(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155757
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】入室管理装置、入室管理システム、及び、入室管理用プログラム
(51)【国際特許分類】
G10K 15/04 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
G10K15/04 302D
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059142
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100157118
【弁理士】
【氏名又は名称】南 義明
(72)【発明者】
【氏名】河野 太成
(72)【発明者】
【氏名】松場 弘明
【テーマコード(参考)】
5D208
【Fターム(参考)】
5D208CG00
(57)【要約】
【課題】部屋の貸し出しを行う店舗において、顧客に対して、良好な環境状態の部屋を提供する。
【解決手段】本発明に係る入室管理装置は、部屋の貸し出しを行う店舗において、部屋の入室管理を行う入室管理装置であって、管理処理と、判定処理と、通知処理と、を実行可能とし、管理処理は、部屋の貸し出しについて、退出時間を管理し、判定処理は、部屋の前回利用における退出時間からの経過時間に基づいて、部屋の環境状況を判定し、通知処理は、判定された部屋の環境状況を通知する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部屋の貸し出しを行う店舗において、部屋の入室管理を行う入室管理装置であって、
管理処理と、判定処理と、通知処理と、を実行可能とし、
管理処理は、部屋の貸し出しについて、退出時間を管理し、
判定処理は、部屋の前回利用における退出時間からの経過時間に基づいて、部屋の環境状況を判定し、
通知処理は、判定された部屋の環境状況を通知する
入室管理装置。
【請求項2】
判定処理は、部屋の前回における利用時間に基づいて環境状況を判定する
請求項1に記載の入室管理装置。
【請求項3】
判定処理は、前回の利用人数に基づいて環境状況を判定する
請求項1または請求項2に記載の入室管理装置。
【請求項4】
部屋には、カラオケ装置が設置され、
判定処理は、カラオケ装置の利用状況に基づいて環境状況を判定する
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の入室管理装置。
【請求項5】
判定処理は、部屋の設備状況に基づいて環境状況を判定する
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の入室管理装置。
【請求項6】
通知処理は、判定された部屋の環境状況をランク表示する
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の入室管理装置。
【請求項7】
通知処理は、管理対象としている複数の部屋について、環境状況の優劣順に表示する
請求項1から請求項6の何れか1項に記載の入室管理装置。
【請求項8】
通知処理は、環境状況が所定基準を満たすまでの時間を表示する
請求項1から請求項7の何れか1項に記載の入室管理装置。
【請求項9】
部屋の貸し出しを行う店舗において、部屋の入室管理を行う入室管理装置と、部屋に設置されたカラオケ装置を有する入室管理システムであって、
入室管理装置は、管理処理と、判定処理と、通知処理と、を実行可能とし、
管理処理は、部屋の貸し出しについて、退出時間を管理し、
判定処理は、部屋の前回利用における退出時間からの経過時間、及び、カラオケ装置の利用状況に基づいて、部屋の環境状況を判定し、
通知処理は、判定された部屋の環境状況を通知する
入室管理システム。
【請求項10】
部屋の貸し出しを行う店舗において、情報処理装置に部屋の入室管理を行わせる入室管理用プログラムであって、
管理処理と、判定処理と、通知処理と、を情報処理装置に実行可能とし、
管理処理は、部屋の貸し出しについて、退出時間を管理し、
