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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155733
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】汚染土壌の処理方法
(51)【国際特許分類】
   B09C 1/08 20060101AFI20221006BHJP
   C09K 3/00 20060101ALI20221006BHJP
   C09K 17/10 20060101ALI20221006BHJP
   C09K 17/02 20060101ALI20221006BHJP
   C09K 17/14 20060101ALI20221006BHJP
   C09K 17/40 20060101ALI20221006BHJP
   C09K 17/44 20060101ALI20221006BHJP
   C09K 103/00 20060101ALN20221006BHJP
【FI】
B09C1/08
C09K3/00 S
C09K17/10 H
C09K17/02 H
C09K17/14 H
C09K17/40 H
C09K17/44 H
C09K103:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059104
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000240
【氏名又は名称】太平洋セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103539
【弁理士】
【氏名又は名称】衡田 直行
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100162145
【弁理士】
【氏名又は名称】村地 俊弥
(72)【発明者】
【氏名】七尾 舞
(72)【発明者】
【氏名】森 喜彦
(72)【発明者】
【氏名】松山 祐介
(72)【発明者】
【氏名】早川 隆之
【テーマコード(参考)】
4D004
4H026
【Fターム(参考)】
4D004AA41
4D004AB02
4D004CA15
4D004CA34
4D004CB21
4D004CC05
4D004CC13
4D004CC20
4D004DA03
4D004DA10
4H026AA03
4H026AA06
4H026AA07
4H026AB04
(57)【要約】
【課題】油類で汚染された汚染土壌から、簡易に油類の拡散を防止することができる汚染土壌の処理方法を提供する。
【解決手段】油類を含む汚染土壌と、生石灰、セメント系固化材、及び酸化マグネシウムから選ばれる少なくとも1種以上からなる処理材と、非イオン系界面活性剤を混合して、改質された土壌を得る、汚染土壌の処理方法であって、上記処理材と非イオン系界面活性剤の合計100質量%中、上記処理材の割合が90.0~99.9質量%であり、非イオン系界面活性剤の割合が0.1~10.0質量%であり、汚染土壌に、上記処理材と非イオン系界面活性剤を、上記処理材と非イオン系界面活性剤の合計量が、汚染土壌100質量部に対して1.0質量部以上、5.5質量部未満となる量で混合する汚染土壌の処理方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油類を含む汚染土壌と、生石灰、セメント系固化材、及び酸化マグネシウムから選ばれる少なくとも1種以上からなる処理材と、非イオン系界面活性剤を混合して、改質された土壌を得る、汚染土壌の処理方法であって、
上記処理材と上記非イオン系界面活性剤の合計100質量%中、上記処理材の割合が90.0~99.9質量%であり、上記非イオン系界面活性剤の割合が0.1~10.0質量%であり、
上記汚染土壌に、上記処理材と上記非イオン系界面活性剤を、上記処理材と上記非イオン系界面活性剤の合計量が、上記汚染土壌100質量部に対して1.0質量部以上、5.5質量部未満となる量で混合することを特徴とする汚染土壌の処理方法。
【請求項2】
上記処理材と上記非イオン系界面活性剤の合計100質量%中、上記処理材の割合が98.0~99.9質量%であり、上記非イオン系界面活性剤の割合が0.1~2.0質量%である請求項1に記載の汚染土壌の処理方法。
【請求項3】
上記非イオン系界面活性剤がポリオキシエチレンアルキルエーテルである請求項1又は2に記載の汚染土壌の処理方法。
【請求項4】
上記処理材中のフッ素の含有量が、800mg/kg以下である請求項1~3のいずれか1項に記載の汚染土壌の処理方法。
【請求項5】
上記油類が重油である請求項1~4のいずれか1項に記載の汚染土壌の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚染土壌の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工場やガソリンスタンドの跡地において、あるいは、事故や災害等による油類の漏出、流出等によって生じた、油類を含有する土が、地表又は地下水等の油汚染及び敷地周辺への油汚染の拡散の原因として問題となる場合がある。
油類を含む土壌の対策方法としては、セメント系固化材を用いた固化、掘削除去、土壌洗浄、加熱処理、生石灰処理、化学的酸化分解、原位置バイオレメディエージョン等が挙げられる。
