(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155709
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】流路閉塞状態検出装置
(51)【国際特許分類】
A61M 5/168 20060101AFI20221006BHJP
A61M 5/142 20060101ALI20221006BHJP
A61M 5/145 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
A61M5/168 520
A61M5/168 550
A61M5/142 500
A61M5/145 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059068
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000230250
【氏名又は名称】日本メジフィジックス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】594118958
【氏名又は名称】株式会社ユニバーサル技研
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】中川原 潤
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雅之
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066CC01
4C066DD12
4C066EE14
4C066HH02
4C066QQ46
4C066QQ48
4C066QQ77
4C066QQ82
(57)【要約】
【課題】流路の閉塞に基づきプランジャ把持部材の吸引不良が発生したことを検出することが可能な流路閉塞状態検出装置を提供する。
【解決手段】流路閉塞状態検出装置100は、プランジャ把持部材38と、把持部38aによりプランジャ37を把持した状態で、シリンジ本体36に液体を吸引する方向である第1方向と、シリンジ本体36から液体を注出する方向である第2方向と、にプランジャ把持部材38を移動させる駆動部と、を備えており、シリンジ本体36に連通している流路40が閉塞している閉塞状態において、第1方向へのプランジャ把持部材38の動作が移動不良となることを検出する第1センサ91aと、第1センサ91aが第1方向へのプランジャ把持部材38の移動不良を検出した場合に、その旨を報知する報知部93と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に貯液部を有するシリンジ本体と前記シリンジ本体に摺動可能に挿入されているプランジャとを有するシリンジの前記プランジャを把持する把持部を有するプランジャ把持部材と、
前記把持部により前記プランジャを把持した状態で、前記シリンジ本体に液体を吸引する方向である第1方向と、前記シリンジ本体から液体を注出する方向である第2方向と、にプランジャ把持部材を移動させる駆動部と、
前記シリンジ本体に連通している流路が閉塞している閉塞状態において、前記第1方向への前記プランジャ把持部材の動作が移動不良となることを検出する第1センサと、
前記第1センサが前記第1方向への前記プランジャ把持部材の移動不良を検出した場合に、その旨を報知する報知部と、
を備える流路閉塞状態検出装置。
【請求項2】
前記プランジャ把持部材を保持している本体部を備え、
前記駆動部は、前記第1方向又は前記第2方向へと、前記プランジャ把持部材と前記本体部とを互いに同方向に移動させるようになっており、
前記第1センサは、前記駆動部が前記プランジャ把持部材及び前記本体部を前記第1方向に移動させる際に、前記プランジャ把持部材が前記本体部に対して相対的に、前記第1方向に対する反対成分を持つ方向に移動することを、前記移動不良として検出する請求項1に記載の流路閉塞状態検出装置。
【請求項3】
前記駆動部は、前記本体部を前記第1方向又は前記第2方向へと移動させるようになっており、
前記シリンジ本体に連通している前記流路が閉塞していない通常状態において、前記本体部が前記第1方向に移動する際には、前記プランジャ把持部材は、前記本体部に従動して前記第1方向に移動することにより、前記プランジャを前記シリンジ本体からの引き抜き方向に移動させるようになっている一方で、
前記閉塞状態において、前記本体部が前記第1方向に移動する際には、前記プランジャ把持部材は、前記本体部に対して相対的に、前記第1方向に対する反対方向の成分を持つ方向に移動する請求項2に記載の流路閉塞状態検出装置。
【請求項4】
前記駆動部は、共通のアクチュエータの動力を前記プランジャ把持部材の移動用の動力と前記本体部の移動用の動力とに分配する分配機構を有する請求項2に記載の流路閉塞状態検出装置。
【請求項5】
前記駆動部は、前記プランジャ把持部材を移動させる第1アクチュエータと、前記本体部を移動させる第2アクチュエータと、を有する請求項2に記載の流路閉塞状態検出装置。
【請求項6】
前記プランジャ把持部材は、前記本体部に対して揺動可能に軸支されており、
前記シリンジ本体に連通している前記流路が閉塞していない通常状態において、前記本体部が前記第1方向に移動する際には、前記プランジャ把持部材は、前記本体部と一体に前記第1方向に移動することにより、前記プランジャを前記シリンジ本体からの引き抜き方向に移動させるようになっている一方で、
前記閉塞状態において、前記本体部が前記第1方向に移動する際には、前記プランジャ把持部材は、前記本体部に対して相対的に第1揺動方向へ揺動し、当該揺動が前記移動不良として前記第1センサにより検出されるようになっている請求項2から5のいずれか一項に記載の流路閉塞状態検出装置。
【請求項7】
前記本体部に対する前記プランジャ把持部材の軸支部を基準として、前記第1センサと前記把持部とは互いに反対側に配置されている請求項6に記載の流路閉塞状態検出装置。
【請求項8】
前記第1センサはタッチセンサである請求項1から7のいずれか一項に記載の流路閉塞状態検出装置。
【請求項9】
前記シリンジ本体に連通している流路が閉塞している閉塞状態において、前記第2方向への前記プランジャ把持部材の動作が移動不良となることを検出する第2センサを更に備え、
前記報知部は、前記第2センサが前記第2方向への前記プランジャ把持部材の移動不良を検出した場合に、その旨を報知する請求項1から8のいずれか一項に記載の流路閉塞状態検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路閉塞状態検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2に記載のものは、内部に貯液部を有するシリンジ本体とシリンジ本体に摺動可能に挿入されているプランジャとを有するシリンジのプランジャを把持するプランジャ把持部材(特許文献1には、プランジャ嵌合部と記載)と、シリンジ本体に連通している流路と、流路を形成する流路チューブと、(特許文献1には、輸液チューブと記載)を備えて構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-078534号公報
【特許文献2】特開2020-078535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、流路を形成しているチューブが何かに挟まれたり折れ曲がったりして、当該流路が閉塞することがある。
よって、流路の閉塞に基づきシリンジへの流体の吸引不良が発生したことを検出する技術が望まれている。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、流路の閉塞に基づきシリンジへの流体の吸引不良が発生したことを検出することが可能な流路閉塞状態検出装置及びプログラムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、内部に貯液部を有するシリンジ本体と前記シリンジ本体に摺動可能に挿入されているプランジャとを有するシリンジの前記プランジャを把持する把持部を有するプランジャ把持部材と、
前記把持部により前記プランジャを把持した状態で、前記シリンジ本体に液体を吸引する方向である第1方向と、前記シリンジ本体から液体を注出する方向である第2方向と、にプランジャ把持部材を移動させる駆動部と、
前記シリンジ本体に連通している流路が閉塞している閉塞状態において、前記第1方向への前記プランジャ把持部材の動作が移動不良となることを検出する第1センサと、
前記第1センサが前記第1方向への前記プランジャ把持部材の移動不良を検出した場合に、その旨を報知する報知部と、
を備える流路閉塞状態検出装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、流路の閉塞に基づきシリンジへの流体の吸引不良が発生したことを検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る流路閉塞状態検出装置の模式図である。
【
図2】第1実施形態に係る流路閉塞状態検出装置のブロック図である。