判定処理は、部屋の前回利用における退出時間からの経過時間に基づいて、部屋の環境状況を判定し、
通知処理は、判定された部屋の環境状況を通知する
入室管理用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラオケボックス等、部屋の貸し出しを行う店舗において、部屋への入室を管理する入室管理装置、入室管理システム、及び、入室管理用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、伴奏に合わせて歌唱を楽しむカラオケが社交場等において行われている。このような社交場におけるカラオケは、カラオケボックス、あるいは、スナック等の狭い空間で行われることが一般的である。ところで、現在、感染症の流行により、このような狭い空間で行われるカラオケが避けられる傾向にある。そのため、カラオケの場においては、空気清浄機、換気扇等が設置され、空気を浄化することで感染症を防ぐ対策が取られている。
【0003】
特許文献1には、カラオケルームの悪化する空気循環を改善することを目的として、
楽曲の演奏回数あるいは、演奏時間が基準値を超えた場合、空気清浄剤を噴霧するカラオケ空気清浄システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されるカラオケ空気清浄システムを使用することで、カラオケルームにおける空気の改善を図ることが可能である。しかしながら、カラオケルームの空気の状態については、部屋の見た目で判断できないため、店員も知ることができない。
【0006】
一般的にカラオケルームは時間貸しであるため、空き部屋があることは好ましくない。したがって、早く新たなユーザをカラオケルームに誘引することが優先されること等を理由に、空気状態が改善していないカラオケルームに顧客を誘引してしまう可能性もあった。
【0007】
本発明は、このような事情を鑑みたものであって、カラオケルーム(部屋)の空気の状態等を示す環境状況を可視化することで、顧客に対して、良好な状態の部屋を使用させることを1つの目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのため、本発明に係る入室管理装置は、以下の構成を採用するものである。
部屋の貸し出しを行う店舗において、部屋の入室管理を行う入室管理装置であって、管理処理と、判定処理と、通知処理と、を実行可能とし、管理処理は、部屋の貸し出しについて、退出時間を管理し、判定処理は、部屋の前回利用における退出時間からの経過時間に基づいて、部屋の環境状況を判定し、通知処理は、判定された部屋の環境状況を通知する。
【0009】
さらに本発明に係る入室管理装置において、判定処理は、部屋の前回における利用時間に基づいて環境状況を判定する。
【0010】
さらに本発明に係る入室管理装置において、判定処理は、前回の利用人数に基づいて環境状況を判定する。
【0011】
さらに本発明に係る入室管理装置において、部屋には、カラオケ装置が設置され、判定処理は、カラオケ装置の利用状況に基づいて環境状況を判定する。
【0012】
さらに本発明に係る入室管理装置において、判定処理は、部屋の設備状況に基づいて環境状況を判定する。
【0013】
さらに本発明に係る入室管理装置において、通知処理は、判定された部屋の環境状況をランク表示する。
【0014】
さらに本発明に係る入室管理装置において、通知処理は、管理対象としている複数の部屋について、環境状況の優劣順に表示する。
【0015】
さらに本発明に係る入室管理装置において、通知処理は、環境状況が所定基準を満たすまでの時間を表示する。
【0016】
また本発明に係る入室管理システムは、部屋の貸し出しを行う店舗において、部屋の入室管理を行う入室管理装置と、部屋に設置されたカラオケ装置を有する入室管理システムであって、入室管理装置は、管理処理と、判定処理と、通知処理と、を実行可能とし、管理処理は、部屋の貸し出しについて、退出時間を管理し、判定処理は、部屋の前回利用における退出時間からの経過時間、及び、カラオケ装置の利用状況に基づいて、部屋の環境状況を判定し、通知処理は、判定された部屋の環境状況を通知する。