油汚染土の固化処理材として、特許文献1には、重金属不溶化材およびセメント系固化材を含むことを特徴とする油汚染土の固化処理材が記載されている。
また、特許文献2には、重金属類、油等で汚染された土壌等を固化して、不溶化するための固化・不溶化材として、(1)軽焼マグネサイト及び/又は軽焼ブルーサイトと、(2)軽焼ドロマイトとを含み、前記(1)成分と(2)成分の重量比が1:5~5:1である固化・不溶化材であって、土壌、焼却灰、石炭灰、及び石膏ボードくずから選ばれた1種の被処理物に適用されるための、固化・不溶材が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-160169号公報
【特許文献2】特開2003-334526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
油類を含む土壌の対策方法の一つである生石灰処理は、オンサイト処理(現地に汚染土壌処理設備を設置し、掘削した土壌を、該設備を用いて処理すること)であり、生石灰の水和熱反応を利用して油類を揮発させて、活性炭等を用いて油類を吸着し、回収するものである。該方法によれば、短期間で汚染土壌の処理が可能である。
一方、生石灰処理では、油類の種類やその濃度によっては効果が不十分となったり、大量の生石灰が必要となるという問題がある。
本発明の目的は、簡易な方法で、油類で汚染された汚染土壌から、油類の拡散を防止することができる汚染土壌の処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、汚染土壌と、生石灰、セメント系固化材、及び酸化マグネシウムから選ばれる少なくとも1種以上からなる処理材と、非イオン系界面活性剤を混合する方法であって、上記処理材と非イオン系界面活性剤の合計100質量%中、上記処理材の割合が90.0~99.9質量%であり、非イオン系界面活性剤の割合が0.1~10.0質量%であり、汚染土壌に、上記処理材と非イオン系界面活性剤を、上記処理材と非イオン系界面活性剤の合計量が、汚染土壌100質量部に対して1.0質量部以上、5.5質量部未満となる量で混合する方法によれば、上記目的を達成できること見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[5]を提供するものである。
[1] 油類を含む汚染土壌と、生石灰、セメント系固化材、及び酸化マグネシウムから選ばれる少なくとも1種以上からなる処理材と、非イオン系界面活性剤を混合して、改質された土壌を得る、汚染土壌の処理方法であって、上記処理材と上記非イオン系界面活性剤の合計100質量%中、上記処理材の割合が90.0~99.9質量%であり、上記非イオン系界面活性剤の割合が0.1~10.0質量%であり、上記汚染土壌に、上記処理材と上記非イオン系界面活性剤を、上記処理材と上記非イオン系界面活性剤の合計量が、上記汚染土壌100質量部に対して1.0質量部以上、5.5質量部未満となる量で混合することを特徴とする汚染土壌の処理方法。
[2] 上記処理材と上記非イオン系界面活性剤の合計100質量%中、上記処理材の割合が98.0~99.9質量%であり、上記非イオン系界面活性剤の割合が0.1~2.0質量%である請求項1に記載の汚染土壌の処理方法。
[3] 上記非イオン系界面活性剤がポリオキシエチレンアルキルエーテルである前記[1]又は[2]に記載の汚染土壌の処理方法。
[4] 上記処理材中のフッ素の含有量が、800mg/kg以下である前記[1]~[3]のいずれかに記載の汚染土壌の処理方法。
[5] 上記油類が重油である前記[1]~[4]のいずれかに記載の汚染土壌の処理方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、簡易な方法で、油類で汚染された汚染土壌から、油類の拡散を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の汚染土壌の処理方法は、油類を含む汚染土壌と、生石灰、セメント系固化材、及び酸化マグネシウムから選ばれる少なくとも1種以上からなる処理材と、非イオン系界面活性剤を混合して、改質された土壌を得る、汚染土壌の処理方法であって、上記処理材と非イオン系界面活性剤の合計100質量%中、上記処理材の割合が90.0~99.9質量%であり、非イオン系界面活性剤の割合が0.1~10.0質量%であり、汚染土壌に、上記処理材と非イオン系界面活性剤を、上記処理材と非イオン系界面活性剤の合計量が、汚染土壌100質量部に対して1質量部以上、5.5質量部未満となる量で混合するものである。
以下、詳しく説明する。
【0008】
本発明において、処理の対象となる汚染土壌は、油類を含むものである。
油類の例としては、鉱油、植物油、動物油、合成油等が挙げられる、鉱油の例としては、ガソリン、灯油、軽油、重油等の燃料油や、機械油、切削油等の潤滑油等が挙げられる。
また、鉱油等には、芳香族炭化水素類が含まれている。芳香族炭化水素類の例としては、ベンゼン、キシレン、トルエン、エチルベンゼン等が挙げられる。
汚染土壌100質量%中の、油類の割合は、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、特に好ましくは1.5質量%以上である。本発明の方法によれば、上記割合が0.5質量%以上である汚染土壌であっても、油類の拡散を防止することができる。
