(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155772
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】情報出力装置、情報出力方法及び情報出力用プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20221006BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20221006BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20221006BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20221006BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
G08G1/09 R
G08G1/16 C
G08G1/09 F
G01C21/26 C
G09B29/00 Z
G09B29/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059164
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】特許業務法人 インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【弁理士】
【氏名又は名称】奥 和幸
(72)【発明者】
【氏名】友野 瑞基
【テーマコード(参考)】
2C032
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2C032HC08
2C032HC27
2C032HD04
2F129AA02
2F129AA03
2F129BB02
2F129BB18
2F129EE43
2F129EE95
2F129FF15
2F129HH12
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC04
5H181CC12
5H181LL07
5H181LL14
(57)【要約】
【課題】交通信号機の点灯時間が短いことを例えば車両の搭乗者に認識させることが可能な情報出力装置等を提供する。
【解決手段】黄信号Yの点灯時間が所定時間よりも短い交通信号機SG1の位置を示す位置データに基づいて、車両CXが交差点CRへ接近しているとき、上記点灯時間が所定時間よりも短いことを示す注意報知を行う。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
黄信号の点灯時間又は赤信号へ変わる前の青信号の点滅時間のいずれかが所定時間よりも短い交通信号機の位置を示す位置情報を取得する取得手段と、
前記取得された位置情報に基づいて、移動体が前記位置へ接近しているとき、前記いずれかが前記所定時間よりも短いことを示す報知情報を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする情報出力装置。
【請求項2】
黄信号の点灯時間又は赤信号へ変わる前の青信号の点滅時間のいずれかが所定時間よりも短く設定されている地域を示す地域情報を取得する取得手段と、
前記取得された地域情報に基づいて、移動体が前記地域へ接近しているとき、前記いずれかが前記所定時間よりも短いことを示す報知情報を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする情報出力装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の情報出力装置において、
前記取得手段は、
前記いずれかを示す時間情報を取得する時間情報取得手段と、
前記所定時間を示す所定時間情報を予め記憶する記憶手段と、
前記取得された時間情報に基づいて、前記記憶されている所定時間情報により示される前記所定時間よりも前記いずれかが短いことを判定する判定手段と、
を備えるを特徴とする情報出力装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の情報出力装置において、
前記取得手段は、前記いずれかが前記所定時間よりも短いことを示す状態情報を取得する状態情報取得手段を備えることを特徴とする情報出力装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の情報出力装置において、
前記報知情報は、前記いずれかが前記所定時間よりも短いことに生じる危険を回避するための前記移動体の移動態様を示す報知情報であることを特徴とする情報出力装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の情報出力装置において、