【
図3】第1実施形態に係る流路閉塞状態検出装置の模式図であり、本体部が第1方向に移動する前の状態を示す。
【
図4】第1実施形態に係る流路閉塞状態検出装置の模式図であり、通常状態において、本体部が第1方向に移動した状態を示す。
【
図5】第1実施形態に係る流路閉塞状態検出装置の模式図であり、閉塞状態において、本体部が第1方向に移動した状態を示す。
【
図6】第1実施形態に係る流路閉塞状態検出装置の模式図であり、閉塞状態において、本体部が第2方向に移動した状態を示す。
【
図7】第1実施形態の変形例1に係る流路閉塞状態検出装置のブロック図である。
【
図8】第2実施形態に係る流路閉塞状態検出装置の模式図である。
【
図9】第2実施形態に係る流路閉塞状態検出装置のブロック図である。
【
図10】第3実施形態に係る流路閉塞状態検出装置の模式図である。
【
図11】第3実施形態に係る流路閉塞状態検出装置のブロック図である。
【
図12】第4実施形態に係る流路閉塞状態検出装置における投与装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0010】
〔第1実施形態〕
先ず、
図1から
図6を用いて第1実施形態を説明する。なお、以下の説明において、
図1における右方を、単に右方(右側)と称し、
図1における左方を、単に左方(左側)と称する場合がある。
図1及び
図3から
図6に示すように、本実施形態に係る流路閉塞状態検出装置100は、内部に貯液部36aを有するシリンジ本体36とシリンジ本体36に摺動可能に挿入されているプランジャ37とを有するシリンジ34のプランジャ37を把持する把持部38aを有するプランジャ把持部材38と、把持部38aによりプランジャ37を把持した状態で、シリンジ本体36に液体を吸引する方向である第1方向と、シリンジ本体36から液体を注出する方向である第2方向と、にプランジャ把持部材38を移動させる駆動部(本実施形態の場合、シリンジ駆動部55)と、を備えている。
流路閉塞状態検出装置100は、シリンジ本体36に連通している流路40が閉塞している閉塞状態において、第1方向へのプランジャ把持部材38の動作が移動不良となることを検出する第1センサ91aと、第1センサ91aが第1方向へのプランジャ把持部材38の移動不良を検出した場合に、その旨を報知する報知部93と、を備えている。
【0011】
本実施形態によれば、シリンジ34から流体を吸引する際に、第1センサ91aが、第1方向へのプランジャ把持部材38の移動不良を検出することによって、流路40の閉塞を検出することができる。すなわち、流路40の閉塞に基づきシリンジ34への流体の吸引不良が発生したことを検出することができる。
【0012】
更に、本実施形態の場合、シリンジ本体36に連通している流路40が閉塞している閉塞状態において、第2方向へのプランジャ把持部材38の動作が移動不良となることを検出する第2センサ91b(
図1参照)を更に備えている。
報知部93は、第2センサ91bが第2方向へのプランジャ把持部材38の移動不良を検出した場合に、その旨を報知する。
これにより、シリンジ34から流体を注出する際に、第2センサ91bが、第2方向へのプランジャ把持部材38の移動不良を検出することによって、流路40の閉塞を検出することができる。すなわち、流路40の閉塞に基づきシリンジ34への流体の注出不良が発生したことを検出することができる。よって、本実施形態の場合、流路閉塞状態検出装置100は、第1センサ91a及び第2センサ91bの各々を備えていることによって、流路40の閉塞に基づきシリンジ34への流体の吸引不良が発生したことと、流路40の閉塞に基づきシリンジ34からの流体の注出不良が発生したことと、の両方を検出することができる。
【0013】
一例として、第1センサ91aはタッチセンサである。同様に、一例として、第2センサ91bはタッチセンサである。
本実施形態の場合、詳細は後述するが、流路閉塞状態検出装置100は、第1方向へのプランジャ把持部材38の移動不良が発生すると、プランジャ把持部材38が第1センサ91aに対して接触するように構成されている。これにより、第1センサ91aは当該移動不良を検出することができる。
同様に、流路閉塞状態検出装置100は、第2方向へのプランジャ把持部材38の移動不良が発生すると、プランジャ把持部材38が第2センサ91bに対して接触するように構成されている。これにより、第2センサ91bは当該移動不良を検出することができる。
このような構成によれば、流路40の閉塞を検出するにあたって、圧力センサでなく、タッチセンサ(第1センサ91a及び第2センサ91b)を用いることで足りる。
【0014】
図1に示すように、流路40は、シリンジ本体36の先端(下端)に接続されており、シリンジ本体36の内部(貯液部36a)と、シリンジ34の外部の構成(他の流路や容器等)とを相互に連通させている。流路40には、三方活栓33が設けられている。三方活栓33によって、シリンジ本体36の内部とシリンジ本体36の外部(他の流路や容器等)とが相互に連通している状態や、シリンジ本体36の内部とシリンジ本体36の外部(他の流路や容器等)とが相互に遮断された状態に切り替えることができる。
【0015】
シリンジ駆動部55は、シリンジ駆動モータ97(
図2)を有しており、当該シリンジ駆動モータ97の駆動によって、プランジャ把持部材38及びプランジャ37を移動させることができるように構成されている。
本実施形態の場合、第1方向は上方であり、第2方向は下方である。したがって、シリンジ駆動部55は、プランジャ把持部材38を上方に移動させることによりプランジャ37を上方に移動させて該プランジャ37をシリンジ本体36から引き抜く動作と、プランジャ把持部材38を下方に移動させることによりプランジャ37を下方に移動させて該プランジャ37をシリンジ本体36に対して押し込む動作とを行う。
なお、本発明において、シリンジ駆動部55のアクチュエータはモータ(シリンジ駆動モータ97)に限定されず、シリンダ等であってもよい。また、プランジャ把持部材38の移動方向(第1方向及び第2方向)は、上下方向に限らず、他の方向であってもよい。
また、シリンジ駆動モータ97は、一例として、ステッピングモータである。
【0016】
図2に示すように、流路閉塞状態検出装置100は、例えば、流路閉塞状態検出装置100が備える各構成要素の動作制御を行う制御部90を備えている。
制御部90は、制御用プログラムを記憶保持しているROM(Read Only Memory)90bと、この制御用プログラムに従って制御動作を実行するCPU(Central Processing Unit)90aと、CPU90aの作業領域などとして機能するRAM(Random Access Memory)90cと、を備えて構成されている。
本実施形態の場合、制御部90は、シリンジ駆動モータ97、三方活栓駆動モータ96及び報知部93の各々の動作を制御する。制御部90がシリンジ駆動モータ97の動作制御を行うことによって、プランジャ37が上下動する。制御部90が三方活栓駆動モータ96の動作制御を行うことによって、三方活栓33が回転し、該三方活栓33の切り替えがなされる。制御部90が報知部93の動作制御を行うことによって、報知部93は報知動作を行う。
第1センサ91a及び第2センサ91bによる各々の検出結果は、例えば、随時、制御部90に入力されるようになっている。制御部90は、第1センサ91a又は第2センサ91bによる検出結果に基づいて、流路40が閉塞しているか否かを検出する。
報知部93による報知動作としては、例えば、スピーカを用いた音声による報知、ランプを用いた発光動作、ディスプレイにおける警告メッセージの表示等を挙げることができる。
【0017】
ここで、
図1に示すように、流路閉塞状態検出装置100は、例えば、プランジャ把持部材38を保持している本体部53を備えている。
本実施形態の場合、プランジャ把持部材38は、例えば、本体部53に対して揺動可能に軸支されている。すなわち、プランジャ把持部材38は、本体部53に対して相対的に移動可能となっている。
以下の説明において、閉塞状態において、プランジャ37をシリンジ本体36から引き抜く動作を行った際の、プランジャ把持部材38と本体部53との相対的な移動方向を第1相対移動方向(本実施形態の場合、第1揺動方向)と称し、閉塞状態において、プランジャ37をシリンジ本体36に対して押し込む動作を行った際の、プランジャ把持部材38と本体部53との相対的な移動方向を第2相対移動方向(本実施形態の場合、第1揺動方向に対する反対方向)と称する場合がある。
図1に示すように、本体部53は、例えば、平板状に形成されており、その板面は、鉛直に配置されている。
本体部53の一方の面53aには、第1センサ91a及び第2センサ91bの各々が配置されている。第1センサ91a及び第2センサ91bは、上下方向において互いに対向している。第1センサ91aは、例えば、第2センサ91bよりも上方に配置されている。換言すると、第2センサ91bは、例えば、第1センサ91aよりも下方に配置されている。
プランジャ把持部材38は、例えば、一方向に長尺な棒状に形成された棒状部39を有している。