【0017】
また本発明に係る入室管理用プログラムは、部屋の貸し出しを行う店舗において、情報処理装置に部屋の入室管理を行わせる入室管理用プログラムであって、管理処理と、判定処理と、通知処理と、を情報処理装置に実行可能とし、管理処理は、部屋の貸し出しについて、退出時間を管理し、判定処理は、部屋の前回利用における退出時間からの経過時間に基づいて、部屋の環境状況を判定し、通知処理は、判定された部屋の環境状況を通知する。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る入室管理装置、入室管理システム、及び、入室管理用プログラムによれば、顧客に対して、良好な環境状態の部屋を使用してもらうことが可能になる。したがって、顧客は、安心と思える部屋を使用することが可能となり、安心してカラオケを楽しむことも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】カラオケ店舗におけるネットワーク構成を示す図
【
図2】本実施形態のカラオケシステムの構成を示す図
【
図3】本実施形態の環境状況判定処理を示すフロー図
【
図7】本実施形態の部屋状況一覧画面(予約情報入力欄表示時)を示す図
【
図8】本実施形態の部屋状況一覧画面(注意喚起欄表示時)を示す図
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、カラオケ店舗におけるネットワーク構成の一例を示した図である。
図1に示されるようにA号室~K号室までの各部屋には、カラオケ装置2a~2kと、モニタ41a~41kが設置されている。カラオケ装置2a~2kは、LANケーブルを介してLAN100に接続され、ネットワークを構成している。さらに、LAN100はルータ120、光モデム121を介してインターネットに接続され、サーバ装置6と通信を行うことができる。このようなネットワーク環境下では、カラオケ装置2a~2kは、インターネットに接続されたサーバ装置と通信することで、新しい楽曲情報のダウンロードを行う、あるいは、ユーザ情報や利用履歴などをサーバ装置で管理することが可能となる。
【0021】
図1に示されるようにカラオケ店舗のフロントには、顧客(以下、「ユーザ」という)に対する部屋の予約管理等を行うための入室管理装置5が設置されている。入室管理装置5は、一般的なパーソナルコンピュータ等で構成され、ルータ120、光モデム121を介してインターネットに接続されるとともに、LAN100に接続され、各部屋内のカラオケ装置2a~2kと通信を行うことが可能となっている。また、入室管理装置5には、モニタ51が接続され、カラオケ店舗のフロントで管理する管理者は、モニタ51で部屋の各種状況を確認することが可能となっている。管理者は、モニタ51で部屋の各種状況を確認し、入室管理装置5に接続されたキーボード、マウス等の入力手段を操作して、部屋の予約を行う。
【0022】
また、カラオケ店舗内のLAN100には、適宜箇所にアクセスポイント110a~110cが通信接続されており、リモコン装置1による無線通信、あるいは、ユーザが所持する携帯端末を通信接続させ、各種サービスを提供することが可能である。
【0023】
カラオケ店舗の運営形態の1つとしては、ユーザは、管理者に対して部屋の利用条件を告げ、管理者は、入室管理装置5を使用して、条件にあった部屋を確保、予約する。そして、管理者は、ユーザにリモコン装置1を渡し、利用対象となる部屋に案内する。ユーザは、案内された部屋に設置されたカラオケ装置2a~2kのいずれかと、渡されたリモコン装置1を対応付けて、カラオケ装置2a~2kの利用を開始する。なお、リモコン装置1は、カウンタで渡す形態に代え、予め部屋に設置されていてもよい。
【0024】
図2は、本実施形態のカラオケシステムの構成を示す図である。本実施形態におけるカラオケシステムは、カラオケ装置2(コマンダと呼ぶこともある)と、リモコン装置1を含んで構成されている。カラオケ装置2とリモコン装置1は、LAN100及びアクセスポイント110を利用してネットワークを形成するように通信接続されている。
【0025】