前記出力手段は、前記報知情報を音により出力することを特徴とする情報出力装置。
【請求項7】
取得手段と、出力手段と、を備える情報出力装置において実行される情報出力方法であって、
黄信号の点灯時間又は赤信号へ変わる前の青信号の点滅時間のいずれかが所定時間よりも短い交通信号機の位置を示す位置情報を前記取得手段により取得する取得工程と、
前記取得された位置情報に基づいて、移動体が前記位置へ接近しているとき、前記いずれかが前記所定時間よりも短いことを示す報知情報を前記出力手段により出力する出力工程と、
を含むことを特徴とする情報出力方法。
【請求項8】
コンピュータを、
黄信号の点灯時間又は赤信号へ変わる前の青信号の点滅時間のいずれかが所定時間よりも短い交通信号機の位置を示す位置情報を取得する取得手段、及び、
前記取得された位置情報に基づいて、移動体が前記位置へ接近しているとき、前記いずれかが前記所定時間よりも短いことを示す報知情報を出力する出力手段、
として機能させることを特徴とする情報出力用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、情報出力装置、情報出力方法及び情報出力用プログラムの技術分野に属する。より詳細には、車両等の移動体の運転者又は同乗者に対して情報を出力する情報出力装置及び情報出力方法並びに当該情報出力装置において用いられる情報出力用プログラムの技術分野に属する。なお以下の説明において、上記運転者又は上記同乗者を、纏めて「搭乗者」と称する。
【背景技術】
【0002】
近年、道路ネットワークが複雑化しており、これに対応して交通量も増大している。またこれらに伴い、交差点や横断歩道又は踏切の数も増大し、当該交差点等に設置される信号機の数も増大している。このとき、車両及び歩行者用の交通信号機における各色の信号の点灯時間に関する情報を、当該交通信号機における信号の表示に従って移動する車両等に提供することは、上記交差点等における事故の防止に役立つと考えられる。このような観点から為された従来技術を開示した先行技術文献としては、例えば下記特許文献1が挙げられる。この特許文献1に開示されている技術では、交差点に設置されている交通信号機における信号の表示が切り替わるまでの残り時間を、その交差点に近付く車両に対して送信する構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、交通信号機における各色の信号の点灯時間等は、例えば外部の管制センタから制御可能とされている。従って、各色の信号の点灯時間が一般的な交通信号機の点灯時間と異なる交通信号機が存在することとなり、このときには、車両の搭乗者にとって意図せず短時間で赤信号に切り替わってしまう事態も生じ得る。そしてこのような場合は、その交差点に近付く車両における急制動の必要等、危険な状態が発生する可能性があるが、上記特許文献1に開示されている技術では、このような点灯時間の短縮化についてはなんら検討されていない。よって上記特許文献1に開示されている技術では、上記危険な状態を回避することはできない。
【0005】
そこで、本願は上記の問題点に鑑みて為されたもので、その課題の一例は、交通信号機の点灯時間が短いことを例えば車両の搭乗者に認識させることが可能な情報出力装置及び情報出力方法並びに当該情報出力装置において用いられる情報出力用プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、黄信号の点灯時間又は赤信号へ変わる前の青信号の点滅時間のいずれかが所定時間よりも短い交通信号機の位置を示す位置情報を取得する取得手段と、前記取得された位置情報に基づいて、移動体が前記位置へ接近しているとき、前記いずれかが前記所定時間よりも短いことを示す報知情報を出力する出力手段と、を備える。
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項2に記載の発明は、黄信号の点灯時間又は赤信号へ変わる前の青信号の点滅時間のいずれかが所定時間よりも短く設定されている地域を示す地域情報を取得する取得手段と、前記取得された地域情報に基づいて、移動体が前記地域へ接近しているとき、前記いずれかが前記所定時間よりも短いことを示す報知情報を出力する出力手段と、を備える。
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項7に記載の発明は、取得手段と、出力手段と、を備える情報出力装置において実行される情報出力方法であって、黄信号の点灯時間又は赤信号へ変わる前の青信号の点滅時間のいずれかが所定時間よりも短い交通信号機の位置を示す位置情報を前記取得手段により取得する取得工程と、前記取得された位置情報に基づいて、移動体が前記位置へ接近しているとき、前記いずれかが前記所定時間よりも短いことを示す報知情報を前記出力手段により出力する出力工程と、を含む。