棒状部39の長手方向における中央部には、例えば、軸支部39cが設けられており、当該軸支部39cによって、棒状部39(プランジャ把持部材38)は、本体部53に対して揺動可能に軸支されているとともに本体部53に対して連結されている。
プランジャ把持部材38は、例えば、軸支部39cの軸周りにおける一方向(以下、第1揺動方向)と、軸支部39cの軸周りにおける他方向(以下、第2揺動方向)と、にそれぞれ揺動可能となっている。また、棒状部39(プランジャ把持部材38)の揺動軸(軸支部39cの軸心)は、水平方向且つ、棒状部39の長手方向に対して直交している。したがって、プランジャ把持部材38の揺動方向は、上下方向の成分を含む方向である。
軸支部39cは、例えば、本体部53に形成されている軸孔(不図示)に揺動可能に挿通されている。通常状態において、棒状部39は、本体部53と軸支部39cとの間の静止摩擦力によって、水平方向に延在している姿勢で軸支されている。ただし、例えば、棒状部39が、軸支部39cに対して揺動可能に固定されていてもよい。この場合、棒状部39は、棒状部39と軸支部39cとの間の静止摩擦力によって、水平方向に延在している姿勢で軸支されている。
棒状部39の長手方向における一端部39aには、把持部38aが設けられている。把持部38aは、プランジャ37の押圧部37a(
図1参照)を把持している。通常状態において、プランジャ37の押圧部37aの高さ位置(上下方向における位置)は、軸支部39cの高さ位置と略同等の高さ位置となっている。また、平面視において、把持部38aとプランジャ37とは互いに重なり合っている。
より詳細には、把持部38aは、例えば、水平方向に延在している上側部分と、上側部分よりも下方に配置されているとともに、水平方向に延在している下側部分と、上側部分と下側部分とを相互に連結している連結部と、を含む。
プランジャ37をシリンジ本体36から引き抜く動作を行う際には、例えば、把持部38aの下側部分が、プランジャ37の押圧部37aに対して当接し、プランジャ37を引き抜く。
プランジャ37をシリンジ本体36に対して押し込む動作を行う際には、例えば、把持部38aの上側部分が、プランジャ37の押圧部37aに対して当接し、プランジャ37を押し込む。
【0018】
ここで、本実施形態の場合、本体部53に対するプランジャ把持部材38の軸支部39cを基準として、第1センサ91aと把持部38aとは互いに反対側に配置されている。
より詳細には、棒状部39の一端部39a及び把持部38aは、例えば、軸支部39cよりも左側に配置されており、棒状部39の他端部39bは、例えば、軸支部39cよりも右側に配置されている。第1センサ91a及び第2センサ91bの各々は、軸支部39cよりも右側に配置されている。また、第1センサ91a及び第2センサ91bは、上下方向において、棒状部39の他端部39bを間に挟んで互いに対向している。通常状態において、第1センサ91aと他端部39bとは、上下方向において互いに離間しており、第2センサ91bと他端部39bとは、上下方向において互いに離間している。上下方向における第1センサ91aと他端部39bとの離間距離は、上下方向における第2センサ91bと他端部39bとの離間距離と略同等に設定されている。
【0019】
更に、本実施形態の場合、駆動部(シリンジ駆動部55)は、例えば、第1方向又は第2方向へと、プランジャ把持部材38と本体部53とを互いに同方向に移動させるようになっている。
シリンジ本体36に連通している流路40が閉塞していない通常状態(以下、単に通常状態)において、本体部53が第1方向(上方)に移動する際には、プランジャ把持部材38は、本体部53と一体に第1方向に移動することにより、プランジャ37をシリンジ本体36からの引き抜き方向に移動させるようになっている。
同様に、通常状態において、本体部53が第2方向(下方)に移動する際には、プランジャ把持部材38は、本体部53と一体に第2方向に移動することにより、プランジャ37をシリンジ本体36に対する押し下げ方向に移動させるようになっている。
【0020】
より詳細には、シリンジ駆動部55は、シリンジ駆動モータ97の駆動力を本体部53に伝達する駆動伝達機構(不図示)を有しており、シリンジ駆動モータ97の駆動によって、本体部53を移動させることができるように構成されている。そして、本体部53を第1方向又は第2方向に移動させる力が、プランジャ把持部材38に伝達されることにより、プランジャ把持部材38は本体部53と一体に第1方向又は第2方向に移動する。
更に詳細には、シリンジ駆動部55は、シリンジ駆動モータ97の駆動によって、本体部53を上方に移動させる。この際に、本体部53を上方に移動させる力は、軸支部39cを介して、棒状部39ひいては把持部38aに伝達され、プランジャ把持部材38は本体部53と一体に上方に移動する。
同様に、シリンジ駆動部55は、シリンジ駆動モータ97の駆動によって、本体部53を下方に移動させる。この際に、本体部53を下方に移動させる力は、軸支部39cを介して、棒状部39ひいては把持部38aに伝達され、プランジャ把持部材38は本体部53と一体に下方に移動する。
【0021】
ここで、本実施形態の場合、第1センサ91aは、駆動部がプランジャ把持部材38及び本体部53を第1方向に移動させる際に(移動させようとする際に)、プランジャ把持部材38が本体部53に対して相対的に、第1方向に対する反対成分を持つ方向に移動することを、移動不良として検出する。
同様に、第2センサ91bは、駆動部がプランジャ把持部材38及び本体部53を第2方向に移動させる際に(移動させようとする際に)、プランジャ把持部材38が本体部53に対して相対的に、第2方向に対する反対成分を持つ方向に移動することを、移動不良として検出する。
【0022】
より詳細には、流路閉塞状態検出装置100は、通常状態においては、本体部53と軸支部39cとの間の静止摩擦力が、プランジャ37を上方に移動させるのに要する力よりも大きくなるように構成されている。このため、本体部53が上方に移動する際に、プランジャ37はプランジャ把持部材38とともに上方に移動し、棒状部39が水平方向に延在した姿勢が維持される。すなわち、
図3及び
図4に示すように、プランジャ37及び把持部38aの上方への移動量と、本体部53の上方への移動量と、が互いに略同等となるので、棒状部39の他端部39bは第1センサ91a及び第2センサ91bに対して接触しない。よって、第1センサ91aが移動不良を検出しないので、制御部90は、流路40が閉塞していないと判定する。
一方、閉塞状態において、シリンジ本体36の貯液部36aの内圧は陰圧となっている。このため、プランジャ37を上方に移動させるのに要する力が、本体部53と軸支部39cとの間の静止摩擦力よりも大きくなる。この結果、プランジャ把持部材38を上方に移動させる際に、本体部53及び軸支部39cは通常状態と同様に上方に移動する一方で、プランジャ37及び把持部38aの各々は、上方への移動を開始できない又は当該移動途中で停止する。すなわち、プランジャ37及び把持部38aの上方への移動量が、本体部53及び軸支部39cの上方への移動量よりも小さくなる。これにより、把持部38aは、本体部53及び軸支部39cよりも相対的に下方に位置し、
図5に示すように、プランジャ把持部材38は、本体部53に対して相対的に第1揺動方向へ揺動する。より詳細には、プランジャ把持部材38の把持部38aは本体部53に対して相対的に、第2方向(下方)の成分を持つ方向に移動する一方で、他端部39bは本体部53に対して相対的に、第1方向(上方)の成分を持つ方向に移動する。すなわち、上下方向において、他端部39bは第1センサ91aに近づく方向に移動する。この移動が更に進行すると、第1センサ91aに対して他端部39bが接触し、第1センサ91aは第1揺動方向へのプランジャ把持部材38の揺動を検出する。そして、制御部90は、第1センサ91aのこの検出結果に基づいて、流路40が閉塞していると判定し、報知部93に所定の報知動作を行わせる。なお、制御部90は、例えば、第1センサ91aが移動不良を検出したタイミングで本体部53の移動を停止させる。
【0023】
同様に、流路閉塞状態検出装置100は、通常状態においては、本体部53と軸支部39cとの間の静止摩擦力が、プランジャ37を下方に移動させるのに要する力よりも大きくなるように構成されている。このため、本体部53が下方に移動する際に、プランジャ37はプランジャ把持部材38とともに下方に移動し、棒状部39が水平方向に延在した姿勢が維持される。すなわち、プランジャ37及び把持部38aの下方への移動量と、本体部53及び軸支部39cの下方への移動量と、が互いに略同等となるので、棒状部39の他端部39bは第1センサ91a及び第2センサ91bに対して接触しない。よって、第1センサ91a及び第2センサ91bが移動不良を検出しないので、制御部90は、流路40が閉塞していないと判定する。
一方、閉塞状態において、プランジャ37を下方に移動させるのに要する力が、本体部53と軸支部39cとの間の静止摩擦力よりも大きくなる。この結果、プランジャ把持部材38を下方に移動させる際に、本体部53及び軸支部39cは、通常状態と同様に下方に移動する一方で、プランジャ37及び把持部38aの各々は、下方へ移動を開始できない又は当該移動途中で停止する。すなわち、プランジャ37及び把持部38aの下方への移動量が、本体部53及び軸支部39cの下方への移動量よりも小さくなる。これにより、把持部38aは、本体部53及び軸支部39cよりも相対的に上方に位置し、