油類の測定方法の例としては、水素炎イオン化検出器付きガスクロマトグラフ(GC-FID法)、赤外分光分析法(IR法)、重量法(ノルマルヘキサン抽出法)等が挙げられる。
上記割合の上限値は、特に限定されないが、油類の拡散を十分に防止する観点から、好ましくは10.0質量%、より好ましくは8.0質量%、特に好ましくは5.0質量%である。
【0009】
本発明で用いられる処理材は、生石灰、セメント系固化材、及び酸化マグネシウムから選ばれる少なくとも1種以上からなるものである。
ここで、セメント系固化材とは、セメントを主な材料(通常、50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上)として含み、かつ、任意に配合可能な混和材を含むものをいう。
セメント系固化材に用いられるセメントの例としては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントや、高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカセメント等の混合セメントや、エコセメントや、白色セメントや、超速硬セメント等が挙げられる。
中でも、入手の容易性の観点から、ポルトランドセメントが好ましい。
混和材の例としては、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、シリカフューム、石灰石微粉末(ただし、生石灰微粉末を除く)、及び石膏等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、混和材として挙げられている石膏は、セメントに含まれている石膏とは別に配合されるものである。
ここで、生石灰とは、酸化カルシウムを主成分とするものである。生石灰中の酸化カルシウムの含有率は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。また、生石灰は軽焼ドロマイトを含んでいてもよい。
【0010】
本発明で用いられる処理材として生石灰のみを用いた場合、一般的な土壌の生石灰処理と比較して、使用する生石灰の量を少なくすることができる。
また、上記処理材としてセメント系固化材を用いた場合、油膜溶出の抑制効果に加えて、処理後の土壌の強度を向上することができ、地盤改良の効果も得ることができる。
さらに、上記処理材として酸化マグネシウム(例えば、軽焼マグネシア粉末)を用いた場合、油膜溶出の抑制効果に加えて、重金属類の溶出抑制効果も得ることができる。
上記処理材中のフッ素の含有量は、好ましくは800mg/kg以下、より好ましくは500mg/kg、さらに好ましくは400mg/kg、特に好ましくは300mg/kg以下である。上記含有量が800mg/kg以下であれば、汚染土壌を処理する際に、凝結遅延が起こりにくくなる。
【0011】
非イオン系界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミンエーテル、ポリオキシソルビタンエステル、ポリオキシアルキレンエステル、ポリオキシアルキレンアミン、脂肪酸エステル等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、入手の容易性等の観点から、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましい。
また、非イオン系界面活性剤は、粉体状であっても、液体状であってもよい。
【0012】
本発明において用いられる処理材と非イオン系界面活性剤の合計100質量%中、処理材の割合は90.0~99.9質量%である。上記割合は、油類の拡散をより防止する観点からは、好ましくは99.7質量%以下、より好ましくは99.5質量%以下、さらに好ましくは98.0質量%以下、特に好ましくは96.0質量%以下である。また、界面活性剤の量が相対的に少なくなり、界面活性剤にかかるコストを低減する観点からは、好ましくは92.0質量%以上、より好ましくは94.0質量%以上、さらに好ましくは96.0質量%以上、特に好ましくは98.0質量%以上である。
また、処理材と非イオン系界面活性剤の合計100質量%中、非イオン系界面活性剤の割合は0.1~10.0質量%である。上記割合は、油類の拡散をより防止する観点からは、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは2.0質量%以上、特に好ましくは4.0質量%以上である。また、界面活性剤の量が相対的に少なくなり、界面活性剤にかかるコストを低減する観点からは、好ましくは8.0質量%以下、より好ましくは6.0質量%以下、さらに好ましくは4.0質量%以下、特に好ましくは2.0質量%以下である。
【0013】
汚染土壌と混合される、処理材と非イオン系界面活性剤の合計量は、汚染土壌100質量部に対して1.0質量部以上、5.5質量部未満、好ましくは2.0~5.0質量部、より好ましくは3.0~5.0質量部、特に好ましくは4.0~5.0質量部である。上記合計量が1.0質量部未満であると、油類の拡散の防止が不十分となる。上記合計量が5.5質量部以上であると、処理材及び界面活性剤の使用量が多くなり、コストが大きくなる。