【0009】
上記の課題を解決するために、請求項8に記載の発明は、コンピュータを、黄信号の点灯時間又は赤信号へ変わる前の青信号の点滅時間のいずれかが所定時間よりも短い交通信号機の位置を示す位置情報を取得する取得手段、及び、前記取得された位置情報に基づいて、移動体が前記位置へ接近しているとき、前記いずれかが前記所定時間よりも短いことを示す報知情報を出力する出力手段、として機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態の情報出力装置の概要構成を示すブロック図である。
【
図2】第1実施例のナビゲーション装置の概要構成を示すブロック図である。
【
図3】第1実施例の報知処理を示すフローチャートである。
【
図4】第1実施例の報知処理の具体例を説明する図である。
【
図5】第2実施例の報知処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本願を実施するための形態について、
図1を用いて説明する。なお
図1は、実施形態の情報出力装置の概要構成を示すブロック図である。
【0012】
図1に示すように、実施形態の情報出力装置Sは、取得手段1と、出力手段1Aと、を備えて構成されている。
【0013】
この構成において取得手段1は、黄信号の点灯時間又は赤信号へ変わる前の青信号の点滅時間のいずれかが所定時間よりも短い交通信号機の位置を示す位置情報を取得する。
【0014】
そして出力手段1Aは、取得手段1により取得された位置情報に基づいて、移動体が上記交通信号機の位置へ接近しているとき、上記点灯時間又は上記点滅時間が上記所定時間よりも短いことを示す報知情報を出力する。
【0015】
以上説明したように、実施形態の情報出力装置Sの動作によれば、黄信号の点灯時間又は赤信号へ変わる前の青信号の点滅時間のいずれかが短い交通信号機の位置を示す位置情報に基づいて、移動体が当該交通信号機の位置へ接近しているとき、当該点灯時間又は当該点滅時間のいずれかが所定時間よりも短いことを示す報知情報を出力する。
【0016】
従って、移動体の位置に応じて当該点灯時間又は当該点滅時間のいずれかが所定時間よりも短いことを移動体の搭乗者に迅速に認識させることができる。
【実施例0017】
次に、上述した実施形態に対応する具体的な実施例について、図面を用いて説明する。なお以下に説明する各実施例は、車両の移動を案内するナビゲーション装置において当該車両の搭乗者に必要な情報を報知する報知処理に対して本願を適用した場合の実施例である。より具体的には、交通信号機が設置されている交差点、又は当該交差点を一又は複数含む地域に当該車両が接近する際にその車両において行われる報知処理に対して本願を適用した場合の実施例である。
【0018】
(I)
第1実施例
初めに、実施形態に対応する第1実施例について、
図2乃至
図4を用いて説明する。なお、
図2は第1実施例のナビゲーション装置の概要構成を示すブロック図であり、
図3は第1実施例の報知処理を示すフローチャートであり、
図4は当該報知処理の具体例を説明する図である。このとき
図2では、
図1に示した実施形態の情報出力装置Sにおける各構成部材に対応する実施例の構成部材それぞれについて、当該情報出力装置Sにおける各構成部材と同一の部材番号を用いている。
【0019】
図2に示すように、第1実施例のナビゲーション装置NVは、車両に搭載されており、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等からなる処理部1と、HDD(Hard Disc Drive)又はSSD(Solid State Drive)等からなる不揮発性の記録部2と、操作ボタン等からなる操作部3と、マイク4と、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)撮像素子等からなるカメラ5と、GNSS(Global Navigation Satellite System)又は自立航法システム等を構成するセンサ部6と、液晶ディスプレイ等からなるディスプレイ7と、スピーカ8と、インターフェース9と、により構成されている。このとき、処理部1が実施形態の取得手段1の一例及び出力手段1Aの一例にそれぞれ相当する
【0020】
以上の構成において記録部2には、
図3に示すフローチャートにより示される第1実施例の報知処理を実行するために必要なプログラムやデータ等が不揮発性に記録されており、必要に応じて処理部1により読み出される。このとき上記データには、ナビゲーション装置NVによる車両の移動の案内に必要な地図データMPが含まれている。そして当該地図データMPには、対応する地図に含まれ且つそれぞれに交通信号機が設置されている各交差点の位置を示す位置データ、及び当該交通信号機における黄信号の点灯時間を示す当該交通信号機ごと又は当該交差点が設置されている交差点ごとの点灯時間データが含まれている。
