(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155706
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】保持装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/36 20120101AFI20221006BHJP
G06Q 20/32 20120101ALI20221006BHJP
G06Q 20/06 20120101ALI20221006BHJP
【FI】
G06Q20/36
G06Q20/32
G06Q20/06 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059065
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】302064762
【氏名又は名称】株式会社日本総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山中 悠平
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055AA15
5L055AA64
5L055AA69
(57)【要約】 (修正有)
【課題】携帯端末の電源が切れることによって非接触型の電子決済を行うことができない場合に、携帯端末に代わって非接触型の電子決済を行う保持装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】非接触型の電子決済に用いられる決済用情報を保持する保持装置20であって、保持装置20を携帯端末40に取り付けるための取り付け部22と、携帯端末40が保持している非接触型の電子決済に用いられる決済用情報を非接触通信によって携帯端末40から受信し、携帯端末40から受信した決済用情報に対応する決済用情報を保持するICチップ100とを備える。ICチップ100は、ICチップ100が保持している決済用情報を用いて、非接触型の電子決済を行うための処理を実行する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触型の電子決済に用いられる決済用情報を保持する保持装置であって、
前記保持装置を端末に取り付けるための取り付け部と、
前記端末が保持している非接触型の電子決済に用いられる決済用情報を非接触通信によって前記端末から受信し、前記端末から受信した決済用情報に対応する決済用情報を保持するICチップと
を備え、
前記ICチップは、前記ICチップが保持している前記決済用情報を用いて、前記非接触型の電子決済を行うための処理を実行する
保持装置。
【請求項2】
前記ICチップは、非接触通信によって決済用情報の読み取り要求を外部から受信した場合に、前記端末の電源状態を問い合わせる信号を送信し、前記信号に対する応答を前記端末から受信できなかった場合に、前記読み取り要求に応答して、前記ICチップが保持している前記決済用情報を外部に送信する
請求項1に記載の保持装置。
【請求項3】
前記ICチップは、電磁誘導によって電力の供給を受けた場合に、前記端末の電源状態を問い合わせる信号を送信し、前記信号に対する応答を前記端末から受信できなかった場合に、非接触通信による決済用情報の読み取り要求に応答して、前記ICチップが保持している前記決済用情報を外部に送信する
請求項1に記載の保持装置。
【請求項4】
非接触型の電子決済に用いられる決済用情報を保持する保持装置であって、
前記保持装置を端末に取り付けるための取り付け部と、
前記決済用情報を保持し、非接触通信によって、前記決済用情報の読み取り要求に応答して前記決済用情報を送信するICチップと
を備え、
前記ICチップは、非接触通信によって前記読み取り要求を外部から受信した場合に、前記端末の電源状態を問い合わせる信号を送信し、前記信号に対する応答を前記端末から受信できなかった場合に、前記読み取り要求に応答して、前記ICチップが保持している前記決済用情報を外部に送信する
保持装置。
【請求項5】
前記ICチップは、
前記ICチップが保持している前記決済用情報を用いて非接触型の電子決済が行われた場合に、決済履歴を示す履歴情報を記憶し、
前記端末から非接触通信により受信した要求に応答して、前記履歴情報を前記端末に送信する
請求項1から4のいずれか一項に記載の保持装置。
【請求項6】
前記ICチップが保持する前記決済用情報を用いて行われる決済は、クレジット決済、プリペイド式決済、及びデビット決済のうちの少なくとも1つである
請求項1から5のいずれか一項に記載の保持装置。
【請求項7】
前記ICチップが保持する前記決済用情報を用いて行われる決済は、プリペイド式決済であり、
前記ICチップは、前記ICチップが保持している前記決済用情報を用いて非接触型のプリペイド式決済が行われた後、前記端末から非接触通信により受信した要求に応答して、プリペイド式決済の残額情報を前記端末に送信する
請求項1から6のいずれか一項に記載の保持装置。
【請求項8】
前記ICチップは、プリペイド式決済の残額情報を記憶しており、前記端末から非接触通信により前記残額情報の更新情報を受信した場合に、前記更新情報に基づいて前記ICチップが記憶している前記残額情報を更新する
請求項7に記載の保持装置。
【請求項9】
前記ICチップは、前記ICチップが保持している前記決済用情報を用いて決済することが可能な上限額を示す情報を記憶し、前記上限額を超える場合に、前記ICチップが保持している前記決済用情報を用いた非接触型の電子決済を禁止する
請求項1から8のいずれか一項に記載の保持装置。
【請求項10】
前記ICチップは、前記端末から非接触通信により前記上限額を示す情報を受信する