図6に示すように、プランジャ把持部材38は、本体部53に対して相対的に第2揺動方向へ揺動する。より詳細には、プランジャ把持部材38の把持部38aは本体部53に対して相対的に、第1方向(上方)の成分を持つ方向に移動する一方で、他端部39bは本体部53に対して相対的に、第2方向(下方)の成分を持つ方向に移動する。すなわち、上下方向において、他端部39bは第2センサ91bに近づく方向に移動する。この移動が更に進行すると、第2センサ91bに対して他端部39bが接触し、第2センサ91bは第2揺動方向へのプランジャ把持部材38の揺動を検出する。そして、制御部90は、第2センサ91bのこの検出結果に基づいて、流路40が閉塞していると判定し、報知部93に所定の報知動作を行わせる。なお、制御部90は、例えば、第2センサ91bが移動不良を検出したタイミングで本体部53の移動を停止させる。
【0024】
このように、本実施形態の場合、閉塞状態において、本体部53が第1方向に移動する際には、プランジャ把持部材38は、本体部53に対して相対的に第1揺動方向へ揺動し、当該揺動が移動不良として第1センサ91aにより検出されるようになっている。
同様に、閉塞状態において、本体部53が第2方向に移動する際には、プランジャ把持部材38は、本体部53に対して相対的に第2揺動方向へ揺動し、当該揺動が移動不良として第2センサ91bにより検出されるようになっている。
【0025】
<第1実施形態の変形例1>
次に、
図7を用いて第1実施形態の変形例1を説明する。
本変形例に係る流路閉塞状態検出装置100は、以下に説明する点で、上記の第1実施形態に係る流路閉塞状態検出装置100と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態に係る流路閉塞状態検出装置100と同様に構成されている。
【0026】
本変形例の場合、駆動部(本変形例の場合、シリンジ駆動部55)は、共通のアクチュエータ(本変形例の場合、シリンジ駆動モータ97)の動力をプランジャ把持部材38の移動用の動力と本体部53の移動用の動力とに分配する分配機構98(
図7参照)を有する。よって、プランジャ把持部材38と本体部53とを、それぞれ共通のアクチュエータの動力によって、上下に移動させることができる。
より詳細には、第1アクチュエータ及び第2アクチュエータがそれぞれ駆動することによって、プランジャ把持部材38と本体部53とは互いに同期して第1方向又は第2方向に移動する。
このような構成によれば、本体部53を介さずに、アクチュエータ(シリンジ駆動モータ97)の動力によって、プランジャ把持部材38を上下に移動させることができる。よって、駆動部がプランジャ37を上下に移動させる際に、本体部53からプランジャ把持部材38を伝達経路とすることなく、駆動部の駆動力がプランジャ37に伝達されるので、把持部38aや軸支部39c等に加わる負荷を低減することができる。よって、第1実施形態と比較して、本体部53からプランジャ把持部材38にかけての部位の剛性を小さくすることができる。すなわち、本体部53及びプランジャ把持部材38の各々は、第1実施形態と比較して、構造的に脆弱なものでも足りる。
【0027】
より詳細には、本変形例の場合、分配機構98によって分配されるプランジャ把持部材38の移動用の動力は、通常状態におけるプランジャ37を上方又は下方に移動させるのに要する力よりも大きくなるように構成されている。このため、本体部53が上方に移動する際に、プランジャ37及び把持部38aの上方の移動量と、本体部53及び軸支部39cの上方への移動量と、が互いに略同等となる。同様に、本体部53が下方に移動する際に、プランジャ37及び把持部38aの下方への移動量と、本体部53及び軸支部39cの下方への移動量と、が互いに略同等となる。よって、第1センサ91a及び第2センサ91bが移動不良を検出しないので、制御部90は、流路40が閉塞していないと判定する。
一方、閉塞状態においては、プランジャ37を上方に移動させるのに要する力が、分配機構98によって分配されるプランジャ把持部材38の移動用の動力よりも大きくなる。よって、第1実施形態と同様に、プランジャ把持部材38を第1方向に移動させる際に、閉塞状態において、プランジャ把持部材38は上方への移動を開始できない又は当該移動途中で停止する一方で、本体部53はプランジャ把持部材38に対して相対的に上方へ移動することとなる。この結果、プランジャ把持部材38は、本体部53に対して相対的に第1揺動方向へ揺動し、棒状部39の他端部39bが第1センサ91aに接触する。
同様に、閉塞状態においては、プランジャ37を下方に移動させるのに要する力が、分配機構98によって分配されるプランジャ把持部材38の移動用の動力よりも大きくなる。よって、第1実施形態と同様に、プランジャ把持部材38を下方に移動させる際に、例えば、第1アクチュエータにおいて動作不良が発生した場合に、プランジャ把持部材38は下方への移動を開始できない又は当該移動途中で停止する一方で、本体部53はプランジャ把持部材38に対して相対的に下方へ移動することとなる。この結果、プランジャ把持部材38は、本体部53に対して相対的に第2揺動方向へ揺動し、棒状部39の他端部39bが第2センサ91bに接触する。
【0028】
本変形例の場合、駆動部(シリンジ駆動部55)は、アクチュエータ(本変形例の場合、シリンジ駆動モータ97)の駆動力をプランジャ把持部材38に伝達する第1駆動伝達機構(不図示)と、シリンジ駆動モータ97の駆動力を本体部53に伝達する第2駆動伝達機構(不図示)と、を有する。そして、アクチュエータの動力は、複数のギア等の機械的要素を備える分配機構によって、第1駆動伝達機構と、第2駆動伝達機構と、にそれぞれ伝達される。したがって、アクチュエータの動力によって、第1方向又は第2方向へと、プランジャ把持部材38と本体部53とを互いに同期させて移動させるようになっている。なお、プランジャ把持部材38と本体部53とは、互いに同等の速度、同等の距離、同様の移動方向及び同様のタイミングで移動するように設定されている。
【0029】
なお、本変形例の場合、本体部53からプランジャ把持部材38を伝達経路とすることなく、駆動部の駆動力がプランジャ37に伝達されるので、軸支部39cの静止摩擦力は、例えば、通常状態においてプランジャ37を上方又は下方に移動させるのに要する力よりも小さくてもよく、プランジャ把持部材38が本体部53に対して相対的に上方又は下方に移動したら、スムーズに移動(揺動)する程度の静止摩擦力でよい。
【0030】
<第1実施形態の変形例2>
次に、第1実施形態の変形例2を説明する。
本変形例に係る流路閉塞状態検出装置100は、以下に説明する点で、上記の第1実施形態に係る流路閉塞状態検出装置100と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態に係る流路閉塞状態検出装置100と同様に構成されている。
【0031】
本変形例の場合、駆動部(シリンジ駆動部55)は、プランジャ把持部材38を移動させる第1アクチュエータ(不図示)と、本体部53を移動させる第2アクチュエータ(不図示)と、を有する。プランジャ37をシリンジ本体36に対して引き上げる動作又は押し下げる動作を行う際には、第1アクチュエータ及び第2アクチュエータがそれぞれ駆動することによって、プランジャ把持部材38と本体部53とは互いに同方向に移動する。
より詳細には、1アクチュエータ及び第2アクチュエータがそれぞれ駆動することによって、プランジャ把持部材38と本体部53とは互いに同期して第1方向又は第2方向に移動する。
このような構成によっても、本体部53を介さずに、アクチュエータ(第1アクチュエータ)の動力によって、プランジャ把持部材38を上下に移動させることができる。よって、駆動部55がプランジャ37を上下に移動させる際に、本体部53からプランジャ把持部材38に力を伝達させる必要がないので、把持部38aや軸支部39c等に加わる負荷を低減することができる。よって、第1実施形態と比較して、本体部53からプランジャ把持部材38にかけての部位の剛性を小さくすることができる。すなわち、本体部53及びプランジャ把持部材38の各々は、第1実施形態と比較して、構造的に脆弱なものでも足りる。
更には、本変形例の場合、流路閉塞状態検出装置100は、流路40における閉塞の有無を判定できる上、第1アクチュエータの不具合に起因してプランジャ把持部材38の移動不良が発生した場合も、制御部90は、第1センサ91a及び第2センサ91bによって当該移動不良を検出することができる。
【0032】
より詳細には、本変形例の場合、プランジャ把持部材38を第1方向に移動させる際に、例えば、第1アクチュエータの不具合に起因してプランジャ把持部材38の移動不良が発生した場合に、プランジャ把持部材38は第1方向への移動を開始できない又は当該移動途中で停止する一方で、本体部53は、第2アクチュエータによって駆動されるので、プランジャ把持部材38に対して相対的に第1方向へ移動することとなる。この結果、プランジャ把持部材38は、本体部53に対して相対的に第1揺動方向へ揺動し、棒状部39の他端部39bが第1センサ91aに接触する。