【0021】
これらに加えて記録部2には、第1実施例の報知処理において上記点灯時間データにより示される点灯時間と比較される閾値時間を示す閾値時間データが予め記録されている。この閾値時間の例としては、例えば、日本国内の交通信号機における黄信号の点灯時間として一般的に定められている時間、又は、日本国内の交通信号機における黄信号の点灯時間の平均値に相当する時間が挙げられる。
【0022】
一方、マイク4は、処理部2の制御の下、第1実施例のナビゲーション装置NVが備えられている車両の搭乗者の発話の音や車内の音を集音し、その集音結果に相当する音データを処理部1に出力する。またカメラ5は、処理部1の制御の下、例えば当該車両の車外又は車内の撮像結果に相当する画像データを処理部1に出力する。更にセンサ部6は、処理部1の制御の下、上記GNSS等を用いて、ナビゲーション装置NVが搭載されている車両の現在位置、移動速度及び進行方向等を検出し、その検出結果を示す検出データを生成して処理部1に出力する。
【0023】
他方ディスプレイ7は、処理部1の制御の下、ナビゲーション装置NVを用いた車両の移動案内に必要な画像又は地図等を表示する。またスピーカ8は、処理部1の制御の下、第1実施例の報知処理による注意報知の報知音声を含む、ナビゲーション装置NVを用いた車両の上記移動案内に必要な音声等を放音する。更にインターフェース9は、処理部1の制御の下、ナビゲーション装置NVによる上記移動案内に必要な情報又はデータの、図示しないインターネット等の外部ネットワークを介した授受を制御する。更にまた操作部3は、ナビゲーション装置NVに対する指示操作が上記搭乗者により実行された場合、当該指示操作に対応する操作信号を生成して処理部1に出力する。これらにより処理部1は、上記操作信号に基づいて、ナビゲーション装置NVを構成するセンサ部6及びスピーカ8等の各部材を制御しつつ、第1実施例の報知処理を含む上記移動案内の処理を実行する。
【0024】
次に、上記ナビゲーション装置NVにおいて実行される、第1実施例の報知処理について、
図2乃至
図4を用いてより具体的に説明する。
【0025】
対応するフローチャートを
図3に示すように、第1実施例の報知処理は、ナビゲーション装置NVとしての上記移動案内の処理が開始された後、例えば予め設定された時間ごとの割込処理として開始される。そして、第1実施例の報知処理が開始されると、先ず処理部1は、ナビゲーション装置NVが搭載された車両がいずれかの交差点に接近したか否かを、当該交差点の位置を示す上記位置データと、上記地図データMP及びセンサ部6からの上記検出データと、に基づいて判定する(ステップS1)。
【0026】
ここで、ナビゲーション装置NVが例えば
図4に例示する道路R1を交差点CRに向けて走行している車両CXに搭載されているとする。なお
図4において、交差点CRでは、車両CXを含む複数の車両Cが移動する道路R1と道路R2とが交差しており、各道路R1及び道路R2にそれぞれ対応し且つそれぞれに青信号B、黄信号Y及び赤信号Rを備えた交通信号機SG1乃至交通信号機SG4が設置されているとする。この場合に上記地図データMPには、交差点CRに設置されている各交通信号機SG1乃至交通信号機SG4のそれぞれについて、それらが設置されている交差点CRの位置を示す上記位置データと、その時点での黄信号Yの点灯時間を示す上記点灯時間データと、が含まれている。
【0027】
そして、上記ステップS1の判定では、交差点CRの位置を示す上記位置データと上記検出データとに基づいて検出される車両CXと交差点CRとの間の
図4に示す距離Lが、例えば車両CXの移動速度に応じて予め設定されている判定距離となったとき、処理部1は、車両CXが交差点CRに接近したと判定する(ステップS1:YES)。また、ステップS1の判定において車両CXが交差点CRに接近していないと判定された場合(ステップS1:NO)、処理部1は元の案内処理に移行する。
【0028】
一方、車両CXが交差点CRに接近したと判定された場合(ステップS1:YES)、処理部1は次に、その時点で車両CXが従うべき交通信号機SG1(
図4参照)の黄信号Yの点灯時間を示す上記点灯時間データを記録部2の地図データMPから読み出し、当該点灯時間が上記閾値時間より短いか否かを判定する(ステップS2)。ステップS2の判定において、交通信号機SG1の黄信号Yの点灯時間が上記閾値時間より短くない場合(ステップS2:NO)、処理部1は元の案内処理に移行する。他方、ステップS2の判定において、交通信号機SG1の黄信号Yの点灯時間が上記閾値時間より短い場合(ステップS2:YES)、処理部1は、第1実施例の注意報知の報知音声を、スピーカ8を介して車両CXの車内に放音させる(ステップS3)。ここで、当該報知音声としては、例えば、交差点CRの名称が「○○交差点」であった場合には、「この速度で進むと、○○交差点の信号が赤に変わる可能性があります。安全のため減速して下さい。」といった報知音声である。また、当該報知音声が放音されるタイミングにおいて、交通信号機SG1における信号は、青信号であってもよいし、既に黄信号に切り替わっていてもよい。上記ステップS3において第1実施例の注意報知がされた後、処理部1は元の案内処理に移行する。