カラオケボックスなどの店舗に設置されるカラオケ装置2は、楽曲を演奏するための演奏部として音響制御部25を備えている。また、カラオケ装置2は、ユーザからの各種入力を受け付ける操作部21を備える。カラオケ装置2は、操作部21からの入力を解釈してCPU30に伝達する操作処理部22を備える。また、カラオケ装置2は、各種情報を記憶する記憶部としてのハードディスク32を備える。カラオケ装置2は、LAN100に接続してネットワークに加入する通信手段としてのLAN通信部24aを備えている。また、本実施形態のカラオケ装置2は、無線LAN通信部24bも備えており、LAN通信部24aを使用した有線によるネットワーク接続に代え、無線LAN通信部24bを使用した無線によるネットワーク接続を行うことも可能である。
【0026】
また、カラオケ装置2は、モニタ41に対して歌詞映像、背景映像を表示させる映像再生手段を備える。この映像再生手段は、映像情報に基づいて映像を再生する映像再生部29、再生する映像を一時的に蓄積するビデオRAM28、再生された映像に対する歌詞テロップの重畳、映像効果の付与等を行う映像制御部31を備えて構成される。
【0027】
さらに、このカラオケ装置2では、外部に接続されるモニタ41以外に、タッチパネルモニタ33に対して各種情報を表示することを可能としている。タッチパネルモニタ33は映像制御部31から入力された映像情報を表示する表示部35と、タッチ入力された位置を操作処理部22に出力するタッチパネル34が重畳されて構成されている。このタッチパネルモニタ33は、カラオケ装置2の筐体前面等に配置され、カラオケ装置2の操作部21、あるいは、リモコン装置1のタッチパネルモニタ11などと同様、入力部として機能する。ユーザは、タッチパネルモニタ33にて楽曲を選択することで、直接カラオケ装置2に予約させる等、カラオケ装置2に対する各種操作を行うことが可能である。
【0028】
さらに、カラオケ装置2は、各構成を統括して制御するためのCPU30、各種プログラムを実行するにあたって必要となる情報を一時記憶するためのメモリ27を含んだ制御部を備えて構成されている。
【0029】
このような構成にてカラオケ装置2は、各種処理を実行することとなるが、カラオケ装置2の主な機能として、楽曲予約処理、楽曲再生処理などを実行可能としている。楽曲予約処理は、ユーザからの指定に基づいて楽曲を指定、予約するための処理であってリモコン装置1と連携して実行される。リモコン装置1の選曲処理で形成された予約情報は、カラオケ装置2に送信される。カラオケ装置2は、受信した予約情報をメモリ27中の予約テーブルに登録する。楽曲再生処理は、予約された楽曲を再生させる処理であって、楽曲演奏処理と歌詞表示処理とが同期して実行される処理である。
【0030】
楽曲演奏処理は、楽曲情報に含まれる演奏情報に基づき、音響制御部25に演奏を実行させる処理である。音響制御部25にて演奏された楽曲は、マイクロホン43a、43bから入力される歌唱音声と一緒にスピーカー42から放音される。歌詞表示処理は、楽曲情報に含まれる歌詞情報をモニタ41に表示させることで歌唱補助を行う処理である。この歌詞表示処理で表示される歌詞に、背景映像を重畳させて表示させる背景映像表示処理を実行することとしてもよい。
【0031】
一方、リモコン装置1は、ユーザからの指示に基づいて楽曲を検索し、再生指示のあった楽曲について予約情報をカラオケ装置2に送信する選曲処理を実行可能としている。また、リモコン装置1は、カラオケ装置2あるいはインターネット上に接続されたサーバ装置6から各種情報を受信し、各種処理を実行することが可能である。本実施形態では、ユーザから各種指示を受け付けるユーザインターフェイスとして、操作部17と、タッチパネルモニタ11を備えている。タッチパネルモニタ11は、表示部11aとタッチパネル11bを有して構成され、表示部11aに各種インターフェイスを表示するとともに、ユーザからのタッチ入力を受付可能としている。
【0032】
さらにリモコン装置1は、選曲処理に必要とされるデータベース、各種プログラム、並びに、プログラム実行に伴って発生する各種情報を記憶する記憶部として、メモリ14、そして、これら構成を統括して制御するためのリモコン側制御部を備えて構成される。リモコン側制御部には、CPU15、タッチパネルモニタ11に対して表示する映像を形成する映像制御部13、表示する映像情報を一時的に蓄えるビデオRAM12、タッチパネルモニタ11あるいは操作部17からの入力を解釈してCPU15に伝える操作処理部18が含まれている。