同様に、プランジャ把持部材38を第2方向に移動させる際に、例えば、第1アクチュエータにおいて動作不良が発生した場合に、プランジャ把持部材38は第2方向への移動を開始できない又は当該移動途中で停止する一方で、本体部53は、第2アクチュエータによって駆動されるので、プランジャ把持部材38に対して相対的に第2方向へ移動することとなる。この結果、プランジャ把持部材38は、本体部53に対して相対的に第2揺動方向へ揺動し、棒状部39の他端部39bが第2センサ91bに接触する。
したがって、本変形例によれば、第1アクチュエータの不具合に起因してプランジャ把持部材38の移動不良が発生した場合も、制御部90は、第1センサ91a及び第2センサ91bによって当該移動不良を検出し、報知部93に報知を行わせることができる。また、同様に、第1アクチュエータの動力をプランジャ把持部材38に伝達する第1駆動伝達機構の不具合も、第1センサ91a及び第2センサ91bによって検出できる。
【0033】
本変形例の場合、シリンジ駆動部55は、第1アクチュエータとして、第1シリンジ駆動モータ(不図示)を備えており、第2アクチュエータとして、第2シリンジ駆動モータ(不図示)を備えている。
シリンジ駆動部55は、第1アクチュエータ(第1シリンジ駆動モータ)の動力をプランジャ把持部材38に伝達する第1駆動伝達機構(不図示)と、第2アクチュエータ(第2シリンジ駆動モータ)の動力を本体部53に伝達する第2駆動伝達機構(不図示)と、を有する。したがって、別個のアクチュエータの動力によって、プランジャ37を上下に移動させることができるとともに、独立して本体部53を上下に移動させることができる。なお、第1アクチュエータと第2アクチュエータとは、互いに同等の速度、同等の距離、同様の移動方向及び同様のタイミングで移動するように設定されている。
第1アクチュエータ及び第1アクチュエータの各々は、一例として、ステッピングモータである。
【0034】
なお、本変形例の場合、プランジャ把持部材38及び本体部53は、それぞれ固有の駆動源(第1アクチュエータ及び第2アクチュエータ)を有するので、本体部53と軸支部39cとの間の静止摩擦力は、例えば、通常状態においてプランジャ37を上方又は下方に移動させるのに要する力よりも小さくてもよく、プランジャ把持部材38が本体部53に対して相対的に上方又は下方に移動したら、スムーズに移動(揺動)する程度の静止摩擦力でよい。
【0035】
また、本変形例の場合、流路閉塞状態検出装置100は、プランジャ把持部材38を移動させる駆動源と、本体部53を移動させる駆動源と、それぞれの別個の駆動源(第1アクチュエータ及び第2アクチュエータ)を有するので、プランジャ把持部材38は、必ずしも本体部53によって保持されていなくてもよい。この場合、閉塞状態において(又は第1アクチュエータにおいて移動不良が発生した場合)、本体部53及びプランジャ把持部材38がそれぞれ第1方向に移動する際には、プランジャ把持部材38は、水平方向に延在した姿勢を維持しつつ、第1方向へ移動を開始できない又は当該移動の途中で停止する一方で、本体部53はプランジャ把持部材38に対して相対的に第1方向へ移動することとなる。すなわち、閉塞状態においてシリンジ本体36からのプランジャ37の引き抜き操作を行う際の、本体部53に対するプランジャ把持部材38との相対的な移動方向(第1相対移動方向)は第2方向(下方)である。本体部53が第1方向へ移動するのに伴って、プランジャ把持部材38と第1センサ91aとの上下方向における離間距離が徐々に小さくなる結果、プランジャ把持部材38と第1センサ91aとが互いに接触する。よって、第1センサ91aは、流路40における閉塞又は第1アクチュエータの移動不良を検出できる。
同様に、閉塞状態において(又は第1アクチュエータにおいて移動不良が発生した場合)、本体部53及びプランジャ把持部材38がそれぞれ第2方向に移動する際には、プランジャ把持部材38は、水平状態を維持しつつ、第2方向へ移動を開始できない又は当該移動の途中で停止する一方で、本体部53はプランジャ把持部材38に対して相対的に第2方向へ移動することとなる。すなわち、閉塞状態においてシリンジ本体36に対するプランジャ37の押し込み操作を行う際の、プランジャ把持部材38と本体部53との相対的な移動方向(第2相対移動方向)は第1方向(上方)である。本体部53が第2方向へ移動するのに伴って、プランジャ把持部材38の他端部39bと第2センサ91bとの上下方向における離間距離が徐々に小さくなる結果、第2センサ91bは他端部39bに対して接触する。よって、第2センサ91bは、流路40における閉塞又は第1アクチュエータの移動不良を検出できる。
【0036】
〔第2実施形態〕
次に、
図8及び
図9を用いて第2実施形態を説明する。
本実施形態に係る流路閉塞状態検出装置100は、以下に説明する点で、上記の第1実施形態に係る流路閉塞状態検出装置100と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態に係る流路閉塞状態検出装置100と同様に構成されている。
【0037】
本実施形態の場合、流路閉塞状態検出装置100は、一例として、放射性薬剤67(
図8参照)を被験者に投与するために用いられる。
放射性薬剤67は、液状のものである。放射性薬剤67の種類は特に限定されないが、放射性薬剤67としては、例えば、PET(陽電子断層診断法:Positron Emission Tomography)検査用の短寿命核種を含む放射性薬剤、例えばFDG(フッ素18で標識されたグルコース誘導体:[
18F]-2-deoxy-2-fluoro-D-glucose)、[
18F]フルテメタモル、[
18F]フロルベタピル、[
18F]fluciclovine、[
18F]フルオロチミジン(FLT)、[
18F]フルオロミソニダゾール、FDOPA(フッ素18で標識された製剤:L-3,4-dihydroxy-6-[
18F]-fluorophenylalanine)、FDA(6-[
18F]-fluorodopamine)、[
18F]フッ化ナトリウム、[
11C]メチオニン、[
11C]酢酸、[
11C]コリン誘導体、[
13N]アンモニア等がある。また、放射性薬剤67は、
99mTc、
123I、
131I、
201Tl、
67Ga、
51Cr等の放射性同位元素核種からなる治療用および検査用注射液であってもよい。
【0038】
より詳細には、
図8及び
図9に示すように、流路閉塞状態検出装置100は、例えば、放射性薬剤67が収容された遮蔽容器66に差し込まれて当該遮蔽容器66から放射性薬剤67を抽出する抽出針26と、抽出針26を遮蔽容器66に差し込む動作と遮蔽容器66から引き抜く動作とを行う抽出針駆動部59aと、を有する。
抽出針駆動部59aは、抽出針駆動モータ94(
図9参照)と、抽出針駆動モータ94の駆動力を抽出針26に伝達する駆動伝達機構(不図示)を有しており、抽出針駆動モータ94の駆動によって、抽出針26を遮蔽容器66に対して近づく方向及びその反対方向(本実施形態の場合、上下方向)に移動させることができるように構成されている。
なお、抽出針駆動部59aの駆動源は特に限定されず、シリンダ等の抽出針駆動モータ94以外のアクチュエータを駆動源としてもよい。
【0039】
また、流路閉塞状態検出装置100は、例えば、遮蔽容器66に差し込まれるエア針29と、エア針29を遮蔽容器66に差し込む動作と遮蔽容器66から引き抜く動作とを行うエア針駆動部59bと、を更に有する。
エア針駆動部59bは、エア針駆動モータ95と、エア針駆動モータ95の駆動力をエア針29に伝達する駆動伝達機構(不図示)を有しており、エア針駆動モータ95の駆動によって、エア針29を遮蔽容器66に対して近づく方向及びその反対方向(本実施形態の場合、エア針29の延在方向)に移動させることができるように構成されている。
なお、エア針駆動部59bの駆動源は特に限定されず、シリンダ等のエア針駆動モータ95以外のアクチュエータを駆動源としてもよい。
【0040】
更に、本実施形態の場合、制御部90は、シリンジ本体36の貯液部36aに流路40を介して生理食塩水77を導入し、導入させた生理食塩水77を、シリンジ本体36から注出して被験者に投与する処理を行うことが可能である。
シリンジ本体36に生理食塩水77を導入することで、シリンジ本体36の内面に残留した放射性薬剤67を生理食塩水77によってすすぎ落し、その後、放射性薬剤67と生理食塩水77との混合液を抽出することによって、当該混合液を被験者に投与することができる。このため、放射性薬剤67がシリンジ本体36の内面や流路40に残留してしまうことを抑制できる。
【0041】
生理食塩水77としては、例えば、生理食塩水を用いることができる。また、生理食塩水としては、例えば、10μmolのマンニトール生理食塩水やエタノール生理食塩水、あるいはグルコース生理食塩水を用いることが、RCP(Radio Chemical Purity:放射化学的純度)低下防止の観点から好ましい。
【0042】
ここで、本実施形態の場合、シリンジ本体36に連通している流路40が複数の分枝流路41に分枝している。
より詳細には、