【0029】
以上説明したように、第1実施例の報知処理によれば、黄信号Yの点灯時間が短い交通信号機SG1が設置されている交差点CRの位置(
図4参照)を示す位置データに基づいて、当該交通信号機SG1が設置された交差点CRの位置へ車両CXが接近しているとき(
図3ステップS1:YES参照)、当該点灯時間が閾値時間よりも短いことを示す注意報知を音声により行うので、車両CXの位置に応じて当該点灯時間が閾値時間よりも短いことをその搭乗者に迅速に認識させることができる。
【0030】
また、交通信号機SG1等ごと又は交通信号機SG1等が設置されている交差点CRごとの黄信号Yの点灯時間を示す点灯時間データと、予め記録部2に記録されている閾値時間データにより示される閾値時間と、に基づいて、黄信号Yの点灯時間が短いことを判定するので、当該点灯時間が閾値時間より短いことを確実に判定することができる。
【0031】
更に、注意報知が、黄信号Yの点灯時間が閾値時間よりも短いことに起因する危険を回避するための車両CXの減速に関する注意報知であるので、当該危険を確実に回避させることができる。
【0032】
更にまた、注意報知が音声により行われるので、例えば搭乗者の視線を不要に移動させることなく、点灯時間が閾値時間よりも短いことを認識させることができる。
【0033】
なお、上述した第1実施例の報知処理では、上記点灯時間データが地図データMPに交通信号機SG1等ごとに記録されており、これを処理部1が読み出して上記閾値時間データと比較することにより、上記注意報知の報知音声を放音するか否かを判定した(
図3ステップS2参照)。しかしながらこれ以外に、黄信号Yの点灯時間が上記閾値時間より短いこと自体を交通信号機SG1等ごとに地図データMP内に記録しておき、これを交差点CRに接近したときに(
図3ステップS1参照)読み出して、上記注意報知の報知音声を放音するか否かを判定してもよい。この場合でも、点灯時間が閾値時間よりも短いことを確実に判定することができる。
【0034】
(II)
第2実施例
次に、実施形態に対応する他の実施例である第2実施例について、
図5を用いて説明する。なお、後述する第2実施例のナビゲーション装置のハードウェア的な構成は、基本的に第1実施例のナビゲーション装置NVと同様である。また、第2実施例の報知処理の一部は、
図3に示す第1実施例の報知処理と同様である。よって以下の第2実施例の説明では、第1実施例のナビゲーション装置NVと同一の構成部材及び第1実施例の報知処理と同様の処理については、それぞれに同様の部材番号及びステップ番号を付して、細部の説明は省略する。
【0035】
上述した第1実施例では、交通信号機SG1等が設置された交差点CRごとに、その位置を示す位置データ及び黄信号Yの点灯時間を示す点灯時間データが地図データMPに記録されており、これを読み出して上記第1実施例の注意報知を実施するか否かを判定した。これに対して以下に説明する第2実施例では、一又は複数の交通信号機が設置されている一定の地域全体に関連付けて(すなわち、個々の交通信号機ではなく当該地域全体として一律に)、そこに設置されている交通信号機における黄信号Yの点灯時間を示す点灯時間データが地図データMPとして記録されている。そして、一の上記地域に車両が接近した場合において、その地域内に設置されている交通信号機の黄信号Yの点灯時間が上記閾値時間よりも短い場合に、第1実施例と同様の注意報知を、その地域に入る前の車両において行う。このとき、上記地域の例としては、例えば一の行政区画(地方行政区分)が一の地域に相当する場合が考えられる。また第2実施例の報知処理では、従来と同様に地図データMPに記録されている、行政区画やその境界の位置を示す地域データが用いられる。
【0036】
すなわち、第2実施例の報知処理は、例えば第1実施例の報知処理と同様のタイミングで割込処理として一定時間ごとに開始される。そして、
図5に示すように、第2実施例の報知処理が開始されると、先ず処理部1は、ナビゲーション装置NVが搭載された車両がいずれかの地域の境界に接近したか否かを、当該地域の位置等を示す上記地域データと、上記地図データMP及びセンサ部6からの上記検出データと、に基づいて判定する(ステップS10)。
【0037】