【0033】
リモコン装置1は、無線LAN通信部16によって、アクセスポイント110と無線接続されることで、LAN100によって構成されるネットワークに接続される。なお、各リモコン装置1は、特定のカラオケ装置2に対して事前に対応付けされている。リモコン装置1から出力される各種命令は、対応付けされたカラオケ装置2にて受信されることとなる。
【0034】
このようなリモコン装置1の構成により、ユーザからの各種入力をタッチパネルモニタ11、あるいは、操作部17から受付けるとともに、映像情報をタッチパネルモニタ11の表示により各種情報を提供することで、カラオケ装置2に対して出力する予約情報を送信する選曲処理など、各種処理を行うことが可能となっている。
【0035】
図1で説明したようにカラオケ店舗では、区切られた部屋内でカラオケシステムを使用して歌唱を楽しむことになる。現在、感染症が流行する中、部屋の環境改善が求められている。部屋内には、空気清浄機、換気扇、等が設置され、空気を浄化することで環境改善が図られている。
【0036】
このような中、飛沫の飛散は、時間経過に従って収束することが確認されている。歌唱等で生じた飛沫は、一定時間空気中に漂うことになるが、時間が経過するに従って落下する。上述する空気清浄機等、各種装置による環境改善も重要であるが、時間の経過も環境改善の一要素である。特に、部屋は異なるグループが入れ替わり使用されることになるため、グループ間での感染予防は、感染拡大防止に大いに貢献することが考えられる。
【0037】
本実施形態では、このような状況を鑑みたものであって、特に、部屋の利用後の時間経過に基づいて、部屋の環境状況を判定し、入室管理に使用することとしている。
【0038】
図3は、本実施形態の環境状況判定処理を示すフロー図であり、
図4は、本実施形態の環境状況を説明するための図である。
図4は、ある部屋(A号室)の利用状況について例に取った模式図である。この例では、A号室を18:00~20:00までの滞在時間(2時間)で使用したものとなっている。退出時間である20:00から時間が経過するに従い、部屋の環境状況は改善する。そのため、本実施形態では、退出時間から現在時刻までの経過時間tに基づき、部屋の環境状況を判定することしている。
【0039】
その際、本実施形態では、経過時間tと、判定閾値Ta、Tb、Tcを比較することで、部屋の環境状況をランク付けしている。例えば、経過時間tがTc未満である場合、部屋の環境状況は、ランクDと判定される。また、経過時間tがTc以上、Tb未満である場合、部屋の環境状況は、ランクCと判定される。また、経過時間tがTb以上、Ta未満である場合、部屋の環境状況は、ランクBと判定される。そして、経過時間tがTa以上である場合、部屋の環境状況は、ランクAと判定される。本実施形態において、AからDで示されるランクは、Aに近いほど上位であると言い、Aから離れるDに近いほど下位であるという。また、ランクはAからDの4段階で示されているが、その限りでなく、所望の段階で選択されてもよい。つまり、経過時間tにより表される期間が長くなるほど、上位ランクと判定され、短いほど下位のランクで判定される。
【0040】
また、部屋の環境状況は、部屋の利用状況や、部屋の設備状況な等で左右されることが考えられる。そのため、本実施形態では、経過時間tのみならず、各種条件を使用して、判定閾値Ta、Tb、Tcを変更することとしている。
【0041】
図3に示される環境状況判定処理は、空き状況にある部屋(空き部屋)について、その環境状況を判定する処理である。この環境状況判定処理は、入室管理装置5で定期的(例えば、1分毎)に実行され、空き部屋の環境状況を判定する。
【0042】