図8に示すように、複数の分枝流路41は、例えば、3つの分枝流路41を含み、各分枝流路41が、それぞれ抽出流路42、投与流路43及び生理食塩水77の流路44となっている。
抽出流路42は、シリンジ本体36と抽出針26の内腔とを相互に連通させている。遮蔽容器66から放射性薬剤67を吸引する際には、放射性薬剤67は抽出流路42を流動してシリンジ本体36に流入する。
投与流路43は、シリンジ本体36と被験者の体内とを相互に連通させている。放射性薬剤67を被験者に投与する際には、放射性薬剤67は投与流路43を流動して被験者の体内に流入する。
生理食塩水77の流路44は、シリンジ本体36と収容パック76とを相互に連通させている。生理食塩水77を収容パック76から吸引する際には、生理食塩水77は生理食塩水77の流路44を流動してシリンジ本体36に流入する。
【0043】
更に、
図8に示すように、流路閉塞状態検出装置100は、複数の分枝流路41を形成する複数の流路チューブ31を備えている。
より詳細には、複数の流路チューブ31は、例えば、第1流路チューブ31aと、第2流路チューブ31bと、第3流路チューブ31cと、を含んでいる。
第1流路チューブ31aは、シリンジ本体36と抽出針26とを接続するものであり、抽出流路42を形成している。
第3流路チューブ31cは、シリンジ本体36と収容パック76とを接続するものであり、生理食塩水77の流路44を形成している。
第2流路チューブ31bは、シリンジ本体36と被験者とを接続するものであり、投与流路43を形成している。
【0044】
第1流路チューブ31a~第3流路チューブ31cの各々は、例えば、ポリイミド樹脂、あるいはフッ素樹脂やシリコーン樹脂等を材料にする小径の細管である。これにより、放射性薬剤67と第1流路チューブ31a~第3流路チューブ31cの内面との間に生じる摩擦が小さくなるので、当該内面に放射性薬剤67が残り難く、放射性薬剤67を効率的に被験者に投与することができる。
【0045】
また、本実施形態の場合、
図8に示すように、三方活栓33は、第1流路チューブ31aと第2流路チューブ31bとの間に配置されている第1三方活栓33a及び第2三方活栓33bを含む。
第1三方活栓33aと第2三方活栓33bとは、例えば、互いに直接的に接続されている。第1三方活栓33aは、例えば、シリンジ34及び第1流路チューブ31aの各々に対して直接的に接続されている。第2三方活栓33bは、例えば、第2流路チューブ31b及び第3流路チューブ31cの各々に対して直接的に接続されている。また、第1三方活栓33aは、第2三方活栓33bを介して第2流路チューブ31bと接続されており、第2三方活栓33bは、第1三方活栓33aを介してシリンジ34と接続されている。
三方活栓駆動部63は、三方活栓駆動モータ96a(
図9参照)と、三方活栓駆動モータ96aの駆動力を第1三方活栓33aに伝達する駆動伝達機構(不図示)と、を有しており、三方活栓駆動モータ96aの駆動によって、第1三方活栓33aの切り替えが行われるように構成されている。同様に、三方活栓駆動部63は、三方活栓駆動モータ96b(
図9参照)と、三方活栓駆動モータ96bの駆動力を第2三方活栓33bに伝達する駆動伝達機構(不図示)と、を有しており、三方活栓駆動モータ96bの駆動によって、第2三方活栓33bの切り替えが行われるように構成されている。
なお、第1三方活栓33a及び第2三方活栓33bの各々は、手動によって切り替えられてもよい。
【0046】
また、本実施形態の場合、制御部90は、抽出針駆動モータ94、エア針駆動モータ95、シリンジ駆動モータ97及び三方活栓駆動モータ96の各々の動作を制御する。制御部90が抽出針駆動モータ94の動作制御を行うことによって、抽出針26が上下動する。同様に、制御部90がエア針駆動モータ95の動作制御を行うことによって、エア針29が当該エア針29の延在方向に沿って移動し、制御部90がシリンジ駆動モータ97の動作制御を行うことによって、プランジャ37が上下動する。また、制御部90が三方活栓駆動モータ96の動作制御を行うことによって、第1三方活栓33a、第2三方活栓33b及び第3三方活栓33cがそれぞれ回転する。
【0047】
このような構成の流路閉塞状態検出装置100によれば、以下に列挙する動作が可能となる。
流路切換機構57を駆動させて第1三方活栓33aを回転させることによって流路を切り替えて、第1流路チューブ31aとシリンジ34とを相互に連通させる。この状態で、プランジャ37を上方に移動させることで、遮蔽容器66から抽出針26及び第1流路チューブ31a等を介してシリンジ34に放射性薬剤67を吸引し、該シリンジ34に放射性薬剤67を貯留させる動作。
流路切換機構57を駆動させて第1三方活栓33a及び第2三方活栓33bをそれぞれ回転させることによって流路を切り替えて、シリンジ34と第2流路チューブ31bとを相互に連通させる。この状態で、プランジャ37を下方に移動させることで、シリンジ34内の放射性薬剤67を第2流路チューブ31b及び第4流路チューブ31d等を介して被験者に投与する動作。
流路切換機構57を駆動させて第1三方活栓33a及び第2三方活栓33bをそれぞれ回転させることによって流路を切り替えて、シリンジ34と第3流路チューブ31cとを相互に連通させる。この状態で、プランジャ37を上方に移動させることで、収容パック76から第3流路チューブ31cを介してシリンジ34に生理食塩水77を吸引し、該シリンジ34に生理食塩水77を貯留させる動作。
流路切換機構57を駆動させて第1三方活栓33a及び第2三方活栓33bをそれぞれ回転させることによって流路を切り替えて、シリンジ34と第3流路チューブ31cとを相互に連通させた状態で、プランジャ37を下方に移動させることで、流路40に残留する放射性薬剤67をシリンジ34内の生理食塩水77で押し流して、該放射性薬剤67を被験者に投与する動作。
【0048】
また、本実施形態の場合、流路閉塞状態検出装置100は、以下に説明するようにして各分枝流路41が閉塞しているか否かを検出する。
抽出流路42において閉塞が発生している場合、第1実施形態で説明した動作と同様にシリンジ34のプランジャ37をシリンジ本体36に対して相対的に上昇させる際に、本体部53は、通常状態と同様に上方に移動する一方で、プランジャ37及び把持部38aは、上方への移動を開始できないか又は移動途中で停止する。この結果、プランジャ把持部材38は、本体部53に対して相対的に第1揺動方向へ揺動し、棒状部39の他端部39bが第1センサ91aに接触する。これにより、抽出流路42における閉塞の発生が検出される。
投与流路43において閉塞が発生している場合、第1実施形態で説明した動作と同様にシリンジ34のプランジャ37をシリンジ本体36に対して相対的に押し下げる際に、本体部53及び軸支部39cは、通常状態と同様に下方に移動する一方で、プランジャ37及び把持部38aの各々は、下方への移動を開始できない又は移動途中で停止する。この結果、プランジャ把持部材38は、本体部53に対して相対的に第2揺動方向へ揺動し、棒状部39の他端部39bが第2センサ91bに接触する。これにより、投与流路43における閉塞の発生が検出される。
生理食塩水77の流路44において閉塞が発生している場合、第1実施形態で説明した動作と同様に、シリンジ34のプランジャ37をシリンジ本体36に対して相対的に上昇させる際に、本体部53及び軸支部39cは、通常状態と同様に上方に移動する一方で、プランジャ37及び把持部38aの各々は、上方への移動を開始できない又は移動途中で停止する。この結果、プランジャ把持部材38は、本体部53に対して相対的に第1揺動方向へ揺動し、棒状部39の他端部39bが第1センサ91aに接触する。これにより、生理食塩水77の流路44における閉塞の発生が検出される。
このように、本実施形態によれば、各分枝流路41における閉塞の有無を検出することができる。
【0049】
なお、本実施形態の場合も、第1実施形態の変形例1又は変形例2と同様に、本体部53を介さずに、アクチュエータの動力によって、プランジャ把持部材38を上下に移動させることができるように構成されていてもよい。
【0050】
〔第3実施形態〕
次に、
図10及び
図11を用いて第3実施形態を説明する。
本実施形態に係る流路閉塞状態検出装置100は、以下に説明する点で、上記の第1及び第2実施形態とその変形例に係る流路閉塞状態検出装置100と相違しており、その他の点では、上記の第1及び第2実施形態とその変形例に係る流路閉塞状態検出装置100と同様に構成されている。
【0051】
本実施形態の場合、
図10に示すように、流路閉塞状態検出装置100は、シリンジ34として、第1シリンジ34aと、第2シリンジ34bと、を有する。
第1シリンジ34aは、例えば、流路40に残留する放射性薬剤67を押し流すための生理食塩水77を貯留するものである。
第2シリンジ34bは、例えば、遮蔽容器66から抜き取られた放射性薬剤67を貯留するものである。
ただし、第1シリンジ34aが、例えば、遮蔽容器66から放射性薬剤67を吸引するとともに貯留するものであり、第2シリンジ34bが、例えば、流路40に残留する放射性薬剤67を押し流すための生理食塩水77を貯留するものであってもよい。
【0052】