このとき、上記ステップS10の判定では、第2実施例のナビゲーション装置が搭載された車両(以下、当該車両を「第2実施例の車両」と称する)の進行方向前方にある地域の位置等を示す上記地域データと上記検出データとに基づいて検出される第2実施例の車両と当該地域の境界との間の距離が、例えば第2実施例の車両の移動速度に応じて予め設定されている判定距離となったとき、処理部1は、第2実施例の車両がその地域に接近したと判定する(ステップS10:YES)。また、ステップS10の判定において第2実施例の車両がその地域に接近していない場合(ステップS10:NO)、処理部1は元の案内処理に移行する。
【0038】
一方、第2実施例の車両がその地域に接近したと判定された場合(ステップS10:YES)、処理部1は、第2実施例の車両が接近している地域内に設置されている交通信号機の黄信号Yの点灯時間を示す点灯時間データを記録部2の地図データMPから読み出し、当該点灯時間が上記閾値時間より短いか否かを判定する(ステップS11)。ステップS11の判定において、当該地域内の交通信号機の黄信号Yの点灯時間が上記閾値時間より短くない場合(ステップS11:NO)、処理部1は元の案内処理に移行する。他方、ステップS11の判定において、当該地域内の交通信号機の黄信号Yの点灯時間が上記閾値時間より短い場合(ステップS11:YES)、処理部1は、第1実施例の注意報知と同様の注意報知の報知音声を、スピーカ8を介して第2実施例の車両の車内に放音させる(ステップS3)。その後、ステップS3において第2実施例の注意報知がされた後、処理部1は元の案内処理に移行する。
【0039】
以上説明したように、第2実施例の報知処理によれば、黄信号Yの点灯時間が短く設定されている地域を示す地域データに基づいて、第2実施例の車両が当該地域へ接近しているとき、当該点灯時間が閾値時間よりも短いことを示す注意報知を行うので、第2実施例の車両の位置に応じて当該点灯時間が閾値時間よりも短いことをその搭乗者に迅速に認識させることができる。
【0040】
また、第2実施例の車両が接近する地域ごとの黄信号Yの点灯時間を示す点灯時間データと、上記閾値時間と、に基づいて、その地域の交通信号機における黄信号Yの点灯時間が短いことを判定するので、当該点灯時間が閾値時間より短いことを確実に判定することができる。なお、第2実施例の注意報知が危険回避のための減速に関する注意報知であること、及びその注意報知が音声により行われることによる効果は、第1実施例の報知処理における効果と同様である。
【0041】
また、第2実施例の報知処理において、第1実施例の報知処理と同様に、その地域に設置されている交通信号機における黄信号Yの点灯時間が上記閾値時間より短いこと自体を当該地域ごとに地図データMP内に記録しておき、これをその地域に接近したときに(
図5ステップS10参照)読み出して第2実施例の注意報知の報知音声を放音するか否かを判定してもよい。この場合でも、点灯時間が閾値時間よりも短いことを確実に判定することができる。なお、当該地域に入った後の車両において、交通信号機又はそれが設定されている交差点ごとに、第1実施例の報知処理と同様の報知処理を行ってもよい。
【0042】
更に、上述した各実施例では、上記点灯時間データを地図データMPとして記録しておく場合について説明したが、これ以外に、交差点CRへの接近の判定時(
図3ステップS1参照)又は地域への接近の判定時(
図5ステップS10参照)において、その都度、インターフェース9及び上記図示しない外部ネットワークを介して取得するように構成してもよい。
【0043】
更にまた、上述した各実施例では、交通信号機SG1等の黄信号Yの点灯時間と上記閾値時間とを比較し、当該点灯時間が上記閾値時間よりも短い場合に、各実施例の注意報知を行うこととした。しかしながらこれ以外に、上記黄信号Yと同様の意味を有する歩行者用交通信号機における赤信号に変わる前の青信号の点滅の時間的長さ(以下、当該時間的長さを「点滅時間」と称する)と、日本国内の歩行者用交通信号機における当該点滅時間として一般的に定められている時間、又は、日本国内の歩行者用交通信号機における当該点滅時間の平均値に相当する時間である点滅閾値時間とを比較し、当該点滅時間が当該点滅閾値時間よりも短い場合に、各実施例と同様の注意報知を、ナビゲーション装置NVと同様の機能を有する歩行者用スマートフォンにおいて行うように構成してもよい。この場合は、当該歩行者に対して、上記点滅時間が短いことに起因する危険を回避するための注意報知を行うことができる。
【0044】
また、
図3又は
図5にそれぞれ示したフローチャートに相当するプログラムを、光ディスク又はハードディスク等の記録媒体に記録しておき、或いはインターネット等のネットワークを介して取得しておき、これらを汎用のマイクロコンピュータ等に読み出して実行することにより、当該マイクロコンピュータ等を各実施例に係る処理部1として機能させることも可能である。