請求項9に記載の保持装置。
【請求項11】
前記ICチップは、前記ICチップが保持している前記決済用情報を無効化する旨の要求を前記端末から受信した場合に、前記ICチップが保持している前記決済用情報を無効化する
請求項1から10のいずれか一項に記載の保持装置。
【請求項12】
コンピュータを、請求項1から11のいずれか一項に記載の保持装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、決済用情報を非接触通信を介して送信することにより電子決済を実施する電子決済手段を備えた携帯端末が記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開2014-167754号公報
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様における保持装置は、非接触型の電子決済に用いられる決済用情報を保持する。保持装置は、保持装置を端末に取り付けるための取り付け部を備える。保持装置は、端末が保持している非接触型の電子決済に用いられる決済用情報を非接触通信によって端末から受信し、端末から受信した決済用情報に対応する決済用情報を保持するICチップを備える。ICチップは、ICチップが保持している決済用情報を用いて、非接触型の電子決済を行うための処理を実行する。
【0004】
ICチップは、非接触通信によって決済用情報の読み取り要求を外部から受信した場合に、端末の電源状態を問い合わせる信号を送信し、信号に対する応答を端末から受信できなかった場合に、読み取り要求に応答して、ICチップが保持している決済用情報を外部に送信してよい。ICチップは、電磁誘導によって電力の供給を受けた場合に、端末の電源状態を問い合わせる信号を送信し、信号に対する応答を端末から受信できなかった場合に、非接触通信による決済用情報の読み取り要求に応答して、ICチップが保持している決済用情報を外部に送信してよい。
【0005】
本発明の第2の態様における保持装置は、非接触型の電子決済に用いられる決済用情報を保持する。保持装置は、保持装置を端末に取り付けるための取り付け部を備える。保持装置は、決済用情報を保持し、非接触通信によって、決済用情報の読み取り要求に応答して決済用情報を送信するICチップを備える。ICチップは、非接触通信によって読み取り要求を外部から受信した場合に、端末の電源状態を問い合わせる信号を送信し、信号に対する応答を端末から受信できなかった場合に、読み取り要求に応答して、ICチップが保持している決済用情報を外部に送信する。
【0006】
第1の態様及び第2の態様における保持装置において、ICチップは、ICチップが保持している決済用情報を用いて非接触型の電子決済が行われた場合に、決済履歴を示す履歴情報を記憶し、端末から非接触通信により受信した要求に応答して、履歴情報を端末に送信してよい。
【0007】
第1の態様及び第2の態様における保持装置において、ICチップが保持する決済用情報を用いて行われる決済は、クレジット決済、プリペイド式決済、及びデビット決済のうちの少なくとも1つであってよい。
【0008】
第1の態様及び第2の態様における保持装置において、ICチップが保持する決済用情報を用いて行われる決済は、プリペイド式決済であり、ICチップは、ICチップが保持している決済用情報を用いて非接触型のプリペイド式決済が行われた後、端末から非接触通信により受信した要求に応答して、プリペイド式決済の残額情報を端末に送信してよい。
【0009】
第1の態様及び第2の態様における保持装置において、ICチップは、プリペイド式決済の残額情報を記憶しており、端末から非接触通信により残額情報の更新情報を受信した場合に、更新情報に基づいてICチップが記憶している残額情報を更新してよい。
【0010】
第1の態様及び第2の態様における保持装置において、ICチップは、ICチップが保持している決済用情報を用いて決済することが可能な上限額を示す情報を記憶し、上限額を超える場合に、ICチップが保持している決済用情報を用いた非接触型の電子決済を禁止してよい。
【0011】
第1の態様及び第2の態様における保持装置において、ICチップは、端末から非接触通信により上限額を示す情報を受信してよい。
【0012】
第1の態様及び第2の態様における保持装置において、ICチップは、ICチップが保持している決済用情報を無効化する旨の要求を端末から受信した場合に、ICチップが保持している決済用情報を無効化してよい。
【0013】
第3の態様において、プログラムが提供される。プログラムは、コンピュータを、上記の保持装置として機能させる。
【0014】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】保持装置20が携帯端末40に取り付けられた様子を模式的に示す。
【
図3】決済受付端末60を用いて非接触型の電子決済を行うときの状態を示す。
【
図4】ICチップ100に決済用情報を記憶させる場合のシーケンスである。
【
図5】ICチップ100に電子決済の上限額情報を記憶させる場合のシーケンスである。
【
図6】ICチップ100が備えるメモリ130に記憶される上限額情報のデータ構造を示す。
【
図7】決済受付端末60を用いて非接触型の電子決済を行う場合のシーケンスである。
【
図8】決済受付端末60を用いて非接触型の電子決済を行う場合のシーケンスである。
【
図9】本実施形態に係るコンピュータ2000の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。なお、図面において、同一または類似の部分には同一の参照番号を付して、重複する説明を省く場合がある。
【0017】