より詳細には、本実施形態の場合、流路閉塞状態検出装置100は、例えば、第1シリンジ34aのプランジャ37を把持するプランジャ把持部材38bと、プランジャ把持部材38bを保持する第1本体部(不図示)と、第2シリンジ34bのプランジャ37を把持するプランジャ把持部材38cと、プランジャ把持部材38cを保持する第2本体部(不図示)と、を備えている。
第1本体部及び第2本体部の各々は、第1実施形態の
図1に示す本体部53と同様に構成されている。
より詳細には、第1実施形態における本体部53とプランジャ把持部材38との関係と同様に、第1方向又は第2方向へと、プランジャ把持部材38bと第1本体部とを互いに同方向に移動させるようになっている。
また、第1本体部には、第1センサ91a及び第2センサ91bがそれぞれ設けられており、プランジャ把持部材38bが第1センサ91a又は第2センサ91bに接触することによって、プランジャ把持部材38bの移動不良が検出されるようになっている。
同様に、第1実施形態における本体部53とプランジャ把持部材38との関係と同様に、第1方向又は第2方向へと、プランジャ把持部材38cと第2本体部とを互いに同方向に移動させるようになっている。
また、第2本体部には、第3センサ91c(本体部53の第1センサ91aに相当)及び第4センサ91d(本体部53の第2センサ91bに相当)がそれぞれ設けられており、プランジャ把持部材38cが第3センサ91c又は第4センサ91dに接触することによって、プランジャ把持部材38cの移動不良が検出されるようになっている。
【0053】
図11に示すように、更に、シリンジ駆動部55は、例えば、プランジャ把持部材38bを移動させるシリンジ駆動部55aと、プランジャ把持部材38cを移動させるシリンジ駆動部55bと、を備えている。
シリンジ駆動部55aは、シリンジ駆動モータ97aと、シリンジ駆動モータ97aの駆動力を第1本体部に伝達する駆動伝達機構(不図示)を有しており、シリンジ駆動モータ97aの駆動によって、第1方向又は第2方向へと、プランジャ把持部材38bと第1本体部とを互いに同方向に移動させることができるように構成されている。
同様に、シリンジ駆動部55bは、シリンジ駆動モータ97bと、シリンジ駆動モータ97bの駆動力を第2本体部に伝達する駆動伝達機構(不図示)を有しており、シリンジ駆動モータ97bの駆動によって、第1方向又は第2方向へと、プランジャ把持部材38cと第2本体部とを互いに同方向に移動させるように構成されている。
なお、本発明において、シリンジ駆動部55a、55bのアクチュエータはモータ(シリンジ駆動モータ97a、97b)に限定されず、シリンダ等であってもよい。
【0054】
また、本実施形態の場合、三方活栓33は、第1三方活栓33a及び第2三方活栓33bに加えて、第1三方活栓33aと第2三方活栓33bとの間に配置されている第3三方活栓33cを更に含む。
第3三方活栓33cは、例えば、第1三方活栓33aと第2三方活栓33bとの各々に対して直接的に接続されている。更に、例えば、第3三方活栓33cは、第2シリンジ34bに対して直に接続されており、第1三方活栓33aは、第1シリンジ34aに対して接続されている。
三方活栓駆動部63は、第3三方活栓駆動モータ96cと、第3三方活栓駆動モータ96cの駆動力を第3三方活栓33cに伝達する駆動伝達機構(不図示)と、を有しており、第3三方活栓駆動モータ96cの駆動によって、第3三方活栓33cの切り替えが行われるように構成されている。なお、第3三方活栓33cも、第1三方活栓33a及び第2三方活栓33bの各々と同様に、手動によって切り替えられてもよい。
【0055】
このような構成の流路閉塞状態検出装置100によれば、以下に列挙する動作が可能となる。
流路切換機構57を駆動させて第1三方活栓33a及び第3三方活栓33cを回転させることによって流路を切り替えて、第1流路チューブ31aと第2シリンジ34bとを相互に連通させる。この状態で、第2シリンジ34bのプランジャ37を上方に移動させることで、遮蔽容器66から抽出針26及び第1流路チューブ31a等を介して第2シリンジ34bに放射性薬剤67を吸引し、第2シリンジ34bに放射性薬剤67を貯留させる動作。
流路切換機構57を駆動させて第2三方活栓33b及び第3三方活栓33cをそれぞれ回転させることによって流路を切り替えて、第2シリンジ34bと第2流路チューブ31bとを相互に連通させる。この状態で、第2シリンジ34bのプランジャ37を下方に移動させることで、第2シリンジ34b内の放射性薬剤67を第2流路チューブ31b及び第4流路チューブ31d等を介して被験者に投与する動作。
流路切換機構57を駆動させて第1三方活栓33a~第3三方活栓33cをそれぞれ回転させることによって流路40を切り替えて、第1シリンジ34aと第3流路チューブ31cとを相互に連通させる。この状態で、第1シリンジ34aのプランジャ37を上方に移動させることで、収容パック76から第3流路チューブ31c等を介して第1シリンジ34aに生理食塩水77を吸引し、該第1シリンジ34aに生理食塩水77を貯留させる動作。
流路切換機構57を駆動させて第1三方活栓33a~第3三方活栓33cをそれぞれ回転させることによって流路を切り替えて、第1シリンジ34aと第2流路チューブ31bとを相互に連通させた状態で、第1シリンジ34aのプランジャ37を下方に移動させることで、流路40に残留する放射性薬剤67をシリンジ34内の生理食塩水77で押し流して、該放射性薬剤67を被験者に投与する動作。
【0056】
また、本実施形態の場合、流路閉塞状態検出装置100は、以下に列挙する動作によって各分枝流路41における閉塞の有無を検出する。
抽出流路42において閉塞が発生している場合、第1実施形態で説明した動作と同様に第2シリンジ34bのプランジャ37をシリンジ本体36に対して相対的に上昇させる際に、プランジャ37及び把持部38aの各々は、第1方向へ移動しないか又は移動途中で停止する。一方、第2本体部及び軸支部39cの各々は、第1方向へ移動する。この結果、プランジャ把持部材38cは、第2本体部に対して相対的に第1揺動方向へ揺動し、棒状部39の他端部39bが第3センサ91cに接触する。これにより、抽出流路42における閉塞の発生が検出される。
投与流路43において閉塞が発生している場合、第2シリンジ34bのプランジャ37をシリンジ本体36に対して相対的に押し下げる際に、プランジャ37及び把持部38aの各々は、第2方向へ移動しない又は移動途中で停止する。一方、第2本体部及び軸支部39cの各々は、第2方向へ移動する。この結果、プランジャ把持部材38cは、第2本体部に対して相対的に第2揺動方向へ揺動し、棒状部39の他端部39bが第4センサ91dに接触する。これにより、投与流路43における閉塞の発生が検出される。
生理食塩水の流路44において閉塞が発生している場合、第1シリンジ34aのプランジャ37をシリンジ本体36に対して相対的に上昇させる際に、プランジャ37及び把持部38aの各々は、第1方向へ移動しない又は移動途中で停止する。一方、第1本体部及び軸支部39cは第1方向へ移動する。この結果、プランジャ把持部材38bは、第1本体部に対して相対的に第1揺動方向へ揺動し、棒状部39の他端部39bが第1センサ91aに接触する。これにより、生理食塩水の流路44における閉塞の発生が検出される。
このように、本実施形態によっても、各分枝流路41における閉塞の有無を検出することができる。
【0057】
なお、本実施形態の場合も、第1実施形態の変形例1又は変形例2と同様に、本体部53を介さずに、アクチュエータの動力によって、プランジャ把持部材38を上下に移動させることができるように構成されていてもよい。
【0058】
〔第4実施形態〕
次に、
図12を用いて第4実施形態を説明する。
本実施形態に係る流路閉塞状態検出装置100は、以下に説明する点で、上記の第1~3実施形態とその変形例に係る流路閉塞状態検出装置100と相違しており、その他の点では、上記の第1~3実施形態とその変形例に係る流路閉塞状態検出装置100と同様に構成されている。
【0059】
本実施形態では、
図12に示すように、流路閉塞状態検出装置100を備える投与装置110に、脱着カセット10が装着されている例を説明する。
より詳細には、脱着カセット10が、例えば、三方活栓33(第1三方活栓33a~第3三方活栓33c)を保持する切換部材保持部14と、各シリンジ34を保持するシリンジ保持部15(第1シリンジ保持部15a及び第2シリンジ保持部15b)と、を有する。
また、投与装置110は、装置ハウジング50を備えており、脱着カセット10は、装置ハウジング50に対して着脱可能に装着される。
装置ハウジング50には、第1実施形態の
図1に示すものと同様の本体部53(第1本体部及び第2本体部)、シリンジ駆動部55、抽出針駆動部59a、エア針駆動部59b、制御部90、報知部93、がそれぞれ設けられている。より詳細には、装置ハウジングの内部に、例えば、制御部90、報知部93、抽出針駆動モータ94、エア針駆動モータ95、シリンジ駆動モータ97及び三方活栓駆動モータ96の各々が配置されている。また、装置ハウジング50は、例えば、放射性薬剤67が収容された遮蔽容器66が配置される容器配置部64を備えている。