環境状況判定処理が開始されると、まず、カラオケ店舗内における空き部屋を1つ選択する(S101)。一例として、S101で選択される空き部屋は、すべての空き部屋の内、前回の環境状況のランク判定からの経過時間が一番長いものが選択される。またはランク判定がされていない空き部屋が優先して選択される。次に処理Aにおいて、前述した判定閾値Ta、Tb、Tcを変更するための各種情報が取得される。本実施形態では、処理Aでは、判定対象となっている部屋について、前回の利用人数取得(S102)、カラオケ装置2の利用状況取得(S103)、部屋の設備状況取得(S104)を実行する。
【0043】
処理Aとその意義について説明する。前回の利用人数取得(S102)は、入室管理装置5に記憶されている情報から、S101で選択された空き部屋の利用人数を取得する。取得された利用人数が多いほど、後述の判定閾値Ta~Tcの算出(S105)において、判定閾値Ta~Tcを大きく算出する。あるいは、S102で取得された利用人数に基づいて算出される部屋の最大収容人数に対する利用人数の割合が多いほど、後述の判定閾値Ta~Tcの算出(S105)において、判定閾値Ta~Tcを大きく算出することが考えられる。また、カラオケ装置2の利用状況取得(S103)では、入室管理装置5は、S101で選択された空き部屋に設置されたカラオケ装置2と通信することで、必要な情報を取得する。これら取得する情報としては、前回の利用期間における楽曲の再生回数、歌唱した楽曲のジャンル等が考えられる。一例として、前回の利用期間の情報は入室管理装置5に記憶されている情報から取得されてカラオケ装置2に送られればよい。そして、カラオケ装置2は受け取った利用期間の情報に基づいて楽曲の再生回数、歌唱した楽曲のジャンル等の情報を入室管理装置5に送ればよい。楽曲の再生回数が多いほど、S105において算出される判定閾値Ta~Tcを大きくすることが考えられる。一例としては、激しい歌唱を行う楽曲ジャンル(ロックなど)ほど、判定閾値Ta~Tcを大きく算出することが考えられる。
【0044】
そして、部屋の設備状況取得(S104)としては、部屋の広さ、空気清浄機等の設置状況など、空気清浄機の能力に関する情報が取得される。部屋の設備状況の取得(S104)は、入室管理装置5に記憶されている情報から、S101で選択された空き部屋の設備情報が取得する。部屋が広い、あるいは、1人あたりの面積が大きいほど、後述の判定閾値Ta~Tcの算出(S105)において、判定閾値Ta~Tcを小さく算出することが考えられる。そして、空気清浄機が設置されている、あるいは、その能力が高いほど、後述の判定閾値Ta~Tcの算出(S105)において、判定閾値Ta~Tcを小さく算出することが考えられる。
【0045】
このように処理Aでは、部屋の利用状況、あるいは、部屋の設備状況といった各種条件が取得される。処理Aが終了すると、取得した条件に基づき、判定閾値Ta~Tcが算出される(S105)。次に、前回の退出時間から現在時刻までの経過時間tが取得される(S106)。そして、取得した経過時間tをS105で算出した判定閾値Ta~Tcと比較(S107)し、判定対象となっている空き部屋について、環境状況のランクを判定する(S108)。S101~S108の処理を、全ての空き部屋について完了するまで(S109:Yes)実行することで、全ての空き部屋について、環境状況のランク判定が完了する。
【0046】
環境状況判定処理を定期的に行うことで、空き部屋の環境状況が取得できる。取得された環境状況は、入室管理装置5における各種処理で使用される。
図5は、本実施形態の部屋状況一覧画面を示す図である。管理者は、この部屋状況一覧画面を使用して、カラオケ店舗内の各種状況を確認することが可能である。また、来店した顧客(ユーザ)が希望する条件に基づいて、部屋の予約を行うことが可能である。
【0047】
部屋状況一覧画面には、部屋毎に部屋状況表示欄51aが表示されている。空き部屋となっている部屋状況表示欄51a(例えば、A号室)には、部屋名(A号室)、設置されているカラオケ装置2の機種名(機種A)、部屋の許容人数(8人部屋)、そして、空き部屋であることを示す「空き」の文字が表示されている。更に、本実施形態では、「空き」の文字の右隣に括弧書きで、環境状況判定処理で判定した環境状況のランクが表示されている。変形例としては、空気清浄機が設置されてか否か、あるいは、その能力などが表示されていてもよい。