図1は、保持装置20の機能構成を概略的に示す。保持装置20は、誘導電磁界又は電波によって書き込まれたデータを保持し、非接触で読出しできる情報媒体である。保持装置20は、非接触型の電子決済に用いられる決済用情報を保持する。
【0018】
保持装置20は、ICチップ100と、アンテナ150とを備える。ICチップ100は、RF回路110と、プロセッサ120と、メモリ130と、電源回路140とを内蔵する。メモリ130は不揮発性の半導体メモリを含む。メモリ130は決済用情報をデータとして保持する。アンテナ150は、例えば、外部の読み取り装置が発生した誘導電波により電力を発生する。電源回路140は、アンテナ150が生成した電力を安定した直流電圧の電力に変換する。ICチップ100は、電源回路140により変換された電力によって動作する。
【0019】
RF回路110は、アンテナ150を通じて受信した信号を復調してプロセッサ120に出力する。プロセッサ120は、RF回路110から出力された信号に基づいて演算を行う。プロセッサ120は、演算により生成したデータをメモリ130に記憶する。また、プロセッサ120は、メモリ130からデータを読み出してRF回路110に出力する。RF回路110はプロセッサ120から出力された信号を変調してアンテナ150を通じて送信する。
【0020】
図2は、保持装置20が携帯端末40に取り付けられた様子を模式的に示す。後述するように、保持装置20は、携帯端末40に取り付けられた状態で使用される。
【0021】
携帯端末40は、例えばスマートフォン等の移動体通信端末である。携帯端末40は、非接触通信回路42と、電源回路44と、ディスプレイ46とを備える。電源回路44は、バッテリ43を備える。電源回路44は、バッテリ43から供給される電力を安定した電力に変換する。電源回路44は、非接触通信回路42及びディスプレイ46を含む携帯端末40の各部に供給される電力を生成する。
【0022】
携帯端末40は、非接触型の電子決済機能と、非接触通信によって情報を読み書きするリーダ・ライタ機能とを備える。非接触通信は近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)であってよく、非接触型の電子決済機能はNFCを用いた電子決済機能であってよい。非接触型の電子決済機能及びリーダ・ライタ機能は、非接触通信回路42によって実現される。例えば、非接触通信回路42は、非接触型の電子決済機能を持つ非接触型ICチップと、非接触通信によって外部からデータを読み書きするための非接触リーダ・ライタ回路とを備えてよい。非接触通信回路42が備える非接触型ICチップは、ICチップ100と同様の構成を備え、非接触型の電子決済に用いられる決済用情報を保持する。非接触通信回路42が備える非接触リーダ・ライタ回路は、ICチップ100を含む外部の情報媒体と非接触通信を介して通信し、外部の情報媒体に対してデータの読み書きを行う。非接触通信回路42は電源回路44から供給される電力で動作する。
【0023】
電源回路44は、バッテリ43の残存容量が予め定められた閾値を下回った場合、バッテリ43を保護するために、携帯端末40の各部への電力供給を停止する。この状態は、一般には「バッテリが切れた」「電源が切れた」等と呼ばれる状態である。携帯端末40において、電源回路44からの電力供給が停止した場合、携帯端末40は動作を終了する。電源回路44から電力が供給されない場合、携帯端末40を用いて非接触型の電子決済機能を使用することはできないという課題がある。
【0024】
なお、携帯端末40を電源オフすることによって携帯端末40をシャットダウンした状態にある場合であっても、バッテリ43の残存容量が予め定められた閾値以上であれば、非接触型の電子決済を行うことは可能である。携帯端末40のユーザからすると、電源回路44からの電力供給が不能となった状態と、携帯端末40を電源オフすることによってシャットダウンした状態とはすぐに見分けがつかない。そのため、ユーザは、電源回路44から電力供給が不能となった状態であることに気付かずに非接触の電子決済を行おうとし、決済不能となったことではじめて電源が切れたことに気づく場合もある。
【0025】
本実施形態において、保持装置20は携帯端末40に取り付けられた状態で使用される。保持装置20は、例えば携帯端末40の電源が切れることによって非接触型の電子決済を行うことができない場合に、携帯端末40に代わって非接触型の電子決済機能を提供する。
【0026】
保持装置20は、例えば携帯端末40の筺体の背面48側に貼り付けられる。背面48は、携帯端末40においてディスプレイ46が設けられた側の面とは反対側の面である。保持装置20は、保持装置20を携帯端末40に取り付けるための取り付け部22を備える。取り付け部22は、接着性又は粘着性を持つ部材を含んで構成される。保持装置20は、取り付け部22が携帯端末40と直接に接触することによって携帯端末40に取り付けられてよい。保持装置20は、携帯端末40に取り付けられたカバーケースに貼り付けられることによって、携帯端末40に取り付けられてよい。
【0027】
保持装置20が備えるICチップ100は、非接触通信回路42の非接触リーダ・ライタ回路が発生する誘導電磁界又は電波によって電力が供給され、非接触リーダ・ライタ回路と通信可能になる。ICチップ100は、携帯端末40が保持している非接触型の電子決済に用いられる決済用情報を非接触通信によって携帯端末40から受信し、携帯端末40から受信した決済用情報に対応する決済用情報を保持する。例えば、保持装置20が備えるICチップ100は、アンテナ150を通じて非接触通信回路42が備える非接触リーダ・ライタ回路と通信して、携帯端末40が備える決済用情報をメモリ130に保持する。ICチップ100は、ICチップ100が保持している決済用情報を用いて、非接触型の電子決済を行うための処理を実行する。
