温度を精度よく検出することが可能となる。
【0056】
また、流体供給装置10において、温度センサTSは、
図4において二点鎖線で示すように、ポンプ13の吐出口13oと圧力調整弁としての第1リリーフ弁RV1との間で当該ポンプ13から吐出される作動油体の温度を検出するように、吐出口13oとストレーナZとの間あるいはストレーナZと第1リリーフ弁RV1の入力ポートi1との間に配置されてもよい。これらの態様によっても、ポンプ13の作動中に作動油の流れが常時形成される箇所で流体供給装置10の全体を反映した作動油の温度を精度よく検出することが可能となる。
【0057】
更に、流体供給装置10において、リニアソレノイドバルブ151-157の少なくとも何れか1つは、常開弁であってもよい。この場合、当該常開弁は、電磁部からの推力および当該電磁部からの推力と同方向に作用するようにフィードバックポートに供給された液圧による推力を、スプリングの付勢力とバランスさせるものであってもよい。また、リニアソレノイドバルブ151-157の少なくとも何れか1つは、専用のフィードバックポートをもたず、スプールを収容するスリーブの内側で出力圧(駆動圧)をフィードバック圧としてスプールに作用させるように構成されたものであってもよい(例えば、特開2020-41687号公報参照)。同様に、コントロールバルブ16も、出力圧(駆動圧)をスプールの内部でフィードバック圧として当該スプールに作用させるように構成されたものであってもよい。更に、流体供給装置10において、コントロールバルブ16が省略されてもよく、流体アクチュエータM1にリニアソレノイドバルブ151から油圧(駆動圧)が供給されてもよい。
【0058】
また、流体供給装置10は、流体調整バルブ(流体調整部)として、例えば圧力センサにより検出される液圧(流体圧)が要求に応じた圧力になるように流体アクチュエータM1-M6への液体(流体)の流量を制御する流量制御弁を含むものであってもよい。そして、流体供給装置10は、水等の作動油以外の液体を流体アクチュエータM1-M6に供給するものであってもよい。
【0059】
更に、ロボット装置1は、関節を1つだけ含むものであってもよく、人工筋肉としての流体アクチュエータを1つまたは2つだけ含むものであってもよい。また、ロボット装置1は、少なくとも1つの流体アクチュエータM1等とハンド部4とを有するロボットアーム2を含むものに限られず、少なくとも1つの流体アクチュエータと、例えばドリルビット等の工具や例えばスイッチ等を押圧する押圧部材といったハンド部4以外の要素が手先に取り付けられたロボットアームとを含むものであってもよい。更に、ロボット装置1は、歩行ロボットや、ウェアラブルロボット等であってもよい。
【0060】
また、ロボット装置1のロボットアーム2は、アーム3を駆動する流体アクチュエータとして揺動モータ(例えば、ハンド部4の根元(手首部)を回転させる揺動モータ)を含むものであってもよい。すなわち、ロボット装置1のロボット本体は、人工筋肉としての流体アクチュエータと揺動モータとの少なくとも何れか1つを含むものであってもよい。更に、ロボット装置1のロボットアーム2は、流体アクチュエータとして油圧シリンダ等の液圧シリンダを含むものであってもよい。また、関節J1-J3を介して連結された2つのアーム3等のすべてに必ずしも対をなす複数の流体アクチュエータ(人工筋肉)Mが設けられる必要はなく、何れか1組の2つのアーム3等に、1つまたは複数の流体アクチュエータと、当該流体アクチュエータと拮抗するように配置されるスプリングやゴム材等の弾性体とが連結されてもよい。加えて、ロボット装置1において、タンク11がロボットアーム2といったロボット本体により支持されてもよい。
【0061】
更に、上記実施形態において、人工筋肉としての流体アクチュエータM1-M6は、内部に作動油が供給されると共に当該内部の油圧の上昇に応じて径方向に膨張しながら軸方向に収縮するチューブTと、当該チューブTを覆う編組スリーブSとを含むマッキベン型の人工筋肉であるが、ロボット装置1における流体アクチュエータM1-M6の構成は、これに限られるものではない。すなわち、流体アクチュエータM1-M6は、流体が供給された際に径方向に膨張しながら軸方向に収縮するチューブを含むものであればよく、例えば弾性体により形成された内側筒状部材と、弾性体により形成されると共に内側筒状部材の外側に同軸に配置され外側筒状部材と、内側筒状部材と外側筒状部材との間に配置された繊維層とを含む軸方向繊維強化型の流体アクチュエータ(例えば、特開2011-137516号参照)であってもよい。
【0062】
また、本開示の発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の外延の範囲内において様々な変更をなし得ることはいうまでもない。更に、上記実施形態は、あくまで発明の概要の欄に記載された発明の具体的な一形態に過ぎず、発明の概要の欄に記載された発明の要素を限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本開示の発明は、流体の供給を受けて作動する人工筋肉と、当該人工筋肉に液体を供給する液体供給装置とを含むロボット装置の製造産業等において利用可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 ロボット装置、2 ロボットアーム、3 アーム、5 支持部材、10 流体供給装置、11 タンク、13 ポンプ、13i 吸入口、13o 吐出口、135 フィルタ、151,152,153,154,155,156,157 リニアソレノイドバルブ、16 コントロールバルブ、B1 第1バルブボディ、B2 第2バルブボディ、J1,J2,J3 関節、M1,M2,M3,M4,M5,M6 流体アクチュエータ(人工筋肉)、RV1 第1リリーフ弁。