また、汚染土壌100質量部に対して、上記合計量が2.5質量部以上となる場合、混合の容易性や、油類の拡散防止効果をより向上する観点から、処理材及び界面活性剤を2回以上に分けて混合することが好ましい。
また、汚染土壌(1m)に対する、処理材と非イオン系界面活性剤の添加量の合計は、好ましくは20~100kg/m、より好ましくは30~80kg/m、特に好ましくは40~60kg/mである。
【0014】
上述した生石灰、セメント系固化材、及び酸化マグネシウムから選ばれる少なくとも1種以上からなる処理材と、非イオン系界面活性剤と共に、本発明の目的を阻害しない範囲内で、増量や強度発現性向上の目的で、他の材料を汚染土壌と混合してもよい。
他の材料としては、高炉スラグ微粉末、石膏等が挙げられる。高炉スラグ微粉末を用いた場合、汚染土壌の処理において発生する熱を抑制しながら油膜の溶出を抑制することができる。
【0015】
本発明によれば、汚染土壌と、処理材と、非イオン系界面活性剤を混合するという簡易な方法で、汚染土壌からの油類の溶出を抑制することができる。
汚染土壌と、処理材と、非イオン系界面活性剤を混合する方法は、特に限定されるものではなく、処理材と非イオン系界面活性剤を汚染土壌の表面に散布した後、機械撹拌混合する方法や、バックホウを用いて混合する方法等が挙げられる。
【実施例0016】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[使用材料]
(1)土壌;湿潤密度:2.13g/cm、含水比:11.7%
(2)生石灰;吉澤石灰工業社製、フッ素の含有量:700mg/kg以下
(3)非イオン系界面活性剤A(表2中、「非イオン系A」と示す。);ポリオキシエチレンアルキルエーテル、三洋化成社製、商品名「ナロアクティ CL-400」、炭素数:14~15、HLB値:17.8
(4)非イオン系界面活性剤B(表2中、「非イオン系B」と示す。);ポリオキシエチレンラウリルエーテル、三洋化成社製、商品名「エマルミン NL-110」、炭素数12、HLB値:17.8
(5)分散剤A;低分子量ポリエチレン、三洋化成社製、商品名「サンワックス171」
(6)分散剤B;低分子量ポリプロピレン、三洋化成社製、商品名「ビスコール660-P 」
(7)分散剤C;ステアリルアルコール、花王社製、商品名「カルコール 8098」
(8)陰イオン系界面活性剤A(表2中、「陰イオン系A」と示す。);脂肪酸ナトリウム、花王社製、商品名「SS―40N」
(9)陰イオン系界面活性剤B(表2中、「陰イオン系B」と示す。);ステアリン酸ナトリウム、日油社製、商品名「ノンサールSN-1W1」
(10)セメント系固化材;特殊土用固化材、セメントの含有率:50質量%以上、フッ素の含有量700mg/kg以下
(11)酸化マグネシウム含有物;酸化マグネシウム含有率92質量%、フッ素の含有量:320mg/kg以下
【0017】
[汚染土壌A~Bの調製]
上記土壌に重油を添加、混合して、土壌と重油を混合してなる汚染土壌100質量%中、重油の割合が2.0質量%となる汚染土壌A(表2中、「土壌A」と示す。)を調製した。
また、上記土壌に灯油を添加、混合して、土壌と灯油を混合してなる汚染土壌100質量%中、灯油の割合が2.0質量%となる汚染土壌B(表2中、「土壌B」と示す。)を調製した。
【0018】
[実施例1~3]
生石灰と非イオン系界面活性剤Aと汚染土壌Aを、ホバート社製の2リットルのミキサに同時に投入した後、低速で1分30秒混練し、次いで、ミキサの側面に付着した混練物を掻き落とし、さらに1分30秒混練した。
生石灰と非イオン系界面活性剤Aの組み合わせからなる改質材100質量%中の、生石灰及び界面活性剤の各割合、及び、汚染土壌100質量部に対する上記改質材の配合量は、表2に示す数値に定めた。
混練物の油膜溶出の評価を、環境省の「油汚染対策ガイドライン」のシャーレ法に準拠し、水50gに上記混練物5gを入れた直後の水面の目視による観察、及び、表1に示す評価基準に従って油膜溶出の評価を行った。
また、汚染土壌Aの代わりに、汚染土壌Bを用いる以外は同様にして、混練物を調製して、該混練物の油膜の評価を行った。
【0019】
[実施例4]
非イオン系界面活性剤Aの代わりに非イオン系界面活性剤Bを用いた以外は、実施例1と同様にして、油膜の評価を行った。
[実施例5]
生石灰の代わりにセメント系固化材を用いた以外は、実施例1と同様にして、油膜の評価を行った。
[実施例6]
生石灰の代わりに酸化マグネシウムを用いた以外は、実施例1と同様にして、油膜の評価を行った。
【0020】
[比較例1]
生石灰を使用しない以外は、実施例1と同様にして、油膜の評価を行った。
[比較例2]
汚染土壌と生石灰と非イオン系界面活性剤Aと混合することなく、汚染土壌A又は汚染土壌Bに対して、実施例1と同様にして、油膜の評価を行った。
[比較例3]
非イオン系界面活性剤Aを使用しない以外は、実施例1と同様にして、油膜の評価を行った。
[比較例4~6]
非イオン系界面活性剤Aの代わりに、表2に示す種類の界面活性剤または分散剤を使用した以外は、実施例1と同様にして、油膜の評価を行った。
それぞれ結果を表2に示す。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
表2から、実施例1~6では、油膜の評価が「なし」であり、比較例1~8と比較して、油類の拡散をより防止できることがわかる。