【0028】
図3は、決済受付端末60を用いて非接触型の電子決済を行うときの状態を示す。ICチップ100には、決済受付端末60が発生する誘導電磁界又は電波によって電力が供給され、決済受付端末60と通信可能になる。
【0029】
ICチップ100は、非接触通信によって決済用情報の読み取り要求を外部から受信した場合に、携帯端末40の電源状態を問い合わせる信号を送信し、信号に対する応答を携帯端末40から受信できなかった場合に、読み取り要求に応答して、ICチップ100が保持している決済用情報を外部に送信する。例えば、ICチップ100は、非接触通信によって決済用情報の読み取り要求を決済受付端末60から受信した場合に、携帯端末40の電源状態を問い合わせる信号を送信し、信号に対する応答を携帯端末40から受信できなかった場合に、読み取り要求に応答して、ICチップ100が保持している決済用情報を決済受付端末60に送信する。このように、ICチップ100は、決済用情報を保持し、非接触通信によって、決済用情報の読み取り要求に応答して決済用情報を送信する。ICチップ100は、電磁誘導によって電力の供給を受けた場合に、携帯端末40の電源状態を問い合わせる信号を送信してもよい。つまり、ICチップ100は「携帯端末40の電源状態を問い合わせる信号を送信する」ことを、「決済用情報の読み取り要求を外部から受信した場合に」ではなく、「電磁誘導によって電力の供給を受けた場合に」行ってもよい。ICチップ100は、決済用情報の読み取り要求の信号を搬送する搬送波によって生じる電磁誘導によって電力の供給を受けた場合に携帯端末40の電源状態を問い合わせる信号を送信してよいし、当該搬送波以外によって生じる電磁誘導によって電力の供給を受けた場合に携帯端末40の電源状態を問い合わせる信号を送信してもよい。
【0030】
なお、決済用情報は、電子決済を行うために決済受付端末60が取得する必要がある識別情報である。識別情報は、端末及び決済手段毎に付与される情報であってよい。決済用情報は、支払を行う人物又は法人を識別する情報であってよい。クレジット決済における決済用情報は、最終的な決済に用いられるクレジットカードを識別する情報であってよい。デビット決済における決済用情報は、銀行口座を特定するために用いられる情報であってよい。電子マネー等のバリューを用いたプリペイド式決済における決済用情報は、バリューの発行者が携帯端末40に付与した識別情報であってよい。
【0031】
ICチップ100は、ICチップ100が保持している決済用情報を用いて非接触型の電子決済が行われた場合に、決済履歴を示す履歴情報を記憶する。ICチップ100は、携帯端末40から非接触通信により受信した要求に応答して、履歴情報を携帯端末40に送信する。これにより、携帯端末40とICチップ100との間で決済履歴を同期することができる。
【0032】
ICチップ100が保持する決済用情報を用いて行われる決済は、クレジット決済、プリペイド式決済、及びデビット決済のうちの少なくとも1つである。ICチップ100が保持する決済用情報を用いて行われる決済は、プリペイド式決済である場合、ICチップ100は、ICチップ100が保持している決済用情報を用いて非接触型のプリペイド式決済が行われた後、携帯端末40から非接触通信により受信した要求に応答して、プリペイド式決済の残額情報を携帯端末40に送信する。また、ICチップ100は、プリペイド式決済の残額情報を記憶しており、携帯端末40から非接触通信により残額情報の更新情報を受信した場合に、更新情報に基づいてICチップ100が記憶している残額情報を更新する。これにより、携帯端末40とICチップ100との間で残額情報を同期することができる。
【0033】
ICチップ100は、ICチップ100が保持している決済用情報を用いて決済することが可能な上限金額を示す情報を記憶し、決済金額が上限金額を超える場合に、ICチップ100が保持している決済用情報を用いた非接触型の電子決済を禁止してよい。例えば、決済金額が上限金額を超える場合、ICチップ100は決済用情報を送信しない。これにより、保持装置20を不正利用しようとする人物が、保持装置20を携帯端末40から剥がして保持装置20を単独で使用しようとしても、上限金額を超えて決済に使用することができない。そのため、不正利用によって生じ得る被害を低減することができる。ICチップ100は、携帯端末40から非接触通信により上限金額を示す情報を受信してよい。
【0034】
なお、保持装置20は、保持装置20を携帯端末40から剥がす際に、保持装置20が非接触通信を行う場合に必要な回路の少なくとも一部が破壊される構造を有してよい。例えば、保持装置20を携帯端末40から剥がそうとする力によって、アンテナ150が破壊される構造を有してよい。
【0035】
ICチップ100は、ICチップ100が保持している決済用情報を無効化する旨の要求を携帯端末40から受信した場合に、ICチップ100が保持している決済用情報を無効化してよい。例えば、ICチップ100は、決済用情報を無効化する旨の要求を携帯端末40から受信した場合に、決済用情報をメモリ130から消去してよい。これにより、保持装置20が不正利用される可能性をより低減することができる。なお、携帯端末40が遠隔操作によって携帯端末40を使用不可にする機能を有する場合、携帯端末40は、使用不可にすることを要求する信号を受信すると、非接触通信回路42が決済用情報を無効化する旨の要求をICチップ100に送信してよい。これにより、遠隔操作によって、保持装置20を無効化することができる。
【0036】
図4は、ICチップ100に決済用情報を記憶させる場合のシーケンスである。