【0048】
また、本実施形態では、環境状況が下位ランク(ランクD)である部屋の部屋状況表示欄51aの表示形態を他と異ならせることで、管理者に対して、まだ利用しない方が良いことを促している。
図5の例では、I号室がランクDとなっており、部屋状況表示欄51aには、斜線が付与されて表示されている。
図5においては、便宜上斜線で示されているが色またはマーカー等で示されてもよい。また、下位ランクの部屋の部屋状況表示欄が斜線等でマーキングされるのではなく、上位ランクを目立つようにマーキングしてもよい。一例として、ランクAの部屋の部屋状況表示欄51aを青色、ランクB、ランクCおよびランクDの部屋の部屋状況表示欄51aを赤色など、信号機のように識別可能にしてもよい。
【0049】
一方、利用中の部屋状況表示欄51a(例えば、B号室)には、部屋名(B号室)、機種名(機種B)の他、入室時刻(12:55)、退室(予定)時刻(15:55)、利用者名(○○○様)、そして、利用人数(5人)が表示されている。
【0050】
管理者は、各室の部屋状況表示欄51a中、空き部屋について、ユーザの利用条件に適合する空き部屋の確認を行う。そして、予約対象となる部屋状況表示欄51aを選択し、部屋予約処理を実行する。
【0051】
図6は、本実施形態に係る部屋予約処理のフロー図が示されている。
図5で説明した部屋状況一覧画面において、管理者がマウス等の入力手段を使用して、部屋状況表示欄51aを選択した場合(S201:Yes)、まず、選択された部屋状況表示欄51aに対応する部屋の環境状況が確認される(S202)。S202の処理は、前述の環境状況判定処理の結果を用いてもよいし、選択時に当該選択された部屋について環境状況判断処理(特にS102~S108の処理)を実行してもよい。環境状況がDランクではない場合(S203:Yes)、部屋状況一覧画面上には、後述の
図7に示す予約情報入力欄51cが表示される(S204)。
【0052】
図7には、
図5においてA号室の部屋状況表示欄51aが選択され、予約情報入力欄51cが表示された様子が示されている。予約情報入力欄51cには、利用者名入力欄51d、開始時刻入力欄51e、終了時刻入力欄51f、利用人数入力欄51gといった各種入力欄が設けられている。管理者は、これら入力欄に必要な情報を入力し(S205)、予約ボタン51iを操作する(S206:Yes)ことで、部屋の予約登録を完了させる(S207)。つまり、入室管理装置5は、情報の入力を受け付ける処理(S205)、予約ボタン51iの押下を判定する処理(S206)、予約登録に関する情報を記憶する処理(S207)を実行する。なお、
図6では省略されているが、予約情報入力欄51cにはキャンセルボタン51hも設けられており、予約登録を行わず、
図5の部屋状況一覧画面に戻ることも可能である。
【0053】
管理者は、部屋の予約が完了するとユーザを予約した部屋へと案内する。一方、環境状況がランクDの部屋状況表示欄51a(
図5の例では、I号室)が選択された場合(S203:No)、部屋状況一覧画面には、注意喚起欄が表示される(S208)。
【0054】
図8には、
図5においてI号室の部屋状況表示欄51aが選択され、注意喚起欄51jが表示された様子が示されている。注意喚起欄51jには、換気改善のため待つ必要があることを告げるメッセージと、環境改善までの残り時間(例えば、ランクDからランクCになるまでの時間)が表示されている。また、注意喚起欄51jには、キャンセルボタン51k、予約入力ボタン51mが設けられており、キャンセルボタン51kが操作された場合(S209:No)、
図5の部屋状況一覧画面へと戻る。
【0055】
一方、予約入力ボタン51mが操作された場合(S209:Yes)、
図7の場合と同様、部屋Iに関する予約情報入力欄51cが表示される(S204)。予約を行う場合、管理者は、注意喚起欄51jに表示された環境改善までの時間を考慮して開始時刻を入力することが可能となる。
【0056】
以上、本実施形態の入室管理装置5、及び、部屋に設置されたカラオケ装置2を備えた入室管理システムによれば、空き部屋について、その環境状況を通知することで、顧客(ユーザ)に対して、良好な環境状況の空き部屋を使用してもらうことが可能となる。