図12に示すように、容器配置部64は、抽出針26及びエア針29の各々の下方に配置されている。
【0060】
このような構成によれば、脱着カセット10によって流路チューブ31、三方活栓33及びシリンジ34を保持させた状態で、脱着カセット10を装置ハウジング50に装着することにより、流路チューブ31、三方活栓33及びシリンジ34といった使い捨て部品の装置ハウジング50へのセッティングを容易に行うことができる。また、放射性薬剤の投与後は、これら使い捨て部品を脱着カセット10ごと装置ハウジング50から容易に取り外すことができる。
【0061】
本実施形態の場合、第1本体部及び第2本体部の各々は、装置ハウジング50の内部に設けられている。第1本体部及び第2本体部の各々は、例えば、板面が左右方向を向いている。また、通常状態において、プランジャ把持部材38b、38cの各々の棒状部39は、例えば、前後方向に延在している。より詳細には、棒状部39の一端部39a(把持部38a)は、装置ハウジング50の前面側に位置しており、棒状部39の他端部39bは、装置ハウジング50の背面側に位置している。
【0062】
図12に示すように、本実施形態の場合、脱着カセット10は、更に、例えば、第1針ベース21aと第2針ベース21bとの2つの針ベース21を備えている。
図12に示すように、例えば、第1針ベース21aには抽出針26が着脱可能に装着され、第2針ベース21bにはエア針29が着脱可能に装着される。
第1針ベース21aは、抽出針駆動部59aと機械的に連結されており、抽出針駆動部59aの移動に連動して第1針ベース21a及び抽出針26が移動する状態となる。
同様に、第2針ベース21bは、エア針駆動部59bと機械的に連結されており、エア針駆動部59bの移動に連動して第2針ベース21b及びエア針29が移動する状態となる。
【0063】
また、本実施形態の場合、例えば、3つの切換部材保持部14が横並びに配置されている。これら3つの切換部材保持部14の各々が、ひとつずつの三方活栓33(第1三方活栓33a、第2三方活栓33b及び第3三方活栓33c)を保持している。
【0064】
流路切換機構57と切換部材保持部14とが機械的に連結され、流路切換機構57が回転するのに連動して、切換部材保持部14と、切換部材保持部14によって保持されている三方活栓33と、が回転するようになる。
【0065】
更に、装置ハウジング50の前面側には第2シリンジ34bの前面側を開閉可能に覆うシリンジ遮蔽カバー68が設けられている。シリンジ遮蔽カバー68は、第2シリンジ保持部15bに第2シリンジ34bが装着された状態において、当該第2シリンジ34bの前方、左右両側方、上方及び下方を覆うことが可能である。
シリンジ遮蔽カバー68の少なくとも一部分は、例えば、タングステンや鉛等の放射線を遮蔽する材料によって構成されている。
【0066】
以上、図面を参照して各実施形態を説明したが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0067】
例えば、上記においては、プランジャ把持部材38が、例えば、本体部53に対して揺動可能に軸支されている例を説明したが、例えば、プランジャ把持部材38が、例えば、本体部53に対してスライド(摺動)可能に保持されていてもよい。この場合、例えば、プランジャ37を上方又は下方に移動させるのに要する力が、本体部53と軸支部39cとの間の静止摩擦力を上回った場合に、プランジャ把持部材38が本体部53に対して第1相対移動方向又は第2相対移動方向にスライド(摺動)することを、移動不良として検出する。
【0068】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)内部に貯液部を有するシリンジ本体と前記シリンジ本体に摺動可能に挿入されているプランジャとを有するシリンジの前記プランジャを把持する把持部を有するプランジャ把持部材と、
前記把持部により前記プランジャを把持した状態で、前記シリンジ本体に液体を吸引する方向である第1方向と、前記シリンジ本体から液体を注出する方向である第2方向と、にプランジャ把持部材を移動させる駆動部と、
前記シリンジ本体に連通している流路が閉塞している閉塞状態において、前記第1方向への前記プランジャ把持部材の動作が移動不良となることを検出する第1センサと、
前記第1センサが前記第1方向への前記プランジャ把持部材の移動不良を検出した場合に、その旨を報知する報知部と、
を備える流路閉塞状態検出装置。
(2)前記プランジャ把持部材を保持している本体部を備え、
前記駆動部は、前記第1方向又は前記第2方向へと、前記プランジャ把持部材と前記本体部とを互いに同方向に移動させるようになっており、
前記第1センサは、前記駆動部が前記プランジャ把持部材及び前記本体部を前記第1方向に移動させる際に、前記プランジャ把持部材が前記本体部に対して相対的に、前記第1方向に対する反対成分を持つ方向に移動することを、前記移動不良として検出する(1)に記載の流路閉塞状態検出装置。
(3)前記駆動部は、前記本体部を前記第1方向又は前記第2方向へと移動させるようになっており、
前記シリンジ本体に連通している前記流路が閉塞していない通常状態において、前記本体部が前記第1方向に移動する際には、前記プランジャ把持部材は、前記本体部に従動して前記第1方向に移動することにより、前記プランジャを前記シリンジ本体からの引き抜き方向に移動させるようになっている一方で、
前記閉塞状態において、前記本体部が前記第1方向に移動する際には、前記プランジャ把持部材は、前記本体部に対して相対的に、前記第1方向に対する反対方向の成分を持つ方向に移動する(2)に記載の流路閉塞状態検出装置。
(4)前記駆動部は、共通のアクチュエータの動力を前記プランジャ把持部材の移動用の動力と前記本体部の移動用の動力とに分配する分配機構を有する(2)に記載の流路閉塞状態検出装置。
(5)前記駆動部は、前記プランジャ把持部材を移動させる第1アクチュエータと、前記本体部を移動させる第2アクチュエータと、を有する(2)に記載の流路閉塞状態検出装置。
(6)前記プランジャ把持部材は、前記本体部に対して揺動可能に軸支されており、
前記シリンジ本体に連通している前記流路が閉塞していない通常状態において、前記本体部が前記第1方向に移動する際には、前記プランジャ把持部材は、前記本体部と一体に前記第1方向に移動することにより、前記プランジャを前記シリンジ本体からの引き抜き方向に移動させるようになっている一方で、
前記閉塞状態において、前記本体部が前記第1方向に移動する際には、前記プランジャ把持部材は、前記本体部に対して相対的に第1揺動方向へ揺動し、当該揺動が前記移動不良として前記第1センサにより検出されるようになっている(2)から(5)のいずれか一項に記載の流路閉塞状態検出装置。
(7)前記本体部に対する前記プランジャ把持部材の軸支部を基準として、前記第1センサと前記把持部とは互いに反対側に配置されている(6)に記載の流路閉塞状態検出装置。
(8)前記第1センサはタッチセンサである(1)から(7)のいずれか一項に記載の流路閉塞状態検出装置。
(9)前記シリンジ本体に連通している流路が閉塞している閉塞状態において、前記第2方向への前記プランジャ把持部材の動作が移動不良となることを検出する第2センサを更に備え、
前記報知部は、前記第2センサが前記第2方向への前記プランジャ把持部材の移動不良を検出した場合に、その旨を報知する(1)から(8)のいずれか一項に記載の流路閉塞状態検出装置。
【符号の説明】
【0069】
10 脱着カセット
14 切換部材保持部
15 シリンジ保持部
15a 第1シリンジ保持部
15b 第2シリンジ保持部
21 針ベース
21a 第1針ベース
21b 第2針ベース
26 抽出針
29 エア針
31 流路チューブ
31a 第1流路チューブ
31b 第2流路チューブ
31c 第3流路チューブ
33 三方活栓
33a 第1三方活栓
33b 第2三方活栓
33c 第3三方活栓
34 シリンジ
34a 第1シリンジ
34b 第2シリンジ
36 シリンジ本体
36a 貯液部
37 プランジャ
37a 押圧部
38 プランジャ把持部材
38a 把持部
38b、38c プランジャ把持部材
39 棒状部
39a 一端部
39b 他端部
39c 軸支部
40 流路
41 分枝流路
42 抽出流路
43 投与流路
44 生理食塩水の流路
50 装置ハウジング
53 本体部
53a 第1本体部
53b 第2本体部
55 シリンジ駆動部
55a シリンジ駆動部
55b シリンジ駆動部
57 流路切換機構
59a 抽出針駆動部
59b エア針駆動部
63 三方活栓駆動部
64 容器配置部
66 遮蔽容器
67 放射性薬剤
68 シリンジ遮蔽カバー
74 バイアル瓶
76 収容パック
77 生理食塩水
90 制御部
90a CPU
90b ROM
90C RAM
91a 第1センサ
91b 第2センサ
91c 第3センサ
91d 第4センサ
93 報知部
94 抽出針駆動モータ
95 エア針駆動モータ
96 三方活栓駆動モータ
96a 三方活栓駆動モータ
96b 三方活栓駆動モータ
96c 三方活栓駆動モータ
97 シリンジ駆動モータ
97a シリンジ駆動モータ
97b シリンジ駆動モータ
98 分配機構
100 流路閉塞状態検出装置
110 投与装置