図4で示される処理は、携帯端末40で使用可能な非接触電子決済機能を保持装置20で使用可能にする場合に実行される。例えば、携帯端末40のユーザは、携帯端末40にインストールされた専用アプリケーションソフトウエアを立ち上げ、専用アプリケーションソフトウエアを用いて、決済用情報を保持装置20で使用可能にすることを指示する。これにより、非接触通信回路42は、専用アプリケーションソフトウエアの制御に従って、ICチップ100に決済用情報を記憶させるための動作を開始する。
【0037】
まず、S302において、携帯端末40の非接触通信回路42は、非接触通信により、非接触通信回路42が保持している決済用情報を送信する。S304において、ICチップ100は、非接触通信回路42からの非接触通信に用いられる誘導電磁界又は電波によって生じる電力によって動作を開始して、非接触通信回路42から送信された決済用情報を取得して、メモリ130に記憶する。
【0038】
S306において、ICチップ100は、決済用情報の記憶が完了したことを示す完了通知を送信する。非接触通信回路42は、完了通知を受信すると、非接触通信を終了する(S308)。
【0039】
図5は、ICチップ100に電子決済の上限額情報を記憶させる場合のシーケンスである。
図5で示される処理は、保持装置20で電子決済の上限額を設定することが指示された場合に実行される。例えば、携帯端末40のユーザは、携帯端末40にインストールされた専用アプリケーションソフトウエアを立ち上げ、専用アプリケーションソフトウエアを用いて、決済の上限額情報を入力して、入力した上限額情報を保持装置20に設定することを指示する。これにより、非接触通信回路42は、専用アプリケーションソフトウエアの制御に従って、ICチップ100に上限額情報を記憶させるための動作を開始する。なお、上限額は、決済手段毎に設定することができる。
【0040】
まず、S322において、携帯端末40の非接触通信回路42は、非接触通信により、決済手段の識別情報及び各決済手段の上限額を示す情報を送信する。S324において、ICチップ100は、非接触通信回路42からの非接触通信に用いられる誘導電磁界又は電波によって生じる電力によって動作を開始して、非接触通信回路42から送信された情報を受信して、決済手段毎に上限額をメモリ130に記憶する。
【0041】
S326において、ICチップ100は、上限額の記憶が完了したことを示す完了通知を送信する。非接触通信回路42は、完了通知を受信すると、非接触通信を終了する(S328)。
【0042】
図6は、ICチップ100が備えるメモリ130に記憶される上限額情報のデータ構造を示す。上限額情報は、相互に対応づけられるデータ項目として、「決済手段ID」と、「第1上限額」と、「第2上限額」と、「第3上限額」とを備える。「決済手段ID」は、決済手段を識別する識別情報である。例えば、識別情報は、電子マネーの種別毎に異なる値となる。
【0043】
「第1上限額」は、1ヶ月あたりに保持装置20で電子決済を行うことを許容する合計額の上限を示す。「第2上限額」は、1日あたりに保持装置20で電子決済を行うことを許容する合計額の上限を示す。「第3上限額」は、保持装置20を用いる1回の電子決済毎に許容する決済額の上限を示す。なお、上限額に基づく制限をしない場合、「無制限」を示す予め定められた値が格納される。
【0044】
ICチップ100は、電子決済を行う場合に、決済受付端末60から決済額及び決済手段の識別情報を受信すると、メモリ130に記憶された上限額情報を参照して、識別情報に対応づけられた第1上限額、第2上限額、及び第3上限額を取得する。ICチップ100は、各上限額に関する条件を満たす場合に、電子決済を行うための処理を実行する。
【0045】
なお、上限額情報に基づく制限は、電子マネー決済等のプリペイド式決済のように、決済受付端末60から決済額が通知される決済に適用される。例えば、クレジット決済等のように外部で与信確認が行われる決済を行う場合、専用アプリケーションソフトウエアを用いて設定された上限額情報は、与信情報に基づいて決済の可否を判定する外部サーバに登録され、当該外部サーバにおいて上限額に基づく決済の可否が判定されてよい。また、デビット決済等のように、銀行口座の残額に基づいて可否が判定される決済を行う場合、専用アプリケーションソフトウエアを用いて設定された上限額情報は、銀行口座の残額に基づいて決済の可否を判定する外部サーバに登録され、当該外部サーバにおいて上限額に基づく可否が判定されてよい。
【0046】
図7は、決済受付端末60を用いて非接触型の電子決済を行う場合のシーケンスである。
図7で示される処理は、携帯端末40を決済受付端末60に接近させた場合に実行される。なお、
図7は、携帯端末40が備えるバッテリ43の残量が予め定められた閾値以上の場合に実行される処理を示す。つまり、
図7は、いわゆる携帯端末40の「電源がある」場合に実行される処理を示す。
【0047】
S402において、決済受付端末60は、非接触通信により、決済用情報の送信を要求する決済用情報要求を送信する。携帯端末40の非接触通信回路42及び保持装置20のICチップ100はそれぞれ、決済受付端末60からの非接触通信に用いられる誘導電磁界又は電波によって生じる電力によって動作を開始して、決済受付端末60から送信された決済用情報要求を受信する。
【0048】
まず、携帯端末40と決済受付端末60との間のやりとりを説明する。非接触通信回路42は、S402で送信された決済用情報要求の受信に応じて、内部で保持している決済用情報を読み出す(S404)。S406において、非接触通信回路42は、非接触通信により決済用情報を送信する。S420において、決済受付端末60は決済用情報を用いて決済処理を行い、S422において非接触通信を完了する。なお、S420において、決済受付端末60と非接触通信回路42との間で、決済の成否等を示す情報のやりとりが実行されてよい。プリペイド決済を行う場合は、決済受付端末60と非接触通信回路42との間で、非接触通信回路42が保持する残額情報の更新等を行うための処理が実行されてよい。