【0057】
なお、環境状況の通知は、
図5等で説明した部屋状況一覧画面に限られるものではない。本実施形態の入室管理装置5では、環境状況の優劣に基づいて、空き部屋を表示するレコメンド画面を表示させることが可能である。
【0058】
図5の部屋状況一覧画面の右下には、画面遷移ボタン51bが設けられている。管理者は、この画面遷移ボタン51bを操作することで、モニタ51にレコメンド画面を表示させることが可能である。
【0059】
図9は、本実施形態のレコメンド画面を示す図である。レコメンド画面は、現在、利用可能な空き部屋を表示する画面であって、画面の上方には、検索条件設定欄51nが設けられている。本実施形態では、利用人数入力欄51o、利用時間入力欄51p、使用機種入力欄51qが設けられている。管理者は、これら入力欄51o~51qに、ユーザが希望する条件を入力することで、ユーザの希望条件にあった空き部屋を抽出(絞り込み検索)することが可能である。
図9の例では、これら入力欄51o~51qには、条件が入力されていない状態であって、全ての空き部屋に関する情報が表示されている。
【0060】
レコメンド画面には、空き部屋に関する情報として、空き部屋について、空き部屋状況表示欄51rが表示されている。空き部屋状況表示欄51rは、上から下に、環境状況のランク順に表示されている。空き部屋状況表示欄51rには、環境状況のランク(ランクA~ランクD)、空き部屋に設置されたカラオケ装置2の機種名、部屋の許容人数が表示されている。
【0061】
管理者は、検索条件設定欄51nを使用して、ユーザの希望条件を入力して、空き部屋状況表示欄51rの絞り込みを行い、空き部屋状況表示欄51rを選択することで、
図7の部屋状況一覧画面の場合と同様、予約情報入力欄51cが表示され、部屋の予約を行うことが可能である。
【0062】
また、環境状況がランクDのI号室については、その空き部屋状況表示欄51rが選択されると、
図8の部屋状況一覧画面の場合と同様、注意喚起欄51jが表示され、管理者に対して注意喚起が行われる。変形例としては、レコメンド画面においては、下位ランクのおすすめの対象とならない部屋を非表示にしてもよい。それにより、部屋を選択する際の視認性が高まるとともに、操作ミスによる誤選択も予防することが可能になる。
【0063】
以上、本実施形態の入室管理装置5、及び、入室管理装置5とカラオケ装置2を有する入室管理システムについて説明したが、本発明は入室管理装置5、入室管理システムに限られるものでは無く、入室管理装置5で実行されるプログラムについても本発明の範疇に属するものである。また、入室管理装置5のみならず、顧客(ユーザ)が部屋の検索、予約に使用する際に使用するスマートフォン、パーソナルコンピュータ等の各種情報処理装置で実行され、本実施形態の入室管理装置5と同様の機能を実現する入室管理用プログラムについても本発明の範疇に属する。
【符号の説明】
【0064】
1:リモコン装置 34:タッチパネル
2(2a~2k):カラオケ装置 35:表示部
5:入室管理装置 41(41a~41k):モニタ
6:サーバ装置 42:スピーカー
11:タッチパネルモニタ 43a、43b:マイクロホン
11a:表示部 51:モニタ
11b:タッチパネル 51a:部屋状況表示欄
12:ビデオRAM 51b:画面遷移ボタン
13:映像制御部 51c:予約情報入力欄
14:メモリ 51d:利用者名入力欄
15:CPU 51e:開始時刻入力欄
16:無線LAN通信部 51f:終了時刻入力欄
17:操作部 51g:利用人数入力欄
18:操作処理部 51h:キャンセルボタン
21:操作部 51i:予約ボタン
22:操作処理部 51j:注意喚起欄
24a:LAN通信部 51k:キャンセルボタン
24b:無線LAN通信部 51m:予約入力ボタン
25:音響制御部 51n:検索条件設定欄
27:メモリ 51o:利用人数入力欄
28:ビデオRAM 51p:利用時間入力欄
29:映像再生部 51q:使用機種入力欄
30:CPU 51r:空き部屋状況表示欄
31:映像制御部 110(110a~110c):アクセスポイント
32:ハードディスク 120:ルータ