【0049】
次に、保持装置20と携帯端末40との間のやりとりを説明する。ICチップ100は、S402で送信された決済用情報要求を受信すると、携帯端末40の電源状態を問い合わせる問い合わせ情報を、非接触通信により送信する(S408)。非接触通信回路42は、問い合わせ情報を受信すると、S410において、応答情報を非接触通信により送信する。
【0050】
S410で送信される応答情報は、任意の情報を含む情報であってよい。携帯端末40において電源回路44から電力供給が停止している場合は応答情報は送信されない。そのため、ICチップ100は、非接触通信回路42から何らかの応答情報を受信すると、その応答情報を「電源あり」を意味する情報とみなしてよい。ICチップ100は、非接触通信回路42から応答情報を受信すると、携帯端末40から決済用情報が送信されると判断し、決済用情報を送信しない。なお、説明の都合上、携帯端末40と決済受付端末60との間のやりとりを先に説明したが、ICチップ100はS402で決済用情報要求を受信すると、即座にS408の問い合わせ情報を送信する処理を行ってよいことはいうまでもない。
【0051】
続いて、S430において、非接触通信回路42は、非接触通信により情報更新要求を送信する。ICチップ100は、非接触通信回路42からの非接触通信に用いられる誘導電磁界又は電波によって生じる電力によって動作して、非接触通信回路42から送信された情報更新要求を受信する。情報更新要求は、決済日時や決済金額等を含む履歴情報を含んでよい。S432において、ICチップ100は、S430で受信した情報更新要求に基づいて、メモリ130に記憶される決済関連情報を更新する。例えば、ICチップ100は、受信した履歴情報を、メモリ130に記憶される履歴情報に追加してよい。また、S420でプリペイド決済が行われた場合、ICチップ100は、メモリ130が保持する残額情報の更新処理等を行ってよい。続いて、S434において、ICチップ100は、非接触通信により、更新が完了したことを示す完了通知を送信する。非接触通信回路42は、完了通知を受信すると、非接触通信を終了する(S436)。これにより、携帯端末40と保持装置20との間で、決済関連情報を同期することができる。
【0052】
図8は、決済受付端末60を用いて非接触型の電子決済を行う場合のシーケンスである。
図8で示される処理は、携帯端末40を決済受付端末60に接近させた場合に実行される。なお、
図8は、携帯端末40が備えるバッテリ43の残量が予め定められた閾値を下回る場合に実行される処理を示す。つまり、
図8は、いわゆる携帯端末40の「電源がない」場合に実行される処理を示す。
【0053】
S502において、決済受付端末60は、非接触通信により、決済用情報の送信を要求する決済用情報要求を送信する。保持装置20のICチップ100は、決済受付端末60からの非接触通信に用いられる誘導電磁界又は電波によって生じる電力によって動作を開始して、決済受付端末60から送信された決済用情報要求を受信する。なお、携帯端末40は「電源がない」状態にあるため、決済用情報要求に対する非接触通信回路42からの応答はない。
【0054】
ICチップ100は、S502で送信された決済用情報要求を受信すると、携帯端末40の電源状態を問い合わせる問い合わせ情報を、非接触通信により送信する(S504)。携帯端末40は「電源がない」状態にあるため、問い合わせ情報に対する非接触通信回路42からの応答はない。ICチップ100は、非接触通信回路42からの応答を予め定められた時間内で受信しなかった場合、S506において、ICチップ100は、上限額に関する条件を満たすことを確認する。ICチップ100は、受信した決済用情報要求に決済額を示す情報が含まれる場合、
図6等に関連して説明したように、上限額情報を参照して各種の上限額を超えないことを確認する。なお、上限額に関する条件を満たさない場合、ICチップ100は、以後の処理を実行しない。
【0055】
ICチップ100は、S502で受信された決済用情報要求に応答して、メモリ130に保持している決済用情報を読み出す(S508)。S510において、ICチップ100は、S508で読みだした決済用情報を非接触通信により送信する。S520において、決済受付端末60は、ICチップ100から受信した決済用情報を用いて決済処理を行い、S522において非接触通信を完了する。なお、S520において、決済受付端末60とICチップ100との間で、決済の成否等を示す情報のやりとりが実行されてよい。プリペイド決済を行う場合は、決済受付端末60とICチップ100との間で、ICチップ100が保持する残額情報の更新等を行うための処理が実行されてよい。
【0056】
以上に説明したように、保持装置20のICチップ100は、携帯端末40が「電源がない」状態にある場合、携帯端末40に代わって非接触型の電子決済を行うことができる。
【0057】
次に、ICチップ100が保持する決済用情報を用いて決済が行われた後の処理を説明する。決済が行われた後、携帯端末40のバッテリ43の充電が行われて、S530において携帯端末40が備える電源回路44からの電力供給が可能になると(S530)、S532において、非接触通信回路42は、ICチップ100で行われた決済情報に関する情報の送信を要求する情報送信要求を非接触通信により送信する。ICチップ100は、非接触通信回路42からの非接触通信に用いられる誘導電磁界又は電波によって生じる電力によって動作して、非接触通信回路42から送信された情報更新要求を受信する。
【0058】
S534において、ICチップ100は、ICチップ100が行った非接触型の電子決済に関する情報を非接触通信により送信する。S534で送信される情報は、決済日時や決済金額等を含む履歴情報を含んでよい。プリペイド決済が行われた場合、S534で送信される情報は、プリペイド決済の残額情報を含んでよい。S536において、非接触通信回路42は、S534で受信した情報に基づいて、メモリ130に記憶される決済関連情報を更新する。例えば、ICチップ100は、受信した履歴情報を、メモリ130に記憶される履歴情報に追加してよい。また、プリペイド決済が行われた場合、非接触通信回路42が保持する残額情報の更新処理等を行ってよい。続いて、S538において、非接触通信回路42は、非接触通信により、更新を完了したことを示す完了通知を送信する。非接触通信回路42は、完了通知を受信すると、非接触通信を終了する(S540)。これにより、携帯端末40と保持装置20との間で、決済関連情報を同期することができる。
【0059】
以上に説明したように、保持装置20によれば、携帯端末40のバッテリ切れ等が生じている場合に、携帯端末40に代わって決済用情報を決済受付端末60に送信することができる。また、保持装置20は、携帯端末40の電源状態を確認し、携帯端末40のバッテリ切れが生じていない場合には決済用情報を決済受付端末60に送信しない。そのため、携帯端末40及び保持装置20の双方が決済用情報を送信する可能性を低減することができる。
【0060】
図9は、本実施形態に係るコンピュータ2000の例を示す。コンピュータ2000にインストールされたプログラムは、コンピュータ2000に、実施形態に係る保持装置20等の装置又はシステム、若しくは当該装置又はシステムの各部として機能させる、当該装置又は当該装置の各部に関連付けられるオペレーションを実行させる、及び/又は、実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ2000に、本明細書に記載の処理手順及びブロック図のブロックのうちのいくつか又はすべてに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU2012によって実行されてよい。
【0061】
本実施形態によるコンピュータ2000は、CPU2012、及びRAM2014を含み、それらはホストコントローラ2010によって相互に接続されている。コンピュータ2000はまた、ROM2026、フラッシュメモリ2024、通信インタフェース2022、及び入力/出力チップ2040を含む。ROM2026、フラッシュメモリ2024、通信インタフェース2022、及び入力/出力チップ2040は、入力/出力コントローラ2020を介してホストコントローラ2010に接続されている。
【0062】
CPU2012は、ROM2026及びRAM2014内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。
【0063】
通信インタフェース2022は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。フラッシュメモリ2024は、コンピュータ2000内のCPU2012によって使用されるプログラム及びデータを格納する。ROM2026は、アクティブ化時にコンピュータ2000によって実行されるブートプログラム等、及び/又はコンピュータ2000のハードウエアに依存するプログラムを格納する。入力/出力チップ2040はまた、キーボード、マウス及びモニタ等の様々な入力/出力ユニットをシリアルポート、パラレルポート、キーボードポート、マウスポート、モニタポート、USBポート、HDMI(登録商標)ポート等の入力/出力ポートを介して、入力/出力コントローラ2020に接続してよい。
【0064】
プログラムは、CD-ROM、DVD-ROM、又はメモリカードのようなコンピュータ可読媒体又はネットワークを介して提供される。RAM2014、ROM2026、又はフラッシュメモリ2024は、コンピュータ可読媒体の例である。プログラムは、フラッシュメモリ2024、RAM2014、又はROM2026にインストールされ、CPU2012によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ2000に読み取られ、プログラムと上記様々なタイプのハードウエアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ2000の使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されてよい。
【0065】
例えば、コンピュータ2000及び外部デバイス間で通信が実行される場合、CPU2012は、RAM2014にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース2022に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース2022は、CPU2012の制御下、RAM2014及びフラッシュメモリ2024のような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取った送信データをネットワークに送信し、ネットワークから受信された受信データを、記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
【0066】
また、CPU2012は、フラッシュメモリ2024等のような記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM2014に読み取られるようにし、RAM2014上のデータに対し様々な種類の処理を実行してよい。CPU2012は次に、処理されたデータを記録媒体にライトバックする。
【0067】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理にかけられてよい。CPU2012は、RAM2014から読み取られたデータに対し、本明細書に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々な種類のオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々な種類の処理を実行してよく、結果をRAM2014にライトバックする。また、CPU2012は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU2012は、第1の属性の属性値が指定されている、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0068】
上で説明したプログラム又はソフトウェアモジュールは、コンピュータ2000上又はコンピュータ2000近傍のコンピュータ可読媒体に格納されてよい。専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読媒体として使用可能である。コンピュータ可読媒体に格納されたプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ2000に提供してよい。
【0069】
コンピュータ2000にインストールされ、コンピュータ2000を保持装置20として機能させるプログラムは、CPU2012等に働きかけて、コンピュータ2000を、保持装置20の各部としてそれぞれ機能させてよい。これらのプログラムに記述された情報処理は、コンピュータ2000に読込まれることにより、ソフトウエアと上述した各種のハードウエア資源とが協働した具体的手段である保持装置20の各部として機能する。そして、これらの具体的手段によって、本実施形態におけるコンピュータ2000の使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の保持装置20が構築される。
【0070】
様々な実施形態が、ブロック図等を参照して説明された。ブロック図において各ブロックは、(1)オペレーションが実行されるプロセスの段階又は(2)オペレーションを実行する役割を持つ装置の各部を表わしてよい。特定の段階及び各部が、専用回路、コンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、及び/又はコンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタル及び/又はアナログハードウエア回路を含んでよく、集積回路(IC)及び/又はディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NOR、及び他の論理オペレーション、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のようなメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウエア回路を含んでよい。
【0071】
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、処理手順又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段をもたらすべく実行され得る命令を含む製品の少なくとも一部を構成する。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(登録商標)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0072】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、又はSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコード又はオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0073】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ又はプログラマブル回路に対し、ローカルに又はローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供され、説明された処理手順又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段をもたらすべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0074】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、技術的に矛盾しない範囲において、特定の実施形態について説明した事項を、他の実施形態に適用することができる。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0075】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0076】
20 保持装置
40 携帯端末
42 非接触通信回路
43 バッテリ
44 電源回路
46 ディスプレイ
60 決済受付端末
100 ICチップ
110 RF回路
120 プロセッサ
130 メモリ
140 電源回路
150 アンテナ
2000 コンピュータ
2010 ホストコントローラ
2012 CPU
2014 RAM
2020 入力/出力コントローラ
2022 通信インタフェース
2024 フラッシュメモリ
2026 ROM
2040 入力/出力チップ